JPWO2003035641A1 - 新規カルバモイルピロリドン誘導体 - Google Patents

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Abstract

式:(式中、Aは−NR1−(CH2)m−(R1は水素または低級アルキル;mは2〜5の整数または単結合);Z1およびZ2はそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基;nは1〜3の整数を表す。)で示される化合物は、NMDA受容体拮抗作用を有するので、脳梗塞急性期治療薬、慢性神経変性疾患治療薬、または鎮痛薬等として有用である。

Description

技術分野
本発明は、中枢神経細胞のグルタミン酸受容体の1種であるNMDA受容体、特にNR1/NR2Bコンプレックス受容体に対して拮抗作用を示す新規なカルバモイルピロリドン誘導体に関する。
背景従来
L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸などのアミノ酸は、中枢神経系における神経伝達物質として神経細胞活性化のために重要である。しかし、これら興奮性アミノ酸の細胞外での過剰な蓄積は、神経細胞の過度な刺激を誘引し、パーキンソン病、老人性痴呆症、ハンチントン舞踏病、てんかんなどの種々の脳神経学的疾患、ならびに、酸素欠乏時、虚血症、低血糖状態時、頭部または脊髄損傷時などに見られるような精神および運動機能の欠失を引き起こすと考えられている(McGeerら、Nature,263,517−519(1976),Simonら、Science,226,850−852(1984),Wieloch,Science,230,681−683(1985),Fadenら、Science,244,798−800(1989),Turskiら、Nature,349,414−418(1991))。
上記興奮性アミノ酸の中枢神経細胞に対する活性は、神経細胞上に存在するグルタミン酸受容体を介して作用することが知られている。したがって、このような受容体への上記興奮性アミノ酸の結合に拮抗する物質は、上記疾患および症状の治療薬剤、例えば、抗てんかん薬、虚血性脳傷害予防薬、抗パーキンソン病薬として有用であると考えられている。特に、脳梗塞などの脳虚血によって、グルタミン酸が大量に放出されるので、グルタミン酸受容体への拮抗物質は脳梗塞急性期治療薬として、またアルツハイマー病などの慢性神経変性疾患の治療薬として有用であると考えられている。
上記グルタミン酸受容体は、イオンチャンネル型と代謝型に分類され、さらにイオンチャンネル型は、アゴニストに対する選択性に基づいて3種に分類される。これらは各々、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体、2−アミノ−3−(3−ヒドロキシ−5−メチルイソキサゾール−4−イル)プロパン酸(AMPA)受容体およびカイネート受容体と呼ばれる。
このうちNMDA受容体は、グルタミン酸、NMDA、イボテン酸などのアゴニストによって選択的に活性化される。このNMDA受容体の強い刺激は,大量のカルシウムイオンの神経細胞への流入を引き起こし、これが神経変性細胞死の原因の一つと考えられている。
近年、ラットおよびマウスの脳からそれぞれNMDA受容体の遺伝子がクローニングされ、NMDA受容体はNR1およびNR2の2つのサブユニットから構成されることが明らかとなった(Katsuwadaら、Nature,358,36−41(1992),Meguroら、Nature,357,70−74(1992))。NR2サブユニットにはさらに4種(NR2A、2B、2C、2D)のサブファミリーが存在する(Monyerら、Science,256,1217−1221(1992),Yamazakiら、FEBS Lett.,300,39−45(1992))。NR2サブファミリーのそれぞれの役割もNR2のサブファミリーのノックアウトマウスなどを用い、徐々にではあるが明らかになりつつある。NR1/NR2Aコンプレックス受容体は記憶形成や学習獲得に関与し(Sakimuraら、Nature,373,151−155(1995))、NR1/NR2Bコンプレックス受容体は脳虚血時における神経変性細胞死に関与するといわれている(Di X,Bullock Rら、Stroke,28,2244−2251(1997))。
さらに、NMDA受容体の内、特にNR2B受容体については、鎮痛作用との関連性も報告されており、そのアンタゴニストは副作用の少ない鎮痛薬としても期待される(TRENDS in Pharmacological Sciences Vol.22 No.12 December 2001)。
NMDA受容体拮抗薬としては、従来から1)NR1/NR2コンプレックス受容体のすべてのサブファミリーにおいて、グルタミン酸やNMDAなどのアゴニストと競合的に結合する薬物(以下、競合的NMDA拮抗薬という、例:D−2−アミノ−5−ホスホノ吉草酸)や2)NMDA受容体におけるイオンチャンネル中のPCP(phencyclidine)結合部位へグルタミン酸やNMDAなどのアゴニストとは関係なく非競合的に結合し、神経細胞内へのカルシウムイオン流入を抑制する薬物(以下、非競合的NMDA拮抗薬という、例:MK−801)等が知られている。
なお、特開平1−131155号、特開平4−211059号および特開平7−61968号には、抗痴呆薬、向精神薬ならびに抗アレルギー薬等として有用なカルバモイルピロリドン誘導体が記載されているが、NMDA受容体への拮抗作用については何ら記載されていない。
発明の開示
しかし、競合的NMDA受容体の拮抗薬では、前記NR1/NR2Aコンプレックス受容体にも拮抗するので、アルツハイマー病などで長期間薬物を服用する場合、学習能力、記憶形成などの低下が懸念される。また、非競合的NMDA受容体拮抗薬の場合、PCP受容体に結合することで、精神障害などの副作用が生じやすい(西川ら、神経精神薬理,13,865−876(1991))く、また臨床でも十分な薬効が期待できない。よって好ましくはこのような副作用がなく、臨床上も有用なNMDA受容体拮抗薬が求められていた。
そこで、本発明者らは鋭意検討した結果、ある種のカルバモイルピロリドン誘導体がNMDA受容体拮抗作用、特にNR1/NR2Bコンプレックス受容体に対して選択的かつ強力な拮抗作用を示して、脳梗塞急性期治療薬、慢性神経変性疾患治療薬、または鎮痛薬等として有用であることを見出し、以下に示す発明を完成した。
1.式(I):
Figure 2003035641
(式中、
Aは−NR−(CH)m−(Rは水素または低級アルキル;mは2〜5の整数)または単結合;
およびZはそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基;
nは1〜3の整数を表す。)
で示される化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
2.Aが−NR−(CH)m−(式中、各記号は前記と同意義)である、上記1記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
3.Aが単結合である、上記1記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
4.Zが水素であり、Zが低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基である上記1記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
5.Zが水素であり、Zがメチル、ブチル、メトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびヒドロキシからなる群から選択される置換基である上記4記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
6.Aが−NR−(CH)m−(式中、Rは水素または低級アルキル;mは2または3);nが1;Zが水素;Zが低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基である、上記1記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
7.Aが単結合;nが1;Zが水素;Zが低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基である、上記1記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
8.上記1〜7のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物。
9.NMDA受容体拮抗薬である、上記8記載の医薬組成物。
10.NMDA受容体のサブユニットであるNR1およびNR2Bのコンプレックス受容体の拮抗薬である、上記9記載の医薬組成物。
11.NMDAおよび/または低酸素による神経細胞変性を抑制するための上記8記載の医薬組成物。
12.脳梗塞急性期治療薬または慢性神経変性疾患治療薬である上記8記載の医薬組成物。
13.鎮痛薬である、上記8記載の医薬組成物。
14.上記1〜7のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物を投与することを特徴とするNMDA受容体に起因する疾患の予防または治療方法。
15,NMDA受容体に起因する疾患の予防または治療薬を製造するための、上記1〜7のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物の使用。
発明を実施するための最良の形態
本発明化合物(I)の各基の定義について説明する。各用語は、単独または併用のいずれの場合にも、以下の意味を有する。
低級アルキルは、炭素数が1から6までの直鎖状または分岐状のアルキルを包含し、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、tert−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、neo−ペンチル、tert−ペンチル、n−ペンチル、i−ペンチル、neo−ペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル等が例示される。好ましくは炭素数1から4のアルキルであり、特にメチルまたはエチルである。
低級アルコキシは、上記低級アルキルが結合したオキシを包含し、例えばメトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が例示される。好ましくはメトキシである。
低級アルケニルは、直鎖または分岐状の炭素数2〜6のアルケニルを包含し、ビニル、アリル、i−プロペニル、2−ブテニル、3−ペンテニル、2−ヘキセニル等が例示される。好ましくは炭素数2から4のアルケニルである。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。好ましくは、フッ素または塩素である。
およびZとしては、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される同一又は異なる基が例示される。これらはベンゼン環上の置換可能ないずれの位置に存在していてもよい。これらの置換基として好ましくは、水素、メチル、ブチル、メトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびヒドロキシなどが挙げられる。
好ましくはZが水素、Zが低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシおよびヒドロキシからなる群から選択される置換基である。特に好ましくはZが水素、Zがメチル、t−ブチル、メトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびヒドロキシからなる群から選択される置換基である。
mは2〜5の整数であるが、好ましくは2または3である。nは1〜3の整数であるが、好ましくは1である。
さらに好ましい化合物(I)は以下の場合である。
1)Aが−NR−(CH)m−(式中、Rは水素または低級アルキル;mは2または3);nが1;Zが水素;Zが低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基である場合。特に好ましくは、Zがメチル、t−ブチル、メトキシ、F、Cl、−OCF等の場合である。
2)Aが単結合;nが1;Zが水素;Zが低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基である場合。特に好ましくは、Zがメチル、t−ブチル、メトキシ、F、Cl、−OCF等の場合である。
化合物(I)の代表的な製法を以下に例示する。
(1)A=−NR−(CH)m−の場合
(A法)
Figure 2003035641
(式中、Xは脱離基(例:ハロゲン等);その他の記号は前記と同意義)
化合物(II)と化合物(III)とを、所望により塩基存在下で反応させて化合物(I−1)を得る。塩基としては、炭酸塩(KCO、NaCO等)やNaOH、3級アミン(例:EtN)等を使用できる。またKIを併用してもよい。溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)等が使用できる。反応温度は通常、約10〜200℃、好ましくは室温〜約140℃であり、反応時間は数時間〜数十時間、好ましくは約1〜20時間、より好ましくは約3〜15時間である。化合物(II)および(III)は周知の反応により合成するか、または市販品を利用すればよい。
(B法)
Figure 2003035641
(式中、Xは脱離基(例:フェニルオキシ等);その他の記号は前記と同意義)
化合物(IV)と化合物(V)とを、所望により塩基存在下で反応させて化合物(I−1)を得る。塩基としては、炭酸塩(KCO、NaCO等)やNaOH、3級アミン(例:EtN)等を使用できる。溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)等が使用できる。反応温度は通常、約10〜200℃、好ましくは室温〜約140℃であり、反応時間は数時間〜数十時間、好ましくは約1〜20時間、より好ましくは約3〜15時間である。化合物(IV)および(V)は周知の反応により合成するか、または市販品を利用すればよい。
(2)A=単結合の場合
Figure 2003035641
(式中、Xは脱離基(例:フェニルオキシ等);その他の記号は前記と同意義)
化合物(IV)と化合物(III)とを、所望により塩基存在下で反応させて化合物(I−2)を得る。塩基としては、炭酸塩(KCO、NaCO等)やNaOH、3級アミン(例:EtN)等を使用できる。溶媒としては、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)等が使用できる。反応温度は通常、約10〜200℃、好ましくは室温〜約140℃であり、反応時間は数時間〜数十時間、好ましくは約1〜20時間、より好ましくは約3〜15時間である。化合物(IV)および(III)は周知の反応により合成するか、または市販品を利用すればよい。
なお、上記いずれの反応前にも所望により、当業者に周知の方法に従い官能基に対して適当な保護反応を行ない、また反応後は脱保護反応を行なってもよい。
化合物(I)の製薬上許容される塩としては、無機酸、有機酸、無機塩基等により形成される塩又は分子内塩が例示される。無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が例示され、有機酸としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、シュウ酸等が例示される。無機塩基としては、Na、K等が例示される。また化合物(I)は、水やアルコール等の溶媒和物であってもよい。
プロドラッグは、化学的または代謝的に分解できる基を有する本発明化合物の誘導体であり、加溶媒分解によりまたは生理学的条件下でインビボにおいて薬学的に活性な本発明化合物となる化合物である。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法および製造する方法は、例えば Design of Prodrugs,Elsevier,Amsterdam 1985に記載されている。
本化合物がヒドロキシル基を有する場合は、例えばヒドロキシル基を有する化合物と適当なアシルハライドまたは適当な酸無水物とを反応させることに製造されるアシルオキシ誘導体のようなプロドラッグが例示され、例えば−OCOC、−OCO(t−Bu)、−OCOC1531、−OCO(m−COONa−Ph)、−OCOCHCHCOONa、−OCOCH(NH)CH、−OCOCHN(CH等が挙げられる。
化合物(I)は、医薬として有用である。特に、NMDA受容体拮抗作用を有するので、該受容体に起因する各種疾患に対して効果があり、例えば慢性神経変性疾患治療薬(例:パーキンソン病、老人性痴呆症、ハンチントン舞踏病)、抗てんかん薬または鎮痛薬等として有用である。また低酸素による神経細胞変性等に対しても効果があるので脳梗塞急性期治療薬としても有用である。
化合物(I)は人を含む動物に経口又は非経口的に投与可能である。投与剤形としては、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、注射剤等が例示される。製剤化に際しては、所望により種々の添加剤、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、安定化剤、着色剤、コーティング剤を使用できる。投与量は、被験体の年齢、体重、症状や投与方法などにより異なり特に限定されないが、通常、成人1日当たり、経口投与の場合、約20mg〜約1000mgであり、非経口投与の場合、約2mg〜約100mgである。
化合物(I)を投与することにより、脳梗塞における神経細胞変性や慢性神経変性疾患が抑制される。この作用メカニズムとしては、(1)神経変性時に過剰に発生するNMDAやグルタミン酸が結合するNMDA受容体、特に神経細胞変性に関与するNR1/NR2Bコンプレックス受容体に拮抗薬として作用する、(2)神経細胞内のイオンチャンネルが開かず、カルシウムイオンが神経細胞内に流入しないことによって、神経細胞変性が抑制されると考えられる。また、本発明のより好ましい化合物はイオンチャンネル内のPCP受容体には結合しないことから精神障害などの副作用がないと考えられる。
(実施例)
略号 Me:メチル,t−Bu:t−ブチル
実施例1
Figure 2003035641
2−オキソピロリジン−1−カルボン酸{2−[4−(3,4−ジクロロベンジル)−4−ヒドロキシピペリジン−1−イル]−エチル}−アミド(3)
2−オキソピロリジン−1−カルボン酸(2−クロロエチル)−アミド(1)1.1g、4−ヒドロキシ−4−(3,4−ジクロロベンジル)ピペリジン(2)1.5gを含むDMFの溶液15mLをKCO1.59gとヨウ化カリウム0.48gの存在下、105〜110℃で10時間攪拌する。得られた反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機層を水洗、MgSOで乾燥し、減圧下で溶媒を留去する。得られた油状の残さをシリカゲルクロマトグラフィ(クロロホルム:メタノール=20/1〜10/1)で精製し、(3)1.92gを得た。本物質の塩酸塩をメタノール−イソプロパノールより再結晶した。
元素分析(%):C19H25Cl2N3O3・HCl
計算値:C=50.62,H=5.81,N=9.32,Cl=23.59
実験値:C=50.62,H=5.76,N=9.29,Cl=23.47
NMR(CDCl)δppm(300MHz)(FREE)
1.44−1.80(4H,m),2.030(2H,quint,J=7.8Hz),2.28−2.76(4H,m),2.537(2H,t,J=6.3Hz),2.604(2H,t,J=8.1Hz),2.705(2H,s),3.409(2H,q,J=6.3Hz),3.850(2H,t,J=6.9Hz),7.039,7.066(1H,Abq,J=1.8Hz),7.323(1H,d,J=1.8Hz),7.360(1H,d,J=8.1Hz),8.63(1H,brs)
実施例2〜4の化合物を実施例1の方法に準じて合成した。構造式を以下に示す。
実施例2
化合物4
Figure 2003035641
元素分析(%):C20H29N3O3・HCl
計算値:C=60.67,H=7.64,N=10.61,Cl=8.95
実験値:C=60.44,H=7.66,N=10.59,Cl=8.72
NMR(CDCl)δppm(300MHz)(FREE)
1.46−1.80(4H,m),2.026(2H,quint,J=7.2Hz),2.30−2.70(4H,m),2.326(3H,s),2.533(2H,t,J=6.3Hz),2.605(2H,t,J=8.4Hz),2.715(2H,s),3.416(2H,q,J=6.3Hz),3.856(2H,t,J=7.5Hz),7.082(2H,d,J=8.4Hz),7.120(2H,d,J=8.4Hz),8.63(1H,brs)
実施例3
化合物5
Figure 2003035641
元素分析(%):C19H26Cl1N3O3
計算値:C=54.81,H=6.54,N=10.09,Cl=17.03
実験値:C=54.77,H=6.20,N=10.06,Cl=16.52
NMR(CDCl)δppm(300MHz)(FREE)
1.43−1.80(4H,m),2.028(2H,quint,J=7.8Hz),2.28−2.76(4H,m),2.534(2H,t,J=6.6Hz),2.605(2H,t,J=8.1Hz),2.723(2H,s),3.413(2H,q,J=6.6Hz),3.854(2H,t,J=7.5Hz),7.139(2H,d,J=8.4Hz),7.273(2H,d,J=8.4Hz),8.63(1H,brs)
実施例4
化合物6
Figure 2003035641
元素分析(%):C23H35N3O3・HCl
計算値:C=63.07,H=8.28,N=9.59,
実験値:C=62.78,H=8.27,N=9.52,
NMR(CDCl)δppm(300MHz)(FREE)
1.310(9H,s),1.45−1.85(4H,m),2.027(2H,quint,J=7.2Hz),2.35−2.70(4H,m),2.541(2H,t,J=6.6Hz),2.607(2H,t,J=8.4Hz),2.724(2H,s),3.421(2H,q,J=6.6Hz),3.859(2H,t,J=8.1Hz),7.129(2H,d,J=8.4Hz),7.324(2H,d,J=8.4Hz),8.63(1H,brs)
参考例として、上記(I)式のうちn=0の化合物、すなわちピペリジン環とベンゼン環が直接結合した以下の化合物を合成した。
参考例1
化合物7
Figure 2003035641
参考例2
化合物8
Figure 2003035641
実施例1の方法に準じて以下の化合物を合成した。
Figure 2003035641
実施例5
化合物9
NMR(CDCl3)δppm(300MHZ)(Free)
1.50−1.88(5H,m),2.021(2H,quint,J=8.1Hz),2.26−2.72(4H,m),2.530(2H,t,J=6.3Hz),2.596(2H,t,J=8.1Hz),2.800(2H,s)3.413(2H,q,J=6.6Hz)3.845(2H,t,J=7.2Hz),7.00−7.20(4H,m),8.55−8.73(1H,m)
元素分析(%):C20H29N3O3・HCl
計算値:C=60.67,H=7.64,N=10.61,Cl=8.95
実験値:C=60.51,H=7.72,N=10.51,Cl=8.65
実施例6
化合物10
NMR(CDCl3)δppm(300MHZ)(Free)
1.40−1.84(5H,m),2.023(2H,quint,J=7.5Hz),2.20−2.70(4H,m),2.532(2H,t,J=6.6Hz),2.601(2H,t,J=8.1Hz),2.715(2H,s)3.413(2H,q,J=6.3Hz)3.851(2H,t,J=7.2Hz),6.93−7.10(3H,m),7.189(1H,t,J=7.5Hz),8.55−8.73(1H,m)
元素分析(%):C20H29N3O3・HCl
計算値:C=60.67,H=7.64,N=10.61,Cl=8.95
実験値:C=60.58,H=7.80,N=10.46,Cl=8.56
実施例7
化合物11
NMR(CDCl3)δppm(300MHZ)(Free)
1.44−1.80(5H,m),2.026(2H,quint,J=7.2Hz),2.26−2.70(4H,m),2.532(2H,t,J=6.3Hz),2.603(2H,t,J=8.1Hz),2.725(2H,s)3.411(2H,q,J=6.3Hz)3.851(2H,t,J=7.2Hz),6.93−7.22(4H,m),8.52−8.75(1H,m)
元素分析(%):C19H26FN3O3・HCl
計算値:C=57.07,H=6.81,N=10.51,Cl=8.87,F=4.75
実験値:C=57.09,H=6.84,N=10.32,Cl=8.40,F=4.39
実施例8
化合物12
NMR(CDCl3)δppm(300MHZ)(Free)
1.20−1.80(5H,m),2.029(2H,quint,J=7.8Hz),2.28−2.70(4H,m),2.536(2H,t,J=6.6Hz),2.603(2H,t,J=8.4Hz),2.757(2H,s)3.412(2H,q,J=6.3Hz),3.851(2H,t,J=7.2Hz),7.143(2H,d,J=8.7Hz),7.232(2H,t,J=8.7Hz),8.50−8.80(1H,m)
元素分析(%):C20H26F3N3O4・HCl
計算値:C=51.56,H=5.84,N=9.02,Cl=7.61,F=12.23
実験値:C=51.47,H=5.87,N=9.00,Cl=7.39,F=12.10
実施例9
化合物13
NMR(CDCl3)δppm(300MHZ)(Free)
1.40−1.90(5H,m),2.031(2H,quint,J=7.5Hz),2.22−2.75(4H,m),2.539(2H,t,J=6.3Hz),2.607(2H,t,J=8.1Hz),2.774(2H,s)3.415(2H,q,J=6.0Hz),3.856(2H,t,J=7.2Hz),7.04−7.20(3H,m)7.321(1H,t,J=7.8Hz),8.50−8.80(1H,m)
元素分析(%):C20H26F3N3O4・HCl・1/2H2O
計算値:C=50.58,H=5.94,N=8.85,Cl=7.47,F=12.00
実験値:C=50.85,H=5.85,N=9.02,Cl=7.42,F=12.13
実施例10
化合物14
NMR(CDCl3)δppm(300MHZ)(Free)
1.44−1.80(4H,m),2.025(2H,quint,J=7.8Hz),2.26−2.75(5H,m),2.532(2H,t,J=6.6Hz),2.602(2H,t,J=8.4Hz),2.692(2H,s)3.413(2H,q,J=6.3Hz),3.789(2H,s),3.852(2H,t,J=6.9Hz),6.844(2H,d,J=8.7Hz),7.114(2H,d,J=8.7Hz),8.50−8.80(1H,m)
元素分析(%):C20H29N3O4・HCl
計算値:C=58.32,H=7.34,N=10.20,Cl=8.61
実験値:C=58.17,H=7.33,N=10.25,Cl=8.24
実施例11
Figure 2003035641
1−[4−ヒドロキシ−4−(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−1−カルボニイル]−ピロリジン−2−オン(17)
2−オキソピロリジン−1−カルボン酸フェニールエステル(15)0.45g、4−(4−メチル−ベンジル)−ピペリジン−4−オール(16)0.45gを混合し、窒素ガス中100℃で4.5時間攪拌する。得られた反応液をシリカゲルクロマトグラフィ(酢酸エチルエステル)で精製し、酢酸エチルエステル−ジイソプロピルエーテルより再結晶を行い(17)0.74gを得た。
NMR(CDCl3)δppm(300MHZ)(Free)
1.50−1.90(4H,m),2.070(2H,quint,J=7.5Hz),2.334(3H,s),2.466(2H,t,J=8.1Hz),2.744(2H,s),3.10−4.25(5H,m),7.075(2H,d,J=8.1Hz),7.133(2H,d,J=8.1Hz)
元素分析(%):C18H24N2O3
計算値:C=68.33,H=7.65,N=8.85,
実験値:C=68.38,H=7.74,N=8.72,
実施例12
化合物18
実施例11の方法に準じて、以下の化合物を合成した。
Figure 2003035641
NMR(CDCl3)δppm(300MHZ)(Free)
1.40−2.00(4H,m),2.071(2H,quint,J=7.5Hz),2.461(2H,t,J=8.1Hz),2.787(2H,s),3.10−4.30(5H,m),7.158(2H,d,J=8.7Hz),7.229(2H,d,J=8.7Hz)
実施例13
化合物20
Figure 2003035641
NMR(CDCl3)δppm(300MHZ)(Free)
1.43−2.00(6H,m),2.077(2H,quint,J=7.5Hz),2.20−2.70(9H,m),2.786(2H,s),2.973(3H,s),3.30−3.50(2H,m),3.718(2H,t,J=7.2Hz),7.00−7.20(3H,m),7.326(1H,t,J=7.8Hz)
元素分析(%):C22H30F3N3O4・HCl
計算値:C=53.50,H=6.33,N=8.51,Cl=7.18,F=11.54
実験値:C=53.14,H=6.38,N=8.48,Cl=7.06,F=11.31
試験例1
NMDA受容体サブユニットの発現および電気生理実験
マウスNMDA受容体サブユニットの相補的DNA(cDNA)を鋳型としてメッセンジャーRNA(mRNA)に転写し、このmRNAをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入した。注入3日後より、2電極膜電位固定装置を用いNMDA惹起内向き電流を記録した。mRNAの注入量は、卵母細胞1個あたりNR1/NR2Bに相当で12.5/12.5ngとし、サブユニットの共発現を行なった。この卵母細胞を被験化合物(化合物4、5、7、8)含有の溶液(化合物の濃度 100μM)に入れ、2電極電位固定装置を用い、NMDA惹起内向き電流を記録した。細胞外液はMg2+free ND 96(NaCl 96mM、KCl 2mM、CaCl 1.8mM、Hepes 5mM、pH=7.5)とし、保持電位は−60mVとした。NMDA電流は、NMDA 100μM、glycine 10μMの適用により惹起させた。記録したNMDA惹起内向き電流の値を以下の式に代入し、電気応答%を算出した。
電気応答%=(被験化合物存在下のNMDA惹起内向き電流の値/被験化合物非存在下のNMDA惹起内向き電流の値)×100
通常、被験化合物がNMDA受容体の拮抗作用を示すならば、神経細胞内へのCaイオンの流入が低下し、電気応答%は低下する。表1には、各化合物におけるNR1/NR2Bコンプレックス受容体の電気応答%、表2には、NR1/NR2A〜D各コンプレックス受容体に対する電気応答%を示す。
Figure 2003035641
Figure 2003035641
表1において、ベンゼン環とピペリジン環が直接結合した化合物7および8に比べ、ベンゼン環とピペリジン環の間にメチレン基を導入した本発明の化合物4および5の方が電気応答%は低下した。また、表2において、NR1/NR2A〜Dコンプレックス受容体の内、NR1/NR2Bコンプレックス受容体のみ電気応答%が低下した。以上の結果から、ベンゼン環とピペリジン環の間にメチレン基を導入した化合物4および5の場合、NR1/NR2Bコンプレックス受容体のみに拮抗作用を示すことが明らかとなった。
試験例2
受容体結合実験
前述したMK−801は、PCP受容体に結合し、精神障害を引き起こすといわれている。そこで、MK−801および実施例2〜4の化合物(化合物4〜6)との受容体の競合実験をおこなった。
動物は雄性、Slc:Wistarラットを用い、断頭後脳を摘出し大脳皮質を分画した。大脳皮質を20倍量の氷冷5mM Tris・HCl緩衝液(pH7.8)でホモジナイズし、4℃、40000Xgで10分間遠心分離した。得られた沈殿を同緩衝液で懸濁後、再度遠心分離した。この操作を2回繰り返し、得られた沈殿を緩衝液で懸濁後、−80℃で保存した。実験直前に、室温で融解後4℃、40000Xgで10分間遠心分離し、得られた沈殿を緩衝液で懸濁した。さらに緩衝液で2.5倍に希釈し、これを膜標品として実験に用いた。
結合実験は上記の膜標品480μlに、10μlの[1]蒸留水(全結合量)、[2]試験物質の異なった濃度あるいは[3]大量の非標識リガンド(非特異的結合量)と、さらに10μlの標識リガンドを添加し、一定時間インキュベーションした。インキュベーション後、Whatman GF/C ろ紙(Whatman社製)を用いて結合体とフリー体を分離し、2.5mLの氷冷緩衝液でろ紙を4回洗浄した。ろ紙をバイアル瓶中で液体シンチレーション(クリアゾルI、ナカライテスク社製)に浸し、液体シンチレーションカウンターで放射活性を測定した。結合阻害率を下式によって求め、結合を50%抑制する用量(IC50)を算出した。なお、最終2nMの[H]MK−801と共に25℃で60分間インキュベーションし、非特異的結合には10μMの(+)MK−801を使用した。IC50の値を以下の表に示す。
なお、対照剤として市販のNR1/NR2Bコンプレックス受容体の拮抗薬であるハロペリドールを用いた。
Figure 2003035641
Figure 2003035641
以上の結果から、PCP受容体において、化合物4〜6を適用した場合のIC50値はハロペリドールに比べ高く、MK−801と競合しないことが明らかとなった。よって、本発明化合物は精神障害等の副作用が生じないと考えられる。
試験例3
Hypoxia(無酸素状態、即ち脳梗塞の状態)による神経細胞変性に対する作用
培養9日目のラット大脳皮質初代培養神経細胞に2mM NaCN,2mM 2−Deoxy glucoseを20分間適用し、Hypoxiaをかけた。Hypoxia終了直後、5、10、15及び20分後に実施例2および3の化合物(化合物4および5)[化合物濃度 直後:0.02〜200μM、5〜20分後:20μM]を適用し、24時間後の神経細胞変性抑制作用についてMTT[3−(4,5−dimethyl−2−thiazolyl)−2,5−diphenyltetrazolium bromide]あるいはLDH[Lactate dehydrogenase]活性を指標に検討した。なお、MTTは細胞生存率、LDHは細胞死率の指標である。その結果、Hypoxia終了直後の適用では、化合物4は2μM以上、化合物5は20μM以上で有意な神経細胞変性抑制作用を示し、化合物4はHypoxia終了5分後に適用しても有意に神経細胞変性を抑制した。以上の結果から、本願発明化合物は脳梗塞のような無酸素状態においても、神経細胞変性抑制作用を示すことが明らかとなった。
試験例4
NMDAによる神経細胞変性に対する作用
培養9日目のラット大脳皮質初代培養神経細胞に50μM NMDAを10分間適用した後、実施例2〜4の化合物(化合物4〜6)[化合物濃度0.02〜200μM]を適用し、24時間後の神経細胞変性抑制作用についてMTT活性を指標に検討した。その結果、化合物4では2μM以上、化合物5では20μM以上、化合物6では20μM以上で有意な神経細胞変性抑制作用が認められた。
試験例5
HEK293T細胞を用いた発現系実験
HEK293T細胞にNMDA受容体を発現させると、HEK293T細胞からはグルタミン酸とアスパラギン酸が大量放出されているので、自動的に細胞変性を誘発できる。HEK293T細胞にNR1/NR2Bコンプレックス受容体の相補的DNA(cDNA)量比1:3で発現させ(cDNA全量;2μg/well(6−well plate))、24時間後の細胞変性に対する実施例2および3の化合物(化合物4および5)[化合物濃度 2μMあるいは0.02〜200μM]の細胞変性抑制作用についてLDH活性を指標に検討した。その結果、NR1/NR2Bコンプレックス受容体発現細胞において、化合物4および5は20μM以上で有意な細胞変性抑制作用を示した。
試験例6
受容体結合実験
[実験方法]
動物は雄性、Slc:Wistarラットを用い、断頭後脳を摘出し大脳皮質を分画した。
膜標品の調製法および実験方法は各受容体サブタイプによって異なるので以下に示した。
結合実験は480μlの膜標品に、10μlの[1]蒸留水(全結合量、Total)、[2]試験物質の異なった濃度あるいは[3]大量の非標識リガンド(非特異的結合量、NS)と、さらに10μlの標識リガンドを添加し、一定時間インキュベーションした。インキュベーション後、Whatman GF/C濾紙を用いて結合体とフリー体を分離し、2.5mlの氷冷bufferで濾紙を4回洗浄した。濾紙をバイアル瓶中で液体シンチレーション(クリアゾルI)に浸し、液体シンチレーションカウンターで放射活性を測定した。結合阻害率を下式によって求め、結合を50%抑制する用量(IC50)を算出した。
Figure 2003035641
(1)[H]Ifenprodil
大脳皮質を20倍量の氷冷50mM トリス塩酸緩衝液(pH7.4)でホモジナイズし4℃、40,000Xgで10分間遠心した。得られた沈殿を同緩衝液で懸濁後、再び遠心した。この操作を2回繰り返し得られた沈殿を同緩衝液で懸濁後、−80℃で保存した。実験当日、室温融解後4℃、40,000Xgで10分間遠心し、得られた沈殿を同緩衝液で懸濁し、さらに10倍に希釈した。NR1+NR2B発現細胞(HEK293T)は20mM HEPES(:N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)緩衝液、1mM EDTA(:エチレンジアミン酒石酸−2−ナトリウム塩)緩衝液(pH7.0)でホモジナイズし4℃、100,000Xgで30分間遠心し、再懸濁後実験に用いた。最終5nM(細胞は15nM)の[H]Ifenprodilと共に4℃で2時間インキュベーションした。非特異的結合には100μMのIfenprodil・tartrateを使用し、濾紙は0.05%のポリエチレンイミンで前処理した。インキュベーションには[H]イフェンプロジル(Ifenprodil)のシグマ受容体への結合をブロックするため3μMのバノキセリン(vanoxerine)を加えて行った。
Figure 2003035641
製剤例1
実施例2の化合物4、結晶セルロース、およびステアリン酸マグネシウム等を適量混合し、打錠することにより錠剤を得る。
製剤例2
実施例2の化合物4、乳糖、およびステアリン酸マグネシウム等を適量混合し、造粒して顆粒を得る。
製剤例3
製剤例2の顆粒をカプセルに充填することによりカプセル剤を得る。
産業上の利用可能性
本化合物は、脳梗塞急性期治療薬または慢性神経変性疾患治療薬等として有用である。

Claims (15)

  1. 式(I):
    Figure 2003035641
    (式中、
    Aは−NR−(CH)m−(Rは水素または低級アルキル;mは2〜5の整数)または単結合;
    およびZはそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基;
    nは1〜3の整数を表す。)
    で示される化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
  2. Aが−NR−(CH)m−(式中、各記号は前記と同意義)である、請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
  3. Aが単結合である、請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
  4. が水素であり、Zが低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基である請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
  5. が水素であり、Zがメチル、ブチル、メトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシおよびヒドロキシからなる群から選択される置換基である請求項4記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
  6. Aが−NR−(CH)m−(式中、Rは水素または低級アルキル;mは2または3);nが1;Zが水素;Zが低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基である、請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
  7. Aが単結合;nが1;Zが水素;Zが低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルケニル、ハロゲン、ハロゲン化低級アルキル、ハロゲン化低級アルコキシ、ヒドロキシ、カルボキシおよびニトロからなる群から選択される置換基である、請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物。
  9. NMDA受容体拮抗薬である、請求項8記載の医薬組成物。
  10. NMDA受容体のサブユニットであるNR1およびNR2Bのコンプレックス受容体の拮抗薬である、請求項9記載の医薬組成物。
  11. NMDAおよび/または低酸素による神経細胞変性を抑制するための請求項8記載の医薬組成物。
  12. 脳梗塞急性期治療薬または慢性神経変性疾患治療薬である請求項8記載の医薬組成物。
  13. 鎮痛薬である、請求項8記載の医薬組成物。
  14. 請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物を投与することを特徴とするNMDA受容体に起因する疾患の予防または治療方法。
  15. NMDA受容体に起因する疾患の予防または治療薬を製造するための、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩、そのプロドラックまたはそれらの溶媒和物の使用。
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