JPWO2005015946A1 - 映像受像機用スピーカシステム及びスピーカ設置方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図4は、従来の映像受像機用スピーカシステムを示す。図4の映像受像機用スピーカシステムは、映像受像機の画面101の側面に中高音以上を再生するスピーカ102と、画面101の下部に中低音を再生するスピーカ103と、デバイディングネットワーク104をそれぞれ備えている。この構成において、中高音用のスピーカ102と中低音用スピーカ103の音量差を左右中央正面軸上の受聴点で均一な音響特性に近づけるように調整される。
そして、左右中央正面軸より離れた受聴点においても均一な音響特性を保障するために、中高音用のスピーカと低音用スピーカのカットオフ周波数をできるだけ低くするか、中高音用のスピーカと中低音用のスピーカの位置をできるだけ近づけた位置に配置することが一般に行われている。
映像受像機の画面の左右の領域で画面の上下方向に概中央に音像を形成する中高音を再生する第1のスピーカと、
画面の下部に中低音を再生する第2のスピーカと
を備え、
画面の前方向に第1の距離だけ離れ、かつ画面の左右中央正面軸より第2の距離以内に受聴点を設定した場合に、第1のスピーカの音源位置から受聴点までの距離R1と、第2のスピーカの音源位置から受聴点までの距離R2と、デバイディングネットワークにより周波数を振り分けられた第1のスピーカと第2のスピーカのクロスオーバー周波数fは、
|exp(−j×k×R1)×exp(j×D×π/4)+(−1)D+1×exp(−j×k×R2)×exp(−j×D×π/4)|≧1/√2、
k=2π×f/c、
exp=指数関数、
j=複素数の単位、
c=音速、
π=円周率、
D=デバイディングネットワークの次数(0または正の整数)
なる関係式を満たす。
映像受像機用スピーカシステムのスピーカ設置方法は
映像受像機の画面の左右の領域で画面の上下方向に概中央に音像を形成する中高音を再生する第1のスピーカと、
画面の下部に中低音を再生する第2のスピーカと
を備える映像受像機用スピーカシステムで、
画面の前方向に第1の距離だけ離れ、かつ画面の左右中央正面軸より第2の距離以内に受聴点を設定した場合に、第1のスピーカの音源位置から受聴点までの距離R1と、第2のスピーカの音源位置から受聴点までの距離R2と、デバイディングネットワークにより周波数を振り分けられた第1のスピーカと第2のスピーカのクロスオーバー周波数fは、
|exp(−j×k×R1)×exp(j×D×π/4)+(−1)D+1×exp(−j×k×R2)×exp(−j×D×π/4)|≧1/√2、
k=2π×f/c、
exp=指数関数、
j=複素数の単位、
c=音速、
π=円周率、
D=デバイディングネットワークの次数(0または正の整数)
なる関係式を満たす場所に第1のスピーカと第2のスピーカを設置する。
図2は図1において、画面の大きさとして37インチを想定した視聴エリアの音圧分布図である。
図3は図1において、画面の大きさとして50インチを想定した視聴エリアの音圧分布図である。
図4は従来のスピーカシステムの構成図である。
そこで実際には、システムを作成する前にあらかじめサービスエリアを広く取る配慮をおこなうため、上述のように、中高音用のスピーカと低音用スピーカのカットオフ周波数を指向性を持たない200Hz以下の周波数にする方法や、中高音用のスピーカと中低音用のスピーカの位置をできるだけ近づけた位置に配置させる方法が採られる。しかし、カットオフ周波数を低く設定すると映像受像機の両側面にある中高音用のスピーカとしては大きなものが必要となる。また、映像受像機の両側面にある中高音用のスピーカのほうに低音用のスピーカを接近させると両スピーカの設置箇所として大きなスペースが必要となる。
人間の聴覚特性上感度の高い中高音用のスピーカの位置の近くに音像が形成されるので、音像を画面の中央付近に形成するためには中高音用のスピーカは画面上下方向中央に設置するのが望ましい。しかし、上記の構成では中高音用のスピーカの設置に大きなスペースが必要となる。そのため、映像受像機の筐体横幅を小さくすることが非常に困難となっている。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、定められた視聴エリアにおける最適なスピーカの配置と、デバイディングネットワークの周波数の関係を求め、中高音用のスピーカと中低音用のスピーカの位置、カットオフ周波数をこの関係式を満たす関係にすることで、各要素を容易に決定できるようにすることを目的としている。また、カットオフ周波数を従来考えられない高い値に設定した場合であっても、この関係式により、均一性の高い音響特性を十分広い受聴点で確保できるような各要素の決定が可能となる。また、中高音用のスピーカと中低音用のスピーカの位置を従来考えられない程度に離したとしても、均一性の高い音響特性を十分広い受聴点で確保できるような各要素の決定が可能となる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における映像受像機用スピーカシステムの構成を示す図である。図1において、映像受像機の画面1の左右の領域で画面1の上下方向に概略中央の位置に中高音用スピーカ2と、画面1の下部に中低音用スピーカ3が設置されている。このように構成することで、音像を画面中央付近に形成しながら、大きさの小さい中高音用スピーカだけが画面1の左右に設置されるため、映像受像機の筐体横幅を小さくすることができる。
デバイディングネットワーク4は中高音用スピーカ2から発生されるオーディオの周波数領域と中低音用スピーカ3から発生されるオーディオの周波数領域を振り分けるもので、通常はハイパスフィルタとローパスフィルタからなっている。おのおののフィルターのカットオフ特性がクロスする周波数はクロスオーバー周波数と呼ばれる。クロスオーバー周波数は使用するスピーカの特性に応じて調整しておく。ここで中高音用スピーカ2をより小さくしようとすると、このクロスオーバー周波数をより高く設定する必要がある。一般にクロスオーバー周波数を200Hz以上に設定しえるスピーカであれば十分に小さいものが使用でき、スペース的にメリットが大きい。
次に、映像受信機より画面の前方向(図1においてはZ軸方向)に、画面1から第1の距離だけ離れた位置に受聴点Mを設定する。現在、映像の高精細度化、高画質化、かつ画面が16:9のアスペクト比のワイド化が進んでいる。したがって、視聴者が、映像の高精細度化や高画質化や画面のワイド化を伴った映像に近づいて迫力のある映像を楽しむことを想定したスピーカシステムに設定すべきである。このような背景から、第1の距離としては例えば画面1の上下寸法の3倍の距離であり、この距離だけ離れた位置に受聴点Mが設定される。次に画面1の左右中央正面軸(図1ではZ軸)より第2の距離だけ離れた位置に受聴点Nが設定される。第2の距離としては例えば1mに設定される。この距離は視聴者が複数人いる場合や、映像を視聴しながらの視聴者の移動を想定したものである。
なおこの第2の距離の距離は一般の大型テレビジョン受像機を想定したものであるので、映像受信機の種類によって想定する距離を設定すればよい。また、第2の距離の距離は、映像品質や音声品質や受像機の形態などによって上述と異なった値にすることも可能である。
さらに本発明のスピーカシステムにおいて、中低音用スピーカ3の設置される左右の位置(図1においてはX軸方向の位置)は次のように決定される。
まず中高音用スピーカ2と受聴点Nとの距離をR1とする。同様に中低音用スピーカ3と受聴点Nとの距離をR2とする。上記で説明したクロスオーバー周波数をf、デバイディングネットワークの次数をDとしたとき、
|exp(−j×k×R1)×exp(j×D×π/4)
+(−1)D+1×exp(−j×k×R2)×exp(−j×D×π
/4)|≧1/√2 (式1)
k=2π×f/c (式2)
なる関係式を満たすように、スピーカシステムが設計され、各スピーカが設置される。例えば、画面1の大きさが決まればほぼ一義的に決定されるR1と、使用するスピーカの特性でほぼ最適な値が決まるfを用いて、R2の値が決定される。なお(式1)は不等式となのでR2は一定の範囲を持った数値として表される。
次に機構上の構成の制限で画面1の下部の領域で中低音用スピーカが設置できる部位が決定される。例えばブラウン管を用いたテレビジョン受像機であれば、重量物であるブラウン管を支える支柱が設けられている部位には設置できない。あるいはリモコン受光部や操作ボタン等が配置されている部位にも設置はできない。そして設置できる部位が定まれば、その部位でかつ上記R2を満たす位置に中低音用スピーカ3が設置される。
以上のように構成されたスピーカシステムにおいて、その動作を以下に説明する。
まず、中高音用スピーカ2と中低音用スピーカ3の可聴周波数における音量差が受聴点Mで均一な音響特性となるように調整される。これによって受聴点Mにおける音響特性の均一性は確保される。
しかし、調整の基準となった受聴点以外においては音響特性の均一性は崩れていく。この原因は同一の周波数の音が異なる音源から発生する場合、おのおのの音源から受聴点までの距離が変化すると、距離の違いが音波の位相の違いとなり位相差による減衰が生じるためである。十分に低い周波数や十分に高い周波数であれば、デバイディングネットワーク4によってどちらか一方のスピーカからしか音は発せられないので、このような問題は生じない。しかし、上記のクロスオーバー周波数の近傍では双方のスピーカとも音が発せられるので問題が顕著である。
この問題を解決するためには、クロスオーバー周波数における減衰を視聴者が受聴すると想定される範囲において、2つのスピーカの中央軸上で距離に依存せず0dBとした時、−3dB以内に収めることができればよい。−3dBの減衰は、本来の音のエネルギーの半分に減衰することである。一般に、人の聴覚では、本来の音のエネルギーの半分よりも低下すると違和感を感知するとされている。このような観点から、現実の使用において−3dB程度の減衰であれば音響特性の均一性が確保できたと判断できる。
ここで、(式1)の導出背景と意味を以下に簡単に示す。
(式1)のexp(−j×k×R1)のk×R1は、(式2)の関係を考慮すると、中高音用スピーカ2から受聴点Nの距離を音波の位相で表した値に相当する。従って、式(1)のexp(−j×k×R1)は中高音用スピーカ2から発せられる周波数fの音が受聴点N達するまでに生じる位相遅れである。
ところで、オーディオ信号の出力回路と中高音用スピーカ2との間にデバイディングネットワーク4が挿入されており、デバイディングネットワーク4を介して中高音用スピーカ2にオーディオ信号が供給される。
デバイディングネットワーク4は、中高音用スピーカ2に供給するオーディオ信号と中低音用スピーカ3に供給するオーディオ信号とを周波数軸上で分離する働きをする。一般的に、デバイディングネットワーク4を介することで、D次の高域通過フィルターとD次の低域通過フィルターとが形成される。中高音用スピーカ2の系はD次の高域通過フィルターを構成し、中低音用スピーカ3の系はD次の低域通過フィルターを構成する。「D」は0または正の整数である。通常、中高音用スピーカ2や中低音用スピーカ3は純抵抗と考えられ、オーディオ信号の出力回路の出力インピーダンスは小さな値の純抵抗と考えられる。デバイディングネットワーク4には、中高音用スピーカ2用の回路と中低音用スピーカ3用の回路が存在する。「D」が1の場合は、中高音用スピーカ2用の回路は中高音用スピーカ2に対して直列に挿入されたコンデンサで構成され、中低音用スピーカ3用の回路は中低音用スピーカ3に対して直列に挿入されたインダクターで構成される。即ち、中高音用スピーカ2の系はカットオフ周波数付近では1次進み回路と等価であり、中低音用スピーカ3用の系はカットオフ周波数付近では1次遅れ回路と等価である。一般に、中高音用スピーカ2側のカットオフ周波数と中低音用スピーカ3用側のカットオフ周波数は同一に設定される。このカットオフ周波数がクロスオーバー周波数fに相当する。
ところで、オーディオ信号の出力回路と中高音用スピーカ2との間にデバイディングネットワーク4が介在するので、中高音用スピーカ2から発せられる音はクロスオーバー周波数fで1次の進み位相になる。即ち、π/4だけ位相が進む。(式1)のexp(j×π/4)は、この位相進みを表している。
結局、中高音用スピーカ2から発せられた音が受聴点Nに届いた時の位相ずれは、exp(−j×k×R1)とexp(j×π/4)との積である。即ち、これは(式1)中のexp(−j×k×R1)×exp(j×π/4)に相当する。
一方、(式1)のexp(−j×k×R2)のk×R2は、(式2)の関係を考慮すると、中低音用スピーカ3から受聴点Nの距離を音波の位相で表した値に相当する。従って、式(1)のexp(−j×k×R2)は中低音用スピーカ3から発せられる周波数fの音が受聴点N達するまでに生じる位相遅れである。
オーディオ信号の出力回路と中低音用スピーカ3との間にデバイディングネットワーク4が介在する。次数「D」が1である場合を想定すると、中低音用スピーカ3から発せられる音はクロスオーバー周波数fで1次の遅れ位相になる。即ち、π/4だけ位相が遅れる。(式1)のexp(−j×π/4)は、この位相遅れを表している。
結局、中低音用スピーカ3から発せられた音が受聴点Nに届いた時の位相ずれは、exp(−j×k×R2)とexp(−j×π/4)との積である。即ち、これは(式1)中のexp(−j×k×R2)×exp(−j×π/4)に相当する。
ところで、中高音用スピーカ2から発せられた音が受聴点Nに届いた音と、中低音用スピーカ3から発せられた音が受聴点Nに届いた音との合成が受聴点Nでの音である。即ち、受聴点Nに届いた音の合成は、(式3)で表される。
exp(−j×k×R1)×exp(j×π/4)+exp(−j
×k×R2)×exp(−j×π/4) (式3)
受聴点Nに届いた音の振幅は(式3)の絶対値に相当するので、受聴点Nに届いた音の振幅は、(式4)で表される。
|exp(−j×k×R1)×exp(j×π/4)−exp(−
j×k×R2)×exp(−j×π/4)| (式4)
(式4)は、次数である「D」の値が1の場合を想定した式である。本発明での次数「D」は1に限定されるものではない。次数を0または正の整数として変数「D」を使用すると、オーディオ信号の出力回路と中高音用スピーカ2との間に次数「D」のデバイディングネットワーク4が介在するので、中高音用スピーカ2から発せられる音はクロスオーバー周波数fでD次の進み位相になる。即ち、D×π/4だけ位相が進む。オーディオ信号の出力回路と中低音用スピーカ3との間に次数「D」のデバイディングネットワーク4が介在するので、中低音用スピーカ3から発せられる音はクロスオーバー周波数fでD次の遅れ位相になる。即ち、D×π/4だけ位相が遅れる。従って、次数が「D」の場合は(式4)は(式5)となる。尚、偶数時はexp(j×π/4)、exp(−j×π/4)の位相がそれぞれ反転するので、偶数時を考慮して(式4)が成り立つ。
|exp(−j×k×R1)×exp(j×D×π/4)+exp
(−j×k×R2)×exp(−j×D×π/4)| (式5)
(式5)は(式1)の左辺であり、(式1)の右辺は−3dBを分数形式で表現したものである。
上記のようにスピーカシステムは(式1)を満たすことより、−3dB以内の音響特性の均一性は確保される。
そして、受聴点Mと受聴点Nの間では当然音響特性の均一性が確保できる。画面1に対して受聴点Mより遠ざかる位置に対しては、2つの音源からの距離の差が減少するので、音響特性の均一性は確保される。よって本発明の構成によって、映像受像機の画面サイズに応じた均一性の高い音響特性を再現すべき必要な視聴エリアを実現できる。
次に図2は(式1)をもとに構成した37インチの16対9のディスプレイにおける音圧分布をコンピュータによってシミュレーションしたものである。この寸法はブラウン管を用いたディスプレイで最大級のものを想定している。画面が大きくなるほど音源の位置は離れ音響特性の均一性の確保は困難になっていく。
このシミュレーションにおいて、まずクロスオーバー周波数fを500Hzに設定した。この周波数は小さいスピーカを使用する点ではさらに有利であるが、音響特性の均一性確保のためには不利となる値である。
さらに図1の関係と同様に、映像受像機の画面1の中央に原点をとる。そして、X軸方向に0.455メートル、Y軸方向に0メートルのところに中高音用スピーカ2が配置されている。また、(式1)を満たすR2の位置に相当するX軸方向0.22メートル、Y軸方向に−0.3メートルのところに中低音用スピーカ3が配置するように設定されている。
以上の条件でシミュレーションした結果が図2において複数本の線で示されている。グラフの横軸51は画面1の中央に設定した原点からのX軸方向の距離、縦軸52は画面から前方向に離れていく距離を示している。この平面全体は、図1における視聴エリア5を上方から眺めたものに相当する。また各斜めの線は、設定した周波数における映像受像機の画面1中央正面軸上から1dBずつ減衰しているポイントのラインを示している。特に3dBの減衰を示す線は実線53、54で表され、その他は破線で表されている。
このグラフより外側に行くほど音圧が均一に減衰していくことがわかる。これによると、映像受像機の画面高さは0.46メートルであることから、受聴点Mは1.38メートルの位置となり、そこからX軸方向に1メートルの位置がほぼ√2分の1の音圧(−3dB)のラインであることを示している。また、3dB以内の減衰の領域が十分に確保できていることが分かる。
同様に図3は、50インチの16対9のディスプレイにおける視聴エリア5における音圧分布をコンピュータによってシミュレーションしたものである。この寸法はPDPを用いたディスプレイを想定しおり、図2に示す場合より画面が大きくなり、さらに音響特性の均一性の確保は困難となる。
このときは映像受像機の画面1の中央よりX軸方向0.615メートル、Y軸方向に0メートルのところに中高音用スピーカ2が配置されている。(式1)を満たすR2に相当する位置として、映像受像機の画面1の中央よりX軸方向0.25メートル、Y軸方向に−0.385メートルのところに中低音用スピーカ3が配置されている。なおクロスオーバー周波数fは図2と同様に500Hzである。
図3の条件でも、図2と同様に外側に行くほど音圧が均一に減衰している。各斜めの線は、設定した周波数における映像受像機の画面1中央正面軸上から1dBずつ減衰しているポイントのラインを示している。特に3dBの減衰を示す線は実線57、58で表され、その他は破線で表されている。映像受像機の画面高さは0.622メートルであることから、受聴点Mは縦軸56方向に1.866メートルとなり、そこからX軸(横軸55)方向に1メートルの位置がほぼ√2分の1の音圧(−3dB)のラインであることを示している。また図2と同様に、3dB以内の減衰の領域が十分に確保できていることが分かる。
以上に述べたように、小さい寸法の中高音スピーカのみを映像受像機の画面の左右の領域で画面の上下方向に概中央に配置することで、音像を画面中央付近に形成しながら映像受像機の筐体横幅を可能な限り小さくすることができる。以上のシミュレーション結果から分かるとおり、(式1)を満足する関係でfとR1とR2とDとを設定することで、映像受像機の画面サイズに応じた均一性の高い音響特性を再現すべき必要な視聴エリアを実現できる。
なお、本実施の形態においては、fとR1から上記関係式を満たすR2を設定する場合を述べた。これに限らず、上記関係式を満たすものであればR1とR2をあらかじめ設定しておき、係る位置関係で均一性の高い音響特性を再現すべき視聴エリアを実現するクロスオーバー周波数fを上記関係式から求め、デバイディングネットワークの設定を行ってもよい。
また、以上の説明では、中高音用スピーカ2が単独のスピーカで構成される場合を示したが、2以上の複数のスピーカを映像受像機の画面の左右の領域に配置し、その総合した音像が当該画面の上下方向に概中央に位置するようにしてもよい。この場合は、中高音を再生する第1のスピーカは2以上の複数のスピーカによって構成されるものと定義する。
また、図2及び図3に示す本発明の一例は、図1においてX軸方向に正の位置にある中高音用スピーカと中低音用スピーカについて述べているが、当然、スピーカシステムがステレオ配置されている場合は、左右両方のスピーカシステムに本発明のスピーカシステムが適用できる。
以上の説明から明らかな通り、本発明の映像受像機用スピーカシステム及びスピーカ設置方法は、映像受像機の画面サイズに応じた均一性の高い音響特性を再現すべき必要な視聴エリアを実現しながら、映像受像機の筐体横幅を小さくすることができる。
また、視聴エリアをスピーカの位置とデバイディングネットワークの周波数の関係からあらかじめ計算しておくことができるため、映像受像機の画面サイズに応じた必要最低限の視聴エリアを実現しながら、映像受像機の筐体横幅を可能な限り小さくすることもできる。
なお、本実施の形態では、クロスオーバー周波数を500Hzとして説明したが、クロスオーバー周波数を400Hzや600Hz等にしてもほぼ同等の結果が得られる。200Hz以上を再生可能なスピーカでは横幅が最低40mm以上必要になる。しかし、400Hz以上のみを再生可能なスピーカであれば、横幅を最低20mm以下に抑えることができる。従って、クロスオーバー周波数を400Hz以上且つ600Hz以下とすることで、中高音スピーカを小さくでき、十分広い受聴点で均一性の高い音響特性を確保でき、且つ映像受像機の筐体横幅を小さくすることができる。これにより、デザイン上の自由度を高めることができる。
図面の参照符号の一覧表
1 映像受像機の画面
2 中高音用スピーカ
3 中低音用スピーカ
4 デバイディングネットワーク
5 視聴エリア
映像受像機の画面の左右の領域で画面の上下方向に概中央に音像を形成する中高音を再生する第1のスピーカと、
画面の下部に中低音を再生する第2のスピーカと
を備え、
画面の前方向に第1の距離だけ離れ、かつ画面の左右中央正面軸より第2の距離以内に受聴点を設定した場合に、第1のスピーカの音源位置から受聴点までの距離R1と、第2のスピーカの音源位置から受聴点までの距離R2と、デバイディングネットワークにより周波数を振り分けられた第1のスピーカと第2のスピーカのクロスオーバー周波数fは、
|exp(−j×k×R1)×exp(j×D×π/4)
+(−1)D+1×exp(−j×k×R2)×exp(−j×D×π/4)|≧1/√2、
k=2π×f/c、
exp=指数関数、
j=複素数の単位、
c=音速、
π=円周率、
D=デバイディングネットワークの次数(0または正の整数)
なる関係式を満たす。
映像受像機の画面の左右の領域で画面の上下方向に概中央に音像を形成する中高音を再生する第1のスピーカと、
画面の下部に中低音を再生する第2のスピーカと
を備える映像受像機用スピーカシステムで、
画面の前方向に第1の距離だけ離れ、かつ画面の左右中央正面軸より第2の距離以内に受聴点を設定した場合に、第1のスピーカの音源位置から受聴点までの距離R1と、第2のスピーカの音源位置から受聴点までの距離R2と、デバイディングネットワークにより周波数を振り分けられた第1のスピーカと第2のスピーカのクロスオーバー周波数fは、
|exp(−j×k×R1)×exp(j×D×π/4)
+(−1)D+1×exp(−j×k×R2)×exp(−j×D×π/4)|≧1/√2、
k=2π×f/c、
exp=指数関数、
j=複素数の単位、
c=音速、
π=円周率、
D=デバイディングネットワークの次数(0または正の整数)
なる関係式を満たす場所に第1のスピーカと第2のスピーカを設置する。
図1は、本発明の実施の形態1における映像受像機用スピーカシステムの構成を示す図である。図1において、映像受像機の画面1の左右の領域で画面1の上下方向に概略中央の位置に中高音用スピーカ2と、画面1の下部に中低音用スピーカ3が設置されている。このように構成することで、音像を画面中央付近に形成しながら、大きさの小さい中高音用スピーカだけが画面1の左右に設置されるため、映像受像機の筐体横幅を小さくすることができる。
|exp(−j×k×R1)×exp(j×D×π/4)
+(−1)D+1×exp(−j×k×R2)×exp(−j×D×π/4)|≧1/√2 (式1)
k=2π×f/c (式2)
なる関係式を満たすように、スピーカシステムが設計され、各スピーカが設置される。例えば、画面1の大きさが決まればほぼ一義的に決定されるR1と、使用するスピーカの特性でほぼ最適な値が決まるfを用いて、R2の値が決定される。なお(式1)は不等式となのでR2は一定の範囲を持った数値として表される。
受聴点Nに届いた音の振幅は(式3)の絶対値に相当するので、受聴点Nに届いた音の振幅は、(式4)で表される。
(式4)は、次数である「D」の値が1の場合を想定した式である。本発明での次数「D」は1に限定されるものではない。次数を0または正の整数として変数「D」を使用すると、オーディオ信号の出力回路と中高音用スピーカ2との間に次数「D」のデバイディングネットワーク4が介在するので、中高音用スピーカ2から発せられる音はクロスオーバー周波数fでD次の進み位相になる。即ち、D×π/4だけ位相が進む。オーディオ信号の出力回路と中低音用スピーカ3との間に次数「D」のデバイディングネットワーク4が介在するので、中低音用スピーカ3から発せられる音はクロスオーバー周波数fでD次の遅れ位相になる。即ち、D×π/4だけ位相が遅れる。従って、次数が「D」の場合は(式4)は(式5)となる。尚、偶数時はexp(j×π/4)、exp(−j×π/4)の位相がそれぞれ反転するので、偶数時を考慮して(式4)が成り立つ。
(式5)は(式1)の左辺であり、(式1)の右辺は−3dBを分数形式で表現したものである。
2 中高音用スピーカ
3 中低音用スピーカ
4 デバイディングネットワーク
5 視聴エリア
Claims (8)
- 映像受像機の画面の左右の領域で前記画面の上下方向に概中央に音像を形成する中高音を再生する第1のスピーカと、
前記画面の下部に中低音を再生する第2のスピーカと
を備え、
前記画面の前方向に第1の距離だけ離れ、かつ前記画面の左右中央正面軸より第2の距離以内に受聴点を設定した場合に、前記第1のスピーカの音源位置から前記受聴点までの距離R1と、前記第2のスピーカの音源位置から前記受聴点までの距離R2と、デバイディングネットワークにより周波数を振り分けられた前記第1のスピーカと前記第2のスピーカのクロスオーバー周波数fは、
|exp(−j×k×R1)×exp(j×D×π/4)+(−1)D+1×exp(−j×k×R2)×exp(−j×D×π/4)|≧1/√2、
k=2π×f/c、
exp=指数関数、
j=複素数の単位、
c=音速、
π=円周率、
D=デバイディングネットワークの次数(0または正の整数)
なる関係式を満たす映像受像機用スピーカシステム。 - 前記第2の距離は1mであり、前記クロスオーバー周波数fは200Hz以上であって、前記第2のスピーカは前記関係式を満たす場所に位置する請求項1に記載の映像受像機用スピーカシステム。
- 前記第1の距離は前記画面の上下寸法の3倍である請求項1に記載の映像受像機用スピーカシステム。
- 前記クロスオーバー周波数fは400Hz以上で且つ600Hz以下である請求項1に記載の映像受像機用スピーカシステム。
- 映像受像機の画面の左右の領域で前記画面の上下方向に概中央に音像を形成する中高音を再生する第1のスピーカと、
前記画面の下部に中低音を再生する第2のスピーカと
を備える映像受像機用スピーカシステムで、
前記画面の前方向に第1の距離だけ離れ、かつ前記画面の左右中央正面軸より第2の距離以内に受聴点を設定した場合に、前記第1のスピーカの音源位置から前記受聴点までの距離R1と、前記第2のスピーカの音源位置から前記受聴点までの距離R2と、デバイディングネットワークにより周波数を振り分けられた前記第1のスピーカと前記第2のスピーカのクロスオーバー周波数fは、
|exp(−j×k×R1)×exp(j×D×π/4)+(−1)D+1×exp(−j×k×R2)×exp(−j×D×π/4)|≧1/√2、
k=2π×f/c、
exp=指数関数、
j=複素数の単位、
c=音速、
π=円周率、
D=デバイディングネットワークの次数(0または正の整数)
なる関係式を満たす場所に前記第1のスピーカと前記第2のスピーカを設置する映像受像機用スピーカシステムのスピーカ設置方法。 - 前記第2の距離は1mであり、前記クロスオーバー周波数fは200Hz以上である請求項5に記載の映像受像機用スピーカシステムのスピーカ設置方法。
- 前記第1の距離は前記画面の上下寸法の3倍である請求項5に記載の映像受像機用スピーカシステムのスピーカ設置方法。
- 前記クロスオーバー周波数fは400Hz以上で且つ600Hz以下である請求項5に記載の映像受像機用スピーカシステムのスピーカ設置方法。
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