JPWO2002094039A1 - 蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物 - Google Patents

蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物 Download PDF

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Abstract

本発明は、蛋白質、エネルギーの補給効率が高く、結果としてPEMの諸症状を改善する作用のある飲食物を提供することを目的としている。この目的を達成するために、本発明は、蛋白質及びペプチドの少なくとも一方と油脂とを含有する飲食物であって、上記蛋白質及びペプチドの少なくとも一方は、全飲食物100質量%に対して、1〜50質量%の割合で含有され、上記油脂は、全飲食物100質量%に対して、1〜80質量%の割合で含有され、さらに上記油脂は、油脂をなす全構成脂肪酸100質量%に対して、中鎖脂肪酸を5〜100質量%の割合で含有することを特徴とする蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物を提供する。

Description

技術分野
本発明は、蛋白質およびペプチドの少なくとも一方と油脂とを含有した、蛋白質・エネルギー低栄養状態改善作用を有する飲食物に関する。
背景技術
現在、蛋白質・エネルギー低栄養状態(Protein Energy Malnutrition;以下、「PEM」と略すことがある。)は、世界各国で重要な栄養上の問題となっている(臨床栄養、94(3)、270、1999年)。1990年WHO世界健康統計によると、世界の総罹患数は約5千2百万人、1年間の死亡総数は29万5千人である。国内でも全国9地域の高齢者施設入所者の3〜4割がPEMを有し、高齢者の最大の栄養問題であると認識されている(臨床栄養、94(4)、406、1999年)。PEMは、加齢に伴う食欲低下や嗜好の偏り、消化吸収能力の低下によって引き起こされる。体重の減少と血清アルブミン値の低下とが主要な臨床指標であり、血清アルブミン値が3.5g/dL以下の患者の1年後の相対死亡リスクが非PEM高齢者の2倍以上に上昇する重篤な疾患であり(日本医科学雑誌臨時増刊号、112(6)、1994年)、臨床的に大きな問題となっている。
成人健常者では、摂取する蛋白質と体外に排出する蛋白質との量の差、いわゆる窒素平衡はほぼ±0であり、従って体内蛋白質プールは常に一定である。しかし、一部の高齢者では、加齢に伴う食欲低下や嗜好の偏り、消化吸収能力の低下などの複数の要因により、摂取する蛋白質の量が排出される蛋白質の量より少なくなってしまい、この窒素平衡が負に傾いている。これらの高齢者では、体内蛋白質プールは時間の経過とともに減少する傾向にあり、その影響が体重の減少、筋肉や内臓蛋白質量の減少、および血清アルブミン値の低下などとして顕在化する。
現在、介護施設等で実施されているPEM患者の栄養ケア(治療)の主要なものとして、(1)栄養補給、(2)栄養教育、および(3)多領域からの栄養ケア参画の3つが挙げられる(「これからの高齢者の栄養管理サービス」小山秀夫、杉山みち子編集、第一出版、1998年)。
(1)栄養補給では、集団の基準である栄養所要量を用いて、性別、年齢別、身体活動強度別に栄養所要量を算出したものが利用されている。しかし、高齢者のエネルギー代謝は個体差が大きく、個人のエネルギー必要量をどのように算出して適正な栄養補給を実施するかが重要な課題になっている。また、蛋白質補給についても、障害度や疾病状況などの度合いに応じて加算するなど、適切な補給を実施する必要がある。
(2)栄養教育は、現在の栄養状態を説明し、また個々人の食行動に関連する諸問題を解決して食生活を改善することを目的とするが、この目的を達成するためには、介護する側、される側双方の多大な労力と時間とを消費するため、必ずしも有効に実施されてはいないというのが現状である。
(3)PEMを効率的に改善させるために、栄養関係者以外に、医師、ソーシャルワーカー、および臨床心理士などの専門家が、それぞれの立場から栄養ケアに参画することも重要であるが、上記栄養教育と同様、実施には多大な費用と時間とを消費するという問題がある。
以上の3つのケア以外にも、PEM改善のため様々な努力が実施されているが、高齢者は個体差が大きいなどの問題から、画一的かつ効率的な改善は困難であるのが現状である。また加齢とともに食欲、摂食量、および消化吸収能力が低下するため、単純に高蛋白質、高カロリーの食事を提供しても食べきれなかったり、食べられても栄養分が十分に体内に取り込まれないという問題もある。従って、摂取された後に効率的に体内に吸収され、又は効率的にエネルギーに変換されるような栄養成分および栄養組成を有する食事が望まれている。
発明の開示
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、蛋白質、エネルギーの補給効率が高く、結果としてPEMの諸症状を改善する飲食物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、蛋白質及びペプチドの少なくとも一方と油脂とを一定の割合で含有する飲食物であって、上記油脂が、油脂をなす全構成脂肪酸100質量%に対して、中鎖脂肪酸を5〜100質量%の割合で含有する飲食物には、強いPEM改善作用があることを見出した。
すなわち、本発明は、蛋白質及びペプチドの少なくとも一方と油脂とを含有する飲食物であって、上記蛋白質及びペプチドの少なくとも一方は、全飲食物100質量%に対して、1〜50質量%の割合で含有され、上記油脂は、全飲食物100質量%に対して、1〜80質量%の割合で含有され、さらに上記油脂は、油脂をなす全構成脂肪酸100質量%に対して、中鎖脂肪酸を5〜100質量%の割合で含有することを特徴とする蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物を提供することにより上記目的を達成した。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物を詳細に説明する。
本発明の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物(以下、単に飲食物と略称することもある。)に用いられる蛋白質としては、例えば、畜肉、魚肉、野菜、豆類等の食事中蛋白質源として日常的に利用されているものを用いることができる。また、カゼイン等の乳蛋白質、大豆蛋白質、および小麦グルテンなどの一般の食品原料として用いられる、あらゆる精製蛋白質も利用可能である。本発明の飲食物に使用される蛋白質は、これら例示した蛋白質にに限定されるものではなく、さらにこれら蛋白質源を1種又は2種以上併用することもできる。しかしながら、分岐鎖アミノ酸の輸液によって、より蛋白・エネルギー栄養障害の改善効果が得られるため、特に分岐鎖アミノ酸残基を多く含むものが好ましい。
本発明の飲食物に用いられるペプチドは、天然に存在するペプチドに加え、上記蛋白質源又は精製蛋白質を酵素処理して加水分解したものや、濃酸中で放置したり加熱処理などにより加水分解したものも利用できる。また、アミノ酸類から各種のペプチド合成法によって作られるものも使用できる。さらに、これらのペプチドを1種又は2種以上で用いることもできる。本発明の飲食物に用いられるペプチドは、これらペプチドに限定されるものではないが、上記蛋白質の場合と同様に、分岐鎖アミノ酸の輸液によって、より蛋白・エネルギー栄養障害の改善効果が得られるため、特に分岐鎖アミノ酸残基を多く含むものが好ましい。
本発明の飲食物に用いられる油脂としては、例えば、植物体、植物種子、植物果実などを圧搾、抽出、または圧搾・抽出してなる原料油脂を精製してなるトリグリセリド含有率の高い油脂、動物性の脂肪を精製してなるトリグリセリド含有率の高い油脂、ジアシルグリセロール、および食用精製加工油脂等が挙げられる。
より具体的には、動植物油脂類としては、例えば大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、綿実油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、パーム油、パームオレイン油、パーム核油、ヤシ油、カカオ油、米糠油、落花生油、オリーブ油、シソ油、エゴマ油、亜麻仁油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、ボラージ油、小麦胚芽油、藻類油、牛脂、豚脂、鶏油、魚油、乳脂、卵油、アザラシ油、DHA含有油脂、EPA含有油脂、γ−リノレン酸含有油脂、α−リノレン酸含有油脂、および品種改良によって低飽和化されたこれらの油脂などが使用できる。なお、上記ジアシルグリセロールは、グリセリンと動植物油由来の脂肪酸とのジエステルである。
上記食用精製加工油脂としては、上記の動植物油脂の水素添加油、中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)、トリアセチン等の合成油脂、および上記油脂のエステル交換油脂等が使用できる。エステル交換の方法としてはケミカル反応や酵素反応等があるが、油脂の風味、色を考慮すると、酵素反応が好ましい。しかしながら、これら反応に限定されるものではない。また、得られたエステル交換油脂の1,3位の脂肪酸と2位の脂肪酸の組成に偏りがあってもよい。
本発明の飲食物で使用される油脂としては、これら油脂から選ばれる1種又は2種以上からなるものが好ましく、特に食経験の豊富さを考慮すると、大豆油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、綿実油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、シソ油、エゴマ油、亜麻仁油、ブドウ種子油、乳脂、DHA含有油脂、EPA含有油脂、γ−リノレン酸含有油脂、α−リノレン酸含有油脂、および中鎖脂肪酸トリグリセリドから選ばれる1種又は2種以上からなるものが好ましい。
なお、本発明において「中鎖脂肪酸」とは、炭素数が6〜12、好ましくは8〜10の飽和脂肪酸を意味するものであり、例えばヤシ油分解脂肪酸等を例示できる。
本発明の飲食物中に含有される蛋白質及びペプチドの少なくとも一方は、先に説明したように、全飲食物100質量%に対して、1〜50質量%の割合で含有されるが、1〜25質量%の割合がより好ましい。
該飲食物100質量%に対して、蛋白質及びペプチドの少なくとも一方の含有量が1質量%未満の場合は、先に挙げた他の組成条件を満たしていても、PEMの諸症状を改善する作用は弱くなり易くなる。逆に、50質量%を超える場合は、先に挙げた他の組成条件を満たしていても、PEM改善効果の更なる向上は望めない。また、飲食物の物性及び食感を考慮すると50質量%以下が好ましい。
本発明の飲食物中に含有される油脂は、先に説明したように、全飲食物100質量%に対して、1〜80質量%の割合で含有されるが、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%であり、1〜20質量%の割合が最も好ましい。さらに、上記油脂は、全構成脂肪酸100質量%に対して、中鎖脂肪酸を5〜100質量%の割合で含有するものであるが、7〜99質量%の割合がより好ましい。
なお、該飲食物の油脂含有量が1質量%未満の場合は、他の組成条件を満たしていても、PEMの諸症状を改善する作用は弱くなり易い。逆に、飲食物100質量%に対する油脂含有量が80質量%を超える場合は、他の組成条件を満たしていても、PEM改善効果のさらなる相乗効果の向上は必ずしも十分ではない。
また、油脂に含有される全構成脂肪酸100質量%に対して、中鎖脂肪酸が5質量%未満の場合、先に説明した他の組成条件を満たしていても、PEMの諸症状を改善する作用は弱くなる。
上記全構成脂肪酸100質量%に対して中鎖脂肪酸を5〜100質量%含む油脂は、例えば以下の通り得ることができる。すなわち、脂肪酸として炭素数6〜12、好ましくはカプリル酸(C8)又はカプリン酸(C10)を含有するODO(商品名、日清製油(株)製;カプリル酸75質量%、およびカプリン酸2質量%を含有するトリグリセリド)などの中鎖脂肪酸トリグリセリドと、植物油脂とを、混合油脂の全構成脂肪酸100質量%に対して中鎖脂肪酸含有量が5〜100質量%となるように混合する。また、全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含有量が10質量%以上である油脂と、植物油脂とを混合することにより、混合油脂の全構成脂肪酸中の中鎖脂肪酸含有量が5〜100質量%とする。さらに、中鎖脂肪酸トリグリセリドとその他の油脂とを含有する混合油脂を、ひとつの分子内に中鎖脂肪酸を少なくとも1つ含有するようにエステル交換することにより調製することもできる。
なお、上記中鎖脂肪酸トリグリセリドとは、グリセロールにエステル結合している3つの脂肪酸がすべて中鎖脂肪酸であるトリグリセリドを意味する。つまり、グリセロールにエステル結合している3つの脂肪酸がすべて炭素数が6〜12、好ましくは8〜10の飽和脂肪酸であるトリグリセリドを意味する。
先に説明したように、蛋白質・エネルギー低栄養状態は、体重の減少と血清アルブミン値の低下とが主な症状である。上記組成からなる本発明の飲食物を摂取することにより、栄養素、蛋白質が効率的に吸収され、従って蛋白質・エネルギー低栄養状態の症状である体重減少が予防もしくは抑制され、血清アルブミン値の低下も予防もしくは改善される。
なお、上記組成からなる本発明の飲食物は、本発明の効果を損なわない範囲で、風味、外観、物性等を調整するために、以下に示すその他の成分を含有することができる。
上記その他の成分としては、例えば、グルコース、ガラクトース等の単糖類、ショ糖、マルトース、マルトトリオース、ガラクトオリゴ糖等の少糖類、デキストリン、デンプン、セルロース等の多糖類、水飴等の単糖類、少糖類及び多糖類の混合物等の糖類;L−シスチン等のアミノ酸類;ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびリン等の灰分;コリン、酒石酸コリン、および重酒石酸コリン等のリン脂質分解物;着色料;酸味料;および香料等を例示できる。
また、本発明の飲食物中に含有される油脂は、全油脂100質量%に対して、構成脂肪酸の少なくとも1つが中鎖脂肪酸である油脂を15質量%以上含有することが好ましく、20質量%以上含有することがより好ましい。このような油脂を含有する飲食物は、より強いPEM改善作用を発揮できる。
なお、構成脂肪酸の少なくとも1つが中鎖脂肪酸からなる油脂を、全油脂100質量%に対して、15質量%未満の割合で含有する場合、蛋白質・エネルギー低栄養状態の改善効果が弱くなり易いため、好ましくない。
さらに、本発明の飲食物に含有される油脂は、全油脂100質量%に対して、中鎖脂肪酸トリグリセリドを0.1質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、そして1質量%〜100質量%の割合で含有することが最も好ましい。このような油脂を含有する飲食物は、より強いPEM改善作用を発揮できる。
なお、油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリドを含有するもののその割合が0.1質量%未満の場合、蛋白質・エネルギー低栄養状態の改善効果が弱くなり易いため、好ましくない。
上記中鎖脂肪酸トリグリセリドとしては、例えば、カプリル酸(C8)/カプリン酸(C10)=60〜75/40〜25(質量比)の割合でカプリル酸とカプリン酸とを含有してなるトリグリセリドが特に好ましい。かかる中鎖脂肪酸トリグリセリドは、例えば前記中鎖脂肪酸とグリセリンとを常法によりエステル化反応せしめて製造できるが、市販品の利用が至便である。
また、特に、 本発明の飲食物において、蛋白質及びペプチドの少なくとも一方と中鎖脂肪酸との質量比は、1:0.02〜1:25の範囲が好ましく、1:0.05〜1:10の範囲がより好ましく、さらに1:0.1〜1:5の範囲が最も好ましい。
特に、本発明の飲食物において、油脂をなす全構成脂肪酸100質量%に対して中鎖脂肪酸が5質量%以上、好ましくは7質量%以上の割合で含有される場合、蛋白質及びペプチドの少なくとも一方と中鎖脂肪酸との相乗効果により、PEM改善作用が大きくなる。
蛋白質及びペプチドの少なくとも一方の質量1に対して中鎖脂肪酸質量が、0.02未満の場合、又は中鎖脂肪酸質量が25を越える場合は、相乗効果によるPEM改善作用の向上は必ずしも高くはないため、好ましくない。蛋白質及びペプチドの少なくとも一方と中鎖脂肪酸との質量比が1:0.02〜1:25の範囲内であっても、本発明の飲食物において、油脂をなす全構成脂肪酸100質量%に対して中鎖脂肪酸が5質量%に満たない場合は相乗効果が必ずしも高くない。
蛋白質及びペプチドの少なくとも一方の質量1に対して、中鎖脂肪酸質量が0.02未満の場合、および中鎖脂肪酸質量が25を超える場合は、相乗効果によるPEM改善作用の向上は必ずしも高くはないため、好ましくない。
本発明の飲食物の堅さは、直線運動により物質の圧縮応力を測定(測定条件;試料を直径40mmの円柱型容器に15mmの高さに充填、直径20mmプランジャーにて圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mmで測定、測定時のサンプル温度20±2℃)することが可能な装置により測定した場合、100〜50,000[N/m]の範囲にあることが好ましく、100〜30,000[N/m]の範囲がより好ましく、100〜5,000[N/m]の範囲が特に好ましい。
直線運動によって圧縮応力を測定することが可能な装置により測定した堅さが100[N/m]未満の飲食物は、高齢者にとって、その飲食物が誤って気管や肺に入る等の可能性が考えられるため好ましくない。また、堅さが50,000[N/m]を超える飲食物は、高齢者が十分に噛み切れず、飲食物の大きな食塊が気管につまる可能性が考えられるため、好ましくない。
上記直線運動によって圧縮応力を測定することが可能な装置としては、例えば株式会社山電のクリープメータ;RE−33005があげられる。
本発明の飲食物は誰にでも使用可能だが、嚥下機能が十分でない者、例えば高齢者、特に60歳以上の男女高齢者に摂取させるのが好ましい。ヒトは年齢が60歳以上になると、食欲や消化吸収能力が低下して栄養を十分に摂取できなくなったり、運動能力や運動量が低下して筋肉量、ひいては体重が減少したり、嚥下の機能が低下して、むせて苦しむために飲食物の摂取に消極的になったりする。これらの要因が単独で、あるいは重複して蛋白質・エネルギー低栄養状態を引き起こす。本発明の飲食物は、特に高齢者のPEM改善に効果がある。
さらに、本発明の飲食物の性状は、ゲル状及びとろみ状の少なくとも一方であることが好ましい。先に説明したように、高齢者は飲食物を嚥下する機能が低下することが多く、特に流動性の高い水、お茶、みそ汁等を飲み込む時にむせて苦しむことがある。このような高齢者は、飲食物を摂取することに消極的になりがちで、このことも蛋白質・エネルギー低栄養状態を引き起こす一因となりうる。本発明の飲食物がゲル状及びとろみ状の少なくとも一方である場合は、これらの飲食物を嚥下しても、むせて苦しむことが少なくなるため、嚥下機能の低下した高齢者でも飲食物を積極的に摂取することができ、従って蛋白質・エネルギー低栄養状態の予防もしくは改善がより効果的に行われる。言い換えれば、本発明の飲食物の性状がゲル状及びとろみ状の少なくとも一方であると、高齢者、特に嚥下機能が十分でない高齢者であっても容易に嚥下が可能である。
なお、本発明では、「とろみ状飲食物」とは、練乳やカスタードや水あめのように粘度が500〜100,000[mPa・s]の範囲にある液状飲食物、またはゼリーや豆腐やハンバーグのように堅さが100〜50,000[N/m]の範囲内で、その飲食物を口腔に入れた際に、歯で噛まなくても舌だけで容易に押し潰すことの可能な飲食物を意味する。なお、流動特性はニュートン性でも非ニュートン性でもよい。
飲食物の性状をゲル状及びとろみ状の少なくとも一方とするためには、ゲル化剤及び凝固剤の少なくとも一方、特に増粘多糖類を用いることが好ましい。増粘多糖類としては特に制限はなく、例えば、カラギーナン、ファーセルラン、寒天、アルギン酸、およびジェランガム等が挙げられる。凝固剤としても特に制限はなく、例えば硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、および粗製海水塩化マグネシウム(ニガリ)等が挙げられる。本発明の飲食物ではこれらのゲル化剤及び凝固剤のうち少なくとも1種を適宜選択することができる。また、食感、物性を調整するため、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム等を用いることもできる。
かかる増粘多糖類を適宜選択して用いることによって、絹ごし豆腐様の食感で、スプーンで容易に崩すことができ、なめらかなのどごしで、高齢者、特に嚥下機能が十分でない高齢者にも容易に嚥下できるゲル状及びとろみ状の少なくとも一方の性状を有する飲食物を調製することができる。
また、本発明の飲食物は、その性状がゲル状及びとろみ状の少なくとも一方である場合、大豆磨砕物、脱脂大豆、大豆粕、大豆搾り汁、大豆水抽出物、大豆可溶画分、および豆乳のうち少なくとも1種以上の大豆蛋白質と、食用油脂と、ゲル化剤及び凝固剤のうち少なくとも一方とを調合加工した豆腐様の食品であって、飲食物100質量%に対して、蛋白質を1〜25質量%の割合で含有し、さらに油脂を1〜30質量%の割合で含有することが好ましい。
かかる飲食物によれば、良質な蛋白質(プロテインスコアが100)を摂取することができる。
特に、本発明の飲食物は、その性状がゲル状及びとろみ状の少なくとも一方である場合、飲食物100質量%に対して、蛋白質含有量は1〜25質量%であることが好ましいが、より好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは2〜15質量%、特に好ましくは2〜10質量%、そして3〜10質量%であることが最も好ましい。また、飲食物100質量%に対して、油脂含有量は1〜30質量%が好ましいが、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは2〜20質量%、特に好ましくは2〜15質量%、そしては3〜12質量%であることが最も好ましい。蛋白質含有量および油脂含有量がかかる範囲であれば、より適切な量の蛋白質、エネルギーを摂取することができる。
上記飲食物において、飲食物100質量%に対して、蛋白質および油脂含有量が1質量%未満の場合、体内に十分な量の蛋白質や中鎖脂肪酸が吸収されないため、蛋白質・エネルギー低栄養状態改善効果が弱くなり易い。逆に蛋白質含有量が25質量%を超えるか、油脂含有量が30質量%を超える場合は、糖尿病、肝臓病など高蛋白質、高カロリーの食事が禁忌である疾患を併発している高齢者には好ましくない。
なお、ゲル状及びとろみ状の少なくとも一方の性状を有する上記組成からなる飲食物においては、必要に応じて他の成分を添加することができる。
上記他の成分としては、上記糖類及び灰分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ユビキノン、ナイアシン、葉酸等のビタミン類、カルシウム、マグネシウム等のミネラル類、ヘム鉄等の鉄類、シトステロール、γ−オリザノール等のステロール類、オリゴ糖、デキストリン、イソフラボン、サポニン、分岐鎖アミノ酸、タウリン、ポリフェノール、食物繊維等を配合することができる。このうち、ガラクトオリゴ糖を配合すると、整腸作用を有するため好ましい。また、デキストリン、およびビタミン類も好ましい。
さらに、カルシウム等のミネラル類、大豆ステロール等のステロール類、イソフラボン、サポニン、分岐鎖アミノ酸、タウリン、ポリフェノール、食物繊維等を配合するとさらに好ましい。
本発明の飲食物は、例えば以下の方法により調製することができる。
すなわち、タンパク質およびペプチドの少なくとも一方、例えばタンパク質及びペプチドの少なくとも一方を含有する大豆、乳製品、小麦粉等の食品原料と、全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を5〜100質量%含有する食用油脂と、その他の任意成分とを先に説明した割合で調合し、必要に応じてろ過、加熱殺菌、均質、冷却したものを、適当な容器に充填することにより、調製することができる。
本発明の飲食物は、例えば豆腐様の食感に調製すれば、冷やっこ、みそ汁の具、だしあん等として喫食することができる。また、くずもち様、茶碗蒸し様、キザミ食様等の食感に調製することもできる。
ゲル状及びとろみ状の少なくとも一方の性状を有する飲食物の製法として、例えば以下の方法があげられるが、これに限定するものではない。すなわち、大豆磨砕物、脱脂大豆、大豆粕、大豆搾り汁、大豆水抽出物、大豆可溶画分、および豆乳のうち1種又は2種以上の大豆蛋白質を含有する原料、全構成脂肪酸中に中鎖脂肪酸を5〜100質量%含有する食用油脂、ゲル化剤及び凝固剤の少なくとも一方、および必要に応じてその他の成分とを調合してろ過したものを、加熱殺菌する。殺菌後、均質化、冷却したものを、適当な容器に充填し豆腐様の食品を得る。
このように、無菌的に調製し、かつ無菌的に包装しておくことによって、本発明の飲食物は常温で長期間保存が可能である。
以下、実施例を示して本発明の飲食物をさらに詳細に説明するが、本発明の飲食物は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本発明の飲食物は、ヒトの高齢者PEM患者の症状改善を目的としたものである。従って、本発明による飲食物の有効性の評価も、ヒトPEM患者で実施するのが望ましい。しかし、PEM患者は栄養不良などの理由により体力が低下しており、このような患者に新規の実験食を投与することは好ましくない。このような場合、実際の臨床のPEMと類似の症状を示す疾患モデル動物を作製し、その動物を用いて評価をおこなう方法が汎用されている。本試験においては、ラットに低蛋白質又は無蛋白質飼料を摂取させることにより、短期間でPEM症状である低アルブミン血症と体重減少とを生じさせてPEMモデルラットを作製し同時に飼料中に分子内に中鎖脂肪酸を含有する油脂を含有させておくことにより、本発明の飲食物のPEM改善効果を実験的に判定した。
上述のように、PEM患者では体重および血清アルブミン値が減少し、PEMモデルラットでも同様の現象が起きる。従って、実験期間中のラットの体重および血清アルブミン値を測定し、比較例と実施例との測定値を比較することにより、PEMの改善の程度を知ることができる。この場合、体重の減少量が小さいほど、又は体重の増加量が大きいほどPEMが改善されたといえる。あるいは、血清アルブミン値が高いほどPEMが改善されたといえる。
実施例及び比較例で使用した分析方法、およびPEM改善作用の評価方法と評価基準とを以下に示す。
[検体油脂中の脂肪酸組成およびトリグリセリド組成の分析方法、および食品中の中鎖脂肪酸組成の分析方法]
GLC分析法(日本油化学会制定 基準油脂分析試験法 2.4.2.2)を採用した。
[血清アルブミン値の測定]
血清アルブミン値をBCG法によって求めた。方法は、ラットの血清5μLとアルブミン発色試薬(37mMコハク酸緩衝液ph4.2,BCG0.08mM含有)1mLとを混合したものを室温に10分間放置した後、波長630nmの吸光度を測定した。次いで、濃度既知の標準血清の同法による測定値と比較して、血清アルブミン値を算出した。このBCG法とは、試験管内でアルブミンとブロムクレゾールグリーン(BCG)とが結合して呈した青色の吸光度を測定することによりアルブミンの濃度を求めるもので、臨床検査でも多用されている。臨床では同法によって測定された血清アルブミン値がPEMの指標として利用されており、3.5g/dL以下でPEMと判定される。本実験のラットの血清においては、この値が大きいほどPEM改善作用が大きいと判断できる。
[PEM改善作用の評価方法]
7週齢のウィスター系雄ラット(日本エスエルシー)3匹を1試験区とし、実施例及び比較例で得た飼料等を、3週間、水とともに自由摂取させた。飼料成分の酸化劣化を考慮して、飼料は2日に1回の割合で交換した。試験開始時及び試験食投与3週間目の午前11時に各ラットの血液を採取した。血液を遠心分離して血清を調製した。次いで、血清アルブミン値を上記BCG法により測定した。実施例と比較例とのラットの血清アルブミン値の有意差検定結果に基づいて、各検体飼料のPEM改善作用を評価した。
[血清アルブミン値より判定したPEM改善作用の評価基準]
以下の通り、PEM改善効果のグレードを4つに分け、評価基準とした。なお、評価結果を示す下記表3および表5では以下の符号を用いて評価結果を表した。
◎:顕著な効果・向上あり(有意差あり 危険率<0.01)
○:効果・向上あり (有意差あり 危険率<0.05)
−:特に効果・向上なし (有意差なし)
×:減少
実施例1〜3及び比較例1〜3
実施例1では、中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる油脂であるODO(日清製油(株)製)を検体油脂として使用した。使用した検体油脂中の脂肪酸組成およびトリグリセリド組成をGLC分析によって求めた。次いで、得られた検体油脂を使用して、下記表2に示される組成を有する低(5質量%)蛋白質飼料を調製し、先に「ラットを用いた動物実験」の欄で説明したように、得られた飼料をラットに3週間摂取させ、PEM改善作用を評価した。評価結果は、上記検体油脂中の脂肪酸組成およびトリグリセリド組成のGLC分析結果と共に、下記表3に示す。
実施例2では、ODOと大豆油(日清製油(株)製)とを1:9の比率で混合した油脂を検体油脂として調製した以外は、上記実施例1と同様にPEM改善作用を評価した。
実施例3では、ODOと大豆油(日清製油(株)製)とを1:9の比率で混合した後エステル交換した油脂を検体油脂として調製した以外は、上記実施例1と同様にPEM改善作用を評価した。
比較例1では、検体油脂として、ODOに代えて大豆油(日清製油(株)製)を用いた以外は実施例1と同様にPEM改善作用の評価を行った。上記実施例と同様に、評価結果を下記表3に示す。
比較例2では、下記表1に示されているように、カゼインを添加しない、無蛋白質飼料を摂取させた以外は実施例3と同様に評価を行った。つまり、実施例3の飼料ではコーンスターチを62.95質量%およびカゼインを5質量%含有しているのに対して、比較例2ではカゼインを含有せずにコーンスターチを67.95質量%含有している点が異なる。上記実施例と同様に、評価結果を下記表3に示す。
比較例3では、ODOと大豆油との混合比率である1:9を1:49に代えた以外は実施例2と同様に試験をおこなって、PEM改善作用を評価した。上記実施例と同様に、評価結果を下記表3に示す。
Figure 2002094039
Figure 2002094039
Figure 2002094039
実施例4〜7及び比較例4及び5
実施例4では、中鎖脂肪酸トリグリセリドからなる油脂であるODO(日清製油(株)製)を検体油脂として使用した。得られた検体油脂中の脂肪酸組成をGLC分析によって求めた。得られた検体油脂、豆乳、デキストリン、ガラクトオリゴ糖、ビタミンE、およびゲル化剤を下記表4に示すとおりの割合で混合してろ過した後、150℃で、5秒間加熱殺菌した。これを均質化した後、50℃前後に冷却し、容器に充填した。充填後さらに4℃で8時間冷却して豆腐様の食品を得た。得られた豆腐様食品中の中鎖脂肪酸組成をGLC分析によって求めた。
次いで、得られた豆腐様食品を使用してPEM改善作用を評価した。つまり、大豆油を検体油脂として使用して、上記表1の組成を有するように、無蛋白質飼料を調製してラットに3週間自由摂取させ、また同時に、得られた豆腐様食品を、各ラットに1日当たり10g強制投与して、PEM改善作用を評価した。
実施例5では、ODOと大豆油(日清製油(株)製)とを2:8の比率で混合した油脂を検体油脂として調製し、得られた検体油脂を使用して下記表4に示すとおりの割合で混合して豆腐用の食品を得た以外は、上記実施例4と同様にしてPEM改善作用を評価した。
実施例6では、ODOと大豆油(日清製油(株)製)とを2:8の比率で混合した後エステル交換した油脂を検体油脂として調製し、得られた検体油脂を使用して下記表4に示すとおりの割合で混合して豆腐用の食品を得た以外は、上記実施例4と同様にしてPEM改善作用を評価した。
実施例7では、ゲル化剤を使用せずとろみをつけない混合液を調製して摂取させた以外は実施例6と同様に試験をおこなった。
比較例4では、検体油脂として大豆油を用い、さらに豆乳の代わりにカゼインナトリウム水溶液を用いてプリン様食品調製して摂取させた以外は実施例4と同様に試験をおこなった。
比較例5は、蛋白質を含まないプリン様食品調製して摂取させた以外は実施例6と同様に試験をおこなった。結果を表5に示す。
Figure 2002094039
また、株式会社山電のクリープメータ;RE−33005を用いて、得られた豆腐様食品の圧縮応力を直線運動によって3回測定した。実施例6の豆腐様食品の圧縮応力(3回測定値)は、2308、2308、2371[N/m]で、実施例7のとろみを付けない混合液の圧縮応力(3回測定値)は、92,88,95[N/m]であった。
Figure 2002094039
ODOを使用した実施例と、一般の食用油脂である大豆油を用いた比較例とを比較すると、ODOを含有してなる実施例の飲食物は、現在広く使用されている大豆油を含有してなる飲食物よりPEM改善作用が高いことがわかる。
また、実施例6と実施例7とを比較すると、実施例7で得られたとろみなしの食品であってもPEM改善作用は高いのに、実施例6で得られたとろみをつけた食品はさらに高いPEM改善作用を有することが分かる。つまり、本実施例の飲食物は、がゲル状及びとろみ状の少なくとも一方の性状を有する飲食物であれば、かかる効果が特に高いことがわかる。
実施例3と比較例2とを比較すると、低(5質量%)蛋白質食を摂取した方が無蛋白質色を摂取した場合よりも、PEM改善作用が高いことがわかる。
産業上の利用の可能性
本発明の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物は、蛋白質、エネルギーの補給効率が高くなる飲食物であって、著しいPEM改善作用を有する。つまり、本発明の飲食物を摂取することによりPEMの諸症状の改善が期待できる。

Claims (9)

  1. 蛋白質及びペプチドの少なくとも一方と油脂とを含有する飲食物であって、
    上記蛋白質及びペプチドの少なくとも一方は、全飲食物100質量%に対して、1〜50質量%の割合で含有され、
    上記油脂は、全飲食物100質量%に対して、1〜80質量%の割合で含有され、さらに
    上記油脂は、油脂をなす全構成脂肪酸100質量%に対して、中鎖脂肪酸を5〜100質量%の割合で含有することを特徴とする蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物。
  2. 構成脂肪酸の少なくとも1つが中鎖脂肪酸である油脂を、前記油脂100質量%に対して、15質量%以上の割合で含有することを特徴とする請求項1記載の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物。
  3. 中鎖脂肪酸トリグリセリドを、全油脂100質量%に対して、0.1質量%以上含有していることを特徴とする請求項1記載の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物。
  4. 前記蛋白質及びペプチドの少なくとも一方と中鎖脂肪酸との質量比率が1:0.02〜1:25であることを特徴とする請求項1記載の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物。
  5. 直線運動により物質の圧縮応力を測定(測定条件;試料を直径40mmの円柱型容器に15mmの高さに充填、直径20mmプランジャーにて圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mmで測定、測定時のサンプル温度20±2℃)することが可能な装置により測定した堅さが100〜50,000[N/m]であることを特徴とする請求項1項記載の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物。
  6. 高齢者に用いることを特徴とする請求項1項記載の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物。
  7. 性状がゲル状及びとろみ状の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1項記載の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物。
  8. 大豆磨砕物、脱脂大豆、大豆粕、大豆搾り汁、大豆水抽出物、大豆可溶画分、豆乳のうち少なくとも1種以上の大豆蛋白質と、食用油脂と、ゲル化剤及び凝固剤の少なくとも一方とを調合加工して得られる豆腐様の食品で、
    蛋白質を、全飲食物100質量%に対して、1〜25質量%の割合で含有し、かつ
    油脂を、全飲食物100質量%に対して、1〜30質量%の割合で含有することを特徴とする請求項7記載の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物。
  9. さらにデキストリン、ビタミン類、およびオリゴ糖を調合加工して得られることを特徴とする請求項8記載の蛋白質・エネルギー低栄養状態改善用飲食物。
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