JPWO2004001397A1 - 脂環式構造含有重合体樹脂製容器及びそれを用いる光学的分析方法 - Google Patents
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Abstract
底部及び側壁部からなる光学分析用容器であって、前記底部及び側壁部は脂環式構造含有重合体樹脂からなり、前記底部及び側壁部と測定対象物質との接触する部分の内、光学分析のための光が透過する部分の表面粗さRaが1μm以下である光学分析用容器。
Description
本発明は、脂環式構造含有重合体樹脂製容器及びそれを用いる光学的分析方法に関し、さらに詳しくは、従来のものよりも優れた測定精度を得ることができ、かつ繰り返し使用の可能な脂環式構造含有重合体樹脂製の容器及びそれを用いる光学的分析方法に関する。
DNAやRNAの分析においては、従来石英製のセルが使用されている。石英製のセルは、高価であるため、洗浄して繰り返し使用されるが、耐衝撃性が低く落下により壊れるため取り扱いが非常に難しい。そのため、石英よりも価格が比較的安価なセルが求められている。このような観点から、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子材料が採用されている。これらの高分子材料は、一般に、紫外線領域において吸収があるため、これらで作成されたセルを用いて、吸光度分析法等で、対象物質の純度などを測定しても、正確な測定値が得られなかった。加えて、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)は、吸水性、射出成形時の加水分解性が高く、複屈折が大きい等の問題があった。さらに、例えばPMMAは280℃という比較的低い温度で解重合に基づく分解反応が起こるように熱安定性が低いので、セル本体がモノマーを比較的多く含有する問題がある。
特開平8−136446号公報には、環状オレフィン系樹脂から形成された分析セルが提案されている。さらに、特開2000−39420号公報には、1,3−シクロヘキサジエン(CHD)またはCHD誘導体からなる単独重合体及びこれらと共重合可能な他の単量体との共重合体を水素添加した重合体が開示され、その重合体を射出成形して樹脂製マイクロチップを得ることが提案されている。
また、光学分析分野では、紫外線の波長領域(240〜400nm)で、繰り返し使用しても高い測定精度の分析を維持することができる分析用容器が求められている。特に、DNAやRNAの分析においては、繰り返し使用する場合には、DNAやRNA内に含まれている蛋白質などをアルカリで洗浄して除去している。しかしながら、上記公報で得られる容器を使用しても、繰り返し使用に耐えることができず、かつこれを用いて分析を行っても測定精度が低いという問題がある。
特開平8−136446号公報には、環状オレフィン系樹脂から形成された分析セルが提案されている。さらに、特開2000−39420号公報には、1,3−シクロヘキサジエン(CHD)またはCHD誘導体からなる単独重合体及びこれらと共重合可能な他の単量体との共重合体を水素添加した重合体が開示され、その重合体を射出成形して樹脂製マイクロチップを得ることが提案されている。
また、光学分析分野では、紫外線の波長領域(240〜400nm)で、繰り返し使用しても高い測定精度の分析を維持することができる分析用容器が求められている。特に、DNAやRNAの分析においては、繰り返し使用する場合には、DNAやRNA内に含まれている蛋白質などをアルカリで洗浄して除去している。しかしながら、上記公報で得られる容器を使用しても、繰り返し使用に耐えることができず、かつこれを用いて分析を行っても測定精度が低いという問題がある。
本発明の目的は、繰り返し使用しても紫外線の波長領域において優れた測定精度を得ることができる容器及びそれを用いた光学的分析方法を提供することにある。
本発明者らは、容器の繰り返し使用による測定精度の低下について検討をした結果、測定対象物質との接触面の表面粗さを特定の値にした脂環式構造含有重合体樹脂製容器を用いることにより、測定精度が格段に高くなり、繰り返し使用しても測定精度の低下が小さいことを見出し、かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、
(1)底部及び側壁部からなる光学分析用容器であって、前記底部及び側壁部は脂環式構造含有重合体樹脂からなり、前記底部及び側壁部と測定対象物質との接触面の内、光学分析のための光が透過する部分の表面粗さRaが1μm以下である光学分析用容器、
(2)前記底部及び側壁部の肉厚が3mm以下である前記(1)記載の容器、
(3)前記底部及び側壁部の内、光学分析のための光が透過しない部分の表面粗さRaが1μm以下である前記(1)記載の容器、
(4)前記肉厚の時の、波長240〜400nmにおける吸光度が0.4以下である前記(2)記載の容器、
(5)前記脂環式構造含有重合体が、ノルボルネン系重合体又はその水素添加物である前記(1)記載の容器、
(6)前記脂環式構造含有重合体樹脂が、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物である前記(1)記載の容器、
(7)前記脂環式構造含有重合体樹脂中の残留金属含有量が100ppm以下である前記(1)記載の容器、
(8)測定対象物質がDNA又はRNAを含むものである前記(1)記載の容器、
(9)マルチウェルプレートである前記(1)記載の容器、
(10)測定対象物質の光学的分析を行う方法であって、底部及び側壁部からなる容器であって、前記底面及び側壁面は脂環式構造含有重合体樹脂からなり、前記底部及び側壁部と測定対象物質との接触面の表面粗さRaが1μm以下である容器に測定対象物質を入れ、波長240〜400nmの光線を用いて測定対象物質の光学的分析を行う方法、及び
(11)測定対象物質がDNA又はRNAを含むものである前記(10)記載の分析方法がそれぞれ提供される。
本発明の容器は、紫外線の波長領域の吸光度が小さく、かつアルカリ洗浄前後における吸光度の変化がほとんどないので、繰り返し使用することができる。また、本発明の容器を用いれば、紫外線の波長領域での光学的分析を精度よくかつ繰り返し行うことができる。
本発明者らは、容器の繰り返し使用による測定精度の低下について検討をした結果、測定対象物質との接触面の表面粗さを特定の値にした脂環式構造含有重合体樹脂製容器を用いることにより、測定精度が格段に高くなり、繰り返し使用しても測定精度の低下が小さいことを見出し、かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、
(1)底部及び側壁部からなる光学分析用容器であって、前記底部及び側壁部は脂環式構造含有重合体樹脂からなり、前記底部及び側壁部と測定対象物質との接触面の内、光学分析のための光が透過する部分の表面粗さRaが1μm以下である光学分析用容器、
(2)前記底部及び側壁部の肉厚が3mm以下である前記(1)記載の容器、
(3)前記底部及び側壁部の内、光学分析のための光が透過しない部分の表面粗さRaが1μm以下である前記(1)記載の容器、
(4)前記肉厚の時の、波長240〜400nmにおける吸光度が0.4以下である前記(2)記載の容器、
(5)前記脂環式構造含有重合体が、ノルボルネン系重合体又はその水素添加物である前記(1)記載の容器、
(6)前記脂環式構造含有重合体樹脂が、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物である前記(1)記載の容器、
(7)前記脂環式構造含有重合体樹脂中の残留金属含有量が100ppm以下である前記(1)記載の容器、
(8)測定対象物質がDNA又はRNAを含むものである前記(1)記載の容器、
(9)マルチウェルプレートである前記(1)記載の容器、
(10)測定対象物質の光学的分析を行う方法であって、底部及び側壁部からなる容器であって、前記底面及び側壁面は脂環式構造含有重合体樹脂からなり、前記底部及び側壁部と測定対象物質との接触面の表面粗さRaが1μm以下である容器に測定対象物質を入れ、波長240〜400nmの光線を用いて測定対象物質の光学的分析を行う方法、及び
(11)測定対象物質がDNA又はRNAを含むものである前記(10)記載の分析方法がそれぞれ提供される。
本発明の容器は、紫外線の波長領域の吸光度が小さく、かつアルカリ洗浄前後における吸光度の変化がほとんどないので、繰り返し使用することができる。また、本発明の容器を用いれば、紫外線の波長領域での光学的分析を精度よくかつ繰り返し行うことができる。
図1は、本発明の実施形態に係る容器およびこれを用いた光学的分析方法の基本構成を示す図、
図2は、本発明の実施形態に係る容器を示す斜視図、
図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。
図2は、本発明の実施形態に係る容器を示す斜視図、
図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。
図1に示すように、本発明の光学分析用容器1は、底部11及び側壁部12からなる光学分析用容器であって、前記底部11と側壁部12は脂環式構造含有重合体樹脂からなり、前記底部11及び側壁部12と測定対象物質2との接触面11a,12aの内、光学分析のための光Rが透過する部分11aの表面粗さRaが1μm以下、好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以下である。
本発明においては、前記底部11及び側壁部12と測定対象物質2との接触面には、光が透過する部分11aと光が透過しない部分12aとがあるが、光が透過しない部分12aの表面粗さRaも1μm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。容器1の測定対象物質2との接触面11a,12aの表面粗さRaを前記範囲とすることにより、アルカリ洗浄後の測定阻害物質(例えば、蛋白質)の吸着及び接触面11a,12aの変質を防ぐことができ、繰り返し用いても精度の良い測定が可能となる。なお、容器1の測定対象物質2との接触面11a,12aの表面粗さRaは、レーザー干渉型表面粗さ測定器で測定する。
本発明の容器1は、肉厚t1,t2が3mm以下であることが好ましい。またこの肉厚t1,t2の下限は、容器1の強度を考慮して適宜選定でき、通常50μmくらいである。前記肉厚t1,t2が前記範囲よりも厚いと吸光度の増大や複屈折が増加し、測定精度が低下する傾向がある。
本発明の容器1は、前記肉厚t1,t2の時の、波長240〜400nmにおける吸光度が、好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.2以下である。吸光度を前記範囲とすることにより、測定精度を向上させることができる。
本発明の容器1を製造するために使用する脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を含有するものであり、脂環式構造は主鎖及び側鎖のいずれにあってもよい。脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた光学分析用容器が得られる。脂環式構造を有する繰り返し単位の脂環式構造含有重合体樹脂中の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造含有重合体樹脂における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は使用目的に応じて適宜選択される。
脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体又はその水素添加物が好ましい。
(1)ノルボルネン系重合体
本発明の容器を製造するためのノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、これらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ〔4.3.01,6.12,5〕−デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体、などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基などが例示でき、上記ノルボルネン系モノマーは、これら置換基を2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル基−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
これらノルボルネン系モノマーの開環重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、モノマー成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素添加することにより得ることができる。
ノルボルネン系モノマーの付加重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加(共)重合体は、これらのモノマーを、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて(共)重合させて得ることができる。
ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
これらの、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などを用いることができる。
本発明の容器を製造するためのノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体又は環状共役ジエン系重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、容器の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素化物;などが挙げられ、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素添加物など、いずれでもよい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられ、特に制限はない。
本発明の容器を製造するために使用するビニル脂環式炭化水素重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000の範囲であるときに、容器の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
本発明の容器を製造するために使用する脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃〜170℃の範囲である。ガラス転移温度が低いと高温下で変形しやすく、高いと加工性が低下したり、耐衝撃性が低下する傾向がある。
本発明の容器を製造するために使用する脂環式構造含有重合体樹脂中の残留金属含有量は、100ppm以下が好ましく、20ppm以下がさらに好ましい。残留金属含有量が多いと、吸光度が増大したり、加工時の劣化が促進したりする傾向がある。
脂環式構造含有重合体樹脂中の残留金属含有量を上記範囲にするためには、細孔容積0.5cm3/g以上、好ましくは0.7cm3/g以上、好ましくは比表面積250cm2/g以上の吸着剤、例えばアルミナ等の吸着剤で樹脂溶液を処理して金属原子を吸着させたり、樹脂溶液を酸性水と純水で交互に繰り返し洗浄したりすること等により、樹脂中の金属含有量を低下させることができる。特に残留しやすい重合触媒や水素添加触媒に由来する金属原子を除去するには、上記の吸着材にニッケル等の水素添加触媒金属を担持させた不均一系触媒を用いて重合体を水素添加すると、重合触媒金属由来の金属原子残渣を吸着するとともに、水素添加触媒金属が濾過により吸着材と共に容易に除去できる。
本発明の容器は、前記脂環構造含有重合体樹脂又は、所望により添加剤を配合した樹脂組成物を配合してペレット状にし、そのペレットを成形機に供給した後、所望の形状に成形して得ることができる。成形方法としては、押出成形、射出成形、射出圧縮成形、射出ブロー成形、ダイレクトブロー成形、圧縮成形、プレス成形、真空成形などの加熱溶融成形が挙げられるが、特に限定されない。また、本発明の容器を成形するときは、一体成形でもよいし、二色成形でもよい。
添加剤としては、容器の特性を達成させる上で支障のない限り、公知の酸化防止剤、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などを添加しても良い。これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部に対して通常3重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
上記成形方法で本発明の容器を成形する際、例えば、射出成形やブロー成形する場合、脂環式構造含有重合体樹脂を成形機内のホッパーに入れ、その後、該樹脂をシリンダー内で加熱溶融し、それを、射出金型及び/又はブロー金型のキャビティ内に充填して成形する。このときのシリンダー内の加工温度の最高値を、(加工温度の最高値−樹脂の酸化開始温度)が120℃以下になるように設定することが好ましい。前記加工温度の最高値を前記範囲となるように設定することにより、樹脂加工時の変色などの劣化を防ぐことができる。
本発明において、容器の表面粗さRaを1μm以下にするためには、容器を成形する際に使用する金型の鏡面磨きを行って金型自体の表面粗さを小さくする方法が挙げられる。まず金型を粗加工して形状を得た後,自動研磨機により,所定時間研磨を行った後,表面粗さを測定するという作業を繰り返しながら,所望の精度が得られるまでこの作業を繰り返す。面粗さの粗いうちは,砥粒径は1〜10μm程度の比較的大きな粒径のものを使用し、面粗さが小さくなってからは1μm以下の砥粒を使用すると,より早い時間で所望の面粗さが得られやすい。また,金型面を正確に転写させるために,金型温度を、(使用する樹脂のガラス転移温度−30)℃以上とするのが好ましい。
また、本発明の容器を成形する際に、樹脂を加工するための成形機のホッパー内に窒素などの不活性なガスを流通させておくと、得られる容器の波長240〜400nmにおける吸光度を向上することができるので好ましい。
本発明の容器1の形状は、上記要件を満たすものであれば特に限定されない。例えば、セル、マルチウェルプレート、細口瓶、広口瓶、又はこれらを組み合わせたものなどが挙げられる。中でも、セルやマルチウェルプレートが好ましい。セルやマルチウェルプレートの形状は、円柱状や角柱状のものなど挙げられるがこれに限定されない。
図2および図3にマルチウェルプレートの一例を示す。本例のマルチウェルプレート100は、矩形状の枠体120の内部に、底面111と側壁面112とを有するウェル101が縦横に配置されている。各ウェル101および枠体120が十字状のリブ121で接続されることで、マルチウェルプレート100が一体化されている。そして、測定対象物質2は各ウェル101内に投入される。このようなマルチウェルプレート100も本発明の容器に含まれる。なお、後述する96ウェルとは、ウェル101を例えば8列×12行に配置して96個としたマルチウェルプレート100である。
本発明の容器は、特に波長240〜400nmに吸収を持つDNAやRNAなどの核酸の濃度や純度などを測定するための容器として好適である。
本発明の分析方法は、測定対象物質の光学的分析を行う方法であって、図1に示すように底部11及び側壁部12からなる容器1であって、前記底面11と側壁面12は脂環式構造含有重合体樹脂からなり、前記底部11及び側壁部12と測定対象物質2との接触面11a,12a(少なくとも接触面11a)の表面粗さRaが1μm以下である容器1に測定対象物質2を入れ、波長240〜400nmの光線Rを用いて測定対象物質の光学的分析を行うものである。ここで、光学的分析とは、本発明の容器1に測定対象物質2を入れて、波長240〜400nmの光線Rを用いて得られる光学的特性(例えば吸光度や透過率など)を用いて、測定対象物質2の濃度や純度などの測定対象物質の特性を求めることをいう。
分析方法は、特に制限されないが、例えば吸光度を測定する場合は、前記容器に測定対象物質を入れ、その容器を紫外可視分光光度計にセットして、容器の光が透過する部分の一方に波長240〜400nmの光線を入射する。そして、容器の他の面より透過される光の強度を測定して、その光の強度から測定対象物質の吸光度を算出する。図1に示すように、光線Rは、通常、容器1の底部11又は上部から入射し、入射方向は垂直方向である。
本発明の分析方法に適用できる測定対象物質としては、波長240〜400nmの光線領域に吸収をもつものであれば、特に限定されないが、DNAやRNAなどの核酸を含むものが特に好適である。DNAやRNAは260nmに吸収極大が存在する。ここで測定対象物質は、通常は水溶液などの溶液状態のものである。
本発明の分析方法について、DNAの純度及び濃度測定方法を例にとって説明する。まず、本発明の容器に測定対象物質として、DNAを含む希釈溶液を入れる。このときの希釈倍率は特に限定されない。そして、DNAを含む希釈溶液を入れた容器を紫外可視分光光度計にセットし、波長260nm及び280nmの光線を該容器の光透過部分の一方に垂直方向に入射する。そしてそこから透過して検出される光の強度を測定し、その強度から波長260nm及び280nmでの吸光度を測定する(このときの吸光度をλ1(260)、λ1(280)とする)。また、容器のDNAを含む希釈溶液を入れない状態での前記波長での吸光度を測定しておく(このときの吸光度をλ0(260)、λ0(280)とする)。そして以下の式からDNAの純度及び濃度を算出する。
DNAの純度=
{λ1(260)−λ0(260)}/{λ1(280)−λ0(280)}
DNAの濃度(μg/ml)=
{λ1(260)−λ0(260)}×サンプル量(μg/ml)×希釈倍率(倍)
本発明においては、前記底部11及び側壁部12と測定対象物質2との接触面には、光が透過する部分11aと光が透過しない部分12aとがあるが、光が透過しない部分12aの表面粗さRaも1μm以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。容器1の測定対象物質2との接触面11a,12aの表面粗さRaを前記範囲とすることにより、アルカリ洗浄後の測定阻害物質(例えば、蛋白質)の吸着及び接触面11a,12aの変質を防ぐことができ、繰り返し用いても精度の良い測定が可能となる。なお、容器1の測定対象物質2との接触面11a,12aの表面粗さRaは、レーザー干渉型表面粗さ測定器で測定する。
本発明の容器1は、肉厚t1,t2が3mm以下であることが好ましい。またこの肉厚t1,t2の下限は、容器1の強度を考慮して適宜選定でき、通常50μmくらいである。前記肉厚t1,t2が前記範囲よりも厚いと吸光度の増大や複屈折が増加し、測定精度が低下する傾向がある。
本発明の容器1は、前記肉厚t1,t2の時の、波長240〜400nmにおける吸光度が、好ましくは0.4以下、さらに好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.2以下である。吸光度を前記範囲とすることにより、測定精度を向上させることができる。
本発明の容器1を製造するために使用する脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を含有するものであり、脂環式構造は主鎖及び側鎖のいずれにあってもよい。脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造などが挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた光学分析用容器が得られる。脂環式構造を有する繰り返し単位の脂環式構造含有重合体樹脂中の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造含有重合体樹脂における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は使用目的に応じて適宜選択される。
脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体又はその水素添加物が好ましい。
(1)ノルボルネン系重合体
本発明の容器を製造するためのノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、これらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体、ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ〔4.3.01,6.12,5〕−デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(慣用名メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体、などが挙げられる。
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基などが例示でき、上記ノルボルネン系モノマーは、これら置換基を2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル基−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
これらノルボルネン系モノマーの開環重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、モノマー成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。開環重合触媒としては、例えば、ルテニウム、オスミウムなどの金属のハロゲン化物と、硝酸塩またはアセチルアセトン化合物、及び還元剤とからなる触媒、あるいは、チタン、ジルコニウム、タングステン、モリブデンなどの金属のハロゲン化物またはアセチルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いることができる。
ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。
ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物は、通常、上記開環重合体の重合溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素添加することにより得ることができる。
ノルボルネン系モノマーの付加重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加(共)重合体は、これらのモノマーを、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて(共)重合させて得ることができる。
ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
これらの、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを付加共重合する場合は、付加共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などを用いることができる。
本発明の容器を製造するためのノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体又は環状共役ジエン系重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜200,000、より好ましくは10,000〜100,000の範囲であるときに、容器の機械的強度、及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素化物;などが挙げられ、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素添加物など、いずれでもよい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられ、特に制限はない。
本発明の容器を製造するために使用するビニル脂環式炭化水素重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000の範囲であるときに、容器の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされて好適である。
本発明の容器を製造するために使用する脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃〜170℃の範囲である。ガラス転移温度が低いと高温下で変形しやすく、高いと加工性が低下したり、耐衝撃性が低下する傾向がある。
本発明の容器を製造するために使用する脂環式構造含有重合体樹脂中の残留金属含有量は、100ppm以下が好ましく、20ppm以下がさらに好ましい。残留金属含有量が多いと、吸光度が増大したり、加工時の劣化が促進したりする傾向がある。
脂環式構造含有重合体樹脂中の残留金属含有量を上記範囲にするためには、細孔容積0.5cm3/g以上、好ましくは0.7cm3/g以上、好ましくは比表面積250cm2/g以上の吸着剤、例えばアルミナ等の吸着剤で樹脂溶液を処理して金属原子を吸着させたり、樹脂溶液を酸性水と純水で交互に繰り返し洗浄したりすること等により、樹脂中の金属含有量を低下させることができる。特に残留しやすい重合触媒や水素添加触媒に由来する金属原子を除去するには、上記の吸着材にニッケル等の水素添加触媒金属を担持させた不均一系触媒を用いて重合体を水素添加すると、重合触媒金属由来の金属原子残渣を吸着するとともに、水素添加触媒金属が濾過により吸着材と共に容易に除去できる。
本発明の容器は、前記脂環構造含有重合体樹脂又は、所望により添加剤を配合した樹脂組成物を配合してペレット状にし、そのペレットを成形機に供給した後、所望の形状に成形して得ることができる。成形方法としては、押出成形、射出成形、射出圧縮成形、射出ブロー成形、ダイレクトブロー成形、圧縮成形、プレス成形、真空成形などの加熱溶融成形が挙げられるが、特に限定されない。また、本発明の容器を成形するときは、一体成形でもよいし、二色成形でもよい。
添加剤としては、容器の特性を達成させる上で支障のない限り、公知の酸化防止剤、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などを添加しても良い。これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部に対して通常3重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
上記成形方法で本発明の容器を成形する際、例えば、射出成形やブロー成形する場合、脂環式構造含有重合体樹脂を成形機内のホッパーに入れ、その後、該樹脂をシリンダー内で加熱溶融し、それを、射出金型及び/又はブロー金型のキャビティ内に充填して成形する。このときのシリンダー内の加工温度の最高値を、(加工温度の最高値−樹脂の酸化開始温度)が120℃以下になるように設定することが好ましい。前記加工温度の最高値を前記範囲となるように設定することにより、樹脂加工時の変色などの劣化を防ぐことができる。
本発明において、容器の表面粗さRaを1μm以下にするためには、容器を成形する際に使用する金型の鏡面磨きを行って金型自体の表面粗さを小さくする方法が挙げられる。まず金型を粗加工して形状を得た後,自動研磨機により,所定時間研磨を行った後,表面粗さを測定するという作業を繰り返しながら,所望の精度が得られるまでこの作業を繰り返す。面粗さの粗いうちは,砥粒径は1〜10μm程度の比較的大きな粒径のものを使用し、面粗さが小さくなってからは1μm以下の砥粒を使用すると,より早い時間で所望の面粗さが得られやすい。また,金型面を正確に転写させるために,金型温度を、(使用する樹脂のガラス転移温度−30)℃以上とするのが好ましい。
また、本発明の容器を成形する際に、樹脂を加工するための成形機のホッパー内に窒素などの不活性なガスを流通させておくと、得られる容器の波長240〜400nmにおける吸光度を向上することができるので好ましい。
本発明の容器1の形状は、上記要件を満たすものであれば特に限定されない。例えば、セル、マルチウェルプレート、細口瓶、広口瓶、又はこれらを組み合わせたものなどが挙げられる。中でも、セルやマルチウェルプレートが好ましい。セルやマルチウェルプレートの形状は、円柱状や角柱状のものなど挙げられるがこれに限定されない。
図2および図3にマルチウェルプレートの一例を示す。本例のマルチウェルプレート100は、矩形状の枠体120の内部に、底面111と側壁面112とを有するウェル101が縦横に配置されている。各ウェル101および枠体120が十字状のリブ121で接続されることで、マルチウェルプレート100が一体化されている。そして、測定対象物質2は各ウェル101内に投入される。このようなマルチウェルプレート100も本発明の容器に含まれる。なお、後述する96ウェルとは、ウェル101を例えば8列×12行に配置して96個としたマルチウェルプレート100である。
本発明の容器は、特に波長240〜400nmに吸収を持つDNAやRNAなどの核酸の濃度や純度などを測定するための容器として好適である。
本発明の分析方法は、測定対象物質の光学的分析を行う方法であって、図1に示すように底部11及び側壁部12からなる容器1であって、前記底面11と側壁面12は脂環式構造含有重合体樹脂からなり、前記底部11及び側壁部12と測定対象物質2との接触面11a,12a(少なくとも接触面11a)の表面粗さRaが1μm以下である容器1に測定対象物質2を入れ、波長240〜400nmの光線Rを用いて測定対象物質の光学的分析を行うものである。ここで、光学的分析とは、本発明の容器1に測定対象物質2を入れて、波長240〜400nmの光線Rを用いて得られる光学的特性(例えば吸光度や透過率など)を用いて、測定対象物質2の濃度や純度などの測定対象物質の特性を求めることをいう。
分析方法は、特に制限されないが、例えば吸光度を測定する場合は、前記容器に測定対象物質を入れ、その容器を紫外可視分光光度計にセットして、容器の光が透過する部分の一方に波長240〜400nmの光線を入射する。そして、容器の他の面より透過される光の強度を測定して、その光の強度から測定対象物質の吸光度を算出する。図1に示すように、光線Rは、通常、容器1の底部11又は上部から入射し、入射方向は垂直方向である。
本発明の分析方法に適用できる測定対象物質としては、波長240〜400nmの光線領域に吸収をもつものであれば、特に限定されないが、DNAやRNAなどの核酸を含むものが特に好適である。DNAやRNAは260nmに吸収極大が存在する。ここで測定対象物質は、通常は水溶液などの溶液状態のものである。
本発明の分析方法について、DNAの純度及び濃度測定方法を例にとって説明する。まず、本発明の容器に測定対象物質として、DNAを含む希釈溶液を入れる。このときの希釈倍率は特に限定されない。そして、DNAを含む希釈溶液を入れた容器を紫外可視分光光度計にセットし、波長260nm及び280nmの光線を該容器の光透過部分の一方に垂直方向に入射する。そしてそこから透過して検出される光の強度を測定し、その強度から波長260nm及び280nmでの吸光度を測定する(このときの吸光度をλ1(260)、λ1(280)とする)。また、容器のDNAを含む希釈溶液を入れない状態での前記波長での吸光度を測定しておく(このときの吸光度をλ0(260)、λ0(280)とする)。そして以下の式からDNAの純度及び濃度を算出する。
DNAの純度=
{λ1(260)−λ0(260)}/{λ1(280)−λ0(280)}
DNAの濃度(μg/ml)=
{λ1(260)−λ0(260)}×サンプル量(μg/ml)×希釈倍率(倍)
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。これらの例中の部及び%は、特に断わりのない限り重量基準である。ただし本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行う。
(1)分子量
シクロヘキサンを溶媒にしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリイソプレン換算の重量平均分子量(Mw)を求める。
(2)ガラス転移温度(Tg)
JIS K7121に基づいて示差走査熱量分析法(DSC)を用いて測定する。
(3)水素添加率
重合体の主鎖及び芳香環の水素添加率は、1H−NMRを測定し算出する。
(4)容器(光が透過する部分及び光が透過しない部分)の表面粗さRa
JIS B0601に準拠して、レーザー干渉型表面粗さ測定機(製品名:サーフコム3000A、東京精密社製)を用いて測定する。
(5)容器の吸光度
紫外可視分光光度計(商品名「V−570」;日本分光社製)を用いて、400nm、340nm、300nmm、280nm、260nm、及び240nmの容器の吸光度を測定する。
(6)容器の蛋白質の吸着量
容器の蛋白質の吸着量は、以下の要領で行う。
洗浄液:ハイアルカリ(日立計測器社製)を7倍に希釈したもの。
試験液:アルブミン牛血清(和光純薬社製)1mg/ml水溶液。
染色液:フェノール試薬。
▲1▼容器に洗浄液を満たし、室温で30日間放置する。放置後、洗浄液を排出し、蒸留水で3回洗浄する。
▲2▼洗浄した容器に試験液0.4mlを入れ、室温で24時間放置する。放置後、試験液を排出し、蒸留水で1回洗浄する。そして、風乾後、染色液0.5mlを容器にいれて染色させ、該容器の吸光度(波長595nm)を測定して、蛋白質の吸着量を算出する。
(7)容器のアルカリ洗浄前後における吸光度の測定
容器のアルカリ洗浄前後における吸光度は、以下の要領で行う。
洗浄液:ハイアルカリ(日立計測器社製)を7倍に希釈したもの。
▲1▼容器の波長260nmにおける吸光度を測定する。
▲2▼吸光度測定後、容器に洗浄液を満たし、室温で30日間放置する。放置後、洗浄液を排出し、蒸留水で3回洗浄する。
▲3▼洗浄した容器を風乾後、波長260nmにおける吸光度を測定する。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行う。
(1)分子量
シクロヘキサンを溶媒にしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリイソプレン換算の重量平均分子量(Mw)を求める。
(2)ガラス転移温度(Tg)
JIS K7121に基づいて示差走査熱量分析法(DSC)を用いて測定する。
(3)水素添加率
重合体の主鎖及び芳香環の水素添加率は、1H−NMRを測定し算出する。
(4)容器(光が透過する部分及び光が透過しない部分)の表面粗さRa
JIS B0601に準拠して、レーザー干渉型表面粗さ測定機(製品名:サーフコム3000A、東京精密社製)を用いて測定する。
(5)容器の吸光度
紫外可視分光光度計(商品名「V−570」;日本分光社製)を用いて、400nm、340nm、300nmm、280nm、260nm、及び240nmの容器の吸光度を測定する。
(6)容器の蛋白質の吸着量
容器の蛋白質の吸着量は、以下の要領で行う。
洗浄液:ハイアルカリ(日立計測器社製)を7倍に希釈したもの。
試験液:アルブミン牛血清(和光純薬社製)1mg/ml水溶液。
染色液:フェノール試薬。
▲1▼容器に洗浄液を満たし、室温で30日間放置する。放置後、洗浄液を排出し、蒸留水で3回洗浄する。
▲2▼洗浄した容器に試験液0.4mlを入れ、室温で24時間放置する。放置後、試験液を排出し、蒸留水で1回洗浄する。そして、風乾後、染色液0.5mlを容器にいれて染色させ、該容器の吸光度(波長595nm)を測定して、蛋白質の吸着量を算出する。
(7)容器のアルカリ洗浄前後における吸光度の測定
容器のアルカリ洗浄前後における吸光度は、以下の要領で行う。
洗浄液:ハイアルカリ(日立計測器社製)を7倍に希釈したもの。
▲1▼容器の波長260nmにおける吸光度を測定する。
▲2▼吸光度測定後、容器に洗浄液を満たし、室温で30日間放置する。放置後、洗浄液を排出し、蒸留水で3回洗浄する。
▲3▼洗浄した容器を風乾後、波長260nmにおける吸光度を測定する。
ジシクロペタジエン由来の開環繰り返し構造単位70重量%とノルボルネンの開環繰り返し構造単位30重量%からなるノルボルネン系開環共重合体水素添加物(重量平均分子量44,000、ガラス転移温度70℃、水素添加率99.8%、酸化開始温度183℃、残留金属含有量2ppm)を、55℃で4時間乾燥した後に、スクリュー径50ミリφ、圧縮比2.5、L/D=30、ハンガーマニホールドタイプのTダイを有する押出成形機を用い、ダイリップを0.5mm、樹脂温度200℃、Tダイ温度220℃、キャストロール温度80℃、冷却ロール温度50℃の条件で、100ミクロン厚のフィルムを作製した(ここで得たフィルムをフィルム1とする)。なお、成形時には窒素をホッパー下部よりホッパー内部へ導入した。フィルムを作製する際には、Tダイに通す前に、溶融樹脂を40/80/120メッシュに通した。フィルムをキャストロールに密着させる際には、エアーナイフを用いた。
得られたフィルム1は無色透明で、ボイドやフィッシュアイなどの欠陥、カール、ねじれ、波うちなどの外形不良は無く、外観は良好であった。このフィルムの表面粗さRaは0.06μmであった。
次に、フィルム1を作製するときに用いたノルボルネン系開環共重合体水素添加物を、55℃で4時間乾燥した後に、金型固定側に上記で得たフィルム1を取り付け、二色成形で96ウエル(ウェルの形状は四角柱)を持つ肉厚100μmのマルチウェルプレートを得た。このとき金型温度を60℃、加工温度を230℃とした。なお、成形時には窒素を、ホッパー下部よりホッパー内部へ導入した。使用した金型の表面粗さを小さくするため,研磨時の砥粒サイズを1μm以上のもので予備研磨した後、砥粒サイズを1μ以下に変更し、仕上げ研磨を実施した。そのときの表面粗さRaは0.02μmであった。
得られたマルチウェルプレートの、測定対象物質との接触面の表面粗さRaは、光が透過する部分(本実施例では底部)で0.06μm、光が透過しない部分(本実施例では側壁部)で0.03μmであった。このマルチウェルプレートの吸光度、蛋白質吸着量の測定、及び吸光度の測定を行った。その結果を表1から表3に示す。
得られたフィルム1は無色透明で、ボイドやフィッシュアイなどの欠陥、カール、ねじれ、波うちなどの外形不良は無く、外観は良好であった。このフィルムの表面粗さRaは0.06μmであった。
次に、フィルム1を作製するときに用いたノルボルネン系開環共重合体水素添加物を、55℃で4時間乾燥した後に、金型固定側に上記で得たフィルム1を取り付け、二色成形で96ウエル(ウェルの形状は四角柱)を持つ肉厚100μmのマルチウェルプレートを得た。このとき金型温度を60℃、加工温度を230℃とした。なお、成形時には窒素を、ホッパー下部よりホッパー内部へ導入した。使用した金型の表面粗さを小さくするため,研磨時の砥粒サイズを1μm以上のもので予備研磨した後、砥粒サイズを1μ以下に変更し、仕上げ研磨を実施した。そのときの表面粗さRaは0.02μmであった。
得られたマルチウェルプレートの、測定対象物質との接触面の表面粗さRaは、光が透過する部分(本実施例では底部)で0.06μm、光が透過しない部分(本実施例では側壁部)で0.03μmであった。このマルチウェルプレートの吸光度、蛋白質吸着量の測定、及び吸光度の測定を行った。その結果を表1から表3に示す。
ノルボルネン由来の繰り返し構造単位65重量%とエチレン由来の繰り返し構造単位35重量%からなるノルボルネン系ランダム付加共重合体(重量平均分子量82,000)、ガラス転移温度80℃、酸化開始温度190℃、残留金属含有量10ppm)を、乾燥せずに、スクリュー径50ミリφ、圧縮比2.5、L/D=30、ハンガーマニホールドタイプのTダイを有するベント型押出成形機を用い、ダイリップを0.5mm、樹脂温度200℃、Tダイ温度220℃、キャルストロール80℃、冷却ロール50℃の条件で100ミクロン厚のフィルムを作製した(ここで得たフィルムをフィルム2とする)。ベントからはロータリーポンプで5×10−2Paに減圧した。なお、成形時には窒素を、ホッパー下部よりホッパー内へ導入した。フィルムを作製する際には、Tダイに通す前に、溶融樹脂を40/80/120メッシュに通した。フィルムをキャストロールに密着させる際には、エアーナイフを用いた。得られたフィルムは無色透明で、ボイドやフィッシュアイなどの欠陥、カール、ねじれ、波うちなどの外形不良は無く、外観は良好であった。このフィルムの表面粗さRaは0.12μmであった。
次にノルボルネン由来の繰り返し構造単位65重量%とエチレン由来の繰り返し構造単位35重量%からなる付加共重合体(重量平均分子量82,000(ポリスチレン換算)、ガラス転移温度80℃、酸化開始温度190℃)を、65℃で4時間乾燥後に、金型固定側に上記で得たフィルム2を取り付け、二色成形で96ウエルを持つ肉厚100μmのマルチウェルプレートを得た。このときの金型温度を70℃、成形温度を220℃とした。なお、成形時には窒素を、ホッパー下部よりホッパー内部へ導入した。得られたマルチウェルプレートの、測定対象物質との接触面の表面粗さRaは、光が透過する部分(本実施例では底部)で0.12μm、光が透過しない部分(本実施例では側壁部)で0.08μmであった。このマルチプレートの吸光度、蛋白質吸着量の測定、及び吸光度の測定を行った。その結果を表1から表3に示す。
(比較例1)
ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライトAD5503)を、110℃で4時間乾燥した後に、スクリュー径50ミリφ、圧縮比2.5、L/D=30、ハンガーマニホールドタイプのTダイを有する押出成形機を用い、ダイリップを0.5mmに設定し、樹脂温度240℃、Tダイ温度260℃、キャルトロール145℃、冷却ロール80℃の条件で100ミクロン厚のフィルムを作製した(ここで得られたフィルムをフィルム3とする)。フィルムを作製する際には、Tダイに通す前に、溶融樹脂を40/80/120メッシュに通した。フィルムをキャストロールに密着させる際には、エアーナイフを用いた。得られたフィルム3は無色透明で、ボイドやフィッシュアイなどの欠陥、カール、ねじれ、波うちなどの外形不良は無く、外観は良好であった。このフィルムの表面粗さRaは0.07μmであった。
次に、ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製 製品名「パンライトAD5503」)を、110℃で4時間乾燥した後に、金型固定側に上記で得たフィルム3を取り付け、二色成形で96ウエルを持つ肉厚100μmのマルチウェルプレートを得た。金型温度は110℃、加工温度は280℃とした。得られたマルチウェルプレートの測定対象物質との接触面の表面粗さRaは、光が透過する部分(本実施例では底部)で0.07μm、光が透過しない部分(本実施例では側壁部)で0.05μmであった。このマルチウェルプレートの吸光度、蛋白質吸着量の測定、及び吸光度の測定を行った。その結果を表1から表3に示す。
(比較例2)
金型の研磨砥粒サイズを1μm以上とし,研磨時間を短縮することによって表面粗さを変え金型の表面粗さRaを1.05μmとした他は、比較例1と同様にしてマルチウェルプレートを得た。得られたマルチウェルプレートの、測定対象物質との接触面の表面粗さRaは、光が透過する部分(本実施例では底部)で0.07μm、光が透過しない部分で1.53μmであった。このマルチウェルプレートの吸光度、蛋白質吸着量の測定、及び吸光度の測定を行った。その結果を表1から表3に示す。
次にノルボルネン由来の繰り返し構造単位65重量%とエチレン由来の繰り返し構造単位35重量%からなる付加共重合体(重量平均分子量82,000(ポリスチレン換算)、ガラス転移温度80℃、酸化開始温度190℃)を、65℃で4時間乾燥後に、金型固定側に上記で得たフィルム2を取り付け、二色成形で96ウエルを持つ肉厚100μmのマルチウェルプレートを得た。このときの金型温度を70℃、成形温度を220℃とした。なお、成形時には窒素を、ホッパー下部よりホッパー内部へ導入した。得られたマルチウェルプレートの、測定対象物質との接触面の表面粗さRaは、光が透過する部分(本実施例では底部)で0.12μm、光が透過しない部分(本実施例では側壁部)で0.08μmであった。このマルチプレートの吸光度、蛋白質吸着量の測定、及び吸光度の測定を行った。その結果を表1から表3に示す。
(比較例1)
ポリカーボネート樹脂(帝人化成製 パンライトAD5503)を、110℃で4時間乾燥した後に、スクリュー径50ミリφ、圧縮比2.5、L/D=30、ハンガーマニホールドタイプのTダイを有する押出成形機を用い、ダイリップを0.5mmに設定し、樹脂温度240℃、Tダイ温度260℃、キャルトロール145℃、冷却ロール80℃の条件で100ミクロン厚のフィルムを作製した(ここで得られたフィルムをフィルム3とする)。フィルムを作製する際には、Tダイに通す前に、溶融樹脂を40/80/120メッシュに通した。フィルムをキャストロールに密着させる際には、エアーナイフを用いた。得られたフィルム3は無色透明で、ボイドやフィッシュアイなどの欠陥、カール、ねじれ、波うちなどの外形不良は無く、外観は良好であった。このフィルムの表面粗さRaは0.07μmであった。
次に、ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製 製品名「パンライトAD5503」)を、110℃で4時間乾燥した後に、金型固定側に上記で得たフィルム3を取り付け、二色成形で96ウエルを持つ肉厚100μmのマルチウェルプレートを得た。金型温度は110℃、加工温度は280℃とした。得られたマルチウェルプレートの測定対象物質との接触面の表面粗さRaは、光が透過する部分(本実施例では底部)で0.07μm、光が透過しない部分(本実施例では側壁部)で0.05μmであった。このマルチウェルプレートの吸光度、蛋白質吸着量の測定、及び吸光度の測定を行った。その結果を表1から表3に示す。
(比較例2)
金型の研磨砥粒サイズを1μm以上とし,研磨時間を短縮することによって表面粗さを変え金型の表面粗さRaを1.05μmとした他は、比較例1と同様にしてマルチウェルプレートを得た。得られたマルチウェルプレートの、測定対象物質との接触面の表面粗さRaは、光が透過する部分(本実施例では底部)で0.07μm、光が透過しない部分で1.53μmであった。このマルチウェルプレートの吸光度、蛋白質吸着量の測定、及び吸光度の測定を行った。その結果を表1から表3に示す。
実施例1で作製した96ウエルのマルチウェルプレートを用いてDNAの濃度と純度測定を行った。ラット肝臓から抽出し精製したDNA水溶液2μlをTE(10mM Tris−HCl中に1mMのEDTAを含む)98μlで希釈し、紫外可視分光光度計で260nm及び280nmにおける吸光度を測定した。260nmにおける吸光度は0.572、280nmにおける吸光度は0.325であった。DNA水溶液を入れない状態での測定値はそれぞれ260nmにおいて0.072、280nmにおいて0.051であることから、
DNA純度=(0.572−0.072)/(0.325−0.051)=1.824
DNA濃度(μg/ml)=260nm吸光度(0.50)×50(μg/ml)×希釈倍率(50倍)=1250(μg/ml)
となった。
以上、表1から表3に記載の評価結果より、波長240nm〜400nmの吸光度が小さく、さらに測定対象物質との接触面の表面粗さRaも小さい本発明の容器を用いた場合には、アルカリ洗浄後の測定阻害物質(例えば、蛋白質)の吸着が少なく、さらにアルカリ洗浄前後で吸光度の変化がほとんどない。
一方、波長240nm〜400nmの吸光度が大きく、さらに測定対象物質との接触面の表面粗さRaも大きい容器を用いた比較例においては、アルカリ洗浄後の測定阻害物質(例えば、蛋白質)の吸着が多く、さらにアルカリ洗浄後で吸光度が大きくなっている。
DNA純度=(0.572−0.072)/(0.325−0.051)=1.824
DNA濃度(μg/ml)=260nm吸光度(0.50)×50(μg/ml)×希釈倍率(50倍)=1250(μg/ml)
となった。
以上、表1から表3に記載の評価結果より、波長240nm〜400nmの吸光度が小さく、さらに測定対象物質との接触面の表面粗さRaも小さい本発明の容器を用いた場合には、アルカリ洗浄後の測定阻害物質(例えば、蛋白質)の吸着が少なく、さらにアルカリ洗浄前後で吸光度の変化がほとんどない。
一方、波長240nm〜400nmの吸光度が大きく、さらに測定対象物質との接触面の表面粗さRaも大きい容器を用いた比較例においては、アルカリ洗浄後の測定阻害物質(例えば、蛋白質)の吸着が多く、さらにアルカリ洗浄後で吸光度が大きくなっている。
Claims (11)
- 底部及び側壁部からなる光学分析用容器であって、前記底部及び側壁部は脂環式構造含有重合体樹脂からなり、前記底部及び側壁部と測定対象物質との接触する部分の内、光学分析のための光が透過する部分の表面粗さRaが1μm以下である光学分析用容器。
- 前記底部及び側壁部の肉厚が3mm以下である請求項1記載の容器。
- 前記底部及び側壁部の内、光学分析のための光が透過しない部分の表面粗さRaが1μm以下である請求項1記載の容器。
- 前記肉厚の時の、波長240〜400nmにおける吸光度が0.4以下である請求項2記載の容器。
- 前記脂環式構造含有重合体が、ノルボルネン系重合体又はその水素添加物である請求項1記載の容器。
- 前記脂環式構造含有重合体樹脂が、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物である請求項1記載の容器。
- 前記脂環式構造含有重合体樹脂中の残留金属含有量が100ppm以下である請求項1記載の容器。
- 測定対象物質がDNA又はRNAを含むものである請求項1記載の容器。
- マルチウェルプレートである請求項1記載の容器。
- 測定対象物質の光学的分析を行う方法であって、底部及び側壁部からなる容器であって、前記底面と側壁面は脂環式構造含有重合体樹脂からなり、前記底部及び側壁部と測定対象物質との接触面の表面粗さRaが1μm以下である容器に測定対象物質を入れ、波長240〜400nmの光線を用いて測定対象物質の光学的分析を行う方法。
- 測定対象物質がDNA又はRNAを含むものである請求項10記載の分析方法。
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