JP4462856B2 - 硫酸化ポリフコース及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規構造を有する硫酸化ポリフコース及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、硫酸化ポリフコースは、一般的にはフコイダンとも呼称され、その生理活性作用が注目されており、例えば、海洋褐藻類から熱水抽出により得られ、抗凝固、抗血栓、抗炎症、抗腫瘍、避妊、抗ウィルス等の作用を有するものが数々報告されている。
【0003】
中でも褐藻類であるFucus vesiculosus由来の硫酸化ポリフコースは最も良く研究されており、構成糖であるフコースのO-4位が部分的に硫酸化されているα(1→3)結合フコピラノース残基の繰り返し構造を基本骨格(主鎖)とし、基本骨格を構成するフコース残基のO-2位及び/又はO-4位にフコース残基から成る側鎖を有する下記分子構造の繰り返し構造を有する。また、血管内皮へのセレクチンを介するロイコサイトの吸着を阻害する等の特異的な細胞吸着阻害作用を持つことが報告されている(非特許文献1)。なお、既にFucus vesiculosus由来の硫酸化ポリフコースは市販もされている。以下、分子構造を表す式においてフコース残基をFucで、硫酸基はSで、グリコシド結合は→で表すこともある。
【0004】
【化3】
Figure 0004462856
【0005】
同じく褐藻類のAscophyllum nodosum由来の硫酸化ポリフコースは直鎖構造である事が報告されており、また、Chorda filum由来硫酸化ポリフコースの分子構造は分岐を有する下記分子構造の繰り返し構造を有することが報告されている(非特許文献2)。これら硫酸化ポリフコースは構成糖としてフコースのみを含んでいる。
【0006】
【化4】
Figure 0004462856
【0007】
また、構成糖としてフコース以外の糖を含む硫酸化ポリフコースも報告されており、中でも褐藻類のSargassum nodosum由来やEcklonia kurome由来の硫酸化ポリフコースの分子構造について研究されているが、いずれも、構造が高度にヘテロジーナスである為、部分構造のみが報告されている(非特許文献3、非特許文献4)。
【0008】
一方、抗凝固活性などの作用を有する海産無脊椎動物由来の硫酸化ポリフコースも報告されているが、現在までにはいずれも直鎖構造のものしか報告されていない。例えば、ナマコ(Ludwigothurea grisea)由来の硫酸化ポリフコースの分子構造は、α(1→3)結合フコピラノース残基の繰り返し構造から成る基本骨各を有し、基本骨格を構成しているフコース残基一つおきにフコース残基のO-2位が硫酸化している直鎖構造である。ウニ(Arbacia lixula)由来の硫酸化ポリフコースの分子構造は、基本骨格を構成するフコースのO-2位が部分的に硫酸化されているα(1→4)結合フコピラノース残基の繰り返し構造から成る下記構造を有する。
【0009】
【化5】
Figure 0004462856
【0010】
また、ウニ(Lytechinus variegatus)由来の硫酸化ポリフコースの分子構造は、前述のナマコ(Ludwigothurea grisea)由来の硫酸化ポリフコースとは基本骨格を構成するフコースの硫酸化の位置が異なり、α(1→3)結合フコピラノース残基の繰り返し構造から成る下記構造を有していると報告されている(非特許文献5)。
【0011】
【化6】
Figure 0004462856
【0012】
【非特許文献1】
J. Biol. Chem., 268(1993), 21770-21776
【非特許文献2】
Carbohydr. Res., 320(1999) , 108-119
【非特許文献3】
Carbohydr. Res., 333(2001), 281-293
【非特許文献4】
Carbohydr. Res., 211(1991), 77-90
【非特許文献5】
J. Biol. Chem., 274(1990), 7656-7667
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
近年、その多様な生理活性作用により注目されている硫酸化ポリフコースについて、特異な構造を有する硫酸化ポリフコースを探し出し、その生理活性を応用することが期待されていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定の原料を選択し、従来から用いられている抽出方法とは異なる新たな抽出方法の検討を行い、当該抽出方法にて得られた物質の構造及び作用について鋭意研究を行った。その結果、本発明者は、クロロホルム/メタノール混合液を用いる抽出方法により、棘皮動物、特にナマコ体壁より抽出される硫酸化ポリフコースが新規構造を有し、更に、当該硫酸化ポリフコースが破骨細胞の形成を抑制する作用を有することを見出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明は以下(1)〜(7)の通りである。
(1)下記(A)、(B)及び(C)で示される糖残基から構成され、(A)を28〜38モル%、(B)を28〜38モル%及び(C)を28〜38モル%含有する分岐を有する硫酸化ポリフコース。
【化7】
Figure 0004462856
RはH又はSOHを示す。
(2)下記(A)、(B)及び(C)で示される糖残基から構成され、分子中の下記(A)、(B)、(C)の構成モル比が下記の(i)及び(ii)の条件である分岐を有する硫酸化ポリフコース。
(i)(A)/(B)=1.36〜0.74
(ii)(B)/(C)=1.36〜0.74
【化8】
Figure 0004462856
RはH又はSOHを示す。
(3)脱硫酸化反応に付した後、部分メチル化アルジトールアセテイトに変換し、これをガスクロマトグラフィー−質量スペクトル分析で分析することにより、2,3,4-tri-O-methyl-fucitol、2,4-di-O-methyl-fucitol及び2-O-methyl-fucitolが各々33±5モル%の割合で検出される、分岐を有する硫酸化ポリフコース。
(4)フコース1分子に対する硫酸基の割合が平均0.4〜1.0分子である(1)〜(3)記載の分岐を有する硫酸化ポリフコース。
(5)棘皮動物よりクロロホルムとメタノールとの混合液を用いて抽出した画分から溶媒を除去し、水に溶解させた水溶液より得ることが出来る分岐を有する硫酸化ポリフコース。
(6)(1)〜(5)記載の分岐を有する硫酸化ポリフコースを有効成分とする破骨細胞形成抑制剤。
(7)棘皮動物よりクロロホルムとメタノールとの混合液を用いて抽出した画分から溶媒を除去し、水に溶解させる過程を含む分岐を有する硫酸化ポリフコースの製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態により詳説する。
本発明の硫酸化ポリフコースとは、実質的に下記(A)、(B)及び(C)で示される構造を有するフコース残基で構成され、部分的に構成糖であるフコースの水酸基が硫酸化されている分岐を有する硫酸化ポリフコース(以下、本発明物質ともいう)である。
【0017】
【化9】
Figure 0004462856
【0018】
RはH又はSOHを示す。
【0019】
本発明物質は、構成糖である上記式(A)、(B)及び(C)で示される糖残基をそれぞれ、好ましくは28〜38モル%ずつ含有し、より好ましくは30〜36%ずつ含有し、最も好ましくは31〜35モル%ずつ含有する。
【0020】
硫酸化ポリフコースの硫酸化されうる部位としては、基本的に結合に関与していないヒドロキシル基が挙げられるが、本発明物質としては、構成糖である上記式(A)及び(B)で示される糖残基に於いてはO-2位のヒドロキシル基、上記式(C)で示される糖残基に於いてはO-2位及び/又はO-4位のヒドロキシル基が挙げられる。また、本発明物質では、構成するフコース1分子に対する硫酸基の割合は平均0.4〜1.0分子が好ましく、平均0.6〜0.85分子がより好ましく、更には平均0.65〜0.75が最も好ましい。
【0021】
本発明物質は、脱硫酸化させた本発明物質から自体公知の方法によるメチル化、加水分解、還元した後、アセチル化して、部分メチル化アルジトールアセテイト(以下、PMAAともいう)に変換し、得られたPMAAについてガスクロマトグラフィー−質量スペクトル分析(以下GC−MSともいう)を行うと(以下、PMAAを合成し、当該PMAAについてGC−MS分析を行うことをメチル化分析ともいう)、2,3,4-tri-O-methyl fucitol(以下、T-Fucitolともいう)、2,4-di-O-methyl-fucitol(以下、3-Fucitolともいう)及び2-O-methyl-fucitol(以下、3,4-Fucitolともいう)の3種類のPMAAが検出される。なお、検出されるT-Fucitol、3-Fucitol及び3,4-Fucitolは好ましくは各々28〜38モル%の割合であり、より好ましくは各々30〜36モル%の割合であり、更に好ましくは31〜35モル%の割合である。
【0022】
上述の脱硫酸化された本発明物質から合成されるPMAAについてGC−MS分析を行う上述のメチル化分析は、後述の実施例に記載の方法にて行うことが可能であるが、脱硫酸化された本発明物質から常法に従ってPMAAを合成し得る方法であれば特に限定されず、得られたPMAAについて通常用いられているGC−MS分析を行うことができる。
【0023】
一例としては、本発明物質をAmberlite IR-120の様な陽イオン交換クロマトグラフィーに付し、溶出画分の酸性画分に対しピリジン等を添加し中和した後、一般的に行われる脱硫酸化反応、例えばジメチルスルホキシド等を用いたソルボリシス反応を行い、本発明物質の脱硫酸化物を得る。次に、当該物質からPMAAが合成出来る方法であれば特に限定はされないが、Hakomoriの方法(Hakomori, S.(1964) J. Biochem. (Tokyo),55, 205-208)を一部改変したSanfordとConradの方法(Sanford, P.A. & Conrad, H.E.(1966) Biochemistry, 5, 1508-1517)にてメチル化誘導体を合成し、続いてWaegheらの方法(Waeghe et al.(1983) Carbohydr. Res., 123, 281-304)で脱塩、トリフルオロ酢酸等を用いて加水分解、重水素化ホウ素ナトリウム等を用いて還元した後、アセチル化を行う方法を用いてPMAAを得、得られたPMAAについてGS−MS分析を行う方法が挙げられる。この方法により本発明物質のグリコシド結合様式が解析できる。
【0024】
一方、前述の方法と同様に、脱硫酸化を行わない本発明物質からPMAAを合成し、GC−MS分析を行うメチル化分析においては、T-Fucitol、3,4-di-O-methyl-fucitol(以下2-Fucitolともいう)、3-Fucitol、2,3-di-O-methyl-fucitol(以下4-Fucitolともいう)、4-O-methyl-fucitol(以下2,3-Fuciolともいう)、3-O-methyl-fucitol(以下2,4-Fucitolともいう)、3,4-Fucitol及びfucitol(以下2,3,4-Fucitolともいう)の8種類のPMAAが検出される。
【0025】
本発明物質から合成されるPMAAと脱硫酸化された本発明物質から合成されるPMAAに基づくメチル化分析の結果から、本発明物質は、フコース同士がα1→3グリコシド結合している構造とフコース同士がα1→4グリコシド結合している構造をもつことが確認された。また、後述の実施例に詳説の通り、本発明物質に関する分析結果を考察すると、本発明物質は、フコース同士がα1→3グリコシド結合(Fucα1→3Fuc)により伸長した直鎖構造を基本骨格(主鎖)とし、基本骨格を構成するフコースのほぼ1つおきにフコースからなる側鎖がα1→4グリコシド結合(Fucα1→4Fuc)により存在し分岐構造を形成している硫酸化ポリフコースであり、下記構造を有すると考えらる。
【0026】
【化10】
Figure 0004462856
【0027】
RはH又はSOHを示し、nは8〜16を示す。
【0028】
中でも、本発明物質は下記構造が特に好ましく挙げられる。
【0029】
【化11】
Figure 0004462856
【0030】
nは2〜4を示す。
【0031】
本発明物質の分子量は特に限定されるものでは無いが、その重量平均分子量は、3,000〜60,000が好ましく、5,000〜40,000がより好ましく、更には7,000〜35,000が最も好ましい。
【0032】
本発明物質を天然資源から単離精製する場合に用いられる原料としては、棘皮動物が挙げられ、中でもナマコ類が好ましく、マナマコ(Stichopus japonicus)が特に好ましい。なお、現在、これらナマコ類動物は、ごく一部が食用に供されてはいるが、殆ど利用されていない未利用資源である。
また、本発明物質を抽出する棘皮動物の部位、臓器、組織についても、本発明物質が抽出される形態で含まれる限り限定されないが、特に体壁部が好ましい。
【0033】
本発明物質は、クロロホルムとメタノールとから成る混合液による抽出方法を用いる事により棘皮動物から抽出することが出来る。つまり、本発明物質は、棘皮動物からクロロホルムとメタノールとからなる混合液により抽出した画分につき、当該画分の有機溶媒を除去し乾固させ、得られた乾固物を蒸留水に溶解させることにより得られる水溶液より得る事が可能である。
なお、本発明物質を抽出する溶媒は上記のクロロホルム/メタノールに限定されず、同様の機能を有する溶媒を用いることが出来る。
【0034】
更に、得られた水溶性画分に3倍量〜10倍量のエタノールを添加する事により本発明物質を含む沈殿を得、得られた沈殿を硫酸化フコースの様な多糖類の精製に一般的に用いられるセファロースCL−6B、セファデックスG−100、セルロファインGCL−90、DEAE−セルロースの様な担体を用いたクロマトグラフィー等を利用することにより精製を行い、本発明物質を精製することが出来る。尚、ゲル濾過などによる精製の際、目的とする本発明物質を含有する溶出画分であるかどうかを検出する方法としては、本発明物質を特異的に検出する方法であれば特に限定されないが、本発明物質を構成しているフコース、つまり中性糖の検出方法の利用が考えられ、通常知られている中性糖の検出方法を適用することが可能である。
【0035】
例えば、フェノール硫酸法、オルシノール硫酸法、システイン硫酸法及びアンスロン法等が挙げられるが、中でも好ましくは、中性糖と硫酸及びアンスロン試薬との反応により生成する発色物質の吸光度を620nmで検出する事に基づくアンスロン法(Tsiganos, C.P.,and Muir, H. (1966) Anal. Biochem. 17, 495-501やDimler, R.L et al. (1952) Anal. Chem., 24, 1411-1414)が挙げられる。
【0036】
尚、本発明物質の物性は、クロロホルム/メタノール/蒸留水混合液及び蒸留水に溶解性を有し、エタノールには不溶である。
【0037】
棘皮動物より本発明物質を得る一例を記載する。原料となるナマコ類の体壁を細分化した後、ホモジナイズし、クロロホルム/メタノール混合液(2:1)を加え、本発明物質を含むクロロホルム/メタノール画分を得る。次に、当該画分をロータリーエバポレーターにより濃縮乾固させ、得られた乾固物に蒸留水を加え放置し、表層に浮遊した脂肪を除去した後、冷却下にて3倍量のエタノールを添加し、遠心分離により本発明物質を含有する沈殿を得る。
【0038】
引き続き行う精製方法の一例としては、セファロースカラムを用い0.2mol/L塩化ナトリウムにより溶出し、アンスロン法による比色定量(620nm)による吸光度を測定することにより溶出曲線を描き、アンスロン法陽性の画分を得る。次いで、得られた画分を脱塩する為、セルロファインカラムに付し蒸留水により溶出し、アンスロン法による比色定量(620nm)及び210nm(脱塩処理完了を判別の為)による吸光度を測定することにより溶出曲線を描き、目的である本発明物質を含むアンスロン法陽性の画分を得、当該画分を凍結乾燥する。更に精製を行う為、凍結乾燥した画分を緩衝液に溶解し、DEAEセルロースカラムに付し、1.2mol/L塩化ナトリウムを含まない酢酸緩衝液と1.2mol/L塩化ナトリウムを含む酢酸緩衝液の直線的濃度勾配により溶出を行い、アンスロン法による比色定量(620nm)による吸光度を測定することにより溶出曲線を描き、現れた2本のピークのうち溶出順が早いピークの画分を合一し、前述と同様にセルロファインカラムにより脱塩する事により精製された本発明物質を得ることが出来る。
【0039】
本発明物質は、後述の実施例に記載の通り、マウス骨髄細胞を用いた破骨細胞形成の実験系において、破骨細胞の形成を有意に抑制する。これより、本発明物質は骨粗鬆症に代表される代謝性骨疾患やリウマチ、歯周病の様な炎症性骨疾患等、特に破骨細胞の機能が異常に亢進することにより引き起こされる疾患の予防と治療に用いることが出来る。
【0040】
尚、本発明物質は、上述の様に天然資源から抽出、精製したものでも構わないが、本発明物質が有する構造上及び生理活性状の特性を満たすものであれば、天然資源から得られた物質を原料として化学的手法により改変したもの、人工的に化学合成したもの、遺伝子工学的に動物細胞、植物細胞及び微生物等により合成させたものでも構わない。
【0041】
本発明物質を上記疾患の予防や治療に用いる場合、本発明物質の有する破骨細胞形成抑制作用を実質的に損なわず、又、投与対象に対し悪影響を示さない限りにおいて、本発明物質はその薬理学的に許容されうる塩の形で用いる事も可能である。薬理学的に許容されうる塩としては前述の条件を満たしていれば特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等の無機塩基との塩、またピリジン塩、ジエタノールアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との塩などのうち薬理学的に許容されるものが挙げられ、特にナトリウム塩が好ましい。
【0042】
また同様に、本発明物質を上記疾患の予防や治療に用いる場合、本発明物質の有する破骨細胞形成抑制作用を実質的に損なわず、投与対象に対し悪影響を示さない限りにおいて、他の薬効成分や製剤時に通常用いられる賦形剤、結合剤、保存剤、安定化剤などを適宜用いる事が可能である。本発明物質を含有する骨疾患治療剤の剤型及び投与経路としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、注射剤、液剤、リポ化剤、ゲル化剤、軟膏剤等に製剤化して、経口、注射、塗布等の投与経路のうち、治療対象となる疾患の性質や重篤度に応じて適宜選択することが可能である。
【0043】
尚、本発明物質を含有する骨疾患治療剤の投与量は、その製剤の投与方法、投与形態、投与対象患者の体重や具体的症状等に応じて個別に決定されるべき事項であり、特に限定はされないが、本発明物質として1日当たり概ね0.1mg/kg〜300mg/kg程度を、1日1回〜数回に分けて投与する事が考えられる。
更に、本発明物質は、破骨細胞形成抑制剤としてin vivo及びin vitroの系でも用いる事が出来る。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1 硫酸化ポリフコースの製造
マナマコ(Stichopus japonicus)体壁背部(10kg、水分含量90%w/w)をミンチ状に処理した後、ホモジナイズし、クロロホルム/メタノール(2:1、v/v)抽出により脂溶性画分を得た。この画分をロータリーエバポレーターを用い減圧下で濃縮・乾固させた。得られた乾固物に蒸留水(300mL)を加えて水溶液とした後、4℃にて一晩放置した。次いで、表層に浮遊した脂肪を除去した水溶液に対し冷却下にて3倍量のエタノールを添加し、遠心分離にかけ沈殿物を得た。この沈殿物を少量の蒸留水に溶解した後、凍結乾燥を行い、低極性と目される多糖類の粗画分(2.46g)を得た。
【0045】
この粗画分から1gを取り、0.2mol/L塩化ナトリウム水溶液7mLに溶解し、0.2mol/L塩化ナトリウム水溶液で平衡化したSepharose CL−6Bカラム(内径3.4×110cm、Amersham Biosciences社製)に付した。0.2mol/L塩化ナトリウム水溶液を用いて溶出を行い、12mL毎に分画した。得られた100画分につき、アンスロン法による比色定量(620nmで測定)及び210nm(ペプチドの検出)、280nm(タンパク質の検出)の両波長における吸光度の測定を行い、溶出曲線を描いた(図1)。
【0046】
アンスロン法が陽性であった画分番号42〜69を合一した後、ロータリーエバポレーターにて10mLまで濃縮した。濃縮した溶液を蒸留水で平衡化したCellulofine GCL−25カラム(内径3.3×36cm、生化学工業(株)販売)に付し、蒸留水による溶出にて10mL毎に分画した。得られた40画分につき、アンスロン法による比色定量(620nm)及び210nm(脱塩完了を確認の為、脱塩された塩化ナトリウムの検出)の波長における吸光度の測定を行い、溶出曲線を描き、脱塩が達成している事を確認し、アンスロン法による検出結果に基づき目的物質を含む画分である画分番号11〜20を合一して凍結乾燥を行い、中性糖を含む多糖と目される乾燥物を得た(収量135.4mg)。
【0047】
更に精製する為、得られた乾燥物100mgを0.1mol/Lの酢酸ナトリウム/酢酸緩衝液(pH5.0)50mLに溶解し、同緩衝液で平衡化したDEAE−Cellulose(DE52、Whatmann社製)カラム(内径2.3×18cm)に付し、同緩衝液50mLでカラムを洗浄後、同緩衝液300mLと1.2mol/L塩化ナトリウムを含む同緩衝液300mLを用いた塩化ナトリウムの直線的濃度勾配により溶出を行い、7mL毎に分画した。得られた100画分につき、アンスロン法による比色定量(620nm)及び280nm(タンパク質の検出)における吸光度を測定し、溶出曲線を描いた(図2)。
【0048】
その結果、ピークが2本出現したが、先に溶出した画分番号75〜81のピークを合一し、前述と同様にCellulofine GCL−25を用い脱塩を行い、凍結乾燥に付し、本発明物質である硫酸化ポリフコース(以下、硫酸化ポリフコースIという、収量14.2mg)を得た。
【0049】
尚、アンスロン法の比色定量は下記の通り行った。
(1)アンスロン粉末600mgを300mLの硫酸溶液(蒸留水15mL+濃硫酸285mL)に溶解し、この溶液を60mLの蒸留水に氷冷下で添加した。尚、調製したアンスロン試薬は冷暗所に保存する。
(2)100μLの試料溶液(尚、検量線範囲を考慮し、試料溶液が5〜50μg/mLヘキソース含量となるように設定)に、氷冷下にて、500μLのアンスロン溶液を添加した。試料溶液を入れた試験管にガラス球をのせ、10分間沸騰水浴中で加熱し、その後、冷水にて速やかに冷却した。30分以内に620nmの吸光度を測定した。
尚、10、20、30、40及び50μg/mLのL−フコース溶液に基づく検量線を作成した。
【0050】
実施例2 物理化学的性状解析
実施例1で製造した硫酸化ポリフコースIにつき、化学組成分析法を実施した。MBTH法(Hurst & Settine(1981) Anal.Biochem.,115,88-92)にてヘキソサミン含量を、カルバゾール法(Bitter&Muir(1962) Anal.Biochem.,4,330-334)、イオンクロマトグラフィー並びにアンスロン法(Dimler,R.L et al.(1952) Anal.Chem.,24,1411-1414)にて各々ウロン酸含量、硫酸イオン含量並びに中性糖含量を測定し、各構成成分の重量存在比を算出した(表1)。また、各構成成分のモル存在量(mmol/g)を算出し、中性糖を1として各成分のモル比を算出した(表2)。
【0051】
次いで、ゲル濾過―高速液体クロマトグラフィーにより分子量の測定を行った。その結果、硫酸化ポリフコースIの分子量は9,000であった。
【0052】
各構成成分の重量存在比(重量%)
【0053】
【表1】
Figure 0004462856
【0054】
各構成成分のモル存在量(mmol/g)
(カッコ内の数値は中性糖含量のモル存在量を1とした場合の各構成成分のモル比を示す)
【0055】
【表2】
Figure 0004462856
【0056】
この結果、硫酸化ポリフコースIは、硫酸基と中性糖は含有しているが、ヘキソサミンを含有せず、また、ウロン酸も痕跡量のみであり実質的には含有していないと推測され、中性糖を側鎖として有するグリコサミノグリカンでは無い、すなわち、中性糖骨格に硫酸基が配位した硫酸化多糖であることが確認された。また、硫酸化ポリフコースIの中性糖に対する硫酸基の割合(モル比)は0.69であり、硫酸化の割合は高いことが判明した。
【0057】
更に、Yasuno,S. et al. (1999) Biosci.Biotechnol.Biochem.,63,1353-1359に記載された方法に従い、中性糖の同定を行った。すなわち、10mg/mLに調製した硫酸化ポリフコースIの水溶液から50μLを取り、8mol/Lトリフルオロ酢酸(TFA)50μLを添加し封管した。反応混液を100℃にて3時間加熱することにより、グリコシド結合ならびに硫酸エステル結合を開裂させた。冷却後、遠心分離により反応混液を反応管底部に集め、開管した。ドライエアーを吹き付け溶媒を除去し、2-プロパノール40μLを添加し攪拌した。更に、ドライエアーを吹きつけ溶媒を除去することにより、単糖試料を得た。得られた単糖試料につき、20μLの蒸留水及び80μLの4-アミノ安息香酸エチルエステル(ABEE)試薬を添加した後、封管し、80℃にて1時間加温し還元アミノ化反応を進行させ、還元末端がABEEにて標識された単糖誘導体を作成した。反応終了後、開管し200μLの蒸留水並びに200μLの塩化メチレンを添加し、激しく攪拌した後、遠心分離を行い上澄み中に還元末端がABEEにて標識された上記単糖誘導体を得た。7%アセトニトリルを含む0.2mol/Lホウ酸緩衝液(pH8.9)で平衡化したHonenpak−C18カラム(内径4.6 × 75mm、Honen社製)を装着した高速液体クロマトグラフィーに、得られたABEE標識化単糖試料を付し、同溶媒のアイソクラティック溶出条件により分析を実施した。尚、用いた単糖標品は、ガラクトース(Gal)、マンノース(Man)、グルコース(Glu)、アラビノース(Ara)、リボース(Rib)、N-アセチルマンノサミン(ManNAc)、キシロース(Xyl)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、フコース(Fuc)、ラムノース(Rha)、及び、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)(溶出順)である。結果を図3に示す。この結果、実施例1で得られた硫酸化ポリフコースIが含有する単糖はフコースであることが判明した。尚、精製当初、硫酸化ポリフコースIが脂溶性画分であった理由としては、硫酸化されてはいるが、低極性のメチル基を有するフコース残基を構成成分として多数有している為と考えられる。
【0058】
実施例3 硫酸化ポリフコースIの構造解析
実施例1で得られた硫酸化ポリフコースIから5mgをとり、蒸留水で平衡化したAmberlite IR-120カラム(オルガノ(株)社販売、内径1.5×12cm)に供した。得られた溶出画分のうちの酸性画分につき、適量のピリジンを添加して中和した後、凍結乾燥に付して硫酸化ポリフコースIのピリジン塩を得た。1mLの10%蒸留水を含むジメチルスルホキシド(DMSO)を添加し、90℃にて6日間ソルボリシス反応を進行させることにより脱硫酸化された硫酸化ポリフコースIを調製した。反応は、室温まで冷却することにより停止させ、3倍量の蒸留水を添加した後、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液を適量添加してpHを9〜9.5に調整した。これを流水に対し一晩透析した後、凍結乾燥することにより、硫酸化ポリフコースIの脱硫酸化物3.0mgを得た。
【0059】
硫酸化ポリフコースI及びその脱硫酸化物から各々1mgをとりHakomoriの方法(Hakomori, S.(1964) J. Biochem. (Tokyo),55, 205-208)を一部改変したSanfordとConradの方法(Sanford, P.A. & Conrad, H.E.(1966) Biochemistry, 5, 1508-1517)に従ってメチル化誘導体を合成した。得られたメチル化誘導体は、Waegheらの方法(Waeghe et al.(1983) Carbohydr. Res., 123, 281-304)に従って脱塩した。さらに、これらを2mol/Lトリフルオロ酢酸(TFA)を用い121℃で加水分解した後、重水素化ホウ素ナトリウム(NaBD)を用いて還元した。最後に、還元処理により出現した水酸基をアセチル化して、部分メチル化アルジトールアセテイト(PMAA)を合成した。得られたPMAAを50μLのアセトンに溶解し、そのうち1μLをガスクロマトグラフィ−ー質量分析(GC−MS)に付した。GC−MS分析は、Supelco社製SP2330キャピラリーカラム(内径0.25mm×30m)を装着したJEOL社製HX110A型マススペクトロメーターを用いて、スプリットレスモードで行った。カラムオーブンは、50℃に2分間保ち、次いで30℃/分の勾配で170℃まで昇温、さらに4℃/分の勾配で235℃まで昇温させ、この温度に15分間保った。(尚、PMAAを合成し、GC−MSを行う分析をメチル化分析とも言う。)
【0060】
硫酸化ポリフコースI由来のPMAAのクロマトグラムに於いては、8種類のPMAAが全て観察された(表3)。それらは、2,3,4-tri-O-methyl-fucitol(T-Fucitol)、3,4-di-O-methyl-fucitol(2-Fucitol)、2,4-di-O-methyl-fucitol(3-Fucitol)、2,3-di-O-methyl-fucitol(4-Fucitol)、4-O-methyl-fucitol(2,3-Fucitol)、3-O-methyl-fucitol(2,4-Fucitol)、2-O-methyl-fucitol(3,4-Fucitol)及びfucitol(2,3,4-Fucitol)である。以下の記載に於いては、上記( )内に示したPMAAの略称を用いて説明を進める。また、硫酸化ポリフコースIの脱硫酸化物由来のPMAAのクロマトグラムに於いては、硫酸化ポリフコースIの場合とは異なり、ほぼ等量のT-Fucitol、3-Fucitol及び3,4-Fucitolの三種類が検出された。
【0061】
【表3】
Figure 0004462856
【0062】
なお、実施例1の硫酸化ポリフコースIの製造におけるDEAE−Celluloseカラム溶出のグラフ(図2)において、硫酸化ポリフコースIを得た溶出画分と極めて近くに検出された2本目のピーク(後から溶出したピーク)の画分を合一し、硫酸化ポリフコースIと同様の方法で精製して得た硫酸化ポリフコース(以下、硫酸化ポリフコースIIという)についても、硫酸化ポリフコースIと同様に実施例2の物理化学的性状解析及び実施例3の構造解析を行った。その結果、硫酸化ポリフコースIIも中性糖であるフコースのみを構成糖とし、高い割合で硫酸化されているポリフコースであった。またメチル化分析の結果は、硫酸化ポリフコースIIに於いてはT-Fucitol(4.2モル%)、3-Fucitol(26.5モル%)、2,3-Fucitol(17.4モル%)、3,4-Fucitol(20.8モル%)及び2,3,4-Fucitol(31.1モル%)が検出され、硫酸化ポリフコースIIの脱硫酸化物に於いてはT-Fucitolが4.8モル%、3-Fucirolが95.2モル%検出された。これより、硫酸化ポリフコースIIはフコース同士がα1→3グリコシド結合により伸長している直鎖構造を有する硫酸化ポリフコースである事がわかる。
【0063】
実施例2及び実施例3の分析結果より、硫酸化ポリフコースIには、フコース同士がα1→3グリコシド結合している構造とフコース同士がα1→4グリコシド結合している構造が存在している。また、製造過程におけるDEAE−セルロースカラムによる溶出において硫酸化ポリフコースIIと極めて近くに検出されている事より、硫酸化ポリフコースIの構造は、フコース同士のα1→3グリコシド結合により伸長する直鎖を基本骨格(主鎖)とし、主鎖を構成するフコースほぼ1つおきに、α1→4グリコシド結合によるフコース側鎖の枝分かれ構造をなしていると考えられる。硫酸基については、主鎖においてはO−2位、側鎖においてはO−2位且つ/又はO−4位に配位しているものと推定される(図4)。
【0064】
実施例4 硫酸化ポリフコースIの破骨細胞形成抑制実験
ddYマウス(六週齢雌)の頸骨、大腿骨を摘出し、両骨の遠心端より骨髄細胞を採取した。骨髄細胞は24穴細胞培養用プレートに5×10細胞/穴となるように播種し、10―6モル/LプロスタグランジンE2(以下、PGEという。SIGMA社製)刺激下において、50μg/mL濃度となるように実施例1で得られた硫酸化ポリフコースIを添加し、10%牛胎児血清(以下、FCSという。べーリンガー社製)含有Minimum Essential Medium Alpha Medium(GIBCO社製、以下、αMEMという。)培地中で7日間37℃、COインキュベーター内で培養した。培養中2、3日おきにPGEと硫酸化ポリフコースIを新たに添加した10%FCS含有αMEM培地にて培地交換を行った。7日間の培養の後、破骨細胞のマーカーである酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(以下、TRAPという)をナフトールAS−BIフォスフェート及びfast garnet GBC saltを含有するアゾ色素法を用いた染色測定キット「Acid Phosphatase, Leukocyte」(商品名:SIGMA社製)を用いて染色し、形成された破骨細胞の数を顕微鏡下で計測した(図5)。
尚、結果は各穴内における破骨細胞の数によって示し、また、コントロールは被験物質の代わりに10%FCS含有αMEM培地を添加した。
【0065】
図5の結果より、硫酸化ポリフコースIにおいては、破骨細胞の形成が殆ど観察されず、極めて顕著な破骨細胞形成抑制効果を有する事が確認された。
【0066】
【発明の効果】
本発明により、新しい構造を有する硫酸化ポリフコース、及び、当該硫酸化ポリフコースの製造方法を提供し、また、本発明物質が有する極めて顕著な破骨細胞形成抑制作用に基づき、骨粗鬆症などの代謝性骨疾患や炎症性骨破壊に起因する慢性関節リウマチ、歯周病などの疾患に対する治療に有効な骨疾患治療剤としての本発明物質の提供が可能である。
【0067】
【図面の簡単な説明】
【図1】 多糖類の粗画分のセファロースCL−6Bカラム溶出液の各フラクションにおけるアンスロン法による比色定量(620nm)及び210nm(ペプチドの検出)、280nm(タンパク質の検出)において測定した吸光度による溶出曲線である。縦軸は吸光度、横軸はフラクション番号であり、黒丸による線は620nm、白丸による線は210nm及び四角による線は280nmによる吸光度を示す。
【図2】 DEAE−Celluloseカラム溶出液の各フラクションにおけるアンスロン法による比色定量(620nm)及び280nmにおいて測定した吸光度による溶出曲線である。グラフ左側の縦軸は吸光度、横軸はフラクション番号であり、丸による線は620nm、四角による線は280nmによる吸光度を示す。また、グラフ右側の目盛りは点線で記載されている塩化ナトリウムの濃度を示す。
【図3】 硫酸化ポリフコースIから得られた還元末端が4−アミノ安息香酸エチルエステルにて標識された単糖誘導体のHonenpak−C18カラムを装着した高速液体クロマトグラフィーに付し、得られたチャート(上段)である。
下段(Std.)は単糖標品を付したチャート結果であり、各ピークは溶出順にガラクトース(Gal)、マンノース(Man)、グルコース(Glu)、アラビノース(Ara)、リボース(Rib)、N-アセチルマンノサミン(ManNAc)、キシロース(Xyl)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、フコース(Fuc)、ラムノース(Rha)、及び、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。尚、横軸は時間(分)を示す。
【図4】 硫酸化ポリフコースIの推定構造である。Fucはフコースを示し、(4S)はフコースのO−4位の硫酸化、(2S)はフコースのO−2位の硫酸化及び(2S,4S)はフコースのO−2位及びO−4位の硫酸化を示す。
【図5】 硫酸化ポリフコースIによる破骨細胞形成抑制作用を示すグラフである。縦軸はマイクロプレートの1穴における破骨細胞の数である。(−)はコントロールの結果を示す。

Claims (6)

  1. フコース同士がα1→3グリコシド結合により伸長した直鎖構造を基本骨格とし、下記式で示される構造からなるナマコ体壁部由来の硫酸化ポリフコース。
    Figure 0004462856
    (式中、RはH又はSO Hを示し、nは8〜16のいずれかの整数を示す。)
  2. 下記式で示される構造からなる、請求項1に記載の硫酸化ポリフコース。
    Figure 0004462856
    (式中、nは2〜4のいずれかの整数を示す。)
  3. nが3である、請求項2に記載の硫酸化ポリフコース。
  4. 次の(1)〜(4)の工程を含む方法によって得られ、かつ、ゲル濾過−高速液体クロマトグラフィーによって測定した分子量が9,000である、請求項1又は2に記載の硫酸化ポリフコース;
    (1)ナマコ体壁部を、クロロホルムとメタノールとからなる混合液を用いて抽出する、
    (2)上記(1)により得られた抽出画分から有機溶媒を除去する、
    (3)上記(2)により得られた乾固物を蒸留水に溶解させる、
    (4)上記(3)により得られた水溶性画分に3〜10倍量のエタノールを添加して沈殿を得る。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の硫酸化ポリフコースを有効成分とする破骨細胞形成抑制剤。
  6. 次の(1)〜(4)の工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硫酸化ポリフコースの製造方法;
    (1)ナマコ体壁部を、クロロホルムとメタノールとからなる混合液を用いて抽出する、
    (2)上記(1)により得られた抽出画分から有機溶媒を除去する、
    (3)上記(2)により得られた乾固物を蒸留水に溶解させる、
    (4)上記(3)により得られた水溶性画分に3〜10倍量のエタノールを添加して沈殿を得る。
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