JPWO2004031609A1 - 振動吸収マウント材料 - Google Patents

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Abstract

(A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個有するアクリル系重合体、(B)ヒドロシリル基含有化合物および(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する組成物の硬化物からなる振動吸収マウント材料。このマウント材料は、損失正接(tanδ)が0.5以上というすぐれた防振性を示しまた耐熱性にもすぐれているので、自動車搭載HDD防振マウント用途に十分適合して使用することができる。また、この振動吸収マウント材料は、耐熱・耐油性、振動吸収性、圧縮永久歪特性、低硬度性、クリーン性(アウトガス性、非腐食性)などにすぐれ、自動車用CD、DVD、HDD等の光磁気ドライブを備えた電気・電子部品の振動吸収マウント、ユニットの振動吸収パッド等として有効に使用することができる。

Description

本発明は、振動吸収マウント材料に関する。さらに詳しくは、自動車の電気・電子部品またはこれらのユニット等に好適に用いられる振動吸収マウント材料に関する。
電子機器製品は、常に小型化、高性能化の要求とそれに対する改善がなされている。CD、DVD、HDD等の電子記憶装置、特にHDD(ハードディスクドライブ)も3.5インチから2.5インチ、さらに1インチへと小型化が進んでいる。同様に、性能の向上(記憶容量のアップ)も進んでいる。
この性能の向上には、HDD内のディスクの回転数、記憶密度、ディスク枚数のそれぞれの増加が有効である。しかしながら、記憶密度の増加は既に限界に近づき、ディスク枚数の増加は小型化の流れに反して得策ではなく、現在はディスクの回転数を増加させることが改善の主流となっている。
これに伴い、ディスク内部から発生する振動は増加傾向にあるため、この振動を減少させることが課題となっている。特に、HDDがサーバー用途に用いられる場合には、HDDを数十個連ねて使用しており、お互いのHDDから発生する振動によってトラブルが発生するケースがみられる。
一方、最近はHDDが電子記憶装置として、パソコン以外にもビデオ、カメラ、カーナビゲーター等に用いられるようになってきており、特に車載用など振動が多く発生する環境下で使用されるHDDには、HDD外部からの振動を抑える必要がある。また、高速回転による内部発熱や夏季の車内での高温環境下に曝されることに耐え得る耐熱性も要求されている。
このように、CD、DVD、HDD等の光磁気ドライブが用いられている電気・電子部品またはこれらのユニットの振動吸収マウントの材料としては、従来から天然ゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム等が用いられている。これらのゴム材料は、家庭用や事務用目的に使用されるのであれば、前記の如き問題点はみられても、その性能が十分に発揮されるが、自動車や産業機械用途に使用される場合には、その使用環境が厳しく、特に耐熱性や振動耐久性の点が問題となる。
特に、自動車に搭載される電気・電子部品またはこれらのユニットに、接着剤を用いあるいは用いずに接触させた状態で取り付けられて用いられる振動吸収マウント材料の場合には、以下の如き諸特性が要求される。
(1)耐熱・耐油性
(2)振動吸収性
(3)圧縮永久歪特性
(4)低硬度性
(5)クリーン性(アウトガス性、非腐食性)
本発明の目的は、耐熱・耐油性、振動吸収性、耐圧縮永久歪特性、低硬度性、クリーン性(アウトガス性、非腐食性)などにすぐれ、自動車用CD、DVD、HDD等の光磁気ドライブを備えた電気・電子部品の振動吸収マウント、電気・電子部品ユニットの振動吸収パッド等として有効に使用し得る振動吸収マウント材料を提供することにある。また、高温長時間での使用においてもすぐれた防振性を示す自動車搭載HDD防振マウント材料として用いられる振動吸収マウント材料を提供することにある。
かかる本発明の目的は、(A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個有するアクリル系重合体、(B)ヒドロシリル基含有化合物および(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する組成物の硬化物からなる振動吸収マウント材料によって達成される。この振動吸収マウント材料が自動車搭載HDD防振マウント材料として用いられる場合、防振マウント材料はHDDを収納した筐体のカバーを台座として、そこに取り付けられた状態で用いられる。
(A)成分のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個、好ましくは末端に少くとも1個有するアクリル系重合体の主鎖を構成するアクリル酸エステル系モノマーとしては特に限定されず、各種任意のものを用いることができる。
例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第3ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、トルイルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ステアリルアクリレート、グリシジルアクリレート、2−アミノエチルアクリレート、トリフルオロメチルメチルアクリレート、2−トリフルオロメチルエチルアクリレート、2−パーフルオロエチルエチルアクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチルアクリレート、パーフルオロエチルアクリレート、パーフルオロメチルアクリレート、ジパーフルオロメチルメチルアクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチルアクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチルアクリレート、2−パーフルオロデシルエチルアクリレート、2−パーフルオロヘキサデシルエチルアクリレート等のアクリル酸エステルまたはこれに対応するメタクリル酸エステル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等が用いられる。あるいは、アクリル酸またはメタクリル酸も用いることができる。
これらの内、生成物の物性などの点からは、好ましくはアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが用いられ、特に好ましくはアクリル酸エステル、例えばブチルアクリレート、エチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート等が1種または2種以上組合せて用いられる。
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーとランダム共重合したり、さらにブロック共重合させてもよく、この際にはこれらの好ましいモノマーであるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが60重量%以上の割合で共重合されていることが好ましい。
また、これらのアクリル酸系またはメタクリル酸系モノマーと共に、約30重量%以下の割合で他のモノマーを共重合させることができ、かかるモノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸またはその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のけい素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルまたはジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルまたはジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、けい皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
これらのモノマーを共重合させて得られたアクリル系重合体中には、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が少くとも1個、好ましくは末端に少くとも1個導入される。導入されたアルケニル基は、一般式
CH=C(R)−
で表わされ、ここでRは水素原子または炭素数1〜20の有機基であり、かかる有機基としては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等が挙げられ、ヒドロシリル基含有化合物との反応性の点からは、Rが水素原子またはメチル基、好ましくは水素原子であるアルケニル基が導入される。
かかるアルケニル基の導入は、例えば次のような方法によって行うことができる。
(a)リビングラジカル重合によりアクリル系重合体を合成する際に、所定のアクリル系モノマーと共に、一般式
CH=CR−R−R−CR=CH
:水素原子またはメチル基
:エステル基またはo−,m−またはp−フェニレン基
エステル基の場合は(メタ)アクリレート系化合物
フェニレン基の場合はスチレン系化合物
:直接結合または1個以上のエーテル結合を有していてもよい
〜C20の有機基
で表わされる、一分子中に重合性の高いアルケニル基および重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物、例えば
CH=CHCOO(CH)nCH=CH
CH=C(CH)COO(CH)nCH=CH
o−,m−またはp−ジビニルベンゼン
等を反応させる方法
(b)リビングラジカル重合によりアクリル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、重合性の低いアルケニル基を少くとも2個有する化合物、すなわち一般式
CH=CR−R−CR=CH
:水素原子またはメチル基
:1個以上のエーテル結合を含んでいてもよいC〜C20の有機基
で表わされる化合物、例えば1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン等を反応させる方法
この方法は、一分子当りに導入されるアルケニル基の制御がより容易である。
(c)ハロゲンを少くとも1個有するアクリル系重合体にアルケニル基を有する各種の有機金属化合物を作用させて、重合体中のハロゲンをアルケニル基に置換する方法など、アクリル系重合体中のハロゲンをアルケニル基に置換する方法
これらの方法によってアクリル系重合体中に導入されるアルケニル基は、重合体1分子当り1〜10、好ましくは2〜8である。
アルケニル基を有するアクリル系重合体は、常温で液状の数平均分子量Mnが500以上、好ましくは1,000〜100,000のものが一般に用いられる。この分子量が低くなりすぎると、アクリル系重合体本来の特性が発現され難くなり、一方高すぎると取扱いが困難となる。
このアクリル系重合体の分子量分布、すなわちゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、一般に1.8以下、好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.3以下のものが用いられる。この比が1.8以上のものを用いると、物性が低下するようになり好ましくない。なお、GPC測定による分子量は、クロロホルムを移動相として、ポリスチレンゲルカラムを用い、ポリスチレン換算で求められた。
このアルケニル基含有アクリル系重合体は、種々の重合法で得ることができ、その方法は特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性の点からはラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法の中でもリビング重合法がより好ましく、原子移動ラジカル重合法が特に好ましい。
ラジカル重合反応は重合速度が速く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起り易いため、一般的には反応の制御が難かしいとされているが、リビングラジカル重合法は特殊な重合系を用いることにより、重合体成長末端での停止反応などの副反応が起り難く、また分子量分布の狭い重合体(Mw/Mn:1.1〜1.5程度)が得られ、さらにモノマーと開始剤の仕込み比によって分子量を自由にコントロールすることができるという特徴を有する。
したがって、リビング重合法は、分子量分布が狭く、生成重合体が液状の場合には粘度の低い重合体を得ることができるばかりではなく、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、アルケニル基を有するアクリル系重合体の製造方法としては好ましいものといえる。
なお、リビング重合法とは、狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が成長していく重合のことを指しているが、一般には末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら成長していく擬リビング重合も含まれ、本発明におけるリビング重合法は後者である。
(B)成分のヒドロシリル基含有化合物としては、(A)成分のアルケニル基を末端に少くとも1個有するアクリル系重合体との架橋により硬化できる化合物であれば特に制限はなく、例えば一般式
Figure 2004031609
Figure 2004031609
で表わされる化合物等が用いられる。
これらの中でも、平均して1分子中にヒドロシリル基を少くとも1.1個以上有する鎖状ポリシロキサン、環状シロキサン等の化合物が好んで用いられ、アクリル系重合体との相溶性の観点からは、ヒドロシリル基以外にアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基等を有するシロキサン化合物がより好ましい。これらのヒドロシリル基含有化合物は、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
アルケニル基含有アクリル系重合体とヒドロシリル基含有化合物とは、任意の割合で混合して用いることができるが、硬化性の点からは、アクリル系重合体中のアルケニル基とヒドロシリル基含有化合物のヒドロシリル基のモル比が5〜0.2、好ましくは2.5〜0.4の割合で用いられる。このモル比が5以上になると硬化が不十分で、ベトツキのある強度の小さい硬化物しか得られず、一方0.2以下のモル比では、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラックやボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られなくなる。
また、(C)成分のヒドロシリル化触媒についても特に制御はなく、任意のものが使用できる。具体的には、塩化白金酸、白金の単体やアルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、さらには
Figure 2004031609
や白金化合物以外の触媒であるRhCl(PPh、RhCl、Rh/Al、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl等が挙げられ、また白金−炭化水素錯体(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書)や白金−アルコラート錯体(同第3,220,972号明細書)等も用いられ、これらは単独でまたは2種以上が併用される。これらのヒドロシリル化触媒の内、触媒活性の点からは塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好んで用いられる。
触媒量についても特に制限はないが、(A)成分重合体中のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−8モル、好ましくは10−2〜10−6モルの範囲内で用いられる。ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性があり、また水素を大量に発生して硬化物を発泡させてしまう場合があるので、10−1モル以上は用いない方がよい。
これらの(A)、(B)、(C)3成分は、これら必須成分の内の一つでも欠けると加硫成形物(硬化物)が得られなかったり、得られたとしてもゴム弾性や伸びが低下するなどの不具合が発生する。
以上の各成分を必須成分とする組成物中には、ゴム用配合剤として、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、けいそう土、タルク、クレー、グラファイト、けい酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、マイカ等の充填剤、各種金属粉末、ガラス粉末、セラミックス粉末、粒状または粉末状ポリマー等の粉末状固体充填剤、摩耗性や成形性などを改良させる少量の熱可塑性樹脂やゴム、強度や剛性を向上させる短繊維、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の受酸剤、アミン系、フェノール系、イミダゾール系等の老化防止剤、安定剤、可塑剤、粘着性付与剤、離型剤、難燃剤、顔料等のゴム工業で一般的に使用されている各種配合剤が、必要に応じて適宜添加されて用いられる。これらの各種配合剤において、操作上からは液状のものを使用することが好ましい。
組成物中には3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−5−オール等の硬化調整剤を、(A)、(B)、(C)各成分の合計量100重量部当り約5重量部以下、好ましくは約0.01〜1重量部添加して用いることができる。硬化調整剤は、硬化速度の調節やスコーチを防止するという働きをする。
振動吸収マウント材料としての用途上、組成物を硬化して得られる硬化物の表面硬度は45以下であることが好ましい。硬化物のデュロA硬さ(JIS K6253準拠)を45以下の低硬度とするためには、組成物中への各種補強剤または充填剤の添加割合を調節することによっても可能である。ただし、補強剤または充填剤として、触媒毒となるイオウやハロゲン等を含むものは好ましくない。補強剤または充填剤の添加割合は、(A)、(B)、(C)各成分の合計量100重量部当り約100重量部以下、一般には1〜100重量部、好ましくは約5〜80重量部であり、これ以下の添加割合あるいは補強剤または充填剤を用いない場合には、硬さは45以下となるが、製品の外観が損なわれるようになるのでその点では好ましくなく、一方これ以上の割合で用いられると、硬度が高すぎるようになる。また、補強剤または充填剤と共に可塑剤等を併用することにより、硬さを調整することもできる。
組成物の調製は、バンバリーミキサ、プラネタリーミキサ、プラベンダ、ニーダ、高せん断型ミキサ、ロール、3本ロール等を用いて混練することによって行われ、それの硬化(加硫成形)は、射出成形機、圧縮成形機、加硫プレス等を用いて、一般に約100〜200℃で約1〜120分間程度加熱することによって行われ、必要に応じて約120〜200℃で約1/2〜24時間程度加熱する二次加硫が行われる。なお、加熱を全く行わずに、室温条件下に24時間以上放置することによっても硬化は可能である。
得られた硬化物は、デュロA硬さが45以下の硬化物を与え、また損失正接(tanδ)が0.5以上とすぐれた防振特性を示している。硬化物は、電気・電子部品またはこれらのユニットに接触させた状態で取り付けられて用いられるので、その厚さは約0.05〜50mm程度であり、その形状は一般に板状体である。
第1図は、本発明に係る防振マウントを台座に取り付けた状態を示す斜視図である。
第2図は、防振マウントの台座への取り付け方法の数例を示す断面図である。
第3図は、本発明に係る他の態様の防振マウントを台座に取り付けた状態を示す斜視図である。
第4図は、従来の防振マウントを台座に取り付けた状態を示す斜視図である。
このシール材料から成形された自動車搭載HDD防振マウントは、HDDを収納した筐体のカバーに取り付けられた状態で用いられる。従来のものは、第4図の斜視図に示される台座11にアルミニウム製などのカバー12を設けただけであるが、本発明にあっては、台座1となる筐体カバーの四隅に(第1図)あるいは半分程度の面積(第3図)で防振マット2が取り付けられる。
防振マット2の台座1への取り付けは、任意の方法で行うことができ、例えば第2図の断面図(a)〜(c)に示されるように、物理的な嵌合あるいは貫通孔を介してカバー両面間に付着させる方法、あるいは第2図の断面図(d)に示されるように、接着剤3を介して台座1と防振マット2とを接着させる方法などを用いることができる。接着剤としては、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系接着剤やシラン系、イソシアネート系カップリング剤等が用いられ、台座1上への接着剤3の塗布は、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、刷毛塗り法、スタンプ方式等任意の方法を用いることができる。
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例1〜4、比較例1
Figure 2004031609
なお、アクリル系重合体としては、ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2−メトキシエチルアクリレートの共重合体中に1,7−オクタジエンを共重合させ、アルケニル基を導入した共重合体が用いられ、この共重合体の数平均分子量Mnは18000、分子量分布(Mw/Mn)は1.1、共重合体1分子当りに導入された平均アルケニル基数は1.9であるものが用いられ、ヒドロシリル基含有化合物としては、分子中に平均5個のヒドロシリル基と平均5個のα−メチルスチレン基を含有する鎖状シロキサン(Si−H基の量:3.70ミリモル/g)が用いられ、またヒドロシリル化触媒としては、0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルシロキサン錯体を3重量%含有するキシレン溶液がそれぞれ用いられた。
以上の各成分を3本ロールを用いて十分に混合した後、圧縮成形機を用いて、180℃で10分間加硫成形した。得られた加硫成形物について、次の各項目の試験を行った。
常態値、圧縮永久歪、耐熱性試験(150℃、70時間後の物性変化)、耐油性試験(150℃の潤滑油No.3中70時間後の物性変化):
JIS K6253,K6251,K6262,K6257,K6258準拠
損失正接:
粘弾性測定装置を用い、周波数50Hz、室温条件下で測定
アウトガス試験:
GCMS法(120℃で1時間熱抽出後の試料1g当りのガス発生量)
金属腐食試験:
線径3mm、内径25mmのOリングをアルミニウム板で挟んで、100℃で168時間加熱後のアルミニウム板の腐食状態を目視で観察
比較例2
アクリルゴム(日本ゼオン製品Nipol AR 72HF) 100重量部
イオウ 0.5 〃
ステアリン酸ナトリウム 1 〃
ステアリン酸カリウム 2 〃
ステアリン酸 1 〃
以上の各成分を3本ロールを用いて十分に混合した後、圧縮成形機を用いて、180℃で6分間加硫成形した後150℃で5時間の二次加硫を行い、得られた加硫成形物について、実施例1〜4と同様の試験が行われた。
比較例3
ブチルゴム(エクソン製品ブチル365) 100重量部
イオウ 1 〃
酸化亜鉛(ZnO) 5 〃
ステアリン酸 1 〃
テトラメチルチウラムモノサルファイド 1 〃
ジオクチルセバケート 20 〃
以上の各成分を3本ロールを用いて十分に混合した後、圧縮成形機を用いて、170℃で5分間加硫成形し、得られた加硫成形物について、実施例1〜4と同様の試験が行われた。
以上の実施例1〜4および比較例1〜3における測定結果は、次の表1に示される。
Figure 2004031609
Figure 2004031609
以上の結果から、次のようなことがいえる。
各実施例の組成物から得られたものは、低硬度で防振特性にすぐれ、しかも耐熱性、耐油性も良好である。一方、比較例1のものは硬度が高く、防振特性にも劣っている。また、アクリルゴムを用いた比較例2は、材料強度、伸びが小さく、圧縮永久歪等性も劣っており、さらに腐食性もあって、防振マウントとしては不適であった。ブチルゴムを用いた比較例3については、防振特性は良好なものの、材料強度、伸びが小さく、耐熱性も著しく劣っていた。
アクリル系重合体(実施例1で用いられたものと同じ) 100重量部
ヒドロシリル基含有化合物(実施例1で用いられたものと同じ) 6 〃
ヒドロシリル化触媒(実施例1で用いられたものと同じ) 0.05 〃
ホワイトカーボン(Aerosil R974) 25 〃
硬化調整剤(3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール) 0.1 〃
老化防止剤(チバスペシャルティケミカル製品 2 〃
イルガノックス1010)
実施例5において、ホワイトカーボンが用いられなかった。
実施例5において、ホワイトカーボン量が30重量部に変更された。
以上の実施例5〜7でそれぞれ得られた混合物を24時間室温に放置し、脱泡した後、テストシート型(150×150×2mm)に流し込み、180℃、10分間、100MPaの条件下で圧縮成形し、得られたテストシートについて、硬さおよび加熱老化試験前後のtanδの測定を行った。
硬さ:
テストシートを3枚重ね合せ、JIS K6253に準じて測定
初期tanδ:
粘弾性測定装置を用い、周波数10Hzおよび100Hz、初期歪10%、測定モードを圧縮、温度25℃とした条件下で測定し、周波数10Hzおよび100Hzにおいてtanδが0.5以上を○、0.5未満を×と評価
加熱老化試験後のtanδ:
テストシートを120℃で168時間加熱した後室温に放置し、初期tanδと同様に測定および評価した
得られた結果は、次の表2に示される。なお、比較例4は硬さ(JISデュロメータA)50の加硫ブチルゴムについての、また比較例5は硬さ(JISデュロメータA)50の架橋EPDMについての測定および評価結果である。
Figure 2004031609
また、予めカバー形状に附型されたアルミニウム板(無電解ニッケルメッキ2〜5μm処理)に、エポキシ樹脂系接着剤(スリーボンド製品スリーボンド2202)を塗布した金具を型内にインサートしておき、液状射出成形機を用い、設定温度210〜180℃、射出圧力100MPa、射出速度0.5秒、サイクルタイム30秒でHDD用カバーにガスケットを射出成形して、カバー一体型ガスケットを得た。
本発明に係る振動吸収マウント材料は、次のような効果を奏する。
(1)低硬度で防振特性にすぐれ、耐熱・耐油性にもすぐれているので、CD、DVD、HDD等の光磁気ドライブが用いられている自動車の電気・電子部品またはこれらのユニットの振動吸収マウント材料として有効に用いることができる。
(2)従来のアクリルゴムの場合のように加硫剤を用いていないため、クリーン性(アウトガス性、耐腐食性)やヒドロシリル架橋による低圧縮永久歪値が得られている。
(3)低硬度化は、充填剤添加量をコントロールすることにより可能である。
(4)液状アクリルゴムを用いているため成形加工がし易く、また従来のミラブルタイプのゴムとは異なり、混練工程が簡略化できる。
(5)自動車搭載HDD防振マウントとして用いられた場合には、微小な振動が嫌われる精密機器であるHDDに装着され、車載などで振動が多く発生ししかも高温となる環境下で使用されても、損失正接(tanδ)が0.5以上というすぐれた防振性を示しまた耐熱性にもすぐれているので、所望の用途に十分適合して使用することができる。
【書類名】明細書
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動吸収マウント材料に関する。さらに詳しくは、自動車の電気・電子部品またはこれらのユニット等に好適に用いられる振動吸収マウント材料に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器製品は、常に小型化、高性能化の要求とそれに対する改善がなされている。CD、DVD、HDD等の電子記憶装置、特にHDD(ハードディスクドライブ)も3.5インチから2.5インチ、さらに1インチへと小型化が進んでいる。同様に、性能の向上(記憶容量のアップ)も進んでいる。
【0003】
この性能の向上には、HDD内のディスクの回転数、記憶密度、ディスク枚数のそれぞれの増加が有効である。しかしながら、記憶密度の増加は既に限界に近づき、ディスク枚数の増加は小型化の流れに反して得策ではなく、現在はディスクの回転数を増加させることが改善の主流となっている。
【0004】
これに伴い、ディスク内部から発生する振動は増加傾向にあるため、この振動を減少させることが課題となっている。特に、HDDがサーバー用途に用いられる場合には、HDDを数十個連ねて使用しており、お互いのHDDから発生する振動によってトラブルが発生するケースがみられる。
【0005】
一方、最近はHDDが電子記憶装置として、パソコン以外にもビデオ、カメラ、カーナビゲーター等に用いられるようになってきており、特に車載用など振動が多く発生する環境下で使用されるHDDには、HDD外部からの振動を抑える必要がある。また、高速回転による内部発熱や夏季の車内での高温環境下に曝されることに耐え得る耐熱性も要求されている。
【0006】
このように、CD、DVD、HDD等の光磁気ドライブが用いられている電気・電子部品またはこれらのユニットの振動吸収マウントの材料としては、従来から天然ゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム等が用いられている。これらのゴム材料は、家庭用や事務用目的に使用されるのであれば、前記の如き問題点はみられても、その性能が十分に発揮されるが、自動車や産業機械用途に使用される場合には、その使用環境が厳しく、特に耐熱性や振動耐久性の点が問題となる。
【0007】
特に、自動車に搭載される電気・電子部品またはこれらのユニットに、接着剤を用いあるいは用いずに接触させた状態で取り付けられて用いられる振動吸収マウント材料の場合には、以下の如き諸特性が要求される。
(1) 耐熱・耐油性
(2) 振動吸収性
(3) 圧縮永久歪特性
(4) 低硬度性
(5) クリーン性(アウトガス性、非腐食性)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、耐熱・耐油性、振動吸収性、耐圧縮永久歪特性、低硬度性、クリーン性(アウトガス性、非腐食性)などにすぐれ、自動車用CD、DVD、HDD等の光磁気ドライブを備えた電気・電子部品の振動吸収マウント、電気・電子部品ユニットの振動吸収パッド等として有効に使用し得る振動吸収マウント材料を提供することにある。また、高温長時間での使用においてもすぐれた防振性を示す自動車搭載HDD防振マウント材料として用いられる振動吸収マウント材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる本発明の目的は、(A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個有するアクリル系重合体、(B)ヒドロシリル基含有化合物および(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する組成物の硬化物からなり、該硬化物が0.5以上の損失正接(tan δ)を示す振動吸収マウント材料によって達成される。この振動吸収マウント材料が自動車搭載HDD防振マウント材料として用いられる場合、防振マウント材料はHDDを収納した筐体のカバーを台座として、そこに取り付けられた状態で用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(A)成分のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個、好ましくは末端に少くとも1個有するアクリル系重合体の主鎖を構成するアクリル酸エステル系モノマーとしては特に限定されず、各種任意のものを用いることができる。
【0011】
例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第3ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-へキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n-へプチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、トルイルアクリレート、ベンジルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ステアリルアクリレート、グリシジルアクリレート、2-アミノエチルアクリレート、トリフルオロメチルメチルアクリレート、2-トリフルオロメチルエチルアクリレート、2-パーフルオロエチルエチルアクリレート、2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチルアクリレート、パーフルオロエチルアクリレート、パーフルオロメチルアクリレート、ジパーフルオロメチルメチルアクリレート、2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルエチルアクリレート、2-パーフルオロへキシルエチルアクリレート、2-パーフルオロデシルエチルアクリレート、2-パーフルオロヘキサデシルエチルアクリレート等のアクリル酸エステルまたはこれに対応するメタクリル酸エステル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等が用いられる。あるいは、アクリル酸またはメタクリル酸も用いることができる。
【0012】
これらの内、生成物の物性などの点からは、好ましくはアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが用いられ、特に好ましくはアクリル酸エステル、例えばブチルアクリレート、エチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート等が1種または2種以上組合せて用いられる。
【0013】
本発明においては、これらの好ましいモノマーを他のモノマーとランダム共重合したり、さらにブロック共重合させてもよく、この際にはこれらの好ましいモノマーであるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが60重量%以上の割合で共重合されていることが好ましい。
【0014】
また、これらのアクリル酸系またはメタクリル酸系モノマーと共に、約30重量%以下の割合で他のモノマーを共重合させることができ、かかるモノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸またはその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のけい素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステルまたはジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルまたはジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、へキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、けい皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
【0015】
これらのモノマーを共重合させて得られたアクリル系重合体中には、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が少くとも1個、好ましくは末端に少くとも1個導入される。導入されたアルケニル基は、一般式
CH2=C(R)-
で表わされ、ここでRは水素原子または炭素数1〜20の有機基であり、かかる有機基としては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等が挙げられ、ヒドロシリル基含有化合物との反応性の点からは、Rが水素原子またはメチル基、好ましくは水素原子であるアルケニル基が導入される。
【0016】
かかるアルケニル基の導入は、例えば次のような方法によって行うことができる。
(a)リビングラジカル重合によりアクリル系重合体を合成する際に、所定のアクリル系モノマーと共に、一般式
CH2=CR1-R2-R3-CR1=CH2
R1:水素原子またはメチル基
R2:エステル基またはo-,m-またはp-フェニレン基
エステル基の場合は(メタ)アクリレート系化合物
フェニレン基の場合はスチレン系化合物
R3:直接結合または1個以上のエーテル結合を有していてもよい
C1〜C20の有機基
で表わされる、一分子中に重合性の高いアルケニル基および重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物、例えば
CH2=CHCOO(CH2)nCH=CH2
CH2=C(CH3)COO(CH2)nCH=CH2
o-,m-またはp-ジビニルベンゼン
等を反応させる方法
(b)リビングラジカル重合によりアクリル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、重合性の低いアルケニル基を少くとも2個有する化合物、すなわち一般式
CH2=CR1-R4-CR1=CH2
R1:水素原子またはメチル基
R4:1個以上のエーテル結合を含んでいてもよいC1〜C20の有機基
で表わされる化合物、例えば1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン等を反応させる方法
この方法は、一分子当りに導入されるアルケニル基の制御がより容易である。
(c)ハロゲンを少くとも1個有するアクリル系重合体にアルケニル基を有する各種の有機金属化合物を作用させて、重合体中のハロゲンをアルケニル基に置換する方法など、アクリル系重合体中のハロゲンをアルケニル基に置換する方法
【0017】
これらの方法によってアクリル系重合体中に導入されるアルケニル基は、重合体1分子当り1〜10、好ましくは2〜8である。
【0018】
アルケニル基を有するアクリル系重合体は、常温で液状の数平均分子量Mnが500以上、好ましくは1,000〜100,000のものが一般に用いられる。この分子量が低くなりすぎると、アクリル系重合体本来の特性が発現され難くなり、一方高すぎると取扱いが困難となる。
【0019】
このアクリル系重合体の分子量分布、すなわちゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、一般に1.8以下、好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.3以下のものが用いられる。この比が1.8以上のものを用いると、物性が低下するようになり好ましくない。なお、GPC測定による分子量は、クロロホルムを移動相として、ポリスチレンゲルカラムを用い、ポリスチレン換算で求められた。
【0020】
このアルケニル基含有アクリル系重合体は、種々の重合法で得ることができ、その方法は特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性の点からはラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法の中でもリビング重合法がより好ましく、原子移動ラジカル重合法が特に好ましい。
【0021】
ラジカル重合反応は重合速度が速く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起り易いため、一般的には反応の制御が難かしいとされているが、リビングラジカル重合法は特殊な重合系を用いることにより、重合体成長末端での停止反応などの副反応が起り難く、また分子量分布の狭い重合体(Mw/Mn:1.1〜1.5程度)が得られ、さらにモノマーと開始剤の仕込み比によって分子量を自由にコントロールすることができるという特徴を有する。
【0022】
したがって、リビング重合法は、分子量分布が狭く、生成重合体が液状の場合には粘度の低い重合体を得ることができるばかりではなく、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、アルケニル基を有するアクリル系重合体の製造方法としては好ましいものといえる。
【0023】
なお、リビング重合法とは、狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が成長していく重合のことを指しているが、一般には末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら成長していく擬リビング重合も含まれ、本発明におけるリビング重合法は後者である。
【0024】
(B)成分のヒドロシリル基含有化合物としては、(A)成分のアルケニル基を末端に少くとも1個有するアクリル系重合体との架橋により硬化できる化合物であれば特に制限はなく、例えば一般式
R5 3SiO[SiR5 2O]a[SiHR6O]b[SiR6R7O]c SiR6 3
R5 2HSiO[SiR5 2O]a[SiHR6O]b[SiR6R7O]c SiHR5 2
R5,R6:C1〜C6のアルキル基またはフェニル基
R7:C1〜C10のアルキル基またはアラルキル基
0≦a≦100
2≦b≦100
0≦c≦100
Figure 2004031609
R8,R9:C1〜C6のアルキル基またはフェニル基
R10:C1〜C10のアルキル基またはアラルキル基
0≦d≦8
2≦e≦10
0≦f≦8
3≦d+e+f≦10
で表わされる化合物等が用いられる。
【0025】
これらの中でも、平均して1分子中にヒドロシリル基を少くとも1.1個以上有する鎖状ポリシロキサン、環状シロキサン等の化合物が好んで用いられ、アクリル系重合体との相溶性の観点からは、ヒドロシリル基以外にアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基等を有するシロキサン化合物がより好ましい。これらのヒドロシリル基含有化合物は、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
【0026】
アルケニル基含有アクリル系重合体とヒドロシリル基含有化合物とは、任意の割合で混合して用いることができるが、硬化性の点からは、アクリル系重合体中のアルケニル基とヒドロシリル基含有化合物のヒドロシリル基のモル比が5〜0.2、好ましくは2.5〜0.4の割合で用いられる。このモル比が5以上になると硬化が不十分で、ベトツキのある強度の小さい硬化物しか得られず、一方0.2以下のモル比では、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラックやボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られなくなる。
【0027】
また、(C)成分のヒドロシリル化触媒についても特に制御はなく、任意のものが使用できる。具体的には、塩化白金酸、白金の単体やアルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、さらには
白金-ビニルシロキサン錯体 Ptn(CH2=CHMe2SiOSiMe2CH=CH2)n
Pt[(MeCH=CHSiO)4]m
白金-ホスフィン錯体 Pt(PPh3)4
Pt(PBu3)4
白金-ホスファイト錯体 Pt[P(OPh)3]4
Pt[P(OBu)3]4
Me:メチル基
Bu:ブチル基
Ph:フェニル基
n、m:正の整数
や白金化合物以外の触媒であるRhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H20、NiCl2、TiCl4等が挙げられ、また白金-炭化水素錯体(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書)や白金-アルコラート錯体(同第3,220,972号明細書)等も用いられ、これらは単独でまたは2種以上が併用される。これらのヒドロシリル化触媒の内、触媒活性の点からは塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-ビニルシロキサン錯体等が好んで用いられる。
【0028】
触媒量についても特に制限はないが、(A)成分重合体中のアルケニル基1モルに対して10-1〜10-8モル、好ましくは10-2〜10-6モルの範囲内で用いられる。ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性があり、また水素を大量に発生して硬化物を発泡させてしまう場合があるので、10-1モル以上は用いない方がよい。
【0029】
これらの(A)、(B)、(C)3成分は、これら必須成分の内の一つでも欠けると加硫成形物(硬化物)が得られなかったり、得られたとしてもゴム弾性や伸びが低下するなどの不具合が発生する。
【0030】
以上の各成分を必須成分とする組成物中には、ゴム用配合剤として、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、けいそう土、タルク、クレー、グラファイト、けい酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、マイカ等の充填剤、各種金属粉末、ガラス粉末、セラミックス粉末、粒状または粉末状ポリマー等の粉末状固体充填剤、摩耗性や成形性などを改良させる少量の熱可塑性樹脂やゴム、強度や剛性を向上させる短繊維、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の受酸剤、アミン系、フェノール系、イミダゾール系等の老化防止剤、安定剤、可塑剤、粘着性付与剤、離型剤、難燃剤、顔料等のゴム工業で一般的に使用されている各種配合剤が、必要に応じて適宜添加されて用いられる。これらの各種配合剤において、操作上からは液状のものを使用することが好ましい。
【0031】
組成物中には3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-5-オール等の硬化調整剤を、(A)、(B)、(C)各成分の合計量100重量部当り約5重量部以下、好ましくは約0.01〜1重量部添加して用いることができる。硬化調整剤は、硬化速度の調節やスコーチを防止するという働きをする。
【0032】
振動吸収マウント材料としての用途上、組成物を硬化して得られる硬化物の表面硬度は45以下であることが好ましい。硬化物のデュロA硬さ(JIS K6253準拠)を45以下の低硬度とするためには、組成物中への各種補強剤または充填剤の添加割合を調節することによっても可能である。ただし、補強剤または充填剤として、触媒毒となるイオウやハロゲン等を含むものは好ましくない。補強剤または充填剤の添加割合は、(A)、(B)、(C)各成分の合計量100重量部当り約100重量部以下、一般には1〜100重量部、好ましくは約5〜80重量部であり、これ以下の添加割合あるいは補強剤または充填剤を用いない場合には、硬さは45以下となるが、製品の外観が損なわれるようになるのでその点では好ましくなく、一方これ以上の割合で用いられると、硬度が高すぎるようになる。また、補強剤または充填剤と共に可塑剤等を併用することにより、硬さを調整することもできる。
【0033】
組成物の調製は、バンバリーミキサ、プラネタリーミキサ、プラベンダ、ニーダ、高せん断型ミキサ、ロール、3本ロール等を用いて混練することによって行われ、それの硬化(加硫成形)は、射出成形機、圧縮成形機、加硫プレス等を用いて、一般に約100〜200℃で約1〜120分間程度加熱することによって行われ、必要に応じて約120〜200℃で約1/2〜24時間程度加熱する二次加硫が行われる。なお、加熱を全く行わずに、室温条件下に24時間以上放置することによっても硬化は可能である。
【0034】
得られた硬化物は、デュロA硬さが45以下の硬化物を与え、また損失正接(tan δ)が0.5以上とすぐれた防振特性を示している。硬化物は、電気・電子部品またはこれらのユニットに接触させた状態で取り付けられて用いられるので、その厚さは約0.05〜50mm程度であり、その形状は一般に板状体である。
【0035】
このシール材料から成形された自動車搭載HDD防振マウントは、HDDを収納した筐体のカバーに取り付けられた状態で用いられる。従来のものは、第4図の斜視図に示される台座11にアルミニウム製などのカバー12を設けただけであるが、本発明にあっては、台座1となる筐体カバーの四隅に(第1図)あるいは半分程度の面積(第3図)で防振マット2が取り付けられる。
【0036】
防振マット2の台座1への取り付けは、任意の方法で行うことができ、例えば第2図の断面図(a)〜(c)に示されるように、物理的な嵌合あるいは貫通孔を介してカバー両面間に付着させる方法、あるいは第2図の断面図(d)に示されるように、接着剤3を介して台座1と防振マット2とを接着させる方法などを用いることができる。接着剤としては、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系接着剤やシラン系、イソシアネート系カップリング剤等が用いられ、台座1上への接着剤3の塗布は、浸漬法、スプレー法、スクリーン印刷法、刷毛塗り法、スタンプ方式等任意の方法を用いることができる。

【発明の効果】
【0037】
本発明に係る振動吸収マウント材料は、次のような効果を奏する。
(1) 低硬度で防振特性にすぐれ、耐熱・耐油性にもすぐれているので、CD、DVD、HDD等の光磁気ドライブが用いられている自動車の電気・電子部品またはこれらのユニットの振動吸収マウント材料として有効に用いることができる。
(2) 従来のアクリルゴムの場合のように加硫剤を用いていないため、クリーン性(アウトガス性、耐腐食性)やヒドロシリル架橋による低圧縮永久歪値が得られている。
(3) 低硬度化は、充填剤添加量をコントロールすることにより可能である。
(4) 液状アクリルゴムを用いているため成形加工がし易く、また従来のミラブルタイプのゴムとは異なり、混練工程が簡略化できる。
(5) 自動車搭載HDD防振マウントとして用いられた場合には、微小な振動が嫌われる精密機器であるHDDに装着され、車載などで振動が多く発生ししかも高温となる環境下で使用されても、損失正接(tan δ)が0.5以上というすぐれた防振性を示しまた耐熱性にもすぐれているので、所望の用途に十分適合して使用することができる。
【実施例】
【0038】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0039】
実施例1〜4、比較例1
組成物成分(重量部) 実-1 実-2 比-1 実-3 実-4
アクリル系重合体 93.9 93.9 93.9 93.9 93.9
ヒドロシリル基含有化合物 5.6 5.6 5.6 5.6 5.6
ヒドロシリル化触媒 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
カーボンブラック(N990) 5 25 120
ホワイトカーボン 5 18
(日本アエロジル製品Aerosil R974)
酸化防止剤 1 1 1 1 1
(大内新興化学製品ノクラックCD)
ポリエーテルエステル系可塑剤 5 5
(旭電化製品RS700)
3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1
(硬化調整剤)
【0040】
なお、アクリル系重合体としては、ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2-メトキシエチルアクリレートの共重合体中に1,7-オクタジエンを共重合させ、アルケニル基を導入した共重合体が用いられ、この共重合体の数平均分子量Mnは18000、分子量分布(Mw/Mn)は1.1、共重合体1分子当りに導入された平均アルケニル基数は1.9であるものが用いられ、ヒドロシリル基含有化合物としては、分子中に平均5個のヒドロシリル基と平均5個のα-メチルスチレン基を含有する鎖状シロキサン(Si-H基の量:3.70ミリモル/g)が用いられ、またヒドロシリル化触媒としては、0価白金の1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルシロキサン錯体を3重量%含有するキシレン溶液がそれぞれ用いられた。
【0041】
以上の各成分を3本ロールを用いて十分に混合した後、圧縮成形機を用いて、180℃で10分間加硫成形した。得られた加硫成形物について、次の各項目の試験を行った。
【0042】
常態値、圧縮永久歪、耐熱性試験(150℃、70時間後の物性変化)、耐油性試験(150℃の潤滑油No.3中70時間後の物性変化):
JIS K6253,K6251,K6262,K6257,K6258準拠
損失正接:
粘弾性測定装置を用い、周波数50Hz、室温条件下で測定
アウトガス試験:
GCMS法(120℃で1時間熱抽出後の試料1g当りのガス発生量)
金属腐食試験:
線径3mm、内径25mmのOリングをアルミニウム板で挟んで、100℃で168時間加熱後のアルミニウム板の腐食状態を目視で観察
【0043】
比較例2
アクリルゴム(日本ゼオン製品Nipol AR 72HF) 100重量部
イオウ 0.5 〃
ステアリン酸ナトリウム 1 〃
ステアリン酸カリウム 2 〃
ステアリン酸 1 〃
以上の各成分を3本ロールを用いて十分に混合した後、圧縮成形機を用いて、180℃で6分間加硫成形した後150℃で5時間の二次加硫を行い、得られた加硫成形物について、実施例1〜4と同様の試験が行われた。
【0044】
比較例3
ブチルゴム(エクソン製品ブチル365) 100重量部
イオウ 1 〃
酸化亜鉛(ZnO) 5 〃
ステアリン酸 1 〃
テトラメチルチウラムモノサルファイド 1 〃
ジオクチルセバケート 20 〃
以上の各成分を3本ロールを用いて十分に混合した後、圧縮成形機を用いて、170℃で5分間加硫成形し、得られた加硫成形物について、実施例1〜4と同様の試験が行われた。
【0045】
以上の実施例1〜4および比較例1〜3における測定結果は、次の表1に示される。
表1
試験項目 実-1 実-2 比-1 実-3 実-4 比-2 比-3
〔常態値〕
硬さ デュロA(ポイント) 10 40 72 12 32 42 48
破断強度 (MPa) 4.2 7.0 9.6 3.9 4.8 1.6 2.0
破断伸び (%) 280 200 105 300 210 120 140
〔圧縮永久歪〕
150℃、70時間 (%) 12 19 42 14 22 64 58
〔耐熱性試験〕
硬さ変化 (ポイント) +3 +2 +2 +4 +2 +5 +10
破断強度変化率 (%) +10 +5 +16 +12 +4 -19 -38
破断伸び変化率 (%) +6 +9 -18 -7 -12 -20 -42
〔耐油性試験〕
硬さ変化 (ポイント) -5 -3 -2 -5 -4 -6 測
破断強度変化率 (%) -16 -12 -23 -18 -15 -30 定
破断伸び変化率 (%) -18 -19 -26 -13 -12 -39 不
体積変化率 (%) +18.0 +15.2 +14.8 +19.1 +17.3 +19.6 能
〔損失正接〕
tanδ 0.82 0.64 0.45 0.75 0.68 0.53 0.61
〔アウトガス性〕
ガス発生量 (μg/g) 40 24 18 38 26 80 150
〔金属腐食性〕
腐食の有無 なし なし なし なし なし あり あり
【0046】
以上の結果から、次のようなことがいえる。
【0047】
各実施例の組成物から得られたものは、低硬度で防振特性にすぐれ、しかも耐熱性、耐油性も良好である。一方、比較例1のものは硬度が高く、防振特性にも劣っている。また、アクリルゴムを用いた比較例2は、材料強度、伸びが小さく、圧縮永久歪特性も劣っており、さらに腐食性もあって、防振マウントとしては不適であった。ブチルゴムを用いた比較例3については、防振特性は良好なものの、材料強度、伸びが小さく、耐熱性も著しく劣っていた。
【0048】
実施例5
アクリル系重合体(実施例1で用いられたものと同じ) 100重量部
ヒドロシリル基含有化合物(実施例1で用いられたものと同じ) 6 〃
ヒドロシリル化触媒(実施例1で用いられたものと同じ) 0.05 〃
ホワイトカーボン(Aerosil R974) 25 〃
硬化調整剤(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール) 0.1 〃
老化防止剤(チバスペシャルティケミカル製品 2 〃
イルガノックス1010)
【0049】
実施例6
実施例5において、ホワイトカーボンが用いられなかった。
【0050】
実施例7
実施例5において、ホワイトカーボン量が30重量部に変更された。
【0051】
以上の実施例5〜7でそれぞれ得られた混合物を24時間室温に放置し、脱泡した後、テストシート型(150×150×2mm)に流し込み、180℃、10分間、100MPaの条件下で圧縮成形し、得られたテストシートについて、硬さおよび加熱老化試験前後のtan δの測定を行った。
硬さ:
テストシートを3枚重ね合せ、JIS K6253に準じて測定
初期tan δ:
粘弾性測定装置を用い、周波数10Hzおよび100Hz、初期歪10%、測定モードを圧縮、 温度25℃とした条件下で測定し、周波数10Hzおよび100Hzにおいてtan δが0.5以上を ○、0.5未満を×と評価
加熱老化試験後のtan δ:
テストシートを120℃で168時間加熱した後室温に放置し、初期tan δと同様に測定お よび評価した
【0052】
得られた結果は、次の表2に示される。なお、比較例4は硬さ(JISデュロメータA)50の加硫ブチルゴムについての、また比較例5は硬さ(JISデュロメータA)50の架橋EPDMについての測定および評価結果である。
表2
測定・評価項目 実-5 実-6 実-7 比-4 比-5
硬さ(JISデュロメータA) 31 12 48 50 50
tan δ
初期 ○ ○ ○ ○ ×
加熱老化試験後 ○ ○ ○ × ×
【0053】
また、予めカバー形状に附型されたアルミニウム板(無電解ニッケルメッキ2〜5μm処理)に、エポキシ樹脂系接着剤(スリーボンド製品スリーボンド2202)を塗布した金具を型内にインサートしておき、液状射出成形機を用い、設定温度210〜180℃、射出圧力100MPa、射出速度0.5秒、サイクルタイム30秒でHDD用カバーにガスケットを射出成形して、カバー一体型ガスケットを得た。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る防振マウントを台座に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図2】防振マウントの台座への取り付け方法の数例を示す断面図である。
【図3】本発明に係る他の態様の防振マウントを台座に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図4】従来の防振マウントを台座に取り付けた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 台座
2 防振マウント
3 接着剤
11 台座
12 カバー

Claims (8)

  1. (A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個有するアクリル系重合体、(B)ヒドロシリル基含有化合物および(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する組成物の硬化物よりなる振動吸収マウント材料。
  2. 数平均分子量Mnが500以上でかつ分子量分布(Mw/Mn)が1.8以下である液状アクリル系重合体が組成物の(A)成分として用いられた請求項1記載の振動吸収マウント材料。
  3. 組成物から得られた硬化物が45以下のデュロA硬さを示す請求項1記載の振動吸収マウント材料。
  4. (A)、(B)、(C)各成分の合計量100重量部当り100重量部以下の補強剤または充填剤が組成物に添加された請求項1または3記載の振動吸収マウント材料。
  5. 組成物から得られた硬化物が0.5以上の損失正接(tanδ)を示す請求項1記載の振動吸収マウント材料。
  6. 電気・電子部品またはこれらのユニットに接触された状態で取り付けられて用いられる請求項1記載の振動吸収マウント材料。
  7. 自動車搭載HDD防振マウントとして用いられる請求項1記載の振動吸収マウント材料。
  8. 防振マウント材料がHDDを収納した筐体のカバーに取り付けられて用いられる請求項7記載の自動車搭載HDD防振マウント材料。
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