JP2012195800A - スピーカ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】コストアップを抑えながら、セリフや歌声などの音声に対して中央音像定位が得られる聴取範囲を拡大できるスピーカ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】第1のスピーカユニットと高音を再生する第2のスピーカユニットが水平方向に距離を持つように配置した左右チャンネルのスピーカを、左右対称に配置し、スピーカの正面方向で、第1と第2のスピーカユニットのクロスオーバ周波数付近に音圧周波数特性ディップを形成し、特性補正手段でディップの周波数付近をブーストし、ディップの中心周波数を声の子音の周波数スペクトルの範囲内とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、ステレオ音響再生やマルチチャンネル音響再生に用いられるスピーカ装置、特に大画面テレビ等と一緒に用いられるスピーカ装置に関するものである。
一般にステレオ音響再生において良好な音像定位を得るためには、左右のスピーカの前方中心付近で聴く必要がある。つまり片側のスピーカに近寄った位置、つまり左右スピーカの前方中心付近から外れた位置で聴くと、左右のスピーカの中央付近から本来聴こえてくるべき歌声やセリフなどの再生音が聴取位置に近い方のスピーカから聴こえてしまい、聴取位置に近い方のスピーカに音像が片寄ってしまうことが知られている。
またいわゆるホームシアターのマルチチャンネル再生においては、独立したセンタースピーカを設置せずに、左右のフロントスピーカでセンターチャンネル信号を再生する方式がある。つまりセンターチャンネルの信号を左右のフロントスピーカに均等に振り分けてフロントチャンネル信号に重畳する方式である。
この方式によれば独立したセンタースピーカを設置しなくて済むというメリットがある反面、センターチャンネルの音声信号の良好な音像定位が得られる聴取範囲は、上と同様に左右のフロントスピーカの真ん中付近だけに限られる。
特にホームシアターのマルチチャンネル再生の場合には音と映像が一致するように、センターチャンネル音声信号の音像が画面内中央付近に定位することが望まれる。上記のように左右のフロントスピーカでセンターチャンネル信号を再生する場合は、真ん中から外れた位置で視聴をするとセンターチャンネルのセリフなどが、画面中央から極端に外れた位置に音像定位することで違和感が生じるので、自然な映画再生ができない。
以上のように中央音像定位が得られる聴取範囲は真ん中付近だけに限られるので、独立したセンタースピーカを設置しない方式では、一度に複数人数が自然な映画鑑賞をすることができなかった。またステレオ音楽再生においても、一度に複数人数が良好な音像定位で音楽鑑賞をすることができなかった。
中央音像定位が得られる聴取範囲が左右スピーカの真ん中付近だけに限られるという問題点を解決するために、左右の各スピーカに複数のスピーカユニットを取り付けて、一部のスピーカユニットを真ん中方向に傾斜させるという方法が、数多く提案されている。しかしこの方法ではスピーカのキャビネットの一部を傾斜させるために、加工が複雑になり量産性が悪いというデメリットがあった。
そこでスピーカのキャビネットの一部を傾斜させることなく、つまりスピーカユニットを同一平面上に配置しながら上記の問題点を解決できる方法として、例えば特許文献1に記載されているようなスピーカ装置が考えられる。これについて図7〜図10を参照しながら説明する。
図7は特許文献1に記載された従来のスピーカ装置のスピーカユニット配置図、図8は同フィルタ回路図、図9は同フィルタ回路の周波数特性図、図10は同スピーカ装置の指向特性図である。図7においてSP1、SP2、SP3の各スピーカユニットが、互いに間隔d1、d2をもって直線上に不等間隔にd1>d2のように配置されている。
特許文献1によれば、図8において(a)は高域減衰フィルタ回路、(b)は高域増強フィルタ回路を示す。抵抗RとスピーカSPのインピーダンス抵抗RLの比をK、抵抗R’と抵抗RLの比をK’とすると、K=R/RL、K’=R’/RLとなる。また図8(a)に示す回路のクロスオーバ周波数をf0、図8(b)に示す回路のクロスオーバ周波数をf0’とすると、f0=RL/2πL、f0’=1/2πCR’となる。
図9において(a)に示すように定数Kが大きくなるにつれて高周波数になるほど音圧Pの減衰が大きくなり、位相差θが大きくなる。また(b)に示すように定数K’が大きくなるにつれて高周波数になるほど音圧Pの増強の度合いが大きくなり、位相差θが大きくなる。
そしてスピーカユニットSP3に高域増強フィルタを接続し、スピーカユニットSP1、SP2には高域減衰フィルタを接続し、さらに電圧を1/(1+K’)に減衰させる。またスピーカユニットSP1に接続するフィルタの定数をK1、スピーカSP2に接続するフィルタの定数をK2として、K1>K2になるように各フィルタの素子を選定する。
以上の構成によれば各スピーカユニットSP1、SP2、SP3の周波数に応じた位相差により、図10に示すように周波数fが高くなるにつれてメインローブの中心軸rは聴取正面方向を向くので、聴取位置から遠いスピーカの音圧を高め、近いスピーカの音圧を低くするような指向特性を与えることができる。これにより聴取者が良好なステレオ感を得られる範囲を拡げたスピーカ装置を提供できる。
特開昭55−74292号公報
NHK技研 R&D No.123 p.48−55(2010年 9月) 「技研における立体テレビの研究成果」
しかしながら特許文献1の従来のスピーカ装置では、少なくとも3個のスピーカユニットSP1、SP2、SP3が必要であり、スピーカユニットのコストが高くなるという問題があった。またフィルタ回路の抵抗R、R’により信号が減衰して高い音圧が得られにくいという問題もあった。さらに抵抗R、R’は発熱で危険な高温になるのを防ぐために、非常に大容量の抵抗を用いなければならずフィルタ回路のコストも高くなるという問題もあった。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、コストアップを抑えながら、セリフや歌声などの音声に対して中央音像定位が得られる聴取範囲を拡大できるスピーカ装置を提供することを目的とする。
本発明のスピーカ装置は、第1のスピーカユニットと高音を再生する第2のスピーカユニットを各々備えた左右チャンネルのスピーカと、前記第1のスピーカユニットと前記第2のスピーカユニットに信号を分配するネットワークと、前記スピーカを駆動するアンプと、前記アンプに接続された特性補正手段とを備え、前記第1のスピーカユニットと前記第2のスピーカユニットは、互いの中心軸が水平方向に距離を持つように左右対称に配置され、前記スピーカの正面方向で、前記第1のスピーカユニットと前記第2のスピーカユニットのクロスオーバ周波数付近に音圧周波数特性ディップを形成するように構成される。前記特性補正手段は、前記ディップの周波数付近をブーストして前記左右チャンネルのスピーカ間の中心軸方向において前記ディップの周波数付近の音圧が減衰しないように構成され、前記ディップの中心周波数を声の子音の周波数スペクトルの範囲内とするようにしたものである。
この構成により、第1のスピーカユニットと第2のスピーカユニットの放射音の位相差および配置位置関係を利用して、声の子音の周波数帯域において、聴取位置から遠い方のスピーカから到達する音圧を、聴取位置から近い方のスピーカから到達する音圧よりも高くすることができる。
本発明のスピーカ装置によれば、声の子音の周波数帯域において、聴取位置から遠い方のスピーカから到達する音圧を、聴取位置から近い方のスピーカから到達する音圧よりも高くすることができるので、中央音像定位が得られる聴取範囲拡大の効果が得られる。またスピーカユニットが片チャンネル当たり2個で済むとともに、同一平面上に配置できるので、コストアップを抑えることができる。また標準視聴位置で優れた音質を確保することができる。
またディップの中心周波数を4kHz〜10kHzとしたことにより、中央音像定位が得られる聴取範囲拡大の高い効果を得ながら、聴取位置による音声の音質変化を小さく抑えることができる。
また第1のスピーカユニットと第2のスピーカユニットの中心軸どうしの水平距離をd、ディップの中心周波数をfc、空気音速をCとした時、d=(0.56〜1.67)C/fcとしたことにより、テレビを視聴する実用的な視聴範囲において高い中央音像定位の効果が得られる。
また第2のスピーカユニットを圧電型とし、ネットワークを省略したことにより、一層コストアップを抑えることができる。
本発明の実施の形態1におけるスピーカ装置の正面図 本発明の実施の形態1におけるスピーカ装置の作用を示す構成図 本発明の実施の形態1におけるスピーカ装置の作用を示す説明図 本発明の実施の形態1におけるスピーカ装置のブロック構成図 本発明の実施の形態1におけるスピーカ装置のスピーカ単体の周波数特性図 本発明の実施の形態1におけるスピーカ装置の周波数特性図 従来のスピーカ装置のスピーカユニット配置図 従来のスピーカ装置のフィルタ回路図 従来のスピーカ装置のフィルタ回路の周波数特性図 従来のスピーカ装置の指向特性図
以下に、本発明のスピーカ装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
まず本発明の実施の形態1におけるスピーカ装置の構成について、図1〜図6を参照しながら説明する。図1は本発明の実施の形態1におけるスピーカ装置の正面図、図2は同スピーカ装置の作用を示す構成図、図3は同スピーカ装置の作用を示す説明図、図4は同スピーカ装置のブロック構成図、図5は同スピーカ装置の特性補正手段を適用しないスピーカ単体の周波数特性図、図6は特性補正手段を適用した同スピーカ装置の周波数特性図である。
図1、図2に示すように、スピーカ装置160は、左チャンネルのスピーカ161、右チャンネルのスピーカ162、ジョイント部163を備える。左チャンネルのスピーカ161の第1のスピーカユニット111と高音を再生する第2のスピーカユニット121、および右チャンネルのスピーカ162の第1のスピーカユニット112と高音を再生する第2のスピーカユニット122は、互いの中心軸が水平距離dをもつように左右対称に配置されている。左右チャンネルのスピーカ161、162はジョイント部163で結合され、一体的にスピーカ装置160を形成している。このような形態のスピーカ装置は、通称、サウンドバーと呼ばれている。
図4に示すように、スピーカ装置160は、第1のスピーカユニット111、112、第2のスピーカユニット121、122に信号を分配するネットワーク131、132と、スピーカを駆動するアンプ141、142と、アンプ141、142に接続された特性補正手段151、152を備えている。ネットワーク131、132はスピーカ161、162の中に、アンプ141、142と、特性補正手段151、152はジョイント部163に内蔵されている。
図2、図3、図5、図6において、S1は第1のスピーカユニット111の中心軸と第2のスピーカユニット121の中心軸との中間点であり、左チャンネルのスピーカ161の音響的中心位置である。S2は第1のスピーカユニット112の中心軸と第2のスピーカユニット122の中心軸との中間点であり、右チャンネルのスピーカ162の音響的中心位置である。
図1に示すように、スピーカ装置160は、テレビ170とともにラック180の上に、かつテレビ170のすぐ前に置かれている。実施の形態1においては、テレビ170の画面サイズは50インチであり、画面幅は約110cm、画面高さは約62cmである。
第1のスピーカユニット111、112は口径6.5cmのコーン型ウーハである。第2のスピーカユニット121、122は口径2cmの小型ドーム型ツィータである。互いの中心軸どうしの水平距離dは5.2cmである。左右チャンネルのスピーカ161、162の音響中心位置S1、S2間の距離Wは93cmである。左右チャンネルのスピーカ161、162の横幅は約20cm、ジョイント部163の横幅は約65cm、スピーカ装置160の全体の横幅は約105cmである。
図1、図2において、聴取点Pはスピーカ装置160から距離D=1.86m離れており、テレビ170の画面高さのちょうど3倍である。つまり、非特許文献1に記載されているように、近年のハイビジョンテレビ画像に対する推奨最小視聴距離に相当する。
ネットワーク131、132はコンデンサ1個による6dB/oct型ハイパスフィルタであり、第1のスピーカユニットに対してはフィルタなしのスルー接続である。
図5、図6において、細点線カーブ1は右チャンネルのスピーカ162の正面方向つまりS2−Sの方向における、第1のスピーカユニット112の音圧周波数特性である。細点線カーブ2は同方向における、第2のスピーカユニット122の音圧周波数特性である。太実線カーブ3は同方向における、第1のスピーカユニット112と第2のスピーカユニット122の加算された音圧周波数特性である。つまり右チャンネルのスピーカ162の正面方向の音圧周波数特性である。細実線カーブ4は、右チャンネルのスピーカ162の正面から角度α=14°で左側に傾いた方向における、右チャンネルのスピーカ162の音圧周波数特性である。これは図2における左右中心聴取点Cでの音圧周波数特性に相当する。太点線カーブ5は、右チャンネルのスピーカ162の正面から角度α=26.6°で左側に傾いた方向における、右チャンネルのスピーカ162の音圧周波数特性である。これは図2における左チャンネルのスピーカ161の正面の聴取位置Pでの音圧周波数特性に相当する。
以上のように構成された本発明の実施の形態1におけるスピーカ装置について、以下、作用、効果について詳細に説明する。図5の細点線カーブ1、2に示すように、第1のスピーカユニット112と第2のスピーカユニット122のクロスオーバ周波数は約7.5kHzである。クロスオーバ周波数付近における第1のスピーカユニット112と第2のスピーカユニットの位相差は約180°となり、両者の音が打ち消しあって太実線カーブ3に示すようにクロスオーバ周波数付近に大きなディップを生じている。
つまり従来のスピーカによれば、例えば第2のスピーカユニット122の極性を第1のスピーカユニット112と逆相にして、スピーカ正面の音圧周波数特性にディップを生じないように構成していたが、本発明ではあえてディップが生じるように構成している。
聴取点Pは左チャンネルのスピーカ161の真正面であり、クロスオーバ周波数付近では左チャンネルのスピーカ161からの音圧は、上記の音圧周波数特性のディップにより低くなる。一方、右チャンネルのスピーカ162から聴取点Pに到達する音は、第1のスピーカユニット112から到達する音と第2のスピーカユニット122から到達する音との重畳になるが、第1のスピーカユニット112から聴取点Pまでの行路長L112は、第2のスピーカユニット122から聴取点Pまでの行路長L122よりも長くなる。
実施の形態1においては、行路長L112と行路長L122との行路差は約2.3cmとなり、クロスオーバ周波数7.5kHzの波長(約4.5cm)のほぼ半分になる。この行路差により、第1のスピーカユニット112から聴取点Pに到達する音の位相が約180°遅れるので、クロスオーバ周波数付近における第1のスピーカユニット112と第2のスピーカユニット122の音の位相差は約360°つまり完全同位相となり、両者の音圧が最大の足し合いとなって音圧が最も高くなる。従って、聴取点Pにおける左右チャンネルの各スピーカ161、162からの到来音のベクトルV1、V2は、V2>V1となるので、合成ベクトルVは左右のスピーカの中心方向に是正され、中央音像定位が得られる。
標準視聴位置である左右中心聴取点Cにおいては左右チャンネルのスピーカ161、162からの到来音は同じになるが、図5の細実線カーブ4に示すように、スピーカ単体ではクロスオーバ周波数付近の音圧が少しくぼむ。これは、左右中心聴取点Cに到来する音の各スピーカ161、162からの行路差が聴取点Pの場合よりも小さくなるので、両者の音圧の足し合いが最大とはならないからである。
そこで実施の形態1のスピーカ装置では図4に示すように特性補正手段151、152を用いて、ディップ周波数の7.5kHz付近をブーストし、左右チャンネルのスピーカ161、162の間の中心軸方向においてディップの周波数付近の音圧が減衰しないように構成した。特性補正手段のブースト特性は、中心周波数が7.5kHz、Qが約2、ゲインが約5dBである。これにより図6の細実線カーブ4に示すように、左右中心聴取点Cでの音圧周波数特性ディップを解消できる。つまり標準視聴位置で優れた音質を確保することができる。
また実施の形態1のスピーカ装置は、ディップの周波数を7.5kHzとしたので、中央音像定位が得られる聴取範囲拡大の高い効果を得ながら、聴取位置による音色の変化を小さく抑えることができる。望ましいディップの周波数は声の周波数スペクトルを考慮して決められた。
音声の周波数スペクトルのホルマント周波数は低い方から、第1ホルマント、第2ホルマント、第3ホルマントと呼ばれている。そして言語の如何に関わらず、かつ男声、女声、子供の声も総合して、第1ホルマント周波数範囲は300Hz〜1kHz程度、第2ホルマント周波数範囲は800Hz〜3kHz程度、第3ホルマント周波数範囲は2.5kHz〜4kHz程度であることが知られている。また子音の周波数範囲は、古くは4kHz〜7kHz程度と言われていたが、実際には10kHzを越える高い周波数成分を含んでいることが知られている。
ホルマント周波数の帯域や特に人間の耳の感度の高い3kHz〜4kHz付近は音声の音質に影響が大きく、スピーカの音圧周波数特性上にこの周波数帯域に偏差を生じると音声の音質変化が大きい。一方、音像定位感を与える上で非常に高い周波数は効果が小さい。特に高齢者の場合は10kHz付近以上の耳の感度低下が大きいことが知られている。従って、聴取位置によって音圧周波数特性が変化して音声の音質が変化することを抑えながら中央音像定位が得られる聴取範囲拡大の高い効果を得るために、望ましいディップ形成の周波数範囲は4kHz〜10kHzと考えられる。
さらに実施の形態1のスピーカ装置においては、第1のスピーカユニット111、112と第2のスピーカユニット121、122の中心軸どうしの水平距離dを5.2cmとしたので、実用的なテレビ視聴範囲において優れた中央音像定位の効果が得られる。これについて図3を参照しながら説明する。
図3において、第1のスピーカユニット112から左チャンネルのスピーカ161の正面の聴取点Pまでの行路長P1−Pと、第2のスピーカユニット122から左チャンネルのスピーカ161の正面の聴取点Pまでの行路長P2−Pとの行路差をΔLとする。右チャンネルのスピーカ162の音響中心S2から聴取点Pまでの角度をαとする。また空気の音速をCとする。
聴取点Pにおいてディップの中心周波数fc付近で、第1のスピーカユニット112と第2のスピーカユニット122の音圧が足し合う条件は、0.25C/fc≦ΔL≦0.75C/fcとなる。C/fcはディップ周波数fcの1波長である。ΔL=(2/4)C/fcの時はΔLがfcの波長のちょうど半分となり180°の位相遅れを与えるので、もともとディップ周波数fcで180°の位相差のあった第1のスピーカユニット112と第2のスピーカユニット122の音は同位相となり、音圧の足し合いが最大になる。
聴取点Pにおいて、第1のスピーカユニット112と第2のスピーカユニット122の音の位相差が±90°以内であれば、両者の音圧は足し合う。位相差の絶対値が180°±90°の範囲内では両者の音圧は引き合う。従ってΔLがfcの波長の1/4〜3/4の範囲内であればΔLによる音の位相遅れは90°〜270°となり、もともとの両スピーカユニット112、122の180°の位相差と重畳されて、聴取点Pにおける両スピーカユニット112、122からの音の位相差は270°〜450°となる。つまり360°の位相回転は音圧の加算上は無視できるので±90°の位相差と等価となる。
次に図3において、ΔL=W×d/((D2+W2)×1/2)となることを以下に説明する。ここで、点S2と点P3の線分長をL1、点S2と点P2との線分長をL2、点S2と点Pの線分長をL3とする。点S2は点P1と点P2の中点なので、ΔL≒2×L1であり、点P2、点P3、点S2を結ぶ三角形は点P、点S1、点S2を結ぶ三角形と相似形である。従ってL1=W×(L2/L3)となる。L2=d/2、L3=(D2+W21/2であるので、ΔL≒2×W×(d/2)×/{(D2+W21/2}=W×d/{(D2+W21/2}となる。
ハイビジョンテレビ画面は縦横比が16:9であり、推奨最小視聴距離は画面高さの3倍なので、推奨最小視聴距離は画面幅の1.8倍程度である。一般的にスピーカ装置の横幅はテレビの外形サイズに合わせて選ばれるので、距離Wはテレビ画面の幅よりも通常少し狭くなる。従って推奨最小視聴距離はWの2倍程度と見なすことができる。
そこで推奨最小視聴距離をDとして、D=2Wとみなして、ΔL=W×d/((D2+W2)×1/2)に代入すると、ΔL=0.45dとなる。そして0.25C/fc≦ΔL≦0.75C/fcから、0.25C/fc≦0.45d≦0.75C/fcとなるので、0.56C/fc≦d≦1.67C/fcとなる。つまりdがこの条件を満たすことで、スピーカ装置の通常使用状態かつ推奨最小視聴距離において、聴取点Pに到来する第1のスピーカユニット112と第2のスピーカユニット122の音圧は足し合うことになる。従ってテレビを視聴する実用的な視聴範囲において高い中央音像定位の効果が得られる。
実施の形態1のスピーカ装置においてはfc=7.5kHzなので、0.56×4.53≦d≦1.67×4.53、すなわち2.5cm≦d≦7.5cmであればよく、d=5.2cmとしたので、テレビを視聴する実用的な視聴範囲において高い中央音像定位の効果が得られるわけである。
従って以上説明した構成により、声の子音の周波数帯域において、聴取位置から遠い方のスピーカから到達する音圧を、聴取位置から近い方のスピーカから到達する音圧よりも高くすることができるので、中央音像定位が得られる聴取範囲拡大の効果が得られる。またスピーカユニットが片チャンネル当たり2個で済むとともに、同一平面上に配置できるので、コストアップを抑えることができる。また左右中心聴取点Cでの音圧周波数特性ディップを解消できるので、標準視聴位置で優れた音質を確保することができる。
またディップの中心周波数を4kHz〜10kHzとしたことにより、中央音像定位が得られる聴取範囲拡大の高い効果を得ながら、聴取位置による音声の音質変化を小さく抑えることができる。
また第1のスピーカユニットと第2のスピーカユニットの中心軸どうしの水平距離をd、ディップの中心周波数をfc、空気音速をCとした時、0.56C/fc≦d≦1.67C/fcとしたことにより、テレビを視聴する実用的な視聴範囲において高い中央音像定位の効果が得られる。
なお実施の形態1のスピーカ装置では、高音を再生する第2のスピーカユニット121、122を通常の動電型のドーム型ツィータとしたが、これを圧電型スピーカユニットとすれば、ネットワーク131、132を省略することができる。つまり、入力端子と圧電型スピーカユニットの間にネットワークのコンデンサを接続しなくて済む。この構成によれば、一層コストアップを抑えることができる。
また実施の形態1のスピーカ装置では、第1のスピーカユニット111、112の内側に第2のスピーカユニット121、122をそれぞれ配置したが、両スピーカユニットどうしの極性を逆にしたり、ネットワーク131、132のカットオフ特性を急峻にするなどすれば、第1のスピーカユニット111、112の外側に第2のスピーカユニット121、122をそれぞれ配置する構成も可能である。
また実施の形態1のスピーカ装置では、第1のスピーカユニット111、112をウーハとしたが、フルレンジ型スピーカユニットとすることもできる。また第2のスピーカユニット121、122をツィータとしたが、フルレンジ型スピーカユニットとすることもできる。
また実施の形態1のスピーカ装置では、第1のスピーカユニット111、112と、第2のスピーカユニット121、122を同一高さの一直線上に配置したが、両スピーカユニットの高さが違っていても構わない。例えば、第2のスピーカユニット121、122の中心軸を、第1のスピーカユニット111、112の中心軸よりも高くなるように配置してもよい。例えば、左右チャンネルのスピーカ161、162を縦置きにして、第1のスピーカユニット111、112の上側に来る第2のスピーカユニットを、内側寄りに配置するなどしてもよい。
また実施の形態1のスピーカ装置では、左右チャンネルのスピーカ161、162をジョイント部163で結合して一体的に構成したが、左右チャンネルのスピーカを独立した単体スピーカとしてもよい。
またその他、本発明は上記説明した例に限定されるものでないことは言うまでもない。
本発明のスピーカ装置によれば、コストアップを抑えながら歌声やセリフなど音声に対して中央音像定位が得られる聴取範囲を拡大できるので、一般の2チャンネルステレオ音響再生機器やマルチチャンネル音響再生機器ばかりでなく、テレビ用音響再生機器、車載用音響再生機器、電子機器全般の音響再生用に有用である。以上のように、本発明のスピーカ装置は極めて実用的価値の高いものである。
111、112 第1のスピーカユニット
121、122 第2のスピーカユニット
131、132 ネットワーク
141、142 アンプ
151、152 特性補正手段
160 スピーカ装置
161、162 スピーカ
163 ジョイント部
170 テレビ
180 ラック

Claims (4)

  1. 第1のスピーカユニットと高音を再生する第2のスピーカユニットを各々備えた左右チャンネルのスピーカと、
    前記第1のスピーカユニットと前記第2のスピーカユニットに信号を分配するネットワークと、
    前記スピーカを駆動するアンプと、
    前記アンプに接続された特性補正手段とを備え、
    前記第1のスピーカユニットと前記第2のスピーカユニットは、互いの中心軸が水平方向に距離を持つように左右対称に配置され、前記スピーカの正面方向で、前記第1のスピーカユニットと前記第2のスピーカユニットのクロスオーバ周波数付近に音圧周波数特性ディップを形成するように構成され、
    前記特性補正手段は、前記ディップの周波数付近をブーストして前記左右チャンネルのスピーカ間の中心軸方向において前記ディップの周波数付近の音圧が減衰しないように構成され、前記ディップの中心周波数を声の子音の周波数スペクトルの範囲内としたことを特徴とするスピーカ装置。
  2. 前記ディップの中心周波数を4kHz〜10kHzとしたことを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ装置。
  3. 前記第1のスピーカユニットと前記第2のスピーカユニットの中心軸どうしの水平距離をd、前記ディップの中心周波数をfc、空気音速をCとした時、0.56C/fc≦d≦1.67C/fcとしたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のスピーカ装置。
  4. 前記第2のスピーカユニットを圧電型とし、前記ネットワークを省略したことを特徴とする、請求項1乃至3に記載のスピーカ装置。
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