JPWO2004073125A1 - 半導体レーザ素子、光学ヘッド、及び情報記録装置 - Google Patents

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Abstract

この発明の半導体レーザ素子(100)は、或る形状の断面をもって一方向に延びる高屈折率部(104)と、この高屈折率部(104)の周りを囲む低屈折率部(102,105)とを有する共振器を備える。高屈折率部(104)の断面の寸法(D,W)は、共振器が出射するレーザ光の近視野像の面積が極小となるような値またはその値の近傍に設定されている。これにより、既存の化合物半導体材料を用いつつ青色半導体レーザ素子よりも小さな光スポットを得ることができる。また、近接記録方式に用いられる金属アパーチャを備えた半導体レーザ素子よりも実用上十分な光出力で微小な光スポット(近視野像)を得ることができる。また、この発明の半導体レーザ素子は簡単に構成される。

Description

本発明は半導体レーザ素子に関する。また、本発明は半導体レーザ素子を搭載した光学ヘッド及び情報記録装置に関する。
図18に示すように、コンパクトディスク(CD)用光学ヘッドのピックアップの光源として実用されているAlGaAs系赤外半導体レーザ素子であって、水平横モードの安定化のために埋め込みヘテロ型の導波路構造を備えたものが知られている(例えば、KAZUTOSHI SAITOら著、「埋め込みヘテロ構造AlGaAsレーザ(Buried−Heterostructure AlGaAs Lasers)」,(米国),アイ・トリプルイー・ジャーナル・オブ・クワァンタム・エレクトロニクス(IEEE Journal of Quantum Electronics),Vol.QE−16,No.2,1980年2月,pp.205−215を参照。)。この半導体レーザ素子900は、n型GaAs基板901、n型Al0.3Ga0.7Asn型クラッド層902、Al0.3Ga0.7As埋め込み層903、ノンドープAl0.07Ga0.93As活性層(層厚D9=0.12μm)904、p型Al0.3Ga0.7Asクラッド層905、n型用電極908およびp型用電極907を備えている。活性層の横幅はW9=1μmである。この半導体レーザ素子は波長0.812μmでレーザ発振を生じたと報告されている。本発明者の解析によると、このレーザ素子900のレーザ発振時の近視野像の光強度分布の半値全幅は、平行方向が0.78μm、垂直方向が0.25μmであり、スポット形状は楕円形となる。また、遠視野像の広がり角度は、平行方向が24度、垂直方向が37度となる。このように半導体レーザ素子から出射されるレーザ光は或る角度で空間に広がる(遠視野像)ため、通常のピックアップでは、半導体レーザ素子から出射されるレーザ光はレンズ系を介して記録媒体に集光される。
光ディスクの記録密度を高めるために、赤外半導体レーザ素子に比してスポットサイズを小さくできる青色半導体レーザ素子の開発が進められており、波長405nmの青色半導体レーザ素子とNA(開口数)=0.85のレンズ系を用いた「Blu−ray Disc」なる規格が提案されている。ただし、青色半導体レーザ素子のGaN系材料の量産化技術が確立されておらず、また、青色半導体レーザ素子の信頼性が十分とは言えず、実用化には問題がある。
これに対して、光ディスクの記録密度を高めるために、光源と記録媒体との間の距離を非常に小さな距離(数十nm〜数百nm)に設定して、レンズ系を介さず、近接場光を用いて記録を行うようにした光メモリが提案されている(例えば、小山二三夫ら著、「面発光レーザーによる近接場光生成」,応用物理,応用物理学会,第68巻,第12号,1999年,pp.1380−1383を参照。このように、レンズ系を介さず、光源と記録媒体との間の距離が1μm未満になるような方式を「近接記録方式」と呼ぶ。)。この光メモリでは、光源の一例として、数十から数百nm程度の微小な開口を有する金属アパーチャを出射端に備えた面発光レーザなどが用いられている。このような近接記録方式は、光の回折限界を超えた微小なサイズの光スポットを得ることができ、青色半導体レーザ素子を用いた高密度光ディスクよりも更に小さな光スポットを得ることができることから、より高密度な光メモリを実現できる可能性を持つ。しかしながら、光の利用効率が著しく低いために光出力が非常に弱いという問題がある。
そこで、本発明の課題は、既存の化合物半導体材料を用いつつ青色半導体レーザ素子よりも小さな光スポットを得ることができ、かつ近接記録方式に用いられる金属アパーチャを備えた半導体レーザ素子よりも実用上十分な光出力で微小な光スポット(近視野像)を得ることができ、かつ簡単に構成される半導体レーザ素子を提供することにある。
また、本発明の課題は、そのような半導体レーザ素子を備えた、光ディスクまたは光磁気ディスクに記録再生を行うための光学ヘッド及び情報記録装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の半導体レーザ素子は、或る形状の断面をもって一方向に延びる高屈折率部と、この高屈折率部の周りを囲む低屈折率部とを有する共振器を備え、上記高屈折率部の上記断面の寸法は、上記共振器が出射するレーザ光の近視野像の面積が極小となるような値またはその値の近傍に設定されていることを特徴とする。
高屈折率部が延びる「一方向」は、この半導体レーザ素子の共振器長の方向を意味する。
この発明の半導体レーザ素子では、高屈折率部の断面の寸法は、上記共振器が出射するレーザ光の近視野像の面積が極小となるような値またはその値の近傍に設定されている。この結果、既存の化合物半導体材料を用いつつ青色半導体レーザを用いた非近接記録方式によって得られるよりも小さな光スポットを得ることができる。また、近接記録方式に用いられる金属アパーチャを備えた従来の半導体レーザ素子よりも実用上十分な光出力で微小な光スポット(近視野像)を得ることができる(後述)。したがって、この発明の半導体レーザ素子は、微小スポットを利用する光学システム、例えば近接記録方式の光学システムへ好ましく適用される。また、この発明の半導体レーザ素子は、従来の半導体レーザ素子に対して上記高屈折率部の断面の寸法を適切に設定するだけで、簡単に構成される。
上記高屈折率部や低屈折率部はそれぞれ複数種類の材料からなっていても良い。
上記高屈折率部の断面の形状は、三角形、矩形、台形、正多角形または円形であるのが望ましい。上記高屈折率部の断面の形状が三角形、矩形、台形であれば公知の製造プロセスを用いて容易に作製できる。また、正多角形であれば近視野像の面積がより小さくなり、また、円形であれば近視野像の面積が最も小さくなる。
一実施形態の半導体レーザ素子では、上記高屈折率部の上記断面の厚さD及び横幅Wは、厚さ方向及び横方向に関して、上記共振器が出射するレーザ光の近視野像の寸法がそれぞれ極小となるような値またはその値の近傍に設定されているのが望ましい。
言い換えれば、この半導体レーザ素子は、或る形状の断面をもって一方向に延びる高屈折率部と、この高屈折率部の周りを囲む低屈折率部とを有する共振器を備え、上記高屈折率部の上記断面の厚さD及び横幅Wは、厚さ方向及び横方向に関して、上記共振器が出射するレーザ光の近視野像の寸法がそれぞれ極小となるような値またはその値の近傍に設定されていることを特徴とする。
上記高屈折率部の断面の「厚さ」Dとは、その断面内で、その高屈折率部を構成する半導体層の積層(堆積)方向の寸法を指す。上記高屈折率部の断面の「横幅」Wとは、その断面内で、上記積層方向に対して垂直な方向の寸法を指す。
上記「厚さ方向」、「横方向」とは、それぞれ上記高屈折率部の「厚さ」D、「横幅」Wに沿った方向を指す。
この発明の半導体レーザ素子では、高屈折率部の断面の厚さD及び横幅Wは、厚さ方向及び横方向に関して、上記共振器が出射するレーザ光の近視野像の寸法がそれぞれ極小となるような値またはその値の近傍に設定されている。この結果、既存の化合物半導体材料を用いつつ青色半導体レーザ素子を用いた非近接記録方式によって得られる光スポットよりも小さな光スポットを得ることができる。また、近接記録方式に用いられる金属アパーチャを備えた従来の半導体レーザ素子よりも実用上十分な光出力で微小な光スポット(近視野像)を得ることができる(後述)。したがって、この発明の半導体レーザ素子は、微小スポットを利用する光学システム、例えば近接記録方式の光学システムへ好ましく適用される。また、この発明の半導体レーザ素子は、従来の半導体レーザ素子に対して上記高屈折率部の断面の寸法を適切に設定するだけで、簡単に構成される。
一実施形態の半導体レーザ素子では、上記高屈折率部、低屈折率部の屈折率をそれぞれn、nと表し、それらの屈折率の差Δn
Δn=(n−n)/n×100=Δn/n×100
で定義したとき、
上記高屈折率部の上記断面の厚さDおよび横幅Wは、それぞれ
C−{(Δn−A)/B}}1/2≦D≦C+{(Δn−A)/B}}1/2
C−{(Δn−A)/B}}1/2≦W≦C+{(Δn−A)/B}}1/2
(ただし、A=18025×λ−1.26であり、
B=820367×λ−1.26であり、
C=0.6628×λ−0.14であり、
λはこの半導体レーザ素子の発振波長である。
また、DおよびWの単位はそれぞれμmであり、λの単位はnmである。)
なる関係を満たすのが望ましい。なお、Δnは、(n−n)のnに対する比を%で表したものであり、無次元である。
言い換えれば、この半導体レーザ素子は、
或る形状の断面をもって一方向に延びる高屈折率部と、この高屈折率部の周りを囲む低屈折率部とを有する共振器を備え、
上記高屈折率部、低屈折率部の屈折率をそれぞれn、nと表し、それらの屈折率の差Δn
Δn=(n−n)/n×100=Δn/n×100
で定義したとき、
上記高屈折率部の上記断面の厚さDおよび横幅Wは、それぞれ
C−{(Δn−A)/B}}1/2≦D≦C+{(Δn−A)/B}}1/2
C−{(Δn−A)/B}}1/2≦W≦C+{(Δn−A)/B}}1/2
なる関係を満たすことを特徴とする。なお、各符号の定義や単位は上記と同じである。
また、上記高屈折率部の厚さDと横幅Wとが同じ値であるのが望ましい。
また、上記高屈折率部が発光層であるのが望ましい。
また、上記高屈折率部の内部に量子井戸構造を有するのが望ましい。「量子井戸構造」は、バルクからなるものでも良く、量子細線若しくは量子箱を備えたものでも良い。
また、上記低屈折率部がAlGa1−xAs(ただし、0<x≦1である。)からなるのが望ましい。
また、上記高屈折率部は、窒素と窒素以外のV族元素とを組成に含むのが望ましい。
また、上記高屈折率部または上記高屈折率部及びこの高屈折率部に隣接する部分の材料は、アルミニウムを組成として含まない化合物半導体からなるのが望ましい。上記アルミニウムを組成として含まない化合物半導体は例えばGaIn1−xAs1−y(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1である。)である。
また、別の局面では、この発明の半導体レーザ素子は、基板上に、基板表面に対して平行な一方向に延び、端面からレーザ光を出射する共振器を備え、上記レーザ光の近視野像の上記基板表面に対する垂直方向及び平行方向の光強度分布の半値全幅が、いずれも0.28μm以下であることを特徴とする。
また、上記近視野像の上記垂直方向の光強度分布の半値全幅と上記平行方向の光強度分布の半値全幅とが同じ値であるのが望ましい。
一実施形態の半導体レーザ素子では、上記低屈折率部は、上記一方向に沿って延びる境界面で互いに分けられたp型領域とn型領域とを含み、上記高屈折率部は上記低屈折率部の上記p型領域とn型領域との間に挟まれているのが望ましい。
ここで「p型領域」とはp型の伝導型を示す領域を意味し、「n型領域」とはn型の伝導型を示す領域を意味する。
この一実施形態の半導体レーザ素子では、上記p型領域とn型領域にそれぞれ正電位、負電位を与えることによって、上記高屈折率部に容易に電流を流すことができる。したがって、上記高屈折率部を、活性層として機能させて、レーザ発振を行うことができる。
さらに一実施形態の半導体レーザ素子では、上記高屈折率部の周りの、上記低屈折率部の上記p型領域とn型領域との間の境界面に沿って、絶縁体層が介挿されているのが望ましい。
この一実施形態の半導体レーザ素子では、上記高屈折率部の両側に相当する、上記低屈折率部の上記p型領域とn型領域との間の境界面に沿って、絶縁体層が介挿されているので、その絶縁体層によって通電電流が遮断される。したがって、通電電流は高屈折率部を通して集中して流れ、高屈折率部への電流の注入効率が良くなる。したがって、この半導体レーザ素子の電気的特性が向上する。
さらに一実施形態の半導体レーザ素子では、上記絶縁体層は酸化アルミニウムからなるのが望ましい。その場合、酸化アルミニウムは高抵抗なので、高屈折率部への電流注入を非常に効率的に行うことができる。なお、「酸化アルミニウム」は、Alだけでなく、AlO(xはAlに対するOの組成比)で表されるものを広く含む。
さらに一実施形態の半導体レーザ素子では、上記絶縁体層をなす酸化アルミニウムは、砒化アルミニウムを熱酸化して形成されているのが望ましい。そのようにした場合、酸化アルミニウムが容易に作製される。なお、「砒化アルミニウム」はAlAsで表される。
この発明の光学ヘッドは、上述の半導体レーザ素子を備え、この半導体レーザ素子が出射するレーザ光によって記録媒体に対する情報の記録または再生を行う光学ヘッドである。
この発明の光学ヘッドによれば、上記半導体レーザ素子が出射するレーザ光によって記録媒体上に、従来の青色半導体レーザ素子によるものよりも小さな光スポット(近視野像)を得ることができる。しかも、この発明の光学ヘッドによれば、近接記録方式に用いられる金属アパーチャを備えた半導体レーザ素子よりも大きい光出力で情報の記録または再生を行うことができる。
一実施形態の光学ヘッドでは、上記半導体レーザ素子の光出射端面と上記記録媒体との間の距離が1μm未満に近接して配置されることを特徴とする。
また、一実施形態の光学ヘッドでは、上記半導体レーザ素子の光出射端面と上記記録媒体との間の距離が1μm未満に近接して配置されるように、上記半導体レーザ素子と記録媒体との間の距離を制御するための制御機構を有することを特徴とする。
この発明の情報記録装置は、上述の半導体レーザ素子を備えた情報記録装置である。上述の半導体レーザ素子は、光磁気ディスク、相変化型ディスク等に対する情報の記録または再生に用いられるだけでなく、熱アシスト方式により情報を記録または再生する磁気記録装置など、様々な情報記録装置に好ましく用いられる。
図1は、第1実施形態から第6実施形態の半導体レーザ素子の、レーザ出射端面方向から見た断面図である。
図2A,図2Bおよび図2Cは、第1実施形態における半導体レーザ素子の、近視野像を模式的に示す図である。
図3は、横方向のスポットサイズと、高屈折率部の横幅Wとの関係を示す図である。
図4は、厚さ方向のスポットサイズと、高屈折率部の厚さDとの関係を示す図である。
図5は、低屈折率部のAl混晶比x(x=0から1.0まで0.1刻み)をパラメータとしたときの、スポットサイズと高屈折率部の厚さDおよび横幅Wとの関係を示す図である。
図6A乃至図6Eは、第1実施形態における半導体レーザ素子の製造工程を示す図である。
図7A乃至図7Cは、第9,10実施形態における半導体レーザ素子の、レーザ出射端面方向から見た断面図である。
図8は、第11実施形態における半導体レーザ素子の、レーザ出射端面方向から見た断面図である。
図9は、第12実施形態における半導体レーザ素子の、レーザ出射端面方向から見た断面図である。
図10は、第13実施形態における半導体レーザ素子の、レーザ出射端面方向から見た断面図である。
図11は、第14実施形態における半導体レーザ素子の、レーザ出射端面方向から見た断面図である。
図12は、第6実施形態における、低屈折率部のAl混晶比x(x=0から1.0まで)をパラメータとしたときの、スポットサイズと高屈折率部の厚さDおよび横幅Wとの関係を示す図である。
図13は、第7実施形態における、低屈折率部のAl混晶比x(x=0から1.0まで)をパラメータとしたときの、スポットサイズと高屈折率部の厚さDおよび横幅Wとの関係を示す図である。
図14は、第1実施形態〜第5実施形態において、スポットサイズが0.28μmよりも小さくなる構造パラメータの範囲を示す図である。
図15は、第6実施形態において、スポットサイズが0.28μmよりも小さくなる構造パラメータの範囲を示す図である。
図16は、第7実施形態において、スポットサイズが0.28μmよりも小さくなる構造パラメータの範囲を示す図である。
図17は、光磁気ディスク記録再生装置の光学ヘッドにおける半導体レーザ素子搭載部を示した図である。
図18は、従来の半導体レーザ素子の、レーザ出射端面方向から見た断面図である。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の半導体レーザ素子(全体を符号100で表す)の、共振器長の方向に対して垂直な断面、すなわちレーザ出射端面方向から見た断面を示している。この半導体レーザ素子100は、n型基板101の平坦な表面101a上に、n型クラッド層102、絶縁体層としての電流狭窄層103、高屈折率部としての活性層104、p型クラッド層105、コンタクト層106およびp型用電極107を備えるとともに、基板101の裏面101bにn型用電極108を備えている。活性層104は、この例では矩形の断面をもち、紙面に対して垂直な一方向にストライプ状に延びている。n型クラッド層102とp型クラッド層105は、低屈折率部として、活性層104の周りを囲んでいる。なお、各層の結晶成長は、図1中の「下」から「上」へ向かって、基板表面501aから離れる向きに行われる。この半導体レーザ素子100の各部の導電型、材料、厚さを次の表1にまとめて示す。
Figure 2004073125
Figure 2004073125
さらに、活性層104の横幅Wを0.25μmとした。
分かるように、基板101からn型クラッド層102までがn型領域に相当し、p型クラッド層105からコンタクト層106までがp型領域に相当する。
この半導体レーザ素子100の電極107,108にそれぞれ正電位、負電位を与えて活性層104を通して電流を注入すると、波長約900nmにてレーザ発振を生じた。レーザ発振のしきい値電流は2mAであり、片側端面からの光出力10mWまでキンクフリー(キンクなし)であった。図2Aはこの半導体レーザ素子100の端面から出射するレーザ光の近視野像190を模式的に示し、図2B,図2Cはそれぞれ厚さ方向(基板表面に対して垂直方向)、横方向(基板表面に対して平行方向)についての近視野像190の光強度分布を示している。この第1実施形態では、厚さ方向、横方向に関して、近視野像190の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はいずれも0.23μmとなった。このように、非常に小さなスポットサイズをもつ真円の光分布が得られた。
(第2実施形態)
第2実施形態では、図1に示した半導体レーザ素子100の構成において、n型クラッド層102のAl混晶比、活性層104の厚さ、p型クラッド層105のAl混晶比、活性層104の幅を、それぞれ次のように変更して半導体レーザ素子を構成した(後述する第3実施形態から第5実施形態まで、これらの変更項目は同様。)。
すなわち、この第2実施形態においては、n型クラッド層102のAl混晶比x=1.0、活性層104の厚さD=0.2μm、p型クラッド層105のAl混晶比x=1.0、活性層104の横幅W=0.2μmとした。この第2実施形態では、厚さ方向、横方向に関して、近視野像の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はいずれも0.21μmとなった。このように、非常に小さなスポットサイズをもつ真円の光分布が得られた。また、10mW以上の光出力を得ることができた。
(第3実施形態)
第3実施形態では、n型クラッド層102のAl混晶比x=1.0、活性層104の厚さD=0.13μm、p型クラッド層105のAl混晶比x=1.0、活性層104の横幅W=0.13μmとした。この第3実施形態では、厚さ方向、横方向に関して、近視野像の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はいずれも0.28μmとなった。このように、非常に小さなスポットサイズをもつ真円の光分布が得られた。また、10mW以上の光出力を得ることができた。
(第4実施形態)
第4実施形態では、n型クラッド層102のAl混晶比x=1.0、活性層104の厚さD=0.43μm、p型クラッド層105のAl混晶比x=1.0、活性層104の横幅W=0.43μmとした。この第4実施形態では、厚さ方向、横方向に関して、近視野像の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はいずれも0.28μmとなった。このように、非常に小さなスポットサイズをもつ真円の光分布が得られた。また、10mW以上の光出力を得ることができた。
(第5実施形態)
第5実施形態では、n型クラッド層102のAl混晶比x=0.5、活性層104の厚さD=0.28μm、p型クラッド層105のAl混晶比x=0.5、活性層104の横幅W=0.28μmとした。この第5実施形態では、厚さ方向、横方向に関して、近視野像の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はいずれも0.28μmとなった。このように、非常に小さなスポットサイズをもつ真円の光分布が得られた。また、10mW以上の光出力を得ることができた。
次に、第1実施形態から第5実施形態で得られた結果に基づいて、本発明について考察する。
図18に示した従来の半導体レーザ素子の構成(埋め込みヘテロ構造)によれば、厚さ方向、横方向に関して、近視野像の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はそれぞれ0.78μm、0.25μmとなる。近視野像がこのように楕円形状でかつ大きなスポット面積をもつものであれば、本願の目的である近接記録方式の光学システムに搭載する光源として利用することはできない。つまり、従来の半導体レーザ素子には、本発明の目的とする微小スポットを得る意図がなく、そのための構成・工夫が施されていない。
これに対して本発明の半導体レーザ素子は、微小スポットを得るという新たな観点から半導体レーザ素子の構成を見直した結果として得られたものであり、活性層の横幅W及び厚さDを通常の半導体レーザ素子よりも著しく小さくかつ最適に設定する(製造プロセスもそれに合わせて厳密に管理する)ことにより、微小スポットを実現している。したがって、微小スポット利用する光学システムのための光源として好適に利用することができる。このことを図3〜図5を用いてより具体的に説明する。
図3は、第2実施形態に示したようなn型クラッド層102のAl混晶比x=1.0、p型クラッド層105のAl混晶比x=1.0、活性層104をGaAsとした半導体レーザ素子における、横方向のスポットサイズの、活性層104の横幅Wに対する依存性を示している。活性層の横幅Wが約0.2μmとなる付近で横方向のスポットサイズが極小となることがわかった。同様に、図4は、厚さ方向のスポットサイズの、活性層104の厚さDに対する依存性を示している。活性層の厚さDが約0.2μmとなる付近で厚さ方向のスポットサイズが極小となることがわかった。これらの結果から、厚さ方向、横方向共にスポットサイズの極小を与えるようなWおよびDを用いて半導体レーザ素子を構成することが示唆される。
図5は、活性層104の横幅W及び厚さDを同じ値として同時に変化させた場合の、厚さ方向、横方向のスポットサイズ(近視野像の光強度分布の半値全幅)を示している。ここで、横幅Wを変化させた範囲は、従来の半導体レーザ素子の横幅(1μm程度)よりも著しく値が小さい範囲になっている点に特徴がある。なお、第1実施形態から第5実施形態では、低屈折率部としてのn型AlGa1−xAsクラッド層102とp型AlGa1−xAsクラッド層105のAl混晶比xを0.8,1.0,0.5としていたが、図5では、このxを0.3〜1.0の範囲でパラメータとして0.1刻みで変化させている。また、図5中の矢印Aは、xの各値に対してスポットサイズが極小となる点を結んだライン上に描かれている。この図5から、低屈折率部のAl混晶比xを大きくする(これは、低屈折率部と高屈折率部との間の屈折率差Δnを大きくすることに相当)につれて、スポットサイズの極小値が著しく小さくなることが見出される。本発明は、この結果から創出されたものであり、共振器の導波路をなす高屈折率部と低屈折率部との間に屈折率差Δnが存在することを前提として、WおよびDを従来の半導体レーザ素子よりも著しく小さくかつ最適に設定することにより、厚さ方向、横方向共にスポットサイズが極小値またはその値の近傍となるような構成をとる。そのような構成とすることにより、実際に近視野像の面積を極小とすることができ、近接記録方式の光記録システムに用いるのに適した半導体レーザ素子が得られるようになった。例えば、上述の第1実施形態の半導体レーザ素子100においては、高屈折率部である活性層104と低屈折率部であるクラッド層102,105との屈折率の差が十分に大きく、かつ高屈折率部の横幅W,厚さDが共に0.25μmと狭くかつ最適に設定されている。このような構成とすることにより、従来の半導体レーザ素子とは異なり、厚さ方向、横方向共に0.23μmという非常に小さなスポットサイズで発振する微小スポット半導体レーザ素子が得られた。なお、「Blu−ray Disc」規格で定められた波長405nmの青色半導体レーザ素子とNA=0.85の光学系を用いた場合、得られる光スポットは、光強度分布の半値全幅が0.28μm、1/e直径が0.48μmのものとなる。本発明の半導体レーザ素子は、波長が900nmと長く、かつ量産化技術が確立された材料を用いつつ、これよりも小さなスポットサイズで発光する。したがって、本発明の半導体レーザ素子を光源として近接記録を行えば、「Blu−ray Disc」規格によるものよりも高密度な光メモリを得ることができる。また、本発明の半導体レーザ素子では、既述の公知文献(小山二三夫ら著、「面発光レーザーによる近接場光生成」,応用物理,応用物理学会,第68巻,第12号,1999年,pp.1380−1383)に示されたような金属アパーチャの類を必要としないため、数十mW級の高出力も可能である。
ここで、低屈折率部のAl混晶比xについては、x=1.0とした場合に最も小さなスポットサイズが得られるが、x≧0.5であれば、「Blu−ray Disc」規格に相当するスポットサイズ0.28μmよりも小さなスポットサイズ(図5中にBで示した領域)を得ることができる。このAl混晶比x≧0.5は、すなわち高屈折率部である活性層104の屈折率をn、低屈折率部であるクラッド層102,105の屈折率をnとし、それらの屈折率の差Δnを(n−n)のnに対する比(単位は%)で表して、
Δn=(n−n)/n×100=Δn/n×100
で定義したとき、Δn≧10[%]に相当する。
なお、第1実施形態から第5実施形態では、高屈折率部の厚さDと横幅Wが同じ値である場合について説明してきたが、必ずしもDとWは同じ値である必要はない。Wがこれまでに示してきた条件を満たせば横方向のスポットサイズが、Dがこれまでに示してきた条件を満たせば厚さ方向のスポットサイズが、それぞれ十分に小さくなる。ただし、DとWが同じ値またはその値の近傍であれば、真円またはそれに近いスポット形状が得られることから、より望ましい。
図6A〜図6Eは、第1実施形態の半導体レーザ素子100の製造工程を示している。図6Aに示すように、まずn型GaAs基板101の表面101a上に、減圧MO−CVD法によりn型AlGaAsからなるn型クラッド層102a、AlAsからなる電流狭窄層103、p型AlGaAsからなるp型クラッド層105aをこの順に結晶成長する。次に図6Bに示すように、この上にSiOからなるマスク109を蒸着し、電子ビーム露光とウエットエッチングを行って、そのマスク109の表面からn型クラッド層102aの上部(途中)まで達する幅0.25μmのストライプ状の溝110を形成する。次に図6Cに示すように、MO−CVD法を用い、n型AlGaAsからなるn型クラッド層102b、ノンドープGaAsからなる活性層104、p型AlGaAsからなるp型クラッド層105bを溝110に選択的に結晶成長する。なお、これらの選択成長された層102b,104,105bがつくる積層構造の形状は、簡略化のために矩形に描かれているが、必ずしも矩形である必要はない。選択成長された層の側面に、傾斜したファセットが現れていてもよい。また、最上部に結晶成長したp型クラッド層105bを結晶成長する際に、活性層104の側面にも結晶成長が生じることがあっても問題ない。次に図6Dに示すようにマスク109を除去し、p型AlGaAsからなるp型クラッド層105c、p型GaAsからなるコンタクト層106を全面に結晶成長する。次に図6Eに示すように、熱酸化法によって電流狭窄層103であるAlAsを酸化して高抵抗なAlOに変質させる。最後に、コンタクト層106上に電極107、基板101の裏面101bに電極108をそれぞれ蒸着して素子を完成させた。
この素子では活性層104の横幅が非常に狭いが、活性層104の周りの、p型クラッド層105とn型クラッド層102との間の境界面に沿って、高抵抗なAlO(AlOはAlを含む総称である。)からなる電流狭窄層103が介挿されているので、その電流狭窄層103によって通電電流が遮断される。したがって、活性層104への電流注入を非常に効率的に行うことができる。本発明者は、本願に示したような微小な活性層への電流の注入を効率良く行うためには、図6A〜図6Eを参照しながら示したように、横幅が狭い活性層104をp型クラッド層105とn型クラッド層102との間に挟み、活性層104の両側に相当するp型クラッド層105とn型クラッド層102との間の境界面に沿って絶縁層(電流狭窄層103)を介挿する構成が望ましいことを見出した。また、その絶縁層としては、高抵抗な酸化アルミニウム(AlO)が望ましい。そのAlOは、p型クラッド層105とn型クラッド層102との間の境界部分にあらかじめ配しておいたAlAs層を熱酸化することによって、容易に作製することが可能となる。
(第6実施形態)
第1〜第5実施形態においては、活性層(高屈折率部)としてGaAsを用い、クラッド層(低屈折率部)としてAlGaAsを用いた、波長900nmで発光する半導体レーザで本発明を実施した場合について示した。それに対し、この第6実施形態では、波長がより短い650nmで発光する材料系で本発明を実施した場合について示す。ここでは、図1に示す本発明の半導体レーザ素子100の基本構成において、次の表2にまとめて示すように各部の導電型、材料、厚さを設定した(簡単のため、図1中の構成要素と対応する構成要素には同じ符号を用いている。)。
Figure 2004073125
Figure 2004073125
ここで、活性層104の厚さをD、横幅をWとする。
この第6実施形態では、活性層(高屈折率部)104の材料としてGa0.5In0.5Pを用いることによって波長650nmの発光を得ている。また、クラッド層(低屈折率部)102,105の材料として(AlGa1−x0.5In0.5Pを用いている。このようにして半導体レーザ素子を構成している。
図12は、図5に対応して、この半導体レーザ素子に関して活性層104の横幅W及び厚さDを同じ値として同時に変化させた場合の、厚さ方向、横方向のスポットサイズ(近視野像の光強度分布の半値全幅)を示している。ここで、クラッド層102,105のAl混晶比xとして0.3、0.6、1.0を選んでいる。また、図12中の矢印Aは、xの各値に対してスポットサイズが極小となる点を結んだライン上に描かれている。これから分かるように、第1〜第5実施形態の場合と同様、WおよびDを従来の半導体レーザ素子よりも著しく小さくかつ最適に設定することにより、スポットサイズを極小にする構成が存在している。そのような構成とすることにより、実際に近視野像の面積を極小とすることができ、近接記録方式の光記録システムに用いるのに適した半導体レーザ素子が得られた。
(第7実施形態)
この第7実施形態では、波長がより短い405nm帯で発光する材料系で本発明を実施した場合について示す。ここでは、図1に示す本発明の半導体レーザ素子100の基本構成において、次の表3にまとめて示すように各部の導電型、材料、厚さを設定した(簡単のため、図1中の構成要素と対応する構成要素には同じ符号を用いている。)。
Figure 2004073125
Figure 2004073125
ここで、活性層104の厚さをD、横幅をWとする。
この第7実施形態では、活性層(高屈折率部)104の材料としてGaNを用いることによって波長405nm帯の発光を得ている。また、クラッド層(低屈折率部)102,105の材料としてAlGa1−xNを用いている。このようにして半導体レーザ素子を構成している。
図13は、図12と同様に、この半導体レーザ素子に関して活性層104の横幅W及び厚さDを同じ値として同時に変化させた場合の、厚さ方向、横方向のスポットサイズ(近視野像の光強度分布の半値全幅)を示している。ここで、クラッド層102,105のAl混晶比xとして0.3、0.6、1.0を選んでいる。また、図12中の矢印Aは、xの各値に対してスポットサイズが極小となる点を結んだライン上に描かれている。これから分かるように、第1〜第6実施形態の場合と同様、WおよびDを従来の半導体レーザ素子よりも著しく小さくかつ最適に設定することにより、スポットサイズを極小にする構成が存在している。そのような構成とすることにより、実際に近視野像の面積を極小とすることができ、近接記録方式の光記録システムに用いるのに適した半導体レーザ素子が得られた。
図14は第1〜第5実施形態で示した波長900nm帯の半導体レーザ素子について、図15は第6実施形態で示した波長650nm帯の半導体レーザ素子について、図16は第7実施形態で示した波長405nm帯について、それぞれスポットサイズが0.28μmよりも小さくなる構造パラメータ(Δn,D,W)の範囲を示している。なお、図14,図15,図16では、それぞれそのような構造パラメータ(Δn,D,W)の範囲に破線で斜線を施し、それぞれの範囲の境界線をLA,LB,LCと表している。ここで、D=Wとしている。また、Δn=(n−n)である(nは活性層(高屈折率部)104の屈折率、nはクラッド層(低屈折率部)102,105の屈折率である。)。これらの図14,図15,図16から、Δnが大きい場合ほどD及びWに対する構造許容度が大きくなることがわかる。また、波長が長いほど大きなΔnが要求されることがわかる。つまり、本発明を実施するには、短い波長、大きなΔnとなる材料の組み合わせが望ましい。
図14,図15,図16中に示した境界線LA,LB,LCは、屈折率の差Δn
Δn=(n−n)/n×100=Δn/n×100
で定義したとき、
D=C±{(Δn−A)/B}}1/2
W=C±{(Δn−A)/B}}1/2
(ただし、A=18025×λ−1.26であり、
B=820367×λ−1.26であり、
C=0.6628×λ−0.14であり、
λはこの半導体レーザ素子の発振波長である。
また、DおよびWの単位はそれぞれμmであり、λの単位はnmである。)
なる関係式で表される。
つまり、活性層(高屈折率部)104の断面の厚さDおよび横幅Wがそれぞれ
C−{(Δn−A)/B}}1/2≦D≦C+{(Δn−A)/B}}1/2
C−{(Δn−A)/B}}1/2≦W≦C+{(Δn−A)/B}}1/2
なる関係を満たすことが、0.28μmよりも小さい微小スポットでレーザ発振するための構造条件ということになる。
(第8実施形態)
第8実施形態では、図1に示した構成において、活性層104の材料をGa0.93In0.070.025As0.975に変更して半導体レーザ素子を構成した。この第6実施形態では、厚さ方向、横方向に関して、近視野像の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はいずれも0.27μmとなった。このように、非常に小さなスポットサイズをもつ真円の光分布が得られた。また、10mW以上の光出力を得ることができた。
第1実施形態から第5実施形態では材料系としてAlGaAsを選び、Al混晶比を変えることで屈折率を制御して、高屈折率部と低屈折率部とを設定していた。しかし、そのように全ての層をAlGa1−xAsだけで構成した場合には、Al混晶比xを0から1.0までの範囲で変更しても、高屈折率部と低屈折率部との間の屈折率差を大きくするのに限界がある。本発明では、上述のように高屈折率部と低屈折率部との間の屈折率差が大きいほど有利であるから、更に屈折率差が見込める材料を用いる方が望ましい。ここで高屈折率部にInやSbを混晶化してGaInAsやGaAsSbとすることは高屈折率部の屈折率をより高くすることから得策となるが、GaAsとの格子定数の違いからInあるいはSb混晶比に上限が生じる。一方、本実施形態のように活性層104の材料をGaInNAsとした場合、Inによる格子定数の変化をNの混晶化によりキャンセルすることができる。したがって、格子不整合の影響を受けることなく、高屈折率部と低屈折率部との間の屈折率差を大きくすることができる。また、「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス(Japanese Journal of Applied Physics)Vol.37,No.3A,1998年,753頁」に述べられているように、特にGaAsあるいはGaInAsに窒素(N)を混晶化した場合の屈折率の増加率は他の材料系よりも著しく大きくなることからも、Nを混晶化した材料を本願の高屈折率部に用いることは、本発明にとって特に有利になる。なお、本実施形態では活性層104の材料をGaInNAsとしたが、GaSbNAsやGaInNAsSbとしても同様の効果が得られる。
(第9実施形態および第10実施形態)
図7Aは、第9実施形態および第10実施形態の半導体レーザ素子200の断面を示している。この半導体レーザ素子200の高屈折率部204を除く各部201〜203、205〜208は、第1実施形態の半導体レーザ素子100(図1)の活性層104を除く各部101〜103、105〜108にそれぞれ対応し、材料・厚さ等は同一である。高屈折率部204のみが第1実施形態のものとは異なる。
第9実施形態では、図7Bに拡大して詳細に示すように、高屈折率部204は、量子井戸層204aと障壁層204bとを交互に積層し、その積層の上下に光ガイド層204c,204cを設けて構成されている(量子井戸活性層構造)。ここで、量子井戸204aは厚さ70ÅのIn0.2Ga0.8As、障壁層204bは厚さ200ÅのGaAs、光ガイド層はGaAsからなる。この第7実施形態では、高屈折率部204の全層厚Dを0.25μmとした。
また第10実施形態では、図7Cに示すように、高屈折率部204は、障壁層204e中に量子ドット204dを離散した層状に配列して構成されている(量子ドット活性層構造)。ここで、量子ドット204dは約10nm径の自己整合したInAsドット、障壁層204eはGaAsからなる。この第8実施形態では、高屈折率部204の全層厚Dを0.25μmとした。
第9実施形態の半導体レーザ素子は波長1μmで、第10実施形態の半導体レーザ素子は波長1.3μmで、それぞれレーザ発振を生じた。また、第7実施形態の半導体レーザ素子では、水平方向、厚さ方向のスポットサイズがそれぞれ0.26μm,0.26μmであり、第8実施形態の半導体レーザ素子では、水平方向、厚さ方向のスポットサイズがそれぞれ0.28μm,0.28μmであった。このように、いずれも十分に小さなスポットサイズが得られた。また、それぞれ、10mW以上の光出力を得ることができた。
第1実施形態から第8実施形態では高屈折率部の全体が活性層として発光する態様であったが、第9実施形態及び第10実施形態のように高屈折率部204の全体が必ずしも発光しなくてもよく、高屈折率部に発光領域(ここでは量子井戸204aまたは量子ドット204d)が内包された構成であっても良い。また、発光領域の構造は量子井戸あるいは量子ドットに限られるものではなく、量子細線であっても良いし、GRIN−SCH(Graded Index−Separate Confinement Heterostracture)構造であっても良い。
なお、第1実施形態から第8実施形態では高屈折率部が単一の材料であったのに対し、この第9実施形態及び第10実施形態では量子井戸あるいは量子ドットを内包した複数の材料の積層あるいは組み合わせから成っている。このように高屈折率部の構造が単一でなく、複数の材料の積層あるいは組み合わせからなる場合には低屈折率部と高屈折率部との屈折率差として定義したΔnの値を特定することが困難となるが、この場合でも、高屈折率部204全体の断面の厚さD及び横幅Wが、水平方向、厚さ方向のスポットサイズ(近視野像の光強度分布の半値全幅)が概ね極小値となるように設定されていれば、本発明に包含されていると考えることができる。なお、高屈折率部204の内部の量子井戸あるいは量子ドットの体積が、高屈折率部204の全体に対して小さければ、高屈折率部204の屈折率はほぼ光ガイド層204cあるいは障壁層204b、204eの屈折率で決定される。したがって、光ガイド層あるいは障壁層の屈折率とクラッド層の屈折率との差をΔnとして扱えばよい。また、高屈折率部204の実効的な屈折率(内包されている量子井戸や量子ドットの構成を考慮に入れた平均的な屈折率)とクラッド層の屈折率との差をΔnとして扱ってもよい。
(第11実施形態)
図8は、本発明の第11実施形態の半導体レーザ素子(全体を符号300で表す)の、共振器長の方向に対して垂直な断面、すなわちレーザ出射端面方向から見た断面を示している。この半導体レーザ素子300は、n型基板301の平坦な表面301a上に、n型クラッド層302a,302b、絶縁体層としての電流狭窄層303、高屈折率部としての活性層304、p型クラッド層305b,305a、コンタクト層306およびp型用電極307を備えるとともに、基板301の裏面301bにn型用電極308を備えている。活性層304は、この例では矩形の断面をもち、紙面に対して垂直な一方向にストライプ状に延びている。n型クラッド層302a,302bとp型クラッド層305b,305aは、低屈折率部として、活性層304の周りを囲んでいる。この半導体レーザ素子300の各部の導電型、材料、厚さを次の表4にまとめて示す。
Figure 2004073125
Figure 2004073125
すなわち、第11実施形態では、高屈折率部304に近い低屈折率部302b及び305bを厚さ0.3μmのGa0.51In0.49Pとし、高屈折率部304から遠い低屈折率部302a及び305aを厚さ0.5μmの(Al0.8Ga0.20.51In0.49Pとした。
この第11実施形態の半導体レーザ素子は波長920nmでレーザ発振を生じた。また、厚さ方向、横方向に関して、近視野像の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はいずれも0.28μmとなった。このように、十分に小さなスポットサイズをもつ真円の光分布が得られた。また、20mW以上の光出力を得ることができた。
本実施形態では、活性層304をInGaAsとし、それを直接取り囲むクラッド層302b,305bをGaInPとし、更にその外側を取り囲むクラッド層302a,305aをAlGaInPとした。この構成では、活性層304およびそれを直接取り囲むクラッド層302b,305bの材料にアルミニウム(Al)が含まれていない点に特徴がある。すなわち、本発明の半導体レーザ素子のように近視野像のスポットサイズが小さくなる場合には、活性層での光密度が著しく高くなり、高い光密度によってレーザ出射端面あるいはレーザ共振器内部の損傷が起こりやすくなる。特に結晶にAlが含まれる場合、共振器端面でのAlの酸化、共振器内部でのAlが関与する欠陥の誘発が生じ易く、それによって半導体レーザ素子の劣化が生じ易くなる。そこで本実施形態では、上述のように、最も光密度が高くなる活性層(高屈折率部)304およびそれを直接取り囲むクラッド層302b,305bの材料にアルミニウム(Al)が含まれないものとしている。この結果、そのような劣化が生じるのを防止でき、高出力まで安定した動作ができるようになる。なお、本実施形態ではAlが含まれていない混晶結晶としてInGaAsおよびGaInPを用いた例を示したが、GaIn1−xAs1−y(0≦x≦1,0≦y≦1)で記述される任意の混晶系で構成することができる。
また、本実施形態では、活性層(高屈折率部)304およびそれを直接取り囲むクラッド層(低屈折率部の一部)302b,305bの材料としてアルミニウムを含まないGaInAsP系材料(InGaAs及びGaInP)を用いているが、この材料系では両者の間の屈折率差を大きくとることができない。そこで本実施形態では、クラッド層302b,305bの外側(光密度が低くなる領域)にさらに低屈折率のAlGaInPからなるクラッド層302a,305aを設けて、高屈折率部と低屈折率部との間の屈折率差を実効的に大きくとることにより、近視野像のスポットサイズがより小さくなる構成としている。すなわち、第1実施形態から第10実施形態では低屈折率部が1種類の材料で構成されていたのに対し、本実施形態では低屈折率部は屈折率が異なる2種類の材料からなる構成となっている。このように低屈折率部の構造が単一でなく、複数の材料からなる場合には、高屈折率部と低屈折率部との間の屈折率差Δnの値を特定することが困難となるが、この場合でも、高屈折率部の断面の厚さD及び横幅Wが、厚さ方向、水平方向に関して近視野像のスポットサイズがそれぞれ極小となるような値またはその値の近傍に設定されていれば、本発明に包含される。
(第12実施形態)
図9は、本発明の第12実施形態の半導体レーザ素子(全体を符号400で表す)の、共振器長の方向に対して垂直な断面、すなわちレーザ出射端面方向から見た断面を示している。この半導体レーザ素子400は、基板401の平坦な表面401a上に、n型クラッド層402、電流狭窄層403a,403b,403c、高屈折率部としての活性層404、p型クラッド層405、コンタクト層406a,406bおよびp型用電極407を備えるとともに、基板401の裏面401bにn型用電極408を備えている。活性層404、p型クラッド層405およびコンタクト層406aは、この例では同じ横幅の矩形の断面をもち、紙面に対して垂直な一方向にストライプ状に延びている。n型クラッド層402のうち活性層404の両側に相当する部分は、湾曲した斜面(下に凸)をなすように加工されている。電流狭窄層403a,403b,403cは、n型クラッド層402活性層404、p型クラッド層405およびコンタクト層406aの両側を埋めるように設けられている。この結果、n型クラッド層402、p型クラッド層405、電流狭窄層403a,403b,403cは、低屈折率部として、活性層404の周りを囲んでいる。この半導体レーザ素子400の各部の導電型、材料、厚さを次の表5にまとめて示す。
Figure 2004073125
さらに、活性層404の横幅Wを0.33μmとした。
この半導体レーザ素子400に電極407,408を通して電流を注入すると、波長約900nmにてレーザ発振を生じた。この第10実施形態では、厚さ方向、横方向に関して、近視野像の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はいずれも0.3μmとなった。このように、非常に小さなスポットサイズをもつ真円の光分布が得られた。また、10mW以上の光出力を得ることができた。
第1から第11実施形態では、高屈折率部の周りに関して低屈折率部の混晶比が均一であった。これに対して、本実施形態では、高屈折率部としての活性層404に対して上下に接するAlGaAsクラッド層402,405の混晶比と左右に接するAlGaAs電流狭窄層403a,403b,403cの混晶比とが異なっており、高屈折率部の周りに関して低屈折率部の混晶比が異なっている。このように高屈折率部の周りに関して低屈折率部が均一ではなく、複数種類の材料からなる場合にも、高屈折率部の断面の厚さD及び横幅Wが、厚さ方向及び横方向に関して、近視野像のスポットサイズがそれぞれ極小となるような値またはその値の近傍に設定されていれば、本発明に包含される。
また、本発明のように高屈折率部をなす活性層の横幅Wが従来の半導体レーザ素子のものに比べて著しく小さい場合、活性層へ効率的な電流注入を行うことができる構造とすることが重要となる。第1実施形態などのように絶縁体(AlO)を用いて電流狭窄を行っても良いし、第12実施形態のようにpn逆接合を用いて電流狭窄を行ってもよい。また、Cr−Oドープ結晶あるいはアンドープ結晶などの高抵抗半導体材料を用いて電流狭窄を行ってもよい。
なお、第12実施形態の半導体レーザ素子は、選択成長を用いて活性層が結晶成長された第1実施形態などの半導体レーザ素子と異なり、次のようにして作製される。すなわち、基板401の表面401a上にn型クラッド層402、活性層404、p型クラッド層405、コンタクト層406aまでを連続的に1回で結晶成長した後、ストライプ状のマスクを用いてこれらの層がストライプ状になりn型クラッド層402の両側に相当する部分が湾曲した斜面になるまでメサエッチングを施す。そして、それらの層402,404,405,406aの両側を埋めるように電流狭窄層403a,403b,404cを選択的に積層する。その後、コンタクト層406bを全面に積層した後、コンタクト層406b上に電極407、基板401の裏面401bに電極408をそれぞれ蒸着して素子を完成する。
(第13実施形態)
図10は、本発明の第13実施形態の半導体レーザ素子(全体を符号500で表す)の、共振器長の方向に対して垂直な断面、すなわちレーザ出射端面方向から見た断面を示している。この半導体レーザ素子500は、基板501の、V字状の溝(横幅W1)が形成された表面501a上に、n型クラッド層502、高屈折率部としての活性層504、p型クラッド層505、コンタクト層506、電流狭窄層503およびp型用電極507を備えるとともに、基板501の裏面501bにn型用電極508を備えている。n型クラッド層502、p型クラッド層505等は、基板表面501aのV形状を反映してそれぞれ断面略V字状に屈曲して形成され、クラッド層502,505の屈曲部の間に活性層504が設けられている。活性層504は、この例では逆三角形(3面504a,504b,504cからなる)の断面をもち、紙面に対して垂直な一方向にストライプ状に延びている。この結果、n型クラッド層502、p型クラッド層505は、低屈折率部として、活性層504の周りを囲んでいる。この半導体レーザ素子500の各部の導電型、材料、厚さを次の表6にまとめて示す。
Figure 2004073125
逆三角形形状の活性層504の横幅W(最も広い面504cの横幅)は0.35μmとした。
この半導体レーザ素子500に電極507,508を通して電流を注入すると、波長約650nmにてレーザ発振を生じた。この第13実施形態では、厚さ方向、横方向に関して、近視野像の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はいずれも0.3μmとなった。このように、非常に小さなスポットサイズをもつ真円の光分布が得られた。また、10mW以上の光出力を得ることができた。
第1実施形態から第12実施形態では、幅の狭いマスクを使った選択成長、あるいは幅の狭いマスクによるメサエッチングを用いて作製した幅の狭い活性層を有する半導体レーザ素子について、その構成と製造方法を示した。しかし、それらを製造するためには幅がサブミクロン程度の狭いマスクが要求される。それに対して本実施形態では、基板表面501aに比較的広い横幅W1をもつV溝を形成しておき、その上に各層を結晶成長して形成することにより、幅の狭いマスクを用いることなく、著しく幅の狭い横幅Wを有する活性層504を容易に得ることができる。
詳しくは、GaAs基板501の表面501aに比較的広い横幅W1をもつV溝を形成し、そのV溝を有する基板表面501aの上に、MOCVD法(有機金属気相成長法)によって、まずAlGaAsクラッド層502を形成する。続いてGaAs活性層504を結晶成長する。この結晶成長を行う際に成長速度を著しく下げることにより、V溝の底部に相当する箇所(屈曲部)に厚く、V溝の側面に相当する箇所(斜面)に薄く結晶成長させることができ、断面逆三角形状の活性層504を作製できる。続いて、その上に残りの各層505,506,…を結晶成長してゆく。このように作製することにより、所望の狭い横幅W、厚さDを有する小さな体積の活性層504を、幅の狭いマスクを用いることなく制御性良く作製することができる。なお、V溝の側面に相当する箇所(斜面)にも薄く活性層と同じ材料であるGaAsが体積するが、この部分は体積が少ないため、形成された導波路構造への影響は非常に小さい。
活性層504の形状は逆三角形となるが、W及びDを最適に設定することにより、厚さ方向及び横方向に関して、近視野像のスポットサイズがそれぞれ極小となるように設定できた。
また、これまでの実施形態では赤外光を発する半導体レーザ素子の構成例について説明してきたが、本実施形態のように可視光を発する半導体レーザ素子で構成することもできる。また、サファイア基板などを用いて窒化物系半導体材料によって半導体レーザ素子を構成し、緑色・青色・紫外で発振する半導体レーザ素子で構成することも可能である。
(第14実施形態)
図11は、本発明の第14実施形態の半導体レーザ素子(全体を符号600で表す)の、共振器長の方向に対して垂直な断面、すなわちレーザ出射端面方向から見た断面を示している。この半導体レーザ素子600は、基板601の、台形状のメサ(横幅W2)が形成された表面601a上に、n型クラッド層602、高屈折率部としての活性層604、p型クラッド層605、コンタクト層606、電流狭窄層603およびp型用電極607を備えるとともに、基板601の裏面601bにn型用電極608を備えている。n型クラッド層602、p型クラッド層605等は、基板表面601aの台形形状を反映してそれぞれ断面略逆V状に屈曲して形成され、クラッド層602,605の屈曲部の間に活性層604が設けられている。活性層604は、この例では台形(下底面604a,斜面604b,604cおよび上底面604dからなる)の断面をもち、紙面に対して垂直な一方向にストライプ状に延びている。この結果、n型クラッド層602、p型クラッド層605は、低屈折率部として、活性層604の周りを囲んでいる。この半導体レーザ素子600の各部の導電型、材料、厚さを次の表7にまとめて示す。
Figure 2004073125
さらに、台形形状の活性層604の横幅W(最も広い面504aの横幅)を0.25μmとした。
この半導体レーザ素子500に電極607,608を通して電流を注入すると、波長約900nmにてレーザ発振を生じた。この第12実施形態では、厚さ方向、横方向に関して、近視野像の光強度分布の半値全幅(スポットサイズ)はいずれも0.25μmとなった。このように、非常に小さなスポットサイズをもつ真円の光分布が得られた。また、10mW以上の光出力を得ることができた。
他の実施形態と異なり、本実施形態では、基板表面601aに比較的広い横幅W2をもつV溝を形成しておき、その上に各層を結晶成長して形成することにより、幅の狭いマスクを用いることなく、著しく幅の狭い横幅Wを有する活性層604を容易に得ることができる。
詳しくは、GaAs基板601の表面601aに比較的広い横幅W2をもつ台形メサを形成し、その台形メサを有する基板表面601aの上に、MOCVD法(有機金属気相成長法)によって、まずAlGaAsクラッド層602を形成する。続いてGaAs活性層604を結晶成長する。この結晶成長を行う際に成長速度を著しく下げることにより、台形の頂部に相当する箇所(屈曲部)に厚く、台形の側面に相当する箇所(斜面)に薄く結晶成長させることができ、断面台形状の活性層604を作製できる。続いて、その上に残りの各層605,606,…を結晶成長してゆく。このように作製することにより、所望の狭い横幅W、厚さDを有する小さな体積の活性層604を、幅の狭いマスクを用いることなく制御性良く作製することができる。なお、台形の側面に相当する箇所(斜面)にも薄く活性層と同じ材料であるGaAsが体積するが、この部分は体積が少ないため、形成された導波路構造への影響は非常に小さい。
活性層604の形状は台形となるが、W及びDを最適に設定することにより、厚さ方向及び横方向に関して、近視野像のスポットサイズがそれぞれ極小となるように設定できた。
これまでに示した各実施形態の半導体レーザ素子は、近接記録方式で光ディスクまたは光磁気ディスクに記録再生を行うための光学ヘッドに好ましく適用できる特性を示している。特に微小スポットでありながら十分に大きな光出力を得ることができるので、光磁気ディスク等への高速書き込みを行うのに十分な特性である。
なお、活性層の断面形状は上記の各実施形態に示したものに限られることはない。活性層の断面形状を円形とすれば、最も小さなスポットサイズの円形のスポットが得られ、より好ましい。完全な円形でなくとも、六角形などの多角形の断面形状としてもよい。
なお、半導体レーザ素子の作製方法・構成・材料・混晶の組成などについては、上述の各実施形態に例示した方法に限られるものではない。特に、本発明では横幅の狭い活性層が要求されるが、その幅の狭い活性層を得るための方法には様々な手段を適用することができる。例えば、結晶成長室内で収束イオンビームや電子線描画を行いながら選択成長を行う「その場」での選択成長は、幅の狭い活性層を得るための有効な手段である。また、近接場リソグラフィやX線リソグラフィ、電子線リソグラフィ、位相シフトマスクを利用した露光などの公知の手段を適用することが可能である。結晶成長方法、成長条件、各構成元素の原料についても、実施形態に記述した特定の方法、条件、原料、あるいは例示された特定の組み合わせに限定されるものではない。
本願の実施形態では、III−V族化合物半導体としてAlGaAs,GaInNAsSbなどで記述される混晶系を一例として取り上げたが、実施形態として説明した以外のIII族元素(B,Tl等)やV族元素(P,Bi)が適宜混晶化されていてもよいし、不純物元素(Zn,Be,Mg,Te,S,Se,Si等)が適宜含まれていてもよい。また、基板についても実施形態に示したものに限定されるものではなく、別の基板を用いても同様の効果が得られる。例えばInP,InGaAs,GaSb,GaN基板などのその他のIII−V族化合物半導体基板、ZnSe,ZnS基板などのII−VI族化合物半導体基板、Ge,Si,SiC基板などのIV族半導体基板、ガラス・プラスチック・セラミックス・サファイア・スピネル等を用いることができる。また、レーザの発振波長についても、赤外に限らず、赤色、青色、紫色、紫外など、任意の波長を選択することができる。
(第15実施形態)
本実施形態では、上述してきた半導体レーザ素子を搭載した情報記録装置の一つである光磁気ディスク記録再生装置における光学ヘッドについて説明する。
図17は、第1実施形態のものと同じ半導体レーザ素子2501を搭載した光磁気ディスク記録再生装置の光学ヘッドを斜めから見たところを示している。この光学ヘッドは、アクチュエータ2505に取り付けられたサスペンション2504と、サスペンション2504に取り付けられたスライダ2503と、このスライダ2503の端面に、レーザ光出射端面がディスク状の記録媒体2502に対向するように取り付けられた半導体レーザ素子2501とを備えている。
半導体レーザ2501のレーザ光出射端面から記録媒体2502までの距離は1μm未満、この例では数十ナノメートルに保たれて、回転するディスク状の記録媒体2502の上を滑走する。また、スライダ2503はサスペンション2504によって支持され、アクチュエータ2505によって、記録媒体2502の上の所望の記録トラックに追従したり、アクセスを行う。半導体レーザ2501のレーザ光出射端面は記録媒体2502に近接しており、記録媒体2502には半導体レーザ素子2501の近視野像(ニアフィールドパターン)が転写される。そのために、アクチュエータ2505とサスペンション2504は、半導体レーザ素子2501の光出射端面と記録媒体2502との間の距離が1μm未満に近接した一定間隔となるように制御するための制御機構として働く。
半導体レーザ素子2501として第1実施形態で述べたのと同じ物を用いることによって、実際に微小なスポットを記録媒体2502上に形成することができた。また、従来の近接場光を光源に用いた場合と比較して、本発明の半導体レーザは出力を格段に大きくすることができたため、記録に要する時間を大幅に短縮することができた。なお、記録媒体としては、光磁気ディスク、相変化型ディスク等を用いることができる。
ここでは、本発明の半導体レーザ素子を搭載した情報記録装置の一例としてとして光磁気ディスク記録再生装置を例示したが、本発明の半導体レーザ素子は他の種々の情報記録装置に搭載することが可能であることは言うまでもない。例えば、本発明の半導体レーザ素子は、熱アシスト方式により情報を記録または再生する磁気記録装置などに搭載することができる。
以上に述べたように、この発明の半導体レーザ素子は、既存の化合物半導体材料を用いつつ青色半導体レーザ素子よりも小さな光スポットを得ることができ、かつ近接記録方式に用いられる金属アパーチャを備えた半導体レーザ素子よりも実用上十分な光出力で微小な光スポット(近視野像)を得ることができ、かつ簡単に構成される。
また、この発明の光学ヘッドは、そのような半導体レーザ素子、つまり微小スポットでありながら十分に大きな光出力を得ることができる半導体レーザ素子を備えることによって、光ディスクまたは光磁気ディスクに近接記録方式で記録再生を行うことができる。

Claims (20)

  1. 或る形状の断面をもって一方向に延びる高屈折率部と、この高屈折率部の周りを囲む低屈折率部とを有する共振器を備え、
    上記高屈折率部の上記断面の寸法は、上記共振器が出射するレーザ光の近視野像の面積が極小となるような値またはその値の近傍に設定されていることを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 請求項1に記載の半導体レーザ素子において、
    上記高屈折率部の上記断面の厚さD及び横幅Wは、厚さ方向及び横方向に関して、上記共振器が出射するレーザ光の近視野像の寸法がそれぞれ極小となるような値またはその値の近傍に設定されていることを特徴とする半導体レーザ素子。
  3. 請求項1に記載の半導体レーザ素子において、
    上記高屈折率部、低屈折率部の屈折率をそれぞれn、nと表し、それらの屈折率の差Δn
    Δn=(n−n)/n×100=Δn/n×100
    で定義したとき、
    上記高屈折率部の上記断面の厚さDおよび横幅Wは、それぞれ
    C−{(Δn−A)/B}}1/2≦D≦C+{(Δn−A)/B}}1/2
    C−{(Δn−A)/B}}1/2≦W≦C+{(Δn−A)/B}}1/2
    (ただし、A=18025×λ−1.26であり、
    B=820367×λ−1.26であり、
    C=0.6628×λ−0.14であり、
    λはこの半導体レーザ素子の発振波長である。
    また、DおよびWの単位はそれぞれμmであり、
    λの単位はnmである。)
    なる関係を満たすことを特徴とする半導体レーザ素子。
  4. 請求項1に記載の半導体レーザ素子において、
    上記高屈折率部の厚さDと横幅Wとが同じ値であることを特徴とする半導体レーザ素子。
  5. 請求項1に記載の半導体レーザ素子において、
    上記高屈折率部が発光層であることを特徴とする半導体レーザ素子。
  6. 請求項1に記載の半導体レーザ素子において、
    上記高屈折率部の内部に量子井戸構造を有することを特徴とする半導体レーザ素子。
  7. 請求項1に記載の半導体レーザ素子において、
    上記低屈折率部がAlGa1−xAs(ただし、0<x≦1である。)からなることを特徴とする半導体レーザ素子。
  8. 請求項1に記載の半導体レーザ素子において、
    上記高屈折率部は、窒素と窒素以外のV族元素とを組成に含むことを特徴とする半導体レーザ素子。
  9. 請求項1に記載の半導体レーザ素子において、
    上記高屈折率部または上記高屈折率部及びこの高屈折率部に隣接する部分の材料は、アルミニウムを組成として含まない化合物半導体からなることを特徴とする半導体レーザ素子。
  10. 請求項9に記載の半導体レーザ素子において、
    上記アルミニウムを組成として含まない化合物半導体はGaIn1−xAs1−y(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1である。)であることを特徴とする半導体レーザ素子。
  11. 基板上に、基板表面に対して平行な一方向に延び、端面からレーザ光を出射する共振器を備え、
    上記レーザ光の近視野像の上記基板表面に対する垂直方向及び平行方向の光強度分布の半値全幅が、いずれも0.28μm以下であることを特徴とする半導体レーザ素子。
  12. 請求項11に記載の半導体レーザ素子において、
    上記近視野像の上記垂直方向の光強度分布の半値全幅と上記平行方向の光強度分布の半値全幅とが同じ値であることを特徴とする半導体レーザ素子。
  13. 請求項1に記載の半導体レーザ素子において、
    上記低屈折率部は、上記一方向に沿って延びる境界面で互いに分けられたp型領域とn型領域とを含み、
    上記高屈折率部は上記低屈折率部の上記p型領域とn型領域との間に挟まれていることを特徴とする半導体レーザ素子。
  14. 請求項13に記載の半導体レーザ素子において、
    上記高屈折率部の両側に相当する、上記低屈折率部の上記p型領域とn型領域との間の境界面に沿って、絶縁体層が介挿されていることを特徴とする半導体レーザ素子。
  15. 請求項14に記載の半導体レーザ素子において、
    上記絶縁体層は酸化アルミニウムからなることを特徴とする半導体レーザ素子。
  16. 請求項15に記載の半導体レーザ素子において、
    上記絶縁体層をなす酸化アルミニウムは、砒化アルミニウムを熱酸化して形成されていることを特徴とする半導体レーザ素子。
  17. 請求項1に記載の半導体レーザ素子を備え、この半導体レーザ素子が出射するレーザ光によって記録媒体に対する情報の記録または再生を行う光学ヘッド。
  18. 請求項17に記載の光学ヘッドにおいて、
    上記半導体レーザ素子の光出射端面と上記記録媒体との間の距離が1μm未満に近接して配置されることを特徴とする光学ヘッド。
  19. 請求項17に記載の光学ヘッドにおいて、
    上記半導体レーザ素子の光出射端面と上記記録媒体との間の距離が1μm未満に近接して配置されるように、上記半導体レーザ素子と記録媒体との間の距離を制御するための制御機構を有することを特徴とする光学ヘッド。
  20. 請求項1に記載の半導体レーザ素子を備えた情報記録装置。
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