JP2007153761A - シナプス伝達促進剤及びシナプス保護剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】シナプス伝達促進剤及びシナプス保護剤を提供する。
【解決手段】ヒアルロナンを有効成分として含有する薬剤である。ヒアルロナンとしては-D-グルクロン酸-β-1,3-D-N-アセチルグルコサミン-β-1,4-を1単位とし、これを2個含む4糖(HA4)であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ヒアルロナンを有効成分とするシナプス伝達促進剤及びシナプス保護剤に関する。
ヒアルロナンは、D−グルクロン酸とN−アセチル−D−グルコサミンとの2糖繰り返し単位から構成されている長鎖の多糖であり、一方、オリゴ糖も知られている。ヒアルロナンは鶏冠、さい体、皮膚、関節液などの生体組織からの抽出液、またはストレプトコッカス属の細菌を用いる発酵法などにより製造され、毒性学的および免疫学的作用が存在しないため、薬剤や化粧品として利用されており、例えばヒアルロナンの関節内注射による関節炎の治療がよく知られている。以下の説明において、4糖のヒアルロナンをHA4と記載する。
HA4には、臓器保存、肝障害および胃潰瘍に対する治療・抑制効果があることが報告されている(特許文献1参照)。また、HA4には、ストレス蛋白発現増強作用および細胞死抑制作用があることが知られている(非特許文献1参照)。さらに、HA4には、脊髄損傷モデルに対し治療効果があることが知られている(特許文献2参照)。
ところが、HA4のシナプスに対する作用・効果を示唆した公知例はなかった。
WO2002/004471 WO2004/084912 Xu H, Ito T, Tawada A, Maeda H, Yamanokuchi H, Isahara K, Yoshida K, Uchiyama Y, Asari A. Effect of hyaluronan oligosaccharides on the expression of heat shock protein 72. J Biol Chem. 2002 10;277(19):17308-14.
そこで、本発明は、新規なシナプス伝達促進剤及びシナプス保護剤を提供することを目的とする。
上述した目的を達成した本発明に係るシナプス伝達促進剤及びシナプス保護剤は、4糖のヒアルロナンを有効成分として含有する。
本発明に係るシナプス伝達促進剤及びシナプス保護剤は、4糖のヒアルロナンを有効成分とするものであるから、比較的安価にかつ容易に大量生産できる利点がある。また、4糖のヒアルロナンは毒性や抗原性がほとんどないこと、生体が元来有している治療作用や疾患の防止作用を増強することから副作用の極めて少ない剤として期待される。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係るシナプス伝達促進剤は、シナプスの機能を促進する効果を示すものである。また、本発明に係るシナプス保護剤は、シナプスの機能を回復する効果を示すものである。本発明に係るシナプス伝達促進剤及びシナプス保護剤は、図1に模式的に示すように、前シナプスと後シナプスとの間の神経伝達物質の伝達量を促進することができる。なお、前シナプスには、ヒートショックプロテイン72(Hsp72)及び神経伝達物質からなるシナプス小胞が存在している。後シナプスには、Hsp72及び神経伝達物質受容体が存在している。本発明に係るシナプス伝達促進剤及びシナプス保護剤は、図1における左側に示した状態から右側に示した状態、すなわち、神経伝達物質の伝達量を増強するように作用する。
以下の説明において、本発明に係るシナプス伝達促進剤及びシナプス保護剤を単に薬剤と称する。本発明に係る薬剤に含まれるヒアルロナンとしては、基本的にはβ−D−グルクロン酸の1位とβ−D−N−アセチルグルコサミンの3位とが結合した2糖単位を少なくとも1個含む2糖以上のものでかつβ−D−グルクロン酸とβ−D−N−アセチルグルコサミンとから基本的に構成されるものであれば、2糖単位が1個または複数個結合したものにそれらの要素が結合した糖であってもよく、またこれらの誘導体、例えば、アシル基等の加水分解性保護基を有したもの等も使用し得る。該糖は不飽和糖であってもよく、不飽和糖としては、非還元末端糖、通常、グルクロン酸の4,5位炭素間が不飽和のもの等が挙げられる。本発明で使用するヒアルロナンとしては、具体的には動物等の天然物から抽出されたもの、微生物を培養して得られたもの、化学的もしくは酵素的に合成されたものなどいずれも使用することができる。例えば鶏冠、さい体、皮膚、関節液などの生体組織から公知の抽出法と精製法によって得ることができる。またストレプトコッカス属の細菌等を用いた発酵法によっても製造できる。
本発明においては、ヒアルロナンオリゴ糖もヒアルロナンに包含され、上記2糖単位1個からなる2糖およびその誘導体のような低分子量のヒアルロナンから、重量平均分子量400万程度の高分子量のヒアルロナンまで使用することができる。好ましくは組織における浸透性などの点で優れる重量平均分子量380程度〜900,000程度のヒアルロナンが挙げられ、より好ましくは2〜20糖程度のヒアルロナンを挙げることができる。
ヒアルロナンのうち分子量の低いものは、具体的には、酵素分解法、アルカリ分解法、加熱処理法、超音波処理法(Biochem., 33(1994)p6503-6507)等の公知の方法によってヒアルロナンを低分子化する方法、化学的もしくは酵素的に合成する方法(Glycoconjugate J., (1993)p435-439、WO93/20827) などで製造することが好ましい。例えば酵素分解法としては、ヒアルロナン分解酵素(ヒアルロニダーゼ(睾丸由来)、ヒアルロニダーゼ(Streptomyces由来)、ヒアルロニダーゼSDなど)、コンドロイチナーゼAC、コンドロイチナーゼACII、コンドロイチナーゼACIII 、コンドロイチナーゼABCなどのヒアルロナンを分解する酵素をヒアルロナンに作用させてヒアルロナンオリゴ糖を生成する方法(新生化学実験講座「糖質II−プロテオグリカンとグリコサミノグリカン−」p244-248、1991年発行、東京化学同人 参照)などが挙げられる。
また、アルカリ分解法としては、例えばヒアルロナンの溶液に1N程度の水酸化ナトリウム等の塩基を加え、数時間加温して、低分子化させた後、塩酸等の酸を加えて中和して、低分子量のヒアルロナンを得る方法などが挙げられる。本発明で用いるヒアルロナンは、塩の形態を包含し、製剤上の必要に応じて、その薬学上許容できる塩を用いることができる。例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、トリ(n−ブチル)アミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、アミノ酸塩等のアミン塩などであることができる。
本発明の薬剤は、ある分子量のヒアルロナン単独又は種々の分子量のヒアルロナンを組み合わせたものなど特に限定することなく使用できる。本発明の薬剤は、ヒアルロナンを有効成分とするものであり、その有効量をヒトを含む哺乳動物に投与することによって生体に悪影響を与えることなく、シナプス伝達を促進及びシナプスを保護することができる。
本発明の薬剤は、ヒアルロナン又はその塩を、そのまままたは必要に応じて担体、賦形剤、その他の添加物と共に、経口的あるいは非経口的に投与(関節内投与、静脈内、筋肉内、皮下などの組織内投与(注射)、経腸投与、経皮投与など)するための医薬品として、任意の剤形に製剤化することが可能であり、任意の投与方法で患者に投与される。特に、本発明に係る薬剤は、硬膜内製剤とすることが好ましい。
経口製剤としては、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤等の固形製剤;シロップ剤、エリキシル剤、乳剤等の液状製剤を挙げることができる。散剤は、例えば、乳糖、デンプン、結晶セルロース、乳酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸等の賦形剤と混合して得ることができる。顆粒剤は、上記賦形剤のほか、必要に応じ、例えば白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤や、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の結合剤や、カルボキシメチルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤をさらに加え、湿式又は乾式で造粒して得ることができる。錠剤は、上記散剤又は顆粒剤をそのまま、或いはステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤を加えて打錠して得ることができる。また、上記錠剤又は顆粒剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタアクリル酸メチルコポリマー等の腸溶性基剤で被覆し、或いはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油等で被覆し、これらを腸溶性或いは持続性製剤にすることができる。硬カプセル剤は、上記散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填して得ることができる。また軟カプセル剤は、ヒアルロナン又はその塩を、グリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油等に混合し、これをゼラチン膜で被覆して得ることができる。シロップ剤は、白糖、ソルビトール、グルセリン等の甘味剤とヒアルロナン又はその塩とを、水に溶解して得ることができる。また、甘味剤及び水のほかに、精油、エタノール等を加えてエリキシル剤とするか、或いはアラビアゴム、トラガカント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウム等を加えて乳剤又は懸濁剤にすることができる。またこれらの液状製剤には必要に応じ、矯味剤、着色剤、保存剤等を加えることができる。
非経口製剤としては、注射剤、直腸投与剤、ペッサリー、皮膚外用剤、吸入剤、エアゾール剤、点眼剤等を挙げることができる。注射剤は、ヒアルロナン又はその塩に塩酸、水酸化ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のpH調節剤;塩化ナトリウムウム、ブドウ糖等の等張化剤;及び注射用蒸留水を加え、滅菌濾過した後、アンプルに充填して得ることができる。また、更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチン等を加えて真空凍結乾燥し、用時溶解型の注射剤とすることができる。またヒアルロナン又はその塩にレシチン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の乳化剤を加えた後、水中で乳化された注射用乳剤とすることもできる。
直腸投与剤は、ヒアルロナン又はその塩にカカオ脂肪酸のモノ、ジ又はトリグリセリド、ポリエチレングリコール等の坐剤用基剤を加えた後、加温して溶解し、これを型に流し込んで冷却するか、或いはヒアルロナン又はその塩をポリエチレングリコール、大豆油等に混合した後、ゼラチン膜で被覆して得ることができる。皮膚外用剤は、ヒアルロナン又はその塩に、白色ワセリン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコール等を加え、必要に応じて加温し、混練して得ることができる。テープ剤は、ヒアルロナン又はその塩を、ロジン、アクリル酸アルキルエステル重合体等の粘着剤と混練し、これを不織布等に展延して得ることができる。吸入剤は、例えば薬学的に許容される不活性ガス等の噴射剤に、ヒアルロナン又はその塩を溶解又は分散し、これを耐圧容器に充填して得ることができる。
(投与方法)本発明のヒアルロナンを有効成分とする薬剤の投与方法は、特に限定されないが、硬膜内投与、皮下投与、静脈内投与、経口投与を挙げることができる。
(投与量)投与量は、対象とする疾患、患者の年令、健康状態、体重等に応じ適宜決定するが、一般には0.05〜50mg/kg を1日1回あるはそれ以上に分けて投与する。
(毒性)本発明で使用するヒアルロナンは、医薬としての生物活性を示す投与量において細胞毒性はほとんどもしくは全く認められなかった。
以下、本発明に係る薬剤を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例では、ラット脊髄損傷モデルに、生理食塩液(生食群)又はHA4を含む生理食塩液(HA4群)を髄腔内持続投与後、脊髄組織を採取し、抗Hsp72抗体及び/又は抗シナプトフィジン抗体にて免疫染色した。また、本実施例では、Sham-operationを施したラットを非損傷の対照とした(Sham-operation群)。
ラット脊髄損傷モデルは、Wistarラット(入荷時11週齢、使用時12週齢)を以下のように処置することで作製した。先ず、供試ラットをペントバルビタール麻酔下に、頸部から臀部にかけて電気バリカンで剪毛し、70%アルコールおよびイソジンで剪毛部位を清拭した。次に、背部皮膚を切開し、第5から第10胸椎を露出後、第6胸椎を半椎弓切除した。次に、硬膜に小切開を加え、キシロカインで局所麻酔後、マイクロフォーセップ(先端を0.3mmに加工)の先端を脊髄後索の幅(約1.5mm)で腹部側椎体にマイクロフォーセップの先端が接触するまで刺入し、マイクロフォーセップを10秒間抓み、脊髄を挫滅した(以下、1次損傷部位と称す)。なお、ラット脊髄損傷モデルにおいては、1次損傷部位から、軸索の変性・細胞死などが伝播し、広がってできた損傷部位として定義される2次損傷部位が形成される。なお、2次損傷部位は、1次損傷部位に浸潤してきた炎症性細胞の作用も関与していると考えられている。
脊髄挫滅後、直ちにチューブの先端(OD:0.3mm)を損傷部頭側に留置後、浸透圧ポンプ(AlzetポンプModel 2004(Alza Corporation))を接続し、設定した投与期間で硬膜内持続投与を行った。損傷部と周囲組織の隔離のために、ゼラチンスポンジ(Gelform、ファルマシア)を置き、創部を縫合後、飼育ケージに戻した。
なお、Sham-operation群のラットは、硬膜切開し、その後、縫合することで作製した。
以上のように作製したSham-operation群のラットを1群とした。また、ラット脊髄損傷モデルのラットのうち、生理食塩液を髄腔内持続投与したものを2群とした。さらに、ラット脊髄損傷モデルのラットのうち、HA4を含む生理食塩液を髄腔内持続投与したものを3群とした。これら群の構成を表1に示す。
Figure 2007153761
なお、3群に投与したHA4を含む生理食塩液は、Tawadaらの方法(Tawada A, Masa T, Oonuki Y, Watanabe A, Matsuzaki Y, Asari A. Large-scale preparation, purification, and characterization of hyaluronan oligosaccharides from 4-mers to 52-mers. Glycobiology. 2002; 12(7):421-6.)により調製した。
これら各群のラットを用いて、1次損傷部位及び2次損傷部位の横断面の組織切片を作製し、ホルマリン固定後、通常の方法にて免疫染色を行った。Hsp72については、1次抗体として抗Hsp72抗体(アマシャム社製)を使用し、2重染色の場合には2次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(Texas Red標識抗ウサギIgG抗体)を使用した。また、シナプトフィジンについては、1次抗体として抗シナプトフィジン抗体(フナコシ社製)を使用し、2重染色の場合には2次抗体としてペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(FITC標識抗マウスIgG抗体)を使用した。
結果
1次損傷部位及び2次損傷部位におけるHsp72の免疫染色試験の結果を、それぞれ図2及び図3に示す。図2及び3において、a)は各群における組織切片の写真であり、b)はNIHイメージにより測定した各群の光強度を示す特性図である。図2及び3に示すように、Hsp72は、1群ではほとんど認められず、2群において軽度の染色性が認められ、3群ではさらに強い染色性が認められた。これら染色性については、1次損傷部位と2次損傷部位とで違いが認められなかった。
1次損傷部位及び2次損傷部位におけるシナプトフィジンの免疫染色試験の結果を、それぞれ図4及び図5に示す。図4及び図5において、a)は各群における組織切片の写真であり、b)はNIHイメージにより測定した各群の光強度を示す特性図である。図4及び図5に示すように、シナプトフィジンは、1群では強い発現が灰白質に中等度発現が白質に認められたが、2群ではその発現がほとんど認められなかった。これに対して3群では、1群に近い発現が認められた。この染色性については、1次損傷部位と2次損傷部位とで違いが認められなかった。
また、3群のラットについて、Hsp72及びシナプトフィジンの2重染色した結果を図6及び図7に示す。図6は、灰白質及び白質の写真である。図7の右側はHsp72を赤色として示す写真(灰白質)であり、左側はシナプトフィジンを緑色として示す写真(灰白質)であり、中央は右側写真と左側写真を重ねた写真(灰白質)である。なお図7の中央の写真において、Hsp72とシナプトフィジンが共に発現している場合には黄色となっている。図6に示すように、3群において、Hsp72はユビキタスな染色性を示した。一方で、図7に示すように、Hsp72とシナプトフィジンとは一致した局在性を示した。
考察
HA4投与により脊髄損傷部位においてHsp72発現が増強した。この場合、Hsp72は、ユビキタスに存在したが、シナプトフィジンと局在性を同じにしたことは特筆にあたいする。すなわち、シナプトフィジンは、シナプス小胞に存在しシナプス伝達に関与する。したがって、HA4は、シナプス小胞におけるHsp72の発現増強を介して、シナプス小胞およびシナプトフィジンを保護することが考えられる(図1における左側)。海馬シナプスにおける伝達効率の長期増強はscopolamineにより抑制されるが、あらかじめ海馬を熱処理してHsp70を誘導させておくとその抑制が起きないことが知られている(Lin YW, Yang HW, Min MY, Chiu TH. Heat-shock pretreatment prevents suppression of long-term potentiation induced by scopolamine in rat hippocampal CA1 synapses. Brain Res. 2004; 5;999(2):222-6.)。HA4によって発現増強されたHsp72(Hsp70ファミリーのひとつ)も、シャペロンとしてシナプス伝達にかかわる蛋白機能を介添えし、その機能を促進・回復させると考えられる。なお、シナプス小胞においてHsp72発現を増強させる薬剤は現在まで報告が無い。本実施例によって、HA4がシナプス小胞においてHsp72発現を増強させる新規な薬剤として同定された。
以上の結果及び考察からHA4は、シナプス伝達促進剤及びシナプス保護剤としての新規な機能を有することが判明した。
シナプスにおけるHsp72の機能を説明するための模式図であって、左側は障害のあるシナプスを示し、右側はHsp72により保護されたシナプスを示す。 1次損傷部位におけるHsp72の免疫染色の結果を示す図であり、(a)は染色後における各群の切片を撮像した写真であり、(b)はHsp72の免疫染色の光強度を測定した結果を示す特性図である。 2次損傷部位におけるHsp72の免疫染色の結果を示す図であり、(a)は染色後における各群の切片を撮像した写真であり、(b)はHsp72の免疫染色の光強度を測定した結果を示す特性図である。 1次損傷部位におけるシナプトフィジンの免疫染色の結果を示す図であり、(a)は染色後における各群の切片を撮像した写真であり、(b)はシナプトフィジンの免疫染色の光強度を測定した結果を示す特性図である。 2次損傷部位におけるシナプトフィジンの免疫染色の結果を示す図であり、(a)は染色後における各群の切片を撮像した写真であり、(b)はシナプトフィジンの免疫染色の光強度を測定した結果を示す特性図である。 Hsp72及びシナプトフィジンの2重染色後の灰白質及び白質を撮像した写真である。 Hsp72及びシナプトフィジンの2重染色後の灰白質を撮像した写真であり、右側はHsp72を赤色として示す写真であり、左側はシナプトフィジンを緑色として示す写真であり、中央は右側写真と左側写真を重ねた写真である。

Claims (6)

  1. ヒアルロナンを有効成分とする、シナプス伝達促進剤。
  2. 上記ヒアルロナンは、-D-グルクロン酸-β-1,3-D-N-アセチルグルコサミン-β-1,4-を1単位とし、これを2個含む4糖であることを特徴とする請求項1記載のシナプス伝達促進剤。
  3. 硬膜内投与剤、皮下投与剤、静脈内投与剤又は経口投与剤であることを特徴とする請求項1記載のシナプス伝達促進剤
  4. ヒアルロナンを有効成分とする、シナプス保護剤。
  5. 上記ヒアルロナンは、-D-グルクロン酸-β-1,3-D-N-アセチルグルコサミン-β-1,4-を1単位とし、これを2個含む4糖であることを特徴とする請求項4記載のシナプス保護剤。
  6. 硬膜内投与剤、皮下投与剤、静脈内投与剤又は経口投与剤であることを特徴とする請求項4記載のシナプス保護剤。
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