JPWO2002099133A1 - 感染症原因微生物の検出および同定のための改良された方法 - Google Patents

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Abstract

生体由来の食細胞を含む臨床検体より食細胞を得、得られた食細胞を固定し、食細胞膜の透過性を亢進させる処理および該食細胞中に存在すると予想される感染症原因微生物のDNAを露出させる処理を施し、ストリンジェントな条件下で該DNAにハイブリダイゼーションすることのできる検出用DNAプローブを用いて、迅速且つ高感度に、感染症原因微生物を検出および/または同定する。

Description

技術分野
本発明は、感染症原因微生物の検出および同定のための改良された方法に関する。また、感染症原因微生物を検出および/または同定するためのキット、臨床検体中の外来微生物の遺伝子をモニターする方法および敗血症原因微生物または菌血症原因菌を特定する方法に関する。
背景技術
従来より、血液中に存在する菌の証明法として血液培養法が広く用いられているが、培養・分離同定の操作に3〜14日程度の日数がかかる上、検出率が約10%と低く、敗血症のような緊急を要する診断法としては、十分治療に寄与していないのが現状である。
そこで、本発明者らは上記問題を解決するために、貪食細胞によって貪食された外来微生物を検出または同定するための方法、すなわち、貪食細胞中に存在する外来微生物由来の遺伝子を、該遺伝子に特異的にハイブリダイゼーションすることのできるプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを施すことで、その検出を図る方法を発明した(特公平7−40号)。
特公平7−40号に記載された方法に従って、敗血症が疑われた患者血液を用いて検査したところ、血液培養法と比較して約4倍の感度で菌を検出し、さらに24時間以内に判定できたことなどから、感染症分野において脚光を浴びるに至っている。
本願発明は、特公平7−40号に記載された発明、すなわち、生体由来の食細胞を含む臨床検体より食細胞を得、得られた食細胞を固定し、該食細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、該食細胞中に存在すると予想される感染症原因菌のDNAを露出させる処理を施し、この露出DNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより感染症原因菌を検出および/または同定するための方法について、この方法による検出効率・検出感度をさらに高めることを目的とする。
発明の開示
本発明は、以上詳説した現状に鑑みて成し遂げられたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
生体由来の食細胞を含む臨床検体より食細胞を得、得られた食細胞を固定し、該食細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、該食細胞中に存在すると予想される感染症原因微生物のDNAを露出させる処理を施し、該DNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより感染症原因微生物を検出および/または同定するための方法であって、下記(1)〜(8)の特徴、すなわち、
(1)固定化する食細胞の密度(x個/ml)が、約5×10個/ml<x個/ml<約1×10個/mlであること、
(2)DNA露出工程においてリゾスタフィンが使用され、その力価が、約1単位/ml〜約1,000単位/mlであること、
(3)DNA露出工程においてリゾチームが使用され、その力価が、約1,000単位/ml〜約1,000,000単位/mlであること、
(4)DNA露出工程においてN−アセチルムラミダーゼが使用され、その力価が、約10単位/ml〜約10,000単位/mlであること、
(5)DNA露出工程においてザイモラーゼが使用され、その力価が、約50単位/ml〜約500単位/mlであること、
(6)in situハイブリダイゼーションの工程において界面活性剤を使用すること、
(7)検出用DNAプローブが、約350〜約600塩基長の鎖長を有する1種以上のDNAプローブであること、および
(8)検出用DNAプローブの濃度が、約0.1ng/μl〜約2.2ng/μlの濃度であること、
の少なくとも1つ以上の特徴を有する、感染症原因微生物を検出および/または同定するための方法である。
DNA露出工程にあっては、好ましくは、リゾスタフィン、リゾチーム、N−アセチルムラミダーゼおよびザイモラーゼより選択される1つ以上の酵素が使用され、そして、リゾスタフィンの力価が、約10単位/ml〜約100単位/ml、リゾチームの力価が約10,000単位/ml〜約100,000単位/ml、N−アセチルムラミダーゼの力価が約100単位/ml〜約1,000単位/ml、ザイモラーゼの力価が約100単位/ml〜約500単位/mlであるものを使用する。
DNA露出工程にあっては、好ましくは、酵素を使用し、そして、この酵素を反応させる温度を約26℃〜約59℃とし、また、この酵素を反応させる反応時間を約15分〜約120分とする。
DNA露出工程にあっては、好ましくは、さらに食細胞の形態を保持させる物質、特に、フェニルメチルスルフォニルフルオライドを、好ましくは、約10μmol/l〜約10mmol/lの濃度で使用する。食細胞の形態を保持させる物質として、好ましくは、ジメチルスルフォキシドにて溶解された物質を使用する。
食細胞の形態を保持させる物質を、好ましくは、ジメチルスルフォキシドにて溶解された物質とし、そして、ジメチルスルフォキシドはDNA露出工程で用いられる溶液において5%未満の濃度で調製する。
In situハイブリダイゼーションの工程にあっては、DNAとDNAプローブとが、界面活性剤、特に、アニオン界面活性剤、好ましくは、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の存在下でハイブリダイズされる。
In situハイブリダイゼーションの工程にあっては、好ましくは、ハイブリダイズ反応させる温度を約25℃〜約50℃とし、そして、ハイブリダイズ反応させる反応時間を約30分〜約900分とする。
固定工程の前に、得られた食細胞を支持担体上に支持させる工程をさらに含み、なおかつ、その支持担体を、3−アミノプロピルトリエトキシシランをコートしたスライドグラスとする。
シグナルの検出の際に、シグナルと細胞のコントラストを明確にさせるための色素を使用する。また、臨床検体を、好ましくは、血液とする。
さらに、本発明によれば、食細胞を含む生体由来の臨床検体より食細胞を得、得られた食細胞を固定し、その細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、その食細胞中に存在すると予想される感染症原因微生物のDNAを露出させる処理を施し、該DNAにストリンジェントな条件下ハイブリダイゼーションできる検出用DNAプローブを用いて界面活性剤の存在下でin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより感染症原因微生物を検出および/または同定するためのキットであって、
(1)DNA露出工程において使用される酵素が、少なくとも、リゾスタフィン、リゾチーム、N−アセチルムラミダーゼ、ザイモラーゼからなる群より選択される1種以上の酵素であり、および
(2)少なくとも1種以上の検出用DNAプローブを含む、
感染症原因微生物を検出および/または同定するためのキットも提供される。
また、本発明によれば、生体由来の食細胞を含む臨床検体中に含まれる食細胞によって貪食された外来微生物の遺伝子をモニターする方法であって、前出の感染症原因微生物の検出および/または同定方法におけるin situハイブリダイゼーション法を用いて該遺伝子を検出する工程を含み、該臨床検体中の外来微生物の遺伝子をモニターする方法が提供される。
そして、敗血症または菌血症の診断方法であって、前出の感染症原因微生物の検出および/または同定方法におけるin situハイブリダイゼーション法を用いて原因微生物の候補となる微生物の遺伝子を同定する工程を含み、同定された結果に基づいて敗血症原因微生物または菌血症原因菌を特定する方法も、本願発明によって提供される。
発明を実施するための最良の形態
本実施態様において使用することができる臨床検体としては、生体由来の食細胞が含まれる臨床検体であればいずれでも良く、例えば、血液、組織液、リンパ液、脳脊髄液、膿、粘液、鼻水、痰などの体液が挙げられる。また、糖尿病、腎障害、肝障害などの病態によっては、尿、腹水、透析排液など、その他、鼻腔、気管支、皮膚、各種臓器、骨などを洗浄した後の洗浄液にも生体由来の食細胞が含有されるため、これらも本発明の臨床検体とすることができる。
加えて、皮膚、肺、腎、粘膜などの組織も本発明の臨床検体として用いることができる。これは、食細胞の一つであるマクロファージには、単球、肺胞マクロファージ、腹腔マクロファージ、固定マクロファージ、遊離マクロファージ、ハンゼマンマクロファージ、炎症性マクロファージ、肝クッパー細胞、脳ミクログリア細胞などの様々な形態に変化するため、血液のみならず、これらを含む組織も本発明の臨床検体として用いることができる。例えば、腎炎が疑われる患者より腎生検により腎組織を採取し、トリプシン等の酵素を用いることにより細胞を剥離して該組織中に存在する食細胞を得、得られた食細胞を用いることによって、腎炎の原因微生物を検出および同定することができる。
本明細書で使用する「食細胞」の語は、外来微生物をはじめとする異物を自身の細胞内に取り込むことのできる細胞であれば特に限定されるものではなく、例えば、マクロファージ、単球、好中球、好酸球などが挙げられる。また、U937細胞、HL60細胞などの食細胞系も使用できる。感染症の原因ともなる外来微生物としては、食細胞によって貪食される微生物であれば特に制限はなく、細菌、真菌、ウィルス、原虫、寄生虫等が含まれる。細菌としては、例えば、ブドウ球菌、緑膿菌、腸球菌、大腸菌、連鎖球菌、肺炎球菌、結核菌、ヘリコバクター・ピロリ菌、リステリア、エルシニア、ブルセラ等が挙げられる。真菌としては、例えば、カンジダ、アスペルギルス、アクチノミセス、コクシジオイデス、ブラスミセス等が挙げられる。ウィルスとしては、例えば、インフルエンザウイルス、ポリオウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、エイズウイルス等が挙げられる。原虫としては、例えば、アメーバ赤痢、膣トリコモナス、マラリア、トキソプラズマ等が挙げられる。寄生虫としては、トリパノゾーマ等が挙げられる。特に、敗血症または菌血症の原因菌としては、例えば、グラム陽性菌であるスタフィロコッカス属(Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis)、エンテロコッカス属(Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Streptociccus agalactiae)、グラム陰性菌である大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター(Enterobacter cloacae)、クレブシエラ(Klebsiella pneumoniae)等の大腸菌類縁腸内細菌群(Klebsiella oxytoca、Serratia marcesens、Proteusvulgaris、Citrobacter freundii)、好気性桿菌であるシュードモナス属(Pseudomonas aeruginosa)、嫌気性菌であるクロストリジウム菌(Clostridium perfringens)、バクテロイデス菌(Bacteroides fragilis)等が挙げられる。まれに、Acinetobacter calcoaceticus、Aeromonas hydrophilia、Flavobacterium meningosepticum、Bacillus cereus等が、原因菌となることもある。
臨床検体からの食細胞(白血球)画分の取得には、公知の方法を使用することができる。例えば、ヘパリン加静脈血約5ml(白血球数の少ない場合には10ml)を採取し、この血液と血液分離試薬(塩化ナトリウム225mg、デキストラン(分子量200,000〜300,000)1.5g、滅菌精製水にて全量25mlに調製したもの)とを4:1程度の割合で混和した後、約10℃〜約40℃で、約15分〜約120分間、好ましくは、約37℃で、約30分間静置することにより、白血球画分(上層)を取得することができる。
このようにして得た白血球画分を、0℃〜約20℃にて、約100×g〜約500×gで、約3分〜約60分間、好ましくは、約4℃にて、約140×g〜約180×gで、約10分間遠心分離することによって、白血球を得ることができる。この際に赤血球が混入した場合、溶血操作を行うのが好ましい。例えば、白血球のペレットに滅菌精製水1mlを加えて懸濁し、直ちに過剰量のPBS(塩化ナトリウム18.24g、リン酸一水素ナトリウム12水和物6.012g、リン酸二水素ナトリウム2水和物1.123g、滅菌精製水にて全量120mlにしたもの(PBS原液;以下、単に「PBS原液」と称する)を滅菌精製水にて20倍に希釈したもの;以下、単に「PBS」と称する)を加えて等張化した後、再度4℃下、約140×g〜約180×gで、約10分間遠心分離すれば良い。また、上記遠心分離を行わなくとも、貪食細胞が本来保有する接着能力を利用して、後述するスライドグラスに接着させることもできる。
白血球を固定する方法として、例えば、カルノア固定を行うことができる。具体的には、白血球を支持できる担体(支持担体)に白血球を支持せしめ、カルノア固定液(エタノール:クロロホルム:酢酸=6:3:1の容量比で混合した液)に約20分間程度浸した後、約50%〜約90%、好ましくは、約75%エタノール液に約5分間浸し、完全に風乾する。
前記支持担体は、不溶性素材のものが好ましく、例えば、ガラス、金属、合成樹脂(ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ナイロン、ポリアセタール、フッ素樹脂など)、多糖類(セルロース、アガロースなど)が好ましい。
不溶性支持担体の形状としては、例えば、板状、トレイ状、球状、繊維状、棒状、盤状、容器状、セル、試験管等の種々の形状を用いることができる。
特に、本発明の実施態様として好ましい支持担体は、スライドグラスを使用するのが好ましい。このようなスライドグラスとして、例えば、日本エアーブラウン社製のスライドグラス(商品番号MS311BL)が挙げられる。このスライドグラス(商品番号MS311BL)には、直径5mmの円形ウェルが14個設けられている。また、実際に使用する際には、細胞の接着性を上げるため、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS、SIGMA社)をスライドグラスにコートしたAPSコートスライドグラスを使用するのが好ましい。その他、ポリ−L−リジンやゼラチンをコートしたスライドグラスも使用することができる。
APSコートスライドグラスを作製するには、まず、スライドホルダーにスライドグラス(商品番号MS311BL)を固定した後、希釈した中性洗剤で30分以上浸して洗浄し、水道水で洗剤を十分に取り除き、次に、スライドグラスを精製水にて洗浄し、高温(100℃以上)で十分に乾燥させた後、室温で放置冷却する。その後、スライドグラスを2%APS含有アセトンに1分間浸し、直ちにアセトン及び滅菌精製水で順次軽く洗浄した後に、風乾する。さらに再度、スライドグラスを約1〜約10%APS含有アセトンに1分間浸し、直ちにアセトンおよび滅菌精製水で順次軽く洗浄した後に、風乾する操作を行った後、約20℃〜約60℃、好ましくは約42℃で乾燥させることにより作製することができる。
白血球をAPSコートスライドグラスに支持させる際には、各ウェルに白血球が単層に広がるように塗抹し風乾するのが好ましい。固定化する食細胞の密度(x個/ml)が、約5×10個/ml<x個/ml<約1×10個/ml、好ましくは、約1×10個/ml≦x個/ml≦約5×10個/mlに調製されたものを使用することが好ましい。
また、このような1ml当たりの食細胞の密度の変化に対応して、APSコートスライドグラスに固定される1ウェル当たりの白血球の細胞数(y個/ウェル(直径5mm))は、約2.5×10個/ウェル<y個/ウェル<約5×10個/ウェル、好ましくは、約5×10個/ウェル≦y個/ウェル≦約2.5×10個/ウェルとなるように調製するのが好ましい。具体的には、白血球画分を、4℃にて、約140×g〜約180×gで、約10分間遠心分離することによって得た白血球ペレットに、少量のPBSを加えて懸濁し、血球計算盤を用いて白血球数を計測する。細胞数が、約5×10個/ウェル〜約2.5×10個/ウェルとなるようにPBSで調製した白血球懸濁液5μlを、APSコートスライドグラスの各ウェルに白血球が単層に広がるように塗抹し、完全に風乾することにより調製することができる。
食細胞膜の透過性を亢進させる処理として、約3〜約30分間PBSに浸し、その後、酵素前処理試薬(サポニン1.25g、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(比重1.068〜1.075(20/4℃),pH(5w/v%)5.5〜7.5)1.25ml、PBS原液25mlを混合し、滅菌精製水にて全量50mlに調製したもの)を、滅菌精製水で約2〜約50倍に希釈した溶液に浸し、振とう機で約3〜約30分間浸透する方法を用いることができる。
食細胞中に存在する感染症原因菌のDNAを露出させる処理として、スライドグラス1枚につき酵素試薬(N−アセチルムラミダーゼ、リゾチームおよび/またはリゾスタフィン)に酵素試薬溶解液(フェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF)含有ジメチルスルフォキシド(DMSO)をPBSで約100倍希釈して調製したもの)を1ml加えて酵素試液を調製した後、約20℃〜約60℃、好ましくは、約37℃〜約42℃の湿潤箱内で、この酵素試液1mlを白血球塗抹部位に滴下し、約10〜約60分間静置する。その後、0.2mol/l塩酸含有PBS(PBS原液に塩酸を加え、滅菌精製水にて20倍希釈し、塩酸の終濃度を0.2mol/lに調製したもの)に浸し、そのまま振とう機上で3〜30分間浸透することによって目的を達成できる。DMSOは5%以上の濃度でリゾチームおよびリゾスタフィンの活性を低下させる可能性があるため、5%未満の濃度で使用するのが好ましい。食細胞の形態を保持させる物質としてのPMSF以外に他の公知のプロテアーゼ阻害剤、例えば、トシルリジンクロロメチルケトン(TLCK)およびそれらの混合物などを用いることもできる。その際には、適宜DMSOなどの溶解剤を変更すれば良い。
酵素試薬として用いる各酵素の好ましい力価範囲は、Staphylococcus aureusの溶菌においては、リゾスタフィンの力価は1単位/mlで十分効果を示すが、Staphylococcus epidermidisの溶菌においては、10単位/ml以上のリゾスタフィン力価が必要であった。ゆえに、リゾスタフィンの至適力価は、約1単位/ml〜約1,000単位/ml、好ましくは、約10単位/ml〜約100単位/mlに設定するのが良い。また、Enterococcus faecalisの溶菌においては、リゾチームの力価を約10,000単位/mlで固定したとき、N−アセチルムラミダーゼ力価が約10単位/ml以下では溶菌されなかった。リゾチームについては、N−アセチルムラミダーゼ力価を100単位/mlに固定したとき、リゾチーム力価が1,000単位/ml以下では溶菌されなかった。ゆえに、N−アセチルムラミダーゼの至適力価は、約10単位/ml〜約10,000単位/ml、好ましくは、約100単位/ml〜約1,000単位/ml、リゾチームの至適力価は、約1,000単位/ml〜約1,000,000単位/ml、好ましくは、約10,000単位/ml〜約100,000単位/mlに設定すると良い。また、原因菌がCandida albicans等の真菌である場合には、ザイモラーゼ約50単位/ml〜約500単位/ml、好ましくは、約100単位/ml〜約500単位/mlの力価範囲にすると良い。また、ザイモラーゼを使用する際には、特に、PMSFまたは公知のプロテアーゼ阻害剤を使用するのが好ましい。
また、グラム陽性菌とグラム陰性菌の成分の違い、すなわち、ペプチドグリカンまたはリポポリサッカライドの違いにより、適宜使用酵素を選択することができる。特に、グラム陽性菌、グラム陰性菌にかかわらず、より効果的に溶菌させるには、2種類以上の酵素を併用すればよい。本発明においては、リゾチーム、リゾスタフィンおよびN−アセチルムラミダーゼの3種を混合したものを使用することにより、単独の酵素によった場合と比較して溶菌活性が高まることが明らかとなった。
酵素処理温度は、Staphylococcus aureusは、好ましくは約4℃〜約60℃、Staphylococcus epidermidisは、約25℃より高く、好ましくは約37℃以上、また、Enterococcus faecalisでは、約25℃より高く約60℃未満、好ましくは約37℃〜約42℃とすれば良い。ゆえに、至適酵素処理温度を、約37℃〜約42℃に設定するのが最も好ましい。また、3種類の菌に対する共通の範囲の内、限界とされる温度は約26℃〜約59℃と予想できる。
また、酵素処理時間は、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Enterococcus faecalisのいずれの貪食サンプルでも酵素処理時間20分以上(0分および10分においては不適であった)であり、また、白血球中に菌体は確認されなかったことから、少なくとも約15分以上、好ましくは約20分以上、さらに至適酵素処理時間を約30分〜約60分とするのが好ましい。また、酵素処理時間を約15分〜約120分としてもよい。
また、N−アセチルムラミダーゼとは、Enterococcus faecalisの熱処理乾燥粉末とN−アセチルムラミダーゼを、2mmol/l塩化マグネシウムを含む5mmol/lトリス塩酸緩衝液(pH6.0)中で、37℃で、5分間反応させた場合、600nmの吸光度を下げる酵素である。また、Streptococcus salivarius(IFO 3350)の熱処理細胞を、37℃、pH7.0で1分間に1ug溶菌する酵素活性を1単位とした場合、2,000単位/mg以上のものを使用するのが好ましい。
リゾチームは、Micrococcus luteusとリゾチームをPBS内で、37℃で、5分間反応させた場合、600nmの吸光度を下げる酵素である。また、Micrococcus luteusを、35℃、pH6.2で1分間に540nmの吸収を0.001下げるときの酵素活性を1単位とした場合、50,000単位/mg以上のものを使用するのが好ましい。
リゾスタフィンは、Staphylococcus epidermidisとリゾスタフィンをPBS内にて37℃で5分間反応させた場合、600nmの吸光度を下げる酵素である。また、Staphylococcus aureusを、37℃、pH7.5で、10分間に620nmの吸収を0.240から0.125に下げるときの酵素活性を1単位とした場合、500単位/mg以上のものを使用するのが好ましい。
ザイモラーゼ(商品名:ザイモリエイス、生化学工業)とは、Arthrobacter lutesulの培養液から調製された酵素であり、酵母生細胞の細胞壁に対して強い溶解活性を有している。ザイモラーゼに含まれる細胞壁溶解に関わる必須酵素はβ−1,3−グルカン・ラミナリペンタオヒドロラーゼ(lanimari−pentaohydrolase)であり、β−1,3−結合のグルコースポリマーに作用して、主生産物としてラミナリペンタオースを生成する。ザイモリエイス−100Tは硫安分画により精製され、さらにアフィニティークロマトグラフィーにより精製され(Kitamura,K.et al.;J.Ferment.Technol.,60,257,1982)、100,000単位/gの活性を有している。しかしながら、この酵素の活性は、基質となる酵母の種類、培養条件および生育時期により変化することが知られている(Kitamura,K.et al.;J.Gen.Appl.Microbiol.,20,323,1974、Kitamura,K.et al.;Agric.Biol.Chem.,45,1761,1981、Kitamura,K.et al.;Agric.Biol.Chem.,46,553,1982)。ザイモリエイス−100Tには、β−1,3−グルカナーゼを約1.0×10単位/g、プロテアーゼを約1.7×10単位/g、マンナーゼを約6.0×10単位/g含み、DNaseおよびRNaseは認められない(Kitamura,K.et al.;J.Gen.Appl.Micro−biol.,18,57,1972)。また、ザイモリエイスの至適pHは、約5.5〜約8.5、好ましくは、約6.5〜約7.5であり、至適温度は、約25℃〜約55℃、好ましくは約35℃〜約45℃である。さらに、酵母(対数増殖期細胞)に対する溶菌スペクトラム(属名)は、Ashbya、Candida、Debaryomyces、Eremothecium、Endomyces、Hansenula、Hanseniaspora、Kloekera、Kluyveromyces、Lipomyces、Helschkowia、Pichia、Pullularia、Torulopsis、Saccharomyces、Saccharomycopsis、Saccharomycodes、Schwanniomycesなどが挙げられる。
特に、カンジダ属として、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・パラシロシス(Candida parasilosis)、カンジダ・ガラクタ(Candida galacta)、カンジダ・ギリエルモンジ(Candida guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、クリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)等が挙げられる。本酵素の賦活剤として、SH化合物、例えば、システイン、2−メルカプトエタノール、ジチオスレイトールなどを用いることができる。
これらの属に属する菌も、本発明に使用できる。この酵素は、ビール酵母懸濁液を基質として、約25℃で、2時間の内に、反応液(酵素:0.05〜0.1mg/ml溶液1ml、基質:ビール酵母懸濁液(2mg乾燥重量/ml)3ml、緩衝液:M/15リン酸緩衝液(pH7.5)5ml、滅菌精製水1mlで全量10mlに調製したもの)のA800が約30%減少するために必要な酵素活性を1単位とする。ザイモリエイス−100Tは、100,000単位/gの活性を有している。
酵素試薬溶解液として用いるPMSF(プロテアーゼから白血球を保護してその形態を保持させるために添加)の濃度として、10μmol/l以上の濃度で効果が認められ、0.1mmol/l以上のPMSF濃度では、白血球の形態の劣化が完全に抑制されていたことから、約10μmol/l〜約10mmol/l、好ましくは約0.1mmol/l〜約1mmol/lの範囲であることが好ましい。また、DMSOの濃度として、5%未満、好ましくは2%以下、さらには1%程度の濃度であることが好ましい。ゆえに、酵素試薬溶解液は、0.1mol/lフェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF)含有ジメチルスルフォキシド(DMSO)をPBSで100〜1,000倍希釈して調製したものであることが好ましい。
感染症原因菌のDNAを露出させる工程の後に、細胞膜タンパク質のアセチル化の工程を挿入しても良い。具体的には、アセチル化試薬(トリエタノールアミン7.46g、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlとしたもの)に無水酢酸を加え、滅菌精製水で約2倍〜約50倍希釈、好ましくは約10倍希釈し、無水酢酸の終濃度を0.1〜3.0%、好ましくは0.8%に調製したアセチレーション試薬にスライドグラスを浸し、振とう機上で5〜30分間振とうすることにより行うことができる。その後、75%、85%、98%エタノールに、順次、2〜5分間ずつ浸し、完全に風乾させる。
また、細胞膜タンパク質のアセチル化工程の後に、感染症原因菌のDNAをアルカリ処理することにより一本鎖DNAとする工程を挿入することもできる。具体的には、スライドグラスを、約10mmol/l〜約300mmol/l、好ましくは、約70mmol/l水酸化ナトリウム含有PBS(PBS原液に水酸化ナトリウムを加え、滅菌精製水で20倍希釈し、水酸化ナトリウムの終濃度を70mmol/lに調製したもの)に約2〜約5分間浸すことにより行うことができる。その後、75%、85%、98%エタノールに、順次、2〜5分間ずつ浸し、完全に風乾させる。
露出された感染症原因菌のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行うには、例えば、プローブ希釈液にて調製した検出用DNAプローブを含有する液(プローブ液)を塗抹部位に塗布し、約25℃〜約50℃、好ましくは、約37℃〜約42℃の湿潤箱内で約1〜約3時間、好ましくは、約2時間静置させる。
その後、ハイブリダイゼーション洗浄液(ハイブリダイゼーション原液(塩化ナトリウム13.15g、クエン酸三ナトリウム2水和物6.615g、滅菌精製水にて全量75mlに調製したもの:以下、単に「ハイブリダイゼーション原液」と称する)を、ハイブリダイゼーション原液:滅菌精製水:ホルムアミド=5:45:50の割合で混合して調製したもの)を3つの染色ビンに用意し、順次、約35〜約45℃、好ましくは、約42℃で10分間ずつ浸す。その後、PBSに浸し、そのまま振とう機上で約5〜約30分間振とうさせる。詳細には、プローブ希釈液には、サケ精子DNA600μl、100×デンハート溶液50μl、ハイブリダイゼーション原液500μl、ホルムアミド2250μl、50%硫酸デキストラン1000μlが含まれる。プローブ液は各検出用DNAプローブ15ngを含むのが好ましく、プローブ希釈液にて全量50μlとするのが良い。
SA、SE、PA、EF、EKのプローブ濃度は、約0.6ng/μl〜約1.8ng/μl、好ましくは約0.6ng/μl〜約1.2ng/μlとするのが良い。また、0.06ng/μlにおいては不適であり、0.6ng/μlにおいては適であったことから、少なくとも0.1ng/μl以上とするのが好ましい。さらに、2.4ng/μlにおいては不適であり、1.8ng/μlにおいては適であったことから、2.2ng/μl以下とするのが好ましい。また、陽性コントロールおよび陰性コントロールの至適濃度を、それぞれ0.4〜2.0ng/μlおよび0.6〜2.0ng/μl、好ましくは共通して0.6〜1.0ng/μlとするのが良い。
また、ハイブリダイゼーションを行う時間は、少なくとも30分以上、好ましくは60分以上、より好ましくは90分以上とするのが好ましい。さらに好ましい至適ハイブリダイゼーション時間は、約120分〜約900分に設定すると良い。
また、in situハイブリダイゼーションの工程においてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤を使用するのが、検出感度を高めることができる点から好ましい。SDSの濃度は、1%以下が好ましく、より好ましくは約0.1%〜約0.5%、さらに好ましくは約0.25%とする。SDSは、ハイブリダイゼーションの際に用いる溶液に添加されていればよく、プローブ希釈液またはプローブ液に事前に混合したものを用いてもよい。
さらに、検出用DNAプローブを、約350〜約600塩基長、好ましくは、約350〜約550塩基長の鎖長を有する1種以上のDNAプローブとすることで、食細胞内にプローブを円滑に導入し、取り込まれている外来微生物の遺伝子への確実な接触が許容されるので好ましい。対象となるプローブの塩基長(塩基対の数)が、必ず上記塩基長範囲に収まらなければならないことを意味するものではなく、プローブの塩基長の分布に、上記範囲の塩基長が含まれていればよいこととする。これらプローブは、1種で用いても数種(1種以上)で用いても良い。1種以上のプローブとは、一菌種に対しハイブリダイズできる複数種のプローブであっても良く、また、一菌種に対してプローブは1つであるが、菌種が複数種存在するためにプローブの種類が複数種となっていても良く、プローブの種類が1種以上であれば特に限定されない。
これらプローブは、食細胞自体といかようにもハイブリダイズしない配列を有するDNA断片を含むものとすることが好ましく、また他の種の菌に由来する遺伝子と交差ハイブリダイズするものであってはならない。例えば、サブトラクション法を用いれば、短時間で特異プローブを作成することができる。これらプローブは、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ビオチン、ジゴキシゲニン(ジゴキシゲニン(DIG)−11−dUTP)等の非放射性同位体標識用物質を用い、定法のニックトランスレーションに従って、調製およびラベルするとよい。プローブの鎖長は、ニックトランスレーション反応において添加するDNaseIとDNAポリメラーゼIの量比を変化させることにより、最も効率よくラベルできるように制御することができる。例えば、DNAプローブ(SA−24)2μgを効率よくラベル化し、また、外来微生物DNAと効率よくin situハイブリダイゼーションできるプローブ鎖長(約350〜約600の塩基長)に調節するには、全量100μlの反応液中に、10U/μlのDNAポリメラーゼIの2μlに対し、全量100μl中に約10〜約350mU、好ましくは、約25〜約200mU、より好ましくは約50〜約150mUとなるように調製されたDNase Iの6μlが存在するようにすればよい。このとき、各酵素の容量および反応液全量などは、上記必須至適反応条件の比率が一定である限り、適宜変更しても良い。また、換言すれば、全量100μl中にDNAポリメラーゼIを20Uに対し、DNase Iを約10〜約350mU、好ましくは、約25〜約200mU、より好ましくは、約50〜約150mUに調製すればよい。さらに換言すれば、1単位のDNAポリメラーゼIに対し、約0.5/1,000〜約17.5/1,000、好ましくは、約1.25/1,000〜約10/1,000、より好ましくは、約2.5/1,000〜約7.5/1,000単位のDNase Iを用いてニックトランスレーション反応を行うと良い。また、DNA1μgに対してみれば、DNAポリメラーゼIを約10U、DNase Iを約5〜約175mU、好ましくは、約12.5〜約100mU、より好ましくは、約25〜約75mUに調製すれば良い。他のプローブについては、上記至適反応条件を参考にしてDNA量、DNAポリメラーゼIおよびDNase Iの至適反応条件を決定することができ、また、効率よくラベル化し、外来微生物DNAと効率よくin situハイブリダイゼーションできるプローブ鎖長(約350〜約600の塩基長)に調節することができる。
In situハイブリダイゼーションを行う際のストリンジェントな条件とは、例えば、ホルムアミドが約30%〜約60%、好ましくは、約50%の存在下、約30〜約50℃、好ましくは、約38〜約42℃でインキュベートし、その後、洗浄する条件である。
In situハイブリダイゼーションを行った後、ブロッキングの操作を行っても良い。具体的には、湿潤箱内でスライドグラス1枚につきブロッキング試薬(ウサギ正常血清2ml、PBS原液0.5ml、滅菌精製水にて全量10mlに調製したもの)1mlを塗抹部位に滴下し、15〜60分間静置する。その後、ブロッキング試薬を除去する。
菌由来の遺伝子(ゲノムDNAまたはRNA)とハイブリダイズした結果に生じるシグナルの検出のためには、定法の抗原−抗体反応等を利用した呈色反応を行うとよい。すなわち、ハイブリダイゼーションを終えた試料を充分に洗浄した後に、ブロッキング操作を行い、次いで、抗FITC抗体、抗ジゴキシゲニン抗体などの接合物、例えば、アルカリホスファターゼ接合物を用いて処理し、次いで、接合物の発色系にてシグナルを発色し、ハイブリダイゼーションの状況を確認する。例えば、プローブとして前記のジゴキシゲニン−11−dUTPでラベルしたものを用いた場合、抗ジゴキシゲニン−アルカリホスファターゼ接合物を用い、一般に使用されるアルカリホスファターゼに対する基質(ニトロブルーテトラゾリウムおよび5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート等)を利用して検出すればよい。次いで、呈色反応を行った後に洗浄した塗沫標本は、ナフトールブラック、Fast Green(20mg/50ml、Wako Chemicals社製)等で対比染色を行い、光学顕微鏡によって細胞内シグナルが観察される。
詳細には、ハイブリダイゼーションによるシグナルを得るには、例えば、検出用DNAプローブとしてジゴキシゲニン標識DNAプローブを用いる場合には、標識抗体(アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液1.05単位、バッファーA(トリエタノールアミン746mg、塩化ナトリウム17.5mg、塩化マグネシウム6水和物20.3mg、塩化亜鉛1.36mg、ウシ血清アルブミン1000mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量100mlに調製したもの)12.6μlにて全量を14μlに調製したもの)を標識抗体希釈液(トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン8.48mg、塩化ナトリウム6.14mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量0.7mlに調製したもの)で10〜200倍希釈、好ましくは50倍希釈した標識抗体液を調製し、この標識抗体液を塗抹部位に10μlずつ滴下し、15〜60分間静置すると良い。その後、標識抗体洗浄液(ポリソルベート20 1ml、PBS原液50ml、滅菌精製水にて全量100mlに調製したもの)を2〜50倍、好ましくは、10倍に希釈した溶液に浸し、そのまま振とう機上で5〜30分間浸透する。この操作を2回繰り返した後、発色前処理液1(トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン6.06g、塩化ナトリウム2.92g、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)と発色前処理液2(塩化マグネシウム6水和物5.08g、滅菌精製水にて全量50mlに調製したもの)を等量混合し、滅菌精製水で5倍程度に希釈した発色前処理液に浸し、そのまま振とう機上で5〜30分間振とうすれば良い。その後、スライドグラス1枚につき発色試薬(ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)/5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェイト(BCIP))1mlを0.2μmシリンジトップフィルターを装着したディスポーザブルシリンジを用いてろ過しながら、スライドグラスの塗抹部位に滴下し、湿潤箱内で約10℃〜約45℃、好ましくは、約37℃で、約15〜約60分間遮光静置する。その後、発色試薬洗浄液(トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン606mg、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム2水和物186mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)を約2〜約50倍、好ましくは、約10倍に希釈した溶液に約2〜約10分間浸し、風乾した後、対比染色液(ファストグリーンFCF(食用緑色3号)50mg、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)を2〜50倍、好ましくは10倍に希釈した溶液および、約0.1〜約5%、好ましくは約1%の酢酸溶液に浸す。その後、前記発色試薬洗浄液を約2〜約50倍、好ましくは約10倍に希釈した溶液に再度浸して余分の前記対比染色液を洗い流し、完全に風乾すると良い。また、上記発色試薬は、別々に調製したものであっても良い。
アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液は、ブロッティング用メンブレンにジゴキシゲニンラベルしたDNAの1ngをブロットし、ブロッキング後、10,000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液で処理し、発色基質(NBT/BCIP)を反応させるとDNAのブロッティング部位が発色し、ジゴキシゲニンラベルしていないDNAで同様の操作をしても発色は認められないものを使用するのが好ましい。また、抗ジゴキシゲニン抗体は、ヒツジ由来のものが好ましい。詳細には、免疫したヒツジ血清より、イオン交換クロマトグラフィーと抗体カラムクロマトグラフィーで精製すると良い。
発色試薬(NBT/BCIP溶液、pH9.0〜10.0)は、ニトロテトラゾリウムブルー(NBT)3.3mg、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェイト(BCIP)1.65mg、N,N−ジメチルホルムアミド99μg、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン121mg、塩酸適量、塩化ナトリウム58.4mg、塩化マグネシウム6水和物101.6mg、滅菌精製水適量にて全量10mlに調製したものであるのが好ましい。
この発色試薬としては、アルカリフォスファターゼをラベルしたタンパク質をブロッティング用メンブレンにブロットし、当該発色試薬でメンブレンを遮光室温で処理すると、ブロット部位に暗紫色のシグナルが現れるものを使用するのが好ましい。
上記した対比染色を行う場合に、シグナルと細胞のコントラストをさらに明確にさせるため、食用色素、例えば、黄色4号(タートラジン)を使用することができる。その理由は、基質によって紫色が呈色し、ナフトールブラックによって青色に呈色することから、類似色のために対比染色しづらいことが挙げられる。この方法を本発明に応用したところ、対比染色を行う際に有用であることが判明した。食用色素を用いるという手法は、これまでに無かった方法である。
ジゴキシゲニンを標識化する方法として、ニックトランスレーション法を用いることができる。その他に、PCR法、ランダムプライマーラベリング法、in vitroトランスクリプションラベリング法、ターミナルトランスフェラーゼラベリング法などを使用することができる。
判定は、光学顕微鏡で鏡検(×1,000)するときに、上述した対比染色液により染まった単一ウェル内の細胞に於いて、青紫色の発色が1つでも認められた場合に陽性と判定するのがよい。
また、検出用プローブの作成方法として、日本国特許第2558420号、特許第2798499号、特許第2965543号、特許第2965544号および特許第3026789号などを参照することができる。
例えば、ワーキングセルバンクから釣菌して培養するには、ワーキングセルバンク(SA−24)を滅菌シャーレに作製した50μg/mlアンピシリン含有のL−ブロス固形培地に、白金耳または使い捨てプラスチックループ等で画線塗抹する(釣菌)。
一晩培養した後に、シングルコロニーを採取し、50μg/mlアンピシリン含有のL−ブロス培地5mlに植菌して、37℃で終夜振とう培養する(前培養)。
前記培地400ml入り培養用フラスコに、前培養液を2.5mlずつ植菌して、約37℃で終夜振とう培養する(本培養)。
次に、SA−24プラスミドDNAを抽出するために、本培養した培養液を、4℃、4,000×gで10分間遠心分離して集菌する。培養上清を取り除き、STE(10mmol/lトリス塩酸(pH8.0)、1mmol/lエチレンジアミン−四酢酸2ナトリウム塩(EDTA)、0.1mmol/l塩化ナトリウム)を20ml加えて菌体を再懸濁し、4℃、4,000×gで10分間遠心分離して集菌する。10mg/mlリゾチームを含む溶液−1(50mmol/lグルコース、25mmol/lトリス塩酸(pH8.0)、10mmol/l EDTA)5mlを加え、菌体を懸濁して室温で5分間放置する。溶液−2(0.2mmol/l水酸化ナトリウム、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))10mlを加え、転倒混和して氷上で10分間放置する。氷冷した溶液−3(3mol/l酢酸カリウム(pH4.8))7.5mlを加え、転倒混和して氷上で10分間放置する。
高速冷却遠心機により、4℃、45,000×gで30分間遠心分離した後、上清を回収し、室温になるまで放置する。放置した後、0.6容量(約24ml)のイソプロパノールを加え、転倒混和して室温で15分以上放置する。高速冷却遠心機により、25℃、28,000×gで30分間遠心分離した後、上清を捨て、70%エタノールでペレットを洗浄して風乾する。風乾後、TE(10mmol/lトリス塩酸(pH8.0)、1mmol/l EDTA)を8ml加えて溶解する(プラスミドDNAの抽出)。
次に、SA−24含有プラスミドDNAを精製するために、得られたプラスミドDNAに、10mg/mlエチジウムブロマイド800μlおよび塩化セシウム8.6gを加え、転倒混和して溶解させる。その溶解液を超遠心用チューブに入れ、キャップまたはシールをする。垂直型ローターにより、20℃、500,000×gで5時間超遠心した後、紫外線ライト照射下で注射筒または注射針を使用してプラスミドDNAのバンドを分取する。分取したプラスミドDNA溶液に、等量のTE飽和1−ブタノールを加えて転倒混和し、微量高速遠心機により、15,000×gで5分間遠心分離し、上清を取り除く。この操作を繰り返し、プラスミドDNA溶液中のエチジウムブロマイドを取り除く。次に、TEを加えて1.5mlとし、脱塩カラム(NAP−10)で脱塩する。脱塩したプラスミドDNA溶液に3mol/l酢酸ナトリウム溶液を30μl加えて混和した後、3倍量の99.5%エタノールを加えて転倒混和し、−20℃で30分以上放置する。
放置後、微量冷却高速遠心機により、4℃、15,000×gで20分間遠心分離して上清を除いた後、冷70%エタノールを加えて懸濁し、再度、微量冷却高速遠心機により、4℃、15,000×gで20分間遠心分離して上清を除き、プラスミドDNAの沈渣を減圧下乾固させる。プラスミドDNAに100μlのTEを加えて完全に溶解させ、260nmの吸光度で濃度を測定する(SA−24含有プラスミドDNAの精製)。その後、SA−24含有プラスミドDNAの制限酵素処理およびアガロース電気泳動によるSA−24のサイズチェックを行う。
SA−24含有プラスミドDNAの制限酵素処理およびアガロース電気泳動によるSA−24の精製を行うには、分子量チェックの終了したSA−24含有プラスミドDNA 1mgを、制限酵素Hind III単独もしくは他の制限酵素と組み合わせて、37℃で1.5時間以上の反応により消化する。プラスミドDNAを消化した後、反応液の一部を0.8%アガロースで電気泳動して、消化が完全に終了したことを確認する。消化を確認した後、分取用の0.8%アガロースゲルで電気泳動し、SA−24のバンドを採取する。採取したSA−24をアガロースゲルから抽出、精製して、吸光度計にて濃度を測定する。精製したSA−24の一部を0.8%アガロースゲルで電気泳動し、シングルバンドであることを確認する。
SA−24のラベル化を行うには、精製したSA−24の2μgを用い、以下の表1に記載の組成を有する反応液において、ジゴキシゲニンラベルを施すとよい。
Figure 2002099133
表1において、Xは、プローブ原液の濃度に応じて上記好ましいプローブ濃度となるように添加することができる容量であり、この容量に伴い精製水量Yを決定して最終容量を調整する。
ラベル化後、反応液にTEを100μl加えて反応を停止させる。反応停止液をスピンカラムに注入し、4℃、380×gで10分間遠心分離して、遊離のヌクレオチドを除く。次に、溶出液の濃度を吸光度計により測定し、TEで10ng/μlに調製する。
ラベル化を確認するために、ラベルしたSA−24の0.5μlをメンブレンに滴下し、風乾する。ブロッキング試薬にメンブレンを浸し、室温で30分間ブロッキングする。0.1mol/lトリス塩酸(pH7.5)、0.15mol/l塩化ナトリウムで5,000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液に、メンブレンを室温で30分間浸す。0.1mol/lトリス塩酸(pH7.5)、0.15mol/l塩化ナトリウムにメンブレンを浸し、室温で10分間振とうして2回洗浄する。0.5mol/lトリス塩酸(pH9.5)、0.15mol/l塩化ナトリウム、50mmol/l塩化マグネシウムに、メンブレンを室温で10分間浸す。発色試薬にメンブレンを室温で遮光下、10分間浸す。メンブレンをTEに浸し、発色を停止させる。スポット下部分の青紫色の発色で、ラベル化の確認を行う。
スピンカラムを作製するには、1mlのディスポーザブルシリンジに、少量の滅菌済みグラスウールを充填する。1mmol/lトリス塩酸(pH7.5)、1mmol/lのEDTA、0.1%SDSで膨潤させたセファデックスG−50をシリンジにつめる。15mlのディスポーザブルコニカルチューブにシリンジを入れ、4℃、320×gで10分間遠心分離し、余分の緩衝液を落とす。ディスポーザブルコニカルチューブからシリンジを抜き、排出された緩衝液を捨てた後、1.5mlのエッペンドルフ型チューブをディスポーザブルコニカルチューブの底に入れ、その上にシリンジを入れて作製する。
プローブの特異性を確認するため、以下の手順に従って、ドットブロットハイブリダイゼーションを行うとよい。
まず、スポットした各ゲノムDNAを変性するために、定法に従い0.5mol/l水酸化ナトリウム、1.5mol/l塩化ナトリウム溶液で飽和した濾紙(ワットマン社製3MM)上に、調製した各種細菌ゲノム100ngをナイロンメンブレン(ポールバイオダインタイプB、日本ポール社製)にスポットし、風乾したメンブレンを10分間静置する。次に、0.5mol/lトリス塩酸(pH7.5)、1.5mol/l塩化ナトリウム溶液で飽和した前出の濾紙上に10分間静置して変性DNAを中和する。さらに、2×SSC(Standard Saline Citrate)溶液で飽和した前記濾紙上に5分間静置し、リンスする。その後、メンブレンを風乾し、2×SSC溶液にメンブレンを浸し、5分間浸透する。定法に従い、プラスチックバッグ内でプレハイブリタイゼーション溶液にメンブレンを浸し、42℃、60分間親和させる。プラスチックバッグ内で、プローブ400ngを含むハイブリタイゼーション溶液15ml内にメンブレンを浸し、42℃で、一晩反応させる。次に、2×SSC、0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)溶液にメンブレンを浸し、5分間洗浄する(2回繰り返す)。その後、0.1×SSC、0.1%SDS溶液にメンブレンを浸し、60℃、10分間洗浄する(3回繰り返す)。2×SSC溶液にメンブレンを浸し、5分間洗浄する。メンブレンを3%ウシ血清アルブミン、1%ブロッキングバッファー(ベーリンガー社製)、0.1mol/lトリス塩酸(pH7.5)、0.15mol/l塩化ナトリウム溶液にメンブレンを浸し、30分間おだやかに振とうする。その後、アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体(ベーリンガー社製)を、0.1mol/lトリス塩酸(pH7.5)、0.15mol/l塩化ナトリウム溶液で5,000倍希釈した溶液にメンブレンを浸し、30分間おだやかに振とうする。次に、0.1mol/lトリス塩酸(pH7.5)、0.15mol/l塩化ナトリウム溶液にメンブレンを浸し、15分間振とうする(2回)。0.1mol/lトリス塩酸(pH9.5)、0.1mol/l塩化ナトリウム、5mmol/l塩化マグネシウム溶液にメンブレンを浸し、5分間振とうする。NBT−BCIP溶液(GIBCO BRL社製)にメンブレンを浸し、遮光下で発色反応させる。TE(10mmol/lトリス塩酸(pH8.0)、1mmol/l EDTA)にメンブレンを浸し、発色反応を止め、風乾する。プレハイブリダイゼーション溶液およびハイブリダイゼーション溶液を、以下の表2に示す。
Figure 2002099133
In situハイブリダイゼーションの工程において使用される界面活性剤としては、公知の界面活性剤が使用できる。界面活性剤は、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤および両性界面活性剤に大別される。
アニオン界面活性剤は、陰イオン界面活性剤とも呼ばれ、水中で電離して有機陰イオンとなるものである。界面活性剤の分子中の親油基をRとして表現すると、RCOONa、RSONa、RSONaなどがある。RCOONaのように弱酸性基を含有する界面活性剤の水溶液は加水分解しやすく弱アルカリ性であるが、RSONa、RSONaなどの強酸性基を有する界面活性剤の水溶液は加水分解を受けにくく、中性となる。陰イオン性であるから、多量の陽イオン性物質の存在で界面活性を失うことがあり、また強酸性にした時にも失活する。
非イオン性界面活性剤は、親水基が非イオン性のものをいう。親水基として酸化エチレン基(−CHCHO−)が多用され、この基の数が多くなる程親水性が増す。反対に、親油基の炭素数が増加すると、親油性が増加する。従って、親水性・親油性を様々に変化させた界面活性剤が得られるのが特徴である。非イオン性界面活性剤は、水中で電離せず、無機塩の影響も受けにくいため、生体に及ぼす作用も少ない。しかも、洗浄作用は、強力で、泡立ちは比較的少ない為、洗剤のみならず、医薬品、化粧品、食品などに広く使用される。水溶性の非イオン性界面活性剤は温度が上昇すると、ある温度で水に溶解しにくくなり、水溶液が濁り出すが、これは親水基と水との水素結合が切断されるために生じる。
カチオン界面活性剤は、陽イオン界面活性剤ともいう。水中で、電離して有機陽イオンとなるものである。カチオン界面活性剤は、一般に洗浄作用は大きくはないが、細菌などのアニオン性のものと強く結合するため、殺菌作用が大きい。また、繊維やプラスチックの帯電防止能もある。カチオン界面活性剤の代表的なもので、ドデシルトリメチルクロリド[C1225(CHN]Clは水溶性であるが、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド[(C1225(CHN]Clは水に溶解しにくく、水中では2分子膜状のベシクルを形成し、ベンゼンには溶解する。
両性界面活性剤は、分子内にアニオン基とカチオン基の両者を併せ持っている界面活性剤である。水溶液中での電離状態はアミノ酸に類似しており、両性界面活性剤には、アミノ酸誘導体が多く存在する。従って、アミノ酸と同様に等電点を有し、等電点よりアルカリ性側ではアニオン界面活性剤として、酸性側ではカチオン界面活性剤として作用する。等電点で水溶性は最低となり、表面張力も最も低下する。両性界面活性剤は、殺菌剤、帯電防止剤などに用いられる。
また、アニオン界面活性剤は、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型およびリン酸エステル型に分けられ、非イオン性界面活性剤は、エステル型、エーテル型、エステルエーテル型およびアルカノールアミド型に分けられる。カチオン界面活性剤は、アルキルアミン塩型および第四級アンモニウム塩型に分けられ、両性界面活性剤は、カルボキシベタイン型、2−アルキルイミダゾリンの誘導型およびグリシン型に分けられる。
さらに、アニオン界面活性剤のカルボン酸型は、脂肪酸モノカルボン酸塩、N−アシルサルコシン塩およびN−アシルグルタミン酸塩に細分される。それぞれの代表例として、脂肪酸モノカルボン酸塩には、ラウリン酸ナトリウムおよび薬用せっけんがあり、N−アシルサルコシン塩は、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−アシルグルタミン酸塩にN−ラウロイルグルタミン酸二ナトリウムがある。また、スルホン酸型は、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(分岐鎖)ベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物およびN−メチル−N−アシルタウリン塩に細分される。代表例として、ジアルキルスルホコハク酸塩は、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルカンスルホン酸塩は、ドデカンスルホン酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩には直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル(分岐鎖)ベンゼンスルホン酸塩はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸塩はブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、N−メチル−N−アシルタウリン塩にはN−メチル−N−ステアロイルタウリンナトリウムがある。また、硫酸エステル型は、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩および油脂硫酸エステル塩に細分される。代表例として、アルキル硫酸塩は、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびセチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩はポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンがある。また、リン酸エステル型は、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩に細分される。代表例を挙げると、アルキルリン酸塩には、モノラウリルリン酸二ナトリウムがある。ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩には、リン酸ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテルおよびリン酸ポリオキシエチレンオレイルエーテル(8MOL)がある。
非イオン性界面活性剤のエステル型は、脂肪酸グリセリン、脂肪酸ソルビタンおよび脂肪酸ショ糖エステルに細分される。それぞれの代表例として、脂肪酸グリセリンは、モノステアリン酸グリセリン、脂肪酸ソルビタンは、モノステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート20(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、ポリソルベート60およびポリソルベート80、脂肪酸ショ糖エステルはステアリン酸ショ糖エステルがある。また、エーテル型は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールに細分される。代表例を挙げると、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルおよびポリオキシエチレンセチルエーテルがあり、また、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとして、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルおよびポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルがある。また、エステルエーテル型は、脂肪酸ポリエチレングリコールおよび脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンに細分される。それそれの代表例は、脂肪酸ポリエチレングリコールは、オレイン酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンには、パルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートがある。また、アルカノールアミド型は、脂肪酸アルカノールアミドの1つのみである。代表例は、ラウリン酸ジエタノールアミドである。
カチオン界面活性剤のアルキルアミン塩型には、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩およびトリアルキルアミン塩があり、代表例は、モノステアリルアミン塩酸塩である。また、第四級アンモニウム塩型は、塩化(または臭化、沃化)アルキルトリメチルアンモニウム、塩化(または臭化、沃化)ジアルキルジメチルアンモニウムおよび塩化アルキルベンザルコニウムに細分される。それぞれの代表例は、塩化(または臭化、沃化)アルキルトリメチルアンモニウムとして、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化(または臭化、沃化)ジアルキルジメチルアンモニウムとして、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウムは塩化ラウリルベンザルコニウムがある。
両性界面活性剤のカルボキシベタイン型は、アルキルベタインの1つのみである。代表例は、ラウリルベタインである。また、2−アルキルイミダゾリンの誘導型は、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインの1つのみである。代表例として、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが挙げられる。また、グリシン型は、アルキル(又はジアルキル)ジエチレントリアミノ酢酸があり、代表例として、ジオクチルジエチレントリアミノ酢酸が挙げられる。
さらに、上記代表例に加えて、Triton X−100、ラウリルサルコシン、サポニン、BRIJ35、アルキルアリルポリエーテルアルコール、高級アルコール硫酸化物、N−ココイル−L−アルギニンエチルエステルDL−ピロリドンカルボン酸塩、N−ココイル−N−メチルアミノエチルスルホン酸ナトリウム、コレステロール、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、スクワラン、ステアリルアルコール、ステアリン酸ポリオキシル40、セタノール、セトマクロゴール1000、セバシン酸ジエチル、ノニルフェノキシポリオキシエチレンエタン硫酸エステルアンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシル35ヒマシ油、マクロゴール400、N−ヤシ油脂肪酸アシルL−アルギニンエチル・DL−ピロリドンカルボン酸塩、ラウリルジメチルアミンオキシド液、ラウロマクロゴール、メチルセルロース、CMC(カルボキシメチルセルロース)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、CHAPS、デオキシコール酸、ジギトニン、n−ドデシルマルトシド、ノニデットP40、n−オクチルグルコシド、オクチルチオグルコシド、ラウリル酸シュクロース、ドデシルポリ(エチレングリコールエーテル)n,n−ドデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルフォネート等も挙げることができる。
上掲の各種界面活性剤は、in situハイブリダイゼーションの工程で使用されることが重要であり、その使用方法は特に限定されない。例えば、プローブ液またはプローブ希釈液中に混合されていても良いし、プローブ液とは別に調製した界面活性剤を含有する溶液を、プローブ液を塗抹部位に塗布する前、同時または後に添加しても良いし、当業者は適宜変更することができる。
なお、本発明において、陽性コントロールプローブが必要であれば、次のように作製することができる。例えば、まず、U937細胞(ATCC CRL−1593.2)のゲノムDNAの抽出と精製を行うには、37℃、5%炭酸ガスインキュベーター内で、細胞培養フラスコ(175cm)内のRPMI1640培地(25ml)を用い、U937細胞を培養する。U937培養液を50mlの遠沈管に入れ、4℃、220×gで10分間遠心分離し、U937細胞を回収する。細胞を10mlのPBSで懸濁洗浄し、再度4℃、180×gで10分間遠心分離し、細胞を回収する。その後、上清を捨て、細胞を1mlの200μg/mlプロテネースK含有1%SDS含有TE溶液で懸濁し、37℃で30分間放置する。フェノール抽出を3〜4回線り返し、除蛋白を行う。エタノール沈殿により析出したゲノムを回収し、500μlの2.5μgリボヌクレアーゼ含有滅菌精製水に溶解し、42℃で30分間放置する。フェノール抽出を2〜3回繰り返し、除蛋白を行う。エタノール沈殿により析出したゲノムを回収し、500μlのTEに溶解する。その後、吸光度計により濃度を測定し、ジゴキシゲニンラベルに供することにより、陽性コントロールプローブを作製することができる。また、陽性コントロールプローブは、U937ゲノムを100ngスポットしたメンブレンに、陽性コントロールプローブをドットハイブリダイゼーションするとき、ハイブリッド形成が確認できるものを用いるのがよい。陰性コントロールプローブが必要であれば、公知の方法で作製することができる。
また、本発明には、食細胞を含む生体由来の臨床検体より食細胞を得、得られた食細胞を固定し、該食細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、該食細胞中に存在すると予想される感染症原因菌のDNAを露出させる処理を施し、このDNAにストリンジェントな条件下ハイブリダイゼーションできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより感染症原因菌を検出および/または同定するためのキットであって、DNA露出工程で使用される酵素が、リゾスタフィン、リゾチーム、N−アセチルムラミダーゼ、ザイモラーゼからなる群より選択される少なくとも1種以上の酵素、界面活性剤が添加されたプローブ液、1種以上の検出用DNAプローブを有することを特徴とする、感染症原因菌を検出および/または同定するためのキットも含まれる。キットには、後出の実施例に示す、血液分離試薬、酵素前処理試薬、酵素試薬、アセチル化試薬、プローブ液、ブロッキング試薬、標識抗体、標識抗体希釈液、発色前処理液−1、発色前処理液−2、発色試薬、対比染色液、PBS原液、ハイブリダイゼーション原液、標識抗体洗浄液、発色試薬洗浄液、APSコートスライドグラス、プローブ希釈液、バッファーA等が含まれる。これらのうち、少なくとも酵素試薬とプローブ液を具備することが好ましい。また、本発明に使用する各種試薬、例えば、クロロホルム、エタノール、無水酢酸、DMSO、PMSF、ホルムアミド、酢酸、塩酸、水酸化ナトリウム等を含んでいても良い。
さらに、低速遠心機、恒温機、血球計算盤、振とう機、湿潤箱、恒温槽、光学顕微鏡、可変式ピペット、採血管、チップ、ピペット、染色ビン、メスシリンダー、注射筒、0.2μmシリンジトップフィルターの機械や器具を含んでいても良い。
また、本発明は、生体由来の食細胞を含む臨床検体中に含まれる食細胞によって貪食された外来微生物の遺伝子をモニターする方法を提供する。さらに、本発明は、原因菌の候補となる微生物の遺伝子を同定する工程を含み、同定された結果に基づいて敗血症原因菌または菌血症原因菌が特定されることを特徴とする方法を提供する。
この方法を、様々なセプシスが疑われた患者血液の診断に実際に応用したところ、投与された抗菌薬の影響を受けることなく、血液培養法に比べて約4倍の感度で起因菌を検出することができ、検出菌株の一致率は良好であることが明らかになっている。そして、血液培養では検査に3日以上14日程度を要するのに比較して、本発明の方法では全操作完了までに約8時間と極めて短時間の簡便な操作によって正確な結果を得ることができるので、特に敗血症または菌血症など、速やかな善処が必要とされる感染症の診断や予後診断のモニター等において有用マーカーとなり得る。
実 施 例
以下に、本発明を実施例に沿って具体的に説明するが、これら実施例の開示によって本発明が限定的に解釈されるべきでないことは勿論である。
実施例1:採血・血液検体の処理
臨床検体として、敗血症が疑われた患者より採取した血液12検体(検体A〜L)を用いた。各患者からヘパリン加静脈血10mlを採取し、これら血液と血液分離試薬(塩化ナトリウム225mg、デキストラン(分子量:200,000〜300,000)1.5g、滅菌精製水にて全量25mlに調製したもの)を4:1の割合で混和した後、37℃で、30分間静置することにより、白血球画分(上層)を取得した。この白血球画分を、4℃にて160×gで10分間遠心分離することで、白血球を得た。次に、得られた白血球のペレットに滅菌精製水1mlを加えて懸濁し、直ちに過剰量のPBS(塩化ナトリウム18.24g、リン酸一水素ナトリウム12水和物6.012g、リン酸二水素ナトリウム2水和物1.123g、滅菌精製水にて全量120mlにしたもの(PBS原液)を、滅菌精製水にて20倍に希釈したもの)を加えて等張化した後、再度4℃で、160×gで10分間遠心分離した。
実施例2:白血球の固定
3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS、SIGMA社)がスライドグラス(日本エアーブラウン社製、商品番号MS311BL)にコートされたAPSコートスライドグラスを使用した。APSコートスライドグラスの作製は、まず、スライドホルダーにスライドグラス(商品番号MS311BL)を固定した後、希釈した中性洗剤で30分以上浸すことにより洗浄し、水道水で洗剤を十分に取り除き、次に、スライドグラスを精製水にて洗浄し、高温(100℃以上)で十分に乾燥させた後、室温で放置冷却した。その後、このスライドグラスを2%APS含有アセトンに1分間浸し、直ちにアセトン及び滅菌精製水で順次軽く洗浄した後、風乾した。さらに、再度、スライドグラスを2%APS含有アセトンに1分間浸し、直ちにアセトン及び滅菌精製水で、順次軽く洗浄した後、風乾する操作を行った後、42℃で乾燥させることにより作製した。
白血球画分を、4℃にて、160×gで10分間遠心分離して得た白血球ペレットに、少量のPBSを加えて懸濁し、血球計算盤を用いて白血球数を計測する。細胞数が1×10個/ウェルとなるようにPBSで調製した白血球懸濁液5μlを、APSコートスライドグラスの各ウェルに白血球が単層に広がるように塗抹し、完全に風乾することにより、白血球をAPSコートスライドグラスに支持させた。その後、カルノア固定液(エタノール:クロロホルム:酢酸=6:3:1の容量比で混合した液)に20分間浸した後、75%エタノール液に5分間浸し、完全に風乾させた。
実施例3:白血球細胞膜の透過性亢進処理
PBSに10分間浸し、その後、酵素前処理試薬(サポニン1.25g、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(比重1.068〜1.075(20/4℃)、pH(5w/v%)5.5〜7.5)1.25ml、PBS原液25mlを混合し、滅菌精製水にて全量50mlに調製したもの)を滅菌精製水で10倍に希釈した溶液に浸し、振とう機で10分間浸透させた。
実施例4:菌体壁の溶菌酵素処理
感染症原因菌のDNAを露出させるため、スライドグラス1枚につき酵素試薬(N−アセチルムラミダーゼ1,000単位/ml、リゾチーム100,000単位/mlおよび/またはリゾスタフィン100単位/ml)に酵素試薬溶解液(PBSで0.1mol/lフェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF)含有ジメチルスルフォキシド(DMSO)を100倍希釈して製したもの)を1ml加えて酵素試液を調製した後、37℃〜42℃の湿潤箱内で、酵素試液1mlを白血球塗抹部位に滴下し、30分間静置した。その後、0.2mol/l塩酸含有PBS(PBS原液に塩酸を加え、滅菌精製水にて20倍希釈し、塩酸の終濃度を0.2mol/lに調製したもの)に浸し、そのまま振とう機上で10分間浸透させた。
実施例5:細胞膜タンパク質のアセチル化
アセチル化試薬(トリエタノールアミン7.46g、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlとしたもの)に無水酢酸を加え、滅菌精製水で10倍希釈し、無水酢酸の終濃度を0.8%に調製したアセチレーション試薬にスライドグラスを浸し、振とう機上で10分間振とうすることにより行った。その後、75%、85%、98%エタノールに、順次、3分間ずつ浸し、完全に風乾させた。
実施例6:菌体DNAのアルカリ処理(二本鎖DNAを一本鎖に変性)
スライドグラスを、70mmol/l水酸化ナトリウム含有PBS(PBS原液に水酸化ナトリウムを加え、滅菌精製水で20倍希釈し、水酸化ナトリウムの終濃度を70mmol/lに調製したもの)に3分間浸すことにより行った。その後、75%、85%、98%エタノールに、順次、3分間ずつ浸し、完全に風乾させた。
実施例7:ハイブリダイゼーション
プローブ希釈液(0.25%SDS、サケ精子DNA 600μl、100×デンハート溶液50μl、ハイブリダイゼーション原液500μl、ホルムアミド2250μl、50%硫酸デキストラン1000μlが含まれる)で調製したジゴキシゲニン標識DNAプローブ15ngを含有する液(プローブ液;1.0ng/μl)を塗抹部位に塗布し、37℃〜42℃の湿潤箱中で2時間静置させた。SDS無添加のプローブ液を対照とした。ジゴキシゲニン標識DNAプローブは、ニックトランスレーション法にて作製した。その後、ハイブリダイゼーション洗浄液(ハイブリダイゼーション原液(塩化ナトリウム13.15g、クエン酸三ナトリウム2水和物6.615g、滅菌精製水にて全量75mlに調製したもの)を、ハイブリダイゼーション原液:滅菌精製水:ホルムアミド=5:45:50の割合で混合して調製したもの)を3つの染色ビンに用意し、順次、42℃で10分間ずつ浸した。
その後、PBSに浸して、そのまま振とう機上で10分間振とうさせた。ジゴキシゲニン標識DNAプローブとして、Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisに対するプローブとして、SA−24(配列番号:1)、SA−36(配列番号:2)およびSA−77(配列番号:3)ならびにSE−22(配列番号:4)、SE−3(配列番号:5)およびSE−32(配列番号:6)(日本国特許第2798499号参照)の各プローブを利用した。また、Pseudomonas aeruginosaに対するプローブとして、P2−2(配列番号:7)(日本国特許第2965544号参照)のプローブを利用した。また、Enterococcus faecalisに対するプローブとして、EF−1(配列番号:8)、EF−27(配列番号:9)およびEF−7(配列番号:10)(日本国特許第2965543号参照)を利用した。そして、Escherichia coli、Enterobacter cloacaeおよびKlebsiella pneumoniaeに対するプローブとして、EC−24(配列番号:11)、EC−34(配列番号:12)およびEC−39(配列番号:13)ならびにET−49(配列番号:14)およびKI−50(配列番号:15)(日本国特許第3026789号参照)を利用した。さらに、Candida albicansに対するプローブとして、CA−26(配列番号:16)、CA−26−1(配列番号:17)、CA−26−2(配列番号:18)およびCA−26−3(配列番号:19)(日本国特許第2558420号参照)を利用した。これらプローブの配列を用いて、ニックトランスレーション法によりプローブの作製を行った。
実施例8:ブロッキング
In situハイブリダイゼーションを行った後、ブロッキングの操作を行った。湿潤箱内でスライドグラス1枚につきブロッキング試薬(ウサギ正常血清2ml、PBS原液0.5ml、滅菌精製水にて全量10mlに調製したもの)1mlを塗抹部位に滴下し、30分間静置した。その後、ブロッキング試薬を除去した。
実施例9:標識抗体との反応
標識抗体(アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液1.05単位、バッファーA(トリエタノールアミン746mg、塩化ナトリウム17.5mg、塩化マグネシウム6水和物20.3mg、塩化亜鉛1.36mg、ウシ血清アルブミン1000mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量100mlに調製したもの)12.6μlにて全量を14μlに調製したもの)を標識抗体希釈液(トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン8.48mg、塩化ナトリウム6.14mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量0.7mlに調製したもの)で50倍希釈した標識抗体液を調製し、この標識抗体液を塗抹部位に10μlずつ滴下し、30分間静置させた。その後、標識抗体洗浄液(ポリソルベート20 1ml、PBS原液50ml、滅菌精製水にて全量100mlに調製したもの)を10倍に希釈した溶液に浸して、そのまま振とう機上で10分間浸透させた。この操作を2回繰り返した後、発色前処理液1(トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン6.06g、塩化ナトリウム2.92g、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)と発色前処理液2(塩化マグネシウム6水和物5.08g、滅菌精製水にて全量50mlに調製したもの)とを等量混合し、滅菌精製水で5倍に希釈した発色前処理液に浸し、そのまま振とう機上で10分間振とうさせた。
実施例10:検 出
スライドグラス1枚につき発色試薬(ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)/5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェイト(BCIP)溶液、pH9.0〜10.0:NBT 3.3mg、BCIP 1.65mg、N,N−ジメチルホルムアミド99μg、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン121mg、塩酸適量、塩化ナトリウム58.4mg、塩化マグネシウム6水和物101.6mg、滅菌精製水適量にて全量10mlに調製したもの)1mlを0.2μmシリンジトップフィルターを装着したディスポーザブルシリンジを用いてろ過しながら、スライドグラスの塗抹部位に滴下し、湿潤箱内で、37℃、30分間遮光静置した。その後、発色試薬洗浄液(トリス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン606mg、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム2水和物186mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)を10倍に希釈した溶液に5分間浸し、風乾した後、対比染色液(ファストグリーンFCF(食用緑色3号)50mg、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)を10倍に希釈した溶液および1%酢酸溶液に浸した。その後、前記発色試薬洗浄液を10倍に希釈した溶液に再度浸して余分の前記対比染色液を洗い流し、完全に風乾させた。
実施例11:判 定
判定は、光学顕微鏡で鏡検(×1,000)するとき、単一ウェル内で対比染色液によって染まった細胞に於いて、青紫色の発色シグナルが1つでも認められた場合に陽性と判定した。その結果、本発明の方法により、12検体中5検体で菌を検出した。5検体の内訳は、検体A−SA(Staphylococcus aureus)、検体FおよびG−SE(Staphylococcus epidermidis)、検体J−SEおよびEF(Enterococcus faecalis)、検体L−SAおよびCA(Candida albicans)であった。なお、同じ検体を用いて、公知の方法に従い血液培養を行ったところ、検体AはSAを検出し同一の結果を示したが、検体F、G、JおよびLは菌を検出することができなかった。従って、本発明の方法が、血液培養と比較して、迅速に感度よく検出できることが判明した。
検体A−SAにおける結果に関し、プローブ希釈液へのSDSの添加の効果を、第1図に示した。第1図から、SDSを0.25%添加することで、シグナルの検出感度が格段に高められることが明らかである。その他の検体についても同様に、SDSを添加することで良好なシグナル検出が可能となった。なお、本実施例において使用したプローブは、SA−24(配列番号:1)、SA−36(配列番号:2)およびSA−77(配列番号:3)の塩基配列を組み合わせて用い、ニックトランスレーションによって作製したプローブである。
実施例12:塗抹固定する至適白血球数の検討
APSコートスライドグラスのウェル(直径5mmの円形ウェル)に塗抹する至適白血球数を検討した。ヘパリン加健常ヒト血液10mlを採取し、実施例1に記載の手順に従って白血球を採取した。次に、得られた白血球を適量のPBSで懸濁した後、血球計算盤を用いて1ml当たりの白血球数を測定し、(a)1×10個/mlを始点として、(b)5×10個/ml、(c)1×10個/ml、(d)5×10個/ml、(e)1×10個/ml、(f)5×10個/mlおよび(g)1×10個/mlの希釈系列を作成した後、各々5μlをスライドグラスに塗抹した。風乾後、カルノア固定(実施例2参照)を行い、直ちに前記対比染色液で染色し、実施例11に記載した方法を用いて判定した。その結果、細胞数が1×10個/mlでは細胞数が過剰であり、検出不適であった。また、5×10個/ml以下では、ウェルに観察される細胞数が少なく、検出不適であった。よって、固定化する食細胞の密度(x個/ml)としては、約5×10個/ml<x個/ml<約1×10個/ml、とりわけ、約1×10個/ml≦x個/ml≦約5×10個/mlが好ましい。また、それに対応して、APSコートスライドグラスに固定される1ウェル当たりの白血球の細胞数(y個/ウェル(直径5mm))は、約2.5×10個/ウェル<y個/ウェル(直径5mm)<約5×10個/ウェル、好ましくは、約5×10個/ウェル≦y個/ウェル(直径5mm)≦約2.5×10個/ウェルとなるように調製するのが良いことが判明した。試料(a)〜(f)に関する実験結果を、第2図(a)〜(f)にそれぞれ示した。
実施例13:使用溶菌酵素の選択
Staphylococcus aureus(ATCC 12600)、Staphylococcus epidermidis(ATCC 14990)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC 10145)、Enterococcus faecalis(ATCC 19433)、Escherichia coli(ATCC 11775)を溶菌する酵素条件を検討した。Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisでは、溶菌酵素としてリゾスタフィン(Bur.J.Biochem.,38,293−300,1973)を使用した。Enterococcus faecalisには、N−アセチルムラミダーゼ(Archs.Oral Biol.,23,543−549,1978)、リゾチーム(生化学工業)を使用した。また、Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliについては、70mmol/lの水酸化ナトリウム含有PBSを使用した。これら各種細菌を5mlのBHI(ブレインハートインフュージョン)液体培地(DIFCO社製)に植菌し、37℃で8時間以上培養した。培養した菌液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。集めた菌をPBSで懸濁して試料とした。
溶菌はマイクロプレートリーダーを用い、吸光度600nmにおける菌液の濁度の減少により評価した。その結果、Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisは、リゾスタフィンにより溶菌した。Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliについては、70mmol/lの水酸化ナトリウム含有PBSで溶菌したため、酵素処理は必要としなかった。また、Enterococcus faecalisについては、N−アセチルムラミダーゼ単独よりもリゾチームと併用した方が優れた溶菌活性が得られることが判明した。また、貪食作用を受けて取り込まれた菌が、例えば、Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliなどである場合には、アルカリ処理に際して菌の細胞壁が溶解され、遺伝子が露出した状態となるので、必ずしもこの酵素処理を行う必要はない。本発明において外来微生物を溶解するために使用される前処理用の各酵素は、前述した細菌株に対して有効であるのみならず、他のスタフィロコッカス属、ストレプトコッカス属、バシルス属およびミクロコッカス属を初めとする他の菌種等でも有効である。また、かような酵素は、各々単独で用いることもできるが、混合した場合の方が有効である。それら結果を、第3図、具体的には、(a)Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidis、(b)Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coli、ならびに(c)Enterococcus faecalisについて示した。
実施例14:酵素溶解液に関する検討(DMSOの至適濃度の検討)
酵素試薬に含有されるプロテアーゼは、白血球の形態を劣化させることから、白血球の形態を保持させるために添加するPMSFの溶解剤であるDMSOの酵素活性に及ぼす影響を検討した。Enterococcus faecalisを、50mlの前記BHI液体培地に植菌し、37℃で、8時間以上培養した。この培養液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌し、PBSで懸濁した後、オートクレーブ(120℃、10分)により熱処理を行った。次に、4℃、2,000×gで10分間遠心分離し、上清を捨て、1mlのPBSで沈渣を懸濁させた後、凍結乾燥させた。この凍結乾燥試料を0〜10%DMSO含有5mmol/lトリス−塩酸(pH6.0)、2mmol/l塩化マグネシウムで懸濁し、N−アセチルムラミダーゼに対する試料とした。また、Micrococcus luteus(JCM1464)を、5mlのBHI液体培地(前出)に植菌し、37℃で8時間以上培養した。培養した菌液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。上清を捨て、菌のペレットをPBS 5mlで懸濁洗浄し、再度4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。このようにして集めた菌を、0〜10%DMSO含有PBSで懸濁し、リゾチームに対する試料とした。一方、Staphylococcus epidermidisをリゾチームの場合と同様に培養、集菌し、0〜10%DMSO含有PBSで懸濁し、リゾスタフィンに対する試料とした。酵素活性は、マイクロプレートリーダーを用い、吸光度600nmにおける試料の濁度の減少により評価した。ただし、本試験中それぞれの酵素力価は、(a)N−アセチルムラミダーゼ300単位/ml、(b)リゾチーム10,000単位/ml、(c)リゾスタフィン50単位/mlとし、酵素活性に対するDMSOの影響を検討した。それぞれの酵素活性を単位時間当たりにおける菌濁度(O.D.=600nm)の減少で評価した結果、DMSOは、N−アセチルムラミダーゼ活性に対しては殆ど影響を与えなかったが、リゾチームおよびリゾスタフィンに対しては、共に5%以上のDMSOで活性の低下が認められた。また、2%以下のDMSOの濃度では、酵素活性の低下は認められなかった。ゆえに、PMSFを溶解させるDMSO濃度は少なくとも5%未満、好ましくは2%以下、さらには1%程度とするのが好ましい。その結果を、第4図(a)〜(c)および下記表3に示した。
Figure 2002099133
実施例15:酵素溶解液に関する検討(PMSFの至適濃度の検討)
酵素試薬に含有されるプロテアーゼは白血球の形態を劣化させることから、白血球の形態を保持させるために添加するPMSF(PIERCE社製)の効果を検討した。100μlのDMSO(和光純薬社製)にPMSFを溶解し、PMSFの終濃度が無添加(0mmol/l)〜1mmol/lとなるようにPBSで10mlに希釈した。この溶液に、プロテアーゼの力価が0.2単位/mlとなるよう、プロテイネースK(ベーリンガーマンハイム社製)を添加した。ヘパリン加健常ヒト血液5mlを採取し、実施例1に記載の方法に従って白血球を採取した。次に、白血球を適当量のPBSで懸濁して、血球計算盤で細胞数を計測し、細胞数を、約5×10個/ウェル〜約2.5×10個/ウェルに調製し、その5μlをAPSコートスライドグラスのウェルに塗抹し、風乾後、実施例2に記載のカルノア固定の方法に従って固定した。このサンプルを用いて、実施例3〜11に記載の方法に従って試験を行った。1μmol/l〜1mmol/lのPMSFの濃度で試験を実施した結果、10μmol/l以上の濃度で効果が認められ、0.1mmol/l以上のPMSF濃度では、白血球の形態の劣化が完全に抑制されていた。その結果を、第5図の(a)プロテアーゼ0.2単位/mlのみ、(b)PMSF 1μmol/ml添加、(c)PMSF 10μmol/ml添加、(d)PMSF 0.1mmol/ml添加、および(e)PMSF 1mmol/ml添加についてそれぞれ示した。
実施例16:溶菌酵素ザイモラーゼの至適力価の検討
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を溶菌してDNAを露出させるためのザイモラーゼの至適力価を検討した。カンジダ・アルビカンスをYPD培地に植菌し、30℃で一昼夜培養した。その後、基質としてカンジダ・アルビカンスをPBSで懸濁した溶液(基質1)、およびカルノア固定後、70%エタノールに浸し、風乾し、PBSにて懸濁した溶液(基質2)の2種類を調製した。反応は、ザイモラーゼ/PBS:0.5ml、基質:1.5ml、M/15リン酸緩衝液:2.5ml、滅菌精製水:0.5mlにて全量5.0mlに調製したものを用いた。
その後、37℃で、2時間反応させ、そのOD800を測定した。また、ザイモラーゼ(ザイモリエイス−100T)濃度は、0mg/ml、0.01mg/ml、0.025mg/ml、0.05mg/ml、0.1mg/ml、0.25mg/ml、0.5mg/ml、1mg/ml、2.5mg/ml、5mg/mlを用いた。その結果、基質1を用いた場合のそれぞれのOD800値は、0.533、0.521、0.553、0.554、0.548、0.417、0.394、0.288、0.163、0.113であり、また、基質2を用いた場合のそれぞれのOD800値は、0.445、0.411、0.359、0.282、0.232、0.146、0.115、0.096、0.08、0.057であった。基質1および基質2がともに、0.5mg/ml〜5mg/ml、特に、1mg/ml〜5mg/mlの範囲で有効であることが判明した。すなわち、ザイモラーゼの使用量は、50単位/ml〜500単位/ml、特に100単位/ml〜500単位/mlであることが好ましい。
実施例17:至適酵素処理条件(力価)の検討
(1)貪食サンプルの作製
▲1▼U937細胞の調製
37℃、5%炭酸ガスインキュベーター内で、細胞培養フラスコ(175cm)中のRPMI1640培地(25ml)でU937細胞(ヒト単球株化細胞、ATCC CRL−1593.2)を培養した。次に、U937細胞培養液を50mlの遠沈管に入れ、4℃、220×gで10分間遠心分離し、U937細胞を回収した。その後、回収したU937細胞をPBS200μlで懸濁し、血球計算盤で細胞数を計算し、細胞数を1×10個/μl〜2×10個/μlに調製した。
▲2▼細菌貪食サンプルの調製
Staphylococcus aureus(ATCC 12600)、Staphylococcus epidermidis(ATCC 14990)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC 10145)、Enterococcus faecalis(ATCC 19433)およびEscherichia coli(ATCC 11775)を、各々5mlのBHI培養液に植菌し、37℃で8時間以上培養した。培養した菌液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。上清を捨てた後、菌のペレットをPBS 5mlで懸濁し、再度、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。集菌した菌をPBS 5mlで懸濁した後、PBSにて希釈して吸光度計により菌液の濁度(O.D.=600nm)を、Staphylococcus aureus(0.01〜0.03)、Staphylococcus epidermids(0.01〜0.03)、Pseudomonas aeruginosa(0.02〜0.03)、Enterococcus faecalis(0.01〜0.03)、Escherichia coli(0.02〜0.03)にそれぞれ調製したものを15ml作製した。作製した菌液は、個別の175cmの培養用フラスコに移し、30分間室温で静置した。ヘパリン加健常ヒト血液50mlを採取し、血球分離試薬を4:1の割合で加え、37℃で30分間静置し、白血球画分を分取した。分取した白血球画分をPBSで50mlにした。培養用フラスコ(前出)の上清を静かに捨て、PBSで希釈した白血球画分を10mlずつフラスコに加え、室温で10分間静置した。培養用フラスコ内の上清を捨て、フラスコの底に付着した白血球を0.02%EDTA含有PBS10mlで15mlの遠沈管に回収し、4℃、140×g〜180×gで10分間遠心分離し、白血球を収集した。収集した白血球中に赤血球の混入が認められたので、滅菌精製水1mlにて白血球の沈渣を穏やかに懸濁して溶血させた後、PBSを14ml加えて等張化を行い、再度4℃、140×g〜180×gで10分間遠心分離を行い、白血球を収集した。収集した白血球をPBSで懸濁し、血球計算盤にて細胞数を計測し、1×10個/μl〜5×10個/μlに調製した。この貪食サンプルを、それぞれSA貪食サンプル、SE貪食サンプル、PA貪食サンプル、EF貪食サンプル、EK貪食サンプルとした。
▲3▼塗抹固定
実施例17(1)▲1▼で調製したU937細胞と、実施例17(1)▲2▼で作製した各細菌貪食サンプルとをAPSコートスライドグラスの各ウェルに5μlずつ塗抹し、風乾させた。次に、実施例2に記載のカルノア固定液に20分間浸した後、75%エタノールに5分間浸し、カルノア固定液を洗浄して風乾させた後、試験に使用するまで4℃で保存した(実施例2参照)。次いで、固定サンプルの前処理を、実施例3に従って行った。
(2)貪食サンプルの規格及び試験方法
▲1▼細 胞 数
各細菌貪食サンプルのスライドグラスに塗抹固定する細胞の数を、5.0×10〜2.5×10個/ウェルとし、また、U937細胞の細胞の数を5.0×10〜1.0×10個/ウェルとした。
▲2▼貪 食 率
スライドグラスに塗抹固定した細菌貪食サンプルを、アクリジンオレンジ染色液で染色し、蛍光顕微鏡(×1,000)で無作為に約200個の細胞を計測した。計測した細胞の中で、細胞内に細菌を貪食している細胞(第6図で矢印にて示す、貪食に特徴的な形態変化が認められた細胞)を陽性細胞とし、以下の数式に従ってその貪食率(%)を算出した。
貪食率(%)=[(陽性細胞数/計測細胞数)×100]
この時に算出した各細菌貪食サンプルの貪食率(%)は、10%以上であった。
▲3▼試験方法
実施例17(2)▲1▼および▲2▼で作成した貪食サンプルを検体とした。使用したSA貪食サンプルの貪食率は23%であり、1.98×10個/ウェルであった。SE貪食サンプルの貪食率は27%であり、1.74×10個/ウェルであった。また、EF貪食サンプルの貪食率は34%であり、6.40×10個/ウェルであった。
各貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用いて、実施例3に記載の方法に従って、酵素前処理を行った。次に、酵素前処理済みのスライドグラスを湿潤箱に置き、各種力価に調製した各酵素溶液1mlを検体塗抹部位に滴下して反応させた。その後、0.2mol/l塩酸含有PBS、70%エタノールにそれぞれ10分間浸し、風乾させた。このスライドグラスを、70mmol/l水酸化ナトリウム含有PBSに3分間、70%エタノールに10分間浸した後に風乾し、1%アクリジンオレンジ染色液で染色した。その後、蛍光顕微鏡(×1,000)により評価した。Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisは、リゾスタフィンで至適力価の検討を行った。Enterococcus faecalisは、N−アセチルムラミダーゼとリゾチームの併用で至適力価を検討するため、N−アセチルムラミダーゼを100単位/mlに固定した場合のリゾチーム至適力価の検討と、リゾチームを10,000単位/mlに固定した場合のN−アセチルムラミダーゼ至適力価の検討を行った。判定は、酵素処理により菌体が白血球中に確認されなくなるとき「適」とした。
▲4▼結 果
Staphylococcus aureusの溶菌においては、表4に記載のように、リゾスタフィンの力価は1単位/mlで十分効果を示すが、Staphylococcus epidermidisの溶菌においては、10単位/ml以上のリゾスタフィン力価が必要であった。ゆえに、リゾスタフィンの至適力価を、10単位/ml〜100単位/mlに設定した。また、Enterococcus faecalisの溶菌においては、リゾチームの力価を10,000単位/mlで固定したとき、N−アセチルムラミダーゼ力価が10単位/ml以下では溶菌されなかった。リゾチームについては、表5に記載の通り、N−アセチルムラミダーゼ力価を100単位/mlに固定したとき、リゾチーム力価が1,000単位/ml以下では溶菌されなかった。ゆえに、N−アセチルムラミダーゼの至適力価は、100単位/ml〜1,000単位/ml、また、リゾチームの至適力価は、10,000単位/ml〜100,000単位/mlに設定した。その結果を、第7図に示すが、図中、(a)は酵素処理前のStaphylococcus aureusの貪食サンプル、(b)は処理前のEnterococcus faecalisの貪食サンプル、(c)はサンプル(a)を酵素処理した後、および(d)はサンプル(b)を酵素処理した後の様子を示している。
Figure 2002099133
Figure 2002099133
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を本発明に応用したところ、同一の結果を得ることができた。ゆえに、本発明の臨床検体の感染症原因微生物同定における上記各酵素の至適力価も同一とした。
実施例18:至適酵素処理条件(温度)の検討
各貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用いて、実施例17(2)▲3▼に記載の方法に準じて検討した。ただし、本試験の酵素処理時間は30分、検討温度は4℃、25℃、37℃、42℃、60℃とし、また、各酵素力価は、N−アセチルムラミダーゼ(100単位/ml、生化学工業社製)、リゾチーム(10,000単位/ml、生化学工業社製)、リゾスタフィン(10単位/ml、SIGMA社製)とした。
判定は、実施例17(2)▲3▼に記載の方法に準じて行った。その結果、Staphylococcus aureusは、4℃〜60℃の温度範囲で白血球の菌体は確認されなかった。Staphylococcus epidermidisは、処理温度4℃および25℃では白血球中の菌体が残存していたが、37℃以上では菌体が確認されなかった。
また、Enterococcus faecalisでは、処理温度4℃、25℃および60℃で菌体が残存していたが、37℃および42℃では確認されなかった。ゆえに、至適酵素処理温度を37℃〜42℃に設定した。その結果を、表6に示した。
Figure 2002099133
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を本発明に応用したところ、同一の結果を得ることができた。ゆえに、本発明の臨床検体の感染症原因微生物同定における酵素処理の至適温度も同一とした。
実施例19:至適酵素処理条件(時間)の検討
実施例17(1)▲1▼および▲2▼に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とした。検討した時間は、0分、10分、20分、30分、60分、120分とした。使用したSA貪食サンプルの貪食率は18%であり、7.80×10個/ウェルであった。SE貪食サンプルの貪食率は34%であり、1.10×10個/ウェルであった。また、EF貪食サンプルの貪食率は28%であり、1.30×10個/ウェルであった。各貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用いて、実施例17(2)▲3▼に記載の方法に準じて検討した。但し、本試験の酵素処理温度は37℃、各酵素力価はN−アセチルムラミダーゼ(100単位/ml)、リゾチーム(10,000単位/ml)、リゾスタフィン(10単位/ml)とした。判定は、実施例17(2)▲3▼に記載の方法に準じて行った。その結果、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Enterococcus faecalis貪食サンプルともに酵素処理時間20分以上(0分および10分においては不適であった)で、白血球中に菌体は確認されなかったことから、少なくとも15分以上、好ましくは20分以上、さらに至適酵素処理時間を30分〜60分とするのが好ましい。その結果を、表7に示した。
Figure 2002099133
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を本発明に応用したところ、同一の結果を得ることができた。ゆえに、本発明の臨床検体の感染症原因微生物同定における酵素処理の至適時間も同一とした。
実施例20:プローブ濃度の検討
本発明のin situハイブリダイゼーション反応において、プローブ濃度はハイブリッド形成速度に影響を与える主要な因子である。プローブ濃度が低すぎると反応速度の低下を招き、シグナルが明確でなくなる可能性がある。また、過剰量のプローブの使用は、非特異的反応の原因に繋がる。
ゆえに、各種プローブ液について、至適濃度を検討した。まず、実施例17(1)▲1▼および▲2▼に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とした。使用したSA貪食サンプルの貪食率は24%であり、1.48×10個/ウェルであった。SE貪食サンプルの貪食率は28%であり、2.07×10個/ウェルであった。PA貪食サンプルの貪食率は11%であり、1.59×10個/ウェルであった。また、EF貪食サンプルの貪食率は24%であり、1.72×10個/ウェルであった。EK貪食サンプルの貪食率は12%であり、1.63×10個/ウェルであった。各貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用いて、実施例17(2)▲3▼に記載の方法に準じて検討した。プローブは、ジゴキシゲニン標識したものを使用し、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Enterococcus faecalis、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coliに対する各プローブ濃度を、それぞれ、0.06ng/μl、0.6ng/μl、1.2ng/μl、1.8ng/μl、2.4ng/μl、3ng/μlに調製した。貪食サンプルを塗抹したスライドグラス(第8図参照)に、上記各種濃度に調製したプローブ液を使用し、実施例3〜11に記載の方法に従い検討した。
その結果、低濃度(0.06ng/μl)ではシグナルが明確でなくなり、一方で、高濃度(2.4ng/μlおよび3ng/μl)ではバックグラウンドの増大が認められた。ゆえに、SA、SE、PA、EF、EKのプローブ濃度を0.6〜1.8ng/μl、好ましくは0.6〜1.2ng/μlとした。また、0.06ng/μlにおいては不適であり、0.6ng/μlにおいては適であったことから、少なくとも0.1ng/μl以上とするのが好ましい。
さらに、2.4ng/μlにおいては不適であり、1.8ng/μlにおいては適であったことから、2.2ng/μl以下とするのが好ましい。その結果を、以下の表8〜表12に示した。
Figure 2002099133
Figure 2002099133
Figure 2002099133
Figure 2002099133
Figure 2002099133
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を本発明に応用したところ、同一の結果を得ることができた。ゆえに、本発明の臨床検体の感染症原因微生物同定における上記各プローブの至適濃度も同一とした。
実施例21:ハイブリダイゼーション温度の検討
ハイブリダイゼーション反応における反応温度は、ハイブリッド形成速度とハイブリッドの安定性に影響を与えるパラメーターである。ハイブリダイゼーション反応を高温にすると細胞の形態が劣化することが知られていることから、至適温度の検討(4℃、25℃、37℃、42℃、50℃、60℃)を行った。
まず、実施例17(1)▲1▼および▲2▼に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とした。使用したSA貪食サンプルの貪食率は31%であり、1.38×10個/ウェルであった。SE貪食サンプルの貪食率は42%であり、1.95×10個/ウェルであった。PA貪食サンプルの貪食率は14%である、1.27×10個/ウェルであった。また、EF貪食サンプルの貪食率は48%であり、1.05×10個/ウェルであった。EK貪食サンプルの貪食率は17%であり、1.85×10個/ウェルであった。
貪食サンプルおよびU937細胞を塗抹固定したスライドグラス(第9図参照)を使用して、実施例3〜11に記載の方法に従い検討した。その結果、ハイブリダイゼーション温度が4℃以下ではハイブリッド形成速度が低下し、各種プローブで安定なシグナルが観察されなかった。また、60℃においては細胞形態の変化が認められ、安定なシグナルが観察されなかった。
また、25℃および50℃では37℃および42℃に比べ、シグナルが明確でなかったが検出することは可能であった。ゆえに、至適ハイブリダイゼーションの温度は、25℃〜50℃、より好ましくは37〜42℃に設定すると良い。それら結果を、以下の表13〜表17に示した。
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貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を本発明に応用したところ、同一の結果を得ることができた。ゆえに、本発明の臨床検体の感染症原因微生物同定におけるハイブリダイゼーションの至適温度も同一とした。
実施例22:ハイブリダイゼーション時間の検討
実施例17(1)▲1▼および▲2▼に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とし、10分、60分、90分、120分、180分、900分間のハイブリダイゼーション時間について検討した。使用したSA貪食サンプルの貪食率は47%であり、1.45×10個/ウェルであった。SE貪食サンプルの貪食率は47%であり、1.33×10個/ウェルであった。PA貪食サンプルの貪食率は15%である、1.91×10個/ウェルであった。また、EF貪食サンプルの貪食率は41%であり、1.45×10個/ウェルであった。EK貪食サンプルの貪食率は20%であり、1.23×10個/ウェルであった。
貪食サンプルおよびU937細胞を塗抹固定したスライドグラス(第9図に示すものに同じ)を使用して、実施例3〜11に記載の方法に従い検討した。
その結果、ハイブリダイゼーション時間が10分ではシグナルが観察されなかったが、60分以上でシグナルが観察され、90分以上で安定したシグナルが観察された。また、ハイブリダイゼーション時間が900分においてもシグナルの検出には変化は認められなかった。ゆえに、少なくとも30分以上、好ましくは60分以上、より好ましくは90分以上とするのが好ましい。さらに好ましい至適ハイブリダイゼーション時間は、120分〜900分に設定すると良い。それら結果を、以下の表18〜表22に示した。
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貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を本発明に応用したところ、同一の結果を得ることができた。ゆえに、本発明の臨床検体の感染症原因微生物同定におけるハイブリダイゼーションの至適時間も同一とした。
実施例23:ハイブリダイゼーション溶液に添加する界面活性剤の影響
実施例17(1)▲1▼および▲2▼に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とした。プローブ希釈液に各種界面活性剤(SDS、ラウリスサルコシン、サポニン、BRIJ 35、Tween20、Triton X−100)を添加し、実施例7に従ってハイブリダイゼーションを行ったところ、0.25%のSDSを添加することにより検出感度が飛躍的に増強された。また、ラウリルサルコシン、BRIJ 35、ツイーン20(Tween 20)によって検出感度を高めることができた。その結果を、以下の表23に示した。
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さらに、SDSを種々の濃度で用いた結果、好ましい濃度は、1%以下、より好ましくは0.1%〜0.5%、さらに好ましくは0.25%であることが明らかになった。
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を本発明に応用したところ、同一の結果を得ることができた。ゆえに、本発明においてもin situハイブリダイゼーションの工程に界面活性剤、特に、SDSを添加するのが好ましい。
実施例24:ハイブリダイゼーションの際に使用するプローブ鎖長の検討
Staphylococcus aureusプローブ(SA−24(配列番号:1))およびPseudomonas aeruginosaプローブ(P2−2(配列番号:7))を、ジゴキシゲニンでラベル化した。
まず、精製した各種DNAプローブ1μgを、10×L.B.(0.5mol/lトリス塩酸(pH7.5)5μl、50mmol/l塩化マグネシウム、0.5mgウシ血清アルブミン)5μl、100mmol/lジチオスレイトール5μl、dNTPs(A、G、C)各1nmol、ジゴキシゲニン−dUTP(Dig−dUTP)0.5nmol、dTTP各0.5nmol、DNase3μl(25mU、75mUおよび200mU相当量)、10U/μl DNAポリメラーゼ1μlおよび滅菌精製水適量にて全量50μlとなるように調製した。15℃、2時間でジゴキシゲニンラベル化を行った。ラベル化後、5分間煮沸し反応を停止させた。反応停止液をスピンカラム(CENTRI−SEP COLUMUNS CS901、PRINCETON SEPARATIONS,INC.)に注入し、25℃で2分間遠心分離(3,000×g)を行い、遊離のヌクレオチドを除去した。その後、溶出液の濃度を吸光度計により測定し、3%アガロースゲルにて電気泳動しサイズを確認した。
次に、サザンブロッティング法によりアガロースゲル内のDNAをニトロセルロース膜に転写させた。その後、2%ブロッキング試薬(ロシュ社製)に30分間浸した後、1/5,000量のアルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体を加え、30分間浸した。次に、100mmol/lのトリス塩酸(pH7.5)、150mmol/l塩化ナトリウムにて10分間振とうし、2回洗浄した。その後、100mmol/lのトリス塩酸(pH9.5)、150mmol/l塩化ナトリウムにて10分間振とうして洗浄した。その後、NBT/BCIP溶液に浸して発色させた。
最後に、精製水に浸し発色を止めて乾燥させた。その結果、第10図の(a)SAプローブ使用時および(b)PAプローブ使用時についてそれぞれ示すように、25mUのDNase(図中、レーン1)を用いて、その鎖長が、主として約350〜約600塩基長に分布するように切断した場合に、ラベル効率が高いことが示された。こうして得られた検出用プローブを、貪食サンプルや感染症患者からの臨床検体を用いた本発明の感染症原因微生物の検出方法において使用し、ハイブリダイゼーションを行ったところ、優れた感度でシグナルが検出された。従って、ハイブリダイゼーションに使用するプローブの鎖長は、約350〜約600の塩基長、好ましくは、約350〜約550の塩基長とすることが良いものと判明した。
実施例25:ハイブリダイゼーションの際に使用するプローブの検討
実施例17(1)▲1▼および▲2▼に記載の方法で作成した、Escherichia coliの貪食サンプルを検体として、検出用プローブについての検討を行った。
検出用プローブは、EC−24(配列番号:11)、EC−34(配列番号:12)およびEC−39(配列番号:13)から、実施例24に記載したようにジゴキシゲニンラベル化し、約350〜約600塩基長を有するように調製したものを、それぞれ単独または3種を組み合わせて使用した。得られた結果から、第11図に示すとおり、(a)EC−24、(b)EC−34または(c)EC−39のそれぞれを単独で検出用プローブとして用いるよりも、(d)これらを混合してなる混合プローブ「MIX」の方がシグナルが明瞭に検出され、感度が高められることが明らかであった。
産業上の利用可能性
本発明の方法におけるin situハイブリダイゼーションは、2時間以下でも安定なシグナルを観察することができるので、評価判定を非常に迅速に得ることができる。このような時間短縮は、敗血症の迅速な診断に適用する価値を実証するものに他ならない。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
第1図は、in situハイブリダイゼーションを(a)界面活性剤(SDS)不使用下および(b)界面活性剤(SDS)使用下で実施した結果を示す図である。
第2図は、種々の白血球細胞密度で固定した際の様子を示す図である。
第3図は、(a)Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidis、(b)Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coli、ならびに(c)Enterococcus faecalisに対する溶菌酵素の活性を経時的に示す図である。
第4図は、(a)N−アセチルムラミダーゼ300単位/ml、(b)リゾチーム10,000単位/ml、および(c)リゾスタフィン50単位/mlの溶菌活性に対するDMSOの添加による濃度依存的効果を示す図である。
第5図は、白血球に形態劣化をもたらすプロテアーゼの作用を抑制するために用いるPMSFの添加効果を、(a)プロテアーゼ0.2単位/mlのみ、(b)PMSF 1μmol/ml添加、(c)PMSF 10μmol/ml添加、(d)PMSF 0.1mmol/ml添加、および(e)PMSF 1mmol/ml添加について示す図である。
第6図は、本発明に従って調製した貪食サンプルにおいて、食細胞が細菌を貪食して形態変化を起こしていることを示す図である。
第7図は、貪食サンプルに対する酵素処理の効果を示す図で、(a)酵素処理前のStaphylococcus aureusの貪食サンプル、(b)酵素処理前のEnterococcus faecalisの貪食サンプル、(c)サンプル(a)を酵素処理した後の様子、および(d)サンプル(b)を酵素処理した後の様子を示す図である。
第8図は、in situハイブリダイゼーションでの至適プローブ濃度の検討のために用いた貪食サンプル塗抹用のスライドグラスを示す概略図である。
第9図は、in situハイブリダイゼーションでの至適温度の検討のために用いた貪食サンプル塗抹用のスライドグラスを示す概略図である。
第10図は、(a)SAプローブおよび(b)PAプローブのジゴキシゲニンラベル化で得られる検出用プローブの鎖長とラベルによるシグナル強度を示すサザンブロット(上段)および電気泳動(下段)の図である。
第11図は、Escherichia coli貪食サンプルに関するin situハイブリダイゼーションにおいて、検出用プローブとして、(a)EC−24、(b)EC−34、(c)EC−39、および(d)プローブ(a)〜(c)の混合プローブ(MIX)を用いた場合に認められたシグナル検出の結果を示す図である。

Claims (18)

  1. 生体由来の食細胞を含む臨床検体より食細胞を得、得られた食細胞を固定し、該食細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、該食細胞中に存在すると予想される感染症原因微生物のDNAを露出させる処理を施し、該露出DNAにストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより感染症原因微生物を検出および/または同定するための方法であって、以下の特徴(1)〜(8)、すなわち;
    (1)固定化する食細胞の密度(x個/ml)が、5×10個/ml<x個/ml<1×10個/mlであること、
    (2)前記DNAを露出させる工程においてリゾスタフィンが使用され、その力価が、1単位/ml〜1,000単位/mlであること、
    (3)前記DNAを露出させる工程においてリゾチームが使用され、その力価が、1,000単位/ml〜1,000,000単位/mlであること、
    (4)前記DNAを露出させる工程においてN−アセチルムラミダーゼが使用され、その力価が、10単位/ml〜10,000単位/mlであること、
    (5)前記DNAを露出させる工程においてザイモラーゼが使用され、その力価が、50単位/ml〜500単位/mlであること、
    (6)前記in situハイブリダイゼーションの工程において界面活性剤を使用すること、
    (7)前記検出用DNAプローブが、350〜600塩基長の鎖長を有する1種以上のDNAプローブであること、および
    (8)前記検出用DNAプローブの濃度が、0.1ng/μl〜2.2ng/μlであることの少なくとも1つ以上の特徴を有する、
    ことを特徴とする、感染症原因微生物を検出および/または同定するための方法。
  2. 前記DNAを露出させる工程において、リゾスタフィン、リゾチーム、N−アセチルムラミダーゼおよびザイモラーゼより選択される1以上の酵素が使用され、そして、リゾスタフィンの力価が10単位/ml〜100単位/ml、リゾチームの力価が10,000単位/ml〜100,000単位/ml、N−アセチルムラミダーゼの力価が100単位/ml〜1,000単位/ml、ザイモラーゼの力価が100単位/ml〜500単位/mlである請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 前記DNAを露出させる工程において、酵素が使用され、そして、該酵素を反応させる温度が26℃〜59℃であり、該酵素を反応させる時間が15分〜120分である請求の範囲第1項または第2項に記載の方法。
  4. 前記DNAを露出させる工程において、さらに食細胞の形態を保持させる物質を使用する請求の範囲第1項乃至第3項のいずれかに記載の方法。
  5. 前記食細胞の形態を保持させる物質が、フェニルメチルスルフォニルフルオライドである請求の範囲第4項に記載の方法。
  6. 前記フェニルメチルスルフォニルフルオライドが、10μmol/l〜10mmol/lの濃度で使用される請求の範囲第5項に記載の方法。
  7. 前記食細胞の形態を保持させる物質が、ジメチルスルフォキシドにて溶解された物質である請求の範囲第4項乃至第6項のいずれかに記載の方法。
  8. 前記食細胞の形態を保持させる物質が、ジメチルスルフォキシドにて溶解された物質であり、また、当該ジメチルスルフォキシドが、前記DNAを露出させる工程で用いられる溶液において5%未満の濃度に調製される請求の範囲第7項に記載の方法。
  9. 前記in situハイブリダイゼーションの工程において、DNAとDNAプローブとが、界面活性剤の存在下でハイブリダイズされる請求の範囲第1項乃至第8項のいずれかに記載の方法。
  10. 前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤である請求の範囲第9項に記載の方法。
  11. 前記アニオン界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウムである請求の範囲第10項に記載の方法。
  12. 前記in situハイブリダイゼーション工程において、ハイブリダイズ反応させる温度が25℃〜50℃であり、反応させる時間が30分〜900分である請求の範囲第1項乃至第11項のいずれかに記載の方法。
  13. 前記固定工程の前に、得られた食細胞を支持担体上に支持させる工程を含み、当該支持担体が、3−アミノプロピルトリエトキシシランをコートしたスライドグラスである請求の範囲第1項乃至第12項のいずれかに記載の方法。
  14. 前記シグナルの検出の際に、シグナルと細胞のコントラストを明確にさせるための色素が使用される請求の範囲第1項乃至第13項のいずれかに記載の方法。
  15. 前記臨床検体が、血液である請求の範囲第1項乃至第14項のいずれかに記載の方法。
  16. 食細胞を含む生体由来の臨床検体より食細胞を得、得られた食細胞を固定し、該食細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、該食細胞中に存在すると予想される感染症原因微生物のDNAを露出させる処理を施し、該DNAにストリンジェントな条件下ハイブリダイゼーションすることのできる検出用DNAプローブを用いて界面活性剤の存在下にin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより感染症原因微生物を検出および/または同定するためのキットであって、
    (1)前記DNAを露出させる工程において使用される酵素が、少なくとも、リゾスタフィン、リゾチーム、N−アセチルムラミダーゼ、ザイモラーゼからなる群より選択される1種以上の酵素を含み、および
    (2)少なくとも1種以上の検出用DNAプローブを含む、
    ことを特徴とする、感染症原因微生物を検出および/または同定するためのキット。
  17. 生体由来の食細胞を含む臨床検体中に含まれる、食細胞によって貪食された外来微生物の遺伝子をモニターする方法であって、請求の範囲第1項乃至第15項のいずれかに記載の方法におけるin situハイブリダイゼーション法を用いて該遺伝子を検出する工程を含み、該臨床検体中の外来微生物の遺伝子がモニターされることを特徴とする方法。
  18. 敗血症または菌血症の診断方法であって、請求の範囲第1項乃至第15項のいずれかに記載の方法におけるin situハイブリダイゼーション法を用いて原因微生物の候補となる微生物の遺伝子を同定する工程を含み、同定された結果に基づいて敗血症原因微生物または菌血症原因菌が特定されることを特徴とする方法。
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