JPWO2003038097A1 - 脳に存在するユビキチン特異的プロテアーゼ及びそれをコードするdna - Google Patents

脳に存在するユビキチン特異的プロテアーゼ及びそれをコードするdna Download PDF

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Abstract

神経可塑性発現の分子機構の研究などに有用な、脳に存在するユビキチン特異的プロテアーゼ及びそれをコードするDNA。

Description

技術分野
本発明は、脳に存在するユビキチン特異的プロテアーゼ及びそれをコードするDNAに関する。
背景技術
樹状突起に分布するmRNAからの局所的蛋白質合成は、発現したシナプス可塑性を維持する上で重要な役割を果たしていると考えられている。シナプス後領域におけるものは特に重要と考えられ、シナプス後肥厚部(PSD)に関連するmRNAの検索が行われている(Mol.Brain Res.,72:147−157,1999)。しかしながら、その多くは機能が不明である。
発明の開示
本発明は、神経可塑性発現の分子機構の研究などに有用な、PSDに存在すると思われる蛋白質及びそれをコードするDNAを提供することを課題とする。
本発明者らは、Mol.Brain Res.,72:147−157,1999に記載された機能が不明なmRNAの一つについて、全長cDNAの取得及び発現産物の機能の解明に成功し、本発明を完成するに到った。
すなわち本発明は、以下のものを提供する。
(1)下記(a)または(b)の蛋白質。
(a)配列番号2に示すアミノ酸配列を有する蛋白質。
(b)配列番号2に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつユビキチン特異的プロテアーゼ活性を有する蛋白質。
(2)配列番号2に示すアミノ酸配列を有する(1)記載の蛋白質。
(3)(1)または(2)記載の蛋白質をコードするDNA。
(4)配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列を有する(3)記載のDNA。
(5)下記(a)または(b)のDNA。
(a)配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列を有するDNA。
(b)配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつユビキチン特異的プロテアーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
(6)下記(a)または(b)のDNA。
(a)配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列を有するDNA。
(b)配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列と相同性が85%以上の塩基配列を有し、かつユビキチン特異的プロテアーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
(7)(3)〜(6)のいずれかに記載のDNAを含む組換えベクター。
(8)(3)〜(6)のいずれかに記載のDNAにより宿主を形質転換して得られる形質転換体。
(9)(8)記載の形質転換体を培養し、該形質転換体が発現したユビキチン特異的プロテアーゼを培養物から採取することを含む、ユビキチン特異的プロテアーゼの製造法。
(10)(1)または(2)記載の蛋白質に対する抗体。
(11)配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号1022〜1036のアミノ酸配列を有するペプチドに対する抗体。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の蛋白質のうち、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する蛋白質は、後述の実施例に記載したように、脳に存在するユビキチン特異的プロテアーゼとして特定された蛋白質である。蛋白質には、同一の機能を有する変異体の存在が予測され、また、蛋白質のアミノ酸配列を適宜改変することによって、同一の機能を有する変異体を得ることができる。従って、配列番号2に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつユビキチン特異的プロテアーゼ活性を有する蛋白質も本発明の蛋白質に包含される。
蛋白質のアミノ酸配列の改変は、部位特異的変異誘発法などの周知の手段により蛋白質をコードするDNAの塩基配列を改変し、塩基配列が改変されたDNAを発現させることによって行うことができる。また、ユビキチン特異的プロテアーゼ活性とは、ユビキチン化された基質蛋白質を特異的に蛋白質分解する活性であり、この活性は公知の方法により測定できる(例えば、EMBO J.,16:1519−1530,1997参照)。従って、同一の機能を有するか否かを決定することは当業者であれば容易である。
本発明の蛋白質は、好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する。
本発明の蛋白質は、グルタチオントランスフェラーゼ(GST)やHisタグなどの他の蛋白質と融合させることにより融合蛋白質とされていてもよい。
本発明のDNAは、本発明の蛋白質をコードするDNAである。本発明のDNAとしては、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列を有するDNAが挙げられる。このDNAは、後述の実施例において、塩基配列が決定されたDNAである。遺伝子には、同一の産物をコードするが塩基配列の異なる遺伝子や同一の機能を有する変異体をコードする対立遺伝子の存在が予測され、また、塩基配列の改変により、同一の産物や同一の機能を有する変異体をコードする遺伝子を得ることができる。従って、本発明のDNAには、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列に類似する塩基配列を有し、かつ、ユビキチン特異的プロテアーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAも包含される。類似の塩基配列を有するDNAとしては、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、または、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列と相同性が85%以上の塩基配列を有するDNAが挙げられる。
ストリンジェントな条件としては、0.1% SDSを含む2×SSC中50℃でのハイブリダイゼーション、次いで0.1% SDSを含む2×SSC中25℃での0.5時間の洗浄が挙げられる。洗浄は、好ましくは、0.1% SDSを含む1×SSC中60℃での0.5時間の洗浄である。
相同性は、Genetryx(ソフトウエア開発株式会社)により算出される値である。
配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列に類似する塩基配列を有するDNAは、配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列を有するDNAまたはそのDNAを保持する宿主を突然変異誘発処理し、得られた変異体から、上述のストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、または、上述の相同性を有するDNAを選択することにより得ることができる。上述のようにユビキチン特異的プロテアーゼ活性の測定法は公知であり、従って、このようなDNAから、ユビキチン特異的プロテアーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAを選択することは当業者にとって容易である。
本発明のDNAは、明らかにされた塩基配列に基づき常法により得ることができる。例えば、化学合成法により合成してもよいし、適宜設定されたプライマーを用いて、本発明のユビキチン特異的プロテアーゼを発現している細胞や組織から調製されたmRNAから逆転写−PCR法により得てもよい。
本発明のベクターは、本発明のDNAを含む組換えベクターである。本発明のベクターは、常法により本発明のDNAをベクターに挿入することにより得ることができる。本発明のDNAが挿入されるベクターとしては特に制限はなく、例えば、クローニング用ベクターとして通常に使用されるもの、哺乳動物細胞発現用ベクターとして通常に使用されるものが挙げられる。本発明の蛋白質を生産する目的でベクターを使用する場合には、特に発現ベクターが有用である。
本発明の形質転換体は、本発明のDNAにより宿主を形質転換して得られる形質転換体であり、本発明の蛋白質を発現する。
宿主としては、特に制限はなく、動物細胞、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞などが挙げられる。形質転換は、常法により行えばよく、本発明のベクターを導入することによって行うことが好ましい。
本発明の製造法は、本発明の蛋白質すなわちユビキチン特異的プロテアーゼの製造法であり、本発明の形質転換体を培養し、該形質転換体が発現したユビキチン特異的プロテアーゼを培養物から採取することを含む。
培養は、形質転換体が本発明の蛋白質を発現する条件で行えばよく、培養物からの本発明の蛋白質の採取は、蛋白質の精製に通常に用いられる、種々のクロマトグラフィー、電気泳動、ゲル濾過などの方法を適宜組み合わせて行えばよい。本発明の蛋白質を、GSTやHisタグとの融合蛋白質として発現させる場合には、それぞれグルタチオンセファロースカラムやニッケルセファロースカラムを用いて精製することが可能である。
本発明の抗体は、本発明の蛋白質に対する抗体であり、好ましくは、配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号1022〜1036のアミノ酸配列を有するペプチド(以下C末端ペプチドともいう)に対する抗体である。本明細書において「対する抗体」とは、免疫学的に反応する抗体を意味する。
本発明の抗体は、本発明の蛋白質(好ましくはC末端ペプチド)を免疫した動物から得ることができる。ポリクローナル抗体であれば上記免疫動物の血清より調製され、モノクローナル抗体であれば上記免疫動物の脾臓あるいはリンパ節から得られた抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合し、本発明蛋白質(好ましくはC末端ペプチド)に強い特異性を示す抗体を産生するハイブリドーマを選択することにより調製される。
免疫抗原としては、本発明の製造法により得られる本発明の蛋白質のフラグメントを用いることができる。あるいは、上記アミノ酸配列に基づき合成したものを用いることができる。抗原はキャリア蛋白質との複合体として用いてもよい。抗原とキャリア蛋白質の複合体の調製には種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、マレイミド活性エステル等が使用できる。キャリア蛋白質は牛血清アルブミン、サイログロブリン、ヘモシアニン等の常用されているものでよく、通常1〜5倍量の割合でカップリングさせる方法が用いられる。
免疫される動物としてはマウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスターなどがあげられ、接種方法は皮下、筋肉あるいは腹腔内の投与があげられる。投与に際しては完全フロイントアジュバンドや不完全フロイントアジュバンドと混和して投与してもよく、投与は通常2〜5週毎に1回ずつ行われる。免疫された動物の脾臓あるいはリンパ節から得られた抗体産生細胞は骨髄腫細胞と細胞融合させられハイブリドーマとして単離される。骨髄腫細胞としてはマウス、ラット、ヒト等由来のものが使用され、抗体産生細胞と同種由来のものであることが好ましいが、異種間においても可能な場合もある。
細胞融合の操作は既知の方法、たとえばケーラーとミルスタインの方法(Nature,256,495,1975)に従い実施できる。融合促進剤としてはポリエチレングリコールやセンダイウイルスなどが挙げられ、通常には、20〜50%程度の濃度のポリエチレングリコール(平均分子量1000〜4000)を用いて20〜40℃、好ましくは30〜37℃の温度下、抗体産生細胞数と骨髄腫細胞数の比は通常1:1〜10:1程度、約1〜10分間程度反応させることにより細胞融合を実施することができる。
抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の免疫化学的方法が使用できる。たとえば、本発明の蛋白質(好ましくはC末端ペプチド)をコートしたマイクロプレートを用いるELISA(Enzyme−linked immunosorbent assay)法、抗免疫グロブリン抗体をコートしたマイクロプレートを用いるEIA(Enzyme immunoassay)法、本発明の蛋白質(好ましくはC末端ペプチド)を含むサンプルを電気泳動後ニトロセルロース転写膜を用いるイムノブロット法などがあげられる。
このようなウェルから更に例えば限界希釈法によってクローニングを行いクローンを得る。ハイブリドーマの選別、育種は、通常、HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加して、10〜20%牛胎児血清を含む動物細胞用培地(例、RPMI1640)で行われる。このようにして得られたクローンはあらかじめプリスタンを投与したSCIDマウスの腹腔内へ移植し、10〜14日後にモノクローナル抗体を高濃度に含む腹水を採取し、抗体精製の原料とすることができる。また、該クローンを培養し、その培養物を抗体精製の原料とすることもできる。モノクローナル抗体の精製は免疫グロブリンの精製法として既知の方法を用いればよく、たとえば、硫安分画法、PEG分画法、エタノール分画法、陰イオン交換体の利用、さらに本発明の蛋白質(好ましくはC末端ペプチド)を用いるアフィニティクロマトグラフィーなどの手段により容易に達成することができる。血清からのポリクローナル抗体の精製も同様に行うことができる。
モノクローナル抗体はFc’あるいはFc領域を除去したFab’あるいはFab画分、あるいはその重合体を用いてもよい。またそのキメラ抗体、ヒト化抗体であってもよい。
本発明の抗体を用いる免疫学的方法により生体試料中の本発明の蛋白質の定性、定量を行うことができる。免疫学的方法としては、生体試料を必要に応じて適切な処理、たとえば細胞の分離、抽出操作などをした試料について、免疫組織染色法、酵素免疫測定法、凝集法、競合法、サンドイッチ法など既知の方法を適用することができる。免疫組織染色法は、例えば標識化抗体を用いる直接法、該抗体に対する抗体の標識化されたものを用いる間接法などにより行い得る。標識化剤としては螢光物質、放射性物質、酵素、金属、色素など公知の標識物質がいずれも使用できる。
実施例
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
実施例1 全長Dem 21 cDNAのクローニング
Dem 21二本鎖cDNA(長さ215bp)を、Mol.Brain Res.,72:147−157,1999に報告されたようにして取得した。得られたcDNAをPCRラベル化法によりジゴキシゲニン(DIG)で標識し、DIG標識Dem 21 cDNAプローブを得た。
このプローブを用いた、非刺激ラット脳から調製されたライブラリーのスクリーニングでは、陽性クローンは得られなかった。そこで、高頻度刺激から4時間後に採取された海馬から調製されたオリゴ(dT)プライムドcDNAライブラリーをスクリーニングした。
シクロヘキサミドで前処置したラットでの高頻度刺激から4時間後に採取された海馬から調製されたオリゴ(dT)プライムドcDNAライブラリー(Neuron,14:433−455,1995)は、東京都神経科学総合研究所の山形博士より恵与された。このライブラリーを、150mmプレート当たり5×10プラークの密度でプレートし、プレートをデュプリケートしたフィルター(メンブラン)を、DIG標識Dem 21 cDNAプローブに対するハイブリダイゼーションによりスクリーニングした。ハイブリダイゼーションは、DIG Easyhybバッファー中で42℃において一晩行った。メンブランを、0.1% SDSを含む2×SSCで室温において2回洗浄し、次いで0.1% SDSを含む1×SSCで65℃において15分間洗浄した。発色は、DIG化学発色キット(日本ロシュ社)の指示書に従って行った。候補プラークを選択し、同様に再スクリーニングを行った。陽性cDNAクローンのインサートを切り出し、DNA配列決定により確認した。この結果、共にプローブ配列を含む、二つの部分的に重複する、異なる長さの二つの陽性クローン(18’2および17’1)が得られた。クローン18’2は、ポリ(A)配列およびそのポリ(A)の30bp上流にAAATTAAAポリアデニル化シグナルを有する2163bpのインサートを含んでいた。クローン17’1は、18’2と同じ3’配列を有する4369bpのインサートを含んでいた。
長い方のクローンは、部分的なオープンリーディングフレーム(ORF)を含んでいたので、・Dem21の全長cDNAを得るため、5’RACEを行い、更なる5’配列を得た。具体的には、カイニン酸で処置したラットの脳から調製されたmRNA(0.5μg)について、5’full Race Core Set及びTaq DNAポリメラーゼ(共に宝酒造株式会社)を用いて、逆転写反応による1本鎖cDNAの合成、合成されたcDNAの環化及び環化したcDNAを鋳型とするPCRを2回行った。1回目の5’RACEでは、17’1のcDNA配列に基づいて調製された、逆転写反応用の遺伝子特異的プライマー(配列番号4)ならびにPCR用のアンチセンスプライマー及びセンスプライマー(配列番号5及び6)を用いた。2回目の5’RACEでは、1回目の5’RACEで得られた塩基配列に基づいて調製された、逆転写反応用の遺伝子特異的プライマー(配列番号7)ならびにPCR用のアンチセンスプライマー及びセンスプライマー(配列番号8及び9)を用いた。
1回目の5’RACEで、クローン17’1の5’部分と重複する1.0kbフラグメントが得られた。さらに、2回目の5’RACEにより、第1の5’RACEフラグメントと重複する800bpのフラグメントが得られた。17’1のcDNA配列及び5’RACEで得られた配列を組み合わせることにより、5738bpのcDNAが得られた。塩基配列を配列番号1に示す。この5738bp配列は、3111bpのORFを含んでいた。上述のように、ポリ(A)テールの前には、コンセンサスAAATTAAAポリアデニル化シグナルがある。推測翻訳開始コドンの5’端から178塩基の5’部分はGCに富み、5’非翻訳領域に一致する。この推測開始コドンの周囲の隣接塩基配列は、−3および+4のGでKozakコンセンサス配列(J.Biol.Chem.,266:19867−19870,1991)に一致する。CTに富む配列および推定開始部位の上流にインフレームの終止コドンが存在することは、このATGが真の開始コドンであることをさらに裏付けている。以上から、得られた5738bpのcDNAは、Dem 21の全長cDNAを含むものであり、Mol.Brain Res.72:147−157,1999に報告されていた215bpの断片は、ポリ(A)を有する全長cDNAの3’末端であることが判明した。
完全Dem 21 cDNAクローンの推定アミノ酸配列(配列番号2)の、DDBJ nrデータベースを用いたホモロジー検索では、同一の蛋白質または高い相同性を有する単一の蛋白質種は見い出されなかった。しかし、推定蛋白質は、ユビキチン特異的プロテアーゼ(USP)に見られるCysボックス、Hisボックス、Aspボックス及びKRFボックスなどの保存されたドメインを多数含んでいた。この特徴によれば、Dem 21はUSPファミリー酵素の新規なメンバーであると考えられ、従って、Dem 21をシナプス性USP(synUSP)と名付けた。既知のUSPの中で、synUSPは、ヒューマン ゲノム オーガニゼーション(HUGO)ノーメンクレチャー コミッティー(http://www.gene.ucl.ac.uk/nomenclature)によりヒトUSPについて提案している命名法でUSP7と名付けられているHAUSP(ヘルペスウイルス関連ユビキチン特異的プロテアーゼ)に最も類似している。これらの二つの蛋白質の間では、413アミノ酸残基に渡り28%のアイデンティティー及び40%のシミラリティーがあった。
synUSPは、1036アミノ酸からなる蛋白質をコードし、118.78kDaの推測分子量及び5.83のpIを有する。USP活性部位ドメインの他に、データベース検索で、カルボキシル末端領域にロイシンジッパードメインが検出された。ロイシンジッパードメインは、蛋白質−蛋白質相互作用に関与すると考えられているので、synUSPのカルボキシル末端は、ある種の蛋白質−蛋白質相互作用に関与している可能性がある。synUSPは、また、6アミノ酸((L/I)LCPHG(配列番号3))の二つのリピートをカルボキシル末端部分に有する。データベース検索では、この配列の機能についての情報は得られなかった。
実施例2 発現産物のUSP活性の確認
synUSPの、モデルユビキチン化蛋白質を切断する活性を、E.coliの共発現系を用いて調べた。
USP活性は、基本的に、Everettら(EMBO J.,16:1519−1530,1997)の方法に従って、T7−ドリブンIPTG誘導性synUSP発現プラスミドを用いて行った。pT7−synUSPプラスミドを、synUSPの完全なコード領域をT7発現プラスミドpET3d(pBR322 Ampレプリコン)のNcoI部位に挿入して作製した。T7−synUSP発現カセットをpACYC184 Cmレプリコン中に含むプラスミドであるpACT7−synUSPを、pT7−synUSPのEcoRVフラグメントをpACYC184のEcoRV部位に挿入することにより構築した。酵母UBP2をコードするプラスミドpACYC−UBP(pACYC184 Cmレプリコン)及びGST−Ub52融合蛋白質をコードするプラスミドpGEX−Ub52(pBR322 Ampレプリコン)を、USP及びUSP基質のポジティブコントロールとして用いた。GST−Ub52基質の切断については、pGEX−Ub52を保持するE.coli BL21(DE3)株細胞をさらにpACT7−synUSPまたはpACYC−UBP2のいずれかにより形質転換し、アンピシリン及びクロラムフェニコールの両方に対して耐性のコロニーを生育させた。蛋白質発現をIPTGにより誘導し、細胞をさらに3時間インキュベートし、USPに基質を切断させた。細胞を超音波処理して、水溶性蛋白質の抽出物を調製した。GST融合蛋白質及びそれらの蛋白質分解生成物をグルタチオン−アガロースビーズにより精製し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に付し、クマシーブリリアントブルー染色により検出した。また、Cys98をAlaに置換したsynUSP、ならびに、Hisボックス、LLCPHGリピート配列もしくはロイシンジッパーのいずれかからC末端側を欠失させたsynUSP(図1のa)についても同様の操作を行った。
結果を図1のbに示す。GST−Ub52基質蛋白質の発現はIPTGにより誘導された(レーン1)。GST−Ub52蛋白質は、酵母USP2の共発現により、30kDaのバンドに分解された。分解産物のサイズは、計算により求めたものとよく一致した。従って、上記USP活性アッセイ系の有効性が確認された。野性型(WT)synUSPを共発現させると、45 kDaのGST−Ub52蛋白質の量は減少し、それに付随して30 kDaの蛋白質分解産物が顕著に増加した(レーン3)。従って、synUSPはUSP活性を有していることが確認された。synUSPの活性は、Cys98をAlaに置換すること、または、Hisボックス、LLCPHGリピート配列もしくはロイシンジッパーのいずれかからC末端側を欠失させることにより消失した(レーン4〜7)。
実施例3 抗体の調製ならびにsynUSPの細胞下分布および組織分布
synUSPのC末端の15アミノ酸(配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号1022〜1036)からなるペプチド(C−15ペプチド)をキーホールリンペットヘモシアニンに結合させ、これを用いてウサギを免疫した。追加免疫を繰り返した後、血清を採取し、C−15ペプチドを固定化したAffi−Gel 10を用いて抗synUSP抗体(C−15 Ab)をアフィニティークロマトグラフィーで精製した。
精製したC−15 Abの特異性を、J.Biol.Chem.,276,21417−21424(2001)に記載された方法に従って、Cos7細胞で発現した全長synUSPに対するウェスタンブロットを行うことにより試験した。この結果、C−15 Abは、発現した125 kDaのsynUSPと特異的に反応し、その相互作用は、過剰のC−15ペプチドを加えることによりブロックされた。
C−15 Abを用いて、synUSPの細胞下分布を調べた。細胞下画分は以下のようにして得た。Mol.Brain Res.,78,80−90(2000)に記載されたようにして、ウィスターラット(6週齢、雄)の前脳からシナプス原形質膜(SPM)およびPSDの画分を得た。また、PSDの単離中に、P1(核および細胞片を含む画分)、P2(粗ミトコンドリア画分)およびsyn(シナプトソーム画分)を得た。さらに、可溶性画分およびデンドリティックリピッドラフト(dendritic lipid raft)画分を、それぞれ、Mol.Brain Res.,78,80−90(2000)およびMol.Brain Res.,89,20−28(2001)に記載されたようにして得た。
各画分を、C−15 Abを用いるウェスタンブロットにより分析した。この結果、Cos7細胞で発現した全長synUSPと同じ分子量のバンドが、全ホモジェネート画分、可溶性画分、デンドリティックリピッドラフト画分およびPSD画分で検出された。なお、PSD画分では、異なる大きさの免疫反応するバンドが検出されたが、これらはC−15ペプチドの添加で消失し、また、実験毎に量が変動したので、synUSPの分解物と推定された。
心臓、脳、脾臓、肺、肝臓、骨格筋、腎臓、精巣、胸腺、胃および小腸から調製された蛋白質について上記と同様にウェスタンブロットを行った。この結果、脳および胸腺で125kDaのバンドが検出されたが、胸腺における発現レベルは、脳におけるものより低かった。また、同サイズのバンドが精巣でも検出されたが、その発現レベルは極めて低かった。脳においては、全長よりも短い免疫反応するバンドが検出されたが、これらはC−15ペプチドの添加で消失し、また、実験毎に量が変動したので、synUSPの分解物と推定された。また、肝臓においても、低分子量の領域に免疫反応する2つのバンドが検出された。これらは、C−15ペプチドの添加で消失した。他の組織では、免疫反応するバンドは検出されなかった。
産業上の利用の可能性
本発明により、脳に存在するユビキチン特異的プロテアーゼ及びそれをコードするDNAが提供される。これらは、神経可塑性や、神経変性疾患の病態に関する研究において有用である。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
図1は、(a)発現産物の構造、及び、(b)ユビキチン特異的プロテアーゼ活性の検出結果(電気泳動写真)を示す。

Claims (11)

  1. 下記(a)または(b)の蛋白質。
    (a)配列番号2に示すアミノ酸配列を有する蛋白質。
    (b)配列番号2に示すアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列を有し、かつユビキチン特異的プロテアーゼ活性を有する蛋白質。
  2. 配列番号2に示すアミノ酸配列を有する請求項1記載の蛋白質。
  3. 請求項1または2記載の蛋白質をコードするDNA。
  4. 配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列を有する請求項3記載のDNA。
  5. 下記(a)または(b)のDNA。
    (a)配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列を有するDNA。
    (b)配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列に相補的な塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズし、かつユビキチン特異的プロテアーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
  6. 下記(a)または(b)のDNA。
    (a)配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列を有するDNA。
    (b)配列番号1に示す塩基配列の塩基番号178〜3285の塩基配列と相同性が85%以上の塩基配列を有し、かつユビキチン特異的プロテアーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
  7. 請求項3〜6のいずれか1項に記載のDNAを含む組換えベクター。
  8. 請求項3〜6のいずれか1項に記載のDNAにより宿主を形質転換して得られる形質転換体。
  9. 請求項8記載の形質転換体を培養し、該形質転換体が発現したユビキチン特異的プロテアーゼを培養物から採取することを含む、ユビキチン特異的プロテアーゼの製造法。
  10. 請求項1または2記載の蛋白質に対する抗体。
  11. 配列番号2に示すアミノ酸配列のアミノ酸番号1022〜1036のアミノ酸配列を有するペプチドに対する抗体。
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