JPWO2003102529A1 - 光学部材の屈折率均質性を評価する方法 - Google Patents
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Abstract
光学部材の屈折率均質性の評価方法は、光リソグラフィー用光学部材(1)に光を通過させることを含む。光学部材(1)の光軸(AX)に対する側面(1a)を、等間隔の複数位置にて弾性部材(4)で保持し、光学部材(1)に光を通過させて波面収差を測定する。光軸(AX)の周りに等間隔だけ回転させて、再度波面収差を測定し、最初の測定値との差分を求める。光軸(AX)と直交する方向に光学部材(1)を移動し、再度波面収差を測定し、最初の測定値との差を求める。それらの差分からツェルニケ円筒関数によるフィッティングを用いて光学部材の屈折率均質性を正確に評価することができる。
Description
発明の分野
本発明は、光リソグラフィー技術に用いられるレンズ、プリズム等の光学素子用光学部材の評価方法に関する。
背景技術
LSI等の半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等を製造するのに光リソグラフィー用露光装置が用いられる。このような露光装置では、光源からの光が、照明光学系を介して、マスクあるいはレチクル等の投影原版上に形成されたパターンに照射される。光が照射されたパターンは投影光学系により、予めフォトレジストを塗布したウェハあるいはガラスプレートなどの感光性基板上に投影される。投影光学系の形式としては、露光波長の光を透過して屈折させるレンズのみで構成された屈折型の投影光学系、露光波長の光を反射するミラーのみで構成された反射型の投影光学系、及びレンズとミラーとを組み合わせて構成された反射屈折型の投影光学系がある。
近年、半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等の集積度はますます高まり、基板上に転写されるパターンは微細化の一途をたどっている。そのため、光リソグラフィー用露光装置は、その光源をi線(365nm)からKrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、更に、F2レーザー(157nm)へと変更することで短波長化が進められている。これに伴って、光リソグラフィー用露光装置の光学系に対しては、より高い光学性能が要求されてきている。特に、マスク上の微細なパターンをウェハの感光面上に転写するための投影光学系は、高解像力で無収差に近い極めて高い光学性能が要求されている。このような要求を満たすために、光リソグラフィー用露光装置の光学系の構成要素となるレンズ、プリズム、フォトマスク等に用いる光学材料(以下、光リソグラフィー用光学部材ともいう)の屈折率均質性に対しては非常に高いレベルが要求されてきている。即ち、光リソグラフィー用光学部材としては、その屈折率にムラがないこと(屈折率均質性)が重要である。
光リソグラフィー用光学部材の屈折率均質性の評価は、光学部材に光を通過させ、その際に生じる波面収差を測定し、最大値と最小値の差(以下、PV値という)や、自乗平均平方根(以下、RMS値という)等を指標としてこれまで行なわれてきた。即ち、PV値やRMS値が小さいほど優秀な光学部材であると評価されるので、高品質とされる光学部材は、これらの値を小さくすることを目標として製造されてきた。
特開平8−5505号公報には、上記の屈折率均質性の評価方法について記載されている。この方法の具体的手順について図10を用いて以下簡単に説明する。
(1)円柱あるいは角柱状に研磨加工された光リソグラフィー用光学部材を干渉計にセットし、研磨加工面に対して参照波面を発射し波面収差を測定する。測定された波面収差には、光学部材の屈折率分布に起因した誤差収差を含むので、この収差を解析することで屈折率分布に関する情報が得られる。このうち、曲率成分に起因する誤差収差をパワー成分もしくはフォーカス成分と呼び、傾き成分に起因する誤差収差をチルト成分と呼ぶ。
(2)測定された波面収差からパワー成分とチルト成分を除去する。
(3)更に、アス成分に起因する波面収差を除去する。
(4)残った波面収差を、回転対称成分と非回転対称成分(ランダム成分)に分離する。
(5)非回転対称成分(ランダム成分)のPV値及びRMS値を求め、これらの値により評価を行なう。
(6)回転対称成分を最小自乗法により非球面公式にフィッティングし、2次及び4次成分を除去し、残った6次以上の偶数次の波面収差成分(以下、2次4次残差という)のPV値及びRMS値を求め、これらの値により評価を行なう。即ち、非回転対称成分(ランダム成分)及び2次4次残差が小さい光学部材が屈折率均質性の良好な光学部材とされ、このような光学部材を製造するよう努力が払われてきた。
光リソグラフィー用光学部材の波面収差の測定は干渉計を用いて行なう。干渉計としては波長633nmのHe−Neレーザーを光源とする平面光学部材測定用のフィゾー型干渉計を用いるのが一般的である。干渉計は、被測定物を2枚の平行平板の間に挟んで固定する構造となっている。波面収差測定に用いる光源としてはKrFエキシマレーザー(248nm)やArFエキシマレーザー(193nm)を用いる方が原理に対してより忠実ではある。しかし、干渉計のコスト、大きさ、測定安定性等の理由からHe−Neレーザーを用いることが多い。
干渉計により光学部材の波面収差を高精度に測定するためには、被検物の表面から測定光の散乱を有効に防止しつつ干渉光を測定する必要がある。測定光の散乱の影響を低減するために、2枚の平行平板の間に被検物である光学部材を挟み、それらの隙間に透明なオイルを充填するオイルオンプレート法と呼ばれる方法が望ましい。
この方法について、図11(a)及び(b)の説明図により説明する。まず、測定に用いるフィゾー型干渉計について説明する。フィゾー型干渉計は、本体部分21、参照面物体22、二枚の平行平板23、及び反射面25から成り立っている。この干渉計に被測定物である光学部材24をセットする前に、前記二枚の平行平板23を接近させて配置し、その隙間に被測定物とほぼ同じ屈折率を有する透明なオイル26を充填する。この状態でレーザービームによる参照波面を照射して透過した光を撮像し、波面収差データを得る。この状態を図11(a)に示す。次に、光学部材24を前記二枚の平行平板23の間にセットした状態で、前記透明なオイル26を平行平板23と光学部材24の隙間に充填し、この状態で透過した光を撮像して波面収差データを得る。この状態を図11(b)に示す。次に、光学部材24をセットした状態で測定された波面収差データから、光学部材をセットしない状態で測定された波面収差データを減算する。これにより、光学部材24の表面形状による波面収差に起因する測定誤差の影響を除くと同時に、干渉計に起因する波面収差による誤差も除いて、光学部材24内部の波面収差のみを測定することができる。即ち、光学部材固有の波面収差を求めることができる。
この原理について詳しく説明する。光学部材の内部均質性に依存する波面収差をW、干渉計に依存する波面収差をE、オイルに依存する波面収差をOとすると、光学部材をセットした状態で測定した波面測定データD1は、
D1=W+E+O (1)
と表せる。また、光学部材をセットしない状態で測定した波面収差測定データD2には干渉計に依存する波面収差Eとオイルに依存する波面収差Oが含まれるので、
D2=E+O (2)
と表せる。従って、光学部材をセットした状態で測定された波面収差測定データD1から、光学部材をセットしない状態で測定された波面収差測定データD2を減算すると、
D1−D2=W+E+O−(E+O)=W (3)
となり、光学部材の内部均質性に依存する波面収差Wのみが分離されて求まる。
実際の波面収差の測定は、測定領域を複数の測定要素に分割し、各要素毎の測定値を得て、それらの測定値をつなぎ合わせることで、測定領域全体の測定領域全体の波面収差を把握する。測定要素の数は、断面が円形の場合、それを内接円とする正方形領域を50×50メッシュ以上に分割した要素の数として、各要素毎の測定値を得ることが望ましい。なお、要素の数(測定点数)は被測定物の径に応じて変更するのが望ましく、更に、その光学部材を加工したレンズを用いる際の光束径(パーシャル径)も考慮して決定することがより望ましい。例えば、図9に示した光学系で、レチクルRを透過した光束は、G1からG6のレンズ群を通過してウェハWの表面上に焦点を結ぶが、その際、各レンズを透過する光束径(パーシャル径)は異なる。即ち、レチクルRに近い側のレンズの光束径は、レチクルRから遠い(ウェハWに近い)レンズの光束径に比べて小さい。このような各レンズに用いる光学部材に対して、レンズの光束径内の測定点数がほぼ同等になるように測定要素数を設定することで、複数の種類のレンズに対してほぼ同等な精度の測定が可能となる。なお、光束径を考慮して測定要素数を設定する方法においては、有効径が大きく光束径が小さいレンズに用いる光学部材では、レンズの有効径内を網羅して測定しようとすると、測定要素数が非常に多くなってしまう。このような場合には、光学部材の複数の領域毎に波面収差測定を行ない、得られた波面収差データを合成することで全体の波面収差データを得ることができる。波面収差の測定には、フィゾー型干渉計以外に、トワイマングリーン型干渉計、シアリング型干渉計などを用いることもできる。
測定された波面収差データは、図8に示すように、光学部材の射出瞳面80上に座標系を定めて、得られた波面収差をその座標系で表わす。即ち、射出瞳面上に極座標を定め、得られた波面収差WをW(ρ,θ)として表わす。
特開2002−162628には、光学部材の透過波面データをツェルニケ展開して、回転対称成分、奇数対称成分及び偶数対称成分に分離し、それらを次数に応じて複数の部分(低次、中次、高次)にさらに分離して、各RMS値により評価することが記載されている。光学部材を回転し横ずらしして、光学部材の透過波面データを回転対称成分と非回転対称成分に分離することも記載されている。
ところで、干渉計には、光学部材に光が入射する面を鉛直方向となるようにセットするタイプ(即ち、光軸が水平となるので横型と呼ぶ)と、光学部材の光が入射する面が水平方向となるようにセットするタイプ(即ち、光軸が鉛直となるので縦型と呼ぶ)の二通りがある。
横型の場合、光学部材を立ててセットするため、光学部材の荷重が下側の支えに集中し、光学部材に歪が発生し易い。また、平行平板と光学部材との間に充填したオイルが自重により下方に流動するため、このことによる誤差が測定値に混入し易い。従って、横型は高精度な波面収差の測定には不向きである。
従って、波面収差を高精度に測定するには縦型を用いることになる。しかし、縦型では、光学部材の荷重はオイルを介して下側の平行平板で受けることになるため、下側の平行平板には撓みが発生する。また、光学部材と下側の平行平板の間に充填されたオイルは、光学部材の荷重により外側に押し出されて流動する。これらの現象による誤差は測定値に混入するという問題がある。
発明の開示
本発明は、上記従来技術の問題を解決するために達成されたものであり、その目的は、オイルの流動を抑制し、かつ、平行平板を用いることにより発生する光学部材の応力歪による影響をキャンセルすることができる屈折率均質性を評価する方法を提供することである。本発明の別の目的は、縦型の干渉計を用いて波面収差を高精度に測定することにより、半導体露光装置などの光リソグラフィー用途に用いる光学部材の屈折率均質性を正確に評価する方法を提供することである。
本発明に従えば、光学部材の波面収差を測定することによって屈折率均質性を評価する方法であって、光学部材の光軸に対する側面を等間隔の複数位置で保持し、前記光学部材に光を通過させて波面収差を測定することを含む光学部材の屈折率均質性の評価方法が提供される。本発明の方法では、光学部材の荷重を各保持位置で均等に保持することができるので、波面収差データを高精度に測定することができ、高精度な屈折率均質性の測定ができる。
本発明の方法において、前記光学部材の光が入射する面が水平となるように、光学部材の上記側面を保持することが望ましい。光学部材をこのように保持することにより、保持部分にかかる荷重を一層低減して光学部材の歪みを抑えることができる。また、例えば、半導体露光装置の投影光学系に収容された光学部材は、通常、光軸が鉛直方向に配置されているので、このような使用態様に応じた保持方法で波面収差を測定することが望ましい。
本発明の方法において用いる光学部材は光軸を回転中心とする円柱状光学部材にし得る。この場合、光学部材を、前記光軸を中心に、前記等間隔に相当する角度の整数倍だけ回転させ、回転前に測定した波面収差データと回転後に測定した波面収差データとを用いて前記光学部材の屈折率均質性を評価し得る。このような操作により、光学部材の保持部分にかかる荷重により発生する応力歪みをキャンセルし、高精度な屈折率均質性の測定ができる。
前記光学部材は、光学部材からの散乱を防止するために、前記光学部材とほぼ同じ屈折率を有するオイルを介して2枚の平行平板の間に配置させ得る。
本発明の方法において、前記光学部材に光を通過させるのに先立って、前記2枚の平行平板を互いに平行に近接させて配置し、前記2枚の平行平板の隙間に、前記光学部材とほぼ同じ屈折率を有するオイルを満たした状態で、前記2枚の平行平板に光を通過させて第一の波面収差データを測定する第一測定工程と、前記2枚の平行平板の間に、前記光学部材を保持し、前記平行平板と前記光学部材の隙間に前記オイルを満たした状態で前記2枚の平行平板と前記光学部材に光を通過させて第二の波面収差データを測定する第二測定工程と、前記第一の波面収差データと前記第二の波面収差データの差から第三の波面収差データを算出し、前記第三の波面データから前記光学部材の屈折率均質性を評価する工程を含み得る。この追加工程により、測定装置に起因する誤差をキャンセルできるので、より一層、高精度な屈折率均質性の測定が可能となる。
本発明の方法は、さらに、回転前の第三の波面収差データと回転後の第三の波面収差データの平均値と、回転前の第三の波面収差データとの差から波面収差の非回転対称成分を求める工程と、
前記光学部材を光軸と直交する方向に移動させ、移動後の前記光学部材に光を透過させて得た波面収差データと、移動させる前に得た波面収差データの差を求め、求めた差から波面収差の回転対称成分を求める工程とを含み、
前記求めた非回転対称成分と前記回転対称成分を加えた波面収差データから前記光学部材の屈折率均質性を評価し得る。これらの追加工程により、一層誤差の少ない波面収差データを得ることができるので、より高精度な屈折率均質性の測定が可能となる。
本発明の方法において、前記光学部材の側面の複数位置を弾性部材でそれぞれ保持し得る。これにより、応力が一点に集中することが防止される。また、複数点を保持したことにより発生する応力歪のパターンを均一化してそれらを有効にキャンセルするには、前記弾性部材を前記光学部材の側面に前記光学部材の光軸に向かって押圧することが望ましい。前記光学部材の側面を保持する位置の数は、4以上、特には8以上、一層特には12以上であることが望ましい。
本発明の方法は、光リソグラフィー用途、特に半導体露光装置の投影光学系に搭載される光学部材の屈折率均質性の評価に用いるのが好ましい。
発明を実施する最良の形態
本発明の評価方法を、以下に具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されない。
まず、出発材料を合成してインゴットを得る。材料としては、合成石英、フッ素ドープ石英、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、その他の結晶材料等が用いられる。材料の種類により合成方法が異なるので、各材料に適した方法で合成する。合成したインゴットから光リソグラフィー用光学部材を切出す。光学部材は直径400mm、厚さ60mmで、上面と下面は平面になるよう研削または研磨加工を施す。
光学部材の波面収差は波長633nmのHe−Neレーザーを光源とする平面光学部材測定用の縦型フィゾー型干渉計で測定する。レーザー光線が光学部材へ入射する面が水平な状態に保たれるように光学部材の側面を等間隔に複数の位置で保持する。また、光学部材は2枚の平行平板の間に位置させる。光学部材と2枚の平行平板の隙間にはオイルを満たす。オイルの屈折率は、光学部材の屈折率とほぼ同一となるようにオイルの種類を選択する。波面収差の測定はオイルオンプレート法により行なう。この方法の原理については既に説明した通りである。
具体的な光学部材側面の保持方法の例を図1(a)及び(b)を用いて説明する。図示した光学部材1は、円柱状であり、その光軸AXは円板の回転中心に位置し、紙面に垂直方向に延在する。この光学部材1が実際に使用されるときに光が入射する面は、紙面に平行な面(上面または底面)1aである。光学部材1が弾性部材4により保持される面は、光軸AXを回転中心とした場合の側面(光軸に対する側面)であり、光学部材が円柱状または円板状部材である場合には外周面に相当する。
図1(a)及び(b)に示したように、先端に弾性部材4を取り付けた複数のロッド3により、光学部材の側面1bの8箇所に荷重をかけ、それにより発生する摩擦力によって光学部材1を保持する。ロッド3は光学部材の側面に沿って等間隔に配置する。荷重は光学部材のほぼ中心、すなわち光軸AXに向かうようにすることが望ましい。ロッド3は、図示しないアクチュエータの作用により光学部材1の放射方向(図中矢印方向)に動作して光学部材1を保持及び開放する。アクチュエータとして、例えば、同一容積の8本のエアシリンダー及びピストンから構成し得る。この場合、各ロッド3は、それぞれ、ピストンとなる。各ピストンを摺動するエアシリンダーはマニホールドを介して共通の圧力配管に連結することができ、圧力配管に所定ガス圧力を供給することによりピストンを介して弾性部材を移動する。それゆえ、弾性部材4と接している光学部材の8点には均一な付勢力をかけることが出来る。弾性部材4として、例えば、フッ素系ゴム、シリコン系ゴムなどから形成されたリング状の部材を用いることが出来る。付勢力が1点に集中しないように、そのようなリング状部材を光軸方向に複数重ねて用いることもできる。
図1では8本のロッド3を用いたが、ロッドの個数は4以上であることが望ましく、8以上であればより望ましく、12以上であれば一層望ましい。図2には、弾性部材を取り付けたロッド3を12個用いて、光学部材の側面を12箇所で保持した例を示す。
このように光学部材を保持して波面収差を測定する。その際、光学部材の外周(光学部材が円柱状の場合)を内接円とする正方形領域を50×50メッシュ程度以上の要素に分割し、各要素について波面収差の値を測定する。この要素の数(測定点数)は、被測定物である光学部材の大きさや、光束径(パーシャル径)に応じて決定する。
測定された波面収差データは、既に説明した通り、図8に示すように、光学部材の射出瞳面80上に座標系を定めて、得られた波面収差をその座標系で表わす。即ち、射出瞳面上に極座標を定め、得られた波面収差WをW(ρ,θ)として表わす。
次に、波面収差Wを直交関数系に展開する。本発明では、波面収差を前記光学部材の瞳を中心とする回転対称成分と、奇数対称成分と、偶数対称成分に分離するために、直交関数系としてツェルニケの円筒関数を用いる。この一連の手順を図7に示す。ρは射出瞳の半径を1に規格化した規格化瞳半径、θは極座標の動径角である。即ち、波面収差W(ρ,θ)を、ツェルニケの円筒関数系Zn(ρ,θ)を用いて、
W(ρ,θ)=ΣCnZn(ρ,θ) (4)
と展開する。ここでCnは展開係数である。大きなnの値まで展開するほど精度よくフィッティングできる。しかし、nがあまりに大きいと計算のための負担が大きくなるので適度な大きさが望ましい。このような観点から、n=0〜35、または、0〜80とするのが適当である。n=0〜35の場合は10次の係数までフィッティングでき、また、n=0〜80の場合は16次の係数までフィッティングできる。
次いで、(1)式の各項を、
(a)θを含まない項、即ち、ある座標での値と、その座標を瞳の中央を中心として任意の角度だけ回転した座標での値とが等しい回転対称成分;
(b)sin(又はcos)θ、sin(又はcos)3θなどの、動径角θの奇数倍の三角関数を含む項、即ち、ある座標での値と、その座標を瞳の中央を中心として360°の奇数分の1だけ回転した座標での値とが等しい奇数対称成分;
(c)sin(又はcos)2θ、sin(又はcos)4θなどの、動径角θの偶数倍の三角関数を含む項、即ち、ある座標での値と、その座標を瞳の中央を中心として360°の偶数分の1だけ回転した座標での値とが等しい偶数対称成分;
の三種類に分離する。即ち、波面収差の回転対称成分、奇数対称成分、及び偶数対称成分をそれぞれ、Wrot、Wodd、及びWevnとすると、下記のように表される。
Wrot(ρ,θ)=C0+C3Z3+C8Z8+C15Z15+C24Z24+‥‥(5)
Wodd(ρ,θ)=C1Z1+C2Z2+C6Z6+C7Z7+C9Z9+C10Z10‥‥(6)
Wevn(ρ,θ)=C4Z4+C5Z5+C11Z11+C12Z12+C16Z16+‥‥(7)
更に、(4)式の波面収差のRMS値(自乗平均平方根)をrw、(5)式の波面取差の回転対称成分WrotのRMS値をrrot、(6)式の波面収差の奇数対称成分WoddのRMS値をrodd、そして(7)式の波面収差の偶数対称成分WevnのRMS値をrevnとする。rw、rrot、rodd、及びrevnの間には、
(rw)2=(rrot)2+(rodd)2+(revn)2
の関係が成り立つ。rrot、rodd、及びrevnは、それぞれ、光学部材の屈折率分布の球面収差成分、コマ収差成分、及び非点収差成分と関連付けることができる。
ここで、光学部材を加工してレンズとし、それを組み合せて光学系を構成する場合を考える。nが比較的小さい成分、即ち、次数の低い成分の収差については、レンズ間隔の変更や、一部レンズを光軸の回りに回転させたり、傾けたり、あるいはシフトしたりすることで低減し易い。nがそれより大きい次数の収差成分では、低減することは難しくなるが、それでもレンズを回転させたり、レンズの組合せを変更したりすることである程度は低減できる。そして、このような方法で低減できない場合には、一部レンズの表面形状を修正することで低減することができる。しかし、更にnが大きい次数の収差成分については低減することは難しい。
本発明者らの研究によれば、nが小さい成分、例えばn=0〜3の成分に関しては収差が除去可能なので、これらの成分については評価の対象から除いても問題はないと考えられる。そして、nが4以上の成分に関して、nの大きさにより複数の領域に分けて収差成分を評価することで、光学部材の屈折率均質性について合理的な評価ができる。例えば、n=4〜8の成分を低次、n=9〜35の成分を中次、n>35の成分を高次とする3つの領域に分けて収差成分を評価することで、光学部材の屈折率均質性について合理的な評価ができる。
そこで、Wrot、Wodd、及びWevnを、それぞれ低次(n=4〜8)、中次(n=9〜35)、及び高次(n>35)に分け、それらの波面収差成分のRMS値をそれぞれ低次rrot、低次rodd、低次revn、中次rrot、中次rodd、中次revn、高次rrot、高次rodd、及び高次revnとし、フィッティングしきれずに残った波面収差成分を残差と定義する。また、残差のRMS値及びPV値を残差RMS及び残差PVと定義する。
なお、n=0〜35でフィッティングした場合には、高次rrot高次rodd、及び高次revnは定義せず、低次及び中次の各項でフィッティングしきれずに残った波面収差成分を高次残差と定義する。そして、高次残差のRMS値及びPV値を高次残差RMS及び高次残差PVと呼ぶ。
また、上記説明では、波面収差をまず、回転対称成分、奇数回転対称成分、偶数回転対称成分に分離した後、それぞれの成分を次数により低次、中次、高次に分離したが、この順序は逆でも構わない。即ち、波面収差をまず、次数により、低次、中次、高次の成分に分離した後、それぞれの成分を、回転対称成分、奇数回転対称成分、偶数回転対称成分に分離することでも全く同じ結果が得られる。このようにツェルニケフィッティングにより光学部材の波面収差を複数の成分に分けて評価することで、高精度に屈折率均質性を評価することが可能となる。
ところで、既に説明した通り、光学部材はその側面の複数の位置を等間隔に保持する。保持するためには荷重を加えることになるため、光学部材の保持部分には応力歪が発生する。この応力歪の測定例を図14に示す。この例では、図2(a)及び(b)に示した保持方法で光学部材の側面12箇所を保持した場合の歪を測定している(ロッドに連結する共通配管に供給した空気の駆動圧力0.1MPa、光学部材の寸法:φ302×52t)。図から分るように、保持した12ヶ所に応力歪が発生している(歪み平均値:−3.50、標準偏差:0.09、12点の歪幅:0.35)。このような応力歪は、光学部材に固有のものではないので、正確な屈折率均質性を評価する妨げとなる。
そこで、より高精度に被測定物の波面収差を計測する、即ち、高精度に屈折率均質性を評価するために、本発明者らは次に説明する方法を用いた。まず、非測定物としての光学部材を縦型のフィゾー干渉計にセットしてオイルオンプレート法により波面収差データを求める。
次に、図12(b)に示したように、光学部材24を光軸を中心に矢印方向に回転させ、所定の回転角度毎に波面収差測定を行う。所定の回転角度とは、光学部材の隣り合う保持位置間の角度の整数倍の角度とする。次に、各波面測定収差データを平均化して得られたデータを、光学部材を回転させる前に測定した波面収差データから減算する。これにより、光学部材固有の波面収差を構成する回転対称成分と非回転対称成分のうち非回転対称成分が求まる。同時に、光学部材を保持することで発生する応力歪による波面収差データへの影響もキャンセルすることができる。
次に、図13(a)及び13(b)に示したように、光学部材24を、図12(a)及び(b)に示した状態から、光軸に直角方向にずらせた状態で波面収差データを求め、ずらせる前に測定した波面収差データから減算する。これにより、光学部材固有の波面収差を構成する回転対称成分と非回転対称成分のうち回転対称成分が求まる。このようにして求めた回転対称成分と非回転対称成分を加算することで光学部材固有の波面収差が求められる。光学部材を回転させたりずらせたりするのに要する時間は短いので、この間の干渉計やオイルの状態の変化は殆ど無視できる程度と考えられる。従って、このような方法によれば、より精度よく波面収差の測定を行なうことが可能となる。
上記の光学部材の波面収差の測定原理に従う演算処理を以下に説明する。まず、光学部材の内部均質性に依存する波面収差Wを構成する成分によって分類し、回転対称成分をWs、非回転対称成分(奇数回転対称成分、偶数回転対称成分、及び残差の合計)をWaとすると、
W=Ws+Wa (8)
と表される。図12(b)に示すように、光学部材を360°/nずつ回転させながら、それぞれの角度で測定した各波面収差データを、Dw(1)、Dw(2)、…Dw(n)、各角度における光学部材の波面収差(内部均質性)をW(1)、W(2)、…W(n)とする。
ここで、回転対称成分を下記式(9)のように定義する。
Ws=ΣW(i)/n (9)
回転平均化した非回転対称成分の値はゼロとなる。このことを以下に示す。即ち、(8)式より、
W(i)=Ws+Wa(i) (10)
であるので、
ΣW(i)/n=ΣWs/n+ΣWa(i)/n
移項すると、
ΣWa(i)/n=ΣW(i)/n−ΣWs/n=Ws−Ws=0
即ち、回転平均化した非回転対称成分の値はゼロとなることが示された。回転平均化データは、平行平板の波面収差をS、オイルを含む干渉計の測定光学系の波面収差をK、反射面の波面収差をMとすると、(9)式の定義より、下記(11)式が得られる。
ΣDw(i)/n=ΣW(i)/n+S+K+M=Ws+E+O (11)
式(11)の右辺は、式(1)を用いて波面収差を、干渉計由来の成分Eとオイル由来の成分Oに分けている。光学部材の0°方向の波面収差データDw(1)は(10)式より、下記(12)式のように表される。
Dw(1)=W(1)+S+K+M=Ws+Wa(1)+E+O (12)
よって、(12)式から回転平均化データ(11)式を減算すると、下記式(12’)のようになる。
Dw(1)−ΣD(i)/n=Wa(1) (12’)
こうして、非回転対称成分Waが得られた。
次に、図13(a)及び(b)に示すように、光学部材を横にずらせたときの波面収差データをDw(x)、このときの光学部材内部均質性の回転対称成分をWs(x)、非回転対称成分をWa(x)とすると、下記式(13)のように表される。
Dw(x)=Ws(x)+Wa(x)+E+O (13)
この波面収差データDw(x)を0°方向(ずらせない状態)の波面収差データDw(1)から減算すると、(12)式及び(13)式より、下記式(14)のようになる。
Dw(1)−Dw(x)=(Ws+Wa)−(Ws(x)+Wa(x)) (14)
ここで、Waは既知であり、それに基づいてWa(x)も求まるので既知である。未知の項を左辺に、測定データの項を右辺に移項すると、下記(15)式のようになる。
Ws−Ws(x)=Dw(1)−Dw(x)−(Wa−Wa(x)) (15)
これは、回転対称成分Wsが横ずらし重畳されたデータであり、回転対称成分の等高線が同心円状の分布となる性質を利用するとWs(x)が求まるので、この項も右辺に移項すると、下記(16)式のようになる。
Ws=Dw(1)−Dw(x)−(Wa−Wa(x))+Ws(x) (16)
こうして、回転対称成分Wsが求まる。即ち、光学部材固有の波面収差のデータ構造は(8)式に示した通りなので、光学部材固有の波面収差(内部均質性)が求まることになる。
光学部材を回転させて波面データを得る際の回転角度に関しては、既に説明した通り、光学部材を保持する位置の数に関連する。例えば光学部材の側面(外周)を均等に12箇所で保持する場合には、隣り合う保持位置間の角度は30°であるから、回転させる角度は、この整数倍、即ち、30°、60°、90°・・・のような角度とする必要がある。回転させて測定する回数については、多い方が原理的に測定精度が高いが、その反面、測定に要する時間が長くなり、干渉計やオイルの状態の変動する可能性が高くなるため、測定精度が低下する要因となる。従って、実際の測定では、3〜4回が適当と考えられる。短時間で測定したい場合には2回とすることも可能である。この場合、必ずしも回転角度は対角線の位置関係(例えば、0°と180°)とする必要はなく、例えば、0°と60°のような組合せでも可能である。
また、光学部材を横にずらせる量に関しては、原理的には大きい方が測定精度は高くなるが、反面、光学部材の保持状態等が変化し、測定精度が低下する恐れもある。従って、横にずらせる量はむやみに大きな量とすべきでなく、光学部材の直径の10%程度が適当と考えられる。
このようにして求めた波面収差を、既に説明したツェルニケの円筒関数等の直交関数系へ展開する。以下、本発明の方法を実施例により具体的に説明する。
実施例1
ダイレクト法により、直径500mm、長さ800mmの石英硝子インゴットを製造し、このインゴットから円板状のテストピースを水平に切出す。この時、インゴットの回転中心と円板の中心を一致させる。このテストピースを歪の除去と均質性の調整のため、中心対称の温度分布を有するアニール炉の中央にセットして、回転させながらアニール処理を行なう。アニール処理条件は、1000℃を24時間維持した後、−10℃/分の温度勾配で500℃まで降温し、以後放冷する。次に、このテストピースからコアドリルにより、直径300mm、厚さ60mmの円板状部の光学部材を抜き出し、上下面を研磨する。この時、インゴットの回転中心と円板の中心を一致させる。この光学部材の屈折率均質性を評価するためには、まず、屈折率の傾斜成分を知っておく必要がある。その理由は、屈折率の傾斜成分を干渉計で直接測定することは困難なためである。そこで、この部材の径方向の両端から2つのプリズム形状のサンプルを採取し、高精度のスペクトロメーターを使用して最小偏角法により10−7オーダーの精度で屈折率の測定を行なう。この場合、2つのサンプルの屈折率差は測定限界以下、即ち、10−7以下であった。このことから、円板状のサンプルの回転中心は光軸とほぼ平行である(光軸にほぼ一致している)ことが分る。
次に、波長633nmのHe−Neレーザーを光源とする平面光学部材測定用の縦型フィゾー型干渉計を用意する。まず、この干渉計に2枚の円板状の平行平板を接近させてセットし、その隙間に測定する光学部材の屈折率とほぼ同じ屈折率を有するオイルを充填する。平行平板は、直径460mm、厚さ70mmであり、被検物が配置される側とは反対側の面にMgF2/Al2O3(SiO2/Al2O3でもよい)の多層膜が形成された石英ガラスを用いた。この状態で、第一の波面収差データを100×100メッシュの測定点(ρ,θ)について測定する。
次に、光学部材を2枚の平行平板の間に、平行平板とほぼ平行に配置し、光学部材の上側および下側の平行平板との隙間にオイルを充填した。ここで、図1に示した通り、光学部材はレーザービームの入射する面が水平となるように、側面1bの8箇所にロッド3に設けられた弾性部材4を介して荷重をかけることにより摩擦力を発生させることで保持した。ここで、各ロッド3は、それぞれ、図示しない同一内径のエアシリンダー(不図示)に収容されており、8本のエアシリンダーはマニホールド(不図示)を介して共通の圧力配管(不図示)に連結されている。従って、共通の圧力配管に供給されたガス圧力はエアシリンダーを介して各弾性部材に供給される。それゆえ、弾性部材4と接している光学部材1の8点には均一な付勢力が作用している。この例では、共通の圧力配管に0.1MPaのガスを供給した。
図1では、弾性部材4を簡略化して描いたが、弾性部材として、市販の内径17.6mm、太さ2.4mmのフッ素系ゴム製(またはシリコン系ゴム製)のOリングを2個、回転軸方向に重ね合わせて使用した。
上記のように光学部材を弾性部材4で均一に保持した状態で100×100メッシュの測定点(ρ,θ)について第二の波面収差データ(21)を得る。第一の波面収差データ(11)と第二の波面収差データ(21)の差を求め、第三の波面収差データ(31)を算出する。第二の波面データ(21)を得るに先立って、光学部材を光軸の周りに所定角度回転させた後、元の位置に戻すという動作を行うことで、オイルの厚さや密度のバラツキを低減し、より高精度な測定が行えることも期待できる。回転させる角度は45〜90°程度が適当であり、場合によってはこれより小さくてもあるいは大きくても良い。また、回転させた後に元の位置に戻さなくても構わない。回転動作の繰り返し回数は適宜選択すればよい。回転速度は、オイルに気泡が巻き込まれない程度とするのが望ましく、光学部材の大きさやオイルの粘性に応じて適宜決定すればよい。
次に、光学部材を保持したまま45°回転させ、その状態で第二の波面収差データ(22)を得る。第一の波面収差データ(11)と第二の波面収差データ(22)から、同様に第三の波面収差データ(32)を得る。次に、光学部材を更に45°回転させ、その状態で第三の波面収差データ(33)を得る。この操作を繰り返して、第三の波面収差データ(38)まで合計8個の波面収差データ得る。次に、これら8個の波面収差データの平均値を第三の波面収差データ(31)から減算し、非回転対称成分Waを分離する。
その後、光学部材を回転させる前の位置(第一の波面収差データを測定した位置)に戻し、その状態から光軸と直角の方向(横方向)に50mm移動させ、その状態で第二の波面収差データ(X)を得る。この波面収差データを第1の波面収差データ(11)から減算し、回転対称成分Wsを分離する。
得られた非回転対称成分Waと回転対称成分Wsを加算して波面収差データWを求め、これをn=0〜80の項までツェルニケの円筒関数系Zn(ρ,θ)にフィッティングする。即ち、複数の測定データから最小自乗法によりC0〜C80の展開係数を求める。
次に、求めた展開係数を(1)式に代入して計算することで、各測定点毎にW(ρ,θ)を求める。(5)〜(13)式に求めた展開係数を代入して計算することで、各測定点毎の低次Wrot、低次Wodd、低次Wevn、中次Wrot、中次Wodd、中次Wevn、高次Wrot、高次Wodd、及び高次Wevnを算出し、更に、これらの値から低次rrot、低次rodd、低次revn、中次rrot、中次rodd、中次revn、高次rrot、次rodd、及び高次revnを算出する。また、各測定点毎に、実際の測定データと(1)式に代入して計算したW(ρ,θ)の差を求めることで残差を求め、これらの値から残差RMS値を算出する。各成分の値は、図6に示した通りである。即ち、光源波長λに対して、低次rrotが0.01λ、低次roddが0.01λ、低次revnが0.01λ、中次rrotが0.005λ、中次roddが0.006λ、中次revnが0.003λ、高次rrotが0.0015λ、高次roddが0.0015λ、高次revnが0.002λ、残差RMSが0.001λであった。各r値がかなり小さいことから、光学部材の屈折率均質性がかなり高いことが分る。これらの値を既知の基準値と比較して、この光学部材は光リソグラフィー用途、特に半導体露光装置の投影光学系のレンズに使用可能と判断された。
実施例2
実施例1で用いたものと同一の光学部材を、実施例1に用いたものと同一の縦型フィゾー型干渉計にセットする。光学部材の保持は、図3(a)及び(b)に示したようにロッド5を12本用いて光学部材の周方向の12点を等間隔で支持した以外は実施例1と同様に行った。
波面取差データの測定及び測定値の演算処理は、実施例1と同様に行った。各成分の値は、図6に示した通りである。即ち、光源波長λに対して、低次rrotが0.008λ、低次roddが0.008λ、低次revnが0.009λ、中次rrotが0.004λ、中次roddが0.005λ、中次revnが0.002λ、高次rrotが0.0015高次roddが0.0015λ、高次revnが0.001λ、残差RMSが0.0008λであった。各成分は実施例1で得られた値以下であり、これは実施例1の場合よりも保持の均一性が向上したことによると考えられる。これらの値を既知の基準値と比較して、この光学部材は光リソグラフィー用途、特に半導体露光装置の投影光学系のレンズに使用可能と判断された。
比較例1
実施例1で用いたものと同一の光学部材を、実施例1に用いたものと同一の縦型フィゾー型干渉計にセットする。但し、光学部材を、図1に示した保持装置で保持せずに、図11(b)に示すようにオイルを介して2枚の平行平板の間に挟んだ。
波面収差データの測定及び測定値の演算処理は、実施例1と同様に行った。求められた各成分の値を図6に示す。即ち、光源波長λに対して、低次rrotが0.05λ、低次roddが0.02λ、低次revnが0.02λ、中次rrotが0.015λ、中次roddが0.008λ、中次revnが0.008λ、高次rrotが0.003λ、高次roddが0.003λ、高次revnが0.003λ、残差RMSが0.004λであった。この光学部材は光リソグラフィー用として使用不可能と判断された。実施例1および2と同じ光学部材を測定したにもかかわらず、本比較例では使用不可能と判断されたのは次の理由によるものと考えられる。即ち、光学部材の荷重が全て下側の平行平面板にかかったために平行平面板に撓みが生じ、光学部材をセットした状態としない状態で干渉計固有の波面収差に大きな違いが出たこと、及び、光学部材の荷重によりオイルが流動したことによるものと考えられる。
比較例2
実施例1で用いたものと同一の光学部材を、横型の平面光学部材測定用のフィゾー型干渉計にセットする。即ち、光学部材はビームの入射する面が鉛直方向になるように、側面下側の2箇所で光学部材の質量を保持する。なお、この横型フィゾー型干渉計は、光学系の配置が横型である以外は、実施例1で用いた縦型フィゾー型干渉計と構成が類似であり、その測定性能も前記縦型フィゾー型干渉計と同等である。この状態で、オイルオンプレート法により100×100メッシュの測定点(ρ,θ)について波面収差を測定する。測定されたこれらの波面収差データをツェルニケフィッティングする手順は、実施例1と同様に行なう。各成分の値を、図6に示す。即ち、光源波長λに対して、低次rrotが0.04λ、低次roddが0.02λ、低次revnが0.02λ、中次rrotが0.01λ、中次roddが0.008λ、中次revnが0.008λ、高次rrotが0.003λ、高次roddが0.003λ、高次revnが0.003λ、残差RMSが0.003λであった。これらの値を、既知の基準値と比較して、この光学部材は光リソグラフィー用途には使用不可能と判断された。実施例1と同じ光学部材を測定したにもかかわらず、本比較例では使用不可能と判断されたのは次の理由によるものと考えられる。即ち、光学部材の荷重が全て下側の支持部に集中したため光学部材に撓みが生じたこと、および、オイルが自重により下方に流動したことによるものと考えられえる。
変形例1
以下に、光学部材の保持方法の変形例を示す。図3(a)及び(b)に示したように、光学部材1の側面を段付き加工して、段部1aを4枚のプレート2を用いて下方から保持することができる。プレートの先端2aは、円柱状の光学部材の外周形状に合うように加工されている。この方法もまた本発明で言う側面保持方法の一形態である。この方法は、測定する光学部材全てをこのような形状に加工しなければならない。しかしながら、図1に示した保持法と異なり、光学部材1の中心に向かう押圧力が発生しない。
変形例2
この例では、図4(a)及び(b)に示したように、光学部材の外周面のほぼ1/4を保持することができるような円弧状の先端12aを有する保持プレート12を4枚用いて、それらを光学部材1の中心方向に押し付けた。光学部材1は、プレート12との間に発生する摩擦力により保持されている。この方法では、プレート12を光学部材の外周曲率と高精度の一致するように加工する必要がある。
さらなる変形例として、図5(a)及び(b)に示したように、プレート12の先端部に弾性部材12bを設けてもよい。
産業上の利用可能性
以上説明した通り、本発明によれば、光学部材を保持しながら波面収差を測定しているので、光学部材や平行平板の撓みやオイルの流動による測定誤差を抑制し、光学部材の屈折率均質性を高精度に測定することができる。それゆえ、本発明の方法は、半導体露光装置などの解像度の高い露光が要求される光リソグラフィーの用途に用いられる光学部材の評価に有用である。
【図面の簡単な説明】
図1(a)及び(b)は、光学部材の側面を8点で保持する光学部材の保持方法を示し、(a)は光軸方向から見た平面図であり、(b)は光軸と直交する方向から見た側面図である。
図2(a)及び(b)は、光学部材の側面を12点で保持する光学部材の別の保持方法を示し、(a)は光軸方向から見た平面図であり、(b)は光軸と直交する方向から見た側面図である。
図3(a)及び(b)は、段付きの光学部材の保持方法を示し、(a)は光軸方向から見た平面図であり、(b)は光軸と直交する方向から見た側面図である。
図4(a)及び(b)は、先端が円弧状の保持プレートによる光学部材の保持方法を示し、(a)は光軸方向から見た平面図であり、(b)は光軸と直交する方向から見た側面図である。
図5(a)及び(b)は、先端に弾性部材を備える円弧状保持プレートによる光学部材の保持を示し、(a)は光軸方向から見た平面図であり、(b)は光軸と直交する方向から見た側面図である。
図6は、光学部材の各RMS値と判定結果を示す表である。
図7は、ツェルニケ円筒関数によるフィッティングにより光リソグラフィー用光学部材の屈折率均質性の評価方法を説明するフローチャートである。
図8は、測定された波面収差データを表すための座標系を説明する概念図である。
図9は、エキシマレーザーステッパ用投影光学系と光束径を示す概念図である。
図10は、従来から行なわれている光リソグラフィー用光学部材の屈折率均質性の評価方法を説明するフローチャートである。
図11は、オイルオンプレート法による光学部材の波面収差測定を示す説明図であり、(a)は光学部材をセットしていない状態を示し、(b)は光学部材をセットした状態を示す。
図12は、光学部材を矢印方向に回転させて波面収差測定する状態を示す説明図であり、(a)は光学部材の光軸に直角な方向から見た状態を示し、(b)は(a)のb−b線方向から見た光学部材を示す。
図13は、光学部材を光軸に直交する方向に移動させて波面収差測定する状態を示す説明図であり、(a)は光学部材の光軸に直角な方向から見た状態を示し、(b)は(a)のb−b線方向から見た光学部材を示す。
図14は、光学部材の側面12箇所で保持した際に発生する応力歪の分布を示す概念図である。
本発明は、光リソグラフィー技術に用いられるレンズ、プリズム等の光学素子用光学部材の評価方法に関する。
背景技術
LSI等の半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等を製造するのに光リソグラフィー用露光装置が用いられる。このような露光装置では、光源からの光が、照明光学系を介して、マスクあるいはレチクル等の投影原版上に形成されたパターンに照射される。光が照射されたパターンは投影光学系により、予めフォトレジストを塗布したウェハあるいはガラスプレートなどの感光性基板上に投影される。投影光学系の形式としては、露光波長の光を透過して屈折させるレンズのみで構成された屈折型の投影光学系、露光波長の光を反射するミラーのみで構成された反射型の投影光学系、及びレンズとミラーとを組み合わせて構成された反射屈折型の投影光学系がある。
近年、半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等の集積度はますます高まり、基板上に転写されるパターンは微細化の一途をたどっている。そのため、光リソグラフィー用露光装置は、その光源をi線(365nm)からKrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、更に、F2レーザー(157nm)へと変更することで短波長化が進められている。これに伴って、光リソグラフィー用露光装置の光学系に対しては、より高い光学性能が要求されてきている。特に、マスク上の微細なパターンをウェハの感光面上に転写するための投影光学系は、高解像力で無収差に近い極めて高い光学性能が要求されている。このような要求を満たすために、光リソグラフィー用露光装置の光学系の構成要素となるレンズ、プリズム、フォトマスク等に用いる光学材料(以下、光リソグラフィー用光学部材ともいう)の屈折率均質性に対しては非常に高いレベルが要求されてきている。即ち、光リソグラフィー用光学部材としては、その屈折率にムラがないこと(屈折率均質性)が重要である。
光リソグラフィー用光学部材の屈折率均質性の評価は、光学部材に光を通過させ、その際に生じる波面収差を測定し、最大値と最小値の差(以下、PV値という)や、自乗平均平方根(以下、RMS値という)等を指標としてこれまで行なわれてきた。即ち、PV値やRMS値が小さいほど優秀な光学部材であると評価されるので、高品質とされる光学部材は、これらの値を小さくすることを目標として製造されてきた。
特開平8−5505号公報には、上記の屈折率均質性の評価方法について記載されている。この方法の具体的手順について図10を用いて以下簡単に説明する。
(1)円柱あるいは角柱状に研磨加工された光リソグラフィー用光学部材を干渉計にセットし、研磨加工面に対して参照波面を発射し波面収差を測定する。測定された波面収差には、光学部材の屈折率分布に起因した誤差収差を含むので、この収差を解析することで屈折率分布に関する情報が得られる。このうち、曲率成分に起因する誤差収差をパワー成分もしくはフォーカス成分と呼び、傾き成分に起因する誤差収差をチルト成分と呼ぶ。
(2)測定された波面収差からパワー成分とチルト成分を除去する。
(3)更に、アス成分に起因する波面収差を除去する。
(4)残った波面収差を、回転対称成分と非回転対称成分(ランダム成分)に分離する。
(5)非回転対称成分(ランダム成分)のPV値及びRMS値を求め、これらの値により評価を行なう。
(6)回転対称成分を最小自乗法により非球面公式にフィッティングし、2次及び4次成分を除去し、残った6次以上の偶数次の波面収差成分(以下、2次4次残差という)のPV値及びRMS値を求め、これらの値により評価を行なう。即ち、非回転対称成分(ランダム成分)及び2次4次残差が小さい光学部材が屈折率均質性の良好な光学部材とされ、このような光学部材を製造するよう努力が払われてきた。
光リソグラフィー用光学部材の波面収差の測定は干渉計を用いて行なう。干渉計としては波長633nmのHe−Neレーザーを光源とする平面光学部材測定用のフィゾー型干渉計を用いるのが一般的である。干渉計は、被測定物を2枚の平行平板の間に挟んで固定する構造となっている。波面収差測定に用いる光源としてはKrFエキシマレーザー(248nm)やArFエキシマレーザー(193nm)を用いる方が原理に対してより忠実ではある。しかし、干渉計のコスト、大きさ、測定安定性等の理由からHe−Neレーザーを用いることが多い。
干渉計により光学部材の波面収差を高精度に測定するためには、被検物の表面から測定光の散乱を有効に防止しつつ干渉光を測定する必要がある。測定光の散乱の影響を低減するために、2枚の平行平板の間に被検物である光学部材を挟み、それらの隙間に透明なオイルを充填するオイルオンプレート法と呼ばれる方法が望ましい。
この方法について、図11(a)及び(b)の説明図により説明する。まず、測定に用いるフィゾー型干渉計について説明する。フィゾー型干渉計は、本体部分21、参照面物体22、二枚の平行平板23、及び反射面25から成り立っている。この干渉計に被測定物である光学部材24をセットする前に、前記二枚の平行平板23を接近させて配置し、その隙間に被測定物とほぼ同じ屈折率を有する透明なオイル26を充填する。この状態でレーザービームによる参照波面を照射して透過した光を撮像し、波面収差データを得る。この状態を図11(a)に示す。次に、光学部材24を前記二枚の平行平板23の間にセットした状態で、前記透明なオイル26を平行平板23と光学部材24の隙間に充填し、この状態で透過した光を撮像して波面収差データを得る。この状態を図11(b)に示す。次に、光学部材24をセットした状態で測定された波面収差データから、光学部材をセットしない状態で測定された波面収差データを減算する。これにより、光学部材24の表面形状による波面収差に起因する測定誤差の影響を除くと同時に、干渉計に起因する波面収差による誤差も除いて、光学部材24内部の波面収差のみを測定することができる。即ち、光学部材固有の波面収差を求めることができる。
この原理について詳しく説明する。光学部材の内部均質性に依存する波面収差をW、干渉計に依存する波面収差をE、オイルに依存する波面収差をOとすると、光学部材をセットした状態で測定した波面測定データD1は、
D1=W+E+O (1)
と表せる。また、光学部材をセットしない状態で測定した波面収差測定データD2には干渉計に依存する波面収差Eとオイルに依存する波面収差Oが含まれるので、
D2=E+O (2)
と表せる。従って、光学部材をセットした状態で測定された波面収差測定データD1から、光学部材をセットしない状態で測定された波面収差測定データD2を減算すると、
D1−D2=W+E+O−(E+O)=W (3)
となり、光学部材の内部均質性に依存する波面収差Wのみが分離されて求まる。
実際の波面収差の測定は、測定領域を複数の測定要素に分割し、各要素毎の測定値を得て、それらの測定値をつなぎ合わせることで、測定領域全体の測定領域全体の波面収差を把握する。測定要素の数は、断面が円形の場合、それを内接円とする正方形領域を50×50メッシュ以上に分割した要素の数として、各要素毎の測定値を得ることが望ましい。なお、要素の数(測定点数)は被測定物の径に応じて変更するのが望ましく、更に、その光学部材を加工したレンズを用いる際の光束径(パーシャル径)も考慮して決定することがより望ましい。例えば、図9に示した光学系で、レチクルRを透過した光束は、G1からG6のレンズ群を通過してウェハWの表面上に焦点を結ぶが、その際、各レンズを透過する光束径(パーシャル径)は異なる。即ち、レチクルRに近い側のレンズの光束径は、レチクルRから遠い(ウェハWに近い)レンズの光束径に比べて小さい。このような各レンズに用いる光学部材に対して、レンズの光束径内の測定点数がほぼ同等になるように測定要素数を設定することで、複数の種類のレンズに対してほぼ同等な精度の測定が可能となる。なお、光束径を考慮して測定要素数を設定する方法においては、有効径が大きく光束径が小さいレンズに用いる光学部材では、レンズの有効径内を網羅して測定しようとすると、測定要素数が非常に多くなってしまう。このような場合には、光学部材の複数の領域毎に波面収差測定を行ない、得られた波面収差データを合成することで全体の波面収差データを得ることができる。波面収差の測定には、フィゾー型干渉計以外に、トワイマングリーン型干渉計、シアリング型干渉計などを用いることもできる。
測定された波面収差データは、図8に示すように、光学部材の射出瞳面80上に座標系を定めて、得られた波面収差をその座標系で表わす。即ち、射出瞳面上に極座標を定め、得られた波面収差WをW(ρ,θ)として表わす。
特開2002−162628には、光学部材の透過波面データをツェルニケ展開して、回転対称成分、奇数対称成分及び偶数対称成分に分離し、それらを次数に応じて複数の部分(低次、中次、高次)にさらに分離して、各RMS値により評価することが記載されている。光学部材を回転し横ずらしして、光学部材の透過波面データを回転対称成分と非回転対称成分に分離することも記載されている。
ところで、干渉計には、光学部材に光が入射する面を鉛直方向となるようにセットするタイプ(即ち、光軸が水平となるので横型と呼ぶ)と、光学部材の光が入射する面が水平方向となるようにセットするタイプ(即ち、光軸が鉛直となるので縦型と呼ぶ)の二通りがある。
横型の場合、光学部材を立ててセットするため、光学部材の荷重が下側の支えに集中し、光学部材に歪が発生し易い。また、平行平板と光学部材との間に充填したオイルが自重により下方に流動するため、このことによる誤差が測定値に混入し易い。従って、横型は高精度な波面収差の測定には不向きである。
従って、波面収差を高精度に測定するには縦型を用いることになる。しかし、縦型では、光学部材の荷重はオイルを介して下側の平行平板で受けることになるため、下側の平行平板には撓みが発生する。また、光学部材と下側の平行平板の間に充填されたオイルは、光学部材の荷重により外側に押し出されて流動する。これらの現象による誤差は測定値に混入するという問題がある。
発明の開示
本発明は、上記従来技術の問題を解決するために達成されたものであり、その目的は、オイルの流動を抑制し、かつ、平行平板を用いることにより発生する光学部材の応力歪による影響をキャンセルすることができる屈折率均質性を評価する方法を提供することである。本発明の別の目的は、縦型の干渉計を用いて波面収差を高精度に測定することにより、半導体露光装置などの光リソグラフィー用途に用いる光学部材の屈折率均質性を正確に評価する方法を提供することである。
本発明に従えば、光学部材の波面収差を測定することによって屈折率均質性を評価する方法であって、光学部材の光軸に対する側面を等間隔の複数位置で保持し、前記光学部材に光を通過させて波面収差を測定することを含む光学部材の屈折率均質性の評価方法が提供される。本発明の方法では、光学部材の荷重を各保持位置で均等に保持することができるので、波面収差データを高精度に測定することができ、高精度な屈折率均質性の測定ができる。
本発明の方法において、前記光学部材の光が入射する面が水平となるように、光学部材の上記側面を保持することが望ましい。光学部材をこのように保持することにより、保持部分にかかる荷重を一層低減して光学部材の歪みを抑えることができる。また、例えば、半導体露光装置の投影光学系に収容された光学部材は、通常、光軸が鉛直方向に配置されているので、このような使用態様に応じた保持方法で波面収差を測定することが望ましい。
本発明の方法において用いる光学部材は光軸を回転中心とする円柱状光学部材にし得る。この場合、光学部材を、前記光軸を中心に、前記等間隔に相当する角度の整数倍だけ回転させ、回転前に測定した波面収差データと回転後に測定した波面収差データとを用いて前記光学部材の屈折率均質性を評価し得る。このような操作により、光学部材の保持部分にかかる荷重により発生する応力歪みをキャンセルし、高精度な屈折率均質性の測定ができる。
前記光学部材は、光学部材からの散乱を防止するために、前記光学部材とほぼ同じ屈折率を有するオイルを介して2枚の平行平板の間に配置させ得る。
本発明の方法において、前記光学部材に光を通過させるのに先立って、前記2枚の平行平板を互いに平行に近接させて配置し、前記2枚の平行平板の隙間に、前記光学部材とほぼ同じ屈折率を有するオイルを満たした状態で、前記2枚の平行平板に光を通過させて第一の波面収差データを測定する第一測定工程と、前記2枚の平行平板の間に、前記光学部材を保持し、前記平行平板と前記光学部材の隙間に前記オイルを満たした状態で前記2枚の平行平板と前記光学部材に光を通過させて第二の波面収差データを測定する第二測定工程と、前記第一の波面収差データと前記第二の波面収差データの差から第三の波面収差データを算出し、前記第三の波面データから前記光学部材の屈折率均質性を評価する工程を含み得る。この追加工程により、測定装置に起因する誤差をキャンセルできるので、より一層、高精度な屈折率均質性の測定が可能となる。
本発明の方法は、さらに、回転前の第三の波面収差データと回転後の第三の波面収差データの平均値と、回転前の第三の波面収差データとの差から波面収差の非回転対称成分を求める工程と、
前記光学部材を光軸と直交する方向に移動させ、移動後の前記光学部材に光を透過させて得た波面収差データと、移動させる前に得た波面収差データの差を求め、求めた差から波面収差の回転対称成分を求める工程とを含み、
前記求めた非回転対称成分と前記回転対称成分を加えた波面収差データから前記光学部材の屈折率均質性を評価し得る。これらの追加工程により、一層誤差の少ない波面収差データを得ることができるので、より高精度な屈折率均質性の測定が可能となる。
本発明の方法において、前記光学部材の側面の複数位置を弾性部材でそれぞれ保持し得る。これにより、応力が一点に集中することが防止される。また、複数点を保持したことにより発生する応力歪のパターンを均一化してそれらを有効にキャンセルするには、前記弾性部材を前記光学部材の側面に前記光学部材の光軸に向かって押圧することが望ましい。前記光学部材の側面を保持する位置の数は、4以上、特には8以上、一層特には12以上であることが望ましい。
本発明の方法は、光リソグラフィー用途、特に半導体露光装置の投影光学系に搭載される光学部材の屈折率均質性の評価に用いるのが好ましい。
発明を実施する最良の形態
本発明の評価方法を、以下に具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されない。
まず、出発材料を合成してインゴットを得る。材料としては、合成石英、フッ素ドープ石英、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、その他の結晶材料等が用いられる。材料の種類により合成方法が異なるので、各材料に適した方法で合成する。合成したインゴットから光リソグラフィー用光学部材を切出す。光学部材は直径400mm、厚さ60mmで、上面と下面は平面になるよう研削または研磨加工を施す。
光学部材の波面収差は波長633nmのHe−Neレーザーを光源とする平面光学部材測定用の縦型フィゾー型干渉計で測定する。レーザー光線が光学部材へ入射する面が水平な状態に保たれるように光学部材の側面を等間隔に複数の位置で保持する。また、光学部材は2枚の平行平板の間に位置させる。光学部材と2枚の平行平板の隙間にはオイルを満たす。オイルの屈折率は、光学部材の屈折率とほぼ同一となるようにオイルの種類を選択する。波面収差の測定はオイルオンプレート法により行なう。この方法の原理については既に説明した通りである。
具体的な光学部材側面の保持方法の例を図1(a)及び(b)を用いて説明する。図示した光学部材1は、円柱状であり、その光軸AXは円板の回転中心に位置し、紙面に垂直方向に延在する。この光学部材1が実際に使用されるときに光が入射する面は、紙面に平行な面(上面または底面)1aである。光学部材1が弾性部材4により保持される面は、光軸AXを回転中心とした場合の側面(光軸に対する側面)であり、光学部材が円柱状または円板状部材である場合には外周面に相当する。
図1(a)及び(b)に示したように、先端に弾性部材4を取り付けた複数のロッド3により、光学部材の側面1bの8箇所に荷重をかけ、それにより発生する摩擦力によって光学部材1を保持する。ロッド3は光学部材の側面に沿って等間隔に配置する。荷重は光学部材のほぼ中心、すなわち光軸AXに向かうようにすることが望ましい。ロッド3は、図示しないアクチュエータの作用により光学部材1の放射方向(図中矢印方向)に動作して光学部材1を保持及び開放する。アクチュエータとして、例えば、同一容積の8本のエアシリンダー及びピストンから構成し得る。この場合、各ロッド3は、それぞれ、ピストンとなる。各ピストンを摺動するエアシリンダーはマニホールドを介して共通の圧力配管に連結することができ、圧力配管に所定ガス圧力を供給することによりピストンを介して弾性部材を移動する。それゆえ、弾性部材4と接している光学部材の8点には均一な付勢力をかけることが出来る。弾性部材4として、例えば、フッ素系ゴム、シリコン系ゴムなどから形成されたリング状の部材を用いることが出来る。付勢力が1点に集中しないように、そのようなリング状部材を光軸方向に複数重ねて用いることもできる。
図1では8本のロッド3を用いたが、ロッドの個数は4以上であることが望ましく、8以上であればより望ましく、12以上であれば一層望ましい。図2には、弾性部材を取り付けたロッド3を12個用いて、光学部材の側面を12箇所で保持した例を示す。
このように光学部材を保持して波面収差を測定する。その際、光学部材の外周(光学部材が円柱状の場合)を内接円とする正方形領域を50×50メッシュ程度以上の要素に分割し、各要素について波面収差の値を測定する。この要素の数(測定点数)は、被測定物である光学部材の大きさや、光束径(パーシャル径)に応じて決定する。
測定された波面収差データは、既に説明した通り、図8に示すように、光学部材の射出瞳面80上に座標系を定めて、得られた波面収差をその座標系で表わす。即ち、射出瞳面上に極座標を定め、得られた波面収差WをW(ρ,θ)として表わす。
次に、波面収差Wを直交関数系に展開する。本発明では、波面収差を前記光学部材の瞳を中心とする回転対称成分と、奇数対称成分と、偶数対称成分に分離するために、直交関数系としてツェルニケの円筒関数を用いる。この一連の手順を図7に示す。ρは射出瞳の半径を1に規格化した規格化瞳半径、θは極座標の動径角である。即ち、波面収差W(ρ,θ)を、ツェルニケの円筒関数系Zn(ρ,θ)を用いて、
W(ρ,θ)=ΣCnZn(ρ,θ) (4)
と展開する。ここでCnは展開係数である。大きなnの値まで展開するほど精度よくフィッティングできる。しかし、nがあまりに大きいと計算のための負担が大きくなるので適度な大きさが望ましい。このような観点から、n=0〜35、または、0〜80とするのが適当である。n=0〜35の場合は10次の係数までフィッティングでき、また、n=0〜80の場合は16次の係数までフィッティングできる。
次いで、(1)式の各項を、
(a)θを含まない項、即ち、ある座標での値と、その座標を瞳の中央を中心として任意の角度だけ回転した座標での値とが等しい回転対称成分;
(b)sin(又はcos)θ、sin(又はcos)3θなどの、動径角θの奇数倍の三角関数を含む項、即ち、ある座標での値と、その座標を瞳の中央を中心として360°の奇数分の1だけ回転した座標での値とが等しい奇数対称成分;
(c)sin(又はcos)2θ、sin(又はcos)4θなどの、動径角θの偶数倍の三角関数を含む項、即ち、ある座標での値と、その座標を瞳の中央を中心として360°の偶数分の1だけ回転した座標での値とが等しい偶数対称成分;
の三種類に分離する。即ち、波面収差の回転対称成分、奇数対称成分、及び偶数対称成分をそれぞれ、Wrot、Wodd、及びWevnとすると、下記のように表される。
Wrot(ρ,θ)=C0+C3Z3+C8Z8+C15Z15+C24Z24+‥‥(5)
Wodd(ρ,θ)=C1Z1+C2Z2+C6Z6+C7Z7+C9Z9+C10Z10‥‥(6)
Wevn(ρ,θ)=C4Z4+C5Z5+C11Z11+C12Z12+C16Z16+‥‥(7)
更に、(4)式の波面収差のRMS値(自乗平均平方根)をrw、(5)式の波面取差の回転対称成分WrotのRMS値をrrot、(6)式の波面収差の奇数対称成分WoddのRMS値をrodd、そして(7)式の波面収差の偶数対称成分WevnのRMS値をrevnとする。rw、rrot、rodd、及びrevnの間には、
(rw)2=(rrot)2+(rodd)2+(revn)2
の関係が成り立つ。rrot、rodd、及びrevnは、それぞれ、光学部材の屈折率分布の球面収差成分、コマ収差成分、及び非点収差成分と関連付けることができる。
ここで、光学部材を加工してレンズとし、それを組み合せて光学系を構成する場合を考える。nが比較的小さい成分、即ち、次数の低い成分の収差については、レンズ間隔の変更や、一部レンズを光軸の回りに回転させたり、傾けたり、あるいはシフトしたりすることで低減し易い。nがそれより大きい次数の収差成分では、低減することは難しくなるが、それでもレンズを回転させたり、レンズの組合せを変更したりすることである程度は低減できる。そして、このような方法で低減できない場合には、一部レンズの表面形状を修正することで低減することができる。しかし、更にnが大きい次数の収差成分については低減することは難しい。
本発明者らの研究によれば、nが小さい成分、例えばn=0〜3の成分に関しては収差が除去可能なので、これらの成分については評価の対象から除いても問題はないと考えられる。そして、nが4以上の成分に関して、nの大きさにより複数の領域に分けて収差成分を評価することで、光学部材の屈折率均質性について合理的な評価ができる。例えば、n=4〜8の成分を低次、n=9〜35の成分を中次、n>35の成分を高次とする3つの領域に分けて収差成分を評価することで、光学部材の屈折率均質性について合理的な評価ができる。
そこで、Wrot、Wodd、及びWevnを、それぞれ低次(n=4〜8)、中次(n=9〜35)、及び高次(n>35)に分け、それらの波面収差成分のRMS値をそれぞれ低次rrot、低次rodd、低次revn、中次rrot、中次rodd、中次revn、高次rrot、高次rodd、及び高次revnとし、フィッティングしきれずに残った波面収差成分を残差と定義する。また、残差のRMS値及びPV値を残差RMS及び残差PVと定義する。
なお、n=0〜35でフィッティングした場合には、高次rrot高次rodd、及び高次revnは定義せず、低次及び中次の各項でフィッティングしきれずに残った波面収差成分を高次残差と定義する。そして、高次残差のRMS値及びPV値を高次残差RMS及び高次残差PVと呼ぶ。
また、上記説明では、波面収差をまず、回転対称成分、奇数回転対称成分、偶数回転対称成分に分離した後、それぞれの成分を次数により低次、中次、高次に分離したが、この順序は逆でも構わない。即ち、波面収差をまず、次数により、低次、中次、高次の成分に分離した後、それぞれの成分を、回転対称成分、奇数回転対称成分、偶数回転対称成分に分離することでも全く同じ結果が得られる。このようにツェルニケフィッティングにより光学部材の波面収差を複数の成分に分けて評価することで、高精度に屈折率均質性を評価することが可能となる。
ところで、既に説明した通り、光学部材はその側面の複数の位置を等間隔に保持する。保持するためには荷重を加えることになるため、光学部材の保持部分には応力歪が発生する。この応力歪の測定例を図14に示す。この例では、図2(a)及び(b)に示した保持方法で光学部材の側面12箇所を保持した場合の歪を測定している(ロッドに連結する共通配管に供給した空気の駆動圧力0.1MPa、光学部材の寸法:φ302×52t)。図から分るように、保持した12ヶ所に応力歪が発生している(歪み平均値:−3.50、標準偏差:0.09、12点の歪幅:0.35)。このような応力歪は、光学部材に固有のものではないので、正確な屈折率均質性を評価する妨げとなる。
そこで、より高精度に被測定物の波面収差を計測する、即ち、高精度に屈折率均質性を評価するために、本発明者らは次に説明する方法を用いた。まず、非測定物としての光学部材を縦型のフィゾー干渉計にセットしてオイルオンプレート法により波面収差データを求める。
次に、図12(b)に示したように、光学部材24を光軸を中心に矢印方向に回転させ、所定の回転角度毎に波面収差測定を行う。所定の回転角度とは、光学部材の隣り合う保持位置間の角度の整数倍の角度とする。次に、各波面測定収差データを平均化して得られたデータを、光学部材を回転させる前に測定した波面収差データから減算する。これにより、光学部材固有の波面収差を構成する回転対称成分と非回転対称成分のうち非回転対称成分が求まる。同時に、光学部材を保持することで発生する応力歪による波面収差データへの影響もキャンセルすることができる。
次に、図13(a)及び13(b)に示したように、光学部材24を、図12(a)及び(b)に示した状態から、光軸に直角方向にずらせた状態で波面収差データを求め、ずらせる前に測定した波面収差データから減算する。これにより、光学部材固有の波面収差を構成する回転対称成分と非回転対称成分のうち回転対称成分が求まる。このようにして求めた回転対称成分と非回転対称成分を加算することで光学部材固有の波面収差が求められる。光学部材を回転させたりずらせたりするのに要する時間は短いので、この間の干渉計やオイルの状態の変化は殆ど無視できる程度と考えられる。従って、このような方法によれば、より精度よく波面収差の測定を行なうことが可能となる。
上記の光学部材の波面収差の測定原理に従う演算処理を以下に説明する。まず、光学部材の内部均質性に依存する波面収差Wを構成する成分によって分類し、回転対称成分をWs、非回転対称成分(奇数回転対称成分、偶数回転対称成分、及び残差の合計)をWaとすると、
W=Ws+Wa (8)
と表される。図12(b)に示すように、光学部材を360°/nずつ回転させながら、それぞれの角度で測定した各波面収差データを、Dw(1)、Dw(2)、…Dw(n)、各角度における光学部材の波面収差(内部均質性)をW(1)、W(2)、…W(n)とする。
ここで、回転対称成分を下記式(9)のように定義する。
Ws=ΣW(i)/n (9)
回転平均化した非回転対称成分の値はゼロとなる。このことを以下に示す。即ち、(8)式より、
W(i)=Ws+Wa(i) (10)
であるので、
ΣW(i)/n=ΣWs/n+ΣWa(i)/n
移項すると、
ΣWa(i)/n=ΣW(i)/n−ΣWs/n=Ws−Ws=0
即ち、回転平均化した非回転対称成分の値はゼロとなることが示された。回転平均化データは、平行平板の波面収差をS、オイルを含む干渉計の測定光学系の波面収差をK、反射面の波面収差をMとすると、(9)式の定義より、下記(11)式が得られる。
ΣDw(i)/n=ΣW(i)/n+S+K+M=Ws+E+O (11)
式(11)の右辺は、式(1)を用いて波面収差を、干渉計由来の成分Eとオイル由来の成分Oに分けている。光学部材の0°方向の波面収差データDw(1)は(10)式より、下記(12)式のように表される。
Dw(1)=W(1)+S+K+M=Ws+Wa(1)+E+O (12)
よって、(12)式から回転平均化データ(11)式を減算すると、下記式(12’)のようになる。
Dw(1)−ΣD(i)/n=Wa(1) (12’)
こうして、非回転対称成分Waが得られた。
次に、図13(a)及び(b)に示すように、光学部材を横にずらせたときの波面収差データをDw(x)、このときの光学部材内部均質性の回転対称成分をWs(x)、非回転対称成分をWa(x)とすると、下記式(13)のように表される。
Dw(x)=Ws(x)+Wa(x)+E+O (13)
この波面収差データDw(x)を0°方向(ずらせない状態)の波面収差データDw(1)から減算すると、(12)式及び(13)式より、下記式(14)のようになる。
Dw(1)−Dw(x)=(Ws+Wa)−(Ws(x)+Wa(x)) (14)
ここで、Waは既知であり、それに基づいてWa(x)も求まるので既知である。未知の項を左辺に、測定データの項を右辺に移項すると、下記(15)式のようになる。
Ws−Ws(x)=Dw(1)−Dw(x)−(Wa−Wa(x)) (15)
これは、回転対称成分Wsが横ずらし重畳されたデータであり、回転対称成分の等高線が同心円状の分布となる性質を利用するとWs(x)が求まるので、この項も右辺に移項すると、下記(16)式のようになる。
Ws=Dw(1)−Dw(x)−(Wa−Wa(x))+Ws(x) (16)
こうして、回転対称成分Wsが求まる。即ち、光学部材固有の波面収差のデータ構造は(8)式に示した通りなので、光学部材固有の波面収差(内部均質性)が求まることになる。
光学部材を回転させて波面データを得る際の回転角度に関しては、既に説明した通り、光学部材を保持する位置の数に関連する。例えば光学部材の側面(外周)を均等に12箇所で保持する場合には、隣り合う保持位置間の角度は30°であるから、回転させる角度は、この整数倍、即ち、30°、60°、90°・・・のような角度とする必要がある。回転させて測定する回数については、多い方が原理的に測定精度が高いが、その反面、測定に要する時間が長くなり、干渉計やオイルの状態の変動する可能性が高くなるため、測定精度が低下する要因となる。従って、実際の測定では、3〜4回が適当と考えられる。短時間で測定したい場合には2回とすることも可能である。この場合、必ずしも回転角度は対角線の位置関係(例えば、0°と180°)とする必要はなく、例えば、0°と60°のような組合せでも可能である。
また、光学部材を横にずらせる量に関しては、原理的には大きい方が測定精度は高くなるが、反面、光学部材の保持状態等が変化し、測定精度が低下する恐れもある。従って、横にずらせる量はむやみに大きな量とすべきでなく、光学部材の直径の10%程度が適当と考えられる。
このようにして求めた波面収差を、既に説明したツェルニケの円筒関数等の直交関数系へ展開する。以下、本発明の方法を実施例により具体的に説明する。
実施例1
ダイレクト法により、直径500mm、長さ800mmの石英硝子インゴットを製造し、このインゴットから円板状のテストピースを水平に切出す。この時、インゴットの回転中心と円板の中心を一致させる。このテストピースを歪の除去と均質性の調整のため、中心対称の温度分布を有するアニール炉の中央にセットして、回転させながらアニール処理を行なう。アニール処理条件は、1000℃を24時間維持した後、−10℃/分の温度勾配で500℃まで降温し、以後放冷する。次に、このテストピースからコアドリルにより、直径300mm、厚さ60mmの円板状部の光学部材を抜き出し、上下面を研磨する。この時、インゴットの回転中心と円板の中心を一致させる。この光学部材の屈折率均質性を評価するためには、まず、屈折率の傾斜成分を知っておく必要がある。その理由は、屈折率の傾斜成分を干渉計で直接測定することは困難なためである。そこで、この部材の径方向の両端から2つのプリズム形状のサンプルを採取し、高精度のスペクトロメーターを使用して最小偏角法により10−7オーダーの精度で屈折率の測定を行なう。この場合、2つのサンプルの屈折率差は測定限界以下、即ち、10−7以下であった。このことから、円板状のサンプルの回転中心は光軸とほぼ平行である(光軸にほぼ一致している)ことが分る。
次に、波長633nmのHe−Neレーザーを光源とする平面光学部材測定用の縦型フィゾー型干渉計を用意する。まず、この干渉計に2枚の円板状の平行平板を接近させてセットし、その隙間に測定する光学部材の屈折率とほぼ同じ屈折率を有するオイルを充填する。平行平板は、直径460mm、厚さ70mmであり、被検物が配置される側とは反対側の面にMgF2/Al2O3(SiO2/Al2O3でもよい)の多層膜が形成された石英ガラスを用いた。この状態で、第一の波面収差データを100×100メッシュの測定点(ρ,θ)について測定する。
次に、光学部材を2枚の平行平板の間に、平行平板とほぼ平行に配置し、光学部材の上側および下側の平行平板との隙間にオイルを充填した。ここで、図1に示した通り、光学部材はレーザービームの入射する面が水平となるように、側面1bの8箇所にロッド3に設けられた弾性部材4を介して荷重をかけることにより摩擦力を発生させることで保持した。ここで、各ロッド3は、それぞれ、図示しない同一内径のエアシリンダー(不図示)に収容されており、8本のエアシリンダーはマニホールド(不図示)を介して共通の圧力配管(不図示)に連結されている。従って、共通の圧力配管に供給されたガス圧力はエアシリンダーを介して各弾性部材に供給される。それゆえ、弾性部材4と接している光学部材1の8点には均一な付勢力が作用している。この例では、共通の圧力配管に0.1MPaのガスを供給した。
図1では、弾性部材4を簡略化して描いたが、弾性部材として、市販の内径17.6mm、太さ2.4mmのフッ素系ゴム製(またはシリコン系ゴム製)のOリングを2個、回転軸方向に重ね合わせて使用した。
上記のように光学部材を弾性部材4で均一に保持した状態で100×100メッシュの測定点(ρ,θ)について第二の波面収差データ(21)を得る。第一の波面収差データ(11)と第二の波面収差データ(21)の差を求め、第三の波面収差データ(31)を算出する。第二の波面データ(21)を得るに先立って、光学部材を光軸の周りに所定角度回転させた後、元の位置に戻すという動作を行うことで、オイルの厚さや密度のバラツキを低減し、より高精度な測定が行えることも期待できる。回転させる角度は45〜90°程度が適当であり、場合によってはこれより小さくてもあるいは大きくても良い。また、回転させた後に元の位置に戻さなくても構わない。回転動作の繰り返し回数は適宜選択すればよい。回転速度は、オイルに気泡が巻き込まれない程度とするのが望ましく、光学部材の大きさやオイルの粘性に応じて適宜決定すればよい。
次に、光学部材を保持したまま45°回転させ、その状態で第二の波面収差データ(22)を得る。第一の波面収差データ(11)と第二の波面収差データ(22)から、同様に第三の波面収差データ(32)を得る。次に、光学部材を更に45°回転させ、その状態で第三の波面収差データ(33)を得る。この操作を繰り返して、第三の波面収差データ(38)まで合計8個の波面収差データ得る。次に、これら8個の波面収差データの平均値を第三の波面収差データ(31)から減算し、非回転対称成分Waを分離する。
その後、光学部材を回転させる前の位置(第一の波面収差データを測定した位置)に戻し、その状態から光軸と直角の方向(横方向)に50mm移動させ、その状態で第二の波面収差データ(X)を得る。この波面収差データを第1の波面収差データ(11)から減算し、回転対称成分Wsを分離する。
得られた非回転対称成分Waと回転対称成分Wsを加算して波面収差データWを求め、これをn=0〜80の項までツェルニケの円筒関数系Zn(ρ,θ)にフィッティングする。即ち、複数の測定データから最小自乗法によりC0〜C80の展開係数を求める。
次に、求めた展開係数を(1)式に代入して計算することで、各測定点毎にW(ρ,θ)を求める。(5)〜(13)式に求めた展開係数を代入して計算することで、各測定点毎の低次Wrot、低次Wodd、低次Wevn、中次Wrot、中次Wodd、中次Wevn、高次Wrot、高次Wodd、及び高次Wevnを算出し、更に、これらの値から低次rrot、低次rodd、低次revn、中次rrot、中次rodd、中次revn、高次rrot、次rodd、及び高次revnを算出する。また、各測定点毎に、実際の測定データと(1)式に代入して計算したW(ρ,θ)の差を求めることで残差を求め、これらの値から残差RMS値を算出する。各成分の値は、図6に示した通りである。即ち、光源波長λに対して、低次rrotが0.01λ、低次roddが0.01λ、低次revnが0.01λ、中次rrotが0.005λ、中次roddが0.006λ、中次revnが0.003λ、高次rrotが0.0015λ、高次roddが0.0015λ、高次revnが0.002λ、残差RMSが0.001λであった。各r値がかなり小さいことから、光学部材の屈折率均質性がかなり高いことが分る。これらの値を既知の基準値と比較して、この光学部材は光リソグラフィー用途、特に半導体露光装置の投影光学系のレンズに使用可能と判断された。
実施例2
実施例1で用いたものと同一の光学部材を、実施例1に用いたものと同一の縦型フィゾー型干渉計にセットする。光学部材の保持は、図3(a)及び(b)に示したようにロッド5を12本用いて光学部材の周方向の12点を等間隔で支持した以外は実施例1と同様に行った。
波面取差データの測定及び測定値の演算処理は、実施例1と同様に行った。各成分の値は、図6に示した通りである。即ち、光源波長λに対して、低次rrotが0.008λ、低次roddが0.008λ、低次revnが0.009λ、中次rrotが0.004λ、中次roddが0.005λ、中次revnが0.002λ、高次rrotが0.0015高次roddが0.0015λ、高次revnが0.001λ、残差RMSが0.0008λであった。各成分は実施例1で得られた値以下であり、これは実施例1の場合よりも保持の均一性が向上したことによると考えられる。これらの値を既知の基準値と比較して、この光学部材は光リソグラフィー用途、特に半導体露光装置の投影光学系のレンズに使用可能と判断された。
比較例1
実施例1で用いたものと同一の光学部材を、実施例1に用いたものと同一の縦型フィゾー型干渉計にセットする。但し、光学部材を、図1に示した保持装置で保持せずに、図11(b)に示すようにオイルを介して2枚の平行平板の間に挟んだ。
波面収差データの測定及び測定値の演算処理は、実施例1と同様に行った。求められた各成分の値を図6に示す。即ち、光源波長λに対して、低次rrotが0.05λ、低次roddが0.02λ、低次revnが0.02λ、中次rrotが0.015λ、中次roddが0.008λ、中次revnが0.008λ、高次rrotが0.003λ、高次roddが0.003λ、高次revnが0.003λ、残差RMSが0.004λであった。この光学部材は光リソグラフィー用として使用不可能と判断された。実施例1および2と同じ光学部材を測定したにもかかわらず、本比較例では使用不可能と判断されたのは次の理由によるものと考えられる。即ち、光学部材の荷重が全て下側の平行平面板にかかったために平行平面板に撓みが生じ、光学部材をセットした状態としない状態で干渉計固有の波面収差に大きな違いが出たこと、及び、光学部材の荷重によりオイルが流動したことによるものと考えられる。
比較例2
実施例1で用いたものと同一の光学部材を、横型の平面光学部材測定用のフィゾー型干渉計にセットする。即ち、光学部材はビームの入射する面が鉛直方向になるように、側面下側の2箇所で光学部材の質量を保持する。なお、この横型フィゾー型干渉計は、光学系の配置が横型である以外は、実施例1で用いた縦型フィゾー型干渉計と構成が類似であり、その測定性能も前記縦型フィゾー型干渉計と同等である。この状態で、オイルオンプレート法により100×100メッシュの測定点(ρ,θ)について波面収差を測定する。測定されたこれらの波面収差データをツェルニケフィッティングする手順は、実施例1と同様に行なう。各成分の値を、図6に示す。即ち、光源波長λに対して、低次rrotが0.04λ、低次roddが0.02λ、低次revnが0.02λ、中次rrotが0.01λ、中次roddが0.008λ、中次revnが0.008λ、高次rrotが0.003λ、高次roddが0.003λ、高次revnが0.003λ、残差RMSが0.003λであった。これらの値を、既知の基準値と比較して、この光学部材は光リソグラフィー用途には使用不可能と判断された。実施例1と同じ光学部材を測定したにもかかわらず、本比較例では使用不可能と判断されたのは次の理由によるものと考えられる。即ち、光学部材の荷重が全て下側の支持部に集中したため光学部材に撓みが生じたこと、および、オイルが自重により下方に流動したことによるものと考えられえる。
変形例1
以下に、光学部材の保持方法の変形例を示す。図3(a)及び(b)に示したように、光学部材1の側面を段付き加工して、段部1aを4枚のプレート2を用いて下方から保持することができる。プレートの先端2aは、円柱状の光学部材の外周形状に合うように加工されている。この方法もまた本発明で言う側面保持方法の一形態である。この方法は、測定する光学部材全てをこのような形状に加工しなければならない。しかしながら、図1に示した保持法と異なり、光学部材1の中心に向かう押圧力が発生しない。
変形例2
この例では、図4(a)及び(b)に示したように、光学部材の外周面のほぼ1/4を保持することができるような円弧状の先端12aを有する保持プレート12を4枚用いて、それらを光学部材1の中心方向に押し付けた。光学部材1は、プレート12との間に発生する摩擦力により保持されている。この方法では、プレート12を光学部材の外周曲率と高精度の一致するように加工する必要がある。
さらなる変形例として、図5(a)及び(b)に示したように、プレート12の先端部に弾性部材12bを設けてもよい。
産業上の利用可能性
以上説明した通り、本発明によれば、光学部材を保持しながら波面収差を測定しているので、光学部材や平行平板の撓みやオイルの流動による測定誤差を抑制し、光学部材の屈折率均質性を高精度に測定することができる。それゆえ、本発明の方法は、半導体露光装置などの解像度の高い露光が要求される光リソグラフィーの用途に用いられる光学部材の評価に有用である。
【図面の簡単な説明】
図1(a)及び(b)は、光学部材の側面を8点で保持する光学部材の保持方法を示し、(a)は光軸方向から見た平面図であり、(b)は光軸と直交する方向から見た側面図である。
図2(a)及び(b)は、光学部材の側面を12点で保持する光学部材の別の保持方法を示し、(a)は光軸方向から見た平面図であり、(b)は光軸と直交する方向から見た側面図である。
図3(a)及び(b)は、段付きの光学部材の保持方法を示し、(a)は光軸方向から見た平面図であり、(b)は光軸と直交する方向から見た側面図である。
図4(a)及び(b)は、先端が円弧状の保持プレートによる光学部材の保持方法を示し、(a)は光軸方向から見た平面図であり、(b)は光軸と直交する方向から見た側面図である。
図5(a)及び(b)は、先端に弾性部材を備える円弧状保持プレートによる光学部材の保持を示し、(a)は光軸方向から見た平面図であり、(b)は光軸と直交する方向から見た側面図である。
図6は、光学部材の各RMS値と判定結果を示す表である。
図7は、ツェルニケ円筒関数によるフィッティングにより光リソグラフィー用光学部材の屈折率均質性の評価方法を説明するフローチャートである。
図8は、測定された波面収差データを表すための座標系を説明する概念図である。
図9は、エキシマレーザーステッパ用投影光学系と光束径を示す概念図である。
図10は、従来から行なわれている光リソグラフィー用光学部材の屈折率均質性の評価方法を説明するフローチャートである。
図11は、オイルオンプレート法による光学部材の波面収差測定を示す説明図であり、(a)は光学部材をセットしていない状態を示し、(b)は光学部材をセットした状態を示す。
図12は、光学部材を矢印方向に回転させて波面収差測定する状態を示す説明図であり、(a)は光学部材の光軸に直角な方向から見た状態を示し、(b)は(a)のb−b線方向から見た光学部材を示す。
図13は、光学部材を光軸に直交する方向に移動させて波面収差測定する状態を示す説明図であり、(a)は光学部材の光軸に直角な方向から見た状態を示し、(b)は(a)のb−b線方向から見た光学部材を示す。
図14は、光学部材の側面12箇所で保持した際に発生する応力歪の分布を示す概念図である。
Claims (12)
- 光学部材の波面収差を測定することによって屈折率均質性を評価する方法であって、
光学部材の光軸に対する側面を等間隔の複数位置で保持し、
前記光学部材に光を通過させて波面収差を測定することを含む光学部材の屈折率均質性の評価方法。 - 前記光学部材の光が入射する面が水平となるように、光学部材の前記側面を保持することを特徴とする請求項1に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。
- 前記光学部材が光軸を回転中心とする円柱状光学部材であり、
前記光学部材を、前記光軸を中心に、前記等間隔に相当する角度の整数倍だけ回転させ、回転前に測定した波面収差データと回転後に測定した波面収差データとを用いて前記光学部材の屈折率均質性を評価することを特徴とする請求項2に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。 - 前記光学部材を、前記光学部材とほぼ同じ屈折率を有するオイルを介して2枚の平行平板の間に配置させることを特徴とする請求項3に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。
- 前記光学部材に光を通過させるのに先立って、前記2枚の平行平板を互いに平行に近接させて配置し、前記2枚の平行平板の隙間に、前記光学部材とほぼ同じ屈折率を有するオイルを満たした状態で、前記2枚の平行平板に光を通過させて第一の波面収差データを測定する第一測定工程と、
前記2枚の平行平板の間に、前記光学部材を保持し、前記平行平板と前記光学部材の隙間に前記オイルを満たした状態で前記2枚の平行平板と前記光学部材に光を通過させて第二の波面収差データを測定する第二測定工程と、
前記第一の波面収差データと前記第二の波面収差データの差から第三の波面収差データを算出し、前記第三の波面データから前記光学部材の屈折率均質性を評価する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。 - 回転前の第三の波面収差データと回転後の第三の波面収差データの平均値と、回転前の第三の波面収差データとの差から波面収差の非回転対称成分を求め、
前記光学部材を光軸と直交する方向に移動させ、移動後の前記光学部材に光を透過させて得た波面収差データと、移動させる前に得た波面収差データの差を求め、求めた差から波面収差の回転対称成分を求め、
前記求めた非回転対称成分と前記回転対称成分を加えた波面収差データから前記光学部材の屈折率均質性を評価することを特徴とする請求項5に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。 - 前記光学部材の側面の複数位置を弾性部材でそれぞれ保持することを特徴とする請求項1に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。
- 前記弾性部材を、前記光学部材の側面に、前記光学部材の光軸に向かって押圧することを特徴とする請求項7に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。
- 前記光学部材の側面の複数位置は、4以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。
- 前記光学部材の側面の複数位置は、8以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。
- 前記光学部材の側面の複数位置は、12以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。
- 前記光学部材が、光リソグラフィー用途に用いられる光学部材であることを特徴とする請求項1に記載の光学部材の屈折率均質性の評価方法。
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