JP4984160B2 - 抗体の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、免疫寛容を人為的に抑制し、免疫動物が寛容となりやすいペプチドや蛋白質に対する抗体を作製する方法に関する。
自然界には、動物由来、植物由来、細菌由来等の多くのペプチド及び蛋白質が存在している。生体内では、これらペプチドや蛋白質を異物と認識した場合には、異物に対する生体の拒否反応、いわゆる免疫反応が惹起してこれらを排除しようとする。一方で、生体内では、自己のペプチドや蛋白質等を異物と認識しないように、自己のペプチドや蛋白質等に対して免疫反応を惹起しないように制御する免疫寛容が維持されている。
この免疫寛容の維持には、T細胞が関与しており、その中でもCD25CD4T細胞が関わっていることが明らかにされた(非特許文献1)。さらに、CD25CD4T細胞は、腫瘍免疫の制御(非特許文献2)、臓器移植における拒絶反応の抑制(非特許文献3)、リウマチ等の各種自己免疫疾患の発症の抑制に深く関与していることが明らかにされた。
CD25CD4T細胞による免疫寛容には、TNFレセプタースーパーファミリーに属し、別名TNFRSF18とも呼ばれているGITR(glucocorticoid−induced tumor necrosis factor receptor family−related gene.−a member of the tumor necrosis factor−nerve growth factor receptor gene superfamily.)が関与していることが明らかにされた(非特許文献4及び5)。
一般的に、新規又は既知のペプチドや蛋白質の抗原から作製された抗体は、生体内分布の確認・その作用機序解明のツール、さらに疾患の治療薬等になり得る可能性がある。このため、新規又は既知のペプチドや蛋白質を採取し、採取したペプチド又は蛋白質を抗原としてマウス、ラット等動物に投与して当該抗原に対する抗体を作製することが行われている。
しかし、採取したペプチド又は蛋白質の抗原の中には、投与した動物において免疫寛容が成立しているために当該抗原に対する抗体が作製されず、目的の抗体を回収することができない場合がある。この理由としては、生物種間において構造的にアミノ酸配列における相同性が高い場合が多く、相同性の高い蛋白質やペプチドの場合には異なる生物種由来の抗原であっても自己抗原と認識して免疫寛容のシステムが働くことが考えられている。さらに、血球系・血管系に存在するペプチドや蛋白質の多くは、免疫機構に晒される機会が多いことから免疫寛容のシステムが働きやすくなっている。例えば、ケモカイン受容体等のGPCR(G protein−coupled receptor),細胞接着因子等が挙げられる。(非特許文献6〜10)。
近年では、通常のマウス等の動物で免疫寛容が成立しやすいペプチドや蛋白質の抗原を,当該抗原遺伝子のノックアウトマウスに投与して当該抗原を感作させることによって、当該抗原に対する抗体を作製し回収した例が報告されるに至っている(非特許文献10)。
Sakaguchi,S.等,J.Immunol.,1995年,155巻,1151−1164頁 Shimizu,J.等,J.Immunol.,1999年,163巻,5211−18頁 Sakaguchi,S.等,Immunol.Rev.,2001年,182巻,18−32頁 Nocentini,G.等,Proc.Natl.Acad.Sci.,1997年,USA.,94巻,9216−9221頁 June,Shimizu等,Nature,Immunol.,2002年,3巻(2),135−142頁 Reinhold,F等,B.B.R.C.,1993年,196巻(3),1496−1503頁 E.,Rothermel等,Scand.J.Imminol.,2000年,52巻,401−410頁 鎌田宣夫等,第26回日本分子生物学会年会講演要旨集,2003年,1PC−162 山田良樹等,第26回日本分子生物学会年会講演要旨集,2003年,1PC−163 大友俊彦等,第26回日本分子生物学会年会講演要旨集,2003年,1PC−164
しかしながら、ノックアウトマウスの作製には多大な時間、労力、費用がかかる上、胎生致死の場合や、生育したノックアウトマウスに抗原を投与しても目的の抗体を回収できない場合もある。
本発明の目的は、生体の免疫寛容を人為的に抑制することによって、従来方法では免疫寛容が成立しやすいペプチドや蛋白質の抗原に対する抗体を作製する方法を提供することである。
本発明者等は、GITRアゴニスト活性を有する抗GITR抗体をマウスに投与し、免疫寛容を人為的に抑制して、GPCRの1種であるEdg1蛋白質を抗原としてマウスを感作し、当該Edg1蛋白質に対する抗体を効率良く作製する事に成功したことから本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、GITRアゴニストを免疫動物に投与して当該免疫動物生体内の免疫寛容を抑制し、当該免疫動物に抗原を投与することを特徴とする、当該抗原に対する抗体を作製する方法を提供するものである。
本発明によれば、生体で免疫寛容が成立しやすい既知又は新規のペプチドや蛋白質等の抗原に対する抗体を効率よく作製することができる。
精製EDG1Flag抗原を用いたウエスタンブロット(WB)解析の結果レーン番号31〜56までを示した写真である。 ヒト及びマウスEdg1の相同性を比較した図である。NCBI Blast検索によりマウスEdg1とヒトEdg1の相同性を比較した図である。上段(Query)はヒトEdg1(GenBank番号:NP_001391)のアミノ酸配列を示し、下段(Sbjct)はマウスEdg1(GenBank番号:NP_031927)のアミノ酸配列を示す。
以下、本発明について、詳細に説明する。
免疫寛容を抑制する方法としては、例えば、GITRアゴニストを投与することにより免疫寛容を抑制する方法、抗IL−2受容体抗体を投与することにより免疫寛容担当細胞であるCD25CD4T細胞を除去する方法等が挙げられるが、本発明においては、GITRアゴニストを投与することにより免疫寛容を抑制する。
(1)GITRアゴニストの作製方法
本発明において、GITRは、膜蛋白質であり、TNFα−NGFレセプター遺伝子スーパーファミリーに属する蛋白質である(以下、GITR蛋白質とする)。マウスにおけるGITRのアミノ酸配列及びこれをコードする遺伝子配列はGenBank番号(NM_021985、NM_009400)に開示されている。
本発明において、GITR蛋白質とは、全長蛋白質及びその断片の両方を意味する。GITR蛋白質の断片とは、任意の領域を含む部分ポリペプチドであり、天然のGITR蛋白質の機能を有していなくてもよい。
本発明において、GITRアゴニストは、GITR蛋白質に結合し、シグナルを伝達させることが可能なものであれば如何なるものでもよく、その機能を有している限り、断片、融合蛋白質、修飾蛋白質など、如何なる形態でもよい。GITRアゴニストは、例えば、TNFSF18(tumor necrosis factor(ligand) superfamily,member 18)並びに可溶性GITRリガンド、抗GITR抗体等である。これらのGITRアゴニストのうち、GITRアゴニスト活性を有する抗GITR抗体が好ましい。
本発明において、TNFSF18は、TNFスーパーファミリーに属する蛋白質でマウスアミノ酸配列及び遺伝子配列はGenBank番号(NM_183391)に開示されている。
なお、GITRアゴニスト作用を有しているか否かは、Takahashi等の方法に従って行うことが可能である(Takahashi,et al.,Int.Immunol.,1969−80(1998))。具体的には、GITRアゴニストをT細胞増殖測定系へ添加した後に、CD25CD4T細胞による他のT細胞への増殖抑制作用解除効果を検定することによって検出する。
GITRアゴニストの作製方法については、GITRアゴニスト活性を有する抗GITR抗体を用いて説明する。なお、抗GITR抗体に限定されず、他のGITRアゴニスト、例えばGITRリガンドを作製してもよい。
まず、GITR蛋白質を動物に投与することにより抗GITR抗体を作製する。
本発明で用いられる抗GITR抗体(その断片も含む。)は、免疫寛容を抑制させる動物のGITR蛋白質に結合するだけでなく、GITRに対しアゴニスト(作動)活性を有することが必要である。抗GITR抗体の由来、種類(モノクローナル、ポリクローナル)及び形状等を問わない。
抗GITR抗体は、下記動物由来のGITR蛋白質をマウス、ラット、トリ、ハムスター、モルモット、ウサギ等の動物に投与して得ることができるが、好ましくは、マウス又はラット細胞由来のハイブリドーマにより産生されたモノクローナル抗GITR抗体であることが好ましい。
また、抗GITR抗体は、遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されたものであってもよい。
抗GITR抗体の作製方法の一例として、ハイブリドーマによる抗GITR抗体作製方法を下記に説明する。
ハイブリドーマは、モノクローナル抗GITR抗体を産生するものが好ましい。当該ハイブリドーマは、GITR蛋白質を抗原として使用し、通常の免疫方法に従って免疫細胞を得、得られた免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、さらに、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞をスクリーニングして作製される。
より具体的には、モノクローナル抗GITR抗体を作製するには下記の(i)から(v)に説明する。
(i)免疫細胞の採取
まず、抗GITR抗体を作製するための抗原として使用するGITR蛋白質を、GenBank番号(NM_021985、NM_009400)に開示されたGITR遺伝子/アミノ酸配列を発現することによって得る。GITR蛋白質をコードする遺伝子配列を公知の発現ベクター系に挿入して適当な宿主細胞を形質転換させた後(Jun Shimizu et al.,Nature Immunol.,3(2),135−42,2002)、その宿主細胞中又は培養上清中から目的のGITR蛋白質を公知の方法で精製する。
GITR蛋白質の由来は、特に限定されないが、ヒト、イヌ、ネコ、ハムスター、モルモット、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット等ゲッ歯類動物由来のGITR蛋白質が好ましく、マウスGITR蛋白質又はラットGITR蛋白質がより好ましい。
なお、天然のGITR蛋白質を精製して用いることもできる。
また、GITR蛋白質の断片である部分ペプチドは、GITR蛋白質のアミノ酸配列に基づく化学合成、またGITR遺伝子の一部の発現ベクターへの組込み、さらに天然のGITR蛋白質を蛋白質分解酵素による分解等によって得ることができる。部分ペプチドとして用いるGITR蛋白質のアミノ酸配列の部分及び大きさは限られない。
次に、この精製されたGITR蛋白質を抗原として抗GITR抗体の作製に用いる動物に免疫する。免疫方法としては、公知の方法に従って行われる。例えば、一般的方法として、GITR蛋白質の抗原をホ乳動物の腹腔内又は皮下に注射することにより行われる。
具体的には、GITR蛋白質の抗原をPBS(Phosphate−Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものに、通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、ホ乳動物に4〜21日毎に数回投与する。
抗GITR抗体の作製に用いる動物にGITR蛋白質の抗原を投与後、血清中に抗GITR抗体レベルが上昇し、免疫されたのを確認した後に、当該動物から免疫細胞を採取する。好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。
抗GITR抗体の作製に用いる動物は、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはゲッ歯類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット或いはトリ、ウサギ、サル等が使用される。
また、GITR蛋白質抗原を抗GITR抗体の作製に用いる動物に投与して免疫する際には、当該抗原に適当な担体と結合して使用することもできる。特に分子量の小さい部分ペプチドを感作抗原として用いる場合には、アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン等の担体蛋白質と結合させて免疫することが望ましい。
また、上記の他に、抗GITR抗体は、CD25CD4T細胞にあるGITR蛋白質を抗原として使用し、得ることも可能である。CD25CD4T細胞の取得方法は、Takahashi,T et al.,Int.Immunol.10,1969−80(1998)に記載されている。
(ii)細胞融合
前記採取された免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、基本的には公知の方法、例えば、ケーラーとミルステイン等の方法(Kohler.G.and Milstein,C.、Methods Enzymol.(1981)73,3−46)等に準じて行うことができる。
前記採取された免疫細胞と融合される他方の親細胞として、ホ乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞としては、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(J.Immnol.(1979)123,1548−1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81,1−7)、NS−1(Kohler.G.and Milstein,C.Eur.J.Immunol.(1976)6,511−519)、MPC−11(Margulies.D.H.et al.,Cell(1976)8,405−415)、SP2/0(Shulman,M.et al.,Nature(1978)276,269−270)、FO(de St.Groth,S.F.et al.,J.Immunol.Methods(1980)35,1−21)、S194(Trowbridge,I.S.J.Exp.Med.(1978)148,313−323)、R210(Galfre,G.et al.,Nature(1979)277,131−133)等が挙げられる。
より具体的には、前記採取された免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、例えば細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等が使用され、さらに所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
細胞融合の際、前記採取された免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定することができる。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1〜10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
前記採取された免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温したPEG溶液(例えば平均分子量1000〜6000程度)を通常30〜60%(w/v)の濃度で添加して混合することによって細胞融合させて目的とする融合細胞(以下、ハイブリドーマという。)を形成する。続いて、当該ハイブリドーマに適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去する。
このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含む培養液)で培養することにより、選択される。上記HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、数日〜数週間)継続する。
なお、前記GITR蛋白質を認識する抗GITR抗体は、国際公開公報WO 03/104453に記載された方法を用いて産生してもよい。
(iii)ハイブリドーマのスクリーニング
ハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅後、ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗GITR抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニング及び単一クローニングを行う。
抗GITR抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニング及び単一クローニングは、公知の抗原抗体反応に基づくスクリーニング方法で行えばよい。例えば、ポリスチレン等でできたビーズや市販の96ウェルのマイクロタイタープレート等の担体に抗原を結合させ、ハイブリドーマの培養上清と反応させ、担体を洗浄した後に酵素標識二次抗体等を反応させることにより、培養上清中に感作抗原と反応する目的とする抗体が含まれるかどうか決定できる。抗GITR抗体を産生するハイブリドーマを限界希釈法等によりクローニングすることができる。この際、抗原としては免疫に用いたものを用いればよい。
このようにして作製されたモノクローナルな抗GITR抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
(iv)抗GITR抗体の産生
前記ハイブリドーマからモノクローナル抗GITR抗体を産生する方法として、上記で得られたハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清から抗GITR抗体を採取する方法、又は上記で得られたハイブリドーマをこれと適合性があるホ乳動物に投与して増殖させ、その腹水として抗GITR抗体を得る方法等が挙げられる。前者の方法は、高純度の抗GITR抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗GITR抗体の大量生産に適している。
また、上記で得られたハイブリドーマから抗GITR抗体の発現する遺伝子をクローニングし、適当な発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いてモノクローナルな抗GITR抗体を産生させることができる。(例えば、Vandamme,A.M.et al.,Eur.J.Biochem.(1990)192,767−775,1990参照)。
具体的には、GITR蛋白質に対する抗GITR抗体を産生するハイブリドーマから、抗GITR抗体の可変(V)領域をコードするmRNAを単離する。このmRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin,J.M.et al.,Biochemistry(1979)18,5294−5299)、AGPC法(Chomczynski,P.et al.,Anal.Biochem.(1987)162,156−159)等により行って全RNAを調製し、mRNA Purification Kit(Pharmacia製)等を使用して目的のmRNAを調製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia製)を用いることによりmRNAを直接調製することもできる。
得られたmRNAから逆転写酵素を用いて抗GITR抗体V領域のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First−strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業社製)等を用いて行う。また、cDNAの合成及び増幅を行うには、5’−Ampli FINDER RACE Kit(Clontech製)及びPCRを用いた5’−RACE法(Frohman,M.A.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1988)85,8998−9002、Belyavsky,A.et al.,Nucleic Acids Res.(1989)17,2919−2932)等を使用することができる。
得られたPCR産物から目的とするDNA断片を精製し、ベクターDNAと連結する。さらに、これより組換えベクターを作製し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。そして、目的とするDNAの塩基配列を公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法等により確認する。
目的とするそれぞれの抗体のV領域をコードするDNAを得たのち、これを、所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAを含有する発現ベクターへ組み込む。
さらに、抗GITR抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込み、この発現ベクターにより、宿主細胞を形質転換し、抗GITR抗体を発現させて産生してもよい。
このとき、抗GITR抗体遺伝子の発現は、抗体重鎖(H鎖)又は軽鎖(L鎖)をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主細胞を同時形質転換させてもよいし、或いはH鎖及びL鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで宿主細胞を形質転換させてもよい(WO 94/11523号公報参照)。
また、上記宿主細胞以外に、トランスジェニック動物を使用することができる。例えば、抗体遺伝子を、乳汁中に固有に産生される蛋白質(ヤギβカゼイン等)をコードする遺伝子の途中に挿入して融合遺伝子として調製する。
抗GITR抗体を発現する遺伝子が挿入された融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ又はその子孫が産生する乳汁から抗GITR抗体を得る。また、トランスジェニックヤギから産生される抗GITR抗体を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい(Ebert,K.M.et al.,Bio/Technology(1994)12,699−702)。
本発明で使用される抗GITR抗体の製造のための宿主細胞は、任意の発現系、例えば真核細胞又は原核細胞系を使用することができる。真核細胞としては、例えば樹立されたホ乳類細胞系、昆虫細胞系、真糸状菌細胞及び酵母細胞等の動物細胞等が挙げられ、原核細胞としては、例えば大腸菌細胞等の細菌細胞が挙げられる。
好ましくは、ホ乳類細胞、例えばCHO、COS、ミエローマ、BHK、Vero、HeLa細胞が挙げられる。
次に、形質転換された宿主細胞をin vitro又はin vivoで培養して目的とする抗GITR抗体を産生させる。宿主細胞の培養は公知の方法に従い行う。例えば、培養液として、DMEM、MEM、RPMI1640、IMDMを使用することができ、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
(v)産生された抗GITR抗体の分離、精製
上記の産生された抗GITR抗体を、通常の蛋白質の分離、精製法により、細胞や宿主動物から分離、精製する。
蛋白質の分離、精製法として、例えば、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー(GPC)、限外濾過膜、塩析、透析等の適宜選択、組み合わせが挙げられる(Antibodies A Laboratory Manual.Ed Harlow,David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)。このとき、抗GITR抗体の検出は、抗原エライザ法、UV検出等を用いることができる。
抗GITR抗体を特異的に分離、精製することができるアフィニティーカラムクロマトグラフィーが好ましく、アフィニティーカラムクロマトグラフィーとして、例えば、プロテインAカラムとして、Hyper D、POROS、Sepharose F.F.(Pharmacia製)等が挙げられる。
(2)所望の抗原に対する抗体の作製
本発明において、GITRアゴニストの投与等により免疫動物の免疫寛容を抑制し、所望の抗原を当該免疫動物に投与する。
なお、所望の抗原を免疫動物に投与し、GITRアゴニストの投与等により免疫動物の免疫寛容を抑制して、当該抗原に対する抗体を作製してもよい。
このことによって、免疫寛容を抑制した免疫動物が所望の抗原に感作されて、所望の抗原に対する抗体を作製することができる。
なお、GITRアゴニスト投与との抗原を投与することが好ましく、それぞれを順次交互に繰り返し投与する操作がより好ましく、それぞれインターバルをおいて投与する操作がさらに好ましい。
また、繰り返し投与する操作の回数、インターバル(投与間隔)及び全投与期間は、例えば、マウスやラットでは、繰り返し投与する操作の回数は2回以上が好ましく、3回〜8回がより好ましく、このときの投与間隔は、3日以上間隔が好ましく、5日〜9日間隔がより好ましく、全投与期間は、3週間以上が好ましく、5週間以上がより好ましく、7週間〜11週間がさらに好ましい。
本発明における所望の抗原は、いかなるペプチド又は蛋白質でもよい。好ましくは、免疫動物で免疫寛容が成立するペプチド又は蛋白質であり、免疫動物の体内、特に血球系・血管系に存在(由来)するペプチド又は蛋白質と高い相同性を有する抗原であることがより好ましい。免疫動物に存在するペプチド又は蛋白質のアミノ酸配列と高い相同性を有する抗原は免疫寛容が成立しているため当該抗原を投与しても抗体が産生されにくいためである。例えばケモカイン受容体等のGPCR等が挙げられる。さらにGPCRとして、Edg1抗原が挙げられる。
ここで、本発明において高い相同性とは、通常アミノ酸配列において70%以上の相同性、好ましくは90%以上の相同性、さらに95%以上の相同性である。この相同性の決定は、Wilbur,W.J.及びLipman D.J.が記載したアルゴリズムによる(Wilbur,W.J.and Lipman,D.J.Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1983)80,726−730)。
本発明における血球系・血管系において存在の多いペプチド又は蛋白質とは、次のようなものを意味する。血球系についてはB細胞又はマクロファージ、樹状細胞等に発現されているペプチド又は蛋白質が挙げられ、血管系については内皮細胞等に発現されているペプチド又は蛋白質が挙げられる。具体的には、ケモカイン受容体等のGPCR並びに細胞接着因子が挙げられる。
所望の抗原の調製及び当該抗原に対する抗体の作製方法は、前記(1)GITRアゴニストの作製方法に記載の「GITR蛋白質」を「所望の蛋白質(所望の抗原ともいう)」、「抗GITR抗体」を「当該抗原に対する抗体」に置き換えた方法に準じて行うことができる。
また、前記抗原に対する抗体を産生する感作動物の脾臓等の免疫細胞を用いて作製したハイブリドーマで抗原に対する抗体を産生させ、上述のモノクローナル抗体産生方法により抗原に対するモノクローナル抗体を作製してもよい。
なお、所望の抗原を免疫寛容が破られた(又は阻害された)免疫動物に投与して得られた所望の抗原に対する抗体を分離、精製するには、上記のアフィニティーカラムクロマトグラフィー等を用いて行うことができる。
以上のことにより、生体で免疫寛容が成立しやすい既知又は新規のペプチドや蛋白質の抗原に対する抗体を効率よく作製することができる。また、既知又は新規のペプチドや蛋白質の作用・生体内分布及び蛋白質相互作用を解明するツールを効率良く提供するばかりでなく、新規治療薬の開発も可能にすることができる。
以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
[Edg1の抗原の調製:(1)Edg1−Flag発現バキュロウイルス(BV)の作製]
ヒトEdg1遺伝子を発現するBVは、pBlueBac−TOPO cloning kit(Invitrogen社製)を用いてC末端にFlagタグが挿入されるようにデザインした。
具体的にはプライマーpEdg1−F(配列番号1)とプライマーC−FLAG(配列番号2)を用いてpBlueBac−His−Edg1を鋳型に用いてPCRで増幅したヒトEdg1遺伝子(GenBank番号NM_001400)をクローニングして、pBlueBac expression kitのマニュアルに従って組換えBVを作製した。
<実施例2>
[Edg1の抗原の調製:(2)精製Edg1Flagの調製]
精製Edg1抗原は、Edg1Flag発現BV感染細胞の膜画分を調製し、さらにアフィニティーカラムクロマトにて精製して免疫用の感作抗原とした。
具体的には、Edg1Flag発現BVを感染モイ5にて2x10cells/mLの細胞密度のSf9細胞に感染させて27℃にて3日間培養したものを1500rpmの低速遠心により細胞と培養上清を分離した。細胞は一度PBSで洗浄した後、必要時まで−80℃のフリーザーにて凍結保存した。
2Lから3Lの感染細胞に相当する細胞の沈殿を材料にして膜画分の調製を行った。膜画分は500mLの培養あたり10mLのsonication buffer(20mM Tris−HCl(pH7.4)/10mM MgCl/1mM EDTA,0.25M sucrose/2mM DTT,protease inhibitor Complete Mini,EDTA−free))を加えてBranson社製の超音波破砕装置にて細胞を破砕した。10,000xG、30分の遠心操作の後の上清を100,000xGで一時間遠心して得られた沈殿をTris/(NHSO/Glycerol buffer(20mM Tris−HCl(pH7.4)/100mM(NHSO/10% Glycerol)にComplete Mini protease inhibitor・EDTA−free(ロシュダイアグノスティックス社製)に懸濁し、18ゲージ、25ゲージの注射針の順で数回通すことで均一な懸濁液を作製した。
DC protein assay(BioRad社製)にてBSAをスタンダードにして蛋白定量を行い、蛋白濃度が20mg/mLとなるようにTris/(NHSO/Glycerol bufferで希釈し、2% Cymal−6/CHAPSO(1:3 w/w) in Tris/(NHSO/Glycerol bufferを等量加えて4℃にて一晩回転させながら撹拌した。100,000xGにて一時間遠心した上清を回収してこれにanti−FLAG M2 agarose affinity gel(Sigma A−2220)を加えてさらに一晩回転させながら撹拌した。これをBioRadエコノカラムに詰めた後にwash buffer(0.5% Cymal−6/CHAPSO,20mM Tris−HCl(pH7.4)/100mM(NHSO/10% GlycerolにComplete Mini protease inhibitor・EDTA−freeを加えたもので洗浄した後、100μg/mL FLAG peptide(Sigma F−3290)/0.5% Cymal−6/CHAPSO,20mM Tris−HCl(pH7.4)/100mM(NHSO/10% GlycerolにComplete Mini protease inhibitor・EDTA−freeを加えたもので0.5mLづつ溶出した。12% SDS−PAGEゲルにて分離し、anti−FLAG抗体を用いたWBによってEDG1Flagの含有量が多い分画をPBS/0.5% octylglucosideに対して透析し、所望の抗原として免疫に供した。
<実施例3>
[Edg1の抗原の調製:(3)Edg1FlagのBVの調製]
BVの調製は、以下のようにして行った。
感染MOI(multiplicity of infection)5でEdg1FlagBVを感染したSf9細胞は感染3日目に回収し、1500rpmで15分遠心操作を行い、培養上清を得た。さらに得られた培養上清を30,000xGで2時間Beckman HP−25にて遠心操作を行い、BVを沈殿として回収した。PBSを加えて4℃で一晩静置して均一に懸濁された状態になったら1500xGで15分間遠心操作を行い、細胞の残渣を沈殿として除き、上清部分をさらに45,000xGで30分間遠心操作を行ってPBS/1mM EDTAに溶かして免疫用のBV標品とした。BSAをスタンダードとしてDC protein assay kit(Bio Rad社製)により蛋白定量を行い、免疫に用いる抗原量を計算した。
<実施例4>
[抗Edg1モノクローナル抗体の作製:(1)免疫:マウス免疫A群]
gp64トランスジェニックマウスを用いてマウスの免疫を行った。
マウス免疫A群(3匹数)は、抗原免疫と抗GITR抗体の投与とを1週間間隔で交互に実施する方法で行った。このときの全投与期間は、9週間で、繰り返し回数は5回であった。一定間隔ごとに下記の実施例6の抗血清の評価を行った。
初回免疫(7週齢、平均体重50g)は、FCA(フロイント・コンプリート・アジュバント)と100ngの百日咳毒素とともに精製Edg1Flag抗原(抗原)100μLを腹腔に投与して免疫した。抗GITR抗体投与の際には100μgを尾静脈より投与した。また感作抗原の免疫は、二回目以降は皮下にEdg1Flag BVを0.25mg、腹腔に精製Edg1Flag抗原50μLをFICA(フロイント・インコンプリート・アジュバント)50μLと共に免疫した。最終免疫は、Edg1Flag BV 0.125mgを皮下より免疫し、精製Edg1Flag抗原25μLを腹腔に免疫した。
<実施例5>
[抗Edg1モノクローナル抗体の作製:(1)免疫:マウス免疫B群]
実施例5は、実施例4と同様の手順で、マウス免疫B群(3匹)に感作抗原免疫と抗GITR抗体投与を毎週実施し、感作抗原は抗GITR抗体投与から3日後に免疫する方法でマウスの免疫を行った。このときの全投与期間は5週間で、繰り返し回数は5回であった。5回免疫後の6週間後に6回目の免疫を行い最終免疫とした。
<比較例1>
抗GITR抗体を投与せず、実施例4と同様の手順で、マウス免疫コントロール群(3匹)に感作抗原免疫と抗GITR抗体の投与なしの通常の免疫方法でマウス免疫を行った。このときの全投与期間は、初回から5回免疫までに5週間、その6週間後に最終免疫し、投与回数は合計6回であった。
<実施例6>
[抗Edg1モノクローナル抗体の作製:(2)抗血清の評価]
マウス免疫A群(実施例4)、マウス免疫B群(実施例5)、マウス免疫コントロール群(比較例1)の免疫マウスの抗血清の評価は、精製Edg1Flag抗原を用いたウエスタンブロットとEdg1/CHO細胞とvector/CHO細胞を用いたFACS、精製Edg1Flag抗原でのELISAで行った。Edg1/CHO細胞はマウスのEdg1遺伝子のN末端にFlagタグがC末端にHAタグが付加された遺伝子を発現する細胞である(文献 TAKAYUKI KOHNO et al.The FASEB Journal.2002;16:983−992)。FACSPBS/1mM EDTA処理することで培養ディッシュから剥離させた細胞をFACS buffer(1%BSA/PBS/0.1% NaN3)に懸濁して細胞が50μL中に100,000個ずつ入るように96well plate(Falcon353910)に分注し、そこにマウス免疫各群のマウス抗血清を1μL加えて反応をみた。4℃で一時間反応させた後に、1500rpmで5分間遠心操作を行い、細胞を沈殿させた後に上清を除き、200μL FACS bufferを加えて懸濁後に1500rpmで5分間遠心して細胞を洗浄した。再び上清を除いた後に100倍にFACS bufferで希釈したFITC AffiniPure F(ab’)2 Frag Goat Anti−Mouse IgG,F(ab’)2 specific(Jackson Immuno Research社)を4℃で30分間反応させた。
上記と同様にして洗浄操作を行った後に100μL FACS bufferに懸濁してFACSCalibur HTS(Beckton Dickinson社)を用いてFACS解析を行った。ウエスタンブロット(WB)解析では、12% SDS−PAGEゲルを用いて分離した精製Edg1Flag抗原と100倍、1000倍に希釈した抗血清と反応させてバンドの検出を行った。
<実施例7>
[抗Edg1モノクローナル抗体の作製:(3)ハイブリドーマの作製]
マウスの脾臓を摘出し、ミエローマ細胞との細胞融合を実施した。マウス免疫A群のマウスNo.3075及びNo.3083の脾臓細胞と、マウスミエローマ細胞NS−1とを、ケーラーとミルステインの方法(Koheler.G and Milstein.C.;Methods Enzymol.,1981,73,3−46)を用いて細胞融合させた。すなわち、前記脾臓細胞とNS−1を細胞数10:1の割合で混合し、400xG10で分間遠心した後、培養上清を除去し、細胞ペレットに50%(w/v)ポリエチレングリコール(PEG)1500(ロッシュダイアグノスティクス社)(PEG)を添加してよく混合することによって、融合細胞を形成させた。続いて、15% FBS(Sigma社)添加RPMI1640(Sigma社)10mLを逐次加える事によって融合反応をストップさせ、400xGで10分間遠心してPEGを含む培養上清を除去した。ハイブリドーマを含むペレットに、前記の培養液を逐次加えて細胞を縣濁し、0.5x10cells/mLとなるよう調製し、96穴培養プレートに100μLずつまき込んだ。ハイブリドーマはHAT培養液(ICN社)で選択培養を行い、細胞融合後8日目には、融合細胞以外の細胞は死滅し、融合細胞が複数の良好なコロニーを形成していることが確認された。この8日目の培養上清をサンプリングし、スクリーニングを実施した。
ハイブリドーマを含むペレットに、前記の培養液を逐次加えて細胞を縣濁し、0.5x10cells/mLとなるよう調製し、96穴培養プレートに100μLずつまき込んだ。ハイブリドーマはHAT培養液(ICN社)で選択培養を行い、細胞融合後8日目には、融合細胞以外の細胞は死滅し、融合細胞が複数の良好なコロニーを形成していることが確認された。この8日目の培養上清をサンプリングし、スクリーニングを実施した。
<比較例2>
マウス免疫A群の脾臓に代えて比較例1のマウス免疫コントロール群のNO.3083を実施例7と同様の手順で、ミエローマ細胞との細胞融合を実施した。
<実施例8>
[抗Edg1モノクローナル抗体の作製:(4)スクリーニング]
ハイブリドーマのスクリーニングはBV−ELISA、FACS、精製抗原のELISA,FMATにより進めた。BV−ELISAは前述の調製法に調製したBVを4μg/wellで96well plateにコーティングしてハイブリドーマの上清10μLと振とうして1時間反応させ、30,000倍に希釈したHRP rabbit anti−mouse IgG(H+L)(Jackson ImmunoResearch社)反応させてTMB(Sigma社)を基質にして吸光度A450を測定した。
精製Edg1Flagとの反応性とコントロールにおいたGPCRFlagの反応性を比較し、A450の測定値の比が1.5以上のものと測定値の差の大きい上位10個を二次スクリーニングに進めた。
さらに、精製Edg1Flag抗原を用いたWB解析で反応性を示し、Edg1発現CHO細胞(Edg1/CHO)とコントロールのCHO細胞(vector/CHO)を用いてFACS解析でmedian値の比が2以上を示したB6011,B6012を限界希釈法によりクローニングを行った(表1)。
限界希釈法によりモノクローン化したハイブリドーマの培養上清を使って、WB解析とFMAT解析で反応性の判定を行った。
WB解析では、精製Edg1Flag抗原を2% SDS−ポリアクリルアミドゲルを用いて分離後、10倍希釈したハイブリドーマの上清と反応させた(図1)。
FMAT解析では、His−Edg1,His−Edg3発現BVを感染させたSf9細胞を用いて8200CDS(ABI社)で解析を行った(表2)。
実施例1〜8及び比較例1〜2の結果を図1、図2、表1及び2に示す。
マウス免疫A群のマウスにおいてEdg1Flag抗原に相当する大きさのバンドを染色できることを明らかにした。すなわち、抗Edg1Flag抗体を得ることができた。
図2が示すように両者は94%といった高い相同性を示すGPCRである。このことから、相同性が高く免疫寛容が成立しやすい抗原(比較例1のようなEdg1抗原)であっても、当該免疫マウス(gp64トランスジェニックマウス)に一定間隔をおいて交互にGITRアゴニスト及び当該抗原を投与して当該抗原に対する抗体(抗Edg1抗体)を得ることができることを明らかにした。
また、表2に示すレーン番号19,37,40,46は、His−Edg1に反応し、His−Edg3に反応しない、クローンB6011A,B6011B,B6011C,B6012Aを得た。
このことから、マウス免疫A群のマウスNo.3075及びNo.3083の脾臓細胞を用いて、Edg1抗原に対する抗体をモノクローナルに産生するハイブリドーマを得ることができた。
以上のことより、感作動物に抗GITR抗体(GITRアゴニスト)を投与して免疫寛容を阻害し、通常であれば免疫寛容が成立しやすいために抗体が産生されにくいEgd1抗原を当該感作動物に投与することによって、抗Edg1抗体を作製することができることを明らかにした。また、当該感作動物の細胞からハイブリドーマを形成でき、モノクローナルな抗Edg1抗体を効率よく産生することができることを明らかにした。

Claims (7)

  1. GITRアゴニスト活性を有する抗GITR抗体を免疫動物に投与して当該免疫動物生体内の免疫寛容を抑制し、当該免疫動物に当該免疫動物で免疫寛容が成立しやすいペプチド又は蛋白質からなる抗原を投与する当該抗原に対する抗体の作製方法であって、当該GITRアゴニスト活性を有する抗GITR抗体を投与し次いで当該抗原を投与する操作を一定間隔で繰り返し2回以上行うことを特徴とする当該抗原に対する抗体の作製方法
  2. 前記GITRアゴニスト活性を有する抗GITR抗体を投与し次いで前記抗原を投与する操作を、5〜9日間隔で3〜8回繰り返し行う請求項1記載の抗体の作製方法。
  3. 前記免疫動物に前記抗原を投与後、前記免疫動物の免疫細胞を用いて作製したハイブリドーマで当該感作抗原に対する抗体を産生する、請求項1又は2に記載の抗体の作製方法。
  4. 前記抗原が、前記免疫動物に存在するペプチド又は蛋白質と高い相同性を有するものである、請求項1〜のいずれか一項に記載の抗体の作製方法。
  5. 前記抗原が、血球系・血管系において多く存在するペプチド又は蛋白質である、請求項1〜のいずれか一項に記載の抗体の作製方法。
  6. 前記ペプチド又は蛋白質が、細胞接着因子、GPCR又はそれらの断片である、請求項に記載の抗体の作製方法。
  7. 前記GPCRがケモカイン受容体である、請求項に記載の抗体の作製方法。
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