JP5239781B2 - 液状ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、液状ゴム組成物に関する。さらに詳しくは、低硬度にして高強度の硬化物を与え得る液状ゴム組成物に関する。
本出願人らは先に、(A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個有するアクリル系重合体、(B)ヒドロシリル基含有化合物および(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する組成物の硬化物よりなるシール材料を提案している。
WO 2004/031315 A1
上記(A)、(B)、(C)各成分を必須成分とする組成物は、低粘度で成形性にすぐれ、この組成物を硬化して得られる硬化物は、耐熱性、耐油性にすぐれ、低硬度のアクリル系ゴムとして、自動車エンジン周辺部材に使用されるシール材として用いられている。この低硬度アクリル系ゴムによるシールでは、シール時の反力を抑えることができるので、変形が生じ易い樹脂製のカムカバーやチェーンカバー等のシールに対して特に有効である。
ただし、この低硬度アクリル系ゴムは、一般的に強度が不足し易いため、ヒドロシリル基含有化合物硬化剤量を多めとすることにより、高強度化を図っている。すなわち、アルケニル含有アクリル系重合体とヒドロシリル基含有化合物硬化剤とは、任意の割合で混合して用いることができるが、硬化性の点からは、アクリル系重合体中のアルケニル基とヒドロシリル基含有化合物のヒドロシリル基のモル比(当量比)が5〜0.2、好ましくは2.5〜0.4の割合で用いられると述べられており、その各実施例ではアクリル系重合体100重量部に対して6重量部(アルケニル基/ヒドロシリル基当量比0.50)または5.4重量部(同当量比0.56)の割合で用いられている。
しかしながら、このようにヒドロシリル基含有化合物硬化剤の使用割合を増やした場合には、発泡による硬化物外観不良が発生し易いという問題がみられる。
本発明の目的は、(A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個有するアクリル系重合体、(B)ヒドロシリル基含有化合物硬化剤および(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する組成物において、低硬度にして高強度の硬化物を与えることができ、しかも発泡による硬化物の外観不良を生じせしめないものを提供することにある。
かかる本発明の目的は、(A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個有するアクリル系重合体100重量部に対し、(B)ヒドロシリル基含有化合物硬化剤を0.7〜2.4重量部、(C)ヒドロシリル化触媒4.8×10-1〜4.8×10-5重量部および(D)BET法比表面積(ASTM D1993準拠)が40〜80m2/gの乾式法親水性シリカを5〜50重量部必須成分として含有せしめた液状ゴム組成物によって達成される。
本発明に係る液状ゴム組成物は、シリカとして特定性状の乾式法親水性シリカを用いることにより、ヒドロシリル基含有化合物硬化剤の使用割合を減らしても、低硬度にして高強度の硬化物を与えることができ、しかも発泡による硬化物の外観不良を生じせしめないものを形成せしめることができる。
(A)成分のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個有するアクリル系重合体、(B)成分のヒドロシリル基含有化合物硬化剤、(C)成分のヒドロシリル化触媒としては、前記特許文献1記載の各成分と同じものが用いられる。
(A)成分のヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個、好ましくは末端に少くとも1個有するアクリル系重合体の主鎖を構成するアクリル酸エステル系モノマーとしては特に限定されず、各種任意のものを用いることができる。
例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第3ブチルアクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-へキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n-へプチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、フェニルアクリレート、トルイルアクリレート、ベンジルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ステアリルアクリレート、グリシジルアクリレート、2-アミノエチルアクリレート、トリフルオロメチルメチルアクリレート、2-トリフルオロメチルエチルアクリレート、2-パーフルオロエチルエチルアクリレート、2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチルアクリレート、パーフルオロエチルアクリレート、パーフルオロメチルアクリレート、ジパーフルオロメチルメチルアクリレート、2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルエチルアクリレート、2-パーフルオロへキシルエチルアクリレート、2-パーフルオロデシルエチルアクリレート、2-パーフルオロヘキサデシルエチルアクリレート等のアクリル酸エステルまたはこれに対応するメタクリル酸エステル、アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等が用いられる。あるいは、アクリル酸またはメタクリル酸も用いることができる。
これらの内、生成物の物性などの点からは、好ましくはアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが用いられ、特に好ましくはアクリル酸エステル、例えばブチルアクリレート、エチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート等が1種または2種以上組合せて用いられる。
これらの好ましいモノマーを他のモノマーとランダム共重合したり、さらにブロック共重合させてもよく、この際にはこれらの好ましいモノマーであるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが60重量%以上の割合で共重合されていることが好ましい。
また、これらのアクリル酸系またはメタクリル酸系モノマーと共に、約30重量%以下の割合で他のモノマーを共重合させることができ、かかるモノマーとしては、例えばスチレン系モノマー;フッ素含有ビニルモノマー、けい素含有ビニル系モノマー、不飽和ジカルボン酸またはその無水物のモノアルキルエステルまたはジアルキルエステル、マレイミド系モノマー、ニトリル基含有ビニル系モノマー、アミド基含有ビニル系モノマー、ビニルエステル類、オレフィン類、共役ジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
これらのモノマーを共重合させて得られたアクリル系重合体中には、ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基が少くとも1個、好ましくは末端に少くとも1個導入される。導入されたアルケニル基は、一般式
CH2=C(R)-
で表わされ、ここでRは水素原子または炭素数1〜20の有機基であり、かかる有機基としては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基等が挙げられ、ヒドロシリル基含有化合物との反応性の点からは、Rが水素原子またはメチル基、好ましくは水素原子であるアルケニル基が導入される。
かかるアルケニル基の導入は、例えば次のような方法によって行うことができる。
(a)リビングラジカル重合によりアクリル系重合体を合成する際に、所定のアクリル系モノマーと共に、一般式
CH2=CR1-R2-R3-CR1=CH2
R1:水素原子またはメチル基
R2:エステル基またはo-,m-またはp-フェニレン基
エステル基の場合は(メタ)アクリレート系化合物
フェニレン基の場合はスチレン系化合物
R3:直接結合または1個以上のエーテル結合を有していてもよいC1〜C20
有機基
で表わされる、一分子中に重合性の高いアルケニル基および重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物、例えば
CH2=CHCOO(CH2)nCH=CH2
CH2=C(CH3)COO(CH2)nCH=CH2
o-,m-またはp-ジビニルベンゼン
等を反応させる方法
(b)リビングラジカル重合によりアクリル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、重合性の低いアルケニル基を少くとも2個有する化合物、すなわち一般式
CH2=CR1-R4-CR1=CH2
R1:水素原子またはメチル基
R4:1個以上のエーテル結合を含んでいてもよいC1〜C20の有機基
で表わされる化合物、例えば1,5-ヘキサジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン等を反応させる方法
この方法は、一分子当りに導入されるアルケニル基の制御がより容易である。
(c)ハロゲンを少くとも1個有するアクリル系重合体にアルケニル基を有する各種の有機金属化合物を作用させて、重合体中のハロゲンをアルケニル基に置換する方法など、アクリル系重合体中のハロゲンをアルケニル基に置換する方法
これらの方法によってアクリル系重合体中に導入されるアルケニル基は、重合体1分子当り1〜10、好ましくは2〜8である。
アルケニル基を有するアクリル系重合体は、常温で液状の数平均分子量Mnが500以上、好ましくは1,000〜100,000のものが一般に用いられる。この分子量が低くなりすぎると、アクリル系重合体本来の特性が発現され難くなり、一方高すぎると取扱いが困難となる。
このアクリル系重合体の分子量分布、すなわちゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、一般に1.8以下、好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.3以下のものが用いられる。この比が1.8以上のものを用いると、物性低下などを生ずるので好ましくない。なお、GPC測定による分子量は、クロロホルムを移動相として、ポリスチレンゲルカラムを用い、ポリスチレン換算で求められた。
このアルケニル基含有アクリル系重合体は、種々の重合法で得ることができ、その方法は特に限定されないが、モノマーの汎用性、制御の容易性の点からはラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法の中でもリビング重合法がより好ましく、原子移動ラジカル重合法が特に好ましい。
ラジカル重合反応は重合速度が速く、ラジカル同士のカップリングなどによる停止反応が起り易いため、一般的には反応の制御が難かしいとされているが、リビングラジカル重合法は特殊な重合系を用いることにより、重合体成長末端での停止反応などの副反応が起り難く、また分子量分布の狭い重合体(Mw/Mn:1.1〜1.5程度)が得られ、さらにモノマーと開始剤の仕込み比によって分子量を自由にコントロールすることができるという特徴を有する。
したがって、リビング重合法は、分子量分布が狭く、生成重合体が液状の場合には粘度の低い重合体を得ることができるばかりではなく、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任意の位置に導入することができるため、アルケニル基を有するアクリル系重合体の製造方法としては好ましいものといえる。
なお、リビング重合法とは、狭義においては、末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が成長していく重合のことを指しているが、一般には末端が不活性化されたものと活性化されたものが平衡状態にありながら成長していく擬リビング重合も含まれ、本発明におけるリビング重合法は後者である。
(B)成分のヒドロシリル基含有化合物硬化剤としては、(A)成分のアルケニル基を末端に少くとも1個有するアクリル系重合体との架橋により硬化できる化合物であれば特に制限はなく、例えば一般式
R5 3SiO[SiR5 2O]a[SiHR6O]b[SiR6R7O]c SiR6 3 〔I〕
R5 2HSiO[SiR5 2O]a[SiHR6O]b[SiR6R7O]c SiHR5 2 〔II〕
R5,R6:C1〜C6のアルキル基またはフェニル基
R7:C1〜C10のアルキル基またはアラルキル基
0≦a≦100
2≦b≦100
0≦c≦100
Figure 0005239781
R8,R9:C1〜C6のアルキル基またはフェニル基
R10:C1〜C10のアルキル基またはアラルキル基
0≦d≦8
2≦e≦10
0≦f≦8
3≦d+e+f≦10
で表わされる化合物等が用いられる。
これらの中でも、平均して1分子中にヒドロシリル基を少くとも1.1個以上有する鎖状ポリシロキサン、環状シロキサン等の化合物が好んで用いられ、アクリル系重合体との相溶性の観点からは、ヒドロシリル基以外にアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基等を有するシロキサン化合物がより好ましい。これらのヒドロシリル基含有化合物は、1種または2種以上を混合して用いることもできる。
鎖状ポリシロキサンにあっては、前記式〔I〕、〔II〕で表わされる如き1分子中に平均5個のヒドロシリル基と平均5個のα-メチルスチレン基を含有するものが用いられる。また、鎖状ポリシロキサンとしては、前記式〔I〕、〔II〕で表わされる鎖状ポリシロキサンのSiO骨格の一部が炭化水素骨格である変性ポリアルキル水素シロキサン化合物なども用いられる。
ヒドロシリル基含有化合物硬化剤は、アルケニル基含有アクリル系重合体100重量部に対し0.7〜2.4重量部、好ましくは1.1〜2.0重量部の割合で用いられる。硬化剤の使用割合がこれよりも少いと、架橋反応が進まず、成形が不可となり、一方これよりも多い割合で用いられると、発泡して硬化物の外観が不良となる。なお、このような使用割合は、アルケニル基/ヒドロシリル基当量として、0.33〜1.11、好ましくは0.39〜0.72となる。
また、(C)成分のヒドロシリル化触媒についても特に制御はなく、任意のものが使用できる。具体的には、塩化白金酸、白金の単体やアルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、さらには
白金-ビニルシロキサン錯体 Ptn(CH2=CHMe2SiOSiMe2CH=CH2)n
Pt[(MeCH=CHSiO)4]m
白金-ホスフィン錯体 Pt(PPh3)4
Pt(PBu3)4
白金-ホスファイト錯体 Pt[P(OPh)3]4
Pt[P(OBu)3]4
Me:メチル基
Bu:ブチル基
Ph:フェニル基
n、m:正の整数
や白金化合物以外の触媒であるRhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H20、NiCl2、TiCl4等が挙げられ、また白金-炭化水素錯体や白金-アルコラート錯体等も用いられ、これらは単独でまたは2種以上が併用される。これらのヒドロシリル化触媒の内、触媒活性の点からは塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-ビニルシロキサン錯体等が好んで用いられる。
米国特許第3,159,601号明細書 米国特許第3,159,662号明細書 米国特許第3,220,972号明細書
触媒量についても特に制限はないが、(A)成分重合体中のアルケニル基1モルに対して10-1〜10-8モル、好ましくは10-2〜10-6モルの範囲内で用いられる。ヒドロシリル化触媒は、一般に高価で腐食性があり、また水素を大量に発生して硬化物を発泡させてしまう場合があるので、10-1モル以上は用いない方がよい。これは、(A)成分アクリル系重合体100重量部当り4.8×100〜4.8×10-7重量部、好ましくは4.8×10-1〜4.8×10-5重量部に相当する。
これらの(A)、(B)、(C)3成分に加えて、本発明では(D)成分としてBET法比表面積(ASTM D1993準拠)が40〜80m2/g、好ましくは45〜60m2/gの乾式法親水性シリカが、アクリル系重合体100重量部当り5〜50重量部、好ましくは10〜45重量部用いられる。
前記特許文献1で用いられているホワイトカーボン(日本アエロジル製品アエロジルR974)は、乾式法疎水性シリカであり、またそのBET法比表面積は170であり、これを用いた場合に得られる硬化物は、低硬度であり、発泡による外観不良もみられないが、引張強度が所望の値に達していない。
シリカは、その合成方法によって湿式法と乾式法の2種類があり、本発明では乾式法シリカであって、親水性のものが用いられる。ここで、親水性シリカとは、M値が50未満のものを指しており、一方疎水性シリカとは、表面処理を行うことによりM値が50以上のものを指している。これに対して乾式法シリカであっても疎水性のものあるいは親水性シリカであっても湿式法のものを用いた場合には、発泡による硬化物の外観不良はみられないものの、硬度が大きくなったりあるいは引張強度の低下がみられるなど、低硬度で高強度のものを得ることができない。ここで、M値とは、シリカの表面改質処理度合いを示す一般的な指標であって、測定対象となるシリカにメタノール濃度を変えたメタノール水溶液を添加した際、親和し始める(濡れ始める)ときのメタノール水溶液濃度(メタノール容積%)で表わされる値である。
乾式法親水性シリカとしては、その比表面積が40〜80m2/g、好ましくは45〜60m2/gのものが用いられる。比表面積の値がこの範囲外の乾式法親水性シリカを用いた場合には、発泡による硬化物の外観不良はみられないものの、低硬度で高強度のものを得るという目的を達成することができない。
また、乾式法親水性シリカは、アクリル系重合体100重量部当り5〜50重量部、好ましくは10〜45重量部の割合で用いられる。これよりも少い使用割合では、生地の強度が足りずに成形が困難となり、一方これよりも多い割合で用いられると、生地の粘度が高くなり混練が困難となる。
以上の各成分を必須成分とする組成物中には、ゴム用配合剤として、カーボンブラック等の補強剤、けいそう土、タルク、クレー、グラファイト、けい酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、マイカ等の充填剤、各種金属粉末、ガラス粉末、セラミックス粉末、粒状または粉末状ポリマー等の粉末状固体充填剤、摩耗性や成形性などを改良させる少量の熱可塑性樹脂やゴム、強度や剛性を向上させる短繊維、ステアリン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス等の加工助剤、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の受酸剤、アミン系、フェノール系、イミダゾール系等の老化防止剤、安定剤、可塑剤、粘着性付与剤、離型剤、難燃剤、顔料等のゴム工業で一般的に使用されている各種配合剤が、必要に応じて適宜添加されて用いられる。これらの各種配合剤において、操作上からは液状のものを使用することが好ましい。
組成物中には3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-5-オール等の硬化抑制剤を、(A)、(B)、(C)各成分の合計量100重量部当り約5重量部以下、好ましくは約0.01〜1重量部添加して用いることができる。硬化調整剤は、硬化速度の調節やスコーチを防止するという働きをする。
液状ゴム組成物の調製は、バンバリーミキサ、プラネタリーミキサ、ブラベンダ、ニーダ、高せん断型ミキサ、ロール、3本ロール等を用いて混練することによって行われ、それのOリング等の各種シール材、ガスケット、バルブ等への硬化(加硫成形)は、射出成形機、圧縮成形機、加硫プレス等を用いて、一般に約100〜200℃で約3〜120分間程度加熱することによって行われ、さらに必要に応じて約120〜200℃で約1〜24時間程度加熱する加熱処理も行われる。なお、加熱を全く行わずに、室温条件下に24時間以上放置することによっても硬化は可能である。
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例1
アクリル系重合体 100重量部
乾式法親水性シリカ(日本アエロジル製品 25 〃
アエロジル50;BET法比表面積50m2/g)
ヒドロシリル基含有化合物硬化剤 1.9 〃
ヒドロシリル化触媒 0.04 〃
硬化抑制剤(3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール; 0.36 〃
日信化学製品サーフィノール61)
以上の各成分を3本ロールで十分に混練した後、150℃、10分間のプレス加硫(一次加硫)および175℃、25時間のオーブン加硫(二次加硫)を行って、加硫シート(150×150×2mm)を得た。
なお、アクリル系重合体としては、ブチルアクリレート、エチルアクリレートおよび2-メトキシエチルアクリレートの共重合体中に1,7-オクタジエンを共重合させ、アルケニル基を導入した共重合体が用いられ、この共重合体の数平均分子量Mnは18000、分子量分布(Mw/Mn)は1.1、共重合体1分子当りに導入された平均アルケニル基数は1.9であるものが用いられ、ヒドロシリル基含有化合物としては、分子中に平均5個のヒドロシリル基と平均5個のα-メチルスチレン基を含有する鎖状シロキサン(Si-H基の量:3.70ミリモル/g)が用いられ、またヒドロシリル化触媒としては、0価白金の1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルシロキサン錯体を3重量%含有するキシレン溶液がそれぞれ用いられた。
得られた各加硫シートについて、次の各項目の測定が行われた。
常態物性:JIS K6253, JIS K6251準拠
圧縮永久歪:ISO815に対応するJIS K6262準拠(150℃、70時間)
発泡性:発泡による硬化物外観不良の有無
実施例2
実施例1において、乾式法親水性シリカ量が25重量部から38重量部に変更された。
実施例3
実施例1において、乾式法親水性シリカ量が25重量部から45重量部に変更された。
比較例1
実施例1において、乾式法親水性シリカ量が25重量部から1重量部に変更されたが、成形はできなかった。
比較例2
実施例1において、乾式法親水性シリカ量が25重量部から60重量部に変更されたが、混練はできなかった。
比較例3
実施例2において、硬化剤量を0.5重量部に変更すると、架橋せず、成形は不可能であった。
比較例4
実施例3において、硬化剤量を2.5重量部に変更すると、成形時に発泡し、諸特性の測定は不可能であった。また、発泡による外観不良がみられた。
比較例5〜10
実施例1において、乾式法親水性シリカの代りに湿式法シリカまたは他の乾式法シリカが所定量用いられた。
表1
水に対する 比表面積 使用量
比較例 製品名 製法 挙動 (m 2 /g) (重量部)
5 Aerosil R805 乾式法 疎水性 150 18
6 〃 200 〃 親水性 200 16
7 〃 R947 〃 疎水性 170 17
8 Nipsil E74P 湿式法 親水性 45 35
9 〃 SS30-P 〃 疎水性 110 27
10 〃 HD-2 〃 親水性 280 25
注)Aerosilシリーズ:日本アエロジル製品
Nipsilシリーズ:東ソーシリカ製品
以上の実施例1〜3および比較例5〜10で得られた結果は、次の表2に示される。なお、いずれの場合にも、発泡による外観不良はみられなかった。
表2
常態物性 圧縮永久歪
硬度(Duro-A) 引張強度(MPa) 伸び(%) (%)
実施例1 31 4.04 180 18
〃 2 40 5.37 170 17
〃 3 50 5.50 160 17
比較例5 39 2.81 190 27
〃 6 39 3.66 190 24
〃 7 30 3.44 180 16
〃 8 38 3.87 160 16
〃 9 39 3.86 230 17
〃 10 41 4.09 230 17

Claims (5)

  1. (A)ヒドロシリル化反応可能なアルケニル基を少くとも1個有するアクリル系重合体100重量部に対し、(B)ヒドロシリル基含有化合物硬化剤を0.7〜2.4重量部、(C)ヒドロシリル化触媒4.8×10-1〜4.8×10-5重量部および(D)BET法比表面積(ASTM D1993準拠)が40〜80m2/gの乾式法親水性シリカを5〜50重量部必須成分として含有せしめた液状ゴム組成物。
  2. シリカの表面改質度合いを示すM値が50未満の親水性を示す乾式法親水性シリカが用いられた請求項1記載の液状ゴム組成物。
  3. シール材の成形材料として用いられる請求項1または2記載の液状ゴム組成物。
  4. 請求項3記載の液状ゴム組成物から成形されたシール材。
  5. 自動車エンジン周辺部材のシール材として用いられる請求項4記載のシール材。
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