JP2001292787A - ヒト赤血球分化関連因子 - Google Patents

ヒト赤血球分化関連因子

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JP2001292787A
JP2001292787A JP2001059155A JP2001059155A JP2001292787A JP 2001292787 A JP2001292787 A JP 2001292787A JP 2001059155 A JP2001059155 A JP 2001059155A JP 2001059155 A JP2001059155 A JP 2001059155A JP 2001292787 A JP2001292787 A JP 2001292787A
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hedrf
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polynucleotide
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シュ ホンシャ
Walter Mahoney
マホニー ウォルター
Paula Schueler
シューラー パウラ
William D Harriman
ディー.ハリマン ウィリアム
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    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ヒト赤血球分化関連因子(hEDRF)、hEDRFを
コードするポリヌクレオチド、hEDRFに特異的な抗体、
並びにそれらの使用方法の提供。 【解決手段】 ヒト赤血球前駆体から得られた特定のア
ミノ酸配列と同一であるが、マウス由来相同体のアミノ
酸配列とは同一でない、少なくとも5個の連続したアミ
ノ酸を含むポリペプチド。該ポリペプチドをコードする
ポリヌクレオチド及び該ポリペプチドに対する特異的な
抗体を使用した分析方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤血球またはその
前駆体において生じるポリヌクレオチドおよびポリペプ
チドに関し、特に、新規タンパク質であるヒト赤血球分
化関連因子(human erythroid differentiation relate
d factor: hEDRF)、hEDRFをコードするポリヌクレオチ
ド、hEDRFに特異的な抗体、ならびにこれらの使用に関
する。
【0002】
【従来の技術】成熟赤血球になるまでの赤血球系経路の
過程に沿った細胞の分化は、ヒト恒常性にとって重要で
ある。多くのヒトの疾患は赤血球の異常な減少に関係し
ており、赤血球の発生を促進させることが有効である。
他のヒト疾患は、血液細胞またはその前駆体の異常増殖
に関係する。このような異常な現象が起こる場所を突き
止める、またはこれを修正するための新しい試薬を得る
ことは有益である。
【0003】赤血球系細胞は、脊椎動物の発生中に一連
の異なる部位で確立された少数の多能性造血幹細胞から
生じる。胎児性赤血球系細胞の産生はまず、卵黄嚢の血
島で起こる。ここで産生された細胞(「原始」赤血球細
胞と呼ばれる)は核を有し、発生中に一時的にしか存在
しない。発生の進行につれて赤血球系細胞産生の主要部
位は肝臓に引き継がれる。肝臓で産生された赤血球系細
胞は、「確定性(definitive)」赤血球系細胞と呼ば
れ、これは、哺乳動物では、脱核して胎児性赤血球を生
じる。出生の少し前に、赤血球形成(erythrogenesis)
の主要部位は、その永久的な場である骨髄に移行する。
【0004】確定性赤血球は、全ての血液細胞の源であ
る多能性幹細胞からの1つの分化経路の最終産物であ
る。多能性幹細胞はCFU-S(脾コロニー形成単位)を生
じ、このCFU-SはCFU-GEMM(混合コロニー形成単位)を
生じる。CFU-GEMMからはBFU-Eが派生し、赤血球分化経
路に託される。発生経路において、次はCFU-Eであり、
その次は前赤芽球である。この前赤芽球は、組織学的染
色に基づいて識別される一連のタイプの赤芽球を生じ
る。赤芽球は網状赤血球を生じ、これは脱核して赤血球
になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】赤血球分化経路におけ
る細胞に関連する新しい因子が発見された。約102個の
アミノ酸からなるオープンリーディングフレーム(OR
F)を含む赤血球前駆体からメッセンジャーRNAを得た。
このORFによりコードされるタンパク質を、ヒト赤血球
分化関連因子(hEDRF)と名付けた。本発明は、hEDRFお
よびhEDFR関連ポリペプチド、このようなポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド、ならびにhEDRFタンパ
ク質およびmRNAならびにそれを産生する細胞の位置付け
および正体を検出するのに使用することができる試薬を
提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】1つの実施形態におい
て、本発明はhEDRFポリペプチドを提供する。本発明に
より提供されるhEDRFポリペプチドには、プロ-hEDRDF
(即ち配列番号2のアミノ酸1〜102)、およびそのプロ
セシングされた形態(例えば配列番号2のアミノ酸6〜1
02、12〜102、13〜102、14〜102、および15〜102)、な
らびにhEDRFに関連するポリペプチドが含まれる。この
実施形態のポリペプチドは、マウス相同体mEDRFではな
くhEDRF配列に示される連続するアミノ酸と同じ少なく
とも約5個の連続するアミノ酸からなるセグメントを含
み得る。この実施形態はさらに、プロ-hEDRFおよび/ま
たはそのプロセシングされた形態に対して少なくとも約
65%の同一性および/または85%の類似性を有するポリ
ペプチドを含む。
【0007】他の実施形態において、本発明は、hEDRF
およびhEDRF関連ポリペプチドをコードするポリヌクレ
オチドを提供する。例としては、hEDRF cDNA中の配列と
同じ少なくとも約25個の連続したヌクレオチドを含む、
および/または本発明のポリペプチドのうちの1つをコ
ードする、ポリヌクレオチドがある。また本発明には、
配列番号1の配列(特に配列番号1のヌクレオチド113
〜418)を含むhEDRFをコードするDNAまたはRNAとハイブ
リダイズする単離されたポリヌクレオチドおよびその相
補体も含まれる。本発明のポリヌクレオチドは、(例え
ばヒト赤血球系細胞において)mRNAレベルでhEDRFの発
現を検出するために、またはhEDRFもしくはhEDRF関連ポ
リペプチドを産生するために、使用することができる。
【0008】他の実施の形態には、本発明のポリヌクレ
オチドを含む組換え宿主細胞、および本発明のポリヌク
レオチドを含む発現構築物を含む組換え宿主細胞が包含
される。
【0009】本発明の他の実施形態は、hEDRFおよび本
発明の他のポリペプチドに特異的な抗体を提供する。こ
れらの抗体は、(例えば対象となるヒトから採取したサ
ンプル中のhEDRFを検出/定量するために)例えば対応す
る抗原を分離または検出するために使用することができ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】発明を実施するための最良の形態 本発明者らは、赤血球系分化経路中の細胞を豊富に含む
ヒト組織を用いて作製したcDNAライブラリーから新規な
cDNAを単離した(配列番号1)。オープリーディングフ
レーム(ORF)の幾つかのマップが図1に表されてい
る。ORF1〜3は順方向であり、ORF4〜6はアンチセンス方
向である。ORF2は、102個のアミノ酸からなるタンパク
質をコードし、このORFによりコードされるタンパク質
を、ヒト赤血球分化関連因子すなわちhEDRF(配列番号
2)と名付けた。
【0011】図2は、コンピュータアルゴリズムMacVec
torTM(Version 6.0、Oxford Molecularより入手)によ
り予測した、翻訳されたhEDRFアミノ酸配列における特
徴を表す。N末端近くには多くの潜在的なシグナルペプ
チダーゼ切断部位がある。また、該配列に沿ってcAMP依
存性PKリン酸化部位およびカゼインキナーゼ部位があ
り、またC末端近くにはジンクフィンガーモチーフもあ
る。
【0012】本発明は、hEDRFに関連するポリヌクレオ
チド、ポリペプチドおよび抗体、ならびにこれらの使用
を包含する。以下の節でさらに詳しく記載する。
【0013】定義 「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」と
いう用語は交換して使用可能であり、任意の長さのヌク
レオチドからなるポリマー形態、つまりデオキシリボヌ
クレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはその類似体
を指す。これに含まれるものとしては、遺伝子、遺伝子
断片、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポ
リヌクレオチド、分岐状ポリヌクレオチド、プラスミ
ド、ベクター、単離されたDNAおよびRNA、核酸プロー
ブ、ならびにプライマーが挙げられる。ポリヌクレオチ
ドは、修飾されたヌクレオチド(メチル化ヌクレオチド
およびヌクレオチド類似体等)を含み得る。修飾は、該
ポリマーの構築の前または後に行うことができる。ヌク
レオチドの配列中には、非ヌクレオチド成分が間に介在
していてもよい。本明細書中で使用されるポリヌクレオ
チドという用語は、二本鎖または一本鎖分子のどちらも
指す。特に指定または必要がない限り、本発明(ポリヌ
クレオチド)の実施形態は、二本鎖形態、および該二本
鎖形態を形成することが分かっているまたは予測されて
いる2つの相補的な一本鎖形態のうちの各々、の両方を
包含する。
【0014】「ハイブリダイゼーション」とは、1以上
のポリヌクレオチドが反応してこれらのヌクレオチド残
基の塩基間の水素結合により安定化された複合体を形成
する反応を指す。水素結合は、ワトソン・クリック型塩
基対、フーグスティーン型塩基対、または他の配列特異
的様式によって起こり得る。ハイブリダイゼーション反
応は、より広範な方法(例えばPCR増幅の開始など)に
おける1ステップを構成しうる。
【0015】ハイブリダイゼーション反応は、異なる
「ストリンジェンシー」条件下で行うことができる。ハ
イブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを高め
る条件は広く知られている(例えばSambrookら、以下を
参照されたい)。ストリンジェンシーを高める条件の例
は以下のとおりである:インキュベーション温度を25
℃、37℃、50℃および68℃;バッファー濃度を10×SS
C、6×SSC、1×SSC、0.1×SSC(SSCは0.15M NaClおよび
15mMクエン酸緩衝液)および他のバッファー系を使用し
たこれらの同等物;ホルムアミド濃度を0%、25%、50
%および75%;インキュベーション時間を5分〜24時
間;洗浄ステップを1、2、またはそれ以上の回数;洗
浄インキュベーション時間を1、5または15分間;および
洗浄液を6×SSC、1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水;
とする。
【0016】ポリヌクレオチドの「安定な二本鎖(dupl
ex)」または生化学的反応において任意の2以上の成分
の間で形成された「安定な複合体」とは、その二本鎖ま
たは複合体の形成からその後の検出までの間持続するほ
ど十分長持ちする二本鎖または複合体を指す。該二本鎖
または複合体の成分は、可逆的または非可逆的に会合し
ていてもよいが、この会合は、形成時から検出時までの
間にどのような条件が存在してもまたは導入されても耐
え得るものでなければならない。
【0017】ポリヌクレオチド「プローブ」は、ハイブ
リダイゼーション反応により目的のサンプル中に潜在す
る標的ポリヌクレオチドを検出するための試薬である。
「プライマー」は、目的のサンプル中の鋳型ポリヌクレ
オチドにハイブリダイズしてその鋳型の増幅を促進す
る、遊離3’側OH基を一般に有するオリゴヌクレオチド
である。
【0018】「宿主細胞」とは、遺伝的に改変された、
または外来ポリヌクレオチド(例えば細菌プラスミドま
たは組換えベクターなど)の導入により遺伝的に改変す
ることができる、原核細胞または真核細胞を指す。遺伝
的に改変された細胞を指す場合、この用語は、実際に改
変された細胞およびその子孫の両方を指す。
【0019】「遺伝的な改変」とは、遺伝子エレメント
を有糸分裂または減数分裂以外の方法により細胞中に導
入するプロセスを指す。遺伝的な改変は、例えば、エレ
クトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法、ポリヌ
クレオチド-リポソーム複合体との接触、あるいはDNAも
しくはRNAウイルスまたはウイルスベクターを用いた導
入または感染等の任意の既知のプロセスにより、組換え
プラスミドまたは他のポリヌクレオチドで細胞をトラン
スフェクトすることによって行うことができる。改変さ
れた細胞の子孫によって遺伝的に継承され得る遺伝的改
変が導入されている場合、その細胞は「遺伝継承可能に
改変された」という。好ましくは、遺伝子成分がその細
胞中の染色体またはミニ染色体中に導入される。
【0020】「ポリペプチド」、「ペプチド」および
「タンパク質」という用語は本明細書中において交換可
能な形で使用され、任意の長さのアミノ酸からなるポリ
マーを指す。このポリマーは修飾されたアミノ酸を含ん
でも良く、線状または分岐状であってもよく、またその
中に非アミノ酸が介在するものであってもよい。またこ
の用語は、天然または介入(例えばジスルフィド結合形
成、グルコシル化、リピド化、アセチル化、リン酸化な
ど)により修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。
【0021】「融合ポリペプチド」は、その配列中に天
然で生じるのとは異なる位置に領域を含むポリペプチド
である。この領域は、通常は別々のタンパク質の中に存
在するものであって該融合ポリペプチド中において一緒
にされたもの、または同じタンパク質内に通常存在する
が該融合ポリペプチドにおいて新しい配置になっている
ものであってもよい。
【0022】本明細書中で使用される「抗体」という用
語は、イムノグロブリン分子、または特定の抗原に特異
的に結合する能力を有するイムノグロブリン分子のフラ
グメントを意味する。抗体は免疫学科学の当業者に周知
である。本明細書中で使用される「抗体」という用語
は、完全な抗体分子のみでなく、抗原結合能を保持する
抗体分子のフラグメントも意味する。このようなフラグ
メントも当業者には周知であり、in vitroおよびin viv
oの両方で通常使用される。特に、本明細書中で使用さ
れる「抗体」という用語は、任意のアイソタイプ(Ig
A、IgG、IgE、gD、IgM)の完全なイムノグロブリン分子
のみでなく、周知の活性(すなわち抗原結合性)を有す
るフラグメントF(ab’)2、Fab、Fv、scFv、Fd、VHおよ
びVLも意味する。抗体断片については例えば“Immunoch
emistry in Practice”(JohnstoneおよびThorpe編、19
96;Blackwell Science), p.69を参照されたい。「抗
体」という用語はさらに、一本鎖抗体、CDRを移植した
抗体、ダイアボディ(diabodies)、キメラ抗体、ヒト
化抗体、およびFab発現ライブラリーを含む。またこの
用語は、本発明の抗体および他のポリペプチドまたはポ
リペプチドの一部(「融合相手」)を含む融合ポリペプ
チドも含む。融合相手の例には、生物学的応答調節剤、
リンフォカイン、サイトカインおよび細胞表面抗原が含
まれる。「抗体活性」とは、イムノグロブリンの可変領
域の中に位置する抗原結合部位を介して、他の潜在的な
抗原よりも特定の抗原に優先的に結合する抗体の能力を
指す。
【0023】「単離された」ポリヌクレオチド、ポリペ
プチド、タンパク質、抗体または他の物質とは、天然の
形態でその物質と共に存在するまたはその物質が得られ
た原料の中に存在する他の成分の一部または全てが除去
または低減された、物質の調製物である。従って例え
ば、単離されたポリペプチドは、そのポリペプチドを原
料混合物から濃縮するための精製技術を用いて調製する
ことができる。濃縮は、絶対的な基準(例えば溶液の一
定体積あたりの重量等)に基づいて測定することもでき
るし、またその原料混合物中に存在する第2の潜在的干
渉物質(potentially interfering substance)に対し
て相対的に測定することもできる。濃縮は2、10、100お
よび1000倍と増えるほど好ましい。また物質は、(化学
合成または組換え発現などによる)人工的なアセンブリ
ーの方法により単離された状態で提供することもでき
る。
【0024】反応に使用されるポリヌクレオチド(例え
ばハイブリダイゼーション反応で使用されるプローブ、
PCRで使用されるプライマー、または医薬品調剤中に存
在するポリヌクレオチドなど)は、他の物質よりも意図
する標的により高頻度で、より速く、またはより長い時
間、ハイブリダイズまたは反応する場合は、「特異的」
または「選択的」であるという。同様に、抗体は、少な
くとも1つの抗原認識部位を介して他の物質よりも意図
する標的に、より高頻度で、より速く、またはより長い
時間結合する場合は、「特異的」または「選択的」であ
るという。
【0025】臨床的または生物学的「サンプル」は、被
験体から得られるin vitro処置(診断テスト等)におい
て有用な様々なサンプルタイプを包含することが理解さ
れよう。この定義は、外科手術、生検、または検死で得
られる固体組織サンプル、および液体サンプル(例えば
血液、髄液、骨髄穿刺液、羊水穿刺により得た液および
このような採集物から得た様々な画分(subfraction
s)、濃縮物または可溶化抽出物等)を包含する。「個
体」または「被験体」とは、無脊椎動物、特に哺乳動物
種のメンバー(家畜用動物、娯楽用動物および霊長類
(特にヒト)等)を指す。
【0026】本明細書中で使用される「含む」という用
語およびその同義語は、包括的な意味で使用される。つ
まり、「包含する」という用語およびそれに対応する同
義語と同等の意である。
【0027】「hEDRF」は、本明細書における開示の中
で記載されるように、ヒト赤血球分化関連因子である。
hEDRFおよびこれをコードするcDNAを作製および使用す
るために記載される方法は、本発明の他のペプチドおよ
びポリヌクレオチドにも適宜適用することができること
が理解されよう。
【0028】本明細書中において、特に複数であること
を記載していないものについて、文脈的に明らかに単数
を意味しているもの以外は、複数も含むことに留意され
たい。
【0029】一般技術 本発明の試薬のアセンブリーおよび実施は、分子遺伝
学、細胞生物学、生化学、免疫学および臨床医学の従来
技術と本明細書中に開示された手法および方法とを組み
合わせて用いる。適用される一般的な技法は、当業者が
実施できる範囲内であり、標準的な参考文献(特に以下
のもの)に説明されている。
【0030】分子遺伝学および細胞生物学の方法は、
“Molecular Cloning: A LaboratoryManual”, 第2版
(Sambrookら、1989);“Oligonucleotide Synthesi
s”(M.J.Gait編, 1984);“Animal Cell Culture”
(R.I. Freshney編, 1987);“Methods in Enzymolog
y”シリーズ(Academic Press, Inc.);“Gene Transf
er Vectors for Mammalian Cells”(J.M. Miller & M.
P. Calos編、1987);“Current Protocols in Molecul
ar Biology”および“Short Protocols in MolecularBi
ology、第3版”(F.M. Ausubelら編、1987 & 1995);
および“Recombinant DNA Methodology II”(R. Wu
ら、Academic Press 1995)に記載されている。本明細
書中に記載される試薬、クローニングベクター、および
様々なタイプの遺伝子操作用のキットは、BioRad、Stra
tagene、InvitrogenおよびClonTech等から市販されてい
る。
【0031】ペプチドの合成および操作の方法は、“So
lid Phase Peptide Synthesis”(J.M. Stewart & J.D.
Young, 1984);“Solid Phase Peptide Synthesis:A
Practical Approach”(E. Atherton & R.C. Sheppar
d, 1989);“The Chemical Synthesis of Peptides”
(J. Jones, International Series of Monographs onC
hemistry vol. 23, 1991);および“Solid Phase Pept
ide Synthesis”,(G. Barany & R.B. Merrifield, Chap
ter 1 of “The peptides”, 1979);および“Bioconju
gate Techniques”(G.T. Hermanson, 1996)に記載さ
れている。
【0032】抗体の作製、精製および改変、ならびにイ
ムノアッセイの設計および実施に用いられる一般的技術
については、Handbook of Experimental Immunology
(D.M.Weir & C.C. Blackwell編);Current Protocols i
n Immunology (J.E. Coliganら編、1991);David Wild
編、The Immunoassay Handbook (Stockton Press NY,19
94);ならびにR.Masseyeff, W.H. AlbertおよびN.A. St
aines編、Methods ofImmunological Analysis(Weinhei
m: VCH Verlags GmbH, 1993)を参照されたい。
【0033】本発明のポリヌクレオチドおよびそれらの
使用 本発明は、hEDRFのヒトmRNA配列(配列番号1)に関連
するヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、および
その相補体を提供する。ヒトの該配列はマウスの相同物
の配列(配列番号3に示され、GenBank受託番号AF06022
0として入手可能)とは異なる。また、hEDRFおよびアミ
ノ酸暗号の縮重の範囲内の本発明の他のポリペプチド
(ポリヌクレオチドの相補体を含む)をコードするポリ
ヌクレオチドも提供される。
【0034】本発明の特定のポリヌクレオチドは、配列
番号1に含まれる配列と全く同一であるか、または部分
的に同一である少なくとも1つのヌクレオチド配列を含
む。部分的に同一な領域は、一般には少なくとも10ヌク
レオチドであり、少なくとも25、50、100もしくは400ヌ
クレオチド長(順により好ましくなる)でありうる。配
列間で比較される領域の同一性の程度は、典型的には少
なくとも50%であり、また約70%、80%、90%、95%も
しくは100%の順でより好ましい。好ましくは、2つのポ
リヌクレオチド配列間の同一性は、BLAST(Altschul
ら、1990, J. Mol. Biol. 215(3): 403-410)、特にBLA
STN2を利用して算出される。BLASTおよびBLASTN2は、Na
tional Center for Biotechnology Information(NCBI)
により提供され、デフォルトパラメータ(例えば、マト
リックス 0 BLOSUM62、一致に対して+1、不一致に対し
て-2、開始および延長ギャップペナルティはそれぞれ5
および2、ギャップx_ドロップオフ50、ならびに文字列
の長さ10)を利用するものである。同一性の程度につい
てポリヌクレオチド間で比較を行う場合には、相補鎖が
容易に作製されることが暗に理解され、そして比較され
るポリヌクレオチド間の同一性の程度を最大化するセン
ス鎖またはアンチセンス鎖を選択または推測する。
【0035】本発明のポリヌクレオチドおよびオリゴヌ
クレオチド(特に以下に記載する約50ヌクレオチド長の
もの)は、本開示に提供される配列データを使用して化
学合成により適切に調製することができる。約50ヌクレ
オチド長よりも長い2本鎖ポリヌクレオチドは、化学合
成法、すなわち所望の配列のセグメントに対応するオリ
ゴヌクレオチドを合成し、次に該オリゴヌクレオチドを
アニーリングしてさらに長い分子を形成させることによ
って調製することもできる。この方法は、所望のポリヌ
クレオチドが天然に存在するhEDRF配列と数個以上のヌ
クレオチドが異なる場合(例えば、ポリヌクレオチドが
細菌などの非ヒト細胞において好ましいコドンの使用を
利用するように設計される場合)に好ましい。トリエス
テル法およびホスファイト法を含むいくつかの合成法が
当技術分野で公知である。一般的にポリヌクレオチドの
化学合成には、合成ポリヌクレオチドの伸長している末
端を脱保護し、続いて付加する保護化残基を化学的に結
合させるという反復サイクルが含まれる。好ましい方法
においては、ポリヌクレオチドをモノヌクレオシドホス
ホルアミダイト結合単位を用いた固相合成法により調製
する。例えば、Beaucageら(Tetra. Lett. 22: 1859, 1
981)、Kumarら(J. Org. Chem. 49: 4905)、および米
国特許第4,415,732号を参照のこと。
【0036】ポリヌクレオチドは分子生物学の手法によ
り取得することも可能である。最も好適なのは、ポリメ
ラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して本発明のポリヌ
クレオチドを取得する。本開示中に示される配列データ
を使用して、目的の配列にまたがるポリヌクレオチドプ
ライマーを設計する。mRNAもしくはcDNA鋳型は、hEDRF
をコードするmRNAを、好ましくは有意なレベルで発現す
ることが知られているまたは予測される供与源から選択
する。適切な組織の供給源には、ヒト骨髄、ヒト胎児肝
臓、および循環系前駆細胞などのあらゆる赤血球産生を
行う部位もしくは供与源が含まれる。PCR技術は当技術
分野で公知であり、一般的に鋳型がmRNAの場合には、1
以上のプライマーセットと、逆転写酵素もしくはDNAポ
リメラーゼなどの重合用触媒(特に、熱に安定なポリメ
ラーゼ酵素)を使用して、cDNAを合成し、次に鋳型cDNA
から目的の配列の複製コピーを作製することが含まれ
る。当技術分野に公知のように、PCR法を利用して本発
明に包含される変異ポリヌクレオチドを生成することも
できる。PCRについての方法は、例えば米国特許第4,68
3,195号および第4,683,202号に教示されている。
【0037】本発明のポリヌクレオチドは、従来のクロ
ーニング法により単離してもよい。このアプローチによ
って、本発明のポリヌクレオチドをcDNAもしくはゲノム
ライブラリーから単離し得る。当技術分野で公知のよう
に、本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズするよ
うに設計された標識ポリヌクレオチドプローブを用いて
cDNA(hEDRFを、好ましくは有意なレベルで産生すると
知られているもしくは予想される組織由来のもの)また
はゲノムライブラリーを分析する。プローブにハイブリ
ダイズするDNAインサートを含むクローンを、選択、精
製、および切断して、本発明のポリヌクレオチドを遊離
させる。
【0038】機能タンパク質のコード領域を有する本発
明のポリヌクレオチドは、かかるタンパク質を組換え発
現法により産生させるために使用し得る。これについて
は以下の節で記載する。かかるポリヌクレオチドはま
た、それによりコードされるタンパク質が治療薬である
場合には治療用途の可能性も有する。したがって本発明
は、本発明のポリヌクレオチドを含む発現構築物、なら
びにかかる発現構築物を含む宿主細胞もまた包含する。
【0039】本発明の特定のポリヌクレオチドは、分化
経路における細胞に関与するhEDRFをコードするmRNAに
ハイブリダイズする能力を有するため重要である。これ
によって、目的の被験体からmRNAを含むサンプルを取得
し、場合により該mRNA(もしくはmRNAから得られたcDN
A)を増幅し、そして次にhEDRFをコードする配列が存在
するかどうかを判定することにより、hEDRFの発現を判
定することが可能になる。この目的に好ましいポリヌク
レオチドは、該サンプルに存在するhEDRFをコードするD
NAもしくはRNAと、該サンプルに存在する他のDNAもしく
はRNAより優先して、安定なハイブリッドを形成する。
【0040】hEDRFをコードする配列を検出するための1
つの方法は、hEDRFをコードするmRNAもしくはかかるmRN
Aから得られたcDNAと特異的にハイブリダイズするプロ
ーブを使用することである。当業者であれば、標的配列
をより適切に区別する場合に、より長い一致配列を有す
るポリヌクレオチドが好ましいことを理解するだろう。
該配列が長くなるほど、鎖1つ当たり多くの標識部分を
組み込むことができ、またそれを特異的に同定するため
に標的に対して厳密に同一である必要も無い。しかしな
がら、一般的に該配列が短くなるほど、より多くの組織
に影響するようになり、またハイブリダイゼーション速
度論的にもさらに迅速になる。通常プローブは、標識、
またはハイブリダイゼーション反応の前もしくはその後
に標識が結合し得る手段を含む。標識を結合するための
手段には、アビジンもしくはストレプトアビジンと結合
するビオチン部分、抗ハプテン抗体と結合するハプテ
ン、および特に、相補配列を有する試薬ポリヌクレオチ
ドとハイブリダイズするポリヌクレオチド配列(場合に
より分枝状もしくはフォーク状)が含まれ、いずれも最
大限に標識の結合を導くものである。適切な標識には、
放射性同位体、蛍光色素、化学発光性化合物、染料、お
よびタンパク質(酵素など)が含まれる。プローブを使
用して単離されたmRNAもしくはDNAのブロット中の特定
の配列を検出し得る。またプローブを使用してin situ
において特定の配列を局在化することもできる。
【0041】サンプル中のhEDRFをコードする配列を検
出するための他の方法は、該コード配列に特異的なプラ
イマーを使用して、PCR反応において該配列を増幅する
ことである。PCRプライマーとしての使用に好ましいオ
リゴヌクレオチドは、好ましくは10〜100ヌクレオチド
長であり、より典型的には15〜50ヌクレオチド長であ
る。ネステッドプライマーは特異性のさらなるレベルを
提供し得る。サンプル間の比較の際には、増幅されたDN
A量を元のサンプルの鋳型hEDRF配列の量と相関させる。
【0042】本発明のポリペプチド 本発明は、配列番号2に対して同一、部分的に同一、ま
たは相同的なアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供す
る。ヒトの配列は、配列番号4に示されるマウスの相同
物の配列とは異なる。2つの配列の比較を図3に示す。
【0043】hEDRFの翻訳後プロセシングには、シグナ
ルペプチダーゼもしくは他のタンパク質分解性プロセシ
ング酵素による分泌シグナルの切断が含まれ得る。いく
つかの潜在的なシグナルペプチダーゼ切断部位は、該タ
ンパク質配列に存在し、発達段階およびhEDRFタンパク
質を産生する細胞の種類に従って選択的に使用され得
る。したがって本発明は、配列番号2の残基1〜102、6
〜102、12〜102、13〜102、14〜102、および15〜102を
含むポリペプチド、ならびに所望の活性を有するその他
の断片を包含する。種々の組織および発達段階由来の成
熟hEDRFのN末端の同定は、当業者により慣例的に決定さ
れ得る。一般的に成熟hEDRFは、残基33より上流からの
合成断片に対して生じさせた抗体を用いたアフィニティ
ー単離法により、可溶化、溶解、または破壊されたヒト
組織源から単離される。続いてシグナルペプチダーゼ切
断部位は、N末端アミノ酸配列決定および/または質量
分析法により決定され得る。
【0044】本発明の特定のポリペプチドには、配列番
号2に含まれる配列に対して同一または相同的な少なく
とも1つのアミノ酸配列が含まれる。この同一または相
同な領域は、一般的に少なくとも約5、8、10、15、25、
もしくは100アミノ酸長(順に好ましさが増す)であ
る。配列間で比較される領域の同一性の程度は、典型的
には少なくとも65%、80%、90%、95%もしくは100%であ
り、この順に好ましさが増す。あるいは、配列間の比較
される領域の相同性の程度は、典型的には少なくとも85
%、90%、95%もしくは100%であり、この順に好ましさが
増す。特に好ましくは、hEDRFの成熟もしくは分泌形態
に含まれる配列に対して厳密に同一もしくは相同な領域
を有するポリペプチドである。同一性および相同性の判
定は、好ましくはBLAST(Altschulら、1990, J. Mol. B
iol. 215(3): 403-410)、特にBLASTP2を利用して行
う。BLASTおよびBLASTP2は、National Center for Biot
echnology Information(NCBI)により提供され、デフォ
ルトパラメータ(例えば、マトリックス 0 BLOSUM62、
ギャップ開始および延長ペナルティはそれぞれ11および
1、ギャップx_ドロップオフ50、ならびに文字列の長さ
3)を利用するものである。BLASTP2は、インターネット
を介してアクセス可能である(http://www.ncbi.nlm.ni
h.gov/BLAST/)。「連続した」アミノ酸を意味する場合
を除いて、場合により配列はアライメントの改善のため
合理的な数のギャップまたは挿入を含み得る。
【0045】本発明には、天然に存在するhEDRFのアミ
ノ酸とは1つ以上のアミノ酸が異なるタンパク質が含ま
れる。いくつかのアミノ酸置換はさらに容易に許容され
る。例えば、疎水性側鎖、芳香族側鎖。極性側鎖、正も
しくは負電荷を有する側鎖、または炭素原子を2つ以下
含む側鎖を有するアミノ酸の、類似した特性の側鎖を有
する他のアミノ酸による置換は、2つの配列の相同性を
妨害することなく生じ得るものである。相同性領域の決
定方法、および相同性の程度のスコアリング方法は公知
である。例えば、Altschulら(前掲)を参照のこと。十
分に許容可能な配列の相違は、「保存的置換」と呼ば
れ、非保存的置換よりも好ましいものである。好ましい
配列は、受容体−リガンド結合のアフィニティーおよび
特異性、特異的抗体との反応性、ならびにX線結晶構造
などの判断基準による、基準ポリペプチドの機能性を保
存している。
【0046】本発明のポリペプチドは、当技術分野で公
知の任意の方法により調製することができ、該方法に
は、限定するものではないが、天然源からの精製、化学
合成、無細胞翻訳系もしくは宿主細胞における該ポリペ
プチドをコードするポリヌクレオチドの発現が含まれ
る。約30以下のアミノ酸長である短いポリペプチドは、
配列データから化学合成により都合よく調製される。好
ましい方法は、C末端アミノ酸を固相に結合し、ペプチ
ドをN末端に向かって伸長させる、固相合成法である。
該方法には、固相上の伸長しているタンパク質を脱保護
し、そして次のアミノ酸を結合するステップの反復が含
まれる。付加するアミノ酸を、F-Moc、Boc、Dde、トリ
チルなどの基によりαカルボキシ以外を保護し、固相ペ
プチド以外との反応を防止する。付加の後、αアミノ基
を適切な試薬を用いて脱保護し、このサイクルを反復し
て行う。ペプチドが完成した後で、アミノ酸側鎖を脱保
護し、ペプチドを樹脂から切断する。一般的には、H. D
ugas, C. Penney, BioorganicChemistry, Springer-Ver
lag, New York, pp54-92 (1981)を参照のこと。
【0047】ポリペプチドは長いほど、適切な組換え発
現系を用いてより都合よく調製される。該組換え発現系
では、本発明のポリペプチドをコードするコード鎖DNA
配列を適切なプロモーターと機能し得る形で連結し、そ
れを発現ベクター中に挿入し、そして適切な宿主細胞に
トランスフェクトする。次にその宿主細胞を、該タンパ
ク質の転写および翻訳を可能にする条件下で培養し、続
いて該タンパク質を回収および精製する。Maniatisら、
Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Sprin
g Harbor Press, Cold Spring Harbor Laboratory, Col
d Spring Harbor, N.Y. (1989)、またはCurrent Protoc
ols in Molecular Biology (1989)および補遺を参照の
こと。
【0048】本発明のタンパク質は、直接発現により、
またはさらに大きな融合タンパク質の一部分として、そ
の後に所望の部分の酵素的もしくは化学的切断を行うこ
とにより作製し得る。本発明のタンパク質は、完全長形
態(すなわち配列番号2の1〜102)、プロセシングを受
けた形態(配列番号2の6〜102、12〜102、13〜102、14
〜102、および15〜102)またはそれらの断片でありう
る。特定の部位でポリペプチドを切断する(トリプシン
など)か、またはペプチド鎖のアミノ末端もしくはカル
ボキシ末端からペプチドを消化する(ジアミノペプチダ
ーゼなど)、種々のペプチダーゼが公知である。さら
に、特定の化学物質(臭化シアンなど)はポリペプチド
鎖を特定の部位で切断する。Carter P., Site Specific
Proteolysis of Fusion Proteins, 「Protein Purific
ation: From Molecular Mechanismsto Large Scale Pro
cesses」中第13章, American Chemical Soc., Washingt
on,D.C. (1990)を参照のこと。
【0049】一般的には、本発明のタンパク質(または
他の配列に融合した本発明のタンパク質)をコードする
ポリヌクレオチドを、適切な制限エンドヌクレアーゼを
使用して適切な組換えDNA発現ベクター中に挿入する。
制限エンドヌクレアーゼ部位は、天然に存在する部位で
あってもよいし、または当業者に公知の任意の方法(部
位特異的突然変異誘発、PCRまたはポリヌクレオチドへ
のリンカー/アダプターのライゲーション)により導入
された合成部位であってもよい。あるいはポリヌクレオ
チドは、都合のよい制限酵素部位を組み込むおよび/ま
たは意図する宿主細胞についてコドン使用法を最適化す
るよう設計された合成配列であってもよい。使用する特
定のエンドヌクレアーゼは、使用しようとする親発現ベ
クターの制限エンドヌクレアーゼ切断パターンにより決
定される。制限部位の選択は、制御配列とコード配列が
適正な配向をとり、適切なインフレーム読み取りおよび
タンパク質の発現が達成されるように行われる。
【0050】前記ポリヌクレオチドを任意の適切な発現
ベクター中に挿入し得る。発現ベクターは、いくつかの
形態で作成され、限定するものではないが、プラスミ
ド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、およびウイル
スベクターが含まれる。一般的に発現ベクターは、ベク
ターを増殖させる生物において少なくとも活性であり、
また組換え宿主細胞においても活性であることが多い自
律的複製部位を含む。また発現ベクターは典型的に、形
質転換細胞において表現型選択を提供し得るマーカー配
列、例えば、陽性選択マーカー(例えば、抗生物質耐性
遺伝子(bla、tet R、もしくはhygRなど)または栄養要
求性を相補する遺伝子(trpもしくはDHFRなど))およ
び/あるいは陰性選択マーカー(例えば、単純ヘルペス
ウイルス1型チミジンキナーゼ)を含む。発現ベクター
はまた、転写開始および転写終止に必要な配列(例え
ば、プロモーター、シャイン・ダルガーノ配列、リボソ
ーム結合部位、転写終止部位)を含み、また場合により
転写をモジュレートする配列(例えば、SV40エンハンサ
ーもしくはlacリプレッサー)を含んでもよく、また必
要であればプロセシングを指令する配列、例えばイント
ロンもしくはポリアデニル化部位を含んでもよい。
【0051】本発明のポリヌクレオチドを、正しい配向
と発現ベクターの転写制御配列との関係で発現ベクター
中に挿入し、プロモーターおよびリボソーム結合部位か
らの転写を可能にする。そのどちらも、タンパク質が発
現される宿主細胞において機能性である必要がある。転
写制御配列は、好ましくは誘導性である(すなわち、培
養条件を変更することによりモジュレートされうる。例
えば大腸菌のlacオペロンまたは哺乳動物細胞のメタロ
チオネインプロモーターなど)。そのような発現ベクタ
ーの例としては、Belagajeらの米国特許第5,304,493号
に記載のプラスミドがある。該参照文献に記載のA-C-B
プロインスリンをコードする遺伝子は、制限酵素NdeIお
よびBamHIによりプラスミドpRB182から除去され得る。
本発明のタンパク質をコードする遺伝子は、NdeI/BamHI
制限断片カセットにおいてプラスミド骨格に挿入し得
る。
【0052】微生物宿主は通常、本発明のタンパク質の
組換え発現に好ましく、一般的に使用される任意の微生
物宿主を使用し得るが、それには、W3110(原栄養性、A
TCC番号27325)などの大腸菌、枯草菌、および、サルモ
ネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)また
はセラチア・マルセスカン(Serratia marcescans)な
どの他の腸内細菌科、ならびに種々のシュードモナス種
が含まれる。他には、真核生物宿主細胞を使用し得る
が、それにはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomy
ces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンブ(Schi
zosaccharomycespombe)などの酵母、ならびにさらに高
等な真核生物、例えば真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞
(Sf9など)、および哺乳動物細胞(COS、CHOなど)が
含まれる。
【0053】完全な発現構築物を、CaCl2トランスフェ
クション法、Ca2PO4トランスフェクション法、ウイルス
形質導入法、脂質媒介型トランスフェクション法、エレ
クトロポレーション法、弾道(ballistic)トランスフ
ェクション法などの当技術分野で公知の任意の適切な方
法により組換え宿主細胞中に導入する。発現構築物の導
入後、一般的には組換え宿主細胞を、発現構築物の存在
についての選択に適切な条件下で培養(例えば、bla含
有発現構築物を有する細菌宿主についてはアンピシリン
の存在下で培養)するか、あるいは任意の適切な手段
(例えば、hEDRF特異的抗体を用いた蛍光活性化セルソ
ーター(FACS))によりタンパク質の発現について選択
してもよい。
【0054】選択および適切な単離手法(例えば、再画
線培養または限界希釈クローニング)の後、組換え宿主
細胞を当技術分野に公知の任意の適切な技術を使用して
製造規模で培養する。発現ベクター中のプロモーター/
エンハンサーが誘導性である場合には、培養が適当な細
胞密度に達した後にタンパク質の発現が誘導されるが、
そうでない場合には細胞は回収に適した密度に達するま
で増殖させる。本発明の組換えタンパク質の回収は、当
業者には明らかなように、組換え宿主細胞、発現構築
物、および本発明のタンパク質をコードするポリヌクレ
オチドの正確な性質に応じて行う。分泌型タンパク質を
もたらす発現構築物に関しては、通常は培養器から培地
を除去することにより該タンパク質を回収するが、タン
パク質の細胞内蓄積を引き起こす発現構築物では、一般
的には細胞を回収し溶解させ、発現されたタンパク質を
遊離することが必要である。
【0055】細菌発現系において高レベルで発現される
タンパク質は、高レベルで過剰発現されたタンパク質を
含有する顆粒もしくは封入体に凝集する特徴を有する。
該タンパク質凝集物を、例えば強力な変性溶液(グアニ
ジニウム−HClなど)を、可能であれば還元剤(ジチオ
トレイトール(DTT)など)と共に使用して可溶化して、
所望のタンパク質産物の精製および単離をさらに提供す
る。可溶化したタンパク質を「再折りたたみ」反応後に
活性形態で回収する。この反応には一般的に変性剤濃度
の低下および酸化剤の添加が含まれる。一般的にタンパ
ク質の再折りたたみに適用可能と考えられるプロトコル
は当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第4,511,
502号、第4,511,503号、および第4,512,922号に開示さ
れている。
【0056】本発明のタンパク質は、以下に記載する抗
体の製造に利用し得る。
【0057】本発明のタンパク質は、目的の医薬化合物
を同定するスクリーニングアッセイにおいても有用であ
る。本発明のタンパク質を、好ましくは「一次」スクリ
ーニングとして使用して、hEDRFに結合する化合物につ
いてのスクリーニングにより、さらなる特性決定のため
の化合物を同定する。
【0058】抗体 本発明は、hEDRFおよび本明細書に開示される他のポリ
ペプチドに特異的な抗体を提供する。
【0059】本発明のポリクローナル抗体は、典型的に
はhEDRFまたは本発明のポリペプチドの1種を免疫原形態
で哺乳動物宿主に投与することにより生成させる。本発
明のポリペプチドは、油中水型浸液などのアジュバント
と共に、特に、最初の投与に関してはフロイント完全ア
ジュバントと共に、そして追加免疫に関してはフロイン
ト不完全アジュバントと共に投与することが好ましい。
典型的には調製物を種々の部位に投与し、また典型的に
は少なくとも4週間のクールにわたって2回以上の投与を
行う。血清を採取し、特異的抗体の存在について試験す
る。
【0060】本発明のモノクローナル抗体はいくつかの
異なる技術により調製し得る。ハイブリドーマ技術につ
いては、一般的にHarrowおよびLane(1988)、米国特許第
4,491,632号、第4,472,500号、および第4,444,887号、
ならびにMethods in Enzymology, 73B: 3(1981)が参照
されている。伝統的なモノクローナル抗体技術には、前
段落に記載のように免疫された動物から回収した抗体産
生細胞の不死化およびクローニングが含まれる。該細胞
は、例えば、非産生性ミエローマとの融合、エプスタイ
ン‐バーウイルスによる感染、または発癌性DNAによる
形質転換により不死化し得る。処理した細胞をクローン
化し、培養して、所望の特異性を有する抗体を産生する
クローンを選択する。特異性の試験は、いくつかの技法
により、例えばイムノアッセイにおいて免疫化抗原を検
出試薬として用いて、培養上清に対して行う。続いて選
択クローンからのモノクローナル抗体の供給を、大量の
培養上清から精製してもよいし、または該クローンを注
射した宿主動物の適切に調製された腹水液から精製して
もよい。
【0061】モノクローナル抗体を得るための他の方法
には、イムノコンピテント細胞もしくはウイルス粒子と
本発明のタンパク質とを接触させることが含まれる。こ
れに関連して「イムノコンピテント」とは、細胞もしく
は粒子が、さらなる遺伝子再構成を行うことなく抗原に
特異的な抗体を発現しているかまたは発現することがで
き、かつ抗原の提示によって細胞混合物から選択され得
ることを意味する。イムノコンピテント真核細胞は、免
疫化哺乳動物ドナーから採取してもよいし、または免疫
していないドナーから採取し、免疫原および免疫刺激増
殖因子の存在下で培養することによりin vitroで予備刺
激してもよい。所望の特異性を有する細胞は、特異的ク
ローンの増殖は起こるが非特異的クローンの増殖は起こ
らない培養条件下において免疫原と接触させて選択し得
る。イムノコンピテントファージは、それらの表面上に
免疫グロブリン可変領域セグメントを発現するように構
築してもよい。Marksら、New Engl. J. Med. 335: 730,
1996;国際特許出願番号94/13804号、92/01047号、90/
02809号;ならびにMcGuinnessら、Nature Biotechnol.
14: 1149, 1996を参照のこと。所望の特異性を有するフ
ァージは、例えば、固相に結合させたhEDRF(もしくは
免疫学的等価物)への付着により選択し、続いて大腸菌
中で増幅させ得る。
【0062】抗体は、硫酸アンモニウム沈降法、弱い陰
イオン交換樹脂(DEAEなど)上でのイオン交換クロマト
グラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ
ー、およびゲル濾過クロマトグラフィーなどの慣用の生
化学分離手法を組み合わせて行って、血清、細胞上清、
溶解物、もしくは腹水液から精製し得る。
【0063】得られた抗体は、hEDRFと反応する能力の
みではなく、診断目的のサンプル中に存在する潜在的な
交差反応性物質との低い交差反応性についてもスクリー
ニングまたは精製するのが好ましい。必要であれば、該
交差反応性物質を用いて、または目的のタンパク質につ
いて枯渇させた細胞集団からの抗原抽出物を用いて、不
必要な活性をポリクローナル抗血清から吸着して除去し
てもよい。
【0064】特定の抗体が結合するエピトープは、フラ
グメントを取得し、抗体が結合する能力を試験すること
によりマッピングし得る。例えば、完全な配列を含み、
そして8残基が重複している、12アミノ酸の連続したペ
プチドを調製する。該ペプチドは、GenosysのSPOTS(商
標)キットを製造業者の指示に従って使用して、F-Moc化
学作用によりナイロン膜支持体上で調製し得る。次に調
製された膜を抗体で被覆し、洗浄し、そしてβ−ガラク
トース結合抗ヒトIgGで被覆する。試験は基質であるX-g
alを添加して開始する。陽性染色は、抗体により認識さ
れた抗原フラグメントを示す。続いて該フラグメントを
使用して、目的のエピトープを認識する他の抗体を得る
ことができる。同じエピトープを認識する2種の抗体
は、標準イムノアッセイにおいて結合に関して競合す
る。
【0065】本発明の抗体の特定の好ましい実施形態に
は、抗体e9またはe11のVHおよび/またはVLを含有する
抗体が含まれる。さらに好ましい抗体には、抗体e9また
はe11由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含有す
る抗体が含まれる。抗体e9およびe11は、実施例2に記
載のようにヒトscFvライブラリーから単離された。e9お
よびe11の配列を図4および図5に示し、それぞれの図
においてCDRは四角で囲ってある。
【0066】抗体は、例えば、当技術分野で公知の任意
のイムノアッセイにおいて抗体を使用することにより、
ヒト被験者由来のサンプル中における本発明のタンパク
質の存在を判定するために使用し得る。典型的には、か
かる方法には、被験者からサンプルを取得し、抗体−抗
原複合体の形成が可能な条件下において該サンプル中の
タンパク質と抗体とを接触させ、そして形成された複合
体を判定することが含まれる。これは、液相イムノアッ
セイまたは免疫組織化学的染色法において抗体を使用す
ることにより行い得る。イムノアッセイは、複合体化し
た抗体を過剰な試薬から分離する分離型のアッセイであ
る。一例としてはサンドウィッチアッセイまたは沈降ア
ッセイがあり、それは抗原を1種の抗体を用いて捕捉ま
たは沈降させ、そして放射性標識(125Iなど)または酵
素標識(アルカリ性ホスファターゼなど)を有する第2
抗体を使用して検出するものである。あるいは、試薬混
合物中で形成された抗原−抗体複合体を、物理化学的特
性により、例えばゲル濾過法により分離してもよい。イ
ムノアッセイはまた、第1抗体に対する抗原の結合によ
って測定可能なシグナル(色の変化など)が提供され
る、均一系タイプであってもよい。特に強力な均一系の
アッセイ系は、米国特許第4,708,929号に記載のクロー
ン化酵素ドナーイムノアッセイ(CEDIA(登録商標))で
ある。免疫組織化学法には、組織サンプルの切片を特異
的な抗体で被覆し、洗浄し、そして次に組織中の抗原に
結合したあらゆる抗体を検出することが含まれる。これ
は、例えば、適切な標識を有する抗免疫グロブリン試薬
で被覆することにより行われる。続いて組織中の抗原の
位置は、顕微鏡レベルで標識検出法により決定し得る。
【0067】ヒト被験者におけるhEDRFの検出もしくは
定量は、赤血球細胞の同定もしくは定量を所望する場合
であればいつでも実施し得る。
【0068】免疫組織化学的レベルにおけるhEDRFの定
量は、新規赤血球細胞の産生に寄与する組織部位の可能
性を評価する点に価値があり得る。
【0069】本発明の抗体はまた、固相もしくは液相イ
ムノアフィニティー法により、ヒト組織もしくは組換え
源からhEDRFおよび他のペプチドを精製するために使用
し得る。典型的な方法においては、抗体をCNBr活性化セ
ファロース(登録商標)などの固相に結合させる。ペプチ
ド源を固相抗体と接触させ、そして固相を洗浄して混入
物質を除去する。次にペプチドを、1M KSCNまたは0.1M
グリシンバッファー、pH2.5などの適切な溶出溶剤を使
用して回収する。
【0070】
【実施例】実施例1:hEDRFの発現パターン hEDRFの発現パターンを種々のハイブリダイゼーション
技法により研究した。完全なクローン(345-7aと称す
る)をハイブリダイゼーション試験に使用した。
【0071】ノーザンブロッティングを使用して、hEDR
F発現の組織分布を決定した。RNAをいくつかの供与源
(いくつかの事例では、供与源のプール)から単離し、
アガロースゲル上で分離し、ニトロセルロースにトラン
スファーした。ブロットは、ランダムプライミング法で
作製した32P標識345-7aにより、標準ハイブリダイゼー
ション法および洗浄条件を用いて検出した。
【0072】図6は、代表的なノーザンブロットを示
す。レーンは、左から右へ順に、RNA分子量マーカー、
ブランク、成体肝臓RNA(AL2/3)のプール、16週齢の胎
児肝臓RNAのプール、成体骨髄RNA(BM7)のプール、溶
解サンプルから調製した成体末梢血RNA(PBA3)のプー
ル、非溶解サンプルから調製した成体末梢血RNA(PBA
1)のプール、10〜12週齢の胎児肝臓由来の胎児血RNAの
プール、および満期産の胎盤由来のRNAプールをローデ
ィングしたものである。胎児肝臓および肝臓由来の胎児
血のレーンにおける強力なシグナル、ならびに成体骨髄
からのシグナルに留意されたい。このことは、発現パタ
ーンが赤血球細胞と関連したことを示している。
【0073】実施例2:hEDRFに対する抗体 精製された345-7aペプチド:(NH2-Asn-Tyr-Tyr-Arg-Gln
-Gln-Val-Thr-Gly-Glu-Pro-Gln-Glu-Arg-Asp-Lys-Ala-L
eu-Gln-Glu-Leu-Arg-Gln-Glu-Leu-Asn-Thr-Leu-Ala-Asn
-Pro-Phe-Leu-Ala-Lys-Tyr-Arg-Asp-Phe-Leu-Lys-Ser-H
is-Glu-Leu-Pro-Ser-His-COOH、配列番号9)を使用し
て、天然ヒトscFvライブラリーからhEDRFに特異的な抗
体を選択した。該ライブラリーは、Griffithsら(1993,
EMBO J. 12(2): 725-734)に記載のGriffin.1であっ
た。
【0074】345-7aペプチドを、EZ-Link NHS-エステル
ビオチン化キット(Pierce, #21420)を製造業者の指示
に従って使用して、ペプチド1つ当りビオチン分子3個の
レベルでビオチン化した。このビオチン化ペプチドを、
抗体選択用試薬として使用するためにストレプトアビジ
ン被覆磁性粒子(M-280, Dynal)に結合させた。1%ウ
シ血清アルブミン(BSA)を含有する1mlのリン酸緩衝化
生理食塩水(PBS)中にて、200μlの磁性粒子を100μg
のビオチン化345-7aペプチドと共に室温にて1時間イン
キュベートした。0.05% Tween 20を含有するPBSを用い
てペプチド/ストレプトアビジン被覆磁性粒子を3回洗
浄することにより未結合ペプチドを除去した。抗体選択
用試薬を100μlのPBSに再懸濁した。
【0075】500μlの抗体ライブラリー(5×1012pfu)
を、200μlの未結合ストレプトアビジン磁性粒子と共に
インキュベートして、該粒子と結合するウイルス粒子を
吸着して取り出した。粒子を取り出し、そして抗体選択
用試薬と共に吸着したファージを振とうしながら2時間
インキュベートすることにより選択の第1ラウンドを行
った。(ファージが結合した)抗体選択用試薬は、磁性
アフィニティーにより溶液から分離し、20回洗浄した
(0.05% Tween 20を含有するPBS中)。付着したファー
ジは、100μlの100mMトリエチルアミン中で5分間インキ
ュベートすることにより抗体選択用試薬から溶出し、磁
性粒子から分離し、そして20μlの1M Tris,pH7,4を添加
して中性化した。ファージ溶液を使用して大腸菌TG1細
胞に感染させ、それをアンピシリン含有培地上で平板培
養した。コロニー数を計数し、次に選択したファージの
プールは、プレートからかき取り、得られた培養物をア
ンピシリンおよびグルコース含有2×YT培地中で1時間イ
ンキュベートし、続いてヘルパーファージM13K07の存在
下でさらに1時間インキュベートし、次にその培養物を
アンピシリンおよびカナマイシンを含有(50μg/ml)す
る10容量の2×YTで希釈し、そして30℃にて16〜18時間
インキュベートすることにより増幅させた。培養上清中
のファージは、氷上で30分間にわたり1/5容量の20%ポ
リエチレングリコール(PEG)、2.5M NaClの添加によっ
て沈殿した。沈殿したファージを遠心分離(10,000×g
にて20分間)を行って回収し、続いてPBS中に再懸濁し
てファージ濃縮原液を作成した。
【0076】選択の第2ラウンドは、ストレプトアビジ
ンと結合するファージの選択を最小限に抑えるアビジン
磁性粒子を使用して、増幅されたファージに対して行っ
た。増幅後、ファージを再びストレプトアビジン磁性粒
子を使用する選択の第3ラウンドにかけた。
【0077】選択の第3ラウンドからの個々のコロニー
は、ストレプトアビジン被覆プレートに結合させたビオ
チン化345-7aペプチドを用いたELISAアッセイで試験し
た。ストレプトアビジン被覆96ウエルプレートはPierce
から入手し、そして1μg/mlビオチン化374-7aペプチド
と共にインキュベートした。個々のファージクローン
を、アンピシリンおよびグルコース含有2×YT中で単一
コロニーを2時間インキュベートし、ヘルパーファージ
を添加し、続いて感染した細胞をアンピシリンおよびカ
ナマイシン含有2×YT中で30℃にて一晩増殖させること
により、96ウエルプレート中で増殖させた。各ウエル中
で150μlのファージ上清を2時間インキュベートした(3
45-7aペプチドで被覆されていないプレートは対照とし
て扱った)。ファージ上清とのインキュベート後、ウエ
ルをPBSで洗浄し、そして西洋ワサビペルオキシダーゼ
(HRP)結合抗M13抗体(Sigma)と共に1時間インキュベ
ートし、続いて色素産生基質である2,2'-アジノ-ビス(3
-エチルベンズチアゾリン-6-スルホン酸)(ABTS, Sigm
a)による顕色を行って検出した。
【0078】陽性クローンはまず、PCR/制限フィンガ
ープリント分析法により分析した。ベクター骨格配列に
対し特異的なPCRプライマーを使用して、ELISAにおいて
試験し、陽性であったファージそれぞれからDNAを増幅
し、そして増幅されたDNAを制限酵素BstN1により消化し
た。2つの異なるクローンをこの手法により同定し、e9
およびe11と命名した。2つの別個のクローンそれぞれか
らの代表的なファージにより、この2つのクローンの異
なる部分のscFv遺伝子の可変領域の完全なDNAの配列決
定を行った。
【0079】e9およびe11を、溶液中の345-7aの結合に
ついて試験した。e9およびe11 scFvを、ベクターにより
提供されるscFv上のHis6タグを介してニッケル充填NTA
アガロースビーズに吸着させた。該ビースを洗浄し、次
に10μg/ml 345-7aペプチドを含有する溶液中でインキ
ュベートし、次いで再度洗浄した。結合した345-7aペプ
チドをローダミン標識ストレプトアビジンを用いて検出
した。e9およびe11吸着ビーズの両方が345-7aペプチド
と結合した。
【0080】e11を、そのVH遺伝子、次いでVL遺伝子を
連続的にFab発現ベクターVODOX-1にクローニングするこ
とにより、scFvから組換えFabに変換した。Fab e11は、
上述の溶液結合アッセイにより測定されたように345-7a
結合活性を保持していた。
【0081】Fab e11を細胞および組織に対する結合に
ついて試験した。18週齢のヒト胎児肝臓由来の胎児肝臓
細胞を固定させずに、またはCaltag LaboratoriesのFix
& Permキット(#GAS003)を製造業者の指示に従って用い
て固定/浸透化させて、e11Fab(10μg/ml)と共に、ま
たは抗トランスフェリン(α-Tfr)Fabと共にインキュ
ベートした。結合をローダミン標識第2抗体により検出
した。e11は固定/浸透化細胞のみを標識し、このこと
はe11が細胞質タンパク質に対し特異的であることを示
している。α-Tfr Fabは、細胞表面タンパク質を示す斑
点状染色パターンを有し、固定していない細胞および固
定/浸透化細胞の両方を標識した。
【0082】本明細書に記載した全ての刊行物および特
許出願を、その個々の刊行物もしくは特許出願それぞれ
が明示的かつ個々に参照により組み入れられるのと同様
に、参照により本明細書に組み入れる。
【0083】本発明を本明細書において完全に記載した
が、本明細書に示された記載が例示を意図するものであ
り、本発明を限定するものではないことが理解されるだ
ろう。当業者であれば、添付した特許請求の範囲の精神
から逸脱することなく改変を組み入れ得ることを容易に
理解するだろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒト組織から得たクローニングしたcDNAのマッ
プであり、hEDRFのコード領域と共に示した図である。
【図2】hEDRFのタンパク質配列(配列番号2)を、コ
ンピュータアルゴリズムにより予測される潜在的な対象
となる幾つかの特徴と共に表す。上のパネルは潜在的な
シグナルペプチダーゼ切断部位を示し、下のパネルは潜
在的な機能的モチーフを示す。
【図3】マウス相同体(配列番号4)と比較したhEDRF
のタンパク質配列(配列番号2)の比較である。これら
の相同体間で同一の残基は、ピリオド(.)で表す。こ
れらの配列は約63%同一である。
【図4】抗-hEDRF抗体e9のヌクレオチド配列および推定
アミノ酸配列(配列番号5〜6)を示す。ヌクレオチド
配列には位置番号を付与してある。
【図5】抗-hEDRF抗体e11のヌクレオチド配列および推
定アミノ酸配列(配列番号7〜8)を示す。ヌクレオチ
ド配列には位置番号を付与してある。
【図6】選択した組織の、hEDRF発現についてプローブ
したノーザンブロットの模写を示す。左から右に向かっ
て、RNA分子量マーカー、ブランク、成人肝臓RNAのプー
ル(AL2/3)、16週齢胎児肝臓RNAのプール、成人骨髄RN
Aのプール(BM7)、細胞溶解サンプルから調製した成人
末梢血RNAのプール(PBA3)、非細胞溶解サンプルから
調製した成人末梢血RNAのプール(PBA1)、10〜12週齢
胎児肝臓に由来する胎児血液RNAのプール、および満期
胎盤(term placenta)に由来するRNAのプールを、レー
ンにローディングした。
【図7】hEDRFの完全ヒトcDNAを、hEDRFタンパク質をコ
ードする第2オープンリーディングフレーム(ORF2)の
翻訳と共に示す。3つ連続したアスタリスク(「**
*」)は、停止コドンを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12Q 1/68 A C12P 21/02 G01N 33/53 D C12Q 1/68 C12P 21/08 G01N 33/53 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 A (72)発明者 ウォルター マホニー アメリカ合衆国 94510 カリフォルニア 州 ベニシア,ウェスト エイチ ストリ ート 794 (72)発明者 パウラ シューラー アメリカ合衆国 94510 カリフォルニア 州 ベニシア,ウェスト エイチ ストリ ート 794 (72)発明者 ウィリアム ディー.ハリマン アメリカ合衆国 94501 カリフォルニア 州 アラメダ,バーバーズ ポイント ロ ード 2861

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2に示される連続したアミノ酸
    と同一であるが、配列番号4に示される連続したアミノ
    酸とは同一でない、少なくとも5個の連続したアミノ酸
    を含むポリペプチド。
  2. 【請求項2】 配列番号2に示される連続したアミノ酸
    と同一である、少なくとも8個の連続したアミノ酸を含
    むポリペプチド。
  3. 【請求項3】 配列番号2のアミノ酸15〜102に対して
    少なくとも約65%の同一性を有するアミノ酸配列を含
    む、請求項2記載のポリペプチド。
  4. 【請求項4】 配列番号2に示される配列に対して少な
    くとも約65%の同一性を有するポリペプチド。
  5. 【請求項5】 配列番号2に示される配列に対して少な
    くとも約85%の相同性を有するポリペプチド。
  6. 【請求項6】 配列番号2のアミノ酸15〜102に対して6
    5%の同一性を有するポリペプチドをコードする単離さ
    れたポリヌクレオチド、または該ポリヌクレオチドの相
    補体。
  7. 【請求項7】 配列番号1に示される連続したヌクレオ
    チドと同一である、少なくとも25個の連続したポリヌク
    レオチドを含む単離されたポリヌクレオチド、または該
    単離されたポリヌクレオチドの相補体。
  8. 【請求項8】 配列番号1の少なくとも約100個の連続
    したヌクレオチドが少なくとも約90%の同一性を有する
    請求項7記載の単離されたポリヌクレオチド、または該
    単離されたポリヌクレオチドの相補体。
  9. 【請求項9】 配列番号2のアミノ酸15〜102に対して6
    5%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌ
    クレオチドを含む宿主細胞。
  10. 【請求項10】 配列番号2に示される配列に対して少
    なくとも約65%の同一性を有するポリペプチドの生産方
    法であって、宿主細胞中で該ポリペプチドをコードする
    ポリヌクレオチドを発現させることを含む、前記方法。
  11. 【請求項11】 ヒト被験者におけるヒト赤血球分化関
    連因子(hEDRF)の発現の検出方法であって、以下のス
    テップ: a)被験者からDNAもしくはRNAを含有するサンプルを取
    得し、そして場合により該DNAもしくはRNAを増幅するス
    テップ、 b)前記DNAもしくはRNAを請求項11記載のポリヌクレ
    オチドと接触させるステップ、および c)前記ポリヌクレオチドを検出するステップ、を含
    む、前記方法。
  12. 【請求項12】 配列番号2に示される配列に対して少
    なくとも約65%の同一性を有するポリペプチドに特異的
    な抗体。
  13. 【請求項13】 ヒト被験者におけるヒト赤血球分化関
    連因子(hEDRF)の検出方法であって、以下のステッ
    プ: a)被験者からタンパク質を含むサンプルを取得するス
    テップ、 b)前記タンパク質を、配列番号2に示される配列に対
    して少なくとも約65%の同一性を有するポリペプチドに
    特異的な抗体と接触させるステップ、および c)結合した抗体を検出するステップ、を含む、前記方
    法。
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