JP4426728B2 - Ganp蛋白質 - Google Patents
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Description
本発明は、キナーゼ活性を有する新規な蛋白質及び該蛋白質をコードする遺伝子に関するものである。
背景技術
末梢リンパ系組織(peripheral lymphoid organs)の抗原特異性B細胞の活性化及び成熟は膜IgRに結合する抗原により開始される(Rajewsky,Nature(Lond.).,381:751−758,1996; Sakaguchi et al.,Adv.Immunol.54:337−392,1993)。B細胞は免疫後48時間以内に動脈周囲リンパ鞘(PALS)(Rajewsky,Nature(Lond.).,381:751−758,1996)の外側に入り、特異的Th細胞との共同刺激に依存性の相互作用及び樹状細胞の指状突起会合を開始する(MacLennan,Annu.Rev.Immunol.,12:117−139,1994; Liu et al.,Immunol.Rev.,156:111−126,1997)。抗原に誘導されたB細胞はPALSの外側で増殖し、次にリンパ濾胞でさらに活性化され、胚中心(以下、本明細書において「GC」と略す場合がある。)が確立される(Han et al.,J.Immunol.,155:556−567,1995; Jacob et al.,J.Exp.Med.,176:679−687,1992; Kelsoe,Immunity,4:107−111,1996)。このB細胞は成熟して、細胞周期の間に迅速に動き回って暗領域を形成する大型のslg−セントロブラスト(中心芽細胞)となり、さらに成熟して表面の独特な特徴であるPNA+B220+slgM+slgD−CD38−をGCの明領域に発現するセントロサイト(中心細胞)となる(Kosco−Vilbois et al.,Immunol.Today,18:225−230,1997; Kelsoe,Immunol,Today,16:324−326,1995; Oliver et al.,J.Immunol.,158:1108−1115,1997)。
セントロサイトはおそらくアポトーシス又は免疫グロブリンV領域の親和性成熟のいずれかの過程と、IgGクラス抗原へのクラススイッチの変化過程とを受けているが、一部のセントロサイトは記憶B細胞としてリンパ様画分中に長期間生存するようになる。その他のセントロサイトはおそらくGCの周辺帯に遊走し、さらなる抗原刺激と、CD40やCD38などのB細胞活性化分子及び種々のB細胞刺激性サイトカインのレセプターを経る共同刺激シグナルとを受ける(Gray et al.,J.Exp.Med.,180:141−155,1994; Foy et al.,J.Exp.Med.,180:157−163,1994)。この領域でさらに刺激される抗原特異性B細胞は、おそらく、様々な他の免疫担当細胞が抗原誘導B細胞と相互作用する可能性がある脾臓の間質性領域(赤脾髄と呼ばれる。)内に遊走する。数種の自己免疫マウスの組織化学的分析によって、形質細胞として、又はモット細胞(Mott cells)と呼ばれる異常型の形質細胞として現れるこの領域に独特の抗体産生細胞が同定された(Tarlinton et al.,Eur.J.Immunol.,22:531−539,1992; Jiang et al.,J.Immunol.,158:992−997,1997)。
自己免疫は、自己/非自己の識別障害が抗原特異性リンパ球において頻繁に起こる現象である(Theofilopoulos,Immunol.Today,16:90−98,1995)。種々の自己免疫疾患の免疫系において、T細胞及びB細胞に関係する複合的なメカニズムが認められる(Theofilopoulos et al.,Adv Immunol.,37:269−290,1985; Okamoto et al.,J.Exp.Med.,175:71−79,1992; Reininger et al.,J.Exp.Med.,184:853−861,1996; Theofilopoulos et al.,Immunol.Rev.,55:179−216,1981; Watanabe−Fukunaga et al.,Nature(Lond.).,356:314−317,1992; Takahashi et al.,Cell,76:969−976,1994; Shlomchik et al.,Nature(Lond.).,328:805−811,1987)。
NZB系及びNZW系は、(NZB x NZW)F1系マウスとして、重篤な自己免疫状態であるSLEを引き起こす多数の遺伝的因子によって特徴づけられている(Theofilopoulos et al.,Adv.Immunol.,37:269−290,1985; Okamoto et al.,J.Exp.Med.,175:71−79,1992; Reininger et al.,J.Exp.Med.,184:853−861,1996; Theofilopoulos et al.,Immunol.Rev.,55:179−216,1981)。NZB系マウスでは、自己免疫性溶血性貧血を引き起こす抗赤血球抗体によって、自己免疫状態が自然発生的に形成され(Okamoto et al.,J.Exp.Med.,175:71−79,1992)、NZW系マウスは潜行性の自己免疫現象を示す(Reininger et al.,J.Exp.Med.,184:853−861,1996)。(NZB x NZW)F1系マウスのSLE状態は、明らかにT細胞及びB細胞に関連する多数の遺伝的因子によって引き起こされている(Theofilopoulos et al.,Immunol.Rev.,55:179−216,1981)。NZB系マウスはB細胞の明らかな異常を示すが、NZB系マウスにおける異常B細胞活性化の分子的メカニズムは解明されていない。
発明の開示
このようなB細胞の成熟に関連する分子の問題を検討するため、本発明者らはマウスのB細胞系統であるWEHI−231系の細胞内成分に対するモノクローナル抗体を作製した。この細胞系はNZB系の遺伝的背景を有しており、29−15と命名したモノクローナル抗体は、末梢リンパ系組織のGC−B細胞で発現が増強される分化抗原を認識するものである。この29−15モノクローナル抗体を用いて、本発明者らは末梢リンパ系組織における抗原の発現を検討したところ、この抗原は高免疫マウスのGCの明領域で増強される分化抗原として特徴づけられた。NZB系マウスの脾臓では、GANP抗原を高度に発現するIgM産生形質細胞が自己免疫の開始以前に現れるが、この発現が末梢免疫応答及び自己抗体による自己免疫を理解するために重要な分子挙動であることが示唆された。
本発明者らは、胚中心のセントロサイトで選択的に発現が増強される上記抗原を確認すべく研究を行ない、単離したcDNAプローブ(ganpプローブ)を用いたイン・サイチュ(in situ)RNAハイブリダイゼーションによって、29−15モノクローナル抗体で染色される領域においてganp mRNAの発現が増加することを確認した。また、その遺伝子産物であるGANP蛋白質が細胞質及び核内に局在する210kDの蛋白質であり、酵母の転写調節遺伝子SAC3と構造的に類似することを確認した。抗IgM抗体及び抗CD40抗体でB細胞を活性化したところ、GANP蛋白質に結合してくるキナーゼの量が増加した。これらの結果から、GANP蛋白質は、ある自己免疫状態において異常B細胞分化のシグナル変換に関与する可能性があることが示唆された。本発明はこれらの知見を基にして完成された。
すなわち、本発明は、配列表の配列番号1または配列番号3に記載のアミノ酸配列により特定されるGANP蛋白質を提供するものである。本発明により、配列表の配列番号1または配列番号3に記載のアミノ酸配列において、一又は複数のアミノ酸が欠失し、一又は複数のアミノ酸が他のアミノ酸で置換され、及び/又は一又は複数の他のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列からなり、かつGANP蛋白質と同質のキナーゼ活性を有するGANP変異蛋白質が提供される。本発明により、上記GANP蛋白質又はGANP変異蛋白質のアミノ酸配列の全長をその部分配列として含むポリペプチドが提供される。
別の観点からは、本発明により、前記のGANP蛋白質又はGANP変異蛋白質をコードするポリヌクレオチドが提供される。代表的なポリヌクレオチドは哺乳類動物由来のGANP蛋白質をコードするDNAであり、それらのうち、哺乳類動物が有する遺伝子DNAが好ましい。最も好ましいポリヌクレオチドの例は、配列表の配列番号2(マウス由来のGANP蛋白質をコードするDNA配列)または配列番号4(ヒト由来のGANP蛋白質をコードするDNA配列)に記載された塩基配列により特定される。
また、本発明により、前記ポリヌクレオチドのアンチセンス鎖の塩基配列からなるアンチセンスポリヌクレオチド又は該アンチセンスポリヌクレオチドの誘導体が提供される。さらに、本発明により、前記ポリヌクレチドチド又は前記アンチセンスポリヌクレオチドのうちの一部であって、連続する12以上の塩基からなるポリヌクレオチド又はアンチセンスポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオチド又は前記アンチセンスポリヌクレオチドを化学修飾したポリヌクレオチド又はアンチセンスポリヌクレオチドが提供される。
さらに別の観点から、本発明により、配列表の配列番号2または配列番号4に記載の塩基配列からなるDNAあるいは他の哺乳類動物由来のホモログであるDNAを取得する方法であって、前記のポリヌクレオチド又はアンチセンスポリヌクレオチドをプローブとして、哺乳類動物のcDNAライブラリーから該プローブとハイブリダイズするcDNAを取得する方法が提供される。該cDNAの長さはGANP遺伝子とほぼ同じ長さであり、それがコードする蛋白質は約210kDa程度である。また、本発明により、前記の方法により得られたcDNA及びそれがコードするGANP蛋白質が提供される。
本発明の別の観点からは、GANP蛋白質又はGANP変異蛋白質を認識する抗体が提供される。
発明を実施するための好ましい形態
本発明のGANP蛋白質の代表例は、配列表の配列番号1または配列番号3に示すアミノ酸配列により特定される蛋白質であり、210kDaの分子量を有し、かつキナーゼ活性を有することにより特徴付けられる。本発明により提供されるGANP変異蛋白質は、配列番号1または配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1個ないし数個、好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜10個、最も好ましくは1〜5個程度のアミノ酸残基が、置換、挿入、及び/又は欠失したアミノ酸配列により特定され、かつ配列番号1または配列番号3に示すアミノ酸配列により特定されるGANP蛋白質と実質的に同様なキナーゼ活性を有する。これらのGANP変異蛋白質はいずれも本発明の範囲に包含される。配列表の配列番号1または配列番号3に示すアミノ酸配列により特定される蛋白質及びそのホモログは、当該蛋白質が由来する哺乳類動物の胚中心のセントロサイトで選択的に発現が増強される蛋白質である。
通常、GANP蛋白質又はGANP変異蛋白質の活性ドメインは、全長のアミノ酸配列のN−末端及び/又はC−末端からアミノ酸残基を欠失させたポリペプチドを製造し、そのポリペプチドのキナーゼ活性を測定することにより容易に確認することができる。本発明により提供されるポリペプチドは、GANP蛋白質及びGANP変異蛋白質の活性ドメインからなるポリペプチド、及び該活性ドメインからなるポリペプチドを部分配列として含むポリペプチドであり、GANP蛋白質と実質的に同様なキナーゼ活性を有する。また、本発明により提供される別のポリペプチドは、GANP蛋白質又はGANP変異蛋白質のアミノ酸配列の全長をその部分配列として含むポリペプチドであり、GANP蛋白質と実質的に同様なキナーゼ活性を有する。
本発明により提供されるポリヌクレオチドは、DNA及びRNAのほか、DNA又はRNAに化学修飾を施したポリヌクレオチドをすべて包含している。本明細書において用いられる「ポリヌクレオチド」という語は、天然に存在しないものを含めて最も広義に解釈しなければならない。本発明により提供されるポリヌクレオチドの代表例は、上記のGANP蛋白質又はGANP変異蛋白質をコードするDNA又はRNAである。また、本発明のポリヌクレオチドの別の例は、アンチセンスポリヌクレオチドである。
遺伝暗号の縮重を利用して、ポリヌクレオチドから生産されたポリペプチドのアミノ酸配列を変えることなく、該ポリヌクレオチドの塩基配列の少なくとも一部の塩基を他の種類の塩基に置換することができることは当業者に周知である。したがって、本発明のポリヌクレオチドには、GANP蛋白質又はGANP変異蛋白質をコードする全てのポリヌクレオチドが包含される。本発明の好ましい遺伝子の例として、配列表の配列番号2にマウス由来のGANP蛋白質をコードする遺伝子を示し、また配列番号4にヒト由来のGANP蛋白質をコードする遺伝子を示した。なお、GANP変異蛋白質のアミノ酸配列は、該変異体をコードする遺伝子の塩基配列から決定することが可能である。例えば、市販のプログラム(例えば、MacVector(登録商標、イーストマンケミカル社製)やGenetix(ソフトウェア開発社製)を用いて行うことができる。
本発明の範囲には、GANP蛋白質をコードするポリヌクレオチドのアンチセンス鎖の塩基配列からなるアンチセンスポリヌクレオチド及びその誘導体が包含される。アンチセンスポリヌクレオチドは上記ポリヌクレオチドの一態様として提供されるが、本明細書において、特にアンチセンス鎖の塩基配列からなるポリヌクレオチドであることを明示する場合に「アンチセンスポリヌクレオチド」という場合がある。該アンチセンスポリヌクレオチドは、GANP蛋白質をコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズすることが可能であり、それがハイブリダイズするポリヌクレオチドがコード領域のポリヌクレオチドであれば、該ポリヌクレオチドがコードするポリペプチドの生合成を阻害することが可能である。
ポリペプチドの生合成を阻害するためのアンチセンスポリヌクレオチドは、12塩基以上からなることが好ましい。一方、細胞内に全長のアンチセンスポリヌクレオチドを取り込ませるためには、必要以上に長い配列は好ましくない。細胞内にアンチセンスポリヌクレオチドを取り込ませ、GANP蛋白質の生合成を阻害する場合には、12塩基以上30塩基以下、好ましくは15塩基以上25塩基以下、より好ましくは18塩基以上22塩基以下の塩基からなるアンチセンスポリヌクレオチドを用いるのがよい。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチド又はその誘導体には、天然に存在するか否かにかかわらず、塩基、リン酸、及び糖からなるヌクレオチドが複数結合したものが全て包含される。代表的なものは、天然型のアンチセンスDNA及びアンチセンスRNAである。非天然型のポリヌクレオチドとしては、例えば、メチルフォスフォネート型やフォスフォロチオエート型などのポリヌクレオチドを挙げることができる。本発明のアンチセンスポリヌクレオチドについて、当業者に利用可能なアンチセンス技術を用いて、目的のDNAやmRNAとの結合力、組織選択性、細胞透過性、ヌクレアーゼ耐性、細胞内安定性などに優れた様々なアンチセンスポリヌクレオチド誘導体が得られる。
一般的には、ハイブリダイズのし易さの点では、RNAのループを形成している領域の塩基配列に相補的な塩基配列を持つアンチセンスポリヌクレオチド又はその誘導体を設計することが好ましい。従って、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド及びその誘導体についても、RNAのループ領域にハイブリダイズするものは好ましい例である。また、翻訳開始コドン付近、リボソーム結合部位、キャッピング部位、又はスプライス部位の配列に相補的な配列を有するようなアンチセンスポリヌクレオチドは、一般に高い発現抑制効果が期待できる。したがって、本発明のアンチセンスポリヌクレオチド又はその誘導体であって、GANP蛋白質をコードする遺伝子の翻訳開始コドン付近、リボソーム結合部位、キャッピング部位、及び/又はスプライス部位の相補的な配列を含むものは、発現抑制効果の観点から好ましい態様である。
現在、一般的に知られているポリヌクレオチド誘導体のうち、ヌクレアーゼ耐性、組織選択性、細胞透過性、結合力の少なくとも一が高められた誘導体として、好ましくはフォスフォロチオエート結合を骨格構造として有する誘導体を挙げることができる。本発明のポリヌクレオチド及びその誘導体には、これらの機能又は構造を有する誘導体が含まれる。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドのうち、天然型のアンチセンスポリヌクレオチドについては、化学合成機を使用して合成するか、GANP蛋白質をコードするDNAを鋳型とするPCR法により製造することができる。また、メチルフォスフォネート型やフォスフォロチオエート型などのポリヌクレオチド誘導体は、通常、化学合成により製造することができる。この場合には、化学合成機に添付されている説明書に従って操作を行い、得られた合成産物を逆相クロマトグラフィー等を用いたHPLC法により精製することが可能である。
本発明のGANP蛋白質をコードするポリヌクレオチド、そのアンチセンスポリヌクレオチド又はそれらの一部(例えば、連続する12以上の塩基からなるポリヌクレオチド)であるポリヌクレオチドは、哺乳類動物のcDNAライブラリーからGANP蛋白質をコードするDNAをスクリーニングするためのプローブとして使用可能である。このような目的には、連続する15塩基以上の塩基配列からなるポリヌクレオチドが特に好ましい。プローブとして用いる該ポリヌクレオチドは誘導体であってもよい。通常、前記の塩基数以上の配列は特異性のある配列であると認識されている。
配列表の配列番号2または配列番号4に記載の塩基配列のうちの連続する12以上の塩基からなるDNA又は該DNAにハイブリダイズするポリヌクレオチド(アンチセンスポリヌクレオチド)は、GANP蛋白質をコードするDNAをcDNAライブラリー等からスクリーニングするためのプローブとして使用可能である。
また、本発明のGANP蛋白質をコードするポリヌクレオチド若しくはそのアンチセンスポリヌクレオチド、又はそれらの一部であるポリヌクレオチドをプローブとして、各組織由来のmRNAについてノーザンブロットハイブリダイゼーションを行うことにより、GANP遺伝子由来のmRNAが発現している組織を見出すことが可能である。さらに12以上の塩基からなるポリヌクレオチドはポリメラーゼ・チェーン・リアクション(PCR)のプライマーとして用いることができ、PCRによりGANP蛋白質をコードするポリヌクレオチドが得られる。また、プライマーを適宜選択することで、GANP蛋白質の任意の一部をクローニングすることができる。
該プローブを用いたスクリーニングにおいて使用するcDNAライブラリーとしては、mRNAから作製されたものが好ましく使用できる。これらのcDNAライブラリーからランダムサンプリングにより選択された一群のcDNAを検索の試料とすることができる。また、cDNAライブラリーとしては市販のものも使用可能である。
前記で得たGANP遺伝子とハイブリダイズするcDNAを適当なベクター(例えば、pGEX−4T−1ベクター)に挿入した後、宿主(例えば、大腸菌)に導入することで形質転換体を作製することができる。ベクターの種類及び宿主の種類は特に限定されないが、宿主の種類に応じて適宜の発現用ベクターを選択して用いることが可能である。宿主としては、大腸菌等の細菌類、酵母、又は動物細胞のいずれも使用可能である。組換えベクターを大腸菌等の適当な宿主に導入して形質転換体を得る方法は特に限定されず、当業者に利用可能な方法はいずれも適用可能である。
本発明のGANP遺伝子を導入した形質転換体を培養して遺伝子DNAの増幅又は蛋白質の発現を行わせ、GANP蛋白質を製造することが可能である。形質転換体の製造及び培養については各種の成書及び報告があり、種々の手段が開発され、当業界で汎用されている。従って、当業者は本明細書に記載された塩基配列に基づいてGANP蛋白質を容易に製造することが可能である。細胞に遺伝子を導入する手法として、塩化カルシウム法、リポフェクション法、プロトプラスト法、エレクトロポーレーション法などを用いることができる。
培養物から目的蛋白質の分離及び精製は当業者に利用可能な手段を適宜組み合わせて行うことができる。例えば、必要に応じて濃縮、可溶化、透析、各種クロマトグラフィー等の操作を行うことにより、本発明のGANP蛋白質を効率よく回収及び精製することが可能である。より具体的には、免疫沈降法、塩析法、限外濾過法、等電点沈殿法、ゲル濾過法、電気泳動法、イオン交換クロマトグラフィー法、疎水性クロマトグラフィー法や抗体クロマトグラフィー法等の各種アフィニティークロマトグラフィー、クロマトフォーカシング法、吸着クロマトグラフィー法、及び逆相クロマトグラフィー法などを適宜選択して行えばよい。GANP変異蛋白質をコードする遺伝子を用いることによって、GANP変異蛋白質を同様に製造することができる。
また、GANP蛋白質又はGANP変異蛋白質は、他のポリペプチドとの融合ペプチドとして製造することも可能である。このような融合ペプチドも本発明の範囲に包含される。融合すべきポリペプチドの種類は特に限定されないが、例えば、細胞外分泌を促進するシグナルペプチドなどを挙げることができる。このような融合蛋白質の製造も形質転換体を用いて行うことができる。融合蛋白質を用いてGANP蛋白質又はGANP変異蛋白質を製造する場合には、融合蛋白質をブロムシアン等の化学物質やプロテアーゼ等の酵素で処理し、切り出された目的物を分離及び精製すればよい。
本発明のGANP蛋白質若しくはGANP変異蛋白質、又はそれらの部分ポリペプチドを用いて、GANP蛋白質又はGANP変異蛋白質を認識する抗体を製造することができる。本発明の抗体は、哺乳類動物をGANP蛋白質又はGANP変異蛋白質で免疫感作することによって当業界で汎用の方法に従って製造できる。該抗体が本発明のGANP蛋白質又はGANP変異蛋白質を認識することは、ウェスタンブロット法、ELISA法、又は免疫染色法(例えばFACSでの測定)等により確認することが可能である。免疫原としては、GANP蛋白質又はGANP変異蛋白質のほか、それらの一部をウシ血清アルブミンなどの他のキャリアー蛋白質に結合させたものを用いてもよい。GANP蛋白質又はGANP変異蛋白質の一部は8アミノ酸残基以上であることが好ましく、このようなポリペプチドは、例えばペプチド合成機を用いて合成してもよい。
また、免疫した動物のリンパ球を用いて製造したハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体を本発明の抗体として用いてもよい。モノクローナル抗体の製造方法については当業界で周知されており、かつ汎用されている(『Antibodies,A Laboratory Manual』(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988)第6章)。また、本発明の抗体として、抗原抗体反応活性を有する抗体のフラグメントやキメラ抗体を用いることも可能である。なお、本発明のGANP蛋白質又はGANP変異蛋白質は、抗体を用いる方法又は抗体と酵素を用いる方法などによって検出可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
実施例
実施例1:マウスGANP遺伝子のクローニングと発現の解析
<材料及び方法>
(1)動物及び免疫化
BALB/c系マウス及びLewis系ラットは、セアク・吉富(Seac Yoshitomi Ltd.)(福岡)より購入した。NZB系、NZW系、(NZB x NZW)F1系マウス(7週齢、メス)、MRL/lpr系マウス(8週齢、メス)及びBXSB系マウス(7週齢、オス)は、日本SLC(静岡)より入手した。高齢のNZB系マウス(10月齢、メス)は、広瀬幸子博士(順天堂大学医学部、病理学教室)より寄贈頂いた。NOD系マウス(7週齢、オス)は、宮崎純一博士(大阪大学医学部、栄養生理化学教室)より提供頂いた。動物は全て熊本大学の動物研究開発センターで飼育した。BALB/c系マウスはヒツジ赤血球(日本バイオテスト研究所、東京)で複数回免疫した。免疫は5日間隔で静注により実施し、免疫組織化学的分析を行うために胸腺、脾臓、リンパ節(LN)及びバイエル板(PP)の切片標本を作製した。
(2)細胞及び細胞培養
BALB/c系マウスの脾臓B細胞を既報の通り(Nomura et al.,Immunol.Lett.,45:195−203,1995)増殖させた。この細胞を二酸化炭素を5%含むインキュベーター中37℃で、熱不活化FCS(大日本製薬株式会社、大阪)10%、L−グルタミン(Biowhitteker、アメリカ・メリーランド州 Walkersville)5mM、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml、及び2−ME 50μMを含むRPMI−1640培地(Gibco−BRL、ドイツ・Gaithersburg)で培養した。
(3)29−15モノクローナル抗体(以下、「29−15mAb」と略す。)の確立
(BALB/c x NZB)F1系マウスより鉱物油を用いて確立したマウスのB細胞系統であるWEHI−231系に対するmAbを、既報(Kuwahara et al.,J.Immunol.,152:2742−2752,1994)の方法によって作製した。簡潔に説明すると、阪口らの方法(Sakaguchi et al.,EMBO(Eur.Mol.Biol.Organ.)J.,5:2139−2147,1986)により、表面表現型slgM+slgD+B220+を有するWEHI−231系の細胞溶解液を、界面活性剤の非存在下、低張緩衝液中で調製し、リン酸緩衝液(PBS)に対して透析した。この細胞溶解液を完全フロイントアジュバント(CFA)(Difco Laboratories、アメリカ・ミシガン州デトロイト)に懸濁してLewis系ラットの足の肉趾中に投与してマウスを免疫にし、不完全フロイントアジュバント(IFA)(Difco Laboratories)に懸濁して4日目と8日目に追加免疫を2回行った。9日後、膝窩及び鼠径領域のリンパ節を切除し、リンパ様細胞懸濁液を調製した。ハイブリドーマの確立、HAT培地(Gibco−BRL)の選択、及びハイブリドーマクローンのリクローニングは、既述の通り行った(Kuwahara et al.,J.Immunol.,152:2742−2752,1994)。免疫組織化学的分析においてリンパ様細胞を染色する29−15mAbを選択した。
(4)抗体及び試薬
親和精製したヤギの抗マウスμ抗体のF(ab’)2断片(ICN Pharmaceutical,Inc.、アメリカ・カリフォルニア州コスタメーサ)、ビオチン結合ピーナツ凝集素(PNA)(Vector Laboratories,Inc.、アメリカ・カリフォルニア州バーリンゲーム)、ビオチン結合抗CD35mAb(PharMingen,San Diego,CA)、アルカリホスファターゼ(ALP)結合ヤギ抗ラットIgAb(#59301,ICN)、HRP結合ヤギ抗ラットIgAb(ICN)、HRP結合ストレプトアビジン(Kirkegaard & Perry Laboratories,Inc.,Gaitherburg,MD)、ALP結合ヤギ抗マウスIgAb(Sigma Chemicals Co.,St.Louis,MI)、FITC結合マウス抗ラットκmAb(ICN)、PE結合抗−B220mAb(PhaMingen)、およびALP結合ヤギ抗ウサギIgAb(Zymed Laboratories Inc.,South San Francisco,CA)は購入したものを用いた。抗B220(RA3−6B2)、抗μ(AM/3)及び抗δ(CS/15)などのビオチン結合mAbは、当研究室で作製した。抗CD40 mAb(LB429)は当研究室で確立した(Nomura et al.,Immunol.Lett.,45:195−203,1995)。AM/3及びCS/15のハイブリドーマは、三宅健介博士(佐賀医科大学、免疫学教室)より提供頂いた。ビオチン結合抗Syndecan−1は、ファーミンゲン(PharMingen)(アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴ)より購入した。抗BrdUmAbは、ノボカストラ・ラボラトリーズ・リミテッド(Novocastra Laboratories,Ltd.)(イギリス・ニューカッスル)より入手した。ウサギ抗マウスMCM3/P1 Abは文献に記載されている(Kimura,H他、1994,EMBO J.13,4311−4320)。
(5)免疫組織化学
免疫組織化学的染色は、既報の通り実施した(Ezaki et al.,Arch.Histol.Cytol.,58:104−115,1995; Yamanouchi et al.,Eur.J.Immunol.,28:696−707,1998)。簡潔に説明すると、BALB/c系、NZB系、(NZB x NZW)F1系、NOD系、BXSB系及びMRL/lpr系マウスより切除した標的器官を、OCT化合物(マイルス・インコーポレーティッド(Miles Inc.)、アメリカ・インディアナ州エルクハート)中に置いた。ゼラチンコートしたスライドグラス上に置いた6μmの凍結切片を完全に空気乾燥した。次にスライドグラスをアセトンで10分間固定し、続いてPBSで15分間再水和した。スライドグラスを29−15mAbと共に60分間インキュベートし、PBSで数回洗浄した。アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ラットIg抗体(ALP−抗ラットIg、カタログ番号59301、ICN Pharmaceutical,Inc.)と共にインキュベートした後、スライドグラスをPBSで4回洗浄した。スライドグラスはベクター・ブルー(Vector Laboratories)を使用して現像した。
二次染色のため、スライドグラスをビオチン標識mAb及びホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)結合ストレプトアビジン(Kirkegaard & Perry Laboratories,Inc.、アメリカ・メリーランド州、ガイサースバーグ)と共にインキュベートした。p−ジメチルアミノアゾベンゼン(DAB、同仁化学研究所、熊本)で現像した後、切片を1%グルタルアルデヒド・PBS溶液で軽く固定した。生体内(in vivo)で活発な増殖をしている細胞を検出するために、器官を採取する1時間前にBrdU(Sigma Chemicals Co.、アメリカ・ミズーリ州、セントルイス)を静脈内注射した。DNA合成を行っている細胞は、抗BrdU mAb及びALP結合ヤギ抗マウスIg抗体(Sigma Chemicals Co.)で染色することによって検出し、ベクター・レッドで現像した(Matsuno et al.,Cell Tissue Res.,257:459−470,1989)。過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色を既報(Jiang et al,J.Immunol.,158:992−997,1997)の通り実施した。切片は全てアクアテックス(Aquatex)(E.Merck、ドイツ・ダルムシュタット)でマウントした。
(6)λgt11ベクターを使用したcDNAの分子クローニング
20mM IPTGに予め浸したニトロセルロースフィルター(Schleicher and Schuell、ドイツ・ダルムシュタット)上に融合タンパクを移した後、29−15mAbの上澄を使用して、マウス脾臓、マウス骨髄、WEHI−231細胞及びA20細胞からのmRNAで構築されたcDNAライブラリーをスクリーニングした(Inui et al.,J.Immunol.,154:2714−2723,1995)。ファージプレートを42℃で4時間インキュベーションし、次にプレートをフィルターで覆い、さらに37℃で4時間インキュベーションした。フィルターを洗浄緩衝液(Tween20 0.1%含有PBS)で3回洗浄し、ブロック緩衝液(0.1%Tween20含有PBS、5%脱脂乾燥乳)中で1時間ブロックし、次に29−15mAbと共にインキュベートした。125Iで標識したヒツジ抗ラットIg抗体(Amersham、イギリス・バッキンガムシャー)を使用したオートラジオグラフィーによって陽性のシグナルを検出した。最初のcDNAクローンは、融合タンパクとしてポリペプチドをコードすることができる280bpの断片を含有していた。この最初の280bpの断片を使用して、より長いcDNAクローンを別のWEHI−231 cDNAライブラリーから単離した。二次cDNAクローンの4.9kbの断片は、最長の4.5kbのオープンリーディングフレームをコードした。さらに5’配列を決定するために、5’−RACE法を利用したGibco−BRL社のraceキットを使用した。
(7)組織切片上のイン・サイチュ・RNAハイブリダイゼーション
イン・サイチュ・RNAハイブリダイゼーションを既報(Kondo et al.,Blood,80:2044−2051,1992)の通り実施した。パラフィン包理切片をシラン化したスライドグラス上にマウントした。スライドグラスを脱パラフィン処理した後、ジゴキシゲニンで標識したganp 280bpリボプローブを使用してハイブリダイゼーションを50℃で16時間実施した。スライドグラスをTNE緩衝液(10mM トリス塩酸[pH7.6]、500mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA)で数回、37℃で洗浄した後、2×及び/又は0.2×SSC溶液で50℃で洗浄した。抗ジゴキシゲニン抗体を使用しつつ、ALP基質の存在下で発色させた。
(8)GST−cDNA融合タンパク及び別の抗GANP mAbの作製
GANPの一部(配列表の配列番号1に記載のアミノ酸配列の679〜1028番のアミノ酸)をコードするganp cDNA断片をpGEX−4T−1ベクター(Pharmacia Biotech、アメリカ・ニュージャージー州Piscataway)に導入した。組換えプラスミドは全ての挿入及び結合についてのDNA塩基配列決定で確認した。GST−GANP融合タンパクは、グルタチオン−セファロース(Pharmacia)カラムクロマトグラフィーによって、既報(Inui et al.,J.Immunol.,154:2714−2723,1995)の通り作製した。42−43と命名した抗GANP mAbは、上述のようにラットにおける融合タンパクの免疫によって確立した。
(9)ウェスタンブロット分析
蛋白質ゲル電気泳動、ウェスタンブロット転移及び蛋白質の免疫検出を既報(Kuwahara et al.,Int.Immunol.,8:1273−1285,1996)の通り実施した。5,000万個の細胞を1mlのTNE溶解緩衝液(10mM トリス塩酸[pH7.8]、150mM 塩化ナトリウム、1mM EDTA、1%NP−40、0.02%NaN3)で溶解し、免疫複合体をSDS−PAGE(7%)で分析した。蛋白質をニトロセルロースフィルター上に移した後、脱脂乾燥乳を5%含有するPBS−Tween 20でフィルターをブロックし、抗GANP mAbと共に60分間インキュベートした。PBS−Tween 20で数回洗浄した後、フィルターをHRP結合ヤギ抗ラットIg(ICN Pharmaceutical,Inc.)と共に30分間インキュベートした。ECL検出キット(Amersham)を使用して発色させた。
(10)亜細胞分画化
完全な核を既報(Schriber et al.,Nucleic Acids Res.,17:6419,1989)の通り分離した。WEHI−231系細胞をTBSで洗浄し、ペレットを緩衝液A(10mM HEPES[pH7.9]、10mM 塩化カリウム、0.1mM EDTA、0.1mM EGTA、1mM DTT、0.5mM PMSF)中に再懸濁し、氷上で15分間インキュベートし、NP−40を最終的に1%になるように加えた。遠心分離の後、上澄を細胞質分画として回収した。ペレットを同一の緩衝液で再懸濁及び均質化し、染色によって完全な核を得た。試料を遠心分離し、ペレットを冷緩衝液C(20mM HEPES[pH7.9]、0.4M 塩化ナトリウム、1mM EDTA、1mM EGTA、1mM DTT、1mM PMSF)に再懸濁し、遠心分離した。上澄を核分画として−80℃で凍結した。
(11)イン・ビトロのキナーゼ反応及びホスホアミノ酸分析
イン・ビトロでのキナーゼ反応を免疫沈降物を用いて既報(Kuwahara et al.,J.Immunol.,152:2742−2752,1994)の通り実施した。脾臓B細胞を既報(Nomura et al.,Immunol.Lett.,45:195−203,1995)の方法によって精製した。B細胞は既報(Nomura et al.,Immunol.Lett.,45:195−203,1995)の通り、イン・ビトロでヤギ抗IgM抗体及び抗CD40mAb(LB429)のF(ab’)2分画で48時間刺激した。細胞を集めて洗浄した後、TNE溶解緩衝液で溶解し、抗GANP mAb(42−23)で免疫沈降させた。免疫沈降物は[γ−32P]−ATP(Amersham)と共にインキュベートし、放射性標識した蛋白質をSDS−PAGE(7%)を用いてオートラジオグラフィーで分析した。GANPに対応するバンドを乾燥ゲルより除いた。SDSをゲルから除去した後、均質化したゲルをTPCK−トリプシン(Sigma Chemicals Co.)によって37℃で一晩消化した。試料は6N塩酸で加水分解し、TLC(E.Merck)上で電気泳動した。
示された蛋白質のV8切断マッピングは既報の通りに行った(Kuwahara,K.,他、1994,J.Immunol.152:2742−2752)。
(12)細胞質染色
細胞を2.5%パラホルムアルデヒド・PBS溶液で固定し、氷上70%エタノールに1時間浸透化した。細胞を29−15mAb及びFITC結合マウス抗ラットκmAbと共にインキュベートした。抗体結合は、FACScanフローサイトメトリー(Becton−Dickinson、アメリカ・カリフォルニア州マウンテンビュー)で分析した。
(13)免疫沈降−ウエスタンブロット分析
上記(10)亜細胞分画化で得た蛋白質を、プロテインG−セファロースと組み合わせて抗GANPmAbと一緒に免疫沈降し、SDS−PAGEで分析した。ウエスタンブロットフィルターを抗GANPmAbとインキュベートし、次いでHRP−抗−ラットIgとインキュベートした。現像はECL検出キット(Amersham)を用いて行った。
(14)逆転写酵素PCR(RT−PCR)
TRISOL(Gibco BRL,Rockville,MD)を用いて培養B細胞から精製した全RNA(各々1μg)をSuperscript(Gibco BRL)を用いるcDNA合成(100μl容量)のための鋳型として用いた。PCR増幅は、Taq−Gold(Perkin−Elmer,Foster,CA)およびganpまたはHPRT(対照)のためのプライマー(Han,S.,他、1996.Science.274:2094−2097)とを用いて、各cDNA溶液2μlを用いて行った。ganp転写物は5’−CCGTGGGATGACATCATCAC−3’(フォワードプライマー)(配列表の配列番号5)および5’−CATGTCCACCATCTCCAGCA−3’(リバースプライマー)(配列表の配列番号6)により増幅された。
<結果>
(1)リンパ様器官におけるGANP抗原の発現
WEHI−231系細胞の溶解液でラットを免疫することによって末梢B細胞中に発現する分化抗原を認識するmAbを作製した。BALB/c系マウスの正常リンパ様器官について、29−15mAbを使用した免疫組織化学的分析では、骨髄中の発現は検出されなかったが、胸腺、脾臓及びリンパ節などのリンパ様器官ではわずかな発現が認められた。脾臓の赤脾髄及びリンパ節の副皮質では少数の細胞が29−15抗原を強く発現していた。発現がPPの濾胞の中心領域において非常に強かったことは興味深い(図1)。細胞は抗B220mAbで陽性であり、一方、抗IgD mAbでは陽性ではない。正常マウスは、小腸管腔を通じて導入された種々の抗原物質の継続的刺激のために、PP中の明瞭なGCと共に二次リンパ様濾胞を与えた。
ヒツジ赤血球(SRBC)による免疫を繰り返すことで、12日以内に脾臓中にリンパ様濾胞が形成された。抗原免疫化によって、PPのGCに加えて、脾臓及びリンパ節のGC領域においても29−15+細胞が出現した(図2)。29−15抗原はGCの細胞中で増強していた。二次リンパ様濾胞の構造において29−15+細胞の表現型をさらに分析したところ、ほぼ半数のPNA+ GC−B細胞が29−15mAbに陽性であり、一方、抗BrdU mAbには陰性であった(図3)。興味深いことに、29−15抗原の発現は、中心溝動脈からの入口の遠位領域でセントロサイトにおいて増強されていた。この表現型はGC−B細胞の判定基準と一致しており、すでに述べたように29−15抗原の「GANP」という名の裏付けとなっている。
(2)自己免疫傾向NZB系マウスの赤脾髄領域におけるGANPdense+B細胞の出現
イン・ビボの刺激がない場合、正常マウスは脾臓の濾胞領域でほとんどGANP+B細胞を発現しないが、BALB/c系(図2)及びC57BL/6系の赤脾髄領域ではGANP蛋白質が著しく発現しているGANPdense+細胞が少々認められた。この細胞は大型であり、普通のB細胞とは明らかに異なる。しかし、若齢のNZB系マウス(8週齢)では、このGANPdense+細胞は、免疫のない脾臓の赤脾髄領域で自然に増加した(図4)。別の自己免疫傾向マウスであるNZW系では、5〜12週齢において赤脾髄ではGANPdense+細胞を発現していなかったが、重篤な疾患の組合せである(NZB x NZW)F1系では、赤脾髄においてGANPdense+細胞が中程度発現していた。
他の自己免疫傾向マウスの脾臓においてGANPdense+細胞も自然に現れるか否かを検討した。GANPdense+細胞は、BXSB系及びMRL/lpr系の脾臓に出現するが、特定の病原がない状態(SPF)の同様の週齢のNZW系及びNOD系マウスでは顕著な出現は認められなかった。GANPdense+細胞は加齢の間に識別できるようになり、発病した老齢のNZB系マウス(10月齢)の末梢リンパ節に出現した。GANPdense+細胞はリンパ節では大部分が後期の段階に出現するようであり、MRL/lpr系では若齢の段階(8週齢)でリンパ節にGANPdense+細胞が出現することは特に興味深い(図5)。これらの結果から、自己免疫傾向のNZB系、BXSB系及びMRL/lpr系マウスの遺伝的因子は、赤脾髄領域におけるGANPdense+細胞の出現及びリンパ節内への漸増を制御する可能性があることが示唆される。
二色分析によって、赤脾髄におけるGANPdense+細胞の表現型がPNA−B220−細胞(図6)及びIgD−CD38−細胞として示された。これらの細胞は、形質細胞を選択的に染色する抗Syndecan−1 mAbで染色した場合に陽性となる。GANPdense+細胞は細胞質でIgMを発現するが(図7)、この細胞がモット細胞である可能性があることから(Jiang,Y.,S.Hirose,Y.Hamano,S.Kodera,H.Tsurui,M.Abe,K.Terashima,S.Ishikawa及びT.Shirai.1997.J.Immunol.158:992−997)、PAS染色で切片を染色したところ、GANPdense+細胞は、B220−Syndecan−1+PNA−BrdU− GANPdense+(図8)及びCD40−CD38−とともにPAS−であった。この形質様細胞はNZB系マウスの脾臓において優先的に現れるが、現在報告されているモット細胞とは異なる。
(3)GANP抗原をコードするcDNAクローンの同定
我々は、29−15mAbを使用して、WEHI−231系cDNAライブラリーより候補のcDNAクローン(280bpの挿入DNAを有する)を単離し、さらにganpと命名したより長いcDNAを単離した。ヌクレオチド配列の全長(6429bp)をオーバーラップクローンで決定することによって、分子の大きさが210kDと予測される1971個のアミノ酸からなるポリペプチドが推定された(図9)。GANP蛋白質のアミノ酸配列を配列表の配列番号1に、ganp cDNAの塩基配列を配列表の配列番号2に示す。
GANPアミノ酸配列は、温度突然変異体であるサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisia)に特徴的な核転写調節因子であると考えられるSAC3およびヒトMap80蛋白質(Takei,Y他,1998,J.Biol.Chem.273:22177−22180)と部分的に相同性を示す(図10および図15;Bauer,A.及びR.Koelling.1996.Yeast 12:965−975)。また、GANP蛋白質は、インスリン促進因子(アミノ酸996〜1063)、及びNF−IL−6(アミノ酸388〜450)を含む種々の転写因子の短い領域内に低い相同性を示す。
GANP遺伝子は超らせんモチーフのコンセンサス塩基配列を有するが、ジンクフィンガー、ロイシンジッパー及びホメオドメインのモチーフは認められない。セリン/トレオニンの豊富な領域がN−末端の100個のアミノ酸中に認められたが、この領域は核膜孔複合体として知られるヌクレオポリンとわずかに相同性を有していた。GANPは二つの核局在配列(497HKKK及び1344PMKQKRR)を有するが、これらはPSORTプログラムで示唆されるように、核におけるGANPの発現に関与している可能性がある。GANPはまた2つのコイルド−コイルモチーフを有するが、ジンクフィンガー、ロイシンジッパーあるいはホメオドメインモチーフは有していない。さらには、CBP/p300およびp/CIPを含む核転写コ・アクティベータ分子中に認められる4つのLXXLLモチーフが存在していたが(Torchia J.et al.,1997,Nature(Lond.),387:677−684; Heery et al.,1997,Nature(Lond.),387:733−736)、これらのモチーフを通じた会合分子は同定されていない。
(5)ganp転写の発現
ノーザンブロット分析によって7kbのmRNAが検出されたが、対照のβ−アクチンのシグナルに比較して非常に弱いシグナルであり、その発現は試験を行った全ての細胞系、器官及び組織においてかなり偏在していた。29−15mAbにより切片上に検出された領域と同一の領域でganp mRNAが増強されるか否かを検討するために、イン・サイチュ・RNAハイブリダイゼーション分析を行なったところ、ganp mRNAがSRBCで免疫した脾臓のGCの中央領域において大量に発現されおり、一方、免疫されていない脾臓(図11)、胸腺、及びリンパ節では発現されていなかった。ganp mRNAは免疫したマウスのGC−B細胞において増強されたが、この発現パターンは、同一の切片上のヘマトキシリン染色に基づく29−15mAbによる結果と非常に類似していた。非免疫BALB/c系マウスにおいては、PPのGC領域でもganp mRNAが増強されており、ganp mRNAの発現は、非免疫NZB系マウスの脾臓の赤脾髄領域の形質様細胞で盛んであった(図11)。これらの結果から、ganp遺伝子が29−15mAbによって認識される分子をコードすることが示唆される。
(6)B細胞におけるGANPの発現
抗GANP mAb(42−23)によって、WEHI−231系細胞の核及び細胞質の両区画から、210kDの一本の蛋白質バンドが検出された(図12)。つぎに、B系列細胞の活性化及び分化にGANPが機能的に関係する証拠を見出す目的で、非免疫BALB/c系マウスのB細胞を抗IgM及び抗CD40を併用してイン・ビトロで刺激したところ、抗GANP mAbで検出されるGANP蛋白質の発現が増加した(図13)。イン・ビトロのGANP免疫沈降物とのキナーゼ反応では、イン・ビトロで刺激された脾臓B細胞においてGANP蛋白質に結合しているキナーゼ活性が上昇した。従って、GANP蛋白質では、セリン/トレオニン残基にリン酸化が誘発される(図14)。これらの結果から、末梢免疫応答において、GANPがB細胞を活性化している可能性が示唆された。
また、抗μAbおよび抗CD40mAbによる刺激は最大応答を示したが、これらの何れか片方では、僅かの応答のみを示した(データは示さず)。この活性化はまた、インビトロでの抗−μおよび抗−CD40コ・ライゲーションによって刺激されたB細胞におけるganpmRNAの増加によっても検出された(図16)。コントロールHPRTmRNAと比較して刺激後24時間および48時間においてganpmRNAの量が増大することがRT−PCRにより明確に実証された。
210kDaのGANP蛋白質は多数の潜在的リン酸化部位を有しているので、我々は抗GANP免疫沈降物とのインビトロキナーゼ反応によるリン酸化の誘導を試験した。図17に示される通り、210kDaの蛋白質のリン酸化が、抗−μおよび抗−CD40コ・ライゲーションによって刺激された脾臓B細胞からの抗−GANP免疫沈降物中に見られた。この結果は、GANPが沈降してもキナーゼ活性が維持されることを示している。
(7)GANPとMCM3蛋白質との会合
我々は、GANPのカルボキシル末端にMap80相同領域(アミノ酸レベルで76.3%の同一性)を見つけた。Map80は、MCM3(DNA複製に必須の蛋白質)の細胞質と核の間の転移に関与する80kDaの核蛋白質である(Takei,Y.他,1998,J.Biol.Chem.273:22177−22180; Kimura,H.他,1994,EMBO J.13:4311−4320; Chong,J.P.他,1996,Trends Biochem.Sci.21:102−106; 及びRomanowski,P.他,1996,Curr.Biol.6:1416−1425)。そこで、我々はWEHI−231におけるGANPとMCM3との相互作用について試験した。我々は、抗GANP免疫沈降物にMCM3が含まれていることを検出した。MCM蛋白質のリン酸化状態は細胞周期の進行の調節において決定的であるようなので(Kimura,H.他,1994,EMBO J.13:4311−4320; Chong,J.P.他,1996,Trends Biochem.Sci.21:102−106;及びRomanowski,P.他,1996,Curr.Biol.6:1416−1425)、抗MCM3免疫沈降物を用いてインビトロキナーゼアッセイを行った。MCM3の免疫沈降により210kDaの位置にリン酸化蛋白質が同時に沈降し、これはGANPと同じサイズである(図19の左のパネル)。抗GANPと抗MCM3免疫沈降物由来のこれらの210kDaのバンドはV8切断マッピングにおいて同一のパターンを示し(図19の右のパネル)、GANPとMCM3とがB細胞株中で会合していることが示唆される。
次に、我々は、MCM3がインビボでマウスの抗原免疫化によってGC−B細胞において活性化されるかどうかを試験した。上記で使用したものに隣接する切片を抗MCM3Abで染色した(図20)。MCM3はGCsにおいても活性化されている。二重染色によりMCM3とPNAの両方の同時局在が明白に実証された。GC領域の一部はFDCs(リンパ濾胞細胞)によって強く囲まれている。これらの結果により、MCM3は、FDCsによって大部分が囲まれているセントロブラストおよびGANP+セントロサイトを含むGC−B細胞で活性化されていることが実証された(図20)。
(8)考察
以上のように、本発明者らは、脾臓の二次濾胞の明領域に局在するGC−B細胞で発現される新規な蛋白質であるGANPを見出した。正常の条件下では多種類の細胞で痕跡量のganp mRNAが検出可能であるが、GANP蛋白質は免疫されたマウスの特定のGC領域で増強される。多数の研究によって、mAbを用いて又は特異的なcDNAクローニングによって認識される分子として、GC中の種々の分化抗原が示されている(Christoph et al.,Int.Immunol.,6:1203−1211,1994; Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,93:10222−10227,1996; Kuo et al.,J.Exp.Med.,186:1547−1556,1997)。ほとんどの分子はGC−B細胞の全領域に出現するが、8−オキソグアニンDNAグリコシラーゼは暗領域において発現する(Kuo et al.,J.Exp.Med.,186:1547−1556,1997)。
GANP抗原が明領域であるセントロサイトにおいて選択的であることは興味深い。最近の研究では、免疫グロブリン遺伝子の再構成に必要なRAG蛋白質は明領域のセントロサイトにおいて選択的に発現していることが示されている(Hikida et al.,Science(Wash.DC),274:2092−2094,1996; Han et al.,science(Wash.DC),274:2094−2097,1996)。パパバシリオウら及びハンらによって示されているように(Papavasiliou et al.,Science(Wash.DC),278:298−301,1997; Han et al.,Science(Wash.DC),278:301−305,1997)、GC領域はT細胞依存性の抗体応答の間に起こる二次Ig遺伝子再構成の部位を提供しているので、GANP蛋白質は、セントロサイト段階での抗原特異的B細胞の成熟に関係する成分であるのかもしれない。
我々は、GANPのカルボキシル末端部分がMCM3の核転移を容易にするヒトMap80(Takei,Y他,1998,J.Biol.Chem.273:22177−22180)と有意な類似性を有することを見出した。免疫沈降実験によりGANPがWEHI−231におけるMCM3にも結合することが実証された。MCM3は、DNA複製の開始に必須であるMCM蛋白質ファミリー(Kimura,H.他,1994,EMBO J.13:4311−4320;Blow,J.J.1993.J.Cell Biol.122.993−1002;Tye,B.K.1994.Trends Cell Biol.4:160−166;Chong,J.P.他,1996,Trends Biochem.Sci.21:102−106; Romanowski,P.他,1996,Curr.Biol.6:1416−1425及びThommes,P.他,1992,Nucl.Acids Res.20:1069−1074)の一員である。核MCM蛋白質の主要画分はS期の開始時にクロマチンに結合するが、複製中に解離し、核質に遊離蛋白質として蓄積する。クロマチンからのMCMsの放出は複数のMCM蛋白質のリン酸化によって達成され、有糸分裂後のそれらの再会合はそれらの脱リン酸化を付随する。MCM蛋白質は、増殖が抑制された分化中の細胞では合成されず、半減期に関連した速度で消滅するようである(Musahl,C.,他,1998,Exp.Cell.Res.241,260−264)。MCM3蛋白質は最近、アポトーシス性蛋白質分解の初期の標的であることが示された(Schwab,B.L.他,1998,Exp.Cell Res.238:415−421)。Schwab,B.L.他は、MCM3の活発な破壊がMCM複合体を不活性化し、細胞死プログラムの実行中の時期外れのDNA複製現象を防止する役割を担っていることを提唱している。我々の結果は、GC−B細胞が高レベルのMCM3を発現し、そのうちのあるものはGANPと会合することを示している。しかし、細胞周期を停止した分化した細胞で活性化された蛋白質が、S期の進行に必須な別の蛋白質に結合することは奇妙である。GANPの機能は、結合を通じてのMCM3蛋白質の不活性化であることが推測される。免疫組織化学データは次の考えと一致する。GANPは、増殖を停止したセントロサイトで活性化される一方、MCM3は急速に周期しているセントロブラストそしてGCsのセントロサイトでも発現している。MCM3の量は遺伝子発現と活発な破壊を停止することによって減少するであろうが(Musahl,C.,他,1998,Exp.Cell.Res.241,260−264;及びSchwab,B.L.他,1998,Exp.Cell Res.238:415−421)、GANPとの相互作用を通じてのセントロサイトで依然発現するMCM3の不活性化は、DNA複製を防止する別の機構であるかもしれない。さらに、GANPおよびMCM3は共に同時沈降するキナーゼによってリン酸化されるようになる(図19)。高度にリン酸化されたMCM3は不活性化形態であると考えられるため(Kimura,H.他,1994,EMBO J.13:4311−4320)、GANPとの会合はMCM3のリン酸化を刺激するかもしれない。
さらに、GANP蛋白質は酵母のサッカロミセス・セレビシエのSAC3分子(SAC、アクチンのサプレッサー)と密接な相同性を有しているが、この菌はアクチン遺伝子において温度感受性突然変異(act1−1)のサプレッサーの遺伝的スクリーニングで単離されたものである(図10; Novick et al.,Genetics,121:659−674,1989)。SAC3蛋白質は核で発現しており、有糸分裂の正常な進行及び染色体の損失に対する保護のために必要である(Bauer et al.,J.Cell Sci.,109:1575−1583,1996)。また、SAC3の欠失(null)変異体は非常にゆっくりと成長し、野生型の細胞よりも大型である。SAC3はアクチン細胞骨格及び有糸分裂の両方に影響する過程に関与しているが、これはSAC3がアクチン又はアクチン結合蛋白質の遺伝子発現を調節することを示している。
サッカロミセスにおいてロイシン透過酵素活性の転写を増加させる遺伝子(LEP−1と呼ばれる)は、SAC3と同一である(Stella et al.,Yeast,11:460−460,1995)。LEP−1遺伝子は、選択的アミノ酸輸送に関係する酵母菌ロイシン透過酵素の増強を引き起こすが、真核細胞におけるアミノ酸輸送、特にアミノ酸透過に関与する分子に関してはよく判っていない(Mastroberardino et al.,Nature(Lond.),395:288−291,1998)。SAC3/LEP−1配列は多数の転写因子と相同のモチーフを示さないが、すでに決定された生物学的機能(Bauer et al.,J.Cell Sci.,109:1575−1583,1996)からは、この配列が核において種々の標的遺伝子の調節活性を有することが示唆されている。マウスのGANPは、核転写因子に対する典型的なコンセンサスモチーフを示さないものの、酵母のSAC3遺伝子と共通の先祖をもち、可能なリン酸化部位、2つの核の局在化配列、及び他の転写分子と相互作用する可能性がある2つの超らせん構造と構造的に類似している。
GANPは、Ag免疫化した脾臓のセントロサイトにおいて選択的に活性化されている。それは、GC領域中のFDCsと密接に相互作用するセントロサイトサブセットを特定するための分化マーカーとしても有用である。我々の研究は、BCRシグナルとCD40同時刺激が一緒になってGANPの活性化を引き起こし、GANP/MCM3複合体を介したシグナル伝達を誘導することを示した。
常染色体の劣性遺伝子疾患の自己免疫多腺性内分泌障害(APECED)における欠損遺伝子は、ヒト第21染色体(21q22.3)の連鎖分析によって場所が特定されるが、この遺伝子は可能な転写レギュレーターでAIRE遺伝子産物をコードしており(Nagamine et al.,Nature Genet.,17:393−398,1997)、この自己抗体は副腎及び他の生殖腺産生組織で発現されるAIRE蛋白質を認識している。APECEDの研究から、核コ・アクティベータ活性を有する分子の関与が自己免疫と関係する可能性が考えられる。AIRE及びGANPの両蛋白質は、転写レギュレーターの典型的なドメインを有していないが、核転写コ・アクティベータにおいて同様に観察されるようなLXXLLモチーフを有している。
B細胞特異性核コ・アクティベータ(Bob1/OCA−B/OBF1)は、最近、細胞型特異性レギュレーターであるOct1及びOct2として特徴付けられた(Luo et al.,Mol.Cell.Biol.,15:4115−4124,1995)。OCA−B標的マウスでは、T−依存性抗原を用いた免疫の後、脾臓においてGC形成の障害が認められるが、これはGC領域においてB細胞成熟が機能的に関与することを示唆している(Kim et al.,Nature(Lond.),383:542−547,1996; Qin et al.,EMBO J.,17:5066−5075,1998)。GANP蛋白質はセントロサイトにおけるOCA−B細胞の制御下に発現される可能性があり、核コ・アクティベータ分子の分子的相互作用の問題は、GCにおけるB細胞成熟を理解するために重要であると思われる。
SLEのニュージーランドモデルは、疾病感受性遺伝子の染色体位置をマッピングするためのゲノム連鎖研究の実験材料である。腎炎、及び第4染色体上(Nba1と称する)、第7染色体上及び第1染色体上(Nba2と称する;Vyse et al.,J.Immunol.,158:5566−5574,1997)などの自己抗体産生に連鎖する少なくとも12の非MHC遺伝子座がそれぞれ独立にマッピングされた。大型細胞上のGANP抗原は、非免疫NZB系マウスの赤脾髄領域で高度に増強されるが(図4〜8)、NZB系マウスは、赤脾髄領域にモット細胞と呼ばれる類似の大型IgM産生細胞を有していた。モット細胞は、NZB系及び(NZB x NZW)F1系マウスにおいて選択的に現れるが、正常BALB/c系又はC57BL/6系マウスには出現しない。
モット細胞の前駆細胞はおそらくB−1B細胞であり(Tarlinton et al.,Eur.J.Immunol.,22:531−539,1992; Jiang et al.,J.Immunol.,158:992−997,1997)、このことはB細胞が自己免疫と密接に関係することを示唆している。モット細胞は、細胞質においてIgMの封入体によって識別され、PASで陽性に染色される(Tarlinton et al.,Eur.J.Immunol.,22:531−539,1992; Jiang et al.,J.Immunol.,158:992−997,1997)。GANPdense+細胞はモット細胞であると思われるのでPAS染色を行ったところ、NZB系マウスの赤脾髄領域のGANPdense+細胞はPAS−であった。GANPdense+IgM産生細胞はモット細胞と同様にNZB系マウスの脾臓中に現れるが、これらの細胞は異なるものであった。疾病感受性にリンクする染色体の遺伝子座の一つに関係する異常B細胞集団の活性化が起こり得るが、この活性化によってIgM産生細胞の新しい型が生じるのかもしれない。
いくつかの研究グループから報告されたLyn−/−マウス及びCD40L−/−マウスは、類似した自己免疫及び高IgM症候群を示すが、これらの状態では封入体を有する免疫芽細胞が脾臓において多く認められる(Hibbs et al.,Cell,83:301−311,1995; Nishizumi et al.,Immunity,3:549−560,1995; Xu et al.,Immnity,1:423−431,1994)。これらの観察から、BCR及びCD40によるシグナルの形質導入によって、異常抗体産生形質細胞の産生が調節されていることが示唆される。また、抗IgM及び抗CD40抗体で脾臓B細胞を刺激することによってGANP蛋白質のリン酸化活性が誘発されるが、この観察から、GANP蛋白質がGC領域におけるB細胞活性化部位の下流と関係し得ること、及びNZB系マウスにおける異常B細胞活性化が、GANP蛋白質の発現の増加に関係し得ることが示唆された。
実施例2:ヒトGANP遺伝子のクローニング
ラットのGANP遺伝子の配列の情報に基づいてヒトのGANP遺伝子のクローニングおよび配列決定を行った。具体的には、λgt11−ヒトheart cDNAライブラリー(Clontech)を使用し、プライマーとしてgspl−1:TTTGTCTGGAGGATGATCGC(配列表の配列番号7)、gspl−2:AAAGAGAAAGGGGCCAGGCC(配列表の配列番号8)、およびgspl−3:CCAGCTTCTTGTCCAAAAGC(配列表の配列番号9)を使用し、さらに5’RACE System for Rapid Amplification of cDNA Ends,Version 2.0(GibcoBRL)を用い、常法によりクローニングと塩基配列の決定を行った。
得られたクローンの塩基配列を決定した。得られたヒトGANP遺伝子の塩基配列を配列表の配列番号4に示す。また、この塩基配列によりコードされるアミノ酸配列を配列番号3および図21に示す。ヒトGANP遺伝子はマウスGANP遺伝子と高い相同性を示し、またヒトGANPはカルボキシル末端側に80−kDaのMap80ドメインを含んでいた。
In situRNAハイブリダイゼーションにより、ganp転写物は、扁桃腺のGC領域で活性化されているようであった。GANP+細胞は、メモリーB細胞のCD38+IgD−表現型を発現している。これらの結果は、ヒトGANPが二次リンパ性組織におけるGC−B細胞でも発現していることを示した。また、1980アミノ酸から成るヒトGANPは、B細胞中のMCM3蛋白質に結合するMap80相同領域のストレッチを有することから、GC−B細胞における細胞周期調節にGANPが関与していることが示唆される。
さらに、得られたヒトGANP遺伝子とヒト染色体標本を用いてFISH法によりIn situハイブリダイゼーションを行った。結果を図22に示す。図22から分かるように、ヒトGANP遺伝子とMap80を有するゲノム断片は染色体21番長腕22.3にマッピングされた。
産業上の利用可能性
本発明の蛋白質はキナーゼ活性を有する新規な蛋白質であり、自己免疫状態において異常B細胞分化のシグナル変換に関与する可能性がある。従って、本発明の蛋白質、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、アンチセンスポリヌクレオチド及び抗体は、自己免疫の機構を解明するのに有用である。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、正常マウスのPPにおける29−15+細胞の検出を示した写真である。29−15mAb及びALP抗ラットIg抗体を用いて、PPについて免疫組織化学的分析を実施した。陽性細胞は、ベクターブルーALP基質を有する中央領域に出現し、非特異的内在性ALP活性を含む小腸絨毛では、周辺領域に強いシグナルが認められた。二色染色を行うために、切片はビオチン抗B220mAb又はビオチン抗IgD mAbのいずれかでさらに染色し、DAB及びHRP−ストレプトアビジンによって発色させた。
図2は、SRBC免疫化マウスのGC領域における29−15+細胞の出現を示した写真である。正常BALB/c系マウスは、12日間に4回SRBCを注射し、脾臓切片をヘマトキシリンで染色するか、図1と同様な免疫組織化学染色で調べた。29−15mAbで染色した後に比較すると、正常及びSRBC免疫化BALB/c系マウスの切片は類似していた。
図3は、SRBC免疫化マウスのGC領域における29−15+細胞の出現を示した写真である。GC領域の切片を「材料と方法」に記載した個々の色と組み合わせてPNA、抗BrdU及び29−15mAbで染色した。上段の写真はGC領域(GC)及び中心溝動脈(CA)のヘマトキシリン染色を示し、中央の写真は29−15+PNA+細胞を指す三色染色を示す。下段は29−15+PNA+細胞を図解したものである。
図4は、自己免疫傾向マウスの赤脾髄領域におけるGANPdense+細胞の発現を示した写真である。BALB/c系、NOD系、NZB系、(NZB x NZW)F1系、BXSB系及びMRL/lpr系の非免疫マウスの脾臓から切片を作製した。全てのマウスは生後6〜8週間で使用した。29−15mAbで染色したGANPdense+細胞は、NZB系、(NZB x NZW)F1系、MRL/lpr系及びBXSB系の赤脾髄に出現した。
図5は、自己免疫傾向マウスの赤脾髄領域におけるGANPdense+細胞の発現を示した写真である。膝窩領域のLN切片を29−15mAbで染色した。GANPdense+細胞は、高齢のNZB系マウス(10月齢)及びMRL/lpr系マウス(8週齢)の末梢LNに出現した。
図6は、自己免疫傾向マウスにおけるGANPdense+細胞の特徴づけを示した写真である。非免疫NZB系マウス(8週齢)の脾臓切片を作製した。下記の試薬の一種と組み合わせて29−15mAbを用いて免疫組織化学的分析を実施した:抗B220、PNA。
図7は、自己免疫傾向マウスにおけるGANPdense+細胞の特徴づけを示した写真である。非免疫NZB系マウス(8週齢)の脾臓切片を作製した。下記の試薬の一種と組み合わせて29−15mAbを用いて免疫組織化学的分析を実施した:抗IgM、抗Syndecan−1、抗BrdU mAb。
図8は、PAS染色によってNZB系マウスに現れるモット細胞を示した写真である。
図9は、マウスGANP蛋白質の推定アミノ酸配列を1文字標記で示した図である。
図10は、GANP蛋白質の構造を示した図である。図中、S/T rich region: セリン/トレオニンが豊富な領域、SAC3 homology region:SAC3相同領域、nuclear localization signal:核局在化シグナルを示す。4つのLXXLLモチーフが存在する。
図11は、ganp遺伝子のイン・サイチュRNAハイブリダイゼーションの結果を示した写真である。SRBC免疫、非免疫BALB/c系、及びNZB系マウスの脾臓切片をganpアンチセンスプローブを用いてハイブリッド形成させた。図中、白脾髄領域(WP)、赤脾髄領域(RP)及びGC領域(GC)を示す。NZB系マウスの赤脾髄領域にGANPdense+細胞が認められた。
図12は、GANP蛋白質を免疫沈降後のウエスタンブロットで分析した結果を示した図である。GANP蛋白質は、WEHI−231系細胞の細胞質分画及び核分画で発現する210kDの蛋白質として検出された。
図13は、正常BALB/c系マウスの脾臓B細胞を、ヤギ抗IgM抗体(10μg/ml)及び抗CD40mAb(10μg/ml)のF(ab’)2で48時間刺激し、抗GANP mAbで染色した結果を示した図である。
図14は、抗GANP免疫沈降物を用いて[γ−32P]−ATPの存在下で10分間イン・ビトロのキナーゼ反応を実施した結果を示した図である。蛋白質のリン酸化は、SDS−PAGEによる分離の後、オートラジオグラフィーによって検出した。GANPのリン酸化を矢印で示し(図A)、リン酸化GANP蛋白質のホスホアミノ酸分析も示した(図B)。
図15は、マウスGANP蛋白質の構造を示した図である。図中、SAC3およびMap80と相同な領域、核局在化配列(NLSs)、およびコイルド−コイル領域を示す。4つのLXXLLモチーフを黒で示す。
図16は、RT−PCR分析の結果を示す。インビトロでの抗−μ−及び抗−CD40−刺激B細胞におけるganpmRNAの活性化が示されている。HPRTをコントロールとして使用し、各鋳型の量を確認した。
図17は、インビトロキナーゼ反応の結果を示す。細胞溶解物を未刺激(左)または刺激(右)した細胞から調製し、抗GANP免疫沈降に付した。インビトロキナーゼ反応は[γ−32P]ATPの存在下において10分間抗GANP(42−23)免疫沈降物を用いて行った。蛋白質のリン酸化はSDS−PAGE分離後にオートラジオグラフィーによって検出した。矢印はリン酸化されたGANPの位置を示す。
図18は、GANPとMCM3の物理的会合を示す図である。WEHI−231からの細胞溶解物を抗−GST、抗−GANP(42−23)、または抗−MCM3 Abで免疫沈降した。SDS−PAGEで分離後、蛋白質を電気泳動により膜に移し、抗MCM3−Abをプローブとして検出した。
図19は、GANPとMCM3の物理的会合を示す図である。WEHI−231細胞溶解物からの抗−GST、抗−GANP(42−23)および抗−MCM3免疫沈降物をインビトロキナーゼアッセイに付した。正常ウサギ血清(NRS)を抗−MCM3 Abのためのコントロールとして用いた。試料を7%SDS−PAGEで分離した。GANPおよびMCM3に対応するバンドを左側のパネルにおいて矢印で示した。右側のパネルでは、210−kDaのバンドのV8切断マッピングが同一の切断パターンを示した。コントロールとして、無関係のV8消化蛋白質を平行して分離した。
図20は、抗−MCM3 Abと抗−CR1mAbまたはPNAとの二重染色を行った結果を示す図である。MCM3の発現はGC領域で活性化された。
図21は、ヒトGANP蛋白質の推定アミノ酸配列を1文字標記で示した図である。
図22は、ヒト染色体を用いてFISH法によってヒトganpとMap80をマッピングした結果を示す写真である。
Claims (5)
- 配列表の配列番号1または配列番号3に記載のアミノ酸配列により特定されるGANP蛋白質。
- 配列表の配列番号1または3に記載のアミノ酸配列において、一若しくは複数のアミノ酸が欠失しており、一若しくは複数のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されており、及び/又は一若しくは複数の他のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列からなり、かつキナーゼ活性を有するGANP変異蛋白質。
- 請求項1又は2に記載の蛋白質をコードするポリヌクレオチド。
- 請求項3に記載のポリヌクレオチドのアンチセンス鎖の塩基配列からなるアンチセンスポリヌクレオチド。
- 請求項1又は2に記載の蛋白質を認識する抗体。
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