JPWO2003085748A1 - 熱電変換材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の熱電変換材料は、化学式AxCoO2で表される層状コバルト酸化物系物質からなる熱電変換材料において、Aが、アルカリ金属元素及びアルカリ土類元素の中から選ばれる元素又は元素群でありかつ層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向に組成変調されている。

Description

〔技術分野〕
本発明は電子冷却あるいは熱発電を行う熱電変換素子を構成する熱電変換材料およびその製造方法に関する。
〔技術背景〕
熱電変換素子は、電荷担体がそれぞれ正及び負であるp型及びn型の熱電材料を複数個交互に繋げて幾つかの接合の対を作り、片側の接合(例えば、電流の流れる方向にpnとなる接合)と、もう一方の接合(例えば、電流の流れる方向にnpとなる接合)とを空間的に分離させて配置し、流す電流により接合領域部間に温度差を生じさせて冷却を行う、あるいは接合領域部間に温度差を与えることにより起電力を発生させて発電を行うというものである。これまで熱電変換材料として、主にBi−Te、Pb−Te、Si−Ge等の半導体材料が研究されてきており、特定の分野でいくつかの実用化が進みつつある。
しかし一般民生用の本格的な実用化への途を拓くためには、材料の性能が未だ十分ではなく、熱電変換材料の性能向上が望まれていた。
最近、従来は熱電材料としては不向きとされてきた酸化物材料においても、層状コバルト酸化物系(層状ブロンズ構造)のNaCoO(y=0.2〜1)等の高い熱電変換特性を示す物質が発見された(特開平9−321346号公報)。この系の熱電変換特性は実用レベルの熱電半導体材料であるBi−Teに迫る性能であるが、このような酸化物でなぜ高い熱電変換特性が出現するのかは明らかにはなっていない。熱電物性発現の機構は従来の熱電半導体とは異なっている可能性があり、そのためこの種の酸化物材料において、従来の熱電半導体材料を超える高性能の熱電変換特性の出現も期待できる。
〔発明の開示〕
本発明の目的は、酸化物材料でより高性能の熱電変換特性を有する熱電変換材料及びその製造方法を提供することにある。
そして、この目的を達成するために、本発明に係る熱電変換材料は、化学式ACoOで表される層状コバルト酸化物系物質からなる熱電変換材料において、Aが、アルカリ金属元素及びアルカリ土類元素の中から選ばれる元素又は元素群でありかつ前記層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向に組成変調されている。ここで、Aの組成比を表すxの値は0.2以上1以下であることが好ましい。このような構成とすることにより、従来のNaCoOからなる熱電変換材料よりも熱電変換性能に優れた層状コバルト酸化物系の熱電変換材料が実現された。このようにAを組成変調すると、何故、熱電変換性能が向上するのかは明らかではないが、組成変調された界面において、この種の酸化物材料に特徴的な強く相関を持つ電子の運動が影響を受けた結果、熱起電力の増加や電気抵抗の低減に繋がったと考えられる。
Aの組成比を表すxの値は0.3以上0.7以下であることがより好ましい。このような構成とすると、熱電変換性能がより向上する。
Aの組成比を表すxの値は0.4以上0.6以下であることがさらに好ましい。このような構成とすると、熱電変換性能がより一層向上する。
Aとして複数種類の元素又は元素群を有し、各々の元素又は元素群に対応するACoO層が積層されることによりAが組成変調されていてもよい。
各々の元素又は元素群に対応するACoO層の積層が積層方向に繰り返されていることが好ましい。このような構成とすると、熱電変換特性が顕著に出現する。
Aとしてアルカリ金属元素とアルカリ土類元素とを含む複数種類の元素又は元素群を有することが好ましい。このような構成とすることにより、従来の熱電半導体材料のBi−Teと同等以上の性能を示す場合があることが確認された。
AとしてA’とA”との2種類の元素又は元素群を有し、A’CoO層とA”CoO層とが積層されることによりAが組成変調されていてもよい。このような構成とすると、比較的単純な構造となり再現性よく製造がし易いものとなる。
A’がアルカリ金属元素からなる元素又は元素群であり、A”がアルカリ土類元素からなる元素又は元素群であることが好ましい。このような構成とすると、熱電変換電力因子Pが1.5mW/Km以上となる場合がある。
熱電変換電力因子Pが1.5mW/Km以上であることが好ましい。
A’がアルカリ金属元素からなる元素又は元素群であり、かつA’CoO層の厚みが1nm以上3nm以下であることが好ましい。このような構成とすると、熱電変換電力因子Pが2mW/Km以上となる場合がある。
A”がアルカリ土類元素からなる元素又は元素群であり、かつA”CoO層の厚みが2nm以上8nm以下であることが好ましい。このような構成とすると、熱電変換電力因子Pが2mW/Km以上となる場合がある。
A’がアルカリ金属元素からなる元素又は元素群でA’CoO層の厚みが1nm以上3nm以下であり、A”がアルカリ土類元素からなる元素又は元素群でA”CoO層の厚みが2nm以上8nm以下であることが好ましい。このような構成とすると、熱電変換電力因子Pが特に優れた値となる。
熱電変換電力因子Pが2mW/Km以上であることが好ましい。
A’がNaであり、かつA”がSrであってもよい。
A’がNaであり、かつA”がKであってもよい。
A’がNaであり、かつA”がCaであってもよい。
A’がNaであり、かつA”がBaであってもよい。
A’がKであり、かつA”がCaであってもよい。
A’がKであり、かつA”がSrであってもよい。
A’がKであり、かつA”がBaであってもよい。
A’がCaであり、かつA”がSrであってもよい。
A’がCaであり、かつA”がBaであってもよい。
A’がSrであり、かつA”がBaであってもよい。
本発明に係る熱電変換材料の製造方法は、化学式ACoOで表される層状コバルト酸化物系物質からなりかつAがアルカリ金属元素及びアルカリ土類元素の中から選ばれる元素又は元素群である熱電変換材料の製造方法であって、複数の蒸発源を放電過程中で用いて、前記層状コバルト酸化物系物質の構造を形成しかつAを該構造における層の厚み方向に組成変調する。このような構成とすると、熱電変換材料が非熱平衡的な放電過程中で蒸着薄膜として形成されるので、層状コバルト酸化物系物質の構造が結晶性に優れた積層構造として構築される。
前記複数の蒸発源が、異なる2種類以上の層状コバルト酸化物系物質を有していてもよい。
前記放電過程はイオン衝撃蒸着であることが好ましい。このような構成とすると、高品質な成膜が可能となる。
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
〔発明を実施するための最良の形態〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態
本発明の実施の形態では、熱電変換材料及びその製造方法について具体的に説明する。
第1図は、本発明の実施の形態に係る熱電変換材料の一例の結晶構造を示す模式図である。
第1図を参照して、本実施の形態に係る熱電変換材料は、化学式ACoOで表される層状コバルト酸化物系物質において、Aがその層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向に組成変調されたものである。ここで、Aは、アルカリ金属元素及びアルカリ土類元素の中から選ばれる元素又は元素群であり、xはAのCoに対する組成比を表す。
本明細書において、「Aが層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向に組成変調される」とは、AのCoに対する組成が層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向において変化することをいう。さらに、「AのCoに対する組成が層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向において変化する」とは、(1)Aが異なる2種類以上の元素を含み、層の厚み方向においてAを構成する元素が異なること、および(2)Aが1種類以上の元素からなり、層の厚み方向において、AのCoに対する組成の「比(すなわち、x)」が異なることの両者を意味する。(1)と(2)とを比較すると、作成が容易であるという観点から(1)が好ましい。
(1)の具体的な例としては、第1図に示すように、例えば、Na0.5CoOからなる層とSr0.5CoOからなる層とを積層する(好ましくはこれらの2層を交互に積層する)ことが挙げられる。この(1)の場合、xは一定(上記の例では0.5)であっても層の厚み方向に変化していても良いが、Aは必ず2種以上の元素を含む(上記の例ではNaとSr)ことが必要になる。
(2)の具体的な例としては、図示していないが、例えば、Na0.2CoOからなる層、Na0.3CoOからなる層、Na0.4CoOからなる層、Na0.5CoOからなる層、およびNa0.6CoOからなる層を積層することが挙げられる。この(2)の場合、Aは1種類の元素でも、2種類以上の元素を含んでいてもよいが、必ずxが層の厚み方向に変化することが必要になる。
なお、(1)(2)のいずれにおいても、厚み方向にxが変化する場合、できる限りxは層の厚み方向に対して連続的に変化することが好ましい。
従って、この定義においては、AのCoに対する組成比の前記厚み方向における変化(profile)が前記厚み方向において繰り返されることまでは必要ではない。但し、実際の熱電変換材料においては、そのような繰り返し構造を有すると熱電変換特性が顕著に出現するので、そのような繰り返し構造を有することが望ましい。
この熱電変換材料は、AとしてA’とA”との2種類の元素又は元素群を有し、A’CoO層とA”CoO層とが積層されている。第1図では、A’元素及びA”元素としてNa及びSrを有し、Sr0.5CoO層とNa0. CoO層とが積層されている。ここで、第1図において平面状に配列されたA元素(A’元素又はA”元素(第1図ではNa又はSr))とCoO層とが層状コバルト酸化物系物質の構造のいわゆる「層」を構成している。従って、第1図では、4「層」のSr0.5CoO層と「2層」のNa0.5CoO層とが積層されている。但し、この「層」はあくまで概念上用いられるだけであり、実際に、ACoO層(第1図におけるSr0.5CoO層及びNa0.5CoO層)の構成がこの「層」の数で表される訳ではない。ACoO層の構成は厚みで表される。第1図では、Na0.5CoO層は1nmの厚みを有し、Sr0.5CoO層は2nmの厚みを有している。そして、この積層構造がその積層方向に繰り返されており、このように繰り返し積層された「層」の全体が熱電変換材料を構成している。このように、第1図では、熱電変換材料は、高い熱電変換特性で知られる層状コバルト酸化物系のNaCoOからなる熱電変換材料においてNa元素の一部をアルカリ土類元素(第1図ではSr)で置き換えた構造を有している。このような構成とすることにより、NaCoOに比べてさらに熱電変換特性が向上する。なお、第1図は熱電変換材料の結晶構造を模式的に示しており、各ACoO層の境界が明確に示されているが、実際にはSr0.5CoO層とNaCoO層との境界部においてはSr0.5CoOとNa0.5CoOとが製造時における加熱によって互いに拡散し合っていて、その境界は不明確である。本実施の形態の熱電変換材料としては、このように、異なるACoO層間の境界が不明確であり、その結果、A元素の組成が積層方向に連続的に変化していても構わない。但し、異なるACoO層間の境界が明確でAの組成が積層方向に不連続に変化している方が、熱電変換特性が優れているので好ましい。
次に、本発明を特徴付ける組成変調の効果を裏付けるデータを説明する。
ここでは、Aを構成する元素及び元素群としてアルカリ金属元素及びアルカリ土類元素を用い、アルカリ金属元素としてNaを用いかつアルカリ土類元素としてSr及びCaの2種類の元素を用いる場合について検討した。
まず、Na:Sr:Ca=1:1:1の化学組成を持つ(NaSrCa)0.5CoOをターゲットとして用いた高周波スパッタリングにより、700℃に加熱したサファイア基体のc面上に成膜し、c軸配向した層状コバルト酸化物系の(NaSrCa)0.5CoO薄膜を形成した。つまり、膜(層)の厚み方向にAを構成する元素群が組成変調されていない層状コバルト酸化物系物質の構造を有する熱電変換材料を形成した。スパッタガスとしてはアルゴンと酸素との組成比が1:1の混合ガスを用い、そのスパッタガスの気圧を5Paに維持し、100Wの入力電力で13.56MHzの高周波放電を誘起し、30分で600nmの成膜を実施した。
そして、このように形成された熱電変換材料の熱電変換特性を評価した。この熱電変換特性は、電気抵抗率、熱起電力、及び熱電変換電力因子(以下、電力因子という)Pによって評価した。ここで、電力因子Pは熱起電力の自乗を抵抗率で除したものとして定義される。その結果、室温での電気抵抗率は4mΩcm、熱起電力は150μV/Kであった。また、電力因子Pを算出すると、P〜0.7mW/Kmと従来のNaCoOセラミックからなる熱電変換材料より若干良い程度の値であった。
次に、蒸発源を複数個設けた多元スパッタリングで、Na0.5CoO、Sr0.5CoO、及びCa0.5CoOからなる3個のターゲットを用いた逐次積層を行い、c軸方向すなわち積層方向に組成を変調した層状コバルト酸化物系の熱電変換材料を形成した。具体的には、700℃に加熱したサファイア基体のc面上にそれぞれ2nmの厚みでNa0.5CoO、Sr0.5CoO、及びCa0.5CoOの各層をこの順で100サイクル繰り返すように積層し、それにより、膜の厚み方向にAを構成する元素の組成変調をした。そして、このように形成された熱電変換材料の熱電変換特性を評価した。
その結果、この熱電変換材料では、前述の組成変調されていない熱電変換材料と比較すると、抵抗率はあまり変わらなかったが、熱起電力が250μV/Kに向上し、電力因子PがP〜2mW/Kmと見積もられ、実用化されている熱電半導体Bi−Teと同等の優れた熱電変換特性であることが確認された。つまり、本実施の形態に係る熱電変換材料においては、その優れた熱電変換特性は、Aとしてアルカリ金属元素及びアルカリ土類元素を選択することによって得られるのではなく、Aをアルカリ金属元素とアルカリ土類元素とで構成し、このように構成されたA元素を積層方向に組成変調することによって得られるということが確認された。
次に、組成変調の簡略化について説明する。前述の3種類のA元素の繰り返し積層構造による組成変調(以下、3層積層組成変調という)では3元スパッタリングを行うことが必要であったが、この3元スパッタリングでは、良質の積層を実施するタイミング等の取り扱いが容易ではない。そこで、良質な積層が容易な2元スパッタリングを用いてAを構成する2種類の元素及び元素群の繰り返し積層構造による組成変調(以下、2層積層組成変調という)を行った。具体的には、Na0.5CoO層と(SrCa)0.5CoO層とを、2元スパッタリングによって、それぞれ2nm及び4nmの厚みに交互に積層した。このように組成変調された熱電変換材料の電力因子PはP〜1.8mW/Kmと見積もられた。この値は前述の3層積層組成変調における値に比べて若干低いが、2層積層組成変調は、3層積層組成変調における製造プロセスの煩雑さ及び再現性を改善できるという点で優れている。従って、2層積層変調は、熱電変換材料を安定して製造する上で好ましいことが確認された。
次に、本実施の形態に係る熱電変換材料の製造方法について説明する。本実施の形態の熱電変換材料は、層状コバルト酸化物系物質に特有の積層構造を有している。この積層構造は特殊条件下における焼成プロセスによるセラミックプロセス(熱平衡プロセス)によっても構築可能であるが、薄膜プロセスを用いると容易に構築可能である。また、薄膜プロセスを用いると組成変調が簡便に実現できるので好ましい。特に、複数の蒸発源を放電過程中で用いるプロセスを行った場合に、層状コバルト酸化物系物質の構造を構築し易いことが分かった。層状コバルト酸化物系のACoOはAを構成する元素又は元素群の広範囲の組成領域で安定に存在するわけではないが、放電過程中における多元蒸発源の制御により、再現性のよい組成変調が可能となった。放電過程のような非熱平衡プロセスがこの種の準安定な構造を凍結するのに有効であるためと考えられる。
放電過程として、オゾンやラジカルあるいは原子酸素等の活性な反応種を発生させるプロセスを用いた多元蒸発源の制御も、層状コバルト酸化物系物質の積層構造及びその積層方向における組成変調を実現するのに適している。レーザ衝撃によるプラズマプルームを利用した場合、あるいはプラズマCVD法を用いた場合にも同様に前記積層構造及び組成変調を実現可能であるが、特にスパッタリングに代表される減圧下におけるイオン衝撃蒸着を用いた場合には、再現性に優れた熱電変換材料の製造が容易に実施可能であることが確認された。
層状コバルト酸化物系物質ACoOのCoに対するAの組成比(以下、A組成比という)xに関しては、A組成比xの広い範囲に渡って、熱電変換性能が出現し得るが、特に優れた熱電変換性能が安定して出現し得る範囲は、A組成比xが0.2以上1以下程度の範囲であることも併せて確認された。この場合、A組成比xが0.3以上0.7以下であることがより好ましく、0.4以上0.6以下であることがさらに好ましい。また基体の材料としては、サファイア以外に、他の単結晶、セラミックス、金属等の多くの材料を用いることができ、それによってサファイアを用いる場合と同様の効果を得ることができる。
次に、本実施の形態を、実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
本実施例では、2元スパッタリングにより2層積層組成変調された熱電変換材料を、Aを構成する元素の種類を変えて複数製造し、それらの熱電変換特性を互いに比較した。
層状コバルト酸化物系物質A0.5CoOのAをA’,A”の2種類の元素で構成し、アルカリ金属及びアルカリ土類元素からなるNa,K,Ca,Sr,Baの群から2種類の元素をA’元素及びA”元素として選んだ。そして、700℃に加熱したサファイア基体のc面上にA’0.5CoOの層とA”0.5CoOの層とを3nm厚に交互に積層して、600nmの厚みの薄膜からなる熱電変換材料を作製した。この熱電変換材料は、c軸配向しており、かつA元素として2種類のA’元素及びA”元素を用いることにより厚み方向に組成変調されている。このA’元素とA”元素との組み合わせと室温で測定した電力因子Pとの関係を第3図に示す。
A’元素及びA”元素のどの組み合わせにおいても、電力因子Pが1mW/Km以上となる優れた特性が実現されているが、特にA’元素及びA”元素がアルカリ金属(Na,K)とアルカリ土類元素(Ca,Sr,Ba)との組み合わせで構成された場合には、電力因子Pが1.5mW/Km以上となり、特に優れた熱電変換材料を構成できることが確認された。
[実施例2]
本実施例では、熱電変換材料を構成する各ACoO層の厚みの好ましい範囲について検討した。
具体的には、実施例1において優れた熱電変換特性が得られた、ACoOとしてNa0.5CoOとSr0.5CoOとを組み合わせた熱電変換材料を例に取り、各層の厚みと電力因子Pの相関を求めた。この各層の厚みを変化させた熱電変換材料は、実施例1と同様の手法で作製した。
例えば、厚み1nmのNa0.5CoO層と厚み2nmのSr0.5CoO層とを積層した場合、第1図に模式的に示すようなNa,Srの2層積層組成変調された構造が構築される。
第2図は、熱電変換材料を構成するACoO層の厚みと電力因子Pとの相関を示す図である。本実施例では、電力因子Pは室温で測定された。第2図において、電力因子Pが特に優れた2mW/Km以上の値を示す領域は、ある層厚の範囲内に限定されることが分かる。Na0.5CoOの層厚は、第2図から1nm以上3nm以下が好ましく、またSr0.5CoOの層厚は、第2図から2nm以上8nm以下が好ましいことが確認された。
この傾向は、他のアルカリ金属A’とアルカリ土類元素A”を用いたA’0.5CoO層とA”0.5CoO層との積層構造の場合においても、電力因子Pの絶対値は異なるものの同様の傾向であった。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
〔産業上の利用の可能性〕
本発明に係る熱電変換材料は、電子冷却あるいは熱発電を行う熱電変換素子として有用である。
本発明に係る熱電変換材料の製造方法は、電子冷却あるいは熱発電を行う熱電変換素子の製造方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の形態に係る熱電変換材料の一例の結晶構造を示す模式図である。
第2図は、本発明の実施の形態に係る熱電変換材料を構成するACoO層の厚みと熱電変換電力因子Pとの相関を示す図である。
第3図は、A’元素とA”元素との組み合わせと室温で測定した熱電変換電力因子Pとの関係を示す表である。
本発明は電子冷却あるいは熱発電を行う熱電変換素子を構成する熱電変換材料およびその製造方法に関する。
熱電変換素子は、電荷担体がそれぞれ正及び負であるp型及びn型の熱電材料を複数個交互に繋げて幾つかの接合の対を作り、片側の接合(例えば、電流の流れる方向にpnとなる接合)と、もう一方の接合(例えば、電流の流れる方向にnpとなる接合)とを空間的に分離させて配置し、流す電流により接合領域部間に温度差を生じさせて冷却を行う、あるいは接合領域部間に温度差を与えることにより起電力を発生させて発電を行うというものである。これまで熱電変換材料として、主にBi−Te、Pb−Te、Si−Ge等の半導体材料が研究されてきており、特定の分野でいくつかの実用化が進みつつある。
しかし一般民生用の本格的な実用化への途を拓くためには、材料の性能が未だ十分ではなく、熱電変換材料の性能向上が望まれていた。
最近、従来は熱電材料としては不向きとされてきた酸化物材料においても、層状コバルト酸化物系(層状ブロンズ構造)のNaCoO2(y=0.2〜1)等の高い熱電変換特性を示す物質が発見された(例えば特許文献1参照)。この系の熱電変換特性は実用レベルの熱電半導体材料であるBi−Teに迫る性能である。
特開平9−321346号公報
しかし、上記のような酸化物でなぜ高い熱電変換特性が出現するのかは明らかにはなっていない。熱電物性発現の機構は従来の熱電半導体とは異なっている可能性があり、そのためこの種の酸化物材料において、従来の熱電半導体材料を超える高性能の熱電変換特性の出現も期待できる。
本発明の目的は、酸化物材料でより高性能の熱電変換特性を有する熱電変換材料及びその製造方法を提供することにある。
そして、この目的を達成するために、本発明に係る熱電変換材料は、化学式ACoOで表される層状コバルト酸化物系物質からなる熱電変換材料において、Aが、アルカリ金属元素及びアルカリ土類元素の中から選ばれる元素又は元素群でありかつ前記層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向に組成変調されている。ここで、Aの組成比を表すxの値は0.2以上1以下であることが好ましい。このような構成とすることにより、従来のNaCoO2からなる熱電変換材料よりも熱電変換性能に優れた層状コバルト酸化物系の熱電変換材料が実現された。このようにAを組成変調すると、何故、熱電変換性能が向上するのかは明らかではないが、組成変調された界面において、この種の酸化物材料に特徴的な強く相関を持つ電子の運動が影響を受けた結果、熱起電力の増加や電気抵抗の低減に繋がったと考えられる。
Aの組成比を表すxの値は0.3以上0.7以下であることがより好ましい。このような構成とすると、熱電変換性能がより向上する。
Aの組成比を表すxの値は0.4以上0.6以下であることがさらに好ましい。このような構成とすると、熱電変換性能がより一層向上する。
Aとして複数種類の元素又は元素群を有し、各々の元素又は元素群に対応するACoO層が積層されることによりAが組成変調されていてもよい。
各々の元素又は元素群に対応するACoO層の積層が積層方向に繰り返されていることが好ましい。このような構成とすると、熱電変換特性が顕著に出現する。
Aとしてアルカリ金属元素とアルカリ土類元素とを含む複数種類の元素又は元素群を有することが好ましい。このような構成とすることにより、従来の熱電半導体材料のBi−Teと同等以上の性能を示す場合があることが確認された。
AとしてA’とA”との2種類の元素又は元素群を有し、A’CoO層とA”CoO層とが積層されることによりAが組成変調されていてもよい。このような構成とすると、比較的単純な構造となり再現性よく製造がし易いものとなる。
A’がアルカリ金属元素からなる元素又は元素群であり、A”がアルカリ土類元素からなる元素又は元素群であることが好ましい。このような構成とすると、熱電変換電力因子 Pが1.5mW/Km以上となる場合がある。
熱電変換電力因子Pが1.5mW/Km以上であることが好ましい。
A’がアルカリ金属元素からなる元素又は元素群であり、かつA’CoO層の厚みが1nm以上3nm以下であることが好ましい。このような構成とすると、熱電変換電力因子Pが2mW/Km以上となる場合がある。
A”がアルカリ土類元素からなる元素又は元素群であり、かつA”CoO層の厚みが2nm以上8nm以下であることが好ましい。このような構成とすると、熱電変換電力因子Pが2mW/Km以上となる場合がある。
A’がアルカリ金属元素からなる元素又は元素群でA’CoO層の厚みが1nm以上3nm以下であり、A”がアルカリ土類元素からなる元素又は元素群でA”CoO層の厚みが2nm以上8nm以下であることが好ましい。このような構成とすると、熱電変換電力因子Pが特に優れた値となる。
熱電変換電力因子Pが2mW/Km以上であることが好ましい。
A’がNaであり、かつA”がSrであってもよい。
A’がNaであり、かつA”がKであってもよい。
A’がNaであり、かつA”がCaであってもよい。
A’がNaであり、かつA”がBaであってもよい。
A’がKであり、かつA”がCaであってもよい。
A’がKであり、かつA”がSrであってもよい。
A’がKであり、かつA”がBaであってもよい。
A’がCaであり、かつA”がSrであってもよい。
A’がCaであり、かつA”がBaであってもよい。
A’がSrであり、かつA”がBaであってもよい。
本発明に係る熱電変換材料の製造方法は、化学式ACoOで表される層状コバルト酸化物系物質からなりかつAがアルカリ金属元素及びアルカリ土類元素の中から選ばれる元素又は元素群である熱電変換材料の製造方法であって、複数の蒸発源を放電過程中で用いて、前記層状コバルト酸化物系物質の構造を形成しかつAを該構造における層の厚み方向に組成変調する。このような構成とすると、熱電変換材料が非熱平衡的な放電過程中で蒸着薄膜として形成されるので、層状コバルト酸化物系物質の構造が結晶性に優れた積層構造として構築される。
前記複数の蒸発源が、異なる2種類以上の層状コバルト酸化物系物質を有していてもよい。
前記放電過程はイオン衝撃蒸着であることが好ましい。このような構成とすると、高品質な成膜が可能となる。
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明は上記のような構成を有し、酸化物材料でより高性能の熱電変換特性を有する熱電変換材料及びその製造方法を提供できるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
実施の形態
本発明の実施の形態では、熱電変換材料及びその製造方法について具体的に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る熱電変換材料の一例の結晶構造を示す模式図である。
図1を参照して、本実施の形態に係る熱電変換材料は、化学式ACoO2で表される層状コバルト酸化物系物質において、Aがその層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向に組成変調されたものである。ここで、Aは、アルカリ金属元素及びアルカリ土類元素の中から選ばれる元素又は元素群であり、xはAのCoに対する組成比を表す。
本明細書において、「Aが層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向に組成変調される」とは、AのCoに対する組成が層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向において変化することをいう。さらに、「AのCoに対する組成が層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向において変化する」とは、(1)Aが異なる2種類以上の元素を含み、層の厚み方向においてAを構成する元素が異なること、および(2)Aが1種類以上の元素からなり、層の厚み方向において、AのCoに対する組成の「比(すなわち、x)」が異なることの両者を意味する。(1)と(2)とを比較すると、作成が容易であるという観点から(1)が好ましい。
(1)の具体的な例としては、図1に示すように、例えば、Na0.5CoO2からなる層とSr0.5CoO2からなる層とを積層する(好ましくはこれらの2層を交互に積層する)ことが挙げられる。この(1)の場合、xは一定(上記の例では0.5)であっても層の厚み方向に変化していても良いが、Aは必ず2種以上の元素を含む(上記の例ではNaとSr)ことが必要になる。
(2)の具体的な例としては、図示していないが、例えば、Na0.2CoO2からなる層、Na0.3CoO2からなる層、Na0.4CoO2からなる層、Na0.5CoO2からなる層、およびNa0.6CoO2からなる層を積層することが挙げられる。この(2)の場合、Aは1種類の元素でも、2種類以上の元素を含んでいてもよいが、必ずxが層の厚み方向に変化することが必要になる。
なお、(1)(2)のいずれにおいても、厚み方向にxが変化する場合、できる限りxは層の厚み方向に対して連続的に変化することが好ましい。
従って、この定義においては、AのCoに対する組成比の前記厚み方向における変化(profile)が前記厚み方向において繰り返されることまでは必要ではない。但し、実際の熱電変換材料においては、そのような繰り返し構造を有すると熱電変換特性が顕著に出現するので、そのような繰り返し構造を有することが望ましい。
この熱電変換材料は、AとしてA’とA”との2種類の元素又は元素群を有し、A’CoO層とA”CoO層とが積層されている。図1では、A’元素及びA”元素としてNa及びSrを有し、Sr0.5CoO2層とNa0.5CoO2層とが積層されている。ここで、図1において平面状に配列されたA元素(A’元素又はA”元素(図1ではNa又はSr))とCoO2層とが層状コバルト酸化物系物質の構造のいわゆる「層」を構成している。従って、図1では、4「層」のSr0.5CoO2層と「2層」のNa0.5CoO2層とが積層されている。但し、この「層」はあくまで概念上用いられるだけであり、実際に、ACoO2層(図1におけるSr0.5CoO2層及びNa0.5CoO2層)の構成がこの「層」の数で表される訳ではない。ACoO2層の構成は厚みで表される。図1では、Na0.5CoO2層は1nmの厚みを有し、Sr0.5CoO2層は2nmの厚みを有している。そして、この積層構造がその積層方向に繰り返されており、このように繰り返し積層された「層」の全体が熱電変換材料を構成している。このように、図1では、熱電変換材料は、高い熱電変換特性で知られる層状コバルト酸化物系のNaCoO2からなる熱電変換材料においてNa元素の一部をアルカリ土類元素(図1ではSr)で置き換えた構造を有している。このような構成とすることにより、NaCoO2に比べてさらに熱電変換特性が向上する。なお、図1は熱電変換材料の結晶構造を模式的に示しており、各ACoO2層の境界が明確に示されているが、実際にはSr0.5CoO2層とNaCoO2層との境界部においてはSr0.5CoO2とNa0.5CoO2とが製造時における加熱によって互いに拡散し合っていて、その境界は不明確である。本実施の形態の熱電変換材料としては、このように、異なるACoO層間の境界が不明確であり、その結果、A元素の組成が積層方向に連続的に変化していても構わない。但し、異なるACoO層間の境界が明確でAの組成が積層方向に不連続に変化している方が、熱電変換特性が優れているので好ましい。
次に、本発明を特徴付ける組成変調の効果を裏付けるデータを説明する。
ここでは、Aを構成する元素及び元素群としてアルカリ金属元素及びアルカリ土類元素を用い、アルカリ金属元素としてNaを用いかつアルカリ土類元素としてSr及びCaの2種類の元素を用いる場合について検討した。
まず、Na:Sr:Ca=1:1:1の化学組成を持つ(NaSrCa)0.5CoO2をターゲットとして用いた高周波スパッタリングにより、700℃に加熱したサファイア基体のc面上に成膜し、c軸配向した層状コバルト酸化物系の(NaSrCa)0.5CoO2薄膜を形成した。つまり、膜(層)の厚み方向にAを構成する元素群が組成変調されていない層状コバルト酸化物系物質の構造を有する熱電変換材料を形成した。スパッタガスとしてはアルゴンと酸素との組成比が1:1の混合ガスを用い、そのスパッタガスの気圧を5Paに維持し、100Wの入力電力で13.56MHzの高周波放電を誘起し、30分で600nmの成膜を実施した。
そして、このように形成された熱電変換材料の熱電変換特性を評価した。この熱電変換特性は、電気抵抗率、熱起電力、及び熱電変換電力因子(以下、電力因子という)Pによって評価した。ここで、電力因子Pは熱起電力の自乗を抵抗率で除したものとして定義される。その結果、室温での電気抵抗率は4mΩcm、熱起電力は150μV/Kであった。また、電力因子Pを算出すると、P〜0.7mW/Kmと従来のNaCoO2セラミックからなる熱電変換材料より若干良い程度の値であった。
次に、蒸発源を複数個設けた多元スパッタリングで、Na0.5CoO2、Sr0.5CoO2、及びCa0.5CoO2からなる3個のターゲットを用いた逐次積層を行い、c軸方向すなわち積層方向に組成を変調した層状コバルト酸化物系の熱電変換材料を形成した。具体的には、700℃に加熱したサファイア基体のc面上にそれぞれ2nmの厚みでNa0.5CoO2、Sr0.5CoO2、及びCa0.5CoO2の各層をこの順で100サイクル繰り返すように積層し、それにより、膜の厚み方向にAを構成する元素の組成変調をした。そして、このように形成された熱電変換材料の熱電変換特性を評価した。
その結果、この熱電変換材料では、前述の組成変調されていない熱電変換材料と比較すると、抵抗率はあまり変わらなかったが、熱起電力が250μV/Kに向上し、電力因子PがP〜2mW/Kmと見積もられ、実用化されている熱電半導体Bi−Teと同等の優れた熱電変換特性であることが確認された。つまり、本実施の形態に係る熱電変換材料においては、その優れた熱電変換特性は、Aとしてアルカリ金属元素及びアルカリ土類元素を選択することによって得られるのではなく、Aをアルカリ金属元素とアルカリ土類元素とで構成し、このように構成されたA元素を積層方向に組成変調することによって得られるということが確認された。
次に、組成変調の簡略化について説明する。前述の3種類のA元素の繰り返し積層構造による組成変調(以下、3層積層組成変調という)では3元スパッタリングを行うことが必要であったが、この3元スパッタリングでは、良質の積層を実施するタイミング等の取り扱いが容易ではない。そこで、良質な積層が容易な2元スパッタリングを用いてAを構成する2種類の元素及び元素群の繰り返し積層構造による組成変調(以下、2層積層組成変調という)を行った。具体的には、Na0.5CoO2層と(SrCa)0.5CoO2層とを、2元スパッタリングによって、それぞれ2nm及び4nmの厚みに交互に積層した。このように組成変調された熱電変換材料の電力因子PはP〜1.8mW/Kmと見積もられた。この値は前述の3層積層組成変調における値に比べて若干低いが、2層積層組成変調は、3層積層組成変調における製造プロセスの煩雑さ及び再現性を改善できるという点で優れている。従って、2層積層変調は、熱電変換材料を安定して製造する上で好ましいことが確認された。
次に、本実施の形態に係る熱電変換材料の製造方法について説明する。本実施の形態の熱電変換材料は、層状コバルト酸化物系物質に特有の積層構造を有している。この積層構造は特殊条件下における焼成プロセスによるセラミックプロセス(熱平衡プロセス)によっても構築可能であるが、薄膜プロセスを用いると容易に構築可能である。また、薄膜プロセスを用いると組成変調が簡便に実現できるので好ましい。特に、複数の蒸発源を放電過程中で用いるプロセスを行った場合に、層状コバルト酸化物系物質の構造を構築し易いことが分かった。層状コバルト酸化物系のACoO2はAを構成する元素又は元素群の広範囲の組成領域で安定に存在するわけではないが、放電過程中における多元蒸発源の制御により、再現性のよい組成変調が可能となった。放電過程のような非熱平衡プロセスがこの種の準安定な構造を凍結するのに有効であるためと考えられる。
放電過程として、オゾンやラジカルあるいは原子酸素等の活性な反応種を発生させるプロセスを用いた多元蒸発源の制御も、層状コバルト酸化物系物質の積層構造及びその積層方向における組成変調を実現するのに適している。レーザ衝撃によるプラズマプルームを利用した場合、あるいはプラズマCVD法を用いた場合にも同様に前記積層構造及び組成変調を実現可能であるが、特にスパッタリングに代表される減圧下におけるイオン衝撃蒸着を用いた場合には、再現性に優れた熱電変換材料の製造が容易に実施可能であることが確認された。
層状コバルト酸化物系物質ACoO2のCoに対するAの組成比(以下、A組成比という)xに関しては、A組成比xの広い範囲に渡って、熱電変換性能が出現し得るが、特に優れた熱電変換性能が安定して出現し得る範囲は、A組成比xが0.2以上1以下程度の範囲であることも併せて確認された。この場合、A組成比xが0.3以上0.7以下であることがより好ましく、0.4以上0.6以下であることがさらに好ましい。また基体の材料としては、サファイア以外に、他の単結晶、セラミックス、金属等の多くの材料を用いることができ、それによってサファイアを用いる場合と同様の効果を得ることができる。
次に、本実施の形態を、実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
本実施例では、2元スパッタリングにより2層積層組成変調された熱電変換材料を、Aを構成する元素の種類を変えて複数製造し、それらの熱電変換特性を互いに比較した。
層状コバルト酸化物系物質A0.5CoO2のAをA’,A”の2種類の元素で構成し、アルカリ金属及びアルカリ土類元素からなるNa,K,Ca,Sr,Baの群から2種類の元素をA’元素及びA”元素として選んだ。そして、700℃に加熱したサファイア基体のc面上にA’0.5CoO2の層とA”0.5CoO2の層とを3nm厚に交互に積層して、600nmの厚みの薄膜からなる熱電変換材料を作製した。この熱電変換材料は、c軸配向しており、かつA元素として2種類のA’元素及びA”元素を用いることにより厚み方向に組成変調されている。このA’ 元素とA”元素との組み合わせと室温で測定した電力因子Pとの関係を図3に示す。
A’ 元素及びA”元素のどの組み合わせにおいても、電力因子Pが1mW/Km以上となる優れた特性が実現されているが、特にA’ 元素及びA”元素がアルカリ金属(Na,K)とアルカリ土類元素(Ca,Sr,Ba)との組み合わせで構成された場合には、電力因子Pが1.5mW/Km以上となり、特に優れた熱電変換材料を構成できることが確認された。
[実施例2]
本実施例では、熱電変換材料を構成する各ACoO2層の厚みの好ましい範囲について検討した。
具体的には、実施例1において優れた熱電変換特性が得られた、ACoO2としてNa0.5CoO2とSr0.5CoO2とを組み合わせた熱電変換材料を例に取り、各層の厚みと電力因子Pの相関を求めた。この各層の厚みを変化させた熱電変換材料は、実施例1と同様の手法で作製した。
例えば、厚み1nmのNa0.5CoO2層と厚み2nmのSr0.5CoO2層とを積層した場合、図1に模式的に示すようなNa,Srの2層積層組成変調された構造が構築される。
図2は、熱電変換材料を構成するACoO2層の厚みと電力因子Pとの相関を示す図である。本実施例では、電力因子Pは室温で測定された。図2において、電力因子Pが特に優れた2mW/Km以上の値を示す領域は、ある層厚の範囲内に限定されることが分かる。Na0.5CoO2の層厚は、図2から1nm以上3nm以下が好ましく、またSr0.5CoO2の層厚は、図2から2nm以上8nm以下が好ましいことが確認された。
この傾向は、他のアルカリ金属A’とアルカリ土類元素A”を用いたA’0.5CoO層とA”0.5CoO2層との積層構造の場合においても、電力因子Pの絶対値は異なるものの同様の傾向であった。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明に係る熱電変換材料は、電子冷却あるいは熱発電を行う熱電変換素子として有用である。
本発明に係る熱電変換材料の製造方法は、電子冷却あるいは熱発電を行う熱電変換素子の製造方法として有用である。
本発明の実施の形態に係る熱電変換材料の一例の結晶構造を示す模式図である。 本発明の実施の形態に係る熱電変換材料を構成するACoO2層の厚みと熱電変換電力因子Pとの相関を示す図である。 A’元素とA”元素との組み合わせと室温で測定した熱電変換電力因子Pとの関係を示す表である。
符号の説明
P 熱電変換電力因子

Claims (27)

  1. 化学式ACoOで表される層状コバルト酸化物系物質からなる熱電変換材料において、
    Aが、アルカリ金属元素及びアルカリ土類元素の中から選ばれる元素又は元素群で構成されかつ前記層状コバルト酸化物系物質の構造における層の厚み方向に組成変調されている、熱電変換材料。
  2. Aの組成比を表すxの値が0.2以上1以下である、請求の範囲第1項記載の熱電変換材料。
  3. Aの組成比を表すxの値が0.3以上0.7以下である、請求の範囲第2項記載の熱電変換材料。
  4. Aの組成比を表すxの値が0.4以上0.6以下である、請求の範囲第3項記載の熱電変換材料。
  5. Aとして複数種類の元素又は元素群を有し、各々の元素又は元素群に対応するACoO層が積層されることによりAが組成変調されている、請求の範囲第1項記載の熱電変換材料。
  6. 各々の元素又は元素群に対応するACoO層の積層が積層方向に繰り返されている、請求の範囲第5項記載の熱電変換材料。
  7. Aとしてアルカリ金属元素とアルカリ土類元素とを含む複数種類の元素又は元素群を有する、請求の範囲第5項記載の熱電変換材料。
  8. AとしてA’とA”との2種類の元素又は元素群を有し、A’CoO層とA”CoO層とが積層されることによりAが組成変調されている、請求の範囲第5項記載の熱電変換材料。
  9. A’がアルカリ金属元素からなる元素又は元素群であり、A”がアルカリ土類元素からなる元素又は元素群である、請求の範囲第8項記載の熱電変換材料。
  10. 熱電変換電力因子Pが1.5mW/Km以上である、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  11. A’がアルカリ金属元素からなる元素又は元素群であり、かつA’CoO層の厚みが1nm以上3nm以下である、請求の範囲第8項記載の熱電変換材料。
  12. A”がアルカリ土類元素からなる元素又は元素群であり、かつA”CoO層の厚みが2nm以上8nm以下である、請求の範囲第8項記載の熱電変換材料。
  13. A’CoO層の厚みが1nm以上3nm以下であり、A”CoO層の厚みが2nm以上8nm以下である、請求の範囲第8項記載の熱電変換材料。
  14. 熱電変換電力因子Pが2mW/Km以上である、請求の範囲第13項記載の熱電変換材料。
  15. A’がNaであり、かつA”がSrである、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  16. A’がNaであり、かつA”がKである、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  17. A’がNaであり、かつA”がCaである、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  18. A’がNaであり、かつA”がBaである、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  19. A’がKであり、かつA”がCaである、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  20. A’がKであり、かつA”がSrである、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  21. A’がKであり、かつA”がBaである、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  22. A’がCaであり、かつA”がSrである、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  23. A’がCaであり、かつA”がBaである、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  24. A’がSrであり、かつA”がBaである、請求の範囲第9項記載の熱電変換材料。
  25. 化学式ACoOで表される層状コバルト酸化物系物質からなりかつAがアルカリ金属元素及びアルカリ土類元素の中から選ばれる元素又は元素群である熱電変換材料の製造方法であって、
    放電過程を用いて、それぞれ化学式ACoOで表される層状コバルト酸化物系物質からなる複数の蒸発源から化学式ACoOで表される層状コバルト酸化物系物質を基板上に積層する工程を有している、熱電変換材料の製造方法。
  26. 前記複数の蒸発源が、異なる2種類以上の層状コバルト酸化物系物質を有している、請求項25に記載の熱電変換材料の製造方法。
  27. 前記放電過程がイオン衝撃蒸着である、請求の範囲第25項記載の熱電変換材料の製造方法。
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