JP4033231B2 - 光分岐光導波路 - Google Patents
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Description
ところで、光集積回路において、光分岐回路、光合波回路は基本的な要素として必要不可欠なものであり、従来よりY型に分岐された光導波路が知られている。従来のY分岐光導波路の構造は図1に示すように、主導波路1、テーパ導波路2、分岐導波路3、4を接続してなり、テーパ導波路2と分岐導波路3、4の間には分岐点5が存在する。
こうしたY分岐光導波路において、光の低損失化は重要な課題であり、その方法の一つとして円弧状に湾曲する分岐導波路3、4の曲率半径を大きくすることが考えられる。しかしながら、その場合には回路のサイズを大きくする必要があり、実際には回路のサイズは基板の大きさによる制約を受けるため、曲率半径の増大には限界があった。
また、分岐点5において、光の低損失化のためには、該分岐点5は鋭峻である必要があるが、パターンニングやエッチングの精度などの原因により、完全に鋭峻な構造とすることはできず、最も光の強度の大きい光学的な中心部分(光伝搬モードの中心軸)が、この分岐点5で散乱され、大きな分岐損失が生じる。
さらに、1×N光スプリッタに入出射ファイバーを接続して実装を行う場合には、治具の工具精度、アライメント装置の機械精度などによって、入射ファイバーと光回路の入射直線光導波路の間で軸ずれを生じる場合がある。この場合には、光導波路において、基本モードの他に、高次モード、放射モードが励振され、分岐比にばらつきが生じる。
しかしながら、例えば光導波路が曲線構造を有する場合には、図3に示すように、光の強度分布の中心軸(光伝搬モードの中心軸)hが、入射光導波路(コア部)7の幾何学的な中心軸aと一致しない場合や、図4に示すように、光の強度分布の中心軸hと入射光導波路(コア部)7の幾何学的な中心軸aとが一致していても、光の強度分布を示す形状が、光の強度分布の中心軸hに対して非対称である場合がある。かかる場合に、上述のような軸ずれ(オフセット)構造を設けたとしても、光分岐光導波路において分岐比を等分とすることができないという問題点があった。
一方、入射光導波路を伝搬する光が、入射光導波路の幾何学的中心軸に対して非対称な光の強度分布(界分布)を持つ場合に、これを対称な形状とするには長い直線部分が必要であるため、モジュールが大型化するという問題点があった。
現実には、マルチモード光導波路に入射される光は、入射光導波路を伝搬する基本モード以外の高次モード、放射モードの成分をも含んでいることが多く、また例えば、入射光導波路が曲率を有している場合には、通常基本モードが非対称となる。
さらには、MMI型光分岐光導波路では、波長によって基本モード光と高次モード光の干渉位置が異なるため、光の強度の損失、分岐比ともに波長依存性を持つという問題点があった。すなわち、光の波長に応じてMMI型光分岐光導波路の設計を変更する必要があり、製造が非効率化する等の問題があった。
さらに、入射光導波路の幾何学的中心軸とマルチモード光導波路の幾何学的中心軸をずらすことによって生じる界分布の波長依存性と、マルチモード光導波路のコア形状をその幾何学的な中心軸に対して非対称とすることによって発生する界分布の波長依存性を整合させることにより、波長に依存せず、かつ分岐損失、分岐比のばらつきを抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)マルチモード光導波路の一方の端部に、少なくとも1本の入射光導波路(A)が光学的に接続され、他方の端部に入射光導波路(A)よりも多数の出射光導波路(B)が光学的に接続された光分岐光導波路であって、入射光導波路(A)とマルチモード光導波路の接続面において、入射光導波路(A)のうちの少なくとも1本の光導波路(a)からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布が、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸に対して非対称であり、かつ該光導波路(a)の幾何学的な中心軸の延長線が前記マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸と一致しないことを特徴とする光分岐光導波路、
(2)マルチモード光導波路の一方の端部に、少なくとも1本の入射光導波路(A)が光学的に接続され、他方の端部に入射光導波路(A)よりも多数の出射光導波路(B)が光学的に接続された光分岐光導波路であって、入射光導波路(A)とマルチモード光導波路の接続面において、入射光導波路(A)のうちの少なくとも1本の光導波路(a)からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布が、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸に対して非対称であり、かつマルチモード光導波路のコア形状が該マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸に対して非対称であることを特徴とする光分岐光導波路、
(3)前記光導波路(a)の幾何学的な中心軸の延長線が前記マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸と一致しない上記(2)記載の光分岐光導波路、
(4)前記光導波路(a)からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布における最も強度の大きい光学的な中心軸が、マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸と実質的に一致することを特徴とする上記(1)又は(3)に記載の光分岐光導波路、
(5)前記マルチモード光導波路のコア形状が、少なくとも一方の側端部に切り欠き構造を有する上記(2)〜(4)のいずれかに記載の光分岐光導波路、
(6)前記切り欠き構造が、マルチモード光導波路のコアの入射光導波路(A)と接続する側から該コアの側端部に向けて、切り欠いたものであり、かつその形状が入射光導波路(A)と接続する側から出射光導波路(B)と接続する側に向けて正弦曲線構造である上記(5)記載の光分岐光導波路、
(7)前記入射光導波路(A)が1本の入射光導波路であり、前記出射光導波路(B)が2本以上の出射光導波路であり、2本以上の出射光導波路における各光導波路への光の分岐比が実質的に等分である上記(1)又は(2)に記載の光分岐光導波路、
(8)前記入射光導波路(A)及び/又は出射光導波路(B)がシングルモード光導波路である上記(1)〜(7)のいずれかに記載の光分岐光導波路、
(9)前記マルチモード光導波路を構成するコア及び/又はクラッドの一部又は全部がポリマーからなる上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光分岐光導波路、
(10)前記ポリマーがフッ素を含むポリイミド系樹脂である上記(9)記載の光分岐光導波路、及び
(11)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の光分岐光導波路を用いた光学装置、
を提供するものである。
2.テーパ導波路(コア部)
3.分岐導波路(コア部)
4.分岐導波路(コア部)
5.分岐点
6.マルチモード光導波路(コア部)
7.入射光導波路(コア部)
8.出射光導波路(コア部)
9.出射光導波路(コア部)
10.入射光導波路とマルチモード光導波路の接続面
a:入射光導波路の幾何学的な中心軸
b:マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸
d:出射光導波路間の距離
h:光の強度分布の中心軸(光伝搬モードの中心軸)
L:マルチモード光導波路のコアの長さ
w1:入射光導波路及び出射光導波路の幅
w2:マルチモード光導波路の幅
x:オフセットの距離
z:側端部からの距離
まず、本発明の光分岐光導波路の基本的構成について、図5を用いて説明する。本発明の光分岐光導波路の基本的構成は、マルチモード光導波路(コア部)6の一方の端部に、1本の入射光導波路(コア部)7が光学的に接続され、他方の端部に、例えば2本の出射光導波路(コア部)8及び9が光学的に接続されたものである。ここで、2本の出射光導波路(コア部)8及び9への光の分岐比は実質的に等分である。なお、光導波路(コア部)7、8及び9とマルチモード光導波路(コア部)6とは光学的に接続されていればよく、図5に示すように間隙なく接続されていてもよいし、又は光導波路(コア部)7、8及び9とマルチモード光導波路(コア部)6との間に間隙があってもよい。さらには、光導波路(コア部)7、8及び9に代えて、光ファイバーを直接マルチモード光導波路に光学的に接続させる場合をも含むものである。
入射光導波路(コア部)7からマルチモード光導波路(コア部)6に入射される光の強度分布は、入射光導波路(コア部)7とマルチモード光導波路(コア部)6の接続面10において、入射光導波路の幾何学的な中心軸に対して非対称である。ここで、入射光導波路の幾何学的な中心軸とは、入射光導波路を構成するコアの中心軸をいい、該中心軸から両側のクラッドまでの距離が等間隔である。
入射光導波路(コア部)7の幾何学的な中心軸aの延長線とマルチモード光導波路(コア部)6の幾何学的な中心軸bの軸ずれ(オフセット)の距離xは、入射光導波路とマルチモード光導波路の接続面における、入射光導波路からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布の非対称性に応じて適宜決定されるが、通常1.5μm以下であることが好ましく、さらには0.7μm以下であることが好ましい。
このように、入射光導波路の幾何学的中心軸aと、マルチモード光導波路の幾何学的中心軸bの軸ずれ(オフセット)によって、入射側の光導波路を伝搬する光の強度分布(界分布)が、該光導波路の幾何学的な中心軸に対して非対称であっても、分岐損失、分岐比のばらつきを小さくすることができる。
マルチモード光導波路は、通常幾何学的な中心軸bに対して対称な形状を有しており、マルチモード光導波路の長さ、幅を制御することにより、例えば伝搬する光をほぼ均等な2つのピークを持つ強度分布とし、この部分に対応して2つの出射光導波路を配置することにより、分岐比1:1(等分)の光の分岐を達成するものである。しかしながら、前述のように、入射側の光導波路を伝搬する光の強度分布(界分布)が、該入射側の光導波路の幾何学的な中心軸に対して非対称の場合、マルチモード光導波路内を伝搬する光は均等な2つのピークを持つ強度分布を有さず、分岐光導波路において、光の分岐比を等分とすることができない。
マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸に対して非対称なコア形状としては、種々のものが考えられるが、製造の容易さ等を考慮すると、マルチモード光導波路のコア形状が、少なくとも一方の側端部に切り欠き構造を有するものであることが好ましい。
ここで、切り欠き構造とは、コアの側端部を何らかの形状に切った構造であればよく、例えば、該コアの側端部とマルチモード光導波路の幾何学的な中心軸との距離が、光の進行方向に対して、少なくとも一部で互いに異なるように構成したものが挙げられる。より具体的には、図7に示すように、マルチモード光導波路の光の入射部におけるコアの幅を、出射部のコアの幅よりも小さくするように切り欠く形状や、図8に示すように、マルチモード光導波路のコアの中間部分において、側端部を切り欠く形状等が挙げられる。
さらには該距離をマルチモード光導波路の入り口から出口に向かって正弦関数状に大きくすること、すなわち、前記切り欠き構造が、マルチモード光導波路の入り口部分から出口部分に向けて正弦曲線構造を有するものであることが好ましい。光の強度の損失をより抑制することができるとともに、CAD等で容易に設計できるという利点がある。
入射光導波路の幾何学的中心軸とマルチモード光導波路の幾何学的中心軸の軸ずれ(オフセット)によって、上述のように分岐損失及び分岐比のばらつきを小さくすることができるが、それと同時に光導波路を伝搬する光の強度分布(界分布)の波長依存性が生じる。従って、使用する光の波長によって、光導波路の設計を変更する必要性がある。
一方、マルチモード光導波路のコア形状をその幾何学的な中心軸に対して非対称とすることによって、分岐損失及び分岐比のばらつきを小さくすることができるが、それと同時に界分布の波長依存性が生じ、オフセットを行ったときと同様に、使用する光の波長によって、光導波路の設計を変更する必要性がある。
なお、上記の説明では、出射光導波路が2つのいわゆるY分岐光導波路をもって説明したが、これに限定されず、さらに多くの出射光導波路を有する光導波路にも適用可能である。ここで、本発明において「Y分岐」又は「Y型分岐」とは、直線3本で構成された狭義のY型分岐構造を指すのではなく、1本の入力から2本の出力(もしくはその逆)に分岐する1×2分岐の構造の光導波路の回路要素を指すものとする。
また、2本の出射光導波路(コア部)8及び9への光の分岐比は実質的に等分である場合について説明したが、マルチモード光導波路の長さ、幅を制御することにより、例えば1:2の分岐比など任意の分岐比を得ることができるため(例えば、特開2000−121857参照)、これに本発明を適用することで、任意の分岐比で、かつ分岐損失、分岐比のばらつきが少なく、しかも、波長依存性の小さい光分岐光導波路を得ることができる。
さらに、上記の説明では、入射光導波路が1本である場合について説明したが、入射光導波路は複数あってもよい。この場合には、複数ある入射光導波路のうち少なくとも1本の光導波路において上記の条件を満たせばよい。
また、入射光導波路及び/又は出射光導波路は光ファイバーであってもよい。本発明は、複数の分岐構造が連続して使用される場合、例えば1×2分岐構造をツリー構成として1×n分岐のスプリッタを構成する場合に、特に効果を発揮する。この場合には第1段目の入射光導波路は、光ファイバーと接続されることが多く、入射光導波路自体を光ファイバーとすることは、本発明の好ましい態様の一つである。なお、光ファイバーは反射減衰量の低減という利点があることから斜めに接続される場合があり、その場合には入射光強度分布が非対称となるため、本発明が特に有効である。
さらに、一般に双方向の光伝送では、Y型分岐光導波路において、出射光導波路から、入射光導波路に光を伝搬させることもあり、本発明の光導波路は光分岐光導波路のみではなく、光合波光導波路として使用することもできる。この場合、出射光導波路は入射用の光導波路として、入射光導波路は出射用光導波路として用いられ、本発明の光導波路は、マルチモード光導波路の一方の端部に、少なくとも1本の出射用として用いられる光導波路(A)が光学的に接続され、他方の端部に光導波路(A)よりも多数の入射用として用いられる光導波路(B)が光学的に接続された光合波光導波路であって、光導波路(A)とマルチモード光導波路の接続面において、マルチモード光導波路から出射され光導波路(A)のうちの少なくとも1本の光導波路(a)に結合される光の強度分布が、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸に対して非対称であり、かつ該光導波路(a)の幾何学的な中心軸の延長線が前記マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸と一致しないか又はマルチモード光導波路のコア形状が該マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸に対して非対称である光合波光導波路となる。
上記フッ素を含むポリイミド系樹脂の前駆体溶液は、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得られる。フッ素は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの両者に含まれていてもよいし、いずれか一方にのみ含まれていてもよい。
また、上記フッ素を含まないポリイミド系樹脂の前駆体溶液は、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中で、フッ素を含まないテトラカルボン酸二無水物とフッ素を含まないジアミンを反応させることにより得られる。
ポリイミド系樹脂前駆体溶液は、スピナあるいは印刷などによる方法により基板表面上に塗布され、最終温度200〜400℃で熱処理し硬化されてポリイミド系樹脂被膜とされる。
実施例1
以下の材料を用いて、図10に示される概略構造を有する光分岐光導波路を作製した。
コア:フッ素化ポリイミド樹脂(日立化成工業株式会社製「OPI−N3205」)
クラッド:フッ素化ポリイミド樹脂(日立化成工業株式会社製「OPI−N1005」)
入射光導波路(シングルモード、コア部)7、2本の出射光導波路(シングルモード、コア部)8及び9の幅w1は6.5μm、マルチモード光導波路の幅w2は15μm、長さLは220μm、マルチモード光導波路の出口における出射光導波路(シングルモード、コア部)の距離dは3.5μmである。また入射光導波路(コア部)7は、図には示さないが、曲率半径rが15mmの曲線部分を有し、入射光導波路とマルチモード光導波路の接続面10において、入射光導波路からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布は、入射光導波路の幾何学的な中心軸に対して非対称な形状を有していた。入射光導波路(コア部)7の幾何学的中心軸aとマルチモード光導波路の幾何学的中心軸bとの軸ずれ(オフセット)xを0.5μmとした。波長1.55μmの光を用いて、2本の出射光導波路(コア部)8及び9へ出射される光の分岐比を測定した。その結果、光の分岐比は0.99:1であった。
入射光導波路(コア部)7の幾何学的中心軸aと、マルチモード光導波路の幾何学的中心軸bとの軸ずれ(オフセット)を行わないこと以外は実施例1と同様にして光分岐光導波路を作製し、2本の出射光導波路(コア部)8及び9へ出射される光の分岐比を測定した。その結果、光の分岐比は光の波長が1.31μmの場合に0.98:1、光の波長が1.55μmの場合に0.90:1であった。
実施例1に記載したのと同様の材料を用いて、コア形状が図11に示されるような切り欠き構造を持つ、マルチモード光導波路を有する光分岐光導波路を作製した。
入射光導波路(コア部)7、2本の出射光導波路(コア部)8及び9の幅w1は6.5μm、マルチモード光導波路の幅w2は15μm、長さLは220μm、マルチモード光導波路の出口における出射光導波路の距離dは3.5μmである。入射光導波路(コア部)7の幾何学的中心軸aとマルチモード光導波路の幾何学的中心軸bは一致させた。マルチモード光導波路の入り口部分は、側端部から距離z(z=0.6μm)だけ短くなっており、該入り口部分からマルチモード光導波路の出口部分に向けて正弦曲線構造を有するものである。また入射光導波路(コア部)7は、図には示さないが、曲率半径rが15mmの曲線部分を有し、入射光導波路とマルチモード光導波路の接続面10において、入射光導波路からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布は、入射光導波路の幾何学的な中心軸aに対して非対称な形状を有していた。波長1.31μmの光を用いて、2本の出射光導波路(コア部)8及び9へ出射される光の分岐比を測定した。その結果、光の分岐比は1:1であった。
実施例1に記載したのと同様の材料を用いて、マルチモード光導波路のコア形状が図12に示されるような切り欠き構造を持ち、かつ軸ずれ(オフセット)構造を持つ光分岐光導波路を作製した。
入射光導波路(コア部)7、2本の出射光導波路(コア部)8及び9の幅w1は6.5μm、マルチモード光導波路の幅w2は15μm、長さLは220μm、マルチモード光導波路の出口における出射光導波路の距離dは3.5μmである。マルチモード光導波路の入り口部分は、側端部から距離z(z=0.8μm)だけ短くなっており、該入り口部分からマルチモード光導波路の出口部分に向けて正弦曲線構造を有するものである。また、入射光導波路(コア部)7の幾何学的中心軸aとマルチモード光導波路の幾何学的中心軸bとの軸ずれ(オフセット)xを0.9μmとした。
なお、入射光導波路(コア部)7は、図には示さないが、曲率半径rが15mmの曲線部分を有し、入射光導波路とマルチモード光導波路の接続面10において、入射光導波路からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布は、入射光導波路の幾何学的な中心軸aに対して非対称な形状を有していた。
波長1.55μmの光を用いて、2本の出射光導波路(コア部)8及び9へ出射される光の分岐比を測定した。その結果、光の分岐比は1:1であった。
マルチモード光導波路の入り口部分が、側端部から距離z(z=0.2μm)だけ短くなっており、入射光導波路(コア部)7の幾何学的中心軸aとマルチモード光導波路の幾何学的中心軸bとの軸ずれ(オフセット)xを0.5μmとしたこと以外は、実施例3と同様にして光分岐光導波路を作製した。
波長1.31μm及び1.55μmの光を用いて、2本の出射光導波路(コア部)8及び9へ出射される光の分岐比を測定した。その結果、光の分岐比は波長1.31μmでは0.99:1、1.55μmでは1.01:1であった。
また、入射光導波路の有する曲率によっても、zとxの関係は異なるが、同様に、分岐比が実質的に等分となるように、zとxを選択することが可能である。
すなわち、図12に示される構造を有する光分岐光導波路によれば、入射光導波路(コア部)7からマルチモード光導波路(コア部)6に入射される光の強度分布が、入射光導波路とマルチモード光導波路の接続面10において、入射光導波路(コア部)7の幾何学的な中心軸に対して非対称であっても、光の波長に依存することなく、2本の出射光導波路(コア部)8及び9への光の分岐比を実質的に等分とすることができる。
Claims (15)
- マルチモード光導波路の一方の端部に、少なくとも1本の入射光導波路(A)が光学的に接続され、他方の端部に入射光導波路(A)よりも多数の出射光導波路(B)が光学的に接続されたマルチモード干渉型光分岐光導波路であって、入射光導波路(A)とマルチモード光導波路の接続面において、入射光導波路(A)のうちの少なくとも1本の光導波路(a)からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布が、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸に対して非対称であり、かつ該光導波路(a)の幾何学的な中心軸の延長線と前記マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸とを分岐損失及び分岐比のばらつきが少なくなる方向に軸ずれさせることを特徴とするマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- マルチモード光導波路の一方の端部に、少なくとも1本の入射光導波路(A)が光学的に接続され、他方の端部に入射光導波路(A)よりも多数の出射光導波路(B)が光学的に接続されたマルチモード干渉型光分岐光導波路であって、入射光導波路(A)とマルチモード光導波路の接続面において、入射光導波路(A)のうちの少なくとも1本の光導波路(a)からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布が、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸に対して非対称であり、かつマルチモード光導波路のコア形状が該マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸に対して分岐損失及び分岐比のばらつきが少なくなるように非対称とすることを特徴とするマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- マルチモード光導波路の一方の端部に、少なくとも1本の入射光導波路(A)が光学的に接続され、他方の端部に入射光導波路(A)よりも多数の出射光導波路(B)が光学的に接続されたマルチモード干渉型光分岐光導波路であって、入射光導波路(A)が1本の光導波路(a)であり、該光導波路(a)からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布が、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸に対して非対称であり、前記出射光導波路(B)が2本以上の出射光導波路であり、2本以上の出射光導波路における各光導波路への光の分岐比が等分となるように、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸の延長線と前記マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸とを軸ずれさせることを特徴とするマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- マルチモード光導波路の一方の端部に、少なくとも1本の入射光導波路(A)が光学的に接続され、他方の端部に入射光導波路(A)よりも多数の出射光導波路(B)が光学的に接続されたマルチモード干渉型光分岐光導波路であって、入射光導波路(A)が1本の光導波路(a)であり、該光導波路(a)からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布が、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸に対して非対称であり、前記出射光導波路(B)が2本以上の出射光導波路であり、2本以上の出射光導波路における各光導波路への光の分岐比が等分となるように、マルチモード光導波路のコア形状が該マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸に対して非対称とすることを特徴とするマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- マルチモード光導波路の一方の端部に、少なくとも1本の入射光導波路(A)が光学的に接続され、他方の端部に入射光導波路(A)よりも多数の出射光導波路(B)が光学的に接続されたマルチモード干渉型光分岐光導波路であって、入射光導波路(A)が1本の光導波路(a)であり、該光導波路(a)からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布が、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸に対して非対称であり、前記出射光導波路(B)が2本以上の出射光導波路であり、2本以上の出射光導波路における各光導波路への光の分岐比のばらつきが±1%以下となるように、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸の延長線と前記マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸とを軸ずれさせることを特徴とするマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- マルチモード光導波路の一方の端部に、少なくとも1本の入射光導波路(A)が光学的に接続され、他方の端部に入射光導波路(A)よりも多数の出射光導波路(B)が光学的に接続されたマルチモード干渉型光分岐光導波路であって、入射光導波路(A)が1本の光導波路(a)であり、該光導波路(a)からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布が、該光導波路(a)の幾何学的な中心軸に対して非対称であり、前記出射光導波路(B)が2本以上の出射光導波路であり、2本以上の出射光導波路における各光導波路への光の分岐比のばらつきが±1%以下となるように、マルチモード光導波路のコア形状が該マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸に対して非対称とすることを特徴とするマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- 前記光導波路(a)の幾何学的な中心軸の延長線が前記マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸と一致しない請求項2、4又は6記載のマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- 前記光導波路(a)からマルチモード光導波路に入射される光の強度分布における最も強度の大きい光学的な中心軸が、マルチモード光導波路の幾何学的な中心軸と一致することを特徴とする請求項1、3、5及び7のいずれかに記載のマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- 前記マルチモード光導波路のコア形状が、少なくとも一方の側端部に切り欠き構造を有する請求項2、4及び6〜8のいずれかに記載のマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- 前記切り欠き構造が、マルチモード光導波路のコアの入射光導波路(A)と接続する側から該コアの側端部に向けて、切り欠いたものであり、かつその形状が入射光導波路(A)と接続する側から出射光導波路(B)と接続する側に向けて正弦曲線構造である請求項9記載のマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- 前記入射光導波路(A)が1本の入射光導波路であり、前記出射光導波路(B)が2本の出射光導波路であり、各出射光導波路への光の分岐比が0.99:1〜1.01:1の範囲である請求項1〜10のいずれかに記載のマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- 前記入射光導波路(A)及び/又は出射光導波路(B)がシングルモード光導波路である請求項1〜11のいずれかに記載のマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- 前記マルチモード光導波路を構成するコア及び/又はクラッドの一部又は全部がポリマーからなる請求項1〜12のいずれかに記載のマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- 前記ポリマーがフッ素を含むポリイミド系樹脂である請求項13記載のマルチモード干渉型光分岐光導波路。
- 請求項1〜14のいずれかに記載のマルチモード干渉型光分岐光導波路を用いた光学装置。
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