JP2008194057A - 食細胞機能の評価方法およびその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】 食細胞の貪食機能をin vitroで評価できる実験的モデルを提供する。
【解決手段】 食細胞と外来微生物とをin vitroで接触させて得た貪食済み食細胞を単離および固定する。 固定した食細胞の細胞膜について、その透過性を亢進させた後に、溶菌酵素、それに、フェニルメチルスルフォニルフルオライドのジメチルスルフォキシド溶液を食細胞に作用させて、食細胞内に取り込まれた外来微生物のDNAを露出させる。 界面活性剤の存在下で、露出したDNAと検出用DNAプローブとを用いて、in situハイブリダイゼーションを行い、得られたハイブリダイゼーションシグナルに基づいて、外来微生物に対する食細胞の食作用および/または殺傷能を同定する。
【選択図】 図13
【解決手段】 食細胞と外来微生物とをin vitroで接触させて得た貪食済み食細胞を単離および固定する。 固定した食細胞の細胞膜について、その透過性を亢進させた後に、溶菌酵素、それに、フェニルメチルスルフォニルフルオライドのジメチルスルフォキシド溶液を食細胞に作用させて、食細胞内に取り込まれた外来微生物のDNAを露出させる。 界面活性剤の存在下で、露出したDNAと検出用DNAプローブとを用いて、in situハイブリダイゼーションを行い、得られたハイブリダイゼーションシグナルに基づいて、外来微生物に対する食細胞の食作用および/または殺傷能を同定する。
【選択図】 図13
Description
本発明は、食細胞機能の評価方法に関し、さらに詳細には、例えば、敗血症等の細菌や真菌等の外来微生物による感染状態の診断や、感染症治療薬の開発の上で有用な、感染の実験的モデルを提供する。 また、本発明は、食細胞による貪食能および/または殺菌能を検出、同定および評価するための方法、食細胞機能のモジュレーターによる効果を判定するための方法、食細胞機能モジュレーターのスクリーニング方法、かかる方法を実施するためのキットにも関する。
感染症および敗血症は、予め基礎疾患があり、それが原因となって弱毒菌が感染して引き起こされることが多い。 この様な状態は、臨床現場では頻繁に起こり得るが、その臨床症状を全て網羅する理想的な動物モデルは未だ確立されていない。 この要因としては、細菌感染が基礎疾患の違いにより複雑な感染状況を呈し、また、動物種の菌種に対する感受性等に大きな隔たりがあるため、感染モデルの系が、その研究目的によって個々に確立されてきたからである。 現在よく知られている感染モデルの系は、(i) マウスやラットの腹腔に種々の菌種を感染させて腹腔内膿瘍を形成させ、敗血症の病態を追跡する方法(2相性感染理論)、(ii) 特に、低免疫下での感染の動態をみる場合、シクロホスフファミドを予め投与して白血球を減少させ、Pseudomonas aeruginosa等の弱毒菌株を感染させる方法および感染を容易にするために電気ゴテで皮膚を広範囲に火傷させ、Pseudomonas aeruginosaを付着させる方法、(iii) マクロフアージや好中球等によって遊離されるサイトカインなどの生体液性因子の動態を検討する場合、Escherichia coli等の大腸菌類縁菌及びこれらのLPSを投与して惹起される敗血症の病態を観察する方法、(vi) ラットの盲腸を結窄穿刺(CLP:Cecal Ligation and Puncture)することにより、腸内細菌を侵入させて、ICU及び消化器系外科でみられる腹膜炎によるMOFを引き起こし、その組織像の動態を確認する(亜急性重感染症腹膜炎モデル)などが挙げられる。
好ましい動物モデルの条件として、(I) 細菌が感染原発巣から血液中に移行すること(血液中に細菌を直接投与することは、多くの場合、細菌性ショックを引き起こし、病態としてコントロールできない)、(II) 経時的に両検査法で比較検討する際、十分な血液量が確保でき、採血部位での2次感染及びコンタミネーションが生じない血液採取が実施できること、(III) 動物種または週齢によっては好中球等の貪食細胞が少ないため、ヒトと同程度の量の貪食細胞が確保できること、(IV) 頻回な血液採取による採血時のショック及びストレス等による免疫系の変化が各個体及び検出感度に大きく影響を与えないこと、(V) 個体差を無くすため、ある程度の例数が確保できること、等が挙げられる。
モデル動物を作製する系として最も一般均な方法である2相性感染理論は、歴史的にも古く、1931年のMe1eneyらに始まり、Hite (1949)、Mergehagen (1958)、McDonald (1963)らによって検討、確立された系である。 このモデルは嫌気性菌、好気性菌に関わらず、原発巣の細菌が血液を介して2次的感染巣を形成するという、感染経路の理論的根拠として確立されており、一般的に敗血症感染モデルとして用いられている。 しかしながら、本系は、細菌感染症の病態解析に使用する系として確立されたため、腹腔から血液中へ移行する細菌量に重点をおいていない。 よって、各ラットの個体差の影響により、腹腔内投与した細菌量が血液中の菌量に反映されないため、投与菌量による違いをin vivo試験で考察することは困難である。
また、Bacterial Translocation法にも問題がある。 Escherichia coli、Enterobactor cloacae、Klebsiella pneumoniae、Enteroccocus faecalisおよびStaphylococcus epidermidis等の弱毒性感染細菌の検出感度を安易に比較できない要因として、これら菌種が腸内及び他の粘膜の常在細菌であることが挙げられる。 このin vivo試験の系では、投与された菌の動態ではなく、敗血症の病態の解析が目的であるので、投与した菌以外の菌種の侵入は考慮していない。 最近、臨床現場及び動物実験においても、腹膜炎により腸管透過性が亢進され、腸内細菌が血液中に移行して敗血症を引き起こすことが論じられている。 また、臨床現場では腹膜炎に起因するMOFにおいて感染巣が特定できない場合もあり、Bacterial Translocationとの関連が注目されている。
さらに、動物実験では、このin vivo試験モデルでEnterococcus faecalisを腹腔内投与した場合、腹膜炎による炎症ストレス等が誘因となり、腸管からのBacterial Translocationを引き起こし、33%(9/27)の割合で腸管のEntaerococcus faecalisが分離されたとの報告がある。 また、Steffenらも、このin vivo試験モデルで、多くの腸内細菌が血液中に移行することを認めている。
また、Bacterial Translocationではないが、ラット敗血症モデルに用いられる盲腸結紮穿刺法による腹膜炎では、12時間後に血液中からEscherichia coli、Enterobactor cloacae、Klebsiella pneumoniae、Enteroccocus faecalisおよびStaphylococcus epidermidisが分離されたとの報告もある。
感染症原因微生物と宿主との間の関係は極めて複雑であるので、様々なヒト感染症、例えば、敗血症・菌血症を模した理想的な動物モデルを確立するのはさらに困難なことである。 このように、菌血症・敗血症を含む感染症診断や、感染症治療薬開発のための薬効の判定の一助として、食細胞の形態を維持したまま、外来微生物の種に関わらず安定で適用範囲の広い食細胞の貪食能および/または殺菌能をin vitroで評価できる、感染症の実験的モデルが希求されているにもかかわらず、要求を充分に満たすものは提供されていないという現状にある。
本発明は、このような現状に鑑み、in vitroにおいて食細胞の貪食機能を評価できる実験的モデルを提供することを目的とするものである。 さらに、当該実験モデルを使用することによる、生体の免疫機能および食細胞への分化効率を評価できる方法を提供することを目的とする。 また、当該実験モデルを使用することによる、免疫機能賦活剤、抗ガン剤、白血球分化因子、抗生物質などの各種薬剤をスクリーニングする方法、各種薬剤の投与計画を検討する臨床検査方法などを提供することを目的とする。 さらには、生体由来の食細胞を含む臨床検体より食細胞を得、得られた食細胞を固定し、該細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、該食細胞中に存在すると予想される外来微生物のDNAを露出させる処理を施し、該DNAにストリンジェントな条件下ハイブリダイゼーションすることのできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより、外来微生物を検出および/または検出するキットにおいて、感度試験、特異性試験および再現性試験などの性能試験、また、当該実験モデルを陽性コントロールなどとして使用する方法を提供する。
本発明は、以上詳説した現状に鑑みて成し遂げられたものであり、その要旨とするところは、以下の項目1〜40に記載の通りである。
1.食細胞と外来微生物をin vitroにおいて接触させた後、当該細胞を単離することによって調製された、外来微生物貪食済み食細胞。
2.前記食細胞と外来微生物とをin vitroにおいて接触させる際に使用される外来微生物の菌液濁度(O.D.=600nm)が、約0.01〜約0.03である項目1に記載の外来微生物貪食済み食細胞。
3.前記外来微生物貪食済み食細胞の密度が、約1×104個/μl〜約5×104個/μlである項目1または2に記載の外来微生物貪食済み食細胞。
4.前記外来微生物が、グラム陰性菌である項目1乃至3のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞。
5.前記外来微生物が、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミデス、エンテロコッカス・ファエカリス、シュードモナス・アエルギノーサ、エシェリヒア・コリおよびカンジダ・アルビカンスならびにそれらの混合物よりなるグループから選択される1以上の微生物である項目1乃至3のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞。
6.外来微生物貪食済み食細胞の製造方法であって、食細胞をin vitroにおいて外来微生物と接触させ、および当該食細胞を単離する、工程を含む、外来微生物貪食済み食細胞の製造方法。
7.前記食細胞と外来微生物とをin vitroにおいて接触させる際に使用される前記外来微生物の菌液濁度(O.D.=600nm)が、約0.01〜約0.03である項目6に記載の外来微生物貪食済み食細胞の製造方法。
8.前記外来微生物貪食済み食細胞の密度が、約1×104個/μl〜約5×104個/μlである項目6または7に記載の外来微生物貪食済み食細胞の製造方法。
9.前記外来微生物が、グラム陰性菌である項目6乃至8のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞の製造方法。
10.前記外来微生物が、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミデス、エンテロコッカス・ファエカリス、シュードモナス・アエルギノーサ、エシェリヒア・コリおよびカンジダ・アルビカンスならびにそれらの混合物よりなるグループから選択される1以上の微生物である項目6乃至8のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞の製造方法。
11.貪食済み外来微生物を検出および/または同定する方法であって、項目1乃至5のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞を固定し、当該食細胞の細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、当該食細胞中に存在する外来微生物のDNAを露出させる処理を施し、当該DNAにストリンジェントな条件下ハイブリダイゼーションできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行い、および得られたシグナルによって貪食済み外来微生物を検出および/または同定する、工程を含む、貪食済み外来微生物を検出および/または同定する方法。
12.外来微生物に対する食細胞機能の評価方法であって、項目1乃至5のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞を固定し、当該食細胞の細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、当該食細胞中に存在する外来微生物のDNAを露出させる処理を施し、当該DNAにストリンジェントな条件下ハイブリダイゼーションすることのできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行い、および得られたシグナルによって外来微生物に対する食細胞の食作用および/または殺傷能を同定する、工程を含む、外来微生物に対する食細胞機能の評価方法。
13.前記方法が、
(1) 固定化する食細胞の密度(x個/ml)が、約5×106個/ml<x個/ml<約1×108個/mlであること、
(2) 前記DNA露出工程において、約1単位/ml〜約1,000単位/mlの力価のリゾスタフィンを使用すること、
(3) 前記DNA露出工程において、約1,000単位/ml〜約1,000,000単位/mlの力価のリゾチームを使用すること、
(4) 前記DNA露出工程において、約10単位/ml〜約10,000単位/mlの力価のN-アセチルムラミダーゼを使用すること、
(5) 前記DNA露出工程において、約50単位/ml〜約500単位/mlの力価のザイモラーゼを使用すること、
(6) 前記in situハイブリダイゼーションの工程において、界面活性剤を使用すること、
(7) 前記検出用DNAプローブが、約350〜約600塩基長の鎖長を有する1種以上のDNAプローブであること、および
(8) 前記検出用DNAプローブの濃度が、約0.1ng/μl〜約2.2ng/μlであること、の少なくとも1つの特徴を有する項目11または12に記載の方法。
(1) 固定化する食細胞の密度(x個/ml)が、約5×106個/ml<x個/ml<約1×108個/mlであること、
(2) 前記DNA露出工程において、約1単位/ml〜約1,000単位/mlの力価のリゾスタフィンを使用すること、
(3) 前記DNA露出工程において、約1,000単位/ml〜約1,000,000単位/mlの力価のリゾチームを使用すること、
(4) 前記DNA露出工程において、約10単位/ml〜約10,000単位/mlの力価のN-アセチルムラミダーゼを使用すること、
(5) 前記DNA露出工程において、約50単位/ml〜約500単位/mlの力価のザイモラーゼを使用すること、
(6) 前記in situハイブリダイゼーションの工程において、界面活性剤を使用すること、
(7) 前記検出用DNAプローブが、約350〜約600塩基長の鎖長を有する1種以上のDNAプローブであること、および
(8) 前記検出用DNAプローブの濃度が、約0.1ng/μl〜約2.2ng/μlであること、の少なくとも1つの特徴を有する項目11または12に記載の方法。
14.前記DNA露出工程において、リゾスタフィン、リゾチーム、N-アセチルムラミダーゼおよびザイモラーゼより選択される1以上の酵素が使用され、かつリゾスタフィンの力価が約10単位/ml〜約100単位/ml、リゾチームの力価が約10,000単位/ml〜約100,000単位/ml、およびN-アセチルムラミダーゼの力価が約100単位/ml〜約1,000単位/ml、ザイモラーゼの力価が約100単位/ml〜約500単位/mlである項目13に記載の方法。
15.前記DNA露出工程において酵素が使用され、かつ、該酵素を反応させる温度が約26℃〜約59℃であり、該酵素を反応させる時間が約15分〜約120分である項目11乃至14のいずれかに記載の方法。
16.前記DNA露出工程において、食細胞の形態を保持させる物質をさらに使用する項目11乃至15のいずれかに記載の方法。
17.前記物質が、フェニルメチルスルフォニルフルオライドである項目16に記載の方法。
18.前記フェニルメチルスルフォニルフルオライドの濃度が、約10μmol/l〜約10mmol/lである項目17に記載の方法。
19.前記物質が、ジメチルスルフォキシドにて溶解された物質である項目16乃至18のいずれかに記載の方法。
20.前記ジメチルスルフォキシドの濃度が、5%未満である項目19に記載の方法。
21.前記in situハイブリダイゼーションの工程において、DNAとDNAプローブとが、界面活性剤の存在下でハイブリダイズされる項目11乃至20のいずれかに記載の方法。
22.前記界面活性剤が、アニオン界面活性剤である項目21に記載の方法。
23.前記アニオン界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウムである項目22に記載の方法。
24.前記in situハイブリダイゼーション工程において、ハイブリダイズ反応させる温度が約25℃〜約50℃であり、ハイブリダイズ反応させる時間が約30分〜約900分である項目11乃至23のいずれかに記載の方法。
25.外来微生物に対する食細胞機能の評価方法であって、項目1乃至5のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞を固定し、色素を用いて当該食細胞を染色し、貪食中または貪食後の細胞に特徴的な細胞形態を鏡検での観察によって検出することで、外来微生物に対する食細胞の食作用および/または殺傷能を同定する、工程を含む、外来微生物に対する食細胞機能の評価方法。
26.免疫機能の評価方法であって、被検者から食細胞を単離し、項目12乃至25のいずれかに記載の食細胞機能の評価方法を用いて該食細胞の機能を評価し、および、その評価結果を正常食細胞機能のものと比較することにより、被験者の免疫機能を評価する、工程を含む、免疫機能の評価方法。
27.前記免疫機能が、白血球による微生物貪食能である項目26に記載の方法。
28.前記免疫機能が、放射線照射または制癌剤投与後の患者の白血球による微生物貪食能である項目27に記載の方法。
29.食細胞への分化効率の評価方法であって、項目12乃至25のいずれかに記載の外来微生物に対する食細胞機能を評価し、および経時的に該食細胞機能を評価してその変化を同定する工程を含む、食細胞への分化効率の評価方法。
30.食細胞機能のモジュレーターによる効果を判定するための評価方法であって、食細胞機能モジュレーターの存在下および非存在下に外来微生物の懸濁液と食細胞とをインキュベートして食作用を許容し、および項目12乃至25のいずれかに記載の外来微生物に対する食細胞機能の評価方法を用いて、前記食細胞機能モジュレーターの存在下および非存在下における食細胞機能を比較する、工程を含む、食細胞機能のモジュレーターによる効果を判定するための評価方法。
31.食細胞機能のモジュレーターのスクリーニング方法であって、食細胞機能に対してモジュレーター作用を有することが推定される薬剤の存在下および非存在下に、外来微生物の懸濁液と食細胞とをインキュベートして食作用を許容し、および項目12乃至25のいずれかに記載の外来微生物に対する食細胞機能の評価方法を用いて、前記薬剤の存在下および非存在下における食細胞機能を比較する、工程を含む、食細胞機能のモジュレーターのスクリーニング方法。
32.臨床検査方法であって、被検者への薬剤投与前および投与後に該被検者より食細胞を取得し、項目12乃至25のいずれかに記載の食細胞機能の評価方法を用いて該食細胞の機能を評価し、およびその評価結果に基づいて判定される薬剤の効果から、薬剤投与計画を検討する、工程を含む、臨床検査方法。
33.食細胞を固定し、当該食細胞の細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、該食細胞中に存在する外来微生物のDNAを露出させる処理を施し、該DNAにストリンジェントな条件下にてハイブリダイゼーションすることのできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより食細胞機能を評価するための、(1) 外来微生物、(2) 前記DNAを露出させる工程において使用される、リゾスタフィン、リゾチーム、N-アセチルムラミダーゼおよびザイモラーゼからなるグループより選択される少なくとも1種以上の酵素、ならびに(3) 1種以上の検出用DNAプローブを具備した食細胞機能を評価するためのキットの性能試験方法において、項目1乃至5のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞を使用することを特徴とする食細胞機能の評価用キットの性能試験方法。
34.生体由来の食細胞を含む臨床検体より食細胞を得、得られた食細胞を固定し、該食細胞の細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、該食細胞中に存在すると予想される外来微生物のDNAを露出させる処理を施し、該DNAにストリンジェントな条件下ハイブリダイゼーションすることのできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより外来微生物を検出および/または同定するためのキットの性能試験方法において、項目1乃至5のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞を使用することを特徴とする外来微生物の検出および/または同定用キットの性能試験方法。
35.前記性能試験が、感度試験、特異性試験または再現性試験である項目33または34に記載の性能試験方法。
36.項目1乃至5のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞が、陽性コントロールとして使用される項目33または34に記載の性能試験方法。
37.前記固定工程の前に、外来微生物貪食済み食細胞を支持担体上に支持させる工程を含み、かつ当該支持担体が、3-アミノプロピルトリエトキシシランをコートしたスライドグラスである項目11乃至36のいずれかに記載の方法。
38.前記シグナルの検出の際に、シグナルと細胞のコントラストを明確にさせるための色素が使用される項目11乃至37のいずれかに記載の方法。
39.前記食細胞が、血液由来である項目11乃至38のいずれかに記載の方法。
40.項目1乃至5のいずれかに記載の外来微生物貪食済み食細胞を固定し、当該食細胞の細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、該食細胞中に存在する外来微生物のDNAを露出させる処理を施し、該DNAにストリンジェントな条件下にてハイブリダイゼーションすることのできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより食細胞機能を評価するためのキットであって、(1) 外来微生物、(2) 前記DNA露出工程において使用される、リゾスタフィン、リゾチーム、N-アセチルムラミダーゼおよびザイモラーゼからなるグループより選択される少なくとも1種以上の酵素、ならびに(3) 1種以上の検出用DNAプローブを具備する、食細胞機能を評価するためのキット。
上記した本発明の構成によって、所期の目的であった、in vitroにおいて食細胞の貪食機能を評価できる実験的モデルを実現した。 さらに、このモデルを利用することで、生体の免疫機能および食細胞への分化効率を評価する方法も確立された。
本発明の一実施態様において、菌液濁度(O.D.=600nm)が、好ましくは、約0.01〜約0.03に調製された外来微生物と食細胞とをin vitroにおいて接触させ、該細胞を単離することにより外来微生物貪食済み食細胞を調製し、得られたこれら外来微生物貪食済み食細胞を、約1×104個/μl〜約5×104個/μlに調製することを特徴とする実験的モデル(以下、「貪食サンプル」と称す)を提供する。
ところで、本明細書で使用する「外来微生物貪食済み食細胞」の語は、既に外来微生物の貪食が完了した細胞のみならず、貪食中の細胞や細胞表面に外来微生物が付着して貪食を開始しようとしている細胞を含め、外来微生物に付着または外来微生物を包含しているものを指す。
本明細書で言う食細胞は、外来微生物をはじめとする異物を自身の細胞内に取り込むことのできる細胞であれば特に限定されるものではなく、例えば、マクロファージ、単球、好中球、好酸球などが挙げられる。 また、U937細胞、HL60細胞などの食細胞系も使用できる。
食細胞としては、例えば、血液、組織液、リンパ液、脳脊髄液、膿、粘液、鼻水、痰、尿、腹水などの体液等、または、透析排液もしくは、その他鼻腔、気管支、皮膚、各種臓器、骨などを洗浄した後の洗浄液にも生体由来の食細胞が含有されるため、これらからも調製することができる。 加えて、皮膚、肺、腎、粘膜などの組織からも、食細胞を調製することができる。 食細胞の一つであるマクロファージには、単球、肺胞マクロファージ、腹腔マクロファージ、固定マクロファージ、遊離マクロファージ、ハンゼマンマクロファージ、炎症性マクロファージ、肝クッパー細胞、脳ミクログリア細胞などの様々な形態に変化するため、血液のみならず、これらを含む組織も食細胞の供給源として用いることができる。 組織から食細胞を調製するためには、例えば、組織採取後に、トリプシン等の酵素を用いることにより細胞を剥離して該組織中に存在する食細胞を単離する。
体液等より食細胞(白血球)画分を取得するために、公知の方法を使用することができる。 例えば、ヘパリン加静脈血約5ml(白血球数の少ない場合には10ml)を採取し、この血液と血液分離試薬(塩化ナトリウム225mg、デキストラン(分子量:200,000〜300,000)1.5g、滅菌精製水にて全量25mlに調製したもの)を、4:1程度の割合で混和した後、約10℃〜約40℃で、約15分〜約120分間、好ましくは37℃で約30分間静置することにより、白血球画分(上層)を取得することができる。
白血球は、上記得られた白血球画分を、0℃〜約20℃にて、約100〜約500×gで、約3分〜約60分間、好ましくは、4℃にて約140〜約180×gで10分間遠心分離することで得られる。 この時、赤血球が混入した場合には、溶血操作を行うのが好ましい。 例えば、白血球のペレットに滅菌精製水1mlを加えて懸濁し、直ちに過剰量のPBS(塩化ナトリウム18.24g、リン酸一水素ナトリウム12水和物6.012g、リン酸二水素ナトリウム2水和物1.123g、滅菌精製水にて全量120mlにしたもの(PBS原液;以下、単に「PBS原液」と称する)を、滅菌精製水で20倍に希釈したもの;以下、単に「PBS」と称する)を加えて等張化した後、再度4℃下で、約140〜約180×gで10分間遠心分離すればよい。
感染症の原因ともなる外来微生物は、食細胞によって貪食される微生物であれば特に限定されなく、細菌、真菌、ウィルス、原虫、寄生虫等が含まれる。 細菌としては、例えば、ブドウ球菌、緑膿菌、腸球菌、大腸菌、連鎖球菌、肺炎球菌、結核菌、ヘリコバクター・ピロリ菌、リステリア、エルシニア、ブルセラ等が挙げられる。 真菌としては、例えば、カンジダ、アスペルギルス、アクチノミセス、コクシジオイデス、ブラスミセス等が挙げられる。 ウィルスとしては、例えば、インフルエンザウイルス、ポリオウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、エイズウイルス等が挙げられる。 原虫としては、例えば、アメーバ赤痢、膣トリコモナス、マラリア、トキソプラズマ等が挙げられる。 寄生虫としては、トリパノゾーマ等が挙げられる。 特に、敗血症または菌血症の原因菌としては、例えば、グラム陽性菌であるスタフィロコッカス属(Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis)、エンテロコッカス属(Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Streptociccus agalactiae)、グラム陰性菌である大腸菌(Escherichia coli)、エンテロバクター(Enterobacter cloacae)、クレブシエラ(Klebsiella pneumoniae)等の大腸菌類縁腸内細菌群(Klebsiella oxytoca、Serratia marcesens、Proteus vulgaris、Citrobacter freundii)、好気性桿菌であるシュードモナス属(Pseudomonas aeruginosa)、嫌気性菌であるクロストリジウム菌(Clostridium perfringens)、バクテロイデス菌(Bacteroides fragilis)等が挙げられる。 まれに、Acinetobacter calcoaceticus、Aeromonas hydrophilia、Flavobacterium meningosepticum、Bacillus cereus等が原因となることもある。
これらの内、特に、グラム陰性菌、あるいはスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミデス(Staphylococcus epidermidis)、エンテロコッカス・ファエカリス(Enterococcus faecalis)、シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)およびカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)ならびにそれらの混合物よりなるグループから選択される1以上の微生物が、好適に用いられる。
食細胞に外来微生物を貪食させるためには、予め外来微生物を所定量にまで前培養し、増殖後に集めた微生物をPBSで懸濁した後に、PBSにて希釈して吸光度計により菌液の濁度(O.D.=600nm)を、約0.001〜約0.1、好ましくは、約0.01〜約0.03に調整し、作製した菌液は、別々の培養用フラスコに移し、約30分間室温で静置しておく。 ヘパリン加健常ヒト血液を採取し、前記血球分離試薬を4:1程度の割合で加え、約20〜約40℃、好ましくは、約37℃で、約30分間静置し、白血球画分を分取する。 分取した白血球画分をPBSにて懸濁する。 外来微生物を入れておいた培養用フラスコの上清を静かに捨て、PBSで希釈した白血球画分をフラスコに加え、室温で、約10分間静置する。 培養用フラスコ内の上清を捨て、フラスコの底に付着した白血球を、0.02%EDTA含有PBSを用いて遠沈管に回収し、例えば、4℃で、約140〜約180×gで10分間遠心分離し、白血球を収集する。 収集した白血球中に赤血球の混入が認められる場合には、滅菌精製水にて白血球の沈渣を穏やかに懸濁して溶血させた後、PBSを加えて等張化を行い、再度4℃で、約140〜約180×gで10分間遠心分離を行い、白血球を収集すればよい。 収集した白血球をPBSで懸濁し、血球計算盤にて細胞数を計測し、約1×104個/μl〜約5×104個/μlに調製する。
白血球を固定する方法として、例えば、カルノア固定を行うことができる。 具体的には、白血球を支持できる担体(支持担体)に白血球を支持せしめ、カルノア固定液(エタノール:クロロホルム:酢酸=6:3:1の容量比で混合した液)に約20分間程度浸した後、約50%〜約90%、好ましくは、約75%エタノール液に約5分間浸し、完全に風乾する。
前記支持担体は、不溶性素材のものが好ましく、例えば、ガラス、金属、合成樹脂(ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ナイロン、ポリアセタール、フッ素樹脂など)、多糖類(セルロース、アガロースなど)が好ましい。
不溶性支持担体の形状としては、例えば、板状、トレイ状、球状、繊維状、棒状、盤状、容器状、セル、試験管等の種々の形状を用いることができる。 特に、本発明の実施態様として好ましい支持担体は、スライドグラスを使用するのが好ましい。 このようなスライドグラスとして、例えば、日本エアーブラウン社製のスライドグラス(商品番号MS311BL)が挙げられる。 このスライドグラス(商品番号MS311BL)には、直径5mmの円形ウェルが、14個設けられている。 また、実際に使用する際には、細胞の接着性を上げるため、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS、SIGMA社)をスライドグラスにコートしたAPSコートスライドグラスを使用するのが好ましい。 その他、ポリ-L-リジンやゼラチンをコートしたスライドグラスも使用することができる。
APSコートスライドグラスを作製するには、まず、スライドホルダーにスライドグラス(商品番号MS311BL)を固定した後、希釈した中性洗剤で30分以上浸して洗浄し、水道水で洗剤を十分に取り除き、次に、スライドグラスを精製水にて洗浄し、高温(100℃以上)で十分に乾燥させた後、室温で放置冷却する。 その後、スライドグラスを2%APS含有アセトンに1分間浸し、直ちにアセトンおよび滅菌精製水で順次軽く洗浄した後に、風乾する。 さらに再度、スライドグラスを、約1〜約10%APS含有アセトンに1分間浸し、直ちにアセトンおよび滅菌精製水で順次軽く洗浄した後に、風乾する操作を行った後、約20℃〜約60℃、好ましくは約42℃で乾燥させることにより作製することができる。
白血球をAPSコートスライドグラスに支持させる際には、各ウェルに白血球が単層に広がるように塗抹し風乾するのが好ましい。 固定化する食細胞の密度(x個/ml)が、約5×106個/ml<x個/ml<約1×108個/ml、好ましくは、約1×107個/ml≦x個/ml≦約5×107個/mlに調製されたものを使用することが好ましい。
また、このような1ml当たりの食細胞の密度の変化に対応して、APSコートスライドグラスに固定される1ウェル当たりの白血球の細胞数(y個/ウェル(直径5mm))は、約2.5×104個/ウェル<y個/ウェル<約5×105個/ウェル、好ましくは、約5×104個/ウェル≦y個/ウェル≦約2.5×105個/ウェルとなるように調製するのが好ましい。 具体的には、白血球画分を、4℃にて、約140×g〜約180×gで、約10分間遠心分離することによって得た白血球ペレットに、少量のPBSを加えて懸濁し、血球計算盤を用いて白血球数を計測する。 細胞数が、約5×104個/ウェル〜約2.5×105個/ウェルとなるようにPBSで調製した白血球懸濁液5μlを、APSコートスライドグラスの各ウェルに白血球が単層に広がるように塗抹し、完全に風乾することにより調製することができる。
食細胞膜の透過性を亢進させる処理として、約3〜約30分間PBSに浸し、その後、酵素前処理試薬(サポニン1.25g、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(比重1.068〜1.075(20/4℃)、pH(5w/v%)5.5〜7.5)1.25ml、PBS原液25mlを混合し、滅菌精製水にて全量50mlに調製したもの)を、滅菌精製水で約2〜約50倍に希釈した溶液に浸し、振とう機で約3〜約30分間浸透する方法を用いることができる。
食細胞中に存在する感染症原因菌のDNAを露出させる処理として、スライドグラス1枚につき酵素試薬(N-アセチルムラミダーゼ、リゾチームおよび/またはリゾスタフィン)に酵素試薬溶解液(フェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF)含有ジメチルスルフォキシド(DMSO)をPBSで約100倍希釈して調製したもの)を1ml加えて酵素試液を調製した後、約20℃〜約60℃、好ましくは、約37℃〜約42℃の湿潤箱内で、この酵素試液1mlを白血球塗抹部位に滴下し、約10〜約60分間静置する。 その後、0.2mol/l塩酸含有PBS(PBS原液に塩酸を加え、滅菌精製水にて20倍希釈し、塩酸の終濃度を0.2mol/lに調製したもの)に浸し、そのまま振とう機上で、3〜30分間浸透することによって目的を達成できる。
DMSOは5%以上の濃度でリゾチームおよびリゾスタフィンの活性を低下させる可能性があるため、5%未満の濃度で使用するのが好ましい。 食細胞の形態を保持させる物質としてのPMSF以外に他の公知のプロテアーゼ阻害剤、例えば、トシルリジンクロロメチルケトン(TLCK)およびそれらの混合物などを用いることもできる。 その際には、適宜DMSOなどの溶解剤を変更すれば良い。
酵素試薬として用いる各酵素の好ましい力価範囲は、Staphylococcus aureusの溶菌においては、リゾスタフィンの力価は1単位/mlで十分効果を示すが、Staphylococcus epidermidisの溶菌においては、10単位/ml以上のリゾスタフィン力価が必要であった。 ゆえに、リゾスタフィンの至適力価は、1単位/ml〜約1,000単位/ml、好ましくは、約10単位/ml〜約100単位/mlに設定するのが良い。 また、Enterococcus faecalisの溶菌においては、リゾチームの力価を約10,000単位/mlで固定したとき、N-アセチルムラミダーゼ力価が約10単位/ml以下では溶菌されなかった。 リゾチームについては、N-アセチルムラミダーゼ力価を100単位/mlに固定したとき、リゾチーム力価が1,000単位/ml以下では溶菌されなかった。 ゆえに、N-アセチルムラミダーゼの至適力価は、約10単位/ml〜約10,000単位/ml、好ましくは、約100単位/ml〜約1,000単位/ml、リゾチームの至適力価は、約1,000単位/ml〜約1,000,000単位/ml、好ましくは、約10,000単位/ml〜約100,000単位/mlに設定すると良い。 また、原因菌がCandida albicans等の真菌である場合には、ザイモラーゼ約50単位/ml〜約500単位/ml、好ましくは、約100単位/ml〜約500単位/mlの力価範囲にすると良い。 また、ザイモラーゼを使用する際には、特に、PMSFまたは公知のプロテアーゼ阻害剤を使用するのが好ましい。
また、グラム陽性菌とグラム陰性菌の成分の違い、すなわち、ペプチドグリカンまたはリポポリサッカライドの違いにより、適宜使用酵素を選択することができる。 特に、グラム陽性菌、グラム陰性菌にかかわらず、より効果的に溶菌させるには、2種類以上の酵素を併用すればよい。 本発明においては、リゾチーム、リゾスタフィンおよびN-アセチルムラミダーゼの3種を混合したものを使用することにより、単独の酵素によった場合と比較して溶菌活性が高まることが明らかとなった。
酵素処理温度は、Staphylococcus aureusは、好ましくは約4℃〜約60℃、Staphylococcus epidermidisは、約25℃より高く、好ましくは約37℃以上、また、Enterococcus faecalisでは、約25℃より高く約60℃未満、好ましくは約37℃〜約42℃とすれば良い。 ゆえに、至適酵素処理温度を、約37℃〜約42℃に設定するのが最も好ましい。 また、3種類の菌に対する共通の範囲の内、限界とされる温度は約26℃〜約59℃と予想できる。
また、酵素処理時間は、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Enterococcus faecalisのいずれの貪食サンプルでも酵素処理時間20分以上(0分および10分においては不適であった)であり、また、白血球中に菌体は確認されなかったことから、少なくとも約15分以上、好ましくは約20分以上、さらに至適酵素処理時間を約30分〜約60分とするのが好ましい。 また、酵素処理時間を約15分〜約120分としてもよい。
また、N-アセチルムラミダーゼとは、Enterococcus faecalisの熱処理乾燥粉末とN-アセチルムラミダーゼを、2mmol/l 塩化マグネシウムを含む5mmol/l トリス塩酸緩衝液(pH 6.0)中で、37℃で、5分間反応させた場合、600nmの吸光度を下げる酵素である。 また、Streptococcus salivarius (IFO 3350)の熱処理細胞を、37℃、pH 7.0で1分間に1ug溶菌する酵素活性を1単位とした場合、2,000単位/mg以上のものを使用するのが好ましい。
リゾチームは、Micrococcus luteusとリゾチームをPBS内で、37℃で、5分間反応させた場合、600nmの吸光度を下げる酵素である。 また、Micrococcus luteusを、35℃、pH 6.2で1分間に540nmの吸収を0.001下げるときの酵素活性を1単位とした場合、50,000単位/mg以上のものを使用するのが好ましい。
リゾスタフィンは、Staphylococcus epidermidisとリゾスタフィンをPBS内にて37℃で5分間反応させた場合、600nmの吸光度を下げる酵素である。 また、Staphylococcus aureusを、37℃、pH 7.5で、10分間に620nmの吸収を0.240から0.125に下げるときの酵素活性を1単位とした場合、500単位/mg以上のものを使用するのが好ましい。
ザイモラーゼ(商品名:ザイモリエイス、生化学工業)とは、Arthrobacter lutesu1の培養液から調製された酵素であり、酵母生細胞の細胞壁に対して強い溶解活性を有している。 ザイモラーゼに含まれる細胞壁溶解に関わる必須酵素はβ-1,3-グルカン・ラミナリペンタオヒドロラーゼ(lanimaripentaohydrolase)であり、β-1,3-結合のグルコースポリマーに作用して、主生産物としてラミナリペンタオースを生成する。 ザイモリエイス-100Tは硫安分画により精製され、さらにアフィニティークロマトグラフィーにより精製され(Kitamura, K. et al. ; J. Ferment. Technol., 60, 257, 1982)、100,000単位/gの活性を有している。 しかしながら、この酵素の活性は、基質となる酵母の種類、培養条件および生育時期により変化することが知られている(Kitamura, K. et al. ; J. Gen. Appl. Microbiol., 20, 323, 1974、Kitamura, K. et al. ; Agric. Biol. Chem., 45, 1761, 1981、Kitamura, K. et al. ; Agric. Biol. Chem., 46, 553, 1982)。 ザイモリエイス-100Tには、β-1,3-グルカナーゼを約1.0×107単位/g、プロテアーゼを約1.7×104単位/g、マンナーゼを約6.0×104単位/g含み、DNaseおよびRNaseは認められない(Kitamura, K. et al. ; J. Gen. Appl. Microbiol., 18, 57, 1972)。 また、ザイモリエイスの至適pHは、約5.5〜約8.5、好ましくは、約6.5〜約7.5であり、至適温度は、約25℃〜約55℃、好ましくは約35℃〜約45℃である。 さらに、酵母(対数増殖期細胞)に対する溶菌スペクトラム(属名)は、Ashbya、Candida、Debaryomyces、Eremothecium、Endomyces、Hansenula、Hanseniaspora、Kloekera、Kluyveromyces、Lipomyces、Helschkowia、Pichia、Pullularia、Torulopsis、Saccharomyces、Saccharomycopsis、Saccharomycodes、Schwanniomycesなどが挙げられる。 特に、カンジダ属として、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・パラシロシス(Candida parasilosis)、カンジダ・ガラクタ(Candida galacta)、カンジダ・ギリエルモンジ(Candida guilliermondii)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、クリプトコッカス・ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)等が挙げられる。 本酵素の賦活剤として、SH化合物、例えば、システイン、2-メルカプトエタノール、ジチオスレイトールなどを用いることができる。 これらの属に属する菌も、本発明に使用できる。 この酵素は、ビール酵母懸濁液を基質として、約25℃で、2時間の内に、反応液(酵素:0.05〜0.1mg/ml溶液 1ml、基質:ビール酵母懸濁液(2mg乾燥重量/ml)3ml、緩衝液:M/15リン酸緩衝液(pH 7.5)5ml、滅菌精製水1mlで全量10mlに調製したもの)のA800が約30%減少するために必要な酵素活性を1単位とする。 ザイモリエイス-100Tは、100,000単位/gの活性を有している。
酵素試薬溶解液として用いるPMSF(プロテアーゼから白血球を保護してその形態を保持させるために添加)の濃度として、10μmol/l 以上の濃度で効果が認められ、0.1mmol/l 以上のPMSF濃度では、白血球の形態の劣化が完全に抑制されていたことから、10μmol/l〜10mmol/l、好ましくは0.1mmol/l〜1mmol/lの範囲であることが好ましい。 また、DMSOの濃度として、5%未満、好ましくは2%以下、さらには1%程度の濃度であることが好ましい。 ゆえに、酵素試薬溶解液は、0.1mol/l フェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF)含有ジメチルスルフォキシド(DMSO)をPBSで100〜1,000倍希釈して調製したものであることが好ましい。
感染症原因菌のDNAを露出させる工程の後に、細胞膜タンパク質のアセチル化の工程を挿入しても良い。 具体的には、アセチル化試薬(トリエタノールアミン7.46g、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlとしたもの)に無水酢酸を加え、滅菌精製水で約2倍〜約50倍希釈、好ましくは約10倍希釈し、無水酢酸の終濃度を0.1〜3.0%、好ましくは0.8%に調製したアセチレーション試薬にスライドグラスを浸し、振とう機上で5〜30分間振とうすることにより行うことができる。 その後、75%、85%、98%エタノールに、順次、2〜5分間ずつ浸し、完全に風乾させる。
また、細胞膜タンパク質のアセチル化工程の後に、感染症原因菌のDNAをアルカリ処理することにより一本鎖DNAとする工程を挿入することもできる。 具体的には、スライドグラスを、約10mmol/l〜約300mmol/l、好ましくは、約70mmol/l水酸化ナトリウム含有PBS(PBS原液に水酸化ナトリウムを加え、滅菌精製水で20倍希釈し、水酸化ナトリウムの終濃度を70mmol/lに調製したもの)に約2〜約5分間浸すことにより行うことができる。 その後、75%、85%、98%エタノールに、順次、2〜5分間ずつ浸し、完全に風乾させる。
露出された感染症原因菌のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイゼーションできる検出用DNAプローブを用いてin situハイブリダイゼーションを行うには、例えば、プローブ希釈液にて調製した検出用DNAプローブを含有する液(プローブ液)を塗抹部位に塗布し、約25℃〜約50℃、好ましくは、約37℃〜約42℃の湿潤箱内で約1〜約3時間、好ましくは、約2時間静置させる。
その後、ハイブリダイゼーション洗浄液(ハイブリダイゼーション原液(塩化ナトリウム13.15g、クエン酸三ナトリウム2水和物6.615g、滅菌精製水にて全量75mlに調製したもの:以下、単に「ハイブリダイゼーション原液」と称する)を、ハイブリダイゼーション原液:滅菌精製水:ホルムアミド=5:45:50の割合で混合して調製したもの)を3つの染色ビンに用意し、順次、約35〜約45℃、好ましくは、約42℃で10分間ずつ浸す。 その後、PBSに浸し、そのまま振とう機上で約5〜約30分間振とうさせる。 詳細には、プローブ希釈液には、サケ精子DNA 600μl、100×デンハート溶液50μl、ハイブリダイゼーション原液500μl、ホルムアミド2250μl、50%硫酸デキストラン1000μlが含まれる。 プローブ液は各検出用DNAプローブ15ngを含むのが好ましく、プローブ希釈液にて全量50μlとするのが良い。
SA、SE、PA、EF、EKのプローブ濃度は、約0.6ng/μl〜約1.8ng/μl、好ましくは約0.6ng/μl〜約1.2ng/μlとするのが良い。 また、0.06ng/μlにおいては不適であり、0.6ng/μlにおいては適であったことから、少なくとも0.1ng/μl以上とするのが好ましい。 さらに、2.4ng/μlにおいては不適であり、1.8ng/μlにおいては適であったことから、2.2ng/μl以下とするのが好ましい。 また、陽性コントロールおよび陰性コントロールの至適濃度を、それぞれ0.4〜2.0ng/μlおよび0.6〜2.0ng/μl、好ましくは共通して0.6〜1.0ng/μlとするのが良い。
また、ハイブリダイゼーションを行う時間は、少なくとも30分以上、好ましくは60分以上、より好ましくは90分以上とするのが好ましい。 さらに好ましい至適ハイブリダイゼーション時間は、約120分〜約900分に設定すると良い。
また、in situハイブリダイゼーションの工程においてドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの界面活性剤を使用するのが、検出感度を高めることができる点から好ましい。 SDSの濃度は、1%以下が好ましく、より好ましくは約0.1%〜約0.5%、さらに好ましくは約0.25%とする。 SDSは、ハイブリダイゼーションの際に用いる溶液に添加されていればよく、プローブ希釈液またはプローブ液に事前に混合したものを用いてもよい。
さらに、検出用DNAプローブを、約350〜約600塩基長、好ましくは、約350〜約550塩基長の鎖長を有する1種以上のDNAプローブとすることで、食細胞内にプローブを円滑に導入し、取り込まれている外来微生物の遺伝子への確実な接触が許容されるので好ましい。 対象となるプローブの塩基長(塩基対の数)が、必ず上記塩基長範囲に収まらなければならないことを意味するものではなく、プローブの塩基長の分布に、上記範囲の塩基長が含まれていればよいこととする。 これらプローブは、1種で用いても数種(1種以上)で用いても良い。 1種以上のプローブとは、一菌種に対しハイブリダイズできる複数種のプローブであっても良く、また、一菌種に対してプローブは1つであるが、菌種が複数種存在するためにプローブの種類が複数種となっていても良く、プローブの種類が1種以上であれば特に限定されない。
これらプローブは、食細胞自体といかようにもハイブリダイズしない配列を有するDNA断片を含むものとすることが好ましく、また他の種の菌に由来する遺伝子と交差ハイブリダイズするものであってはならない。 例えば、サブトラクション法を用いれば、短時間で特異プローブを作成することができる。 これらプローブは、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ビオチン、ジゴキシゲニン(ジゴキシゲニン(DIG)-11-dUTP)等の非放射性同位体標識用物質を用い、定法のニックトランスレーションに従って、調製およびラベルするとよい。 プローブの鎖長は、ニックトランスレーション反応において添加するDNaseIとDNAポリメラーゼIの量比を変化させることにより、最も効率よくラベルできるように制御することができる。 例えば、DNAプローブ(SA-24)2μgを効率よくラベル化し、また、外来微生物DNAと効率よくin situハイブリダイゼーションできるプローブ鎖長(約350〜約600の塩基長)に調節するには、全量100μlの反応液中に、10U/μlのDNAポリメラーゼIの2μlに対し、全量100μl中に約10〜約350mU、好ましくは、約25〜約200mU、より好ましくは約50〜約150mUとなるように調製されたDNaseIの6μlが存在するようにすればよい。 このとき、各酵素の容量および反応液全量などは、上記必須至適反応条件の比率が一定である限り、適宜変更しても良い。 また、換言すれば、全量100μl中にDNAポリメラーゼIを20Uに対し、DNaseIを約10〜約350mU、好ましくは、約25〜約200mU、より好ましくは、約50〜約150mUに調製すればよい。 さらに換言すれば、1単位のDNAポリメラーゼIに対し、約0.5/1,000〜約17.5/1,000、好ましくは、約1.25/1,000〜約10/1,000、より好ましくは、約2.5/1,000〜約7.5/1,000単位のDNaseIを用いてニックトランスレーション反応を行うと良い。 また、DNA1μgに対してみれば、DNAポリメラーゼIを約10U、DNaseIを約5〜約175mU、好ましくは、約12.5〜約100mU、より好ましくは、約25〜約75mUに調製すれば良い。 他のプローブについては、上記至適反応条件を参考にしてDNA量、DNAポリメラーゼIおよびDNaseIの至適反応条件を決定することができ、また、効率よくラベル化し、外来微生物DNAと効率よくin situハイブリダイゼーションできるプローブ鎖長(約350〜約600の塩基長)に調節することができる。
In situハイブリダイゼーションを行う際のストリンジェントな条件とは、例えば、ホルムアミドが約30%〜約60%、好ましくは、約50%の存在下、約30〜約50℃、好ましくは、約38〜約42℃でインキュベートし、その後、洗浄する条件である。
In situハイブリダイゼーションを行った後、ブロッキングの操作を行っても良い。 具体的には、湿潤箱内でスライドグラス1枚につきブロッキング試薬(ウサギ正常血清2ml、PBS原液0.5ml、滅菌精製水にて全量10mlに調製したもの)1mlを塗抹部位に滴下し、15〜60分間静置する。 その後、ブロッキング試薬を除去する。
菌由来の遺伝子(ゲノムDNAまたはRNA)とハイブリダイズした結果に生じるシグナルの検出のためには、定法の抗原−抗体反応等を利用した呈色反応を行うとよい。 すなわち、ハイブリダイゼーションを終えた試料を充分に洗浄した後に、ブロッキング操作を行い、次いで、抗FITC抗体、抗ジゴキシゲニン抗体などの接合物、例えば、アルカリホスファターゼ接合物を用いて処理し、次いで、接合物の発色系にてシグナルを発色し、ハイブリダイゼーションの状況を確認する。 例えば、プローブとして前記のジゴキシゲニン-11-dUTPでラベルしたものを用いた場合、抗ジゴキシゲニン−アルカリホスファターゼ接合物を用い、一般に使用されるアルカリホスファターゼに対する基質(ニトロブルーテトラゾリウムおよび5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート等)を利用して検出すればよい。 次いで、呈色反応を行った後に洗浄した塗沫標本は、ナフトールブラック、Fast Green (20mg/50ml、Wako Chemicals社製)等で対比染色を行い、光学顕微鏡によって細胞内シグナルが観察される。
詳細には、ハイブリダイゼーションによるシグナルを得るには、例えば、検出用DNAプローブとしてジゴキシゲニン標識DNAプローブを用いる場合には、標識抗体(アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液1.05単位、バッファーA(トリエタノールアミン746mg、塩化ナトリウム17.5mg、塩化マグネシウム6水和物20.3mg、塩化亜鉛1.36mg、ウシ血清アルブミン1000mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量100mlに調製したもの)12.6μlにて全量を14μlに調製したもの)を標識抗体希釈液(トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン8.48mg、塩化ナトリウム6.14mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量0.7mlに調製したもの)で10〜200倍希釈、好ましくは50倍希釈した標識抗体液を調製し、この標識抗体液を塗抹部位に10μlずつ滴下し、15〜60分間静置すると良い。 その後、標識抗体洗浄液(ポリソルベート20 1ml、PBS原液50ml、滅菌精製水にて全量100mlに調製したもの)を2〜50倍、好ましくは、10倍に希釈した溶液に浸し、そのまま振とう機上で5〜30分間浸透する。 この操作を2回繰り返した後、発色前処理液1(トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン6.06g、塩化ナトリウム2.92g、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)と発色前処理液2(塩化マグネシウム6水和物5.08g、滅菌精製水にて全量50mlに調製したもの)を等量混合し、滅菌精製水で5倍程度に希釈した発色前処理液に浸し、そのまま振とう機上で5〜30分間振とうすれば良い。 その後、スライドグラス1枚につき発色試薬(ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)/5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルフォスフェイト(BCIP))1mlを0.2μmシリンジトップフィルターを装着したディスポーザブルシリンジを用いてろ過しながら、スライドグラスの塗抹部位に滴下し、湿潤箱内で約10℃〜約45℃、好ましくは、約37℃で、約15〜約60分間遮光静置する。 その後、発色試薬洗浄液(トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン606mg、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム2水和物186mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)を約2〜約50倍、好ましくは、約10倍に希釈した溶液に約2〜約10分間浸し、風乾した後、対比染色液(ファストグリーンFCF(食用緑色3号)50mg、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)を2〜50倍、好ましくは10倍に希釈した溶液および、約0.1〜約5%、好ましくは約1%の酢酸溶液に浸す。 その後、前記発色試薬洗浄液を約2〜約50倍、好ましくは約10倍に希釈した溶液に再度浸して余分の前記対比染色液を洗い流し、完全に風乾すると良い。 また、上記発色試薬は、別々に調製したものであっても良い。
アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液は、ブロッティング用メンブレンにジゴキシゲニンラベルしたDNAの1ngをブロットし、ブロッキング後、10,000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液で処理し、発色基質(NBT/BCIP)を反応させるとDNAのブロッティング部位が発色し、ジゴキシゲニンラベルしていないDNAで同様の操作をしても発色は認められないものを使用するのが好ましい。 また、抗ジゴキシゲニン抗体は、ヒツジ由来のものが好ましい。 詳細には、免疫したヒツジ血清より、イオン交換クロマトグラフィーと抗体カラムクロマトグラフィーで精製すると良い。
発色試薬(NBT/BCIP溶液、pH 9.0〜10.0)は、ニトロテトラゾリウムブルー(NBT)3.3mg、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルフォスフェイト(BCIP)1.65mg、N,N-ジメチルホルムアミド99μg、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン121mg、塩酸適量、塩化ナトリウム58.4mg、塩化マグネシウム6水和物101.6mg、滅菌精製水適量にて全量10mlに調製したものであるのが好ましい。 この発色試薬としては、アルカリフォスファターゼをラベルしたタンパク質をブロッティング用メンブレンにブロットし、当該発色試薬でメンブレンを遮光室温で処理すると、ブロット部位に暗紫色のシグナルが現れるものを使用するのが好ましい。
上記した対比染色を行う場合に、シグナルと細胞のコントラストをさらに明確にさせるため、食用色素、例えば、黄色4号(タートラジン)を使用することができる。 その理由は、基質によって紫色が呈色し、ナフトールブラックによって青色に呈色することから、類似色のために対比染色しづらいことが挙げられる。 この方法を本発明に応用したところ、対比染色を行う際に有用であることが判明した。 食用色素を用いるという手法は、これまでに無かった方法である。
ジゴキシゲニンを標識化する方法として、ニックトランスレーション法を用いることができる。 その他に、PCR法、ランダムプライマーラベリング法、in vitroトランスクリプションラベリング法、ターミナルトランスフェラーゼラベリング法などを使用することができる。
判定は、光学顕微鏡で鏡検(×1,000)するときに、上述した対比染色液により染まった単一ウェル内の細胞に於いて、青紫色の発色が1つでも認められた場合に陽性と判定するのがよい。
また、検出用プローブの作成方法として、日本国特許第2558420号、特許第2798499号、特許第2965543号、特許第2965544号および特許第3026789号などを参照することができる。
例えば、ワーキングセルバンクから釣菌して培養するには、ワーキングセルバンク(SA-24)を滅菌シャーレに作製した50μg/mlアンピシリン含有のL-ブロス固形培地に、白金耳または使い捨てプラスチックループ等で画線塗抹する(釣菌)。
一晩培養した後に、シングルコロニーを採取し、50μg/mlアンピシリン含有のL-ブロス培地5mlに植菌して、37℃で終夜振とう培養する(前培養)。 前記培地400ml入り培養用フラスコに、前培養液を2.5mlずつ植菌して、約37℃で終夜振とう培養する(本培養)。
次に、SA-24プラスミドDNAを抽出するには、本培養した培養液を、4℃、4,000×gで10分間遠心分離して集菌する。 培養上清を取り除き、STE(10mmol/l トリス塩酸(pH 8.0)、1mmol/l エチレンジアミン-四酢酸2ナトリウム塩(EDTA)、0.1mmol/l 塩化ナトリウム)を20ml加えて菌体を再懸濁し、4℃、4,000×gで10分間遠心分離して集菌する。 10mg/mlリゾチームを含む溶液-1(50mmol/l グルコース、25mmol/l トリス塩酸(pH 8.0)、10mmol/l EDTA)5mlを加え、菌体を懸濁して室温で5分間放置する。 溶液-2(0.2mmol/l 水酸化ナトリウム、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))10mlを加え、転倒混和して氷上で10分間放置する。 氷冷した溶液-3(3mol/l 酢酸カリウム(pH 4.8)) 7.5mlを加え、転倒混和して氷上で10分間放置する。 高速冷却遠心機により、4℃、45,000×gで30分間遠心分離した後、上清を回収し、室温になるまで放置する。 放置した後、0.6容量(約24ml)のイソプロパノールを加え、転倒混和して室温で15分以上放置する。 高速冷却遠心機により、25℃、28,000×gで30分間遠心分離した後、上清を捨て、70%エタノールでペレットを洗浄して風乾する。 風乾後、TE(10mmol/l トリス塩酸(pH 8.0)、1mmol/l EDTA)を8ml加えて溶解する(プラスミドDNAの抽出)。
次に、SA-24含有プラスミドDNAの精製は、得られたプラスミドDNAに、10mg/mlエチジウムブロマイド800μlおよび塩化セシウム8.6gを加え、転倒混和して溶解させる。
その溶解液を超遠心用チューブに入れ、キャップまたはシールをする。 垂直型ローターにより、20℃、500,000×gで5時間超遠心した後、紫外線ライト照射下で注射筒または注射針を使用してプラスミドDNAのバンドを分取する。 分取したプラスミドDNA溶液に、等量のTE飽和 l-ブタノールを加えて転倒混和し、微量高速遠心機により、15,000×gで5分間遠心分離し、上清を取り除く。 この操作を繰り返し、プラスミドDNA溶液中のエチジウムブロマイドを取り除く。 次に、TEを加えて1.5mlとし、脱塩カラム(NAP-10)で脱塩する。 脱塩したプラスミドDNA溶液に3mol/l酢酸ナトリウム溶液を30μl加えて混和した後、3倍量の99.5%エタノールを加えて転倒混和し、−20℃で30分以上放置する。 放置後、微量冷却高速遠心機により、4℃、15,000×gで20分間遠心分離して上清を除いた後、冷70%エタノールを加えて懸濁し、再度、微量冷却高速遠心機により、4℃、15,000×gで20分間遠心分離して上清を除き、プラスミドDNAの沈渣を減圧下乾固させる。 プラスミドDNAに100μlのTEを加えて完全に溶解させ、260nmの吸光度で濃度を測定する(SA-24含有プラスミドDNAの精製)。 その後、SA-24含有プラスミドDNAの制限酵素処理およびアガロース電気泳動によるSA-24のサイズチェックを行う。
SA-24含有プラスミドDNAの制限酵素処理およびアガロース電気泳動によるSA-24の精製を行うには、分子量チェックの終了したSA-24含有プラスミドDNA 1mgを、制限酵素HindIII単独もしくは他の制限酵素と組み合わせ、37℃で1.5時間以上の反応により消化する。
プラスミドDNAを消化した後、反応液の一部を0.8%アガロースで電気泳動して、消化が完全に終了したことを確認する。 消化を確認した後、分取用の0.8%アガロースゲルで電気泳動し、SA-24のバンドを採取する。 採取したSA-24をアガロースゲルから抽出、精製して、吸光度計にて濃度を測定する。 精製したSA-24の一部を0.8%アガロースゲルで電気泳動し、シングルバンドであることを確認する。
SA-24のラベル化を行うには、精製したSA-24の2μgを用い、以下の表1に記載の組成を有する反応液において、ジゴキシゲニンラベルを施すとよい。
表1中、Xは、プローブ原液の濃度に応じて上記好ましいプローブ濃度となるように添加することができる容量であり、この容量に伴い精製水量Yを決定して最終容量を調整する。
ラベル化後、反応液にTEを100μl加えて反応を停止させる。 反応停止液をスピンカラムに注入し、4℃、380×gで10分間遠心分離して、遊離のヌクレオチドを除く。 次に、溶出液の濃度を吸光度計により測定し、TEで10ng/μlに調製する。
ラベル化を確認するには、ラベルしたSA-24の0.5μlをメンブレンに滴下し、風乾する。 ブロッキング試薬にメンブレンを浸し、室温で30分間ブロッキングする。 0.1mol/l トリス塩酸(pH 7.5)、0.15mol/l塩化ナトリウムで5,000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液に、メンブレンを室温で30分間浸す。 0.1mol/lトリス塩酸(pH 7.5)、0.15mol/l 塩化ナトリウムにメンブレンを浸し、室温で10分間振とうして2回洗浄する。 0.5mol/lトリス塩酸(pH 9.5)、0.15mol/l塩化ナトリウム、50mmol/l塩化マグネシウムに、メンブレンを室温で10分間浸す。 発色試薬にメンブレンを室温で遮光下、10分間浸す。 メンブレンをTEに浸し、発色を停止させる。 スポット下部分の青紫色の発色で、ラベル化の確認を行う。
スピンカラムを作製するには、1mlのディスポーザブルシリンジに、少量の滅菌済みグラスウールを充填する。 1mmol/l トリス塩酸(pH 7.5)、1mmol/lのEDTA、0.1%SDSで膨潤させたセファデックスG-50をシリンジにつめる。 15mlのディスポーザブルコニカルチューブにシリンジを入れ、4℃、320×gで10分間遠心分離し、余分の緩衝液を落とす。 ディスポーザブルコニカルチューブからシリンジを抜き、排出された緩衝液を捨てた後、1.5mlのエッペンドルフ型チューブをディスポーザブルコニカルチューブの底に入れ、その上にシリンジを入れて作製する。
プローブの特異性を確認するため、以下の手順に従って、ドットブロットハイブリダイゼーションを行うとよい。
まず、スポットした各ゲノムDNAを変性するために、定法に従い0.5mol/l 水酸化ナトリウム、1.5mol/l 塩化ナトリウム溶液で飽和した濾紙(ワットマン社製3MM)上に、調製した各種細菌ゲノム100ngをナイロンメンブレン(ポールバイオダインタイプB、日本ポール社製)にスポットし、風乾したメンブレンを10分間静置する。 次に、0.5mol/l トリス塩酸(pH 7.5)、1.5mol/l 塩化ナトリウム溶液で飽和した前出の濾紙上に10分間静置して変性DNAを中和する。 さらに、2×SSC(Standard Saline Citrate)溶液で飽和した前記濾紙上に5分間静置し、リンスする。 その後、メンブレンを風乾し、2×SSC溶液にメンブレンを浸し、5分間浸透する。 定法に従い、プラスチックバッグ内でプレハイブリタイゼーション溶液にメンブレンを浸し、42℃、60分間親和させる。 プラスチックバッグ内で、プローブ400ngを含むハイブリタイゼーション溶液15ml内にメンブレンを浸し、42℃で、一晩反応させる。 次に、2×SSC、0.1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)溶液にメンブレンを浸し、5分間洗浄する(2回繰り返す)。 その後、0.1×SSC、0.1%SDS溶液にメンブレンを浸し、60℃、10分間洗浄する(3回繰り返す)。 2×SSC溶液にメンブレンを浸し、5分間洗浄する。 メンブレンを3%ウシ血清アルブミン、1%ブロッキングバッファー(ベーリンガー社製)、0.1mol/l トリス塩酸(pH 7.5)、0.15mol/l塩化ナトリウム溶液にメンブレンを浸し、30分間おだやかに振とうする。 その後、アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体(ベーリンガー社製)を、0.1mol/l トリス塩酸(pH 7.5)、0.15mol/l 塩化ナトリウム溶液で5,000倍希釈した溶液にメンブレンを浸し、30分間おだやかに振とうする。 次に、0.1mol/lトリス塩酸(pH 7.5)、0.15mol/l 塩化ナトリウム溶液にメンブレンを浸し、15分間振とうする(2回)。 0.1mol/l トリス塩酸(pH 9.5)、0.1mol/l 塩化ナトリウム、5mmol/l 塩化マグネシウム溶液にメンブレンを浸し、5分間振とうする。 NBT-BCIP溶液(GIBCO BRL社製)にメンブレンを浸し、遮光下で発色反応させる。 TE(10mmol/l トリス塩酸(pH 8.0)、1mmol/l EDTA)にメンブレンを浸し、発色反応を止め、風乾する。 プレハイブリダイゼーション溶液およびハイブリダイゼーション溶液を、以下の表2に示す。
In situハイブリダイゼーションの工程において使用される界面活性剤としては、公知の界面活性剤が使用できる。 界面活性剤は、アニオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤および両性界面活性剤に大別される。
アニオン界面活性剤は、陰イオン界面活性剤とも呼ばれ、水中で電離して有機陰イオンとなるものである。 界面活性剤の分子中の親油基をRとして表現すると、RCOONa、RSO3Na、RSO4Naなどがある。 RCOONaのように弱酸性基を含有する界面活性剤の水溶液は加水分解しやすく弱アルカリ性であるが、RSO3Na、RSO4Naなどの強酸性基を有する界面活性剤の水溶液は加水分解を受けにくく、中性となる。 陰イオン性であるから、多量の陽イオン性物質の存在で界面活性を失うことがあり、また強酸性にした時にも失活する。
非イオン性界面活性剤は、親水基が非イオン性のものをいう。 親水基として酸化エチレン基(-CH2CH2O-)が多用され、この基の数が多くなる程親水性が増す。 反対に、親油基の炭素数が増加すると、親油性が増加する。 従って、親水性・親油性を様々に変化させた界面活性剤が得られるのが特徴である。 非イオン性界面活性剤は、水中で電離せず、無機塩の影響も受けにくいため、生体に及ぼす作用も少ない。 しかも、洗浄作用は、強力で、泡立ちは比較的少ない為、洗剤のみならず、医薬品、化粧品、食品などに広く使用される。 水溶性の非イオン性界面活性剤は温度が上昇すると、ある温度で水に溶解しにくくなり、水溶液が濁り出すが、これは親水基と水との水素結合が切断されるために生じる。
カチオン界面活性剤は、陽イオン界面活性剤ともいう。 水中で、電離して有機陽イオンとなるものである。 カチオン界面活性剤は、一般に洗浄作用は大きくはないが、細菌などのアニオン性のものと強く結合するため、殺菌作用が大きい。 また、繊維やプラスチックの帯電防止能もある。 カチオン界面活性剤の代表的なもので、ドデシルトリメチルクロリド[C12H25(CH3)3N]Clは水溶性であるが、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド[(C12H25)2(CH3)2N]Clは水に溶解しにくく、水中では2分子膜状のベシクルを形成し、ベンゼンには溶解する。
両性界面活性剤は、分子内にアニオン基とカチオン基の両者を併せ持っている界面活性剤である。 水溶液中での電離状態はアミノ酸に類似しており、両性界面活性剤には、アミノ酸誘導体が多く存在する。 従って、アミノ酸と同様に等電点を有し、等電点よりアルカリ性側ではアニオン界面活性剤として、酸性側ではカチオン界面活性剤として作用する。 等電点で水溶性は最低となり、表面張力も最も低下する。 両性界面活性剤は、殺菌剤、帯電防止剤などに用いられる。
また、アニオン界面活性剤は、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型およびリン酸エステル型に分けられ、非イオン性界面活性剤は、エステル型、エーテル型、エステルエーテル型およびアルカノールアミド型に分けられる。 カチオン界面活性剤は、アルキルアミン塩型および第四級アンモニウム塩型に分けられ、両性界面活性剤は、カルボキシベタイン型、2-アルキルイミダゾリンの誘導型およびグリシン型に分けられる。
さらに、アニオン界面活性剤のカルボン酸型は、脂肪酸モノカルボン酸塩、N-アシルサルコシン塩およびN-アシルグルタミン酸塩に細分される。 それぞれの代表例として、脂肪酸モノカルボン酸塩には、ラウリン酸ナトリウムおよび薬用せっけんがあり、N-アシルサルコシン塩は、N-ラウロイルサルコシンナトリウム、N-アシルグルタミン酸塩にN-ラウロイルグルタミン酸二ナトリウムがある。 また、スルホン酸型は、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(分岐鎖) ベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩-ホルムアルデヒド縮合物およびN-メチル-N-アシルタウリン塩に細分される。 代表例として、ジアルキルスルホコハク酸塩は、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルカンスルホン酸塩は、ドデカンスルホン酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩には直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル(分岐鎖) ベンゼンスルホン酸塩はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸塩はブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、N-メチル-N-アシルタウリン塩にはN-メチル-N-ステアロイルタウリンナトリウムがある。 また、硫酸エステル型は、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩および油脂硫酸エステル塩に細分される。 代表例として、アルキル硫酸塩は、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびセチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩はポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンがある。 また、リン酸エステル型は、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩およびポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩に細分される。 代表例を挙げると、アルキルリン酸塩には、モノラウリルリン酸二ナトリウムがある。 ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩には、リン酸ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテルおよびリン酸ポリオキシエチレンオレイルエーテル(8MOL)がある。
非イオン性界面活性剤のエステル型は、脂肪酸グリセリン、脂肪酸ソルビタンおよび脂肪酸ショ糖エステルに細分される。 それぞれの代表例として、脂肪酸グリセリンは、モノステアリン酸グリセリン、脂肪酸ソルビタンは、モノステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート20(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、ポリソルベート60およびポリソルベート80、脂肪酸ショ糖エステルはステアリン酸ショ糖エステルがある。 また、エーテル型は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールに細分される。 代表例を挙げると、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルおよびポリオキシエチレンセチルエーテルがあり、また、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとして、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルおよびポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルがある。 また、エステルエーテル型は、脂肪酸ポリエチレングリコールおよび脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンに細分される。 それそれの代表例は、脂肪酸ポリエチレングリコールは、オレイン酸ポリエチレングリコール、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタンには、パルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタンおよびポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートがある。 また、アルカノールアミド型は、脂肪酸アルカノールアミドの1つのみである。 代表例は、ラウリン酸ジエタノールアミドである。
カチオン界面活性剤のアルキルアミン塩型には、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩およびトリアルキルアミン塩があり、代表例は、モノステアリルアミン塩酸塩である。 また、第四級アンモニウム塩型は、塩化(または臭化、沃化)アルキルトリメチルアンモニウム、塩化(または臭化、沃化)ジアルキルジメチルアンモニウムおよび塩化アルキルベンザルコニウムに細分される。 それぞれの代表例は、塩化(または臭化、沃化)アルキルトリメチルアンモニウムとして、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化(または臭化、沃化)ジアルキルジメチルアンモニウムとして、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化アルキルベンザルコニウムは塩化ラウリルベンザルコニウムがある。
両性界面活性剤のカルボキシベタイン型は、アルキルベタインの1つのみである。 代表例は、ラウリルベタインである。 また、2-アルキルイミダゾリンの誘導型は、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインの1つのみである。 代表例として、2-ウンデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインが挙げられる。 また、グリシン型は、アルキル(又はジアルキル)ジエチレントリアミノ酢酸があり、代表例として、ジオクチルジエチレントリアミノ酢酸が挙げられる。
さらに、上記代表例に加えて、Triton X-100、ラウリルサルコシン、サポニン、BRIJ35、アルキルアリルポリエーテルアルコール、高級アルコール硫酸化物、N-ココイル-L-アルギニンエチルエステルDL-ピロリドンカルボン酸塩、N-ココイル-N-メチルアミノエチルスルホン酸ナトリウム、コレステロール、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、スクワラン、ステアリルアルコール、ステアリン酸ポリオキシル40、セタノール、セトマクロゴール1000、セバシン酸ジエチル、ノニルフェノキシポリオキシエチレンエタン硫酸エステルアンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシル35ヒマシ油、マクロゴール400、N-ヤシ油脂肪酸アシルL-アルギニンエチル・DL-ピロリドンカルボン酸塩、ラウリルジメチルアミンオキシド液、ラウロマクロゴール、メチルセルロース、CMC(カルボキシメチルセルロース)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20およびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、CHAPS、デオキシコール酸、ジギトニン、n-ドデシルマルトシド、ノニデットP40、n-オクチルグルコシド、オクチルチオグルコシド、ラウリル酸シュクロース、ドデシルポリ(エチレングリコールエーテル)n,n-ドデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-1-プロパンスルフォネート等も挙げることができる。
上掲の各種界面活性剤は、in situハイブリダイゼーションの工程で使用されることが重要であり、その使用方法は特に限定されない。 例えば、プローブ液またはプローブ希釈液中に混合されていても良いし、プローブ液とは別に調製した界面活性剤を含有する溶液を、プローブ液を塗抹部位に塗布する前、同時または後に添加しても良いし、当業者は適宜変更することができる。
なお、本発明において、陽性コントロールプローブが必要であれば、次のように作製することができる。 例えば、まず、U937細胞(ATCC CRL-1593.2)のゲノムDNAの抽出と精製を行うには、37℃、5%炭酸ガスインキュベーター内で、細胞培養フラスコ(175cm2)内のRPMI1640培地(25ml)を用い、U937細胞を培養する。 U937培養液を50mlの遠沈管に入れ、4℃、220×gで10分間遠心分離し、U937細胞を回収する。 細胞を10mlのPBSで懸濁洗浄し、再度4℃、180×gで10分間遠心分離し、細胞を回収する。 その後、上清を捨て、細胞を1mlの200μg/mlプロテネースK含有1%SDS含有TE溶液で懸濁し、37℃で30分間放置する。 フェノール抽出を3〜4回線り返し、除蛋白を行う。 エタノール沈殿により析出したゲノムを回収し、500μlの2.5μgリボヌクレアーゼ含有滅菌精製水に溶解し、42℃で30分間放置する。 フェノール抽出を2〜3回繰り返し、除蛋白を行う。 エタノール沈殿により析出したゲノムを回収し、500μlのTEに溶解する。 その後、吸光度計により濃度を測定し、ジゴキシゲニンラベルに供することにより、陽性コントロールプローブを作製することができる。 また、陽性コントロールプローブは、U937ゲノムを100ngスポットしたメンブレンに、陽性コントロールプローブをドットハイブリダイゼーションするとき、ハイブリッド形成が確認できるものを用いるのがよい。 陰性コントロールプローブが必要であれば、公知の方法で作製することができる。
貪食サンプルの調製
以下に、本発明の貪食済み食細胞(以下、「貪食サンプル」と称する)を作製する具体的な方法を例示する。
以下に、本発明の貪食済み食細胞(以下、「貪食サンプル」と称する)を作製する具体的な方法を例示する。
使用材料としては、U937細胞(ヒト単球株化細胞:ATCC CRL-1593.2)、Staphylococcus aureus (ATCC 126000)、Staphylococcus epidermidis (ATCC 14990)、Pseudomonas aeruginosa (ATCC 10145)、Enterococcus faecalis (ATCC 19433)、Escherichia coli (ATCC 11775)、ヘパリン加健常人血液、ブレインハートインフュージョン(BHI)(DIFCO社製)、Fetal Bovine Serum(終濃度10%、GIBCO社製)およびAntibiotic-Antimycitic(終濃度1%、GIBCO社製)を含有するRPMI 1640(RPMI培地1640(GIBCO社製))などが必要である。
使用機器としては、炭酸ガスインキュベーター(タパイエスベツク製:BNA-121D型)、冷却低速遠心機(ベツクマン製:CS-6KR型)、血球計算盤(エルマ製:ブライトーライン型)、振とう培養器(タイテック製:BR-300L型)、吸光度計(ベツクマン製:DU68型)、恒温器(ヤマト科学製:IC-62型)、落射型倒立顕微鏡(ニコン製:DIAPHOT型)、蛍光顕微鏡(ニコン製:OPTIPHOT型)、CCDカメラ(浜松フォトニクス製:C5810-01型)などが必要である。
まず、U937細胞の調製は、約20〜約40℃、好ましくは、約37℃の5%炭酸ガスインキュベーター内で、細胞培養フラスコ(例えば、175cm2)中のRPMI 1640培地でU937細胞(ヒト単球株化細胞、ATCC CRL-1593.2)を培養する。 細胞培養フラスコは、細胞が接着しやすい成分からなる物質を含むものが好ましい。 次に、U937細胞培養液を遠沈管に入れ、0℃〜約10℃、好ましくは、約4℃、約150〜約350×g、好ましくは、約220×gで約10分間遠心分離し、U937細胞を回収した。 その後、回収したU937細胞をPBSで懸濁し、血球計算盤で細胞数を計算し、細胞数を約1×104個/μl〜2×104個/μlに調製するとよい。
細菌貪食サンプルを調製するには、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Pseudomonas aeruginosa、Enterococcus faecalisおよびEscherichia coliをBHI培養液(前出)に植菌し、約20〜約40℃、好ましくは、約37℃で、6時間以上培養する。 培養した菌液を、0〜約10℃、好ましくは、4℃、例えば、2,000×gで約10分間遠心分離して集菌する。 上清を捨てた後、菌のペレットをPBSを用いて懸濁し、再度4℃で、2,000×gで10分間遠心分離して集菌するのが好ましい。 集菌した菌をPBSで懸濁した後、PBSにて希釈して吸光度計により菌液の濁度(O.D.=600nm)を、約0.001〜約0.1、好ましくは、約0.01〜約0.03、特に、Staphylococcus aureusは、約0.01〜約0.03、Staphylococcus epidermidisは、約0.01〜約0.03、Pseudomonas aeruginosaは、約0.02〜約0.03、Enterococcus faecalisは、約0.01〜約0.03、Escherichia coliは、約0.02〜約0.03にそれぞれ調製したものを作製するとよい。 作製した菌液は、別々の培養用フラスコに移し、約30分間室温で静置した。 ヘパリン加健常ヒト血液を採取し、前記血球分離試薬を4:1程度の割合で加え、約20〜約40℃、好ましくは、約37℃で30分間静置し、白血球画分を分取する。 分取した白血球画分をPBSにて懸濁する。 培養用フラスコの上清を静かに捨て、PBSで希釈した白血球画分をフラスコに加え、室温で約10分間静置する。 培養用フラスコ内の上清を捨て、フラスコの底に付着した白血球を、0.02%EDTA含有PBSを用いて遠沈管に回収し、例えば、4℃、約140〜約180×gで10分間遠心分離し、白血球を収集する。 収集した白血球中に赤血球の混入が認められる場合には、滅菌精製水にて白血球の沈渣を穏やかに懸濁して溶血させた後、PBSを加えて等張化を行い、再度4℃で、約140〜約180×gで10分間遠心分離を行い、白血球を収集すればよい。 収集した白血球をPBSにて懸濁し、血球計算盤にて細胞数を計測し、約1×104個/μl〜約5×104個/μlに調製する。
これら貪食サンプルを、それぞれSA貪食サンプル、SE貪食サンプル、PA貪食サンプル、EF貪食サンプル、EK貪食サンプルとする。
塗抹固定を行うには、調製したU937細胞と、上記のようにして作製した各細菌貪食サンプルをAPSコートスライドグラスの各ウェルに塗抹し、風乾させる。 各細菌貪食サンプルのスライドグラスに塗抹固定する細胞数は、約5.0×104〜約2.5×105個/ウェル、U937細胞の細胞数は、約5.0×104〜約1.0×105個/ウェルとするのが好ましい。 固定は、カルノア固定液(前出)に20分間浸した後、75%エタノールに5分間浸し、カルノア固定液を洗浄して風乾させた後、試験に使用するまで4℃で保存すると良い。
貪食率の測定は、スライドグラスに塗抹固定した細菌貪食サンプルをアクリジンオレンジ染色液で染色し、蛍光顕微鏡(×1,000)で無作為に細胞約200個を計測する。 計測した細胞の中で、細胞内に細菌を貪食している細胞を陽性細胞とし、以下の数式に従って貪食率(%)を算出する。
図6に、調製および鏡検にて観察した貪食細胞の様子を示している。 なお、カルノア固定、白血球細胞膜の透過性亢進処理、溶菌処理、細胞膜タンパク質のアセチル化、菌体DNAのアルカリ処理、in situハイブリダイゼーション、ブロッキング、標識抗体との反応、検出、判定に至る具体的操作方法は、本明細書に記載した方法を用いると良い。
また、本発明には、外来微生物貪食済み食細胞を固定し、該食細胞膜の透過性を亢進させる処理を施し、該食細胞中に存在する外来微生物のDNAを露出させる処理を施し、該DNAにストリンジェントな条件下にてハイブリダイゼーションできる検出用DNAプローブを用いて界面活性剤の存在下にin situハイブリダイゼーションを行い、得られたシグナルにより食細胞機能を評価するためのキットであって、(1) 外来微生物、(2) DNA露出工程において使用される、リゾスタフィン、リゾチーム、N-アセチルムラミダーゼおよびザイモラーゼからなる群より選択される少なくとも1種以上の酵素、ならびに(3) 1種以上の検出用DNAプローブを具備する、食細胞機能を評価するためのキットも含まれる。
このキットには、下記実施例にも示したように、血液分離試薬、酵素前処理試薬、酵素試薬、アセチル化試薬、プローブ液、ブロッキング試薬、標識抗体、標識抗体希釈液、発色前処理液-1、発色前処理液-2、発色試薬、対比染色液、PBS原液、ハイブリダイゼーション原液、標識抗体洗浄液、発色試薬洗浄液、APSコートスライドグラス、プローブ希釈液、バッファーA等が含まれる。 これらのうち、少なくとも酵素試薬、プローブ液を含むことが好ましい。 また、本発明に使用する各種試薬、例えば、クロロホルム、エタノール、無水酢酸、DMSO、PMSF、ホルムアミド、酢酸、塩酸、水酸化ナトリウム等を含んでいてもよい。 さらに、低速遠心機、恒温機、血球計算盤、振とう機、湿潤箱、恒温槽、光学顕微鏡、可変式ピペット、採血管、チップ、ピペット、染色ビン、メスシリンダー、注射筒、0.2μmシリンジトップフィルターの器具機械を含んでいても良い。
また、本発明は、生体由来の食細胞を含む臨床検体中に含まれる、食細胞によって貪食された外来微生物の遺伝子をモニターする方法を提供する。 さらに、本発明は、原因菌の候補となる微生物の遺伝子を同定する工程を含み、同定された結果に基づいて敗血症原因菌または菌血症原因菌が特定されることを特徴とする方法を提供する。
ここで使用することができる臨床検体としては、生体由来の食細胞が含まれる臨床検体であれば良く、例えば、血液、組織液、リンパ液、脳脊髄液、膿、粘液、鼻水、痰などの体液が挙げられる。 また、糖尿病、腎障害、肝障害などの病態によっては、尿、腹水、透析排液など、その他鼻腔、気管支、皮膚、各種臓器、骨などを洗浄した後の洗浄液にも生体由来の食細胞が含有されるため、これらも本発明の臨床検体として用いることができる。加えて、皮膚、肺、腎、粘膜などの組織も本発明の臨床検体として用いることができる。 これは、食細胞の一つであるマクロファージには、単球、肺胞マクロファージ、腹腔マクロファージ、固定マクロファージ、遊離マクロファージ、ハンゼマンマクロファージ、炎症性マクロファージ、肝クッパー細胞、脳ミクログリア細胞などの様々な形態に変化するため、血液のみならず、これらを含む組織も本発明の臨床検体として用いることができる。 例えば、腎炎が疑われる患者より腎生検により腎組織を採取し、トリプシン等の酵素を用いることにより細胞を剥離して該組織中に存在する食細胞を得、得られた食細胞を用いることによって、腎炎の原因微生物を検出および同定することができる。
この方法を様々なセプシスが疑われた患者血液の診断に実際に応用したところ、投与された抗菌薬の影響を受けることなく、血液培養法に比べて約4倍の感度で起因菌を検出することができ、検出菌株の一致率は良好であることが明らかになっている。 そして、血液培養では検査に3日以上14日程度を要するのに比較して、本発明の方法では全操作完了までに約8時間と極めて短時間の内に、簡便な操作によって正確な結果を得ることができるので、特に、敗血症または菌血症など、速やかな善処が必要とされる感染症の診断や予後診断のモニター等において有用マーカーとなり得る。
本発明の一実施態様によれば、外来微生物貪食済み食細胞を使用することを特徴とする性能試験が提供されるが、その試験としては、食細胞機能の評価用キットの感度試験、特異性試験または再現性試験などが挙げられる。 これらの試験で、外来微生物貪食済み食細胞を陽性コントロールとして使用することができる。 Staphylococcus aureusに対する性能試験に貪食サンプルを用いる場合には、特に、感度試験においては、Staphylococcus aureus貪食サンプルを用いて本明細書に記載したin situハイブリダイゼーションの方法に従って試験を行うときに、シグナルを検出できると規定すればよい。 また、特異性試験を行う場合には、各種細菌貪食サンプルを用い、本明細書に記載したin situハイブリダイゼーションの方法に従って試験を行うとき、Staphylcoccus aureusにのみシグナルを検出できると規定すればよい。 また、再現性試験を行う場合には、特異性試験を同時に3回繰り返し試験するとき、得られる結果は同一であると規定すればよい。 他の細菌、例えば、Staphylococcus epidermidis、Pseudomonas aeruginosa、Enterococcus faecalis、Escherichia coli、Enterobactor cloacae、Klebsiella pneumoniaeについても、上記性能試験を参考にして規定すればよい。
また、上記した感度試験、特異性試験および再現性試験などの性能試験において陽性コントロールとして貪食サンプルを用いる場合には、貪食サンプルの規格及び試験方法、すなわち、各細菌貪食サンプルのスライドグラスに塗抹固定する細胞数は、約5.0×104〜約2.5×105個/ウェル、U937細胞の細胞数を、約5.0×104〜約1.0×105個/ウェルとするのが好ましい。
さらにまた、貪食率の測定は、スライドグラスに塗抹固定した細菌貪食サンプルをアクリジンオレンジ染色液で染色し、蛍光顕微鏡(×1,000)で無作為に細胞約200個を計測すると、図6に示すような、貪食細胞に特異的な形態を観察することができる。 従って、計測した細胞の中で、細胞内に細菌を貪食している細胞を陽性細胞とし、貪食率(%)を算出する。
外来微生物に対する貪食機能の評価方法は、in situハイブリダーゼーションを行うことにより得られるシグナルのみならず、例えば、上記貪食率を用いて算出することによって評価しても良い。 ゆえに、これらin situハイブリダーゼーション法および染色による形態観察に基づいて食細胞機能の評価方法を実施することができ、かかる評価方法は、生体の免疫機能の評価方法、食細胞への分化効率の評価方法、食細胞機能に対するモジュレーターの評価方法、スクリーニング方法、薬剤投与計画を検討する臨床検査方法にも利用できる。
免疫機能として好適なものに、白血球の生菌貪食能、特に、放射線照射または制癌剤投与後の患者の白血球の生菌貪食能が挙げられ、例えば、癌治療における化学療法剤等の投与に伴って低下する免疫力の増強や、臓器移植の際の拒絶反応抑制など、食細胞の機能を亢進あるいは拮抗させることを意図して特定の薬剤を投与した場合に、実際に体内でその薬剤が有効に作用しているかどうかをこの方法によって確認でき、従って、薬剤選択や投与量に対する有用な指針を提供することが可能となる。
さらに本発明の方法は、菌血症の分野における菌と食細胞との相互作用についての、基礎および臨床研究に寄与するという効果を奏するものであり、食細胞機能のモジュレーターの有効性確認や食細胞機能に対しモジュレーター作用を有する新規物質のスクリーニングにも使用することができる。 この方法においてもやはり、如上の食細胞機能の評価方法を利用するので、従来法よりも高い信頼性をもって、アゴニストまたはアンタゴニスト等のモジュレーターによる、被験者に対する実質的な効果を見極めることができる。 そして、有効性、副作用等の点で大幅な個体差を生じることのあるモジュレーターによる特定の個体への効果が同定できるので、各患者に適合したオーダーメード的な治療指針を決定する助けとなり得る。 すなわち、被検者への薬剤投与前および投与後に被検者より食細胞を得、上記方法により当該食細胞の機能を評価し、その評価結果に基づいて判定される薬剤の効果から、薬剤投与計画を検討することを特徴とする臨床検査方法が提供される。
モジュレーターとしては、食細胞の分化を促進または抑制させる物質、食機能を促進または抑制させる物質など、直接的または間接的に食細胞に関与する物質であれば特に限定されない。 例えば、G-CSG、抗ガン剤、抗生物質、免疫機能賦活剤、白血球分化因子等が挙げられる。
以下に、本発明を実施例に沿って具体的に説明するが、これら実施例の開示によって本発明が限定的に解釈されるべきでないことは勿論である。
実施例1:採血・血液検体の処理
臨床検体として、敗血症が疑われた患者より採取した血液12検体(検体A〜L)を用いた。 各患者からヘパリン加静脈血10mlを採取し、これら血液と血液分離試薬(塩化ナトリウム225mg、デキストラン(分子量:200,000〜300,000)1.5g、滅菌精製水にて全量25mlに調製したもの)を4:1の割合で混和した後、37℃で、30分間静置することにより、白血球画分(上層)を取得した。 この白血球画分を、4℃にて160×gで10分間遠心分離することで、白血球を得た。 次に、得られた白血球のペレットに滅菌精製水1mlを加えて懸濁し、直ちに過剰量のPBS(塩化ナトリウム18.24g、リン酸一水素ナトリウム12水和物6.012g、リン酸二水素ナトリウム2水和物1.123g、滅菌精製水にて全量120mlにしたもの(PBS原液)を、滅菌精製水にて20倍に希釈したもの)を加えて等張化した後、再度4℃で、160×gで10分間遠心分離した。
臨床検体として、敗血症が疑われた患者より採取した血液12検体(検体A〜L)を用いた。 各患者からヘパリン加静脈血10mlを採取し、これら血液と血液分離試薬(塩化ナトリウム225mg、デキストラン(分子量:200,000〜300,000)1.5g、滅菌精製水にて全量25mlに調製したもの)を4:1の割合で混和した後、37℃で、30分間静置することにより、白血球画分(上層)を取得した。 この白血球画分を、4℃にて160×gで10分間遠心分離することで、白血球を得た。 次に、得られた白血球のペレットに滅菌精製水1mlを加えて懸濁し、直ちに過剰量のPBS(塩化ナトリウム18.24g、リン酸一水素ナトリウム12水和物6.012g、リン酸二水素ナトリウム2水和物1.123g、滅菌精製水にて全量120mlにしたもの(PBS原液)を、滅菌精製水にて20倍に希釈したもの)を加えて等張化した後、再度4℃で、160×gで10分間遠心分離した。
実施例2:白血球の固定
3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS、SIGMA社)がスライドグラス(日本エアーブラウン社製、商品番号MS311BL)にコートされたAPSコートスライドグラスを使用した。 APSコートスライドグラスの作製は、まず、スライドホルダーにスライドグラス(商品番号MS311BL)を固定した後、希釈した中性洗剤で30分以上浸すことにより洗浄し、水道水で洗剤を十分に取り除き、次に、スライドグラスを精製水にて洗浄し、高温(100℃以上)で十分に乾燥させた後、室温で放置冷却した。 その後、このスライドグラスを2%APS含有アセトンに1分間浸し、直ちにアセトン及び滅菌精製水で順次軽く洗浄した後、風乾した。 さらに、再度、スライドグラスを2%APS含有アセトンに1分間浸し、直ちにアセトン及び滅菌精製水で、順次軽く洗浄した後、風乾する操作を行った後、42℃で乾燥させることにより作製した。 白血球画分を、4℃にて、160×gで10分間遠心分離して得た白血球ペレットに、少量のPBSを加えて懸濁し、血球計算盤を用いて白血球数を計測する。
3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APS、SIGMA社)がスライドグラス(日本エアーブラウン社製、商品番号MS311BL)にコートされたAPSコートスライドグラスを使用した。 APSコートスライドグラスの作製は、まず、スライドホルダーにスライドグラス(商品番号MS311BL)を固定した後、希釈した中性洗剤で30分以上浸すことにより洗浄し、水道水で洗剤を十分に取り除き、次に、スライドグラスを精製水にて洗浄し、高温(100℃以上)で十分に乾燥させた後、室温で放置冷却した。 その後、このスライドグラスを2%APS含有アセトンに1分間浸し、直ちにアセトン及び滅菌精製水で順次軽く洗浄した後、風乾した。 さらに、再度、スライドグラスを2%APS含有アセトンに1分間浸し、直ちにアセトン及び滅菌精製水で、順次軽く洗浄した後、風乾する操作を行った後、42℃で乾燥させることにより作製した。 白血球画分を、4℃にて、160×gで10分間遠心分離して得た白血球ペレットに、少量のPBSを加えて懸濁し、血球計算盤を用いて白血球数を計測する。
細胞数が1×105個/ウェルとなるようにPBSで調製した白血球懸濁液5μlを、APSコートスライドグラスの各ウェルに白血球が単層に広がるように塗抹し、完全に風乾することにより、白血球をAPSコートスライドグラスに支持させた。 その後、カルノア固定液(エタノール:クロロホルム:酢酸=6:3:1の容量比で混合した液)に20分間浸した後、75%エタノール液に5分間浸し、完全に風乾させた。
実施例3:白血球細胞膜の透過性亢進処理
PBSに10分間浸し、その後、酵素前処理試薬(サポニン1.25g、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(比重1.068〜1.075(20/4℃)、pH(5w/v%)5.5〜7.5)1.25ml、PBS原液25mlを混合し、滅菌精製水にて全量50mlに調製したもの)を滅菌精製水で10倍に希釈した溶液に浸し、振とう機で10分間浸透させた。
PBSに10分間浸し、その後、酵素前処理試薬(サポニン1.25g、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(比重1.068〜1.075(20/4℃)、pH(5w/v%)5.5〜7.5)1.25ml、PBS原液25mlを混合し、滅菌精製水にて全量50mlに調製したもの)を滅菌精製水で10倍に希釈した溶液に浸し、振とう機で10分間浸透させた。
実施例4:菌体壁の溶菌酵素処理
感染症原因菌のDNAを露出させるため、スライドグラス1枚につき酵素試薬(N-アセチルムラミダーゼ1,000単位/ml、リゾチーム100,000単位/mlおよび/またはリゾスタフィン100単位/ml)に酵素試薬溶解液(PBSで0.1mol/lフェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF)含有ジメチルスルフォキシド(DMSO)を100倍希釈して製したもの)を1ml加えて酵素試液を調製した後、37℃〜42℃の湿潤箱内で、酵素試液1mlを白血球塗抹部位に滴下し、30分間静置した。 その後、0.2mol/l 塩酸含有PBS(PBS原液に塩酸を加え、滅菌精製水にて20倍希釈し、塩酸の終濃度を0.2mol/lに調製したもの)に浸し、そのまま振とう機上で、10分間浸透させた。
感染症原因菌のDNAを露出させるため、スライドグラス1枚につき酵素試薬(N-アセチルムラミダーゼ1,000単位/ml、リゾチーム100,000単位/mlおよび/またはリゾスタフィン100単位/ml)に酵素試薬溶解液(PBSで0.1mol/lフェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF)含有ジメチルスルフォキシド(DMSO)を100倍希釈して製したもの)を1ml加えて酵素試液を調製した後、37℃〜42℃の湿潤箱内で、酵素試液1mlを白血球塗抹部位に滴下し、30分間静置した。 その後、0.2mol/l 塩酸含有PBS(PBS原液に塩酸を加え、滅菌精製水にて20倍希釈し、塩酸の終濃度を0.2mol/lに調製したもの)に浸し、そのまま振とう機上で、10分間浸透させた。
実施例5:細胞膜タンパク質のアセチル化
アセチル化試薬(トリエタノールアミン7.46g、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlとしたもの)に無水酢酸を加え、滅菌精製水で10倍希釈し、無水酢酸の終濃度を0.8%に調製したアセチレーション試薬にスライドグラスを浸し、振とう機上で10分間振とうすることにより行った。 その後、75%、85%、98%エタノールに、順次、3分間ずつ浸し、完全に風乾させた。
アセチル化試薬(トリエタノールアミン7.46g、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlとしたもの)に無水酢酸を加え、滅菌精製水で10倍希釈し、無水酢酸の終濃度を0.8%に調製したアセチレーション試薬にスライドグラスを浸し、振とう機上で10分間振とうすることにより行った。 その後、75%、85%、98%エタノールに、順次、3分間ずつ浸し、完全に風乾させた。
実施例6:菌体DNAのアルカリ処理(二本鎖DNAを一本鎖に変性)
スライドグラスを、70mmol/l 水酸化ナトリウム含有PBS(PBS原液に水酸化ナトリウムを加え、滅菌精製水で20倍希釈し、水酸化ナトリウムの終濃度を70mmol/lに調製したもの)に3分間浸すことにより行った。 その後、75%、85%、98%エタノールに、順次、3分間ずつ浸し、完全に風乾させた。
スライドグラスを、70mmol/l 水酸化ナトリウム含有PBS(PBS原液に水酸化ナトリウムを加え、滅菌精製水で20倍希釈し、水酸化ナトリウムの終濃度を70mmol/lに調製したもの)に3分間浸すことにより行った。 その後、75%、85%、98%エタノールに、順次、3分間ずつ浸し、完全に風乾させた。
実施例7:ハイブリダイゼーション
プローブ希釈液(0.25%SDS、サケ精子DNA 600μl、100×デンハート溶液50μl、ハイブリダイゼーション原液500μl、ホルムアミド2250μl、50%硫酸デキストラン1000μlが含まれる)で調製したジゴキシゲニン標識DNAプローブ15ngを含有する液(プローブ液;1.0ng/μl)を塗抹部位に塗布し、37℃〜42℃の湿潤箱中で2時間静置させた。 SDS無添加のプローブ液を対照とした。 ジゴキシゲニン標識DNAプローブは、ニックトランスレーション法にて作製した。 その後、ハイブリダイゼーション洗浄液(ハイブリダイゼーション原液(塩化ナトリウム13.15g、クエン酸三ナトリウム2水和物6.615g、滅菌精製水にて全量75mlに調製したもの)を、ハイブリダイゼーション原液:滅菌精製水:ホルムアミド=5:45:50の割合で混合して調製したもの)を3つの染色ビンに用意し、順次、42℃で10分間ずつ浸した。 その後、PBSに浸して、そのまま振とう機上で10分間振とうさせた。 ジゴキシゲニン標識DNAプローブとして、Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisに対するプローブとして、SA-24(配列番号:1)、SA-36(配列番号:2)およびSA-77(配列番号:3)ならびにSE-22(配列番号:4)、SE-3(配列番号:5)およびSE-32(配列番号:6)(特許第2798499号参照)の各プローブを利用した。 また、Pseudomonas aeruginosaに対するプローブとして、P2-2(配列番号:7)(特許第2965544号参照)のプローブを利用した。 また、Enterococcus faecalisに対するプローブとして、EF-1(配列番号:8)、EF-27(配列番号:9)およびEF-7(配列番号:10)(特許第2965543号参照)を利用した。 そして、Escherichia coli、Enterobacter cloacaeおよびKlebsiella pneumoniaeに対するプローブとして、EC-24(配列番号:11)、EC-34(配列番号:12)およびEC-39(配列番号:13)ならびにET-49(配列番号:14)およびKI-50(配列番号:15)(特許第3026789号参照)を利用した。 さらに、Candida albicansに対するプローブとして、CA-26(配列番号:16)、CA-26-1(配列番号:17)、CA-26-2(配列番号:18)およびCA-26-3(配列番号:19)(特許第2558420号参照)を利用した。 これらプローブの配列を用いて、ニックトランスレーション法によりプローブの作製を行った。
プローブ希釈液(0.25%SDS、サケ精子DNA 600μl、100×デンハート溶液50μl、ハイブリダイゼーション原液500μl、ホルムアミド2250μl、50%硫酸デキストラン1000μlが含まれる)で調製したジゴキシゲニン標識DNAプローブ15ngを含有する液(プローブ液;1.0ng/μl)を塗抹部位に塗布し、37℃〜42℃の湿潤箱中で2時間静置させた。 SDS無添加のプローブ液を対照とした。 ジゴキシゲニン標識DNAプローブは、ニックトランスレーション法にて作製した。 その後、ハイブリダイゼーション洗浄液(ハイブリダイゼーション原液(塩化ナトリウム13.15g、クエン酸三ナトリウム2水和物6.615g、滅菌精製水にて全量75mlに調製したもの)を、ハイブリダイゼーション原液:滅菌精製水:ホルムアミド=5:45:50の割合で混合して調製したもの)を3つの染色ビンに用意し、順次、42℃で10分間ずつ浸した。 その後、PBSに浸して、そのまま振とう機上で10分間振とうさせた。 ジゴキシゲニン標識DNAプローブとして、Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisに対するプローブとして、SA-24(配列番号:1)、SA-36(配列番号:2)およびSA-77(配列番号:3)ならびにSE-22(配列番号:4)、SE-3(配列番号:5)およびSE-32(配列番号:6)(特許第2798499号参照)の各プローブを利用した。 また、Pseudomonas aeruginosaに対するプローブとして、P2-2(配列番号:7)(特許第2965544号参照)のプローブを利用した。 また、Enterococcus faecalisに対するプローブとして、EF-1(配列番号:8)、EF-27(配列番号:9)およびEF-7(配列番号:10)(特許第2965543号参照)を利用した。 そして、Escherichia coli、Enterobacter cloacaeおよびKlebsiella pneumoniaeに対するプローブとして、EC-24(配列番号:11)、EC-34(配列番号:12)およびEC-39(配列番号:13)ならびにET-49(配列番号:14)およびKI-50(配列番号:15)(特許第3026789号参照)を利用した。 さらに、Candida albicansに対するプローブとして、CA-26(配列番号:16)、CA-26-1(配列番号:17)、CA-26-2(配列番号:18)およびCA-26-3(配列番号:19)(特許第2558420号参照)を利用した。 これらプローブの配列を用いて、ニックトランスレーション法によりプローブの作製を行った。
実施例8:ブロッキング
In situハイブリダイゼーションを行った後、ブロッキングの操作を行った。 湿潤箱内でスライドグラス1枚につきブロッキング試薬(ウサギ正常血清2ml、PBS原液0.5ml、滅菌精製水にて全量10mlに調製したもの)1mlを塗抹部位に滴下し、30分間静置した。 その後、ブロッキング試薬を除去した。
In situハイブリダイゼーションを行った後、ブロッキングの操作を行った。 湿潤箱内でスライドグラス1枚につきブロッキング試薬(ウサギ正常血清2ml、PBS原液0.5ml、滅菌精製水にて全量10mlに調製したもの)1mlを塗抹部位に滴下し、30分間静置した。 その後、ブロッキング試薬を除去した。
実施例9:標識抗体との反応
標識抗体(アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液1.05単位、バッファーA(トリエタノールアミン746mg、塩化ナトリウム17.5mg、塩化マグネシウム6水和物20.3mg、塩化亜鉛1.36mg、ウシ血清アルブミン1000mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量100mlに調製したもの)12.6μlにて全量を14μlに調製したもの)を標識抗体希釈液(トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン8.48mg、塩化ナトリウム6.14mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量0.7mlに調製したもの)で50倍希釈した標識抗体液を調製し、この標識抗体液を塗抹部位に10μlずつ滴下し、30分間静置させた。 その後、標識抗体洗浄液(ポリソルベート20 1ml、PBS原液50ml、滅菌精製水にて全量100mlに調製したもの)を10倍に希釈した溶液に浸して、そのまま振とう機上で10分間浸透させた。 この操作を2回繰り返した後、発色前処理液1(トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン6.06g、塩化ナトリウム2.92g、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)と発色前処理液2(塩化マグネシウム6水和物5.08g、滅菌精製水にて全量50mlに調製したもの)とを等量混合し、滅菌精製水で5倍に希釈した発色前処理液に浸し、そのまま振とう機上で10分間振とうさせた。
標識抗体(アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体溶液1.05単位、バッファーA(トリエタノールアミン746mg、塩化ナトリウム17.5mg、塩化マグネシウム6水和物20.3mg、塩化亜鉛1.36mg、ウシ血清アルブミン1000mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量100mlに調製したもの)12.6μlにて全量を14μlに調製したもの)を標識抗体希釈液(トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン8.48mg、塩化ナトリウム6.14mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量0.7mlに調製したもの)で50倍希釈した標識抗体液を調製し、この標識抗体液を塗抹部位に10μlずつ滴下し、30分間静置させた。 その後、標識抗体洗浄液(ポリソルベート20 1ml、PBS原液50ml、滅菌精製水にて全量100mlに調製したもの)を10倍に希釈した溶液に浸して、そのまま振とう機上で10分間浸透させた。 この操作を2回繰り返した後、発色前処理液1(トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン6.06g、塩化ナトリウム2.92g、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)と発色前処理液2(塩化マグネシウム6水和物5.08g、滅菌精製水にて全量50mlに調製したもの)とを等量混合し、滅菌精製水で5倍に希釈した発色前処理液に浸し、そのまま振とう機上で10分間振とうさせた。
実施例10:検 出
スライドグラス1枚につき発色試薬(ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)/5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルフォスフェイト(BCIP)溶液、pH 9.0〜10.0:NBT 3.3mg、BCIP 1.65mg、N,N-ジメチルホルムアミド99μg、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン121mg、塩酸適量、塩化ナトリウム58.4mg、塩化マグネシウム6水和物101.6mg、滅菌精製水適量にて全量10mlに調製したもの)1mlを、0.2μmシリンジトップフィルターを装着したディスポーザブルシリンジを用いてろ過しながら、スライドグラスの塗抹部位に滴下し、湿潤箱内で、37℃、30分間遮光静置した。 その後、発色試薬洗浄液(トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン606mg、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム2水和物186mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)を10倍に希釈した溶液に5分間浸し、風乾した後、対比染色液(ファストグリーンFCF(食用緑色3号)50mg、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)を10倍に希釈した溶液および1%酢酸溶液に浸した。 その後、前記発色試薬洗浄液を10倍に希釈した溶液に再度浸して余分の前記対比染色液を洗い流し、完全に風乾させた。
スライドグラス1枚につき発色試薬(ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)/5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルフォスフェイト(BCIP)溶液、pH 9.0〜10.0:NBT 3.3mg、BCIP 1.65mg、N,N-ジメチルホルムアミド99μg、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン121mg、塩酸適量、塩化ナトリウム58.4mg、塩化マグネシウム6水和物101.6mg、滅菌精製水適量にて全量10mlに調製したもの)1mlを、0.2μmシリンジトップフィルターを装着したディスポーザブルシリンジを用いてろ過しながら、スライドグラスの塗抹部位に滴下し、湿潤箱内で、37℃、30分間遮光静置した。 その後、発色試薬洗浄液(トリス-(ヒドロキシメチル)-アミノメタン606mg、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム2水和物186mg、塩酸適量、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)を10倍に希釈した溶液に5分間浸し、風乾した後、対比染色液(ファストグリーンFCF(食用緑色3号)50mg、滅菌精製水適量にて全量50mlに調製したもの)を10倍に希釈した溶液および1%酢酸溶液に浸した。 その後、前記発色試薬洗浄液を10倍に希釈した溶液に再度浸して余分の前記対比染色液を洗い流し、完全に風乾させた。
実施例11:判 定
判定は、光学顕微鏡で鏡検(×1,000)するとき、単一ウェル内で対比染色液によって染まった細胞に於いて、青紫色の発色シグナルが1つでも認められた場合に陽性と判定した。 その結果、本発明の方法により、12検体中5検体で菌を検出した。 5検体の内訳は、検体A-SA(Staphylococcus aureus)、検体FおよびG-SE(Staphylococcus epidermidis)、検体J-SEおよびEF(Enterococcus faecalis)、検体L-SAおよびCA(Candida albicans)であった。 なお、同じ検体を用いて、公知の方法に従い血液培養を行ったところ、検体AはSAを検出し同一の結果を示したが、検体F、G、JおよびLは菌を検出することができなかった。 従って、本発明の方法が、血液培養と比較して、迅速に感度よく検出できることが判明した。
判定は、光学顕微鏡で鏡検(×1,000)するとき、単一ウェル内で対比染色液によって染まった細胞に於いて、青紫色の発色シグナルが1つでも認められた場合に陽性と判定した。 その結果、本発明の方法により、12検体中5検体で菌を検出した。 5検体の内訳は、検体A-SA(Staphylococcus aureus)、検体FおよびG-SE(Staphylococcus epidermidis)、検体J-SEおよびEF(Enterococcus faecalis)、検体L-SAおよびCA(Candida albicans)であった。 なお、同じ検体を用いて、公知の方法に従い血液培養を行ったところ、検体AはSAを検出し同一の結果を示したが、検体F、G、JおよびLは菌を検出することができなかった。 従って、本発明の方法が、血液培養と比較して、迅速に感度よく検出できることが判明した。
検体A-SAにおける結果に関し、プローブ希釈液へのSDSの添加の効果を、図1に示した。 図1から、SDSを0.25%添加することで、シグナルの検出感度が格段に高められることが明らかである。 その他の検体についても同様に、SDSを添加することで良好なシグナル検出が可能となった。 なお、本実施例において使用したプローブは、SA-24(配列番号:1)、SA-36(配列番号:2)およびSA-77(配列番号:3)の塩基配列を組み合わせて用い、ニックトランスレーションによって作製したプローブである。
実施例12:塗抹固定する至適白血球数の検討
APSコートスライドグラスのウェル(直径5mmの円形ウェル)に塗抹する至適白血球数を検討した。 ヘパリン加健常ヒト血液10mlを採取し、実施例1に記載の手順に従って白血球を採取した。 次に、得られた白血球を適量のPBSで懸濁した後、血球計算盤を用いて1ml当たりの白血球数を測定し、(a)1×108個/mlを始点として、(b)5×107個/ml、(c)1×107個/ml、(d)5×106個/ml、(e)1×106個/ml、(f)5×105個/mlおよび(g)1×105個/mlの希釈系列を作成した後、各々5μlをスライドグラスに塗抹した。 風乾後、カルノア固定(実施例2参照)を行い、直ちに前記対比染色液で染色し、実施例11に記載した方法を用いて判定した。 その結果、細胞数が1×108個/mlでは細胞数が過剰であり、検出不適であった。 また、5×106個/ml以下では、ウェルに観察される細胞数が少なく、検出不適であった。 よって、固定化する食細胞の密度(x個/ml)としては、約5×106個/ml<x個/ml<約1×108個/ml、とりわけ、約1×107個/ml≦x個/ml≦約5×107個/mlが好ましい。 また、それに対応して、APSコートスライドグラスに固定される1ウェル当たりの白血球の細胞数(y個/ウェル(直径5mm))は、約2.5×104個/ウェル<y個/ウェル(直径5mm)<約5×105個/ウェル、好ましくは、約5×104個/ウェル≦y個/ウェル(直径5mm)≦約2.5×105個/ウェルとなるように調製するのが良いことが判明した。 試料(a)〜(f)に関する実験結果を、図2(a)〜(f)にそれぞれ示した。
APSコートスライドグラスのウェル(直径5mmの円形ウェル)に塗抹する至適白血球数を検討した。 ヘパリン加健常ヒト血液10mlを採取し、実施例1に記載の手順に従って白血球を採取した。 次に、得られた白血球を適量のPBSで懸濁した後、血球計算盤を用いて1ml当たりの白血球数を測定し、(a)1×108個/mlを始点として、(b)5×107個/ml、(c)1×107個/ml、(d)5×106個/ml、(e)1×106個/ml、(f)5×105個/mlおよび(g)1×105個/mlの希釈系列を作成した後、各々5μlをスライドグラスに塗抹した。 風乾後、カルノア固定(実施例2参照)を行い、直ちに前記対比染色液で染色し、実施例11に記載した方法を用いて判定した。 その結果、細胞数が1×108個/mlでは細胞数が過剰であり、検出不適であった。 また、5×106個/ml以下では、ウェルに観察される細胞数が少なく、検出不適であった。 よって、固定化する食細胞の密度(x個/ml)としては、約5×106個/ml<x個/ml<約1×108個/ml、とりわけ、約1×107個/ml≦x個/ml≦約5×107個/mlが好ましい。 また、それに対応して、APSコートスライドグラスに固定される1ウェル当たりの白血球の細胞数(y個/ウェル(直径5mm))は、約2.5×104個/ウェル<y個/ウェル(直径5mm)<約5×105個/ウェル、好ましくは、約5×104個/ウェル≦y個/ウェル(直径5mm)≦約2.5×105個/ウェルとなるように調製するのが良いことが判明した。 試料(a)〜(f)に関する実験結果を、図2(a)〜(f)にそれぞれ示した。
実施例13:使用溶菌酵素の選択
Staphylococcus aureus(ATCC 12600)、Staphylococcus epidermidis(ATCC 14990)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC 10145)、Enterococcus faecalis(ATCC 19433)、Escherichia coli(ATCC 11775)を溶菌する酵素条件を検討した。 Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisでは、溶菌酵素としてリゾスタフィン(Bur. J. Biochem., 38, 293-300, 1973)を使用した。 Enterococcus faecalisには、N-アセチルムラミダーゼ(Archs. Oral Biol., 23, 543-549, 1978)、リゾチーム(生化学工業)を使用した。 また、Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliについては、70mmol/lの水酸化ナトリウム含有PBSを使用した。 これら各種細菌を5mlのBHI(ブレインハートインフュージョン)液体培地(DIFCO社製)に植菌し、37℃で8時間以上培養した。 培養した菌液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。 集めた菌をPBSで懸濁して試料とした。 溶菌はマイクロプレートリーダーを用い、吸光度600nmにおける菌液の濁度の減少により評価した。 その結果、Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisは、リゾスタフィンにより溶菌した。 Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliについては、70mmol/lの水酸化ナトリウム含有PBSで溶菌したため、酵素処理は必要としなかった。 また、Enterococcus faecalisについては、N-アセチルムラミダーゼ単独よりもリゾチームと併用した方が優れた溶菌活性が得られることが判明した。 また、貪食作用を受けて取り込まれた菌が、例えば、Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliなどである場合には、アルカリ処理に際して菌の細胞壁が溶解され、遺伝子が露出した状態となるので、必ずしもこの酵素処理を行う必要はない。 本発明において外来微生物を溶解するために使用される前処理用の各酵素は、前述した細菌株に対して有効であるのみならず、他のスタフィロコッカス(Staphylococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、バシルス(Bacillus)属およびミクロコッカス(Micrococcus)属を初めとする他の菌種等でも有効である。 また、かような酵素は、各々単独で用いることもできるが、混合した場合の方が有効である。 それら結果を、図3、具体的には、(a) Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidis、(b) Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coli、ならびに(c) Enterococcus faecalisについて示した。
Staphylococcus aureus(ATCC 12600)、Staphylococcus epidermidis(ATCC 14990)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC 10145)、Enterococcus faecalis(ATCC 19433)、Escherichia coli(ATCC 11775)を溶菌する酵素条件を検討した。 Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisでは、溶菌酵素としてリゾスタフィン(Bur. J. Biochem., 38, 293-300, 1973)を使用した。 Enterococcus faecalisには、N-アセチルムラミダーゼ(Archs. Oral Biol., 23, 543-549, 1978)、リゾチーム(生化学工業)を使用した。 また、Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliについては、70mmol/lの水酸化ナトリウム含有PBSを使用した。 これら各種細菌を5mlのBHI(ブレインハートインフュージョン)液体培地(DIFCO社製)に植菌し、37℃で8時間以上培養した。 培養した菌液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。 集めた菌をPBSで懸濁して試料とした。 溶菌はマイクロプレートリーダーを用い、吸光度600nmにおける菌液の濁度の減少により評価した。 その結果、Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisは、リゾスタフィンにより溶菌した。 Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliについては、70mmol/lの水酸化ナトリウム含有PBSで溶菌したため、酵素処理は必要としなかった。 また、Enterococcus faecalisについては、N-アセチルムラミダーゼ単独よりもリゾチームと併用した方が優れた溶菌活性が得られることが判明した。 また、貪食作用を受けて取り込まれた菌が、例えば、Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliなどである場合には、アルカリ処理に際して菌の細胞壁が溶解され、遺伝子が露出した状態となるので、必ずしもこの酵素処理を行う必要はない。 本発明において外来微生物を溶解するために使用される前処理用の各酵素は、前述した細菌株に対して有効であるのみならず、他のスタフィロコッカス(Staphylococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、バシルス(Bacillus)属およびミクロコッカス(Micrococcus)属を初めとする他の菌種等でも有効である。 また、かような酵素は、各々単独で用いることもできるが、混合した場合の方が有効である。 それら結果を、図3、具体的には、(a) Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidis、(b) Pseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coli、ならびに(c) Enterococcus faecalisについて示した。
実施例14:酵素溶解液に関する検討(DMSOの至適濃度の検討)
酵素試薬に含有されるプロテアーゼは、白血球の形態を劣化させることから、白血球の形態を保持させるために添加するPMSFの溶解剤であるDMSOの酵素活性に及ぼす影響を検討した。 Enterococcus faecalisを、50mlの前記BHI液体培地に植菌し、37℃で、8時間以上培養した。 この培養液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌し、PBSで懸濁した後、オートクレーブ(120℃、10分)により熱処理を行った。 次に、4℃、2,000×gで10分間遠心分離し、上清を捨て、1mlのPBSで沈渣を懸濁させた後、凍結乾燥させた。
酵素試薬に含有されるプロテアーゼは、白血球の形態を劣化させることから、白血球の形態を保持させるために添加するPMSFの溶解剤であるDMSOの酵素活性に及ぼす影響を検討した。 Enterococcus faecalisを、50mlの前記BHI液体培地に植菌し、37℃で、8時間以上培養した。 この培養液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌し、PBSで懸濁した後、オートクレーブ(120℃、10分)により熱処理を行った。 次に、4℃、2,000×gで10分間遠心分離し、上清を捨て、1mlのPBSで沈渣を懸濁させた後、凍結乾燥させた。
この凍結乾燥試料を0〜10%DMSO含有5mmol/lトリス-塩酸(pH 6.0)、2mmol/l塩化マグネシウムで懸濁し、N-アセチルムラミダーゼに対する試料とした。 また、Micrococcus luteus (JCM1464)を、5mlのBHI液体培地(前出)に植菌し、37℃で8時間以上培養した。 培養した菌液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。
上清を捨て、菌のペレットをPBS 5mlで懸濁洗浄し、再度4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。 このようにして集めた菌を、0〜10%DMSO含有PBSで懸濁し、リゾチームに対する試料とした。 一方、Staphylococcus epidermidisをリゾチームの場合と同様に培養、集菌し、0〜10%DMSO含有PBSで懸濁し、リゾスタフィンに対する試料とした。 酵素活性は、マイクロプレートリーダーを用い、吸光度600nmにおける試料の濁度の減少により評価した。 ただし、本試験中それぞれの酵素力価は、(a) N-アセチルムラミダーゼ 300単位/ml、(b) リゾチーム 10,000単位/ml、(c) リゾスタフィン 50単位/mlとし、酵素活性に対するDMSOの影響を検討した。 それぞれの酵素活性を単位時間当たりにおける菌濁度(O.D.=600nm)の減少で評価した結果、DMSOは、N-アセチルムラミダーゼ活性に対しては殆ど影響を与えなかったが、リゾチームおよびリゾスタフィンに対しては、共に5%以上のDMSOで活性の低下が認められた。 また、2%以下のDMSOの濃度では、酵素活性の低下は認められなかった。 ゆえに、PMSFを溶解させるDMSO濃度は少なくとも5%未満、好ましくは2%以下、さらには1%程度とするのが好ましい。 その結果を、図4(a)〜(c)および下記表3に示した。
実施例15:酵素溶解液に関する検討(PMSFの至適濃度の検討)
酵素試薬に含有されるプロテアーゼは白血球の形態を劣化させることから、白血球の形態を保持させるために添加するPMSF(PIERCE社製)の効果を検討した。100μlのDMSO(和光純薬社製)にPMSFを溶解し、PMSFの終濃度が無添加(0mmol/l)〜1mmol/lとなるようにPBSで10mlに希釈した。 この溶液に、プロテアーゼの力価が0.2単位/mlとなるよう、プロテイネースK(ベーリンガーマンハイム社製)を添加した。 ヘパリン加健常ヒト血液5mlを採取し、実施例1に記載の方法に従って白血球を採取した。 次に、白血球を適当量のPBSで懸濁して、血球計算盤で細胞数を計測し、細胞数を、約5×104個/ウェル〜約2.5×105個/ウェルに調製し、その5μlをAPSコートスライドグラスのウェルに塗抹し、風乾後、実施例2に記載のカルノア固定の方法に従って固定した。 このサンプルを用いて、実施例3〜11に記載の方法に従って試験を行った。 1μmol/l〜1mmol/lのPMSFの濃度で試験を実施した結果、10μmol/l以上の濃度で効果が認められ、0.1mmol/l以上のPMSF濃度では、白血球の形態の劣化が完全に抑制されていた。 その結果を、図5の(a) プロテアーゼ0.2単位/mlのみ、(b) PMSF 1μmol/ml添加、(c)PMSF 10μmol/ml添加、(d) PMSF 0.1mmol/ml添加、および(e) PMSF 1mmol/ml添加についてそれぞれ示した。
酵素試薬に含有されるプロテアーゼは白血球の形態を劣化させることから、白血球の形態を保持させるために添加するPMSF(PIERCE社製)の効果を検討した。100μlのDMSO(和光純薬社製)にPMSFを溶解し、PMSFの終濃度が無添加(0mmol/l)〜1mmol/lとなるようにPBSで10mlに希釈した。 この溶液に、プロテアーゼの力価が0.2単位/mlとなるよう、プロテイネースK(ベーリンガーマンハイム社製)を添加した。 ヘパリン加健常ヒト血液5mlを採取し、実施例1に記載の方法に従って白血球を採取した。 次に、白血球を適当量のPBSで懸濁して、血球計算盤で細胞数を計測し、細胞数を、約5×104個/ウェル〜約2.5×105個/ウェルに調製し、その5μlをAPSコートスライドグラスのウェルに塗抹し、風乾後、実施例2に記載のカルノア固定の方法に従って固定した。 このサンプルを用いて、実施例3〜11に記載の方法に従って試験を行った。 1μmol/l〜1mmol/lのPMSFの濃度で試験を実施した結果、10μmol/l以上の濃度で効果が認められ、0.1mmol/l以上のPMSF濃度では、白血球の形態の劣化が完全に抑制されていた。 その結果を、図5の(a) プロテアーゼ0.2単位/mlのみ、(b) PMSF 1μmol/ml添加、(c)PMSF 10μmol/ml添加、(d) PMSF 0.1mmol/ml添加、および(e) PMSF 1mmol/ml添加についてそれぞれ示した。
実施例16:溶菌酵素ザイモラーゼの至適力価の検討
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を溶菌してDNAを露出させるためのザイモラーゼの至適力価を検討した。 カンジダ・アルビカンスをYPD培地に植菌し、30℃で一昼夜培養した。 その後、基質としてカンジダ・アルビカンスをPBSで懸濁した溶液(基質1)、およびカルノア固定後、70%エタノールに浸し、風乾し、PBSにて懸濁した溶液(基質2)の2種類を調製した。 反応は、ザイモラーゼ/PBS:0.5ml、基質:1.5ml、M/15リン酸緩衝液:2.5ml、滅菌精製水:0.5mlにて全量5.0mlに調製したものを用いた。 その後、37℃で、2時間反応させ、そのOD800を測定した。 また、ザイモラーゼ(ザイモリエイス-100T)濃度は、0mg/ml、0.01mg/ml、0.025mg/ml、0.05mg/ml、0.1mg/ml、0.25mg/ml、0.5mg/ml、1mg/ml、2.5mg/ml、5mg/mlを用いた。 その結果、基質1を用いた場合のそれぞれのOD800値は、0.533、0.521、0.553、0.554、0.548、0.417、0.394、0.288、0.163、0.113であり、また、基質2を用いた場合のそれぞれのOD800値は、0.445、0.411、0.359、0.282、0.232、0.146、0.115、0.096、0.08、0.057であった。 基質1および基質2がともに、0.5mg/ml〜5mg/ml、特に、1mg/ml〜5mg/mlの範囲で有効であることが判明した。 すなわち、ザイモラーゼの使用量は、50単位/ml〜500単位/ml、特に100単位/ml〜500単位/mlであることが好ましい。
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を溶菌してDNAを露出させるためのザイモラーゼの至適力価を検討した。 カンジダ・アルビカンスをYPD培地に植菌し、30℃で一昼夜培養した。 その後、基質としてカンジダ・アルビカンスをPBSで懸濁した溶液(基質1)、およびカルノア固定後、70%エタノールに浸し、風乾し、PBSにて懸濁した溶液(基質2)の2種類を調製した。 反応は、ザイモラーゼ/PBS:0.5ml、基質:1.5ml、M/15リン酸緩衝液:2.5ml、滅菌精製水:0.5mlにて全量5.0mlに調製したものを用いた。 その後、37℃で、2時間反応させ、そのOD800を測定した。 また、ザイモラーゼ(ザイモリエイス-100T)濃度は、0mg/ml、0.01mg/ml、0.025mg/ml、0.05mg/ml、0.1mg/ml、0.25mg/ml、0.5mg/ml、1mg/ml、2.5mg/ml、5mg/mlを用いた。 その結果、基質1を用いた場合のそれぞれのOD800値は、0.533、0.521、0.553、0.554、0.548、0.417、0.394、0.288、0.163、0.113であり、また、基質2を用いた場合のそれぞれのOD800値は、0.445、0.411、0.359、0.282、0.232、0.146、0.115、0.096、0.08、0.057であった。 基質1および基質2がともに、0.5mg/ml〜5mg/ml、特に、1mg/ml〜5mg/mlの範囲で有効であることが判明した。 すなわち、ザイモラーゼの使用量は、50単位/ml〜500単位/ml、特に100単位/ml〜500単位/mlであることが好ましい。
実施例17:至適酵素処理条件(力価)の検討
(1) 貪食サンプルの作製
[1] U937細胞の調製
37℃、5%炭酸ガスインキュベーター内で、細胞培養フラスコ(175cm2)中のRPMI1640培地(25ml)でU937細胞(ヒト単球株化細胞、ATCC CRL-1593.2)を培養した。 次に、U937細胞培養液を50mlの遠沈管に入れ、4℃、220×gで10分間遠心分離し、U937細胞を回収した。 その後、回収したU937細胞をPBS200μlで懸濁し、血球計算盤で細胞数を計算し、細胞数を1×104個/μl〜2×104個/μlに調製した。
(1) 貪食サンプルの作製
[1] U937細胞の調製
37℃、5%炭酸ガスインキュベーター内で、細胞培養フラスコ(175cm2)中のRPMI1640培地(25ml)でU937細胞(ヒト単球株化細胞、ATCC CRL-1593.2)を培養した。 次に、U937細胞培養液を50mlの遠沈管に入れ、4℃、220×gで10分間遠心分離し、U937細胞を回収した。 その後、回収したU937細胞をPBS200μlで懸濁し、血球計算盤で細胞数を計算し、細胞数を1×104個/μl〜2×104個/μlに調製した。
[2] 細菌貪食サンプルの調製
Staphylococcus aureus (ATCC 12600)、Staphylococcus epidermidis (ATCC 14990)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC 10145)、Enterococcus faecalis (ATCC 19433)およびEscherichia coli (ATCC 11775) を、各々5mlのBHI培養液に植菌し、37℃で8時間以上培養した。 培養した菌液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。 上清を捨てた後、菌のペレットをPBS 5mlで懸濁し、再度、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。 集菌した菌をPBS5mlで懸濁した後、PBSにて希釈して吸光度計により菌液の濁度(O.D.=600nm)を、Staphylococcus aureus(0.01〜0.03)、Staphylococcus epidermidis(0.01〜0.03)、Pseudomonas aeruginosa(0.02〜0.03)、Enterococcus faecalis(0.01〜0.03)、Escherichia coli(0.02〜0.03)にそれぞれ調製したものを15ml作製した。 作製した菌液は、個別の175cm2の培養用フラスコに移し、30分間室温で静置した。 ヘパリン加健常ヒト血液50mlを採取し、血球分離試薬を4:1の割合で加え、37℃で30分間静置し、白血球画分を分取した。 分取した白血球画分をPBSで50mlにした。 培養用フラスコ(前出)の上清を静かに捨て、PBSで希釈した白血球画分を10mlずつフラスコに加え、室温で10分間静置した。 培養用フラスコ内の上清を捨て、フラスコの底に付着した白血球を0.02%EDTA含有PBS 10mlで15mlの遠沈管に回収し、4℃、140×g〜180×gで10分間遠心分離し、白血球を収集した。 収集した白血球中に赤血球の混入が認められたので、滅菌精製水1mlにて白血球の沈渣を穏やかに懸濁して溶血させた後、PBSを14ml加えて等張化を行い、再度4℃、140×g〜180×gで10分間遠心分離を行い、白血球を収集した。 収集した白血球をPBSで懸濁し、血球計算盤にて細胞数を計測し、1×104個/μl〜5×104個/μlに調製した。 この貪食サンプルを、それぞれSA貪食サンプル、SE貪食サンプル、PA貪食サンプル、EF貪食サンプル、EK貪食サンプルとした。
Staphylococcus aureus (ATCC 12600)、Staphylococcus epidermidis (ATCC 14990)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC 10145)、Enterococcus faecalis (ATCC 19433)およびEscherichia coli (ATCC 11775) を、各々5mlのBHI培養液に植菌し、37℃で8時間以上培養した。 培養した菌液を、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。 上清を捨てた後、菌のペレットをPBS 5mlで懸濁し、再度、4℃、2,000×gで10分間遠心分離して集菌した。 集菌した菌をPBS5mlで懸濁した後、PBSにて希釈して吸光度計により菌液の濁度(O.D.=600nm)を、Staphylococcus aureus(0.01〜0.03)、Staphylococcus epidermidis(0.01〜0.03)、Pseudomonas aeruginosa(0.02〜0.03)、Enterococcus faecalis(0.01〜0.03)、Escherichia coli(0.02〜0.03)にそれぞれ調製したものを15ml作製した。 作製した菌液は、個別の175cm2の培養用フラスコに移し、30分間室温で静置した。 ヘパリン加健常ヒト血液50mlを採取し、血球分離試薬を4:1の割合で加え、37℃で30分間静置し、白血球画分を分取した。 分取した白血球画分をPBSで50mlにした。 培養用フラスコ(前出)の上清を静かに捨て、PBSで希釈した白血球画分を10mlずつフラスコに加え、室温で10分間静置した。 培養用フラスコ内の上清を捨て、フラスコの底に付着した白血球を0.02%EDTA含有PBS 10mlで15mlの遠沈管に回収し、4℃、140×g〜180×gで10分間遠心分離し、白血球を収集した。 収集した白血球中に赤血球の混入が認められたので、滅菌精製水1mlにて白血球の沈渣を穏やかに懸濁して溶血させた後、PBSを14ml加えて等張化を行い、再度4℃、140×g〜180×gで10分間遠心分離を行い、白血球を収集した。 収集した白血球をPBSで懸濁し、血球計算盤にて細胞数を計測し、1×104個/μl〜5×104個/μlに調製した。 この貪食サンプルを、それぞれSA貪食サンプル、SE貪食サンプル、PA貪食サンプル、EF貪食サンプル、EK貪食サンプルとした。
[3] 塗抹固定
実施例17(1)[1]で調製したU937細胞と、実施例17(1)[2]で作製した各細菌貪食サンプルとをAPSコートスライドグラスの各ウェルに5μlずつ塗抹し、風乾させた。 次に、実施例2に記載のカルノア固定液に20分間浸した後、75%エタノールに5分間浸し、カルノア固定液を洗浄して風乾させた後、試験に使用するまで4℃で保存した(実施例2参照)。
実施例17(1)[1]で調製したU937細胞と、実施例17(1)[2]で作製した各細菌貪食サンプルとをAPSコートスライドグラスの各ウェルに5μlずつ塗抹し、風乾させた。 次に、実施例2に記載のカルノア固定液に20分間浸した後、75%エタノールに5分間浸し、カルノア固定液を洗浄して風乾させた後、試験に使用するまで4℃で保存した(実施例2参照)。
次いで、固定サンプルの前処理を、実施例3に従って行った。
(2) 貪食サンプルの規格及び試験方法
[1] 細 胞 数
各細菌貪食サンプルのスライドグラスに塗抹固定する細胞の数を、5.0×104〜2.5×105個/ウェルとし、また、U937細胞の細胞の数を5.0×104〜1.0×105個/ウェルとした。
[1] 細 胞 数
各細菌貪食サンプルのスライドグラスに塗抹固定する細胞の数を、5.0×104〜2.5×105個/ウェルとし、また、U937細胞の細胞の数を5.0×104〜1.0×105個/ウェルとした。
[2] 貪 食 率
スライドグラスに塗抹固定した細菌貪食サンプルを、アクリジンオレンジ染色液で染色し、蛍光顕微鏡(×1,000)で無作為に約200個の細胞を計測した。 計測した細胞の中で、細胞内に細菌を貪食している細胞(図6で矢印にて示す、貪食に特徴的な形態変化が認められた細胞)を陽性細胞とし、以下の数式に従ってその貪食率(%)を算出した。
スライドグラスに塗抹固定した細菌貪食サンプルを、アクリジンオレンジ染色液で染色し、蛍光顕微鏡(×1,000)で無作為に約200個の細胞を計測した。 計測した細胞の中で、細胞内に細菌を貪食している細胞(図6で矢印にて示す、貪食に特徴的な形態変化が認められた細胞)を陽性細胞とし、以下の数式に従ってその貪食率(%)を算出した。
この時に算出した各細菌貪食サンプルの貪食率(%)は、10%以上であった。
[3] 試験方法
実施例17(2)[1]および[2]で作成した貪食サンプルを検体とした。 使用したSA貪食サンプルの貪食率は23%であり、1.98×105個/ウェルであった。 SE貪食サンプルの貪食率は27%であり、1.74×105個/ウェルであった。 また、EF貪食サンプルの貪食率は34%であり、6.40×104個/ウェルであった。 各貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用いて、実施例3に記載の方法に従って、酵素前処理を行った。 次に、酵素前処理済みのスライドグラスを湿潤箱に置き、各種力価に調製した各酵素溶液1mlを検体塗抹部位に滴下して反応させた。 その後、0.2mol/l塩酸含有PBS、70%エタノールにそれぞれ10分間浸し、風乾させた。 このスライドグラスを、70mmol/l水酸化ナトリウム含有PBSに3分間、70%エタノールに10分間浸した後に風乾し、1%アクリジンオレンジ染色液で染色した。 その後、蛍光顕微鏡(×1,000)により評価した。 Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisは、リゾスタフィンで至適力価の検討を行った。 Enterococcus faecalisは、N-アセチルムラミダーゼとリゾチームの併用で至適力価を検討するため、N-アセチルムラミダーゼを100単位/mlに固定した場合のリゾチーム至適力価の検討と、リゾチームを10,000単位/mlに固定した場合のN-アセチルムラミダーゼ至適力価の検討を行った。 判定は、酵素処理により菌体が白血球中に確認されなくなるとき「適」とした。
実施例17(2)[1]および[2]で作成した貪食サンプルを検体とした。 使用したSA貪食サンプルの貪食率は23%であり、1.98×105個/ウェルであった。 SE貪食サンプルの貪食率は27%であり、1.74×105個/ウェルであった。 また、EF貪食サンプルの貪食率は34%であり、6.40×104個/ウェルであった。 各貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用いて、実施例3に記載の方法に従って、酵素前処理を行った。 次に、酵素前処理済みのスライドグラスを湿潤箱に置き、各種力価に調製した各酵素溶液1mlを検体塗抹部位に滴下して反応させた。 その後、0.2mol/l塩酸含有PBS、70%エタノールにそれぞれ10分間浸し、風乾させた。 このスライドグラスを、70mmol/l水酸化ナトリウム含有PBSに3分間、70%エタノールに10分間浸した後に風乾し、1%アクリジンオレンジ染色液で染色した。 その後、蛍光顕微鏡(×1,000)により評価した。 Staphylococcus aureusおよびStaphylococcus epidermidisは、リゾスタフィンで至適力価の検討を行った。 Enterococcus faecalisは、N-アセチルムラミダーゼとリゾチームの併用で至適力価を検討するため、N-アセチルムラミダーゼを100単位/mlに固定した場合のリゾチーム至適力価の検討と、リゾチームを10,000単位/mlに固定した場合のN-アセチルムラミダーゼ至適力価の検討を行った。 判定は、酵素処理により菌体が白血球中に確認されなくなるとき「適」とした。
[4] 結 果
Staphylococcus aureusの溶菌においては、表4に記載のように、リゾスタフィンの力価は1単位/mlで十分効果を示すが、Staphylococcus epidermidisの溶菌においては、10単位/ml以上のリゾスタフィン力価が必要であった。 ゆえに、リゾスタフィンの至適力価を、10単位/ml〜100単位/mlに設定した。 また、Enterococcus faecalisの溶菌においては、リゾチームの力価を10,000単位/mlで固定したとき、N-アセチルムラミダーゼ力価が10単位/ml以下では溶菌されなかった。 リゾチームについては、表5に記載の通り、N-アセチルムラミダーゼ力価を100単位/mlに固定したとき、リゾチーム力価が1,000単位/ml以下では溶菌されなかった。 ゆえに、N-アセチルムラミダーゼの至適力価は、100単位/ml〜1,000単位/ml、また、リゾチームの至適力価は、10,000単位/ml〜100,000単位/mlに設定した。 その結果を、図7に示すが、図中、(a)は酵素処理前のStaphylococcus aureusの貪食サンプル、(b)は処理前のEnterococcus faecalisの貪食サンプル、(c)はサンプル(a)を酵素処理した後、および(d)はサンプル(b)を酵素処理した後の様子を示している。
Staphylococcus aureusの溶菌においては、表4に記載のように、リゾスタフィンの力価は1単位/mlで十分効果を示すが、Staphylococcus epidermidisの溶菌においては、10単位/ml以上のリゾスタフィン力価が必要であった。 ゆえに、リゾスタフィンの至適力価を、10単位/ml〜100単位/mlに設定した。 また、Enterococcus faecalisの溶菌においては、リゾチームの力価を10,000単位/mlで固定したとき、N-アセチルムラミダーゼ力価が10単位/ml以下では溶菌されなかった。 リゾチームについては、表5に記載の通り、N-アセチルムラミダーゼ力価を100単位/mlに固定したとき、リゾチーム力価が1,000単位/ml以下では溶菌されなかった。 ゆえに、N-アセチルムラミダーゼの至適力価は、100単位/ml〜1,000単位/ml、また、リゾチームの至適力価は、10,000単位/ml〜100,000単位/mlに設定した。 その結果を、図7に示すが、図中、(a)は酵素処理前のStaphylococcus aureusの貪食サンプル、(b)は処理前のEnterococcus faecalisの貪食サンプル、(c)はサンプル(a)を酵素処理した後、および(d)はサンプル(b)を酵素処理した後の様子を示している。
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を、WO 2002/099133号公報に記載の方法(以下、「臨床検体の感染症原因微生物の同定方法」と称する)に応用したところ、同一の結果を得ることができたので、この方法での上記各酵素の至適力価も同一と考えた。
実施例18:至適酵素処理条件(温度)の検討
各貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用いて、実施例17(2)[3]に記載の方法に準じて検討した。 ただし、本試験の酵素処理時間は30分、検討温度は4℃、25℃、37℃、42℃、60℃とし、また、各酵素力価は、N-アセチルムラミダーゼ(100単位/ml、生化学工業社製)、リゾチーム(10,000単位/ml、生化学工業社製)、リゾスタフィン(10単位/ml、SIGMA社製)とした。 判定は、実施例17(2)[3]に記載の方法に準じて行った。 その結果、Staphylococcus aureusは、4℃〜60℃の温度範囲で白血球の菌体は確認されなかった。 Staphylococcus epidermidisは、処理温度4℃および25℃では白血球中の菌体が残存していたが、37℃以上では菌体が確認されなかった。 また、Enterococcus faecalisでは、処理温度4℃、25℃および60℃で菌体が残存していたが、37℃および42℃では確認されなかった。 ゆえに、至適酵素処理温度を37℃〜42℃に設定した。 その結果を、表6に示した。
各貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用いて、実施例17(2)[3]に記載の方法に準じて検討した。 ただし、本試験の酵素処理時間は30分、検討温度は4℃、25℃、37℃、42℃、60℃とし、また、各酵素力価は、N-アセチルムラミダーゼ(100単位/ml、生化学工業社製)、リゾチーム(10,000単位/ml、生化学工業社製)、リゾスタフィン(10単位/ml、SIGMA社製)とした。 判定は、実施例17(2)[3]に記載の方法に準じて行った。 その結果、Staphylococcus aureusは、4℃〜60℃の温度範囲で白血球の菌体は確認されなかった。 Staphylococcus epidermidisは、処理温度4℃および25℃では白血球中の菌体が残存していたが、37℃以上では菌体が確認されなかった。 また、Enterococcus faecalisでは、処理温度4℃、25℃および60℃で菌体が残存していたが、37℃および42℃では確認されなかった。 ゆえに、至適酵素処理温度を37℃〜42℃に設定した。 その結果を、表6に示した。
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を、臨床検体の感染症原因微生物の同定方法に応用したところ、同一の結果を得ることができたので、この方法での酵素処理の至適温度も同一と考えた。
実施例19:至適酵素処理条件(時間)の検討
実施例17(1)[1]および[2]に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とした。
実施例17(1)[1]および[2]に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とした。
検討した時間は、0分、10分、20分、30分、60分、120分とした。 使用したSA貪食サンプルの貪食率は18%であり、7.80×104個/ウェルであった。 SE貪食サンプルの貪食率は34%であり、1.10×105個/ウェルであった。 また、EF貪食サンプルの貪食率は28%であり、1.30×105個/ウェルであった。 各貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用いて、実施例17(2)[3]に記載の方法に準じて検討した。 但し、本試験の酵素処理温度は37℃、各酵素力価はN-アセチルムラミダーゼ(100単位/ml)、リゾチーム(10,000単位/ml)、リゾスタフィン(10単位/ml)とした。 判定は、実施例17(2)[3]に記載の方法に準じて行った。 その結果、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Enterococcus faecalis貪食サンプルともに酵素処理時間20分以上(0分および10分においては不適であった)で、白血球中に菌体は確認されなかったことから、少なくとも15分以上、好ましくは20分以上、さらに至適酵素処理時間を30分〜60分とするのが好ましい。 その結果を、表7に示した。
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を、臨床検体の感染症原因微生物の同定方法に応用したところ、同一の結果を得ることができたので、この方法での酵素処理の至適時間も同一と考えた。
実施例20:プローブ濃度の検討
本発明のin situハイブリダイゼーション反応において、プローブ濃度はハイブリッド形成速度に影響を与える主要な因子である。 プローブ濃度が低すぎると反応速度の低下を招き、シグナルが明確でなくなる可能性がある。 また、過剰量のプローブの使用は、非特異的反応の原因に繋がる。
本発明のin situハイブリダイゼーション反応において、プローブ濃度はハイブリッド形成速度に影響を与える主要な因子である。 プローブ濃度が低すぎると反応速度の低下を招き、シグナルが明確でなくなる可能性がある。 また、過剰量のプローブの使用は、非特異的反応の原因に繋がる。
ゆえに、各種プローブ液について、至適濃度を検討した。 まず、実施例17(1)[1]および[2]に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とした。 使用したSA貪食サンプルの貪食率は24%であり、1.48×105個/ウェルであった。 SE貪食サンプルの貪食率は28%であり、2.07×105個/ウェルであった。 PA貪食サンプルの貪食率は11%であり、1.59×105個/ウェルであった。 また、EF貪食サンプルの貪食率は24%であり、1.72×105個/ウェルであった。 EK貪食サンプルの貪食率は12%であり、1.63×105個/ウェルであった。 各貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用いて、実施例17(2)[3]に記載の方法に準じて検討した。 プローブは、ジゴキシゲニン標識したものを使用し、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Enterococcus faecalis、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coliに対する各プローブ濃度を、それぞれ、0.06ng/μl、0.6ng/μl、1.2ng/μl、1.8ng/μl、2.4ng/μl、3ng/μlに調製した。 貪食サンプルを塗抹したスライドグラス(図8参照)に、上記各種濃度に調製したプローブ液を使用し、実施例3〜11に記載の方法に従い検討した。
その結果、低濃度(0.06ng/μl)ではシグナルが明確でなくなり、一方で、高濃度(2.4ng/μlおよび3ng/μl)ではバックグラウンドの増大が認められた。 ゆえに、SA、SE、PA、EF、EKのプローブ濃度を0.6〜1.8ng/μl、好ましくは0.6〜1.2ng/μlとした。 また、0.06ng/μlにおいては不適であり、0.6ng/μlにおいては適であったことから、少なくとも0.1ng/μl以上とするのが好ましい。
さらに、2.4ng/μlにおいては不適であり、1.8ng/μlにおいては適であったことから、2.2ng/μl以下とするのが好ましい。 その結果を、以下の表8〜表12に示した。
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を、臨床検体の感染症原因微生物の同定方法に応用したところ、同一の結果を得ることができたので、この方法での上記プローブの至適濃度も同一と考えた。
実施例21:ハイブリダイゼーション温度の検討
ハイブリダイゼーション反応における反応温度は、ハイブリッド形成速度とハイブリッドの安定性に影響を与えるパラメーターである。 ハイブリダイゼーション反応を高温にすると細胞の形態が劣化することが知られていることから、至適温度の検討(4℃、25℃、37℃、42℃、50℃、60℃)を行った。
ハイブリダイゼーション反応における反応温度は、ハイブリッド形成速度とハイブリッドの安定性に影響を与えるパラメーターである。 ハイブリダイゼーション反応を高温にすると細胞の形態が劣化することが知られていることから、至適温度の検討(4℃、25℃、37℃、42℃、50℃、60℃)を行った。
まず、実施例17(1)[1]および[2]に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とした。
使用したSA貪食サンプルの貪食率は31%であり、1.38×105個/ウェルであった。 SE貪食サンプルの貪食率は42%であり、1.95×105個/ウェルであった。 PA貪食サンプルの貪食率は14%であり、1.27×105個/ウェルであった。 また、EF貪食サンプルの貪食率は48%であり、1.05×105個/ウェルであった。 EK貪食サンプルの貪食率は17%であり、1.85×105個/ウェルであった。
貪食サンプルおよびU937細胞を塗抹固定したスライドグラス(図9参照)を使用して、実施例3〜11に記載の方法に従い検討した。 その結果、ハイブリダイゼーション温度が4℃以下ではハイブリッド形成速度が低下し、各種プローブで安定なシグナルが観察されなかった。 また、60℃においては細胞形態の変化が認められ、安定なシグナルが観察されなかった。 また、25℃および50℃では37℃および42℃に比べ、シグナルが明確でなかったが検出することは可能であった。 ゆえに、至適ハイブリダイゼーションの温度は、25℃〜50℃、より好ましくは37〜42℃に設定すると良い。 それら結果を、以下の表13〜表17に示した。
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を、臨床検体の感染症原因微生物の同定方法に応用したところ、同一の結果を得ることができたので、この方法でのハイブリダイゼーションの至適温度も同一と考えた。
実施例22:ハイブリダイゼーション時間の検討
実施例17(1)[1]および[2]に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とし、10分、60分、90分、120分、180分、900分間のハイブリダイゼーション時間について検討した。 使用したSA貪食サンプルの貪食率は47%であり、1.45×105個/ウェルであった。 SE貪食サンプルの貪食率は47%であり、1.33×105個/ウェルであった。 PA貪食サンプルの貪食率は15%である、1.91×105個/ウェルであった。 また、EF貪食サンプルの貪食率は41%であり、1.45×105個/ウェルであった。 EK貪食サンプルの貪食率は20%であり、1.23×105個/ウェルであった。
実施例17(1)[1]および[2]に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とし、10分、60分、90分、120分、180分、900分間のハイブリダイゼーション時間について検討した。 使用したSA貪食サンプルの貪食率は47%であり、1.45×105個/ウェルであった。 SE貪食サンプルの貪食率は47%であり、1.33×105個/ウェルであった。 PA貪食サンプルの貪食率は15%である、1.91×105個/ウェルであった。 また、EF貪食サンプルの貪食率は41%であり、1.45×105個/ウェルであった。 EK貪食サンプルの貪食率は20%であり、1.23×105個/ウェルであった。
貪食サンプルおよびU937細胞を塗抹固定したスライドグラス(図9に示すものに同じ)を使用して、実施例3〜11に記載の方法に従い検討した。 その結果、ハイブリダイゼーション時間が10分ではシグナルが観察されなかったが、60分以上でシグナルが観察され、90分以上で安定したシグナルが観察された。 また、ハイブリダイゼーション時間が900分においてもシグナルの検出には変化は認められなかった。 ゆえに、少なくとも30分以上、好ましくは60分以上、より好ましくは90分以上とするのが好ましい。 さらに好ましい至適ハイブリダイゼーション時間は、120分〜900分に設定すると良い。 それら結果を、以下の表18〜表22に示した。
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を、臨床検体の感染症原因微生物の同定方法に応用したところ、同一の結果を得ることができたので、この方法でのハイブリダイゼーションの至適時間も同一と考えた。
実施例23:ハイブリダイゼーション溶液に添加する界面活性剤の影響
実施例17(1)[1]および[2]に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とした。 プローブ希釈液に各種界面活性剤(SDS、ラウリスサルコシン、サポニン、BRIJ35、Tween 20、Triton X-100)を添加し、実施例7に従ってハイブリダイゼーションを行ったところ、0.25%のSDSを添加することにより検出感度が飛躍的に増強した。 また、ラウリルサルコシン、BRIJ 35、ツイーン20(Tween 20)によって検出感度を高めることができた。 その結果を、以下の表23に示した。
実施例17(1)[1]および[2]に記載の方法で作成した貪食サンプルを検体とした。 プローブ希釈液に各種界面活性剤(SDS、ラウリスサルコシン、サポニン、BRIJ35、Tween 20、Triton X-100)を添加し、実施例7に従ってハイブリダイゼーションを行ったところ、0.25%のSDSを添加することにより検出感度が飛躍的に増強した。 また、ラウリルサルコシン、BRIJ 35、ツイーン20(Tween 20)によって検出感度を高めることができた。 その結果を、以下の表23に示した。
さらに、SDSを種々の濃度で用いた結果、好ましい濃度は、1%以下、より好ましくは0.1%〜0.5%、さらに好ましくは0.25%であることが明らかになった。
貪食サンプルを用いて得られたこれら結果を臨床検体の感染症原因微生物の同定方法に応用したところ、同一の結果を得ることができた。 ゆえに、臨床検体の感染症原因微生物の同定方法においてもin situハイブリダイゼーションの工程に界面活性剤、特に、SDSを添加するのが好ましい。
実施例24:ハイブリダイゼーションの際に使用するプローブ鎖長の検討
Staphylococcus aureusプローブ(SA-24(配列番号:1))およびPseudomonas aeruginosaプローブ(P2-2(配列番号:7))を、ジゴキシゲニンでラベル化した。
Staphylococcus aureusプローブ(SA-24(配列番号:1))およびPseudomonas aeruginosaプローブ(P2-2(配列番号:7))を、ジゴキシゲニンでラベル化した。
まず、精製した各種DNAプローブ1μgを、10×L.B.(0.5mol/l トリス塩酸(pH 7.5)5μl、50mmol/l 塩化マグネシウム、0.5mgウシ血清アルブミン)5μl、100mmol/l ジチオスレイトール5μl、dNTPs(A、G、C)各1nmol、ジゴキシゲニン-dUTP(Dig-dUTP)0.5nmol、dTTP各0.5nmol、DNase 3μl(25mU、75mUおよび200mU相当量)、10U/μl DNAポリメラーゼ1μlおよび滅菌精製水適量にて全量50μlとなるように調製した。 15℃、2時間でジゴキシゲニンラベル化を行った。 ラベル化後、5分間煮沸し反応を停止させた。 反応停止液をスピンカラム(CENTRI-SEP COLUMUNS CS901、PRINCETON SEPARATIONS, INC.)に注入し、25℃で2分間遠心分離(3,000×g)を行い、遊離のヌクレオチドを除去した。 その後、溶出液の濃度を吸光度計により測定し、3%アガロースゲルにて電気泳動しサイズを確認した。 次に、サザンブロッティング法によりアガロースゲル内のDNAをニトロセルロース膜に転写させた。 その後、2%ブロッキング試薬(ロシュ社製)に30分間浸した後、1/5,000量のアルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体を加え、30分間浸した。 次に、100mmol/lのトリス塩酸(pH 7.5)、150mmol/l 塩化ナトリウムにて10分間振とうし、2回洗浄した。 その後、100mmol/lのトリス塩酸(pH9.5)、150mmol/l 塩化ナトリウムにて10分間振とうして洗浄した。 その後、NBT/BCIP溶液に浸して発色させた。
最後に、精製水に浸し発色を止めて乾燥させた。 その結果、図10の(a)SAプローブ使用時および(b)PAプローブ使用時についてそれぞれ示すように、25mUのDNase(図中、レーン1)を用いて、その鎖長が、主として約350〜約600塩基長に分布するように切断した場合に、ラベル効率が高いことが示された。
こうして得られた検出用プローブを、貪食サンプルや感染症患者からの臨床検体を用いた感染症原因微生物の検出方法において使用し、ハイブリダイゼーションを行ったところ、優れた感度でシグナルが検出された。 従って、ハイブリダイゼーションに使用するプローブの鎖長は、約350〜約600の塩基長、好ましくは、約350〜約550の塩基長とすることが良いものと判明した。
実施例25:ハイブリダイゼーションの際に使用するプローブの検討
実施例17(1)[1]および[2]に記載の方法で作成した、Escherichia coliの貪食サンプルを検体として、検出用プローブについての検討を行った。
実施例17(1)[1]および[2]に記載の方法で作成した、Escherichia coliの貪食サンプルを検体として、検出用プローブについての検討を行った。
検出用プローブは、EC-24(配列番号:11)、EC-34(配列番号:12)およびEC-39(配列番号:13)から、実施例24に記載したようにジゴキシゲニンラベル化し、約350〜約600の塩基長を有するように調製したものを、それぞれ単独または3種を組み合わせて使用した。
得られた結果から、図11に示すとおり、(a)EC-24、(b)EC-34または(c)EC-39のそれぞれを単独で検出用プローブとして用いるよりも、(d)これらを混合してなる混合プローブ「MIX」の方がシグナルが明瞭に検出され、感度が高められることが明らかであった。
実施例26:種々の細菌量における本発明の貪食サンプルを用いた外来微生物の検出法と血液培養法との検出力の比較
実施例13に記載のS.aureus、 S.epidermidisまたはEnterococcus faecalisを、105、104、103、102、101、100 CFU/mlの濃度で健常人血液に混和し、インキュベーション後、臨床検体の感染症原因微生物の同定キット(ハイブリゼップ[商品名;扶桑薬品工業株式会社])及び公知の方法に従う血液培養法により試験を実施した。 また、広域スペクトルを持つピペラシリン(PIPC)を10MICの濃度で各細菌を接触させた後、104、103、102、101、100 CFU/mlの濃度で健常人血液に混和し、同様に試験を実施した。 その結果を、以下の表24〜表26に示す。
実施例13に記載のS.aureus、 S.epidermidisまたはEnterococcus faecalisを、105、104、103、102、101、100 CFU/mlの濃度で健常人血液に混和し、インキュベーション後、臨床検体の感染症原因微生物の同定キット(ハイブリゼップ[商品名;扶桑薬品工業株式会社])及び公知の方法に従う血液培養法により試験を実施した。 また、広域スペクトルを持つピペラシリン(PIPC)を10MICの濃度で各細菌を接触させた後、104、103、102、101、100 CFU/mlの濃度で健常人血液に混和し、同様に試験を実施した。 その結果を、以下の表24〜表26に示す。
上記結果から明らかな通り、抗生剤処理を施した細菌を用いた試験では、血液培養法は抗生剤未処理の場合に検出できた細菌量においても細菌を検出されなかったが、ハイブリゼップを用いることにより抗生剤の影響を受けずに細菌を検出できた。
実施例27:感度試験の確認
本発明の性能試験のうち、感度試験に貪食サンプルが使用できるか否か検討した。
本発明の性能試験のうち、感度試験に貪食サンプルが使用できるか否か検討した。
なお、各種操作方法は、実施例2〜11に記載の手順に従った。
貪食サンプルとして、SA貪食サンプル、SE貪食サンプル、PA貪食サンプル、EF貪食サンプル、EK貪食サンプルを用いた。 各貪食サンプルは、実施例17に記載した方法により作製した。 SA貪食サンプルは、貪食率29%、細胞数が1.05×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 SE貪食サンプルは、貪食率が47%、細胞数が1.51×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 PA貪食サンプルは、貪食率が19%、細胞数が1.99×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 EF貪食サンプルは、貪食率が33%、細胞数が1.25×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 EK貪食サンプルは、貪食率が19%、細胞数は1.13×105個/ウェルであり、「適」と判定した。
図12に示すように、貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用い、実施例2〜3に記載の手順に従って試験を行った。
SA、SE、PA、EFおよびEKの各貪食サンプルを1キットにつき3度試験を行い、また当該試験を3キット行ったところ、表27および図13(a)〜(e)に示すように、すべての貪食サンプルにおいて菌を検出することができた。 ゆえに、貪食サンプルを実施例1〜11に示す方法の感度試験に有用であることを証明した。 ゆえに、実施例1〜11に示す方法の感度試験の規格を、既知細菌の貪食サンプルを用い、実施例2〜11に記載の手順に従って試験するとき、シグナルを検出できるものと規定した。
実施例28:特異性試験の確認
性能試験のうち、特異性試験に貪食サンプルが使用できるか否か検討した。
性能試験のうち、特異性試験に貪食サンプルが使用できるか否か検討した。
また、各種操作方法は実施例2〜11に記載の手順に従った。
貪食サンプルとして、SA貪食サンプル、SE貪食サンプル、PA貪食サンプル、EF貪食サンプル、EK貪食サンプルを用いた。 各貪食サンプルは、実施例17に記載の方法によって作製した。 SA貪食サンプルは、貪食率29%、細胞数が1.05×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 SE貪食サンプルは、貪食率が47%、細胞数が1.51×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 PA貪食サンプルは、貪食率が19%、細胞数が1.99×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 EF貪食サンプルは貪食率が33%、細胞数が1.25×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 EK貪食サンプルは、貪食率が19%、細胞数が1.13×105個/ウェルであり、「適」と判定した。
図12に示すように、貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用い、実施例2〜3に記載の手順に従って試験を実施した。
SA、SE、PA、EFおよびEKの各貪食サンプルを1キットに含まれる1プローブにつき3度試験を行い、また当該試験を3キット行ったところ、表28〜表31に示すように、すべての既知細菌貪食サンプルにおいて正しいシグナルを検出することができた。 図14(a)〜(e)に、SA貪食サンプルに対しては、SA検出用プローブ(a)によってのみ特異的に検出することができることを示す。 ゆえに、貪食サンプルを実施例1〜11に示す方法の特異性試験に有用であることを証明した。 ゆえに、実施例1〜11に示す方法の特異性試験の規格を、既知細菌の貪食サンプルを用い、実施例2〜11に記載の手順に従って試験するとき、該当する細菌の貪食サンプルにのみシグナルを検出できると規定した。
実施例29:再現性試験の確認
貪食サンプルが再現性試験に使用できるか否か検討した。
貪食サンプルが再現性試験に使用できるか否か検討した。
また、各種操作方法は、実施例2〜11に記載の手順に従った。
貪食サンプルとして、SA貪食サンプル、SE貪食サンプル、PA貪食サンプル、EF貪食サンプル、EK貪食サンプルを用いた。 各貪食サンプルは、実施例17に記載の方法に従って作製した。 SA貪食サンプルは、貪食率29%、細胞数が1.05×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 SE貪食サンプルは、貪食率が47%、細胞数が1.51×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 PA貪食サンプルは、貪食率が19%、細胞数が1.99×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 EF貪食サンプルは貪食率が33%、細胞数は1.25×105個/ウェルであり、「適」と判定した。 EK貪食サンプルは、貪食率が19%、細胞数が1.13×105個/ウェルであり、適と判定した。
図12に示すように、貪食サンプルを塗抹したスライドグラスを用い、実施例2〜3に記載の手順に従って試験を実施した。
SA、SE、PA、EFおよびEKの各貪食サンプルを1キットに含まれる1プローブにつき3度試験を行い、また当該試験を3キット行ったところ、表32〜表35に示す通り、すべての貪食サンプルにおいて正しいシグナルを検出することができた。 ゆえに、貪食サンプルは、実施例1〜11に示す方法の再現性試験に適用する上で有用であることを証明した。 ゆえに、実施例1〜11に示す方法の再現性試験の規格を、既知細菌の貪食サンプルを用いて実施例2〜11に従うものとし、特異性試験を同時に3回繰り返し試験するとき、得られる結果は同一であると規定した。
本発明によって、in vitroにおいて食細胞の貪食機能を評価でき、免疫機能の評価、食細胞の分化効率の評価、食細胞機能モジュレーターのスクリーニング、効果の判定、臨床検査における投与計画の指針、感染症診断の指標、キット等の性能試験など、種々の目的に利用することができる実験的モデルが安定的に提供される。
Claims (35)
- 以下の工程、すなわち;
(a) 食細胞と外来微生物とをin vitroで接触させ、
(b) 外来微生物による貪食作用を受けた貪食済み食細胞を単離し、
(c) 単離した食細胞を支持担体上に固定し、
(d) 固定した食細胞の細胞膜の透過性を亢進させ、
(e) 亢進処理した食細胞に対して溶菌酵素を作用させ、次いで、フェニルメチルスルフォニルフルオライドのジメチルスルフォキシド溶液を作用させて、当該貪食済み食細胞に含まれる外来微生物のDNAを露出させ、
(f) 露出したDNAに対して、ストリンジェントな条件下で、ハイブリダイゼーションすることができる検出用DNAプローブを用いて、界面活性剤の存在下で、当該露出したDNAに対してin situハイブリダイゼーションを行い、および
(g) 得られたハイブリダイゼーションシグナルに基づいて、外来微生物に対する当該食細胞の食作用および/または殺傷能を同定する、
工程を含む、ことを特徴とする外来微生物に対する食細胞の機能を評価する方法。 - 前記食細胞が、動物の血液に含まれる成分である請求項1に記載の方法。
- 前記工程(a)に供する外来微生物の菌液濁度(O.D.=600nm)が、0.01〜0.03である請求項1または2に記載の方法。
- 前記外来微生物が、グラム陰性菌である請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
- 前記外来微生物が、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミデス、エンテロコッカス・ファエカリス、シュードモナス・アエルギノーサ、エシェリヒア・コリ、カンジダ・アルビカンス、および、これらの組み合わせからなるグループから選択される請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
- 前記工程(c)で固定される食細胞の密度(x個/ml)が、5×106個/ml<x個/ml<1×108個/mlである請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
- 前記溶菌酵素が、1単位/ml〜1,000単位/mlの力価のリゾスタフィンである請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
- 前記溶菌酵素が、1,000単位/ml〜1,000,000単位/mlの力価のリゾチームである請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
- 前記溶菌酵素が、10単位/ml〜10,000単位/mlの力価のN-アセチルムラミダーゼである請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
- 前記溶菌酵素が、50単位/ml〜500単位/mlの力価のザイモラーゼである請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
- 前記溶菌酵素が、10単位/ml〜100単位/mlの力価のリゾスタフィン、10,000単位/ml〜100,000単位/mlの力価のリゾチーム、100単位/ml〜1,000単位/mlの力価のN-アセチルムラミダーゼ、100単位/ml〜500単位/mlの力価のザイモラーゼ、および、これらの組み合わせからなるグループから選択される請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
- 前記溶菌酵素の反応が、15分〜120分間、26℃〜59℃の条件下で進行する請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
- 前記ジメチルスルフォキシド溶液に含まれるフェニルメチルスルフォニルフルオライドの濃度が、10μmol/l〜10mmol/lである請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
- 前記ジメチルスルフォキシド溶液が、5%未満の濃度である請求項13に記載の方法。
- 前記支持担体が、3-アミノプロピルトリエトキシシランをコートしたスライドグラスである請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
- 前記DNAプローブの鎖長が、350〜600塩基長である請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
- 前記DNAプローブの濃度が、0.1ng/μl〜2.2ng/μlである請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
- 前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウムを含む請求項1乃至17のいずれかに記載の方法。
- 前記工程(f)でのハイブリダイゼーションが、30分〜900分間、25℃〜50℃の条件下で進行する請求項1乃至18のいずれかに記載の方法。
- 前記ハイブリダイゼーションシグナルが、色素の存在下で検出される請求項1乃至19のいずれかに記載の方法。
- 以下の工程、すなわち;
食細胞と外来微生物とをin vitroで接触させ、
外来微生物による貪食作用を受けた貪食済み食細胞を単離し、
単離した食細胞を支持担体上に固定し、
固定した食細胞を色素で染色し、および
貪食中または貪食後の細胞に特徴的な細胞形態を鏡検して検出することによって、外来微生物に対する食細胞の食作用および/または殺傷能を同定する、
工程を含む、ことを特徴とする外来微生物に対する食細胞の機能を評価する方法。 - 以下の工程、すなわち;
ヒト以外の動物から食細胞を単離し、
請求項1乃至21のいずれかに記載の方法を用いて食細胞の機能を評価し、および
得られた評価結果を、正常な食細胞機能の評価結果と比較することにより、当該動物の免疫機能を評価する、
工程を含む、ことを特徴とする免疫機能を評価する方法。 - 前記免疫機能が、微生物に対する白血球の貪食能である請求項22に記載の方法。
- 前記白血球が、放射線照射または制癌剤投与をした後のヒト以外の動物から得た血液に含まれる成分である請求項23に記載の方法。
- 以下の工程、すなわち;
請求項1乃至21のいずれかに記載の方法を用いて食細胞の機能を評価し、および
経時的に当該機能を評価して、その経時的変化を同定する
工程を含む、ことを特徴とする食細胞の分化効率を評価する方法。 - 以下の工程、すなわち;
食細胞機能モジュレーターの存在下および非存在下で、外来微生物を食細胞と共にインキュベートし、および
請求項1乃至21のいずれかに記載の方法を用いて、当該モジュレーターの存在下および非存在下での食細胞機能を比較する、
工程を含む、ことを特徴とする食細胞機能に関するモジュレーターによる効果を判定する方法。 - 以下の工程、すなわち;
食細胞機能に対してモジュレーター作用を奏することが推定される薬剤の存在下および非存在下で、外来微生物を食細胞と共にインキュベートし、および
請求項1乃至21のいずれかに記載の方法を用いて、当該薬剤の存在下および非存在下での食細胞機能を比較する、
工程を含む、ことを特徴とする食細胞機能に関するモジュレーターをスクリーニングする方法。 - 以下の工程、すなわち;
薬剤の投与前および投与後にヒト以外の動物から食細胞を取得し、
請求項1乃至21のいずれかに記載の方法を用いて、当該食細胞が奏する食細胞機能を評価し、および
その評価結果から判定される薬剤の効果に基づいて薬剤投与計画を検討する、
工程を含む、ことを特徴とする臨床検査方法。 - 請求項1乃至21のいずれかに記載の方法に従って食細胞の機能を評価するために使用されるキットであって、(1)外来微生物、(2)リゾスタフィン、リゾチーム、N-アセチルムラミダーゼ、ザイモラーゼ、および、これらの組み合わせからなるグループより選択される一つ以上の溶菌酵素、(3)フェニルメチルスルフォニルフルオライド、(4)界面活性剤、および、(5)一つ以上のDNAプローブを具備する、ことを特徴とするキット。
- 前記外来微生物が、グラム陰性菌である請求項29に記載のキット。
- 前記外来微生物が、スタフィロコッカス・アウレウス、スタフィロコッカス・エピデルミデス、エンテロコッカス・ファエカリス、シュードモナス・アエルギノーサ、エシェリヒア・コリ、カンジダ・アルビカンス、および、これらの組み合わせからなるグループから選択される請求項29に記載のキット。
- 前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウムを含む請求項29乃至31のいずれかに記載のキット。
- 請求項29乃至32のいずれかに記載のキットの性能を試験する方法であって、食細胞と外来微生物とのin vitroでの接触によって外来微生物による貪食作用を受けた貪食済み食細胞を使用する、ことを特徴とするキットの性能を試験する方法。
- 前記性能が、キットの感度、特異性または再現性のいずれかである請求項33に記載の方法。
- 前記貪食済み食細胞が、陽性コントロールとして利用される請求項33または34に記載の方法。
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