JPWO2004102238A1 - 光導波路構造 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光導波路構造、さらに詳しくは、分岐比及び合波比を高度に均等化できる光導波路構造に関する。
近年のパソコンやインターネットの普及に伴い、情報伝送需要が急激に増大しており、伝送速度が速く光伝送損失の小さい光導波路が要望されている。光導波路は、光伝送における光インターコネクションとして使用されており、例えば光スプリッタ(分岐結合器)のような光学装置は、光導波路の基本構成要素として必要不可欠のものである。一方、光スプリッタ(分岐結合器)は、光伝送方向を逆にすると、合波光導波路として作用する。
分岐光導波路は、他の光導波路やファイバと接続されて使われることがある。その場合、製造上のばらつきによって入射光と入力光導波路とで軸ずれが生じてしまう。このような場合は、光強度ピーク位置が変動するため、入力光導波路に接続された分岐光導波路の分岐比がばらつく結果となる。光強度ピーク位置の変動は、軸ずれによって光導波路内に基本モード以外の高次モードが励振され、各モードの干渉によって発生すると考えられる。従来の分岐光導波路としては、高次モードが光導波路に対して閉じ込め効果が弱い特性を利用した構造がある。
第1の従来の分岐光導波路としては、長い直線入力光導波路を用いて光強度ピーク位置の変動を減衰させる構造である。
第2の従来の分岐合波光導波路は、入力光導波路に曲線光導波路を設ける構造である(例えば、特許文献1、図12及びその説明参照)。
第3の従来の分岐合波導波路は、入力光導波路にくびれ部分を設ける構造である。例えば、特許第2809517号公報の図14及びその説明を参照すべきである。
前述した第1、第2、第3の分岐光導波路は、高次モードの放射により光強度ピーク位置変動を減衰させるため、放射損失が大きくなる問題がある。また、第1の分岐光導波路は、長い直線入力光導波路を用いて高次モードを放射させるので、長尺化する問題がある。
第2、第3の分岐光導波路は、光導波路形状に変化を加え、閉じ込め効果が弱い高次モードを放射させるが、光導波路形状が変化しているので基本モードも放射する問題がある。また、光導波路形状を変化させる場合、基本モードを放射させないようにするには、光の伝搬方向に対して形状変化具合を鈍くする必要があり、長尺化してしまう問題がある。すなわち、いずれの場合においても放射損失が大きくなり、かつ(または)長尺化してしまう問題がある。前述した第1の分岐光導波路は、長い直線入力光導波路を必要とし、長尺化する問題がある。
本発明は、従来の分岐光導波路の上述した問題に鑑みてなされたものであって、部品の製作が容易でありかつ組立て調整が簡易で安定した光導波路構造を提供することを目的とする。
本発明はまた、界分布のピークのずれの補填を十分に行うことができ、また再現性が高く、光量損失を小さく、さらに分岐比を高精度に均等化することができる光導波路構造を提供することを目的とする。
本発明はさらに、くびれ部等がなく製作が容易で、かつ高次モードの放射が少なく放射損失が小さい光導波路構造を提供することを目的とする。
本明細書において、接続とは、光学的に接続されていればよく、例えば、図2に示すように、接続面に溝や空隙があってもよい。また、第2出入射端部における軸上とは、第2光導波路と第3光導波路との中心位置を光強度ピーク位置の振動中心とすると、振動の振幅の半分以下、好ましくは1/3以下、さらに好ましくは1/4以下とする。
また、屈折率差とは、コアの屈折率をn1、クラッドの屈折率をn2としたとき、
である。
本発明は、A端部とB端部を有する第1光導波路と、C端部とD端部を有する第2光導波路と、E端部とF端部を有する第3光導波路と、及び前記第1光導波路のB端部を第1出入射端部に接続し、前記第2光導波路のC端部及び第3光導波路のE端部を第2出入射端部に接続した分岐合波光導波路とを有する光導波路構造であって、
光強度ピークが、前記第1光導波路のA端部において軸ずれ位置を通過し、前記分岐合波光導波路の第2出入射端部において軸上を通過するように前記第1光導波路及び分岐合波光導波路の長さを決定したことを特徴とする光導波路構造である。
本発明はまた、使用される波長のうち最も短波長の光強度ピーク位置が前記第1光導波路のA端部において軸ずれ位置を通過し、前記分岐合波光導波路の第2出入射端部において軸上を通過するように前記第1光導波路及び分岐合波光導波路の長さを決定したことを特徴とする。
本発明はまた、前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
Lt=450μm
Wt=16μm
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
Ls=N(10.6Ws+147)+6.4
(N=1、2、3、・・)
であることを特徴とする。
本発明はまた、前記光導波路構造が、分岐光導波路として作用することを特徴とする。
本発明はまた、前記光導波路構造が、合波光導波路として作用することを特徴とする。
本発明はまた、前記光導波路構造が、樹脂製光導波路である特徴とする。
本発明はまた、前記光導波路構造が、V溝付き光導波路基板を包含することを特徴とする。
本発明はまた、前記光強度ピークが、第1波長及び第2波長において前記第1光導波路のA端部において軸ずれ位置を通過し、前記分岐合波光導波路の第2出入射端部において軸上を通過するように前記第1光導波路及び分岐合波光導波路の長さを決定したことを特徴とする。
本発明はまた、前記第1光導波路のコア幅が、前記第2及び第3光導波路のコア幅に比べて広いことを特徴とする。
本発明はまた、前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
Lt=450μm
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
Ls=N(10.6Ws+147)−12.6Wt+208
(N=1、2、3、・・)
であることを特徴とする。
本発明はさらに、前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
L=N(10.6Ws+147)−12.6Wt+658
(N=1、2、3、・・)
ただし、L=Ls+Lt
であることを特徴とする。
本発明はさらにまた、前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
Lt=450μm
Wt=16μm
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
Ls=N(32.5Ws 2−415Ws+1540)+6.4
(N=1、2、3、・・)
であることを特徴とする。
本発明はさらにまた、前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
Lt=450μm
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
Ls=N(32.5Ws 2−415Ws+1540)−12.6Wt+208
(N=1、2、3、・・)
であることを特徴とする。
本発明はさらにまた、前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
L=N(32.5Ws 2−415Ws+1540)−12.6Wt+658
(N=1、2、3、・・)
ただし、L=Ls+Lt
であることを特徴とする。
本発明はさらにまた、A端部とB端部を有する非直線の第1光導波路と、C端部とD端部を有する非直線の第2光導波路と、E端部とF端部を有する非直線の第3光導波路と、及び前記第1光導波路のB端部を第1出入射端部に接続し、前記第2光導波路のC端部及び第3光導波路のE端部を第2出入射端部に接続した分岐合波光導波路とを有し、光強度ピークが前記第1出入射端部の軸ずれ位置を通過し、かつ光強度ピークが前記第2出入射端部の軸上位置を通過するように前記分岐合波光導波路の長さを決定したことを特徴とする光導波路構造である。
本発明の曲線光導波路のコア、クラッド材料としてはガラスや半導体材料等の無機材料、樹脂等の有機材料など様々なものが挙げられるが、樹脂等のポリマーがドライエッチング等により短時間で加工しやすいため好ましい。
また、樹脂等の材料は、ガラス、半導体材料等の無機材料に比較して柔軟性に富んでいるために、割れにくく、強靭である長所がある。さらに、膜形成に要する温度を低くすることができ、エッチング速度が早いため、光導波路構造の製造に掛かる時間を短くすることができるため、量産性に向いている。
一方、樹脂等の材料では、石英ガラスに比較して材料固有の伝播損失が大きくなることがある。材料固有の伝播損失は、光導波路の長さに比例するので、同じ機能を与える光導波路を構成するにあたって、光導波路長を短くすることが好ましい。この点で、樹脂製光導波路の場合、従来例に比較して本発明の短尺化効果は相対的に大きくなり、有効な選択と言える。
このようなポリマーとしてはいずれのものも使用できるが、具体例としては、ポリイミド系樹脂(例、ポリイミド樹脂、ポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエステルイミド樹脂等)、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリキノリン系樹脂、ポリキノキサリン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、及びフォトブリーチング用樹脂(例、特開2001−296438号公報記載のポリシラン、ニトロン化合物を有するシリコーン樹脂、DMAPN{(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−N−フェニルニトロン}を含有するポリメタクリル酸メチル、ダイポリマー(dye polymer)、ニトロン化合物を含有するポリイミド樹脂あるいはエポキシ樹脂、特開2000−66051号公報記載の加水分解性シラン化合物等)が挙げられる。上記樹脂はフッ素原子を有しているものであってもよい。ポリマーとして好ましいものとしては、ガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れることからポリイミド樹脂が挙げられ、その中でも透過率、屈折率特性からフッ素を含むポリイミド系樹脂が特に好ましい。
フッ素を含むポリイミド系樹脂としては、フッ素を含むポリイミド樹脂、フッ素を含むポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、フッ素を含むポリエーテルイミド樹脂、フッ素を含むポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。
上記フッ素を含むポリイミド系樹脂の前駆体溶液は、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得られる。フッ素は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの両者に含まれていても良いし、いずれか一方にのみ含まれていてもよい。
また、上記フッ素を含まないポリイミド系樹脂の前駆体溶液は、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中で、フッ素を含まないテトラカルボン酸二無水物とフッ素を含まないジアミンを反応させることにより得られる。
フッ素を含む酸二無水物の例としては、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸二無水物、ペンタフルオロエチルピロメリット酸二無水物、ビス{3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ}ピロメリット酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル二無水物、2,2′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ベンゼン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、2,2−ビス{(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ジフェニルエーテル二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物などが挙げられる。
フッ素を含むジアミンとしては、例えば、4−(1H,1H,11H−エイコサフルオロウンデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−ブタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−ヘプタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−ペンタフルオロフェノキシ−1,3−ジアミノベンゼン、4−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(4−フルオロフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ヘキサノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ドデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、2,5−ジアミノベンゾトリフルオライド、ビス(トリフルオロメチル)フェニレンジアミン、ジアミノテトラ(トリフルオロメチル)ベンゼン、ジアミノ(ペンタフルオロエチル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パーフルオロヘキシル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パーフルオロブチル)ベンゼン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、オクタフルオロベンジジン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノ−p−テルフェニル、1,4−ビス(p−アミノフェニル)ベンゼン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(2−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジトリフルオロメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス{4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、ビス{(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ}ビフェニル、ビス〔{(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ}フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス{2−〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロイソプロピル}ベンゼンなどが挙げられる。
上記のテトラカルボン酸二無水物およびジアミンは二種以上を併用してもよい。ポリイミド系樹脂の前駆体溶液として、感光性を有するものを使用することもできる。
ポリイミド系樹脂前駆体溶液は、スピナあるいは印刷などによる方法により基板表面上に塗布され、最終温度200〜400℃で熱処理し硬化されてポリイミド系樹脂被膜とされる。
第1光導波路のA端部に光信号を入射するために接続される他の光導波路もしくは光ファイバを接続する際には、一方の光導波路に光を導きながら接続部を経て他方の光導波路に導かれる光強度をモニタしながら、最適な接続が得られるように両光導波路の位置関係を高精度に微調整し、接続固定される。
本発明の光導波路構造を用いると、上記調芯要求精度を緩和することができ、組み立てに要する時間を大幅に短縮でき、低コストかつ高歩留に光部品を製造することができる。
また、本発明の光導波路構造は、上記のようなアクティブ調芯法によって組み立てられる光導波路以外に、例えば、第1光導波路のA端部にV溝等、ファイバをパッシブ実装するための手段を有する光導波路部品に対しても好適に用いることができる。パッシブ実装用光導波路の場合には、V溝等と第1光導波路とのアライメントずれを許容することができるので、製造ばらつきに強い高歩留な製造を可能とする。
本発明の光導波路構造によれば、部品の製作が容易でありかつ組立て調整が簡易で安定した光導波路構造を構成できる効果を有する。
本発明の光導波路構造によればまた、界分布のピークのずれの補填を十分に行うことができ、また再現性が高く、光量損失を小さく、さらに分岐比及び合波比を高精度に均等化することができる光導波路構造を構成できる効果を有する。
本発明はさらに、くびれ部等がなく製作が容易で、かつ高次モードの放射が少なく放射損失が小さい光導波路構造を構成することができる効果を有する。
図2は、本発明の実施態様の光導波路構造であって、光導波路間に間隙が有る例の説明図である。
図3は、本発明の分岐光導波路を用いたV溝付き1×4光スプリッタ光導波路構造の平面図である。
図4は、本発明の分岐光導波路を用いたマッハツェンダ干渉計型光導波路の平面図である。
図5は、本発明の他の実施態様の光導波路構造の説明図である。
分岐光導波路構造10は、図1に示すように、A端部12とB端部14を有する第1光導波路16と、C端部22とD端部24を有する第2光導波路26と、E端部32とF端部34を有する第3光導波路36と、及び前記第1光導波路16のB端部14を第1出入射端部42に接続し、前記第2光導波路26のC端部22及び第3光導波路36のE端部32を第2出入射端部44に接続した分岐合波光導波路48とを有する。
第1光導波路16の長さ及び分岐合波光導波路48の長さの和は、第1光導波路のA端部において軸ずれ位置を通過し、分岐合波光導波路の第2出入射端部において軸上を通過するように決定される。
第1光導波路16のコア幅をWs、長さをLs、分岐合波光導波路48の長さをLt、第2出入射端部の44のコア幅をWtとし、
Lt=450μm
Wt=16μm
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
Ls=N(10.6Ws+147)+6.4 (N=1、2、3、・・)
を満たすように、第1光導波路16及び分岐合波光導波路48の長さが決定される。
本発明の分岐光導波路を使用した1×8光スプリッタと従来の1×8光スプリッタのシミュレーションを行った。本発明の分岐光導波路を使用した1×8光スプリッタは、1ch入力から最初の分岐段に本発明光導波路を設置してシミュレーションを行った。従来の1×8光スプリッタは1ch側入力光導波路にくびれ部を設置してシミュレーションを行った。
本発明の分岐光導波路の形状は、入力直線光導波路を第1光導波路としコア幅Wsを6.5μm、長さLsを4×(10.6×6.5+147)+6.4=870μm、
分岐合波光導波路の長さLtを450μm、第2出入射部のコア幅Wtを16μmで設定した。従来の分岐光導波路の形状は、入力直線光導波路のコア幅を6.5μm、くびれ部のコア幅を3.5μmに設定した。入力光は、0.5μm軸ずれさせた。
シミュレーション結果を表1に示す。本発明を使用した1×8光スプリッタの過剰損失は、波長1.31μmで0.47dB、1.55μmで、0.44dBである。これは、従来の直線入力光導波路にくびれ部を設けた場合に比べ、過剰損失が小さくなっている。また、均一性においても表1に示すとおり、本発明を使用した場合の方が約0.3dBばらつきが小さくなっている。このことより、本発明の分岐光導波路を使用することで、高精度に均一化でき、損失が小さい光スプリッタを作成することが可能である。
本発明の分岐光導波路を用いてV溝付き1×4光スプリッタを作製し、光学特性を評価した。分岐光導波路の構造は、図3に示すように、一本のV溝100を設けた入射部102と、4本のV溝100を設けた射出部104を配置し、本発明の分岐光導波路110を1ch入力から最初の分岐段に使用している。同一の入射部及び射出部を使用し、従来構造の入力光導波路を直線にしたものも比較のために作製した。
製造は、以下の手順で行った。V溝付きシリコンウエハ上にSiO2層を形成し、有機ジルコニュウムキレートをスピンコート法により乾燥膜厚100オングストロームとなるように塗布した。乾燥後、その上にフッ素を含むポリイミド樹脂からなる下部クラッド層(8μm)及びコア層(6.5μm)を形成した。次に、コア層の上にシリコン含有レジストを0.5μm厚となるように塗布し、乾燥し、コアパターンを介して露光及び現像した。このレジストパターンを介して反応性イオンエッチングを行い、コア層を形成した。レジスト剥離後、上部クラッド層(15μm)を形成してポリイミド光導波路のV溝付き1×4光スプリッタを作製した。
次に、前記1×4光スプリッタの評価を行った。評価に当たっては、V溝にファイバをパッシブ実装した形態で行い、光源としては、波長1.31μmと1.55μmの半導体レーザを使用した。
結果、本発明の分岐光導波路を使用した1×4光スプリッタの挿入損失は、波長1.31μmで7.31dB、均一性0.41dB、波長1.55μmで7.19dB、均一性0.33dBであった。一方、従来構造の1×4光スプリッタの挿入損失は波長1.31μmで7.87dB、均一性は0.79dB波長1.55μmで7.65dB、均一性0.47dBであった。本発明の分岐光導波路を使用することで従来構造よりも、高均一性でかつ低損失の特性を得ることができた。
他の実施例を説明する。本発明の1×4光スプリッタを1チャンネル入力側の初段分岐に使用した。Wsが6.7μm、Wtが16μm、Lが1330μm、Ltが450μm、Lsが880μmである。参考例として、Wtが6.5μm、Lsが任意の長さである480μmの1×4光スプリッタを想定し、シミュレーションを行った。
シミュレーションには、2次元のビーム伝播法を用いた。入力光は、0.5μm軸ずれさせた。シミュレーションの結果を表2に示す。表2から判るように、本発明の1×4光スプリッタにおいては、入力が0.5μmずれた場合でも、4ch出力側の各チャンネル損失ばらつきが小さく、均一性を保つことができる。本発明によらずLsを任意に設定した参考例ではばらつきが大きく、均一性を保つことが困難である。このことにより、本発明の分岐合波光導波路を使用することにより、高精度に均一性を保つことができ、損失が小さい光スプリッタを作成することができる。
本発明の分岐光導波路は光スプリッタ以外にも、例えば、マッハツェンダ干渉計型光導波路等のように、分岐構造を有し、高精度に均等化する必要がある光学装置に使用することも可能である。このマッハツェンダ干渉計型光導波路200は、図4に示すように、2つの本発明の光導波路構造を有し、一方は分岐光導波路202であり、他方は合波光導波路204である。また、異なった長さの光導波路220、222を有する。一方の光導波路220は、一端部が分岐光導波路202の一方の射出光導波路であり、他端部が合波光導波路204の一方の入射光導波路である。他方の光導波路222は、一端部が分岐光導波路202の他方の射出光導波路であり、他端部が合波光導波路204の他方の入射光導波路である。
本発明の他の実施態様の光導波路構造を説明する。図5に示す分岐光導波路構造10は、A端部12とB端部14を有する非直線の第1光導波路16と、C端部22とD端部24を有する非直線の第2光導波路26と、E端部32とF端部34を有する非直線の第3光導波路36と、及び前記第1光導波路16のB端部14を第1出入射部42に接続し、前記第2光導波路26のC端部22及び第3光導波路36のE端部32を第2出入射部44に接続した分岐合波光導波路48を有する。
分岐合波光導波路48の長さTは、光強度ピークが第1出入射端部42の軸ずれ位置を通過し第2出入射端部44の軸上位置を通過するように決定される。例えば、光スプリッタの曲線光導波路と分岐合波光導波路が接続される構造において、本発明の分岐光導波路構造を使用することで、高精度に光の分岐比を均一化することができ、低損失な光スプリッタを作成することが可能である。
Claims (15)
- A端部とB端部を有する第1光導波路と、C端部とD端部を有する第2光導波路と、E端部とF端部を有する第3光導波路と、及び前記第1光導波路のB端部を第1出入射端部に接続し、前記第2光導波路のC端部及び第3光導波路のE端部を第2出入射端部に接続した分岐合波光導波路とを有する光導波路構造であって、
光強度ピークが、前記第1光導波路のA端部において軸ずれ位置を通過し、前記分岐合波光導波路の第2出入射端部において軸上を通過するように前記第1光導波路及び分岐合波光導波路の長さを決定したことを特徴とする光導波路構造。 - 使用される波長のうち最も短波長の光強度ピーク位置が前記第1光導波路のA端部において軸ずれ位置を通過し、前記分岐合波光導波路の第2出入射端部において軸上を通過するように前記第1光導波路及び分岐合波光導波路の長さを決定したことを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
- 前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
Lt=450μm
Wt=16μm
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
Ls=N(10.6Ws+147)+6.4
(N=1、2、3、・・)
であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。 - 前記光導波路構造が、分岐光導波路として作用することを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
- 前記光導波路構造が、合波光導波路として作用することを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
- 前記光導波路構造が、樹脂製光導波路である特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
- 前記光導波路構造が、V溝付き光導波路基板を包含することを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
- 前記光強度ピークが、第1波長及び第2波長において前記第1光導波路のA端部において軸ずれ位置を通過し、前記分岐合波光導波路の第2出入射端部において軸上を通過するように前記第1光導波路及び分岐合波光導波路の長さを決定したことを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
- 前記第1光導波路のコア幅が、前記第2及び第3光導波路のコア幅に比べて広いことを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。
- 前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
Lt=450μm
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
Ls=N(10.6Ws+147)−12.6Wt+208
(N=1、2、3、・・)
であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。 - 前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
L=N(10.6Ws+147)−12.6Wt+658
(N=1、2、3、・・)
ただし、L=Ls+Lt
であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。 - 前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
Lt=450μm
Wt=16μm
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
Ls=N(32.5Ws 2−415Ws+1540)+6.4
(N=1、2、3、・・)
であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。 - 前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
Lt=450μm
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
Ls=N(32.5Ws 2−415Ws+1540)−12.6Wt+208
(N=1、2、3、・・)
であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。 - 前記第1光導波路のコア幅をWs、長さをLs、前記分岐合波光導波路の長さをLt、前記第2出入射出端部のコア幅をWtとし、
コアとクラッドの屈折率差=0.4%であるとき、
L=N(32.5Ws 2−415Ws+1540)−12.6Wt+658
(N=1、2、3、・・)
ただし、L=Ls+Lt
であることを特徴とする請求項1に記載の光導波路構造。 - A端部12とB端部14を有する非直線の第1光導波路16と、C端部22とD端部24を有する非直線の第2光導波路26と、E端部32とF端部34を有する非直線の第3光導波路36と、及び前記第1光導波路16のB端部14を第1出入射端部42に接続し、前記第2光導波路26のC端部22及び第3光導波路36のE端部32を第2出入射端部44に接続した分岐合波光導波路48とを有し、光強度ピークが前記第1出入射端部42の軸ずれ位置を通過し、かつ光強度ピークが前記第2出入射端部44の軸上位置を通過するように前記分岐合波光導波路48の長さを決定したことを特徴とする光導波路構造。
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