JPH0610081A - 排気用チタンバルブを備えたエンジン - Google Patents

排気用チタンバルブを備えたエンジン

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JPH0610081A
JPH0610081A JP17093092A JP17093092A JPH0610081A JP H0610081 A JPH0610081 A JP H0610081A JP 17093092 A JP17093092 A JP 17093092A JP 17093092 A JP17093092 A JP 17093092A JP H0610081 A JPH0610081 A JP H0610081A
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valve
titanium
copper
exhaust
engine
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JP17093092A
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Hiroyuki Murase
博之 村瀬
Takeshi Nakakohara
武 中小原
Yoshio Fuwa
良雄 不破
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 チタン製の排気バルブを有するエンジン(内
燃機関)に関し、排気用チタンバルブと耐摩耗性銅基合
金のバルブシートとの適切な組合せで耐摩耗性を向上さ
せる。 【構成】 排気用チタンバルブと、該バルブの当接する
バルブシートのあるシリンダヘッドとを有するエンジン
において、チタンバルブのフェース部に、TiC粒子が
3〜50体積%分散したチタン基合金の肉盛が施され、
かつバルブシートが10.0〜30.0wt%Ni、0.5〜5.
0wt%Si、2.0〜15.0wt%Co、Mo、W、Nbお
よびVの一種または二種以上2.0〜15.0wt%、残部が
銅(Cu)および不可避的不純物からなる組成で、M
o、W、NbおよびVのシリサイドを体積率で5%以上
含む硬質相が、銅リッチマトリックス中に体積率10〜
60%で均一に分散した組織である耐摩耗性銅合金より
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタン製の排気バルブ
を有するエンジン(内燃機関)に関し、より詳しくは、
排気用チタンバルブと耐摩耗性銅基合金のバルブシート
との組合せに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用のエンジンは、燃料を燃焼して
高圧・高温のガスを発生させる燃焼室を基本的にはシリ
ンダブロック、シリンダヘッド、ピストン、排気弁、吸
気弁で構成している。エンジンのシリンダヘッドおよび
動弁系を図1の概略断面図に示す。動弁系の作動として
は、カム1の回転によって吸気バルブ2と排気バルブ3
とを上下に動かし、各バルブのバルブフェース4部がシ
リンダヘッド5のバルブシート6と接触する(当接す
る)。そして、排気バルブが開いている時に、高温の排
気ガスがバルブフェース部4とバルブシート6との間を
流れて排出されるために、これらは高温状態になる。そ
のために、バルブフェース部およびバルブシートは高温
における耐摩耗性が要求されている。
【0003】また、自動車エンジンの高出力化、高回転
化、燃費向上のニーズが一段と高まっている。その方策
の一つとして、動弁系の慣性質量を低減することが有効
な手段である。即ち、動弁系部品の軽量化を図ることで
あり、排気バルブを従来の鉄基ないしニッケル基の耐熱
鋼からチタン(Ti)合金へ変更することが試みられて
いる(例えば、特開昭63-88210号、64-60706号、64-607
07号、特開平1-197067号公報参照)。チタン合金は比強
度が高く、軽量化が可能であるが、耐摩耗性が不十分で
ある。そこで、チタンバルブのフェース部の耐摩耗性向
上のために、モリブデンの肉盛、TiC、Cr3 2
どの硬質粒子を分散したモリブデンやチタンの肉盛を行
ったりしている。9一方、バルブシートにおいても、耐
摩耗性向上にFeMoなどの金属間化合物の硬質粒子を
添加した鉄系焼結シートを用いたり、ベリリウム銅や高
力黄銅などの銅基合金製のシートを用いることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】FeMo硬質粒子添加
の鉄系焼結体であるバルブシートと、TiC硬質粒子分
散のチタンを肉盛したチタンバルブ・フェース部とを組
み合わせて使用する場合に、バルブシートの方が大きく
摩耗することがあった。また、上述の銅基合金をバルブ
シートに使用する場合には、高温強度および耐摩耗性の
不足に起因して、該シートの摩耗が大きいか、あるい
は、銅基合金がチタンバルブ・フェース部に凝着するこ
とがあった。
【0005】チタンフェース部にクロムメッキ膜を施す
ような場合には、該メッキ膜が作動中に熱疲労のために
剥離することがあった。本発明の目的は、上述の問題点
を考慮して、チタンバルブを実用化することを可能にし
かつ耐久性の優れている、チタンバルブ・フェース部の
盛金とバルブシート材料の組合せとしたエンジンを提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的が、排気用チ
タンバルブと、該バルブの当接するバルブシートのある
シリンダヘッドとを有するエンジンにおいて、前記チタ
ンバルブのフェース部に、TiC粒子が3〜50体積%
分散したチタン基合金の肉盛が施され、かつ前記バルブ
シートがニッケル(Ni)10.0〜30.0wt%、珪素
(Si)0.5〜5.0wt%、コバルト(Co)2.0〜15.
0wt%、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニ
オブ(Nb)およびバナジウム(V)の一種または二種
以上2.0〜15.0wt%、残部が銅(Cu)および不可避
的不純物からなる組成で、モリブデン、タングステン、
ニオブおよびバナジウムのシリサイドを体積率で5%以
上含む硬質相が、銅リッチマトリックス中に体積率10
〜60%で均一に分散した組織である耐摩耗性銅合金よ
りなることを特徴とする排気用チタンバルブを備えたエ
ンジンによって達成される。
【0007】上述のバルブシート組成に、鉄(Fe)2.
0〜15.0wt%およびクロム(Cr)1.0〜10.0wt%
の一つあるいは両方を添加含有しても良い。この場合に
は、靱性および耐熱性をさらに向上させ、フェース部へ
の攻撃性を小さくする効果が得られる。
【0008】
【作用】先ず、本発明におけるバルブシートは上述した
組成の分散強化銅基合金で作られており、シリンダヘッ
ドの金属基体上にレーザ、TIGアーク、プラズマアー
ク、電子ビームなどの高密度加熱エネルギーを用いて溶
着(肉盛)することによって容易に形成されるものであ
る。その際の銅基合金は粉末あるいは溶接棒の形態で用
意される。
【0009】本発明におけるバルブシート組成成分の限
定理由は次の通りである。NiはCuに固溶してCu基
マトリックスを強化し、硬質なNiの珪化物(シリサイ
ド)をデンドライトの間に形成して分散強化により耐摩
耗性を高める。また、Co、Fe、Mo等とともに硬質
相を形成する。10%未満ではマトリックスの強化が不
十分で耐熱性の向上が図れず、一方、30%を越える
と、肉盛層(ビード)に割れが発生し易く、金属基体
(特に、Al板)への溶着性が低下する。
【0010】Siは珪化物形成元素であって、珪化物
(Niシリサイド、Mo(W,Nb,V)シリサイド)
を形成し、さらにCu基マトリックスの強化に寄与す
る。特に、Mo(W,Nb,V)シリサイドは、本発明
の高温潤滑性を維持する働きがある。0.5%未満では、
珪化物硬質粒子の形成に不十分であり、Al板への溶着
性が悪く、一方、5%を越えると、肉盛層(ビード)の
靱性が低下し、割れの発生が見られる。
【0011】Moはシリコンとの化合物(シリサイド)
を硬質相中に形成し、高温での耐摩耗性と潤滑性とを高
める役割をする重要な元素である。このMoシリサイド
は500〜700°C前後の比較的低い温度で、しかも
酸素分圧の低い状態でも、分解して酸化物(MoO3
を形成し易い。このMoO3 は、融点が低く、Cu基合
金表面全体を覆ってしまい、Cu基の初晶と相手材との
直接接触を回避することができる。これにより、高い自
己潤滑性が維持される。2%未満では高温での高い潤滑
性が得られず、一方、15%を越えると、靱性が損なわ
れ、割れが発生し易くなる。
【0012】CoはMoとともにシリサイドを形成し、
シリサイド安定化の働きをする。また、Moシリサイド
硬質のまわりにNiとともに固溶体を形成し、2相分離
傾向を高める。2%未満では、その効果が得られず、一
方、15%を越えると硬質相の粗大化を招き、金属基体
上に溶着させる際に割れが発生し易くなる。特に、金属
基体がAl板の場合には、溶着性が著しく低下する。
【0013】W、NbおよびVは、いずれもMoと同様
に、高温で潤滑性の高い酸化物に分解するシリサイドを
形成する。Moと同じように、2%未満では高温での高
い潤滑が得られず、一方、15%を越えると、靱性が損
なわれ、割れが発生し易くなる。FeはCoと同様な働
きをして、Cu基のマトリックスにはほとんど固溶しな
いで、主に、分散硬質相(シリサイドとCo−Ni固溶
体)中に存在し、2相分離傾向を高める。さらに、分散
相の靱性、耐熱性も高める。2%未満では、その効果が
得られず、一方、15%を越えると硬質相の粗大化が著
しくなり、相手材への攻撃性が増加してしまう。
【0014】CrはFeおよびCoと同様な働きをし
て、主に、分散硬質相(シリサイドとCo−Ni固溶
体)中に存在し、2相分離傾向を高める。そして、分散
相の靱性、耐熱性を高める。1%未満では、その効果が
得られず、一方、10%を越えると硬質相の粗大化が著
しくなり、相手材への攻撃性が増加してしまう。銅マト
リックス中に分散する硬質相としては、Mo、W、Nb
およびVの一種または二種以上を主体とするシリサイド
(珪化物)を含むものである。該シリサイドの割合とし
てとは、体積率で5%以上とする。5%未満では、高温
での高い潤滑性が得られない。また、上記硬質相の銅リ
ッチマトリックス中での分散割合としては、体積率で1
0〜60%の範囲内とする。10%未満では、耐摩耗性
が不足し、60%を越える場合には、靱性が損なわれ、
割れが発生しやすくなるとともに、硬質相の粗大化が著
しくなり、相手への攻撃性が増加してしまう。
【0015】次に、本発明におけるチタンバルブの肉盛
フェース部について説明する。TiC粒子を分散させて
肉盛(盛金)するには、TiC粉末あるいはCr3 2
粉末をTi基合金製母材粉末と一緒に、ガス肉盛法、レ
ーザ法、TIG法、プラズマ法などでチタンバルブに溶
融被着するのが好ましい。なお、Cr3 2 は肉盛時の
熱によって溶解し、TiCとなって析出する。
【0016】TiC粒子のフェース部組織での含有量に
代わる体積率は、3〜50%であり、3%未満では肉盛
層の耐摩耗性が不十分であり、一方、50%を越えると
相手攻撃性が高くなると同時に肉盛性が悪化する(基材
との密着性が低下し、欠肉(ピンホール、空隙)が発生
するなど)。また、肉盛組織でのTiC粒子の大きさ
は、2〜100μmが好ましく、2μm未満では耐摩耗
性が不十分となり、一方、100μmを越えると相手攻
撃性が大きくなる。
【0017】肉盛に用いるTi基合金は、Al, V, Sn, Z
r, Mo, Cr およびFeのうちの少なくとも一種を1wt%以
上含み、残部がTiおよび不可避的不純物である合金で
あり、例えば、Ti-6%Al-4%V, Ti-6%Al-2%Sn-4%Zr-2%Mo
などがある。Ti基合金の添加成分が1wt%未満ではT
i基合金のマトリックスが弱くなり、バルブフェース部
の摩耗が大きくなってしまうことがある。これは、純チ
タンではα単相であり、強度が十分でなく、α+β混合
相もしくはβ相にすることが必要であり、上述の添加成
分を1wt%以上含有することになる。
【0018】
【実施例】以下、添付図面を参照して、本発明の実施態
様例および比較例によって本発明を詳細に説明する。 実施例1 バルブシート材料として、下記の実施例試験片Aおよび
B、比較例試験片C〜Fを図2でのブロック試験片11
で用意した。
【0019】実施例試験片AおよびB 本発明に係る銅基合金粉末(粒径:50〜400μm)
として、Cu-20Ni-3Si-11Co-6Moを試験片A用に、Cu-16N
i-2.8Si-9Co-7Mo-6Fe-2Cr を試験片B用にそれぞれ用意
し、後述するようにレーザ光を熱源として用いて、Al
合金(JIS・AC2C)基板上に溶着させて溶着(肉
盛)層を形成した。
【0020】ここでの溶着(肉盛)は、特開昭63−1
57826号公報にて開示されたやり方と同様にして図
3に示すような装置を用いて行った。図3において、金
属基体(Al合金基板:AC2C)21を矢印Tの方向
へ450〜2000mm/minの速度で連続的に移動させ
る。この金属基体21上に、上述した試験片用粉末22
を図示しないホッパーから粉末供給管23を介して、移
動方向Tに対し直交する方向にある幅Wで連続的に供給
する。一方、レーザ光24、は図示しないレーザ光源か
ら折り返しミラー25およびオシレートミラー26で反
射されて、金属基体21上の粉末22に直径0.5〜5.0
mmに集光された状態で1×102 〜2×104 w/mm2
のパワー密度で照射される。ここでオシレートミラー2
6は、ガルバノモータなどの振動機構27によって所定
角度の範囲で振動して、粉末22に照射されるレーザ光
24を移動方向Pに対し直交する方向、すなわち、金属
基体21上の粉末22の幅Wの方向に10〜500Hz
の周波数でオシレート(走査)する。
【0021】このようなレーザ光24の照射によって、
粉末22(粒径:40〜150μm)は瞬時に溶融され
て溶融物29となり、かつレーザ光24をオシレートす
ることによりその溶融物29が攪拌され、引き続いてそ
の溶融物29が金属基体21のT方向への移動によりレ
ーザ光24が照射されない位置に到れば、金属基体21
への熱移動により急速凝固され、分散強化Cu基合金か
らなる溶着層(肉盛層)28が形成される。
【0022】レーザ溶着(肉盛)を、例えば、レーザ出
力4.5kW、レーザビーム径2.5mm、処理走査速度80
0mm/min、レーザビームのオシレート幅8mm、パワー密
度225W/mm2 、オシレート周波数200Hzの条件
にて行い、Al基板21上に分散強化Cu基合金の肉盛
層28が得られた。その肉盛層28を表面研削して、ブ
ロック試験片11(図2)が得られる。
【0023】比較例試験片C 鋳鉄〔FC30(Fe-3C-2Si-0.7Mn-0.05P-0.1S)〕のブロ
ックを仕上げ加工してブロック試験片とする。 比較例試験片D 組成:Fe-1C-10Co-10FeMo の鉄系焼結体にPbを10wt%
溶浸させたブロックを試験片とする。FeMoは金属間化合
物の硬質粒子であり、シートの耐摩耗性確保のために添
加されたものである。
【0024】比較例試験片E ベリリウム銅(Cu-1.9Be-0.3Fe-0.1Co-0.1Ni) のブロッ
クを試験片とする。 比較例試験片F Cu-22Ni-4Fe-4Si-1Bの銅基合金粉末(粒径:50〜40
0μm)にTaC 粉末(粒径:50〜200μm)を5wt
%添加混合したものを用意し、上述した実施例試験片の
場合と同じようにレーザ光を熱源として用いて、Al合
金(JIS・AC2C)基板上に溶着させてTaC 粒子入
り溶着(肉盛)層を形成した。
【0025】一方、バルブフェース部の肉盛層として、
下記の実施例試験片a、bおよびc、比較例試験片d〜
fを図2での回転試験片12で用意した。 実施例試験片a、bおよびc Ti-6Al-4V のチタン基合金のディスク頭部付き丸棒を用
意し、そのディスク頭部の円周側面に、TiC粉末また
はCr3 2 粉末とチタン基合金(Ti-6Al-4V)粉末
(粒径:100〜200μm)との混合粉末をプラズマ
盛金によって溶着(肉盛)層を形成した。プラズマ盛金
での粉末キャリアガスにはアルゴン(Ar)のみを用い
て、1リットル/分の量とした。
【0026】試験片aでは、TiC粉末(硬度:HV3
200、粒径:4〜7μm)を10wt%とし、試験片b
ではCr3 2 粉末(硬度:HV1300、粒径:30
〜50μm)を5wt%とし、そして試験片cでは同じC
3 2 粉末を20wt%とした。肉盛層を研削して、回
転試験片12(図2)が得られる。 比較例試験片d 用意したTi-6Al-4V のディスク頭部付き丸棒をそのまま
の状態で試験片dとする。
【0027】比較例試験片e Co基合金(ステライト6(商品名):Co-1.2C-1.5Si-
30Cr-5W)の粉末をプラズ溶射によって、用意したディス
ク頭部付き丸棒のディスク頭部に溶着(肉盛)層を形成
して、試験片とする。 比較例試験片f 用意したディスク頭部付き丸棒のディスク頭部にクロム
(Cr)メッキ層を形成して、試験片とする。
【0028】(耐摩耗試験)上述の試験片を大越式迅速
摩耗試験機において、図2に示すように、ブロック試験
片11に回転させた回転試験片12を下記条件にて押し
付けて、それぞれの試験片の摩耗量を測定する。 押し付け力:61.7N 回転周速:0.25m/秒 摺動距離:100m 得られた結果を図4に示す。試験片それぞれの摩耗量の
目標レベルは75×10-3mm3 であり、両方ともそれ以
下の摩耗量となるのが好ましい。図4から明らかなよう
に、本発明に係る材料での組合せの場合には、フェース
部の回転試験片およびバルブシートのブロック試験片と
もに摩耗量は目標レベルよりも小さい。それ以外の組合
せでは、いずれかあるいは両方の摩耗量が目標レベルよ
りも大きくなってしまう。フェース部材料にチタン基合
金(Ti-6Al-4V )そのままを用いると、鉄系焼結材のバ
ルブシートの両方とも過大な摩耗が発生する。Co基合
金肉盛層あるいはクロムメッキ層を施したフェース部は
耐摩耗性は比較的良好であるが、基体のチタン基合金と
の密着力が十分でないために、試験中に剥離することが
ある。TiC粒子を分散したチタン基合金肉盛層(試験
片a)をフェース部とした場合でも、相手材が鋳鉄(試
験片C)、鉄系焼結材(試験片D)やベリリウム銅(試
験片F)のシートでは摩耗量が大きく、特に、ベリリウ
ム銅では凝着が発生してフェース部の摩耗量も大きくな
る。また、TiC粒子を分散したチタン基合金肉盛層
(試験片a)とTaC粒子添加の銅基合金(試験片F)
のシートとの組合せでは、TaCのアブレッシブ作用に
よってフェース部のチタン基合金肉盛層が大きく磨耗す
る。
【0029】実施例2 (実機テスト)図5に示すように、自動車エンジンの排
気バルブ3のバルブフェース部4について、肉盛材料を
変えた4種類のものを用意する。 (1)Ti-6Al-4V のチタン基合金のバルブでそのフェー
ス部に、TiC粉末(10wt%)とチタン基合金(Ti-6
Al-4V )粉末(90wt%)との混合粉末を上述した条件
でのプラズマ盛金によって溶着(肉盛)層を形成した。
(実施例1での試験片aに相当するバルブ) (2)Ti-6Al-4V のチタン基合金のバルブでそのフェー
ス部に、Cr3 2 粉末(5wt%)とチタン基合金(Ti
-6Al-4V )粉末(95wt%)との混合粉末を上述した条
件でのプラズマ盛金によって溶着(肉盛)層を形成し
た。(実施例1での試験片bに相当するバルブ) (3)Ti-6Al-4V のチタン基合金のバルブでそのフェー
ス部に、Cr3 2 粉末(20wt%)とチタン基合金
(Ti-6Al-4V )粉末(80wt%)との混合粉末を上述し
た条件でのプラズマ盛金によって溶着(肉盛)層を形成
した。(実施例1での試験片cに相当するバルブ) (4)耐熱鋼(SUH35)のバルブでそのフェース部
に、Co基合金(ステライト6(商品名):Co-1.2C-1.
5Si-30Cr-5W)の粉末をプラズ盛金によって、溶着(肉
盛)層を形成した。(実施例1での試験片eに相当する
バルブ) そして、Al合金(JIS・AC2C)のシリンダヘッ
ド5に、その排気孔で、排気バルブのフェース部4が当
接する箇所に、バルブシート6を実施例1でのレーザ肉
盛法によって銅基合金粉末を肉盛層で形成した。該粉末
にCu-20Ni-3Si-11Co-6Moを用いて、(実施例1での試験
片Aに相当する)バルブシートとし、およびCu-16Ni-
2.8Si-9Co-7Mo-6Fe-2Cを用いて:(実施例1での試験片
Bに相当する)バルブシート(2箇所)とした。ま
た、(実施例1での試験片Eに相当する)鉄系焼結体で
バルブシートを作り、それをシリンダヘッド5の排気
孔に取り付けた。
【0030】上述したバルブ〜をバルブシート〜
と表1のように組合せて、一台の4気筒ガソリンエン
ジン(2400cc)に組み込んで、6000rpmに
て150時間の全負荷台上耐久の耐久試験を行った。
【0031】
【表1】
【0032】バルブフェース部およびバルブシートの摩
耗量を、図5に示すように、バルブステム端部とシリン
ダヘッドの高さの差をテスト前のTとして、テスト後の
tとして測定し、その差を沈み量とすると、表1に示す
結果が得られた。摩耗が進行すると、沈み量が大きくな
る。この結果から、本発明の場合のバルブおよびバルブ
シートの摩耗は、従来の耐熱鋼バルブ(ステライト6の
肉盛層付き)/鉄系焼結バルブシートの組合せの場合の
摩耗と同等であり、優れた耐摩耗性を有する。このこと
は、実施例1でのブロック試験片Dと回転試験片eとの
組合せの場合に対応する。しかしながら、従来例の場合
には、ステライト肉盛層の一部剥離が発生することがあ
り、その時には、摩耗か大きくなってしまう問題があ
る。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る分散
強化銅基合金の肉盛バルブシートとTiC粒子分散チタ
ン肉盛バルブフェース部と組合せは、当接部分の耐摩耗
性が向上し、従来よりも軽量チタンバルブの採用を確実
にして、エンジンの高回転化が可能となり、かつ燃費が
向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンのシリンダヘッドおよび動弁系の概略
断面図である。
【図2】摩耗試験を模式的に示す概略図である。
【図3】金属基板上へCu基合金をレーザ肉盛(溶着)
する方法を示す溶着装置の概略斜視図である。
【図4】図3での摩耗試験結果を示すグラフである。
【図5】エンジンのシリンダヘッドおよびバルブの部分
概略断面図である。
【符号の説明】
3…排気バルブ 4…フェース部 5…シリンダヘッド 6…バルブシート 11…ブロック試験片 12…回転試験片 21…金属基体 22…粉末 24…レーザ光 28…肉盛層(溶着層)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 排気用チタンバルブと、該バルブの当接
    するバルブシートのあるシリンダヘッドとを有するエン
    ジンにおいて、 前記チタンバルブ(3)のフェース部(4)に、TiC
    粒子が3〜50体積%分散したチタン基合金の肉盛が施
    され、かつ前記バルブシート(6)が下記組成: ニッケル: 10.0〜30.0wt% 珪素 : 0.5〜 5.0wt% コバルト: 2.0〜15.0wt% モリブデン、タングステン、ニオブおよびバナジウムの
    一種または二種以上:2.0〜15.0wt% 銅および不可避的不純物:残部 よりなり、モリブデン、タングステン、ニオブおよびバ
    ナジウムのシリサイドを体積率で5%以上含む硬質相
    が、銅リッチマトリックス中に体積率10〜60%で均
    一に分散した組織である耐摩耗性銅合金よりなることを
    特徴とする排気用チタンバルブを備えたエンジン。
  2. 【請求項2】 排気用チタンバルブと、該バルブの当接
    するバルブシートのあるシリンダヘッドとを有するエン
    ジンにおいて、 前記チタンバルブ(3)のフェース部(4)に、TiC
    粒子が3〜50体積%分散したチタン基合金の肉盛が施
    され、かつ前記バルブシート(6)が下記組成: ニッケル: 10.0〜30.0wt% 珪素 : 0.5〜 5.0wt% コバルト: 2.0〜15.0wt% モリブデン、タングステン、ニオブおよびバナジウムの
    一種または二種以上:2.0〜15.0wt% 鉄2.0〜15.0wt%およびクロム1.0〜10.0wt%の少
    なくとも一種 銅および不可避的不純物:残部 よりなり、モリブデン、タングステン、ニオブおよびバ
    ナジウムのシリサイドを体積率で5%以上含む硬質相
    が、銅リッチマトリックス中に体積率10〜60%で均
    一に分散した組織である耐摩耗性銅合金よりなることを
    特徴とする排気用チタンバルブを備えたエンジン。
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