JP3609026B2 - 抗hm1.24抗体の免疫化学的測定方法 - Google Patents
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Description
本発明は、抗HM1.24抗体の免疫化学的測定方法に関する。また本発明は可溶性HM1.24抗原タンパク質の免疫化学的測定方法に関する。さらに本発明は、可溶性HM1.24抗原タンパク質及びそれをコードするDNAに関する。
背景技術
Goto,Tらはヒト形質細胞を免疫して得られた、B細胞系列に特異的に発現する分子量が22〜39kDaの抗原を認識するマウスモノクローナル抗体1.24抗体を報告している(Blood(1994)84,1922-1930)。このマウス抗HM1.24抗体はヒト形質細胞を移植したマウスにおいてin vivo抗腫瘍効果ならびに、ヒト形質細胞に対するADCC(antibody-dependent cellular cytotoxicity)活性によるin vitro抗腫瘍効果を示す(Ozaki,S et al.,Blood,(1997)90,3179-3189)。
また、このマウス抗HM1.24抗体のキメラ抗体および再構成ヒト抗体が作製されている(小野浩一郎ら第20回日本分子生物学会年会(1997)抄録集一般演題3-501-P-478)。
一方、これらマウスHM1.24抗体、キメラ抗体、再構成ヒト抗体の活性測定はヒト形質細胞株RPMI8226を用いたcell-BLISA(Goto,Tら、Blood(1994)84,1922-1930)によって行われており、より精度の高い測定方法が求められていた。
発明の開示
抗HM1.24とその抗原である細胞膜上に発現しているHM1.24抗原タンパク質については上述のようにすでに報告されている。しかしながら、可溶性HM1.24抗原タンパク質や低濃度の可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を検出又は測定する方法は知られていなかった。
したがって、本発明は低濃度の可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を検出又は測定する簡便な方法を提供する。
すなわち、本発明は、(1)可溶性HM1.24抗原タンパク質と被験試料中に含まれる抗HM1.24抗体とを反応させて、可溶性HM1.24抗原タンパク質に結合した抗HM1.24抗体を検出又は測定する工程を含む、抗HM1.24抗体の免疫化学的測定方法を提供する。可溶性HM1.24抗原タンパク質は、好ましくは他のペプチド又はポリペプチドと融合している。可溶性HM1.24抗原タンパク質は、好ましくは支持体と結合している。
支持体は、好ましくはビーズ又はプレートである。可溶性HM1.24抗原タンパク質は、好ましくは可溶性HM1.24抗原タンパク質又は可溶性HM1.24抗原タンパク質と融合した他のペプチド又はポリペプチドに対する抗体により支持体と結合している。
本発明はまた、(2)可溶性HM1.24抗原タンパク質に結合した抗HM1.24抗体を、抗HM1.24抗体に対する一次抗体により検出又は測定することを特徴とする前記(1)に記載の免疫化学的測定方法を提供する。
本発明はまた、(3)可溶性HM1.24抗原タンパク質に結合した抗HM1.24抗体を、抗HM1.24抗体に対する一次抗体及び一次抗体に対する二次抗体により検出又は測定することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の免疫化学的測定方法を提供する。前記(1)又は(2)において、一次抗体又は二次抗体は、好ましくは放射線同位元素、酵素、ビオチン/アビジン又は蛍光物質により標識されている。
本発明はまた、(4)抗HM1.24抗体と被験試料中に含まれる可溶性HM1.24抗原タンパク質とを反応させて、抗HM1.24抗体に結合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を検出又は測定する工程を含む、可溶性HM1.24抗原タンパク質の免疫化学的測定方法を提供する。可溶性HM1.24抗原タンパク質は、好ましくは他のペプチド又はポリペプチドと融合している。HM1.24抗体は、好ましくは支持体と結合している。
支持体は、好ましくはビーズ又はプレートである。抗HM1.24抗体は、好ましくは抗HM1.24抗体に対する抗体により支持体と結合している。
本発明はまた、(5)抗HM1.24抗体に結合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を、可溶性HM1.24抗原タンパク質に対する一次抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質と融合した他のペプチド又はポリペプチドに対する一次抗体により検出又は測定することを特徴とする前記(4)に記載の免疫化学的測定方法を提供する。
本発明はまた、(6)抗HM1.24抗体に結合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を、可溶性HM1.24抗原タンパク質に対する一次抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質と融合した他のペプチド又はポリペプチドに対する一次抗体及び一次抗体に対する二次抗体により検出又は測定することを特徴とする前記(4)又は(5)に記載の免疫化学的測定方法を提供する。前記(4)又は(5)において、一次抗体又は二次抗体は、好ましくは放射性同位元素、酵素、ビオチン/アビジン又は蛍光物質により標識されている。
本発明はまた、(7)配列番号:1に示されるアミノ酸配列を有する可溶性HM1.24抗原タンパク質を提供する。
本発明はまた、(8)前記(7)に記載の可溶性HM1.24抗原タンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質を提供する。可溶性HM1.24抗原タンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質の具体例は、配列番号:3及び4に記載されている。
本発明はさらに、(9)前記(7)又は(8)に記載の可溶性HM1.24抗原タンパク質又は可溶性HM1.24抗原タンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質をコードするDNAを提供する。HM1.24抗原タンパク質又は可溶性HM1.24抗原タンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質をコードするDNAは、配列番号:1に示される有する。他の具体例は、配列番号:3および4に示される塩基配列である。
【図面の簡単な説明】
図1は、HAタグを発現する遺伝子を挿入したベクターCGM/HAの塩基配列を解読した範囲を示した模式図である。
図2は、HAタグ付加可溶性抗原を用いたsandwich ELISA系を示す模式図である。
図3は、HAタグ付加可溶性抗原を一過性に発現させたCOS-7細胞の培養上清を用いたsandwich ELISA系におけるヒト型化抗HM1.24抗体の標準曲線を示すグラフである。
図4は、HAタグ付加可溶性抗原を安定産生させたCHO細胞による培養上清を用いたsandwich ELISA系におけるヒト型化抗HM1.24抗体の標準曲線を示すグラフである。
図5は、HAタグ付加可溶性抗原を用いたsandwich ELISA系にてキメラ型抗HM1.24抗体を投与したアカゲザルの血中抗体濃度の推移を測定した結果を示したグラフである。
図6は、HAタグ付加可溶性抗原を用いたsandwich ELISA系において、ヒト型化抗HM1.24抗体はキメラ型抗HM1.24抗体と同様にビオチン標識マウス抗HM1.24抗体のHAタグ付加可溶性抗原への結合を濃度依存的に阻害していることを示すグラフである。
図7は、HAタグ付加可溶性抗原を安定産生させたCHO細胞を用いたFCM解析において、マウス抗HM1.24抗体(左半分のパネル)、抗HA抗体(右半分のパネル)の蛍光強度が、コントロール抗体(波線で示した)に比べシフトしていることを示すグラフである。なお、#1はG418で選択したCHO細胞株、#Aは#1細胞を親株として5nMのMTXで選択したCHO細胞株である。
図8は、HAタグ付加可溶性抗原を安定産生させたCHO細胞による培養上清および細胞溶解物を還元状態にてSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後、マウスHM1.24抗体によるwestern blotを行い、HM1.24抗原を検出した結果を示す図面代用写真である。なお、#1はG418で選択したCHO細胞株、#A、#B、#Cは#1細胞を親株として5nMのMTXで選択したCHO細胞株であり、またKPMM2細胞溶解物はHM1.24抗原の陽性コントロールである。
図9は、HAタグ付加可溶性抗原を安定産生させたCHO細胞株#C株による培養上清および細胞溶解物を還元状態および非還元状態にてSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後、マウスHM1.24抗体によるwestern blotを行い、HM1.24抗原を検出した結果を示す図面代用写真である。なお、#C株は5nMのMTXで選択したCHO細胞株であり、またKPMM2細胞溶解物はHM1.24抗原の陽性コントロールである。
図10は、HAタグ付加C端削除可溶性HM1.24抗原発現ベクターCGM/HA-HM164の塩基配列を解読した範囲を示した模式図である。
図11は、HAタグ付加C端削除可溶型HM1.24抗原を発現させたCOS-7細胞による培養上清を用いたsandwich ELISA系におけるヒト型化抗HM1.24抗体の標準曲線を示すグラフである。
図12は、HAタグ付加C端削除可溶型HM1.24抗原を発現させたCHO細胞による培養上清を用いたsandwich ELISA系におけるヒト型化抗HM1.24抗体の標準曲線を示すグラフである。
図13は、HAタグ付加C端削除可溶性HM1.24抗原を産生させたCOS-7細胞もしくはCHO細胞(#2、#21、#28)による培養上清および細胞溶解物を還元状態にてSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った後、マウスHM1.24抗体によるwestern blotを行い、HM1.24抗原を検出した結果を示す図面代用写真である。なお、CHO/sHMはHAタグ付加可溶性HM1.24抗原を発現させたCHO細胞であり、その培養上清をHM1.24抗原の陽性コントロールとして用いている。
図14は、HM1.24抗原タンパク質をコードするcDNAの塩基配列及び対応するアミノ酸配列を示す図である。
図15は、HM1.24抗原タンパク質をコードするcDNAの塩基配列及び対応するアミノ酸配列を示す図である。
図16は、Phanning法を用いて単離したクローンP3.19及び免疫スクリーニング法により単離された5つのクローン(IS1〜IS5)の模式図である。
図17は、抗HM1.24抗体(A;CHO/NEO,B;CHO/HM)を用いたフローサイトメトリー解析の結果を示す図である。抗HM1.24抗体のヒストグラムは実線で、アイソタイプの一致したコントロール抗体(UPC10)のヒストグラムは波線で示す。なお、横軸は蛍光強度を、縦軸は細胞数を示す。
図18は、各種細胞株およびHM1.24発現CHO細胞におけるHM1.24抗原の発現を抗HM1.24抗体を用いた免疫沈降・ウエスタンブロッティング法により検出した結果を示す図面代用写真である。抗HM1.24抗体結合セファロース4B(レーン1〜6)または非結合セファロース4B(レーン7及び8)を用いて免疫沈降を行った後、抗HM1.24抗体を用いてウエスタン・ブロッティングを行い、HM1.24抗原の検出を行った(右側に表示)。(*;抗HM1.24抗体H鎖)
図19は、大腸菌により発現させたGST付加可溶性HM1.24抗原を用いたELISA系におけるヒト型化抗HM1.24抗体の標準曲線を示すグラフである。
発明の実施の形態
本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質としては、配列番号:1示すアミノ酸配列においてアミノ酸位置1位のAsnからアミノ酸位置132位のGlnからなるアミノ酸配列を有し、且つ可溶性HM1.24抗原タンパク質の生物学的活性を有するタンパク質であれば、いかなるものであってよい。可溶性HM1.24抗原タンパク質の生物学的活性とは、抗HM1.24抗体に特異的に結合され、細胞膜には結合しておらず細胞膜から遊離して可溶性であり、且つ二量体である。
また、本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質は、可溶性HM1.24抗原タンパク質の生物学的活性を有し、且つ配列番号:1に示すアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は付加により修飾されたアミノ酸配列を有する可溶性HM1.24抗原タンパク質であってよい。本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質は、より具体的には可溶性HM1.24抗原タンパク質の生物学的活性を有する限り、配列番号:1に示すアミノ酸配列において、1又は2個以上、好ましくは1又は24個以下、より好ましくは1又は12個以下のアミノ酸残基が置換したアミノ酸を有していてよい。
又は、配列番号:1に示すアミノ酸配列において、1又は2個以上、好ましくは1又は42個以下、より好ましくは1又は17個以下のアミノ酸残基が欠失したアミノ酸を有していてよい。又は、配列番号:1に示すアミノ酸配列において、1又は2個以上、好ましくは1又は50個以下、より好ましくは1又は14個以下のアミノ酸残基が付加したアミノ酸を有していてよい。本発明に使用される可溶性HM1.24抗原タンパク質はまた、上記アミノ酸の置換、欠失及び/又は付加による修飾が同時になされていてもよい。
可溶性HM1.24抗原タンパク質は、配列番号:1において1位のアミノ酸Asnから90位のアミノ酸Argまでのアミノ酸配列を有していればその生物学的活性を示すことが明らかになっている。したがって、本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質は、配列番号:1において1位のアミノ酸Asnから90位のアミノ酸Argまでのアミノ酸配列を有するか、あるいは1位のアミノ酸Asnから90位のアミノ酸Argまでのアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は付加により修飾されたアミノ酸配列を有する可溶性HM1.24抗原タンパク質であってよい。
可溶性HM1.24タンパク質は、その生物学的活性有する限り、配列番号:1において90位のアミノ酸Argから132位のアミノ酸Glnまでのアミノ酸配列を有するか、あるいはこのアミノ酸配列に対して1又は複数個のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は付加により修飾されたアミノ酸配列を有する可溶性HM1.24抗原タンパク質であってよい。
配列番号:1に示すアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は付加により修飾されたアミノ酸配列を有する可溶性HM1.24抗原タンパク質として、配列番号:3及び4に示されるアミノ酸配列を有する可溶性HM1.24抗原タンパク質が挙げられる。
あるアミノ酸配列に対する1又は複数個のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は付加により修飾されたアミノ酸配列を有するタンパク質がその生物学的活性を維持することはすでに知られている(Mark,D.F.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1984)81,5662-5666、Zoller,M.J.& Smith,M.Nucleic Acids Research(1982)10,6487-6500、Wang,A.et al.,Science 224,1431-1433、Dalbadie-McFarland,G.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1982)79,6409-6413)。
本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質は、由来する種、それらを産生する宿主及び/又は精製方法により、アミノ酸配列、分子量、等電点、糖鎖付加の有無や糖鎖付加の位置、糖鎖の構造、リン酸化状態及び/又はジスルフィド結合の有無が異なる。しかしながら、本発明に好適に使用し得る限り、いかなる構造を有するタンパク質であってよい。タンパク質が由来する種としてはヒトが好ましい。
本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質をコードするDNAとしては、配列番号:1に示す塩基配列の塩基位置1位の塩基アデニンから396位の塩基グアニンからなる塩基配列が挙げられる。また、本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質をコードするDNAとしては配列番号:1に示す塩基配列を有するDNAであれば、いかなる由来のDNAであってよい。このようなDNAとして、例えばジェノミックDNA、cDNA、合成DNAが挙げられる。これらは、種々の細胞、組織又は臓器あるいはヒト以外の種から得られたcDNAライブラリー、ジェノミックライブラリーから得られたDNAであってよいし、それらは市販のDNAライブラリーであってもよい。これらライブラリーに用いられるベクターとしては、プラスミド、バクテリオファージ、YACベクター等いかなるものであってよい。
本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質をコードするDNAとしてはまた、配列番号:1に示す塩基配列に対しハイブリダイズし、且つ可溶性HM1.24抗原タンパク質の生物学的活性を有するポリペプチドをコードするDNAであってもよい。可溶性HM1.24抗原タンパク質をコードするDNAがハイブリダイズする条件としては、適度なストリンジェンシー条件下においてハイブリダイズするDNAが挙げられる。
このようなハイブリダイズ条件としては、例えば低ストリンジェンシーな条件が挙げられる。低ストリンジェンシーな条件としては、例えば42℃、5×SSC、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、50%ホルムアミドにより与えられる洗浄条件である。より好ましくは、高ストリンジェンシーな条件が挙げられる。高ストリンジェンシーな条件としては、例えば60℃、0.1×SSC、0.1%ドデシル硫酸ナトリウムにより与えられる洗浄条件である。あるタンパク質をコードする塩基配列に対し、適度な条件でハイブリダイズするDNAがコードするタンパク質がそのタンパク質と同じ生物学的活性を有することはすでに知られている。
従って、本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質は、上記の「ハイブリダイズするDNA」によりコードされており、可溶性HM1.24抗原タンパク質の生物活性を有するタンパク質も包含する。
なお、細胞膜上に発現するヒトHM1.24抗原タンパク質のアミノ酸配列を配列番号:16に示す。配列番号:16のアミノ酸配列を有するヒトタンパク質をコードするDNAをpUCベクターのXbaI切断部位間に保持するプラスミドpRS38-pUC19を含有する大腸菌はEscherichia coli DH5α(pRS38-pUC19)と命名され、平成5(1993)年10月5日付けで工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号に寄託番号FERM BP-4434として、ブタペスト条約に基づき国際寄託されている。
本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質はまた、可溶性HM1.24抗原タンパク質の生物学的活性を有する限り他のペプチド又はポリペプチドと融合した上記タンパク質であってよい。これら融合タンパク質を作製する方法は、すでに公知の手法を用いることができる。タンパク質との融合に付される他のペプチド又はポリペプチドとしては、本発明に有効に使用される限りいかなるペプチド又はポリペプチドであってよい。例えば、ペプチドとしては、FLAG(Hopp,T.P.et al.,BioTechnology(1988)6,1204-1210)、6個のHis(ヒスチジン)残基からなる6×His、10×His、インフルエンザ凝集素(HA)、ヒトc-mycの断片、VSV-GPの断片、p18HIVの断片、T7-tag、HSV-tag、E-tag、SV40T抗原の断片、lck tag、a-tubulinの断片、B-tag、Protein Cの断片等、すでに公知であるペプチドが使用される。
また例えば、ポリペプチドとしては、GST(グルタチオン・S・トランスフェラーゼ)、HA、イムノグロブリン定常領域、b-ガラクトシダーゼ、MBP(マルトース結合蛋白質)等が挙げられる。これらは市販されているものを用いることができる。
本発明のタンパク質をコードするDNAは、以上に述べたDNAを市販のキットや公知の方法によって構築することができる。例えば、制限酵素による消化、リンカーの付加、開始コドン(ATG)及び/又は終始コドン(ATT、TGA又はTAG)の挿入等により構築することができる。
本発明のタンパク質の発現ベクターは、本発明に好適に使用される発現ベクターであればいかなる発現ベクターであってよい。発現ベクターとしては、哺乳動物由来の発現ベクター、例えばpEF、pCDM8、昆虫細胞由来の発現ベクター、例えばpBacPAK8、植物由来の発現ベクター、例えばpMH1、pMH2、動物ウィルス由来の発現ベクター、例えばpHSV、pMV、酵母由来の発現ベクター、例えばpNV11、枯草菌由来の発現ベクター、例えばpPL608、pKTH50、大腸菌由来の発現ベクター、例えばpGEX、pGEMEX、pMALp2が挙げられる。
本発明のタンパク質の発現ベクターには、例えば可溶性HM1.24抗原タンパク質をコードするDNAをプロモーターの下流に連結し、これを発現ベクターに導入することにより製造することができる。プロモーター/エンハンサーとしては、哺乳動物由来のプロモーター/エンハンサー、例えばEF1-αプロモーター/エンハンサー、γ−アクチンプロモーター/エンハンサー、昆虫ウィルス由来のプロモーター/エンハンサー、例えば多核体(ポリヘドリン)ウィルスプロモーター/エンハンサー、植物由来のプロモーター/エンハンサー、例えばタバコモザイクウィルスプロモーター/エンハンサー、動物ウィルス由来のプロモーター/エンハンサー、例えばSV40プロモーター/エンハンサー、ヒトCMVプロモーター/エンハンサー、酵母由来のプロモーター/エンハンサー、例えばアルコール脱水素酵素プロモーター/エンハンサー、大腸菌由来のプロモーター/エンハンサー、例えばLacプロモーター/エンハンサー、Trpプロモーター/エンハンサー、Tacプロモーター/エンハンサーが挙げられる。
本発明のタンパク質の発現には、発現に用いられる宿主に適したシグナル配列を付加して使用してもよい。シグナル配列としては、例えば分泌蛋白質のシグナル配列が挙げられる。分泌蛋白質のシグナル配列としては、例えば哺乳動物由来分泌蛋白質のシグナル配列、例えばイムノグロブリンのシグナル配列が挙げられる。また分泌蛋白質のシグナル配列としては、大腸菌由来分泌蛋白質のシグナル配列、例えばOmpA等のペリプラズム分泌シグナル配列が挙げられる。
このように作製した発現ベクターは、公知の方法により宿主に導入することができる。宿主への導入の方法としては、例えばエレクトロポレーション、リン酸カルシウム法、リポソーム法が挙げられる。
本発明に使用されるタンパク質は、上述のように遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換えタンパク質として得ることができる。例えば、組換えタンパク質は、本明細書に記載された遺伝子の塩基配列をそれらを発現する細胞、組織、又は臓器からクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させる。本発明には、この組換えタンパク質を用いることができる。
具体的には、本発明に使用されるタンパク質を発現する細胞、組織、又は臓器から、その遺伝子をコードするmRNAを単離する。mRNAの単離は、公知の方法、例えば、グアニジン超遠心法(Chirgwin,J.M.et al.,Biochemistry(1979)18,5294-5299)、AGPC法(Chomczynski,P.and Sacchi,N.,Anal.Biochem.(1987)162,156-159)等により全RNAを調製し、mRNA Purification Kit(Pharmacia)等を使用して全RNAからmRNAを精製する。また、QuickPrep mRNA Purification Kit(Pharmacia)を用いることによりmRNAを直接調製することもできる。
得られたmRNAから逆転写酵素を用いて遺伝子のcDNAを合成する。cDNAの合成は、AMV Reverse Transcriptase First-strand cDNA Synthesis Kit(生化学工業)等を用いて行うこともできる。また、cDNAの合成及び増幅を行うにはMarathon cDNA Amplification kit(CLONTECH製)及びポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)を用いた5′−RACE法(Frohman,M.A.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1988)85,8998-9002;Belyavsky,A.et al.,Nucleic Acids Res.(1989)17,2919-2932)を使用することができる。
得られたPCR産物から目的とするDNA断片を調製し、ベクターDNAと連結する。さらに、これより組換えベクターを作製し、大腸菌等に導入してコロニーを選択して所望の組換えベクターを調製する。目的とするDNAの塩基配列を公知の方法、例えば、ジデオキシヌクレオチドチェインターミネーション法により確認する。目的とするDNAが得られれば、これを発現ベクターへ組み込む。
より具体的には、前記のように構築したDNAは、下記のように発現させ、タンパク質を取得することができる。哺乳類細胞を使用する場合、常用される有用なプロモーター/エンハンサー、発現される遺伝子、その3'側下流にポリAシグナルを機能的に結合させたDNAあるいはそれを含むベクターにより発現させることができる。例えばプロモーター/エンハンサーとしては、ヒトサイトメガロウィルス前期プロモーター/エンハンサー(human cytomegalovirus immediate early promoter/enhancer)を挙げることができる。
また、その他にタンパク質発現に使用できるプロモーター/エンハンサーとして、レトロウィルス、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、シミアンウィルス40(SV 40)等のウィルスプロモーター/エンハンサーやヒトエロンゲーションファクター1α(HEF1α)の哺乳類細胞由来のプロモーター/エンハンサーを用いればよい。
例えば、SV 40プロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mulliganらの方法(Nature(1979)277,108)、また、HEF1αプロモーター/エンハンサーを使用する場合、Mizushimaらの方法(Nucleic Acids Res.(1990)18,5322)に従えば容易に実施することができる。
大腸菌の場合、常用される有用なプロモーター、タンパク質分泌のためのシグナル配列、発現させる遺伝子を機能的に結合させて発現させることができる。例えばプロモーターとしては、lacZプロモーター、araBプロモーターを挙げることができる。lacZプロモーターを使用する場合、Wardらの方法(Nature(1098)341,544-546;FASEB J.(1992)6,2422-2427)、araBプロモーターを使用する場合、Betterらの方法(Science(1988)240,1041-1043)に従えばよい。
タンパク質分泌のためのシグナル配列としては、大腸菌のペリプラズムに産生させる場合、pe1Bシグナル配列(Lei,S.P.et al J.Bacteriol.(1987)169,4379)を使用すればよい。
複製起源としてはSV 40、ポリオーマウィルス、アデノウィルス、ウシパピローマウィルス(BPV)等の由来のものを用いることができる。さらに、宿主細胞系で遺伝子コピー数増幅のため、発現ベクターは選択マーカーとして、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Ecogpt)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子等を含むことができる。
本発明において、タンパク質の製造のために、任意の産生系を使用することができる。タンパク質製造のための産生系は、in vitro及びin vivoの産生系がある。in vitroの産生系としては、真核細胞を使用する産生系や原核細胞を使用する産生系が挙げられる。
真核細胞を使用する場合、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を用いる産生系がある。動物細胞としては、(1)哺乳類細胞、例えばCHO(J.Exp.Med.(1995)108,945)、COS、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa、Vero、(2)両生類細胞、例えばアフリカツメガエル卵母細胞(Vall,et al.,Nature(1981)291,358-340)、あるいは(3)昆虫細胞、例えばsf9、sf21、Tn5が知られている。CHO細胞としては、特にDHFR遺伝子を欠損したCHO細胞であるdhfr-CHO(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)77,4216-4220)やCHO K-1(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1968)60,1275)を好適に使用することができる。
植物細胞としては、ニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum)由来の植物が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、糸状菌、例えばアスペルギウス属(Aspergillus)属、例えばアスペルギウス・ニガー(Aspergillus niger)が知られている。
原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E.coli)、枯草菌が知られている。
これらの細胞を目的とするDNAにより形質転換し、形質転換された細胞をin vitroで培養することによりタンパク質が得られる。培養は、公知の方法に従い行う。例えば、培養液として、DMEM、MEM、RPM11640、IMDMを使用することができる。その際、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできるし、無血清培養してもよい。培養時のpHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30〜40℃で約15〜200時間行い、必要に応じて培地の交換、通気、撹拌を加える。
一方、in vivoの産生系としては、動物を使用する産生系や植物を使用する産生系が挙げられる。これらの動物又は植物に目的とするDNAを導入し、動物又は植物の体内でタンパク質を産生させ、回収する。
動物を使用する場合、哺乳類動物、昆虫を用いる産生系がある。
哺乳類動物としては、ヤギ、ブタ、ヒツジ、マウス、ウシを用いることができる(Vicki Glaser,SPECTRUM Biotechnology Applications,1993)。また、哺乳類動物を用いる場合、トランスジェニック動物を用いることができる。
例えば、目的とするDNAをヤギβカゼインのような乳汁中に固有に産生される蛋白質をコードする遺伝子の途中に挿入して融合遺伝子として調製する。このDNAが挿入された融合遺伝子を含むDNA断片をヤギの胚へ注入し、この胚を雌のヤギへ導入する。胚を受容したヤギから生まれるトランスジェニックヤギ又はその子孫が産生する乳汁からタンパク質を得る。トランスジェニックヤギから産生されるタンパク質を含む乳汁量を増加させるために、適宜ホルモンをトランスジェニックヤギに使用してもよい(Ebert,K.M.et al.,Bio/Technology(1994)12,699-702)。
また、昆虫としては、例えばカイコを用いることができる。カイコを用いる場合、目的とするDNAを挿入したバキュロウィルスをカイコに感染させ、このカイコの体液より所望のタンパク質を得る(Susumu,M.et al.,Nature(1985)315,592-594)。
さらに植物を使用する場合、例えばタバコを用いることができる。タバコを用いる場合、目的とするDNAを植物発現用ベクター、例えばpMON 530に挿入し、このベクターをアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)のようなバクテリアに導入する。このバクテリアをタバコ、例えばニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum)に感染させ、本タバコの葉より所望のタンパク質を得る(Julian,K.-C.Ma et al.,Eur.J.Immunol.(1994)24,131-138)。
なお、宿主への発現ベクターの導入方法としては、公知の方法、例えばリン酸カルシウム法(Virology(1973)52,456-467)やエレクトロポレーション法(EMBO J.(1982)1,841-845)等が用いられる。また、発現に使用する宿主のコドン使用頻度を考慮して、より発現効率の高い配列を設計することができる(Grantham,R.et al.,Nucleic Acids Research(1981)9,r43-r74)。
これらの動物又は植物に上記のように遺伝子を導入し、動物又は植物の体内でタンパク質を産生させ、回収する。前記のように発現、産生されたタンパク質は、細胞内外、宿主から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用されるタンパク質の分離、精製は通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。
例えば、アフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動等を適宜選択、組み合わせれば、タンパク質を分離、精製することができる(新生化学実験講座1(1990)東京化学同人)。
クロマトグラフィーとしては、例えばアフィニティークロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual.Ed Daniel R.Marshak et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996)。これらのクロマトグラフィーはHPLC、FPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。
タンパク質は、公知の方法を用いて濃度を測定することができる。例えば、吸光度の測定又はBradford法を用いればよい。
本発明は、可溶性HM1.24抗原タンパク質と被験試料中に含まれる抗HM1.24抗体とを反応させて、可溶性HM1.24抗原タンパク質に結合した抗HM1.24抗体を検出又は測定する工程を含む、抗HM1.24抗体の免疫化学的測定方法;及び
抗HM1.24抗体と被験試料中に含まれる可溶性HM1.24抗原タンパク質とを反応させて、抗HM1.24抗体に結合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を検出又は測定する工程を含む、可溶性HM1.24抗原タンパク質の免疫化学的測定方法に関する。
本発明において提供される免疫化学的測定方法は、in vitroのアッセイ系として行われる。
in vitroのアッセイ系は、非細胞系において行われる。具体的には可溶性HM1.24抗原タンパク質を支持体に結合させ、このタンパク質に抗HM1.24抗体を含む被験試料を加え、インキュベートをした後洗浄して支持体に結合した可溶性HM1.24抗原タンパク質に対する抗HM1.24抗体の結合を検出又は測定すればよい。又は、具体的には抗HM1.24抗体を支持体に結合させ、このタンパク質に可溶性HM1.24抗原タンパク質を含む被験試料を加え、インキュベートをした後洗浄して支持体に結合した抗HM1.24抗体に対する可溶性HM1.24抗原タンパク質の結合を検出又は測定すればよい。
可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体は、それらを固有に発現する細胞、それらをコードするDNAを導入した細胞、それらをコードするDNAを導入した動物又は植物から産生されるタンパク質を、精製した状態であるいは粗精製の状態で使用することができる。
精製された又は粗精製された可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体のいずれか一方のタンパク質を支持体に結合させる。タンパク質を支持体に結合させる際に標準的な方法でタンパク質を支持体に固相化することができる。タンパク質を結合させる支持体としては、例えば不溶性の多糖類、例えばアガロース、デキストラン、セルロース、合成樹脂、例えばポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等が挙げられる。
より具体的にはそれらを原料として製造される市販のビーズ、プレートが用いられる。ビーズの場合、これらが充填されたカラム等を用いてもよい。プレートの場合、マルチウェルプレート(96穴マルチウェルプレート等)やバイオセンサーチップが挙げられる。
タンパク質と支持体との結合は、化学結合、物理的な吸着等、通常用いられる方法により結合すればよい。また、タンパク質を特異的に認識する抗体を上述の方法により予め支持体に結合せしめ、この抗体とタンパク質とを結合させることにより結合することもできる。さらに、アビジン/ビオチンを介して結合させることができる。
可溶性HM1.24抗原タンパク質と抗HM1.24抗体の結合は、通常緩衝液中で行われる。緩衝液としては、例えばリン酸緩衝液、Tris緩衝液等が使用される。また、インキュベートの条件としては、すでによく用いられている条件、例えば4℃〜室温にて1時間〜24時間のインキュベーションが行われる。インキュベート後の洗浄は、可溶性HM1.24抗原タンパク質と抗HM1.24抗体との結合を妨げないものであれば何でもよく、例えば界面活性剤を含む緩衝液が使用される。界面活性剤としては、例えば0.05%Tween20が使用される。
本発明において測定される可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を含む被験試料としては、ヒト体液(血液、血清、尿、関節液等)、細胞の培養上清、動物の分泌物(乳等)、医薬製剤等をあげることができる。
これらの被験試料に含まれる可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体に対する抗HM1.24抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質の結合を検出又は測定する際、適切な条件下でインキュベート及び洗浄することにより、特異的な結合と非特異的な結合を分離することができる。そして、可溶性HM1.24抗原タンパク質と抗HM1.24抗体との結合状態を評価すればよい。
本発明の免疫化学的測定方法において、被験試料をタンパク質に接触させる群と共にコントロール群を設置してもよい。コントロール群としては、被験試料を含まない陰性コントロール群又は精製された可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体の標品を含む陽性コントロール群あるいはその両群をおくことができる。
本発明の免疫化学的測定方法により、結合したタンパク質を検出することができる。又は結合したタンパク質を定量的に測定することもできる。これらの場合、被験試料を含まない陰性コントロール群で得られた結果、被験試料を含む群で得られた結果及び/又は精製された可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体の標品を含む陽性コントロール群で得られた結果を比較することにより、可溶性HM1.24抗原タンパク質と抗HM1.24抗体との結合を検出することができる。
また、それらの検出の結果を数値として得、それらの数値を比較することにより、被験試料に含まれる可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を定量的に測定することもできる。定量的に測定する場合、被験試料を含まない陰性コントロール群で得られた数値と可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を含む被験試料を適用した群で得られた数値を比較することにより、可溶性HM1.24抗原タンパク質と抗HM1.24抗体との結合量を定量することができる。被験試料中に可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体が含まれていれば、結合したタンパク質が存在することにより可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を検出又は測定することができる。
また、定量的に測定する場合、可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を既知量含む陽性コントロール群で得られた数値により作成された標準曲線を元に定量することができる。
本発明の免疫化学的測定方法において、被験試料中の可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を検出又は測定する手段として表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを使用することができる。表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーはタンパク質−タンパク質間の相互作用を微量のタンパク質を用いてかつ標識することなく、表面プラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムに観察することが可能である(例えばBIAcore;Pharmacia製)。したがって、BIAcore等のバイオセンサーを用いることにより可溶性HM1.24抗原タンパク質と抗HM1.24抗体との結合を検出又は測定することが可能である。
具体的には、可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を固定化したセンサーチップに、抗HM1.24抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質を含む被験試料を接触させ、可溶性HM1.24抗原タンパク質は抗HM1.24抗体に結合する抗HM1.24抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質を共鳴シグナルの変化として検出又は測定することができる。
より具体的には、以下のように行えばよい。初めにセンサーチップCM5(Biosensor社)を活性化して可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体をセンサーチップ上に固定化する。すなわち、EDC/NHS水溶液(200mM EDC(N-ethyl-N'-(3-dimethylaminopropyl)carbonate hydrochioride),50mM NHS(N-hydroxysuccinimide))によりセンサーチップを活性化した後、HBSバッファー(10mM HEPES pH7.4,150mM NaCl,3.4m MEDTA,0.05%Tween20)によりセンサーチップを洗浄する。
次にHBSバッファーに溶解した適量の抗HM1.24抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質を含む被験試料をセンサーチップに接触させ、固定化する。HBSバッファーによりセンサーチップを洗浄後、エタノールアミン溶液(1M ethanolamine hydrochloride,pH8.5)によりセンサーチップ上の残存活性基をブロックする。再びHBSバッファーによりセンサーチップを洗浄し結合評価に用いる。
次にHBSバッファーに溶解した適量の抗HM1.24抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質を含む被験試料を注入する。このときにセンサーチップに固定化された可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体に結合した被験試料中の抗HM1.24抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質の量は共鳴シグナル値の増加として観察される。
さらに、また被験試料を含む群と共に、コントロール群を設置してもよい。コントロール群としては、被験試料を含まない陰性コントロール群、既知量の可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を含む陽性コントロール群あるいはその両群をおくことができる。結合したタンパク質は共鳴シグナル値の変化量として定量的に測定することができる。この場合、被験試料を含まない陰性コントロール群で得られた結果、被験試料を含む群で得られた結果及び/又は既知量の可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を含む陽性コントロール群で得られた結果を比較することにより、被験試料中の目的とするタンパク質を検出又は測定することができる。
本発明の免疫化学的測定方法において、結合した被験試料中のタンパク質を検出又は測定する手段として、可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を特異的に認識する一次抗体を用いることができる。
例えば、可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体に被験試料を接触させ、洗浄して結合しているタンパク質をそのタンパク質を特異的に認識する一次抗体により検出又は測定する。すなわち、好ましくは支持体に結合させた一方のタンパク質にもう一方のタンパク質を含む被験試料とを接触させる。インキュベートした後、洗浄して、結合しているタンパク質をそのタンパク質を特異的に認識する一次抗体により検出又は測定すればよい。一次抗体は、好ましくは標識物質により標識されている。
可溶性HM1.24抗原タンパク質は、他のペプチド又はポリペプチドと融合していてもよい。したがって、被験試料中に含まれる可溶性HM1.24抗原タンパク質を検出するために抗HM1.24抗体を使用することができるし、可溶性HM1.24抗原タンパク質と融合した他のペプチド又はポリペプチドに対する抗体を使用することができる。また、被験試料中に含まれる抗HM1.24抗体を検出するために抗HM1.24抗体を特異的に認識する抗体を使用することができる。抗HM1.24抗体がマウス抗体である場合、抗HM1.24抗体を特異的に認識する抗体として抗マウスイムノグロブリン抗体を使用することができる。また、抗HM1.24抗体がキメラ抗体又はヒト型化抗体である場合、抗HM1.24抗体を特異的に認識する抗体として抗ヒトイムノグロブリン抗体を使用することができる。
タンパク質は、通常知られる方法により標識されることができる。標識物質としては、例えば放射性同位元素、酵素、蛍光物質、ビオチン/アビジン等が挙げられる。これらの標識物質は市販の標識物質を使用することができる。放射性同位元素しては、例えば32P、33P、131I、125I、3H、14C、35Sが挙げられる。酵素としては、例えばアルカリフォスファターゼ、ホースラディッシュパーオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ等が挙げられる。蛍光物質としては、例えばフロオロセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミンが挙げられる。これらは市販のものを入手することができ、公知の方法によって標識される。
具体的には、次のようにして行うことができる。すなわち、可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を含む溶液をプレートに加え、一夜放置してプレートに固定する。可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を同定する際、各々に対する抗体をあらかじめプレートに固定し、固定した抗体に可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を結合させてもよい。プレートを洗浄の後、タンパク質の非特異的な結合を防ぐため例えばBSAでブロッキングする。再び洗浄し、抗HM1.24抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質を含む被験試料をプレートに加える。同時に被験試料を含まない群(陰性コントロール)及び/又は既知濃度の抗HM1.24抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質を加えた群(陽性コントロール)を置き、これらをインキュベートする。
インキュベートの後、洗浄し被験試料に対する抗体を加える。適度なインキュベーションの後、プレートを洗浄しそのタンパク質を特異的に認識する一次抗体によりタンパク質を検出又は測定する。検出又は測定には、放射性同位元素の場合液体シンチレーションにより検出又は測定する。酵素の場合その基質を加え、基質の酵素的変化、例えば発色を吸光度計により検出又は測定する。蛍光物質の場合蛍光光度計より検出又は測定する。これらの結果を、コントロール群で得られた数値を比較すれば阻害物質を含む被験試料を決定することができる。
本発明の免疫化学的測定方法において、被験試料中の可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を検出又は測定する手段として、可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を特異的に認識する一次抗体及び一次抗体を特異的に認識する二次抗体を用いることができる。
例えば、前述の免疫化学的測定方法において、可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体に被験試料を接触させ、インキュベートした後、洗浄して結合しているタンパク質をそのタンパク質を特異的に認識する一次抗体及び一次抗体を特異的に認識する二次抗体により検出又は測定する。すなわち、具体的には可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を支持体に固定し、被験試料を接触させる。インキュベートした後、洗浄して、結合しているタンパク質をそのタンパク質を特異的に認識する一次抗体及び一次抗体を特異的に認識する二次抗体により検出又は測定すればよい。二次抗体は、好ましくは標識物質により標識されている。抗体は、通常知られる上述の方法により標識されることができる。
具体的には、次のようにして行うことができる。すなわち、可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を含む溶液をプレートに加え、一夜放置してプレートに固定する。プレートに固定する際、あらかじめ可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体に対する抗体をプレートに固定し、固定された抗体に可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を結合させてもよい。プレートを洗浄の後、タンパク質の非特異的な結合を防ぐため例えばBSAでブロッキングする。再び洗浄し、被験試料をプレートに加える。同時に被験試料を含まない群(陰性コントロール)及び及び/又は既知濃度の抗HM1.24抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質を加えた群(陽性コントロール)を置き、これらをインキュベートする。
インキュベートの後、洗浄し被験試料に含まれる抗HM1.24抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質に対する一次抗体を加える。適度なインキュベーションの後、プレートを洗浄し、次いで一次抗体を特異的に認識する二次抗体を加える。適度なインキュベーションの後、洗浄して、その被験試料中に含まれるタンパク質を特異的に認識する一次抗体を特異的に認識する二次抗体によりタンパク質を検出又は測定する。検出又は測定には、放射性同位元素の場合液体シンチレーションにより検出又は測定する。酵素の場合その基質を加え、基質の酵素的変化、例えば発色を吸光度計により検出又は測定する。蛍光物質の場合蛍光光度計により検出又は測定する。
これらの結果を、コントロール群で得られた数値を比較すれば阻害物質を含む被験試料を決定することができる。可溶性HM1.24抗原タンパク質は、他のペプチド又はポリペプチドと融合していてもよい。したがって、被験試料中に含まれる可溶性HM1.24抗原タンパク質を検出するための一時抗体として抗HM1.24抗体を使用することができるし、可溶性HM1.24抗原タンパク質と融合した他のペプチド又はポリペプチドに対する抗体を使用することもできる。また、被験試料中に含まれる抗HM1.24抗体を検出するために抗HM1.24抗体を特異的に認識する抗体を使用することができる。
抗HM1.24抗体がマウス抗体である場合、抗HM1.24抗体を特異的に認識する一次抗体として抗マウスイムノグロブリン抗体を使用することができる。また、抗HM1.24抗体がキメラ抗体又はヒト型化抗体である場合、抗HM1.24抗体を特異的に認識する一次抗体として抗ヒトイムノグロブリン抗体を使用することができる。また、二次抗体として、一次抗体を特異的に認識する抗体を適宜選択することができる。例えば、一次抗体がヒツジ抗体である場合、抗ヒツジイムノグロブリン抗体を使用することができる。また、一次抗体がウサギ抗体である場合、抗ウサギイムノグロブリン抗体を使用することができる。
より詳しくは、本発明は特に好ましくはELISA(Enzyme-linked Immunosorbent Assay)により次のようにして行うことができる。すなわち、可溶性HM1.24抗原タンパク質と融合されたHA(インフルエンザ凝集素)に対する抗体を固相化バッファー(0.1M NaHCO3、0.02% NaN3、pH9.6)により希釈する。96穴のイムノプレート(Nunc製)の各穴に希釈したこの水溶液を適量加え、4℃で一晩インキュベートして固相化する。
洗浄バッファー(PBSに0.05%Tween20となるよう調製したもの)で3回各穴を洗浄後、PBSに溶解した5%BSA(SIGMA製)溶液200μlを加え、室温で2時間ブロッキングする。
次に洗浄バッファーで3回各穴を洗浄し、希釈バッファー(1%BSA、0.5%Tween20、PBS)で希釈したHAと融合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を加え4℃で一晩インキュベートして抗HA抗体とHAと融合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を結合させる。洗浄バッファーで3回洗浄した後、ヒトIgG抗体定常領域(C領域)を有するキメラ抗HM1.24抗体を含む被験試料を一定量加え、室温で1時間インキュベートする。
洗浄バッファーで各穴を3回洗浄し、希釈バッファーで5000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(IBI製)を100μl各穴に加え、室温で1時間インキュベートする。洗浄バッファーで5回各穴を洗浄し、発色溶液(基質バッファー;50mM NaHCO3、10mM MgCl2、pH9.8に1mg/mlの濃度に溶解したSigma 104)を100μl各穴に加え、室温で反応させた後に405nmでの吸光度をマイクロプレートリーダー(Model3550、BIO-RAD製)を用いて測定する。これらの結果を陰性コントロール群及び/又は陽性コントロール群で得られた数値を比較することにより、キメラ抗HM1.24抗体を検出又は測定することができる。また、同様の方法により、可溶性HM1.24抗原タンパク質を検出又は測定することも可能である。
本発明のスクリーニング方法は、High Throughput Screening(HTS)にも使用することができる。具体的には、ブロッキングまでを手作業で行い、その後の反応はロボットによって行うことでオートメーション化し、High Throughput screeningを実現することができる。
すなわち、HAに対する抗体を固相化バッファー(0.1M NaHCO3、0.02%NaN3、pH9.6)により希釈する。96穴のイムノプレート(Nunc製)の各穴に希釈したこの水溶液を適量加え4℃で一晩インキュベートして固相化する。
洗浄バッファー(PBSに0.05%Tween20となるよう調製したもの)で3回各穴を洗浄後、PBSに溶解した5%BSA(SIGMA製)溶液200μlを加え、室温で2時間ブロッキングする。次に洗浄バッファーで3回各穴を洗浄し、希釈バッファー(1%BSA、0.5%Tween20、PBS)で希釈したHAと融合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を加え4℃で一晩インキュベートして抗HA抗体とHAと融合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を結合させる。
次いで、例えばBiomek2000 HTS system(Beckman製)にこのイムノプレートをセットして、キメラ抗HM1.24抗体を含む被験試料、キメラ抗HM1.24抗体に対する一次抗体及び一次抗体に対する二次抗体を添加するようにシステムのコントロールプログラムを実行する。
この際、分注機としてはBiomek2000分注機(Beckman製)あるいはMultipipette96穴同時分注器(Sagian製)を用いることでイムノプレート各穴への溶液の分注や溶液の除去を行うことができる。また、イムノプレートの各穴の洗浄にはEL404マイクロプレートウオッシャー(Bio Tek社)を用いることができる。また、吸光度の測定にはSPECTRAmax250プレートリーダー(Molecular Devices製)を用いることができる。
プログラムは以下の操作を行うよう設定する。すなわち洗浄バッファーで3回各穴を洗浄し、被験試料と希釈バッファー(1%BSA、0.5%Tween20、PBS)で希釈したキメラ抗HM1.24抗体を含む被験試料を一定量加える。同時に被験試料を含まない群(陰性コントロール)及び既知濃度のキメラ抗HM1.24抗体を加えた群(陽性コントロール)を置き、これらを室温で1時間インキュベートする。洗浄バッファーで各穴を3回洗浄し、希釈バッファーで5000倍に希釈したウサギ抗ヒトIgG抗血清(New England Biolabs製)を100μl各穴に加え、室温で1時間インキュベートする。洗浄バッファーで各穴を3回洗浄し、希釈バッファーで5000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ウサギIgG抗体(TAGO製)を100μl各穴に加え、室温で1時間インキュベートする。
洗浄バッファーで5回各穴を洗浄し、発色溶液(基質バッファー;50mM NaHCO3、10mM MgCl2、pH9.8に1mg/mlの濃度に溶解したp-ニトロフェニルフォスフェート(Sigma製))を100μl各穴に加え、室温で反応させた後に405nmでの吸光度をマイクロプレートリーダー、Biomekプレートリーダー(Beckman/Molecular Devices製)を用いて測定する。これらの結果をコントロール群で得られた数値と比較することにより、被験試料に含まれているキメラ抗HM1.24抗体を検出又は測定することができる。また、同様の方法により、可溶性HM1.24抗原タンパク質を検出又は測定することも可能である。
本発明により提供される免疫化学的測定方法は、可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を500pg/mlの濃度まで測定することが可能である。
本発明に使用される抗体は、市販の抗体や市販のキットに含まれる抗体を用いることもできるし、公知の手段を用いてモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体として得ることができる。
モノクローナル抗体は、所望の感作抗原を使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナル抗体産生細胞をスクリーニングすることによって作製できる。
具体的には、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を作製するには次のようにすればよい。
例えば、抗体取得の感作抗原は、その由来となる動物種に制限されないが、実際に本発明で使用するペプチド又はポリペプチドの由来となる哺乳動物、例えば、ヒト、マウス又はラット由来のものが好ましい。これらのうち、特にヒト由来の感作抗原が好ましい。例えば、ヒト可溶性HM1.24抗原タンパク質を感作抗原として使用する場合、それらの塩基配列及びアミノ酸配列は本明細書に開示される遺伝子配列を用いて得ることができる。また、可溶性HM1.24抗原タンパク質との融合に付される他のペプチドやポリペプチドを感作抗原として用いる場合、それらのペプチドやポリペプチドを化学的に合成するか、遺伝子工学的手法により得ることができる。
感作抗原として使用されるタンパク質、ペプチド又はポリペプチドは、その全長を使用してもよいし、またその断片も用いることができる。断片としては、例えばC末端断片やN末端断片が挙げられる。あるいは、感作抗原として使用されるタンパク質、ペプチド又はポリペプチドを発現する細胞を感作抗原として使用することもできる。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ歯目、ウサギ目、霊長目の動物が使用される。
げっ歯目の動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター等が使用される。ウサギ目の動物としては、例えば、ウサギが使用される。霊長目の動物としては、例えばサルが使用される。サルとしては、狭鼻下目のサル(旧世界ザル)、例えば、カニクイザル、アカゲザル、マントヒヒ、チンパンジー等が使用される。
感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。例えば、一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内又は、皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPB S(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものを所望により通常のアジュバント、例えば、フロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4〜21日毎に数回投与するのが好ましい。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することができる。このように免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを常法により確認する。
ここで、ポリクローナル抗体を得るには、血清中の所望の抗体レベルが上昇したことを確認した後、抗原を感作した哺乳動物の血液を取り出す。この血液から公知の方法により血清を分離する。ポリクローナル抗体としてポリクローナル抗体を含む血清を使用してもよいし、必要に応じこの血清からポリクローナル抗体を含む画分をさらに単離してもよい。
モノクローナル抗体を得るには、上記抗原を感作した哺乳動物の血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞を取り出し、細胞融合に付せばよい。この際、細胞融合に使用される好ましい免疫細胞として、特に脾細胞が挙げられる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞としての哺乳動物のミエローマ細胞としては、既に公知の種々の細胞株、例えば、P3(P3x63Ag8.653)(Kearney,J.F.et al.,J.Immunol.(1979)123,1548-1550)、P3x63Ag8.U1(Yelton,D.E.et al.,Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81,1-7)、NS−1(Kohler,G.and Milstein,C.,Eur.J.Immunol.(1976)6,511-519)、MPC−11(Margulies,D.H.et al.,Cell(1976)8,405-415)、SP2/0(Shulman,M.et al.,Nature(1978)276,269-270)、FO(de St.Groth,S.F.and Scheidegger.D.,J.Immunol,Methods(1980)35,1-21)、S194(Trowbridge,I.S.,J.Exp.Med.(1978)148,313-323)、R210(Galfre,G.et al.,Nature(1979)277,131-133)等が好適に使用される。
前記免疫細胞とミエローマ細胞の細胞融合は基本的には公知の方法、例えば、ミルステインらの方法(Galfre,G.and Milstein,C..Methods Enzymol.(1981)73,3-46)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は例えば、細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、センダイウィルス(HVJ)等が使用され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は、例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1〜10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養倍溶液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補助を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め、37℃程度に加温したPEG溶液、例えば、平均分子量1000〜6000程度のPEG溶液を通常、30〜60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とする融合細胞(ハイブリドーマ)が形成される。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去できる。
当該ハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。当該HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、通常数日〜数週間継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニング及びクローニングが行われる。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球、例えばEBウィルスに感染したヒトリンパ球をin vitroでペプチド又はポリペプチドやそれらの発現細胞又はその溶解物で感作し、感作リンパ球をヒト由来の永久分裂能を有するミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、ペプチド又はポリペプチドへの結合活性を有する所望のヒト抗体を産生するハイブリドーマを得ることもできる(特開昭63-17688)。
さらに、ヒト抗体遺伝子のレパートリーを有するトランスジェニック動物に抗原となるペプチド又はポリペプチド、それらの発現細胞又はその溶解物を免疫して抗体産生細胞を取得し、これをミエローマ細胞と融合させたハイブリドーマを用いて本発明に使用されるペプチド又はポリペプチドに対するヒト抗体を取得してもよい(国際特許出願公開番号WO92−03918、WO93−2227、WO94−02602、WO94−25585、WO96−33735及びWO96−34096参照)。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。
当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法にしたがい培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に移植して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
ハイブリドーマを用いて抗体を産生する以外に、抗体を産生する感作リンパ球等の免疫細胞を癌遺伝子(oncogene)により不死化させた細胞を用いてもよい。
このように得られたモノクローナル抗体はまた、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型抗体として得ることができる。例えば、組換え型抗体は、抗体遺伝子をハイブリドーマ又は抗体を産生する感作リンパ球等の免疫細胞からクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させる。本発明には、この組換え型抗体を用いることができる(例えば、Borrebaeck,C.A.K.and Larrick,J.W.,THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES,Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD,1990参照)。
本発明で使用される抗体は、所望の結合活性を有するかぎり、その抗体断片や抗体修飾物であってよい。例えば、抗体断片としては、Fab、F(ab′)2、Fv又はH鎖とL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)が挙げられる。具体的には、抗体を酵素、例えば、パパイン、ペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、又は、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co,M.S.et al.,J.Immunol.(1994)152,2968-2976;Better,M.and Horwitz,A.H.,Methods Enzymol.(1989)178,476-496;Pluckthun,A.and Skerra,A.,Methods Enzymol.(1989)178,497-515;Lamoyi,E.,Methods Enzymol.(1986)121,652-663;Rousseaux,J.et al.,Methods Enzymol.(1986)121,663-669;Bird,R.E.and Walker,B.W.,Trends Biotechnol.(1991)9,132-137参照)。本発明には、公知の技術により作製されるキメラ抗体又はヒト型化抗体を使用することができる。
また、本発明の免疫化学的測定方法により検出又は測定される抗体は、上述の抗体、例えばハイブリドーマに産生される抗体、組換え型抗体、キメラ抗体及びヒト型化抗体のいずれでもよい。
前記のように発現、産生された抗体は、細胞内外、宿主から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製は通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。
例えば、アフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、等電点電気泳動等を適宜選択、組み合わせれば、抗体を分離、精製することができる(Antibodies:A Laboratory Manual.Ed Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory,1988)。
アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、プロテインAカラム、プロテインGカラムが挙げられる。例えば、プロテインAカラムを用いたカラムとして、Hyper D,POROS,Sepharose F.F.(Pharmacia)等が挙げられる。
アフィニティークロマトグラフィー以外のクロマトグラフィーとしては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー等が挙げられる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual.Ed Daniel R.Marchak et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996)。これらのクロマトグラフィーはHPLC、FPLC等の液相クロマトグラフィーを用いて行うことができる。
上記で得られた抗体の濃度測定又は活性確認は、公知の方法、例えばELISA、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)あるいは蛍光抗体法を用いることができる。
抗HM1.24抗体を産生するハイブリドーマHM1.24は、工業技術院生命工学工業研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に、平成7(1995)年9月14日にFERM BP-5233としてブタペスト条約に基づき国際寄託された。
実施例
以下に実施例を示した本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例 1.FLAGタグ付加可溶性HM1.24抗原発現ベクターの構築
EcoRI(宝酒造製)およびNotI(宝酒造製)で消化することにより調製したHEF発現ベクター(国際特許出願公開番号WO92-19759)と、イムノグロブリン(Ig)リーダー配列とFLAGタグをコードする遺伝子ペア(サワディーテクノロジー製)を、50mM Tris-HCl,pH7.6、10mM MgCl2、10mMジチオスレイトール、1mMTP、50mg/mlのポリエチレングリコールおよび1ユニットT4 DNAリガーゼ(GIBCO-BRL製)を含有する反応混合物中で、16℃にて3時間反応させ連結した。
挿入したIgリーダー配列とFLAGタグをコードする遺伝子はEcoRI、KpnI(宝酒造製)およびNotI制限酵素認識部位をリンカーとして接続した配列番号12および13に示す合成遺伝子ペアを用いた。次に連結反応混合物を大腸菌DH5aのコンピテント細胞(GIBCO-BRL製)に加え、これを氷上で30分間、42℃にて1分間、そして再び氷上で1分間静置した。
次いで、400μlの2xYT培地(Molecular Clonig:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))を加え、37℃にて1時間インキュベーションした後、50μg/mlのアンピシリンを含有する2xYT寒天培地(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))上にこの大腸菌を播き、37℃にて一夜インキュベートして大腸菌形質転換体を得た。この大腸菌形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有する2xYT培地中で37℃にて一夜培養し、この培養物から、アルカリ法(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))に従ってプラスミドDNAを調製した。
一方、HM1.24抗原の細胞外領域の遺伝子はThermal Cycler(Perkin Elmer Cetus製)を用いたPCR法により増幅した。HM1.24抗原のcDNAを鋳型として、100pmoleの配列番号9〜10に示したプライマー、10mM Tris-HCl,pH8.3、50mM KCl、0.1mM dNTPs(dATP,dGTP,dCTP,dTTP)、1.5mM MgCl2および5ユニットのDNAポリメラーゼAmpli Taq(Perkin Elmer Cetus製)を含有する混合物を最初に94℃にて最初の変性の後、94℃にて1分間、55℃にて1分間、72℃にて1分間のサイクルを30回行い、最後に72℃にて10分間インキュベーションした。
このPCR産物をHM1.24抗原の細胞外領域の遺伝子として、KpnIおよびBamHI消化した上記プラスミドDNAと50mM Tris-HCl,pH7.6、10mM MgCl2、10mMジチオスレイトール、1mM ATP、50mg/mlのポリエチレングリコールおよび1ユニットT4 DNAリガーゼ(GIBCO-BRL製)を含有する反応混合物中で、16℃にて3時間反応させ連結した。上記同様に、連結反応混合物を大腸菌DH5aのコンピテント細胞に加え、大腸菌形質転換体を得、これよりプラスミドDNAを調製した。
このプラスミドDNAをFLAGタグ付加可溶性抗原発現プラスミドとし、pSFHM1.24と命名した。これの塩基配列決定を、自動DNAシークエンサー(Applied Biosystem Inc.製)およびTaq Dye terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystem Inc.製)を用いて、メーカー指定のプロトコールに従って行った。その結果、可溶性抗原にFLAGのタグペプチドをつないだ融合タンパク(配列番号2)が発現する構造になっていることが確認された。
実施例 2.HAタグ付加可溶性抗原発現プラスミドの構築
FLAGタグ付加可溶性HM1.24抗原発現ベクターを利用して、HAタグ付加可溶性発現プラスミドを構築した。
最初に、Cytomegalovirus(CMV)プロモーター/エンハンサー、ネオマイシン耐性遺伝子、Dehydrofolate reductase(DHFR)遺伝子ならびにleader配列を含むBluescript SK-ベクター(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))にヘマグルチニンのエピトープタグをコードする遺伝子を挿入した。
ヘマグルチニンのエピトープタグ(アミノ酸配列:YPYDVPDYA)をコードする遺伝子はDraIII、KpnI制限酵素認識部位をリンカーとして接続した合成DNAペア(サイメディア製)を用いた(配列番号14および15)。500pmolずつのヘマグルチニンのエピトープタグをコードする遺伝子ペアHA-S、HA-Rを、KpnIおよびDraIII(宝酒造製)で消化することにより調製した5μgのベクター(CGM)と、DNA ligation kit Ver.2(宝酒造製)I液5μlを含む反応混合溶液中で16℃にて1時間反応させ連結した。
次に、1μlの連結反応混合物を大腸菌JM109のコンピテント細胞(ニッポンジーン製)100μlに加え、これを氷上で30分間、42℃にて1分間、そして再び氷上で1分間静置した。次いで、400μlのSOC培地(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))を加え、37℃にて1時間インキュベートした後、50μg/mlのアンピシリンを含有する2xYT寒天培地(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))上にこの大腸菌を播き、37℃にて一夜インキュベートして大腸菌形質転換体を得た。
10mM Tris-HCl,pH8.3、50mM KCl,0.1mM dNTPs,100pmolずつの配列番号7〜8に示したプライマー、5unitのAmpli Taq酵素および上記形質転換体を鋳型として含む、20μlの混合液を94℃にて30秒間、55℃にて30秒間、72℃にて30秒間インキュベートのサイクルを25回行った。4%アゲロースゲル電気泳動によりこのPCR生成物が220bpである大腸菌形質転換体を選択した。この大腸菌形質転換体を100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))300ml中で37℃にて一夜培養し、そしてこの培養物から、アルカリ法(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))に従ってプラスミドDNAを調製した。こうして調製したヘマグルチニンのエピトープタグをコードする遺伝子を含有するプラスミドをCGM/HAと命名した。
一方、用いる可溶性HM1.24抗原遺伝子(sHM)は、pSFHM1.24より得た。5μgのpSFHM1.24をKpnIおよび、BamHIで消化した反応混合物から、1%アガロースゲル(SIGMA製)を用いて410bpの断片を精製することにより可溶性抗原を調製した。
次に、CGM/HAに、sHMを挿入した。CGM/HAをKpnIおよび、BamHI消化した後、50mM Tris-HCl,pH9.0,1mM MgCl2および2ユニットのアルカリホスファターゼ(E.coli C75)(宝酒造製)を含む反応混合物中で、65℃にて15分間反応させ、脱リン酸化を行った。この脱リン酸化CGM/HA100ngとsHMをDNA ligation kit Ver.2(宝酒造製)I液5μlを含む反応混合溶液中で16℃にて1時間反応させ連結した。
続いて、1μlの連結反応混合物を大腸菌JM109のコンピテント細胞(ニッポンジーン製)100μlに加え、これを氷上で30分間、42℃にて1分間、そして再び氷上で1分間静置した。次いで、400μlのSOC培地(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))を加え、37℃にて1時間インキュベートした後、50mg/mlのアンピシリンを含有する2xYT寒天培地(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))上にこの大腸菌を播き、37℃にて一夜インキュベートして大腸菌形質転換体を得た。
10mM Tris-HCl,pH8.3,50mM KCl,0.1mM dNTPs,100pmoleずつの配列番号7〜8に示した各プライマー、5unitのAmpli Taq酵素(Perkin Elmer Cetus製)および上記形質転換体を鋳型として含む、20μlの混合液を94℃にて30秒間、55℃にて30秒間、72℃にて30秒間インキュベートのサイクルを25回行った。1%アガロースゲル電気泳動によりこのPCR生成物が630bpである大腸菌形質転換体を選択した。
この大腸菌形質転換体を100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))600ml中で37℃にて一夜培養し、そしてこの培養物から、アルカリ法(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))に従ってプラスミドDNAを調製した。こうして調製したヘマグルチニンのエピトープタグをコードする遺伝子および可溶性HM1.24抗原をコードする遺伝子を含有するプラスミドをCGM/HA-sHMと命名し、HAタグ付加可溶性HM1.24抗原発現プラスミドとした。
実施例 3.塩基配列決定
ヘマグルチニンのエピトープタグをコードする遺伝子を含有するプラスミド(CGM/HA)の塩基配列決定を、自動DNAシークエンサー(Applied Biosystem Inc.製)およびTaq Dye terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystem Inc.製)を用いて、メーカー指定のプロトコールに従って行った。反応に用いたプライマーを配列番号7〜8、解読した塩基配列の範囲を図1、決定した塩基配列を配列番号5に示した。これにより理論上の配列と一致していることが確認された。
実施例 4.COS-7細胞へのトランスフェクション
HAタグ付加可溶性HM1.24抗原の一過性の発現を観察するため、前記発現ベクターをCOS-7細胞(ATCC #CRL-1651)において試験した。発現プラスミド(CGM/HA-sHM)をGene Pulser装置(Bio-Rad製)を用いてエレクトロポレーションによりCOS-7細胞を同時形質転換した。発現プラスミド(1μg)をPBS中1.1 x 107細胞/mlの0.8mlアリコートに加え、1.5kV、25μFの容量にてパルスを与えた。
室温にて10分間の回復期間の後、エレクトロポレーションされた細胞を、10mlの10%ウシ胎児血清(GIBCO-BRL製)を含有するDMEM培養液(GIBCO-BRL製)に懸濁し、37℃、5% CO2インキュベーターで培養した。6日間の培養の後、培養上清を集め、遠心分離により細胞破片を除去し、0.22μmフィルター(MILLIPORE製)をかけ、4℃で保存した。
これをsandwich ELISA系の初期検討に用いた。
実施例 5.CHO細胞へのトランスフェクション
宿主細胞としてCHO細胞DG44株(Urlaub,G et al.,Cell(1983)33(2)405-412)を使用した。DG44株はDHFR欠損株なので、グリシン、プリンヌクレオド、チミジンに対して栄養要求性を示す。そこで、ネオマイシン耐性遺伝子並びにDHFRを発現するプラスミドをトランスフェクションすると、G418添加ヌクレオシド欠損培地により、DHFR+、ネオマイシン耐性の形質転換細胞を選出することが出来る。更に、DHFRのインヒビターであるメトトレキセート(MTX)の培地中濃度を段階的に増加させることで選択し、生き残った細胞は導入した発現プラスミドのコピー数が増幅し、目的産物の産生量が増加する。
HAタグ付加可溶性HM1.24抗原安定産生系を樹立するために、PacI(New England biolabs製)で消化した後、0.7%アガロースゲルを用いて4.7kb断片を精製して得た直鎖状にした前記発現ベクター(CGM/HA-sHM)をエレクトロポレーション法により前述と同様(前記COS-7細胞へのトランスフェクション)の条件下で同時にCHO細胞に遺伝子を導入した。
遺伝子導入したCHO細胞をヌクレオシド不含CHO-S-SFM II培養液(GIBCO BRL製)に懸濁し、100μl/well(4x104cells/well)で平底96穴プレート(FALCON製)に播種した。37℃、5%CO2インキュベーターにて一晩培養した後、1mg/mlの濃度でG418(GIBCO BRL製)を添加したヌクレオシド不含CHO-S-SFM II培養液を100μl/well加え、引き続き培養した。途中、播種後7日目、14日目に培養上清を100μl/well抜いた後、1mg/mlのG418添加ヌクレオチシド不含CHO-S-SFM II培養液を100μl/well加えて、培地交換を行った。播種後16日目に検鏡を行い、増殖したクローンを選別した。
G418で選別したクローン#1を更に、5nM MTX(SIGMA製)を添加したヌクレオシド不含CHO-S-SFM II培養液に懸濁し、5x102cells/well、5x103cells/well、5x104cells/wellの三段に濃度を振って100μl/wellで平底96穴プレートに播種した。37℃、5%CO2インキュベーターにて一晩培養した後、5nM MTX添加CHO-S-SFMII選択培地を100μl/well加えた。途中、培地交換を行い、7日〜14日目に検鏡を行った。得られた#A、#B、#Cのコロニーについて拡大培養し、5nM MTXで増幅した場合と同様にして50nM、更に500nMとMTXの濃度を上げて、増幅していった。最終的にCOS-7細胞による培養上清の60%の産生量を示すCHO細胞を得た。
実施例 6.可溶性抗原の調製
暫定的な可溶性HM1.24抗原を確保するため、G418で選択した#1株(CHO細胞へのトランスフェクションの項に記述)を培養した。培地は1mg/ml G418を含むヌクレオシド不含CHO-S-SFM II培養液を用いた。500mlスピナーフラスコ(Techne製)2本にて(1L分)を60rpmで撹拌しながら、37℃で10日間培養した。遠分離により培養上清を集め、0.22μmのフィルター(FALCON製)に通した後、可溶性抗原として−80℃で保存した。この培養上清から精製したHM1.24抗原はHM1.24リガンドの探索、あるいはHM1.24抗原の機能解析にも利用できると考えられる。
実施例 7.ELISA系予備検討
COS-7細胞による培養上清を用いてELISA系の予備検討を行った。抗HA抗体のコントロールとして抗IL-6receptor抗体であるMT18抗体(マウスIgG2bk、(Hirata,Y et al.,J.Immunol.(1989)143(9)2900-2906))を使用した。キメラ型抗HM1.24抗体(参考例参照)のコントロールにはミエローマ由来ヒトIgG1(ヒトIgGlkappa purified.(THE BINDING SITE製)をキメラ抗体と同様にプロテインAカラムで精製した抗体)を用いた。
1. 抗HA抗体−キメラ型抗HM1.24抗体
抗HA抗体(マウスモノクローナル抗体:クローン12CA5、Boehringer Mannheim製)ならびにコントロール抗体を1μg/mlと5μg/mlにC.B.(Coating Buffer:0.1M NaHCO3、緩衝液,pH9.6,0.02%アジ化ナトリウム)で調製し、100μl/wellで平底96穴プレート(Immuno plate I検定付:Nunc製)に4℃で一晩コーティングした。R.B.(Rinse Buffer:PBS,0.05%Tween20)で3回洗浄した後、200μl/wellでD.B.(Dilution Buffer:50mM Tris-HCl,pH8.1,1mM MgCl2,0.15M NaCl,0.05% Tween20,0.02%アジ化ナトリウム,1% BSA(SIGMA製))を加え、室温で2時間ブロッキングを行った。培養上清をD.B.で4倍希釈ずつ4段に段階希釈したものを室温で1時間反応させた。
R.B.で3回洗浄した後、キメラ型抗HM1.24抗体を5μg/mlにD.B.で調製したものを100μl/well加え、室温で1時間反応させた。更にR.B.で3回洗浄した後、アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(BIOSOURCE製)をD.B.で5000倍希釈、10,000倍希釈したものを100μl/wellずつ加え、室温で1時間反応させた。R.B.で5回洗浄した後、アルカリフォスファターゼ基質であるSIGMA 104(p-Nitrophenyl phosphate,disodium,hexahydrate:SIGMA製)をS.B.(Substrate Buffer:0.05M NaHCO3緩衝液,pH9.8,10mM MgCl2)で1mg/mlにしたものを100μl/well加え、室温で発色させ、405nm-655nmの吸光度をmicroplate reader model 3550(BIORAD製)にて測定した。
2. キメラ型抗HM1.24抗体−抗HA抗体
キメラ型抗HM1.24抗体ならびにコントロール抗体を1μg/mlと5μg/mlにC.B.にて調製し、100μl/wellで平底96穴プレート(Immuno plate I:Nunc製)に4℃で一晩コーティングした。R.B.で洗浄した後、上記1と同様に培養上清を反応させた。洗浄後、HA抗体を5μg/mlにD.B.で調製したものを100μl/well加え、室温で1時間反応させた。アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗マウスIgG抗体(ZYMED製)を5000倍希釈、10,000倍したものを100μl/wellずつ加え、室温で1時間反応させた。R.B.で5回洗浄した後、SIGMA104を同様に加えて発色させ、405nm〜655nmの吸光度を測定した。
以上の試験において、a)抗HA抗体→キメラ型抗HM1.24抗体、b)キメラ型抗HM1.24抗体→抗HA抗体のどちらのELISA系でも抗原の濃度依存的にカーブが描け、いずれの系も利用可能であった。ヒト型化抗HM1.24抗体の測定系には1.の方法が適しているので上記1.のサンドイッチELISA系を用いることとした。
実施例 8.培養上清を用いたsandwich ELISA
HA付加可溶性HM1.24抗原を用いたsandwich ELISA系を模式的に図2に示した。
1.COS-7細胞による培養上清
抗HA抗体を1μg/mlでコーティングし、COS-7細胞による培養上清を4倍に希釈したものを、100μl/wellに加え、室温で2時間反応させた。400ng/mlのキメラ型抗HM1.24抗体およびヒト型化抗HM1.24抗体(参考例参照)を3倍希釈の段階希釈を行い、100μl/well加えて室温で1時間反応させた。アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG(BIOSOURCE製)を加え、室温で1時間反応させた。アルカリフォスファターゼ基質を同様に加えて発色させ、405nm‐655nmの吸光度を測定した。
その結果、COS-7細胞培養上清を用いた場合のヒト型化抗HM1.24抗体による標準曲線を作製したところ、図3のようになり、このELISA系の測定限界は500pg/mlであった。キメラ型抗体も同様であった。
2.CHO細胞による培養上清
G418で選択したCHO細胞#1による培養上清(可溶性抗原の調製に記述した)を用いて1.COS-7細胞による培養上清の項と同様にサンドイッチELISAを行った。ただし、可溶性抗原はしっかり反応させるために4℃で一晩反応させ、AHMは1μg/mlから3倍希釈の段階希釈を行った。
その結果、CHO細胞による可溶性抗原を用いた場合の標準曲線は図4のようになり、この場合の測定限界は数ng/ml程度であった。
実施例 9.細胞株の選択
なるべく高産生の株を得るために可溶性抗原の産生量を抗HA抗体とキメラ型抗HM1.24抗体およびヒト型化抗HM1.24抗体によるsandwich ELISAで比較し、細胞株の選択を行った。
抗HA抗体を1μg/mlでコートしたプレートをブロッキングした後、HAタグ付加可溶性抗原産生細胞の培養上清を段階希釈して加えた。精製抗原を得ていないため、抗原濃度は分からないので、濃度を比較するために、初期播種量をそろえ、4日間細胞を培養した培養上清を用いた。
これを室温にて2時間インキュベートした後、1μg/mlのキメラ型抗HM1.24抗体およびヒト型化抗HM1.24抗体を加え、室温にて1時間インキュベートした。アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG(BIOSOURCE社製)を加え、室温で1時間反応させた後、基質溶液を加えた。室温で発色させ、405nm-655nmの吸光度をmicroplate reader model 3550(BIORAD社製)にて測定した。
その結果クローン#1をG418で選別し、これを親株として5nM MTX(SIGMA社製)で増幅させ、#A,#B,#Cを得た。
実施例 10. Sandwich ELISA系の利用
1.キメラ型抗HM1.24抗体を投与したアカゲザルにおけるキメラ型抗HM1.24抗体の血中濃度の測定
キメラ型抗HM1.24抗体を4mg/kg、40mg/kgの投与量でi.v.infusion投与したアカゲザルから投与前、投与後1、3、7、14日に採血し、4℃下で遠心分離し、血清を得た。またコントロール群として、キメラ型抗HM1.24抗体の代わりに生理食塩水を投与したアカゲザルからも同様に採血し、血清を得た。この血清中のキメラ型抗HM1.24抗体の濃度をHAタグ付加HM1.24可溶性抗原を用いたsandwich ELISAで測定した。
抗HA抗体を1μg/mlでコーティングしたプレートをブロッキングし、HAタグ付加HM1.24可溶性抗原(CHO細胞による培養上清を4倍に希釈したもの)を100μl/well加え、4℃にて一晩反応させた。キメラ型抗HM1.24抗体を投与したアカゲザルの血清を段階希釈して各穴に100μl加えた。また、スタンダードとして投与に用いたキメラ型抗HM1.24抗体を10μg/mlから3倍希釈で11段に段階希釈して用いた。室温にて1時間インキュベーションおよび洗浄の後、アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG抗体(BIOSOURCE製)を加えた。
室温にて1時間インキュベーションした後洗浄し、基質溶液を加えた。インキュベーションの後、MICROPLATE READER Model 3550(Bio-Rad製)を用いて405nmでの吸光度を測定した。その結果、アカゲザルの血清中におけるキメラ型抗HM1.24抗体の濃度の推移は図5の通りであった。このELISA系の測定限界は508pg/mlであった。
また、このsandwich ELISAは二次抗体をアルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG2a抗体に変えることにより、マウス抗HM1.24抗体の血中動態の測定も可能である。
2.ヒト型化抗HM1.24抗体の結合阻害活性の測定
ビオチン標識マウス抗HM1.24抗体によるヒト型化抗HM1.24抗体の結合阻害活性をHAタグ付加HM1.24可溶性抗原を用いたsandwich ELISAで測定した。抗HA抗体を1μg/mlでコーティングしたプレートをブロッキングし、HAタグ付加HM1.24可溶性抗原(CHO細胞による培養上清を4倍に希釈したもの)を100μl/well加え、4℃にて一晩反応させた。洗浄した後、ヒト型化抗HM1.24抗体およびキメラ型抗HM1.24抗体を10μg/mlから3倍希釈で7段に段階希釈して各穴に50μl加え、同時に20ng/mlのビオチン標識マウス抗HM1.24抗体50μlも添加し、室温にて1時間反応させた。
洗浄後、アルカリフォスファターゼ標識ストレプトアビジン(PIERCE製)を加え、室温で2時間反応させた後洗浄し、基質溶液を加えた。インキュベーションの後、MICROPLATEREADER Model 3550(Bio-Rad製)を用いて405nmでの吸光度を測定した。その結果、図6に示す通り、ビオチン標識マウス抗HM1.24抗体に対してヒト型化抗HM1.24抗体はマウス抗HM1.24抗体と同様の結合阻害活性を示した。このことより、ヒト型化抗HM1.24抗体はマウス抗HM1.24抗体と同じV領域を有することが示された。
また、培養上清より精製した可溶性HM1.24抗原をStandardに用いた可溶性HM1.24抗原の測定系にも応用が可能である。
実施例 11. FCM解析
HAタグ付加可溶性HM1.24抗原産生CHO細胞の抗原産生量はあまり高いものではなかった。この原因を究明するため、G418で選択したHAタグ付加可溶性抗原産生CHO細胞#1、および5nM MTXで増幅したHAタグ付加可溶性抗原産生CHO細胞#AについてFCM(フローサイトメトリー)解析を行った。1x106個の可溶性抗原発現CHO細胞PBSで洗浄した後、500μg/mlのマウス抗HM1.24抗体5μlおよびFACS緩衝液(2%ウシ胎児血清,0.1%アジ化ナトリウム含有FBS)95μl、または500μg/mlの抗HA抗体(Boehringer Mannheim製)5μlおよびFACS緩衝液95μlを加え、氷温下30分間インキュベートした。
コントロールとしてマウス抗HM1.24抗体の代わりに500μg/mlのマウスIgG2ak(UPC10)(CAPPEL製)5μlおよびFACS緩衝液95μl、または抗HA抗体の代わりにマウスIgG2bk抗体(MT18)5μlおよびFACS緩衝液95μlを加え、同様にインキュベートした。FACS緩衝液で洗浄した後、10μg/mlのFITC標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Becton Dickinson製)100μlを加え、氷温下30分間インキュベートした。FACS緩衝液で洗浄した後、600μlのFACS緩衝液に懸濁してFACScan(Becton Dickinson製)にて各細胞の蛍光強度を測定した。
その結果、図7に示すとおり、マウス抗体HM1.24ならびに抗HA抗体を添加した細胞では、コントロールと比較して蛍光強度のピークが右側にシフトしたことから、マウス抗HM1.24抗体ならびに抗HA抗体が、HAタグ付加可溶性抗原産生CHO細胞を結合したことが明らかになった。このことより、細胞表面にHM1.24抗原ならびにヘマグルチニンタグペプチドが高発現していることが確認された。
実施例 12. 細胞溶解物の作製
1.2x107個のG418で選択したHAタグ付加可溶性抗原産生CHO細胞#1、および5nM MTXで増幅した1.6x107個の#A、1.2x107個の#B、1.1x107個の#CのHAタグ付加可溶性抗原産生CHO細胞をPBSで洗浄した後、50mM NaHCO3緩衝液,pH8.0,50mM NaCl,100μg/ml PMSF,25倍希釈のprotease inhibitor cocktail(Boehringer Mannheim製),0.5%デオキシコール酸ナトリウム,1% Nonidet P-40を含むlysis緩衝液1mlを加え、氷温下で30分間ソニケーションを行った。その後、4℃、14,000回転で10分間遠心し、上清細胞を溶解物として回収した。1.0x107個のKPMM2細胞(特許出願公開番号特開平7-236475)についても同様に細胞溶解物を調製した。
実施例 13. ウエスタンブロッティング
1. 還元状態におけるSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
HAタグ付加可溶性抗原産生CHO細胞の細胞溶解物を調製する際、細胞を培養していた培養上清(Sup.#1、Sup.#A、Sup.#B、Sup.#C)を0.22μmのフィルターを通して4℃で保存した。この培養上清20μlに5%2-メルカプトエタノールを含むサンプルバッファー(10%グリセロール,2%SDS,0.25%ブロムフェノールブルーを含有する0.5M Tris-HCl緩衝液,pH6.8)を10μl加え、100℃で5分間加熱した。また、培養上清20μlに対応する細胞数(#1:3x104個、#A:4x104個、#B:3x104個、#C:2.8x104個)を含む細胞溶解物10μlに5%2-メルカプトエタノールを含むサンプルバッファーを5μl加え、100℃で5分間加熱した。
陽性コントロールとして培養上清などの代わりにHM1.24抗原を高発現している骨髄腫細胞であるKPMM2細胞溶解物(1x105個)10μlに5%2-メルカプトエタノールを含むサンプルバッファー5μl加え、同様に加熱した。4-20%グラジエントゲル(TEFCO製)を用いて20mAで1.5時間SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。泳動後、ゲルをPVDFメンブレン(TEFCO製)に150mAで2時間トランスブロットした。このメンブレンを3%スキムミルクを含むTBS-T(0.1%Tween20含有Tris緩衝液(宝酒造製))で4℃にて一晩インキュベートした。
TBS-T洗浄後、10μg/mlマウス抗HM1.24抗体、10%FCS、0.025%Thimerosalを含有するPBSを加え、室温で振とうしながら1時間反応させた。洗浄した後、1000倍希釈のペルオキシダーゼ標識ヤギ抗マウスIgG抗体(Zymed製)を室温で振とうしながら1時間反応させた。洗浄後、ECL検出試薬(Amersham製)を用いて化学発光させ、Hyper film-ECL(Amersham製)に写した。これを自動現像機(Konica製SRX-101)で現像してHM1.24抗原を検出した。
その結果、図8に示したとおり、陽性コントロールのKPMM2細胞と同様に30kDa付近にHM1.24抗原の発現が確認された。
2. 非還元状態におけるSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動
20μlの前記培養上清#Cにサンプルバッファーを10μl加え、100℃で5分間加熱した。また、2.8x104個を含む#Cの細胞溶解物10μlにサンプルバッファーを5μl加え、100℃で5分間加熱した。陽性コントロールとして培養上清などの代わりにHM1.24抗原を高発現している骨髄腫細胞であるKPMM2細胞溶解物(1x105個)10μlにサンプルバッファー10μlを加え、同様に加熱した。これらを還元状態に記述した条件下にて同様に試験し、抗原を検出した。
その結果、図9に示したとおり、還元状態では、30kDa付近に検出された抗原が、非還元状態では60kDaに検出した。つまりHAタグ付加可溶型HM1.24抗原もHM1.24抗原と同様にホモダイマーを形成していた。
一方、HM1.24抗原はC端側にも14アミノ酸程度の疎水領域が存在するので、発言させた抗原の一部が可溶型として培養上清中に分泌されずに、細胞表面にとどまっていると考えられた。そこで、以下、N端の膜貫通領域を含むN末を削除したHAタグ付加可溶型抗原から更に、このC端側の疎水領域を含むC末を削除したHAタグ付加可溶型抗原を作製した。
実施例 14. 発現プラスミドの構築
10mM Tris-HCl,pH8.3、50mM KCl、0.1mM dNTPs、1.5mM MgCl2、100ngの鋳型DNAとしてのpSFHM1.24、100pmoleの各プライマー(配列番号9および11)および5ユニットのAmpli Taq(Perkin Elmer Cetus製)を含有する混合物を最初に94℃にて変性した後、94℃にて1分間、55℃にて1分間、および72℃にて1分間の反応を25サイクル行った後、72℃にて7分間インキュベーションを行った。このPCR産物をKpnIおよびBamHI消化したものをC端も削除した可溶性抗原(HM164)として、KpnIおよびBamHI消化することにより調製した5μgのベクター(CGM/HA)と、50mM Tris-HCl,pH7.6、10mM MgCl2、10mMジチオスレイトール、1mM ATP、50mg/mlのポリエチレングリコールおよび1ユニットT4 DNAリガーゼ(GIBCO-BRL製)を含有する反応混合物中で、16℃にて3時間反応させ連結した。
次に、10μlの上記連結混合物を大腸菌JM109のコンピテント細胞(東洋紡製)100μlに加え、この細胞を氷上で30分間、42℃にて1分間そして再び氷上で1分間静置した。次いで、400μlのSOC培地(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))を加え、37℃にて1時間インキュベートした後、50μg/mlのアンピシリンを含有するLB寒天培地(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))上にこの大腸菌を播き、37℃にて一夜インキュベートして大腸菌形質転換体を得た。
この形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))3ml中で37℃にて一夜培養し、この培養物から、アルカリ法に従ってプラスミドDNAを調製した。このプラスミドDNAをKpnIおよびBamHI消化した後、1%アガロースゲル電気泳動により360bpのプラスミドを選択し、選択した形質転換体を50μg/mlのアンピシリンを含有するLB培地300ml中で37℃にて一夜培養した。この培養物からアルカリ法(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Sambrookら、Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1989))により、プラスミドDNAを調製し、これをC端の疎水領域を削除したHAタグ付加可溶性抗原発現プラスミドとして(CGM/HA-HM164)と命名した。
実施例 15. CGM/HA-SHM164の塩基配列決定
C端の疎水領域を削除したHAタグ付加可溶性抗原発現プラスミドプラスミド(CGM/HA-HM164)の塩基配列決定を、上記発現プラスミドをBgl II(宝酒造製)で消化したものを鋳型として自動DNAシークエンサー(Applied Biosystem Inc.製)およびTaq Dye terminator Cycle Sequencing kit(Applied Biosystem Inc.製)を用いて、メーカー指定のプロトコールに従って塩基配列を決定した。反応に用いたプライマーを配列番号9および11、解読した塩基配列の範囲を図10に、決定した塩基配列を配列番号6に示した。これより理論上の塩基配列を一致することが確認された。
実施例 16. COS-7細胞およびCHO細胞へのトランスフェクション
HAタグ付加C端削除可溶性HM1.24抗原の一過性の発現を観察するため、前記発現プラスミドCGM/HA-HM164をエレクトロポレーション法により前述と同様(前記実施例4.COS-7細胞へのトランスフェクション)の条件下で同時にCOS-7細胞へ遺伝子導入した。更に、エレクトロポレーション処理された細胞は前述(前記実施例4)と同様の条件にて6日間培養し、回収した培養上清は0.22μmフィルター(MILLIPORE製)をかけ、4℃で保存した。
また、HAタグ付加可溶性HM1.24抗原安定産生系を樹立するために、PacI(New England Biolabs製)で消化した後、0.7%アガロースゲルを用いて4.7kb断片を精製して得た直鎖状にした前記発現ベクター(CGM/HA-HM164)をエレクトロポレーション法により前述と同様(前記実施例4.COS-7細胞へのトランスフェクション)の条件下で同時にCHO細胞DG44株(Urlaub,G et al.,Cell(1983)33(2)405-412)に遺伝子を導入した。
更に前述(前記実施例5)同様にして、G418(GIBCO BRL製)で選択した。
実施例 17. 培養上清を用いたサンドイッチELISA
前述(実施例7.培養上清を用いたsandwich ELISA)と同様の条件で行った。1μg/mlの抗HA抗体(Boehringer Mannheim製)をコーティングしたプレートを室温にて2時間ブロッキングを行った後、4倍に希釈したCOS-7細胞およびCHO細胞による培養上清をものを100μl/well加え、4℃で一晩反応させた。洗浄した後、1μg/mlのヒト型化抗HM1.24抗体を3倍希釈の段階希釈を行い、各穴に100μl/well加えて室温で1時間反応させた。洗浄後、5000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG(BIOSOURCE製)を室温で1時間反応させた。洗浄した後、基質溶液を加え、Microplate reader(BIORAD製)で405nm〜655nmの吸光度を測定した。
その結果、図11に示したとおり、C端削除可溶型抗原を産生させたCOS-7細胞の培養上清を用いて、ヒト型化抗HM1.24抗体の標準曲線が得られた。また、CHO細胞の培養上清を用いた場合も、図12のとおりヒト型化抗HM1.24抗体の標準曲線が得られた。どちらのELISA系の測定限界も数ng/mlであった。
実施例 18. 細胞株の選択
高産生の株を選択するために可溶性抗原の産生量を抗HA抗体とキメラ型抗HM1.24抗体によるサンドイッチELISAで比較し、細胞株の選択を行った。抗HA抗体を1μg/mlでコートしたプレートをブロッキングした後、HAタグ付加可溶性抗原産生細胞の培養上清を段階希釈して加えた。精製抗原を得ていないため、抗原濃度は分からないので、濃度を比較するために、初期播種量をそろえ、4日間細胞を培養した培養上清を用いた。これを室温にて2時間インキュベートした後、1μg/mlのキメラ型抗HM1.24抗体およびヒト型化抗HM1.24抗体を加え、室温にて1時間インキュベートした。アルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗ヒトIgG(BIOSOURCE製)を加え、室温で1時間反応させた後、基質溶液を加えた。室温で発色させ、405nm〜655nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(BIORAD製)にて測定した。
その結果、G418による細胞の選択において、産生量の多かった#1,#2,#21,#28の4クローンを選んだ。
実施例 19. Western blotting
まず、細胞溶解物を作製した。HAタグ付加C端削除可溶型抗原を発現させた、1x107個のCOS-7細胞およびG418で選択した4クローンのHAタグ付加C端削除可溶型抗原発現CHO細胞(#1:1.2x107個、#2:1.5x107個、#21:2.2x107個、#28:1.3x107個)をそれぞれ、前述実施例12.の条件下にて細胞溶解物を調製した。
また、細胞溶解物を調製する際、細胞を培養していた培養上清(COS-7 Sup.、CHO Sup.#2、#21、#28)を0.22μmのフィルターを通して4℃で保存した。この培養上清20μlに5% 2-メルカプトエタノールを含むサンプルバッファー(10%glycerol,2%SDS,0.25%ブロムフェノールブルーを含有する0.5M Tris-HCl buffer,pH6.8)を10μl加え、100℃で5分間加熱した。また、培養上清20μlに対応する細胞数の10〜16倍の細胞数の細胞溶解物(COS-7:1x105 cells、#2:5.4x104、#21:1x105、#28:5.9x104)を含む細胞溶解物10μlに5% 2-メルカプトエタノールを含むサンプルバッファーを5μl加え、同様に加熱した。
更に、陽性コントロールとして前述したC端を削除していないHAタグ付加可溶型抗原発現CHO細胞#Cの培養上清(#C Sup.)20μlにも5% 2-メルカプトエタノールを含むサンプルバッファーを10μl同様の処理を行った。これらを前述した条件下(実施例13.)にてマウス抗HM1.24抗体でwestern blotを行った結果を図13に示した。図に示したとおり、培養上清には前回同様に可溶型HM1.24抗原が検出されたが、今回作製したC端削除可溶型抗原産生細胞の細胞溶解物にはHM1.24抗原の発現は見られなかった。これよりC端の疎水領域を削除することで、細胞表面にトラップされていたHA付加可溶型HM1.24抗原は培養上清中に分泌されるようになった。
また、上記C端削除可溶型抗原産生細胞の培養上清を用いて、非還元状態でSDSポリアクリルアミド電気泳動を行い、Western blotを行った結果、C端削除可溶型抗原もホモダイマーを形成していた。
実施例 20.
GST付加可溶性HM1.24抗原を用いたELISAを検討した。
1.GST付加可溶性HM1.24抗原の調製
HM1.24抗原の細胞外ドメイン76-180アミノ酸(IS-1)をGlutathione S-transferase(GST)のC末端に結合させたGST.IS-1の発現ベクターを構築し、このベクターで大腸菌(DH5α)を形質転換した(GST.IS-1/E.coli)。このGST.IS-1/E.coliをLB/Amp培地で一晩前培養した。この前培養液をLB/Amp培地で50倍希釈して、30℃で約4時間培養した。濁度が0.7以上になったところで、IPTGを0.5mmol/Lとなるように添加して約4時間発現誘導した。この大腸菌を集菌し、D-PBS(-)に懸濁して−80℃に凍結保存して以下の精製に使用した。
発現させたGST.IS-1は大腸菌の封入体から抽出した。すなわち、凍結保存した大腸菌を融解後、1%になるようにTriton X100を添加してBranson Sonifier 250を用いてoutput 2,duty50%の条件で1分間超音波破砕した。Tomy MX160を用いて14000rpmで20分間遠心して沈澱画分を集めた。この沈澱画分を100μg/ml Lysozymeを含む50mmol/L Tris-HCl buffer,pH8.0に懸濁して氷冷下で30分間消化した。Lysozyme消化後、5mmol/LになるようにMgCl2を加えてDNase Iで室温、10分間消化した。14000rpmで20分間の遠心で沈澱を集めて、1% Triton X100を含む50mmol/L Tris-HCl buffer,pH8.0で2回洗浄した。この沈澱画分に8mol/L Urea,10mmol/L DTTを含む50mmol/L Tris-HCl buffer,pH8.0を加えてピペッティングで懸濁させた。14000rpmで20分間遠心して上清をGST.IS-1抽出物とした。
GST.IS-1抽出物はDEAE Sepharose Fast Flowを用いた陰イオン交換で精製した。GST.IS-1抽出物を8mol/L Urea,10mmol/L DTTを含む50mmol/L Tris-HCl buffer,pH8.0で平衡化してあるDEAE Sepharose Fast Flowのカラムに添加し、同一のbufferで洗浄した。吸着したGST.IS-1はNaClの濃度を0.25mol/Lにすることで溶出させ、この画分をGST.IS-1(D)とした。
次に、GST・IS-1(D)はCOSMOSIL C4を用いた逆相系HPLCで精製した。まず、GST・IS-1(D)を2倍量の200mmol/L sodium acetate-HCl buffer,pH3.5で希釈し、20mmol/L sodium acetate-HCl buffer,pH3.5で平衡化してあるPD-10のカラムで脱塩した。次に、脱塩したGST・IS-1(D)に等量の0.1%TFAを加えて、20%CH3CN/0.1%TFAで平衡化してあるCOSMOSIL C4に吸着させた。吸着したGST.IS-1はアセトニトリルの濃度を60%まで直線的に増加させることで溶出させた。主要なGST.IS-1溶出画分をGST・IS-1(C4)とした。
次に、GST・IS-1(C4)をVydac Diphenylを用いた2回目の逆相系HPLCで精製した。GST・IS-1(C4)を脱イオン水で3倍に希釈して30%CH3CN/0.1%TFAで平衡化してあるVydac Diphenylに吸着させた。吸着したGST.IS-1はアセトニトリルの濃度を60%まで直線的に増加させることで溶出させた。GST.IS-1はメインピークとして溶出した。
2.ELISA
Coating Buffer(CB)は0.02% NaN3を含む100mmol/L NaHCO3溶液、Dilution Buffer(DB)は1mmol/L MgCl2,150mmol/L NaCl,0.05%Tween20,0.02%NaN3,1%BSAを含む50mmol/L Tris-HCL,pH8.1溶液、Substrate Buffer(SB)は10mmol/L MgCl2を含む50mmol/L NaHCO3,pH9.8溶液、0.1% Tween20/TBSは0.1% Tween20を含むTBS(Takara CodeT903 Lot201)を使用した。GST.IS-1(D)をNunc Immuno Plate Maxi Sorpに直接固相化し、ヒト型化抗HM1.24抗体の濃度を測定した。GST.IS-1(D)をCBで希釈してNunc Immuno Plate Maxi Sorpに100μl/wellで加えて室温で1時間固相化した。0.1%Tween20/TBSを用いて200μl/wellで3回洗浄後、DBを200μl/wellで加えて室温で1時間以上ブロッキングした。被検物質としてDBで希釈したヒト型化抗HM1.24抗体を100μl/wellで室温で1時間反応させた。次に、0.1%Tween20/TBSを用いて200μl/wellで3回洗浄後、DBで5000倍希釈したアルカリフォスファターゼ標識ヤギ抗IgG(Goat anti human IgGγchain AP conjugate)(Biosource AH20305 Lot 6202)を100μl/wellで室温、1時間反応させた。0.1%Tween20/TBSを用いて200μl/wellで3回洗浄後、SBに1mg/mlで調製したSigma104を100μl/wellで加えて室温で1時間発色させた。405nm-620nmの吸光度をBio-Rad Model 3550で測定した。その結果、ヒト型化抗HM1.24抗体の濃度依存的な吸光度の上昇が得られた(図19)。
参考例1. マウス抗HM1.24モノクローナル抗体産生ハイブリドーマの調製
Goto,T.et al.,Blood(1994)84,1992-1930に記載の方法にて、マウス抗HM1.24モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製した。
ヒト多発性骨髄腫患者骨髄由来の形質細胞株KPC-32(1x107個)(Goto,T.et al.,Jpn.J.Clin.HematoI(1991)32,1400)をBALB/Cマウス(リャールスリバー製)の腹腔内に6週間おきに2回注射した。
このマウスを屠殺する3日前にマウスの抗体産生価をさらに上昇させるために、1.5x105個のKPC-32をマウスの脾臓内に注射した(Goto,T.et al.,Tokushima J.Exp.Med.(1990)37,89)。マウスを屠殺した後に脾臓を摘出し、Groth,de St.& Schreideggerの方法(Cancer Research(1981)41,3465)に従い摘出した脾臓細胞とミエローマ細胞SP2/0を細胞融合に付した。
KPC-32を用いたCell ELISA(Posner,M.R.et al.,J.Immunol.Methods(1982)48,23)によりハイブリドーマ培養上清中の抗体のスクリーニングを行った。5x104個のKPC-32を50mlのPBSに懸濁し、96穴プレート(U底型、Coring,Iwaki製)に分注し37℃で一晩風乾した。1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBSでブロックした後、ハイブリドーマ培養上清を加えて4℃にて2時間インキュベートした。次いで、4℃にて1時間ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgGヤギ抗体(Zymed製)を反応させ、洗浄後室温にて30分間o-フェニレンジアミン基質溶液(Sumitomo Bakelite製)を反応させた。
2N硫酸で反応を停止させ、ELISA reader(Bio-Rad製)で492nmにおける吸光度を測定した。ヒト免疫グロブリンに対する抗体を産生するハイブリドーマを除去するために、陽性ハイブリドーマ培養上清をヒト血清にあらかじめ吸着させ、他の細胞株に対する反応性をELISAにてスクリーニングした。陽性のハイブリドーマを選択し、種々の細胞に対する反応性をフローサイトメトリーで調べた。最後に選択されたハイブリドーマクローンを二度クローン化し、これをプリスタン処理したBALB/Cマウスの腹腔に注射して、腹水を取得した。
モノクローナル抗体は、硫酸アンモニウムによる沈澱とプロテインAアフィニティクロマトグラフィーキット(Ampure PA、Amersham製)によりマウス腹水より精製した。精製抗体は、Quick Tag FITC結合キット(ベーリンガーマンハイム製)を使用することによりFITC標識した。
その結果、30のハイブリドーマクローンが産生するモノクローナル抗体がKPC-32およびRPMI8226と反応した。クローニングの後、これらのハイブリドーマの培養上清と他の細胞株あるいは抹消血単核球との反応性を調べた。
このうち、3つのクローンが形質細胞に特異的に反応するモノクローナル抗体であった。これらの3つのクローンのうち、最もフローサイトメトリー分析に有用であり、かつRPMI8226に対するCDC活性を有するハイブリドーマクローンを選択し、HM1.24と名付けた。このハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のサブクラスを、サブクラス特異的抗マウスウサギ抗体(Zymed製)を用いたELISAにて決定した。抗HM1.24抗体は、IgG2a κのサブクラスを有していた。抗HM1.24抗体を産生するハイブリドーマHM1.24は、工業技術院生命工学工業研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に、平成7年9月14日にFERM BP-5233としてブタペスト条約に基づき国際寄託された。
参考例2. ヒト型化抗HM1.24抗体の作製
ヒト型化抗HM1.24抗体を下記の方法により得た。
参考例1で作製されたハイブリドーマHM1.24から、常法により全RNAを調製した。これよりマウス抗体V領域をコードするcDNAをポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法および5'-RACE法により、合成、増殖した。マウスV領域をコードする遺伝子を含むDNA断片を得、これらのDNA断片を各々プラスミドpUC系クローニングベクターに連結し、大腸菌コンピテント細胞に導入して大腸菌形質転換体を得た。この形質転換体から上記プラスミドを得、プラスミド中のcDNAコード領域の塩基配列を常法に従い決定し、さらに各々のV領域の相補性決定領域(CDR)を決定した。
キメラ抗HM1.24抗体を発現するベクターを作製するため、それぞれマウス抗HM1.24抗体L鎖およびH鎖のV領域をコードするcDNAをHEFベクターに挿入した。また、ヒト型化抗HM1.24抗体を作製するために、CDR移植法によりマウス抗HM1.24抗体のV領域CDRをヒト抗体へ移植した。ヒト抗体のL鎖としてヒト抗体REIのL鎖を用い、ヒト抗体H鎖としてフレームワーク領域(FR)1-3についてはヒト抗体HG3のFR1-3を用いFR4についてはヒト抗体JH6のFR4を用いた。CDRを移植した抗体が適切な抗原結合部位を形成するようにH鎖V領域のFRのアミノ酸を置換した。
このようにして作製したヒト型化抗HM1.24抗体のL鎖およびH鎖の遺伝子を哺乳類細胞で発現させるために、HEFベクターに、各々の遺伝子を別々に導入し、ヒト型化抗HM1.24抗体のL鎖またはH鎖を発現するベクターを作製した。
これら二つの発現ベクターをCHO細胞に同時に導入することにより、ヒト型化抗HM1.24抗体を産生する細胞株を樹立した。この細胞株を培養して得られたヒト型化抗HM1.24抗体のヒト羊膜由来細胞株WISHへの抗原結合活性および結合阻害活性を、Cell ELISAにて調べた。その結果、ヒト型化抗HM1.24抗体は、キメラ抗体と同等の抗原結合活性を有し、さらにビオチン化マウス抗HM1.24抗体を用いた結合阻害活性についても、キメラ抗体あるいはマウス抗体と同等の活性を有した。
なお、キメラ抗HM1.24抗体のL鎖V領域およびH鎖V領域をコードするDNAを含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia coli DH5α(pUC19-1.24L-gκ)およびEscherichia coli DH5α(pUC19-1.24H-gγ1)として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に、平成8年8月29日に、各々FERM BP-5646およびFERM BP-5644としてブタペスト条約に基づき国際寄託された。
また、ヒト型化抗HM1.24抗体のL鎖V領域aバージョン(配列番号:17)およびH鎖V領域rバージョン(配列番号:18)をコードするDNAを含むプラスミドを有する大腸菌は、各々Escherichia coli DH5α(pUC19-RVLa-AHM-gk)およびEscherichia coli DH5α(pUC19-RVHr-AHM-gγl)として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に、平成8年8月29日に、各々FERM BP-5645およびFERM BP-5643としてブタペスト条約に基づき国際寄託された。
また、ヒト型化抗HM1.24抗体のH鎖V領域sバージョン(配列番号:19)をコードするDNAを含むプラスミドを有する大腸菌は、Escherichis coli DH5α(pUC19-RVHs-AHM-gγl)として、工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に、平成9年(1997年)9月29日にFERM BP-6127としてブタペスト条約に基づき国際寄託された。
参考例3.HM1.24抗原をコードするcDNAのクローニング
1)細胞株
ヒト骨髄腫細胞株RPMI8226,U266は10%ウシ胎児血清(FBS)を添加したRPMI1640培地(GIBCO−BRL)にて培養を行い、ヒト骨髄腫細胞株KPMM2(特開平7−236475)は20%ウシ胎児血清を添加したRPMI1640培地にて培養を行った。
2)cDNAライブラリーの構築
1×108個のKPMM2細胞よりチオシアン酸グアニン/塩化セシウム法により全RNAを単離し、Fast Track mRNA Isolation Kit(Invitrogen)を用いてmRNAの精製を行った。10μgのmRNAよりNot I/oligo-dT18(Time Saver cDNA Synthesis Kit;Pharmacia Biotech)を用いてcDNAを合成した後、EcoRI adapterを連結した。0.7kbp以上のcDNAを1.0%低融点アガロースゲル(Sigma)を用いて分画し、NotIにて消化しpCOS1発現ベクター又はλExCellベクター(Pharmacia Biotech)のEcoRI/Not I siteに挿入し、直接発現クローニング(panningによるスクリーニング)に用いるライブラリー(ライブラリーA)及び免疫スクリーニング用のライブラリー(ライブラリーB)をそれぞれ構築した。
なお、pCOS1発現ベクターは、HEF-PMh-gγ1(WO92-19759参照)から、EcorIおよびSmaI消化により含有される遺伝子を削除し、EcoRI-NotI-BamHI Adaptor(宝酒造)を連結することにより構築した。
3)Panning
ライブラリーAをエレクトロポレーション法によりCOS−7細胞に導入した。すなわち、20μgのプラスミドDNA(5×105個の独立クローンを含む)を0.8mlの細胞(1×107細胞/ml in PBS)と混合し、Gene Pulser(Bio-Rad)を用いて1.5kV、25μFDの条件にてエレクトロポレーションを行った。室温にて10分間清置した後、細胞を10% FBS添加DMEM(GIBCO−BRL)に懸濁し4枚の100mm培養ディッシュに分け37℃にて72時間培養した。
培養後細胞をリン酸緩衝液(PBS)で洗浄し、5mM EDTAを含むPBSを加え細胞を剥がし、5% FBS、0.02% NaN3添加PBSにて1−2×106cells/mlの細胞懸濁液を調整した。続いて細胞は抗HM1.24抗体をコーティングしたpanningプレート(後述)上で2時間清置し、プレートを5% FBS、0.02% NaN3を含む3mlのPBSで穏やかに3回洗浄した。洗浄後、プレート上に結合した細胞から、Hirtの溶液(Hitt J.,Mol.Biol.26:365-369,1983)(0.6% SDS、10mM EDTA)を用いてプラスミドDNAを回収した。回収したプラスミドDNAは大腸菌内で増幅し、次のpanningに使用した。
Panningプレートの調製は次のようにして行った。3mlの抗HM1.24抗体溶液(10μg/ml in 50mM Tris−HCl、pH9.5)を60mmディッシュ(Falcon)に加え、室温にて2時間清置し、0.15M NaClにて3回洗浄した後、3mlの5% FBS、1mM EDTA、0.02% NaN3添加PBSを加え、室温にて2時間清置しブロッキングを行った。ブロッキング溶液を除去した後panningプレートは使用するまで−20℃で保存した。
5×105個のクローンを含むプラスミドライブラリー(ライブラリーA)を出発材料としてpanningを3回繰り返すことにより、約0.9kbpのcDNAをインサートとして持つプラスミドDNAが濃縮された。Dye Terminator Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems)を用いて373Aもしくは377DNA Sequencer(Applied Biosystems)により塩基配列の決定を行った結果、クローンP3.19は1,012bpのcDNAから成り、180アミノ酸をコードするオープンリーデングフレーム(23−549)を持つことが明らかとなった(図14及び図15)(配列番号:16)。このcDNAより予想されるアミノ酸配列はタイプIIの膜タンパクに特徴的な構造を示し、2箇所のN型糖鎖結合部位を有していた。
4)免疫スクリーニング
ライブラリーBは抗HM1.24抗体を用いた免疫スクリーニングに供した。すなわち、1.5×105個の独立クローンを含むファージライブラリーを大腸菌NM522(Pharmacia Biotech)と共に寒天上に重層し、42℃にて3.5時間培養した。培養後、プレート上に10mM IPTGで前処置したニトロセルロースフィルター(Schleicher & Schuell)を重ね、さらに37℃にて3時間培養した。Filterは0.05%(v/v)Tween−20添加TBS(20mM Tris−HCl、pH7.4、150mM NaCl)で洗浄した後、1%(w/v)BSA添加TBSを加え、室温にて1時間インキュベートしてブロッキングを行った。
ブロッキング後、抗HM1.24抗体溶液(10μg/mlブロッキング緩衝液)を加え、室温にて1時間インキュベートし、洗浄後、5,000倍希釈したアルカリホスファターゼ結合抗マウスIg抗血清(picoBlue Immunoscreening Kit;Stratagene)を加え、さらに室温にて1時間インキュベートした。抗体と反応したスポットは0.3mg/mlニトロブルーテトラゾリウム、0.15mg/ml 5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェートを含む発色溶液(100mM Tris−HCl、pH9.5、100mM NaCl、5mM MgCl2)にて発色させた。
免疫スクリーニングにより5個の陽性クローンが単離され、それら全てがP3.19の部分配列と一致した(図16)。ホモロジー検索の結果、P3.19は骨髄または滑膜ストローマ細胞に発現するBST−2(Ishikawa J.ら、Genomics,26;527-534,1995)の塩基配列と同一のものであることが明らかとなった。二通りのスクリーニング法により同一の分子が得られ、P3.19がコードする膜タンパクはHM1.24抗原分子であることを強く示唆している。
なお、前記ヒトHM1.24抗原タンパク質と同一の配列を有するヒトタンパク質をコードするDNAをpUCベクターのXba I切断部位間に挿入したプラスミドpRS38−pUC19を含有する大腸菌はEscherichia coli DH5 α(pRS38-pUC19)と命名され、平成5(1993)年10月5日に工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県つくば市東1丁目1番3号)に寄託番号FERM BP−4434として、ブダペスト条約に基づき国際寄託されている。
5)FACS解析
さらに、P3.19によってコードするタンパクが確かに抗HM1.24抗体と結合するのかを確認するために、P3.19を導入したCHO形質転換細胞株を樹立した。すなわち、P3.19クローンをエレクトロポレーション法によりCHO細胞に導入した後、500μg/mlのG418(GIBCO−BRL)の存在下で培養し、HM1.24抗原発現CHO細胞株を得た。
1×106個の培養細胞をFACS緩衝液(PBS(−)/2% FCS/0.1% NaN3)に懸濁し、HM1.24抗体を添加し、氷中で30分間反応した。FACS緩衝液で洗浄後、GAM−FITC溶液(25μg/ml in FACS緩衝液;Becton Dickinson)で再懸濁し、さらに氷中で30分間反応した。FACS緩衝液で2回洗浄した後、600μlのFACS緩衝液に再懸濁しFACScan(Becton Dickinson)にて測定した。
なお、陰性対照抗体としてUPC10を用いた。
FACS解析の結果、P3.19を導入したCHO細胞は抗HM1.24抗体と強く反応したのに対し、コントロールの発現ベクターのみを導入したCHO細胞(CHO/NEO)では有意な結合は認められなかった(図17)。したがって、P3.19によってコードされるタンパク質は抗HM1.24と結合することが確認された。
6)免疫沈降
細胞はPBS(−)で2回洗浄した後、細胞溶解緩衝法(50mM萌酸ナトリウム、150mM NaCl、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、1% Nonidet P-40、0.1mg/mlフェニルメチルスルホニルフルオリド、プロテアーゼ阻害剤カクテニル〔Boehringer Mannheim〕)内で超音波破砕を行い、可溶化画分を得た。可溶化画分は抗HM1.24抗体をコンジュゲートしたSepharose 4Bビーズに加えた。遠心後、沈殿物はSDS−PAGE(12% gel)により分離し、PVDF膜に転写した。PVDF膜は抗HM1.24抗体、続いてPOD-anti-mouse IgGと反応させた後、ECLキット(Amersham)を用いて検出を行った。
KPMM2,RPMI8226及びU266の各種ミエローマ細胞株はHM1.24抗原を強く発現し、これらの細胞溶解物を抗HM1.24抗体で免疫沈降を行うと、分子量が約29〜33kDaのタンパクが特異的に検出された(図18)。P3.19を導入したCHO細胞株(CHO/HM)においても同様の実験を行った結果、CHO/HM細胞においてもミエローマ細胞株と同様に免疫沈降物が確認され(図18、レーン4)、発現ベクターpCOS1のみを導入したコントロール細胞(CHO/NEO)ではそのような免疫沈降物は確認されなかった。(図18、レーン5)。
P3.19は180アミノ酸からなる推定分子量19.8kDaのタンパクをコードしており、2カ所のN型糖鎖結合モチーフが存在している(図14)。従って、免疫沈降により認められた分子量の異なったものの存在は、N型糖鎖の修飾の違いによることが考えられた。事実、免疫沈降物が数種のレクチンと結合することが確認されている。
配列表の説明
配列番号:1は、可溶性HM1.24抗原タンパク質の細胞外ドメインのアミノ酸配列及び塩基配列を示す。
配列番号:2は、リーダー配列、FLAGペプチド及び可溶性HM1.24抗原タンパク質からなる融合蛋白質のアミノ酸配列及び塩基配列を示す。1位のMetから18位のHisまではリーダー配列である。20位のAspから27位のLysまではFLAGペプチドである。28位のGlyおよび29位のThrはリンカーである。
配列番号:3は、HAペプチド及び可溶性HM1.24抗原タンパク質からなる融合蛋白質のアミノ酸配列及び塩基配列を示す。1位のTyrから9位のAlaまではHAペプチドである。28位のGlyおよび29位のThrはリンカーである。
配列番号:4は、HAペプチド及びC末端を欠失させた可溶性HM1.24抗原タンパク質からなる融合蛋白質のアミノ酸配列及び塩基配列を示す。1位のTyrから9位のAlaまではHAペプチドである。28位のGlyおよび29位のThrはリンカーである。
配列番号:5は、決定したCGM/HAの塩基配列及びペプチドのアミノ酸配列を示す。1位のTyrから9位のAlaまではHAペプチドである。
配列番号:6は、決定したCGM/HA-HM164のアミノ酸配列および塩基配列を示す。1位のMetから20位のCysまではリーダー配列である。22位のTyrから30位のAlaまではHAペプチドである。31位のGlyおよび32位のThrはリンカーである。33位のAsnから151位のAlaまではC末端を欠失させた可溶性HM1.24抗原タンパク質である。
配列番号:7は、プライマーCMV/Lの塩基配列を示す。
配列番号:8は、プライマーBGH-1の塩基配列を示す。
配列番号:9は、プライマーSol-1の塩基配列を示す。
配列番号:10は、プライマーSol-2の塩基配列を示す。
配列番号:11は、プライマーSol-3の塩基配列を示す。
配列番号:12は、リーダー配列及びFLAGペプチド配列を含む合成DNAペアの一方の塩基配列を示す。
配列番号:13は、12は、リーダー配列及びFLAGペプチド配列を含む合成DNAペアのもう一方の塩基配列を示す。
配列番号:14は、HAペプチド配列を含む合成DNAペアの一方の塩基配列を示す。
配列番号:15は、HAペプチド配列を含む合成DNAペアのもう一方の塩基配列を示す。
配列番号:16は、細胞膜上に発現するヒトHM1.24抗原タンパク質のアミノ酸配列および塩基配列を示す。
配列番号:17は、ヒト型化抗HM1.24抗体のL鎖V領域aバージョンのアミノ酸配列および塩基配列を示す。
配列番号:18は、ヒト型化抗HM1.24抗体のH鎖V領域rバージョンのアミノ酸配列および塩基配列を示す。
配列番号:19は、ヒト型化抗HM1.24抗体のH鎖V領域sバージョンのアミノ酸配列および塩基配列を示す。
産業上の利用可能性
本発明の免疫学的測定方法によれば、可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を約500pg/mlまで検出又は測定することが可能である。これまで、Cell Elisaで10ng/mlまでしか検出又は測定できなかった可溶性HM1.24抗原タンパク質又は抗HM1.24抗体を高感度で迅速に、しかも大量の被験試料を同時に測定することが可能となった。
また、本発明の可溶性HM1.24抗原タンパク質及びそれをコードするDNAは、抗HM1.24又は可溶性HM1.24抗原タンパク質の測定において有用である。
特許協力条約第13規則の2の寄託された微生物への言及及び寄託機関
寄託機関 名 称:工業技術院生命工学工業技術研究所
あて名:日本国茨城県つくば市東1丁目1−3
微生物(1) 表 示:Escherichia coli DH5α(pRS38-pUC19)
寄託番号:FERM BP-4434
寄託日:1993年10月5日
(2) 表 示:Mouse-mouse hydridoma HM1.24
寄託番号:FERM BP-5233
寄託日:1995年9月14日
(3) 表 示:Escherichia coli DH5α(pUC19-1.24L-gκ)
寄託番号:FERM BP-5646
寄託日:1996年8月29日
(4) 表 示:Escherichia coli DH5α(pUC19-1.24H-gγ1)
寄託番号:FERM BP-5644
寄託日:1996年8月29日
(5) 表 示:Escherichia coli DH5α(pUC19-RVLa-AHM-gκ)
寄託番号:FERM BP-5645
寄託日:1996年8月29日
(6) 表 示:Escherichia coli DH5α(pUC19-RVHr-AHM-gγl)
寄託番号:FERM BP-5643
寄託日:1996年8月29日
(7) 表 示:Escherichia coli DH5α(pUC19-RVHs-AHM-gγl)
寄託番号:FERM BP-6127
寄託日:1997年9月29日
配列表
配列番号:1
配列の長さ:399
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:2
配列の長さ:510
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:3
配列の長さ:445
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:4
配列の長さ:387
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:5
配列の長さ:85
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:6
配列の長さ:535
配列の型:核酸
鎖の数:二本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:7
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号:8
配列の長さ:20
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号:9
配列の長さ:27
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号:10
配列の長さ:28
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号:11
配列の長さ:30
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号:12
配列の長さ:106
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号:13
配列の長さ:106
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号:14
配列の長さ:37
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号:15
配列の長さ:36
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:合成DNA
配列
配列番号:16
配列の長さ:1014
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直線状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:17
配列の長さ:379
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:18
配列の長さ:418
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
配列番号:19
配列の長さ:418
配列の型:核酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:cDNA
配列
【配列表】
Claims (12)
- 可溶性HM1.24抗原タンパク質と被験試料中に含まれる抗HM1.24抗体とを反応させて、可溶性HM1.24抗原タンパク質に結合した抗HM1.24抗体を検出又は測定する工程を含む、抗HM1.24抗体の免疫化学的測定方法において、前記可溶性HM1.24抗原タンパク質が、
(a)配列番号:1に示されるアミノ酸配列のC末端から1〜 17 個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列を有する可溶性 HM1.24 抗原タンパク質;
(b)配列番号:1に示されるアミノ酸配列のC末端側から1〜17個のアミノ酸が欠失し、且つ、N末端側から1〜27個のアミノ酸が欠失した、アミノ酸配列を有するタンパク質;あるいは
(c)上記(a)又は(b)に記載のタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質;
である、抗HM1.24抗体の免疫化学的測定方法。 - 前記可溶性HM1.24抗原タンパク質が、支持体と結合していることを特徴とする、請求項1に記載の免疫化学的測定方法。
- 抗HM1.24抗体と被験試料中に含まれる可溶性HM1.24抗原タンパク質とを反応させて、抗HM1.24抗体に結合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を検出又は測定する工程を含む、可溶性HM1.24抗原タンパク質の免疫化学的測定方法において、前記可溶性HM1.24抗原タンパク質が、
(a)配列番号:1に示されるアミノ酸配列のC末端から1〜 17 個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列を有する可溶性 HM1.24 抗原タンパク質;
(b)配列番号:1に示されるアミノ酸配列のC末端側から1〜17個のアミノ酸が欠失し、且つ、N末端側から1〜27個のアミノ酸が欠失した、アミノ酸配列を有するタンパク質;あるいは
(c)上記(a)又は(b)に記載のタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質;
である、可溶性HM1.24抗原タンパク質の免疫化学的測定方法。 - 前記抗HM1.24抗体が、支持体と結合していることを特徴とする、請求項3に記載の免疫化学的測定方法。
- 前記可溶性HM1.24抗原タンパク質が、他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫化学的測定方法。
- 前記支持体がビーズ又はプレートであることを特徴とする、請求項2又は4に記載の免疫化学的測定方法。
- 可溶性HM1.24抗原タンパク質に結合した抗HM1.24抗体又は抗HM1.24抗体に結合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を、抗HM1.24抗体に対する一次抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質に対する一次抗体により検出又は測定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫化学的測定方法。
- 可溶性HM1.24抗原タンパク質に結合した抗HM1.24抗体又は抗HM1.24抗体に結合した可溶性HM1.24抗原タンパク質を、抗HM1.24抗体に対する一次抗体又は可溶性HM1.24抗原タンパク質に対する一次抗体及び該一次抗体に対する二次抗体により検出又は測定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫化学的測定方法。
- 一次抗体又は二次抗体が放射性同位元素、酵素、ビオチン/アビジン又は蛍光物質により標識されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の免疫化学的測定方法。
- 配列番号:1に示されるアミノ酸配列のC末端から1〜 17 個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列を有する可溶性HM1.24抗原タンパク質;あるいは配列番号:1に示されるアミノ酸配列のC末端側から1〜17個のアミノ酸が欠失し、且つ、N末端側から1〜27個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列を有する可溶性HM1.24抗原タンパク質。
- 請求項10に記載の可溶性HM1.24抗原タンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質。
- 請求項10又は11に記載の可溶性HM1.24抗原タンパク質をコードするか又は可溶性HM1.24抗原タンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質をコードするDNA 。
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