JPWO2005020342A1 - 縦型有機fet及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

有機半導体から成る活性層の分子配向を抑制し、キャリア移動度を向上した縦型有機FETを提供する。本発明は、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X1及びX2が配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、(4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている、縦型有機FETに係る。

Description

本発明は、新規な縦型有機FET及びその製造方法に関する。
近年、有機半導体材料は、発光ダイオード、非線形光デバイス、電界効果トランジスタ等の様々なデバイスの活性層としての使用が研究されている。
有機半導体材料は、加工性に優れるがゆえに製造装置の簡素化及び低コスト化を図ることができる。さらに、有機半導体材料は、柔軟なプラスチック基板上にもアモルファスシリコン等よりも簡単に積層できることも大きな利点である。
従来、有機半導体材料を用いたFETの研究の多くは横型に関するものである。これは、基板上にゲート電極と絶縁層を備え、絶縁層上部にソース及びドレインの金属電極を配置し、さらに活性層となる有機半導体材料が蒸着法又はスピンコート法等により形成される。このデバイスは、ゲート電圧を制御することにより、ソース・ドレイン間の電流を制御するものである。ところが、有機半導体は、電気抵抗が大きく、低キャリア移動度が低いため、大電流が流せないこと、動作速度が遅いこと等が欠点である。
そこで、最近では、静電誘導トランジスタ(SIT)として知られている埋め込み型ゲートトランジスタ構造を持つ縦型有機FETが工藤らにより提案されている(Synthetic Metals 102(1990)900)。また、この素子の製造方法も提案されている(特許第3403136号公報)。
また、有機半導体デバイスとして、基板上に下部電極、鉛フタロシアニン蒸着膜及び上部電極を順次形成してなるデバイスが提案されている(特開昭63−244678号公報)。
さらに、第1の電極層、半導体層及び第2の電極層が順次積層された半導体装置において、それらの層の一方の側壁に接するように垂直方向に立てて設けた第1の電気絶縁層及び第3の電極層を順次有することを特徴とする半導体装置が縦型電界効果トランジスタとして使用され得ることも提案されている(特開2003−110110号公報)。
これら縦型有機FETの有利な点は、ソース−ドレイン間のチャンネル長が膜厚方向であるため、横型に比べてチャンネル長を短くできる。このため、高速動作等の素子特性を大幅に向上させることができる。また、有機ELに使用されている発光材料等を積層できるため、フレキシブルディスプレイが容易にかつ低コストで製造できる。
縦型有機FETの特注をさらに向上させようとする場合、有機半導体からなる活性層の分子配向が重要になる。例えば、フタロシアニン系材料を蒸着法により製膜したとき、通常は分子は基板に対して平行に配向(成長)するため、横型FETではソース・ドレイン間でπ電子の重なりが形成でき、ゲート電極により伝導チャンネルの形成、制御が可能となる。
しかしながら、横型をそのまま縦型に変更すれば、前記のように分子配向は基板に対して平行であるため、すなわちソース及びドレイン間を結ぶ直線に対して垂直になる。この構造は、縦型有機FETにとって、キャリア移動度の低下、動作速度の低下を引き起こす原因になり、その対策が望まれている。
従って、本発明の主な目的は、優れたキャリア移動度、動作速度等を有する縦型有機FETを提供することにある。
すなわち、本発明は、下記の縦型有機FET及びその製造方法に係るものである。
1. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている、縦型有機FET。
2. 前記平行状態として、前記分子面と基板面とのなす角度が0度以上45度以下の範囲内となるように、前記化合物が積層されている前記項1に記載の縦型有機FET。
3. CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、
強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる前記項1に記載の縦型有機FET。
4. CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、
強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が25.5°以上27.5°以下の領域に現れる前記項1に記載の縦型有機FET。
5. 前記中心原子が、4価の元素である前記項1に記載の縦型有機FET。
6. 前記中心原子が、Si、Ge又はSnである前記項1に記載の縦型有機FET。
7. 前記フタロシアニン系化合物が、下記一般式で示される前記項1に記載の縦型有機FET:
Figure 2005020342
ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
8. 導電性部材が、金属、金属酸化物及びケイ素の少なくとも1種である前記項1に記載の縦型有機FET。
9. ソース電極層、ドレイン電極層及び活性層からなる積層体の側面に、前記3層に接するように絶縁層が設けられ、前記絶縁層により前記3層から絶縁されるようにゲート電極が形成されている前記項1に記載の縦型有機FET。
10. ソース電極層及びドレイン電極層の間に活性層及びゲート電極が介在し、前記活性層及びゲート電極が互いに接するように設けられている前記項1に記載の縦型有機FET。
11. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる、縦型有機FET。
12. 前記回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が25.5°以上27.5°以下の領域に現れる前記項11に記載の縦型有機FET。
13. 前記中心原子が、4価の元素である前記項11に記載の縦型有機FET。
14. 前記中心原子が、Si、Ge又はSnである前記項11に記載の縦型有機FET。
15. 前記フタロシアニン系化合物が、下記一般式で示される前記項11に記載の縦型有機FET:
Figure 2005020342
ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
16. 導電性部材が、金属、金属酸化物及びケイ素の少なくとも1種である前記項11に記載の縦型有機FET。
17. ソース電極層、ドレイン電極層及び活性層からなる積層体の側面に、前記3層に接するように絶縁層が設けられ、前記絶縁層により前記3層から絶縁されるようにゲート電極が形成されている前記項11に記載の縦型有機FET。
18. ソース電極層及びドレイン電極層の間に活性層及びゲート電極が介在し、前記活性層及びゲート電極が互いに接するように設けられている前記項11に記載の縦型有機FET。
19. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられている縦型有機FETを製造する方法であって、
中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物を用いて前記活性層を形成する工程を有する、
ことを特徴とする縦型有機FETの製造方法。
20. 前記中心原子が、4価の元素である前記項19に記載の製造方法。
21. 前記中心原子が、Si、Ge又はSnである前記項19に記載の製造方法。
22. 前記フタロシアニン系化合物が、下記一般式で示される前記項19に記載の製造方法:
Figure 2005020342
ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
23. 前記フタロシアニン系化合物を用いて気相法により活性層を形成する前記項19に記載の製造方法。
24. 縦型有機FETが、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている、前記項19に記載の製造方法。
25. 縦型有機FETが、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる、前記項19に記載の製造方法。
図1は、本発明の実施の形態に係る縦型有機FETの断面模式図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る分子配向の模式図である。、(a)は、分子面が基板にほぼ垂直の模式図を示す。(b)は、本発明の分子面が基板にほぼ平行の模式図を示す。
図3は、SnCl−Pc薄膜のCuKα線を用いたX線回折パターンプロファイルを示す図である。
図4は、CuPc薄膜のCuKα線を用いたX線回折パターンプロファイルを示す図である。
図5は、本発明の実施の形態に係る縦型有機FETのゲート絶縁型構造の断面模式図である。
図6は、本発明の実施例に係る縦型有機FETの構造模式図である。(a)は、上面から見た縦型有機FETの構造模式図を示す。(b)は、縦型有機FETの断面構造模式図を示す。
符号の説明
1…基板
2…ソース電極層
3…ドレイン電極層
4…ゲート電極
5…活性層
6…保護層
7…絶縁層
10…基板
20…ソース電極層
30…ドレイン電極層
40…ゲート電極
50…活性層
1.縦型有機FET
本発明の縦型有機FETは、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されていることを特徴とする。
本発明の縦型有機FETの基本構成は、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられている。これらのレイアウトは、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層の順で配置されていれば特に限定されない。例えば、基板/ソース電極層/活性層/ドレイン電極層、基板/ドレイン電極層/活性層/ソース電極層のいずれのパターンであっても良い。
本発明の縦型有機FETでは、ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に設けられている。換言すれば、ソース電極層−ドレイン電極層を流れる電流が基板面に対して垂直に流れるように設計されている。
ゲート電極4の形状、配置等は限定されず、FETのタイプに応じて適宜決定することができる。特に、本発明では、縦型有機FETはショットキーゲート型及び絶縁ゲート型のいずれも採用することができる。従って、ゲート電極4は基板面に対して垂直に設けても良いし、あるいはメッシュ状に穴があいたシート状のゲート電極を活性層に挿入した構成としても良い。
より具体的には、ショットキーゲート型は、図1に示すように、ゲート電極4と活性層5とがショットキー接合しているタイプである。図1では、基板1の上部にソース電極層2とドレイン電極層3とからなる一対の平行電極層間にゲート電極4及び活性層5が充填、製膜されている。また、その上部に保護層6を備えても良い。特に、図1のように、ソース電極層2とドレイン電極層3は、ともに基板1と実質的に平行になるように配置されていることが望ましい。
また、絶縁ゲート型は、図5に示すように、基板1の上部にソース電極層2、活性層5、ドレイン電極層3が順次積層され、その側壁に接した絶縁層7を備え、さらに絶縁層7の側壁にゲート電極4を備えた構成である。この場合も、図5のように、ソース電極層2とドレイン電極層3は、ともに基板1と実質的に平行になるように配置されていることが望ましい。
基板1の材質としては、例えば非ドープシリコン、高濃度ドープシリコン、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、使用目的等に応じて適宜選択すれば良い。
ソース電極層2、ドレイン電極層3及びゲート電極4に使用する材料としては、限定的ではないが、特に導電性部材を好適に用いることができる。例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、チタン、モリブデン、マグネシウム、リチウム、パラジウム、コバルト、錫、ニッケル、インジウム、タングステン、ルテニウム等の金属が挙げられ、これらを単独又は2種以上(例えば合金)として使用できることができる。また、ポリシリコン、アモルファスシリコン等のケイ素、錫酸化物、酸化インジウム、錫酸化物等の金属酸化物等も選択できる。
これらの電極2〜4の膜厚は、縦型有機FETの所望の特性等に応じて適宜設定することができるが、一般的には10nm以上200nm以下の範囲とすることが望ましい。また、必要に応じて設けられる絶縁層の膜厚は、一般的には10nm以上200nm以下の範囲とすることが望ましい。また、保護層の膜厚は、100nm以上10μm以下の範囲とすることが望ましい。
活性層5は、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成される。すなわち、活性層は、フタロシアニンの中心部の2つの水素原子を上記原子で置換され、かつ、配位子が2つ配位した化合物(錯体)により形成される。
4価の元素としては、例えばSi、Ge、Sn、Pb、Pd、Ti、Mn、Tc、Ir、Rh等が挙げられる。6価の元素としては、例えばMn、Re、Cr、Mo、W、Te等が挙げられる。これらの元素の中でも、4価の元素が好ましく、特にSi、Ge又はSnがより好ましい。
配位子X及びXは、前記(4)の平行状態を維持できる限り、特に制限されず、例えばハロゲン(F、Cl、Br、I等)、フェニル基、アルキル基(メチル基、エチル基等)、カルボニル(CO)、シアノ(CN)、アンミン(NH)等が挙げられる。この中でも、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基が好ましい。また、X及びXは、互いに同一でも良いし、異なっていても良い。
上記フタロシアニン系化合物は、ポルフィリン骨格を有する錯体であり、上記元素を中心にもつものであれば限定されない。例えば、下記一般式で示される化合物が有機半導体として好適に用いることができる。
Figure 2005020342
ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
前記置換基は、後記に示すような積層構造を形成できるものであれば限定されず、電子吸引基又は電子供与基から適宜選択することができる。例えば、直鎖型又は分岐型のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アルキニル基、アルケニル基、置換されていても良いアリール基、アリル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトシキ基等)、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アミノアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基、置換されていても良い3員環以上の複素環、フェニル基、ハロゲン、メルカプト基等が挙げられる。
本発明では、特に、R〜Rとして水素又は炭素数5以下のアルキル基が好ましい。
置換数nは、一般的には0以上4以下の整数である。また、Mは、Si、Ge又はSnを示す。X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
これらのフタロシアニン系化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。特に、分子面の配向という点では、1種を用いることが望ましい。なお、本明細書においては、フタロシアニンを「Pc」と記述することがある。
活性層は、前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている。特に、基板面、ソース電極層及びドレイン電極層が互いに実質的に平行であって、かつ、これらと前記分子面とが平行状態に保たれていることが望ましい。
本発明における平行状態とは、前記分子面とソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方とのなす角度が0度以上45度以下(好ましくは0度以上21度以下)の範囲内となることを意味する。
なお、上記角度は、ソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方からみて時計回り又はその反対方向のいずれでも良い。換言すれば、上記角度は±0度以上±45度以下、好ましくは±0度以上±21度以下とすれば良い。
図2には、基板に対する分子の配向を模式的に示す。図2(a)は分子面が基板面にほぼ垂直に配置(積層)した状態を示す。図2(b)は、分子面が基板面に対して平行状態に積層した状態(本発明)を示す。
なお、図2は、基板面に対する分子の位置関係を示すものであるが、これは前記分子面とソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方との位置関係にも当てはまるものである(以下同じ)。
本発明において、分子面が基板面あるいはソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態にあることは、X線回折により確認することができる。すなわち、CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上(好ましくは25.5°以上27.5°以下)の領域に現れる。
例えば、銅フタロシアニン(CuPc)に代表されるようにフタロシアニン系化合物を基板上に製膜した薄膜の分子配向は、通常、基板面に対して分子面がほぼ垂直に配向し、X線回折パターンでは低角(2θ≦10°)に強い回折ピークが観測される。これより導き出される面間隔dは、1.00〜1.34nmである。すなわち、フタロシアニン分子の直径が約1.34nm程度であることから、分子面が基板面に対してほぼ垂直に配向していることがわかる。
これに対し、本発明のフタロシアニン系化合物では、CuKα線のX線回折パターンのブラック角(2θ)が25.5°〜27.5°の位置に回折ピークを示すことから、分子の面間隔(d)が約0.32〜0.35nmである。このことは、フタロシアニン分子の分子面は基板面に対して垂直に配向しているのではなく、ほぼ平行(基板面と分子面とのなす角度が0度以上45度以下)に配向していると判断することができる。これにより、基板面に対して垂直方向にπ電子の重なりが生じる分子配向を実現できる結果、高いキャリア移動度等を発揮する縦型有機FETを提供することができる。
より具体的には、図3には、本発明の塩化スズフタロシアニンをSiO基板上に製膜したX線回折パターンを示す(ブラック角度2θ=26.6°)。図4には、比較例としてSiO基板上の銅フタロシアニン薄膜の(CuPc)のX線回折パターンを示す。図4では、ブラック角度2θ=6.8°(面間隔d=1.28nm)のピークが最大であり、基板面に対して分子面がほぼ垂直に配置されていることが明らかである。ただし、2θ≒22°付近のブロードなピークは、下地のSiO基板のピークである。
なお、前記の特開昭63−244678号公報の図4及び図5には、鉛フタロシアニン蒸着膜の分子面が基板面に平行に配列している図が示されている。しかし、鉛フタロシアニン蒸着膜は、1)X線回折分析によれば、表面付近では三斜晶が単斜晶よりも優位に成長していることが蒸着膜全体に分布してこと、2)電子顕微鏡観察によれば、単斜晶蒸着膜は膜厚方向で不均一な構造を示すことが報告されている(「バイオ素子研究開発プロジェクト」財団法人新機能素子研究開発協会(1996))。このように、特開昭63−244678号公報の図4及び図5の構造は、のちの研究により正確なものでないことが実証されている。従って、前記公報の有機半導体の実体的な構造は、本発明の活性層と異なる。
また、特開平8−260146号公報には、フタロシアニン環の中心原子としてレニウム原子を用いて、このレニウム原子に窒素原子を3重結合させたニトリドレニウムフタロシアニン分子をその分子面に垂直な方向に積み重ねた構造からなる薄膜が開示されている。
この公報(特にその第3欄第3行目〜第18行目)によれば、フタロシアニン環をその分子面に垂直な方向に積み重ねることができる限り基板は何でもよいと開示されているが、実際には、フタロシアニン環をその分子面に垂直な方向に積み重ねるためには、フタロシアニン環と基板との相互作用が必要になるため、基板としてはNaClのようなアルカリハライド基板を用いることが好ましいと記載されている。また、この公報には、NaClのようなアルカリハライド基板以外の基板であって、フタロシアニン環をその分子面に垂直な方向に積み重ねることができる基板は例示されていない。従って、この公報を参照した場合、基板としてはNaClのようなアルカリハライド基板を用いてフタロシアニン環をその分子面に垂直な方向に積み重ねることになるが、NaClのようなアルカリハライド基板は絶縁性であるため、この公報を参照しても、ソース電極層のような導電性部材の上にフタロシアニン分子を積層することができない。
また、本発明者らは、フタロシアニン環の分子面の上下方向にそれぞれ配位する配位子XおよびXの存在が、フタロシアニン環をその分子面に垂直な方向に積み重ねるために必須であることを見出して本発明を完成させているが、特開平8−260146号公報には、フタロシアニン環の分子面の上方向にのみ1つのN原子を3重結合を介して有していることを開示しているのみである。従って、特開平8−260146号公報には、本発明を完成させるために必要な、フタロシアニン環の分子面の上下方向にそれぞれ配位する配位子XおよびXの存在が開示されていないので、特開平8−260146号公報を参照しても、本発明を完成させることは非常に困難である。
活性層の膜厚は、活性層の組成、特性等に応じて適宜決定することができるが、通常は10nm以上200nm以下、特に30nm以上100nm以下の範囲に設定することが望ましい。
本発明の縦型有機FETでは、前記のように絶縁ゲート型である場合等は、絶縁層7を設ければ良い。絶縁層7に用いる材料は、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、アルミナ等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリクロロピレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリメチルメタクリレート等の有機材料から適宜選択すれば良い。
さらに、本発明の縦型有機FETでは、傷や汚れから保護したり、保存安定性を高めるために、必要に応じて保護層6を設けることもできる。保護層6としては、例えば酸化ケイ素等の無機材料、ポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族系炭化水素樹脂系、天然ゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融樹脂等の有機材料を用いることができる。保護層6には、必要に応じて、難燃剤、安定剤、帯電防止剤等を添加することができ、熱硬化性樹脂、光硬化性樹等脂等であっても良い。
また、本発明では、ソース電極層及びドレイン電極層と活性層の間に良好なコンタクトを得るために、必要に応じて電子輸送材料、ホール輸送材料、FLiAl等のバッファー層を設けても良い。
2.縦型有機FETの製造方法
本発明は、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられている縦型有機FETを製造する方法であって、
中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物を用いて前記活性層を形成する工程を有する、
ことを特徴とする縦型有機FETの製造方法を包含する。
本発明の製造方法は、あらゆる構造(積層構造)又はあらゆるタイプの縦型有機FETの製造に適している。特に、本発明の縦型有機FETの製造に好適である。とりわけ、1)ソース電極層、ドレイン電極層及び活性層からなる積層体の側面に、前記3層に接するように絶縁層が設けられ、前記絶縁層により前記3層から絶縁されるようにゲート電極が形成されている縦型有機FET(絶縁ゲート型)、2)ソース電極層及びドレイン電極層の間に活性層及びゲート電極が介在し、前記活性層及びゲート電極が互いに接するように設けられている縦型有機FET(ショットキーゲート型)等の製造に最適である。
本発明の製造方法は、特に活性層の形成に中心原子として4価又は6価の元素をもつフタロシアニン系化合物を用いることに特徴を有する。前記フタロシアニン系化合物は、前記1.で示したものを好ましく用いることができる。
フタロシアニン系化合物による活性層の形成は、有機材料の昇華、蒸発等の物性を利用した方法(具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の気相法)のほか、塗布法等の液相法によっても形成することができる。特に、本発明の製造方法では、フタロシアニン系化合物を用いて気相法により活性層を形成することが望ましい。
気相法(特に蒸着)による場合の条件は用いるフタロシアニン系化合物の種類等により異なるが、一般的には、基板温度20℃以上100℃以下、蒸着速度(膜厚増加速度)は0.01nm/秒以上1nm/秒以下、雰囲気は真空(真空度1×10−6Pa以上8×10−3Pa以下)となるように設定すれば良い。
なお、気相法による場合は、前記記載のフタロシアニン系化合物の薄膜の結晶系、配向性は蒸着速度、基板温度等の蒸着条件に依存するので、フタロシアニン薄膜の作製時には、目的とする特性を得るための薄膜作製条件の最適化を適宜行えば良い。例えば、Thin solid Films,256(1995)64−67等に報告されているように、基板温度が100℃以上では三斜晶系の薄膜が成長し、また室温では単斜晶系のPbPc薄膜が成長し、これらの吸収スペクトルはそれぞれのフタロシアニン分子の配向性の違いにより異なる。
本発明の製造方法では、活性層の形成に前記フタロシアニン系化合物を用いるほかは、公知の縦型有機FETの製造法に従って実施することができる。従って、各電極2〜4の形成は、例えばスパッタ法、真空蒸着法、メッキ法等により適宜形成することができる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子又は導電性オリゴマーを塗布法、電界重合法等により形成することも可能である。
発明の効果
本発明によれば、特定のフタロシアニン系化合物により活性層が形成されていることから、活性層を構成するフタロシアニン系化合物におけるπ電子の重なりが縦方向(すなわち、基板面に対して垂直方向)に形成でされるため、縦型有機FETとしてもソース電極層−ドレイン電極層間のキャリア移動度、動作特性の向上を図ることができる。
本発明の縦型有機FETは、例えばスイッチング素子、発光ダイオード、非線形光デバイス、電界効果トランジスタ等の各種電子デバイスに幅広く用いることができる。
以下に、実施例を示し、本発明の特徴をより詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
本発明の実験例を図6に示す。石英基板10を用い、この上にソース電極層20として金を真空蒸着法により1mm幅で厚みが80nmとなるように製膜した。次に、活性層50となる有機化合物(SnCl−Pc)を蒸着速度:0.1nm/s、基板温度:室温、真空度:10−4Paの条件下で厚み100nmに製膜した。次いで、ゲート電極40として、Alを用い、真空蒸着法により30μm間隔で厚みが50nmとなるように製膜し、大気中に暴露した。その後、活性層50を再び前述の条件と同様に100nm製膜し、この上部にドレイン電極層30となる金を80nm蒸着し、縦型有機FETを作製した。FET特性の評価は不活性雰囲気下で行い、ゲート電圧印加によりソース、ドレイン電流が変調され、FET動作が確認された。
また、比較のために、横型有機FETを真空蒸着法により同様に作製した。基板はシリコン基板を用い、この基板上部にSiOをプラズマCVD法を用いて絶縁層とし、この上部にソース電極層及びドレイン電極層の金を500μm間隔で作製し、さらに、その上部に活性層となるSnCl−Pcを前述の条件と同様に製膜し、横型有機FETを作製した。この横型有機FETを評価したところ、数十ボルトのゲート電圧印加ではソース、ドレイン電流の変調がほとんど見られず、本発明の分子配向が縦型有機FETに有効であることが確認された。
また、活性層を構成する材料として前述の有機化合物(SnCl−Pc)のほかに、SnBr−Pc、SnI−Pc、SnPh−Pc、MeSiCl−Pcについてそれぞれ真空蒸着法により製膜し、同様の縦型有機FETを作製した上で動作評価を行った。いずれもゲート電圧によりソース、ドレイン電流が変調された。
さらに、同時に石英基板上に製膜されたそれぞれの活性層のX線回折パターンも評価した。X線回折のピークは、それぞれSnBr−Pc(2θ=27.1°)、SnI−Pc(2θ=27.0°)、SnPh−Pc(2θ=26.4°)、MeSiCl−Pc(2θ=26.0°)、SnCl−Pc(2θ=26.6°)であった。
以上のように本発明の縦型有機FETは、縦型に対応した分子の配向を制御する事によりを動作速度に優れ、また、容易に低コストで量産性に優れた素子が提供できる。
【書類名】 明細書
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な縦型有機FET及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機半導体材料は、発光ダイオード、非線形光デバイス、電界効果トランジスタ等の様々なデバイスの活性層としての使用が研究されている。
【0003】
有機半導体材料は、加工性に優れるがゆえに製造装置の簡素化及び低コスト化を図ることができる。さらに、有機半導体材料は、柔軟なプラスチック基板上にもアモルファスシリコン等よりも簡単に積層できることも大きな利点である。
【0004】
従来、有機半導体材料を用いたFETの研究の多くは横型に関するものである。これは、基板上にゲート電極と絶縁層を備え、絶縁層上部にソース及びドレインの金属電極を配置し、さらに活性層となる有機半導体材料が蒸着法又はスピンコート法等により形成される。このデバイスは、ゲート電圧を制御することにより、ソース・ドレイン間の電流を制御するものである。ところが、有機半導体は、電気抵抗が大きく、低キャリア移動度が低いため、大電流が流せないこと、動作速度が遅いこと等が欠点である。
【0005】
そこで、最近では、静電誘導トランジスタ(SIT)として知られている埋め込み型ゲートトランジスタ構造を持つ縦型有機FETが工藤らにより提案されている(Synthetic Metals 102(1990)900)。また、この素子の製造方法も提案されている(特許第3403136号公報)。
【0006】
また、有機半導体デバイスとして、基板上に下部電極、鉛フタロシアニン蒸着膜及び上部電極を順次形成してなるデバイスが提案されている(特開昭63−244678号公報)。
【0007】
さらに、第1の電極層、半導体層及び第2の電極層が順次積層された半導体装置において、それらの層の一方の側壁に接するように垂直方向に立てて設けた第1の電気絶縁層及び第3の電極層を順次有することを特徴とする半導体装置が縦型電界効果トランジスタとして使用され得ることも提案されている(特開2003−110110号公報)。
【0008】
これら縦型有機FETの有利な点は、ソース−ドレイン間のチャンネル長が膜厚方向であるため、横型に比べてチャンネル長を短くできる。このため、高速動作等の素子特性を大幅に向上させることができる。また、有機ELに使用されている発光材料等を積層できるため、フレキシブルディスプレイが容易にかつ低コストで製造できる。
【発明の開示】
縦型有機FETの特性をさらに向上させようとする場合、有機半導体からなる活性層の分子配向が重要になる。例えば、フタロシアニン系材料を蒸着法により製膜したとき、通常は分子は基板に対して平行に配向(成長)するため、横型FETではソース・ドレイン間でπ電子の重なりが形成でき、ゲート電極により伝導チャンネルの形成、制御が可能となる。
【0009】
しかしながら、横型をそのまま縦型に変更すれば、前記のように分子配向は基板に対して平行であるため、すなわちソース及びドレイン間を結ぶ直線に対して垂直になる。この構造は、縦型有機FETにとって、キャリア移動度の低下、動作速度の低下を引き起こす原因になり、その対策が望まれている。
【0010】
従って、本発明の主な目的は、優れたキャリア移動度、動作速度等を有する縦型有機FETを提供することにある。
【0011】
すなわち、本発明は、下記の縦型有機FET及びその製造方法に係るものである。
【0012】
1. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている、縦型有機FET。
2. 前記平行状態として、前記分子面と基板面とのなす角度が0度以上45度以下の範囲内となるように、前記化合物が積層されている前記項1に記載の縦型有機FET。
3. CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、
強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる前記項1に記載の縦型有機FET。
4. CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、
強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が25.5°以上27.5°以下の領域に現れる前記項1に記載の縦型有機FET。
5. 前記中心原子が、4価の元素である前記項1に記載の縦型有機FET。
6. 前記中心原子が、Si、Ge又はSnである前記項1に記載の縦型有機FET。
7. 前記フタロシアニン系化合物が、下記一般式で示される前記項1に記載の縦型有機FET:
【化1】
Figure 2005020342
ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
8. 導電性部材が、金属、金属酸化物及びケイ素の少なくとも1種である前記項1に記載の縦型有機FET。
9. ソース電極層、ドレイン電極層及び活性層からなる積層体の側面に、前記3層に接するように絶縁層が設けられ、前記絶縁層により前記3層から絶縁されるようにゲート電極が形成されている前記項1に記載の縦型有機FET。
10. ソース電極層及びドレイン電極層の間に活性層及びゲート電極が介在し、前記活性層及びゲート電極が互いに接するように設けられている前記項1に記載の縦型有機FET。
11. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる、縦型有機FET。
12. 前記回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が25.5°以上27.5°以下の領域に現れる前記項11に記載の縦型有機FET。
13. 前記中心原子が、4価の元素である前記項11に記載の縦型有機FET。
14. 前記中心原子が、Si、Ge又はSnである前記項11に記載の縦型有機FET。
15. 前記フタロシアニン系化合物が、下記一般式で示される前記項11に記載の縦型有機FET:
【化2】
Figure 2005020342
ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
16. 導電性部材が、金属、金属酸化物及びケイ素の少なくとも1種である前記項11に記載の縦型有機FET。
17. ソース電極層、ドレイン電極層及び活性層からなる積層体の側面に、前記3層に接するように絶縁層が設けられ、前記絶縁層により前記3層から絶縁されるようにゲート電極が形成されている前記項11に記載の縦型有機FET。
18. ソース電極層及びドレイン電極層の間に活性層及びゲート電極が介在し、前記活性層及びゲート電極が互いに接するように設けられている前記項11に記載の縦型有機FET。
19. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられている縦型有機FETを製造する方法であって、
中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物を用いて前記活性層を形成する工程を有する、
ことを特徴とする縦型有機FETの製造方法。
20. 前記中心原子が、4価の元素である前記項19に記載の製造方法。
21. 前記中心原子が、Si、Ge又はSnである前記項19に記載の製造方法。
22. 前記フタロシアニン系化合物が、下記一般式で示される前記項19に記載の製造方法:
【化3】
Figure 2005020342
ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
23. 前記フタロシアニン系化合物を用いて気相法により活性層を形成する前記項19に記載の製造方法。
24. 縦型有機FETが、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている、前記項19に記載の製造方法。
25. 縦型有機FETが、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる、前記項19に記載の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る縦型有機FETの断面模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る分子配向の模式図である。、(a)は、分子面が基板にほぼ垂直の模式図を示す。(b)は、本発明の分子面が基板にほぼ平行の模式図を示す。
【図3】SnCl2−Pc薄膜のCuKα線を用いたX線回折パターンプロファイルを示す図である。
【図4】CuPc薄膜のCuKα線を用いたX線回折パターンプロファイルを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る縦型有機FETのゲート絶縁型構造の断面模式図である。
【図6】本発明の実施例に係る縦型有機FETの構造模式図である。(a)は、上面から見た縦型有機FETの構造模式図を示す。(b)は、縦型有機FETの断面構造模式図を示す。
【符号の説明】
【0014】
1…基板
2…ソース電極層
3…ドレイン電極層
4…ゲート電極
5…活性層
6…保護層
7…絶縁層
10…基板
20…ソース電極層
30…ドレイン電極層
40…ゲート電極
50…活性層
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
1.縦型有機FET
本発明の縦型有機FETは、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の縦型有機FETの基本構成は、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられている。これらのレイアウトは、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層の順で配置されていれば特に限定されない。例えば、基板/ソース電極層/活性層/ドレイン電極層、基板/ドレイン電極層/活性層/ソース電極層のいずれのパターンであっても良い。
【0017】
本発明の縦型有機FETでは、ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に設けられている。換言すれば、ソース電極層−ドレイン電極層を流れる電流が基板面に対して垂直に流れるように設計されている。
【0018】
ゲート電極4の形状、配置等は限定されず、FETのタイプに応じて適宜決定することができる。特に、本発明では、縦型有機FETはショットキーゲート型及び絶縁ゲート型のいずれも採用することができる。従って、ゲート電極4は基板面に対して垂直に設けても良いし、あるいはメッシュ状に穴があいたシート状のゲート電極を活性層に挿入した構成としても良い。
【0019】
より具体的には、ショットキーゲート型は、図1に示すように、ゲート電極4と活性層5とがショットキー接合しているタイプである。図1では、基板1の上部にソース電極層2とドレイン電極層3とからなる一対の平行電極層間にゲート電極4及び活性層5が充填、製膜されている。また、その上部に保護層6を備えても良い。特に、図1のように、ソース電極層2とドレイン電極層3は、ともに基板1と実質的に平行になるように配置されていることが望ましい。
【0020】
また、絶縁ゲート型は、図5に示すように、基板1の上部にソース電極層2、活性層5、ドレイン電極層3が順次積層され、その側壁に接した絶縁層7を備え、さらに絶縁層7の側壁にゲート電極4を備えた構成である。この場合も、図5のように、ソース電極層2とドレイン電極層3は、ともに基板1と実質的に平行になるように配置されていることが望ましい。
【0021】
基板1の材質としては、例えば非ドープシリコン、高濃度ドープシリコン、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、使用目的等に応じて適宜選択すれば良い。
【0022】
ソース電極層2、ドレイン電極層3及びゲート電極4に使用する材料としては、限定的ではないが、特に導電性部材を好適に用いることができる。例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、チタン、モリブデン、マグネシウム、リチウム、パラジウム、コバルト、錫、ニッケル、インジウム、タングステン、ルテニウム等の金属が挙げられ、これらを単独又は2種以上(例えば合金)として使用できることができる。また、ポリシリコン、アモルファスシリコン等のケイ素、錫酸化物、酸化インジウム、錫酸化物等の金属酸化物等も選択できる。
【0023】
これらの電極2〜4の膜厚は、縦型有機FETの所望の特性等に応じて適宜設定することができるが、一般的には10nm以上200nm以下の範囲とすることが望ましい。また、必要に応じて設けられる絶縁層の膜厚は、一般的には10nm以上200nm以下の範囲とすることが望ましい。また、保護層の膜厚は、100nm以上10μm以下の範囲とすることが望ましい。
【0024】
活性層5は、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成される。すなわち、活性層は、フタロシアニンの中心部の2つの水素原子を上記原子で置換され、かつ、配位子が2つ配位した化合物(錯体)により形成される。
【0025】
4価の元素としては、例えばSi、Ge、Sn、Pb、Pd、Ti、Mn、Tc、Ir、Rh等が挙げられる。6価の元素としては、例えばMn、Re、Cr、Mo、W、Te等が挙げられる。これらの元素の中でも、4価の元素が好ましく、特にSi、Ge又はSnがより好ましい。
【0026】
配位子X及びXは、前記(4)の平行状態を維持できる限り、特に制限されず、例えばハロゲン(F、Cl、Br、I等)、フェニル基、アルキル基(メチル基、エチル基等)、カルボニル(CO)、シアノ(CN)、アンミン(NH)等が挙げられる。この中でも、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基が好ましい。また、X及びXは、互いに同一でも良いし、異なっていても良い。
【0027】
上記フタロシアニン系化合物は、ポルフィリン骨格を有する錯体であり、上記元素を中心にもつものであれば限定されない。例えば、下記一般式で示される化合物が有機半導体として好適に用いることができる。
【0028】
【化4】
Figure 2005020342
ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
【0029】
前記置換基は、後記に示すような積層構造を形成できるものであれば限定されず、電子吸引基又は電子供与基から適宜選択することができる。例えば、直鎖型又は分岐型のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アルキニル基、アルケニル基、置換されていても良いアリール基、アリル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトシキ基等)、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アミノアルキル基、シアノ基、シアノアルキル基、置換されていても良い3員環以上の複素環、フェニル基、ハロゲン、メルカプト基等が挙げられる。
【0030】
本発明では、特に、R〜Rとして水素又は炭素数5以下のアルキル基が好ましい。
【0031】
置換数nは、一般的には0以上4以下の整数である。また、Mは、Si、Ge又はSnを示す。X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
【0032】
これらのフタロシアニン系化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。特に、分子面の配向という点では、1種を用いることが望ましい。なお、本明細書においては、フタロシアニンを「Pc」と記述することがある。
【0033】
活性層は、前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている。特に、基板面、ソース電極層及びドレイン電極層が互いに実質的に平行であって、かつ、これらと前記分子面とが平行状態に保たれていることが望ましい。
【0034】
本発明における平行状態とは、前記分子面とソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方とのなす角度が0度以上45度以下(好ましくは0度以上21度以下)の範囲内となることを意味する。
【0035】
なお、上記角度は、ソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方からみて時計回り又はその反対方向のいずれでも良い。換言すれば、上記角度は±0度以上±45度以下、好ましくは±0度以上±21度以下とすれば良い。
【0036】
図2には、基板に対する分子の配向を模式的に示す。図2(a)は分子面が基板面にほぼ垂直に配置(積層)した状態を示す。図2(b)は、分子面が基板面に対して平行状態に積層した状態(本発明)を示す。
【0037】
なお、図2は、基板面に対する分子の位置関係を示すものであるが、これは前記分子面とソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方との位置関係にも当てはまるものである(以下同じ)。
【0038】
本発明において、分子面が基板面あるいはソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態にあることは、X線回折により確認することができる。すなわち、CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上(好ましくは25.5°以上27.5°以下)の領域に現れる。
【0039】
例えば、銅フタロシアニン(CuPc)に代表されるようにフタロシアニン系化合物を基板上に製膜した薄膜の分子配向は、通常、基板面に対して分子面がほぼ垂直に配向し、X線回折パターンでは低角(2θ≦10°)に強い回折ピークが観測される。これより導き出される面間隔dは、1.00〜1.34nmである。すなわち、フタロシアニン分子の直径が約1.34nm程度であることから、分子面が基板面に対してほぼ垂直に配向していることがわかる。
【0040】
これに対し、本発明のフタロシアニン系化合物では、CuKα線のX線回折パターンのブラック角(2θ)が25.5゜〜27.5°の位置に回折ピークを示すことから、分子の面間隔(d)が約0.32〜0.35nmである。このことは、フタロシアニン分子の分子面は基板面に対して垂直に配向しているのではなく、ほぼ平行(基板面と分子面とのなす角度が0度以上45度以下)に配向していると判断することができる。これにより、基板面に対して垂直方向にπ電子の重なりが生じる分子配向を実現できる結果、高いキャリア移動度等を発揮する縦型有機FETを提供することができる。
【0041】
より具体的には、図3には、本発明の塩化スズフタロシアニンをSiO基板上に製膜したX線回折パターンを示す(ブラック角度2θ=26.6°)。図4には、比較例としてSiO基板上の銅フタロシアニン薄膜の(CuPc)のX線回折パターンを示す。図4では、ブラック角度2θ=6.8°(面間隔d=1.28nm)のピークが最大であり、基板面に対して分子面がほぼ垂直に配置されていることが明らかである。ただし、2θ≒22°付近のブロードなピークは、下地のSiO基板のピークである。
【0042】
なお、前記の特開昭63−244678号公報の図4及び図5には、鉛フタロシアニン蒸着膜の分子面が基板面に平行に配列している図が示されている。しかし、鉛フタロシアニン蒸着膜は、1)X線回折分析によれば、表面付近では三斜晶が単斜晶よりも優位に成長していることが蒸着膜全体に分布してこと、2)電子顕微鏡観察によれば、単斜晶蒸着膜は膜厚方向で不均一な構造を示すことが報告されている(「バイオ素子研究開発プロジェクト」財団法人新機能素子研究開発協会(1996))。このように、特開昭63−244678号公報の図4及び図5の構造は、のちの研究により正確なものでないことが実証されている。従って、前記公報の有機半導体の実体的な構造は、本発明の活性層と異なる。
【0043】
また、特開平8−260146号公報には、フタロシアニン環の中心原子としてレニウム原子を用いて、このレニウム原子に窒素原子を3重結合させたニトリドレニウムフタロシアニン分子をその分子面に垂直な方向に積み重ねた構造からなる薄膜が開示されている。
【0044】
この公報(特にその第3欄第3行目〜第18行目)によれば、フタロシアニン環をその分子面に垂直な方向に積み重ねることができる限り基板は何でもよいと開示されているが、実際には、フタロシアニン環をその分子面に垂直な方向に積み重ねるためには、フタロシアニン環と基板との相互作用が必要になるため、基板としてはNaClのようなアルカリハライド基板を用いることが好ましいと記載されている。また、この公報には、NaClのようなアルカリハライド基板以外の基板であって、フタロシアニン環をその分子面に垂直な方向に積み重ねることができる基板は例示されていない。従って、この公報を参照した場合、基板としてはNaClのようなアルカリハライド基板を用いてフタロシアニン環をその分子面に垂直な方向に積み重ねることになるが、NaClのようなアルカリハライド基板は絶縁性であるため、この公報を参照しても、ソース電極層のような導電性部材の上にフタロシアニン分子を積層することができない。
【0045】
また、本発明者らは、フタロシアニン環の分子面の上下方向にそれぞれ配位する配位子XおよびXの存在が、フタロシアニン環をその分子面に垂直な方向に積み重ねるために必須であることを見出して本発明を完成させているが、特開平8−260146号公報には、フタロシアニン環の分子面の上方向にのみ1つのN原子を3重結合を介して有していることを開示しているのみである。従って、特開平8−260146号公報には、本発明を完成させるために必要な、フタロシアニン環の分子面の上下方向にそれぞれ配位する配位子XおよびXの存在が開示されていないので、特開平8−260146号公報を参照しても、本発明を完成させることは非常に困難である。
【0046】
活性層の膜厚は、活性層の組成、特性等に応じて適宜決定することができるが、通常は10nm以上200nm以下、特に30nm以上100nm以下の範囲に設定することが望ましい。
【0047】
本発明の縦型有機FETでは、前記のように絶縁ゲート型である場合等は、絶縁層7を設ければ良い。絶縁層7に用いる材料は、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、アルミナ等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリクロロピレン、ポリビニルクロライド、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリサルフォン、ポリメチルメタクリレート等の有機材料から適宜選択すれば良い。
【0048】
さらに、本発明の縦型有機FETでは、傷や汚れから保護したり、保存安定性を高めるために、必要に応じて保護層6を設けることもできる。保護層6としては、例えば酸化ケイ素等の無機材料、ポリメチルアクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族系炭化水素樹脂系、天然ゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融樹脂等の有機材料を用いることができる。保護層6には、必要に応じて、難燃剤、安定剤、帯電防止剤等を添加することができ、熱硬化性樹脂、光硬化性樹等脂等であっても良い。
【0049】
また、本発明では、ソース電極層及びドレイン電極層と活性層の間に良好なコンタクトを得るために、必要に応じて電子輸送材料、ホール輸送材料、FLiAl等のバッファー層を設けても良い。
【0050】
2.縦型有機FETの製造方法
本発明は、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられている縦型有機FETを製造する方法であって、
中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物を用いて前記活性層を形成する工程を有する、
ことを特徴とする縦型有機FETの製造方法を包含する。
【0051】
本発明の製造方法は、あらゆる構造(積層構造)又はあらゆるタイプの縦型有機FETの製造に適している。特に、本発明の縦型有機FETの製造に好適である。とりわけ、1)ソース電極層、ドレイン電極層及び活性層からなる積層体の側面に、前記3層に接するように絶縁層が設けられ、前記絶縁層により前記3層から絶縁されるようにゲート電極が形成されている縦型有機FET(絶縁ゲート型)、2)ソース電極層及びドレイン電極層の間に活性層及びゲート電極が介在し、前記活性層及びゲート電極が互いに接するように設けられている縦型有機FET(ショットキーゲート型)等の製造に最適である。
【0052】
本発明の製造方法は、特に活性層の形成に中心原子として4価又は6価の元素をもつフタロシアニン系化合物を用いることに特徴を有する。前記フタロシアニン系化合物は、前記1.で示したものを好ましく用いることができる。
【0053】
フタロシアニン系化合物による活性層の形成は、有機材料の昇華、蒸発等の物性を利用した方法(具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法等の気相法)のほか、塗布法等の液相法によっても形成することができる。特に、本発明の製造方法では、フタロシアニン系化合物を用いて気相法により活性層を形成することが望ましい。
【0054】
気相法(特に蒸着)による場合の条件は用いるフタロシアニン系化合物の種類等により異なるが、一般的には、基板温度20℃以上100℃以下、蒸着速度(膜厚増加速度)は0.01nm/秒以上1nm/秒以下、雰囲気は真空(真空度1×10−6Pa以上8×10−3Pa以下)となるように設定すれば良い。
【0055】
なお、気相法による場合は、前記記載のフタロシアニン系化合物の薄膜の結晶系、配向性は蒸着速度、基板温度等の蒸着条件に依存するので、フタロシアニン薄膜の作製時には、目的とする特性を得るための薄膜作製条件の最適化を適宜行えば良い。例えば、Thin solid Films,256(1995)64−67等に報告されているように、基板温度が100℃以上では三斜晶系の薄膜が成長し、また室温では単斜晶系のPbPc薄膜が成長し、これらの吸収スペクトルはそれぞれのフタロシアニン分子の配向性の違いにより異なる。
【0056】
本発明の製造方法では、活性層の形成に前記フタロシアニン系化合物を用いるほかは、公知の縦型有機FETの製造法に従って実施することができる。従って、各電極2〜4の形成は、例えばスパッタ法、真空蒸着法、メッキ法等により適宜形成することができる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子又は導電性オリゴマーを塗布法、電界重合法等により形成することも可能である。
【発明の効果】
【0057】
本発明によれば、特定のフタロシアニン系化合物により活性層が形成されていることから、活性層を構成するフタロシアニン系化合物におけるπ電子の重なりが縦方向(すなわち、基板面に対して垂直方向)に形成でされるため、縦型有機FETとしてもソース電極層−ドレイン電極層間のキャリア移動度、動作特性の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の縦型有機FETは、例えばスイッチング素子、発光ダイオード、非線形光デバイス、電界効果トランジスタ等の各種電子デバイスに幅広く用いることができる。
【実施例】
【0059】
以下に、実施例を示し、本発明の特徴をより詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されるものではない。
実施例1
本発明の実験例を図6に示す。石英基板10を用い、この上にソース電極層20として金を真空蒸着法により1mm幅で厚みが80nmとなるように製膜した。次に、活性層50となる有機化合物(SnCl−Pc)を蒸着速度:0.1nm/s、基板温度:室温、真空度:10−4Paの条件下で厚み100nmに製膜した。次いで、ゲート電極40として、Alを用い、真空蒸着法により30μm間隔で厚みが50nmとなるように製膜し、大気中に暴露した。その後、活性層50を再び前述の条件と同様に100nm製膜し、この上部にドレイン電極層30となる金を80nm蒸着し、縦型有機FETを作製した。FET特性の評価は不活性雰囲気下で行い、ゲート電圧印加によりソース、ドレイン電流が変調され、FET動作が確認された。
【0060】
また、比較のために、横型有機FETを真空蒸着法により同様に作製した。基板はシリコン基板を用い、この基板上部にSiOをプラズマCVD法を用いて絶縁層とし、この上部にソース電極層及びドレイン電極層の金を500μm間隔で作製し、さらに、その上部に活性層となるSnCl−Pcを前述の条件と同様に製膜し、横型有機FETを作製した。この横型有機FETを評価したところ、数十ボルトのゲート電圧印加ではソース、ドレイン電流の変調がほとんど見られず、本発明の分子配向が縦型有機FETに有効であることが確認された。
【0061】
また、活性層を構成する材料として前述の有機化合物(SnCl−Pc)のほかに、SnBr−Pc、SnI−Pc、SnPh−Pc、MeSiCl−Pcについてそれぞれ真空蒸着法により製膜し、同様の縦型有機FETを作製した上で動作評価を行った。いずれもゲート電圧によりソース、ドレイン電流が変調された。
【0062】
さらに、同時に石英基板上に製膜されたそれぞれの活性層のX線回折パターンも評価した。X線回折のピークは、それぞれSnBr−Pc(2θ=27.1°)、SnI−Pc(2θ=27.0°)、SnPh−Pc(2θ=26.4°)、MeSiCl−Pc(2θ=26.0°)、SnCl−Pc(2θ=26.6°)であった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように本発明の縦型有機FETは、縦型に対応した分子の配向を制御する事によりを動作速度に優れ、また、容易に低コストで量産性に優れた素子が提供できる。
1. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、SnBr −フタロシアニン、SnI −フタロシアニン、SnPh −フタロシアニン、MeSiCl−フタロシアニン、およびSnCl −フタロシアニンからなる群から選択されるフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている、縦型有機FET。
2. 前記平行状態として、前記分子面と基板面とのなす角度が0度以上45度以下の範囲内となるように、前記化合物が積層されている前記項1に記載の縦型有機FET。
3. CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、
強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる前記項1に記載の縦型有機FET。
4. CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、
強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が25.5°以上27.5°以下の領域に現れる前記項1に記載の縦型有機FET。
5. 導電性部材が、金属、金属酸化物及びケイ素の少なくとも1種である前記項1に記載の縦型有機FET。
6. ソース電極層、ドレイン電極層及び活性層からなる積層体の側面に、前記3層に接するように絶縁層が設けられ、前記絶縁層により前記3層から絶縁されるようにゲート電極が形成されている前記項1に記載の縦型有機FET。
7. ソース電極層及びドレイン電極層の間に活性層及びゲート電極が介在し、前記活性層及びゲート電極が互いに接するように設けられている前記項1に記載の縦型有機FET。
8. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、SnBr −フタロシアニン、SnI −フタロシアニン、SnPh −フタロシアニン、MeSiCl−フタロシアニン、およびSnCl −フタロシアニンからなる群から選択されるフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる、縦型有機FET。
9. 前記回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が25.5°以上27.5°以下の領域に現れる前記項に記載の縦型有機FET。
10. 導電性部材が、金属、金属酸化物及びケイ素の少なくとも1種である前記項に記載の縦型有機FET。
11. ソース電極層、ドレイン電極層及び活性層からなる積層体の側面に、前記3層に接するように絶縁層が設けられ、前記絶縁層により前記3層から絶縁されるようにゲート電極が形成されている前記項に記載の縦型有機FET。
12. ソース電極層及びドレイン電極層の間に活性層及びゲート電極が介在し、前記活性層及びゲート電極が互いに接するように設けられている前記項に記載の縦型有機FET。
13. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられている縦型有機FETを製造する方法であって、
SnBr −フタロシアニン、SnI −フタロシアニン、SnPh −フタロシアニン、MeSiCl−フタロシアニン、およびSnCl −フタロシアニンからなる群から選択されるフタロシアニン系化合物を用いて前記活性層を形成する工程を有する、
ことを特徴とする縦型有機FETの製造方法。
14. 前記フタロシアニン系化合物を用いて気相法により活性層を形成する前記項13に記載の製造方法。
15. 縦型有機FETが、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、SnBr −フタロシアニン、SnI −フタロシアニン、SnPh −フタロシアニン、MeSiCl−フタロシアニン、およびSnCl −フタロシアニンからなる群から選択されるフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている、前記項13に記載の製造方法。
16. 縦型有機FETが、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
(1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
(2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
(3)前記活性層が、SnBr −フタロシアニン、SnI −フタロシアニン、SnPh −フタロシアニン、MeSiCl−フタロシアニン、およびSnCl −フタロシアニンからなる群から選択されるフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
(4)CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる、前記項13に記載の製造方法。

Claims (25)

  1. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
    (1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
    (2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
    (3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
    (4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている、縦型有機FET。
  2. 前記平行状態として、前記分子面と基板面とのなす角度が0度以上45度以下の範囲内となるように、前記化合物が積層されている請求項1に記載の縦型有機FET。
  3. CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、
    強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる請求項1に記載の縦型有機FET。
  4. CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、
    強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が25.5°以上27.5°以下の領域に現れる請求項1に記載の縦型有機FET。
  5. 前記中心原子が、4価の元素である請求項1に記載の縦型有機FET。
  6. 前記中心原子が、Si、Ge又はSnである請求項1に記載の縦型有機FET。
  7. 前記フタロシアニン系化合物が、下記一般式で示される請求項1に記載の縦型有機FET:
    Figure 2005020342
    ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
  8. 導電性部材が、金属、金属酸化物及びケイ素の少なくとも1種である請求項1に記載の縦型有機FET。
  9. ソース電極層、ドレイン電極層及び活性層からなる積層体の側面に、前記3層に接するように絶縁層が設けられ、前記絶縁層により前記3層から絶縁されるようにゲート電極が形成されている請求項1に記載の縦型有機FET。
  10. ソース電極層及びドレイン電極層の間に活性層及びゲート電極が介在し、前記活性層及びゲート電極が互いに接するように設けられている請求項1に記載の縦型有機FET。
  11. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
    (1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
    (2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
    (3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
    (4)CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる、縦型有機FET。
  12. 前記回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が25.5°以上27.5°以下の領域に現れる請求項11に記載の縦型有機FET。
  13. 前記中心原子が、4価の元素である請求項11に記載の縦型有機FET。
  14. 前記中心原子が、Si、Ge又はSnである請求項11に記載の縦型有機FET。
  15. 前記フタロシアニン系化合物が、下記一般式で示される請求項11に記載の縦型有機FET:
    Figure 2005020342
    ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
  16. 導電性部材が、金属、金属酸化物及びケイ素の少なくとも1種である請求項11に記載の縦型有機FET。
  17. ソース電極層、ドレイン電極層及び活性層からなる積層体の側面に、前記3層に接するように絶縁層が設けられ、前記絶縁層により前記3層から絶縁されるようにゲート電極が形成されている請求項11に記載の縦型有機FET。
  18. ソース電極層及びドレイン電極層の間に活性層及びゲート電極が介在し、前記活性層及びゲート電極が互いに接するように設けられている請求項11に記載の縦型有機FET。
  19. 基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられている縦型有機FETを製造する方法であって、
    中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物を用いて前記活性層を形成する工程を有する、
    ことを特徴とする縦型有機FETの製造方法。
  20. 前記中心原子が、4価の元素である請求項19に記載の製造方法。
  21. 前記中心原子が、Si、Ge又はSnである請求項19に記載の製造方法。
  22. 前記フタロシアニン系化合物が、下記一般式で示される請求項19に記載の製造方法:
    Figure 2005020342
    ただし、R〜Rは、同一又は相異なって、水素又は置換基を示し;nは、置換基の数を示し;Mは、Si、Ge又はSnを示し;X及びXは、同一又は相異なって、ハロゲン、フェニル基又は炭素数5以下のアルキル基を示す。
  23. 前記フタロシアニン系化合物を用いて気相法により活性層を形成する請求項19に記載の製造方法。
  24. 縦型有機FETが、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
    (1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
    (2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
    (3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
    (4)前記化合物の各分子の分子面がソース電極層及びドレイン電極層の少なくとも一方に対して平行状態となるように、前記化合物が積層されている、請求項19に記載の製造方法。
  25. 縦型有機FETが、基板上に少なくともソース電極層、ドレイン電極層、ゲート電極及び活性層が設けられており、ソース電極層、活性層及びドレイン電極層が順に積層した構造を有する縦型有機FETであって、
    (1)前記ソース電極層及びドレイン電極層が実質的に基板面に対して平行に配置されており、
    (2)前記ソース電極層及びドレイン電極層が、導電性部材からなり、
    (3)前記活性層が、中心原子として4価又は6価の元素をもち、かつ、分子面の上下方向からそれぞれ配位子X及びXが配位したフタロシアニン系化合物から実質的に構成され、
    (4)CuKα線を用いたX線回折法により前記活性層を分析して得られるX線回折パターンにおいて、強度が最も大きい回折ピークが、ブラッグ角(2θ)が20°以上の領域に現れる、請求項19に記載の製造方法。
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