JP2004301951A - 光導波路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】曲部を有する光導波路であって、前記曲部の外側縁部の所定位置から内側縁部までの最短距離を該所定位置の光導波路幅とするとき、前記曲部内の中間にある最大光導波路幅から該曲部の両端部に向けて前記光導波路幅が漸減することを特徴とする光導波路。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路、Y形光導波路及びこれらを有する光学装置、さらにこれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のパソコンやインターネットの普及に伴い、情報伝送需要が急激に増大しており、伝送速度の速い光伝送が普及されつつある。光導波路は光伝送における光インターコネクションとして使用されている。例えば光スプリッタ(分岐結合器)のような光学装置では、分岐構造と複数の曲線光導波路とを光学的に結合して使用している。かかる曲線光導波路は、通常コア幅が一定である。
コア幅を変化させた曲線光導波路としては、分岐部の損失を低減することを目的として、Y分岐の外側形状と内側形状を一定の関数に基づく形状としてコア幅を漸次拡大させた曲線光導波路が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第2589367号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
光導波路が光スプリッタを構成する場合などにおいて、2本の曲線光導波路が分岐構造に接続する部分では、理想的には両曲線光導波路の間隔を無限小から徐々に広げることが光の損失を低減するうえでは有効であるが、製造上の制約から歩留よく無限小の間隙を形成することは極めて困難である。このため、両曲線光導波路の間隔を広く配置することで、分岐部分の製造上の形状のばらつきの影響を小さくすることができ、また、クラッド材料による狭幅部分の埋め込み不良を低減することができる。ところが、広く配置した間隙からクラッドへの漏れ光が多くなり、結果として、分岐過剰損失が大きくなるという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、曲線光導波路の曲線の形状を変えることにより上記課題を解決し得ることを見出し、完成されたものである。本発明は、さらに好ましくは、曲線光導波路の内周の曲線の形状を変えることにより上記課題を解決するものである。
すなわち、第1発明は、両端部及び内側縁部と外側縁部によりなるコア領域を有する曲線光導波路であって、中間部に前記両端部の小さくない方のコア幅のより広いコア幅の部分を少なくとも1箇所に有することを特徴とする光導波路である。
【0006】
第2発明は、曲部を有する光導波路であって、
前記曲部の外側縁部の所定位置から内側縁部までの最短距離を該所定位置の光導波路幅とするとき、前記曲部内の中間にある最大光導波路幅から該曲部の両端部に向けて前記光導波路幅が漸減し、かつ
前記外側縁部の前記曲部の両端部を結ぶ直線Lの長さをl、前記直線Lから外側縁部までの最大高さをh、前記内側縁部の前記曲部の両端部を結ぶ直線L’の長さをl’、前記直線L’から内側縁部までの最大高さをh’とするとき、
h/l>h’/l’
であることを特徴とする光導波路である。
【0007】
第3発明は、曲部を有する光導波路であって、該曲部の内側縁部の曲率が外側の曲率より小さいことを特徴とする光導波路である。
【0008】
第1発明ないし第3発明の実施態様は以下のとおりである。
前記内側縁部が、直線であることを特徴とする。
前記曲部の両端部の前記光導波路幅が略等しいことを特徴とする。
前記外側縁部と内側縁部が、円弧状で、前記最大光導波路幅の両縁部の位置の法線が重なることを特徴とする。
前記光導波路の少なくとも一部が、ポリマーであることを特徴とする。
前記ポリマーが、フッ素を含むポリイミド系樹脂であることを特徴とする。
【0009】
第4発明は、第1発明ないし第3発明の光導波路を有することを特徴とする光学装置である。
【0010】
第5発明は、基板上に主光導波路とこれを分岐した2本以上の分岐光導波路を有する分岐形光導波路において、
少なくとも一本の分岐光導波路が、両端部及び内側縁部と外側縁部によりなるコア領域を有する曲線光導波路であって、中間部に前記両端部の小さくない方のコア幅のより広いコア幅の部分を少なくとも1箇所に有する曲線光導波路を有していることを特徴とする分岐形光導波路である。
【0011】
第6発明は、基板上に主光導波路とこれを分岐した2本以上の分岐光導波路を有する分岐形光導波路において、
前記分岐光導波路のうちの少なくとも2本の分岐光導波路の一方は、他方の前記分岐光導波路に近い側の連続的に変化する外側縁部とその反対側の内側縁部を有し、
前記外側縁部の所定位置から前記内側縁部までの最短距離を該所定位置の分岐光導波路幅とするとき、前記分岐光導波路の曲線領域内の中間にある最大分岐光導波路幅から該領域の両端部に向けて前記分岐光導波路幅が漸減し、かつ
前記外側縁部の前記曲線領域の両端部を結ぶ直線Lの長さをl、前記直線Lから外側縁部までの最大高さをh、前記内側縁部の前記曲線領域の両端部を結ぶ直線L’の長さをl’、前記直線L’から内側縁部までの最大高さをh’とするとき、
h/l>h’/l’
することを特徴とする分岐形光導波路である。
【0012】
Y形光導波路は、テーパを利用したり、MMI構造を利用したり、方向性結合器を利用する等して構成することができる。また、2本の分岐形光導波路は、分岐部に平行に光学的に接合されていても、所定の開き角をもって光学的に接合されていてもよい。前記開き角は、大きな角度でないことが好ましい。好ましくは、開き角は10°以下である。さらに好ましくは、開き角は5°以下である。さらに好ましくは、開き角は1°以下である。
【0013】
第7発明は、基板上に主光導波路とこれを分岐した2本以上の分岐光導波路を有する分岐形光導波路において、
少なくとも一本の前記分岐光導波路が、曲部を有する光導波路であって、該曲部の外側縁部の曲率が内側の曲率より小さい該光導波路を有していることを特徴とする分岐形光導波路である。
【0014】
第5発明ないし第7発明の実施態様は、以下のとおりである。
基板上に主光導波路とこれを分岐した2本以上の分岐光導波路を有する分岐形光導波路において、前記分岐形光導波路がY形光導波路であることを特徴とする。
前記曲線領域の前記主光導波路側の端部が、前記分岐光導波路の分岐位置から100μm〜1000μmの位置にあることを特徴とする。
前記曲線領域の長さが、100μm〜400μmであることを特徴とする。
【0015】
第8発明は、第5発明ないし第7発明の分岐形光導波路を有することを特徴とする光学装置である。
【0016】
第9発明は、両端部及び内側端部と外側端部によりなるコア領域を有する曲線光導波路製造用マスクであって、中間部に前記両端部の小さくない方のコア幅より広いコア幅の部分を少なくとも1箇所に有することを特徴とする曲線光導波路製造用マスクである。
【0017】
第10発明は、曲部を有する光導波路製造用マスクであって、前記曲部の外側縁部の所定位置から内側縁部までの最短距離を該所定位置の光導波路幅とするとき、前記曲部内の中間にある最大光導波路幅から該曲部の両端部に向けて前記光導波路幅が漸減し、かつ
前記外側縁部の前記曲部の両端部を結ぶ直線Lの長さをl、前記直線Lから外側縁部までの最大高さをh、前記内側縁部の前記曲部の両端部を結ぶ直線L’の長さをl’、前記直線L’から内側縁部までの最大高さをh’とするとき、
h/l>h’/l’
であることを特徴とする光導波路製造用マスクである。
【0018】
第11発明は、曲部を有する光導波路製造用マスクであって、該曲部の内側縁部の曲率が外側の曲率より小さいことを特徴とする光導波路製造用マスクである。
【0019】
第9発明ないし第11発明の実施態様は、以下のとおりである。
前記内側縁部が直線であることを特徴とする。
前記曲部の両端部の前記光導波路幅が略等しいことを特徴とする。
前記外側縁部と内側縁部が、円弧状で、前記最大光導波路幅の両縁部の位置の法線が重なることを特徴とする。
【0020】
第12発明は、第9発明ないし第11発明のマスクを使用することを特徴とする曲線光導波路の製造方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本明細書において、曲線光導波路とは、光導波路を上方から見た場合の形状において、少なくとも外側縁部すなわち外周の一部が曲線である光導波路を意味する。
本明細書において、曲線光導波路の外周とは、曲線をなすコアの凸側の周線を意味する。したがって、内周とはコアの凹側の周線を意味する。ただし、内周は後述するように直線(曲率=0)でありえる。
【0022】
本発明の光導波路は、図1に示すように、外周上の任意の点Aにおける曲率が、前記点における法線と内周との交点Bにおける内周の曲率より大きいことを特徴とする。かかる構造を有することにより、曲線光導波路における、光伝搬モードの中心軸と、光導波路の中心軸とのずれをより小さくすることができる。内周の曲率は好ましくは0、すなわち内周は直線である。製造が容易であり、かつ伝搬モードの中心軸と光導波路の中心軸とのずれを小さくする効果が大きいからである。
【0023】
また、上記光導波路において、両側の光接合端面における光導波路の幅(図1、d)が同じであることが好ましい。すなわち、本願発明の曲線光導波路の一つの実施態様として、コア幅が一定の光導波路の一部として使用することが挙げられるため、かかる光導波路と接合する場合には、両端面でのコア幅は同じであることが好ましい。ここでコア幅は内周と外周の最短距離として定義される。
また本発明の他の好ましい態様としては、上記光導波路の両端面における外周と内周の曲率半径の中心が同じである。
【0024】
本発明の曲線光導波路を光学装置の少なくとも一部として用いることができる。光学装置としては、光スプリッタ、光カプラ、光合分岐器、光合分波器、光送信モジュール、光受信モジュール、光送受信モジュール、光スイッチ、光変調器、光フィルタ、光偏向器、光分散補償器、光アドドロップモジュール、光クロスコネクトなどがあげられる。
【0025】
上記光学装置が光スプリッタである場合について説明する。光スプリッタとは、光を分岐するための装置であり、例えば図2に示すように、分岐構造Cと少なくとも2本の光導波路D,D’とが光学的に結合している。
本発明の曲線光導波路をこのような光スプリッタの一部として用いることにより、分岐構造と複数の曲線光導波路を光学的に接合する際に生じる光の損失を低減することができる。それは、分岐構造Cと分岐光導波路D,D’の結合部においては、分岐光導波路D,D’の光学中心が内側にずれているので、低損失な光結合となる。分岐光導波路D,D’においては、本発明の曲線光導波路の中心付近の幅の拡大した部分が光学中心ずれを光導波路の中心の方向へ移動させて補正するため、曲線光導波路の内側への光の漏れがを低減させることができる。
【0026】
すなわち、従来、2本の曲線光導波路が分岐構造に接続する部分では、製造上の制約から、両曲線光導波路の間隔を広く配置することで、分岐部分の製造上の形状のばらつきの影響を小さくすることができ、また、クラッド材料による狭幅部分の埋め込み不良を低減することができる。しかし、広く配置した間隙からクラッドへの漏れ光がある。分岐構造を結合する点において、曲線光導波路が前記結合点において曲率をもつような形状であれば、分岐構造から曲線光導波路の光結合は低損失で行われる。しかし、分岐部で分岐構造に接続する2本の曲線光導波路が内側すなわち2本の分岐光導波路に挟まれる側に凸形状なので、前記内側に凸形状部分の中を伝播する光伝播モード中心は内側にずれ、かつ2本の曲線光導波路が間隔を広げながら分岐しているので、分岐光導波路から光が内側に漏れる。これらのことは、従来の曲線光導波路が分岐構造に接合した分岐光導波路において、光の損失を明度で表した図4から理解できる。
【0027】
これに対し、本発明の曲線光導波路を、上記従来の曲線光導波路の一部として配置することにより、光伝搬モードの中心軸と光導波路の中心軸とのずれが小さくなり、結果として光損失を低減することができる(図3)。
【0028】
本発明の曲線光導波路E,E’の分岐構造端面と前記分岐構造Cとの距離(図2、a)は、コア幅、結節度等により好ましい範囲を適宜決定することができるが、例としては、コア幅が6.5μm、屈折率差0.4%である場合に、距離aは100μm〜1000μmであることが好ましく、150〜500μmであることがより好ましい。かかる位置に配置されることにより、損失をより低くすることができる。
また、曲線光導波路E、E’の長さ(図2、b)も同様に、コア幅、屈折率差の因子により適宜好ましい範囲を決定することできるが、例としては、コア幅が6.5μm、屈折率差0.4%である場合に、100μm〜400μmであることが好ましく、150〜300μmであることがより好ましい。これは、曲線光導波路が長いと、高次モードが励振され損失が増し、逆に短過ぎると、光学中心のずれを小さくする効果が少ないからである。
【0029】
本発明の曲線光導波路の第二の態様について以下に説明する。前記段落0004に述べた曲線光導波路における問題点は、曲線光導波路において、前記光導波路の両光接合端面における幅が同じであり、かつ前記光導波路の両光接合端面を除く幅が前記両光接合端面における幅より大きい、上記曲線光導波路によっても解決することができる。ここで、曲線光導波路等の定義は上で述べたとおりである。このような曲線光導波路によっても、曲線部における光伝搬モードの中心軸と、光導波路の中心軸のずれを小さくすることができ、結果として光損失をより小さくすることができる。上記曲線光導波路において内周は直線であることが好ましい。
【0030】
本発明の曲線光導波路は、従来の曲線光導波路について公知の方法で同様に作製することができる。例えばクラッド上にコア材料(後述)からなる層を設けた後、前記層上に感光性レジスト層を設け、本発明の曲線光導波路形状を有するマスクを載せて、露光、現像を行い、本発明の曲線光導波路形状を有するレジスト層を設け、その後エッチング等の手段により本発明の曲線光導波路形状を有するコアを形成する。また、本発明の曲線光導波路形状を従来のコア幅が一定な曲線光導波路の一部として有するマスクを用いて、本発明の曲線光導波路を少なくとも一部に有する光導波路または光学装置を一度に作製できることはいうまでもない。
【0031】
本発明の曲線光導波路のコア、クラッド材料としてはガラスや半導体材料等の無機材料、樹脂等の有機材料など様々なものが挙げられるが、樹脂等のポリマーがドライエッチング等により短時間で加工しやすいため好ましい。このようなポリマーとしてはいずれのものも使用できるが、具体例としては、ポリイミド系樹脂(例、ポリイミド樹脂、ポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエステルイミド樹脂等)、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノール系樹脂、ポリキノリン系樹脂、ポリキノキサリン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール系樹脂、ポリベンゾチアゾール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、及びフォトブリーチング用樹脂(例、特開2001−296438号公報記載のポリシラン、ニトロン化合物を有するシリコーン樹脂、DMAPN{(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−N−フェニルニトロン}を含有するポリメタクリル酸メチル、ダイポリマー(dye polymer)、ニトロン化合物を含有するポリイミド樹脂あるいはエポキシ樹脂、特開2000−66051号公報記載の加水分解性シラン化合物等)が挙げられる。上記樹脂はフッ素原子を有しているものであってもよい。ポリマーとして好ましいものとしては、ガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性に優れることからポリイミド樹脂が挙げられ、その中でも透過率、屈折率特性からフッ素を含むポリイミド系樹脂が特に好ましい。
【0032】
フッ素を含むポリイミド系樹脂としては、フッ素を含むポリイミド樹脂、フッ素を含むポリ(イミド・イソインドロキナゾリンジオンイミド)樹脂、フッ素を含むポリエーテルイミド樹脂、フッ素を含むポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。
【0033】
上記フッ素を含むポリイミド系樹脂の前駆体溶液は、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させることにより得られる。フッ素は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンの両者に含まれていても良いし、いずれか一方にのみ含まれていてもよい。
また、上記フッ素を含まないポリイミド系樹脂の前駆体溶液は、N−メチル−2−ピロリドン,N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒中で、フッ素を含まないテトラカルボン酸二無水物とフッ素を含まないジアミンを反応させることにより得られる。
【0034】
フッ素を含む酸二無水物の例としては、(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸二無水物、ジ(ヘプタフルオロプロピル)ピロメリット酸二無水物、ペンタフルオロエチルピロメリット酸二無水物、ビス{3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェノキシ}ピロメリット酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル二無水物、2,2′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシビフェニル二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルエーテル二無水物、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシベンゾフェノン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ベンゼン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン二無水物、2,2−ビス{(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物、ビス{(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノキシ}ジフェニルエーテル二無水物、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル二無水物などが挙げられる。
【0035】
フッ素を含むジアミンとしては、例えば、4−(1H,1H,11H−エイコサフルオロウンデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パ−フルオロ−1−ブタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−ヘプタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−ペンタフルオロフェノキシ−1,3−ジアミノベンゼン、4−(2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(4−フルオロフェノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ヘキサノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−ドデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、2,5−ジアミノベンゾトリフルオライド、ビス(トリフルオロメチル)フェニレンジアミン、ジアミノテトラ(トリフルオロメチル)ベンゼン、ジアミノ(ペンタフルオロエチル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パーフルオロヘキシル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パーフルオロブチル)ベンゼン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、オクタフルオロベンジジン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトラキス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノ−p−テルフェニル、1,4−ビス(p−アミノフェニル)ベンゼン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(2−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジトリフルオロメチルフェニル}ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス{4−(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン、ビス{(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ}ビフェニル、ビス〔{(トリフルオロメチル)アミノフェノキシ}フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、ビス{2−〔(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロイソプロピル}ベンゼンなどが挙げられる。
【0036】
上記のテトラカルボン酸二無水物およびジアミンは二種以上を併用してもよい。ポリイミド系樹脂の前駆体溶液として、感光性を有するものを使用することもできる。
ポリイミド系樹脂前駆体溶液は、スピナあるいは印刷などによる方法により基板表面上に塗布され、最終温度200〜400℃で熱処理し硬化されてポリイミド系樹脂被膜とされる。
【0037】
[実施例1]
図1を参照して、基板(図示せず)上に設けられ、曲部bを有する光導波路Rであって、前記曲部bの外側縁部Oの所定位置から内側縁部Iまでの最短距離を該所定位置の光導波路幅wとするとき、前記曲部b内の中間にある最大光導波路幅から該曲部bの両端部に向けて前記光導波路幅が漸減し、かつ、前記外側縁部Oの前記曲部bの両端部を結ぶ直線Lの長さをl、前記直線Lから外側縁部までの最大高さをh、前記内側縁部Iの前記曲部bの両端部を結ぶ直線L’の長さをl’、前記直線L’から内側縁部までの最大高さをh’とするとき、
h/l>h’/l’
であることを特徴とする光導波路である。
【0038】
[実施例2]
図1及び図2を参照して、基板(図示せず)上に主光導波路Cとこれを分岐した2本の分岐光導波路D、D’を有するY形光導波路において、前記分岐光導波路Dは、他の前記分岐光導波路D’に近い側の外側縁部Oとその反対側の連続的に変化する内側縁部Iを有し、前記外側縁部Oの所定位置から前記内側縁部Iまでの最短距離を該所定位置の分岐光導波路幅wとするとき、前記分岐光導波路Dの曲線領域b内の中間にある最大分岐光導波路幅wから該曲線領域bの両端部に向けて前記分岐光導波路幅wが漸減し、かつ、前記外側縁部Oの前記曲線領域bの両端部を結ぶ直線Lの長さをl、前記直線Lから外側縁部までの最大高さをh、前記内側縁部Iの前記曲部領域bの両端部を結ぶ直線L’の長さをl’、前記直線L’から内側縁部までの最大高さをh’とするとき、
h/l>h’/l’
することを特徴とするY形光導波路である。
図2に示す構造を有する曲線光導波路を有する光スプリッタの分岐過剰損失をシミュレーションで評価し、図2における分岐構造Cの分岐長さ、分岐最終幅、光導波路のa、bを表1に示した。また、図2において、b部分の内側縁部は直線すなわち曲率=0である。
比較として、コア幅が6.5μmの2本の曲線光導波路を同様に接合した光スプリッタの分岐過剰損失をシミュレーションで評価した(No.3)。
【0039】
シミュレーションの各スプリッタの分岐における過剰損失の評価を、表1に示した。
【0040】
表1
【0041】
表1の結果から明らかなように、本発明の曲線光導波路を用いた光スプリッタは、従来のコア幅が一定の曲線光導波路を用いた場合と比較して、分岐過剰損失を顕著に低減することができた。
【0042】
次に、表1のNo.2の本発明の曲線光導波路を有する1×8スプリッタのコアパターンマスクを作製した。コアパターン寸法は、プロセスで変化するので、変化量を考慮したコアパターンをCADで作図した。コアパターン以外にもマスクと基板の位置精度を向上させるためのアライメントマークや、その他パターン計測等に使用するマーカもマスクに追加した。CADの作図の手順は、製図作業の効率を良くするため、初めに1素子分のパターンを製図し、前記1素子分のパターンを配列複写して、マスク全体にパターンを配置した。1素子分のパターンには、レイヤーを設け、コアパターンを作図したレイヤー以外にも、違うレイヤーを用いてYパターンを作図することが可能である。
【0043】
以上のようにして製図したCAD図面からマスク基板にパターンを露光機を用いて直接描画し、パターン部分をCrの金属膜で埋めたマスクと、パターン部分以外をCrの金属膜で埋めたマスクとを制作した。前記2つのマスクは、コアパターン形成プロセスで使用するレジストの種類及び光導波路製造におけるコア形成プロセスの種類によって使い分けることが可能である。
【0044】
このマスクを用いて以下の材料を使用して以下のの製造方法により1×8スプリッタを作製した。
コア :日立化成工業株式会社製OPI−N3205
クラッド:日立化成工業株式会社製OPI−N1005
シリコンウエハ上に有機ジルコニュウムキレートをスピンコート方により乾燥膜厚100オングストロームとなるように塗布し、乾燥後、その上にフッ素を含むポリイミド樹脂からなる下部クラッド層(8μm)及びコア層(6.5μm)を形成した。次に、コア層の上にシリコン含有レジストを0.5μm厚となるように塗布し、乾燥し、コアパターンを介して露光及び現像し、このレジストパターンを介して反応性イオンエッチングを行い、コア層を形成した。レジスト剥離後、上部クラッド層」(15μm)を形成してポリイミド光導波路を作製した。
【0045】
次に、前記1×8スプリッタの評価を行った。評価に当たっては、光導波路基板の両端にガラスブロック付きの光ファイバーとファイバーアレイを用いて、アクティブ調芯法によって測定した。光源としては、波長1.31μmの半導体レーザを使用した。
本発明の曲線光導波路を用いた場合の挿入損失は、平均値が−10.4dBであり、最も損失が大きいポートで−10.7dBであった。従来のコアはバが一定の曲線光導波路を使用した場合、挿入損失は平均値が−11.2dBであり、最も損失が大きいポートで−11.4dBであった。以上のように、本発明の光導波路を用いて構成されて1×8スプリッタでは、コア幅が一定の従来の光導波路を使用して構成されるスプリッタよりも良好な挿入損失を示した。
【0046】
【発明の効果】
本発明の曲線光導波路は、曲線部における光導波路の光の損失を低減することができる。また、本発明の曲線光導波路は、分岐構造の分岐部との接合に好適に用いることができる。この接合部分においては、分岐根元部の狭幅部分を有限の間隙とした場合であっても、分岐部根元中央部からの漏れ光を低減することができ、分岐過剰損失を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の光導波路の説明図である。
【図2】本発明の第2実施例のY形光導波路の説明図である。
【図3】本発明の曲線光導波路を用いた光スプリッタにおける光損失を表す図である。
【図4】従来の曲線光導波路を用いた光スプリッタにおける光損失を表す図である。
【符号の説明】
R 光導波路
b 曲部、曲部領域
O 外側縁部
I 内側縁部
w 光導波路幅
L、L’ 直線
l、l’ 長さ
h,h’ 最大高さ
Claims (23)
- 両端部及び内側縁部と外側縁部によりなるコア領域を有する曲線光導波路であって、中間部に前記両端部の小さくない方のコア幅のより広いコア幅の部分を少なくとも1箇所に有することを特徴とする光導波路。
- 曲部を有する光導波路であって、
前記曲部の外側縁部の所定位置から内側縁部までの最短距離を該所定位置の光導波路幅とするとき、前記曲部内の中間にある最大光導波路幅から該曲部の両端部に向けて前記光導波路幅が漸減し、かつ
前記外側縁部の前記曲部の両端部を結ぶ直線Lの長さをl、前記直線Lから外側縁部までの最大高さをh、前記内側縁部の前記曲部の両端部を結ぶ直線L’の長さをl’、前記直線L’から内側縁部までの最大高さをh’とするとき、
h/l>h’/l’
であることを特徴とする光導波路。 - 曲部を有する光導波路であって、該曲部の内側縁部の曲率が外側の曲率より小さいことを特徴とする光導波路。
- 前記内側縁部が、直線であることを特徴とする請求項1〜3のうちの一項に記載の光導波路。
- 前記曲部の両端部の前記光導波路幅が略等しいことを特徴とする請求項1〜4のうちの一項に記載の光導波路。
- 前記外側縁部と内側縁部が、円弧状で、前記最大光導波路幅の両縁部の位置の法線が重なることを特徴とする請求項1〜5のうちの一項に記載の光導波路。
- 前記光導波路の少なくとも一部が、ポリマーであることを特徴とする請求項1〜6のうちの一項に記載の光導波路。
- 前記ポリマーが、フッ素を含むポリイミド系樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の光導波路。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光導波路を有することを特徴とする光学装置。
- 基板上に主光導波路とこれを分岐した2本以上の分岐光導波路を有する分岐形光導波路において、
少なくとも一本の分岐光導波路が、両端部及び内側縁部と外側縁部によりなるコア領域を有する曲線光導波路であって、中間部に前記両端部の小さくない方のコア幅より広いコア幅の部分を少なくとも1箇所に有する曲線光導波路を有していることを特徴とする分岐形光導波路。 - 基板上に主光導波路とこれを分岐した2本以上の分岐光導波路を有する分岐形光導波路において、
前記分岐光導波路のうちの少なくとも2本の分岐光導波路の一方は、他方の前記分岐光導波路に近い側の連続的に変化する外側縁部とその反対側の内側縁部を有し、
前記外側縁部の所定位置から前記内側縁部までの最短距離を該所定位置の分岐光導波路幅とするとき、前記分岐光導波路の曲線領域内の中間にある最大分岐光導波路幅から該領域の両端部に向けて前記分岐光導波路幅が漸減し、かつ
前記外側縁部の前記曲線領域の両端部を結ぶ直線Lの長さをl、前記直線Lから外側縁部までの最大高さをh、前記内側縁部の前記曲線領域の両端部を結ぶ直線L’の長さをl’、前記直線L’から内側縁部までの最大高さをh’とするとき、
h/l>h’/l’
することを特徴とする分岐形光導波路。 - 基板上に主光導波路とこれを分岐した2本以上の分岐光導波路を有する分岐形光導波路において、
少なくとも一本の前記分岐光導波路が、曲部を有する光導波路であって、該曲部の外側縁部の曲率が内側の曲率より小さい該光導波路を有していることを特徴とする分岐形光導波路。 - 基板上に主光導波路とこれを分岐した2本以上の分岐光導波路を有する分岐形光導波路において、前記分岐形光導波路がY形光導波路であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一項に記載の分岐形光導波路。
- 前記曲線領域の前記主光導波路側の端部が、前記分岐光導波路の分岐位置から100μm〜1000μmの位置にあることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の分岐形光導波路。
- 前記曲線領域の長さが、100μm〜400μmであることを特徴とする請求項10〜14のいずれか一項に記載の分岐形光導波路。
- 請求項10〜15のいずれか一項に記載の分岐形光導波路を有することを特徴とする光学装置。
- 両端部及び内側端部と外側端部によりなるコア領域を有する曲線光導波路製造用マスクであって、中間部に前記両端部の小さくない方のコア幅より広いコア幅の部分を少なくとも1箇所に有することを特徴とする曲線光導波路製造用マスク。
- 曲部を有する光導波路製造用マスクであって、前記曲部の外側縁部の所定位置から内側縁部までの最短距離を該所定位置の光導波路幅とするとき、前記曲部内の中間にある最大光導波路幅から該曲部の両端部に向けて前記光導波路幅が漸減し、かつ
前記外側縁部の前記曲部の両端部を結ぶ直線Lの長さをl、前記直線Lから外側縁部までの最大高さをh、前記内側縁部の前記曲部の両端部を結ぶ直線L’の長さをl’、前記直線L’から内側縁部までの最大高さをh’とするとき、
h/l>h’/l’
であることを特徴とする光導波路製造用マスク。 - 曲部を有する光導波路製造用マスクであって、該曲部の内側縁部の曲率が外側の曲率より小さいことを特徴とする光導波路製造用マスク。
- 前記内側縁部が直線であることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の光導波路製造用マスク。
- 前記曲部の両端部の前記光導波路幅が略等しいことを特徴とする請求項17〜20のいずれか一項に記載の光導波路製造用マスク。
- 前記外側縁部と内側縁部が、円弧状で、前記最大光導波路幅の両縁部の位置の法線が重なることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載の光導波路製造用マスク。
- 請求項17〜22のいずれか一項に記載のマスクを使用することを特徴とする曲線光導波路の製造方法。
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