JPWO2002055748A1 - 耐摩耗性銅基合金 - Google Patents

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Abstract

高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性を高めるのに有利であり、殊に肉盛して肉盛層を形成する場合に適する耐摩耗性銅基合金を提供する。耐摩耗性銅基合金は、重量%で、ニッケル:5.0〜20.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:3.0〜20.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちの1種または2種以上:3.0〜20.0%、不可避不純物を含むと共に、残部が銅の組成からなることを特徴とする。ニオブ炭化物:0.01〜5.0%が含まれていることが好ましい。

Description

技術分野
本発明は耐摩耗性銅基合金に関する。本発明は、例えば、内燃機関のバルブシートやバルブなどの動弁系部材に代表される摺動部材の摺動部分を構成する銅基合金に適用することができる。
背景技術
従来、耐摩耗性銅基合金として、銅にベリリウムを添加した合金、コルソン合金として知られる銅−ニッケル−シリコン合金、銅基マトリックスにSiO、Cr、BeO等の硬質酸化物粒子を分散させた分散強化型の合金が知られている。しかしこれらの合金は凝着の問題があり、耐摩耗性は必ずしも充分な特性を有するものではない。
そこで本出願人は、銅よりも酸化し易い亜鉛、スズを含有した耐摩耗性銅基合金を開発した。このものでは亜鉛やスズの酸化物の生成により耐凝着性が改善され、銅基合金の耐摩耗性が向上する。しかしながら亜鉛、スズは銅よりも融点がかなり低いため、必ずしも満足できるものではない。殊に、レーザビーム等の高密度エネルギ熱源を用いて上記した銅基合金の肉盛層を形成する際には、肉盛の際には亜鉛やスズが蒸発し易く、合金元素の目標濃度を維持するのが容易ではなかった。そこで、近年、重量%で、ニッケル:10.0〜30.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:2.0〜15.0%、クロム:1.0〜10.0%、コバルト:2.0〜15.0%、並びに、モリブデン、タングステン、ニオブ及びバナジウムのうちの1種または2種以上:2.0〜15.0%を含む組成からなる耐摩耗性銅基合金が本出願人により開発されている(特開平8−225868号公報、特公平7−17978号公報)。この合金においては、Co−Mo系のシリサイド(珪化物)を有する硬質粒子とCu−Ni系のマトリックスとを主要素としている。この耐摩耗性銅基合金の耐摩耗性はCo−Mo系のシリサイドを有する硬質粒子で主として確保されており、この耐摩耗性銅基合金の耐ワレ性はCu−Ni系のマトリックスで主として確保されている。この合金は厳しい条件で使用されたとしても、耐摩耗性が高い。更に、亜鉛、スズが積極的元素として用いられておらず、肉盛する場合であっても合金元素の蒸発の不具合が少なく、ヒューム等の発生が少ない。よって、殊にレーザビーム等の高密度エネルギ熱源を用いて肉盛層を形成する肉盛用合金として適する。
上記したように特開平8−225868号公報、特公平7−17978号公報に係る合金は、厳しい条件で使用されたとしても、優れた耐摩耗性を示す。殊に、酸化雰囲気や大気中においては、良好なる固体潤滑性を示す酸化物が生成するため、優れた耐摩耗性を示す。上記した特開平8−225868号公報、特公平7−17978号公報に係る合金では、Co−Mo系のシリサイド(珪化物)を有する硬質粒子とCu−Ni系のマトリックスとは相反する特性を有しており、耐摩耗性を向上させるためには、硬質粒子の面積率を高める必要がある。しかしながらCo−Mo系のシリサイドは耐摩耗性改善効果を有するものの、硬くて脆いため、硬質粒子の面積率を高める方向に合金組成を調整すると、耐摩耗性銅基合金の耐ワレ性が低下する。殊に、耐摩耗性銅基合金が肉盛りされる場合には、ビードワレが発生することがあり、肉盛時に歩留まりが低下する。逆に、耐摩耗性銅基合金における硬質粒子の面積率を低くする方向に合金組成を調整すると、耐摩耗性銅基合金の耐摩耗性は低下する。
近年、耐摩耗性銅基合金は様々な環境で使用されつつあり、様々な環境においても優れた耐摩耗性を発揮できることが要請されている。よって産業界においては、上記した公報に係る合金よりも、耐摩耗性、耐ワレ性及び被削性をバランスよく兼ね備えている合金が要望されている。
発明の開示
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性を高めるのに有利であり、殊に肉盛して肉盛層を形成する場合に適し、耐摩耗性、耐ワレ性及び被削性をバランスよく兼ね備えている耐摩耗性銅基合金を提供することを課題とする。
本発明者は上記した課題のもとに鋭意開発をすすめ、硬質粒子の主要素であるCo−Mo系のシリサイドは硬くて脆い性質(一般的にはHv1200程度)を有することに着目した。そして、硬くて脆い性質を有するCo−Mo系のシリサイドを減少または消失させ、Co−Mo系のシリサイドよりも硬さが低く且つ靱性も若干高い性質をもつFe−Mo系のシリサイド、Fe−W系のシリサイド、またはFe−V系のシリサイドの割合を増加させることを意図した。
このため上記した特開平8−225868号公報、特公平7−17978号公報に係る合金組成に対して、Co量及びNi量を含有させつつも、Co量及びNi量を減少させ、且つ、Fe量及び/またはMo量を増加させることにより、高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性を高め得る第1発明に係る耐摩耗性銅基合金を開発した。
更に第1発明に係る耐摩耗性銅基合金にニオブ炭化物(NbC)を含ませることにより硬質粒子の微細化を図り、高温領域における耐摩耗性、耐ワレ性及び被削性を高め得る第2発明に係る耐摩耗性銅基合金を開発した。
即ち、第1発明に係る耐摩耗性銅基合金は、重量%で、ニッケル:5.0〜20.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:3.0〜20.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちの1種または2種以上:3.0〜20.0%、不可避不純物を含むと共に、残部が銅の組成からなることを特徴とするものである。
第2発明に係る耐摩耗性銅基合金は、重量%で、ニッケル:5.0〜20.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:3.0〜20.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちの1種または2種以上:3.0〜20.0%、ニオブ炭化物:0.01〜5.0%、不可避不純物を含むと共に、残部が銅の組成からなることを特徴とするものである。なお本明細書では特に断らない限り、%は重量%を意味する。
本発明に係る耐摩耗性銅基合金によれば、高温領域における耐摩耗性を高め得るばかりか、耐ワレ性及び被削性を高めるのに有利であり、従って、耐摩耗性、耐ワレ性、被削性をバランス良く満たすことができる。殊に肉盛する場合には、耐摩耗性、肉盛性、耐ワレ性、被削性をバランス良く満たすことができる。
発明を実施するための最良の形態
第1発明、第2発明に係る耐摩耗性銅基合金によれば、一般的には、硬質相を有する硬質粒子がマトリックスに分散している組織が得られる。硬質粒子の平均硬度はマトリックスの平均硬度よりも高い。硬質粒子はシリサイド(珪化物)を含む形態を採用できる。マトリックスもシリサイド(珪化物)を含む形態を採用できる。ここで、硬質粒子は、モリブデン、タングステン及びバナジウムの1種または2種以上を主要成分とするシリサイド(珪化物)を含むことが好ましい。硬質粒子としては、例えば、Fe−Moを主要成分とするシリサイドを含む硬質粒子、Fe−Wを主要成分とするシリサイドを含む硬質粒子、Fe−Vを主要成分とするシリサイドを含む硬質粒子のうちの少なくとも1種を採用できる。耐摩耗性銅基合金のマトリックスとしては、Cu−Ni系の固溶体と、ニッケルを主要成分とするシリサイドとを主要素として形成されている形態を採用できる。
第1発明、第2発明に係る耐摩耗性銅基合金によれば、一般的には、マトリックスの硬度(マイクロビッカース)はHv130〜250程度、殊にHv150〜200にでき、硬質粒子の硬度はマトリックスよりも硬く、Hv250〜700程度、殊にHv300〜500にできる。硬質粒子の体積比は適宜選択されるが、耐摩耗性銅基合金を100%としたとき100%のうち、体積比で例えば10〜60%程度、12〜55%程度とすることができる。硬質粒子の粒径は耐摩耗性銅基合金の組成や耐摩耗性銅基合金の凝固速度等にも影響されるが、一般的には20〜3000μm、40〜600μm、50〜500μm、50〜200μmとすることができるが、これに限定されるものではない。
本発明に係る耐摩耗性銅基合金に係る組成の限定理由ついて説明を加える。
・ニッケル:5.0〜20.0%
ニッケルは一部が銅に固溶して銅基のマトリックスの靱性を高め、他の一部はニッケルを主要成分とする硬質なシリサイド(珪化物)を形成して分散強化により耐摩耗性を高める。またニッケルはコバルト、鉄、モリブデン等と共に硬質粒子の硬質相を形成する。上記した含有量の下限値未満では、銅−ニッケル系合金の有する特性、特に良好なる耐食性、耐熱性及び耐摩耗性が発現しにくくなり、更に、硬質粒子が減少し、上記した効果が十分に得られない。更にコバルト、鉄、モリブデンを添加できる量が少なくなる。上記した含有量の上限値を越えると、硬質粒子が過剰となり、靱性が低くなり、肉盛層としたときワレが発生し易くなり、更に肉盛する場合には、対象物に対する肉盛性が低下する。上記した事情を考慮し5.0〜20.0%としている。好ましくは、ニッケルは5.3〜18%、殊に5.5〜17.0%とすることができる。なお、本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、ニッケルの上記含有量範囲の下限値としては6.0%、7.0%を例示でき、その下限値に対応する上限値としては例えば19.0%、18.0%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
・シリコン:0.5〜5.0%
シリコンはシリサイド(珪化物)を形成する元素であり、ニッケルを主要成分とするシリサイド、または、モリブデン(タングステン、バナジウム)を主要成分とするシリサイドを形成し、更に銅基のマトリックスの強化に寄与する。殊に、モリブデン(またはタングステン、バナジウム)を主要成分とするシリサイドは、本発明に係る耐摩耗性銅基合金の高温潤滑性を維持する働きがある。上記した含有量の下限値未満では、上記した効果が十分に得られない。上記した含有量の上限値を越えると、耐摩耗性銅基合金の靱性が低下し、肉盛層としたときワレが発生し易くなり、対象物に対する肉盛性が低下する。上記した事情を考慮し、シリコンは0.5〜5.0%としている。好ましくは、シリコンは1.0〜4.0%、殊に1.5〜3.0%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、シリコンの上記含有量範囲の下限値としては0.6%、0.7%を例示でき、その下限値に対応する上限値としては4.5%、3.8%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
・コバルト:0.01〜2.00%
コバルトは銅中にはほとんど固溶せず、モリブデンと共にシリサイドを生成し、シリサイドを安定化させる働きをする。またコバルトは2.00%まではNi、Fe、Cr等と固溶体を形成し、靱性を向上させる。またコバルトは融液状態における液相分離傾向を高める。マトリックスとなる液相部分から分離された液相が主として硬質粒子を生成すると考えられる。上記した含有量の下限値未満では、上記した効果が十分に得られない。またはコバルトが0%である場合には、ワレ感受性が高いためである。
上記した含有量の上限値を越えると、硬質相の粗大化が激しくなり、相手攻撃性が高まり、耐摩耗性銅基合金の靱性が低くなり、更に対象物に肉盛する場合にはワレが発生し易くなる。上記した事情を考慮してコバルトは0.01〜2.00%としており、好ましくは、コバルトは0.01〜1.97%、殊に0.50〜1.70%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、コバルトの上記含有量範囲の上限値としては1.80%、1.60%、1.50%を例示でき、その上限値に対応する下限値としては0.02%、0.03%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
・鉄:3.0〜20.0%
鉄はコバルトと同様な働きをし、コスト高なコバルトと置き換えることができる。鉄は銅基のマトリックスにはほとんど固溶せず、主に、Fe−Mo系、Fe−W系またはFe−V系のシリサイドとして硬質粒子中に存在する。Fe−Mo系、Fe−W系またはFe−V系のシリサイドは、Co−Mo系のシリサイドよりも硬さが低く且つやや靱性も高い。上記したFe−Mo系等のシリサイドを多く生成させるために、鉄を3.0〜20.0%としている。上記した含有量の下限値未満では、硬質粒子が減少して耐摩耗性が低下し、上記した効果が十分に得られない。上記した含有量を越えると、硬質粒子における硬質相の粗大化が激しくなり、耐摩耗性銅基合金の耐ワレ性が低下し、更に相手攻撃性が高まる。上記した事情を考慮して前記したように鉄を3.0〜20.0%としている。好ましくは、鉄は3.1〜19.0%、殊に3.5〜18.0%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、鉄の上記含有量範囲の上限値としては18.0%、16.0%を例示でき、その上限値に対応する鉄の下限値としては3.3%、3.6%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
・クロム:1.0〜15.0%
クロムは鉄やコバルトと同様な働きをし、銅基のマトリックスにはほとんど固溶せず、ニッケルの一部及びコバルトの一部と合金化して、耐酸化性を高める。更にクロムは、硬質相に存在し、更に融液状態における液相分離傾向を高める。上記した含有量の下限値未満では、上記した効果が十分に得られない。上記した含有量の上限値を越えると、硬質相の粗大化が激しくなり、相手攻撃性が高まる。上記した事情を考慮してクロムは1.0〜15.0%としており、好ましくは、クロムは1.1〜10.0%、殊に1.2〜8.0%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、クロムの上記含有量範囲の下限値としては例えば1.1%、1.2%を例示でき、その下限値に対応する上限値としては例えば7.0%、6.0%、4.0%を例示できるが、これらに限定されるものではない。
・モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちの1種または2種以上:3.0〜20.0%
モリブデンはシリコンと結合してシリサイド(一般的には、靱性を有するFe−Mo系のシリサイド)を硬質粒子内に生成し、高温における耐摩耗性と潤滑性とを高める。このシリサイドはCo−Mo系のシリサイドよりも硬さが低く、靱性が高い。硬質粒子内に生成し、高温における耐摩耗性と潤滑性とを高める。モリブデンを主要成分とするシリサイドは、500〜700℃程度の比較的低い温度領域においても、しかも酸素分圧が低い環境においても、モリブデンを主要成分とする固体潤滑性に富む酸化物を生成し易い。この酸化物は、使用時に銅基のマトリックスの表面を覆い、相手材とマトリックスとの直接接触を避けるのに有利となる。これにより自己潤滑性が確保される。タングステン及びバナジウムについても基本的にはモリブデンと同様の働きをし、タングステンはFe−W系のシリサイドを硬質粒子内に生成し、バナジウムはFe−V系のシリサイドを硬質粒子内に生成する。
モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちの1種または2種以上が上記した含有量の下限値未満では、硬質粒子の割合が減少し、耐摩耗性が低下し、改善効果が十分に発揮されない。また上限値を越えると、硬質粒子が過剰となり、靱性が損なわれ、耐ワレ性が低下し、ワレが発生し易くなる。上記した事情を考慮して3.0〜20.0%としている。好ましくは、モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちの1種または2種以上は、3.0〜19.0%、殊に3.0〜18.0%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちの1種または2種以上の上記含有量範囲の下限値としては3.2%、4.0%を例示でき、その下限値に対応する上限値としては18.0%、17.0%、16.0%を例示できるが、これらに限定されるものではない。なお、モリブデン及びタングステンのうちの1種または2種以上としても良い。
・本発明の耐摩耗性銅基合金において、(鉄+モリブデン)の合計量は重量比で例えば10〜35%に設定されている形態を採用できる。この場合、Co−Mo系のシリサイドよりも靱性を有するFe−Mo系のシリサイドを確保するのに有利となる。また、本発明の耐摩耗性銅基合金において、(ニッケル+鉄)の合計量は重量比で例えば10〜35%に設定されている形態を採用できる。それ未満では耐摩耗性が不足し、それを越えるとワレ発生率が急激に増加するためである。
・ニオブ炭化物(NbC):0.01〜5.0%
ニオブ炭化物は、硬質粒子の核生成作用をなし、硬質粒子の微細化を図り、耐ワレ性及び耐摩耗性を両立させるのに貢献できる。ニオブ炭化物が上記含有量の下限値未満では、ニオブ炭化物添加による硬質粒子の微細化改善効果は必ずしも充分ではない。上記含有量の上限値を越えると、耐ワレ性を阻害する傾向が認められる。上記した事情を考慮して0.01〜5.0%としている。好ましく0.01〜4.5%、0.05〜4.0%とすることができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金に要請される諸性質の重視の程度に応じて、ニオブ炭化物の上記含有量範囲の上限値としては4.8%、3.0%、2.0%を例示でき、その下限値に対応する下限値としては0.02%、0.04%、0.1%を例示できるが、これらに限定されるものではない。なおニオブ炭化物は必要に応じて添加されるものであり、ニオブ炭化物を含まない場合でも良い。
本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、次の少なくとも一つの実施形態を採用することができる。
・本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、対象物に肉盛される肉盛合金として用いることができる。肉盛方法としては、レーザビーム、電子ビーム、アーク等の高密度エネルギ熱源を用いて溶着して肉盛する方法が挙げられる。肉盛の場合には、本発明に係る耐摩耗性銅基合金を粉末化して肉盛用素材とし、その粉末を被肉盛部に集合させた状態で、上記したレーザビーム、電子ビーム、アーク等の高密度エネルギ熱源を用いて溶着して肉盛することができる。また上記した耐摩耗性銅基合金は、粉末化に限らず、ワイヤ化、棒状化した肉盛用素材としても良い。レーザビームとしては炭酸ガスレーザビーム、YAGレーザビーム等の高エネルギ密度をもつものが例示される。肉盛される対象物の材質としてはアルミニウム、アルミニウム系合金、鉄または鉄系合金、銅または銅系合金等が例示される。対象物を構成するアルミニウム合金の基本組成としては鋳造用のアルミニウム合金、例えば、Al−Si系、Al−Cu系、Al−Mg系、Al−Zn系等のいずれかを例示できる。対象物としては内燃機関等の機関が例示される。内燃機関の場合には動弁系材料が例示される。この場合には、排気ポートを構成するバルブシートに適用しても良いし、吸気ポートを構成するバルブシートに適用しても良い。この場合には、本発明に係る耐摩耗性銅基合金でバルブシート自体を構成しても良いし、本発明に係る耐摩耗性銅基合金をバルブシートに肉盛することにしても良い。但し、本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、内燃機関などの機関の動弁系材料に限定されるものではなく、耐摩耗性が要請される他の系統の摺動材料、摺動部材、焼結品にも使用できるものである。本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、亜鉛やスズを積極的元素として含まないため、肉盛する場合であっても、ヒュームなどの発生を抑えることができる。
・本発明に係る耐摩耗性銅基合金としては、肉盛に用いられる場合には、肉盛後の肉盛層を構成しても良いし、肉盛前の肉盛用合金でも良い。
・本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、例えば銅基の摺動部材及び摺動部位に適用することができ、具体的には、内燃機関に搭載される銅基の動弁系材料にも適用することができる。本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、肉盛用、鋳造用、焼結用として用いることができる。
上記した記載から次の技術的思想も把握することができる。
(付記項1)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛層。
(付記項2)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛摺動部材。
(付記項3)付記項1または付記項2において、レーザビーム、電子ビーム、アークから選択される高密度エネルギ熱源により形成された肉盛層または肉盛摺動部材。
(付記項4)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛層を有する内燃機関用の動弁系部材(例えばバルブシート)。
(付記項5)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金を用い、耐摩耗性銅基合金を基体に被覆することを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項6)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金の粉末材料を用い、粉末材料を基体に被覆して粉末層を形成し、粉末層を融液化した後に凝固させることにより耐摩耗性に優れた肉盛層を形成することを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項7)付記項6において、肉盛層は急熱、急冷により形成されることを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項8)付記項6において、粉末層の融液化は、レーザビーム、電子ビーム、アークから選択される高密度エネルギ熱源により行われることを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項9)付記項5または付記項6において、基体はアルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されていることを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項10)付記項5または付記項6において、基体は内燃機関用の動弁系部品または動弁系部位(例えばバルブシート)であることを特徴とする摺動部材の製造方法。
(付記項11)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成されたバルブシート合金。
(付記項12)マトリックスに硬質粒子が分散しており、硬質粒子は、Fe−Mo、Fe−W、Fe−Vのうちの1種または2種以上を主要成分とするシリサイドと、Ni−Fe−Cr系の固溶体とを主要素としており、マトリックスは、Cu−Ni系の固溶体と、ニッケルを主要成分とするシリサイドとを主要素とすることを特徴とする各請求項に記載の耐摩耗性銅基合金。
(付記項13)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成された粉末材料。
(付記項14)各請求項に係る耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛用の粉末材料。
(付記項15)各請求項に記載の耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛層が基体に積層されていることを特徴とする摺動部材。
(付記項16)アルミニウムまたはアルミニウム合金を基材とする基体に、各請求項に記載の耐摩耗性銅基合金で形成された肉盛層が積層されていることを特徴とする摺動部材。
(付記項17)各請求項において、(Fe+Mo)の量は重量比で10〜35%に設定されていることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
(付記項18)各請求項において、(Fe+Mo)の量は重量比で10〜35%に設定されており、(Ni+Fe)の量は重量比で10〜35%に設定されていることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
(実施例)
以下、本発明の実施例を比較例と共に具体的に説明する。
本実施例で用いた耐摩耗性銅基合金に係る試料a〜試料iの組成(配合組成)を表1に示す。配合組成は基本的には分析後の目標組成と整合する。試料a、試料c、試料e、試料gは、請求項1の組成範囲から外れており、比較例を示す。
試料a〜試料iは、表1に示す組成となるように配合して高真空中で溶解した合金溶湯をガスアトマイズ処理して製造した粉末である。粉末の粒度は5μm〜300μmである。ガスアトマイズ処理は、高温の溶湯をノズルから非酸化性雰囲気(アルゴンガスまたは窒素ガスの雰囲気)において噴出させることにより行った。上記した粉末はガスアトマイズ処理で形成されているため、成分均一性が高い。
そして図1に示すように、肉盛の対象物であるアルミニウム合金(材質:AC2C)で形成された基体50を用い、実施例に係る上記した試料bを基体50の被肉盛部51に載せて粉末層53を形成した状態で、炭酸ガスレーザのレーザビーム55をビームオシレータ57により揺動させると共に、レーザビーム55と基体50とを相対的に移動させ、これによりレーザビーム55を粉末層53に照射処理し、以て粉末層53を溶融凝固させて肉盛層60(肉盛厚み:2.0mm、肉盛幅:6.0mm)を基体50の被肉盛部51に形成した。このときガス供給管65からシールドガス(アルゴンガス)を肉盛箇所に吹き付けつつ行った。上記した照射処理では、ビームオシレータ57によりレーザビーム55を粉末層53の幅方向(矢印W方向)に振った。上記した照射処理では、炭酸ガスレーザのレーザ出力を4.5kW、レーザビーム55の粉末層53でのスポット径を2.0mm、レーザビーム55と基体50との相対走行速度を15.0mm/sec、シールドガス流量を10リットル/minとした。他の試料についても同様に肉盛層をそれぞれ形成した。
各試料で形成した肉盛層について調べたところ、硬質相を有する硬質粒子がマトリックスに分散していた。耐摩耗性銅基合金に占める硬質粒子の体積比は、耐摩耗性銅基合金を100%としたとき100%のうち5〜60%程度内に収まっていた。
試料a〜試料iを用いて形成した肉盛層について肉盛時のワレ発生率を調べた。更に摩耗試験を行い、試料a〜試料iを用いて形成した肉盛層に関する摩耗重量も調べた。摩耗試験は、図2に示すように肉盛層101をもつ試験片100を第1ホルダ102に保持すると共に、誘導コイル104が外周囲に巻回された円筒形状の相手材106を第2ホルダ108に保持した状態で、相手材106を誘導コイル104で高周波誘導加熱しつつ、相手材106を回転させ、相手材106の軸端面を試験片100の肉盛層101に押しつけることにより試験を行った。試験条件としては、荷重を2.0MPa、摺動速度を0.3m/sec、試験時間を1.2ksec、試験片100の表面温度を323〜523Kとした。相手材106としては、JIS−SUH35相当材の表面に耐摩耗合金ステライトを被覆したものを用いた。更に切削試験を行い、試料a〜試料iを用いて形成した肉盛層の被削性についても調べた。切削試験は、肉盛層を形成したシリンダヘッドを切削刃具1個で切削加工できる加工台数で評価した。表1は、試料a〜試料iの組成を示す他に、試料a〜試料iの組成を用いて形成した肉盛層における肉盛り時のワレ発生率(%)、摩耗試験における肉盛層の摩耗重量(mg)、切削試験における肉盛層の被削性(台)の試験結果を示す。
表1に示すように、ワレ発生率についてみると、比較例に係る試料a、試料cで形成した肉盛層については、ワレ発生率が高かった。これに対して実施例に係る試料b、試料d、試料f、試料h、試料iで形成した肉盛層については、ワレ発生率は低かった。摩耗重量についてみると、比較例に係る試料c、試料e、試料gで形成した肉盛層については、摩耗重量は多く、10mgを越えており、耐摩耗性が充分ではなかった。これに対して実施例に係る試料b、試料d、試料f、試料h、試料iで形成した肉盛層については、摩耗重量は10mg以下であり、低かった。殊に、試料b、試料dで形成した肉盛層については摩耗重量は低かった。被削性については、比較例に係る試料aで形成した肉盛層については、加工台数が少なく、充分ではなかった。従って、表1に示す試験結果から理解できるように、実施例に係る試料b、試料d、試料f、試料h、試料iの耐摩耗性銅基合金の粉末で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。
図3は、バルブシートを構成する肉盛層のワレ発生率(%)とCo量との関係を示す。図3に示す肉盛層のワレ発生率は、シリンダヘッド1台当たりのバルブシートにおけるワレ発生率(%)を示す。特性線A1は、Fe+Mo=35%、Ni+Fe=35%の場合を示しており、試料bの基本組成を前提としている。特性線A2は、Fe+Mo=10%、Ni+Fe=10%の場合を示しており、試料fの基本組成を前提としている。図3の特性線A1、A2に示すように、Co量が2%以下であれば、ワレ発生率は極めて低くなった。殊にCo量が1.6%以下であれば、ワレ発生率はほとんど0となった。しかしCo量が2%を越えると、ワレ発生率が急激に増加する。硬くて脆い性質をもつCo−Mo系のシリサイドが過剰となるためと推察される。従ってCo量を2.00%以下とすることは、肉盛層の肉盛時におけるワレの低減に有効である。
図4は、本発明者らが行った試験結果に基づいて、耐摩耗性銅基合金においてFe量とNi量とが耐摩耗性銅基合金に与える影響を示す。図4に示すa、b、c…は表1の試料に相当する。図4に示す四角形状のハッチング領域は本発明範囲である。Fe量が3%未満であれば、硬質粒子の割合が減少し、耐摩耗性の低下が生じる。Fe量3%、Ni量5%あたりから、Fe量及びNi量が共に減少すると、硬質粒子の減少、耐熱性の低下、耐摩耗性の低下が生じる傾向がある。Ni量5%未満においては耐熱性の低下が生じる傾向がある。Ni量5%未満においてFe量が20%よりも増加すると、硬質粒子の粗大化、硬質粒子の数の減少が生じる傾向がある。Fe量が3%未満においてNi量が20%を越えると、硬質粒子の過剰な微細化、硬質粒子の数の減少が生じる傾向がある。Fe量が20%、Ni量が20%あたりから、Fe量及びNi量が共に増加すると、硬質粒子の増加、ワレ発生が生じる傾向がある。
図5は、本発明者らが行った試験結果に基づいて、耐摩耗性銅基合金におけるFe量とMo量とが耐摩耗性銅基合金に与える影響を示す。図5に示すa、b、c…は表1の試料に相当する。図5に示す四角形状のハッチング領域は本発明範囲である。Fe量3%、Mo量3%あたりから、Fe量及びNi量が共に減少すると、硬質粒子の減少、耐摩耗性の低下が生じる傾向がある。Mo量3%未満においてFe量が20%よりも増加すると、硬質粒子の過剰な微細化、耐摩耗性の低下が生じる傾向がある。Fe量が3%未満において硬質粒子が減少する傾向がある。Fe量が3%未満においてMo量が20%を越えると、硬質粒子の粗大化が生じる傾向がある。Fe量が20%、Mo量が20%あたりから、Fe量及びMo量が共に増加すると、硬質粒子の増加、ワレ発生が生じる傾向がある。
上記した試料iの組成をもつ銅基合金で製造された粉末材料で形成された粉末層にレーザビームを照射することによって形成した肉盛層の顕微鏡組織を図6及び図7に示す。図6は倍率10倍、図7は倍率100倍を示す。図6び図7に示すように、硬質相を有する多数の硬質粒子がマトリックスの全体に分散していた。硬質粒子の粒径は10〜100μm程度であった。
本発明者等がEPMA分析装置を用いて上記組織を調べたところ、硬質粒子は、Fe−Moを主要成分とするシリサイドと、Ni−Fe−Cr系の固溶体とを主要素として形成されていた。肉盛層を構成するマトリックスは、Cu−Ni系の固溶体と、ニッケルを主要成分とする網目状のシリサイドとを主要素として形成されていた。また銅基合金のマトリックスの硬度(マイクロビッカース)はHv150〜200程度であり、硬質粒子の硬度はマトリックスよりも硬く、Hv300〜500程度であった。
なお、本実施例に係る耐摩耗性銅基合金は、融液状態において液相分離傾向が高く、互いに混じり合いにくい複数種類の液相が生成し易く、分離した液相がそれぞれの比重差、伝熱状況等により上下に分離し易い性質をもつと考えられる。この場合、粒状となった液相が急冷凝固すると、粒状の液相が粒状の硬質粒子を生成するものと考えられる。
また、表3に示すように、モリブデンをタングステンに変更した組成を有する耐摩耗性銅基合金の粉末の試料m、試料n、試料o、試料p、試料qをガスアトマイズ処理により形成した。そして前述同様に、図1に示すごとく、試料mで形成した粉末層53にレーザビームを照射することにより、粉末層53を溶融凝固させて肉盛層60を基体50の被肉盛部51に形成した。同様に、試料w〜試料zの各試料で形成した粉末についてもレーザビームを照射することにより肉盛層60を形成した。
各肉盛層について調べたところ、硬質相を有する硬質粒子がマトリックスに分散していた。硬質粒子の体積比は、耐摩耗性銅基合金を100%としたとき100%のうち5〜60%程度内に収まっていた。各試料m〜試料qを用いて形成した肉盛層のワレ発生状況、肉盛層の摩耗重量、肉盛層の被削性についても調べ、その試験結果を表3に示す。被削性は1個の切削刃具あたりのシリンダヘッドの加工台数(台)で評価した。表3に示すように、ワレ発生率についてみると、実施例に係る試料m、試料n、試料o、試料p、試料qの耐摩耗性銅基合金の粉末で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。
更にまた、別の実施例として、表4に示すように、ニオブ炭化物を含む耐摩耗性銅基合金に係る試料v、試料w、試料x、試料y、試料zの組成(配合組成)を有する耐摩耗性銅基合金の粉末をガスアトマイズ処理により形成した。そして前述同様に、図1に示すごとく、試料vで形成した粉末層53にレーザビームを照射することにより、粉末層53を溶融凝固させて肉盛層60を形成した。同様に、試料w〜試料zの各試料で形成した粉末層53にレーザビームを照射することにより肉盛層60を形成した。各肉盛層について調べたところ、硬質相を有する硬質粒子がマトリックスに分散していた。硬質粒子の体積比は、耐摩耗性銅基合金を100%としたとき100%のうち5〜60%程度内に収まっていた。試料v〜試料zを用いて形成した肉盛層のワレ発生状況、肉盛層の摩耗重量、肉盛層の被削性についても調べた。表4は、肉盛層におけるワレ発生率(%)、肉盛層の摩耗重量(mg)、肉盛層の被削性(台)の試験結果をも示す。被削性は1個の切削刃具あたりのシリンダヘッドの加工台数(台)で評価した。
表4に示すように、ワレ発生率についてみると、実施例に係る試料v、試料w、試料x、試料y、試料zの耐摩耗性銅基合金の粉末で形成した肉盛層は、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。
上記した炭化ニオブ(NbC)を含む試料zの組成をもつ銅基合金で製造された粉末材料で形成された肉盛層の顕微鏡組織を図8及び図9に示す。図8は倍率10倍、図9は倍率100倍を示す。図8び図9に示すように、硬質相を有する多数の硬質粒子がマトリックスの全体に分散していた。硬質粒子の粒径は10〜100μm程度であった。本発明者等がEPMA分析装置を用いて上記組織を調べたところ、前述同様に、硬質粒子は、Fe−Moを主要成分とするシリサイドと、Ni−Fe−Cr系の固溶体とを主要素として形成されていた。
硬質粒子を構成するFe−Moを主要成分とするシリサイドは、ラーベス相であることが本発明者等によりX線回折分析装置を用いて確認されている。肉盛層を構成するマトリックスは、Cu−Ni系の固溶体と、ニッケルを主要成分とする網目状のシリサイドとを主要素として形成されていた。また銅基合金のマトリックスの硬度(マイクロビッカース)はHv150〜200程度であった。硬質粒子の硬度は、銅基合金のマトリックスよりも硬く、Hv300〜500程度であった。
図10は、ニオブ炭化物を含む上記した耐摩耗性銅基合金で形成された粉末の粉末層にレーザビームを照射することによって、バルブシートとなる肉盛層をシリンダブロックに形成した場合において、肉盛層のワレ発生率とニオブ炭化物(NbC)との関係を示す。肉盛層のワレ発生率は、シリンダヘッド1台当たりのバルブシートにおけるワレ発生率(%)として求めた。図10に示す特性線B1は、Fe+Mo=35%、Ni+Fe=35%の場合を示しており、試料vの基本組成を前提としている。図10に示す特性線B2は、Fe+Mo=10%、Ni+Fe=10%の場合を示しており、試料xの基本組成を前提としている。図10の特性線B1、B2に示すように、ニオブ炭化物の量が5%以下であれば、ワレ発生率は極めて低いが、ニオブ炭化物の量が5%を越えると、肉盛層のワレ発生率が急激に増加する。従ってニオブ炭化物の量を5%以下とすることは、肉盛層の肉盛時におけるワレ低減に有効である。
図11は、肉盛層である自己(バルブシート)の摩耗重量、相手材(バルブ)の摩耗重量についての試験結果を示す。図11に示す本発明品1は、試料iの組成を有する耐摩耗性銅基合金の粉末をレーザビームで肉盛して形成した肉盛層に基づく。本発明品2は、NbCを1.2%配合した組成をもつ試料zで形成した耐摩耗性銅基合金の粉末をレーザビームで肉盛して形成した肉盛層に基づく。本明細書では前述したように特にことわらない限り、%は重量%を示す。従来材(型式:CuLS50)としては、Niを15%、Siを2.9%、Coを7%、Moを6.3%、Feを4.5%、Crを1.5%、残部を実質的にCuとした合金(Coが多め)でレーザビームにより肉盛層を形成し、同様に摩耗試験を行った。別の比較例として、鉄系の焼結材料(組成:Fe:残部、C:0.25〜0.55%、Ni:5.0〜6.5%、Mo:5.0〜8.0%、Cr:5.0〜6.5%)で試験片を形成し、同様に摩耗試験を行った。図11に示すように、本発明品1、本発明品2の場合には、自己である耐摩耗性銅基合金(バルブシート)の摩耗量が少なく、相手材(バルブ)の摩耗量も少なかった。これに対して従来材の場合及び比較例である鉄系の焼結材料の場合には、自己の(バルブシート)の摩耗量が多く、相手材(バルブ)の摩耗量も多かった。
上記した従来材(型式:CuLS50)について高耐摩耗成分配合及び低耐摩耗成分配合となるように組成を調整した粉末を用い、この粉末で形成した粉末層にレーザビームを照射することにより、バルブシートとなる肉盛層を個別に形成し、肉盛層におけるワレ発生率を試験した。ここで、高耐摩耗成分配合とは 肉盛時に生成される硬質相比率の増加をねらった配合組成を意味する。低耐摩耗成分配合とは、肉盛時に生成される硬質相比率の減少をねらった配合組成を意味する。
同様に、本発明品1について高耐摩耗成分配合及び低耐摩耗成分配合となるように組成をそれぞれ調整した粉末を用い、各粉末で形成した粉末層にレーザビームを照射することにより個別に肉盛層を形成し、各肉盛層におけるワレ発生率を調べる試験を行った。同様に、本発明品2について高耐摩耗成分配合及び低耐摩耗成分配合となるように組成を調整した粉末を用い、各粉末で形成した粉末層にレーザビームを照射することにより肉盛層を個別に形成し、各肉盛層におけるワレ発生率を調べる試験を行った。従来材について高耐摩耗成分配合となるようにした組成は、Cu:残部、Ni:20.0%、Si:2.90%、Mo:9.30%、Fe:5.00%、Cr:1.50%、Co:6.30%である。従来材について低耐摩耗成分配合となるようにした組成は、Cu:残部、Ni:16.0%、Si:2.95%、Mo:6.00%、Fe:5.00%、Cr:1.50%、Co:7.50%である。本発明品1について高耐摩耗成分配合となるようにした組成は、試料bを基礎としており、Cu:残部、Ni:17.5%、Si:2.3%、Mo:17.5%、Fe:17.5%、Cr:1.5%、Co:1.0%である。本発明品1について低耐摩耗成分配合となるようにした組成は、試料fを基礎としており、Cu:残部、Ni:5.5%、Si:2.3%、Mo:5.5%、Fe:4.5%、Cr:1.5%、Co:1.0%である。
本発明品2について高耐摩耗成分配合となるようにした組成は、試料vを基礎とし、Ni:17.5%、Si:2.3%、Mo:17.5%、Fe:17.5%、Cr:1.5%、Co:1.0%、NbC:1.2%である。本発明品2について低耐摩耗成分配合となるようにした組成は、試料xを基礎としており、Ni:5.5%、Si:2.3%、Mo:5.5%、Fe:4.5%、Cr:1.5%、Co:1.0%、NbC:1.2%である。
ワレ発生率の試験結果を図12に示す。図12に示すように、従来材に係る高耐摩耗成分配合をした試験片については、ワレ発生率は極めて高かった。これに対して、本発明品1に係る高耐摩耗成分配合をした試験片、本発明品1に係る低耐摩耗成分配合をした試験片については、ワレ発生率は0%であり、極めて低かった。また本発明品2に係る高耐摩耗成分配合をした試験片、本発明品2に係る低耐摩耗成分配合をした試験片についても、ワレ発生率は0%であり、極めて低かった。
更にまた、上記した従来材、本発明品1、本発明品2について、それぞれ高耐摩耗成分配合及び低耐摩耗成分配合となるように組成を調整した粉末を用い、各粉末で形成した粉末層にレーザビームを照射することにより、バルブシートとなる肉盛層を個別にシリンダヘッドに形成した後に、肉盛層を切削刃具(超硬バイト)で切削加工し、切削刃具1個当たりの切削可能なシリンダヘッド加工台数を調べた。その試験結果を図13に示す。
図13に示すように、従来材に係る高耐摩耗成分配合をした試験片、従来材に係る低耐摩耗成分配合をした試験片については、切削刃具1個当たりのシリンダヘッドの加工台数は少なく、被削性は低かった。これに対して、本発明品1に係る高耐摩耗成分配合をした試験片、本発明品1に係る低耐摩耗成分配合をした試験片、本発明品2に係る高耐摩耗成分配合をした試験片、本発明品2に係る低耐摩耗成分配合をした試験片については、切削刃具1個当たりのシリンダヘッドの加工台数はかなり多く、被切削性は良好であった。上記した鉄系の焼結材料の試験片についても、同様に被削性を試験したところ、切削刃具1個当たりのシリンダヘッドの加工台数は180台程度であり少なく、被削性は必ずしも良好ではなかった。
上記した試験結果を総合的に評価すれば、本発明に係る耐摩耗性銅基合金の肉盛層で内燃機関の動弁系部品であるバルブシート自体を形成したり、本発明に係る耐摩耗性銅基合金の肉盛層をバルブシートに積層したりすれば、バルブシートの耐摩耗性を改善でき、更に相手攻撃性も抑えることができ、相手材であるバルブの摩耗量も抑えることができることがわかる。更に耐ワレ性及び被削性を高めるのに有利であり、殊に肉盛して肉盛層を形成する場合に有利である。
本発明者は更に試験を行った。表1は、試料a〜試料iにそれぞれ対応する試料a1〜試料i1の組成及び試験結果を示す。表1に示されている組成から理解できるように、試料a1〜試料i1はそれぞれ、試料a〜試料iと基本的には同様な組成を有するものの、Co量を1.0%でなく、0.5%に配合したものである。表2は、試料a〜試料iにそれぞれ対応する試料a2〜試料i2の組成及び試験結果を示す。表2の組成から理解できるように、試料a2〜試料i2はそれぞれ、試料a〜試料iと同様な組成を有するものの、Co量を1.0%でなく、1.8%に配合したものである。
表1に示す試験結果から理解できるように、実施例に係る試料b1、試料d1、試料f1、試料h1、試料i1の耐摩耗性銅基合金の粉末で形成した肉盛層は、比較例に比べて、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。
表2に示す試験結果から理解できるように、実施例に係る試料b2、試料d2、試料f2、試料h2、試料i2の耐摩耗性銅基合金の粉末で形成した肉盛層は、比較例に比べて、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。
表3は、試料m〜試料qにそれぞれ対応する試料m1〜試料q1の組成及び試験結果を示す。表1に示されている組成から理解できるように、試料m1〜試料i1はそれぞれ、試料m〜試料qと同様な組成を有するものの、Co量を1.0%でなく、0.5%に配合したものである。
表3は、試料m〜試料qにそれぞれ対応する試料m2〜試料q2の組成及び試験結果を示す。表3の組成から理解できるように、試料m2〜試料q2はそれぞれ、試料m〜試料qと同様な組成を有するものの、Co量を1.0%でなく、1.8%に配合したものである。
表3に示す試験結果から理解できるように、実施例に係る試料m1、試料n1、試料o1、試料p1、試料q1の耐摩耗性銅基合金の粉末で形成した肉盛層は、比較例に比べて、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。
更に、表3に示す試験結果から理解できるように、実施例に係る試料m2、試料n2、試料o2、試料p2、試料q2の耐摩耗性銅基合金の粉末で形成した肉盛層は、比較例に比べて、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。
表4は、試料v〜試料zにそれぞれ対応する試料v1〜試料z1の組成及び試験結果を示す。表4に示されている組成から理解できるように、試料v1〜試料z1はそれぞれ、試料v〜試料zと同様な組成を有するものの、Co量を1.0%でなく、0.5%に配合したものである。
表4は、試料v〜試料zにそれぞれ対応する試料v2〜試料z2の組成及び試験結果を示す。表3の組成から理解できるように、試料v2〜試料z2はそれぞれ、試料v〜試料zとそれぞれ同様な組成を有するものの、Co量を1.0%でなく、1.8%に配合したものである。
表4に示す試験結果から理解できるように、実施例に係る試料v1、試料w1、試料x1、試料y1、試料z1の耐摩耗性銅基合金の粉末で形成した肉盛層は、比較例に比べて、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。
更に、表4に示す試験結果から理解できるように、実施例に係る試料v2、試料w2、試料x2、試料y2、試料z2の耐摩耗性銅基合金の粉末で形成した肉盛層は、比較例に比べて、耐ワレ性、耐摩耗性、被削性がバランス良く得られることがわかった。
なお上記した本実施例に係る各試料で形成された肉盛層において、マトリックスの硬度はHv130〜250程度、殊にHv150〜200であり、硬質粒子の硬度はマトリックスよりも硬く、Hv250〜700程度、殊にHv300〜500であった。硬質粒子のサイズは20〜3000μmであった。また本実施例に係る各試料で形成された肉盛層において、耐摩耗性銅基合金に占める硬質粒子の体積比は、耐摩耗性銅基合金を100%としたとき100%のうち5〜60%程度内に収まっていた。
表5は、試料d及び試料hを用いて実際に肉盛した肉盛層の組成の分析結果(EDX)を示す。この場合、耐摩耗性銅基合金に分散している硬質粒子自体を100重量%としたとき、硬質粒子の組成を調べた。更に耐摩耗性銅基合金のマトリックス自体(硬質粒子を含まず)を100重量%としたとき、マトリックスの組成を調べた。試料d及び試料hは、図4及び図5に示すように最適範囲の境界付近の組成を有するものである。表5に示すように、試料dによれば、硬質粒子はMo,Fe,Niを多く含み、マトリックスはCu、Niを多く含む。試料hによれば、硬質粒子はCu,Mo,Fe,Niを多く含み、マトリックスはCu、Niを多く含む。なお肉盛層のマトリックスにおいて1.0%含まれているA1は、肉盛が施された母材(アルミニウム系合金)から肉盛の際の溶融により肉盛層に拡散したものとむ推察される。A1は基本的には硬質粒子には含まれていなかった。
Figure 2002055748
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Figure 2002055748
(適用例)
図14及び図15は、車両用の内燃機関11の燃焼室に連通するポート13に耐摩耗性銅基合金を肉盛してバルブシートを形成する過程を模式的に示す。この場合には、アルミニウム合金で形成された内燃機関11の燃焼室に連通する複数のポート13の内縁部には、リング形状をなす周縁面10が設けられている。散布器100を周縁面10に接近させた状態で、本発明に係る耐摩耗性銅基合金からなる粉末100aを周縁面10に堆積させて粉末層を形成すると共に、レーザ発振器40から発振したレーザビーム41をビームオシレータ58により揺動させつつ粉末層に照射することにより肉盛層15を周縁面10に形成する。この肉盛層15はバルブシートとなる。肉盛の際にはガス供給装置102からシールドガス(一般的にはアルゴンガス)を肉盛箇所に供給し、肉盛箇所をシールドする。
(その他)
上記した実施例ではガスアトマイズ処理により耐摩耗性銅基合金の粉末を形成しているが、これに限らず、溶湯を回転体に衝突させて粉末化するメカニカルアトマイズ処理などの粉末化処理、あるいは、粉砕装置を用いた機械的粉砕処理により肉盛用の耐摩耗性銅基合金の粉末を形成しても良い。
上記した実施例は、内燃機関の動弁系を構成するバルブシートに適用した場合であるが、これに限られるものではない。場合によっては、バルブシートの相手材であるバルブを構成する材料、あるいは、バルブに肉盛される材料に適用することができる。内燃機関はガソリンエンジンでも、ディーゼルエンジンでも良い。上記した実施例は肉盛する場合に適用しているが、これに限らず、場合によっては溶製品、焼結品などにも適用できる。
その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。実施の形態、実施例に記載されている語句の形容は、一部であっても各請求項に記載できるものである。
なお、表1、表3、表4に記載されている組成成分の含有量の数字は、請求項または付記項に記載の組成成分の上限値または下限値として規定することができるものである。
産業上の利用分野
以上のように、本発明に係る耐摩耗性銅基合金は、例えば、内燃機関のバルブシートやバルブなどの動弁系部材に代表される摺動部材の摺動部分を構成する銅基合金に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、耐摩耗性銅基合金で形成した粉末層を集合させた粉末層にレーザビームを照射することにより肉盛層を形成している状態を模式的に示す斜視図である。
図2は、肉盛層を有する試験片に対して耐摩耗試験を行っている状態を模式的に示す構成図である。
図3は、シリンダヘッド1台当たりのバルブシートのワレ発生率と耐摩耗性銅基合金のCo量との関係を示すグラフである。
図4は、第1発明の耐摩耗性銅基合金に相当するFe量及びNi量の範囲を示すと共に、Fe量及びNi量の変動の関係を示すグラフである。
図5は、第1発明の耐摩耗性銅基合金に相当するFe量及びMo量の範囲を示すと共に、Fe量及びMo量の変動の関係を示すグラフである。
図6は、第1発明の耐摩耗性銅基合金に相当する組成をもつ耐摩耗性銅基合金で製造された粉末材料で形成された粉末層に、レーザビームを照射して形成した肉盛層の顕微鏡組織(倍率:10倍)に基づく図である。
図7は、第1発明の耐摩耗性銅基合金に相当する組成をもつ耐摩耗性銅基合金で製造された粉末材料で形成された粉末層に、レーザビームを照射して形成した肉盛層の顕微鏡組織(倍率:100倍)に基づく図である。
図8は、第2発明の耐摩耗性銅基合金に相当する組成をもつ耐摩耗性銅基合金で製造された粉末材料で形成された粉末層に、レーザビームを照射して形成した肉盛層の顕微鏡組織(倍率:10倍)に基づく図である。
図9は、第2発明の耐摩耗性銅基合金に相当する組成をもつ耐摩耗性銅基合金で製造された粉末材料で形成された粉末層に、レーザビームを照射して形成した肉盛層の顕微鏡組織(倍率:100倍)に基づく図である。
図10は、シリンダヘッド1台当たりのバルブシートのワレ発生率と耐摩耗性銅基合金におけるニオブ炭化物の量との関係を示すグラフである。
図11は、本発明品1、本発明品2等の摩耗重量を示すグラフである。
図12は、本発明品1、本発明品2等について、シリンダヘッド1台当たりのバルブシートのワレ発生率を示すグラフである。
図13は、本発明品1、本発明品2等について、切削刃具1個当たりのシリンダヘッド加工台数を示すグラフである。
図14は、適用例に係り、内燃機関のポートに耐摩耗性銅基合金を肉盛してバルブシートを形成する過程を模式的に示す概略図である。
図15は、適用例に係り、内燃機関のポートに耐摩耗性銅基合金を肉盛してバルブシートを形成する過程を模式的に示す要部の斜視図である。

Claims (17)

  1. 重量%で、ニッケル:5.0〜20.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:3.0〜20.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちの1種または2種以上:3.0〜20.0%、不可避不純物を含むと共に、残部が銅の組成からなることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  2. 重量%で、ニッケル:5.0〜20.0%、シリコン:0.5〜5.0%、鉄:3.0〜20.0%、クロム:1.0〜15.0%、コバルト:0.01〜2.00%、並びに、モリブデン、タングステン及びバナジウムのうちの1種または2種以上:3.0〜20.0%、ニオブ炭化物:0.01〜5.0%、不可避不純物を含むと共に、残部が銅の組成からなることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  3. 請求項1または請求項2において、シリサイドが分散していることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項において、Fe−Mo、Fe−W、Fe−Vのうちの1種または2種以上を主要成分とするシリサイドが分散していることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項において、マトリックスとマトリックスに分散した硬質粒子とを備えており、
    前記硬質粒子は、Fe−Mo、Fe−W、Fe−Vのうちの1種または2種以上を主要成分とするシリサイドと、Ni−Fe−Cr系の固溶体とを主要素としており、且つ、
    前記マトリックスは、Cu−Ni系の固溶体と、ニッケルを主要成分とするシリサイドとを主要素としていることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか一項において、マトリックスとマトリックスに分散した硬質粒子とを備えており、
    前記硬質粒子は、Fe−Moを主要成分とするシリサイドと、Ni−Co−Fe−Cr系の固溶体とを主要素としていることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか一項において、コバルト:0.01〜1.94%であることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか一項において、(Fe+Mo)の量は重量比で10〜35%に設定されていることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか一項において、(Fe+Mo)の量は重量比で10〜35%に設定されており、(Ni+Fe)の量は重量比で10〜35%に設定されていることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  10. 請求項5〜請求項9のいずれか一項において、マトリックスの平均硬度はHv130〜250であり、硬質粒子の平均硬度はマトリックスよりも硬く、Hv250〜700程度であることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  11. 請求項5〜請求項10のいずれか一項において、硬質粒子は、耐摩耗性銅基合金を100%としたとき100%のうち、体積比で10〜60%であることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  12. 請求項5〜請求項11のいずれか一項において、硬質粒子の平均粒径は20〜3000μmであることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  13. 請求項1〜請求項12のいずれか一項において、肉盛用合金として用いられることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  14. 請求項1〜請求項13のいずれか一項において、高密度エネルギビームで溶融された後、冷却される肉盛用合金として用いられることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  15. 請求項1〜請求項14のいずれか一項において、肉盛層を構成していることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  16. 請求項1〜請求項15のいずれか一項において、摺動部材に用いられることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
  17. 請求項1〜請求項16のいずれか一項において、内燃機関用の動弁系部材に用いられることを特徴とする耐摩耗性銅基合金。
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