JPWO2004017336A1 - 強磁性微粒子発熱体の製造方法 - Google Patents
強磁性微粒子発熱体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2004017336A1 JPWO2004017336A1 JP2004528844A JP2004528844A JPWO2004017336A1 JP WO2004017336 A1 JPWO2004017336 A1 JP WO2004017336A1 JP 2004528844 A JP2004528844 A JP 2004528844A JP 2004528844 A JP2004528844 A JP 2004528844A JP WO2004017336 A1 JPWO2004017336 A1 JP WO2004017336A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- heating element
- fine particle
- aqueous solution
- treatment
- ferromagnetic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Classifications
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61N—ELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
- A61N2/00—Magnetotherapy
- A61N2/02—Magnetotherapy using magnetic fields produced by coils, including single turn loops or electromagnets
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K33/00—Medicinal preparations containing inorganic active ingredients
- A61K33/24—Heavy metals; Compounds thereof
- A61K33/26—Iron; Compounds thereof
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61N—ELECTROTHERAPY; MAGNETOTHERAPY; RADIATION THERAPY; ULTRASOUND THERAPY
- A61N1/00—Electrotherapy; Circuits therefor
- A61N1/40—Applying electric fields by inductive or capacitive coupling ; Applying radio-frequency signals
- A61N1/403—Applying electric fields by inductive or capacitive coupling ; Applying radio-frequency signals for thermotherapy, e.g. hyperthermia
- A61N1/406—Applying electric fields by inductive or capacitive coupling ; Applying radio-frequency signals for thermotherapy, e.g. hyperthermia using implantable thermoseeds or injected particles for localized hyperthermia
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P43/00—Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/12—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
- H01F1/34—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites
- H01F1/36—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites in the form of particles
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/44—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids
- H01F1/445—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of magnetic liquids, e.g. ferrofluids the magnetic component being a compound, e.g. Fe3O4
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61F—FILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
- A61F7/00—Heating or cooling appliances for medical or therapeutic treatment of the human body
- A61F7/02—Compresses or poultices for effecting heating or cooling
- A61F7/03—Compresses or poultices for effecting heating or cooling thermophore, i.e. self-heating, e.g. using a chemical reaction
- A61F7/032—Compresses or poultices for effecting heating or cooling thermophore, i.e. self-heating, e.g. using a chemical reaction using oxygen from the air, e.g. pocket-stoves
- A61F7/034—Flameless
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Power Engineering (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Radiology & Medical Imaging (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Dispersion Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Compounds Of Iron (AREA)
Abstract
フッ素及び鉄を含む処理水溶液と核微粒子とを接触させて、その核微粒子のまわりに水酸化鉄を析出させて層を形成する析出処理を行い、その水酸化鉄層を加熱して強磁性体層に変化させる後処理を行って、核微粒子の外側を強磁性体層で被覆させた強磁性微粒子発熱体とする強磁性微粒子発熱体の製造方法であって、析出処理時に、フッ化水素と反応する反応開始剤を、処理水溶液に添加する強磁性微粒子発熱体の製造方法。
Description
本発明は、フッ素及び鉄を含む処理水溶液と核微粒子とを接触させて、その核微粒子のまわりに水酸化鉄を析出させて層を形成する析出処理を行い、その水酸化鉄層を加熱して強磁性体層に変化させる後処理を行って、前記核微粒子の外側を前記強磁性体層で被覆させた強磁性微粒子発熱体とする強磁性微粒子発熱体の製造方法に関する。
この種の強磁性微粒子発熱体は、交流磁場の下に置くと、磁気ヒステリシス損により発熱するという発熱特性を有することから、近年注目されており、例えば、その発熱特性を利用して、癌の温熱治療に用いることが考えられている。この癌の温熱治療とは、強磁性微粒子発熱体をカテーテル等により体内に入れ、強磁性微粒子発熱体が埋入された部分を交流磁場に置き、強磁性微粒子発熱体の磁気ヒステリシス損による発熱を利用して、腫瘍部分を局所的に加温することで、癌細胞のみを死滅させるものである。
ところで、このような強磁性微粒子発熱体を製造するにあたっては、簡便に多量の強磁性微粒子発熱体を製造できることから、次のような処理にて製造することが提案されている(例えば、「がん治療用セラミックス、化学工業、Vol.52、No.5、(2001)、p38−43」参照、以下文献と呼ぶ)。
これによると、まず、フッ素及び鉄を含む処理水溶液(例えば、Fe3O4を飽和濃度だけ含むHF水溶液)を準備し、単に、その処理水溶液に核微粒子を浸漬させるなどして、処理水溶液と核微粒子とを接触させて、その核微粒子のまわりに水酸化鉄を析出させて層を形成する析出処理を行う。そして、その水酸化鉄層を加熱して強磁性体層に変化させる後処理を行うことで、前記核微粒子の外側を前記強磁性体層で被覆させた強磁性微粒子発熱体を得るのである。
具体的には、核微粒子としてシリカガラス微小球を、Fe3O4を飽和濃度だけ含むフッ化水素酸溶液に浸漬し、水酸化鉄層を析出形成させ、さらにこれを還元雰囲気ガス中で熱処理することにより、直径約25μmの微小球を得ている。
しかしながら、本発明者らが上記文献の記述に基づき、追試を行った結果、水酸化鉄の析出反応が不安定であり、うまく水酸化鉄層を析出できない場合のあることがわかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、強磁性微粒子発熱体を安定的に製造でき、かつ生産性に優れた製造方法を提供するところにある。
ところで、このような強磁性微粒子発熱体を製造するにあたっては、簡便に多量の強磁性微粒子発熱体を製造できることから、次のような処理にて製造することが提案されている(例えば、「がん治療用セラミックス、化学工業、Vol.52、No.5、(2001)、p38−43」参照、以下文献と呼ぶ)。
これによると、まず、フッ素及び鉄を含む処理水溶液(例えば、Fe3O4を飽和濃度だけ含むHF水溶液)を準備し、単に、その処理水溶液に核微粒子を浸漬させるなどして、処理水溶液と核微粒子とを接触させて、その核微粒子のまわりに水酸化鉄を析出させて層を形成する析出処理を行う。そして、その水酸化鉄層を加熱して強磁性体層に変化させる後処理を行うことで、前記核微粒子の外側を前記強磁性体層で被覆させた強磁性微粒子発熱体を得るのである。
具体的には、核微粒子としてシリカガラス微小球を、Fe3O4を飽和濃度だけ含むフッ化水素酸溶液に浸漬し、水酸化鉄層を析出形成させ、さらにこれを還元雰囲気ガス中で熱処理することにより、直径約25μmの微小球を得ている。
しかしながら、本発明者らが上記文献の記述に基づき、追試を行った結果、水酸化鉄の析出反応が不安定であり、うまく水酸化鉄層を析出できない場合のあることがわかった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、強磁性微粒子発熱体を安定的に製造でき、かつ生産性に優れた製造方法を提供するところにある。
本発明の第1特徴構成は、フッ素及び鉄を含む処理水溶液と核微粒子とを接触させて、その核微粒子のまわりに水酸化鉄を析出させて層を形成する析出処理を行い、その水酸化鉄層を加熱して強磁性体層に変化させる後処理を行って、前記核微粒子の外側を前記強磁性体層で被覆させた強磁性微粒子発熱体とする強磁性微粒子発熱体の製造方法であって、前記析出処理時に、フッ化水素と反応する反応開始剤を、前記処理水溶液に添加するところにある。
すなわち、フッ素及び鉄を含む処理水溶液では、下記の化学式1に示す平衡状態が成立しており、下記の化学式2による反応によって、核微粒子のまわりに水酸化鉄が析出されて、水酸化鉄層が形成されるものと考えられる。
つまり、化学式1中、[Fe(OH)6]3−は非常に不安定な錯イオンであり、処理水溶液と核微粒子とが接触されることで、化学式2に示すように、[Fe(OH)6]3−がすぐに脱水縮合反応を起こしてβ−FeOOH(水酸化鉄)となり、前記核微粒子のまわりにβ−FeOOHが析出され、その層が形成されるのである。
そして、本発明の第1特徴構成によれば、その析出処理時に、フッ化水素と反応する反応開始剤を、前記処理水溶液に添加するので、化学式1の反応の平衡状態を右側に移行させ、[Fe(OH)6]3−の存在する割合を意図的に増やすことで、効率的に、化学式2の反応により前記核微粒子のまわりにβ−FeOOHを析出させ、その層を形成することができるのである。
従って、安定的に強磁性微粒子発熱体を製造できるようになる。このため、従来に比べると効率的に厚みの大きい水酸化鉄層を形成でき、その水酸化鉄層から加熱により変化させる強磁性体層の厚みが大きいものを効率的に得ることができるので、より多くの発熱量を期待できる強磁性微粒子発熱体を、より効率的に製造することができる。
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成の発明において、前記析出処理の時間経過に伴って、前記反応開始剤を、前記処理水溶液に継続的に添加するところにある。
すなわち、フッ化水素と反応する反応開始剤を処理水溶液に添加することで、上述のように水酸化鉄の析出のもととなる[Fe(OH)6]3−の存在する割合を意図的に増やすことができるのであるが、例えば、反応開始剤を一度に多量に供給するなどして、短期的に[Fe(OH)6]3−の割合が過剰に増加すると、核微粒子に対してだけでなく、核微粒子と接触せずとも処理水溶液中に水酸化鉄が単独で析出してしまい、効果的に核微粒子の外側に水酸化鉄層を形成し難くなる。
しかし、本発明の第2特徴構成によれば、析出処理の時間経過に伴って、反応開始剤を処理水溶液に継続的に添加するので、[Fe(OH)6]3−の割合が必要以上に増加するのを防止しながら、長期間にわたって核微粒子のまわりへの水酸化鉄の析出具合を一定以上に維持させて、効率的に核微粒子の外側に十分な水酸化鉄層を形成することができるようになる。
本発明の第3特徴構成は、上記第2特徴構成の発明において、前記反応開始剤を添加するにあたり、前記水酸化鉄の析出の初期段階は少量とし、その後それよりも多く添加するところにある。
本発明の第3特徴構成によれば、反応開始剤を処理水溶液に添加するにあたり、水酸化鉄の析出の初期段階は少量とし、その後それよりも多く添加するようにすることで、その添加量が水酸化鉄の析出具合に応じた適切なものとなり、安定的、効率的に強磁性微粒子発熱体を製造することができる。
つまり、水酸化鉄の析出の初期段階では、核微粒子の表面には核微粒子と異質な水酸化鉄が析出し難いので、反応開始剤の添加量を少量とすることで、水酸化鉄の析出速度を低く保ち、処理水溶液中に水酸化鉄が単独で析出するのを防止しながら、核微粒子の外表面に対して水酸化鉄を確実に析出させることができる。
一方、核微粒子の外表面が0.5μm程度の水酸化鉄層で被覆されると、その同質の水酸化鉄層の上に水酸化鉄が析出し易くなり、[Fe(OH)6]3−の割合を過剰とし水酸化鉄の析出速度を高くしても、処理水溶液中に水酸化鉄が単独で析出するような現象は生じ難くなる。しかも、かかる核微粒子を核とする微粒子は、粒径の増大にともないその表面積が増大するので、経過時間にともなって、一定厚み当たりの水酸化鉄層を形成するのに必要となる水酸化鉄の量は多くなる。
そこで、析出の初期段階以降は、より多くの反応開始剤を添加するようにすることで、その添加量が水酸化鉄の析出具合に応じた適切なものとなり、安定的、効率的に目標とする大きさの強磁性微粒子発熱体を製造することができるようになる。
本発明の第4特徴構成は、上記第3特徴構成の発明において、前記反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、その処理水溶液中の鉄に対するフッ素のモル濃度比(X)とが、
pH≦3.5かつX≦4の関係を満たすようにするところにあり、
本発明の第5特徴構成は、上記第3特徴構成の発明において、前記反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、前記反応開始剤の添加後における処理水溶液の鉄のモル濃度(Y)とが、
3.5<pH<6かつ0.001≦Y≦0.5の関係を満たすようにするところにある。
本発明の第4特徴構成または第5特徴構成によれば、反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、その処理水溶液中の鉄に対するフッ素のモル濃度比(X)とが、または、反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、反応開始剤の添加後における処理水溶液の鉄のモル濃度(Y)とが、それぞれ所定の関係を満たすので、後の実施例にて示すように、短期間で、所定量の水酸化鉄層を確実に形成させることができ、有利である。
つまり、pH≦3.5のときには、X>4であると、処理水溶液中のフッ素の濃度が高すぎることから、前記反応開始剤を大量に添加しても、化学式1の反応の平衡状態を右側に移行させ、[Fe(OH)6]3−の存在する割合を効率的に増やすことが困難である。このため、pH≦3.5かつX≦4の関係を満たすようにするとよい。
一方、Y>0.5や、pH≧6のときには、化学式1における[Fe(OH)6]3−が非常に不安定となり、微小な温度変化や濃度変化などの外部刺激によって、反応開始剤を添加せずとも自ずと化学式1の反応の平衡状態が右側に移行し、水酸化鉄が大量に析出してしまい、その析出を制御できない。また、Y<0.001では、前記反応開始剤添加後の処理水溶液中の鉄の濃度が低すぎ、十分な量の水酸化鉄の析出がおこらない。このため、3.5<pH<6かつ0.001≦Y≦0.5の関係を満たすようにするとよい。
本発明の第6特徴構成は、上記第4または第5特徴構成の発明において、前記処理水溶液が、FeF3、FeF2、Fe2F5、FeF3・3H2O、FeF3・4.5H2O、FeCl2、FeCl2・4H2O、FeCl3、FeCl3・6H2O、Fe(ClO4)2・6H2O、Fe(ClO4)3・6H2O、FeBr2、FeBr2・6H2O、FeBr3、FeBr3・6H2O、FeI2、FeI2・4H2O、FeO、Fe2O3、Fe3O4、Fe(OH)2、FeOOH、FeSO4・7H2O、Fe2(SO4)3・9H2O、Feから選ばれる1種または2種以上の鉄原料を溶解させたものであるところにある。
本発明の第6特徴構成によれば、上記の鉄塩は何れも適度な水溶性を有し、溶媒に溶解させて処理水溶液としたときに、フッ素と鉄とがイオン状態で共存するようなものとなるため、本発明における鉄原料として好適に用いることができる。
本発明の第7特徴構成は、上記第6特徴構成の発明において、前記処理水溶液が、FeF3、FeF2、Fe2F5、FeF3・3H2O、FeF3・4.5H2Oから選ばれる1種または2種以上の鉄原料を溶解させたものであるところにある。
本発明の第7特徴構成によれば、上記の鉄原料はいずれも鉄とフッ素から構成されており、溶解時に他のイオンを生成しないことから、析出反応を阻害する要因が少なく、より安定的に反応を制御しやすい。
本発明の第8特徴構成は、上記第7特徴構成の発明において、前記鉄原料をフッ化水素酸に溶解させて、前記処理水溶液とするところにある。
本発明の第8特徴構成によれば、鉄原料をフッ化水素酸に溶解させるので、第6特徴構成記載の鉄原料が容易に溶解するため、処理水溶液中の鉄濃度の調整が容易となる。
本発明の第9特徴構成は、上記第7特徴構成の発明において、前記鉄原料をフッ化水素酸およびフッ化アンモニウム水溶液の混合液に溶解させて、前記処理水溶液とするところにある。
本発明の第9特徴構成によれば、鉄原料をフッ化水素酸およびフッ化アンモニウム水溶液の混合液に溶解させるので、第6特徴構成記載の鉄原料が容易に溶解するため、処理水溶液中の鉄濃度の調整が容易となるばかりか、そのフッ化水素酸およびフッ化アンモニウム水溶液の混合比を変えることで、容易に処理水溶液のpH調整を行うことができ、水酸化鉄の析出量を制御し易い。
本発明の第10特徴構成または第11特徴構成は、上記第8または第9特徴構成の発明において、前記反応開始剤が、H3BO3、FeCl2、FeCl3、NaOH、NH3、Al、Ti、Fe、Ni、Mg、Cu、Zn、Si、SiO2、CaO、B2O3、Al2O3、MgOから選ばれる1種または2種以上の添加剤であるところにある。
本発明の第10特徴構成または第11特徴構成によれば、反応開始剤が上記のいずれのものでも処理水溶液中のフッ化水素と反応して、安定なフルオロ錯化合物やフッ化物を生成するため、水酸化鉄の析出が阻害されることなく、効率的に水酸化鉄層が形成される。
尚、反応開始剤とフッ化水素との反応の一例を下記の化学式3および化学式4に示すが、化学式3は反応開始剤にH3BO3(ホウ酸)を用いたとき、化学式4は反応開始剤にAl(アルミニウム)を用いたときの反応である。
本発明の第12特徴構成または第13特徴構成は、上記第10または第11特徴構成の発明において、前記反応開始剤が、H3BO3であるところにある。
本発明の第12特徴構成または第13特徴構成によれば、反応開始剤がH3BO3であるから、継続的に安定して水酸化鉄層を析出させることができると共に、水酸化鉄以外の不純物が析出することがないので、好適である。
本発明の第14特徴構成または第15特徴構成は、上記第12または第13特徴構成の発明において、前記後処理が、不活性雰囲気または還元雰囲気での加熱にて、前記強磁性体層をガンマヘマタイト層とするところにある。
本発明の第14特徴構成または第15特徴構成によれば、不活性雰囲気または還元雰囲気にて加熱することで、確実に、水酸化鉄層から変化される強磁性体層をガンマヘマタイト層とすることができ、好適である。
すなわち、フッ素及び鉄を含む処理水溶液では、下記の化学式1に示す平衡状態が成立しており、下記の化学式2による反応によって、核微粒子のまわりに水酸化鉄が析出されて、水酸化鉄層が形成されるものと考えられる。
つまり、化学式1中、[Fe(OH)6]3−は非常に不安定な錯イオンであり、処理水溶液と核微粒子とが接触されることで、化学式2に示すように、[Fe(OH)6]3−がすぐに脱水縮合反応を起こしてβ−FeOOH(水酸化鉄)となり、前記核微粒子のまわりにβ−FeOOHが析出され、その層が形成されるのである。
そして、本発明の第1特徴構成によれば、その析出処理時に、フッ化水素と反応する反応開始剤を、前記処理水溶液に添加するので、化学式1の反応の平衡状態を右側に移行させ、[Fe(OH)6]3−の存在する割合を意図的に増やすことで、効率的に、化学式2の反応により前記核微粒子のまわりにβ−FeOOHを析出させ、その層を形成することができるのである。
従って、安定的に強磁性微粒子発熱体を製造できるようになる。このため、従来に比べると効率的に厚みの大きい水酸化鉄層を形成でき、その水酸化鉄層から加熱により変化させる強磁性体層の厚みが大きいものを効率的に得ることができるので、より多くの発熱量を期待できる強磁性微粒子発熱体を、より効率的に製造することができる。
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成の発明において、前記析出処理の時間経過に伴って、前記反応開始剤を、前記処理水溶液に継続的に添加するところにある。
すなわち、フッ化水素と反応する反応開始剤を処理水溶液に添加することで、上述のように水酸化鉄の析出のもととなる[Fe(OH)6]3−の存在する割合を意図的に増やすことができるのであるが、例えば、反応開始剤を一度に多量に供給するなどして、短期的に[Fe(OH)6]3−の割合が過剰に増加すると、核微粒子に対してだけでなく、核微粒子と接触せずとも処理水溶液中に水酸化鉄が単独で析出してしまい、効果的に核微粒子の外側に水酸化鉄層を形成し難くなる。
しかし、本発明の第2特徴構成によれば、析出処理の時間経過に伴って、反応開始剤を処理水溶液に継続的に添加するので、[Fe(OH)6]3−の割合が必要以上に増加するのを防止しながら、長期間にわたって核微粒子のまわりへの水酸化鉄の析出具合を一定以上に維持させて、効率的に核微粒子の外側に十分な水酸化鉄層を形成することができるようになる。
本発明の第3特徴構成は、上記第2特徴構成の発明において、前記反応開始剤を添加するにあたり、前記水酸化鉄の析出の初期段階は少量とし、その後それよりも多く添加するところにある。
本発明の第3特徴構成によれば、反応開始剤を処理水溶液に添加するにあたり、水酸化鉄の析出の初期段階は少量とし、その後それよりも多く添加するようにすることで、その添加量が水酸化鉄の析出具合に応じた適切なものとなり、安定的、効率的に強磁性微粒子発熱体を製造することができる。
つまり、水酸化鉄の析出の初期段階では、核微粒子の表面には核微粒子と異質な水酸化鉄が析出し難いので、反応開始剤の添加量を少量とすることで、水酸化鉄の析出速度を低く保ち、処理水溶液中に水酸化鉄が単独で析出するのを防止しながら、核微粒子の外表面に対して水酸化鉄を確実に析出させることができる。
一方、核微粒子の外表面が0.5μm程度の水酸化鉄層で被覆されると、その同質の水酸化鉄層の上に水酸化鉄が析出し易くなり、[Fe(OH)6]3−の割合を過剰とし水酸化鉄の析出速度を高くしても、処理水溶液中に水酸化鉄が単独で析出するような現象は生じ難くなる。しかも、かかる核微粒子を核とする微粒子は、粒径の増大にともないその表面積が増大するので、経過時間にともなって、一定厚み当たりの水酸化鉄層を形成するのに必要となる水酸化鉄の量は多くなる。
そこで、析出の初期段階以降は、より多くの反応開始剤を添加するようにすることで、その添加量が水酸化鉄の析出具合に応じた適切なものとなり、安定的、効率的に目標とする大きさの強磁性微粒子発熱体を製造することができるようになる。
本発明の第4特徴構成は、上記第3特徴構成の発明において、前記反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、その処理水溶液中の鉄に対するフッ素のモル濃度比(X)とが、
pH≦3.5かつX≦4の関係を満たすようにするところにあり、
本発明の第5特徴構成は、上記第3特徴構成の発明において、前記反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、前記反応開始剤の添加後における処理水溶液の鉄のモル濃度(Y)とが、
3.5<pH<6かつ0.001≦Y≦0.5の関係を満たすようにするところにある。
本発明の第4特徴構成または第5特徴構成によれば、反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、その処理水溶液中の鉄に対するフッ素のモル濃度比(X)とが、または、反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、反応開始剤の添加後における処理水溶液の鉄のモル濃度(Y)とが、それぞれ所定の関係を満たすので、後の実施例にて示すように、短期間で、所定量の水酸化鉄層を確実に形成させることができ、有利である。
つまり、pH≦3.5のときには、X>4であると、処理水溶液中のフッ素の濃度が高すぎることから、前記反応開始剤を大量に添加しても、化学式1の反応の平衡状態を右側に移行させ、[Fe(OH)6]3−の存在する割合を効率的に増やすことが困難である。このため、pH≦3.5かつX≦4の関係を満たすようにするとよい。
一方、Y>0.5や、pH≧6のときには、化学式1における[Fe(OH)6]3−が非常に不安定となり、微小な温度変化や濃度変化などの外部刺激によって、反応開始剤を添加せずとも自ずと化学式1の反応の平衡状態が右側に移行し、水酸化鉄が大量に析出してしまい、その析出を制御できない。また、Y<0.001では、前記反応開始剤添加後の処理水溶液中の鉄の濃度が低すぎ、十分な量の水酸化鉄の析出がおこらない。このため、3.5<pH<6かつ0.001≦Y≦0.5の関係を満たすようにするとよい。
本発明の第6特徴構成は、上記第4または第5特徴構成の発明において、前記処理水溶液が、FeF3、FeF2、Fe2F5、FeF3・3H2O、FeF3・4.5H2O、FeCl2、FeCl2・4H2O、FeCl3、FeCl3・6H2O、Fe(ClO4)2・6H2O、Fe(ClO4)3・6H2O、FeBr2、FeBr2・6H2O、FeBr3、FeBr3・6H2O、FeI2、FeI2・4H2O、FeO、Fe2O3、Fe3O4、Fe(OH)2、FeOOH、FeSO4・7H2O、Fe2(SO4)3・9H2O、Feから選ばれる1種または2種以上の鉄原料を溶解させたものであるところにある。
本発明の第6特徴構成によれば、上記の鉄塩は何れも適度な水溶性を有し、溶媒に溶解させて処理水溶液としたときに、フッ素と鉄とがイオン状態で共存するようなものとなるため、本発明における鉄原料として好適に用いることができる。
本発明の第7特徴構成は、上記第6特徴構成の発明において、前記処理水溶液が、FeF3、FeF2、Fe2F5、FeF3・3H2O、FeF3・4.5H2Oから選ばれる1種または2種以上の鉄原料を溶解させたものであるところにある。
本発明の第7特徴構成によれば、上記の鉄原料はいずれも鉄とフッ素から構成されており、溶解時に他のイオンを生成しないことから、析出反応を阻害する要因が少なく、より安定的に反応を制御しやすい。
本発明の第8特徴構成は、上記第7特徴構成の発明において、前記鉄原料をフッ化水素酸に溶解させて、前記処理水溶液とするところにある。
本発明の第8特徴構成によれば、鉄原料をフッ化水素酸に溶解させるので、第6特徴構成記載の鉄原料が容易に溶解するため、処理水溶液中の鉄濃度の調整が容易となる。
本発明の第9特徴構成は、上記第7特徴構成の発明において、前記鉄原料をフッ化水素酸およびフッ化アンモニウム水溶液の混合液に溶解させて、前記処理水溶液とするところにある。
本発明の第9特徴構成によれば、鉄原料をフッ化水素酸およびフッ化アンモニウム水溶液の混合液に溶解させるので、第6特徴構成記載の鉄原料が容易に溶解するため、処理水溶液中の鉄濃度の調整が容易となるばかりか、そのフッ化水素酸およびフッ化アンモニウム水溶液の混合比を変えることで、容易に処理水溶液のpH調整を行うことができ、水酸化鉄の析出量を制御し易い。
本発明の第10特徴構成または第11特徴構成は、上記第8または第9特徴構成の発明において、前記反応開始剤が、H3BO3、FeCl2、FeCl3、NaOH、NH3、Al、Ti、Fe、Ni、Mg、Cu、Zn、Si、SiO2、CaO、B2O3、Al2O3、MgOから選ばれる1種または2種以上の添加剤であるところにある。
本発明の第10特徴構成または第11特徴構成によれば、反応開始剤が上記のいずれのものでも処理水溶液中のフッ化水素と反応して、安定なフルオロ錯化合物やフッ化物を生成するため、水酸化鉄の析出が阻害されることなく、効率的に水酸化鉄層が形成される。
尚、反応開始剤とフッ化水素との反応の一例を下記の化学式3および化学式4に示すが、化学式3は反応開始剤にH3BO3(ホウ酸)を用いたとき、化学式4は反応開始剤にAl(アルミニウム)を用いたときの反応である。
本発明の第12特徴構成または第13特徴構成は、上記第10または第11特徴構成の発明において、前記反応開始剤が、H3BO3であるところにある。
本発明の第12特徴構成または第13特徴構成によれば、反応開始剤がH3BO3であるから、継続的に安定して水酸化鉄層を析出させることができると共に、水酸化鉄以外の不純物が析出することがないので、好適である。
本発明の第14特徴構成または第15特徴構成は、上記第12または第13特徴構成の発明において、前記後処理が、不活性雰囲気または還元雰囲気での加熱にて、前記強磁性体層をガンマヘマタイト層とするところにある。
本発明の第14特徴構成または第15特徴構成によれば、不活性雰囲気または還元雰囲気にて加熱することで、確実に、水酸化鉄層から変化される強磁性体層をガンマヘマタイト層とすることができ、好適である。
図1は、成膜装置の模式図であり、
図2は、還元炉の模式図である。
図2は、還元炉の模式図である。
以下に本発明の効果を確認するための具体的な実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下のようにして、フッ素及び鉄を含む処理水溶液と核微粒子とを接触させて析出処理を行い、試料1〜7、試料11〜13を作製した。
FeF3、HF水溶液、NH4F水溶液、水を所定の割合にて混合し、試料1〜7、試料11〜13各々について、表1−1に示すFe濃度・HF濃度・NH4F濃度を有する処理水溶液を用いた。
そして、核微粒子の一例として、平均粒径が約12μmである球状のシリカ微粒子0.3gを用い、成膜装置を使用して析出処理を行った。使用した成膜装置は、図1に示すように、シリカ微粒子aと処理水溶液bを収納する容器1と、処理水溶液bを攪拌するスターラー2と、反応開始剤cを添加するパイプ3を備えている。尚、図中dは水酸化鉄層である。そして、シリカ微粒子を処理水溶液に入れ、スターラーで30分間攪拌した後、反応開始剤として、0.5mol/lのH3BO3濃度のホウ酸水溶液を添加した。尚、反応開始剤としてのホウ酸水溶液は、表1−2に示す割合にて処理水溶液に添加した。
つまり、試料1、2、6、7、11、12については、反応開始剤の添加前には処理水溶液が、表1−3に示すようなpH及び鉄に対するフッ素のモル濃度比(つまり、[フッ素のモル濃度]/[鉄のモル濃度])となるように、FeF3、HFの割合を調整した。尚、各試料についての反応開始剤の添加後の鉄のモル濃度は、表1−3に示す値であった。
一方、試料3〜5および試料13については、反応開始剤の添加前に、処理水溶液では表1−4に示すようなpHの調整を行うと共に、反応開始剤添加後に、処理水溶液中の鉄の濃度(Fe濃度)を、表1−4に示す値となるように、処理水溶液とホウ酸水溶液の割合を調整した。尚、各試料について反応開始剤の添加前の[フッ素のモル濃度]/[鉄のモル濃度]は、表1−4に示す値であった。
尚、いずれのときも反応開始剤添加後は、処理水溶液の温度を30℃に保ち、約16時間攪拌を行い、16時間後、遠心分離装置にて処理水溶液から、シリカ微粒子のまわりに水酸化鉄層を析出させたものを分離した。
このような工程を1日に1回行い、シリカ微粒子のまわりの水酸化鉄層が6.5μm厚になるまで、当該工程を繰り返し行ったが、要した回数を日数として表1−3、表1−4に示してある。尚、水酸化鉄層がβ−FeOOHであることをXRD(X線回折法)により確認し、また、その水酸化鉄層の厚みは、SEM(走査型電子顕微鏡)により確認した。
表1−3の試料1、2、6、7からわかるように、反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、その処理水溶液中の鉄に対するフッ素のモル濃度比(X)とが、pH≦3.5かつX≦4の関係を満たすようにすると短期間で全体に均一な厚みの水酸化鉄層を有するものを得られた。これに対して、表1−3の試料11、12に例示するように、反応開始剤の添加前における処理水溶液がpH≦3.5でも、X>4では、反応開始剤を添加しても水酸化鉄層が形成されなかった。
一方、表1−4の試料3、4、5からわかるように、前記反応開始剤の添加前における処理水溶液のpHと、前記反応開始剤の添加後における処理水溶液の鉄のモル濃度(Y)とが、3.5<pH<6かつ0.001≦Y≦0.5の関係を満たすようにすると、短期間で全体に均一な厚みの水酸化鉄層を有するものを得られた。これに対して、表1−4の試料13に例示するように、反応開始剤の添加前における処理水溶液が3.5<pH<6でも、反応開始剤添加後の処理水溶液中のX(鉄のモル濃度)が0.5を越えると、水酸化鉄層が形成されなかった。
そして、試料1〜7はいずれも、析出処理後に、CO2とH2の混合ガスの還元雰囲気下で、650℃で1h加熱して放冷させることにより、水酸化鉄層をガンマヘマタイト層に変化させ、シリカ微粒子の外側をガンマヘマタイト層で被覆させた強磁性微粒子発熱体を得ることができた。
尚、別途、比較例として反応開始剤を用いずに、析出処理を行う従来の方法を試みた。従来法の一例として、前記シリカ微粒子0.3gを、Fe3O4を飽和濃度だけ含む30℃の1%HF溶液600ml中に浸漬し攪拌させたが、水酸化鉄層は析出されなかった。
FeF3、HF水溶液、NH4F水溶液、水を所定の割合にて混合し、試料1〜7、試料11〜13各々について、表1−1に示すFe濃度・HF濃度・NH4F濃度を有する処理水溶液を用いた。
つまり、試料1、2、6、7、11、12については、反応開始剤の添加前には処理水溶液が、表1−3に示すようなpH及び鉄に対するフッ素のモル濃度比(つまり、[フッ素のモル濃度]/[鉄のモル濃度])となるように、FeF3、HFの割合を調整した。尚、各試料についての反応開始剤の添加後の鉄のモル濃度は、表1−3に示す値であった。
一方、試料3〜5および試料13については、反応開始剤の添加前に、処理水溶液では表1−4に示すようなpHの調整を行うと共に、反応開始剤添加後に、処理水溶液中の鉄の濃度(Fe濃度)を、表1−4に示す値となるように、処理水溶液とホウ酸水溶液の割合を調整した。尚、各試料について反応開始剤の添加前の[フッ素のモル濃度]/[鉄のモル濃度]は、表1−4に示す値であった。
尚、いずれのときも反応開始剤添加後は、処理水溶液の温度を30℃に保ち、約16時間攪拌を行い、16時間後、遠心分離装置にて処理水溶液から、シリカ微粒子のまわりに水酸化鉄層を析出させたものを分離した。
表1−3の試料1、2、6、7からわかるように、反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、その処理水溶液中の鉄に対するフッ素のモル濃度比(X)とが、pH≦3.5かつX≦4の関係を満たすようにすると短期間で全体に均一な厚みの水酸化鉄層を有するものを得られた。これに対して、表1−3の試料11、12に例示するように、反応開始剤の添加前における処理水溶液がpH≦3.5でも、X>4では、反応開始剤を添加しても水酸化鉄層が形成されなかった。
一方、表1−4の試料3、4、5からわかるように、前記反応開始剤の添加前における処理水溶液のpHと、前記反応開始剤の添加後における処理水溶液の鉄のモル濃度(Y)とが、3.5<pH<6かつ0.001≦Y≦0.5の関係を満たすようにすると、短期間で全体に均一な厚みの水酸化鉄層を有するものを得られた。これに対して、表1−4の試料13に例示するように、反応開始剤の添加前における処理水溶液が3.5<pH<6でも、反応開始剤添加後の処理水溶液中のX(鉄のモル濃度)が0.5を越えると、水酸化鉄層が形成されなかった。
そして、試料1〜7はいずれも、析出処理後に、CO2とH2の混合ガスの還元雰囲気下で、650℃で1h加熱して放冷させることにより、水酸化鉄層をガンマヘマタイト層に変化させ、シリカ微粒子の外側をガンマヘマタイト層で被覆させた強磁性微粒子発熱体を得ることができた。
尚、別途、比較例として反応開始剤を用いずに、析出処理を行う従来の方法を試みた。従来法の一例として、前記シリカ微粒子0.3gを、Fe3O4を飽和濃度だけ含む30℃の1%HF溶液600ml中に浸漬し攪拌させたが、水酸化鉄層は析出されなかった。
以下のようにして、フッ素及び鉄を含む処理水溶液と核徴粒子とを接触させて析出処理を行い、試料1〜4を作製した。
まず、FeF3 5.09g、0.1重量%HF濃度のフッ化水素酸 50ml、純水250mlを混合し、処理水溶液とした。
そして、核微粒子の一例として、平均粒径が約12μmである球状のシリカ微粒子0.9gを処理水溶液300mlに入れ、スターラーで30分間攪拌した後、反応開始剤として、0.5mol/lのH3BO3濃度のホウ酸水溶液を、チュービングポンプを使用して、それぞれ表2−1〜表2−4に示すように時間経過に伴い継続的に供給し(表2−1が試料1、表2−2が試料2、表2−3が試料3、表2−4が試料4に対応)、析出処理を行った。また、この析出処理は、恒温器にて液温を30℃に保ち攪拌しながら行った。尚、処理液は7日目経過後に全量交換し、12日目では各々の試料にて表2−1〜表2−4に示すような粒径のものが得られた。
表2−3、表2−4に示すように、試料3および試料4では、反応開始剤を1日目しか供給しなかったため、好適に粒径が増加しなかった。しかも、試料4では、反応開始剤を一度に多量に供給したため、処理水溶液中に水酸化鉄が単独で析出してしまい、核微粒子の外側に水酸化鉄層が効率的に形成されなかった。
これに対して、表2−1、表2−2に示すように、試料1および試料2では、反応開始剤を時間経過に伴って継続的に供給することで、長期間にわたって安定的に核微粒子のまわりへの水酸化鉄の析出具合を一定以上に維持させて、効率的に核微粒子の外側に十分な水酸化鉄層を形成できることが確認され、殊に、試料1では、反応開始剤の供給量を、水酸化鉄の析出の初期段階は少量としその後それよりも多く供給することで、安定的に大きな粒径のものを得られた。
尚、試料1〜試料4はいずれも、析出処理後に、CO2とH2の混合ガスの還元雰囲気下で、650℃で1h加熱して放冷させることにより、水酸化鉄層をガンマヘマタイト層に変化させ、シリカ微粒子の外側をガンマヘマタイト層で被覆させた強磁性微粒子発熱体を得ることができた。
この加熱処理に用いた還元炉は、図2に示すように、加熱炉4と、加熱炉4の中心部に配置された石英製の炉心管5と、その炉心管5内部で回転するように複数のローラ6で支持された石英製の回転管7と、回転管7を回転駆動するモータ8などで構成され、炉心管5内部に試料室9が設けられて、その試料室9を取り囲むように加熱用ヒータ12が設けられている。そして、炉心管5の両端には、還元雰囲気を保つためのフランジ部10,11が設けられ、一方のフランジ部10から還元ガスを導入し他方のフランジ部11から還元ガスを排出しながら、その間において還元雰囲気中で加熱処理が行えるように構成されている。
〔別実施形態〕
以下に他の実施形態を説明する。
〈1〉処理水溶液は、先に説明したFeF3に限らず、例えば、FeF3、FeF2、Fe2F5、FeF3・3H2O、FeF3・4.5H2O、FeCl2、FeCl2・4H2O、FeCl3、FeCl3・6H2O、Fe(ClO4)2・6H2O、Fe(ClO4)3・6H2O、FeBr2、FeBr2・6H2O、FeBr3、FeBr3・6H2O、FeI2、FeI2・4H2O、FeO、Fe2O3、Fe3O4、Fe(OH)2、FeOOH、FeSO4・7H2O、Fe2(SO4)3・9H2O、Feから選ばれる1種または2種以上の鉄原料を溶解させたものであれば、溶媒に溶解させて処理水溶液としたときに、フッ素と鉄とがイオン状態で共存するようなものとなるため、本発明における鉄原料として好適に用いることができる。
また、処理水溶液は、先に説明したように、鉄原料を、フッ化水素酸に又はフッ化水素酸およびフッ化アンモニウム水溶液の混合液に溶解させてなるものに限らず、例えば、水等その他各種溶媒にFeF3やFeF2やFeF3・4.5H2O等を溶解させて、フッ素及び鉄を含む処理水溶液としてもよい。
〈2〉反応開始剤は先に説明したH3BO3に限らず、フッ化水素と反応するものであれば如何なるものでもよい。例えば、H3BO3、FeCl2、FeCl3、NaOH、NH3、Al、Ti、Fe、Ni、Mg、Cu、Zn、Si、SiO2、CaO、B2O3、Al2O3、MgOから選ばれる1種または2種以上の添加剤を用いれば、いずれのものでも処理水溶液中のフッ化水素と反応して、安定なフルオロ錯化合物やフッ化物を生成するため、水酸化鉄の析出が阻害されることなく、効率的に水酸化鉄層が形成され、好適である。
因みに、析出処理時には、核微粒子を分散させながら行うと、より均一に各核微粒子のまわりに水酸化鉄層を形成することができ好ましく、先に説明したように処理水溶液を攪拌する方法に限らず、例えば、処理水溶液を振とう機により振とうさせたり、または、その他の各種分散手段(超音波分散や機械的分散等のホモジナイザー)を用いればよい。
〈3〉核微粒子は、球状のほか円形や角形などいかなる形状であっても、水酸化鉄層の析出にともない、表面エネルギーの最も小さい球状に自然に変化していくので問題とならないが、殊に、核微粒子が球状やほぼ球状のものであれば、強磁性微粒子発熱体の径が自ずと揃い易く、その後、分級する必要をなくすことができ、有利である。殊に、平均直径が0.5〜10μmの真球で、その変動係数が15%以下であるものを用いると、水酸化鉄層形成後の粒径を均一に揃え、均一な粒径の強磁性微粒子を得ることができ、特に好ましい。このような条件を満たす核微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)や二酸化チタンなどからなるものがあげられる。その中でも、二酸化珪素(シリカ)微粒子は、珪酸ソーダの水溶液を中和反応させる液相析出反応やテトラエトキシシランを出発原料とするゾルゲル法などの方法によって、均一な粒径のものを容易に得ることができるので、好適に用いることができる。
尚、核微粒子は、水酸化鉄を析出させる処理水溶液中で分散性や化学的な安定性に優れるものであれば如何なるものも用いることができ、例えば、強磁性を有する材料からなるものであれば、核微粒子からも磁気ヒステリシス損による発熱を期待することができる。
そして、析出処理では、核微粒子を処理水溶液中に浸漬させる形態に限らず、処理水溶液と核微粒子とを接触させればよく、例えば、処理水溶液を核微粒子上に流動させたり、処理水溶液を核微粒子に噴霧する形態などを採用してもよい。
〈4〉実施例2に示したように、反応開始剤を処理水溶液に時間経過に伴って継続的に供給するにあたっては、連続的に供給してもよいし、断続的に供給してもよいし、一定期間毎に供給してもよい。
そして、反応開始剤の供給量は、先に説明したように供給量そのものの多少で調整する以外に、その濃度の多少により調整するようにしても勿論よい。
実施例2では、7日経過後に処理水溶液を交換する例を説明したが、そのようなものに限らず、例えば、毎日処理水溶液を交換してもよいし、任意に設定すればよい。
また、例えば、処理水溶液を入れてある反応容器内にポンプを2台設置し、一方のポンプで、新たな処理水溶液に添加剤を予め混入したもの所定量を、反応容器へ継続的に供給し、他方のポンプで反応容器内の処理水溶液を同量継続的に排出するようにしてもよい。
〈5〉後処理では、水酸化鉄層を加熱して強磁性体層に変化させればよく、先に例示したように、不活性雰囲気または還元雰囲気での加熱にて、水酸化鉄層から前記強磁性体層をガンマヘマタイト層とするものに限らず、フェライト層としてもよい。
まず、FeF3 5.09g、0.1重量%HF濃度のフッ化水素酸 50ml、純水250mlを混合し、処理水溶液とした。
そして、核微粒子の一例として、平均粒径が約12μmである球状のシリカ微粒子0.9gを処理水溶液300mlに入れ、スターラーで30分間攪拌した後、反応開始剤として、0.5mol/lのH3BO3濃度のホウ酸水溶液を、チュービングポンプを使用して、それぞれ表2−1〜表2−4に示すように時間経過に伴い継続的に供給し(表2−1が試料1、表2−2が試料2、表2−3が試料3、表2−4が試料4に対応)、析出処理を行った。また、この析出処理は、恒温器にて液温を30℃に保ち攪拌しながら行った。尚、処理液は7日目経過後に全量交換し、12日目では各々の試料にて表2−1〜表2−4に示すような粒径のものが得られた。
これに対して、表2−1、表2−2に示すように、試料1および試料2では、反応開始剤を時間経過に伴って継続的に供給することで、長期間にわたって安定的に核微粒子のまわりへの水酸化鉄の析出具合を一定以上に維持させて、効率的に核微粒子の外側に十分な水酸化鉄層を形成できることが確認され、殊に、試料1では、反応開始剤の供給量を、水酸化鉄の析出の初期段階は少量としその後それよりも多く供給することで、安定的に大きな粒径のものを得られた。
尚、試料1〜試料4はいずれも、析出処理後に、CO2とH2の混合ガスの還元雰囲気下で、650℃で1h加熱して放冷させることにより、水酸化鉄層をガンマヘマタイト層に変化させ、シリカ微粒子の外側をガンマヘマタイト層で被覆させた強磁性微粒子発熱体を得ることができた。
この加熱処理に用いた還元炉は、図2に示すように、加熱炉4と、加熱炉4の中心部に配置された石英製の炉心管5と、その炉心管5内部で回転するように複数のローラ6で支持された石英製の回転管7と、回転管7を回転駆動するモータ8などで構成され、炉心管5内部に試料室9が設けられて、その試料室9を取り囲むように加熱用ヒータ12が設けられている。そして、炉心管5の両端には、還元雰囲気を保つためのフランジ部10,11が設けられ、一方のフランジ部10から還元ガスを導入し他方のフランジ部11から還元ガスを排出しながら、その間において還元雰囲気中で加熱処理が行えるように構成されている。
〔別実施形態〕
以下に他の実施形態を説明する。
〈1〉処理水溶液は、先に説明したFeF3に限らず、例えば、FeF3、FeF2、Fe2F5、FeF3・3H2O、FeF3・4.5H2O、FeCl2、FeCl2・4H2O、FeCl3、FeCl3・6H2O、Fe(ClO4)2・6H2O、Fe(ClO4)3・6H2O、FeBr2、FeBr2・6H2O、FeBr3、FeBr3・6H2O、FeI2、FeI2・4H2O、FeO、Fe2O3、Fe3O4、Fe(OH)2、FeOOH、FeSO4・7H2O、Fe2(SO4)3・9H2O、Feから選ばれる1種または2種以上の鉄原料を溶解させたものであれば、溶媒に溶解させて処理水溶液としたときに、フッ素と鉄とがイオン状態で共存するようなものとなるため、本発明における鉄原料として好適に用いることができる。
また、処理水溶液は、先に説明したように、鉄原料を、フッ化水素酸に又はフッ化水素酸およびフッ化アンモニウム水溶液の混合液に溶解させてなるものに限らず、例えば、水等その他各種溶媒にFeF3やFeF2やFeF3・4.5H2O等を溶解させて、フッ素及び鉄を含む処理水溶液としてもよい。
〈2〉反応開始剤は先に説明したH3BO3に限らず、フッ化水素と反応するものであれば如何なるものでもよい。例えば、H3BO3、FeCl2、FeCl3、NaOH、NH3、Al、Ti、Fe、Ni、Mg、Cu、Zn、Si、SiO2、CaO、B2O3、Al2O3、MgOから選ばれる1種または2種以上の添加剤を用いれば、いずれのものでも処理水溶液中のフッ化水素と反応して、安定なフルオロ錯化合物やフッ化物を生成するため、水酸化鉄の析出が阻害されることなく、効率的に水酸化鉄層が形成され、好適である。
因みに、析出処理時には、核微粒子を分散させながら行うと、より均一に各核微粒子のまわりに水酸化鉄層を形成することができ好ましく、先に説明したように処理水溶液を攪拌する方法に限らず、例えば、処理水溶液を振とう機により振とうさせたり、または、その他の各種分散手段(超音波分散や機械的分散等のホモジナイザー)を用いればよい。
〈3〉核微粒子は、球状のほか円形や角形などいかなる形状であっても、水酸化鉄層の析出にともない、表面エネルギーの最も小さい球状に自然に変化していくので問題とならないが、殊に、核微粒子が球状やほぼ球状のものであれば、強磁性微粒子発熱体の径が自ずと揃い易く、その後、分級する必要をなくすことができ、有利である。殊に、平均直径が0.5〜10μmの真球で、その変動係数が15%以下であるものを用いると、水酸化鉄層形成後の粒径を均一に揃え、均一な粒径の強磁性微粒子を得ることができ、特に好ましい。このような条件を満たす核微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)や二酸化チタンなどからなるものがあげられる。その中でも、二酸化珪素(シリカ)微粒子は、珪酸ソーダの水溶液を中和反応させる液相析出反応やテトラエトキシシランを出発原料とするゾルゲル法などの方法によって、均一な粒径のものを容易に得ることができるので、好適に用いることができる。
尚、核微粒子は、水酸化鉄を析出させる処理水溶液中で分散性や化学的な安定性に優れるものであれば如何なるものも用いることができ、例えば、強磁性を有する材料からなるものであれば、核微粒子からも磁気ヒステリシス損による発熱を期待することができる。
そして、析出処理では、核微粒子を処理水溶液中に浸漬させる形態に限らず、処理水溶液と核微粒子とを接触させればよく、例えば、処理水溶液を核微粒子上に流動させたり、処理水溶液を核微粒子に噴霧する形態などを採用してもよい。
〈4〉実施例2に示したように、反応開始剤を処理水溶液に時間経過に伴って継続的に供給するにあたっては、連続的に供給してもよいし、断続的に供給してもよいし、一定期間毎に供給してもよい。
そして、反応開始剤の供給量は、先に説明したように供給量そのものの多少で調整する以外に、その濃度の多少により調整するようにしても勿論よい。
実施例2では、7日経過後に処理水溶液を交換する例を説明したが、そのようなものに限らず、例えば、毎日処理水溶液を交換してもよいし、任意に設定すればよい。
また、例えば、処理水溶液を入れてある反応容器内にポンプを2台設置し、一方のポンプで、新たな処理水溶液に添加剤を予め混入したもの所定量を、反応容器へ継続的に供給し、他方のポンプで反応容器内の処理水溶液を同量継続的に排出するようにしてもよい。
〈5〉後処理では、水酸化鉄層を加熱して強磁性体層に変化させればよく、先に例示したように、不活性雰囲気または還元雰囲気での加熱にて、水酸化鉄層から前記強磁性体層をガンマヘマタイト層とするものに限らず、フェライト層としてもよい。
本発明により製造した強磁性微粒子発熱体は、温熱治療に限らず、磁気ヒステリシス損により発熱するという発熱特性を利用して、各種用途に適用することができる。
Claims (15)
- フッ素及び鉄を含む処理水溶液と核微粒子とを接触させて、その核微粒子のまわりに水酸化鉄を析出させて層を形成する析出処理を行い、その水酸化鉄層を加熱して強磁性体層に変化させる後処理を行って、前記核微粒子の外側を前記強磁性体層で被覆させた強磁性微粒子発熱体とする強磁性微粒子発熱体の製造方法であって、
前記析出処理時に、フッ化水素と反応する反応開始剤を、前記処理水溶液に添加する強磁性微粒子発熱体の製造方法。 - 前記析出処理の時間経過に伴って、前記反応開始剤を、前記処理水溶液に継続的に添加する請求の範囲第1項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記反応開始剤を添加するにあたり、前記水酸化鉄の析出の初期段階は少量とし、その後それよりも多く添加する請求の範囲第2項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、その処理水溶液中の鉄に対するフッ素のモル濃度比(X)とが、
pH≦3.5かつX≦4の関係を満たすようにする請求の範囲第3項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。 - 前記反応開始剤の添加前における処理水溶液の水素イオン濃度(pH)と、前記反応開始剤の添加後における処理水溶液の鉄のモル濃度(Y)とが、
3.5<pH<6かつ0.001≦Y≦0.5の関係を満たすようにする請求の範囲第3項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。 - 前記処理水溶液が、FeF3、FeF2、Fe2F5、FeF3・3H2O、FeF3・4.5H2O、FeCl2、FeCl2・4H2O、FeCl3、FeCl3・6H2O、Fe(ClO4)2・6H2O、Fe(ClO4)3・6H2O、FeBr2、FeBr2・6H2O、FeBr3、FeBr3・6H2O、FeI2、FeI2・4H2O、FeO、Fe2O3、Fe3O4、Fe(OH)2、FeOOH、FeSO4・7H2O、Fe2(SO4)3・9H2O、Feから選ばれる1種または2種以上の鉄原料を溶解させたものである請求の範囲4または5記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記処理水溶液が、FeF3、FeF2、Fe2F5、FeF3・3H2O、FeF3・4.5H2Oから選ばれる1種または2種以上の鉄原料を溶解させたものである請求の範囲6記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記鉄原料をフッ化水素酸に溶解させて、前記処理水溶液とする請求の範囲第7項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記鉄原料をフッ化水素酸およびフッ化アンモニウム水溶液の混合液に溶解させて、前記処理水溶液とする請求の範囲第7項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記反応開始剤が、H3BO3、FeCl2、FeCl3、NaOH、NH3、Al、Ti、Fe、Ni、Mg、Cu、Zn、Si、SiO2、CaO、B2O3、Al2O3、MgOから選ばれる1種または2種以上の添加剤である請求の範囲第8項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記反応開始剤が、H3BO3、FeCl2、FeCl3、NaOH、NH3、Al、Ti、Fe、Ni、Mg、Cu、Zn、Si、SiO2、CaO、B2O3、Al2O3、MgOから選ばれる1種または2種以上の添加剤である請求の範囲第9項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記反応開始剤が、H3BO3である請求の範囲第10項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記反応開始剤が、H3BO3である請求の範囲第11項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記後処理が、不活性雰囲気または還元雰囲気での加熱にて、前記強磁性体層をガンマヘマタイト層とする請求の範囲第12項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
- 前記後処理が、不活性雰囲気または還元雰囲気での加熱にて、前記強磁性体層をガンマヘマタイト層とする請求の範囲第13項記載の強磁性微粒子発熱体の製造方法。
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002229035 | 2002-08-06 | ||
JP2002229035 | 2002-08-06 | ||
JP2002234837 | 2002-08-12 | ||
JP2002234837 | 2002-08-12 | ||
PCT/JP2003/009960 WO2004017336A1 (ja) | 2002-08-06 | 2003-08-05 | 強磁性微粒子発熱体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2004017336A1 true JPWO2004017336A1 (ja) | 2005-12-08 |
Family
ID=31890514
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004528844A Withdrawn JPWO2004017336A1 (ja) | 2002-08-06 | 2003-08-05 | 強磁性微粒子発熱体の製造方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20060111235A1 (ja) |
JP (1) | JPWO2004017336A1 (ja) |
AU (1) | AU2003252407A1 (ja) |
WO (1) | WO2004017336A1 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004020042A1 (ja) * | 2002-08-29 | 2004-03-11 | Nippon Sheet Glass Company Limited | 温熱治療用発熱体およびその製造方法 |
JP2012113914A (ja) * | 2010-11-24 | 2012-06-14 | Motai Takeji | 電磁誘導用発熱・蓄熱材 |
CN108658182A (zh) * | 2018-05-16 | 2018-10-16 | 武汉霖泉环保科技有限公司 | 一种自絮凝磁种的制备方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
NL7901438A (nl) * | 1979-02-23 | 1980-08-26 | Philips Nv | Werkwijze voor de bereiding van een feooh pigment. |
WO1990012642A1 (en) * | 1989-04-17 | 1990-11-01 | Kawasaki Steel Corporation | Dispersing agent and cement admixture |
JPH06254168A (ja) * | 1991-10-29 | 1994-09-13 | Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk | 組織内加温温熱療法 |
JPH08106902A (ja) * | 1994-10-03 | 1996-04-23 | Murata Mfg Co Ltd | 電池用薄膜電極及びその製造方法 |
JPH09278488A (ja) * | 1996-04-12 | 1997-10-28 | Nippon Sheet Glass Co Ltd | 貴金属微粒子を分散した酸化物被膜の製造方法 |
-
2003
- 2003-08-05 AU AU2003252407A patent/AU2003252407A1/en not_active Abandoned
- 2003-08-05 JP JP2004528844A patent/JPWO2004017336A1/ja not_active Withdrawn
- 2003-08-05 WO PCT/JP2003/009960 patent/WO2004017336A1/ja active Application Filing
- 2003-08-05 US US10/523,738 patent/US20060111235A1/en not_active Abandoned
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
AU2003252407A1 (en) | 2004-03-03 |
WO2004017336A1 (ja) | 2004-02-26 |
US20060111235A1 (en) | 2006-05-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6766166B2 (ja) | マイクロナノバブルを種結晶誘導として利用した銀粉製造における調製方法 | |
TWI247637B (en) | Process for producing metal fine powder | |
TWI440601B (zh) | 具有經控制之最小顆粒尺寸的二氧化矽溶膠及其製備方法 | |
WO2011052205A1 (ja) | ポリマー被覆フェライト微粒子および製造方法 | |
CN108675336A (zh) | 微波与超声波双外场协同辅助液相合成稀土氧化物纳米球的方法 | |
JPH0847917A (ja) | セラミック懸濁液の安定化方法 | |
JP2008110889A (ja) | 酸化鉄粒子の製造方法 | |
CN116917063A (zh) | 软磁性金属粉末 | |
JPWO2004017336A1 (ja) | 強磁性微粒子発熱体の製造方法 | |
JP5296993B2 (ja) | 酸化イットリウム粉末 | |
CN109095487A (zh) | 一种铁负载铝酸锌纳米粉体及其制备方法 | |
CN109867310B (zh) | 一种原位制备SmCo5/Sm2Co17核壳结构双相复合磁性纳米粒子的方法 | |
WO2022080487A1 (ja) | 鉄(Fe)-ニッケル(Ni)系合金粉の製造方法 | |
JP4621911B2 (ja) | マグネタイト微粒子の製造方法 | |
CN108025924B (zh) | 稀土类硫氧化物的制造方法、稀土类硫氧化物以及蓄冷材料 | |
JP2010089991A (ja) | 細胞加熱用強磁性粒子およびその水分散体ならびに水分散体の製造方法 | |
WO2020217982A1 (ja) | コバルトフェライト粒子の製造方法とそれにより製造されたコバルトフェライト粒子 | |
CN112499691B (zh) | 一种自控温磁性纳米线及其制备方法 | |
KR20220020290A (ko) | 수처리용 자성 기반 가중응집제 및 이의 제조방법 | |
US20060111763A1 (en) | Heat generating article for hyperthermia and method for preparation thereof | |
JPH05170425A (ja) | 複合粒子の製造方法 | |
WO2019135306A1 (ja) | 銅ナノインクの製造方法及び銅ナノインク | |
JPS5877504A (ja) | メタル磁性粉の製法 | |
CN114956149B (zh) | 氧化镨钕球形颗粒的制备方法 | |
WO2024048500A1 (ja) | 球形化率の高い軟磁性金属粉末及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060606 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20070808 |