JPWO2004044005A1 - ヒト低分子量cd14測定キットおよび抗体 - Google Patents

ヒト低分子量cd14測定キットおよび抗体 Download PDF

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Abstract

本発明は、ヒト高分子量CD14のアミノ酸配列の1〜68番目から選択される8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体、または該1〜68番目のうちの特定のアミノ酸配列からなるペプチドと結合する抗体を提供する。該抗体を用いる本発明のヒト低分子量CD14測定キットおよび測定方法、好ましくはサンドイッチ法によれば、ヒト低分子量CD14を高感度、簡便かつ特異的に定性又は定量でき、敗血症患者の診断に有用である。

Description

本発明はヒト高分子量CD14の特定のアミノ酸配列から選択される8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体に関する。また、ヒト高分子量CD14のアミノ酸配列のうちの特定のアミノ酸配列からなるペプチドと結合する抗体に関する。
また本発明はヒト低分子量CD14測定キット及びその測定方法に関する。さらにヒト低分子量CD14を直接測定する敗血症の新規な診断方法に関する。さらに上記抗体の作製に有用なペプチド及び上記抗体の作製方法に関する。
CD14分子は単核球細胞の膜表面上に発現している糖蛋白質を認識する一群の抗体により同定される蛋白質として1986年に第3回Leukocyte Typing Conferenceにて、命名された。1990年、WrightらはこのCD14分子が、エンドトキシンであるLPSのレセプターであることを明らかにした(「サイエンス(Science)」(米国)、1990年、第249巻、p.1431−1433)。このCD14分子は分子量53〜55kDaの糖蛋白質で、mRNAは約1.4kbのサイズで356個のアミノ酸からなることがcDNAの解析から明らかにされた(「ヌクレイック アシッド リサーチ(Nucleic Acids Research)」(英国)、1988年、第16巻、p.4173)。
ヒトCD14分子には、膜結合型CD14のほかに可溶型CD14があり、血中には分子量の異なる複数の可溶型CD14が存在することが報告された(「ヨーロピアン ジャーナル オブ イムノロジー(European Journal of Immunology)」(独国)、1993年、第23巻、p.2144−2151)。また、Landmannらは、敗血症患者血清の可溶型CD14のウエスタンブロット分析を行い、約55kDaの可溶型CD14が敗血症死亡例や発作性夜行性ヘモグロビン尿症(PNH)患者で高値であり、正常人血清中にはこの分子が認められず、正常人には分子量の少し小さい49kDaの可溶型CD14が検出されたことを報告した(「ザ ジャーナル オブ インフェクショウス ディジーズ(The Journal of Infectious Disease)」(米国)、1995年、第171巻、p.639−644)。
この分子量の異なるサブタイプについては、糖鎖の違いが関与していること、またNおよびO結合型糖鎖を除去してもなお2種の異なる分子量の可溶型CD14が血中に存在することをStelterらが報告している(「ヨーロピアン ジャーナル オブ バイオケミストリー(European Journal of Biochemistry)」(独国)、1996年、第236巻、p.457−464)。また、Buflerらは可溶型CD14のC末端分析を行い可溶型CD14の327番のセリン残基にGPI基が結合すること、約56kDaの分子量を持つ可溶型CD14はGPIアンカリングされない分子種であることを報告した(「ヨーロピアン ジャーナル オブ イムノロジー(European Journal of Immunology)」(独国)、1995年、第25巻、p.604−610)。
CD14分子に対する抗体は、Bazilらの作製したMEM−18(「ヨーロピアン ジャーナル オブ イムノロジー(European Journal of Immunology)」(独国)、1986年、第16巻、p.1583−1589)、Shuttらの作製したRoMo−1(「アレルギー ウント イムノロジー(Allergie und Immunologie)」(独国)、1988年、第34巻、p.17−26)、Steinmanらの作製した3C10(「ジャーナル オブ イクスペリメンタル メディスン(Journal of Experimental Medicine)」(米国)、1983年、第158巻、p.126−145)をはじめ、多くの抗CD14抗体が作製され、CD14蛋白質の同定に使用されている。
また、これら抗体を用いた可溶型CD14の測定系が、Shuttら(西独国特許公開第286876号)、Bazilら(「モレキュラー イムノロジー (Molecular Immunology)」(英国))1989年、第26巻、p.657−662頁;Grunwaldら(「ジャーナル オブ イムノロジカル メソッズ(Jounal of Immnological Methods)」(蘭国)、1992年、第155巻、p.225−232)により報告され、ヒト体液中の可溶型CD14が測定されるようになった。
さらに、可溶型CD14−ELISAキットがIBL−Hanburg、Medgenix、R&D Systemsより発売され、敗血症をはじめとして多くの疾患で可溶型CD14の測定が行われている(「クリニカル イムノロジー アンド イムノパソロジー(Clinical Immunology And Immunopathology)」(米国)、1996年 第80巻、p.307−310;「臨床検査」、1994年、第38巻、p.341−344)。
しかし敗血症以外の疾患でも疾患の進行度に伴って前述の約55kDa,49kDaを含む可溶型CD14(報告により、その分子量は異なるため、約55kDa、49kaに限定されるわけではない、以下同)濃度が上昇し、可溶型CD14は敗血症特異的なマーカーではないことが明らかになった(「インフェクション アンド イムニティー(Infection and Immunity)」(米国)、1999年、第67巻、p.417−420;「クリニカル アンド イクスペリメンタル イムノロジー(Clinical and Experimental Immunology)」(英国)、2000年、第120巻、p.483−487;「クリニカル アンド イクスペリメンタル イムノロジー(Clinical Experimental Immunology)」(英国)、1994年、第96巻、p.15−19)。また、可溶型CD14は敗血症の重症化のマーカーとして期待されていたが、敗血症性ショックとの相関が見られないこと(「ペディアトリック アレルギー アンド イムノロジー(Pediatric allergy and immunology)」(デンマーク)、1997年、第8巻、p.194−199)、全身性炎症反応症候群(SIRS)との相関が認められないことから(「ヨーロピアン ジャーナル オブ クリニカル インベスティゲーション(European Journal of Clinical Investigation)」(英国)、1998年 第28巻、p.672−678)、敗血症の診断薬としてなり得なかった。
発明者らは、Landmannらが報告した上記約55kDaと49kDaの2種等の可溶型CD14(高分子量CD14(報告により、その分子量は異なるため、約55kDa、49kaに限定されるわけではない、以下同))とは別に、約36kDaの可溶型低分子量CD14が血中に存在すること、該低分子量CD14は、正常人では少なく、敗血症患者において増加することを見出し、可溶型低分子量CD14の測定が臨床上有用であることを確認した。しかし公知の抗CD14抗体は高分子量の可溶型CD14蛋白質のみを認識する抗体であるか、高分子量および低分子量の両方の可溶型CD14蛋白質を認識する抗体であり、低分子量CD14のみを認識する抗体は知られていなかった。また低分子量CD14蛋白質のアミノ酸配列は、高分子量の可溶型CD14蛋白質のアミノ酸配列の一部と全く同じ配列と考えられたため、上記のような抗体を作製すること、該抗体を用いて該低分子量CD14を免疫学的に直接測定することは困難であると考えられていた。そのため該可溶型低分子量CD14の測定法として、血中可溶型CD14総量から、血中高分子量CD14量を差し引いて、血中低分子量CD14量を間接的に求めることを提案している(国際公開第WO01/22085号)。
かかる状況下において、ヒト低分子量CD14を直接測定することができ、敗血症患者の診断に有用である、ヒト低分子量CD14を、高感度、簡便かつ特異的に定性又は定量する測定方法及びその測定キットが望まれている。さらには、その測定方法に有用な該ヒト低分子量CD14に対する抗体が望まれている。
発明者等は鋭意研究の結果、ヒト低分子量CD14を高感度、簡便かつ特異的に定性又は定量するために用いることのできる抗体として、ヒト高分子量CD14の1〜68番目までのアミノ酸配列から選択される8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体を発明した。また、ヒト高分子量CD14のアミノ酸配列のうちの特定のアミノ酸配列からなるペプチドと結合する抗体を発明した。
またヒト低分子量CD14を特異的に測定する方法を発明し、ヒト低分子量CD14測定キットを発明した。さらに、ヒト低分子量CD14を直接測定する敗血症の新規な診断方法を発明した。さらに、上記抗体の作製に有用なペプチド及び上記抗体の作製方法を発明した。
すなわち、本発明は、以下の新規な抗体、及びヒト低分子量CD14の測定キットを提供する。
(1)下記(1−1)〜(1−5)に示す抗体。
(1−1)配列番号1に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
(1−2)配列番号1に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜20アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
(1−3)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、53〜68番目までのアミノ酸配列から選択される連続した8〜16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
(1−4)配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
(1−5)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
(2)下記(2−1)〜(2−2)に示す抗体。
(2−1)配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体。
(2−2)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体。
(3)下記(3−1)〜(3−22)に示すヒト低分子量CD14測定キット。
(3−1)少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含み、ヒト高分子量CD14を検出せずに、検体に含まれるヒト低分子量CD14を直接測定するためのヒト低分子量CD14測定キット。
(3−2)上記ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、上記(1−1)〜(1−5)、(2−1)若しくは(2−2)のいずれかの抗体または該抗体の断片を含む(3−1)のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−3)上記ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、上記(1−4)、(1−5)、(2−1)若しくは(2−2)のいずれかの抗体または該抗体の断片を含む(3−1)のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−4)上記ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、上記(1−5)若しくは(2−2)の抗体または該抗体の断片を含む(3−1)のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−5)サンドイッチ免疫測定法によりヒト低分子量CD14を測定する、(3−1)〜(3−4)のいずれかのヒト低分子量CD14測定キット。
(3−6)ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質をさらに含む(3−5)のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−7)上記第二の結合物質が、ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片である(3−6)のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−8)上記第二の結合物質が、ヒト低分子量CD14に結合するモノクローナル抗体である(3−6)のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−9)上記第二の結合物質が、ヒト高分子量CD14の1〜52番目のアミノ酸残基のいずれかの領域に結合する抗体または該抗体の断片、あるいはヒト高分子量CD14の1〜52番目のアミノ酸残基のいずれかの領域に結合する抗体と競合する若しくは交差反応性を示す抗体、または該抗体の断片である(3−6)のキット。
(3−10)上記第二の結合物質が、ヒト高分子量CD14の17〜26番目のアミノ酸残基のいずれかに結合する抗体または該抗体の断片、あるいはヒト高分子量CD14の17〜26番目のアミノ酸残基のいずれかに結合する抗体と競合する若しくは交差反応性を示す抗体、または該抗体の断片である(3−6)のキット。
(3−11)上記(1−1)〜(1−5)、(2−1)若しくは(2−2)のいずれかの抗体または該抗体の断片が不溶性担体に結合している(3−6)〜(3−10)のいずれかのヒト低分子量CD14測定キット。
(3−12)上記第二の結合物質が不溶性担体に結合している(3−6)〜(3−10)のいずれかのヒト低分子量CD14測定キット。
(3−13)上記(1−1)〜(1−5)、(2−1)若しくは(2−2)のいずれかの抗体または該抗体の断片が標識されている(3−6)〜(3−10)若しくは(3−12)のいずれかのヒト低分子量CD14測定キット。
(3−14)上記第二の結合物質が標識されている(3−6)〜(3−11)のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−15)さらに第二の特異結合を形成する第二の特異結合物質及び第二の特異結合物質のパートナーを含む(3−6)〜(3−14)のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−16)第二の特異結合を形成する第二の特異結合物質若しくは第二の特異結合物質のパートナーが不溶性担体に結合している(3−15)のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−17)第二の特異結合を形成する第二の特異結合物質若しくは第二の特異結合物質のパートナーが標識されている(3−15)のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−18)競合法によるサンドイッチ免疫測定法により測定する、標識したヒト低分子量CD14若しくは標識したヒト低分子量CD14類似物質を含む(3−5)〜(3−12)、(3−15)若しくは(3−16)のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−19)標識が、酵素、色素、金コロイド、着色ラテックス、酵素、化学発光物質、蛍光物質またはアイソトープの少なくとも一つによる標識である(3−5)〜(3−18)のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−20)該サンドイッチ免疫測定法がイムノクロマト法を利用した測定法である(3−5)〜(3−19)のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−21)該サンドイッチ免疫測定法がフロースルー法を利用した測定法である(3−5)〜(3−19)のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
(3−22)凝集法、直接固相法若しくは競合法により測定する、(3−1)のヒト低分子量CD14測定キット。
また、以下のヒト低分子量CD14の測定方法、敗血症の新規な診断方法、ペプチド及び抗体の作成方法を提供する。
(4)下記(4−1)〜(4−3)に示すヒト低分子量CD14測定方法。
(4−1)ヒト高分子量CD14を検出せず、ヒト低分子量CD14を検出するために、少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体を使用し、検体に含まれるヒト低分子量CD14を直接測定するヒト低分子量CD14測定方法。
(4−2)上記ヒト低分子量CD14に結合する抗体として、上記(1−1)〜(1−5)、(2−1)若しくは(2−2)のいずれかの抗体または該抗体の断片を使用する(4−1)のヒト低分子量CD14の測定方法。
(4−3)サンドイッチ免疫測定法によりヒト低分子量CD14を測定する、(4−2)のヒト低分子量CD14の測定方法。
(5)ヒト低分子量CD14を直接測定する敗血症の診断方法。
(6)配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチド。
(7)下記(7−1)〜(7−2)に示す抗体の作製方法。
(7−1)配列番号1に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチド、若しくは配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原とする、上記(1−1)〜(1−5)、(2−1)若しくは(2−2)のいずれかの抗体の作製方法。
(7−2)配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原とする上記(1−4)、(1−5)、(2−1)若しくは(2−2)のいずれかの抗体の作製方法。
本発明の抗体は、本発明のヒト低分子量CD14測定キットに用いることができ、該キットは、ヒト低分子量CD14を高感度、簡便かつ特異的に定性又は定量でき、敗血症患者の診断に有用である。
図1は、S68ペプチドポリクローナル抗体を用いたイムノクロマト法キットの概要図である。(A)は、標識抗体として金コロイド標識F1031−8−3を用いたイムノクロマト法の概要図である。(B)は、第二の結合物質として、ビオチン及びストレプトアビジンを用いたイムノクロマト法キットの概要図である。
図2は、S68ペプチドポリクローナル抗体を用いたイムノクロマトキットにより、標準物質を測定した結果を示す。
図3は、S68ペプチドポリクローナル抗体と低分子量CD14蛋白質の結合をS68ペプチドのみが阻止する結果を示した図である。(A)は、正常人血清中で結合していない状態を示し、(B)は、敗血症患者血清中でのS68ペプチドの結合阻害を示す。
図4は、sCD14(1−307)S286C蛋白質を用いた本発明の低分子量CD14−EIAキットの標準曲線を示した図である。
図5は、sCD14(1−307)S286C蛋白質を用いて本発明の低分子量CD14−EIAキットの測定値に正常人血清由来可溶型CD14蛋白質が影響しないことを示した図である。
図6は、ゲル濾過クロマトグラフィーにより敗血症患者血中の低分子量CD14蛋白質及び高分子量CD14蛋白質をそれぞれ低分子量CD14−EIAキット及び市販CD14−EIAキット(IBL−Hamburg)により解析した結果を示した図である。
図7は、ゲル濾過クロマトグラフィーにより敗血症患者血清中の低分子量CD14蛋白質及び高分子量CD14蛋白質をそれぞれ低分子量CD14−EIAキ、ット及び市販CD14−EIAキット(IBL−Hamburg)により解析した結果を示した図である。上方の黒矢印は、キャリブレーションに用いたマーカーの位置を示す。左からBSA、オブアルブミン、キモトリプシノーゲンA、リボヌクレアーゼAである。
以下に、より詳細に本発明を説明する。
ヒト血中に存在する主要な可溶型CD14には、先行技術の欄に記載したLandmannらの報告に記載される約55kDa及び約49kDaの可溶型CD14(以降、「ヒト」を省略し、高分子量CD14と記載することがある)がある。これらの高分子量CD14は、F1025−3−1抗体と結合することが確認されている(WO01/22085号公報参照)。
一方、F1025−3−1抗体と結合しないCD14断片が存在すること、すなわち高分子量CD14より低分子量のCD14が存在することも明らかにされており、この低分子量のCD14が特定の疾患では血中に増加するしていることが示されている(WO01/22085号公報参照)。
以下に、本発明において測定対象とするヒト低分子量CD14(以降、「ヒト」を省略し、低分子量CD14と記載することがある)について説明する。
本発明において測定対象とするヒト低分子量CD14は、少なくとも以下の3つの特徴を有する。
1)F1025−3−1抗体と結合しない、
2)配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する、及び
3)ゲルろ過クロマトグラフィーでは、分子量25〜45kDaの間にピークを示す。
上記1)の特徴から、本発明において測定対象とするヒト低分子量CD14は、上記に記載の高分子量CD14とは異なる分子であることが理解される。また、特徴1)に記載されるF1025−3−1抗体は、配列番号5に記載の全長ヒトCD14の316番目から328番目のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として作製された抗体である。従って、F1025−3−1抗体と結合しないことから、ヒト低分子量CD14には、配列番号5に記載の全長ヒトCD14の316番目以降の配列が存在しない可能性が考えられる。
上記2)の特徴に記載される配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドは、配列番号5に記載のヒトCD14の53番から68番までの16アミノ酸残基に該当する。現在ヒト蛋白質において配列番号2の配列を含む他の蛋白質はヒトCD14以外には知られておらず、該配列はヒトCD14に特異的に含まれる配列であるといえる。このことから、本発明において測定対象とするペプチドは、ヒトCD14の一種であることが確認される。
また、本発明における測定対象としてのヒト低分子量CD14は、特徴2)の代わりに特徴2’)として、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドに結合する抗体と結合することで特徴付けられるものであってもよい。
上記3)の特徴から、本発明における測定対象としてのヒト低分子量CD14は、ゲルろ過クロマトグラフィーにより、分子量25〜45kDaの間に溶出ピークを示す。一般的に、ゲルろ過クロマトグラフィーでの分子量の解析は、クロマトグラフィーに使用する樹脂や、カラムの大きさ、用いたマーカーの分子量等の実験条件により、測定結果に幅が生じ得る。本発明における測定対象としてのヒト低分子量CD14は、ゲルろ過クロマトグラフィーにおいてヒト高分子量CD14と区別され、より低分子量側に溶出されるものとして特徴付けられる。
上記の1)〜3)によってその特徴を説明できるヒト低分子量CD14が、本発明において測定対象とされる。本発明における測定対象としてのヒト低分子量CD14について、更に好ましい特徴を以下に説明する。
4)抗ヒトCD14ポリクロナール抗体と特異的に結合する。
本発明における測定対象としてのヒト低分子量CD14は、全長ヒトCD14あるいは組換え全長ヒトCD14を抗原としたポリクロナール抗体と特異的に結合する。抗ヒトCD14ポリクロナール抗体としては、例えば、後述する実施例3−(2)−[2]に記載されるヒト血中のCD14蛋白質でマウスを免疫して得られた抗体価の上昇した抗血清及びその中に含まれる特異抗体が挙げられる。
なお、当該ヒト低分子量CD14は、特定の抗CD14モノクロナール抗体とも結合する特徴を有する。例えば、ヒト低分子量CD14は、配列番号5に記載の全長ヒトCD14の17番目から26番目のアミノ酸配列を認識する抗CD14モノクロナール抗体、若しくは該抗体と競合する抗CD14モノクロナール抗体と結合することが特に特徴づけられる。具体的な例としては、ヒト血清中のCD14を抗原として作製した後述するF1031−8−3抗体及び組換体ヒトCD14を抗原として作製した後述するF1106−13−3抗体が挙げられる。
一方、当該ヒト低分子量CD14は、以下の様にも特徴付けられる。配列番号5に記載の全長ヒトCD14の17番目から26番目のアミノ酸配列を認識する抗CD14モノクロナール抗体、若しくは該抗体と競合する抗CD14モノクロナール抗体のいずれか一つの抗体と、上記2)の特徴に記載される配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体とにより、2箇所同時に結合され得るものとして、例えばこれら2つの抗体を組み合わせたサンドイッチ法で測定され得るものとして、特徴付けられる。
本発明者らは、以上に説明したヒト低分子量CD14が、ヒト血中可溶型蛋白質であり、正常人と比較して敗血症患者の血中に多く存在すること、また、当該蛋白質が特定の抗体を用いて直接測定可能であることを見出した。なお、上記WO01/22085号公報においては、測定対象の低分子量のCD14の分子種として分子量36kDaの蛋白質が例示されている。
なお、本明細書に記載する「可溶型CD14」とは、ヒト血漿中に存在している蛋白質のことであり、細胞膜に結合しヒト血漿中には存在しない「膜結合型CD14」と対比する意味で用いられる。
本発明で記載する「抗原として作製される抗体」とは、「抗原」とするペプチドをエピトープ若しくはエピトープの一部分とする抗体である。また、「抗原として作製される抗体」の「抗原」とするペプチドに対して結合を示す抗体である。「抗原として作製される抗体」には、「抗原」とするペプチドに免疫原性を有させるためにキャリア若しくはキャリア蛋白を付加させたり、他のアミノ酸残基を付加させたりしたペプチドを免疫原として作製した抗体であっても、上記の性質を示せば「抗原として作製される抗体」に含まれる。
本発明の第一の態様は、配列番号1に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体である。
本発明の第一の態様の抗体は、配列番号1に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される。
配列番号1に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体であれば、アミノ酸残基数は特に限定されない。好ましくは、連続した10個以上、より好ましくは連続した12個以上、特に好ましくは連続した16個のアミノ酸からなるペプチドを抗原として作製される抗体である。また好ましくは25個以下、より好ましくは20個以下のアミノ酸からなるペプチドを抗原として作製される抗体である。
また、配列番号1に記載のアミノ酸配列の1〜68番目までのいずれの領域でもよく、特に限定されない。好ましくは、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、53〜68番目までのアミノ酸配列から選択される連続した8〜16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体である。また好ましくは、配列番号2〜4に記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体である。配列番号5には、全長ヒトCD14のアミノ酸配列を示しているが、配列番号1に記載のアミノ酸配列は、配列番号5に記載のアミノ酸配列の1〜68番に該当する。また、配列番号2、3および4に記載のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号5に記載のアミノ酸配列の53〜68番(16アミノ酸残基)、1〜17番(17アミノ酸残基)、14〜32番(19アミノ酸残基)に該当する。すなわち、配列番号2〜4に記載のアミノ酸残基は、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうちに含まれる連続したアミノ酸残基である。
より好ましくは、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体である。
本発明の第一の態様の抗体はその特徴として、ヒト低分子量CD14に結合する。この特徴により、本発明の第四の態様のキット、本発明の第五の態様の測定方法に利用できる。
またヒト低分子量CD14は、高分子量CD14と分子量が異なり、高分子量CD14よりもアミノ酸配列が短い。このため、血液中での低分子量CD14の構造が、高分子量CD14と異なり、抗体に対する反応性が異なると考えられ、本発明の第一の態様の抗体は低分子量CD14により強く結合することが考えられる。
本発明の第二の態様は、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体である。
本発明の第二の態様の抗体は、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合すれば、抗体が結合する領域はペプチドのいずれの領域でもよく、特に限定されない。
好ましくは、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体である。
本発明の第二の態様の抗体はその特徴として、ヒト低分子量CD14に結合する。その特徴により、本発明の第四の態様のキット、本発明の第五の態様の測定方法に利用できる。
またヒト低分子量CD14は、高分子量CD14と分子量が異なり、高分子量CD14よりもアミノ酸配列が短い。このため、血液中での低分子量CD14の構造が、高分子量CD14と異なり、抗体に対する反応性が異なると考えられ、本発明の第二の態様の抗体は低分子量CD14により強く結合することが考えられる。
本明細書で記載する「配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合する」とは、それぞれの配列番号に記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として特異的に結合し、通常の抗原抗体反応を示すことをいう。例えば、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する」とは、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として特異的に結合し、通常の抗原抗体反応を示すことをいう。抗原抗体反応を示すことは、凝集法、サンドイッチ法、固相直接法または固相結合法、競合法等で確認できる。
本発明の第二の態様の抗体は、該ペプチド若しくは低分子量CD14に対する親和性として表した場合の解離乗数(KD)は、10−7M未満が好ましい。より好ましくは、10−8M以下、さらに好ましくは10−9M以下である抗体である。
本発明の第二の態様の抗体の作製において、抗原とするペプチドは、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基の連続した8個以上のアミノ酸を含むペプチドであり、好ましくは、連続した10個以上、より好ましくは連続した12個以上、特に好ましくは連続した16個以上のアミノ酸を含むペプチドである。さらに、ペプチドは配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基の連続した8個以上のアミノ酸を含めば、その他のアミノ酸配列に限定はないが、好ましくはペプチドすべてのアミノ酸配列が配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸配列由来であることである。
本発明の第二の態様の抗体は、好ましくは配列番号2に記載のアミノ酸残基の連続した8個以上のアミノ酸を含むペプチドを抗原として作製した抗体である。好ましくは連続した10個以上、より好ましくは連続した12個以上、特に好ましくは連続した16個のアミノ酸を含むペプチドを抗原として作製した抗体である。
本発明の第一の態様の抗体及び本発明の第二の態様の抗体(以下、本発明の抗体と記載することがある)はポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい。本発明の抗体が由来する動物種は特に限定されない。抗体作製の容易さの面では、ウサギ、ヤギ等が好ましい。また分子種は特に限定されない。いずれのクラス、サブクラス及びアイソタイプに分類される免疫グロブリンであってもよい。
免疫原とするペプチドの作製方法は、一般的に使用されるペプチド合成機(ペプチドシンセサイザー433A型、パーキン−エルマージャパン)等を用いた方法、遺伝子組換え法(東京大学医科学研究所 制癌研究部編、新細胞工学実験プロトコール、秀潤社)等が挙げられる。
例えば、配列番号2に記載のアミノ酸残基の連続した8個以上のアミノ酸からなるペプチドは433A型ペプチド合成機を用いてFmoc法により合成でき、TFAによる脱保護、樹脂からの切断の後、C18 HPLCカラム(Capcell−pak、資生堂)を用いて精製し、目的のペプチドを調製することができる。
抗原が蛋白質である場合は、そのまま免疫原とすることができるが、8〜30アミノ酸残基以下のペプチドの場合は分子量が小さいため、通常免疫原性を持たないことがある。この場合、キャリアと結合させて若しくはMultiple Antigen Peptide(MAP)法を用いてMAPペプチドを調製して、免疫原性を有する分子量を有させ、免疫原とすればよい。
上記ペプチドと結合させるキャリアは、キャリア蛋白、ポリマーが挙げられる。キャリア蛋白は牛血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、サイログロブリンまたはオボアルブミン等の異種蛋白を用いればよい。これらキャリア蛋白は、ペプチド若しくはキャリア蛋白のアミノ酸に含まれる側鎖の官能基を利用して、またはマレイミド基、N−ヒドロキシスクシニミド(NHS)基若しくはアルデヒド基を導入して、上記ペプチドと結合させればよい。ポリマーはマンナン若しくはキトサン等の糖類、ポリビニルピロリドン(PVA)が挙げられる。これらポリマーは上記ペプチドと、吸着若しくは上記のような化学結合により結合させればよい。
本発明の抗体は公知技術を用いることにより作製できる(例えば、免疫実験操作法、日本免疫学会編、日本免疫学会発行、参照)。例えばポリクローナル抗体は下記の方法で作製できる。
上記のとおり調製した免疫原20〜1000μgをフロインド完全アジュバント、RIBIアジュバント、ALUM等のアジュバントと混合し、各種動物に免疫することができる。各種動物としては馬、羊、ヤギ、ブタ、ウサギ、ラット、マウス等が使用可能である。免疫方法としては筋肉内投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与、リンパ節投与等の方法が使用可能であり、初回投与後1〜4週間間隔でフロインド不完全アジュバント、RIBIアジュバント、ALUM等のアジュバントと混合した免疫原を同様に投与することにより、あるいは免疫原を直接静脈内に投与することにより追加免疫を行うことができる。抗血清は、免疫した動物から通常の採血方法、例えば頚動脈、耳静脈、心臓、足の静脈等より血液を採取し、遠心等により血清を分離することにより調製することができる。得られた抗血清は硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム等を添加する塩析法によりγグロブリン分画を沈殿させ、適当な緩衝液に透析後、プロテインA、プロテインG等のγグロブリンを特異的に精製することができるアフィニティーマトリクスを用いて目的のペプチドに対するIgG画分の精製ポリクローナル抗体を調製することができる。また、上記抗原と結合する抗体を選択することにより、特異精製することができる。
また、モノクローナル抗体は下記の方法で作製できる。
免疫した哺乳動物の免疫細胞をミエローマ細胞と融合させてハイブリドーマを作製し、このハイブリドーマの中から、上記ペプチドと結合する抗体を産生するクローンを選択することにより、本発明の抗体を作製することができる。好ましくは、53番から68番までのアミノ酸残基の連続した10個以上からなるペプチドを免疫原とすることである。より好ましくは連続した12個以上、特に好ましくは連続した16個のアミノ酸からなるペプチドを免疫原とすることである。
免疫する哺乳動物は、特に限定されないが、細胞融合に使用するミエローマ細胞との適合性を考慮して選択することが好ましく、マウス、ラットまたはハムスター等が好ましい。ミエローマ細胞は、公知の種々の細胞が使用可能である。これにはP3、P3U1、SP2/O、NS−1、YB2/0及びY3−Ag1,2,3等の骨髄種細胞が含まれる。
免疫は公知の方法により行うことができる。例えば、抗原を腹腔内、皮下、静脈内またはフットパッド内に投与して行う。この抗原の投与はアジュバントを併用してもよく、また複数回投与することが好ましい。免疫細胞は抗原の最終投与の数日後、例えば3日後に、摘出した脾細胞またはリンパ節由来の細胞が好ましい。免疫細胞とミエローマ細胞との融合は、Milsteinなどの方法(Methods in Enzymol.,73巻3頁)等の公知の方法を用いて行うことができる。例えば、融合剤としてポリエチレングリコール(PEG)を使用する方法または電気融合法等が挙げられる。免疫細胞とミエローマ細胞との混合比は、それらが融合できる比率であれば限定されないが、免疫細胞に対し、ミエローマ細胞を1/10量ないし等量を使用することが好ましい。PEG(平均分子量1,000〜4,000)を使用して細胞融合を行う方法ではPEG濃度は特に限定されないが50%で行うことが好ましい。また、融合効率促進剤としてジメチルスルフォキシド(DMSO)等の補助剤を添加してもよい。融合は37℃に加温したPEG溶液を混合した細胞に添加することにより開始し、1〜5分間反応後、培地を添加することにより終了する。この融合により形成されたハイブリドーマをヒポキサンチン、チミジン及びアミノプテリンを含む培地(HAT培地)等の選択培地で1日〜7日間培養し、未融合細胞と分離する。
得られたハイブリドーマをその産生する抗体により更に選択する。選択したハイブリドーマを公知の限界希釈法に従って単一クローン化し、単一クローン性抗体産生ハイブリドーマとして樹立する。ハイブリドーマの産生する抗体の活性を検出する方法は公知の方法を使用することができる。例えばELISA法、凝集反応法、ラジオイムノアッセイ法が挙げられる。樹立したハイブリドーマを公知の方法で培養し、その培養上清よりモノクローナル抗体を得ることができる。また、ハイブリドーマをこれと適合性を有する哺乳動物に投与して増殖し、その腹水より得ることができる。抗体の精製は、塩析法、ゲル濾過法、イオン交換クロマト法またはアフィニティークロマト法等の公知の精製手段を用いて行うことができる。
また、下記に態様の記載の通り、本発明のヒト低分子量CD14測定キットに本発明の抗体が使用できることから、ヒト低分子量CD14とは結合し、ヒト高分子量CD14とは結合しない抗体が作製できることが考えられる。
ヒト低分子量CD14とは結合し、ヒト高分子量CD14とは結合しない抗体は、低分子量CD14を抗原として抗体を作製し、高分子量CD14とは結合しない抗体を選択することにより得ることが考えられる。
低分子量CD14の調製方法は、WO01/72993号公報の実施例16に記載されている。また、本発明の抗体を用いて、ヒト血清、好ましくは敗血症患者血清より、特異精製することにより調製できる。
高分子量CD14と結合しない抗体を選択するためには、得られた抗体と高分子量CD14の結合を凝集法、サンドイッチ法、固相直接法若しくは固相結合法、または競合法等により測定すればよい。これらの測定法については、後述する。
高分子量CD14の調製は、WO01/22085号公報の実施例5に記載の高分子量CD14に特異的な抗体を用いて行えばよい。
また、ヒトCD14のアミノ酸配列の一部からなるペプチドを免疫原として上記と同様に作製し、高分子量CD14とは結合しない抗体を選択することにより得ることにより作製する方法も考えられる。ヒトCD14のアミノ酸配列の一部からなるペプチドとは、例えば、配列番号2に記載の16個のアミノ酸配列中の連続した8個以上のアミノ酸を含む各ペプチドが挙げられる。
本発明の第三の態様は、少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含み、ヒト高分子量CD14を検出せずに、検体に含まれるヒト低分子量CD14を直接測定するヒト低分子量CD14測定キットである。
本発明のキットは、少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含み、検体に含まれるヒト低分子量CD14を直接測定する。また、目的であるヒト低分子量CD14を検出し、ヒト高分子量CD14を検出しないため、ヒト低分子量CD14を直接測定することができる。該抗体の断片とは、該抗体のFab、Fab’、若しくはF(ab’)である
本発明のヒト低分子量CD14測定キットは、少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含み、検体に含まれるヒト低分子量CD14を直接測定することができる限り、特に限定されない。好ましくは、ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、本発明の抗体若しくは該抗体の断片を含むヒト低分子量CD14測定キットである。より好ましくは、ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体若しくは該抗体の断片を含むヒト低分子量CD14測定キットである。また好ましくは、ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体若しくは該抗体の断片を含むヒト低分子量CD14測定キットである。特に好ましくは、ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体若しくは該抗体の断片、または配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体若しくは該抗体の断片を含むヒト低分子量CD14測定キットである。
また、測定する原理も該抗体若しくは該抗体の断片を使用して免疫学的にヒト低分子量CD14を測定する方法であれば特に限定されない。
測定する原理の一例として、本発明の第二の態様の抗体の好ましい例である「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」を使用して、サンドイッチ免疫測定法によりヒト低分子量CD14を測定するヒト低分子量CD14測定キット(以下、サンドイッチ免疫測定系キットと記載することがある)について下記に具体的に記載する。
サンドイッチ免疫測定法は公知の技術を利用することができる。測定法の原理、応用及び改良法については、例えば、「超高感度酵素免疫測定法」石川栄治著、学会出版センター(1993年)、「免疫測定法の新しい活用事例と診断試薬・治療薬開発への応用」免疫測定法開発研究会、経営教育出版、酵素免疫測定法(第3版)石川栄治等編、医学書院(1987年)に記載されている。
また、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットは配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を含む。該配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体の特徴、及び作製法等は本発明の第一の態様に記載した通りである。該抗体は、ポリクローナル抗体でも、モノクローナル抗体でもよく、特に限定されない。
サンドイッチ免疫測定法は、通常測定する蛋白質を認識する部位の異なる2種類以上の抗体を用いて抗体−抗原−抗体複合体を形成させることにより測定する方法である。
まず、第一の抗体が結合した不溶性担体を用意し、固相若しくは反応場所とする。検体を固相の該不溶性担体に添加し、反応させる。一定時間反応させた後、洗浄して固相に結合しなかった物質を除去する。続いて標識した第二の抗体を添加する。一定時間反応させた後、洗浄して複合体を形成しなかった標識抗体を除去し、標識物に基づいて固相に結合した複合体の量を特異的に定性または定量する。サンドイッチ法は上記のように2段階で行う方法(2ステップ法)と抗原及び標識抗体を同時に加える1段階法(1ステップ法)のどちらを使用することもできる。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットにおいては、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−ヒト低分子量CD14−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」複合体を形成させることにより測定する。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットの構成としては、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体が結合した不溶性担体、及び標識した低分子量CD14に結合する第二の結合物質(以下、単に、第二の結合物質と記載することがある)を含むこと、
あるいは、第二の結合物質が結合した不溶性担体、及び標識した配列番号2に記の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を含む。
第二の結合物質の例示としては、低分子量CD14に結合する抗体が挙げられる。該低分子量CD14に結合する抗体は、ポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよく、特に限定されないが、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を用いるサンドイッチ免疫測定法における相性の点では、モノクローナル抗体が好ましい。また、該モノクローナル抗体の断片であってもよい。抗体の断片とは、該モノクローナル抗体のFab、Fab’、若しくはF(ab’)である。
低分子量CD14に結合する抗体(以下、第二の抗体と記載することもある)は、低分子量CD14と特異的に結合する抗体でも、高分子量CD14とも結合する抗体でもよく、特に限定されない。好ましくは、本発明の抗体と結合する領域が異なる抗体である。本発明の抗体として、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を用いる場合は、低分子量CD14の配列番号2に記載の16アミノ酸に相当する領域以外の領域と結合する抗体である。より好ましくは、上記第二の結合物質がヒト高分子量CD14の1〜52番目のアミノ酸残基のいずれかの領域に結合する抗体または該抗体の断片、あるいはヒト高分子量CD14の1〜52番目のアミノ酸残基のいずれかの領域に結合する抗体と競合する若しくは交差反応性を示す抗体、または該抗体の断片である。特に好ましくは、上記第二の結合物質がヒト低分子量CD14の17〜26番目のアミノ酸残基のいずれかに結合する抗体若しくは該抗体の断片、またはヒト低分子量CD14の17〜26番目のアミノ酸残基のいずれかに結合する抗体と競合する(交差反応性を示す)抗体若しくは該抗体の断片である。
作製法は、例えば高分子量CD14、低分子量CD14、高分子量CD14及び低分子量CD14の混合物若しくは組換体CD14を抗原として、本発明の第一の態様に記載の方法と同様にポリクローナル抗体若しくはモノクローナル抗体を作製すればよい。高分子量CD14及び低分子量CD14の混合物、及び組換体CD14を抗原とした第二の抗体の作製法の例示を後述する実施例3に示した。
また、実際の測定をする前に予備的に、後述する実施例3と同様に、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体と第二の抗体の候補の抗体とサンドイッチ法の系を構成し、測定感度を確認して、第二の抗体を選択することが好ましい。
また、抗体の断片であるFab、Fab’、F(ab’)は公知の方法(「超高感度酵素免疫測定法」石川栄治著 25−40頁、学会出版センター、1993年)で作製できる。
サンドイッチ免疫測定法において、上記の別法として競合法により測定することもできる。抗体−抗原−抗体複合体を形成させる中で、検体中の抗原と標識した抗原若しくは標識した抗原類似物質を競合させることにより測定する方法である。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットにおいては、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−標識ヒト低分子量CD14(若しくはその類似物質)−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」複合体を形成させることにより測定する。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットの競合法の構成としては、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体が結合した不溶性担体、第二の結合物質、及び標識したヒト低分子量CD14若しくは標識したヒト低分子量CD14類似物質を含むこと、
あるいは、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体、第二の結合物質が結合した不溶性担体、及び標識したヒト低分子量CD14若しくは標識したヒト低分子量CD14類似物質を含む。
ヒト低分子量CD14類似物質とは、例えば、ヒトCD14のN末端1〜285番目のアミノ酸を有する可溶性ポリペプチド(以下、sCD14(1−285)と記載)及びヒトCD14のN末端1〜307番目のアミノ酸を有しかつ286番目のセリンをシステインに置換した組換えポリペプチド(以下、sCD14(1−307)S286Cと記載)が例示される。しかし、測定系において検体中のヒト低分子量CD14と競合可能な物質である限り、特に限定されない。sCD14(1−285)及びsCD14(1−307)S286Cの調整法は、WO01/72993号公報に記載されている。
また、サンドイッチ免疫測定法において、さらに別法として第二の特異結合を利用して測定することもできる。抗体−抗原−抗体−第二の特異結合物質−第二の特異結合物質の特異結合パートナー(以下、第二の特異結合パートナーと記載することがある)の複合体を形成させて測定する方法である。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットにおいては、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−ヒト低分子量CD14−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」−第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナーの複合体を形成させること、若しくは、「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」−ヒト低分子量CD14−「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナーの複合体を形成させることにより測定する。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットの第二の特異結合を利用した構成としては、第二の特異結合物質で標識した配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体、標識した低分子量CD14に結合する第二の結合物質、及び第二の特異結合パートナーが結合した不溶性担体を含むこと、
あるいは、標識した配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体、第二の特異結合物質で標識した低分子量CD14に結合する第二の結合物質、及び第二の特異結合パートナーが結合した不溶性担体を含む。
第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナーの組み合わせとしては、抗原とその抗体、リガンドとそのレセプター、糖鎖含有物質とレクチン、ビオチンとアビジン若しくはストレプトアビジン等が挙げられる。
さらに、サンドイッチ免疫測定法において、抗体に対する抗体、すなわち、抗イムノグロブリン抗体を利用して、抗体−抗原−抗体−抗イムノグロブリン抗体の複合体を形成させて測定する方法、また、抗イムノグロブリン抗体及び第二の特異結合を利用して、抗イムノグロブリン抗体−抗体−抗原−抗体−第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナー等を形成させて測定する方法が例示される。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットにおいては、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−ヒト低分子量CD14−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」−抗イムノグロブリン抗体の複合体を形成させること、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−ヒト低分子量CD14−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」−抗イムノグロブリン抗体の複合体を形成させること、若しくは抗イムノグロブリン抗体−「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−ヒト低分子量CD14−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」−第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナーを形成させること、若しくは抗イムノグロブリン抗体−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」−ヒト低分子量CD14−「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−第二の特異結合物質−第二の特異結合パートナーを形成させること等により測定する。
いずれのサンドイッチ免疫測定法にしても、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−ヒト低分子量CD14−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」を含む複合体を形成させることにより測定する測定法であれば、第二の特異結合を利用して、固相、標識物質等を作製しても、本発明の測定法に含まれる。
すなわち、いずれのサンドイッチ免疫測定法にしても、サンドイッチ免疫測定系のキットとして、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を含む限り、本発明のキットに含まれる。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに用いる不溶性担体は、ビーズ、ラテックス粒子、磁性粒子、プレート、チューブまたはメンブレン等を用いればよい。ビーズ、プレートまたはチューブは、その材料としてポリスチレン、ナイロン、ガラス、シリコンラバー、ステンレス、プラスチック等が挙げられる。メンブレンは、セルロース、セルロース誘導体、ニトロセルロース、多孔性合成ポリマー、グラスファイバー、布、不織布、濾紙等が挙げられる。形状としては、ビーズ、ラテックス粒子または磁性粒子等は球形として用いることができる。保存時のスペースの確保の点で有利である。プレートまたはチューブはウエル形として用いることができる。市販の自動化測定器、プレートリーダー等に対応可能な点で有利である。また、メンブレンは後述するイムノクロマト法、フロースルー法に用いることができる。
配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体、第二の結合物質、第二の特異結合物質若しくはそのパートナー、または抗イムノグロブリン抗体の不溶性担体への結合は熱吸着法、化学結合法等により行うことができる。
また、不溶性担体に上記物質が結合していない非吸着面に対して、測定系に影響しない物質でブロッキング処理することが好ましい。測定系の特異性若しくは感度をあげることができるからである。測定系に影響しない物質とはBSA、カゼイン等の蛋白質及びTween20、NP−40等の界面活性剤等が例示される。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに用いる標識は、ペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、オキシダーゼ及びウロキナーゼ等の酵素、アクリジニウム若しくはその誘導体、またはエクオリン若しくはその改変体等の化学発光物質、FITC等の蛍光物質、色素、金コロイド、着色ラテックス、あるいはアイソトープを用いればよい。
例えば酵素としてペルオキシダーゼを用いる場合は、発色基質として3,3’,5,5’−テトラベンジジンまたは1,2−フェニレンジアミン等が、アルカリフォスファターゼを用いる場合は、発色基質として4−ニトロフェニルフォスフェート等が、β−D−ガラクトシダーゼを用いる場合は、発色基質として2−ニトロフェニル・β−D−ガラクトシド等が例示される。
配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体、第二の結合物質、第二の特異結合物質若しくはそのパートナー、または抗イムノグロブリン抗体への酵素標識は、二段階グルタルアルデヒド法、過ヨーソ酸法、マレイミド法、ピリジル・ジスルフィド法等により行うことができる。
酵素以外の標識についても熱吸着法、化学結合法等の公知の技術を利用して行うことができる。
酵素標識は、上記に例示される様な発色基質を用いれば、通常の吸光度測定系を用いて測定でき、また感度も比較的高く好ましい。また、簡易な測定キット、例えば後述するイムノクロマト法、フロースルー法を利用したキットに用いる標識は、色素、金コロイド若しくは着色ラテックスが視覚的にも観察可能であるので好ましい。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットは、サンドイッチ免疫測定法により測定することを特徴とし、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を含むものである。サンドイッチ免疫測定法は上記した通り公知の技術を利用することができ、上記の具体的な説明の他、サンドイッチ免疫測定法を特徴としたキットであれば、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を含む限り、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに含まれ、特に限定されない。すなわち、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体、及びサンドイッチ免疫測定法に必要な試薬が含まれていれは良く、また測定原理に基づく測定結果を阻害しない限り、含まれるのは限定されない。
例えば、任意の構成要素として、検体若しくは標識抗体等の緩衝液若しくは希釈剤、標識抗体に酵素が使われる場合の酵素に適した発色基質(上記参照)、ブロッキング剤、反応停止剤または洗浄剤等が例示される。また標準物質も例示される。標準物質はヒト低分子量CD14、低分子量CD14類似物質が挙げられる。
また、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットは、サンドイッチ免疫測定法を測定原理とするイムノクロマト法またはフロースルー法を利用したキットも含まれる。
イムノクロマト法は、試験ストリップ上を、検体中の溶液と共に被検物質である抗原が、試験ストリップ中に移動可能なように配置された標識抗体と反応しながら、抗体が固相化されている不溶性担体に移動し、不溶性担体上に抗体−抗原−抗体複合体を形成させる方法である。通常試験ストリップに検体を滴下する1ステップにより測定できる。
例えば、特開平1−63865、WO88/08534、WO90/09592にイムノクロマト法の装置が開示されている。また、展開速度の異なる流路を有するイムノクロマト法の装置が、WO89/03993、WO99/27364に開示されており、例えば固相抗体と抗原との反応しその複合体形成後、標識抗体が反応可能なように応用できる。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットのイムノクロマト法を利用した例を以下に示す。
例えば、装置すなわちキットとしては、試料添加部、試薬部、検出部及び吸収部を、試料添加部に添加される液性検体が上記の順に移動するように設けた試験ストリップである。試薬部に標識した第二の結合物質を含浸させ、検出部に配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体が結合した不溶性担体を設置されればよい。
試料添加部に添加された検体は、試薬部で標識した第二の結合物質を吸収する。ヒト低分子量CD14と標識した第二の結合物質が反応し、複合体を形成しながら、検出部に進む。検出部で上記の複合体と配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体が反応し、不溶性担体上に「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−ヒト低分子量CD14−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」複合体が形成される。反応に関わらない検体中の物質及び試薬は、吸収部に移動する。検出部に形成された複合体の標識を測定、特に視覚的に測定すればよい。
試験ストリップは、多孔性担体等を用いることが例示される。多孔性担体は、例えばニトロセルロース、セルロース、セルロース誘導体、ナイロン、ナイロン繊維、ガラス線維、多孔性合成ポリマー等が挙げられる。
試料添加部、試薬部は、試験ストリップの一部をそのまま利用してもよく、また試料量若しくは試薬量に応じたセルロース濾紙、グラスファイバー、布、不織布または多孔性合成ポリマー等を用いることが例示される。
検出部は、上記した通り、セルロース、セルロース誘導体、ニトロセルロース、多孔性合成ポリマー、グラスファイバー、布、不織布、濾紙等を用いることが例示される。
吸収部は、水吸収性材料を用いることが例示される。水吸収性材料とは、例えばスポンジ等の吸収性ポリマー、セルロース濾紙、濾紙等が挙げられる。
以上はイムノクロマト法の一例であり、反応が進行したことを確認する対照部を追加したり、試験ストリップに支持体をつけたり、外部カバーで覆ったりしてもよく、本発明のキットはこれらに限定されるものではない。
また、上記のサンドイッチ免疫測定法に関する説明に記載した通り、不溶性担体上に「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−ヒト低分子量CD14−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」複合体を形成させる他、抗イムノグロブリン抗体、第二の特異結合を利用した複合体を形成させて測定するイムノクロマト法のキットも本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに含まれる。
フロースルー法は、不溶性担体であるメンブレン上で、検体中の溶液と共に被検物質である抗原が、抗体−抗原−抗体複合体が形成させる方法である。このとき、メンブレンに固定されなかった物質は、通常は垂直にメンブレンの表から裏を通って除去される。
メンブレン上に検体、試薬及び洗浄剤を滴下する多ステップ法の装置がWO88/01603に開示されている。
また、メンブレンを多層にし、試薬部を設け、検体のみを滴下すれば測定できる1ステップに改良した方法が、特開平6−273419に開示されている。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットのフロースルー法を利用した例を以下に示す。
例えば、装置すなわちキットとしては、試料添加部、試薬部、検出部及び吸収部を、試料添加部に添加される液性検体が上記の順に移動するように重ねて設けたキットである。試薬部に標識した第二の結合物質を含浸させ、検出部に配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体が結合した不溶性担体を設置されればよい。
試料添加部に添加された検体は、試料添加部を垂直にメンブレンの表から裏を通って(以下、試料の移動は同様)、試薬部で標識した第二の結合物質を吸収する。ヒト低分子量CD14と標識した第二の結合物質が反応し、複合体を形成しながら、検出部に移動する。検出部で上記の複合体と配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体が反応し、不溶性担体上に「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−ヒト低分子量CD14−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」複合体が形成される。反応に関わらない検体中の物質及び試薬は、吸収部に移動する。検出部に形成された複合体の標識を測定、特に視覚的に測定すればよい。検出部を、試料添加部及び試薬部と、若しくは吸収部と分離可能な装置にしておけば、簡単に目視できる。また、試料添加部及び試薬部を半透明な部材であれば、試料添加部側から目視でき、特開平6−273419の様に吸収部を検出部の上方(試料添加部側)に配置すれば、下方側から目視できる。
部材は、イムノクロマト法と同様の部材を用いることができ、各部材をメンブレン様にして、検体中の溶液が移動できるようにしておけばよい。
以上はフロースルー法の一例であり、反応が進行したことを確認する対照部を追加したり、各部材に支持体をつけたり、外部カバーで覆ったりしてもよく、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットはこれらに限定されるものではない。
また、上記のサンドイッチ免疫測定法に関する説明に記載した通り、不溶性担体上に「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」−ヒト低分子量CD14−「ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質」複合体を形成させる他、抗イムノグロブリン抗体、第二の特異結合を利用した複合体を形成させて測定するフロースルー法のキットも本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに含まれる。
さらに、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットは、標識の信号を電気化学的に測定するMEDIA法(特開平5−264552)による測定、マイクロチップを使用したイムノアッセイ法(「バイオサイエンスとインダストリー」第61巻449−454頁2003年)による測定にも利用可能である。これらの原理を用いた測定キットも、サンドイッチ免疫測定法により測定することを特徴とし、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を含む限り、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに含まれる。
本発明のサンドイッチ免疫測定系キットは、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を含むことを特徴としており、低分子量CD14を特異的に測定できる。本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに使用する検体は、水性の検体が好ましい。特に血液、血清若しくは血漿等の血液成分、尿、その他の体液、細胞培養上清、またはカラム溶出液等が好ましく、これらに含まれる低分子量CD14の測定に有用である。しかし、ヒトの血液成分以外からの検体、例えばヒト尿若しくはその他の体液、ヒト以外の種からの血液成分、尿若しくはその他の体液、細胞培養上清、またはカラム溶出液等の検体では、低分子量CD14だけではなく、低分子量CD14類似の蛋白質、ポリペプチド等も測定することが可能である。配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を含む限り、上記の低分子量CD14類似の蛋白質、ポリペプチド等を測定するためのキットも、本発明のサンドイッチ免疫測定系キットに含まれる。
また、以上の説明において、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」の代わりに「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体の断片であるFab、Fab’、若しくは(Fab’)」を用いてもよい。
上記には、サンドイッチ免疫測定系キットの一例として、本発明の第二の態様の抗体の好ましい例である「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」を使用した例を具体的に示したが、本発明の第一の態様の抗体、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」の他の本発明の第二の態様の抗体若しくはこれらの抗体の断片であるFab、Fab’、若しくは(Fab’)を用いることもできる。
好ましくは、本発明の第二の態様の抗体を用いたサンドイッチ免疫測定系キットである。より好ましくは、「配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体」を用いたサンドイッチ免疫測定系キットである。
また、測定する原理の例として、サンドイッチ免疫測定法の他にも、凝集法、固相結合法及び溶液反応法が挙げられ、少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片を、好ましくは、本発明の抗体若しくは該抗体の断片を含むこれらの方法に応じたそれぞれのキットを構成することができる。
凝集法は、抗体を粒子の表面に結合させて、抗原が存在することにより粒子の凝集を生じさせて、該粒子の凝集の程度を指標として抗原を特異的に定性または定量する。
本発明の凝集法免疫測定系キットにおいては、「本発明の抗体」−ヒト低分子量CD14を形成させ、凝集させることにより測定する。
本発明の凝集系免疫測定系キットの構成としては、本発明の抗体がその表面に結合した粒子を含む。
粒子としては、ラテックス、赤血球(例えば羊赤血球)、ゼラチン、マイクロビーズまたはカーボン粒子等、一般に用いられている粒子を使用することができる。
固相結合法は、固相上で抗体と抗原の複合体を形成することにより測定する方法である。抗原を含む検体を不溶性担体(すなわち固相、以下同)に吸着させる。次に標識抗体を添加し、反応させ、標識物に基づいて固相に結合した複合体の量を特異的に定性または定量する。
また、競合法として、抗原類似物質を不溶性担体に吸着させて、標識抗体と検体中の抗原との反応を競合させることにより、抗原類似物質と結合した標識抗体の量を測定する方法がある。さらに競合法の別法として、抗体を不溶性担体に吸着させて、検体中の抗原との反応を、標識抗原類似物質により競合させ、抗体と結合した標識抗原類似物質の量を測定する方法がある。
本発明の固相結合法免疫測定系キットにおいては、「本発明の抗体」−ヒト低分子量CD14複合体、「本発明の抗体」−標識ヒト低分子量CD14(若しくはその類似物質)複合体または「標識した本発明の抗体」−ヒト低分子量CD14(若しくはその類似物質)複合体を形成させることにより測定する。
本発明の固相結合法免疫測定系キットの構成例としては、本発明の抗体、不溶性担体、及び検体を不溶性担体に吸着させる試薬を含むこと、
本発明の抗体、及び標識したヒト低分子量CD14(若しくはその類似物質)が結合した不溶性担体を含むこと
あるいは、標識した本発明の抗体が結合した不溶性担体、及び標識したヒト低分子量CD14(若しくはその類似物質)が結合した不溶性担体を含む。
不溶性担体、ヒト低分子量CD14類似物質、標識及び吸着させる試薬については、サンドイッチ免疫測定系キットの説明に記載した通りである。
溶液反応法は、抗原と標識抗体を液相中で反応させ、その後抗体を用いた凝集沈降法若しくは物理化学的な手法によって、抗原、抗体と抗原抗体複合体とを分離し、低分子量CD14を特異的に定性または定量する方法もある。
本発明の溶液反応法免疫測定系キットの構成例としては、キットにおいては、「標識した本発明の抗体」−ヒト低分子量CD14」複合体を液相中で形成させ、未結合の標識抗体を分離することにより測定する。
本発明の溶液反応法免疫測定系キットの構成例としては、標識した本発明の抗体を含む。
また、以上の説明において、「本発明の抗体」の代わりに「本発明の抗体の断片であるFab、Fab’、若しくは(Fab’)2」を用いてもよい。
以上、本発明の測定キットの例を測定する原理に基づいて記載したが、本発明のキットはこれらの原理に限定されない。少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含み、検体に含まれるヒト低分子量CD14を直接測定することができる限り、本発明の測定キットに含まれる。免疫測定法の原理については、公知の技術を利用することができる。上記した「超高感度酵素免疫測定法」石川栄治著、学会出版センター(1993年)、「免疫測定法の新しい活用事例と診断試薬・治療薬開発への応用」免疫測定法開発研究会、経営教育出版、酵素免疫測定法(第3版)石川栄治等編、医学書院(1987年)も参考にできる。
本発明のキットで特異的に測定できる低分子量CD14は、敗血症患者において増加する。このため、低分子量CD14を測定することは敗血症の診断の指標となり、本発明のキットは、敗血症の診断に有用である。
本発明の第四の態様は、ヒト高分子量CD14を検出せず、ヒト低分子量CD14を検出するために、少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体を使用し、検体に含まれるヒト低分子量CD14を直接測定するヒト低分子量CD14測定方法である。
本発明の測定方法は、ヒト低分子量CD14測定方法であって、ヒト高分子量CD14を検出せず、ヒト低分子量CD14を検出するために、少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体を使用し、検体に含まれるヒト低分子量CD14を直接測定するヒト低分子量CD14を測定する方法である。好ましくは、本発明の抗体を使用する低分子量CD14の測定方法である。より好ましくは、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体を使用する低分子量CD14の測定方法である。また好ましくは、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を使用する低分子量CD14の測定方法である。特に好ましくは配列番号2に記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体、または配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体を使用する低分子量CD14の測定方法である。また、以上の説明において、「抗体」の代わりに「該抗体の断片であるFab、Fab’、若しくは(Fab’)」を用いてもよい。
また、好ましくは、サンドイッチ免疫測定法によりヒト低分子量CD14を測定する低分子量CD14の測定方法である。
本発明の抗体を固相抗体、若しくは標識抗体等として使用することができる。また、第二の特異結合、抗イムノグロブリン抗体を利用した測定方法も含まれる。この場合、本発明の第一の態様の抗体は遊離の抗体、第二の特異結合物質若しくは第二の特異結合パートナーに結合した抗体等としても使用することができる。
本発明の測定方法は、サンドイッチ免疫測定法の非競合法、または競合法が可能であり、またイムノクロマト法、またはフロースルー法での測定も含まれる。
また、本発明の測定方法の原理は、サンドイッチ免疫測定法に限定されず、その他の例としては凝集法、固相結合法及び溶液反応法等が挙げられる。
詳細は本発明の第三の態様に記載した通りである。
本発明の第五の態様は、ヒト低分子量CD14を直接測定する敗血症の診断方法である。
本発明の敗血症の診断方法は、低分子量CD14を直接測定する。
低分子量CD14を直接測定する方法は、本発明の第四の態様に記載したとおりである。また本発明の第三の態様に記載したキットを用いて診断することができる。
後述する実施例3、10及び11に記載の通り、本発明のキットを用いて正常人及び各種患者の血中の低分子量CD14を測定したところ、敗血症患者の血中で特異的に低分子量CD14量が高いことが確認された。このことから、上記のキットを用いて測定した結果を、敗血症の診断の指標とすることができる。例えば、患者の血中の低分子量CD14の量を求め、これを正常人の測定結果の平均値をとる等により標準化した正常人の値または正常人の値の範囲と比較することにより行う。例えば、正常人の平均値+2SDまたは3SDをカットオフ値として、それよりも低分子量CD14値が高い場合は陽性の指標とする等である。また、予め正常人および敗血症患者の低分子量CD14濃度の値またはその範囲を標準化した値と、各個体の低分子CD14の測定値とを比較することにより診断の指標とすることもできる。例えば、正常人の低分子量CD14値を0〜0.1μg/mLとし、敗血症患者の値を0.2μg/mL以上として測定値と比較し、陰性、擬陽性または陽性の指標とする等である。
本発明の第六の態様は、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドである。本発明のペプチドは、配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなる。本発明のペプチドは、本発明の抗体を作製する抗原として有用である。
本発明の第七の態様は、配列番号1に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原とする、本発明の抗体の作製方法である。抗原として用いるペプチドの好ましい例は、本発明の第六の態様のペプチド及び配列番号2に記載のアミノ酸残基の連続した8個以上のアミノ酸からなるペプチドである。「配列番号2に記載のアミノ酸残基の連続した8個以上16個以下のアミノ酸からなるペプチド」とは、下記1)〜9)のいずれかのアミノ酸配列を含むペプチドであり、配列番号2中の下記配列に連続する上流側および/または下流側配列であり、合計10個以上、12個以上、さらには16個であるのが好ましい。
Figure 2004044005
本発明の方法の詳細は本発明の抗体の態様の項に記載したとおりである。
本発明のペプチドは本発明の抗体の態様の項に記載した方法により作製することができる。
以下に、実施例をもって本発明を一層具体的に説明するが、これらは一例として示すものであり、本発明はこれらにより何等限定されるものではない。また、以下の記載において用いる略号は当該分野において慣例として用いられる略号に基づくものである。
なお、以下の実施例に使用した正常人血清及び敗血症患者血清はProMedDx社製及びSera Care Life Science社製を購入して、使用した。
(実施例1)合成ペプチドを抗原としたポリクローナル抗体の作製
1−(1)抗原とするペプチドの調製<1>
配列番号2に記載の配列(配列番号5に記載の53番目から68番目の配列に該当)を有するペプチド(以下、S68ペプチドと記載)を、N末端でSH基を介してキャリア蛋白質と結合させるため、N末端にシステインを挿入して合成した。すなわち、ペプチド合成機ABI433A(アプライド)を用いて、アミノ酸配列に従ってアミノ酸カラムを並べ、N末端にシステイン用のアミノ酸カラムを設置し自動合成を行った。合成したペプチドは定法により樹脂より切り出し、エーテルで沈殿させ回収後、再度蒸留水で溶解し凍結乾燥した。得られた粗精製ペプチドは溶解後、C18逆相HPLC(CAPCELL−PAK、資生堂)を用いて5〜70%のアセトニトリル濃度の直線グラジエントで溶出し、目的のペプチドを含む分画を回収した。回収した分画は凍結乾燥し、精製ペプチドとして2〜3mgを得た。
1−(2)合成ペプチドを用いたペプチドキャリア抗原の調製<1>
1−(1)で調製した2種類のペプチドをそれぞれ蒸留水で10mg/mLに溶解し、10mg/mLのマレイミド化キーホールリンペットヘモシアニン(Imject Maleimed Activated keyhole Limpet Hemocyanin(KLH)(PIERCE)と等量混合した。室温で2時間反応後、生理食塩水で平衡化したNAP−10カラム(アマシャム バイオサイエンス)で脱塩し、S68ペプチドキャリア抗原(以下、S68ペプチド−KLHと記載)を1mg得た。以下の実施例に記載の蛋白質濃度は使用したKLH量を液量で割ったものを使用した。
1−(3)抗原とするペプチドの調製<2>
表1に示す2種類のペプチド配列を、ペプチド合成機(PSSH−8、島津製作所)を用いて1−(1)と同様に合成し、精製し、各ペプチドそれぞれを約5mg得た。なお、表中の「番号」は以下の説明に記載するペプチドの名称を、「位置」は配列番号5に記載のアミノ酸配列中に存在する位置を示す。
Figure 2004044005
1−(4)合成ペプチドを用いたペプチドキャリア抗原の調製<2>
1−(3)で調製したそれぞれのペプチドをそれぞれ0.1M EDTAを含むPBS(pH7.2)で溶解し、1−(2)と同様に、それぞれのペプチドにKLHが結合したそれぞれのペプチドキャリア抗原を3mg得た。
1−(5)合成ペプチドを抗原としたポリクローナル抗体の作製<1>
1−(2)で調製したS68ペプチド−KLHに対するポリクローナル抗体を作製するため、S68ペプチド−KLHを用いてウサギに免疫を行った。すなわち、S68ペプチド−KLH各100μgを500μLの生理食塩水に希釈し、500μLのフロインド完全アジュバント(DIFCO)と等量混合後、ニュージーランド白色ウサギ(北山ラベス)メス2.1−2.2kgの背部皮下に投与した。その2週間後、S68ペプチド−KLH各100μgを500μLの生理食塩水に希釈し、500μLのフロインド不完全アジュバント(DIFCO)と等量混合後、背部皮下に投与した。さらにその2週間後、S68ペプチド−KLH100μgを1mLの生理食塩水に希釈し耳静脈内に投与した。
投与終了1週間後、耳静脈より採血し、定法にしたがい抗血清を分離し、抗体を精製した。まず抗血清に最終飽和濃度33%となるように硫酸アンモニウムを添加し、4℃で1時間攪拌後、析出した沈殿を遠心分離した。次に沈殿を76mMリン酸緩衝液(以下、PBS(pH6.4)と記載)で溶解し、一夜透析した。透析液を濾過後、プロテインAカラム(プロセップA、ミリポア)にアプライし、結合したIgG画分を0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)により溶出し、精製抗体を得た。PBS(pH6.4)で透析後、280nmの吸光度より蛋白濃度を算出した(吸光係数:0.533mg/mL)。以降、得られた抗体をS68ペプチドポリクローナル抗体と記載する。
1−(6)合成ペプチドを抗原としたポリクローナル抗体の作製<2>
1−(4)で調製したそれぞれのペプチドキャリア抗原を用いて1−(3)と同様に免疫及び抗血清の精製を行い、それぞれのペプチドポリクローナル抗体(P001およびP002のポリクローナル抗体)を作製した。なお、免疫は2ヶ月間にペプチドキャリア抗原(0.5mg/ウサギ)を5回投与し、全採血後それぞれの抗血清(抗血清P001およびP002)を得た。
1−(7)特異精製ポリクローナル抗体の調製
S68ペプチドポリクローナル抗体よりS68ペプチドに対する抗体のみを精製するため、以下の方法により特異精製を行った。まず、システインを挿入したS68ペプチド(以下、C−S68ペプチドと記載)をSH基を介して担体に結合させるため、マニュアルに従ってSulfoLink Coupling Gel(PIERCE)1mLあたりC−S68ペプチド200μgを混合し反応した。反応終了後残った活性基をブロッキングし、S68ペプチド結合アフィニティーカラムを調製した。次に、1−(3)に記載の精製IgG画分7.92mgをアプライし、リン酸緩衝液(pH7.4)(ダルベッコ、以下、D−PBS(pH7.4)と記載)でカラムを洗浄し、次に0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で結合した抗S68ペプチド抗体を溶出した。溶出後pHを中性に戻しPBSで透析後、蛋白質濃度を280nmの吸光度より算出した(吸光係数:0.533mg/mL)ところ、0.52mgの抗S68ペプチド抗体(以下、S68抗体と記載)が得られた。
(実施例2)合成ペプチドを抗原としたモノクローナル抗体の作製
実施例1−(2)で調製したS68ペプチド−KLH20μgを100μLの生食に溶解し、フロインド完全アジュバント(DIFCO)と等量混合し、Wistarラット8週齢メスの各後足フットパッドに100μLずつ投与した。2週間後、腸骨リンパ節を摘出し細胞融合を行った。細胞融合は安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」83ページ、1991年(講談社)にしたがって行った。すなわち、リンパ節よりセルストレイナー(ファルコン)を用いてリンパ球を分離し、ミエローマ細胞(Sp2/O−Ag14)と5:1で混合し、ポリエチレングリコールを用いて細胞融合を行った。融合した細胞をHAT培地に懸濁し、ハイブリドーマを選別後、目的の抗体を産生しているハイブリドーマをスクリーニングした。
スクリーニングはsCD14(1−307)S286Cを直接プレートに固相化するELISA法を用いた。すなわち、イムノプレート(Maxisorb,NUNC)に0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で1μg/mLに希釈したsCD14(1−307)S286Cを各ウエルに50μL添加し、37℃で1時間静置した。次にプレートをイオン交換水で5回洗浄後、0.1%BSAを含むPBS(pH6.4)を各ウエルに100μL添加し、室温で1時間静置してブロッキングを行った。得られたハイブリドーマからサンプリングした培養上清を各ウエルに添加し37℃で1時間反応させた後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した。次にペルオキシダーゼ標識抗ラットイムノグロブリン抗体(DAKO)を10%ウサギ血清を含むPBSで1000倍に希釈した溶液を各ウエルに50μL添加した。37℃で1時間反応後、同様に5回洗浄しテトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で10分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止した。450nmの吸光度をプレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で測定し、sCD14(1−307)S286Cと結合する抗体を産生するハイブリドーマを含むウエルを選択した。
次に、選択したウエルより安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」83頁、1991年(講談社)にしたがって限界希釈法によりクローニングを行った。10日後、同様にsCD14(1−307)S286Cに対する反応性を指標としてスクリーニングを行い、6種類のハイブリドーマを選択した。選択したハイブリドーマを10%FCS/RPMI−1640培地(Sigma)で培養後、Hybridoma−SFM培地(Invitrogen)で培養し抗体を産生させ、プロテインGカラム(Prosep−G、ミリポア)を用いて抗体を精製した。精製したF1146−17−2抗体のサブタイプをラットタイピングキット(ZYMED)を用いて決定したところサブタイプはラットIgG2b・κであった。
なお、sCD14(1−307)S286Cは、WO01/72993号公報の実施例9に記載の方法を用いて調製した。
(実施例3)ヒト低分子量CD14の測定系の検討
実施例1及び実施例2に記載の抗体を用いて、サンドイッチEIA法によるヒト低分子量CD14の測定系を検討した。
3−(1)組換えヒトCD14の調製
まず、サンドイッチELISA法の第二の抗体とするsCD14(1−285)に対するモノクローナル抗体を作製するため、その免疫原であるsCD14(1−285)を大腸菌で調製した。sCD14(1−285)を大腸菌で発現させるために、以下の方法で発現プラスミドpTrp1659を構築した。
まず、オリゴマー8,linkS(5’−agc tta gga att t−3’)(配列番号15)及びオリゴマー8,linkA(5’−cta gaa att cct a−3’)(配列番号16)を合成した。
これらのオリゴマーを等量混合し、99℃で1分間加温した後に、室温まで徐々に冷却してアニーリングを行った。さらにT4 Polynucleotide Kinaseで5末端をリン酸化してリンカーを作製した。
次にセンスプライマー(5’−aca tct aga tga cca cgc cag aac ct−3’)(配列番号17)及びアンチセンスプライマー(5’−ttt gga tcc tta cta gag atc gag cac tct−3’)(配列番号18)を合成し、WO01/72993号公報の実施例8に記載のプラスミドpM1659を鋳型にPyrobest DNA polymeraseを用いてPCRを行った。
反応液を90℃で2分間加温した後に、98℃ 10秒、55℃ 30秒、72℃ 1分のサイクルを30回繰り返して行った。
得られた約900bpの増幅物を、XbaIとBamHIとでdouble digestionして、DNA断片を回収した。特開平06−025289号公報の実施例10に記載のベクターpM710を、HindIIIとBaHIとでdouble digestionした後に、アガロースゲル電気泳動を行い、回収した。前述したリン酸化済みリンカー、PCR増幅DNA断片/XbaI+BamHI消化断片、そしてベクター/HindIII+BamHI断片の3種をligationした後に(three−way ligation)、大腸菌コンピテントセル(JM109(TOYOBO))にtransformationを行い、目的のプラスミドを含むクローンを得た。プラスミドDNAは定法により調製した。
次にsCD14(1−285)を生産するためのJE7924形質転換株をエレクトロポレーション法により調製した。
まず、大腸菌JE7924(J.Bacteriol 173 4799頁(1991))をグリセロールストックより回復し、LB培地にて37℃ 一晩培養した。さらに50mLのLB培地に植菌し直し、600nmの吸光度が0.5〜0.6になるまで培養を続けた後に、培養フラスコごと30分間氷冷した。次に大腸菌を集菌し、氷冷した滅菌蒸留水にて2回、氷冷した10%グリセロール溶液で1回洗浄した後に、氷冷した10%のグリセロール溶液100μLに懸濁した。50μLずつ2本のチューブに分注して、液体窒素で急速凍結し、コンピテントセル(JE7924)を調製し、使用時まで−80℃で保存した。
次に、JE7924コンピテントセル50μLに、pTrp1659約30ngをエレクトロポレーション法で導入した。機器はBIO−RAD社のGene Pulserを使用した。また、その時の設定は、Voltage2.5kV、Resistor 200Ω、Capasitor 25μFで行った。その後、50μg/mLのアンピシリンを含むLBアガープレートで一晩培養することで、pTrp1659が導入された形質転換株を得た。このクローンをLB培地にて37℃で一晩培養した後に、新しい培地に再度植菌し直し、さらに5時間培養した。600nmの吸光度が2〜3であることを確認し、3β−INDOLEACRYLIC ACID(Sigma社)を終濃度100μg/mLの濃度で添加し、37℃で4時間培養を行い、sCD14(1−285)を誘導発現させた。次に、大腸菌を回収し、Bug Buster Protein Extraction Reagent(Novagen社)を用いてInclusion bodyを調製した。その後、SDS−PAGE用バッファーにて溶解し、SDS−PAGEを行い、抗CD14抗体によるWestern lottingでsCD14(1−285)の発現を確認した。
免疫原用sCD14(1−285)は同様にJE7924形質転換株を1LのLB培地で培養し調製した。まず培養液を遠心分離し、大腸菌を集菌後、菌体をD−PBSで洗浄し、集めた菌体に50mLのBug Buster−Protein Extraction Reagent(Novagen、以下Bug Busterと記載)を加えて懸濁し、室温で30分間放置した。菌体溶解後、10分間ソニケーション(US−3、井内盛栄堂)処理し、10000×g、4℃にて20分間遠心分離し、上清を除去した。再度同様にソニケーション処理し、得られた沈殿を50mLのBug Busterに懸濁した。懸濁液に1mLの10mg/mLのリゾチーム(生化学工業)を加えて緩やかに攪拌後、室温で10分間放置し、続けて200mLの10分の1量の高濃度Bug Busterを加えて攪拌後、同様に遠心分離し、上清を除去した。得られた沈殿に、200mLの1/10濃度のBug Busterを加えて懸濁し、同様に遠心分離し、この操作を数回繰り返した。最終的に得られた沈殿に100mLのD−PBSを加え、Inculusion Bodyを得た。
sCD14(1−285)の調製は、まずInclusion Bodyを1%のTritonX100を含むTE緩衝液(pH8.0、ニッポンジーン)に溶解し、凍結融解を3回行い、遠心し沈殿を回収した。再度1%のTritonX100を含むTE緩衝液(pH8.0、ニッポンジーン)に溶解し、氷冷後250μAで10秒間隔で12分間超音波処理を行い、遠心後沈殿を回収した。沈殿を1%のTritonX100、0.2M NaOHを含むTE緩衝液(pH8.0、ニッポンジーン)に溶解し、37℃で10分間処理、遠心、再溶解を3回行った後、沈殿を回収した。得られた沈殿を6Mのグアニジン塩酸を含む水溶液に溶解し、精製sCD14(1−285)を調製した。濃度はBSAを標準品としてブラッドフォードのタンパクアッセイ法により算出した。
3−(2)抗CD14モノクローナル抗体の作製
[1]F1106−13−3抗体の作製
上記に記載の大腸菌由来sCD14(1−285)を投与抗原として、モノクローナル抗体を作製した。まず、ddyマウス6週齢メスの腹腔に精製sCD14(1−285)20μgをフロインド完全アジュバント(DIFCO)と等量混合して200μL投与した。2週間後、精製sCD14(1−285)20μgをフロインド不完全アジュバント(DIFCO)と等量混合し、腹腔内に200μL投与した。細胞融合3日前にマウスの腹腔に抗原50μgを投与した。3日後、無菌的に脾臓を摘出し、脾臓よりリンパ球を分離し、安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」83ページ、1991年(講談社)にしたがってミエローマ細胞(P3×63−Ag.8.U・1)と10:1で混合し、ポリエチレングリコールを用いて細胞融合を行った。HAT培地によりハイブリドーマを選別後、sCD14(1−285)と結合する抗体を産生しているハイブリドーマのスクリーニングをELISA法で行った。
まず、sCD14(1−285)をPBS(pH6.4)で0.4μg/mLに希釈し、イムノプレート(Maxisorb,NUNC)の各ウエルに50μL添加した。4℃で一晩反応後、イオン交換水で5回洗浄し、0.5%BSAを含むPBS(pH6.4)を各ウエルに100μL添加し、ブロッキングを行った。サンプリングした培養上清を各ウエルに添加し37℃で1時間反応させた後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄した。次にペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(DAKO)を10%ウサギ血清を含むPBSで1000倍に希釈した溶液を各ウエルに50μL添加した。37℃で1時間反応後、同様に5回洗浄しテトラメチルベンジジン溶液(TMB.BioFix)を各ウエルに添加した。室温で10分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止した。450nmの吸光度をプレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で測定し、sCD14(1−285)と結合する抗体を産生するハイブリドーマを含むウエルを選択した。次に選択したウエルより安東民衛・千葉丈/著「単クローン抗体実験操作入門」83ページ、1991年(講談社)にしたがって限界希釈法によりクローニングした。10日後、同様にsCD14(1−285)に対する反応性を指標としてスクリーニングを行い、ハイブリドーマを選択したところ12種類の抗sCD14(1−285)モノクローナル抗体産生ハイブリドーマが得られた。
選択したハイブリドーマを10%FCS/RPMI−1640培地(Sigma)で培養後、Hybridoma−SFM培地(Invitrogen)で培養し抗体を産生させ、プロテインA(Prosep−A、ミリポア)を用いて抗体を精製した。
特に反応性の高い抗体であるF1106−13−3抗体のサブタイプをIsoStrip Mouse Monoclonal antibody Isotyping Kit(Roche)を用いて決定したところサブタイプはIgG2b・κであった。
[2]F1031−8−3抗体の作製
F1031−8−3抗体はWO01/22085号公報の実施例7に記載の方法を用いて作製した。簡単に記載すれば、ヒト血中のCD14蛋白質20μgを生食に溶解し、フロインド完全アジュバンド(DIFCO)と等量混合し、初回及び2週間後に2回目をマウスに腹腔内投与をした1週間後、血清中の抗体価の上昇を、WO01/22085号公報の実施例5と同様に組換えヒトCD14蛋白質との反応性をELISA法により確認した。マウスの腹腔に抗原100μgを投与し最終投与を行い、3日後、脾臓を摘出した。脾臓よりリンパ球を分離し、ミエローマ細胞(P3×63−Ag.8.U.1)と10:1で混合しポリエチレングリコールを用いて細胞融合を行った。HAT培地によりハイブリドーマを選択し、1週間後目的に抗体を産生しているハイブリドーマのスクリーニングを上記記載のELISA法により行った。固相化した可溶型CD14蛋白質と反応したハイブリドーマを限界希釈法によりクローニングし、10日後同様にスクリーニングを行い、抗CD14蛋白質モノクロナール抗体を得た。代表的な抗体として、IsoStrip Mouse Monoclonal antibody Isotyping Kit(Roche)を用いて決定したサブタイプがIgG2b・κであるF1031−8−3抗体を得た。
3−(3)ヒト低分子量CD14の測定系の検討
ヒト低分子量CD14を特異的に検出可能な系を作製するため、実施例1、2、3−(2)に記載の抗体を用いてサンドイッチEIA系を作製した。
[1]ペルオキシダーゼ標識抗体の調製
ペルオキシダーゼ標識抗体は中根らの方法(J.Histochem.Cytochem.,22巻、p.1084、1974年)に従い4mgのペルオキシダーゼ(東洋紡)を蒸留水に溶解し、100mMの過ヨウ素酸を添加し25℃で20分間反応した。反応終了後、1.5%エチレングリコールを添加し25℃で10分間反応させ1mM酢酸緩衝液(pH4.4)に対して透析した。精製したF1031−8−3抗体及びF1106−13−3抗体それぞれを10mM炭酸緩衝液(pH9.5)で透析し、4mgに対して0.2M炭酸緩衝液(pH9.5)を70μL添加して活性化した4mgのペルオキシダーゼを抗体と等量に混合し25℃で2時間反応した。次に4mg/mLの水素化ホウ素ナトリウムを添加し、さらに2時間4℃で反応した。反応液をPBSに透析し、ペルオキシダーゼ標識F1031−8−3抗体(以下、F1031−8−3−HRPと記載する場合がある)及びペルオキシダーゼ標識F1106−13−3抗体(以下、F1106−13−3−HRPと記載する場合がある)を得た。液量を測定し使用した抗体量より抗体濃度を算出した。
[2]サンドイッチEIA系の作製〈1〉
固相抗体として実施例1で作製したS68抗体を使用し、標識抗体として実施例3−(2)[1]及び[2]で作製した抗体を使用する2ステップサンドイッチEIA系を作製した。すなわちS68抗体をD−PBS(pH7.4)で10μg/mLに希釈し、イムノプレート(Maxisorb,NUNC)の各ウエルに50μL添加した。4℃で一晩反応後、イオン交換水で5回洗浄し、0.1%StabilGuard(SurModics,Inc)と0.1%Tween20を含むD−PBSを各ウエルに100μL添加しブロッキングした。次に1%の正常人血清(3C10を用いて可溶型CD14を除去した血清、以下、CD14吸収血清と記載)、0.1%BSAを含むPBS(pH7.4)を希釈液として、ヒト正常人血清及びヒト敗血症患者血清を20倍に希釈した希釈検体を調製した。希釈検体をウエル当たり50μL添加し、37℃で2時間反応させた。
反応終了後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄し、5%ラット血清、1%マウス血清、0.1%Tween20を含む76mM PBS(pH8.0)で0.6μg/mLに希釈したF1031−8−3−HRPまたはF1106−13−3−HRPを各ウエルに50μL添加した。37℃で2時間反応後、同様に5回洗浄し、テトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で20分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止し、プレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で450nmの吸光度を測定した。その結果、表2に示すようにS68ペプチド由来抗体を組み合わせた系では正常人では上昇せず、敗血症患者特異的に上昇する、血中可溶型蛋白質、すなわち本発明で定義している低分子量CD14が測定できた。
[3]サンドイッチEIA系の作製〈2〉
1)固相抗体として実施例2で作製したF1146−17−2抗体を使用し、標識抗体として実施例3−(2)[2]で作製した抗体を使用する2ステップサンドイッチEIA系を作製した。F1146−17−2抗体をPBS(pH6.4)で120μg/mLに希釈し、イムノプレート(Maxisorb,NUNC)の各ウエルに50μL添加した。56℃で30分反応後、イオン交換水で5回洗浄し、0.1%StabilGuard(SurModics,Inc)と0.1%Tween20(和光純薬)を含むPBSを各ウエルに100μL添加しブロッキングした。次に1%BSAを含むPBS(pH6.4)を希釈液としてヒト正常人血清及びヒト敗血症患者血清を10倍に希釈した希釈検体を調製した。希釈検体をウエル当たり50μL添加し、25℃で2時間反応した。
反応終了後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄し、5%ラット血清、1%マウス血清、0.1%Tween20を含む76mMリン酸緩衝液(pH8.0)で0.5μg/mLに希釈したペルオキシダーゼ標識F1031−8−3抗体を各ウエルに50μL添加した。25℃で2時間反応後、同様に5回洗浄し、テトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で20分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止し、プレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で450nmの吸光度を測定した。その結果、表2に示すようにS68ペプチド特異的モノクローナル抗体はS68抗体同様、正常人血清ではほとんどなく、敗血症患者血清では高値を示す低分子量CD14が測定できた。すなわち、S68ペプチドと結合する抗体はポリクローナル抗体でも、モノクローナル抗体でも、サンドイッチ測定系ができることを確認できた。
2)固相抗体として実施例1−(6)で作製した合成ペプチドを抗原としたポリクローナル抗体を使用した2ステップサンドイッチEIA系を作製した。S68抗体の代わりにP001ポリクローナル抗体、P002ポリクローナル抗体またはP012ポリクローナル抗体を使用した他は、3−[2]と同様に、ヒト正常人血清中の及びヒト敗血症患者を検体として測定した。その結果、表2に示すように合成ペプチドを抗原としたポリクローナル抗体はS68抗体同様、正常人血清ではほとんどなく、敗血症患者血清では高値を示す低分子量CD14が測定できた。本結果より、ヒト高分子量CD14の1〜285番目までのアミノ酸配列から選択される8〜16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体を用いた系でもサンドイッチ測定系ができることを確認できた。
表2の++は450nmの吸光度が希釈液単独の吸光度の4倍以上を示し、+は2倍以上、−は希釈液と同等の吸光度を示す。
Figure 2004044005
[4]サンドイッチEIA系の作製〈3〉
固相抗体としてF1031−8−3抗体を使用し、標識抗体としてS68抗体を使用する3ステップサンドイッチEIA系を作製した。本EIA系は以下のようにS68抗体をビオチン化して行った。0.15M NaClを含む0.05M リン酸緩衝液(pH8.0)に置換し0.93mg/mLの濃度に調製したS68抗体0.5mLにDMSOで溶解し300μg/mLに調製したD−Biotinoyl−ε−Aminocaproic Acid N−Hydroxysuccinimide Ester(Roche)を50μL添加し、室温で2時間攪拌しながら反応した。反応終了後、脱塩カラム(NAP−5、アマシャムバイオサイエンス)によりPBS(pH7.4)に置換した。調製したビオチン化S68抗体(Bio−S68抗体と記載する場合がある)の濃度は280nmの吸光度より吸光係数1.4を用いて算出した。
サンドイッチEIA系はイムノプレート(NUNC)にF1031−8−3抗体を固相化し、ブロッキングした。ブロッキング液を廃棄し、0.1%BSA/PBSに溶解したsCD14(1−307)s286c(以下、標準品と記載することがある)500ng/mLと標準品を添加していない溶液をネガティブコントロールとして各ウエルに添加した。37℃で1時間反応後プレートを洗浄し、続けて2%ラット血清、1%マウス血清、1%ウサギ血清、0.1%Tween20を含むPBS(pH7.4)で希釈し1μg/mLに調製したビオチン化S68抗体を50μL添加し37℃で1時間反応した。反応終了後洗浄し、1万倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(SA−HRPと記載する場合がある、Invitorgen)を添加した。1時間反応後洗浄し、TMB溶液(BioFix)で発色後、停止液で反応を停止し450nmの吸光度をプレート吸光度計E−Max(モレキュラーデバイス)で測定した。
表3に示すように本系においてもサンドイッチEIA系ができた。すなわち、S68ペプチドと結合する抗体を、固相抗体として用いても、遊離の抗体若しくは標識抗体として用いても、サンドイッチ測定系ができることを確認できた。表3の++は標準品0−500ng/mLでの吸光度の差が0.5Abs以上、+は0.1以上、−は0.1未満を示している。
[5]サンドイッチEIA系の作製〈4〉
固相抗体及び標識抗体は[2]同様な系で、検体と標識抗体を同時に添加する1ステップEIA系を作製した。すなわち、S68抗体を固相化したプレートに標準品0及び500ng/mLを25μL添加し、続けて2%ラット血清、1%マウス血清、1%ウサギ血清、0.1%Tween20を含むPBS(pH7.4)で希釈し1μg/mLに調製したF1031−8−3−HRPを25μL添加し、37℃で1時間反応した。反応終了後プレートを洗浄し、TMB溶液(BioFix)で発色後、停止液で反応を停止し450nmの吸光度をプレート吸光度計E−Max(モレキュラーデバイス)で測定した。表3に示すように本系においてもサンドイッチEIA系が作製できた。すなわち、S68ペプチドと結合する抗体を使用するサンドイッチ測定系では、反応順序に関係なく、測定できることが確認できた。
[6]サンドイッチEIA系の作製〈5〉
固相抗体及び標識抗体は[2]と同様な系で、検体と標識抗体を反応後、固相抗体と反応させる2ステップEIA系を作製した。すなわち、0及び500ng/mLの標準品25μLと2%ラット血清、1%マウス血清、1%ウサギ血清、0.1%Tween20を含むPBS(pH7.4)で2μg/mLに調製したF1031−8−3−HRP 25μLを混合し、37℃で1時間反応した。反応終了後、反応液をS68抗体固相化プレートに添加し37℃で1時間反応した。プレートを洗浄後TMB溶液(BioFix)で発色し、停止液で反応を停止後450nmの吸光度をプレート吸光度計E−Max(モレキュラーデバイス)で測定した。表3に示すように本系においてもサンドイッチEIA系が作製できた。すなわち、S68ペプチドと結合する抗体を使用するサンドイッチ測定系では、反応順序に関係なく、測定できることがさらに確認できた。
[7]サンドイッチEIA系の作製〈6〉
ビオチン−ストレプトアビジンの特異結合を利用したサンドイッチEIA系を作製した。
1)ストレプトアビジンを固相側に使用した測定系
イムノプレート(NUNC)にPBS(pH7.4)で10μg/mLに希釈したストレプトアビジン(PIERCE)を50μL分注し4℃で一夜処理し固相化した。ブロッキング後、液を廃棄し0.1%BSA/PBSに溶解した標準品0及び500ng/mLと2%ラット血清、1%マウス血清、1%ウサギ血清、0.1%Tween20を含むPBS(pH7.4)で希釈し2μg/mLにしたビオチン化S68抗体を各々25μL添加した。37℃で1時間反応後プレートを洗浄し、続けて1μg/mLにと希釈したF1031−8−3−HRPを50μL添加し37℃で1時間反応した。反応終了後洗浄し、TMB溶液(BioFix)で発色後、停止液で反応を停止し450nmの吸光度をプレート吸光度計E−Max(モレキュラーデバイス)で測定した。本系は標準品、ビオチン化S68抗体、ペルオキシダーゼ標識F1031−8−3抗体の同時添加においても同様に試験した。表3に示すように両系ともにサンドイッチEIA系が作製できた。
2)ペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを使用した測定系
本系は[4]に示す方法で作製した。さらに、S68抗体固相プレートに標準品と[4]にしたがって調製したビオチン化F1031−8−3抗体(Bio−F1031−8−3と記載する場合がある)を同時に添加後、37℃で1時間反応し、洗浄後1万倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Invitorgen)を添加する2ステップ法も検討した。1時間反応後洗浄し、TMB溶液(BioFix)で発色させ、停止液で反応を停止し450nmの吸光度をプレート吸光度計E−Max(モレキュラーデバイス)で測定した。表3に示すように本系においてもサンドイッチEIA系が作製できた。すなわち、測定対象物、ヒト血清では低分子量CD14を、S68ペプチドと結合する抗体と低分子量CD14に結合する抗体によるサンドイッチで結合させれば、ビオチンとストレプトアビジンの結合等の第二の特異結合を利用して、固相、標識物質を作製しても測定できることが確認できた。なお、Strはストレプトアビジンを示し、Bioはビオチン化を示す。
Figure 2004044005
(実施例4)イムノクロマト測定系の作製
4−(1)金コロイド標識抗体を用いたイムノクロマト法<1>
検査室、ベッドサイドなどで簡便に使用できる測定系をイムノクロマト法により作製した。概要を図1(A)に示した。まず、金コロイド(粒子径40nm、B.B.International)1mLにF1106−13−3抗体9μgを混合し、金コロイド標識F1106−13−3抗体を調製した。次に、コンジュゲートパッドを作製した。すなわち、金コロイド標識F1106−13−3抗体を520nmの吸光度が約1.5となるようにコンジュゲート塗布bufferに希釈し、10×150nmの33−Glassストリップに1mL塗布して一夜減圧乾燥した。このとき1テスト分の試薬に含まれる、金コロイド標識F1106−13−3抗体量は約50units(1unitはOD520=1.0の、金コロイド標識F1106−13−3抗体1μL)となる。抗体固相化メンブレンは以下のように作製した。S68抗体をPBS(pH7.4)で1mg/mLに希釈し、BioDot社製インクジェット塗布機を用いて0.75μL/cmとなるようニトロセルロースメンブレン(FF85/100、Schleicher & Schuell)にライン状に塗布した。このときコントロールライン(抗マウスポリクローナル抗体、DAKO)も同時に塗布した。乾燥後メンブレンを、0.5%カゼインを含むブロッキング液に30分間浸漬し、余分な液を取り除いた後再度乾燥させた。次に作製した各材料を用いてイムノクロマト法試薬を組み立てた。すなわち、コンジュゲートパッド、固相化メンブレン、上部吸収パッド(#900濾紙、Schleicher & Schuell)、サンプル滴下パッド(33−Glassグラスファイバーフイルター、Schleicher & Schuell)をPB020プラスチックバッキングシート(BioDot)に貼り付け、BioDot社製ストリップカッターで5mm幅にカットした。カットしたストリップはハウジングケース(ニップンテクノクラスター)に組み込んでイムノクロマト法試薬とした。
作製した試薬を用いて以下のようにアッセイを行った。標準品を1%BSA−PBSで10,000〜1ng/mLの範囲で10希釈したものをサンプルとし、サンプル100μLを試薬へ滴下し、室温で20分放置後ラインの有無を判定した。判定基準は以下のとおりとした。
(++):濃いラインが出現し明らかに陽性と判定できるレベル
(+):発色は薄いもののラインとして判定できるレベル
(±):発色らしきものが認められるがラインとして認識し難いレベル
(−):発色が認められないもの
その結果、図2及び表4に示すようにサンプル10ng/mL以上の濃度において「+」以上の感度が得られ、イムノクロマト測定系により簡便に迅速に測定できることが確認された。
4−(2)金コロイド標識抗体を用いたイムノクロマト法<2>
4−(1)で作製したイムノクトマト測定系の固相抗体と金コロイド標識抗体を逆にして測定した。S68抗体の金コロイド標識及びイムノクロマト系の作製は4−(1)と同様である。その結果、表4に示すようにサンプル100ng/mL以上の濃度において「+」以上の感度が得られた。
Figure 2004044005
4−(3)ストレプトアビジン−ビオチン系を使用したイムノクロマト法の作製
また、ストレプトアビジン−ビオチン系を用いたイムノクロマト法を作製した。概要を図1(B)に示した。まず、実施例3−2[4]にしたがってF1031−8−3抗体をビオチン化した。次に金コロイド(粒子径40nm、B.B.International)1mLにストレプトアビジン10μgを混合し、金コロイド標識ストレプトアビジンを調製した。金コロイド標識ストレプトアビジンを520nmの吸光度が約1.5となるようにコンジュゲート塗布bufferに希釈し、10×150nmの33−Glassストリップに1mL塗布して一夜減圧乾燥した。このとき1テスト分の試薬に含まれる、金コロイド標識ストレプトアビジン量は約50units(1unitはOD520=1.0の、金コロイド標識ストレプトアビジン1μL)となる。抗体固相化メンブレンは以下のように作製した。S68抗体をPBS(pH7.4)で1mg/mLに希釈し、BioDot社製インクジェット塗布機を用いて0.75μL/cmとなるようニトロセルロースメンブレン(FF85/100、Schleicher & Schuell)にライン状に塗布した。このときコントロールライン(抗マウスポリクローナル抗体、DAKO)も同時に塗布した。乾燥後メンブレンを、0.5%カゼインを含むブロッキング液に30分間浸漬し、余分な液を取り除いた後再度乾燥させた。次に作製した各材料を用いてイムノクロマト法試薬を組み立てた。
すなわち、コンジュゲートパッド、固相化メンブレン、上部吸収パッド(#900濾紙、Schleicher & Schuell)、サンプル滴下パッド(33−Glassグラスファイバーフイルター、Schleicher & Schuell)をPB020プラスチックバッキングシート(BioDot)に貼り付け、BioDot社製ストリップカッターで5mm幅にカットした。カットしたストリップはハウジングケース(ニップンテクノクラスター)に組み込んでイムノクロマト法試薬とした。作製した試薬を用いて以下のようにアッセイを行った。標準品を1%BSA−PBSで10,000〜1ng/mLの範囲で10希釈したものをサンプルとし、サンプル100μLを0.1μgのビオチン化F1031−8−3を含む試薬100μLへ滴下し、混合後ハウジングケースのサンプル滴下パッドに100μLを滴下し、室温で20分放置後ラインの有無を判定した。その結果、本系を用いても(1)と同様に100ng/mL以上の濃度において「+」以上の感度が得られた。
(実施例5)フロースルー測定系の作製
フロースルー測定系は特開平6−273419の基づき作製する。すなわち、1gの分散染料(RED VIOLET、KAYARON社)を10mLの蒸留水に懸濁し、蒸留水で洗浄後5mLの蒸留水に再懸濁する。分散染料0.2mLに生理食塩水で希釈した0.5mg/mLのF1031−8−3抗体を0.2mL添加し45℃で30分間インキュベートする。氷冷後遠心分離し、得られた沈殿に0.5%BSA、10%ラクトースを含むPBS(pH7.4)に再懸濁し分散染料標識F1031−8−3抗体を調製する。次に分散染料標識F1031−8−3抗体を直径14mmの大きさに切断したろ紙(No.63、アドバンテック東洋)に0.1mLずつ分注して含浸させ、凍結乾燥を行い、可溶性試薬を被着させた多孔体を作製する。
メンブレンへの固相は以下のように行う。まず、孔径5ミクロンのニトロセルロースメンブレン(アドバンテック東洋)に生理食塩水で希釈した2mg/mLのS68抗体を塗布し、37℃で乾燥させる。次に1%BSAを含むPBS(pH7.4)でブロッキングを行い、抗体固相メンブレンを作製する。作製した材料をハウジングケースに以下の順序で組み立てる。可溶性試薬を被着させた多孔体、抗体固相メンブレン、ポリプロピレンをラミネートしたろ紙(No.28、アドバンテック東洋)、0.5mm厚のポリカーボネートの透明板を順位組み合わせて測定試薬を作製する。アッセイはサンプル0.5mLを測定試薬に添加することにより開始し、サンプルが完全に吸収されて後、裏側から肉眼で呈色を観察することにより判定を行う。
(実施例6)S68抗体の特異性
実施例1で作製したS68抗体の特異性を確認するため、実施例3−(3)と同様な測定で、ペプチドにより阻止されるか検討した。すなわち、敗血症患者血清及び正常人血清の50倍希釈溶液25μLにS68ペプチド(アミノ酸配列53〜68番)、実施例1と同様に調製した合成ペプチド(アミノ酸配列53〜58番、アミノ酸配列57〜62番、アミノ酸配列59〜64番)またはネガティブコントロール用ペプチド(Cys Glu Gly Asn Gly Asn Asn Phe Glu Ser Arg Glu Ala Cys)を0、0.1、1、10μg/mLに希釈したもの25μLをそれぞれ添加、S68抗体と混合し競合反応させた後、S68抗体に阻止されずに結合した敗血症患者血清及び正常人血清中の低分子量CD14量を測定した。その結果、図3に示すように、低値を示した正常人血清、高値を示した敗血症患者血清ともにS68ペプチドではS68抗体と血中低分子量蛋白質の結合は阻止されたが、他の部分ペプチド(各々6アミノ酸)及びネガティブコントロール用ペプチドでは阻止されなかった。以上の結果より、S68抗体により血清中に検出されている蛋白質はS68抗体が特異的に認識しているものであることが確認された。また、S68ペプチドの部分ペプチドである3種類の合成ペプチド(アミノ酸数6個)では阻止されないことより、抗体の認識する配列は最低でも7アミノ酸以上の長さを必要とすることが確認された。
(実施例7)作製した抗体の反応速度定数
実施例1で作製したS68抗体と実施例2で作製したF1146−17−2抗体の特異性と反応速度定数をBiacore3000(ビアコア)を用いて解析した。まず、固定化するS68ペプチド−BSAを実施例1記載の方法と同様にマレイミド化BSA(Imject Maleimed Activated BSA、PIERCE)を用いて調製した。次に、S68ペプチド−BSAをアミンカップリングキット(ビアコア)を用いてセンサーチップCM5(ビアコア)に固定化した。測定はランニング緩衝液としてHBS−EP(ビアコア)を使用し、F1146−17−2抗体の希釈列(50、100、150、200、300nM)をフローセルにインジェクトすることで行った。データ解析はS68ペプチド−BSAのフローセル測定データからリファレンスセルデータを差し引き、Biaevaluation soft wear version3.0(ビアコア)を用いて実施した。解離定数(KD)を算出した結果、F1146−17−2抗体は4.8×10−9Mと高い親和性を示した。なお、同様に測定した特異精製ウサギS68ペプチドポリクローナル抗体のKDは2.2×10−10Mであった。
(実施例8)抗CD14モノクローナル抗体の特異性
8−(1)F1106−13−3抗体の解析
F1106−13−3抗体の結合領域(エピトープ)を明らかにするため、CD14のアミノ酸配列をN末端側から10アミノ酸ずつ合成したペプチドライブラリーメンブレン(Custom SPOTs、Sigma Genosys)を用いて解析した。すなわち、メンブレンをマニュアルに従ってブロッキングした後、F1106−13−3抗体を反応させ、洗浄後、βガラクトシダーゼ結合抗マウス抗体を反応させた。メンブレンを洗浄後、X−galを用いて抗体が結合するペプチド配列を検出した。なお、ペプチドライブラリーメンブレンのペプチドの配列は、1番目から154番目までのアミノ酸配列をC末端の2アミノ酸を重ねる形で10アミノ酸ずつ合成した19ペプチドを解析に使用した。ペプチドは実施例1−(1)と同様に調製した。
その結果、F1106−13−3抗体は高分子量CD14のN末端より17〜26番のアミノ酸配列(CNFSEPQPDW)に相当する領域に結合することが明らかになった。
8−(2)F1031−8−3抗体の解析<1>
F1031−8−3抗体の特異性を確認するため、実施例3−(1)記載の大腸菌由来sCD14(1−285)及びWO01/72993号公報の実施例8及び実施例9に記載の方法を用いてCOS細胞により調製したsCD14(1−356)、sCD14(1−307)S286Cを用いて結合活性を測定した。
まず、Hybond−C extra(アマシャム バイオサイエンス)にsCD14(1−356)、sCD14(1−307)S286C、sCD14(1−285)またはBSAを各250ng/スポットでメンブレン上に固定化し、乾燥後0.05g/mLのスキムミルク(明治乳業)を含む0.05%Tween20、PBS(pH6.4)でブロッキングした。室温で1時間静置後、0.5%BSAを含む0.05%Tween20、PBS(pH6.4)で3μg/mLに希釈したF1031−8−3抗体を加え、室温で1時間反応後、0.05%Tween20、PBS(pH6.4)で洗浄した。
次に10%ウサギ血清を含む0.05%Tween20、PBS(pH6.4)で500倍に希釈したペルオキシダーゼ標識抗マウスイムノグロブリン抗体(DAKO)を添加し、37℃で30分間反応した後、同様に洗浄しECLキット(アマシャム バイオサイエンス)で結合活性を確認した。その結果、表5に示すようにF1031−8−3抗体は大腸菌由来sCD14(1−285)、sCD14(1−307)S286C、sCD14(1−356)に結合したが、BSAとは結合せず、全てのタイプのCD14蛋白質を特異的に認識していることが明らかになった。表5の+はECLによりフイルム上にスポットが検出された場合を示し、−はスポットが検出されない場合を示す。
Figure 2004044005
8−(3)F1031−8−3抗体の解析<2>
F1031−8−3抗体の結合領域(エピトープ)を明らかにする,ため、8−(1)と同様にspots解析を行ったが、spots法ではF1031−8−3抗体の認識領域を特定することができなかった。両抗体の認識領域の類似性を解析する目的で、固相にS68抗体を標識抗体としてF1031−8−3−HRPを用いた実施例3−(3)[2]のサンドイッチEIA系で、F1106−1−3抗体による阻止試験を行った。
まず、実施例3−(3)[2]と同様にS68抗体固相プレートに標準品100ng/mLを添加し反応させた。プレートを洗浄後、F1031−8−3−HRPを添加する前に、6μg/mLのF1106−13−3抗体、マウスIgG抗体または抗体を含まないバッファーを25μL添加し、その後F1031−8−3−HRP抗体を25μL添加し、実施例3−(3)[2]と同様に測定した。
表6に示すようにマウスIgG抗体添加の系では、阻止されないのに対して、F1106−13−3抗体によりF1031−8−3と標準品との結合が阻止された。このことにより、F1031−8−3抗体が認識する領域の少なくとも一部に、F1106−13−3抗体が結合していることが考察された。なお表6の「阻害率」はバッファーのみの吸光度を100%としたときのそれぞれの減少した吸光度より算出した。
Figure 2004044005
(実施例8)ヒト低分子量CD14測定キット
8−(1)サンドイッチEIA系の測定キット構成例
実施例3−(3)で敗血症患者の測定では高値を示し、正常人の測定で低値を示した固相抗体、標識抗体の組み合わせを用いた可溶型蛋白質キットの構成例を示す。
〈1〉固相抗体:S68抗体を固相化したプレート
〈2〉標識抗体:ペルオキシダーゼ標識F1031−8−3抗体
〈3〉基質溶液(テトラメチルベンジジン溶液)
その他の付属品
プレート系構成例
〈4〉プレート洗浄液(0.9%NaCl、0.05%Tween20溶液)
〈5〉試料希釈液(0.1%BSAを含むPBS溶液)
〈6〉反応停止液(0.5M HSO溶液)
〈7〉標準品(CD14(1−307)S286C)
上記の測定キットを用いて測定する場合の測定機器<参考例>
〈8〉プレート分光光度計(例えばE−Max(モレキュラデバイス社))
8−(2)〜(11)サンドイッチEIA系の測定キット構成例
8−(1)に加えて、さらにサンドイッチEIA系の測定キット構成例を表7に示す。〈1〉はプレートに固相する結合物質を示す。〈2〉は標識した結合物質を示す。構成要素の〈3〉〜〈7〉、及び参考例の測定機器〈8〉は8−(1)と同じ。〈9〉は第二の特異結合物質が結合した抗体を示す。
Figure 2004044005
8−(12)サンドイッチEIA系の測定キットの標準曲線
(1)の測定キットにより、実施例3−(3)[2]と同様な方法で測定した。すなわち、S68抗体をD−PBS(pH7.4)で10μg/mLに希釈し、イムノプレート(Maxisorb,NUNC)の各ウエルに50μL添加した。4℃で一晩反応後、イオン交換水で5回洗浄し、0.1%StabilGuard(SurModics,Inc)と0.1%Tween20を含むD−PBSを各ウエルに100μL添加しブロッキングした。次に1%CD14吸収血清、0.1%BSAを含む76mM PBS(pH7.4)を希釈液として0、3、25、60、100、150ng/mLのCD14(1−307)S286C蛋白質標準品希釈系列を調製した。標準品希釈系列をウエル当たり50μL添加し、37℃で2時間反応させた。反応終了後、0.05%Tween20を含む生理食塩水で3回洗浄し、5%ラット血清、1%マウス血清、ペルオキシダーゼ標識F1031−8−3抗体を0.1%Tween20を含む76mM PBS(pH8.0)で0.6μg/mLに希釈した希釈標識抗体を各ウエルに50μL添加した。37℃で2時間反応後、同様に5回洗浄し、テトラメチルベンジジン溶液(TMB、BioFix)を各ウエルに添加した。室温で20分間反応後、0.5M硫酸溶液で反応を停止し、プレート分光光度計(NJ−2100、日本インターメッド)で450nmの吸光度を測定した。図4に作製した標準曲線を示した。測定感度0.6ng/mL(ブランク+3SD)の高感度で簡便な測定系が実現された。
8−(13)サンドイッチEIA系の特異性
ヒト血清中に存在する高分子量CD14が、作製した測定系に及ぼす影響を検討するため、0〜4μg/mLの濃度の正常人血清由来可溶型CD14をCD14(1−307)S286C標準品に添加して、(12)と同様に測定を行った。その結果、図5に示すように正常人血清由来可溶型CD14は4μg/mLでも測定値に影響を及ぼさなかった。この結果より、本サンドイッチEIA系において高分子量CD14との交差反応性は0.3%以下であることがわかった。すなわち、本系はヒト血清高分子量CD14を検出せず、敗血症患者の血清で高値を示す可溶型蛋白質特異的であることが確認された。
8−(14)サンドイッチEIA系の測定キットの評価
(1)のキットによる測定結果の再現性を評価した。(12)と同様に3種類の検体を用いた同時再現性の変動係数(CV)は5.8、3.6、3.5%、測定間再現性は6.2、5.2、5.1%と良好な結果であった。また、添加回収試験の回収率は88〜109%と良好であり、抗凝固剤(ヘパリン、クエン酸、EDTA)の影響も認められなかった。以上の結果より、本キットはヒト低分子量CD14を測定するのに十分な性能を有していることが示された。
8−(15)イムノクロマト系の測定キット構成例
〈1〉標識抗体:金コロイドを標識したF1031−8−3抗体
〈2〉コンジュゲートパッド:〈1〉を塗布したグラスファイバーフィルター(33−Glassストリップ、Schleicher & Schuell製)
〈3〉抗体固相メンブレン:S68抗体の固相化ライン及びその下流にコントロールライン(抗マウスポリクローナル抗体の固相化ライン)を有し、0.5%カゼインでブロッキングしたニトロセルロースメンブレン(FF85/100、Schleicher & Schuell製)
〈4〉サンプル滴下パッド:33−Glassグラスファイバーフイルター、Schleicher & Schuell製)
〈5〉吸収パッド(#900濾紙、Schleicher & Schuell製)
〈6〉シート:PB020プラスチックバッキングシート(BioDot製);〈4〉に滴下した液体が〈2〉、〈3〉、〈5〉の順に流れるように〈2〉〜〈5〉を、〈6〉の上に組み立ててある
〈7〉ハウジングケース(ニップンテクノクラスタ社のOEM用のケース)
なお、〈1〉〜〈5〉の概要は図1(A)に示される。
8−(16)〜(19)イムノクロマト系の測定キット構成例
8−(15)に加えて、さらに、ビオチンとストレプトアビジンの結合の第二の特異結合を利用したサンドイッチEIA系の測定キット構成例、及び配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体の断片を利用したサンドイッチEIA系の測定キット構成例を表8に示す。〈1〉は標識した結合物質を示す。構成要素の〈2〉〜〈7〉は同じであるが、〈3〉に塗布する物質として、〈3〉−(i)は固相化メンブレンに固相する結合物質を示し、〈3〉−(ii)はコントロールラインに固相する結合物質を示す。〈8〉は、〈1〉と同様に〈2〉に塗布若しくは〈4〉に塗布する、または検体に添加若しくは検体と同時に添加する試薬である第二の特異結合物質が結合した抗体を示す。
なお、(16)<1>〜<5>の概要は図1(B)に示され、(17)〜(20)も同様に理解される。
Figure 2004044005
なお、(20)<1>の金コロイド標識したS68抗体のF(ab’)の調製は、以下のようにして行う。S68抗体からのF(ab’)の調製はImmobilized Pepsin(PIERCE)を使用して以下のように行う。すなわち、S68抗体を20mM酢酸緩衝液(pH4.5)に溶解し、5mg/mLに調製する。PIERCEのプロトコールにしたがって懸濁した0.25mLのImmobilized Pepsinを調製し、上記抗体1mLと混合する。次に37℃の恒温槽で4時間攪拌し、1.5mLの10mM Tris−HCl(pH7.5)を添加し反応を停止する。反応液を遠心分離(1000×g)し、ゲルと上清を分離する。次に分離した上清を1mLのprosep−A(Millipore)に添加し、切断されたFc及び未切断のIgGを結合させる。同様に遠心分離し上清を回収し、PBS(pH6.4)に対して透析する。F(ab’)2の280nmの吸光度を測定し、吸光係数(0.533mg/mL/cm−1)より濃度を算出する。得られたF(ab’)を実施例4と同様に金コロイドで標識し、金コロイド標識したS68抗体のF(ab’)を得る。
8−(21)フロースルー系構成例
〈1〉染料標識抗体:RED VIOLET染料標識S68抗体
〈2〉コンジュゲートパッド:上記〈1〉を含浸させた濾紙(No.63、アドバンテック東洋製)
〈3〉抗体固相メンブレン:S68抗体固相化したニトロセルロースメンブレン(アドバンテック東洋製)
〈4〉吸収パッド:ポリプロピレンをラミネートしたろ紙(No.28、アドバテック東洋)
〈5〉ハウジングケース:特開平6−273419に記載のケース(持田製薬製);〈2〉に滴下した液体が〈2〉、〈3〉、〈4〉の順に流れるように〈2〉〜〈4〉を、〈5〉の中に組み立ててある
(実施例9)ヒト低分子量CD14の検出
(1)ゲルろ過クロマトグラフィー<1>
実施例8−(1)に記載の測定キットが検出する敗血症患者血清中の物質を解析するため、敗血症患者血清をゲル濾過クロマトグラフィーカラムSuperdex 200PC3.2/30(アマシャム バイオサイエンス)によりSMARTSYSTEM(アマシャム バイオサイエンス)でD−PBSを展開溶媒として用いて分画し、各分画を実施例8−(1)に記載の測定キット及び市販CD14−EIAキット(IBL−Hamburg)を用いて測定した。分子量の算出はLMWキャリブレーションキットおよびHMWキャリブレーションキット(アマシャムバイオサイエンス)のうちアルドラーゼ(158kDa)、BSA(67kDa)、オボアルブミン(43kDa)、キモトリプシン(25kDa)を用いてカラムをキャリブレートして行った。
その結果、図6に示すように市販CD14−EIAキットでは分子量約57kDaの可溶型CD14が検出され、従来より報告のある49〜55kDaの高分子量可溶型CD14蛋白質であると判断された。一方、実施例8−(1)に記載のキットでは分子量35〜45kDa付近に敗血症患者で検出されたヒト低分子量CD14に由来するピークが検出され、また57kDa付近にはピークが検出されなかったことから、実施例8−(1)に記載のキットは血中に存在する可溶型蛋白質のみを特異的に検出していることが確認された。
(2)ゲルろ過クロマトグラフィー<2>
(2)−<1>と同様に敗血症患者の血清50μlをゲル濾過クロマトグラフィーカラムSuperdex 75 10/300GL(アマシャム バイオサイエンス)により展開溶媒として200mM酢酸アンモニウム(pH6.8)を用いて分画し、各キットを用いて測定した。分子量の算出はLMWキャリブレーションキットおよびHMWキャリブレーションキット(アマシャム バイオサイエンス)のうちBSA(67kDa)、オボアルブミン(43kDa)、キモトリプシノーゲン(25kDa)及びリボヌクレアーゼA(13.7kDa)を用いてカラムをキャリブレートして行った。
その結果を図7に示す。実施例8−(1)に記載のキットでは分子量25〜35kDa付近に、ヒト低分子量CD14に由来するピークが検出された。
(3)F1025−3−1抗体アフィニティーカラムクロマトグラフィー
(2)−<2>で得られたヒト低分子量CD14に由来するピークの画分(例えば、フラクション12)をF1025−3−1抗体アフィニティーカラムクロマトグラフィーに供するとヒト低分子量CD14に由来するピークは、アフィニティーカラム非吸着画分に溶出される。なお、F1025−3−1抗体アフィニティーカラムの調整並びに実施は、WO01/22085号公報に実施例10として記載されている方法に準じて行うことができる。
これらの結果により、ヒト低分子量CD14は、ヒトCD14のみに検出される配列を有する配列番号2に記載の特定のペプチドに特異的な抗体に結合し、またヒトCD14のN末端より17〜26番のアミノ酸配列を認識する抗CD14抗体に結合する血中可溶型蛋白質である。また、ゲル濾過で分子量は25〜45kDaであり、高分子量CD14(従来のnative CD14)よりも低分子量であると判断される。また、高分子量CD14に特異的に結合するF1025−3−1抗体に、低分子量CD14は結合しない。
(実施例10)各種疾患患者血中低分子量CD14の測定
敗血症患者血清は分離菌が同定された10例を使用した(表9)。また、正常人52例(男性31例、女性21例)、及び各種疾患患者(20疾患、60例)を実施例8−(1)に記載の測定キットを用いて測定した。
Figure 2004044005
血清中の低分子量CD14の濃度は正常人で0.008〜0.100μg/mLに分布し、平均値は0.04μg/mLであった。敗血症患者では0.190〜7.260μg/mLに分布し、平均値は2.0μg/mLであった。低分子量CD14濃度は敗血症患者では正常人及び各種疾患患者に比べ高値であり、各種疾患患者中には正常人と比較して高値を示す疾患は見出せなかった。
(実施例11)市販の血中可溶型CD14ELISAキットとの比較
11−(1)各種疾患患者血中可溶型CD14の測定
実施例10の検体を市販CD14−EIAキット(IBL−Hamburg)を用いて測定した。血清中の可溶型CD14(低分子量CD14と高分子量CD14の合計と推定)の濃度は正常人で5.6〜11.2μg/mLに分布し、敗血症患者では高値例が認められた。しかしながら、各種疾患患者血清中においても可溶型CD14が高値を示す例が多数認められ、敗血症患者との間に差は認められなかった。
11−(2)S68抗体を用いたキットとの比較
実施例11で測定した低分子量CD14の測定値と比較検討を行った。表10に示すように市販CD14−EIAキットでは正常、各種疾患、敗血症間に最大1.7倍程度の差しか認められないのに対して実施例9−(1)の測定キットでは正常人と各種疾患の間に差は認められないが、正常人と敗血症の間には50倍の差が認められ、実施例9−(1)の測定キットの測定値が敗血症で特異的に上昇することが明らかになった。
Figure 2004044005
測定した正常人の平均値+3S.D.をカットオフ値(低分子量CD14−EIA:0.134μg/mL、市販CD14−EIA:11.14μg/mL)として陽性例(敗血症)と陰性例(正常+各種疾患)に分けて解析した結果を表11に示す。その結果に基づき、両キットの一致率((EIA陽性一致数+EIA陰性一致数)/総数×100)、感度(EIA陽性一致数/陽性例×100)、特異度(EIA陰性一致数/陰整例×100)を算出したところ、表12に示すように、低分子量CD14−EIAでは一致率94.3%、感度100.0%、特異度93.8%とカットオフ値を設定することにより敗血症の鑑別診断に有用であることが明らかになった。一方、市販のCD14−EIAでは感度、特異度ともに敗血症を診断できるほどの特異性は認められなかった。
Figure 2004044005
Figure 2004044005
本発明によれば、ヒト高分子量CD14の1〜68番目までのアミノ酸配列から選択される8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体、及び配列番号2〜4に記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体が提供される。
このような抗体をヒト低分子量CD14測定キットに用いることができ、該キットは、ヒト低分子量CD14を高感度、簡便かつ特異的に定性又は定量でき、敗血症患者の診断に有用である。本発明では、上記抗体を含むヒト低分子量CD14測定キット及び測定方法を提供する。さらに、ヒト低分子量CD14を直接測定する敗血症の新規な診断方法を提供する。さらに、上記抗体の作製に有用なペプチド及び上記抗体の作製方法を提供する。
【配列表】
Figure 2004044005
Figure 2004044005
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Claims (22)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
  2. 配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製される抗体。
  3. 配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体。
  4. 配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドと結合する抗体。
  5. 少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片を含み、ヒト高分子量CD14を検出せずに、検体に含まれるヒト低分子量CD14を直接測定するためのヒト低分子量CD14測定キット。
  6. 上記ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、請求項1〜4のいずれかに記載の抗体または該抗体の断片を含む請求項5に記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  7. 上記ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片として、請求項4に記載の抗体または該抗体の断片を含む請求項5に記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  8. サンドイッチ免疫測定法によりヒト低分子量CD14を測定する請求項5〜7のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  9. ヒト低分子量CD14に結合する第二の結合物質をさらに含む請求項8に記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  10. 上記第二の結合物質が、ヒト低分子量CD14に結合する抗体若しくは該抗体の断片である請求項9に記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  11. 上記第二の結合物質が、ヒト低分子量CD14に結合するモノクローナル抗体若しくは該抗体の断片である請求項9に記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  12. 上記第二の結合物質が、ヒト高分子量CD14の17〜26番目のアミノ酸残基のいずれかに結合する抗体または該抗体の断片、あるいはヒト高分子量CD14の17〜26番目のアミノ酸残基のいずれかに結合する抗体と競合する若しくは交差反応性を示す抗体、または該抗体の断片である請求項9に記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  13. 請求項1〜4のいずれかに記載の抗体または該抗体の断片が不溶性担体に結合している請求項9〜12のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  14. 請求項1〜4のいずれかに記載の抗体または該抗体の断片が標識されている請求項9〜12のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  15. さらに第二の特異結合を形成する第二の特異結合物質及び第二の特異結合物質のパートナーを含む請求項9〜14のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  16. 上記サンドイッチ免疫測定法がイムノクロマト法を利用した測定法である請求項8〜15のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  17. 上記サンドイッチ免疫測定法がフロースルー法を利用した測定法である請求項8〜15のいずれかに記載のヒト低分子量CD14測定キット。
  18. ヒト高分子量CD14を検出せず、ヒト低分子量CD14を検出するために、少なくとも一つのヒト低分子量CD14に結合する抗体を使用し、検体に含まれるヒト低分子量CD14を直接測定するヒト低分子量CD14測定方法。
  19. 上記ヒト低分子量CD14に結合する抗体として、請求項1〜4のいずれかに記載の抗体または該抗体の断片を使用する請求項18に記載のヒト低分子量CD14の測定方法。
  20. ヒト低分子量CD14を直接測定する敗血症の診断方法。
  21. 配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチド。
  22. 配列番号1に記載のアミノ酸配列から選択される連続した8〜30アミノ酸残基からなるペプチド、若しくは配列番号2〜4のいずれかに記載のアミノ酸残基からなるペプチドを抗原とする、請求項1〜4のいずれかに記載の抗体の作製方法。
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