JP2000154255A - 成形用硬化性組成物およびこれを硬化させてなる成形体 - Google Patents

成形用硬化性組成物およびこれを硬化させてなる成形体

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JP2000154255A JP11259984A JP25998499A JP2000154255A JP 2000154255 A JP2000154255 A JP 2000154255A JP 11259984 A JP11259984 A JP 11259984A JP 25998499 A JP25998499 A JP 25998499A JP 2000154255 A JP2000154255 A JP 2000154255A
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伸洋 長谷川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液状の状態で充填材等の配合剤を混練するこ
とができることにより加工性に優れ、かつ硬化性に優れ
るので短時間で成形可能な成形用硬化性組成物、および
これを硬化させてなる十分な機械特性を有する成形体を
提供する 【解決手段】 下記の2成分; (A)下記一般式(1)で表されるアルケニル基を少な
くとも1個有するビニル系重合体、 CH2=C(R1)− (1) (式中、R1は水素またはメチル基を示す。) (B)ヒドロシリル基含有化合物、を必須成分とする成
形用硬化性組成物を用いて硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形用硬化性組成
物およびこれを硬化させてなる成形体に関する。さらに
詳しくは、アルケニル基含有ビニル系重合体と、ヒドロ
シリル基含有化合物を必須成分とし、成形によって硬化
物を得る成形用硬化性組成物および該組成物を硬化させ
てなる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】ビニル系重合体や(メタ)アクリル系重
合体を主成分とする成形体は、高分子量の重合体を各種
添加剤とともにロールやミル等を用いて加熱状態で混連
し、成形することにより得られている。熱可塑性樹脂あ
るいは熱硬化性樹脂を成形する場合は、加熱溶融状態で
成形する必要があり、熱に弱い添加剤を用いる事ができ
ないなどの問題がある。またアクリルゴムに代表される
ゴムを成形する場合は、未加硫ゴムに充填材、加硫剤等
の配合剤を混練した後に加硫成形することにより得られ
るが、この場合上記の問題点以外に、混練り時にロール
に付着したり、シーティング時に平滑になりにくかった
り、あるいは成形時に非流動性である等の加工性の悪さ
と加硫速度の遅さ、あるいは長時間のポストキュアが必
要である等硬化性の悪さにも問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、充填材等の
配合剤を混練することが可能な液状の重合体を用いるこ
とにより、加工性に優れかつ硬化性に優れた成形用硬化
性組成物、及びこれを硬化させてなる充分な機械特性、
耐熱性および耐油性を有する成形体を提供することを目
的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は以下の2成分: (A)一般式(1)で表されるアルケニル基を少なくと
も1個有するビニル系重合体、 CH2=C(R1)− (1) (式中、R1は水素またはメチル基を示す。) (B)ヒドロシリル基含有化合物、を必須成分とする成
形用硬化性組成物およびこれを硬化させてなる成形体で
ある。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は以下の2成分: (A)一般式(1)で表されるアルケニル基を少なくと
も1個有するビニル系重合体、 CH2=C(R1)− (1) (式中、R1は水素またはメチル基を示す。) (B)ヒドロシリル基含有化合物、を必須成分とする成
形用硬化性組成物およびこれを硬化させてなる成形体で
ある。
【0006】以下に、本発明の成形用硬化性組成物につ
いて詳述する。 [(A)成分のビニル系重合体について](A)成分の
ビニル系重合体の架橋性基である、上述の一般式(1)
で表されるアルケニル基としては、下記一般式(3)で
表される炭化水素系のアルケニル基;一般式(4)で表
されるエーテル結合を有するアルケニル基、一般式
(5)および(6)で表されるエステル結合を有するア
ルケニル基および一般式(7)で表されるカーボネート
結合を有するアルケニル基など酸素原子を介して主鎖に
結合されるアルケニル基;などが挙げられる。 CH2=C(R1)−R4− (3) (式中、R1は上述したものと同様である。R4は、直接
結合または炭素数1〜20の2価の炭化水素基を示
す。) 上記一般式(3)において、R4としては特に限定され
ないが、例えば、−(CH2n−(nは0〜10の整
数)、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3
CH2−等が挙げられる。 CH2=C(R1)−R5−O− (4) CH2=C(R1)−R5−OC(O)− (5) CH2=C(R1)−R5−C(O)O− (6) CH2=C(R1)−R5−OC(O)O− (7) (式中、R1は上述したものと同様である。R5は、直接
結合または1個以上のエーテル結合を含有していてもよ
い炭素数1〜20の2価の有機基を示す。) 上記一般式(4)、(5)、(6)および(7)におい
て、R5としては特に限定されないが、例えば、−(C
2n−、(nは0〜20の整数)、−CH2CH(C
3)−、−CH2CH(CH3)CH2−;−CH2OC
2CH2−、−CH2OCH2CH2CH2−、−CH2
2OCH2CH2−、−CH2CH2OCH 2CH2CH
2−;o−,m−,p−C64−、o−,m−,p−C
2−C64−、o−,m−,p−CH2−C64−CH
2−等が挙げられる。
【0007】また、一般式(8)で表される電子吸引基
を有する基も一般式(1)のアルケニル基として挙げら
れる。 CH2=C(R1)−R5−C(R6)(R7)− (8) (式中、R1、R5は上述したものと同様である。R6
よびR7はともにカルバニオンC-を安定化する電子吸引
基、または一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭
素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を示
す。) 上記一般式(8)におけるR6およびR7の電子吸引基と
しては特に限定されないが、例えば、−CO2R(エス
テル基)、−C(O)R(ケト基)、−CON(R2
(アミド基)、−COSR(チオエステル基)、−CN
(ニトリル基)、−NO2(ニトロ基)等が挙げられ
る。置換基Rは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6
〜20のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル
基を示し、炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニ
ル基が好ましい。R6およびR7としては、−CO2R、
−C(O)Rおよび−CNが特に好ましい。
【0008】(A)成分のビニル系重合体の主鎖を形成
するモノマーとしては特に限定されず、各種のものを用
いることができる。例示するならば、(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)ア
クリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチ
ル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル
酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペン
チル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)ア
クリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘ
プチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)
アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸
ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル
酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)ア
クリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メ
タ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−
ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキ
シプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)
アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−アミ
ノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリ
メトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサ
イド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメ
チル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエ
チル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチルエ
チル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル−
2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸−
2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフル
オロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチル
メチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−
2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸−
2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸
−2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸
−2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)ア
クリル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−
メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸
及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチ
レン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等の
フッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系
モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸の
モノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル
酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエ
ステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイ
ミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシ
ルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミ
ド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シク
ロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有
ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド
等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、
桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピ
レン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役
ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、
アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用
いてもよく、2種以上を併用しても構わない。なお上記
表現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸
および/またはメタクリル酸を示す。
【0009】一般式(1)に示すアルケニル基を少なく
とも1個有するビニル系重合体では、上記のモノマーの
中で(メタ)アクリル酸系モノマーを40重量%以上用
いて合成することにより得られた(メタ)アクリル系重
合体が、物性面からより好ましい。また一般式(1)に
示すアルケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合
体では、上記モノマーの中でアクリル酸系モノマーを4
0重量%以上用いて合成することにより得られたアクリ
ル系重合体が、物性面から更に好ましい。
【0010】アルケニル基を少なくとも1個有するビニ
ル系重合体の分子量分布、すなわち重量平均分子量(M
w)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)につい
ては特に限定されない。しかし、硬化性組成物とした際
の粘度を低く抑えて取扱いを容易にし、なおかつ十分な
硬化物物性を得るためには、分子量分布は狭いのが好ま
しい。分子量分布の値としては1.8未満が好ましく、
より好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.6以
下、さらに好ましくは1.5以下、さらに好ましくは
1.4以下、さらに好ましくは1.3以下である。分子
量分布の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)で測定するのが最も一般的である。移動
相としてはクロロホルムやTHFを、カラムとしてはポ
リスチレンゲルカラムを用い、数平均分子量等はポリス
チレン換算で求めることができる。
【0011】アルケニル基を少なくとも1個有するビニ
ル系重合体の分子量については特に限定されないが、5
00〜100000の範囲にあるのが好ましい。分子量
が500以下であると、ビニル系重合体の本来の特性が
発現されにくく、また、100000以上であると、取
り扱いが困難になる。
【0012】アルケニル基を少なくとも1個有するビニ
ル系重合体は、種々の重合法により得ることができ、そ
の方法は特に限定されない。しかし、モノマーの汎用
性、制御の容易性の点からラジカル重合法によって、直
接アルケニル基を導入したり、1段階あるいは数段階の
反応でアルケニル基に変換できる特定の官能基を有する
ビニル系重合体を得、この特定の官能基をアルケニル基
に変換することによりアルケニル基を少なくとも1個有
するビニル系重合体を得る方法がより好ましい。
【0013】アルケニル基を含む特定の官能基を有する
ビニル系重合体を合成する方法において用いられるラジ
カル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化
物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビニ
ル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカル
重合法」と末端などの制御された位置に特定の官能基を
導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類で
きる。
【0014】「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法
であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマー
は確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率
の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーを
かなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特
定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなると
いう問題点がある。またフリーラジカル重合であるた
め、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られない
という問題点もある。
【0015】「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の
官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうこと
により末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる
「連鎖移動剤法」と重合生長末端が停止反応などを起こ
さずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重
合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類す
ることができる。
【0016】「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合
体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大
量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処
理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的な
ラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるた
め分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られない
という問題点もある。
【0017】これらの重合法とは異なり、「リビングラ
ジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカ
ップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御
が難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応
が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.
1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマー
と開始剤の仕込み比によって分子量を自由にコントロー
ルすることができる。
【0018】従って「リビングラジカル重合法」は、分
子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる
上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任
意の位置に導入することができるため、上記特定の官能
基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ま
しいものである。
【0019】なお、リビング重合とは狭義においては、
末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合
のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたもの
と活性化されたものが平衡状態にありながら生長してい
く擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後
者である。
【0020】「リビングラジカル重合法」は近年様々な
グループで積極的に研究がなされている。その例として
は、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル
ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、19
94年、116巻、7943頁に示されるようなコバル
トポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュール
ズ(Macromolecules)、1994年、2
7巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物
などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物
等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラ
ジカル重合」(Atom Transfer Radi
cal Polymerization:ATRP)な
どがあげられる。
【0021】「リビングラジカル重合法」の中でも、有
機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等
を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマー
を重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リ
ビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反
応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触
媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有
するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好まし
い。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMat
yjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカ
ン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.So
c.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレ
キュールズ(Macromolecules)1995
年、28巻、7901頁,サイエンス(Scienc
e)1996年、272巻、866頁、WO96/30
421号公報,WO97/18247号公報あるいはS
awamotoら、マクロモレキュールズ(Macro
molecules)1995年、28巻、1721頁
などが挙げられる。
【0022】この原子移動ラジカル重合では、有機ハロ
ゲン化物、特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有す
る有機ハロゲン化物(例えば、α位にハロゲンを有する
カルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲンを有する化
合物)、あるいはハロゲン化スルホニル化合物等が開始
剤として用いられる。
【0023】この重合法を用いて架橋性のビニル系重合
体を得るために、開始点を2個以上有する有機ハロゲン
化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤とし
て用いられる。それらの具体例としては、 o−,m−,p−XCH2−C64−CH2X、o−,m
−,p−CH3C(H)(X)−C64−C(H)
(X)CH3、o−,m−,p−(CH32C(X)−
64−C(X)(CH32 (上記式中、C64はフェニレン基を示す。Xは塩素、
臭素、またはヨウ素を示す。) RO2C−C(H)(X)−(CH2n−C(H)
(X)−CO2R、RO2C−C(CH3)(X)−(C
2n−C(CH3)(X)−CO2R、RC(O)−C
(H)(X)−(CH2n−C(H)(X)−C(O)
R、RC(O)−C(CH3)(X)−(CH2n−C
(CH3)(X)−C(O)R (上記式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリー
ル基またはアラルキル基を示す。nは0〜20の整数を
表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素を示す。) XCH2−C(O)−CH2X、H3C−C(H)(X)
−C(O)−C(H)(X)−CH3、(H3C)2
(X)−C(O)−C(X)(CH32、C65
(H)(X)−(CH2n−C(H)(X)C65 (上記式中、Xは塩素、臭素またはヨウ素を表し、nは
0〜20の整数を示す。) XCH2CO2−(CH2n−OCOCH2X、CH3
(H)(X)CO2−(CH2n−OCOC(H)
(X)CH3、(CH32C(X)CO2−(CH2n
OCOC(X)(CH32 (上記式中、nは1〜20の整数を示す。) XCH2C(O)C(O)CH2X、CH3C(H)
(X)C(O)C(O)C(H)(X)CH3、(C
32C(X)C(O)C(O)C(X)(CH32
o−,m−,p−XCH2CO2−C64−OCOCH2
X、o−,m−,p−CH3C(H)(X)CO2−C6
4−OCOC(H)(X)CH3、o−,m−,p−
(CH32C(X)CO2−C64−OCOC(X)
(CH32、o−,m−,p−XSO2−C64−SO2
X (上記式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を示す。) 重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限
定されないが、好ましくは周期律表第7族、8族、9
族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯
体錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1
価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケ
ルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好まし
い。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第
一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸
化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる
場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビピリジル及
びその誘導体、1,10−フェナントロリン及びその誘
導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジ
エチレントリアミン、ヘキサメチルトリス(2−アミノ
エチル)アミン等のポリアミン等の配位子が添加され
る。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニル
ホスフィン錯体(RuCl2(PPh33)も触媒とし
て好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場
合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添
加される。更に、2価の鉄のビストリフェニルホスフィ
ン錯体(FeCl2(PPh32)、2価のニッケルの
ビストリフェニルホスフィン錯体(NiCl2(PP
32)、及び、2価のニッケルのビストリブチルホス
フィン錯体(NiBr2(PBu32)も、触媒として
好適である。
【0024】この重合において用いられるビニル系のモ
ノマーとしては特に限定されず、既に例示したものをす
べて好適に用いることができる。
【0025】上記重合反応は、無溶媒でも可能である
が、下記の各種溶媒中で行うこともできる。溶媒として
は特に限定されず、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭
化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベン
ゼン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホル
ム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、te
rt−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセト
ニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニト
リル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶
媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等
のカーボネート系溶媒等が挙げられる。これらは、単独
でもよく、2種以上を併用してもよい。また、エマルジ
ョン系もしくは超臨界流体CO2を媒体とする系におい
ても重合を行うことができる。
【0026】重合は、0〜200℃の範囲で行うことが
でき、好ましくは、室温〜150℃の範囲である。
【0027】一般式(1)で示されるアルケニル基を少
なくとも1個有するビニル系重合体の製造方法は、以下
の[A]〜[C]において具体的に例示して説明するが
これらに限定されるものではない。 [A]ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際
に、重合体主鎖に直接アルケニル基を導入する方法。 [B]一般式(2)で表されるハロゲンを少なくとも1
個有するビニル系重合体を用いて、このハロゲンをアル
ケニル基含有官能基に置換する方法。 [C]水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体を
用いて、この水酸基をアルケニル基含有官能基に置換す
る方法。
【0028】上記合成法[A]の重合体主鎖に直接アル
ケニル基を導入する方法としては特に限定されないが、
具体的には次に述べる[A−a]〜[A−b]の方法な
どを挙げることができる。
【0029】[A−a]リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、所定のビニル系モノマー
とともに、下記一般式(9)等で表される一分子中に重
合性のアルケニル基および重合性の低いアルケニル基を
併せ持つ化合物をも反応させる方法。 H2C=C(R1)−R8−R9−C(R1)=CH2 (9) {式中、R1は水素またはメチル基を表し、互いに同一
であっても異なっていてもよい。R8は−C(O)O−
(エステル基)、またはo−,m−もしくはp−フェニ
レン基を示す。R9は直接結合、または1個以上のエー
テル結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有
機基を示す。R8がエステル基のものは(メタ)アクリ
レート系化合物、R8がフェニレン基のものはスチレン
系の化合物である。} 上記一般式(9)におけるR9としては、特に限定され
ないが、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン等の
アルキレン基;o−,m−,p−フェニレン基;ベンジ
ル基等のアラルキル基;−CH2CH2−O−CH2−や
−O−CH2−等のエーテル結合を含むアルキレン基等
が挙げられる。
【0030】上記一般式(9)の化合物の中でも、入手
が容易であるという点から下記のものが好ましい。 H2C=C(H)C(O)O(CH2n−CH=CH2
2C=C(CH3)C(O)O(CH2n−CH=CH
2 (上記の各式において、nは0〜20の整数を示す。) H2C=C(H)C(O)O(CH2n−O−(CH2
mCH=CH2、H2C=C(CH3)C(O)O(C
2n−O−(CH2mCH=CH2 (上記の各式において、nは1〜20の整数、mは0〜
20の整数を示す。) o−,m−,p−ジビニルベンゼン、o−,m−,p−
2C=CH−C64−CH2CH=CH2、o−,m
−,p−H2C=CH−C64−CH2−C(CH3)=
CH2、o−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2
CH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=CH−C6
4−OCH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=C
H−C64−OCH2−C(CH3)=CH2、o−,m
−,p−H2C=CH−C64−OCH2CH2CH=C
2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C64
C(CH3)=CH2、o−,m−,p−H2C=C(C
3)−C64−CH2CH=CH2、o−,m−,p−
2C=C(CH3)−C64−CH2C(CH3)=CH
2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C64−C
2CH2CH=CH2、o−,m−,p−H2C=C(C
3)−C64−OCH2CH=CH2、o−,m−,p
−H2C=C(CH3)−C64−OCH2−C(CH 3
=CH2、o−,m−,p−H2C=C(CH3)−C6
4−OCH2CH2CH=CH2 (上記の各式において、C64はフェニレン基を示
す。) なお、上記重合性のアルケニル基および重合性の低いア
ルケニル基を併せ持つ化合物を反応させる時期としては
特に制限はないが、リビングラジカル重合において、重
合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、
第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
【0031】[A−b]リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとし
て、重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する
化合物を反応させる方法。
【0032】このような化合物としては特に限定されな
いが、一般式(10)に示される化合物等が挙げられ
る。 H2C=C(R1)−R10−C(R1)=CH2 (10) (式中、R1は水素またはメチル基を表し、互いに同一
でも異なっていてもよい。R10は1個以上のエーテル結
合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を
示す。) 上記一般式(10)に示される化合物としては特に限定
されないが、入手が容易であるということから、1,5
−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカ
ジエンが好ましい。
【0033】上記合成法[A]の重合体主鎖に直接アル
ケニル基を導入することによる、アルケニル基を少なく
とも1個有するビニル系重合体の合成方法においては、
一分子当たりに導入されるアルケニル基の制御がより容
易である点から[A−b]の方法が好ましい。
【0034】上記合成法[B]における一般式(2)で
表されるハロゲンを少なくとも1個有するビニル系重合
体の合成法は原子移動ラジカル重合法が好ましい。この
重合体のハロゲンをアルケニル基含有官能基に置換する
方法としては特に限定されないが、具体的には次に述べ
る[B−a]〜[B−d]の方法などを挙げることがで
きる。
【0035】[B−a]一般式(2)で表されるハロゲ
ンを少なくとも1個有するビニル系重合体にアルケニル
基を有する各種の有機金属化合物を作用させてハロゲン
を置換する方法。
【0036】このような有機金属化合物としては、有機
リチウム、有機ナトリウム、有機カリウム、有機マグネ
シウム、有機錫、有機ケイ素、有機亜鉛、有機銅等が挙
げられる。特に上記一般式(2)のハロゲンと選択的に
反応し、カルボニル基との反応性が低いという点で、有
機錫、有機銅化合物が好ましい。
【0037】アルケニル基を有する有機錫化合物として
は、特に制限はないが、下記一般式(11)で示される
化合物が好ましい。 H2C=C(R1)C(R11)(R12)Sn(R133 (11) (式中、R1は上述したものと同様である。R11および
12は水素、または炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数6〜10のアリール基、または炭素数7〜10のアラ
ルキル基を表し、これらは互いに同じであっても異なっ
ていてもよい。R 13は、炭素数1〜10のアルキル基、
アリール基、またはアラルキル基を示す。) 上記一般式(11)の有機錫化合物の具体例を示すなら
ば、アリルトリブチル錫、アリルトリメチル錫、アリル
トリ(n−オクチル)錫、アリルトリ(シクロヘキシ
ル)錫等が例示される。 アルケニル基を有する有機銅
化合物としては、ジビニル銅リチウム、ジアリル銅リチ
ウム、ジイソプロペニル銅リチウム等が例示される。
【0038】[B−b]一般式(2)で表されるハロゲ
ンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般
式(12)等で表されるアルケニル基を有する安定化カ
ルバニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。 M+-(R6)(R7)−R5−C(R1)=CH2 (12) (式中、R1、R5、R6およびR7は上述したものと同様
である。M+はアルカリ金属イオンまたは4級アンモニ
ウムイオンを示す。) アルカリ金属イオンとしてはリチウムイオン、ナトリウ
ムイオン、カリウムイオンが、また、4級アンモニウム
イオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テ
トラエチルアンモニウムイオン、トリメチルベンジルア
ンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイ
オン、テトラブチルアンモニウムイオン等が具体例とし
て挙げられる。
【0039】上記一般式(12)のカルバニオンは、そ
の前駆体に対して塩基性化合物を作用させ、活性プロト
ンを引き抜くことによって得ることができる。
【0040】一般式(12)のカルバニオンの前駆化合
物としては以下のような化合物が例示できる。 H2C=CH−CH(CO2CH32、H2C=CH−C
H(CO2252、H2C=CH−(CH2nCH
(CO2CH32、H2C=CH−(CH2nCH(CO
2252、o−,m−,p−H2C=CH−C64
CH(CO2CH32、o−,m−,p−H2C=CH−
64−CH(CO2252、o−,m−,p−H2
C=CH−C64−CH2CH(CO2CH32、o−,
m−,p−H2C=CH−C64−CH2CH(CO22
52、H2C=CH−CH(C(O)CH3)(CO2
25)、H2C=CH−(CH2nCH(C(O)C
3)(CO 225)、o−,m−,p−H2C=CH
−C64−CH(C(O)CH3)(CO225)、o
−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2CH(C
(O)CH3)(CO225)、H2C=CH−CH
(C(O)CH32、H2C=CH−(CH2nCH
(C(O)CH32、o−,m−,p−H2C=CH−
64−CH(C(O)CH32、o−,m−,p−H
2C=CH−C64−CH2CH(C(O)CH32、H
2C=CH−CH(CN)(CO225)、H2C=C
H−(CH2nCH(CN)(CO225)、o−,
m−,p−H2C=CH−C64−CH(CN)(CO2
25)、o−,m−,p−H2C=CH−C64−C
2CH(CN)(CO225)、H2C=CH−CH
(CN)2、H2C=CH−(CH2nCH(CN)2
o−,m−,p−H2C=CH−C64−CH(C
N)2、o−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2
CH(CN)2、H2C=CH−(CH2nNO2、o
−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2NO2、o
−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2CH2
2、H2C=CH−CH(C65)(CO225)、
2C=CH−(CH2nCH(C65)(CO2
25)、o−,m−,p−H2C=CH−C64−CH
(C65)(CO225)、o−,m−,p−H2C=
CH−C64−CH2CH(C65)(CO 225) (上記式中、nは1〜10の整数を示す。) 上記化合物からプロトンを引き抜き一般式(12)のカ
ルバニオンとするためには各種の塩基性化合物が使用さ
れる。これらの塩基性化合物としては以下のような化合
物が例示できる。ナトリウム、カリウム、リチウム等の
アルカリ金属;ナトリウムメトキシド、カリウムメトキ
シド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カ
リウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウム−
tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシ
ド等の金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸カリウ
ム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩;水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物;水素化
ナトリウム、水素化カリウム、メチルリチウム、エチル
リチウム等の水素化物;n−ブチルリチウム、tert
−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リ
チウムヘキサメチルジシラジド等の有機金属;アンモニ
ア;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチル
アミン等のアルキルアミン;テトラメチルエチレンジア
ミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等のポリアミ
ン;ピリジン、ピコリン等のピリジン系化合物等 塩基性化合物の使用量は前駆物質に対して当量または小
過剰量用いればよく、好ましくは1〜1.2当量であ
る。
【0041】上記のカルバニオンとして4級アンモニウ
ム塩も使用できる。この場合、カルボン酸化合物のアル
カリ金属塩であるものを調製し、これに4級アンモニウ
ムハライドを作用させることによって得られる。4級ア
ンモニウムハライドとしては、テトラメチルアンモニウ
ムハライド、テトラエチルアンモニウムハライド、トリ
メチルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルドデ
シルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウム
ハライド等が例示される。
【0042】上記前駆化合物と塩基性化合物を反応させ
る際に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、ト
ルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラ
ヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメ
トキシベンゼン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、ク
ロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケト
ン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパノール、n−ブチルアルコール、tert−ブ
チルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系
溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカー
ボネート系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等の
スルホキシド系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又
は2種以上を混合して用いることができる。
【0043】上記の前駆体に塩基性化合物を作用させる
ことにより一般式(12)で表されるカルバニオンが調
製され、一般式(2)のハロゲン末端を有するビニル系
重合体と反応させることにより、目的とする一般式
(1)で表されるアルケニル基を末端に有するビニル系
重合体を得ることができる。
【0044】[B−c]一般式(2)で表されるハロゲ
ンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、金属単体
あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオ
ンとし、しかる後に、アルケニル基を有する求電子化合
物と反応させる方法。
【0045】金属単体としては、生成するエノレートア
ニオンが他のエステル基を攻撃したり転移するような副
反応を起こしにくいという点で亜鉛が特に好ましい。ア
ルケニル基を有する求電子化合物としては各種のものを
使用することができる。例えば、ハロゲンやアセチル基
のような脱離基を有するアルケニル基含有化合物、アル
ケニル基を有するカルボニル化合物、アルケニル基を有
するイソシアネート化合物、アルケニル基を有する酸ハ
ロゲン化物等である。これらのうち、ハロゲンやアセチ
ル基のような脱離基を有するアルケニル基含有化合物を
用いると、主鎖に炭素以外の原子が導入されず、ビニル
系重合体の耐候性が失われないので好ましい。
【0046】[B−d]一般式(2)で表されるハロゲ
ンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般
式(13)等で表されるアルケニル基含有オキシアニオ
ン又は下記一般式(14)等で表されるアルケニル基含
有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲ
ンをアルケニル基含有置換基に置換する方法。 CH2=C(R1)−R5−O-+ (13) (式中、R1、R5およびM+は上述したものと同様であ
る。) CH2=C(R1)−R5−C(O)O-+ (14) (式中、R1、R5およびM+は上述したものと同様であ
る。) 一般式(13)および(14)で表されるオキシアニオ
ンの前駆化合物としては以下のような化合物: H2C=CH−CH2−OH、H2C=CH−CH(C
3)−OH、H2C=C(CH3)−CH2−OH、H2
C=CH−(CH2n−OH(nは、2〜20の整数を
示す。)、H2C=CH−CH2−O−(CH22−O
H、H2C=CH−C(O)O−(CH22−OH、H2
C=C(CH3)−C(O)O−(CH22−OH、o
−,m−,p−H2C=CH−C64−CH2−OH、o
−,m−,p−H2C=CH−CH2−C64−CH2
OH、o−,m−,p−H2C=CH−CH2−O−C6
4−CH2−OH等のアルコール性水酸基含有化合物;
o−,m−,p−H2C=CH−C64−OH、o−,
m−,p−H2C=CH−CH2−C64−OH、o−,
m−,p−H2C=CH−CH2−O−C64−OH等の
フェノール性水酸基含有化合物;H2C=CH−C
(O)−OH、H2C=C(CH3)−C(O)−OH、
2C=CH−CH2−C(O)−OH、H2C=CH−
(CH2n−C(O)−OH(nは、2〜20の整数を
示す。)、H2C=CH−(CH2n−OC(O)−
(CH2m−C(O)−OH(m及びnは、同一又は異
なって、0〜19の整数を示す。)、o−,m−,p−
2C=CH−C64−C(O)−OH、o−,m−,
p−H2C=CH−CH2−C64−C(O)−OH、o
−,m−,p−H2C=CH−CH2−O−C64−C
(O)−OH、o−,m−,p−H2C=CH−(C
2n−OC(O)−C64−C(O)−OH(nは、
0〜13の整数を示す。)等のカルボキシル基含有化合
物;等が挙げられる。
【0047】上記の化合物からプロトンを引き抜き上記
一般式(13)あるいは(14)のアニオンとするため
には各種の塩基性化合物が使用され、その具体例として
は、前述の一般式(12)のカルバニオンを調製する際
に用いられる塩基性化合物がすべて好適に使用される。
また、反応溶媒についてもカルバニオンを調製する際に
用いられるものがすべて好適に使用される。
【0048】上記合成法[B]の中では、高い比率でア
ルケニル基を導入することができることから、有機ハロ
ゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始
剤、遷移金属錯体を触媒として用いる原子移動ラジカル
重合法によって得られた一般式(2)で表されるハロゲ
ンを少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを
[B−d]の方法により変換することによりアルケニル
基を導入する方法が好ましい。[B−d]の方法の中で
は一般式(14)等で表されるアルケニル基含有カルボ
キシレートアニオンを反応させる方法がより好ましい。
【0049】有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スル
ホニル化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビ
ニル系モノマーを重合する原子移動ラジカル重合法を用
いることを特徴とするビニル系重合体の製造法におい
て、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物を開始剤と
して用いれば、片末端にアルケニル基を有し、他の末端
が上記一般式(2)の構造を有するビニル系重合体を得
ることができる。このようにして得られる重合体の停止
末端のハロゲンをアルケニル基含有置換基に変換すれ
ば、両末端にアルケニル基を有するビニル系重合体を得
ることができる。その変換方法としては、既に記載した
方法を使用することができる。
【0050】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
しては特に制限はないが、例えば、下記一般式(15)
に示す構造を有するものが例示される。 R1415C(X)−R16−R9−C(R1)=CH2 (15) {式中、R1、R9およびXは上述したものと同様であ
る。R14、R15は水素または炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のア
ラルキル基、または他端において相互に連結したものを
示す。R16は−C(O)O−(エステル基)、−C
(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p−フェニレ
ン基を示す。} 一般式(15)で表されるアルケニル基を有する有機ハ
ロゲン化物の具体例としては、XCH2C(O)O(C
2nCH=CH2、H3CC(H)(X)C(O)O
(CH2nCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)
O(CH2nCH=CH2、CH3CH2C(H)(X)
C(O)O(CH2nCH=CH2
【0051】
【化1】 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素
を示す。nは0〜20の整数を示す。) XCH2C(O)O(CH2nO(CH2mCH=C
2、H3CC(H)(X)C(O)O(CH2nO(C
2mCH=CH2、(H3C)2C(X)C(O)O
(CH2nO(CH2mCH=CH2、CH3CH2
(H)(X)C(O)O(CH2nO(CH2mCH=
CH2
【0052】
【化2】 (上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を
示す。nは1〜20の整数を、mは0〜20の整数を示
す。) o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−CH=C
2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64−(C
2n−CH=CH2、o,m,p−CH3CH2
(H)(X)−C64−(CH2n−CH=CH2 (上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を
示す。nは0〜20の整数を示す。) o,m,p−XCH2−C64−(CH2n−O−(C
2m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)
(X)−C64−(CH2n−O−(CH2m−CH=
CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−C6
4−(CH2n−O−(CH2mCH=CH2 (上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を
示す。nは1〜20の整数を表し、mは0〜20の整数
を示す。) o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−CH
=CH2、o,m,p−CH3C(H)(X)−C64
O−(CH2n−CH=CH2、o,m,p−CH 3CH
2C(H)(X)−C64−O−(CH2n−CH=C
2 (上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を
表し、nは0〜20の整数を示す。) o,m,p−XCH2−C64−O−(CH2n−O−
(CH2m−CH=CH2、o,m,p−CH3C(H)
(X)−C64−O−(CH2n−O−(CH2 m−C
H=CH2、o,m,p−CH3CH2C(H)(X)−
64−O−(CH 2n−O−(CH2m−CH=CH
2 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素
を示す。nは1〜20の整数を表し、mは0〜20の整
数を示す。) アルケニル基を有する有機ハロゲン化物としてはさらに
一般式(16)で示される化合物が挙げられる。 H2C=C(R1)−R9−C(R14)(X)−R17−R15 (16) {式中、R1、R9、R14、R15、Xは上述したものと同
様である。R17は、直接結合、−C(O)O−(エステ
ル基)、−C(O)−(ケト基)、または、o−,m
−,p−フェニレン基を示す。} R9は直接結合、または炭素数1〜20の2価の有機基
(1個以上のエーテル結合を含んでいても良い)である
が、直接結合である場合は、ハロゲンの結合している炭
素にビニル基が結合しており、ハロゲン化アリル化物で
ある。この場合は、隣接ビニル基によって炭素−ハロゲ
ン結合が活性化されているので、R17としてC(O)O
基やフェニレン基等を有する必要は必ずしもなく、直接
結合であってもよい。R9が直接結合でない場合は、炭
素−ハロゲン結合を活性化するために、R17としてはC
(O)O基、C(O)基、フェニレン基が好ましい。
【0053】上記一般式(16)の化合物は、具体的に
は下記の化合物を例示できる。 CH2=CHCH2X、CH2=C(CH3)CH2X、C
2=CHC(H)(X)CH3、CH2=C(CH3)C
(H)(X)CH3、CH2=CHC(X)(CH32
CH2=CHC(H)(X)C25、CH2=CHC
(H)(X)CH(CH32、CH2=CHC(H)
(X)C65、CH2=CHC(H)(X)CH2
65、CH2=CHCH2C(H)(X)−CO2R、C
2=CH(CH22C(H)(X)−CO2R、CH2
=CH(CH23C(H)(X)−CO2R、CH2=C
H(CH28C(H)(X)−CO2R、CH2=CHC
2C(H)(X)−C65、CH2=CH(CH22
(H)(X)−C65、CH2=CH(CH23
(H)(X)−C65 (上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を
示す。Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、
アラルキル基を示す。) アルケニル基を有するハロゲン化スルホニル化合物は、
具体的には下記の化合物を例示できる。 o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n−C64
SO2X、o−,m−,p−CH2=CH−(CH2n
O−C64−SO2X (上記各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を
示す。nは0〜20の整数を示す。) アルケニル基を有する有機ハロゲン化物、またはハロゲ
ン化スルホニル化合物等を開始剤として用いると、片末
端がアルケニル基、他の末端が上記一般式(2)で示さ
れるハロゲン末端の重合体を得ることができる。この重
合体の一般式(2)で表されるハロゲンを置換できる、
同一または異なった官能基を合計2個以上有する化合物
を用いて、ハロゲン末端どうしをカップリングさせるこ
とによっても、末端にアルケニル基を有するビニル系重
合体を得ることができる。
【0054】末端ハロゲンを置換できる、同一または異
なった官能基を合計2個以上有するものとしては特に制
限はないが、ポリオール、ポリアミン、ポリカルボン
酸、ポリチオール、およびそれらの塩、アルカリ金属硫
化物等が好ましい。これら化合物の具体例としては下記
の化合物を例示できる。
【0055】エチレングリコール、1,2−プロパンジ
オール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,
3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブ
タンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタ
ンジオール、ピナコール、1,5−ペンタンジオール、
1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオ
ール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカン
ジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−
シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオ
ール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シク
ロヘキサンジオール、グリセロール、1,2,4−ブタ
ントリオール、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキ
ノン、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒ
ドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレ
ン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ビフ
ェノール、4,4’−ビフェノール、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)メタン、4,4’−イソプロピリデンフ
ェノール、3,3’−(エチレンジオキシ)ジフェノー
ル、α,α’−ジヒドロキシ−p−キシレン、1,1,
1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ピロガ
ロール、1,2,4−ベンゼントリオール等のポリオー
ル;および、上記ポリオール化合物のアルカリ金属塩;
エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2
−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,2
−ジアミノ−2−メチルプロパン、1,5−ジアミノペ
ンタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミ
ン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジア
ミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ジアミノノ
ナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノ
ドデカン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルア
ミン)、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジ
アミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサ
ン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレン
ジアミン、1,4−フェニレンジアミン、α,α’−ジ
アミノ−p−キシレン等のポリアミン;および上記ポリ
アミン化合物のアルカリ金属塩;シュウ酸、マロン酸、
メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、メチル
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,7−ヘプタン
ジカルボン酸、1,8−オクタンジカルボン酸、1,9
−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン
酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ド
デカンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボ
ン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−
シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボ
ン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,
2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5−ベ
ンゼンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸;および上
記ポリカルボン酸のアルカリ金属塩;1,2−エタンジ
チオール、1,3−プロパンジチオール、1,4−ブタ
ンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,5−ペ
ンタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,
7−ヘプタンジチオール、1,8−オクタンジチオー
ル、1,9−ノナンジチオール、2−メルカプトエチル
エーテル、p−キシレン−α,α’−ジチオール、1,
2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオー
ル、1,4−ベンゼンジチオール、等のポリチオール;
および、上記ポリチオール化合物のアルカリ金属塩;硫
化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム。
【0056】上記のポリオール、ポリアミン、ポリカル
ボン酸、ポリチオールを用いる際は、置換反応を促進さ
せるために、塩基性化合物が併用され、その具体例とし
ては、既に例示したものが挙げられる。
【0057】上記合成法[C]の水酸基を少なくとも1
個有するビニル系重合体を用いて、この水酸基をアルケ
ニル基含有官能基に置換する方法としては特に限定され
ないが、具体的には次に述べる[C−a]〜[C−d]
の方法などを挙げることができる。
【0058】なお、上記の水酸基を少なくとも1個有す
るビニル系重合体は、後述する[D−a]〜[D−f]
の方法により得ることができる。
【0059】[C−a]水酸基を少なくとも1個有する
ビニル系重合体の水酸基に、水酸化ナトリウム、ナトリ
ウムメトキシド等の塩基を作用させた後に、塩化アリル
のようなアルケニル基含有ハロゲン化物と反応させる方
法。
【0060】[C−b]水酸基を少なくとも1個有する
ビニル系重合体とアリルイソシアネート等のアルケニル
基含有イソシアネート化合物とを反応させる方法。
【0061】[C−c]ピリジン等の塩基存在下、水酸
基を少なくとも1個有するビニル系重合体を(メタ)ア
クリル酸クロリド等のアルケニル基含有酸ハロゲン化物
と反応させる方法。
【0062】[C−d]酸触媒の存在下、水酸基を少な
くとも1個有するビニル系重合体とアクリル酸等のアル
ケニル基含有カルボン酸とを反応させる方法。
【0063】[C]の方法で用いる水酸基を少なくとも
1個有するビニル系重合体の製造方法は以下に示す[D
−a]〜[D−f]のような方法が例示されるが、これ
らの方法に限定されるものではない。
【0064】[D−a]リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、下記一般式(17)等で
表される一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基
を併せ持つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方
法。 H2C=C(R1)−R8−R9−OH (17) (式中、R1、R8およびR9は上述したものと同様であ
る。) なお、一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を
併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はないが、特に
ゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるい
は所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとし
て反応させるのが好ましい。
【0065】[D−b]リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとし
て、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基
を有する化合物を反応させる方法。
【0066】このような化合物としては特に限定されな
いが、一般式(18)に示される化合物等が挙げられ
る。 H2C=C(R1)−R10−OH (18) (式中、R1およびR10は上述したものと同様であ
る。) 上記一般式(18)に示される化合物としては特に限定
されないが、入手が容易であるということから、10−
ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリルアルコール
のようなアルケニルアルコールが好ましい。
【0067】[D−c]特開平4−132706号公報
などに開示されるような方法で、原子移動ラジカル重合
により得られる一般式(2)で表される炭素−ハロゲン
結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハロゲ
ンを、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させる
ことにより、末端に水酸基を導入する方法。
【0068】[D−d]原子移動ラジカル重合により得
られる一般式(2)で表される炭素−ハロゲン結合を少
なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式(19)
に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオン
を反応させてハロゲンを置換する方法。 M+-(R6)(R7)−R5−OH (19) (式中、R5、R6およびR7は上述したものと同様であ
る。) [D−e]原子移動ラジカル重合により得られる一般式
(2)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個
有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金属単体
あるいは有機金属化合物を作用させてエノレートアニオ
ンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケトン類を
反応させる方法。
【0069】[D−f]一般式(2)で表されるハロゲ
ンを少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般
式(20)等で表される水酸基含有オキシアニオン又は
下記一般式(21)等で表される水酸基含有カルボキシ
レートアニオンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含
有置換基に置換する方法。 HO−R5−O-+ (20) (式中、R5およびM+は上述したものと同様である。) HO−R5−C(O)O-+ (21) (式中、R5およびM+は上述したものと同様である。) 本発明では[D−a]〜[D−b]のような水酸基を導
入する方法にハロゲンが直接関与しない場合、制御がよ
り容易である点から[D−b]の方法がさらに好まし
い。
【0070】また[D−c]〜[D−f]のような一般
式(2)で表される炭素−ハロゲン結合を少なくとも1
個有するビニル系重合体のハロゲンを変換することによ
り水酸基を導入する場合は、制御がより容易である点か
ら[D−f]の方法がさらに好ましい。 [(B)成分のヒドロシリル基含有化合物について]
(B)成分のヒドロシリル基含有化合物としては特に制
限はなく、各種のものを用いることができる。すなわ
ち、一般式(22)または(23)で表される鎖状ポリ
シロキサン; R18 3SiO−[Si(R182O]a−[Si(H)
(R19)O]b−[Si(R 19)(R20)O]c−SiR
18 3 (22) HR18 2SiO−[Si(R182O]a−[Si(H)
(R19)O]b−[Si(R19)(R20)O]c−SiR
18 2H (23) (式中、R18およびR19は炭素数1〜6のアルキル基、
または、フェニル基、R 20は炭素数1〜10のアルキル
基またはアラルキル基を示す。aは0≦a≦100、b
は2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす整数を
示す。) 一般式(24)で表される環状シロキサン;
【0071】
【化3】 (式中、R21およびR22は炭素数1〜6のアルキル基、
または、フェニル基、R 23は炭素数1〜10のアルキル
基またはアラルキル基を示す。dは0≦d≦8、eは2
≦e≦10、fは0≦f≦8の整数を表し、かつ3≦d
+e+f≦10を満たす。)等の化合物を用いることが
できる。
【0072】これらは単独で用いても2種以上を混合し
て用いてもかまわない。これらのシロキサンの中でも
(メタ)アクリル系重合体との相溶性の観点から、フェ
ニル基を有する下記一般式(25)、(26)で表され
る鎖状シロキサンや、一般式(27)、(28)で表さ
れる環状シロキサンが好ましい。 (CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[S
i(C652O]h−Si(CH33 (25) (CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[S
i(CH3){CH2C(H)(R24)C65}O]h
Si(CH33 (26) (式中、R24は水素またはメチル基を示す。gは2≦g
≦100、hは0≦h≦100の整数を示す。C65
フェニル基を示す。)
【0073】
【化4】 (式中、R24は水素、またはメチル基を示す。iは2≦
i≦10、jは0≦j≦8、かつ3≦i+j≦10を満
たす整数を示す。C65はフェニル基を示す。) (B)成分の少なくとも1個のヒドロシリル基を有する
化合物としてはさらに、分子中に2個以上のアルケニル
基を有する低分子化合物に対し、一般式(22)から
(28)に表されるヒドロシリル基含有化合物を、反応
後にも一部のヒドロシリル基が残るようにして付加反応
させて得られる化合物を用いることもできる。分子中に
2個以上のアルケニル基を有する化合物としては、各種
のものを用いることができる。例示するならば、1,4
−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプ
タジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエ
ン、1,9−デカジエン等の炭化水素系化合物、O,
O’−ジアリルビスフェノールA、3,3’−ジアリル
ビスフェノールA等のエーテル系化合物、ジアリルフタ
レート、ジアリルイソフタレート、トリアリルトリメリ
テート、テトラアリルピロメリテート等のエステル系化
合物、ジエチレングリコールジアリルカーボネート等の
カーボネート系化合物が挙げられる。
【0074】上記一般式(22)から(28)に示した
過剰量のヒドロシリル基含有化合物に対し、ヒドロシリ
ル化触媒の存在下、上に挙げたアルケニル基含有化合物
をゆっくり滴下することにより該化合物を得ることがで
きる。このような化合物のうち、原料の入手容易性、過
剰に用いたシロキサンの除去のしやすさ、さらには
(A)成分の重合体への相溶性を考慮して、下記のもの
が好ましい。
【0075】
【化5】 [硬化物の作成方法]重合体(A)と硬化剤(B)は任
意の割合で混合することができるが、硬化性の面から、
アルケニル基とヒドロシリル基のモル比が5〜0.2の
範囲にあることが好ましく、さらに、2.5〜0.4で
あることが特に好ましい。モル比が5以上になると硬化
が不十分でべとつきのある強度の小さい硬化物しか得ら
れず、また、0.2より小さいと、硬化後も硬化物中に
活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボ
イドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られない。
【0076】重合体(A)と硬化剤(B)との硬化反応
は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、
反応をより迅速に進めるために、ヒドロシリル化触媒を
添加することができる。このようなヒドロシリル化触媒
としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ
化合物等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げ
られる。
【0077】ラジカル開始剤としては特に限定されず、
例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキ
シ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチ
ルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペ
ルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペ
ルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベン
ゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシ
ド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロ
イルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安
息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジ
イソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのよう
なペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチル
ペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチル
ペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
のようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
【0078】また、遷移金属触媒としても特に限定され
ず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブ
ラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金
酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等と
の錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニル
テトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合
物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33,R
hCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl
3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げ
られる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以
上を併用してもかまわない。触媒量としては特に制限は
ないが、(A)成分のアルケニル基1molに対し、1
-1〜10-8molの範囲で用いるのが良く、好ましく
は10-3〜10-6molの範囲で用いるのがよい。10
-8molより少ないと硬化が十分に進行しない。またヒ
ドロシリル化触媒は高価であるので10-1mol以上用
いないのが好ましい。
【0079】本発明の成形用硬化性組成物には、物性を
調整するために各種の添加剤、例えば、老化防止材、充
填材、可塑剤、物性調整剤、貯蔵安定性改良剤などを配
合してもよい。
【0080】ビニル系重合体は本来、耐久性に優れた重
合体であるので、老化防止剤は必ずしも必要ではない
が、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤を適宜用いる
ことができる。
【0081】配合できる充填材としては、特に限定され
ず、例えば、微粉末シリカ、炭酸カルシウム、クレー、
タルク、酸化チタン、亜鉛華、珪藻土、硫酸バリウム、
カーボンブラックなどが挙げられる。なかでも粘度と物
性のバランスから微粉末シリカが好ましい。水分が多く
含まれると硬化反応時に副反応がおこつ可能性があるた
め、無水シリカがさらに好ましい。無水シリカの表面を
疎水処理したものが、成形に適した流動性を発現しやす
いため特に好ましい。
【0082】可塑剤としては物性の調整、性状の調節等
の目的により、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレ
ート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベ
ンジルフタレート等のフタル酸エステル類;ジオクチル
アジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族二塩基
酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、
トリエチレングリコールジベンゾエート等のポリアルキ
レングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類;塩
化パラフィン類;アルキルジフェニル、部分水添ターフ
ェニル等の炭化水素系油等を単独、または2種以上混合
して使用することができるが、必ずしも必要とするもの
ではない。なおこれら可塑剤は、重合体製造時に配合す
ることも可能である。
【0083】配合できる貯蔵安定性改良剤は、本組成物
の貯蔵時の増粘および貯蔵後の硬化速度の著しい変化を
抑えることができるものであれば特に限定されず、例え
ば、ベンゾチアゾール、ジメチルマレート等が挙げられ
る。
【0084】硬化条件については特に制限はないが、一
般に0℃〜200℃、好ましくは30℃〜150℃、さ
らに好ましくは80℃〜150℃で硬化させるのがよ
い。これにより短時間で成形用硬化性を得ることができ
る。
【0085】本発明の成形用硬化性組成物の成形方法と
しては、特に限定されず、一般に使用されている各種の
成形方法を用いることができる。例えば、注型成形、圧
縮成形、トランフファー成形、射出成形、押し出し成
形、回転成形、中空成形、熱成形などが挙げられる。特
に自動化、連続化が可能で、生産性に優れるという観点
から射出成形によるものが好ましい。
【0086】本発明の成形用硬化性組成物から得られた
成形体は、ゴム弾性を示す成形体としてはガスケット、
パッキン類を中心に広く使用することができる。例えば
自動車分野ではボディ部品として、気密保持のためのシ
ール材、ガラスの振動防止材、車体部位の防振材、特に
ウインドシールガスケット、ドアガラス用ガスケットに
使用することができる。シャーシ部品として、防振、防
音用のエンジンおよびサスペンジョンゴム、特にエンジ
ンマウントラバーに使用することができる。エンジン部
品としては、冷却用、燃料供給用、排気制御用などのホ
ース類、エンジンオイル用シール材などに使用すること
ができる。また、排ガス清浄装置部品、ブレーキ部品に
も使用できる。家電分野では、パッキン、Oリング、ベ
ルトなどに使用できる。具体的には、照明器具用の飾り
類、防水パッキン類、防振ゴム類、防虫パッキン類、ク
リーナ用の防振・吸音と空気シール材、電気温水器用の
防滴カバー、防水パッキン、ヒータ部パッキン、電極部
パッキン、安全弁ダイアフラム、酒かん器用のホース
類、防水パッキン、電磁弁、スチームオーブンレンジ及
びジャー炊飯器用の防水パッキン、給水タンクパッキ
ン、吸水バルブ、水受けパッキン、接続ホース、ベル
ト、保温ヒータ部パッキン、蒸気吹き出し口シールな
ど、燃焼機器用のオイルパッキン、Oリング、ドレイン
パッキン、加圧チューブ、送風チューブ、送・吸気パッ
キン、防振ゴム、給油口パッキン、油量計パッキン、送
油管、ダイアフラム弁、送気管など、音響機器用のスピ
ーカーガスケット、スピーカーエッジ、ターンテーブル
シート、ベルト、プーリー等が挙げられる。建築分野で
は、構造用ガスケット(ジッパーガスケット)、空気膜
構造屋根材、防水材、定形シーリング材、防振材、防音
材、セッティングブロック、摺動材等に使用できる。ス
ポ―ツ分野では、スポーツ床として全天候型舗装材、体
育館床等、スポーツシューズとして靴底材、中底材等、
球技用ボールとしてゴルフボール等に使用できる。防振
ゴム分野では、自動車用防振ゴム、鉄道車両用防振ゴ
ム、航空機用防振ゴム、防舷材等に使用できる。海洋・
土木分野では、構造用材料として、ゴム伸縮継手、支
承、止水板、防水シート、ラバーダム、弾性舗装、防振
パット、防護体等、工事副材料としてゴム型枠、ゴムパ
ッカー、ゴムスカート、スポンジマット、モルタルホー
ス、モルタルストレーナ等、工事補助材料としてゴムシ
ート類、エアホース等、安全対策商品としてゴムブイ、
消波材等、環境保全商品としてオイルフェンス、シルト
フェンス、防汚材、マリンホース、ドレッジングホー
ス、オイルスキマー等に使用できる。その他、板ゴム、
マット、フォーム板等にも使用できる。
【0087】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例を比較例と
併せて説明するが、本発明は、下記実施例に限定される
ものではない。
【0088】下記実施例および比較例中「部」および
「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表
す。
【0089】下記実施例中、「数平均分子量」および
「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。
ただし、GPCカラムとしてポリスチレン架橋ゲルを充
填したもの(shodex GPC K−804;昭和
電工(株)製)、GPC溶媒としてクロロホルムを用い
た。 (製造例1)還流管および攪拌機付きの10Lのセパラ
ブルフラスコに、CuBr(36.02g、0.251
1mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換した。アセ
トニトリル(618mL)を加え、オイルバス中70℃
で15分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル(360
mL、2.51mol)、アクリル酸エチル(500m
L、4.62mol)、アクリル酸2−メトキシエチル
(375mL、2.91mol)、2、5−ジブロモア
ジピン酸ジエチル(150.68g、0.419mo
l)、ペンタメチルジエチレントリアミン(2.18m
L、1.81g、10.46mmol)(これ以降トリ
アミンと表す)を加え、反応を開始した。70℃で加熱
攪拌しながら、アクリル酸ブチル(1440mL)、ア
クリル酸エチル(2002mL)、アクリル酸2−メト
キシエチル(1498mL)を210分かけて連続的に
滴下した。モノマーの滴下途中にトリアミン(7.63
mL、6.33g、36.5mmol)を追加した。反
応開始より330分経過後に1,7−オクタジエン(1
236mL、922g、8.37mol)、トリアミン
(26.16mL、21.71g、0.125mol)
を加え、引き続き70℃で250分加熱攪拌した。
【0090】反応混合物をトルエンで希釈し、活性アル
ミナカラムを通した後、揮発分を減圧留去することによ
りアルケニル基末端共重合体{アルケニル末端ポリ(ア
クリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メトキ
シエチル)の共重合体:共重合体[1]}を得た。共重
合体[1]の数平均分子量は19600、分子量分布は
1.24であった。
【0091】還流管付5Lセパラブルフラスコに、共重
合体[1](1.90kg)、酢酸カリウム(98.2
g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(1.9L)を仕込
み、窒素気流下70℃で9時間加熱攪拌した。加熱減圧
下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエ
ンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよび
余剰な安息香酸カリウム)を活性アルミナカラムで濾過
した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより共重合体
[2]を得た。
【0092】還流管付5Lセパラブルフラスコに、共重
合体[2](0.8kg)、珪酸アルミ(177g、協
和化学製、キョーワード700PEL)、トルエン
(3.2L)を仕込み、窒素気流下100℃で3時間加
熱攪拌した。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液
のトルエンを減圧留去することによりビニル基末端共重
合体(共重合体[3])を得た。得られた共重合体の数
平均分子量はGPC測定(ポリスチレン換算)により2
0300、分子量分布は1.31であった。共重合体1
分子当たりに導入された平均のビニル基の数を1H N
MR分析により求めたところ、約2.7個であった。 (実施例1)製造例1で得られた共重合体[3]100
gと、分子中に平均5個のヒドロシリル基と平均5個の
α−メチルスチレン基を含有する鎖状シロキサン6.9
gおよび0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−
1,3−ジビニルジシロキサン錯体2.14mlとを室
温にて手混ぜし、脱泡した。この混合物は室温で充分な
流動性を示した。この混合物を型枠に流し込み、150
℃で硬化養生させたところ、10分で充分な硬化物が得
られた。なお、共重合体のビニル基に対して、鎖状シロ
キサンの使用量はヒドロシリル基のモル比で1.8当
量、白金触媒の使用量はモル比で1.5×10-4当量と
した。 (実施例2)製造例1で得られた共重合体[3]100
gと、アエロジル(R−974:日本アエロジル製)2
0g、分子中に平均5個のヒドロシリル基と平均5個の
α−メチルスチレン基を含有する鎖状シロキサン6.9
gおよび0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−
1,3−ジビニルジシロキサン錯体2.34mlとを室
温にて手混ぜし、脱泡した。この混合物は室温で充分な
流動性を示した。この混合物をカートリッジに詰めた
後、カートリッジから一定形状の型枠に押出した。50
℃で10分静置したところ、セルフレベリングした。こ
れを150℃で硬化養生させたところ、そのままの形状
を保ちながら、10分で充分な硬化物が得られた。な
お、共重合体のビニル基に対して、鎖状シロキサンの使
用量はヒドロシリル基のモル比で1.8当量、白金触媒
の使用量はモル比で2×10-4当量とした。 (比較例1)末端がアルケニル化された分子量約1万の
ポリオキシプロピレングリコール100gと、分子中に
平均5個のヒドロシリル基と平均5個のα−メチルスチ
レン基を含有する鎖状シロキサン6.9gおよび0価白
金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニル
ジシロキサン錯体0.64mlとを室温にて混練し、脱
泡した。150℃で硬化養生させたところ、10分で充
分な硬化物が得られた。なお、重合体のビニル基に対し
て、鎖状シロキサンの使用量はヒドロシリル基のモル比
で1.5当量、白金触媒の使用量はモル比で5.0×1
-5当量とした。
【0093】実施例1〜実施例2と比較例1で作製した
硬化物の硬度(JIS A)、耐油性(JIS K 6
820)の結果を表1に示した。
【0094】
【表1】 実施例1〜実施例2と比較例1で作製した硬化物の硬化
養生後の機械物性を表2に示した。
【0095】
【表2】 実施例1〜実施例2と比較例1で作製した硬化物の硬化
養生後の圧縮永久歪み特性(JIS K 6262、た
だし試験条件は150℃、72時間とした。)を表3に
示した。
【0096】
【表3】
【0097】
【発明の効果】本発明の成形用硬化性組成物は、液状の
状態で充填材等の配合剤を混練することができることに
より加工性に優れ、かつ硬化性に優れるので短時間で成
形可能である。また、これを硬化させてなる成形体は充
分な機械特性、耐熱性および耐油性を有する。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 83/05 C08L 83/05 // C08G 77/12 C08G 77/12 (72)発明者 中川 佳樹 兵庫県神戸市兵庫区吉田町1−2−80鐘淵 化学工業株式会社機能性材料RDセンター 神戸研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の2成分: (A)一般式(1)で表されるアルケニル基を少なくと
    も1個有するビニル系重合体、 CH2=C(R1)− (1) (式中、R1は水素またはメチル基を示す。) (B)ヒドロシリル基含有化合物、を必須成分とする成
    形用硬化性組成物。
  2. 【請求項2】(A)成分のビニル系重合体の分子量分布
    が1.8未満である請求項1記載の成形用硬化性組成
    物。
  3. 【請求項3】(A)成分のビニル系重合体が(メタ)ア
    クリル系重合体である請求項1又は2のいずれか1項に
    記載の成形用硬化性組成物。
  4. 【請求項4】(A)成分のビニル系重合体がアクリル系
    重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の成形
    用硬化性組成物。
  5. 【請求項5】(A)成分のビニル系重合体がリビングラ
    ジカル重合法により製造されることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の成形用硬化性組成物。
  6. 【請求項6】(A)成分のビニル系重合体が原子移動ラ
    ジカル重合法により製造されることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の成形用硬化性組成物。
  7. 【請求項7】(A)成分が一般式(1)に示すアルケニ
    ル基を分子鎖末端に少なくとも1個有するビニル系重合
    体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の成形用硬
    化性組成物。
  8. 【請求項8】(A)成分が以下の工程: (1)ビニル系モノマーを原子移動ラジカル重合法によ
    り重合することにより、一般式(2)で示す末端構造を
    有するビニル系重合体を製造し、 −C(R2)(R3)(X) (2) 式中、R2およびR3はビニル系モノマーのエチレン性不
    飽和基に結合した基を示す。Xは塩素、臭素またはヨウ
    素を示す。 (2)前記重合体の末端ハロゲンを一般式(1)のアル
    ケニル基を有する置換基に変換する;により得られるビ
    ニル系重合体である請求項1〜7のいずれか1項に記載
    の成形用硬化性組成物。
  9. 【請求項9】(A)成分が以下の工程: (1)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法によ
    り重合することにより、ビニル系重合体を製造し、
    (2)続いて重合性の低いアルケニル基を少なくとも2
    個有する化合物を反応させる;により得られるビニル系
    重合体である請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形
    用硬化性組成物。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のうちいずれか1項に記載
    の成形用硬化性組成物を硬化させてなる成形体。
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