JP2016002047A - 細胞培養用基板及び細胞培養容器 - Google Patents

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拓也 樋口
Takuya Higuchi
樋口  拓也
和正 八巻
Kazumasa YAMAKI
和正 八巻
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Abstract

【課題】1層型の櫛形電極が設けられた細胞培養用基板において、細胞接着阻害性領域を構成する有機化合物膜を良好に剥離することができる櫛歯電極構造を備えた細胞培養用基板、その細胞培養用基板を備えた細胞培養容器を提供する。【解決手段】細胞接着性領域5と細胞接着阻害性領域6とがパターン形成された櫛形電極8を有する細胞培養用基板10であって、その櫛形電極8は、基部14とその基部14から延びた櫛部15とを有し、櫛部15は、基部14側の端部となる第1の端部領域16と、基部14とは反対側の端部となる第2の端部領域17と、第1の端部領域16と第2の端部領域17との間の中間領域18とからなり、第2の端部領域17における櫛部15の幅W2を、第1の端部領域16における櫛部15の幅W1よりも大きくして上記課題を解決する。特に、第2の端部領域17の幅方向の片端又は両端が、突起19を有することが好ましい。【選択図】図3

Description

本発明は、細胞培養用基板及び細胞培養容器に関し、さらに詳しくは、1層櫛形電極を有する細胞培養用基板、及びそれを内蔵した細胞培養容器に関する。
現在、様々な動物や植物の細胞培養が行われており、また、新たな細胞培養法が開発されている。細胞培養の技術は、細胞の生化学的現象や性質の解明、有用な物質の生産等の目的で利用されている。さらに、培養した細胞を用いて、人工的に合成された薬剤の生理活性や毒性を調べる試みがなされている。
一部の細胞(特に多くの動物細胞)は、何かに接着して生育する接着依存性を有しており、生体外の浮遊状態では長期間生存することができない。このような接着依存性を有した細胞の培養には、細胞が接着するための担体が必要であり、一般的には、コラーゲンやフィブロネクチン等の細胞接着性タンパク質を均一に塗布したプラスチック製の培養皿が用いられている。これらの細胞接着性タンパク質は、培養した細胞に作用し、細胞の接着を容易にし、細胞の形態に影響を与えることが知られている。
一方、細胞の遊走は、免疫応答、受精後の胚形態形成、組織修復及び再生等の様々な段階に関与している。また、癌、アテローム動脈硬化症、関節炎等の疾患の進行においても極めて重要な役割を持つことも知られている。具体的には、血管内皮を通しての細胞の遊走は、炎症、アテローム性動脈硬化症、癌の転移といった状態の病態生理における重要な現象である。そのため、インビトロでの細胞遊走を測定する方法は、長年に渡って開発されてきている。
細胞遊走アッセイに関する装置としては、古典的なボイデンチャンバ、細胞培養インサート、FluoroBlock(登録商標)(BD Biosciences)、Cell Motility HitKit(登録商標)(Cellomics)がある。しかし、こうした装置では、接着した細胞の遊走方向を制御して、定量的に細胞遊走をアッセイすることは困難である。
細胞の接着及び非接着を制御する技術として、パターニングされていない全面が導電性の基板上で、電圧を印加して制御する技術が知られている。しかし、この基板を用いた制御技術では、電圧の印加により基板上の全面の性質が変化してしまうため、基板上に細胞を接着させた後、特定の領域のみを細胞接着性に改変させて、その領域にのみ細胞を制御して遊走させることはできないという難点があった。
また、細胞の接着及び非接着を制御する他の技術として、特定の領域に細胞を遊走させて観測するための基板についても知られている。この基板を用いた制御技術は、ウェル内に細胞を播種し、コンフルエントに培養した後、ピンで細胞を引っ掻くことにより創傷パターンを作製し、その創傷パターンへ向かって周りから細胞が遊走する過程を観測するものである(スクラッチアッセイ)。このような基板を用いるスクラッチアッセイは、ピンで創傷パターンを形成することから、傷のサイズ(幅)に物理的制約があり、せいぜいミリオーダー程度までしか小さくすることができない。また、傷のエッヂが汚く、ウェル間での傷形状のばらつきが大きいという問題がある。また、創傷時、ピンと細胞との物理的接触により細胞が浮遊したり、細胞内容物が漏出するといった欠点もある。さらに、綺麗な傷を形成するには実験者の習熟を要する等の問題もある。
こうした問題に対し、特許文献1では、導電性領域と絶縁性領域とを有する基材、並びにその導電性領域上に形成された細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とを備え、導電性領域上において細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とが隣り合っている細胞培養用基板が提案されている。この技術では、細胞培養用基板に細胞を播種し、細胞接着性領域に細胞を接着させ、導電性領域に電圧を印加して導電性領域上の細胞接着阻害性領域を細胞接着性に変化させることにより、細胞接着性領域に接着している細胞の、細胞接着性に変化した領域への遊走を観察することができるとされている。この細胞培養用基板は、複数の櫛部と各櫛部を支持する基部とからなる櫛形にパターニングされた導電性領域を備えている。そして、その櫛部の幅や櫛部間の間隔は、細胞の接着し易さ、細胞遊走のし易さ、電流の流れ易さ等に関係することが検討されている。
特開2011−101638号公報
ところで、例えば図7(A)に示す形態の細胞培養用基板10Dにおいては、櫛歯電極構造を構成する2つの櫛形電極11,12上にポリエチレングリコール膜をパターン形成し、その一方の電極を正電極として電圧を印加し、正電極上にパターン形成された細胞接着阻害性領域であるポリエチレングリコール膜を剥離して剥離箇所を細胞接着性領域に変化させることができる。また、その後にもう一方の櫛形電極を正電極として電圧を印加し、その正電極上にパターン形成された細胞接着阻害性領域であるポリエチレングリコール膜を剥離して剥離箇所を細胞接着性領域に変化させることができる。細胞接着阻害性領域から細胞接着性領域への変化によって、播種された細胞が予め接着していた細胞接着性領域から、新しく形成された細胞接着性領域への細胞の遊走を観察する細胞遊走試験を行うことができる。
こうした櫛形電極においては、図7(B)に示すように、各櫛形電極11,12の先端部では、電圧印加の際の電流分布により、パターン形成されたポリエチレングリコール膜を十分に剥離することができない箇所C1,C2が発生した。こうした不十分な剥離現象は、細胞遊走試験に悪影響を及ぼすおそれがある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、1層型の櫛形電極が設けられた細胞培養用基板において、細胞接着阻害性領域を構成する有機化合物膜を良好に剥離することができる櫛歯電極構造を備えた細胞培養用基板を提供することにある。また、その細胞培養用基板を備えた細胞培養容器を提供することにある。
(1)上記課題を解決するための本発明に係る細胞培養用基板は、細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とがパターン形成された櫛形電極を有する細胞培養用基板であって、前記櫛形電極は、基部と該基部から延びた櫛部とを有し、前記櫛部は、前記基部側の端部となる第1の端部領域と、前記基部とは反対側の端部となる第2の端部領域と、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域との間の中間領域とからなり、前記第2の端部領域における櫛部の幅が、前記第1の端部領域における櫛部の幅よりも大きいことを特徴とする。
本発明に係る細胞培養用基板において、前記細胞接着阻害性領域が、前記櫛形電極に電圧を印加することによって細胞接着性領域に変わるように構成できる。
本発明に係る細胞培養用基板において、前記第2の端部領域の幅方向の片端又は両端が、突起を有するように構成できる。
(2)上記課題を解決するための本発明に係る細胞培養容器は、細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とがパターン形成された櫛形電極を有する細胞培養用基板と、前記細胞培養用基板を搭載した容器本体とを備えた細胞培養容器であって、前記櫛形電極は、基部と該基部から延びた櫛部とを有し、前記櫛部は、前記基部側の端部となる第1の端部領域と、前記基部とは反対側の端部となる第2の端部領域と、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域との間の中間領域とからなり、前記第2の端部領域における櫛部の幅が、前記第1の端部領域における櫛部の幅よりも大きいことを特徴とする。
本発明に係る細胞培養容器において、前記細胞接着阻害性領域が、前記櫛形電極に電圧を印加することによって細胞接着性領域に変わるように構成できる。
本発明に係る細胞培養容器において、前記容器本体は、前記細胞培養用基板を底面に配置するための開口部を備えているように構成できる。
本発明に係る細胞培養容器において、前記細胞培養用基板が有する櫛形電極の端子部が、前記容器本体の外に延びているように構成できる。
本発明によれば、櫛形電極が、基部側の第1の端部領域と、基部とは反対側の第2の端部領域と、中間領域とからなる櫛部を備え、第2の端部領域における櫛部の幅が、第1の端部領域における櫛部の幅よりも大きいので、櫛形電極の先端部である第2の端部領域では、電圧印加の際の電流分布が拡大する。その結果、ポリエチレングリコール膜等の有機化合物膜を十分に剥離することができ、剥離後の細胞接着性領域に細胞を遊走させる細胞遊走試験を良好に行うことができる。
本発明に係る細胞培養容器の一例を示す模式図であり、(A)は平面図であり、(B)は左側面図である。 本発明に係る細胞培養用基板の層構成の一例を示す断面図である。 本発明に係る細胞培養用基板を構成する櫛形電極の例を示す平面図である。 本発明に係る細胞培養用基板を構成する櫛形電極(A)と、その櫛形電極に電圧を印加したときの電流分布(B)を示す模式図である。 細胞培養用基板の作製工程を示す模式図である。 細胞培養用基板への細胞播種と、細胞遊走試験についての説明図である。 櫛形電極と、その櫛形電極で起こる問題の説明図である。
以下、本発明に係る細胞培養用基板及び細胞培養容器について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の実施形態のみに限定されず、本発明の要旨を含む範囲を包含する。
[細胞培養用基板]
本発明に係る細胞培養用基板10は、図1〜図3に示すように、細胞接着性領域5と細胞接着阻害性領域6とがパターン形成された櫛形電極8を有している。そして、櫛形電極8は、基部14と、その基部14から延びた櫛部15とを有している。櫛部15は、基部14側の端部となる第1の端部領域16と、基部14とは反対側の端部となる第2の端部領域17と、第1の端部領域16と第2の端部領域17との間の中間領域18とで構成されている。この細胞培養用基板10は、第2の端部領域17における櫛部15の幅W2は、第1の端部領域16における櫛部15の幅W1よりも大きいことに特徴がある。
細胞培養用基板10は、第2の端部領域17における櫛部15の幅W2が、第1の端部領域16における櫛部15の幅W1よりも大きいので、櫛形電極8の先端部である第2の端部領域17では、電圧印加の際の電流分布が拡大する。その結果、パターン形成されたポリエチレングリコール膜等の有機化合物膜4を十分に剥離することができ、剥離後の細胞接着性領域に細胞を遊走させる細胞遊走試験を良好に行うことができる。
以下、細胞培養用基板の構成について詳しく説明する。
(細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域)
図2に示す細胞接着性領域5と細胞接着阻害性領域6は、図1〜図3に示すように、細胞培養用基板10が有する櫛形電極11,12の上にパターン形成されている。ここでの細胞接着性とは、細胞が接着すること又は細胞が接着しやすいことを意味し、細胞接着阻害性とは、細胞が接着しにくいこと又は細胞が接着しないことを意味している。そのため、細胞接着性領域5と細胞接着阻害性領域6とがパターン形成された細胞培養用基板10上に細胞を播くと、細胞接着性領域5には細胞が接着するが、細胞接着阻害性領域6には細胞が接着しない。その結果、細胞培養用基板10の表面には、細胞が細胞接着性領域5と同じパターンで配列されることになる。
なお、細胞接着性は、接着しようとする細胞によって異なる場合もあるため、細胞接着性とは、ある種の細胞に対して細胞接着性であることを意味する。したがって、細胞培養用基板10上には、複数種の細胞に対する複数の細胞接着性領域5が存在する場合(すなわち細胞接着性が異なる細胞接着性領域5が2水準以上存在する場合)もある。
細胞接着性領域5及び細胞接着阻害性領域6の構造としては、例えば以下の2つの形態を挙げることができる。
第一の形態は、炭素酸素結合を有する有機化合物を含む細胞接着阻害性の有機化合物膜4(例えばポリエチレングリコール膜等)に電圧を印加して分解除去(剥離)することによって細胞接着性領域5とした形態である。この形態では、基板の表面全体に有機化合物膜4を形成し、次いで、その有機化合物膜4をパターニングし、次いで、パターニングした有機化合物膜4を有する櫛形電極11,12のうち細胞遊走試験を行う側の櫛形電極に正電圧を加えてその櫛形電極上に設けられた有機化合物膜パターンを分解除去(剥離)することにより、最初は細胞接着阻害性領域6であった箇所(パターン形成された有機化合物膜4)を細胞接着性領域5に変化させる。
第二の形態は、炭素酸素結合を有する有機化合物を低密度で含む親水性膜でパターン形成されている形態である。この形態では、炭素酸素結合を有する有機化合物を高密度で含む有機化合物膜パターンが細胞接着阻害性領域6になるのに対し、前記化合物を低密度で含む親水性膜パターンは細胞接着性領域になることを利用したものである。基板表面に前記化合物が結合しやすい第一領域と結合しにくい第二領域とをパターン形成し、その基板表面に前記化合物の膜をそれぞれ形成し、第一領域を細胞接着阻害性領域6とし、第二領域を細胞接着性領域5としたものである。
(基材)
基材1は、図2に示すように、その上に導電膜2を形成できる絶縁材料であれば特に限定されない。また、その表面に炭素酸素結合を有する有機化合物膜4を形成することができる材料で形成されたものであることが好ましい。具体的には、ガラス、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、感光性ガラス、酸化アルミニウム、サファイア、セラミクス、フォルステライト、シリコン、エラストマー、プラスチック(例えば、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂)で代表される有機材料等を挙げることができる。
基材1の形状も、図1に示すような細胞培養容器本体21に配置可能な平板形状であれば特に限定されない。例えば、板、シート、フィルム、膜、多孔質膜等の平板形状であればよい。また、基材1の表面に凹凸が形成されたものであってもよい。フィルムを基材1として使用する場合、その厚さは特に制限されないが、通常0.1μm以上、1000μm以下の範囲内、好ましくは1μm以上、500μm以下の範囲内、より好ましくは10μm以上、200μm以下の範囲内である。
特に、細胞の大きさよりも小さい1nm以上、10μm以下程度の範囲内の微細な凹凸が表面に付加された基材1を用い、細胞接着性領域5や細胞接着阻害性領域6上の細胞接着性の領域も同様の凹凸形状にした場合には、接着した細胞の形状や挙動を制御して、試験を効果的に行うことができる。ここでの微細な凹凸とは、例えば、ラインパターンの場合、深さが1nm以上、10μm以下の範囲内、ライン凸部の幅が1nm以上、10μm以下の範囲内、ライン凹部の幅が1nm以上、10μm以下の範囲内のことを指す。
(導電膜)
導電膜2は、図2及び図5に示すように、基材1上に櫛歯電極構造で設けられている。この櫛歯電極構造は、図1及び図3に示すように、第1櫛形電極11と第2櫛形電極12とが、櫛形電極間のスリット部13を挟んで櫛歯状に配置された構造である。
導電膜2としては、金属膜、金属酸化物膜、金属微粒子や金属ナノファイバーが絶縁体に分散された膜、導電性の有機材料からなる膜等を挙げることができる。金属としては、金、白金等を挙げることができ、金属酸化物としては、ITO(酸化インジウム錫)、IZO(酸化インジウム亜鉛)等を挙げることができ、金属微粒子としては、銀、金、銅等の微粒子等を挙げることができ、金属ナノファイバーとしては、カーボンナノチューブ等を挙げることができ、導電性の有機材料としては、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等を挙げることができる。
導電膜2は、透明な膜であることが細胞の観察において好ましく、例えば、ITO膜、IZO膜、導電性高分子のポリエチレンジオキシチオフェン膜等を挙げることができる。また、電圧印加後も透明な膜であることが好ましい。本発明においては、ITO膜をスパッタリング法により成膜して、その後パターニングすることにより、スリット部13を介した2つの櫛形電極8(第1櫛形電極11と第2櫛形電極12)を形成でき、その後に有機化合物膜4をパターン形成した箇所は細胞接着阻害性領域6となり、有機化合物膜4を設けない箇所は細胞接着性領域5となる。なお、細胞は、倒立顕微鏡で観察することができる。
導電膜2は、各種の方法で成膜することができる。例えば、マイクロ波プラズマCVD(Chemical vapor deposit)法、ECRCVD(Electric cyclotron resonance chemical vapor deposit)法、ICP(Inductive coupled plasma)法、直流スパッタリング法、ECR(Electric cyclotron resonance)、スパッタリング法、イオン化蒸着法、アーク式蒸着法、レーザー蒸着法、EB(Electron beam)蒸着法、抵抗加熱蒸着法等を挙げることができる。成膜は、塗布により実施してもよく、スピンコートや各種の印刷方式も使用できる。
導電膜2の厚さは、通常、単分子膜の厚さ以上、100μm以下の範囲内であり、好ましくは2nm以上、1μm以下の範囲内、より好ましくは5nm以上、500nm以下の範囲内である。
櫛形電極11,12は、パターニング技術やレーザー加工技術を利用して形成できる。パターニング技術としては、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法及びコンタクトプリンティング法等の各種印刷法による方法、各種リソグラフィ法を用いる方法、ならびにインクジェット法による方法、他に微細な溝を彫刻等する立体整形の手法等を挙げることができる。具体的には、例えばガラス基材に、例えば金属膜又は金属酸化物膜を成膜し、これをフォトリソグラフィー技術等の公知の技術を用いてパターニングすることにより、第1櫛形電極11と第2櫛形電極12を形成することができる。また、レーザー加工技術としては、例えばガラス基材に、例えば金属膜又は金属酸化物膜を成膜し、その膜上からレーザーを照射して膜をカットすることにより、第1櫛形電極11と第2櫛形電極12を形成することができる。
櫛形電極11,12間のスリット13の幅は特に限定されず、1μm以上、500μm以上の範囲内を挙げることができる。例えばレーザー加工の場合、スリット13の幅は、通常100μm以上150μm以下の程度で行う場合が多いが、その幅は、レーザーのスポット径により変わり、例えばスポット径が100μmであればスリット幅も約100μmになる。
(櫛部)
櫛形電極8(11,12)は、基部14と、その基部14から延びた櫛部15とを有した櫛歯電極構造であり、その櫛部15は、基部14側の端部となる第1の端部領域16と、基部14とは反対側の端部となる第2の端部領域17と、第1の端部領域16と第2の端部領域17との間の中間領域18とで構成されているものとし、その第2の端部領域17における櫛部15の幅W2が、第1の端部領域16における櫛部15の幅W1よりも大きいことに特徴がある。なお、以下において、幅を「W」としたときは、各部でのW1,W2,W3に共通するものとして説明する。
基部14から延びる櫛部15の長さ方向と直交する方向の幅W(櫛部の幅:W1,W2,W3)は、特に限定されないが、平均幅で10mm以上、100mm以下の範囲内であることが好ましい。
図7(A)に示す櫛歯電極構造は、櫛部15の各部は同じ幅になっている。この櫛歯電極構造において、正電圧を櫛形電極に印加すると、図7(B)に示すように、各櫛形電極11,12の先端部では、電圧印加の際の電流分布により、パターン形成された有機化合物膜4を十分に剥離することができない箇所C1,C2が発生した。
その理由は、例えば第1櫛形電極11を正電極とし、第2櫛形電極12を負電極とした場合、正電圧が印加される第1櫛形電極11上にパターン形成された有機化合物膜4が分解して剥離するが、その際に、C1の箇所の電流が小さく、その箇所の有機化合物膜4が十分に分解して剥離できないためでろうと考えられた。次に、第2櫛形電極12を正電極とし、第1櫛形電極11を負電極とした場合、正電圧が印加される第2櫛形電極12上にパターン形成された有機化合物膜4が分解して剥離するが、その際にも、C2の箇所の電流が小さく、その箇所の有機化合物膜4が十分に分解して剥離できないためであろうと考えられた。
そこで、本発明では、櫛形電極11,12の構造形態を、基部14とその基部14から延びた櫛部15とを有するように定義し、その櫛部15は、基部14側の端部となる第1の端部領域16と、基部14とは反対側の端部となる第2の端部領域17と、第1の端部領域16と第2の端部領域17との間の中間領域18とからなる構造形態と定義したとき、第2の端部領域17における櫛部15の幅W2が、第1の端部領域16における櫛部15の幅W1よりも大きいものとして、上記した問題を解決している。
そうした幅W2を幅W1よりも大きくする手段としては、図3に示すように、第2の端部領域17の幅方向の片端又は両端が、突起19を有するようにした。その突起19は、図3に示すように、櫛部15の幅方向の両端でもよいし、図4に示すように、いずれか片端であってもよい。こうした突起19は、櫛形電極11,12をパターニングする際に併せて形成することができる。
第2の端部領域17における櫛部15の幅W2を、第1の端部領域16における櫛部15の幅W1に比べてどの程度大きくするかは、印加する電圧や流れる電流によって異なるし、基部14の大きさや櫛部15の幅との相互の関係によっても異なるし、電極材料(導電率、厚さ)によっても異なるが、一例としては、以下のとおりである。
例えば、基部14の幅W4が15mm程度である場合は、櫛部全体の平均幅Wは、35mm〜40mm程度であり、幅W2はその平均幅よりも10mm〜15mm程度大きい幅になっており、幅W1は幅W2よりも15mm〜35mm程度小さい幅になっていることが好ましい。こうすることで、図4に示すAの箇所での剥離不足を低減することができる。
また、例えば、基部14の幅W4が25mm程度である場合には、櫛部全体の平均幅Wは、35mm〜40mm程度であり、幅W2はその平均幅よりも15mm〜20mm程度大きい幅になっており、幅W1は幅W2よりも25mm〜45mm程度小さい幅になっていることが好ましい。こうすることで、図4に示すAの箇所での剥離不足を低減することができる。
櫛歯電極構造としては、図3(A)に示すように、第1の端部領域16の幅W1と、第2の端部領域17の幅W2と、中間領域18の幅W3とをそれぞれ異なるようにしてもよいし、図3(B)や図4に示すように、中間領域17は設けず、第1の端部領域16の幅W1と、第2の端部領域17の幅W2とを異なるようにしてもよい。櫛歯電極構造はこれらに限定されず、上記した櫛部の幅W1,W2の関係にすることにより有機化合物膜4の剥離を十分に行えることができる構造形態であれば、各種の形態を採用することができる。
(有機化合物膜)
有機化合物膜4は、図2及び図5に示すように、各櫛形電極11,12上にパターン形成されて、細胞接着阻害性領域6を構成するように作用する。そうした有機化合物膜4は、炭素酸素結合を有する有機化合物により形成される親水性膜である。この有機化合物膜4は、水溶性や水膨潤性を有する膜であり、炭素酸素結合を有する有機化合物を主原料とする膜である。そして、酸化又は分解される前の有機化合物膜4は、細胞接着阻害性を有し、酸化及び/又は分解された後は、細胞接着性を有しているものであれば特に限定されない。
具体的には、有機化合物膜4は、正電圧を印加して酸化又は分解する前は高い細胞接着阻害性を有し、正電圧を印加して酸化又は分解した後は、それ自身が細胞接着性を示すものでもよいし、有機化合物膜4が除去されて露出した導電膜2が細胞接着性を示すものでもよい。例えば、ポリエチレングリコール膜を有機化合物膜4とした場合は、正電圧を印加することにより、ポリエチレングリコール膜は分解剥離して、その箇所には、細胞接着性の導電膜2が現れて細胞接着性領域5となる。
なお、ここでの炭素酸素結合は、炭素と酸素との間に形成される結合を意味し、単結合に限らず二重結合であってもよい。炭素酸素結合としては、C−O結合、C(=O)−O結合、C=O結合を挙げることができる。
有機化合物膜4を構成する主原料としては、水溶性高分子、水溶性オリゴマー、水溶性有機化合物、界面活性物質、両親媒性物質等を挙げることができ、これらが相互に物理的又は化学的に架橋し、基材と物理的又は化学的に結合することにより親水性の有機化合物膜4となる。
具体的な水溶性高分子材料としては、ポリアルキレングリコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリメタクリル酸及びその誘導体、ポリアクリルアミド及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、双性イオン型高分子、多糖類、等を挙げることができる。分子形状は、直鎖状、分岐を有するもの、デンドリマー等を挙げることができる。より具体的には、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールの共重合体、例えば、Pluronic F108、Pluronic F127、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリン)、メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリンとアクリルモノマーの共重合体、デキストラン、及びヘパリンを挙げることができるがこれらには限定されない。
具体的な水溶性オリゴマー材料や水溶性低分子化合物としては、アルキレングリコールオリゴマー及びその誘導体、アクリル酸オリゴマー及びその誘導体、メタクリル酸オリゴマー及びその誘導体、アクリルアミドオリゴマー及びその誘導体、酢酸ビニルオリゴマーの鹸化物及びその誘導体、双性イオンモノマーからなるオリゴマー及びその誘導体、アクリル酸及びその誘導体、メタクリル酸及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘導体、双性イオン化合物、水溶性シランカップリング剤、水溶性チオール化合物等を挙げることができる。より具体的には、エチレングリコールオリゴマー、(N−イソプロピルアクリルアミド)オリゴマー、メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリンオリゴマー、低分子量デキストラン、低分子量ヘパリン、オリゴエチレングリコールチオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、2−〔メトキシ(ポリエチレンオキシ)−プロピルトリメトキシシラン、及びトリエチレングリコール−ターミネーティッド−チオールを挙げることができるがこれらには限定されない。
有機化合物膜4の平均厚さは、0.8nm以上、500μm以下の範囲内が好ましく、0.8nm以上、100μm以下の範囲内がより好ましい。平均厚さが0.8nm以上であれば、タンパク質の吸着や細胞の接着において、基板表面の有機化合物膜4で覆われていない領域の影響を受けにくいため好ましい。また、平均厚さが500μm以下であればコーティングが比較的容易である。
有機化合物膜4の形成方法としては、導電膜2に有機化合物を直接吸着させる方法、導電膜2上へ有機化合物を直接コーティングする方法、導電膜2上へ有機化合物をコーティングした後に架橋処理を施す方法、導電膜2への密着性を高めるために多段階式に有機化合物膜4を形成させる方法、導電膜2との密着性を高めるために導電膜2上に下地膜を形成し、次いで有機化合物をコーティングする方法、導電膜2表面に重合開始点を形成し、次いで親水性ポリマーブラシを重合する方法等を挙げることができる。
上記成膜方法のうち特に好ましい方法としては、多段階式に有機化合物膜4を形成させる方法、ならびに、導電膜2との密着性を高めるために導電膜2上に下地膜を形成し、次いで有機化合物をコーティングする方法を挙げることができる。これらの方法を用いることにより、有機化合物の導電膜2への密着性を高めることができる。
導電膜2上に形成された有機化合物膜4は、図2及び図5に示すように、所定のパターンになるようにパターニングされる。そのパターンの形状は特に限定されないが、例えば、パターン幅を300μm程度とし、隣接するパターン間のスペース幅を50μm程度とすることができる。この場合、例えば幅300μmの有機化合物膜4のパターンは、細胞接着阻害性領域6であり、例えば幅50μmのスペースは、細胞接着性領域5である。そのため、播種された細胞30は、例えば図6に例示するように、最初は幅50μmの細胞接着性領域5に付着しているが、その後に電圧印加によって細胞接着阻害性領域6が細胞接着性領域5に変化することにより、細胞接着性領域5に付着していた細胞30が、新しく細胞接着性領域5に変化した箇所に遊走することができる。
有機化合物膜4のパターニングは、一般的なリソグラフィ法等の各種のパターニング手段で行うことができる。例えば、図5(A)に示すように、基材1上に導電膜2を成膜し、その後に、図5(B)に示すように、その導電膜2上に下地膜3と有機化合物膜4を順に設け、その後に、図5(C)に示すように、細胞接着阻害性領域6となる所定パターンの有機化合物膜4を残し、細胞接着性領域5となる所定パターンの有機化合物膜4を除去するようにリソグラフィ法等でパターニングする。こうして、細胞30を播種する前の細胞培養用基板10を形成することができる。
(下地膜)
なお、下地膜3は、必要に応じて設けられ、図2及び図5に示すように、有機化合物膜4と導電膜2との間に設けられて、有機化合物膜4の導電膜2への密着性を向上させるように作用する。下地膜3は、結合部分(リンカー)を有する材料を含む膜であることが好ましい。リンカーとリンカーに結合させる材料の末端の官能基との組み合わせとしては、エポキシ基と水酸基、フタル酸無水物と水酸基、カルボキシル基とN−ハイドロキシスクシイミド、カルボキシル基とカルボジイミド、アミノ基とグルタルアルデヒド等を挙げることができる。それぞれの組み合わせにおいて、いずれがリンカーであってもよい。これらの方法においては、有機化合物膜4を形成する前に、導電膜2上にリンカーを有する材料により下地膜3を形成する。好ましくは、エポキシ基を末端に有するシランカップリング剤(エポキシシラン)を挙げることができる。
下地膜3の厚さは特に限定されないが、例えば、3nm以上、500μm以下の範囲内とすることができる。下地膜3は、下地膜用形成材料を有する塗布液を調整し、その塗布液を塗布して形成することができる。
(細胞遊走実験)
細胞培養用基板10は、図5(C)に示すように、有機化合物膜4がパターン形成された箇所が細胞接着性領域5になり、有機化合物膜4が形成されていない箇所が細胞接着性領域5になっている。こうして形成された細胞培養用基板10に細胞30を播種すると、図6(A)に示すように、細胞30は、細胞接着性領域5に接着し、細胞接着阻害性領域6には接着しない。
その後に、図6(B)に示すように、一方の櫛形電極に正電圧を印加すると、印加した櫛形電極上にパターン形成された有機化合物膜4(細胞接着阻害性領域6)が剥離する。その結果、細胞接着阻害性領域6が細胞接着性領域5に変化する。そうすると、図6(C)に示すように、細胞30は、細胞接着性領域5から、新たに細胞接着性領域5に変化した領域(剥離した箇所)に遊走する。こうして細胞遊走実験を行うことができる。
印加する正電圧は、適宜決定することができるが、通常1V以上、10V以下の範囲内、好ましくは2V以上、5V以下の範囲内であり、印加する時間は、通常0.5分間以上、60分間以下の範囲内、好ましくは1分間以上、10分間以下の範囲内である。印加する電圧は、電極が接している溶媒の種類や、電極の材質、電極の形状によって、適切な値が変わるが、通常、細胞接着阻害性領域6を細胞接着性領域5に改変可能な電圧以上で、細胞に悪影響を与えない程度に低い電圧を加えるのがよい。
細胞の移動の観察には、細胞が移動する速度の計測、ならびに遊走方向、遊走時の細胞形態、及び周囲の細胞同士のコネクション等の観察が含まれる。細胞が移動する速度の計測は、パターン、例えば櫛部のような線状のパターンにおいて、細胞が浸潤していく面積や距離を測定することにより、実施できる。
[細胞培養容器]
本発明に係る細胞培養容器20は、図1〜図3に示すように、上記した細胞培養用基板10を有するものである。詳しくは、細胞接着性領域5と細胞接着阻害性領域6とがパターン形成された櫛形電極8を有する細胞培養用基板10と、細胞培養用基板10を搭載した容器本体21とを備えた細胞培養容器20である。そして、櫛形電極8は、上記したのと同様、基部14と基部14から延びた櫛部15とを有し、その櫛部15は、基部側の端部となる第1の端部領域16と、基部15とは反対側の端部となる第2の端部領域17と、第1の端部領域16と第2の端部領域17との間の中間領域18とからなっている。そして、第2の端部領域17における櫛部15の幅W2が、第1の端部領域16における櫛部15の幅W1よりも大きいことに特徴がある。
容器本体21の形状は特に限定されず、図1に例示するようなフラスコ型の容器であってもよいし、ディッシュ型の容器(図示しない)であってもよい。容器本体21には、細胞培養用基板10を細胞培養のための底面24とする位置に配置する開口部23を備えている。細胞培養用基板10は、容器本体21の開口部23を覆うように接着剤等で貼り合わせる。その開口部23の大きさは、細胞培養用基板10の大きさに合わせて設けられ、細胞培養用基板10の大きさは、容器の種類や容量によって決まる。
なお、図1の例では、容器本体21には、培養液注入口22があり、そこには蓋26が設けられる。また、櫛形電極11,12の端子部は、容器本体21の外に延びているように構成されており、その端子部に外部電源が接続されて電圧が印加される。この端子部は、図1等の例では、培養液注入口22側に設けられているが、この位置には限定されず、他の箇所から容器本体21の外に延びるように設けられていてもよい。
(細胞)
細胞30は、細胞培養用基板10に播種する細胞として容器内に投入される。そうした細胞30としては、血球系細胞やリンパ系細胞等の浮遊細胞でもよいし、接着性細胞でもよいが、本発明においては、細胞培養用基板10を構成する細胞接着性領域5に接着性を有する細胞であることが好ましい。また、遊走する性質を有する細胞に対して好適に使用される。
そのような細胞としては、例えば、肝がん細胞、グリオーマ細胞、結腸癌細胞、腎がん細胞、膵がん細胞、前立腺がん細胞、大腸がん細胞、乳癌細胞、肺がん細胞、卵巣がん細胞等のがん細胞、肝臓の実質細胞である肝細胞、クッパー細胞、血管内皮細胞や角膜内皮細胞等の内皮細胞、繊維芽細胞、骨芽細胞、砕骨細胞、歯根膜由来細胞、表皮角化細胞等の表皮細胞、気管上皮細胞、消化管上皮細胞、子宮頸部上皮細胞、角膜上皮細胞等の上皮細胞、乳腺細胞、ペリサイト、平滑筋細胞や心筋細胞等の筋細胞、腎細胞、膵ランゲルハンス島細胞、末梢神経細胞や視神経細胞等の神経細胞、軟骨細胞、骨細胞等を挙げることができる。これらの細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、あるいは、それらを何代か継代させたものでもよい。さらにこれら細胞は、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞等の多能性幹細胞、単分化能を有する血管内皮前駆細胞等の単能性幹細胞、分化が終了した細胞の何れであってもよい。また、細胞は単一種を培養してもよいし二種以上の細胞を共培養してもよい。
目的の細胞を含む培養試料は、予め、生体組織を細かくして液体中に分散させる分散処理や、生体組織中の目的の細胞以外の細胞その他細胞破片等の不純物質を除去する分離処理等を行っておくことが好ましい。なお、細胞培養用基板への細胞の播種に先だって、目的とする細胞を含む培養試料を、予め、各種の培養方法で予備培養して、目的とする細胞を増やすことが好ましい。
以上、本発明によれば、櫛形電極8(11,12)が、基部14側の第1の端部領域16と、基部14とは反対側の第2の端部領域17と、中間領域18とからなる櫛部15を備え、第2の端部領域17における櫛部15の幅W2が、第1の端部領域16における櫛部15の幅W1よりも大きいので、櫛形電極8の先端部である第2の端部領域17では、電圧印加の際の電流分布が拡大する。その結果、ポリエチレングリコール膜等の有機化合物膜4を十分に剥離することができ、剥離後の細胞接着性領域5に細胞を遊走させる細胞遊走試験を良好に行うことができる。
1 基材
2 導電膜
3 下地膜(シランカップリング膜)
4 有機化合物膜(ポリエチレングリコール膜)
5 細胞接着性領域
6 細胞接着阻害性領域
7 細胞
8 櫛形電極
9 レジスト
10,10A,10B 細胞培養用基板
11 第1櫛形電極
12,12A,12B 第2櫛形電極
13 櫛形電極間のスリット部
14 基部
15 櫛部
16 基部側の端部(第1の端部領域)
17 基部側の反対側の端部(第2の端部領域)
18 中間領域
19 突起
20 細胞培養容器
21 容器本体
22 培養液注入口
23 開口部(細胞培養用基板装着部)
24 底面
25 上面
26 蓋
30 細胞
W1 第1の端部領域の櫛部の幅
W2 第2の端部領域の櫛部の幅
W3 中間領域の櫛部の幅
W4 基部の幅(櫛部が延びる方向における基部の幅)

Claims (7)

  1. 細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とがパターン形成された櫛形電極を有する細胞培養用基板であって、
    前記櫛形電極は、基部と該基部から延びた櫛部とを有し、
    前記櫛部は、前記基部側の端部となる第1の端部領域と、前記基部とは反対側の端部となる第2の端部領域と、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域との間の中間領域とからなり、
    前記第2の端部領域における櫛部の幅が、前記第1の端部領域における櫛部の幅よりも大きい、ことを特徴とする細胞培養用基板。
  2. 前記細胞接着阻害性領域が、前記櫛形電極に電圧を印加することによって細胞接着性領域に変わる、請求項1に記載の細胞培養用基板。
  3. 前記第2の端部領域の幅方向の片端又は両端が、突起を有する、請求項1又は2に記載の細胞培養用基板。
  4. 細胞接着性領域と細胞接着阻害性領域とがパターン形成された櫛形電極を有する細胞培養用基板と、前記細胞培養用基板を搭載した容器本体とを備えた細胞培養容器であって、
    前記櫛形電極は、基部と該基部から延びた櫛部とを有し、
    前記櫛部は、前記基部側の端部となる第1の端部領域と、前記基部とは反対側の端部となる第2の端部領域と、前記第1の端部領域と前記第2の端部領域との間の中間領域とからなり、
    前記第2の端部領域における櫛部の幅が、前記第1の端部領域における櫛部の幅よりも大きい、ことを特徴とする細胞培養容器。
  5. 前記細胞接着阻害性領域が、前記櫛形電極に電圧を印加することによって細胞接着性領域に変わる、請求項4に記載の細胞培養容器。
  6. 前記容器本体は、前記細胞培養用基板を底面に配置するための開口部を備えている、請求項4又は5に記載の細胞培養容器。
  7. 前記細胞培養用基板が有する櫛形電極の端子部が、前記容器本体の外に延びている、請求項4〜6のいずれか1項に記載の細胞培養容器。
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