JPWO2002004471A1 - ヒアルロン酸オリゴ糖画分およびそれを含む医薬 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ヒアルロン酸オリゴ糖(以下、「HAオリゴ糖」ともいう)およびその新規な画分に関する。
また本発明は、このHAオリゴ糖を有効成分とする医薬(特に、熱ショック蛋白質発現増強剤、細胞死抑制剤、細胞障害抑制剤、又は細胞・組織保護剤(特に、臓器保存剤、潰瘍処置剤、及び肝障害処置剤、IL−10産生促進剤、又はIL−8産生抑制剤の用途に用いられるもの)に関する。
背景技術
ヒアルロン酸(以下、「HA」ともいう)は、その分子サイズに依存して活性や機能が変化することが知られている。例えば、分子量120万のHAにはNF−κBの不活性化作用、血管新生抑制作用等が認められるが[High molecular weight hyaluronic acid inhibits advanced glycation endproduct−induced NF−kappaB activation and cytokine expression.Neumann A,Schinzel R,Palm D,Riederer P,Munch G.FEBS Lett 1999 Jun 25;453(3):283−7;Feinberg RN,Beebe DC.Hyaluronate in vasculogenesis.Science 220:1177−1179,1983.]、分子量50万以下のHAは、それらとは逆の活性があることが報告されている[Noble PW,McKee CM,Cowman M,Shin HS.Hyaluronan fragments activate an NF−kappaB/I−kappaB alpha autoregulatory loop in murine macrophages.J Exp Med 183:2373−2378,1996.;West DC,Shaw DM.Tumour hyaluronan in relation to angiogenesis and metastasis.In:Laurent TC,ed.The chemistry,biology and medical applications of hyaluronan and its derivatives.London:Portland Press,1998:227.]。
このことは、HAオリゴ糖についても多彩な活性が見出される可能性や、HAオリゴ糖のサイズに依存して特異的な活性が見出される可能性を十分に示唆するものといえる。したがって、サイズが異なるHAオリゴ糖を組み合わせた場合、相加的・相乗的効果を発揮する場合もありうるし、逆に、あるサイズのHAオリゴ糖の活性に対して、別のサイズのHAオリゴ糖がアンタゴニストとして作用することも考えられる。
そうすると、まずHAオリゴ糖の医薬開発に向けた活性探索の段階において種々のサイズのHAオリゴ糖が混在している画分を用いていたのでは、どのサイズのHAオリゴ糖が活性本体なのか見出せないばかりか、あるサイズのHAオリゴ糖の活性が別のサイズのHAオリゴ糖によって打ち消されてしまう可能性もあり、HAオリゴ糖に秘められた重要な生理活性や機能を見逃してしまう可能性がある。
また、ある特定のサイズのHAオリゴ糖を医薬として用いる場合にも、そのHAオリゴ糖が発揮する機能を妨げるような他のサイズのオリゴ糖を可及的に排除することが必要であり、また、医薬として望ましくない物質を実質的に含有しない、純度が高い画分が求められる。
以上の通り、新規な医薬の創製や提供にあたり、実質的に単一のサイズのHAオリゴ糖からなり、他のサイズのHAオリゴ糖やその他の不純物を実質的に含有しない高純度のHAオリゴ糖画分が求められていた。
一方、熱ショック蛋白質(以下、Hspともいう)はストレス蛋白質とも呼ばれ、種々のストレス反応によって生じる障害を防御する蛋白質であり、種々のファミリーが知られている。その中の1つであるHsp70ファミリーの熱ショック蛋白質は、熱ショック、過酸化水素、重金属、アミノ酸アナログ、グルコース飢餓などの環境ストレスを生じさせる因子や、発熱、炎症、虚血、ウイルス感染、代謝疾患、心肥大症、酸化的ストレス、細胞組織障害、癌遺伝子や発癌物質などのストレス因子によって生じる蛋白質の構造変化、異常蛋白質の産生などを抑制したり、蛋白質の機能を再生するなどの働きによって、細胞障害や細胞死を防止すると考えられている。
これに関連して、特開平9−227386号公報には、HAを有効成分とするストレス蛋白質発現増強剤が開示されている。同公報には、その活性成分として2〜20糖程度のHAが好ましい旨(第3頁)、10糖以下のHAがストレス蛋白質の発現の増強あるいは誘導に関与していることが示唆される旨(第6頁)が記載されている。さらにHA不飽和二糖が、ストレス蛋白質の発現を増強し、細胞死を抑制することを示す実験も記載されている(実施例2)。
しかし、本発明のような各種オリゴ糖についての具体的な開示はなく、また後述するHA4糖に特異的に見られる極めて顕著なストレス蛋白質発現増強についても何等開示あるいは示唆されていない。
また、前記のストレス蛋白質の機能からすると、ストレス蛋白質は細胞・組織の保護にも関与していると考えられる。
これに関連しては、特開平11−246301号公報には、HA及び/又はその生理学的に許容される塩を含有してなる移植向けの臓器保存溶液が記載されている。同公報には、HAの平均分子量は10万以上であることが好ましい旨記載されているが、HAオリゴ糖、およびこれが発揮する優れた効果については記載もないし示唆もない。
発明の開示
本発明は、4糖〜60糖程度のサイズを有するHAオリゴ糖、特に、実質的に単一のサイズのHAオリゴ糖からなり、他のサイズのHAオリゴ糖やその他の不純物を実質的に含有しない画分を提供することを目的とする。
また本発明は、このようなHAオリゴ糖を有効成分とする有用な医薬、特に、より効果が高いHsp発現増強剤、細胞死抑制剤及び細胞障害抑制剤を提供することを目的とする。さらに本発明は、優れた細胞・組織保護剤を提供し、これを利用した臓器保存剤、潰瘍処置剤、肝疾患処置剤、IL−10産生促進剤およびIL−8産生抑制剤を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、4糖〜60糖から選択されるHAオリゴ糖、及びこれらオリゴ糖の混合物を特定の方法で分離分画することにより、実質的に目的サイズのオリゴ糖のみからなり、他のサイズのオリゴ糖その他の不純物を実質的に含有しない新規な画分を取得するに至った。
すなわち本発明は、4糖〜60糖から選択されるサイズを有するHAオリゴ糖(以下、「本発明オリゴ糖」ともいう)を提供する。
また本発明は、本発明オリゴ糖を含有し、かつ、下記(1)〜(6)に示す理化学的性質を有することを特徴とする画分(以下、「本発明画分」ともいう)を提供する。
(1)当該画分を、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて以下の(a)および(b)に記載した検出方法により分析すると、いずれの方法によっても実質的に単一なピークを示し、かつ当該ピークの面積が以下の(a)および(b)に示す通りとなる。
(a)210nmの吸収で検出した場合、画分中の全HAオリゴ糖のピーク面積の和に対する前記実質的に単一なピークの相対面積が85%以上である。
(b)示差屈折計で検出した場合、画分中の全HAオリゴ糖のピーク面積の和に対する前記実質的に単一なピークの相対面積が98%以上である。
(2)当該画分を、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて210nmの吸収で検出して分析すると、実質的に単一なピークを示し、かつ、画分中の全ヒアルロン酸オリゴ糖のピーク面積の和に対する前記実質的に単一なピークの相対面積が90%以上である。
(3)当該画分を蛍光標識した後、これを電気泳動によって分析すると、単一なバンドを示し、かつ、他のサイズのHAオリゴ糖のバンドが検出されない。
(4)当該画分を構成するHAオリゴ糖のモノアイソトピック分子量又は平均分子量の理論値を1とした場合、当該画分の質量分析による実測値が0.997〜1.003(相対値)である。
(5)当該画分を構成するHAオリゴ糖における炭素(C)、水素(H)および窒素(N)のそれぞれの含量比の理論値(重量%)と、当該画分を元素分析することによって得られるそれぞれの元素の実測値(重量%)との差が、いすれも±1(重量%)である。
(6)タンパク質、DNAおよびエンドトキシンを実質的に含有しない。
本発明画分はさらに、下記(7)に示す理化学的性質を有することが好ましい。
(7)当該画分の1H−NMRおよび13C−NMR測定の結果が、下記式(1)で示されるHAオリゴ糖の構造と矛盾しない。
式(1)
(式中、nは1〜29の整数であり、Mはプロトン又は1価のカチオンを示し、Acはアセチル基を示す。)
本発明画分に含まれるHAオリゴ糖のサイズは4糖〜20糖から選択されることが好ましく、4糖〜16糖から選択されることがより好ましく、4糖〜14糖から選択されることがさらに好ましく、4糖であることが特に好ましい。
また本発明者らは、本発明オリゴ糖の医薬としての可能性を探索した結果、所定サイズのHAオリゴ糖が、極めて顕著なHspの発現増強作用、細胞死抑制作用及び細胞障害抑制作用を有することを見出し、これにより上記課題を解決しうるHsp発現増強剤、細胞死抑制剤及び細胞障害抑制剤を提供するに至った。
さらに本発明者らは、本発明オリゴ糖が優れた細胞・組織保護作用を発揮することを見出して細胞・組織保護剤を提供するに至り、さらにこれを用いた臓器保存剤、潰瘍処置剤、肝障害処置剤、IL−10産生促進剤およびIL−8産生抑制剤を提供するに至った。
すなわち本発明は、本発明オリゴ糖を有効成分とする医薬(医薬組成物、以下、「本発明医薬」ともいう)を提供する。この医薬は、Hsp発現増強剤、細胞死抑制剤、細胞障害抑制剤、又は細胞・組織保護剤であることが好ましい。
また細胞・組織保護剤は、臓器保存剤、潰瘍処置剤、肝障害処置剤、IL−10産生促進剤、又はIL−8産生抑制剤としての用途に使用されることが好ましい。
本発明医薬及びこれらの剤は、4糖〜20糖のサイズから選択されるHAオリゴ糖を有効成分とすることが好ましく、4糖〜16糖のサイズから選択されるHAオリゴ糖を有効成分とすることがより好ましく、4糖〜14糖のサイズから選択されることがさらに好ましく、HA4糖を有効成分とすることが特に好ましい。
上記の通り、HAオリゴ糖の生理活性・機能についての報告はこれまでにも存在した。しかし、分子サイズ・分子構造・純度(他の分子サイズの混入度合い、蛋白質、DNAなど他の成分の混入度合い、エンドトキシン含有量)等、多角的に保証されたHAオリゴ糖を使用している例は、これまでに認められておらず、すなわち、これまでのHAオリゴ糖の生理活性・機能の報告においては、混入物の影響が否定されていなかったものである。これに対し、本発明においては、蛋白質、DNAなど他の成分が実質的に含まれていないHAオリゴ糖、さらにはそのようなHAオリゴ糖であってかつ実質的に他の分子サイズを含まない特定のサイズのHAオリゴ糖の画分を取得し、それらの生理活性・機能を明らかにしたものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
<1>本発明オリゴ糖
本発明オリゴ糖は、4糖〜60糖から選択されるサイズを有するHAオリゴ糖である。
ここで「HAオリゴ糖」とは、HAの構成二糖組成と同様の組成からなるオリゴ糖である。具体的にはHAの構成単糖であるグルクロン酸(GlcA)とN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)とが交互にグリコシド結合しているオリゴ糖を意味する。
すなわち、前記の式(1)で示される構造で代表される非還元末端がグルクロン酸であるオリゴ糖の他、非還元末端がN−アセチルグルコサミンであるオリゴ糖もHAオリゴ糖に包含される。
非還元末端に位置する糖は、飽和糖(単糖中の炭素・炭素間の結合に二重結合を含まないもの)でも不飽和糖(単糖中の炭素・炭素間の結合に二重結合を含むもの)でもよい。なお、以下の説明において、GlcAは飽和グルクロン酸を、ΔGlcAは不飽和グルクロン酸を示すものとする。
なかでも非還元末端に位置する糖が飽和糖であるものが好ましく、具体的には下記式(2)で示されるHAオリゴ糖が好ましい。
GlcA(−GlcNAc−GlcA)n−GlcNAc (2)
(式中、GlcAはグルクロン酸残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、−はグリコシド結合を、nは1〜29の整数を示す。)
上記式(2)のGlcA−GlcNAcにおけるグリコシド結合はβ1→3結合であることが好ましく、GlcNAc−GlcAにおけるグリコシド結合はβ1→4結合であることが好ましい。
そのなかでも、下記式(1)で示されるHAオリゴ糖が特に好ましい。
式(1)
(式中、nは1〜29の整数であり、Mはプロトン又は1価のカチオンを示し、Acはアセチル基を示す。)
ただし、後述の実施例に示すように非還元末端に位置する糖が不飽和糖であるものも有意な生理活性を示すものであり、それらも本発明の好ましい態様である。具体的な一例としては下記式で示されるHAオリゴ糖が挙げられる。
(式中、Acはアセチル基を示す。)
上記式で示される非還元末端に不飽和糖を有するHAオリゴ糖は後記実施例で使用したΔHA4に相当する。
また、本発明オリゴ糖は塩の形態であってもよく、電離した状態であってもよい。塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩、またはジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩、ガラクトサミン塩、グルコサミン塩等の有機塩基との塩が例示される。なかでもアルカリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩が好ましい。
本発明オリゴ糖の由来は特に限定されない。例えば、鶏冠、臍帯、豚皮、牛皮、魚類その他の動物の皮、大動脈等や、HAを産生する微生物等から分離、精製されたHAを分解処理(例えば酵素分解、化学分解、加熱処理、超音波処理等)する工程を経て製造されるものであってもよい。また、合成(例えば化学合成や酵素合成)の工程を経て製造されるものであってもよい。
酵素分解法としては、ヒアルロニダーゼ(睾丸由来)、ヒアルロニダーゼ(Streptomyces由来)、ヒアルロニダーゼSD、コンドロイチナーゼACI、コンドロイチナーゼACIII、コンドロイチナーゼABC、エンドグルクロニダーゼ(ヒル由来)などのHAを分解する酵素をHAに作用させる方法が挙げられる(新生化学実験講座「糖質II−プロテオグリカンとグリコサミノグリカンー」p244−248、1991年発行、東京化学同人 参照)。上記式(1)のHAオリゴ糖を得るためには、HAを分解する酵素として加水分解酵素を用いることが好ましい。
化学分解法としては、アルカリ分解法やジメチルスルホキシド法(DMSO法)等が挙げられる。アルカリ分解法は、具体的には、例えばHAの溶液に1N程度の水酸化ナトリウム等の塩基を加え、数時間加温して低分子化させた後、塩酸等の酸を加えて中和することにより行うことができる。DMSO法としてはNagasawaらの方法(Carbohyd.Res.,141,p99−110,1985)が挙げられる。また、塩酸や硫酸等の酸によって加水分解することもできる。
超音波処理法としてはBiochem.,33,p6503−6507(1994)等に記載された方法が挙げられる。
合成による製造方法としてはGlycoconjugate J.,p453−439(1993)、国際公開WO93/20827等に記載された方法が挙げられる。
このようにして製造された本発明オリゴ糖は、所望の純度に精製することができる。例えば以下に説明するように、実質的に単一のサイズの本発明オリゴ糖からなり、他のサイズのHAオリゴ糖その他の不純物を実質的に含有しない程度にまで精製することもできる。
<2>本発明画分
本発明画分は、本発明オリゴ糖を含有する画分であって、後述する特定の理化学的性質を有するものである。
前記<1>に記載の方法によって本発明オリゴ糖(本発明オリゴ糖を含む画分。「本発明画分」とは異なる。)が得られるが、得られた画分には複数のサイズのHAオリゴ糖が混在している。一方本発明画分は、実質的に単一のサイズのHAオリゴ糖からなり、他のサイズのHAオリゴ糖その他の不純物を実質的に含有しない画分である。本発明画分は以下の方法によって製造することができる。
前記<1>に記載の方法によって得られる画分(種々のサイズのオリゴ糖が混在する画分)を、強塩基性陰イオン交換体のカラムにアプライする。強塩基性陰イオン交換体としては、トリメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニオメチル基、β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウム基、2−ヒドロキシプロピルアミノ基、ジエチル−(2−ヒドロキシプロピル)アミノエチル基、ジメチルエタノールアンモニウム基等を有する陰イオン交換体が例示されるが、トリメチルアンモニオメチル基を有する陰イオン交換体が好ましい。
カラムのサイズはアプライする量等に応じて適宜設定できるが、小スケールの調製の際にはカラム直径1〜5cm、カラム長50〜150cm程度が好ましい。また、このようなカラムを2本以上組み合わせることが好ましい。
複数のサイズのHAオリゴ糖が混在する画分をこのようなカラムにアプライすると、画分中に含まれるHAオリゴ糖がカラム中の強塩基性陰イオン交換体にイオン結合する。
結合したHAオリゴ糖は、塩の濃度勾配によって溶出することができる。溶出に用いる塩は特に限定されず、NaCl、KCl、LiCl等を用いることができるが、NaClを用いることが好ましい。
また塩の濃度勾配は、塩濃度0〜0.1M程度から開始し、0.5M程度まで上昇させることが好ましい。また塩濃度勾配は直線であることが好ましく、好ましくは0.1M/40〜50時間、より好ましくは0.1M/45〜50時間程度で塩濃度を上昇させる。
また流速は好ましくは80〜100ml/時間、より好ましくは85〜95ml/時間程度とする。
このようなクロマトグラフィー条件を選択することにより、強塩基性陰イオン交換体にイオン結合したHAオリゴ糖が、そのサイズの小さいものから順番に溶出する。このことから、HAオリゴ糖の強塩基性陰イオン交換体への結合力はHAオリゴ糖のサイズにほぼ比例していると考えられ、その結果、塩の濃度勾配を負荷することによって結合力が弱いオリゴ糖(サイズの小さいオリゴ糖)から順番に溶出されるものと考えられる。本発明画分は、このような強塩基性陰イオン交換体とHAオリゴ糖との結合・溶出特性を利用することによって初めて提供されたものである。この方法によれば、高い分離能で、かつ1回のカラム操作により各種サイズのHAオリゴ糖を簡便に分離することができ、実質的に単一のサイズのHAオリゴ糖からなり、他のサイズのHAオリゴ糖やその他の不純物を実質的に含有しない高純度のHAオリゴ糖画分(本発明画分)を効率よく製造することができる。
本発明画分に含まれるHAオリゴ糖は、4糖〜20糖のサイズから選択されることが好ましく、4糖〜16糖のサイズから選択されることがより好ましく、4糖〜14糖のサイズから選択されることがさらに好ましく、4糖であることが特に好ましい。
このようにして得られた本発明画分は、再度上記のクロマトグラフィーのステップに付してもよい。また、濃縮、脱塩、その他の処理に付してもよい。
本発明画分の保存・流通形態等は特に限定されず、溶液状態、凍結状態、凍結乾燥状態のいずれの状態であってもよい。
また、本発明画分中のHAオリゴ糖は塩の形態であってもよく、電離した状態であってもよい。塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩、またはジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩、ガラクトサミン塩、グルコサミン塩等の有機塩基との塩が例示される。なかでもアルカリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩が好ましい。本発明画分を後述の本発明医薬に用いる場合には、これらの塩のうち薬学的に許容される塩を用いることができる。この場合もナトリウム塩であることが特に好ましい。
このようにして得られる本発明画分は、下記(1)〜(6)に示す理化学的性質を全て満たしていることを特徴とする。なお、以下の理化学的性質に示された数値等は、試験や実験の条件、環境、使用機器、試験者の熟練度、その他の要因等によって多少変化しうるものである。従って当該数値は、その数値に厳密に限定されるものではなく、実験条件等による多少の測定結果の違い(当業者に常識的な範囲での数値の相違;当業者が同一の画分であると認識可能な程度の数値の相違)が存することを考慮して解釈すべきものである。
(1)ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて以下の(a)および(b)に記載した検出方法により分析すると、いずれの方法によっても実質的に単一なピークを示し、かつ当該ピークの面積が以下の(a)および(b)に示す通りとなる。
(a)210nmの吸収で検出した場合、画分中の全HAオリゴ糖のピーク面積の和に対する前記実質的に単一なピークの相対面積が85%以上である。この相対面積は、90%以上であるものが好ましく、95%以上であるものがより好ましい。
(b)示差屈折計(以下、「RI」と略すこともある。)で検出した場合、画分中の全HAオリゴ糖のピーク面積の和に対する前記実質的に単一なピークの相対面積が98%以上である。
この理化学的性質は、この画分が実質的に単一のサイズのHAオリゴ糖分子から構成されていることを示すものである。また、他の不純物を実質的に含有しないことを示唆するものである。
なお、本明細書において「実質的に単一」とは、「完全に単一」の意ではなく、「当業者において単一であると認識される」ことを意味するものである。例えば、一般に、大きいサイズのオリゴ糖においては他のサイズのオリゴ糖を全く含まない画分とすることは困難であり、このことは当技術分野の常識であるといえる。よって、サイズの大きいオリゴ糖画分のクロマトグラフィー分析や質量分析等において、当該オリゴ糖に由来する主要なピークの他に、他のサイズのオリゴ糖に由来する小さなピークが存在したとしても、オリゴ糖のサイズを勘案すると、実質的に単一のピークであると認識されるのが通常である。従って、このような場合には「実質的に単一なピーク」ということができる。
(2)当該画分を、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて210nmの吸収で検出して分析すると、実質的に単一なピークを示し、かつ、画分中の全ヒアルロン酸オリゴ糖のピーク面積の和に対する前記実質的に単一なピークの相対面積が90%以上である。この相対面積は、95%以上であるものが好ましい。
この理化学的性質は、この画分が実質的に単一の電荷を有するHAオリゴ糖分子から構成されていること、すなわち均質なHAオリゴ糖から構成されていることを示すものである。また、他の不純物を実質的に含有しないことを示唆するものである。
なお、例えば式(1)に示す通り、HAオリゴ糖分子中には規則的にカルボキシル基が存在しており、この基は溶液中で電離して−COO−イオンとなる。従って、一定サイズのHAオリゴ糖分子中に含まれている−COO−イオンの数は一定であるといえる。従って、画分を構成するHAオリゴ糖の電荷が実質的に単一であるということは、実質的に単一のサイズのHAオリゴ糖から構成されていることをも示している。
(3)当該画分を蛍光標識した後、これを電気泳動によって分析すると、単一なバンドを示し、かつ、他のサイズのHAオリゴ糖のバンドが検出されない。
このことは、クロマトグラフィー以外の手法(電気泳動法)による分析によっても、この画分が実質的に単一のサイズのHAオリゴ糖分子から構成されていることが明らかにされることを示すものであり、クロマトグラフィーによる分析の結果を支持するものである。また、他の不純物を実質的に含有しないことを示唆するものでもある。
(4)当該画分を構成するHAオリゴ糖のモノアイソトピック分子量又は平均分子量の理論値を1とした場合、当該画分の質量分析による実測値がいずれも0.997〜1.003(相対値)である。なお、この相対値は、0.998〜1.002の範囲にあることが好ましく、0.999〜1.001の範囲にあることがより好ましい。
このことは、画分を構成するHAオリゴ糖が、分子量(質量)的にも実質的に単一であり、かつ、他の不純物を実質的に含有しないことを示唆するものでもある。
(5)当該画分を構成するHAオリゴ糖における炭素(C)、水素(H)および窒素(N)のそれぞれの含量比の理論値(重量%)と、当該画分を元素分析することによって得られるそれぞれの元素の実測値(重量%)との差が、いずれも±1(重量%)である。
また、HAオリゴ糖がナトリウム塩である場合には、さらにナトリウム(Na)についても同様に±1(重量%)であることが好ましい。
このことは、画分を構成するHAオリゴ糖が、元素組成的にも実質的に単一であり、かつ、他の不純物を実質的に含有しないことを示唆するものでもある。
(6)タンパク質、DNAおよびエンドトキシンを実質的に含有しない。
本発明画分中のタンパク質の含有量は、当業者に周知慣用のタンパク質の測定法を用いて測定することができるが、ローリー法が好ましい。この方法によってタンパク質が検出できない場合(検出限界以下の場合)には、タンパク質を実質的に含有しないと判断される。
本発明画分中のDNAの含有量は、当業者に周知慣用のDNAの測定法を用いて測定することができるが、スレッシュホールド法が好ましい。この方法によってDNAが検出できない場合(検出限界以下の場合)には、DNAを実質的に含有しないと判断される。
本発明画分中のエンドトキシンの含有量は、当業者に周知慣用のエンドトキシンの測定法を用いて測定することができるが、カブトガニ・アメボサイト・ライセート成分を用いるリムルス試験法が好ましい。この方法によってエンドトキシンが検出できない場合(検出限界以下の場合)には、エンドトキシンを実質的に含有しないと判断される。
なお、本明細書において「実質的に含有しない」とは、不純物等が「1分子たりとも含まれていない」という意味ではなく、不純物が含まれていないと当業者に認識される程度(上記検出方法によっても検出できない程度)を意味するものである。仮に将来分析技術が進歩して分子単位での検出が可能となったとしても、この「実質的に含有しない」は、本願の記載内容等に基づいて解釈すべきものである。
さらに本発明画分の好ましい態様の一つにおいては、含まれる実質的に単一のサイズのHAオリゴ糖が、非還元末端に飽和グルクロン酸を有するものであり、その場合本発明画分はさらに下記(7)の性質を有する。
(7)当該画分の1H−NMRおよび13C−NMR測定の結果が、下記式(1)で示されるHAオリゴ糖の構造と矛盾しない。
式(1)
(式中、nは1〜29の整数であり、Mはプロトン又は1価のカチオンを示し、Acはアセチル基を示す。)
このことは、画分を構成するHAオリゴ糖が、上記式で示されるHAオリゴ糖であって、分子構造的にも実質的に単一であり、かつ、他の不純物を実質的に含有しないことをも示唆するものである。
<3>本発明医薬
本発明医薬は、本発明オリゴ糖を有効成分とする医薬である。
本発明医薬の有効成分として用いる本発明オリゴ糖や、その好ましい態様等は、前記<1>に記載した通りである。
なかでも、本発明オリゴ糖として4糖〜20糖から選択されるサイズのもの(HA4糖〜HA20糖)を用いることが好ましく、前記式(2)におけるnが1〜9の整数から選択されるものを用いることがより好ましく、前記式(1)におけるnが1〜9の整数から選択されるものを用いることが特に好ましい
より好ましくは、4糖〜16糖から選択されるサイズの本発明オリゴ糖(HA4糖〜HA16糖)を用いることが好ましく、前記式(2)におけるnが1〜7の整数から選択されるものを用いることがより好ましく、前記式(1)におけるnが1〜7の整数から選択されるものを用いることが特に好ましい。
さらに好ましくは、4糖〜14糖から選択されるサイズの本発明オリゴ糖(HA4糖〜HA14糖)を用いることが好ましく、前記式(2)におけるnが1〜6の整数から選択されるものを用いることがより好ましく、前記式(1)におけるnが1〜6の整数から選択されるものを用いることが特に好ましい。
なかでも本発明オリゴ糖として4糖のもの(HA4糖)を用いることが好ましく、前記式(2)におけるnが1のものを用いることがより好ましく、前記式(1)におけるnが1のものを用いることが特に好ましい。HA4糖を用いることにより、種々の優れた薬理作用を発揮させることができる。
なお、前記式(1)および(2)は、非還元末端に飽和グルクロン酸を有する本発明オリゴ糖を示すが、本発明医薬の具体的用途によっては、非還元末端に不飽和グルクロン酸を有する本発明オリゴ糖であってもよく、その場合の好ましいサイズも上記と同様である。
さらに好ましくは、本発明医薬の有効成分として本発明画分を用いる。製剤化に用いる本発明画分およびその好ましい態様は、前記<2>に記載した通りである。また、本発明画分に含有されるHAオリゴ糖の好ましいサイズについても、前記と同様である。
本発明画分を用いることにより、本発明医薬中のHAオリゴ糖の含有率を高めることができ、また医薬として混入が許されない物質を実質的に含有しない本発明医薬を製造することができる。
本発明医薬は公知の方法により製剤化することができる。製剤化にあたり、本発明医薬の有効成分であるHAオリゴ糖に悪影響を与えず、かつ本発明医薬の効果に影響を与えない限りにおいて、他の医薬活性成分や、慣用の安定化剤、乳化剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、緩衝剤、等張化剤、保存剤、無痛化剤、着色剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤等、通常医薬に用いられる成分を使用できる。
なお、本発明医薬は、有効成分として本発明画分を含むことが好ましいが、4糖〜60糖から選択されるサイズを有するHAオリゴ糖を有効成分とすることから、少なくともこのようなHAオリゴ糖が有効量含有されていればよく、本発明医薬の効果に影響を与えない限りにおいては、他の分子サイズのHAオリゴ糖や、オリゴ糖の域を超えるサイズのHAを含んでいても差し支えない。
本発明医薬は、Hspの発現増強用途、細胞死抑制用途、細胞障害抑制用途、又は細胞・組織保護用途の医薬であることが好ましく、これらの用途に応じて以下のような剤とすることができる。
[1]Hsp発現増強剤
本明細書における「発現増強」という用語は、「発現量の増加」及び「活性の増強」の双方の意味を包含する。したがって、本明細書における「熱ショック蛋白質発現増強剤」(Hsp発現増強剤)という用語は、「熱ショック蛋白質(Hsp)の発現量を増加させる剤」及び「Hspの活性を増強させる剤」の双方の意味を包含する。
(1)Hsp発現増強剤の投与方法・剤形等
本発明医薬をHsp発現増強剤とする場合、HAオリゴ糖のうち4糖のものを用いることが極めて好ましい。これによって、極めて優れたHsp発現増強作用が発揮される。
Hsp発現増強剤の投与方法は、HAオリゴ糖によるHsp発現増強効果が発揮される限りにおいて特に限定されないが、例えば注射(静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内等)、経鼻、経口、経皮、吸入等が挙げられる。また、このような投与方法に応じて適宜剤形を選択することができ、例えば注射剤(溶液、懸濁液、乳濁液、用時溶解用固形剤等)、錠剤、カプセル剤、液剤、顆粒剤、散剤、リポ化剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、パスタ剤、貼付剤、ゲル剤、坐剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散剤等を採用することができる。
Hsp発現増強剤中のHAオリゴ糖(特にHA4糖)の含量も特に限定されないが、例えば、Hsp発現増強剤を注射剤として提供する場合には、0.1〜10%(w/v)程度とするのが好ましい。
例えば、Hsp発現増強剤を注射剤として提供する場合、その形態は、溶液、凍結物、または凍結乾燥物のいずれであってもよい。これをアンプル、バイアル、注射用シリンジ等の適当な容器に充填・密封し、そのまま流通させあるいは保存して、注射剤として投与することができる。
前記の通り、Hsp発現増強剤の有効成分としては特にHA4糖が好ましいが、さらに他の分子サイズのHAオリゴ糖を含んでいても差し支えない。しかし後述の実施例からも明らかな通り、HA4糖が特異的に極めて顕著なHsp発現増強作用を示すことから、Hsp発現増強剤中のHA4糖の含有率を上げればそれだけ高い効果を得ることができ、また他の分子サイズのHAオリゴ糖と同一の効果を維持しつつ投与量を減少させることができる。従って、Hsp発現増強剤中のHAオリゴ糖は実質的に4糖のみからなるものが特に好ましく、HA4糖以外のHAオリゴ糖は添加しないことが望ましい。
(2)Hsp発現増強剤の投与対象等
Hsp発現増強剤は、細胞の障害又は細胞死などに起因する疾患において、Hspによる防御作用が示唆される多くの疾患、例えば心臓疾患(心筋梗塞など)、尿細管障害、循環器疾患、脳疾患(脳卒中など)、神経疾患などの血管狭窄や虚血による虚血性疾患、後天性免疫不全症候群、免疫抑制剤や抗癌剤の投与による胸腺細胞の障害、末梢T細胞の減少、免疫不全症等の免疫関連疾患、肝炎、潰瘍性大腸炎などの炎症、外傷、細菌感染症、ウイルス感染症、アルツハイマー病、糖尿病、肥大症、川崎病、精神分裂病、発熱、代謝疾患、癌などへの効果が期待される。
また細胞の障害又は細胞死などに起因する疾患のみならず、Hspによる細胞・組織保護作用が期待される対象に対してもHsp発現増強剤を適用することができる。この点については、後述する「細胞・組織保護剤」において詳述する。 Hsp発現増強剤が投与される動物は、脊椎動物、特に哺乳動物が好ましく、とりわけヒトが好ましい。Hsp発現増強剤はこれら疾患の予防、進行抑制(悪化防止)、症状の改善または治療等を目的として投与することができるが、予防薬として投与されることが好ましい。
Hsp発現増強剤におけるHAオリゴ糖、特にHA4糖の配合量、1回あたりの投与量、投与間隔等は、増強剤の投与方法、投与形態、使用目的等、患者の具体的症状、年齢、性別、体重等に応じて個別に決定されるべき事項であり、特に限定されないが、HA4糖の臨床投与量として成人1人1回当り300〜7500mgが例示される。またHsp発現増強剤の投与間隔は、1日1回程度でもよく、1日2〜3回に分けてもよい。
Hsp発現増強剤は、ストレス蛋白発現増強作用に関する実験用の試験試薬としても使用することができる。
[2]細胞死抑制剤
細胞死抑制剤は、Hspの発現増強作用を利用した用途の1つである。すなわち、HAオリゴ糖(特にHA4糖)は、Hspの発現増強作用に止まらず、実際に細胞死抑制作用をも発揮することから、これを細胞死抑制の目的に応用したものである。
この細胞死抑制剤を適用することができる疾患は、Hspの発現増強によって細胞死が抑制できる疾患である限りにおいて特に限定されないが、Hsp発現増強剤の説明において例示した疾患が好ましい。
この細胞死抑制剤が投与される動物、投与の目的、HAオリゴ糖(特にHA4糖)の配合量、投与量、投与間隔等については、Hsp発現増強剤と同様である。
[3]細胞障害抑制剤
細胞障害抑制剤は、HAオリゴ糖(特にHA4糖)がHspの発現増強作用に止まらず、実際に細胞障害抑制作用をも発揮することから、これを細胞障害抑制の目的に応用したものである。
この細胞障害抑制剤を適用することができる疾患は、Hspの発現増強によって細胞障害が抑制できる疾患である限りにおいて特に限定されないが、Hsp発現増強剤の説明において例示した疾患が好ましい。
この細胞障害抑制剤が投与される動物、投与の目的、HAオリゴ糖(特にHA4糖)の配合量、投与量、投与間隔等については、Hsp発現増強剤と同様である。
[4]細胞・組織保護剤
細胞・組織保護剤は、HAオリゴ糖(特にHA4糖)がHspの発現増強作用に止まらず、実際に細胞・組織保護作用をも発揮することから、これを細胞・組織保護の目的に応用したものである。
この細胞・組織保護剤は、Hspによる細胞・組織保護作用が期待される対象に適用することができる。例えば、細胞・組織の保護が求められる疾患等、あるいは生体外に摘出された細胞・組織の保護等に用いることができる。
細胞あるいは組織の保護が求められる疾患としては、消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍等)、胃炎、肝障害(肝炎等)、潰瘍性大腸炎、虚血性心疾患、心筋症、脳卒中、脳梗塞等が挙げられる。
この細胞・組織保護剤は、具体的には以下の剤として使用されることが好ましい。
(1)潰瘍処置剤・肝障害処置剤
前記の細胞・組織保護剤を、潰瘍処置のための剤とすることで潰瘍処置剤とすることができ、肝障害処置のための剤とすることで肝障害処置剤とすることができる。なお、本発明にいう「処置」とは該当する疾患の予防、維持(悪化防止)、軽減(症状の改善)及び治療を目的として該疾患を有する動物に投与することをいい、「処置剤」とはそのような処置に用いられる薬剤をいう。
(2)IL−10産生促進剤・IL−8産生抑制剤
前記の細胞・組織保護剤は、IL−10の減少に起因する疾患や、IL−10の産生促進が求められる疾患等の処置にも用いることができる。この細胞・組織保護剤をIL−10の産生促進のための剤とすることにより、IL−10産生促進剤とすることができる。
また、この細胞・組織保護剤は、IL−8の増加に起因する疾患や、IL−8の産生抑制が求められる疾患等の処置にも用いることができる。この細胞・組織保護剤をIL−8の産生抑制のための剤とすることにより、IL−8産生抑制剤とすることができる。
このような剤の投与対象となる動物や、投与の目的等については、Hsp発現増強剤における説明と同様である。
(3)臓器保存剤
前記の細胞・組織保護剤は、生体外に摘出された細胞・組織の保護の目的等に用いることもできる。この細胞・組織保護剤を、生体外に摘出された細胞や組織の保存のための剤とすることによって、例えば臓器保存剤とすることができる。具体的には、移植用に摘出した臓器(肝臓、腎臓、心臓、肺等)をこの臓器保存剤で灌流したり、この臓器保存剤中で保存、保持等することにより、かかる臓器の細胞・組織傷害(浮腫、細胞死等)を抑制することができる。
細胞・組織保護剤におけるHAオリゴ糖の配合量、1回あたりの投与(使用)の量、間隔等は、投与(使用)の方法、形態、目的等、具体的な状況に応じて個別に決定することができる。
例えば細胞・組織保護剤を潰瘍処置剤、肝障害処置剤、IL−10産生促進剤、IL−8産生抑制剤等としてヒトに投与する場合、HAオリゴ糖(特にHA4糖)の臨床投与量として成人1人1回当り120〜6000mgが例示される。
この細胞・組織保護剤を、生体外に摘出された細胞・組織の保護を目的として使用する場合には、液剤、灌注用剤、用時溶解用固形剤等として製剤化することができる。臓器保存剤として用いる場合は、保存ないし保持をする臓器の大きさ、保存時間、温度等、具体的な状況に応じて、HAオリゴ糖(特にHA4糖)の配合量等を個別に決定することができる。
この細胞・組織保護剤中のHAオリゴ糖(特にHA4糖)の濃度も特に限定されないが、例えば、注射剤(溶液)あるいは臓器保存のための液剤として提供する場合には、1ng/ml〜1mg/ml程度とするのが好ましい。
細胞・組織保護剤を注射剤、あるいは液剤として提供する場合、その形態は、溶液、凍結物、または凍結乾燥物のいずれであっても良い。これをアンプル、バイアル、注射用シリンジ、ボトル等の適当な容器に充填・密封し、そのまま流通させあるいは保存して、注射剤あるいは液剤として使用できる。
本発明はさらに、以上のような剤だけではなく、in vitroまたはin vivoにおいて細胞または生体組織等の適用対象にHAオリゴ糖(特にHA4糖)を作用させ、該適用対象においてHspの発現を増強し、細胞死を抑制し、細胞障害を抑制し、又は細胞・組織を保護(例えば、臓器を保存し、潰瘍を処置し、肝障害を処置し、IL−10の産生を促進し、又はIL−8の産生を抑制)する方法も包含する。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
以下、HA4糖画分を「HA4」、HA6糖画分を「HA6」、HA8糖画分を「HA8」、という要領で略記する。
(実施例1) 本発明オリゴ糖及び本発明画分の製造と理化学的性質
1.本発明オリゴ糖及び本発明画分の製造
鶏冠から分離・精製されたHAのナトリウム塩を原料として、以下の方法によって本発明オリゴ糖及び本発明画分を製造した。なお、原料としたHAのナトリウム塩は、セルロースアセテート膜を用いた電気泳動(泳動緩衝液:ピリジン−ギ酸緩衝液、電流:15mA、泳動時間:30分間)によって単一のバンドを示し、HA以外のグリコサミノグリカン(コンドロイチン、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸、コンドロイチン硫酸E、コンドロイチン硫酸D、ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸)は検出されなかった。
(製造例1) ヒアルロニダーゼによる分解
HAのナトリウム塩25gを、0.15M NaClを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH5.3)1.1Lに溶解した。これに、ウシ睾丸由来のヒアルロニダーゼ(5.342ユニット/mg;生化学工業株式会社製)200mgを添加して、37°℃で9時間反応させた。
反応後、10,000rpmで30分間遠心分離して上清を回収した。回収した上清を、陰イオン交換基としてトリメチルアンモニオメチル基を有する強塩基性陰イオン交換体であるDowex 1x2(100−200mesh)(ダウケミカル社製)イオン交換カラム(φ1.5x123cm)にアプライし、NaClの直線濃度勾配(0.01M〜0.50M)によって溶出した。得られた画分中のウロン酸をカルバゾール法(carbazole method)で検出することにより、HAオリゴ糖を含む画分をスクリーニングした。適当な画分をプールして濃縮し、Sephadex G−10(ファルマシア社製;φ3x124)で脱塩した後、凍結乾燥した。
得られた画分の凍結乾燥重量を以下のカッコ内に示す。
HA4(330mg)、HA6(1210mg)、HA8(305mg)、HA10(1625mg)、HA12(685mg)、HA14(620mg)、HA16(430mg)、HA18(210mg)、HA20(202mg)、HA22(819mg)、HA24(197mg)、HA26(187mg)、HA28(159mg)、HA30(137mg)、HA32(122mg)、HA34(102mg)、HA36(91mg)、HA38(89mg)、HA40(65mg)、HA42(76mg)、HA44(61mg)、HA46(58mg)、HA48(46mg)、HA50(48mg)、HA52(21mg)
(製造例2) コンドロイチナーゼACIによる分解
HAのナトリウム塩8gを、0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する0.1M酢酸緩衝液(pH6.0)500mlに溶解した。
これに、コンドロイチナーゼACI(生化学工業株式会社製)32ユニットを添加して、37℃で6時間反応させた。
反応後、10,000rpmで30分間遠心分離して上清を回収した。回収した上清を、Dowex 1x2(100−200mesh)(ダウケミカル社製)イオン交換カラム(φ4.5x123cm)にアプライし、NaClの直線濃度勾配(0.01M〜0.50M)によって溶出した。得られた画分中のウロン酸をカルバゾール法(carbazole method)で検出することにより、HAオリゴ糖を含む画分をスクリーニングした。適当な画分をプールして濃縮し、Sephadex G−10(ファルマシア社製;φ3x124)で脱塩した後、凍結乾燥した。
得られた画分の凍結乾燥重量を以下のカッコ内に示す。なお「Δ」は非還元末端糖が不飽和糖であることを示す。
ΔHA4(133mg)、ΔHA6(133mg)、ΔHA8(84mg)、ΔHA10(109mg)、ΔHA12(100mg)、ΔHA14(101mg)、ΔHA16(73mg)、ΔHA18(31mg)、ΔHA20(9mg)
(製造例3) DMSO法
HAのナトリウム塩10gを、0.1M HClを10%含有するジメチルスルホキシド(DMSO)3Lに溶解した。105℃で16時間加熱処理した。
処理後、Dowex 1x2(100−200mesh)(ダウケミカル社製)イオン交換カラム(φ3.0x78cm)にアプライしてクロマトグラフィーを行った。溶出はNaClの直線濃度勾配(0.01M〜0.50M)により行った。得られた画分中のウロン酸をカルバゾール法(carbazole method)で検出することにより、HAオリゴ糖を含む画分をスクリーニングした。適当な画分をプールして濃縮し、Sephadex G−10(ファルマシア社製;φ3x124)で脱塩した後、凍結乾燥した。
得られた画分の凍結乾燥重量を以下のカッコ内に示す。
HA2(50mg)、HA4(1100mg)、HA6(232mg)、HA8(1015mg)、HA10(1033mg)、HA12(459mg)
このようにして得られた各種サイズのHAオリゴ糖を、以下の種々の分析に付した。
2.本発明画分の理化学的性質
前記製造例1で得られた各HAオリゴ糖(ナトリウム塩)画分について、種々の理化学的性質を調べた。
(1)ゲル濾過クロマトグラフィーによる分析
使用カラム:TSKGel2500+3000+4000pwxl(東ソー株式会社)
溶媒:0.05M NaCl
流速:0.6ml/分
検出波長:210nm、及び示差屈折計(RI)
試料のアプライ量:HAオリゴ糖として200μg/ショット
試料としてHA4(ロット1)〜HA14を用いた場合の溶出曲線を、図1〜図6に示す。各図の上段は210nmで検出した結果を、下段は示差屈折計で検出した結果を示す。
これらの図から、いずれの画分も実質的に単一なピークを示すことがわかる。
また、画分中の全HAオリゴ糖のピーク面積の和に対するメインのHAピークの相対面積は、表1に示す通り、210nmの吸収で検出した場合にはいずれも85%以上であり、示差屈折計(RI)で検出した場合にはいずれも98%以上であった。
(2)イオン交換クロマトグラフィーによる分析
カラム:YMC NH2カラム(株式会社ワイエムシィ)
溶媒:NaH2PO4を用いた0Mから0.8Mまでの濃度勾配
流速:1ml/分
検出波長:210nm
試料のアプライ量:HAオリゴ糖として20μg/ショット
試料としてHA4(ロット1)〜HA14及びHA48〜HA52を用いた場合の溶出曲線を、図7〜図15に示す。これらの図から、いずれの画分も実質的に単一なピークを示すことがわかる。また、画分中の全HAオリゴ糖のピーク面積の和に対するメインのHAピークの相対面積は、表2に示す通りいずれも90%以上であった。
(3)蛍光標識ゲル電気泳動による分析
HA4、HA6、HA8、HA10、HA12、HA14およびHA16のそれぞれを以下の通り処理した。併せて、HAオリゴ糖の混合物画分(HA2糖も含まれる;以下、「混合物」と略記する)についても同様に処理した。
(3−1)蛍光標識オリゴ糖の調製
それぞれの画分に含まれるHAオリゴ糖を、FACERN−linked Oligosaccharide Profiling Kit(Glyko,Inc.,Novato,CA.U.S.A.)を用いて蛍光標識した。
HAオリゴ糖として約2nmol(混合物についてはHA2糖単位として約20nmol)を含有する量の画分を、0.5mLプラスチックチューブ中で遠心式凍結真空乾燥機(SpeedVac,AS160,SAVANT INSTRUMENTS INC.NY.U.S.A)によって乾燥した。乾燥後、それぞれのチューブに8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸二ナトリウム塩(ANTS)溶液(GLYKO,L2,Part#50058:recnstituted OLIGO Labeling Dye)を5μLずつ加え、攪拌後室温で15分放置した。さらに、シアノ水素化ホウ素ナトリウム溶液(GLYKO,L1,Part#50056:Labeling Reducing Agent)を5μLずつ加え、密封して36℃で16時間インキュベートした。
インキュベート後、遠心式凍結真空乾燥機に約15分間かけ、部分乾燥させた後、蒸留水を加えて20μLに合わせた。
(3−2)蛍光標識オリゴ糖の電気泳動
電気泳動はGLYKO O−linked Oligosaccharide
Profiling Gel(GLYKO,Part#60200;架橋度36%のポリアクリルアミドゲル)を用いて行った。
OLIGO Gel Running Buffer(GLYKO,Part#7000)1包を蒸留水に溶かして1.5Lとし、氷中で冷却しておいた。
ゲルボックス(GLYKO,GLYKO Gel Box,Part#40026)に冷却水を循環させ、冷却しておいたRunning Bufferを入れ、ゲルをセットした。ゲルボックスごと氷につけ、冷やした。
蛍光標識したHAオリゴ糖を含むそれぞれの画分溶液から2μLをとり、蒸留水3μLとLoading Buffer(GLYKO,Part#50064)5μLを混合した。混合物溶液は、その2μLをLoading Buffer 2μLと混合した。これをそれぞれ4μLずつゲルにアプライした。それぞれの画分は、1レーンあたりHAオリゴ糖として80pmolのアプライ量とした。
1000Vの定電圧で160分間電気泳動し、UVトランスイルミネーター(model NLM−20E,UVP,CA,U.S.A.)で365nmの光を照射することにより発せられる蛍光を、インスタントカメラ(MAMIYA,Professional SD,f=127mm)およびインスタントフィルム(PolaloidRPolapan T667,iso3000,Polapoid corp.MA.U.S.A)を用いて記録した。結果を図16に示す。
図16中のレーンと試料の関係は以下の通りである。
レーン1:混合物、レーン2:HA4、レーン3:HA6、レーン4:HA8、レーン5:HA10、レーン6:HA12、レーン7:HA14、レーン8:HA16
混合物は梯子状のバンドを示したが、分画された各オリゴ糖画分は、すべてそれぞれのサイズに応じた泳動度で単一のバンドを形成し、かつ、他のサイズのHAオリゴ糖のバンドは検出されなかった。
また、サイズの小さいものほど大きな泳動度が得られた。それぞれ画分におけるオリゴ糖のバンドの位置(泳動位置)は、混合物が示した梯子状バンドのそれぞれサイズの位置とよく一致し、複数のサイズのオリゴ糖の混合物でも、それぞれの分子の泳動度に影響がないことが示された。
GLYKO O−linked Profiling Gelは架橋度36%のポリアクリルアミドゲルである。8−アミノナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸二ナトリウム塩(ANTS)は3価の負電荷を持つ蛍光物質である。
電荷を持たない2−Aminoacridon(AMAC)を蛍光物質とした場合、このゲルではどのオリゴ糖もほとんど泳動しなかった。このことから、この高架橋度ゲルでの電気泳動にはHAオリゴ糖自身の負電荷だけでは不足で、結合しているANTSの電荷が必要であることが示唆された。また、糖鎖骨格と相互作用することが知られているホウ酸は使用していないので、オリゴ糖のサイズとポリアクリルアミドの網目との直接の相互作用が泳動度を左右していることが示唆された。
Glyko社の他のゲル(架橋度20%または21%)では、ANTSラベルした場合、HA8糖以下では分離できないか、またはHA4糖以下が泳動前線と重なってしまい、検出できなかった。
(4)質量分析
質量分析は、エレクトロスプレーイオン化質量分析法(electrosprayionization mass spectrometry;ESIMS)により行った。
(4−1)方法
(4−1−1)分析試料
HA4(ロット1)、HA6、HA8、HA10、HA12、HA14、HA16、HA48、HA50およびHA52を、それぞれ2.6mg/ml、1.2mg/ml、1.4mg/ml、3.0mg/ml、2.0mg/ml、6.5mg/ml、1.3mg/ml、1mg/ml、1mg/mlおよび1mg/mlの濃度となるように水溶液を調製して分析した。
なお、HAオリゴ糖に関する分子量の理論値については、HA4糖〜52糖が下記式(1)で表される構造を有していることに基づいて求めた。
式(1)
(式中、nは1〜29の整数であり、Mはプロトン又は1価のカチオンを示し、Acはアセチル基を示す。)
(4−1−2)試薬
試験に用いたメタノール(和光純薬)および蒸留水(和光純薬)はHPLC用を、ぎ酸アンモニウム(和光純薬)は特級をそれぞれ使用した。
(4−1−3)機器及び機材
1)HPLCシステム
Agilent1100シリーズ:バイナリポンプ、デガッサ、オートサンプラ(Agilent Technologies)
2)質量分析計
三連四重極型質量分析計:TSQ(サーモクエスト)
(4−1−4)ESIMS分析条件
質量分析計への試料の導入は、質量分析計に繋いだHPLCシステムに各試料溶液を5μl又は10μl注入することにより行った。HPLCおよびESIMSの分析条件を以下に示す。
1)HPLC
移動相:10mM ぎ酸アンモニウム水溶液/メタノール=80/20
流速 :0.2ml/min
カラム:なし
注入量:10μl
2)ESIMS
プローブ:Off−axis
イオンモード:陰イオンモード
イオン化法:ESI法(エレクトロスプレーイオン化法)
ESIスプレー電圧:4.5kV
ヒーティドキャピラリー温度:350℃
Auxiliaryガス:35units
Sheathガス:50psi
スキャン範囲:m/z10−2500又は10−4000
スキャン時間:1.5sec又は3sec.
(4−1−5)Deconvolution解析
観測されたESIMSスペクトルから分子量を推定するためのDeconvolution解析は、解析ソフトXcalibur Bioworks(サーモクエスト株式会社)を用いて行った。
(4−2)結果
HA4〜HA16の陰イオンESIMSスペクトル測定の結果をまとめて表3及び表4に、HA4〜HA16およびHA48〜HA52のスペクトルを図17〜図23に示す。
以上の結果においては、いずれもHAオリゴ糖由来と考えられる各種分子関連イオンが観測されており、HA4(ロット1)がHA4糖、HA6がHA6糖、HA8がHA8糖、HA10がHA10糖、HA12がHA12糖、HA14がHA14糖、HA16がHA16糖、HA48がHA48糖、HA50がHA50糖、およびHA52がHA52糖に相当するものと解して矛盾がないものである。
以上の結果に基づき、モノアイソトピック分子量の理論値を1とした場合における、メインピークの実測値の相対値を求めた。結果を表5Aに示す。なお、HA4については[M−H]−についての実測値と理論値を用いた。
また、平均分子量の理論値を1とした場合における、メインピークの実測値の相対値を求めた。結果を表5Bに示す。なお、HA4については[M−H]−についての実測値と理論値を用いた。
これらの結果から、本発明画分を構成するHAオリゴ糖のモノアイソトピック分子量又は平均分子量の理論値を1とした場合、当該画分の質量分析による実測値がいずれも0.999〜1.001(相対値)の範囲内であることが示された。
(5)元素分析
HA4(ロット1)、HA6、HA8、HA10、HA12、HA14およびHA16をそれぞれ80℃で2時間減圧乾燥し、直ちに元素分析器で測定した。結果を表6に示す。
この結果、本発明画分を構成するHAオリゴ糖(ナトリウム塩)における炭素(C)、水素(H)、窒素(N)およびナトリウム(Na)のそれぞれの含量比の理論値(重量%)と、当該画分を元素分析することによって得られるそれぞれの元素の実測値(重量%)との差は、いずれも±1(重量%)であることが示された。
(6)核磁気共鳴スペクトル(NMR)
HAオリゴ糖画分の1H−NMRおよび13C−NMRを、VARIAN UnityInova 500型を用いて測定した。測定溶媒はD2Oを使用した。内部標準をt−BuOH(1H:1.23ppm,13C:32.461ppm)とし、測定温度を23℃として測定を行った。各HAオリゴ糖画分についての結果を以下に示す。また、それぞれのスペクトルを図24〜図40に示す。
(6−1)HA4(ロット1)の測定結果
500MHz 1H−NMR δ;
2.004(s,3H,NAc),2.018,2.019(3H,NAc),3.292−3.326(m,1H,H−2d),
3.354(dd,1H,J1,2=7.9Hz,J2,3=9.5Hz,H−2b),
4.027(dd,0.6H,J1,2=3.5Hz,J2,3=10.6Hz,H−2aα),4.453(d,J1,2=7.9Hz,H−1d),4.460(d,H−1bβ),4.502(d,0.6H,H−1bα),4.555(d,1H,J1,2=8.4Hz,H−1c),4.705(d,0.4H,J1,2=8.4Hz,H−1aβ),5.144(d,0.6H,H−1aα)
解析の基礎としたスペクトルを図24に示す。
125MHz 13C−NMR δ;
24.84,25.09,25.36(NHCOCH3),55.81(C−2aα),57.09(C−2c),58.44(C−2aβ),63.40,63.57(C−6a or C−6c),
75.29,75.33(C−2bα or C−2bβ),75.58(C−2d),93.92(C−1aα),
97.61(C−1aβ),103.44(C−1c),
105.80,105.84,105.95(C−1bα or C−1bβ or C−1d),
177.00,177.04,177.41,177.68,177.80,178.33(carbonyl)
解析の基礎としたスペクトルを図25に示す。
これらの結果は、前記式(1)においてn=1で示される構造(Sodium β−D−glucopyranosyluronate−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−β−D−glucopyranosyl−(1→4)−(Sodium β−D−glucopyranosyluronate)−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−D−glucopyranoseの構造)と矛盾しないものである。
(6−2)HA6の測定結果
500MHz 1H−NMR δ;
2.002,2.010,2.017(9H,NAc),3.291−3.368(m,3H,H−2b,H−2d and H−2f),
4.026(dd,0.6H,1,2=3.5Hz,J2,3=10.6Hz,H−2aα),
4.452,4.459(d×2,2.4H,J1,2=7.8Hz,J1,2=7.8Hz,H−1bβ,H−1d and H−1f),
4.500(d,0.6H,J1,2=7.9Hz,H−1bα),
4.544,4.550(d×2,2H,J1,2=8.5Hz,J1,2=8.5Hz,H−1c or H−1e),
4.702(d,J1,2=8.3Hz,H−1aβ),5.142(d,0.6H,H−1aα)
解析の基礎としたスペクトルを図26に示す。
125MHz 13C−NMR δ;
24.84,25.09,25.35(NHCOCH3),55.81(C−2aα),
57.09,57.16(C−2c or C−2e),58.44(C−2aβ),
63.40,63.57(C−6a or C−6c or C−6e),
75.28,75.31,75.34,75.57(C−2bα or C−2bβ or C−2d or C−2f),
93.92(C−1aα),97.61(C−1aβ),
103.40,103.45(C−1c or C−1e),
105.80,105.85,105.94,106.02(C−1bα or C−1bβ or C−1d or C−1f),
176.97,177.40,177.68,177.80,178.27(carbonyl)
解析の基礎としたスペクトルを図27に示す。
これらの結果は、前記式(1)においてn=2で示される構造(Sodium β−D−glucopyranosyluronate−[(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−β−D−glucopyranosyl−(1→4)−(Sodium β−D−glucopyranosyluronate)]2−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−D−glucopyranoseの構造)と矛盾しないものである。
(6−3)HA8の測定結果
500MHz 1H−NMR δ;
2.002,2.003,2.008,2.016(12H,NAc),3.290−3.368(m,4H,H−2b,H−2d,H−2f and H−2h),
4.025(dd,0.6H,J1,2=3.5Hz,J2,3=10.6Hz,H−2aα),
4.450,4.458(d×2,3.4H,J1,2=7.8Hz,J1,2=7.8Hz,H−1bβ,H−1d,H−1f and H−1h),
4.500(d,0.6H,J1,2=7.8Hz,H−1bα),
4.539,4.543,4.550(d×3,3H,J1,2=8.4Hz,J1,2=8.5Hz,J1,2=8.4Hz,H−1c or H−1e or H−1g),4.702(d,0.4H,J1,2=8.4Hz,H−1aβ),5.142(d,0.6H,H−1aα)
解析の基礎としたスペクトルを図28に示す。
125MHz 13C−NMR δ;
24.84,25.09,25.35(NHCOCH3),55.82(C−2aα),
57.10,57.16(C−2c,C−2e and C−2g),58.44(C−2aβ),
63.40,63.57(C−6a,C−6c and C−6e),
75.28,75.34,75.57(C−2b,C−2d,C−2f and C−2h),
93.92(C−1aα),97.61(C−1aβ),
103.39,103.45(C−1c,C−1e and C−1g),
105.80,105.85,105.95,106.04(C−1b or C−1d or C−1f or C−1h),
176.93,177.40,177.68,177.80,178.27(carbonyl)
解析の基礎としたスペクトルを図29に示す。
これらの結果は、前記式(1)においてn=3で示される構造(Sodium β−D−glucopyranosyluronate−[(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−β−D−glucopyranosyl−(1→4)−(Sodium β−D−glucopyranosyluronate)]3−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−D−glucopyranoseの構造)と矛盾しないものである。
(6−4)HA10の測定結果
500MHz 1H−NMR δ;
2.001,2.007,2.016(15H,NAc),4.025(dd,0.6H,J1,2=3.6Hz,J2,3=10.6Hz,H−2aα),
4.441−4.465(m,H−1bβ,H−1d,H−1f,H−1h and H−1j),4.499(d,J1,2=7.8Hz,H−1bα),
4.538,4.549(d×2,J1,2=8.4Hz,J1,2=8.4Hz,H−1c,H−1e,H−1g and H−1i),
4.701(d,J1,2=8.4Hz,H−1aβ),5.141(d,0.6H,H−1aα)
解析の基礎としたスペクトルを図30に示す。
125MHz 13C−NMR δ;
24.84,25.09,25.35(NHCOCH3),55.82(C−2aα),
57.10,57.16(C−2c,C−2e,C−2g and C−2i),58.44(C−2aβ),
63.37,63.57(C−6a,C−6c,C−6e,C−6g and C−6i),
75.35,75,58(C−2b,C−2d,C−2f,C−2h and C−2j),
93.92(C−1aα),97.61(C−1aβ),
103.39,103.46(C−1c,C−1e,C−1g and C−1i),
105.80,105.86,105.94,106.05(C−1b,C−1d,C−1f,C−1h and C−1j),
176.94,176.99,177.41,177.68,177.81,178.30(carbonyl)
解析の基礎としたスペクトルを図31に示す。
これらの結果は、前記式(1)においてn=4で示される構造(Sodium β−D−glucopyranosyluronate−[(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−β−D−glucopyranosyl−(1→4)−(Sodium β−D−glucopyranosyluronate)]4−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−D−glucopyranoseの構造)と矛盾しないものである。
(6−5)HA12の測定結果
500MHz 1H−NMR δ;
2.002,2.006,2.016(18H,NAc),4.025(dd,0.6H,J1,2=3.6Hz,J2,3=10.7Hz,H−2aα),
4.440−4.465(m,H−1bβ,H−1d,H−1f,H−1h,H−1j and H−1l),4.498(d,J1,2=7.8Hz,H−1bα),
4.538,4.549(d×2,J1,2=8.4Hz,J1,2=8.4Hz,H−1c,H−1e,H−1g,H−1i and H−1k),
4.701(d,J1,2=8.5Hz,H−1aβ),5.141(d,0.6H,H−1aα)
解析の基礎としたスペクトルを図32に示す。
125MHz 13C−NMR δ;
24.84,25.09,25.35(NHCOCH3),55.82(C−2aα),
57.09,57.16(C−2c,C−2e,C−2g and C−2i),58.44(C−2aβ),
63.37(C−6a,C−6c,C−6e,C−6g and C−6i),75.35,75.58(C−2b,C−2d,C−2f,C−2h and C−2j),
93.92(C−1aα),97.61(C−1aβ),
103.40,103.45(C−1c,C−1e,C−1g and C−1i),
105.80,105.86,106.05(C−1b,C−1d,C−1f,C−1h and C−1j),
176.95,177.40,177.80,178.31(carbonyl)
解析の基礎としたスペクトルを図33に示す。
これらの結果は、前記式(1)においてn=5で示される構造(Sodium β−D−glucopyranosyluronate−[(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−β−D−glucopyranosyl−(1→4)−(Sodium β−D−glucopyranosyluronate)]5−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−D−glucopyranoseの構造)と矛盾しないものである。
(6−6)HA14の測定結果
500MHz 1H−NMR δ;
2.001,2.006,2.016(21H,NAc),4.024(dd,0.6H,J1,2=3.6Hz,J2,3=10.6Hz,H−2aα),
4.439−4.464(m,H−1bβ,H−1d,H−1f,H−1h,H−1j,H−1l and H−1n),4.498(d,J1,2=7.8Hz,H−1bα),
4.537,4.549(d×2,J1,2=8.4Hz,J1,2=8.3Hz,H−1c,H−1e,H−1g,H−1i,H−1k and H−1m),
4.701(d,J1,2=8.4Hz,H−1aβ),5.141(d,0.6H,H−1aα)
解析の基礎としたスペクトルを図34に示す。
125MHz 13C−NMR δ;
24.84,25.09,25.34(NHCOCH3),55.81(C−2aα),
57.09,57.15(C−2c,C−2e,C−2g and C−2i),58.43(C−2aβ),
63.36,63.57(C−6a,C−6c,C−6e,C−6g and C−6i),
75.35,75.58(C−2b,C−2d,C−2f,C−2h and C−2j),
93.91(C−1aα),97.61(C−1aβ),
103.40(C−1c,C−1e,C−1g and C−1i),
105.80,105.85,105.94,106.07(C−1b,C−1d,C−1f,C−1h and C−1j),
176.95,177.40,177.67,177.80,178.30(carbonyl)
解析の基礎としたスペクトルを図35に示す。
これらの結果は、前記式(1)においてn=6で示される構造(Sodium β−D−glucopyranosyluronate−[(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−β−D−glucopyranosyl−(1→4)−(Sodium β−D−glucopyranosyluronate)]6−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−D−glucopyranoseの構造)と矛盾しないものである。
(6−7)HA16の測定結果
500MHz 1H−NMR δ;
2.002,2.006,2.016(24H,NAc),4.024(dd,0.6H,J1,2=3.6Hz,J2,3=10.6Hz,H−2aα),
4.434−4.464(m,H−1bβ,H−1d,H−1f,H−1h,H−1j,H−1l,H−1n and H−1p),
4.498(d,J1,2=7.8Hz,H−1bα),
4.537,4.549(d×2,J1,2=8.4Hz,J1,2=8.3Hz,H−1c,H−1e,H−1g,H−1i,H−1k,H−1m and H−1o),
4.701(d,J1,2=8.4Hz,H−1aβ),5.141(d,0.6H,H−1aα)
解析の基礎としたスペクトルを図36に示す。
125MHz 13C−NMR δ;
24.84,25.09,25.35(NHCOCH3),55.82(C−2aα),
57.10,57.16(C−2c,C−2e,C−2g,C−2i,C−2k,C−2m and C−2o),
58.44(C−2aβ),
63.37,63.57(C−6a,C−6c,C−6e,C−6g,C−6i,C−6k,C−6m and C−6o),
75.35,75.58(C−2b,C−2d,C−2f,C−2h,C−2j,C−2l,C−6n and C−6p),
93.92(C−1aα),97.61(C−1aβ),
103.40(C−1c,C−1e,C−1g,C−1i,C−1k,C−1m and C−1o),
105.80,105.86,105.95,106.08(C−1b,C−1d,C−1f,C−1h,C−1j,C−1l,C−1n and C−1p),
176.98,177,41,177.68,177.81,178.33(carbonyl)
解析の基礎としたスペクトルを図37に示す。
これらの結果は、前記式(1)においてn=7で示される構造(Sodium β−D−glucopyranosyluronate−[(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−β−D−glucopyranosyl−(1→4)−(Sodium β−D−glucopyranosyluronate)]7−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−D−glucopyranoseの構造)と矛盾しないものである。
(6−8)HA48の測定結果
500MHz 1H−NMR δ;
1.998,2.005,2.016(72H,NAc),4.024(dd,0.6H,J1,2=3.6Hz,J2,3=10.6Hz,H−2aα),
4.395−4.470(m,GlcA−unit),
4.498(d,J1,2=8.0Hz,H−1bα),
4.537,4.610(d×2,J1,2=8.2Hz,J1,2=7.8Hz,GlcNAc−unit),
4.700(d,J1,2=8.3Hz,H−1aβ),5.141(d,0.6H,J1,2=3.6Hz,H−1aα)
解析の基礎としたスペクトルを図38に示す。
この結果は、前記式(1)においてn=23で示される構造(Sodium β−D−glucopyranosyluronate−[(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−β−D−glucopyranosyl−(1→4)−(Sodium β−D−glucopyranosyluronate)]23−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−D−glucopyranoseの構造)と矛盾しないものである。
(6−9)HA50の測定結果
500MHz 1H−NMR δ;
2.005,2.017(75H,NAc),4.024(dd,0.6H,J1,2=3.6Hz,J2,3=10.6Hz,H−2aα),4.390−4.470(m,GlcA−unit),
4.498(d,J1,2=7.9Hz,H−1bα),
4.537,4.610(d×2,J1,2=8.1Hz,J1,2=8.1Hz,GlcNAc−unit),
4.701(d,J1,2=8.4Hz,H−1aβ),5.141(d,0.6H,J1,2=3.6Hz,H−1aα)
解析の基礎としたスペクトルを図39に示す。
この結果は、前記式(1)においてn=24で示される構造(Sodium β−D−glucopyranosyluronate−[(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−β−D−glucopyranosyl−(1→4)−(Sodium β−D−glucopyranosyluronate)]24−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−D−glucopyranoseの構造)と矛盾しないものである。
(6−10)HA52の測定結果
500M 1H−NMR δ;
2.005,2.017(78H,NAc),4.024(dd,0.6H,J1,2=3.6Hz,J2,3=10.6Hz,H−2aα),
4.375−4.475(m,GlcA−unit),
4.498(d,J1,2=8.2Hz,H−1bα),
4.536,4.610(d×2,J1,2=8.1Hz,J1,2=8.1Hz,GlcNAc−unit),
4.701(d,J1,2=8.4Hz,H−1aβ),5.141(d,0.6H,J1,2=3.4Hz,H−1aα)
解析の基礎としたスペクトルを図40に示す。
この結果は、前記式(1)においてn=25で示される構造(Sodium β−D−glucopyranosyluronate−[(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−β−D−glucopyranosyl−(1→4)−(Sodium β−D−glucopyranosyluronate)]25−(1→3)−2−acetamido−2−deoxy−D−glucopyranoseの構造)と矛盾しないものである。
(7)HAオリゴ糖以外の不純物
それぞれの画分について、以下の不純物の含量を測定した。
(7−1)タンパク質
タンパク質含量は、ウシ血清アルブミンを標準物質として、BioRad Protein Assay kit(BioRad社製)で測定した。
(7−2)DNA
DNAは、スレッシュホールド法(DNA測定装置:スレッシュホールド(米国モレキュラーデバイス社製))で測定した。
(7−3)エンドトキシン
エンドトキシンは、トキシカラーシステム(商品名;生化学工業株式会社製)を用いたリムルス試験法により測定した。
それぞれの画分中のタンパク質、DNA及びエンドトキシンの含量の測定結果を表7に示す。
この結果から、本発明画分中のタンパク質およびDNAの含量はいずれも検出限界以下であり、またエンドトキシンの含量も実質的に影響がない程度であり、いずれも実質的に含有しないと結論された。
(実施例2)Hsp発現の増強作用
<材料等>
(1)被験物質等
まず、本実施例において用いた被験物質等を説明する。
被験物質(カッコ内は以下で用いる略号を示す。また下記式中、GlcAはグルクロン酸残基を、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン残基を、Galはガラクトース残基を、(6S)は6−0−硫酸エステルを、−はグリコシド結合を、Δは不飽和糖であることを表す。)
・HA飽和2糖(HA2)
GlcAβ1−3GlcNAc
・HA不飽和2糖(ΔHA2)
ΔGlcAβ1−3GlcNAc
・HA飽和4糖(HA4)
GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAc
・HA不飽和4糖(ΔHA4)
ΔGlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAc
・HA飽和6糖(HA6)
GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ
1−4GlcAβ1−3GlcNAc
・HA不飽和6糖(ΔHA6)
ΔGlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAc
・HA飽和8糖(HA8)
GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAc
・HA飽和10糖(HA10)
GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAc
・HA飽和12糖(HA12)
GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAcβ1−4GlcAβ1−3GlcNAc
・HA飽和2〜18糖の混合物(HA2−18)
・HA飽和8〜14糖の混合物(HA8−14)
・HA(重量平均分子量84万;HA84)
・Gal(6S)β1−4GlcNAc(6S)(L4)
・Gal(6S)β1−4GlcNAc(6S)β1−3Gal(6S)β1−4GlcNAc(6S)(L4L4)
HA飽和オリゴ糖は、前記の製造例1で製造されたHAオリゴ糖画分を使用した。
またHA不飽和オリゴ糖は、HAをコンドロイチンAC−1リアーゼ(コンドロイチナーゼACIフラボ;生化学工業株式会社製)で処理して得られた分解産物を、前記製造例1と同様の方法で分画することにより得た(製造例2参照)。
L4及びL4L4は、国際公開WO96/16973に記載の方法で調製した。
被験物質は、以下の薬効薬理試験に応じて所定の濃度となるように生理食塩水に溶解して用いた。生理食塩水に溶解した後のエンドトキシン濃度はいずれも0.3EU/mL以下であり、また鉄含量はいずれも20ppm以下であった。
(2)細胞、培地
K562細胞(JCRB0019;ヒト白血病細胞)、PC−12細胞(JCRB0733)
K562細胞は、10%ウシ胎仔血清(FBS)を含有するRPMI1640培地で培養した。
またPC−12細胞は、10%ウマ血清および5%ウシ新生仔血清(FCS)を含有するDMEM培地(D−グルコース(1,000mg/l)、L−グルタミン(4mM)、ピルビン酸ナトリウム(110mg/l)、炭酸水素ナトリウム(3.7g/l)を含有する)575mlに、20%グルコース水溶液を10ml添加した培地で培養した。
<1>HSF1のリン酸化に対する作用
HSF1(heat shock factor 1)蛋白質は、Hsp70の転写因子であることが知られている(J.Biol.Chem.,271,3355−3358(1996))。またHSF1蛋白質は、リン酸化されることによって活性化し、このリン酸化はSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)上でのバンドのシフト(見かけ分子量が約66kDaから約81kDaにシフトする)によって検出することができる。このことを利用して、各種サイズのHAオリゴ糖をストレスを与えたK562細胞に作用させて、上記バンドのシフトを検出することによりHSF1のリン酸化(活性化)の程度を調べた。
(1)実験1
HA4、ΔHA4、HA6、HA8、HA2−18およびHA8−14のそれぞれについて、前記細胞を含む培養液中に1、10または100ng/mlとなるように添加し、その後直ちに42℃の環境下に移すことによって熱ショックを与え、20分間インキュベートした。インキュベート後、細胞を遠心分離によって回収し、SDS−PAGE(ゲル濃度10%)を行った。次いで一次抗体として抗HSF1モノクローナル抗体(Stressgene社製)を、二次抗体としてヤギ抗マウスIgGモノクローナル抗体(Jackson Lab社製)を用いたウェスタンブロッティングを行い、66kDaのバンド(リン酸化されていないHSF1)から81kDaのバンド(リン酸化されたHSF1)へのシフトを検出した。
その結果、HA4、ΔHA4、HA6およびHA2−18を添加した細胞において、HAオリゴ糖の添加量に依存して81kDaバンドへのシフトが見られた。HA8−14でははっきりした変化は見られなかった。HA8では逆にバンドシフトの阻害が見られた。
(2)実験2
実験1の再現性を確認するため、HA4、ΔHA4、HA8およびHA84を用いて、培養液へのHAの添加量を100ng/mlのみとし、熱ショックを43℃とした以外は実験1と同様にして、バンドシフトを検出した。結果を図41に示す。図41中、左から1番目のレーンは37℃条件下(HAオリゴ糖無添加)の細胞の抽出物、同2番目のレーンは43℃条件下(HAオリゴ糖無添加)の細胞の抽出物、最も右のレーンは標準としてのHSF1(バクテリア由来)を同様に検出したものである。
図41より、HA4およびΔHA4を添加した細胞においてHSF1のバンドのシフトが見られ、かつ66及び81kDaの両方のHSF1自体の量も増加していた。一方HA8では66kDaのHSF1の量の増加は見られたが、81kDaへのバンドのシフトは見られなかった。またHA84では変化は見られなかった。
(3)実験3(比較実験)
実験2で観察された作用が、HAオリゴ糖の糖鎖骨格構造に特異的なものであるか否かを調べるために、以下のコンドロイチンオリゴ糖を用いた比較実験を行った。コンドロイチン(以下、Chという)は、HAにおけるGlcNAcがガラクトサミン残基(GalNAc)に置換されている点のみがHAと異なっており、グリコサミノグリカンである点及び硫酸基を有していない点などはHAと共通している。従って、ChはHAと構造的に極めて類似した物質であるといえ、そのオリゴ糖についても同様である。
・Ch飽和4糖(Ch4)
GlcAβ1−3GalNAcβ1−4GlcAβ1−3GalNAc
・Ch飽和6糖(Ch6)
GlcAβ1−3GalNAcβ1−4GlcAβ1−3GalNAcβ1−4GlcAβ1−3GalNAc
・Ch飽和8糖(Ch8)
GlcAβ1−3GalNAcβ1−4GlcAβ1−3GalNAcβ1−4GlcAβ1−3GalNAβ1−4GlcAβ1−3GalNAc
これらのCh飽和オリゴ糖は、Nagasawaらの方法(Carbohyd.Res.,141,p99−110,1985)に準じて、HClを含有するジメチルスルホキシド(DMSO)でChを処理して得られた分解産物を、陰イオン交換クロマトグラフィーでサイズごとに分画することによって得た。
これらのオリゴ糖を用いて、実験2と同様の実験を行った。その結果、いずれのChオリゴ糖を添加した細胞においても、HSF1のバンドのシフトあるいはHSF1自体の量の増加は観察されなかった。
この実験から、Chオリゴ糖には、HAオリゴ糖において見られるようなHSF1の活性化や発現増強作用がないことが示された。このことは、かかる作用がHAオリゴ糖の糖鎖骨格構造に特異的なものであることを示すものである。
これらの実験から、HA4糖及びこれを含む画分(HA2−18)は、特に顕著にHSF1を活性化することが明らかとなった。
<2>Hspの発現に対する作用
<1>より、HA4糖がHsp70の発現に必要な因子(HSF1)を他のサイズのHAと比較してより顕著に活性化することが明らかになったので、ストレスを与えたK562細胞中のHspの発現が実際にHA4糖の作用によって他のサイズのHAを使用した場合よりもより顕著に増加しているか否かを調べるため、以下の実験を行った。
HA2、ΔHA4、HA6、HA84及びL4L4のそれぞれについて、前記細胞を含む培養液(37℃)中に1、10または100ng/mlとなるように添加した。その後直ちに43℃の環境下に移すことによって熱ショックを与え、20分間インキュベートした。その後培養液を37℃に戻してさらに2時間インキュベートした後、細胞を遠心分離によって回収し、上記<1>と同様にSDS−PAGEを行った。次いで一次抗体として抗Hsp72モノクローナル抗体(Amersham社製)を、二次抗体としてヤギ抗ウサギIgGモノクローナル抗体(Jackson Lab社製)を用いたウェスタンブロッティングを行い、Hsp72を検出した。Hsp72は、Hsp70ファミリーのメンバーの1つで、最も代表的なものであり、ストレスにより発現が誘導及び増強されることが知られている。
結果を図42に示す。図42のaにおける最も左のレーンは熱ショックを与えず(37℃)、かつ被験物質を加えずに同様にHsp72を検出したものであり、最も右のレーンはスタンダードのHsp72(バクテリア由来Hsp72;bHsp72)を同様に検出したものである。図42中のbは、熱ショックを与えない細胞にΔHA4を添加した際のHsp72の発現を同様に検出したものである。
図42のaに示した結果から明らかな通り、熱ショック(43℃)を与えた場合(左から2番目のレーン)、37℃で被験物質無添加とした場合(最も左のレーン)と比較してHspの発現が増強された。また、各HAオリゴ糖の存在下ではHspの発現がさらに増強され、ΔHA4の存在下ではHspの発現が特に強力に増強された(左から3〜5番目のレーン)。
このように、ΔHA4を添加した細胞(熱ショックを与えたもの)においてはHsp72の強い発現が見られたが、他のサイズのHAを添加した細胞ではΔHA4を添加した場合のような強いHsp72の発現増強は見られなかった。
また熱ショックを与えない細胞においては、ΔHA4によるHsp72の発現の増強は見られなかった。このことからHA4糖は、ストレスがない条件下ではHspの発現にほとんど影響を与えないにもかかわらず、一旦ストレスが負荷されると、極めて急速かつ顕著にHspの発現を増強することが明らかになった。<3>細胞死の抑制作用
上記実験により、HA4糖がストレス下で細胞中のHspの発現を他のサイズのHAオリゴ糖よりも強く増強することが明らかになったことから、HAオリゴ糖が実際にストレスに曝された細胞の死をより強く抑制するか否かを調べるため、以下の実験を行った。
PC−12細胞は、血清を含まない培養液中ではアポトーシスに陥ることが知られている。
そこでΔHA2、HA4、ΔHA4、HA6、ΔHA6、HA8、HA10、HA12、HA84、L4、L4L4のそれぞれを、PC−12細胞を含む(血清含まない)培養液中に100ng/mlの濃度となるように添加し、24時間後に細胞をトリパンブルーで染色し、全細胞数に対する生存細胞(トリパンブルーで染色されなかった細胞)数の割合を算出した。
結果を図43に示す。図43の結果から判る通り、HA4糖、特にHA4は、他のサイズのHAオリゴ糖や他の種類のオリゴ糖に比して、顕著に細胞死を抑制した。
<4>細胞組織保護作用
1.臓器保存の面から見た細胞・組織保護作用
(1)臓器保存液の調製
100ng/mlのHA4糖を含むユーロコリンズ液(Euro−Collins液;Am.J.Surg.,179,p154−160(2000))を被験溶液(以下、「HA4(+)」とも表記する)とした。対照として、ユーロコリンズ液(以下、「HA4(−)」とも表記する)を用いた。
(2)被験物質の投与等
11週齢のSD系雄ラットを、「HA4(+)」使用群(n=5)、「HA4(−)」使用群(n=5)、および正常群(n=5)に分けた。開腹して臓器(肝臓)を摘出後、「HA4(+)」使用群および「HA4(−)」使用群に、それぞれの溶液約40mlを、脱血して肝全体の色が薄くなるまで灌流した後、37℃で2時間インキュベートした。
(3)評価
インキュベート後、各群の臓器の湿重量/乾重量比(組織傷害による浮腫の程度の指標)の算出、HE染色した組織切片の光学顕微鏡観察(肉眼による組織傷害程度の観察)、クロマチン濃縮の画像解析およびTUNEL法(Terminal deoxynucleotidyl transferase(TdT)−mediated nick end labeling method;J.Cell.Biol.,119,p493−501(1992))による解析(細胞死の程度の評価)を行った。
(3−1)臓器の湿重量/乾重量比の結果を図44に示す。なお図44中の*は、p<0.05(Williams multiple range test)で有意差があることを示す。
図44の結果から、「HA4(+)」使用群は、「HA4(−)」使用群に比して有意に湿重量/乾重量比が低下していた。このことから、HA4糖は臓器の保存により引き起こされる組織傷害による浮腫を有意に抑制することが示された。
(3−2)HE染色した組織切片の光学顕微鏡観察の結果、「HA4(−)」使用群では浮腫、組織融解(細胞質の消失)、核濃縮等が観察された。これに対し、「HA4(+)」使用群は正常群とほぼ同様の像が観察され、「HA4(−)」に見られるような顕著な組織傷害は観察されなかった。
(3−3)クロマチン濃縮の画像解析
細胞死の程度を評価する1方法として、HE染色した組織切片を用いて、細胞のクロマチン濃縮の画像解析(Image−Pro PLUSTM Version 3.0.1;Media Cybernetics製)を行い、画像濃度を比較した。細胞死が起きてクロマチンが濃縮すると、その部分はHEによって濃く染色される。クロマチンが濃縮している細胞が多いほど顕微鏡画像全体の濃度が高まるため、これを指標に評価した。
結果を図45に示す。なお図45中の*は、p<0.05(Williams multiple range test)で有意差があることを示す。
図45の結果から、「HA4(−)」使用群では正常群に比して有意に画像濃度が高まったが、「HA4(+)」使用群は正常群に比して有意な画像濃度の上昇は見られなかった。
(3−4)TUNEL法による解析
細胞死の程度を評価する1方法として、TUNEL法を用いたDNAの断片化の程度を解析した。細胞がアポトーシスを起こすとDNAが断片化することが知られている。TUNEL法はDNAの末端を染色する方法であり、DNAが断片化されている細胞が多いとTUNEL染色の程度が高まることから、細胞死(アポトーシス)の程度の指標とすることができる。
保存後の組織切片をTUNEL染色して光学顕微鏡で肉眼観察し、1mm2あたりのTUNEL染色細胞数をカウントした。併せて、それぞれの組織切片ごとの組織障害の程度を、「重度」、「中度」、「軽度」、「極めて軽度」の4段階で評価した。なおこの評価は、客観性を確保するためにブラインドで行った。前者の結果を図46に、後者の結果を図47に示す。なお図46中の*は、p<0.05(Williams multiple range test)で有意差があることを示す。
図46の結果から、「HA4(−)」使用群ではTUNEL染色された細胞が極めて多く観察されたのに対し、「HA4(+)」使用群ではTUNEL染色された細胞は極めて少なく、ほぼ正常群と同程度であった。また図47の結果から、「HA4(−)」使用群では「重度」「中度」の組織障害が8割の組織切片で観察されたが、「HA4(+)」使用群では「重度」の組織障害は観察されず、2割の組織切片で「中度」の組織障害が観察されるに止まった。
以上の結果から、HAオリゴ糖(HA4糖)は、臓器保存の面において優れた細胞・組織保護効果を有することが明らかになった。
2.潰瘍に対する効果の面から見た細胞・組織保護作用
(1)投与用被験溶液の調製
被験物質をカルボキシメチルセルロース(CMC)に溶解し、投与用の被験溶液とした。濃度は、後述の投与量に応じ、かつ投与液量が10ml/kgとなるように決定した。
また陽性対照溶液として、既存の胃炎・胃潰瘍治療剤(teprenone、geranylgeranylacetone;商品名セルベックス;エーザイ)をCMCに溶解したものを用いた。濃度は、投与量1mg/kg(臨床用量)、かつ投与液量が10ml/kgとなるように決定した。陰性対照溶液としては0.5%CMCを用いた。
(2)被験物質の投与等
5週齢のSD系雄ラットを、「陰性対照溶液」投与群(n=8)、「HA4 4mg/kg」投与群(n=8)、「HA4 20mg/kg」投与群(n=8)、「HA4 100mg/kg」投与群(n=8)および「陽性対照溶液」投与群(n=8)に分けた。
第1回目の投与の前日の16:00から各群のラットを絶食させ、その翌日の8:00に上記各溶液を経口投与した後に水浸拘束した。水浸拘束は翌日の8:00まで(24時間)行った。途中、16:00および24:00に第1回目投与と同様に各溶液を投与した。
その後各ラットを解剖し、胃を摘出した。摘出した胃は10%緩衝ホルマリンを注入して膨張させて襞を伸ばして固定した。その後、胃壁に付着している血液を水洗した除去した。
(3)評価
黒褐色に変性している潰瘍部の面積率(潰瘍面積/腺胃の面積)を画像解析装置(Image−Pro PLUSTM Version 3.0.1;Media Cybernetics製)で測定した。結果を図48に示す。なお図48中の*および**は、それぞれp<0.05およびp<0.01(Williams multiple range test)で有意差があることを示す。
図48の結果から、HA4を投与した群はいずれも陰性対照溶液投与群に比して有意に潰瘍部の面積率が低下していた。特にHA4 20mg/kg投与群および同100mg/kg投与群は、陽性対照溶液群よりも潰瘍部面積率が低かった。
以上の結果から、HAオリゴ糖(HA4糖)は、潰瘍に対する効果の面においても、優れた細胞・組織保護効果を有することが明らかになった。またHAオリゴ糖の経口投与によっても、上記のような優れた効果が得られることが明らかとなった。さらに、この実験ではHAオリゴ糖(HA4糖)を予め投与した後に水浸拘束しており、かつ、潰瘍が発生するまでには水浸拘束開始後しばらく時間を要することから、この実験の結果はHAオリゴ糖(HA4糖)が予防効果を有することを示しているともいえる。
3.肝障害に対する効果の面から見た細胞・組織保護作用
実験1 四塩化炭素モデルを用いた実験
(1)投与用被験溶液の調製
被験物質を生理食塩液に溶解し、投与用の被験溶液とした。濃度は、後述の投与量に応じ、かつ投与液量が5ml/kgとなるように決定した。
また陽性対照溶液として、後述の四塩化炭素肝障害モデルに対する効果が報告されている(薬物療法、第9巻、特集号p46−53)FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド;わかもと製薬)を、投与量10mg/kgで用いた。また陰性対照溶液としては生理食塩液を用いた。
(2)被験物質の投与等
5週齢のSD系雄ラットを、「陰性対照溶液」投与群(n=8)、「HA4 2mg/kg」投与群(n=8)、「HA4 10mg/kg」投与群(n=8)、「HA4 50mg/kg」投与群(n=8)および「陽性対照溶液」投与群(n=8)、「正常群」(n=8)に分けた。
第1回目の投与の前日の16:00から各群のラットを絶食させ、その翌日の8:00前に四塩化炭素(CCl4)を100mg/kg経口投与した。その後8:00に上記各溶液を腹腔内投与した。その後絶食状態のまま飼育し、16:00および24:00に第1回目投与と同様に各溶液を投与した。24:00の投与後に給餌し、翌日8:00に各ラットを解剖した。
(3)評価
解剖後、血液を採取して、GOT活性及び白血球数の測定を行った。GOT活性の測定は臨床化学自動分析装置(COBAS MIRA S;日本ロシュ)を用い、白血球数の測定は自動血球測定装置(Sysmex K−2000;Sysmex社製)を用いて行った。
前者の結果を図49、後者の結果を図50に示す。なお図49および図50中の*は、p<0.05(Williams multiple range test)で有意差があることを示す。
図49より、HA4 50mg/ml投与群において、陰性対照溶液投与群に比して有意なGOT活性の低下が見られた。また図50より、いずれのHA4投与群においても、陰性対照溶液投与群に比して有意な末梢白血球数の減少が見られ、FADに比しても白血球数が減少していた。このことから、HA4糖は肝障害に対する効果の面からも細胞・組織保護効果を有することが明らかになった。さらに、この実験では四塩化炭素を予め投与した後にHAオリゴ糖(HA4糖)を投与しているが、四塩化炭素によって肝障害が発生するまでには四塩化炭素投与後しばらく時間を要することから、この実験の結果はHAオリゴ糖(HA4糖)が予防効果を有することを示しているともいえる。
また本実験においては、末梢血中のIL−10およびIL−8の濃度も併せて測定した。
IL−10は、ストレス蛋白質(細胞がストレスを受けると発現し、細胞を保護する作用を有する蛋白質)の一種であるHsp70と関連していることが報告されており(J.Immunol.,164(5),p2711−2717(2000))、またコンカナバリンAによって惹起された肝炎をIL−10が抑制したとの報告もある(Autoimmunity,31(2),p75−83 1999)。
またIL−8は、カドミウムやアルコールによる肝障害モデルにおいて、発現量が上昇していることが明らかとなっており(Toxicology and Applied Pharmacology,163,p231−9(2000),Acta Gastro−Enterologica Belgica,57(3−4),P255−9(1994))、さらにHsp70の発現誘導によりIL−8の発現が抑制されたとの報告もある(Journal of Immunology,164,p5416−23(2000))。
末梢血中のIL−10は、IL−10 Rat ELISA(ENDOGEN社製)で測定した。IL−8は、パナテストAシリーズ ラットCINC−1(IL−8)(株式会社パナファームラボラトリーズ)で測定した。IL−10の測定結果を図51に、IL−8の測定結果を図52に示す。なお図51および図52中の**は、p<0.01(Williams multiple range test)で有意差があることを示す。
図51より、HA4の投与量依存的に血中IL−10濃度が増加しており、HA4 50mg/kg投与群においては陰性対照溶液投与群に比して血中IL−10濃度が有意に高いことがわかる。また図52より、HA4の投与量依存的に血中IL−8濃度が減少していることがわかる。
この結果からHAオリゴ糖(HA4糖)は、IL−10の産生促進効果およびIL−8の産生抑制効果をも有していることが明らかとなった。このことから、HAオリゴ糖(HA4糖)はIL−10の産生促進やIL−8の産生抑制を介して前記細胞・組織保護効果を発揮する可能性も考えられる。またHAオリゴ糖(HA4糖)は、IL−10の減少やIL−8の増加に起因する疾患や、IL−10の産生促進やIL−8の産生抑制が求められる疾患等の処置剤としても利用しうることが示された。
実験2 コンカナバリンAモデルを用いた実験
HAオリゴ糖(HA4糖)が、四塩化炭素モデル以外の肝障害モデルにも有効か否か確認するために、コンカナバリンAモデルを用いた実験を行った。
(1)投与用被験溶液の調製
投与用の被験溶液の調製、濃度、投与量、および投与液量等については、実験1と同様である。
また陽性対照溶液として、強力ネオミノファーゲンC(Stronger Neo−Minophagen C;ミノファーゲン製薬)を、投与量5mg/kgで用いた。この量は当該薬剤の最高の臨床用量である。また陰性対照溶液としては生理食塩液を用いた。
(2)被験物質の投与等
8週齢のBalb/cマウスを、「陰性対照溶液」投与群(n=12)、「HA4 2mg/kg」投与群(n=12)、「HA4 10mg/kg」投与群(n=12)、「HA4 50mg/kg」投与群(n=12)および「陽性対照溶液」投与群(n=12)、「正常群」(n=8)に分けた。
コンカナバリンA(ConA;シグマ社)を15mg/kg尾静脈投与した。その後上記各溶液を尾静脈投与した。その後24時間飼育した。
(3)評価
腹部大静脈より全血液を採取し、臨床化学自動分析装置(COBAS MIRA S;日本ロシュ)を用いてGPT活性及びGOT活性を測定した。また肝臓を摘出して、肝臓の状態を肉眼で評価した。
その結果、GPTの平均値は「陰性対照溶液」投与群で約5600(I.U./L)であった。これに対し「HA4 10mg/kg」投与群及び「HA4 50mg/kg」投与群ではそれぞれ約2200(I.U./L)及び約1200(I.U./L)であり、いずれも「陰性対照溶液」投与群に対して有意に低かった(p<0.01;Dunnettの多重比較検定)。なお、「陽性対照溶液」投与群は約4000(I.U./L)であった。
また、GOTの平均値は「陰性対照溶液」投与群で約6000(I.U./L)であった。これに対し「HA4 10mg/kg」投与群及び「HA4 50mg/kg」投与群ではそれぞれ約2000(I.U./L)及び約1000(I.U./L)であり、いずれも「陰性対照溶液」投与群に対して有意に低かった(p<0.01;Dunnettの多重比較検定)。なお、「陽性対照溶液」投与群は約4400(I.U./L)であった。
また肝臓の肉眼所見の結果、「HA4 10mg/kg」投与群及び「HA4 50mg/kg」は、いずれも「陰性対照溶液」投与群および「陽性対照溶液」投与群に対して障害の程度が低かった。
このことから、HAオリゴ糖(HA4糖)はコンカナバリンAによって惹起される肝障害に対しても効果を発揮することが示され、HAオリゴ糖(HA4糖)が種々の肝障害に対して有効であることが示唆された。さらにこの実験も四塩化炭素モデルと同様に、HAオリゴ糖(HA4糖)が予防効果を有することを示しているともいえる。
なお本発明の各剤は、そもそもHAオリゴ糖自体の安全性が高いことに加え、上記実施例の結果からも、その安全性が推定される。
産業上の利用可能性
本発明オリゴ糖は、本発明医薬の有効成分等として有用である。
本発明画分は、所望のサイズのHAオリゴ糖を含有し、他のサイズのオリゴ糖その他の不純物を実質的に含有しないHAオリゴ糖画分であり、HAオリゴ糖の生理活性探索用の試薬、分析用のスタンダード、医薬品自体ないしその素材として極めて有用である。
本発明オリゴ糖を有効成分とする医薬、特にHsp発現増強剤は、前記実施例の結果からも明らかな通り、特定サイズのHAオリゴ糖が、他のサイズのHAオリゴ糖には見られない顕著な効果を発揮することから極めて有用である。さらに、この特定サイズのHAオリゴ糖を選択することにより、他のサイズのHAオリゴ糖と同一の効果を維持しつつ投与量を減少させることもできることから、より安価かつ安全性の高い剤としうる点においても、極めて有利である。
さらに、本発明オリゴ糖を有効成分とする細胞死抑制剤、細胞障害抑制剤、及び細胞・組織保護剤(例えば、臓器保存剤、潰瘍処置剤、肝障害処置剤、IL−10産生促進剤、またはIL−8産生抑制剤)は、前記実施例の結果からも明らかな通り、優れた薬理効果を発揮し、かつその安全性も高いことから極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
図1は、HA4をゲル濾過クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。上段の縦軸は210nmの吸収を、下段の縦軸はRIの吸収を示す。また横軸はいずれも溶出時間を示す。
図2は、HA6をゲル濾過クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図1と同様である。
図3は、HA8をゲル濾過クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図1と同様である。
図4は、HA10をゲル濾過クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図1と同様である。
図5は、HA12をゲル濾過クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図1と同様である。
図6は、HA14をゲル濾過クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図1と同様である。
図7は、HA4を陰イオン交換クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸は210nmの吸収を、横軸は溶出時間を示す。
図8は、HA6を陰イオン交換クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図7と同様である。
図9は、HA8を陰イオン交換クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図7と同様である。
図10は、HA10を陰イオン交換クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図7と同様である。
図11は、HA12を陰イオン交換クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図7と同様である。
図12は、HA14を陰イオン交換クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図7と同様である。
図13は、HA48を陰イオン交換クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図7と同様である。
図14は、HA50を陰イオン交換クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図7と同様である。
図15は、HA52を陰イオン交換クロマトグラフィーに付した場合の溶出曲線を示す図である。縦軸及び横軸の説明は、図7と同様である。
図16は、蛍光標識オリゴ糖の電気泳動の結果を示す図である。
図17は、HA4(ロット1)のマススペクトルを示す図である。
図18は、HA6(上段)、HA8(中段)及びHA10(下段)のマススペクトルを示す図である。
図19は、HA6(上段)、HA8(中段)及びHA10(下段)についてのDeconvolutionの結果を示す図である。
図20は、HA12(上段)、HA14(中段)及びHA16(下段)のマススペクトルを示す図である。
図21は、HA12(上段)、HA14(中段)及びHA16(下段)についてのDeconvolutionの結果を示す図である。
図22は、HA48(上段)、HA50(中段)及びHA52(下段)のマススペクトルを示す図である。
図23は、HA48(上段)、HA50(中段)及びHA52(下段)についてのDeconvolutionの結果を示す図である。
図24は、HA4についての1H−NMRスペクトルを示す図である。
図25は、HA4についての13C−NMRスペクトルを示す図である。
図26は、HA6についての1H−NMRスペクトルを示す図である。
図27は、HA6についての13C−NMRスペクトルを示す図である。
図28は、HA8についての1H−NMRスペクトルを示す図である。
図29は、HA8についての13C−NMRスペクトルを示す図である。
図30は、HA10についての1H−NMRスペクトルを示す図である。
図31は、HA10についての13C−NMRスペクトルを示す図である。
図32は、HA12についての1H−NMRスペクトルを示す図である。
図33は、HA12についての13C−NMRスペクトルを示す図である。
図34は、HA14についての1H−NMRスペクトルを示す図である。
図35は、HA14についての13C−NMRスペクトルを示す図である。
図36は、HA16についての1H−NMRスペクトルを示す図である。
図37は、HA16についての13C−NMRスペクトルを示す図である。
図38は、HA48についての1H−NMRスペクトルを示す図である。
図39は、HA50についての1H−NMRスペクトルを示す図である。
図40は、HA52についての1H−NMRスペクトルを示す図である。
図41は、HA4糖による熱ショック後のHSF1の活性化を示す図である。
図42は、HA4糖による熱ショック後のHsp72の発現を示す図である。
図43は、各種HAオリゴ糖による血清飢餓により誘導されるの細胞死(アポトーシス)の抑制の程度を示す図である。
図44は、HA4糖による臓器の浮腫の抑制効果を示す図である。
図45は、HA4糖による細胞のクロマチン濃縮の抑制効果を示す図である。
図46は、HA4糖によるTUNEL染色細胞数の減少を示す図である。
図47は、HA4糖による細胞・組織障害の抑制効果を示す図である。
図48は、HA4糖による胃潰瘍抑制効果を示す図である。
図49は、HA4糖による肝障害抑制効果(GOT活性)を示す図である。
図50は、HA4糖による肝障害抑制効果(白血球数)を示す図である。
図51は、HA4糖によるIL−10産生促進効果を示す図である。
図52は、HA4糖によるIL−8産生抑制効果を示す図である。
Claims (13)
- 4糖〜60糖から選択されるサイズを有するヒアルロン酸オリゴ糖。
- 請求項1に記載のヒアルロン酸オリゴ糖を含有し、かつ、下記(1)〜(6)に示す理化学的性質を有することを特徴とする画分。
(1)当該画分を、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて以下の(a)および(b)に記載した検出方法により分析すると、いずれの方法によっても実質的に単一なピークを示し、かつ当該ピークの面積が以下の(a)および(b)に示す通りとなる。
(a)210nmの吸収で検出した場合、画分中の全HAオリゴ糖のピーク面積の和に対する前記実質的に単一なピークの相対面積が85%以上である。
(b)示差屈折計で検出した場合、画分中の全HAオリゴ糖のピーク面積の和に対する前記実質的に単一なピークの相対面積が98%以上である。
(2)当該画分を、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて210nmの吸収で検出して分析すると、実質的に単一なピークを示し、かつ、画分中の全ヒアルロン酸オリゴ糖のピーク面積の和に対する前記実質的に単一なピークの相対面積が90%以上である。
(3)当該画分を蛍光標識した後、これを電気泳動によって分析すると、単一なバンドを示し、かつ、他のサイズのHAオリゴ糖のバンドが検出されない。
(4)当該画分を構成するHAオリゴ糖のモノアイソトピック分子量又は平均分子量の理論値を1とした場合、当該画分の質量分析による実測値が0.997〜1.003(相対値)である。
(5)当該画分を構成するHAオリゴ糖における炭素(C)、水素(H)および窒素(N)のそれぞれの含量比の理論値(重量%)と、当該画分を元素分析することによって得られるそれぞれの元素の実測値(重量%)との差が、いずれも±1(重量%)である。
(6)タンパク質、DNAおよびエンドトキシンを実質的に含有しない。 - ヒアルロン酸オリゴ糖が、4糖〜20糖のサイズから選択されることを特徴とする、請求項2または3に記載の画分。
- ヒアルロン酸オリゴ糖が、4糖〜16糖のサイズから選択されることを特徴とする、請求項2または3に記載の画分。
- ヒアルロン酸オリゴ糖が4糖である、請求項2または3に記載の画分。
- 請求項1に記載のヒアルロン酸オリゴ糖を有効成分とする医薬。
- 請求項1に記載のヒアルロン酸オリゴ糖として請求項2または3に記載の画分を使用する請求項7に記載の医薬。
- 医薬が、熱ショック蛋白質発現増強剤、細胞死抑制剤、細胞障害抑制剤、及び細胞・組織保護剤から選ばれるものである、請求項7または8に記載の医薬。
- 細胞・組織保護剤が、臓器保存剤、潰瘍処置剤、肝障害処置剤、IL−10産生促進剤、及びIL−8産生抑制剤から選ばれるいずれかの剤であることを特徴とする、請求項9に記載の医薬。
- ヒアルロン酸オリゴ糖が、4糖〜20糖のサイズから選択されることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の医薬。
- ヒアルロン酸オリゴ糖が、4糖〜16糖のサイズから選択されることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載の医薬。
- ヒアルロン酸オリゴ糖が4糖である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の医薬。
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