JPWO2003087262A1 - 活性多環芳香族系炭化水素材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、安価な石炭を主成分とした原料を熱処理することにより得られる、電極の単位重量当たりのイオン吸着能及び/又は電極単位体積当りのイオン吸着能の高い活性多環芳香族系炭化水素材料、並びにその製法を提供する。本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料は、酸素濃度が25〜50%の石炭系原料を不活性ガス雰囲気下で熱処理することにより得られ、下記の特性を有している。(a)H/C比(水素原子と炭素原子の含有比)が0.05〜0.5、(b)BET法による比表面積値が1000〜3000m2/g

Description

技術分野
本発明は、電気伝導性を有する活性多環芳香族系炭化水素材料に関する。
背景技術
高分子材料は、成形性、軽量性および量産性等において優れた特性を有している。特にエレクトロニクス産業を代表とする多くの産業分野においては、これらの特性に加えて、電気的に半導電性あるいは伝導性を有する有機高分子系材料が求められている。
特に、電気伝導度が半導体あるいは伝導体領域にある有機高分子系半導体だけでなく、シリコン、ゲルマニウムなどのように、n型あるいはp型半導体としての性質を有し、それらのp−n接合などを利用したダイオードや太陽電池などへの応用が可能である有機高分子系半導体が求められている。n型あるいはp型半導体としての性質を持つ有機高分子系材料としては、ポリアセチレン、ポリフェニレンなどが知られている。
例えば、「合成金属」化学増刊87、1980年発行、15−28頁には、アセチレンを重合して直接フィルム状のポリアセチレンを得た後、これに電子供与性ドーピング剤あるいは電子受容性ドーピング剤をドーピングすることにより大幅に電気伝導度を増加させたp型あるいはn型の半導体を得る手法が開示されている。しかしながら、ポリアセチレンは酸素によって酸化されやすいので実用性に極めて乏しい。
また、ポリフェニレンは、ポリアセチレンとは異なり、比較的酸化安定性には優れている。しかしながら、ポリフェニレンはフェニレン骨格が線上に単結合を形成しており炭素原子間の共役系が小さいため、ドーピング剤をドーピングすることによって達成される電子伝導度に限界があると考えられる。また、ドーピング剤による不純物制御にも限界があると考えられている。
そこで、半導体ないし伝導体の電気伝導性、優れた物理的性質を有し、かつ優れた酸化安定性を有する電気伝導性有機高分子材料が開発された(特公平6−43545号公報)。この材料は、多環芳香族系炭化水素材料(低温処理炭素材料、あるいはポリアセン系有機半導体と一般に呼ばれている)であり、現在、半導体材料として製造され広く応用されている。ポリアセン系有機半導体は、耐酸化性、耐薬品性、耐熱性等の安定性に優れ、反応条件を選択することにより幅広い導電率が得られ、多くの導電性高分子(ポリアニリン、ポリピロール等)では困難であったp型(負イオン)、n型(陽イオン)の両ドーピングが可能である、などの多くの利点を有している。
ポリアセン系有機半導体は、1次元グラファイトの切端が3次元網目状に発達してできた分子レベルの隙間を有した高次構造を持つ。このため、活性炭に比べてイオン吸着能が強く、迅速に大量のドーパントを蓄えることができる。また、ドーパントの出し入れに際しても材料の体積変化が少なく非常に安定であるため、電気二重層キャパシタ材料としても注目を集めている。また、この材料は、重金属を全く含まないので、環境にやさしい安全な高信頼性材料である。
しかし、上記公知のポリアセン系有機半導体は、単位重量当たりのイオン吸着能が不十分であるとともに、電気二重層キャパシタ用電極材料とした場合には、電極の単位体積当りのイオン吸着能が不十分であるという問題点がある。さらには、原料にフェノール樹脂を使用しているために、原料コストが高価になってしまうという問題点もある。
そのため、電極の単位重量当たりのイオン吸着能及び/又は単位体積当りのイオン吸着能が高く、かつ安価な原料で製造が容易な活性多環芳香族系炭化水素材料が希求されている。
発明の開示
本発明は、安価な石炭を主成分とした原料を熱処理することにより得られる、電極の単位重量当たりのイオン吸着能及び/又は電極単位体積当りのイオン吸着能の高い活性多環芳香族系炭化水素材料、及びその製法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記活性多環芳香族系炭化水素材料を用いた電極やキャパシタを提供することをも目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、石炭を主成分とする石炭系原料を特定条件下で処理することにより、特定の物性を有する活性多環芳香族系炭化水素材料を製造しうることを見出し、さらに研究を行うことにより、上記目的を達成しうる本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の活性多環芳香族系炭化水素材料等を提供する。
1. 酸素濃度が25〜50%の石炭系原料を不活性ガス雰囲気下で熱処理することにより得られる、下記の特性を有する活性多環芳香族系炭化水素材料:
(a)H/C比(水素原子と炭素原子の含有比)が0.05〜0.5、
(b)BET法による比表面積値が1000〜3000m/g。
2. 前記(b)BET法による比表面積値が1500〜3000m/gである上記1に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
3. 酸素濃度が25〜50%の石炭系原料が、石炭の酸素架橋反応により得られる石炭系原料である上記1又は2に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
4. 石炭が、褐炭又は亜炭である上記3に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
5. 前記石炭系原料を熱反応助剤と共に熱処理することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
6. 熱反応助剤が、塩化亜鉛、燐酸、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記5に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
7. 熱反応助剤の配合量が、石炭系原料の100重量部に対して30〜800重量部である上記5に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
8. 酸素濃度が25〜50%の石炭系原料を不活性ガス雰囲気下で熱処理することにより得られる、下記の特性を有する上記1に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料:
(a)H/C比(水素原子と炭素原子の含有比)が0.05〜0.5、
(b)BET法による比表面積値が1000〜2000m/g、
(c)BJH法によるメソ孔容積が0.02〜0.2ml/g、
(d)MP法による全細孔容積が0.3〜1.0ml/g。
9. 酸素濃度が25〜50%の石炭系原料が、石炭の酸素架橋反応により得られる石炭系原料である請求の範囲第8に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
10. 石炭が褐炭又は亜炭である上記8又は9に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
11. 前記石炭系原料を熱反応助剤と共に熱処理することを特徴とする上記8〜10のいずれかに記載の活性多環芳香族系炭化水素材料
12. 熱反応助剤が、塩化亜鉛、燐酸、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである上記11に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
13. 熱反応助剤の配合量が、石炭系原料の100重量部に対して50〜200重量部である上記11に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
14. 下記の工程からなる活性多環芳香族系炭化水素材料の製造方法:
(i)石炭を酸素架橋反応に付して酸素濃度が25〜50%の石炭系原料を得る工程、及び
(ii)酸素濃度が25〜50%の石炭系原料を、熱反応助剤と共に不活性ガス雰囲気下で熱処理する工程。
15. 上記1〜13のいずれかに記載の活性多環芳香族系炭化水素材料を含有する電極。
16. 上記1〜13のいずれかに記載の活性多環芳香族系炭化水素材料、カーボンブラック、及びバインダーを含有する電極。
17. 上記1〜13のいずれかに記載の活性多環芳香族系炭化水素材料、カーボンブラック、及びバインダーを混合した後、その混合物を成形することを特徴とする電極の製法。
18. 上記17に記載の製法により得られる電極。
19. 上記15又は16に記載の電極を含有するキャパシタ。
20. 上記15又は16に記載の電極、集電体、セパレータ、及び電解液を含有するキャパシタ。
本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料
本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料は下記の特性を備えている。
すなわち、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料における水素原子と炭素原子の含有比(以下、「H/C比」と呼ぶ)は、0.05〜0.5程度であり、好ましくは0.1〜0.3程度であり、より好ましくは0.15〜0.3程度である。H/C比が高すぎる場合には、充分に多環芳香族系共役構造が発達していないので、所定の電気伝導度が得られないため、充分な単位重量当たりのイオン吸着能が発揮されない。一方、H/C比が低すぎる場合には、炭素化が進行しすぎて通常の活性炭となり、やはり充分な単位重量当たりのイオン吸着能が得られない。なお、H/C比は、元素分析機により測定される。
本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料の1つの態様(以下、「材料A」と呼ぶ)は、H/C比が上記の範囲にある条件下において、BET法による比表面積値が、1000〜3000m/g程度である。比表面積値は、好ましくは1500〜3000m/g程度であり、より好ましくは1700〜2800m/g程度である。比表面積値が大きすぎる場合には、かさ密度が低下して単位体積当たりのイオン吸着量(比容量)が低下する傾向にあるため好ましくない。
すなわち、本発明の材料Aは、上述のH/C比とBET法による比表面積とが同時に特定の数値を充足していることに特徴を有しており、この特徴を有する活性多環芳香族系炭化水素材料を電極として用いた場合、電極単位重量当たり十分なイオン吸着量を得ることができる。
また、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料の他の態様(以下、「材料B」と呼ぶ)は、H/C比が上記の範囲にある条件下において、BET法による比表面積値が、1000〜2000m/g程度である。BET法による比表面積値は、好ましくは1100〜1800m/g程度、より好ましくは1200〜1600m/g程度である。比表面積値が大きすぎる場合には、かさ密度が低下して単位体積当たりのイオン吸着量(比容量)が低下する傾向にあるため好ましくない。
加えて、本発明の材料Bは、BJH法によるメソ孔容積が、0.02〜0.2ml/g程度、好ましくは0.02〜0.1ml/g程度である。メソ孔容積が小さすぎる場合、細孔ができておらず、単位重量当たりのイオン吸着能が低下し、大きすぎる場合は、単位重量当たりのイオン吸着能は大きいものの、密度が低下し、単位体積当たりのイオン吸着量が低下するために好ましくない。なお、BJH法とは、バレット(Barrett)、ジョイナー(Joyner)、ハレンダ(Halenda)らによって提唱された、メソ孔の分布を求める方法である(E.P.Barrett、L.G.Joyner and P.P.Halenda,J,Am.Chem.Soc.,73,373,(1951))。
さらに、本発明の材料Bは、MP法による全細孔容積が、0.3〜1.0ml/g程度、好ましくは0.4〜0.8ml/g程度である。全細孔容積が低すぎる場合には、イオン吸着サイトとなるマイクロ孔が少なくなるので、充分な単位体積当たりのイオン吸着量が得られない。なお、MP法とは、「t−プロット法」(B.C.Lippens,J.H.de Boer,J.Catalysis,4,319(1965))を用いて、マイクロ孔容積、マイクロ孔面積、及びマイクロ孔の分布を求める方法であり、エム.ミカイル(M.Mikhail)、ブルナウアー(Brunauer)、ボードー(Bodor)らにより考案された方法である(R.S.Mikhail,S.Brunauer,E.E.Bodor,J.Colloid Interface Sci.,26,45(1968))。
すなわち、本発明の材料Bは、上述のH/C比、BET法による比表面積、BJH法によるメソ孔容積、及びMP法による全細孔容積とが同時に特定の数値を充足していることに特徴を有しており、この特徴を有する活性多環芳香族系炭化水素材料を電極として用いた場合、電極単位重量当たり十分なイオン吸着量を得ることができると共に、電極単位体積当たり十分なイオン吸着量を得ることもできる。
本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料の製法
本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料(上記の材料A及び材料Bを含む)は、石炭系原料を不活性ガス雰囲気下で熱処理することにより製造することができる。
石炭系原料としては、例えば、瀝青炭、褐炭、亜炭、草炭などが挙げられる。これらは、単独で使用してよく、あるいは2種以上の混合物を使用してもよい。本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料が所望の特性を有するためには、酸素原子及び水素原子を多く含有しているものが好ましい。特に、石炭系原料としては、酸素濃度が25〜50%程度の石炭系原料が好ましい。ここで、酸素濃度とは、元素分析により測定した、石炭系原料中の酸素原子の重量%(重量含有率)をいう。
一般に、石炭の分類には石炭化度(例えば、炭素含有量に基づいたもの)が用いられる。例えば、亜炭や褐炭では約78%以下、瀝青炭では78〜90%、無煙炭では約90%以上の炭素含有量を有している。石炭化度の低い石炭ほど水素及び酸素の比率が高く、特に酸素の比率が高くなる。亜炭や褐炭では酸素濃度は約20%以上と高く、瀝青炭で7〜20%、無煙炭では約7%以下である。従って、石炭系原料としては、褐炭、亜炭が好ましい。
本発明の製法で用いうる石炭系原料は、上記のような石炭を用いることもできるが、あらかじめ石炭に酸素架橋反応を行って酸素濃度を25〜50%程度にした石炭系原料を使用することが好ましい。特に、酸素架橋反応に用いる石炭としては、酸素濃度を高くしやすい石炭化度の低い石炭である褐炭や亜炭が好ましい。
本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料は、例えば、以下のような過程を経て製造される。
(1)石炭の酸素架橋反応工程
石炭の酸素架橋反応の方法としては、例えば、石炭を空気中で加熱する方法、石炭と硝酸、硫酸などの酸性液体とを接触させる方法等の各種の方法が挙げられる。用いる石炭は、酸素架橋がされやすい大きい表面積をもつ粉末状のものが好ましい。
石炭を空気中で加熱する方法の場合、加熱温度は、例えば、100〜350℃程度であればよく、好ましくは150〜300℃程度であればよい。圧力は、通常、常圧程度であればよい。加熱時間は、例えば、1〜30時間程度でよい。より具体的には、例えば、石炭粉末を室温から150〜300℃程度まで0.5〜10時間程度かけて昇温し、同温度で1〜20時間程度保持した後、室温まで冷却すればよい。
石炭と硝酸、硫酸などの酸性液体とを接触させる方法は、公知の方法を用いて行えばよい。
酸素架橋処理後の石炭系原料の酸素濃度は、好ましくは25〜50%であり、より好ましくは30〜48%である。酸素濃度が25%未満では、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料において所望の性能が得られ難い。
(2)石炭系原料の調整
上記の酸素架橋反応後の石炭系原料は、そのまま(3)の熱処理工程に供することもできるが、大きい比表面積が得られにくいため、石炭系原料に熱反応助剤を加え均一に混合してから熱処理工程に供するのが好ましい。ここで、熱反応助剤とは、酸素架橋反応後の石炭系原料に作用して該石炭系原料表面に孔を形成することにより、石炭系原料の比表面積を増大させる働きを有しているものをいう。
熱反応助剤としては、例えば、塩化亜鉛、燐酸、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩が挙げられ、このうちから選ばれる少なくとも1つを選択することができる。中でも塩化亜鉛を用いることが好ましい。熱反応助剤の配合量は、石炭系原料の種類、無機塩の種類等によって異なるが、材料A及び材料B共に、酸素架橋処理石炭の100重量部に対して、30〜800重量部程度であり、好ましくは50〜500重量部程度である。特に、材料Bの場合は、酸素架橋処理石炭の100重量部に対して、50〜200重量部程度であり、好ましくは50〜180重量部程度である。
石炭系原料と熱反応助剤の混合の方法としては、両者が均一に混合される方法であればよく、例えば、プラネタリーミキサー、ニーダー等を用いる方法が挙げられる。
なお、上記ので得られた石炭系原料と熱反応助剤との混合物からなる原材料(この混合物を「原料混合物」という。以下同じ)の取り扱いを容易にするために、原料混合物をフィルム状、板状、チップ状などの所定形状に成形しても良い。
成形を行なう場合には、必要に応じ、成形性を改善するための成形助剤をさらに混合することができる。成形助剤としては、特に限定はなく、公知の成形助剤を用いることができる。
原料混合物をそのままプレス成形する場合には、例えば、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)等の結着性を有する成形助剤を使用することができる。セルロースを成形助剤として使用する場合の添加量は、原料混合物の主成分である石炭100重量部に対して、通常5〜50重量部程度であり、より好ましくは10〜40重量部程度である。
また、加熱成形を行なう場合は、例えば、フェノール樹脂(例えば、レゾール、ノボラック等)などの熱硬化性樹脂を成形助剤として使用することもできる。上記熱硬化性樹脂を成形助剤として使用する場合の添加量は、原料混合物の主成分である石炭100重量部に対して、通常5〜50重量部程度であり、より好ましくは10〜40重量部程度である。また、熱硬化性樹脂を成形助剤に用いる場合には、50〜250℃程度(より好ましくは100〜200℃程度)の温度で1〜120分程度(より好ましくは5〜60分程度)加熱することにより、硬化成形することも可能である。
(3)熱処理工程
上記で得られた原料混合物又はその成形物を熱処理することにより、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料を得ることができる。
原料混合物又はその成形物の熱処理は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で行われる。高温で熱処理するため、酸素等の助燃性気体や可燃性気体が混入していると成形物が燃焼してしまうからである。熱処理の圧力は、特に限定はないが、通常、常圧程度であればよい。熱処理の温度は、原料混合物の組成、他の熱処理条件(昇温速度、熱処理時間等)に応じて適宜決定されるが、通常500〜700℃程度の範囲内であればよく、520〜700℃程度が好ましい。特に、適切なH/C比を得るため、ピーク温度を550〜700℃にすることがより好ましい。また、昇温速度は、例えば、通常10〜250℃/時間程度であり、20〜200℃/時間程度にすることが好ましい。
(4)洗浄・乾燥工程
上記で得られた熱反応処理物を洗浄剤で洗浄して、熱反応物中に含まれている無機塩を除去する。洗浄剤としては、無機塩を除去しうる限り、特に限定されないが、例えば、水、希塩酸等が挙げられる。希塩酸を使用する場合には、最終的に水によりさらに洗浄して、塩酸を除去することが好ましい。
次いで、洗浄物を乾燥することにより、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料が得られる。乾燥方法としては、特に限定はなく、公知の乾燥方法を用いればよい。
本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料を用いた電極
上記で得られる本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料は、電極単位重量当たりのイオン吸着能が公知のポリアセン系有機半導体より大きく、キャパシタなどにおける電極用材料として用いることができる。
(1)電極
本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料を電極用材料として用いて電極を製造することができる
例えば、活性多環芳香族系炭化水素材料を粉砕し、その粉砕物、カーボンブラック及びバインダーを混合した後、その混合物を成形することにより電極を製造することができる。
活性多環芳香族系炭化水素材料の粉砕方法は、特に限定はなく、公知の方法を用いればよい。例えば、ボールミル、ジェットミル等を用いた粉砕方法等が挙げられる。
用いるカーボンブラックの平均粒子径は、0.1〜10μm程度であればよい。平均粒子径の測定方法は、水中にカーボンブラックを均一分散させ、レーザーによる粒子径分布測定法を用いる。カーボンブラックの使用量は、例えば、活性多環芳香族系炭化水素材料の粉砕物100重量部に対し0.5〜30重量部程度、好ましくは1〜20重量部程度でよい。
バインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)等が挙げられ、ポリテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。バインダーは、成形性を容易にするため、粉末状のものが好ましい。バインダーの使用量は、例えば、活性多環芳香族系炭化水素材料の粉砕物100重量部に対し1〜30重量部程度でよい。
活性多環芳香族系炭化水素材料の粉砕物、カーボンブラック及びバインダーの混合方法は、特に限定はなく公知の混合方法を用いればよいが、例えば、通常のミキサー、ニーダー等を用いる方法が挙げられる。
得られる混合物の成形方法は、例えば、プレス成形、押し出し成形等が挙げられる。特に、プレス成形が好ましい。
電極の厚さは、その電極の用途に応じて適宜選択することができる。
(2)キャパシタ
上記(1)で得られる電極を用いてキャパシタを製造することができる。
例えば、上記(1)で得られる電極を乾燥し、正極及び負極とした後、セパレータ、電解液を加えてキャパシタを製造することができる。
電極の形状は、使用目的に応じ適宜選択することができるが、シート状のものが好ましい。電極の乾燥は、十分に水分を除去できればよく、通常70〜280℃程度で、10時間程度乾燥すればよい。乾燥後の電極を正極及び負極とする。
集電体としては、例えば、ステンレスメッシュ、アルミニウム等が挙げられるが、中でもステンレスメッシュのものが好ましい。集電体の厚さは、例えば、0.02〜0.5mm程度であればよい。
セパレータの構成は、特に限定されるものではないが、単層又は複層のセパレータを用いることができる。また、セパレータの材質も、特に限定されるものではないが、例えば、電解コンデンサー紙、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、クラフト紙、ガラス、セルロース系材料等が挙げられ、電池の耐熱性、安全性設計に応じ適宜決定される。中でも、電解コンデンサー紙が好ましい。また、セパレータは十分に乾燥したものが好ましい。
電解液としては、例えば、公知のアンモニウム塩を含む非水系電解質を使用することができる。具体的には、トリエチルメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(EtMeNBF)、テトラエチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(EtNBF)等のアンモニウム塩を、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトン、酢酸メチル、蟻酸メチル、或いはこれら2種以上の混合溶媒等の有機溶媒に溶解したもの等が例示される。また、電解液の濃度は特に限定されるものではないが、一般的に0.5mol/lから2mol/lが実用的である。該電解液は当然のことながら、水分が100ppm以下のものを用いることが好ましい。
上記の電極、セパレータ、電解液を、例えば、ドライボックス中で組み立てることによりキャパシタを得ることができる。
このようにして得られるキャパシタにおいて、本発明の材料を用いた電極の単位重量当たりのイオン吸着量及び単位体積当たりのイオン吸着量(比容量)は、非常に良好なものとなる。例えば、材料Aを用いた電極では、その電極の単位重量当たりのイオン吸着量は、35〜50F/g程度、好ましくは40〜50F/g程度となる。また、材料Bを用いた電極では、その電極の単位重量当たりのイオン吸着量は、35〜50F/g程度、好ましくは40〜50F/g程度となり、その電極の単位体積当たりのイオン吸着量は、25〜50F/cc程度、好ましくは26〜50F/cc程度となる。なお、電極の単位重量当たりのイオン吸着量及び単位体積当たりのイオン吸着量(比容量)は、実施例の記載に従い測定した。
さらに本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料は、水処理用吸着材、排煙用吸着材、脱臭用吸着剤などとしても好適に用いることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下に、実施例を示し、本発明の特徴とするところをさらに明確にする。
実施例1
まず、主原料である褐炭の酸素架橋処理を行なった。すなわち、褐炭(酸素濃度21.0%)の粉末を磁製の皿に入れ、小型円筒炉を用いて空気中で熱処理した。熱処理は、褐炭粉末を室温から250℃まで2時間かけて昇温し、同温度に7時間保持した後、室温まで冷却し、円筒炉から取り出した。酸素架橋処理した褐炭の元素分析を行ない、酸素濃度を求めた(測定装置:パーキンエルマー社製元素分析装置“PE2400シリーズII、CHNS/O”)。酸素濃度は、34.5%であった。
酸素架橋処理した褐炭に、熱反応助剤の塩化亜鉛を加え混合した。混合比率は、酸素架橋処理した褐炭100重量部に対し、塩化亜鉛400重量部とした。これらに適量の水を加え、混合することにより、水性スラリー(固形分85重量%+水分15重量%)を得た。
上記水性スラリーを黒鉛製の皿にいれ、小型円筒炉を用いて熱処理を行なった。熱処理は窒素雰囲気下で、120℃/時間の昇温速度で600℃まで昇温を行ない、同温度で1時間保持し、炉中で自然冷却した後、炉から取り出した。
熱処理物を希塩酸で洗浄した後、pH値が約7となるまで蒸留水により洗浄した。この洗浄後の熱処理物を乾燥することにより、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料を得た。
得られた活性多環芳香族系炭化水素材料の元素分析を行ない、H/C比を求めた(測定装置:パーキンエルマー社製元素分析装置“PE2400シリーズII、CHNS/O”)。
また、窒素を吸着質とし等温線の測定を行ない(測定装置:ユアサアイオニクス社製“NOVA1200”)、得られた等温線からBET法により比表面積値を求めた。
上記測定および計算による結果を後記表1に示す。
次いで、上記の活性多環芳香族系炭化水素材料を粉砕し、この粉末100重量部に対し、カーボンブラック10重量部と、バインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末8重量部を混合した後、プレス成形することにより、厚さ0.5mmの電極を得た。
上記で得られたシート状電極を1.5cm×1.5cmにカットし、150℃で2時間乾燥した。得られた電極を正極および負極とし、集電体として厚さ0.2mmのステンレスメッシュを用い、セパレータとして充分に乾燥した電解コンデンサー紙を用い、電解液として、濃度1.5mol/lのトリエチルメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(EtMeNBF)/プロピレンカーボネート(PC)溶液を用いて、ドライボックス中でキャパシタを組み立てた。
得られたキャパシタを用いて単位重量当たりのイオン吸着量を求めた。イオン吸着量は、キャパシタの電気容量(F/g)として測定した。すなわち、キャパシタの最大充電電流を50mAに規制し、2.5Vで1時間充電した後、1mAの定電流にてキャパシタ電圧が0Vになるまで放電した。放電曲線の傾きから電気容量(F)を求め、正極/負極の全重量と電気容量とから、電極の重量当たりの容量(F/g)を求め、この値をイオン吸着量とした。結果を表1に併せて示す。
実施例2
実施例1と同様に、褐炭の酸素架橋処理を行なった。処理条件は、空気中で褐炭粉末を室温から280℃まで2時間かけて昇温し、同温度に7時間保持した後、室温まで冷却し、円筒炉から取り出した。得られた酸素架橋処理した褐炭の元素分析を行ない、酸素濃度を求めた。酸素濃度は、33.2%であった。
酸素架橋処理した褐炭に熱反応助剤を加え、以後実施例1と同様にして、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料を得た。
得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を用いて、実施例1と同様の手法により、電極を作成し、キャパシタを組み立て、充放電を行なった。得られた結果を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表1に示す。
実施例3
実施例1と同様に、褐炭の酸素架橋処理を行なった。処理条件は、空気中で室温から230℃まで2時間かけて昇温し、同温度に10時間保持した後、室温まで冷却し、円筒炉から取り出した。酸素濃度は、35.0%であった。以後実施例1と同様にして、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料を得た。
得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を用いて、実施例1と同様の手法により、電極を作成し、キャパシタを組み立て、充放電を行なった。得られた結果を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表1に示す。
比較例1
実施例1と同様に、褐炭の酸素架橋処理を行なった。処理条件は、空気中で室温から250℃まで2時間かけて昇温し、同温度に2時間保持した後、室温まで冷却し、円筒炉から取り出した。酸素濃度は、24.3%であった。以後実施例1と同様にして、活性多環芳香族系炭化水素材料を得た。
得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を用いて、実施例1と同様の手法により、電極を作成し、キャパシタを組み立て、充放電を行なった。得られた結果を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表1に示す。
比較例2
主原料である褐炭の酸素架橋処理を行わず(酸素濃度20.1%)に、実施例1と同様な方法にて熱反応処理を行い、活性多環芳香族系炭化水素材料を得た。
得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を用いて、実施例1と同様の手法により、電極を作成し、キャパシタを組み立て、充放電を行なった。得られた結果を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表1に示す。
比較例3
褐炭を使用することなく、水溶性フェノール樹脂100重量部(固形分)に対し、塩化亜鉛400重量部を混合する以外は実施例1と同様にして熱処理を行なって、活性多環芳香族系炭化水素を得た。そのBET法による比表面積値は、2060m/gであった。
得られた活性多環芳香族系炭化水素を用いて、実施例1と同様の手法により、電極を作成し、キャパシタを組み立て、充放電を行なった。得られた結果を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表1に示す。
Figure 2003087262
表1から、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料は単位重量当たりのイオン吸着能が大きく、これをキャパシタ電極として用いた場合、高容量化、低コスト化を図ることができる。
実施例4
酸素架橋処理した褐炭に加える塩化亜鉛の混合比率を、酸素架橋処理した褐炭100重量部に対し塩化亜鉛100重量部としたこと以外、前記実施例1と同様に処理した。
得られた活性多環芳香族系炭化水素材料の元素分析を行ない、H/C比を求めた(測定装置:パーキンエルマー社製元素分析装置“PE2400シリーズII、CHNS/O”)。
また、窒素を吸着質とし等温線の測定を行ない(測定装置:ユアサアイオニクス社製“NOVA1200”)、得られた等温線からBET法により比表面積値を求めた。
全細孔容積は、相対圧力P/P≒1(P:吸着平衡圧、P:飽和蒸気圧(77k、N))付近で吸着した窒素ガスの全量からMP法により求めた。
メソ孔容積は、BJH法により計算した。
上記測定および計算による結果を後記表2に示す。
次いで、上記の活性多環芳香族系炭化水素材料を粉砕し、この粉末100重量部に対し、カーボンブラック10重量部と、バインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン樹脂粉末8重量部を混合した後、プレス成形することにより、厚さ0.5mmの電極を得た。
上記で得られたシート状電極を1.5cm×1.5cmにカットし、150℃で2時間乾燥した。得られた電極を正極および負極とし、集電体として厚さ0.2mmのステンレスメッシュを用い、セパレータとして充分に乾燥した電解コンデンサー紙を用い、電解液として、濃度1.5mol/lのトリエチルメチルアンモニウム・テトラフルオロボレート(EtMeNBF)/プロピレンカーボネート(PC)溶液を用いて、ドライボックス中でキャパシタを組み立てた。
次いで、得られたキャパシタを用いて単位体積当たりのイオン吸着量(比容量)を求めた。比容量は、キャパシタの単位体積当りの電気容量(F/cc)として測定した。すなわち、キャパシタの最大充電電流を50mAに規制し、2.5Vで1時間充電した後、1mAの定電流にてキャパシタ電圧が0Vになるまで放電した。放電曲線の傾きから電気容量(F)を求め、正極/負極の全体積と電気容量とから、電極の体積当たりの比容量(F/cc)を求めた。結果を表2に併せて示す。
実施例5
実施例4と同様に、褐炭の酸素架橋処理を行った。処理条件は、褐炭粉末を室温から280℃まで2時間かけて昇温し、同温度に5時間保持した後、室温まで冷却し、円筒炉から取り出した。得られた酸素架橋処理した褐炭の元素分析を行ない、酸素濃度を求めた。酸素濃度は、34.4%であった。
酸素架橋処理した褐炭に熱反応助剤を加え、混合比率を褐炭100重量部に対し、塩化亜鉛150重量部とした以外は、実施例4と同様にして、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料を得た。
得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を用いて、実施例4と同様の手法により、電極を作成し、キャパシタを組み立て、充放電を行なった。得られた結果を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表2に示す。
比較例4
実施例4と同様に、褐炭の酸素架橋処理を行った。処理条件は、室温から250℃まで2時間かけて昇温し、同温度に7時間保持した後、室温まで冷却し、円筒炉から取り出した。酸素濃度は、34.6%であった。
次いで、酸素架橋処理した褐炭に熱反応助剤を加え、混合比率をピッチ100重量部に対し、塩化亜鉛230重量部とした以外は、実施例4と同様にして、活性多環芳香族系炭化水素材料を得た。
得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を用いて、実施例4と同様の手法により、電極を作成し、キャパシタを組み立て、充放電を行なった。得られた結果を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表2に示す。
比較例5
酸素架橋処理を行わず褐炭をそのまま使用した。酸素濃度は、20.1%であった。褐炭に熱反応助剤を加え、混合比率をピッチ100重量部に対し、塩化亜鉛100重量部とした以外は、実施例4と同様にして、活性多環芳香族系炭化水素材料を得た。
得られた活性多環芳香族系炭化水素材料を用いて、実施例4と同様の手法により、電極を作成し、キャパシタを組み立て、充放電を行なった。得られた結果を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表2に示す。
比較例6
石炭(褐炭)を使用することなく、水溶性フェノール樹脂100重量部(固形分)に対し、塩化亜鉛230重量部を混合する以外は実施例4と同様にして熱処理を行なって、活性多環芳香族系炭化水素を得た。そのBET法による比表面積値は、1890m/gであった。
得られた活性多環芳香族系炭化水素を用いて、実施例4と同様の手法により、電極を作成し、キャパシタを組み立て、充放電を行なった。得られた結果を活性多環芳香族系炭化水素材料の諸物性と併せて表2に示す。
Figure 2003087262
表2から、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料は、比容量及び単位重量当たりのイオン吸着量がともに大きく、これをキャパシタ電極として用いた場合、高容量化、低コスト化を図ることができる。
本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料は、安価な石炭を原料に用いて、比較的低い温度での熱処理によって製造することができるため、その製造にあたり原料コスト、ランニングコストなどを低減することができる。そのため、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料の工業的価値は非常に大きい。
また、本発明の活性多環芳香族系炭化水素材料は、高い単位重量当たりのイオン吸着能及び/又は高い単位体積当たりのイオン吸着能を有しているため、キャパシタ等の電極用材料として好適に用いることができ、また、キャパシタの高容量化、製造コストの低減化を図ることができる。

Claims (20)

  1. 酸素濃度が25〜50%の石炭系原料を不活性ガス雰囲気下で熱処理することにより得られる、下記の特性を有する活性多環芳香族系炭化水素材料:
    (a)H/C比(水素原子と炭素原子の含有比)が0.05〜0.5、
    (b)BET法による比表面積値が1000〜3000m/g。
  2. 前記(b)BET法による比表面積値が1500〜3000m/gである請求の範囲第1に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
  3. 酸素濃度が25〜50%の石炭系原料が、石炭の酸素架橋反応により得られる石炭系原料である請求の範囲第1又は2に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
  4. 石炭が、褐炭又は亜炭である請求の範囲第3に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
  5. 前記石炭系原料を熱反応助剤と共に熱処理することを特徴とする請求の範囲第1〜4のいずれかに記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
  6. 熱反応助剤が、塩化亜鉛、燐酸、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求の範囲第5に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
  7. 熱反応助剤の配合量が、石炭系原料の100重量部に対して30〜800重量部である請求の範囲第5に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
  8. 酸素濃度が25〜50%の石炭系原料を不活性ガス雰囲気下で熱処理することにより得られる、下記の特性を有する請求の範囲第1に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料:
    (a)H/C比(水素原子と炭素原子の含有比)が0.05〜0.5、
    (b)BET法による比表面積値が1000〜2000m/g、
    (c)BJH法によるメソ孔容積が0.02〜0.2ml/g、
    (d)MP法による全細孔容積が0.3〜1.0ml/g。
  9. 酸素濃度が25〜50%の石炭系原料が、石炭の酸素架橋反応により得られる石炭系原料である請求の範囲第8に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
  10. 石炭が褐炭又は亜炭である請求の範囲第8又は9に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
  11. 前記石炭系原料を熱反応助剤と共に熱処理することを特徴とする請求の範囲第8〜10のいずれかに記載の活性多環芳香族系炭化水素材料
  12. 熱反応助剤が、塩化亜鉛、燐酸、塩化カルシウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求の範囲第11に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
  13. 熱反応助剤の配合量が、石炭系原料の100重量部に対して50〜200重量部である請求の範囲第11に記載の活性多環芳香族系炭化水素材料。
  14. 下記の工程からなる活性多環芳香族系炭化水素材料の製造方法:
    (i)石炭を酸素架橋反応に付して酸素濃度が25〜50%の石炭系原料を得る工程、及び
    (ii)酸素濃度が25〜50%の石炭系原料を、熱反応助剤と共に不活性ガス雰囲気下で熱処理する工程。
  15. 請求の範囲第1〜13のいずれかに記載の活性多環芳香族系炭化水素材料を含有する電極。
  16. 請求の範囲第1〜13のいずれかに記載の活性多環芳香族系炭化水素材料、カーボンブラック、及びバインダーを含有する電極。
  17. 請求の範囲第1〜13のいずれかに記載の活性多環芳香族系炭化水素材料、カーボンブラック、及びバインダーを混合した後、その混合物を成形することを特徴とする電極の製法。
  18. 請求の範囲第17に記載の製法により得られる電極。
  19. 請求の範囲第15又は16に記載の電極を含有するキャパシタ。
  20. 請求の範囲第15又は16に記載の電極、集電体、セパレータ、及び電解液を含有するキャパシタ。
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