JPWO2005020243A1 - 走査型プローブ顕微鏡のプローブおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
カンチレバーの基部が測定対象物に接触することがなく、かつ測定対象物がカンチレバーの基部によって隠されることがなく、的確な測定を行うことができる走査型プローブ顕微鏡のプローブおよびその製造方法を提供する。 走査型プローブ顕微鏡のプローブの基部(21,31)と、この基部(21,31)から水平方向に伸びた支持用カンチレバー(23,33)と、この支持用カンチレバー(23,33)の先端に長さ20マイクロメートル以下で、厚さ1マイクロメートル以下の測定用カンチレバー(24,34)が設置されるようにする。
Description
本発明は、基板の裏面から光学的な手段で変位や速度を検出することができる微小なカンチレバーを有する走査型プローブ顕微鏡のプローブの構造とその製造方法に関するものである。
図1は従来の走査型プローブ顕微鏡用のプローブの構造を示す斜視図であり、図1(A)はその第1態様の走査型プローブ顕微鏡用のプローブの構造を示す斜視図、図1(B)はその第2態様の走査型プローブ顕微鏡用のプローブの構造を示す斜視図である。
図1(A)においては、基部(基板)101から延長した単一の梁状のカンチレバー102を有し、必要に応じて測定対象や測定方法に適した探針103をこのカンチレバー102の先端付近に有する。基部101の材質はシリコンが一般的であり、寸法は横1.6ミリメートル×縦3.4ミリメートル程度が標準的である。カンチレバー102の材質はシリコン、窒化シリコン、またはそれらに金属を蒸着したもの等様々であり、必要に応じて、図1(B)に示すような、三角形状の梁状のカンチレバー104等、様々な形状のものが適用される。カンチレバー102又は104の一般的な長さは100マイクロメートルから数100マイクロメートル程度である。
図2および図3は従来の走査型プローブ顕微鏡におけるプローブの代表的な使い方を示す図である。
この図において、基部111は圧電素子からなる走査装置(図示なし)に取付けられ、カンチレバー112の探針113が測定対象物114の表面をなぞるように走査する。走査型プローブ顕微鏡は、探針113と測定対象物114の間に作用する原子間力や磁力等の相互作用によって生じるカンチレバー112の変形を検出し、コンピュータグラフィックスによって測定対象物114の凹凸や磁化等を可視化する顕微鏡であって、カンチレバー112の変形を検出する手段は光学的手段によることが多い。
上記の光学的手段として、図2に示すように、光てこを使う場合、レーザー光線115をカンチレバー112の背面に反射させ、反射光116の角度をフォトダイオードで検出する。また、図3に示すように、光干渉計を使う場合、入射光122と出射光123は同じ経路を通る。
いずれの場合もカンチレバー112の背面に反射させる光が、基部111の端部111Aによって遮られることを防止するため、カンチレバー112は基部111上に位置せず、基部111の外に突き出た形状をしている。
なお、従来のプローブとしては、以下の特許文献1〜4に開示されるようなものがあった。
特開平5−66127号公報(第4−5頁 図1) 特開平9−105755号公報(第4−5頁 図1) 特開平10−90287号公報(第3−4頁 図1) 特開平10−221354号公報(第3−5頁 図1)
しかし、上記した従来のプローブの構造は、カンチレバーを微小化した場合に問題を生じる。
カンチレバーの寸法を微小化することは、カンチレバーの固有振動数の変化から測定対象物とカンチレバーの間に働く力を求めるノンコンタクトモードと呼ばれる走査型プローブ顕微鏡の動作モードにおいて、測定を高速化し且つより小さい力を検出するために有効である。
図4は、従来のプローブにおいてカンチレバーだけを縮小した場合を示す斜視図である。
この図において、基部131は、プローブを顕微鏡本体に取り付けるために使われるので、その寸法はカンチレバーまたは振動子の寸法に依らずほぼ統一されており、上記したように、各辺が1ミリメートルから数ミリメートルの寸法を有する。これに対して、微小化されたカンチレバー132の長さが一例として10マイクロメートルであると仮定すると、基部131と測定対象物133の平行度が極めて厳密に管理されていなければ、微小化されたカンチレバー132よりも先に基部131前縁の角134または135が測定対象物133に接触してしまう。
また、測定対象物133の大部分が基部131によって隠されてしまい観察できないため、カンチレバー132を接触させるべき位置を決定するのに不都合である。
本発明は、上記状況に鑑みて、カンチレバーの基部が測定対象物に接触することがなく、かつ測定対象物がカンチレバーの基部によって隠されることがなく、的確な測定を行うことができる走査型プローブ顕微鏡のプローブおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕走査型プローブ顕微鏡のプローブにおいて、プローブ顕微鏡のプローブの基部と、この基部から水平方向に伸びた支持用カンチレバーと、この支持用カンチレバーの先端に長さ20マイクロメートル以下で、厚さ1マイクロメートル以下の測定用カンチレバーが設置されていることを特徴とする。
〔1〕走査型プローブ顕微鏡のプローブにおいて、プローブ顕微鏡のプローブの基部と、この基部から水平方向に伸びた支持用カンチレバーと、この支持用カンチレバーの先端に長さ20マイクロメートル以下で、厚さ1マイクロメートル以下の測定用カンチレバーが設置されていることを特徴とする。
〔2〕上記〔1〕記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブにおいて、前記基部及び支持用カンチレバーは単結晶シリコンから作られ、前記測定用カンチレバーは単結晶シリコン薄膜から作られ、前記支持用カンチレバーの先端に前記測定用カンチレバーが接合されていることを特徴とする。
〔3〕上記〔1〕記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブにおいて、前記支持用カンチレバーの先端を斜面に加工し、前記支持用カンチレバーの先端が前記測定用カンチレバーを光学的に観測する妨げにならないように構成したことを特徴とする。
〔4〕上記〔1〕記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブにおいて、前記測定用カンチレバーの厚さを、前記支持用カンチレバーと接合する部分の厚さより薄く作ることによって、前記測定用カンチレバーの長さを精密に規定することを特徴とする。
〔5〕上記〔1〕記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブにおいて、前記測定用カンチレバーの幅を、前記支持用カンチレバーと接合する部分の幅より狭く作ることによって、前記測定用カンチレバーの長さを精密に規定することを特徴とする。
〔6〕上記〔2〕記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブの製造方法において、前記基部及び支持用カンチレバーを単結晶シリコン基板を加工して製作し、前記測定用カンチレバーを前記単結晶シリコン基板とは別のSOI基板の単結品シリコン薄膜層を加工して製作し、これらを接合した後、SOI基板のハンドリングウエハ及び埋め込み酸化膜を除去することを特徴とする。
〔7〕上記〔6〕記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブの製造方法において、ウエットエッチングによって前記測定用カンチレバーの先端に探針を形成することを特徴とする。
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
(A)請求項1に記載した、支持用カンチレバーの先端に微小化した測定用カンチレバーが設置された構造のプローブは、測定対象物の観察が容易であり、且つ基部が測定対象物に接触するのを効果的に防止することができる。
(B)請求項2に記載した、単結晶シリコン製の基部及び支持用カンチレバーと単結晶シリコン薄膜製の測定用カンチレバーから成るプローブは、特に、測定用カンチレバーを振動させて使う非接触モードのAFMにおいて高いQ値の振動を提供することができる。
(C)請求項3に記載した、支持用カンチレバーの先端を斜めに加工したプローブは、測定用カンチレバーを光学的に観察あるいは観測する際に、支持用カンチレバーの先端が光を遮ることを防止することができる。
(D)請求項4に記載した、測定用カンチレバーの長さを、厚さが薄くなっている部分の長さで規定するようにしたプローブは、測定用カンチレバーの長さを、測定用カンチレバーと支持用カンチレバーの間の位置合わせ精度に依存することなく、精度良く設定することができる。
(E)請求項5に記載した、測定用カンチレバーの長さを幅が狭くなっている部分の長さで規定するようにしたプローブは、測定用カンチレバーの長さを、測定用カンチレバーと支持用カンチレバーの間の位置合わせ精度に依存することなく、精度良く設定することができる。
(F)請求項6に記載した、支持用カンチレバーと測定用カンチレバーをそれぞれ別の基板から加工して製作した後、それらを接合する製造方法は、接合を用いずに製造する方法に比較して、それぞれの基板に複雑な形状を加工することが容易であり、高い歩留まりで製作することができる。
(G)請求項7に記載した、ウエットエッチングによる探針の製造方法は、請求項6の製造方法と整合性が高く、結晶異方性を利用することでリソグラフィーの精度によらず曲率半径の小さい探針を提供することができる。
本発明は、プローブ顕微鏡のプローブの基部(21,31)と、この基部(21,31)から水平方向に伸びた支持用カンチレバー(23,33)と、この支持用カンチレバー(23,33)の先端に、長さ20マイクロメートル以下で、厚さ1マイクロメートル以下の測定用カンチレバー(24,34)が設置されるようにする。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図5は本発明の請求項1に記載したプローブ顕微鏡のプローブの斜視図であり、図5(A)はプローブ顕微鏡のプローブの全体斜視図、図5(B)はその支持用カンチレバーの先端部分の拡大図である。
これらの図において、基部1から支持用カンチレバー2が延び、その支持用カンチレバー2の先端に測定用カンチレバー3が設置されている。測定用カンチレバー3の先端には必要に応じて探針4を設置する。
また、請求項2に記載したプローブは、基部1と支持用カンチレバー2が単結晶シリコン製であり、測定用カンチレバー3が単結晶シリコン薄膜製である。
このような構成とすることにより、測定用カンチレバーを振動させて使う非接触モードのAFM(原子間力顕微鏡)において高いQ値の振動を提供させることができる。
図6は本発明の請求項3に記載したプローブ顕微鏡のプローブの斜視図であり、図6(A)はプローブ顕微鏡のプローブの全体斜視図、図6(B)はその支持用カンチレバーの先端部分の拡大図である。
これらの図において、基部11から支持用カンチレバー12が延び、その支持用カンチレバー12の先端に設置されている測定用カンチレバー13を光学的に観察あるいは観測する場合に、支持用カンチレバー12が光を遮ることを防止するために、支持用カンチレバー12の先端部に傾斜面12Aが形成されて、その傾斜面12Aの傾斜角度θが鋭角になっている。
図7は本発明の請求項4に記載したプローブの支持用カンチレバーの先端付近を示す斜視図であり、図7(A)は測定用カンチレバーが三角形である第1の態様を示す斜視図であり、図7(B)は測定用カンチレバーが長方形である第2の態様を示す斜視図である。
図7(A)において、21は支持用カンチレバー、22は測定用カンチレバーであり、全体的に三角形の平面形状をしている。23は測定用カンチレバー22の根元部分、24は測定用カンチレバー22の前方部分、25は厚さ方向の段部、26は探針である。ここで、プローブ顕微鏡のプローブの基部(図示なし)と、この基部から水平方向に伸びた支持用カンチレバー21と、この支持用カンチレバー21の先端に長さ20マイクロメートル以下で、厚さ1マイクロメートル以下の測定用カンチレバー22を設置するようにしている。
そして、測定用カンチレバー22の前方部分24は測定部として機能し、走査時にその変形が観察される部分であり、根元部分23と前方部分24の境界には厚さ方向の段部25が形成されて、前方部分24の厚さが根元部分23の厚さよりも薄くなるように形成されている。なお、ここで、L1は設定された測定用カンチレバー22の前方部分24の長さである。
また、図7(B)において、31は支持用カンチレバー、32は測定用カンチレバーであり、全体的に長方形の平面形状をしている。33は測定用カンチレバー32の根元部分、34は測定用カンチレバー32の前方部分、35は厚さ方向の段部、36は探針である。なお、ここでも、支持用カンチレバー31の基部は図示されていない。
ここで、測定用カンチレバー32の前方部分34は測定部として機能し、走査時にその変形が観察される部分であり、根元部分33と前方部分34の境界には厚さ方向の段部35が形成されて、前方部分34の厚さが根元部分33の厚さよりも薄くなるように形成されている。また、ここで、L2は設定された測定用カンチレバー32の前方部分34の長さである。
このように、構成することにより、プローブは、測定用カンチレバーの長さを厚さが薄くなっている部分の長さで規定することができるので、測定用カンチレバーと支持用カンチレバーの間の位置合わせ精度に依存することなく、測定用カンチレバーの長さを精度良く設定することができる。
図8は本発明の請求項5に記載したプローブの支持用カンチレバーの先端付近を示す斜視図であり、図8(A)は測定用カンチレバーの前方部分が三角形である第1の態様を示す斜視図であり、図8(B)は測定用カンチレバーの前方部分が長方形である第2の態様を示す斜視図である。
図8(A)において、41は支持用カンチレバー、42は測定用カンチレバー、43は測定用カンチレバー42の根元部分、44は測定用カンチレバー42の前方部分であり、先端が尖った三角形の平面形状をしている。45は測定用カンチレバー42の根元部分43と前方部分44の境界に形成される幅方向の段部、46は探針である。なお、ここでも、支持用カンチレバー41の基部は図示されていない。
ここで、プローブ顕微鏡のプローブの基部(図示なし)と、この基部から水平方向に伸びた支持用カンチレバー41と、この支持用カンチレバー41の先端に長さ20マイクロメートル以下で、厚さ1マイクロメートル以下の測定用カンチレバー42を設置するようにしている。
そして、測定用カンチレバー42の前方部分44は測定部として機能し、走査時にその変形が観察される部分であり、根元部分43と前方部分44の境界には幅方向の段部45が形成されて、前方部分44の幅は根元部分43の幅よりは狭くなるように形成されている。なお、ここで、L3は設定された測定用カンチレバー42の前方部分44の長さである。
また、図8(B)において、51は支持用カンチレバー、52は測定用カンチレバー、53は測定用カンチレバー52の根元部分、54は測定用カンチレバー52の前方部分であり、長方形の平面形状をしている。55は幅方向の段部、56は探針である。なお、ここでも、支持用カンチレバー51の基部は図示されていない。
ここで、プローブ顕微鏡のプローブの基部(図示なし)と、この基部から水平方向に伸びた支持用カンチレバー51と、この支持用カンチレバー51の先端に長さ20マイクロメートル以下で、厚さ1マイクロメートル以下の測定用カンチレバー52を設置するようにしている。
そして、測定用カンチレバー52の前方部分54は測定部として機能し、走査時にその変形が観察される部分であり、根元部分53と前方部分54の境界には幅方向の段部55が形成されて、前方部分54の幅は根元部分53の幅よりは狭くなるように形成されている。なお、ここで、L4は設定された測定用カンチレバー52の前方部分54の長さである。
このように構成することより、プローブは、測定用カンチレバーの長さを幅が狭くなっている部分の長さで規定することができるので、測定用カンチレバーの長さを、測定用カンチレバーと支持用カンチレバーの間の位置合わせ精度に依存することなく、精度良く設定することができる。
特に、図7及び図8に示したプローブは、支持用カンチレバーに測定用カンチレバーを接合によって形成する場合に、その接合の精度に対する配慮が軽減できるので、有効である。
次に、請求項6に記載したプローブの製造方法について図9、図10及び図11を参照しながら説明する。
図9は本発明のプローブ顕微鏡のプローブの基部及び支持用カンチレバーの製作過程の一例を示す図であり、図9(A)はその全体斜視図、図9(B)は図9(A)のA部拡大図、図9(C)は図9(B)のB部拡大図である。
ここで、単結晶シリコン基板61を加工して作製した枠62によって支持しながら基部63及び支持用カンチレバー64が作られる。図9においては、複数の基部63が単結晶シリコン基板61の枠62によって支持されているが、一度に加工される基部63及び支持用カンチレバー64の個数や支持の様式は図9に示したものに限定されるものではない。
図10は本発明の測定用カンチレバーの製作過程の一例を示す図であり、図10(A)はその全体の斜視図、図10(B)は図10(A)のA部拡大図である。
これらの図において、SOI基板71の単結晶シリコン薄膜層75を加工して測定用カンチレバー76を製作する。ここでは三角形の測定用カンチレバー76を例に示しているが、測定用カンチレバーはこの形状に限定されるものではない。また、図10(B)において、74はSOI基板71の埋め込み酸化膜、73はハンドリングウエハを示している。
図11は本発明の支持用カンチレバーと測定用カンチレバーの製造工程を示す図であり、図11(A)は支持用カンチレバーと測定用カンチレバーの接合工程を、図11(B)は完成したプローブの先端部分を拡大した斜視図である。
図10に示した測定用カンチレバー76を形成したSOI基板71を裏返し(図には対応せず)、図9に示した基部63及び支持用カンチレバー64を形成したシリコン基板61と接合する。
すると、図11(A)に示すように、支持用カンチレバー64の先端に測定用カンチレバー76が接合される。
続いて、SOI基板71のハンドリングウエハ73及び埋め込み酸化膜74を除去するとプローブが完成する。図11(B)に完成したプローブの支持用カンチレバーの先端付近を拡大して示している。
図12は本発明の請求項7の製造方法により製作されたプローブを示す図であり、図12(A)はその支持用カンチレバー先端付近の斜視図、図12(B)はその支持用カンチレバー先端付近を下方から見た斜視図である。また、図13はその製造方法により製作されたプローブの製作工程を示す図である。図13(A)は図11(B)に示した支持用カンチレバー64先端付近を裏側から見た図であり、図13(B)〜(D)は測定用カンチレバー76の先端付近を拡大し、探針79の作製工程を示した図である。
これらの図において、64は支持用カンチレバー、76は測定用カンチレバー、77はシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜、78は斜面、79は探針である。
ここで、測定用カンチレバー76の面方位は(100)面、長手軸は<110>方位でなければならない。図13(B)に示したように、測定用カンチレバー76の側面及び裏側の面をシリコン酸化膜またはシリコン窒化膜77でカバーする。上面は酸化膜または窒化膜77で覆われていてはならない。この酸化膜または窒化膜77の形成方法は、いくらでもあり得るが、一例を示すと、図11(A)の段階で全体に窒化膜を形成し、SOI基板71のハンドリングウエハ73及び埋め込み酸化膜74を除去する際に窒化膜を侵す薬品を使用しなければ、図11(B)の段階で自然に上記した酸化膜または窒化膜77で覆われた状態になる。
次に、図13(C)の段階でアルカリ性水溶液によって測定用カンチレバー76をウェットエッチングして薄くしていくと、先端を起点にエッチングが非常に遅い(111)面から成る斜面78が形成される。最後に、図13(D)の段階で、酸化膜または窒化膜77を除去すると、探針79が完成する。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明は、探針と測定対象物の間に作用する原子間力や磁力等の相互作用によって生じるカンチレバーの変形を精密に測定することができ、微小で精密な測定を行うための走査型プローブ顕微鏡のプローブとして好適である。
Claims (7)
- (a)プローブ顕微鏡のプローブの基部と、
(b)該基部から水平方向に伸びた支持用カンチレバーと、
(c)該支持用カンチレバーの先端に長さ20マイクロメートル以下で、厚さ1マイクロメートル以下の測定用カンチレバーが設置されていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡のプローブ。 - 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブにおいて、前記基部及び支持用カンチレバーは単結晶シリコンから作られ、前記測定用カンチレバーは単結晶シリコン薄膜から作られ、前記支持用カンチレバーの先端に前記測定用カンチレバーが接合されていることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡のプローブ。
- 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブにおいて、前記支持用カンチレバーの先端を斜面に加工し、前記支持用カンチレバーの先端が前記測定用カンチレバーを光学的に観測する妨げにならないように構成したことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡のプローブ。
- 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブにおいて、前記測定用カンチレバーの厚さを、前記支持用カンチレバーと接合する部分の厚さより薄く作ることによって、前記測定用カンチレバーの長さを精密に規定することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡のプローブ。
- 請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブにおいて、前記測定用カンチレバーの幅を、前記支持用カンチレバーと接合する部分の幅より狭く作ることによって、前記測定用カンチレバーの長さを精密に規定することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡のプローブ。
- 請求項2記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブの製造方法において、前記基部及び支持用カンチレバーを単結晶シリコン基板を加工して製作し、前記測定用カンチレバーを前記単結晶シリコン基板とは別のSOI基板の単結晶シリコン薄膜層を加工して製作し、これらを接合した後、SOI基板のハンドリングウエハ及び埋め込み酸化膜を除去することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡のプローブの製造方法。
- 請求項6記載の走査型プローブ顕微鏡のプローブの製造方法において、ウエットエッチングによって前記測定用カンチレバーの先端に探針を形成することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡のプローブの製造方法。
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