JPWO2004012747A1 - 水分摂取量調整用噴霧剤 - Google Patents
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Abstract
本発明は、水分摂取量を制限されている患者の水分の摂取量を容易にコントロールできる水分摂取量調整用噴霧剤を提供する。当該水分摂取量調整用噴霧剤は糖アルコールおよびヒアルロン酸を含有する噴霧剤であり、一回に摂取する水分量を少なくすることが可能で、なおかつ水分摂取回数も少なくすることができるため、これにより水分摂取量を制限されている患者の水分摂取量の調整が容易になり、水分摂取総量を少なくすることができる。
Description
本発明は、水分摂取量調整用噴霧剤に関するものである。さらに詳しく述べれば、本発明は、水分摂取量が制限されている患者、特に透析患者の口渇感を抑え、水分摂取量を調整することのできる噴霧剤を提供するものである。
透析を実施している患者は、腎臓の機能が低下しているため、摂取した水分を尿として排泄することができず、水分の摂取量が直接体重増加につながる。従って、余分に水分を摂取すると体重が顕著に増加し、浮腫といった身体的負担や、次回の透析時に余分に水分を除去することによる透析困難症といった症状を引き起こすおそれがある。そのため透析患者には、個々の状態に応じて、余分な水分貯留がなく、心臓に対する負担が少なく、良好な体調を維持できる体重(以下ドライウェイトという)が設定され、透析時にはそのドライウェイトを透析終了目標として透析が行われる。また、日常生活においても、ドライウェイトの5%以上体重が増加しないよう、特に、水分摂取量を必要以上に摂取しすぎないよう厳重に注意するよう医師より指導されており、10mL単位の量で気を配って摂取している。
しかし、透析患者は現実には限度以上に水分を摂取することが多く、その結果、ドライウェイトの5%以上まで体重が増加してしまうという問題を生じがちであった。さらに、水分を摂取し過ぎた場合、体重が増加し過ぎないよう食事を減らしウェイトコントロールすることがあるが、これは、計画的な食餌療法の実施に支障をきたし、また、必要なカロリーを摂取することができないという問題を生じることになる。
このように、透析患者にとって水分摂取量の調整はきわめて重要であるが、これまで、このような水分摂取量が制限されている患者用の水分摂取調整剤は知られていないため、実際の口渇時には、何らかの形で直接水分を摂取する以外になかった。そのため、水分摂取量調整の重要性を認識しつつも、相当量の水分を摂取する結果となっていた。例えば、うがいするだけでも1回当たりの水分摂取量は6〜10mLとも言われている。
口渇感をいやす方法としては、水分を直接摂取するか、唾液分泌を促進して口腔内を潤す方法が考えられる。通常の清涼飲料水は糖分および塩分を含むものが殆どであるが、これらの糖分および塩分は口渇感を助長することが多い。また、唾液分泌能が低下または喪失している患者に対して用いられるものとして人工唾液が知られているが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、リン酸二カリウムなどの無機塩類を配合したものであり、この様な無機塩類は、血液の浸透圧を上昇させ、さらに口渇感を増大させる。従って、本発明のような水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤としては使用できない。
これまで、唾液の分泌促進剤として、4〜70重量%のキシリトールを含有する可食組成物(下記文献1参照)が報告されているが、この組成物は口腔乾燥患者へ使用し、咀嚼することにより一時的に唾液分泌を促進させて口腔内の乾燥を防止するもので、作用持続時間は1〜5分程度であればよいとされており、日常的に水分の摂取量を調整する必要のある患者に使用し効果を発揮するものではない。さらに、文献1では、キシリトールの含有量が4重量%より少ない場合は唾液分泌促進作用を有しないため、4〜70重量%のキシリトールを含有する必要があると報告されている。しかしながら、このような高濃度の糖アルコールを摂取した場合は逆に口渇感を上昇させることもあり、本発明のような水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤としては使用できない。
口腔等の乾燥を改善するためのものとして、その他にもヒアルロン酸またはその塩を含むものがいくつか知られている。
例えば、口腔乾燥に起因する諸症状を改善するための人工唾液に添加するための添加剤として、ヒアルロン酸またはその薬理学的に許容される塩を含む添加剤および該添加剤を含有する人工唾液が報告されている。(下記文献2参照)。しかしながら、文献2で報告されているのは、口腔内乾燥症患者に対する口腔内諸症状緩和の為に用いる人工唾液に添加するための添加剤、もしくはその添加剤を含有する人工唾液であり、本発明のように水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取調整剤では無い。
人工唾液とは、例えば、老人性、薬物、疾患または放射線照射などによる口腔乾燥症、シェーグレン症候群などのような、唾液分泌量が低下または唾液をほとんど分泌しない患者に対して、食事または会話等における障害を緩和するために適用されるものであり、本発明のように、透析患者などに対して「水分摂取量調整」のために適用されるものではない。
また、文献2の人工唾液または人工唾液用添加剤は、無機塩類に対する制限は全くなく、むしろ、無機塩類を含むものが推奨されている。すなわち、添加剤に含有されるヒアルロン酸またはその薬理学的に許容される塩としては、ヒアルロン酸ナトリウムが好ましいとされており、さらに人工唾液の組成としては、ヒアルロン酸ナトリウムと、従来の人工唾液の成分である塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、リン酸二カリウムを含む組成が好ましいとされている。
このような無機塩類を含有する組成物を、体内の電解質バランスが崩れている患者に対して用いることは血液の浸透圧を上昇させ、さらに口渇感を増大させるため、本発明のように水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取調整剤としては使用できないばかりでなく、ナトリウム、カリウム、リン等の塩の摂取量が厳しく制限されている腎臓機能低下患者に使用することは好ましくない。
このように文献2の人工唾液用の添加剤および該添加剤を含有する人工唾液の発明は、本願の水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤の発明とは目的、構成、効果が異なるものであり、本願発明を示唆するものでもない。
また、口腔内の乾燥を抑え保湿するための洗口液として、ヒアルロン酸ナトリウムおよびキシリトールを含有する液剤〔商品名:絹水(登録商標)またはオーラルウェット〕が市販されている。この液剤は、口腔乾燥患者の口腔内の不快感の緩和、口臭抑制、虫歯予防などを目的として使用されているものであり、「適量を口に含んで、約20〜30秒ほど漱いでから吐き出すように」との注意書きがあるように、飲用ではない。また、主成分のヒアルロン酸ナトリウム以外にも、安息香酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウムを含有しているが、上述のようにこのような塩類は、本発明のように水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤としては使用できない。
さらに、鼻腔、口腔および咽頭粘膜の乾燥防止用組成物として、ヒアルロン酸などの保湿剤と界面活性剤を水に配合してなる組成物が報告されている(下記文献3参照)。この文献3の組成物は、鼻腔に注入若しくは滴下するか、または口腔内に含んでうがいをすることにより鼻腔、口腔または咽頭粘膜の乾燥を防止するものであり、上記の洗口液と同様に飲用ではない。また、例えば、口腔乾燥に用いる場合、一時的に喉のかわきを改善するのみで、日常的に水分の摂取量を調整する必要のある患者に使用し効果を発揮するものではない。さらにうがいにより喉のかわきが改善されたとしても、前述のように1回うがいをするだけで6〜10mLの水分を摂取してしまうので、本発明の様に10mL単位で水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤としては好ましくない。
その他にも、皮膚若しくは粘膜の湿潤化剤または経皮吸収剤の基材などとして有用な、生体または粘膜付着性の組成物として、ポリエチレングリコールなどの合成ポリマーとヒアルロン酸などの天然ポリマーを含有する組成物が報告されている(下記文献4参照)。しかしながら、この組成物は、保湿剤の上皮組織、粘膜組織への定着を向上させることを目的したもので、本発明のように水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤とは目的、構成、効果が全く異なるものである。
水分摂取量を制限されている患者においては、直接水分を摂取することなく口渇感をなくして水分摂取量を少なくする事ができる水分摂取量調整剤が望まれるが、これまでそのようなものは報告されていない。
文献1:特許第2896211号公報
文献2:国際公開第00/56344号パンフレット
文献3:特開昭61−024510号公報
文献4:国際公開第96/03973号パンフレット
しかし、透析患者は現実には限度以上に水分を摂取することが多く、その結果、ドライウェイトの5%以上まで体重が増加してしまうという問題を生じがちであった。さらに、水分を摂取し過ぎた場合、体重が増加し過ぎないよう食事を減らしウェイトコントロールすることがあるが、これは、計画的な食餌療法の実施に支障をきたし、また、必要なカロリーを摂取することができないという問題を生じることになる。
このように、透析患者にとって水分摂取量の調整はきわめて重要であるが、これまで、このような水分摂取量が制限されている患者用の水分摂取調整剤は知られていないため、実際の口渇時には、何らかの形で直接水分を摂取する以外になかった。そのため、水分摂取量調整の重要性を認識しつつも、相当量の水分を摂取する結果となっていた。例えば、うがいするだけでも1回当たりの水分摂取量は6〜10mLとも言われている。
口渇感をいやす方法としては、水分を直接摂取するか、唾液分泌を促進して口腔内を潤す方法が考えられる。通常の清涼飲料水は糖分および塩分を含むものが殆どであるが、これらの糖分および塩分は口渇感を助長することが多い。また、唾液分泌能が低下または喪失している患者に対して用いられるものとして人工唾液が知られているが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、リン酸二カリウムなどの無機塩類を配合したものであり、この様な無機塩類は、血液の浸透圧を上昇させ、さらに口渇感を増大させる。従って、本発明のような水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤としては使用できない。
これまで、唾液の分泌促進剤として、4〜70重量%のキシリトールを含有する可食組成物(下記文献1参照)が報告されているが、この組成物は口腔乾燥患者へ使用し、咀嚼することにより一時的に唾液分泌を促進させて口腔内の乾燥を防止するもので、作用持続時間は1〜5分程度であればよいとされており、日常的に水分の摂取量を調整する必要のある患者に使用し効果を発揮するものではない。さらに、文献1では、キシリトールの含有量が4重量%より少ない場合は唾液分泌促進作用を有しないため、4〜70重量%のキシリトールを含有する必要があると報告されている。しかしながら、このような高濃度の糖アルコールを摂取した場合は逆に口渇感を上昇させることもあり、本発明のような水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤としては使用できない。
口腔等の乾燥を改善するためのものとして、その他にもヒアルロン酸またはその塩を含むものがいくつか知られている。
例えば、口腔乾燥に起因する諸症状を改善するための人工唾液に添加するための添加剤として、ヒアルロン酸またはその薬理学的に許容される塩を含む添加剤および該添加剤を含有する人工唾液が報告されている。(下記文献2参照)。しかしながら、文献2で報告されているのは、口腔内乾燥症患者に対する口腔内諸症状緩和の為に用いる人工唾液に添加するための添加剤、もしくはその添加剤を含有する人工唾液であり、本発明のように水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取調整剤では無い。
人工唾液とは、例えば、老人性、薬物、疾患または放射線照射などによる口腔乾燥症、シェーグレン症候群などのような、唾液分泌量が低下または唾液をほとんど分泌しない患者に対して、食事または会話等における障害を緩和するために適用されるものであり、本発明のように、透析患者などに対して「水分摂取量調整」のために適用されるものではない。
また、文献2の人工唾液または人工唾液用添加剤は、無機塩類に対する制限は全くなく、むしろ、無機塩類を含むものが推奨されている。すなわち、添加剤に含有されるヒアルロン酸またはその薬理学的に許容される塩としては、ヒアルロン酸ナトリウムが好ましいとされており、さらに人工唾液の組成としては、ヒアルロン酸ナトリウムと、従来の人工唾液の成分である塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、リン酸二カリウムを含む組成が好ましいとされている。
このような無機塩類を含有する組成物を、体内の電解質バランスが崩れている患者に対して用いることは血液の浸透圧を上昇させ、さらに口渇感を増大させるため、本発明のように水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取調整剤としては使用できないばかりでなく、ナトリウム、カリウム、リン等の塩の摂取量が厳しく制限されている腎臓機能低下患者に使用することは好ましくない。
このように文献2の人工唾液用の添加剤および該添加剤を含有する人工唾液の発明は、本願の水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤の発明とは目的、構成、効果が異なるものであり、本願発明を示唆するものでもない。
また、口腔内の乾燥を抑え保湿するための洗口液として、ヒアルロン酸ナトリウムおよびキシリトールを含有する液剤〔商品名:絹水(登録商標)またはオーラルウェット〕が市販されている。この液剤は、口腔乾燥患者の口腔内の不快感の緩和、口臭抑制、虫歯予防などを目的として使用されているものであり、「適量を口に含んで、約20〜30秒ほど漱いでから吐き出すように」との注意書きがあるように、飲用ではない。また、主成分のヒアルロン酸ナトリウム以外にも、安息香酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウムを含有しているが、上述のようにこのような塩類は、本発明のように水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤としては使用できない。
さらに、鼻腔、口腔および咽頭粘膜の乾燥防止用組成物として、ヒアルロン酸などの保湿剤と界面活性剤を水に配合してなる組成物が報告されている(下記文献3参照)。この文献3の組成物は、鼻腔に注入若しくは滴下するか、または口腔内に含んでうがいをすることにより鼻腔、口腔または咽頭粘膜の乾燥を防止するものであり、上記の洗口液と同様に飲用ではない。また、例えば、口腔乾燥に用いる場合、一時的に喉のかわきを改善するのみで、日常的に水分の摂取量を調整する必要のある患者に使用し効果を発揮するものではない。さらにうがいにより喉のかわきが改善されたとしても、前述のように1回うがいをするだけで6〜10mLの水分を摂取してしまうので、本発明の様に10mL単位で水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤としては好ましくない。
その他にも、皮膚若しくは粘膜の湿潤化剤または経皮吸収剤の基材などとして有用な、生体または粘膜付着性の組成物として、ポリエチレングリコールなどの合成ポリマーとヒアルロン酸などの天然ポリマーを含有する組成物が報告されている(下記文献4参照)。しかしながら、この組成物は、保湿剤の上皮組織、粘膜組織への定着を向上させることを目的したもので、本発明のように水分摂取量を制限されている患者用の水分摂取量調整剤とは目的、構成、効果が全く異なるものである。
水分摂取量を制限されている患者においては、直接水分を摂取することなく口渇感をなくして水分摂取量を少なくする事ができる水分摂取量調整剤が望まれるが、これまでそのようなものは報告されていない。
文献1:特許第2896211号公報
文献2:国際公開第00/56344号パンフレット
文献3:特開昭61−024510号公報
文献4:国際公開第96/03973号パンフレット
本発明者等は、上記課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、糖アルコールおよびヒアルロン酸を使用し、特定の濃度および比率で組み合わせた水溶液を口腔内に噴霧することにより、水分摂取量の調整が容易になるというこれまで知られてなかった新たな知見を得て本発明を成した。
本発明は、水分摂取量を制限されている患者、特に透析を実施している患者が、体重の増加を監視しながら、水分の摂取量を容易にコントロールできる水分摂取量調整用噴霧剤を提供するものである。具体的には、直接水分を摂取することなく口渇感を抑え、一回当たりの水分摂取量を少なく、かつ一日の水分摂取の回数も少なくすることができる、水分摂取量調整用噴霧剤を提供するものである。
すなわち、本発明は糖アルコールとヒアルロン酸を有効成分とするものであり、pH調整剤としてのリン酸ナトリウムやリン酸二ナトリウムなど、保存剤としての安息香酸ナトリウムなどのような無機塩類を全く含有していない。得られる水溶液は、噴霧剤とすることにより細かい霧状に口腔内へ適用することが可能で、万遍なく有効成分を行き渡らせることができる。そのため少量で効果を発揮し、透析を実施している患者に使用することにより、一回に摂取する水分量を少なく、かつ一日の水分摂取の回数を少なくすることが可能で、これにより水分摂取量の調整が容易になり水分摂取総量を少なくすることができるという一連の知見により成された水分摂取量調整用噴霧剤である。
糖アルコールとしては、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等から選ばれる1種または2種以上の混合物として用いることができる。糖アルコールはヒアルロン酸とともに、1〜15重量%で用いるのが好ましく、中でもキシリトールとマルチトールの混合物を1〜15重量%で用いるのが好ましく、キシリトールは3重量%以下で用いるのが最も好ましい。糖アルコールが15重量%より濃い場合は口渇感をさらに助長し水分摂取量が増加するため好ましくない。
本発明で用いるヒアルロン酸は食品や医薬品の成分として通常使用されているものであれば特に制限なく使用することができるが、分子量約10万〜800万程度のものが好ましい。また、ヒアルロン酸は微生物発酵により得られたものや、動物の関節液やニワトリの鶏冠などから単離されたような自然界から単離されたものに限らず、合成により得られたものでも良い。ヒアルロン酸の配合量は、0.01〜1重量%で使用するのが好ましく、1重量%より濃い場合は、口渇感がさらに助長され水分摂取量が増加するため好ましくない。また、ヒアルロン酸の塩(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム塩など)は血液の浸透圧を上昇させ、口渇感を助長させるため好ましくない。
本発明の水分摂取量調整用噴霧剤には、必要に応じ酸味料、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、乳酸等から選ばれる1種または2種以上の混合物を添加することができる。酸味料を添加する場合は糖アルコール、ヒアルロン酸とともに0.1〜2重量%で用いるのが好ましく、2重量%より濃い場合は口腔内粘膜を刺激したり、口渇感をさらに助長し水分摂取量が増加するため好ましくない。
その他、本発明の水分摂取量調整用噴霧剤には、通常の噴霧剤に添加される保存料(例えば、安息香酸、グリセリン、ソルビン酸、ポリリジンなど)、界面活性剤(ラウリル硫酸、グリセリン脂肪酸エステルなど)、溶解補助剤(エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、着色料(紅花色素、クチナシ色素などの天然色素や、青色1号、黄色4号などの合成着色料)または香料等から、1種または2種以上を本発明の効果を妨げない範囲内の量で目的に応じて添加することができるが、できるだけ最小限に抑えるほうが好ましい。また、塩類の添加剤は口渇感をさらに助長するため使用しない方が好ましい。
本発明における水分摂取量調整用噴霧剤とは、口腔内または咽頭内に使用する噴霧剤を意味し、使用する時に液剤を霧状にして口腔内または咽頭内に万遍なく行き渡らせられるものであればどのような形態でもよく、スプレー剤、エアゾール剤などが含まれる。
本発明の水分摂取量調整用噴霧剤の使用回数、使用量は、症状、性別および年齢にもよるが、一回につき0.2〜1mL程度を一日あたり2〜8回程度使用することが好ましい。
本発明の水分摂取量調整用噴霧剤は、1回当たりの水分摂取量を低減、かつ水分摂取回数を減らし、水分摂取総量を少なく調整できるという効果を有するものであるので、まだ透析を実施する以前の水分摂取量を制限されている腎機能低下患者にも使用することができる。
本発明の水溶性製剤の製造方法は特に限定されるものではなく、製剤学的に慣用されている製剤技術を用いて製造することができる。例えばその一例として、適当量の精製水に糖アルコール、ヒアルロン酸および必要に応じて他の成分を順次加え撹拌溶解した後、精製水にて所望量になるようメスアップした後、必要に応じ加熱滅菌を施し、得られる水溶液を、例えば液圧式のスプレーノズルを備えたボトル容器に充填し、本発明の噴霧剤を製することができる。
本発明は、水分摂取量を制限されている患者、特に透析を実施している患者が、体重の増加を監視しながら、水分の摂取量を容易にコントロールできる水分摂取量調整用噴霧剤を提供するものである。具体的には、直接水分を摂取することなく口渇感を抑え、一回当たりの水分摂取量を少なく、かつ一日の水分摂取の回数も少なくすることができる、水分摂取量調整用噴霧剤を提供するものである。
すなわち、本発明は糖アルコールとヒアルロン酸を有効成分とするものであり、pH調整剤としてのリン酸ナトリウムやリン酸二ナトリウムなど、保存剤としての安息香酸ナトリウムなどのような無機塩類を全く含有していない。得られる水溶液は、噴霧剤とすることにより細かい霧状に口腔内へ適用することが可能で、万遍なく有効成分を行き渡らせることができる。そのため少量で効果を発揮し、透析を実施している患者に使用することにより、一回に摂取する水分量を少なく、かつ一日の水分摂取の回数を少なくすることが可能で、これにより水分摂取量の調整が容易になり水分摂取総量を少なくすることができるという一連の知見により成された水分摂取量調整用噴霧剤である。
糖アルコールとしては、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトール等から選ばれる1種または2種以上の混合物として用いることができる。糖アルコールはヒアルロン酸とともに、1〜15重量%で用いるのが好ましく、中でもキシリトールとマルチトールの混合物を1〜15重量%で用いるのが好ましく、キシリトールは3重量%以下で用いるのが最も好ましい。糖アルコールが15重量%より濃い場合は口渇感をさらに助長し水分摂取量が増加するため好ましくない。
本発明で用いるヒアルロン酸は食品や医薬品の成分として通常使用されているものであれば特に制限なく使用することができるが、分子量約10万〜800万程度のものが好ましい。また、ヒアルロン酸は微生物発酵により得られたものや、動物の関節液やニワトリの鶏冠などから単離されたような自然界から単離されたものに限らず、合成により得られたものでも良い。ヒアルロン酸の配合量は、0.01〜1重量%で使用するのが好ましく、1重量%より濃い場合は、口渇感がさらに助長され水分摂取量が増加するため好ましくない。また、ヒアルロン酸の塩(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム塩など)は血液の浸透圧を上昇させ、口渇感を助長させるため好ましくない。
本発明の水分摂取量調整用噴霧剤には、必要に応じ酸味料、例えば、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、乳酸等から選ばれる1種または2種以上の混合物を添加することができる。酸味料を添加する場合は糖アルコール、ヒアルロン酸とともに0.1〜2重量%で用いるのが好ましく、2重量%より濃い場合は口腔内粘膜を刺激したり、口渇感をさらに助長し水分摂取量が増加するため好ましくない。
その他、本発明の水分摂取量調整用噴霧剤には、通常の噴霧剤に添加される保存料(例えば、安息香酸、グリセリン、ソルビン酸、ポリリジンなど)、界面活性剤(ラウリル硫酸、グリセリン脂肪酸エステルなど)、溶解補助剤(エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、着色料(紅花色素、クチナシ色素などの天然色素や、青色1号、黄色4号などの合成着色料)または香料等から、1種または2種以上を本発明の効果を妨げない範囲内の量で目的に応じて添加することができるが、できるだけ最小限に抑えるほうが好ましい。また、塩類の添加剤は口渇感をさらに助長するため使用しない方が好ましい。
本発明における水分摂取量調整用噴霧剤とは、口腔内または咽頭内に使用する噴霧剤を意味し、使用する時に液剤を霧状にして口腔内または咽頭内に万遍なく行き渡らせられるものであればどのような形態でもよく、スプレー剤、エアゾール剤などが含まれる。
本発明の水分摂取量調整用噴霧剤の使用回数、使用量は、症状、性別および年齢にもよるが、一回につき0.2〜1mL程度を一日あたり2〜8回程度使用することが好ましい。
本発明の水分摂取量調整用噴霧剤は、1回当たりの水分摂取量を低減、かつ水分摂取回数を減らし、水分摂取総量を少なく調整できるという効果を有するものであるので、まだ透析を実施する以前の水分摂取量を制限されている腎機能低下患者にも使用することができる。
本発明の水溶性製剤の製造方法は特に限定されるものではなく、製剤学的に慣用されている製剤技術を用いて製造することができる。例えばその一例として、適当量の精製水に糖アルコール、ヒアルロン酸および必要に応じて他の成分を順次加え撹拌溶解した後、精製水にて所望量になるようメスアップした後、必要に応じ加熱滅菌を施し、得られる水溶液を、例えば液圧式のスプレーノズルを備えたボトル容器に充填し、本発明の噴霧剤を製することができる。
本発明の内容を以下の実施例、比較例および試験例でさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
マルチトール(90.0g)、キシリトール(30.0g)、ヒアルロン酸(分子量約200万、1.0g)、クエン酸(1.0g)、アスコルビン酸(9.0g)、グリセリン(20.0g)および安息香酸(0.6g)を500mLの精製水に撹拌下溶解させた後、精製水を加えて1000mLとなるようメスアップした後、110℃にて10分間加熱滅菌した。得られた水溶液(30mL)を、容量50mL、一回のスプレー液量約0.1mLの液圧式スプレーノズルを備えたポリエチレン製容器に充填し、本発明の噴霧剤を製した。
マルチトール(90.0g)、キシリトール(30.0g)、ヒアルロン酸(分子量約200万、1.0g)、クエン酸(8.0g)、グリセリン(20.0g)および安息香酸(0.6g)を500mLの精製水に撹拌下溶解させた後、精製水を加えて1000mLとなるようメスアップした後、110℃にて10分間加熱滅菌した。得られた水溶液(30mL)を、容量50mL、一回のスプレー液量約0.1mLの液圧式スプレーノズルを備えたポリエチレン製容器に充填し、本発明の噴霧剤を製した。
比較例1
キシリトール(30.0g)、マルチトール(90.0g)、グリセリン(20.0g)および安息香酸(0.6g)を500mLの精製水に撹拌下溶解させた後、精製水を加えて1000mLとなるようメスアップした後、110℃にて10分間加熱滅菌した。得られた水溶液(30mL)を、容量50mL、一回のスプレー液量約0.1mLの液圧式スプレーノズルを備えたポリエチレン製容器に充填し、噴霧剤を製した。
比較例2
マルチトール(90.0g)、クエン酸(1.0g)、アスコルビン酸(9.0g)、グリセリン(20.0g)および安息香酸(0.6g)を500mLの精製水に撹拌下溶解させた後、精製水を加えて1000mLとなるようメスアップした後、110℃にて10分間加熱滅菌した。得られた水溶液(30mL)を、一回のスプレー液量約0.1mLの液圧式スプレーノズルを備えたポリエチレン製容器に充填し、噴霧剤を製した。
試験例
実施例1および比較例1〜2で得られた噴霧剤を、それぞれ7日間ずつ、同一の被験者に、水分を摂取したいと感じた場合に使用してもらい、その期間中の水分摂取状況を試験した。水分摂取時は同じコップを使用し、水、ジュース、お茶等の液体飲料の摂取量の合計を水分摂取総量とした。また、全ての試験期間中の食事の際にみそ汁、スープ等の汁物は摂取しなかった。また、全ての試験期間中に運動は一切行わなかった。
7日間の試験終了後、水分摂取の回数と水分摂取総量より一回当たりの水分摂取量の平均値を、それぞれの噴霧剤について計算し、試験期間中の水分摂取回数および水分摂取総量と合わせ表1に示した。尚、何も処置しない場合を未処置とした。
被験者は慢性糸球体腎炎を患っており、現在無尿状態を示す透析歴3年、年齢40歳の男性である。現在、一日平均1040mLの水分を摂取しており(7日間摂取総量7280mL)、医師より水分摂取量をもっと少なくするよう指導されている。
本発明の噴霧剤の使用により、一回当たりの水分摂取量を少なくすることができると同時に水分摂取回数を少なくすることができ、水分摂取総量を少なく調整することができた。
比較例1
キシリトール(30.0g)、マルチトール(90.0g)、グリセリン(20.0g)および安息香酸(0.6g)を500mLの精製水に撹拌下溶解させた後、精製水を加えて1000mLとなるようメスアップした後、110℃にて10分間加熱滅菌した。得られた水溶液(30mL)を、容量50mL、一回のスプレー液量約0.1mLの液圧式スプレーノズルを備えたポリエチレン製容器に充填し、噴霧剤を製した。
比較例2
マルチトール(90.0g)、クエン酸(1.0g)、アスコルビン酸(9.0g)、グリセリン(20.0g)および安息香酸(0.6g)を500mLの精製水に撹拌下溶解させた後、精製水を加えて1000mLとなるようメスアップした後、110℃にて10分間加熱滅菌した。得られた水溶液(30mL)を、一回のスプレー液量約0.1mLの液圧式スプレーノズルを備えたポリエチレン製容器に充填し、噴霧剤を製した。
試験例
実施例1および比較例1〜2で得られた噴霧剤を、それぞれ7日間ずつ、同一の被験者に、水分を摂取したいと感じた場合に使用してもらい、その期間中の水分摂取状況を試験した。水分摂取時は同じコップを使用し、水、ジュース、お茶等の液体飲料の摂取量の合計を水分摂取総量とした。また、全ての試験期間中の食事の際にみそ汁、スープ等の汁物は摂取しなかった。また、全ての試験期間中に運動は一切行わなかった。
7日間の試験終了後、水分摂取の回数と水分摂取総量より一回当たりの水分摂取量の平均値を、それぞれの噴霧剤について計算し、試験期間中の水分摂取回数および水分摂取総量と合わせ表1に示した。尚、何も処置しない場合を未処置とした。
被験者は慢性糸球体腎炎を患っており、現在無尿状態を示す透析歴3年、年齢40歳の男性である。現在、一日平均1040mLの水分を摂取しており(7日間摂取総量7280mL)、医師より水分摂取量をもっと少なくするよう指導されている。
本発明の噴霧剤の使用により、一回当たりの水分摂取量を少なくすることができると同時に水分摂取回数を少なくすることができ、水分摂取総量を少なく調整することができた。
本発明の噴霧剤を用いることにより、必要以上に水分を摂取することがなくなった。そのため、透析困難症を伴わずに透析を実施できる上、水分摂取過多による体重増加を気にせず必要なカロリーを十分摂取できるようになり、食餌療法を実施している患者でも安心して使用することのできる水分摂取量調整用噴霧剤である。
Claims (6)
- 糖アルコールおよびヒアルロン酸を含有する水分摂取量調整用噴霧剤。
- 糖アルコール1〜15重量%およびヒアルロン酸0.01〜1重量%を含有する請求項1記載の噴霧剤。
- 糖アルコールがマルチトール、キシリトールから選ばれる1種または2種の混合物である請求項1または2記載の噴霧剤。
- 酸味料をさらに含有する請求項1〜3記載の噴霧剤。
- 酸味料がクエン酸、アスコルビン酸から選ばれる1種または2種以上の混合物である請求項4記載の噴霧剤。
- 透析患者の水分摂取量調整用である請求項1〜5記載の噴霧剤。
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