JPWO1999021914A6 - 高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
重量平均分子量が3×105以上1×106未満でかつ重量平均分子量/数平均分子量が5〜300あるポリオレフィン、又は組成物全体の重量平均分子量が3×105以上1×106未満で、かつ組成物全体の重量平均分子量/数平均分子量が5〜300であるポリオレフィン組成物5〜40重量%と、溶媒95〜60重量%とからなるポリオレフィン溶液を、ドラフト比3〜50で押出成形し、溶融一軸延伸した後、冷却固化してゲル状成形物にして、前記ゲル成形物から残存溶媒を除去しさらに乾燥し、80℃以上融点以下の温度で熱固定することを特徴とする高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。ポリオレフィン粘性溶液を溶融状体で一軸延伸することにより、微多孔の平均孔径を大きくし、ポリオレフィン微多孔膜の透過性を向上させることができるとともに、製膜速度が上がり、生産性が大幅に向上する。
Description
高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
技術分野
本発明はポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関し、特に高透過性のポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関する。
背景技術
ポリオレフィン微多孔膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサー用隔膜、各種フィルター、透湿防水衣料、逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等の各種用途に用いられている。
従来からポリオレフィン、有機媒体及び微粉末シリカ等の無機粉体の混合物を溶融成形後、有機媒体及び無機粉体を成形物から抽出して微多孔膜を得る方法が知られている。しかしながらこの方法では無機粉体を抽出する工程が必要であり、得られる微多孔膜の透過性は無機粉体の粒径に依存し、制御が難しかった。
近年、重量平均分子量が7×105以上の超高分子量ポリオレフィンを溶媒中で加熱溶解した溶液をゲル状シートに成形し、前記ゲル状シート中の溶媒量を脱不揮発性溶媒処理により調整し、次いで加熱延伸した後、残留溶媒を除去することにより、超高分子量ポリオレフィンの微多孔膜を製造する方法が種々提案されている(特開昭60-242035号、同61-195132号、同61-195133号、同63-39602号、同63-273651号)。
しかしながら上記方法においては、冷却固化した後にシートを延伸することによって微細な孔を多数形成させるため、孔径が小さくかつ孔径分布が狭い微多孔膜を得ることができるが、比較的孔径が大きく、高い透過性を必要とする精密濾過膜や電池用セパレーター等に好適なポリオレフィン微多孔膜が得られないという問題があった。
そこで、本発明者らは超高分子量成分を含有するポリオレフィン組成物の溶液を調製して、この溶液を押出機のダイリップより押し出した後、急冷固化してゲル状成形物を形成し、しかる後延伸することなく残留溶媒を除去すれば、優れた透過性を有するポリオレフィン微多孔膜を製造できることを見出した。しかし、このポリオレフィン組成物は高重量平均分子量であるため、ゲル状成形物を得るための溶液の濃度を高くするのが困難であった。そのため微多孔膜の製造には時間がかかり製造効率が悪かった。また、ゲル状成形物の表面性状が悪くなることがあり、成形性にも問題があった。
したがって本発明の目的は、比較的孔径が大きく、優れた透過性を有するポリオレフィン微多孔膜を効率的かつ高速に製造する方法を提供することである。
発明の開示
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、押出機内にて調製した特定の分子量範囲のポリオレフィン単独又はポリオレフィン組成物の溶液を押出機のダイリップより押し出した後、冷却固化してゲル状化する前に冷却ロールで引取りながら溶融一軸延伸し、その後冷却固化してゲル状シートに成形し、得られたゲル状シートから残留溶媒を除去し、乾燥、熱固定すれば、優れた透過性を有するポリオレフィン微多孔膜を高速かつ効率的に製造することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、高透過性ポリオレフィン微多孔膜を製造する方法であって、重量平均分子量が3×105以上1×106未満で、かつ重量平均分子量/数平均分子量が5〜300のポリオレフィン、又は組成物全体の重量平均分子量が3×105以上1×106未満で、かつ組成物全体の重量平均分子量/数平均分子量が5〜300であるポリオレフィン組成物5〜40重量%と、溶媒60〜95重量%とからなるポリオレフィン溶液を調製する工程、前記ポリオレフィン溶液を押出成形する工程、前記押出成形されたポリオレフィン溶液をドラフト比3〜50で溶融一軸延伸する工程、前記延伸されたポリオレフィン溶液を冷却固化してゲル状成形物にする工程、前記ゲル状成形物から残存溶媒を除去しさらに乾燥する工程、及び80℃以上融点以下の温度で熱固定する工程を含むことを特徴とする。
図面の簡単な説明
図1は、本発明の高透過性ポリオレフィン微多孔膜を製造する方法を実施する
装置の一例を示す概略図である。
発明を実施するための最良の形態
[1] 原料
本発明においては、ポリオレフィン微多孔膜用の原料として、ポリオレフィン単独、又は重量平均分子量が異なる2以上のポリオレフィンを含む組成物を使用する。単独使用するポリオレフィンは重量平均分子量が3×105以上1×106未満で、重量平均分子量/数平均分子量(以下Mw/Mnと略す)が5〜300であることが必要である。ポリオレフィン組成物は組成物全体の重量平均分子量が3×105以上1×106未満で、かつ組成物全体のMw/Mnが5〜300であることが必要である。
(a)単独使用するポリオレフィン
単独で使用されるポリオレフィンの重量平均分子量は3×105以上1×106未満である。このようなポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン等を重合した結晶性の単独重合体又は共重合体が挙げられる。これらのうちポリエチレン、特に高密度のポリエチレンが好ましい。好ましい重量平均分子量は5×105〜8×105である。重量平均分子量が3×105未満のポリオレフィンを単独で原料として使用するとポリオレフィン溶液の粘度が低くなり成形が困難になる。また、低分子量成分が増加し透過性が低くなるので好ましくない。
重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は分子量分布の尺度として用いられるパラメーターであり、この比が大きくなるほど分子量分布の幅は拡大する。単独使用するポリオレフィンのMw/Mnは5〜300であり、10〜50であるのが好ましい。Mw/Mnが300を超えると、低分子量成分が増加し、ポリオレフィン微多孔膜の孔径が小さくなり、膜の透過性が低下する。また特別な分離処理等をせずにMw/Mnが5未満のポリオレフィンを得ることは事実上難しい。
(b)ポリオレフィン組成物
ポリオレフィン組成物に含まれる2以上のポリオレフィンの各重量平均分子量は1×104〜6×106、好ましくは3×105〜3×106であり、組成物全体の重量平均分子量が3×105以上1×106未満、好ましくは5×105〜8×105、かつ、組成物全体のMw/Mnが5〜300になるような割合で配合される。重量平均分子量が1×104未満のポリオレフィンを用いると、溶融延伸時に破断が起こりやすく良好なポリオレフィン微多孔膜が得られない。なお、一般に市販されているポリオレフィンの重量平均分子量の上限は約6×106である。
組成物に含まれる各ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン等を重合した結晶性の単独重合体又は共重合体の2種類以上のブレンドが挙げられる。また、リアクターブレンド法などの多段重合法により、オレフィンを同じ反応器内で多段重合(例えば二段重合)して高分子量部分と低分子量部分とを連続的に製造した多段重合ポリオレフィンを使用してもよい。
ポリオレフィン組成物全体のMw/Mnは5〜300、好ましくは10〜50である。重量平均分子量の異なる複数のポリオレフィンからなる組成物においては、Mw/Mnが大きいほど、配合するポリオレフィンの重量平均分子量の差が大きく、また小さいほど重量平均分子量の差が小さい。ポリオレフィン組成物全体のMw/Mnが300を超えると低分子量ポリオレフィンの増加により得られるポリオレフィン微多孔膜の透過性が低下するので好ましくない。またMw/Mnが5未満であるとゲル状成形物への成形性が低下するので好ましくない。
(c)その他の成分
前記の単独使用するポリオレフィン又はポリオレフィン組成物には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填材等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
[2] ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
製造条件はポリオレフィンを単独使用する場合でもポリオレフィン組成物を使用する場合でも異ならないので、以下ポリオレフィンを単独使用する場合について本発明の製造方法を図1を参照しながら詳細に説明する。
(1)ポリオレフィンの加熱溶解
ポリオレフィン溶液は上記の単独使用するポリオレフィン又はポリオレフィン組成物を溶媒に加熱溶解することにより調製する。この溶媒としては、ノナン、デカン、デカリン、p−キシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の
脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留分等を用いることができる。これらの溶媒はダイリップからの押し出しの際に揮発しないので、以下「不揮発性溶媒」と言う。
不揮発性溶媒の粘度は25℃において30〜500cStであるのが好ましく、50〜200cStがより好ましい。25℃における粘度が30cSt未満では、ダイリップからの吐出が不均一になり、均一なシートが得られない。また500cStを超えると、不揮発性溶媒の除去が困難となる。
加熱溶解は、(A)ポリオレフィンが不揮発性溶媒に完全に溶解する温度で攪拌するか、又は(B)押出機中でポリオレフィンと不揮発性溶媒を均一に混練することにより行う。
(A)の場合、加熱温度はポリオレフィン及び不揮発性溶媒の種類により異なるが、例えばポリエチレン/流動パラフィンの場合には140〜250℃とするのが好ましい。
(B)の方法はポリオレフィンの高濃度溶液を調製するのに適する。押出機でポリオレフィンを加熱溶解するには、まず押出機にポリオレフィンを供給し、溶融混練する。図1に示す製造装置の例では、ポリオレフィンの粉末2はフィーダ3により定量的に二軸押出し機1に供給され、押出し機1内で溶融混練される。溶融温度はポリオレフィンの種類によって異なるが、ポリオレフィンの融点+30℃〜融点+100℃が好ましい。例えばポリエチレンの場合は160〜230℃、特に170〜200℃であるのが好ましく、ポリプロピレンの場合は190〜270℃、特に190〜250℃であるのが好ましい。
次に、この溶融状態のポリオレフィンに、不揮発性溶媒を押出機の途中、例えばサイドフィーダ11からポンプ41により定量的に供給する。ポリオレフィンと不揮発性溶媒との配合割合は、両者の合計量に対して、ポリオレフィンが5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%であり、不揮発性溶媒が60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%である。ポリオレフィンが5重量%未満では(不揮発性溶媒が95重量%を超えると)、ポリオレフィン加熱溶液を押し出す際にダイス出口でスウェルやネックインが大きくなり、ゲル状成形物(ゲル状シート)への成形性及びゲル状成形物の自己支持性が低下する。一方、ポリオレフィンが40重量%を超えると(不揮発性溶媒が60重量%未満では)、ゲル状シートの厚み方向の収縮が大きくなるため、空孔率が低く孔径が小さい微多孔膜となる。またゲル状シートへの成形性も低下する。上記範囲内でポリオレフィンと不揮発性溶媒との配合割合を変えることにより、得られる微多孔膜の透過性を制御することができる。
(2)ポリオレフィン溶液の押出成形と溶融延伸
溶融混練して得たポリオレフィン/不揮発性溶媒の加熱溶液を直接に又は別の押出機を介して、あるいは一旦冷却してペレット化した後再度押出機を介して、ダイリップから押し出す。ダイリップとしては、通常長方形の口金形状をしたシート用ダイリップを用いるが、二重円筒状の中空状ダイリップ、インフレーションダイリップ等も用いることができる。シート用ダイリップの場合、ダイリップのギャップは通常0.1〜5mmであり、押出し成形時には140〜250℃に加熱する。
ダイリップからシート状に押し出されたポリオレフィン粘性溶液は、図1に示すように冷媒で冷却したロール71、72で引取られ、冷却ロール71、72上で冷却されて、ゲル状シートSに成形される。このとき、押し出されたポリオレフィン粘性溶液は冷却ロール71に接触するまでの間に、すなわち、冷却固化されてゲル状シートになる前に溶融一軸延伸される。ポリオレフィン粘性溶液を溶融状態で一軸延伸することにより、微多孔の平均孔径を大きくし、ポリオレフィン微多孔膜の透過性を向上させることができるとともに、製膜速度が上がり、生産性が大幅に向上する。
延伸倍率に相当するドラフト比(=ダイリップ開口面積/ゲル状シートの断面積)は3〜50、好ましくは5〜20である。ドラフト比が3未満であると、微多孔の平均孔径が小さく、ポリオレフィン微多孔膜の透過性が十分ではない。ドラフト比が50を超えると、シート表面の微多孔がつぶれてしまい、孔が貫通せず、逆に透過性が低下する。ドラフト比はダイリップの開口度、シートの引き取り速度及びポリオレフィン粘性溶液の吐出量により調整する。引き取り速度は、20cm〜15m/分、特に3〜10m/分が好ましい。引き取り速度が20cm/分未満であると、ドラフト比が低く、溶融延伸が不十分になる。一方、引き取り速度が15m/分を超えると、ドラフト比が高すぎて、シートがネックインを起こしやすくなるとともに、ポリオレフィン微多孔膜の透過性が低下する。
押し出されたポリオレフィン粘性溶液は溶融一軸延伸が完了するまで、すなわち、延伸されたポリオレフィン粘性溶液のシートが冷却ロール71に接触するまで溶融状態を保つこと、少なくともポリオレフィンの融点以上の温度に保たれることが好ましい。冷却ロール71に接触するまでに急冷されてフロストラインが発生したり、ゲル状化が開始したポリオレフィン粘性溶液のシートを延伸すると、孔径が小さくなり得られるポリオレフィン微多孔膜の透過性が低下する。
ダイリップと冷却ロール71との間隔、すなわち、ポリオレフィン粘性溶液がダイリップから押し出されてから冷却ロール71の表面に接触するまでの距離は、5mm〜100mm、特に10mm〜50mmにするのが好ましい。ポリオレフィン溶液の粘度が低い場合は、ダイリップと冷却ロールの間隔が長いと得られたシートはネツクインを起こしやすいので間隔は短いほうが好ましい。冷却ロール71、72の温度は、30℃〜ポリオレフィン結晶化温度、特に40〜90℃にするのが好ましい。冷却ロール温度が高すぎると、冷却ロールに接触したシートは徐冷されてゲル状構造を形成するポリオレフィンのラメラ構造を構成する壁が厚くなり、微多孔は独立泡になり易いため、脱溶媒性が低下し透過性が低下する。冷却ロール温度が低すぎると、冷却ロールに接触したシートは急冷されてゲル構造が緻密になり過ぎるため、孔径が小さくなり、透過性が低下する。
ゲル状成形物の厚さは10〜300μmであるのが好ましい。厚さが10μm未満では、ゲル状成形物の強度が低く、成形が困難となる。一方、厚さが300μmを超えると、自己支持性が発揮されず、得られたポリオレフィン微多孔膜の空孔率が低下し、透過性も低くなり、さらに脱不揮発性溶媒が困難となる。
(3)洗浄、乾燥及び熱固定
冷却により得られたゲル状成形物を易揮発性溶剤で洗浄することにより、残留不揮発性溶媒を除去する。洗浄用の易揮発性溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素、三フッ化エタン等のフッ素化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等を用いることができる。これらの易揮発性溶剤は不揮発性溶媒の種類に応じて適宜選択することができ、単独もしくは混合して用いる。洗浄方法としては、ゲル状成形物を易揮発性溶剤に浸漬して抽出する方法、易揮発性溶剤をゲル状成形物にシャワーする方法、又はこれらの組合せ等を用いることができる。上記洗浄は、ゲル状成形物中の残留不揮発性溶媒が1重量%未満になるまで行う。その後易揮発性溶剤を加熱乾燥、風乾等の方法で乾燥する。上記洗浄工程、乾燥工程の温度、時間、雰囲気等は従来公知の方法に準じて選択することができる。
次いで、乾燥したゲル状成形物を80℃以上ポリオレフィンの融点以下、好ましくは110〜130℃で5秒〜10分間熱固定する。ゲル状構造の壁は、1〜数層のポリオレフィンラメラからなっているが、熱固定によって結晶が安定化し、ラメラ層が均一化される。そのため小孔径部分は少なくなり、平均孔径は若干大きくなり、透過性はさらに高くなる。また、広くなだらかだった孔径分布が、熱固定によって狭くシャープになり、孔径がより均一になる。
[3] ポリオレフィン微多孔膜
以上のようにして製造したポリオレフィン微多孔膜は、透気度が好ましくは100秒/100cc以下、更に好ましくは70秒/100cc以下、特に好ましくは5〜50秒/100cc、空孔率が35〜95%、平均孔径(平均貫通孔径)が0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μmの高透過性膜である。またポリオレフィン微多孔膜の厚さは用途に応じて適宜選択することができるが、一般に5〜250μmであり、特に20〜200μmであるのが好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜には、必要に応じてプラズマ照射、界面活性剤含浸、表面グラフト等の親水化処理等の表面修飾を施してもよい。
以下本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜7及び比較例1〜7
図1に示す製造装置を用いて、ポリエチレンの微多孔膜を製造した。まず表1に示すポリエチレン又はその組成物(以下単にポリエチレンという)100重量部に0.375重量部の酸化防止剤をドライブレンドし、フィーダ3より二軸押出機1(内径:58mm、L/D=42、強混練タイプ)に供給した。次いで二軸押出機1のサイドフィーダー11から、表1に示すポリエチレン濃度となる量の流動パラフィン(135cSt/25℃)をポンプ41によって注入した。二軸押出機の内部は真空ポンプ42によって減圧状態にし、空気の混入を防いだ。混合物を200℃、2O0rpmで溶融混練してポリエチレン溶液とした。
ポリエチレン溶液の吐出量をギアポンプ43で調節しながら、ストレーナ5で不純物を除去した後、押出機1の先端に設置されたTダイ6(ダイリップの開口度:0.2〜0.6mm、ダイリップの幅:550mm)からシート状に押し出した。押し出されたシート状のポリエチレン粘性溶液を2本の冷却ロール71、72(温度:80℃)で引き取りながら溶融一軸延伸し、その後、冷却ロール71、72により冷却固化してゲル状シートSを得た。ダイ6と冷却ロール71の間隔は10mmであり、ドラフト比が表1に示す値になるように引き取り速度を3〜10m/分の範囲で調節した。得られたゲル状シートSをチャンバ8内に送入し、まず塩化メチレンで洗浄して残留流動パラフィンを抽出除去した後、乾燥し、125℃で熱固定を行ってポリエチレン微多孔膜を得た。
ポリエチレンの重量平均分子量Mw、Mw/Mn、シートへの成形性、及びポリエチレン微多孔膜の物性の評価を以下の方法で行った。それぞれの結果を表1に示す。
(1)重量平均分子量Mw及びMw/Mn
ウォーターズ(株)製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置を用い、カラムに東ソー(株)製GMH-6、溶媒にo−ジクロロベンゼンを使用し、温度135℃、流量1.0ml/分の条件でポリエチレンの分子量分布を測定し、その結果より重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及びMw/Mnを計算した。
(2)シートへの成形性
シートへの成形性として、シート成形時のスウェル、ネックイン、メルトフラクチャー、押出機からの吐出性、吐出量の均一性及びシート表面(シート状ポリオレフィン粘性溶液の表面及びゲル状シートの表面)の平滑性を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○・・・すべての評価が良好。
△・・・一部の評価が不良。
×・・・すべて又は殆どの評価が不良。
(3)ポリエチレン微多孔膜の物性
得られたポリエチレン微多孔膜の物性を以下の方法で測定した。
(a)膜厚:断面を走査型電子顕微鏡により測定した。
(b)空孔率:重量法により測定した(単位は%)。
(c)透気度:JIS P 8117に準拠して測定した(単位は秒/100cc)。
(d)平均孔径(平均貫通孔径):COULTER POROMETERI II(コールター社製)に
より測定した(単位はμm)。
注:(1)重量平均分子量2.5×106。
(2)重量平均分子量7.8×105。
(3)重量平均分子量3.0×105。
(4)重量平均分子量2.3×105。
(5)重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn。
(6)ダイリップの開口面積/ゲル状シートの断面積
(7)ポリエチレン溶液からシートへの成形性の良否。
注:(1)〜(7)同上。
注:(1)〜(7)同上。
注:(1)〜(7)同上。
表1から明らかなように、本発明の製造方法に従って製造した実施例1〜7のポリエチレン微多孔膜は比較的孔径が大きく、透過性に優れており、かつシートへの成形性が良好であった。一方比較例1では、単独使用したポリエチレンの重量平均分子量Mwが大きいためポリエチレン溶液の粘度が高すぎて、混練性が悪く、良好な微多孔膜が得られなかった。また比較例2と3では、ポリエチレン組成物全体の重量平均分子量Mwが大きいためポリエチレン溶液の粘度が高く、得られた微多孔膜の表面の平滑性が悪く、膜厚にムラが多かった。特に、比較例3では低分子量成分が多く、透気度が高かく透過性が低かった。比較例4では、単独使用したポリエチレンの重量平均分子量Mwが小さいため、透気度が著しく高く、透過性が低かった。特に比較例4ではポリエチレン溶液の粘度が低すぎて、シートへの成形性も悪かった。比較例5では、ドラフト比が低いために平均孔径が小さくなり、透気度の値が大きく、透過性が低かった。逆に比較例6のようにドラフト比が大きすぎると、平均孔径が大きいものの、透気度が極端に大きくなり、孔が潰れていることを示している。また、膜厚のムラも多かった。比較例7では、ポリエチレン溶液が高濃度で粘度が高すぎたためシートへの成形が困難であった
。
産業上の利用可能性
以上詳述したように、本発明の製造方法に従って、ポリオレフィンの溶液をダイリップより押し出し、この押出成形されたポリオレフィン溶液を、フロストラインを発生させることなく、かつ、冷却固化によるゲル状化が開始する前に溶融一軸延伸し、その後冷却ロールで冷却固化してゲル状シートにする工程を経て製造されたポリオレフィン微多孔膜は、孔径が大きく、優れた透過性を有する。本発明の製造方法により得られたポリオレフィン微多孔膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサー用隔膜、各種フィルター、透湿防水衣料、逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等の各種用途、特に高透過性を必要とする電池用セパレーター、精密濾過膜等の用途に好適である。また、本発明の製造方法では製膜速度が向上するので、微多孔膜の製造効率が良好である。
技術分野
本発明はポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関し、特に高透過性のポリオレフィン微多孔膜の製造方法に関する。
背景技術
ポリオレフィン微多孔膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサー用隔膜、各種フィルター、透湿防水衣料、逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等の各種用途に用いられている。
従来からポリオレフィン、有機媒体及び微粉末シリカ等の無機粉体の混合物を溶融成形後、有機媒体及び無機粉体を成形物から抽出して微多孔膜を得る方法が知られている。しかしながらこの方法では無機粉体を抽出する工程が必要であり、得られる微多孔膜の透過性は無機粉体の粒径に依存し、制御が難しかった。
近年、重量平均分子量が7×105以上の超高分子量ポリオレフィンを溶媒中で加熱溶解した溶液をゲル状シートに成形し、前記ゲル状シート中の溶媒量を脱不揮発性溶媒処理により調整し、次いで加熱延伸した後、残留溶媒を除去することにより、超高分子量ポリオレフィンの微多孔膜を製造する方法が種々提案されている(特開昭60-242035号、同61-195132号、同61-195133号、同63-39602号、同63-273651号)。
しかしながら上記方法においては、冷却固化した後にシートを延伸することによって微細な孔を多数形成させるため、孔径が小さくかつ孔径分布が狭い微多孔膜を得ることができるが、比較的孔径が大きく、高い透過性を必要とする精密濾過膜や電池用セパレーター等に好適なポリオレフィン微多孔膜が得られないという問題があった。
そこで、本発明者らは超高分子量成分を含有するポリオレフィン組成物の溶液を調製して、この溶液を押出機のダイリップより押し出した後、急冷固化してゲル状成形物を形成し、しかる後延伸することなく残留溶媒を除去すれば、優れた透過性を有するポリオレフィン微多孔膜を製造できることを見出した。しかし、このポリオレフィン組成物は高重量平均分子量であるため、ゲル状成形物を得るための溶液の濃度を高くするのが困難であった。そのため微多孔膜の製造には時間がかかり製造効率が悪かった。また、ゲル状成形物の表面性状が悪くなることがあり、成形性にも問題があった。
したがって本発明の目的は、比較的孔径が大きく、優れた透過性を有するポリオレフィン微多孔膜を効率的かつ高速に製造する方法を提供することである。
発明の開示
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、押出機内にて調製した特定の分子量範囲のポリオレフィン単独又はポリオレフィン組成物の溶液を押出機のダイリップより押し出した後、冷却固化してゲル状化する前に冷却ロールで引取りながら溶融一軸延伸し、その後冷却固化してゲル状シートに成形し、得られたゲル状シートから残留溶媒を除去し、乾燥、熱固定すれば、優れた透過性を有するポリオレフィン微多孔膜を高速かつ効率的に製造することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、高透過性ポリオレフィン微多孔膜を製造する方法であって、重量平均分子量が3×105以上1×106未満で、かつ重量平均分子量/数平均分子量が5〜300のポリオレフィン、又は組成物全体の重量平均分子量が3×105以上1×106未満で、かつ組成物全体の重量平均分子量/数平均分子量が5〜300であるポリオレフィン組成物5〜40重量%と、溶媒60〜95重量%とからなるポリオレフィン溶液を調製する工程、前記ポリオレフィン溶液を押出成形する工程、前記押出成形されたポリオレフィン溶液をドラフト比3〜50で溶融一軸延伸する工程、前記延伸されたポリオレフィン溶液を冷却固化してゲル状成形物にする工程、前記ゲル状成形物から残存溶媒を除去しさらに乾燥する工程、及び80℃以上融点以下の温度で熱固定する工程を含むことを特徴とする。
図面の簡単な説明
図1は、本発明の高透過性ポリオレフィン微多孔膜を製造する方法を実施する
装置の一例を示す概略図である。
発明を実施するための最良の形態
[1] 原料
本発明においては、ポリオレフィン微多孔膜用の原料として、ポリオレフィン単独、又は重量平均分子量が異なる2以上のポリオレフィンを含む組成物を使用する。単独使用するポリオレフィンは重量平均分子量が3×105以上1×106未満で、重量平均分子量/数平均分子量(以下Mw/Mnと略す)が5〜300であることが必要である。ポリオレフィン組成物は組成物全体の重量平均分子量が3×105以上1×106未満で、かつ組成物全体のMw/Mnが5〜300であることが必要である。
(a)単独使用するポリオレフィン
単独で使用されるポリオレフィンの重量平均分子量は3×105以上1×106未満である。このようなポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン等を重合した結晶性の単独重合体又は共重合体が挙げられる。これらのうちポリエチレン、特に高密度のポリエチレンが好ましい。好ましい重量平均分子量は5×105〜8×105である。重量平均分子量が3×105未満のポリオレフィンを単独で原料として使用するとポリオレフィン溶液の粘度が低くなり成形が困難になる。また、低分子量成分が増加し透過性が低くなるので好ましくない。
重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)は分子量分布の尺度として用いられるパラメーターであり、この比が大きくなるほど分子量分布の幅は拡大する。単独使用するポリオレフィンのMw/Mnは5〜300であり、10〜50であるのが好ましい。Mw/Mnが300を超えると、低分子量成分が増加し、ポリオレフィン微多孔膜の孔径が小さくなり、膜の透過性が低下する。また特別な分離処理等をせずにMw/Mnが5未満のポリオレフィンを得ることは事実上難しい。
(b)ポリオレフィン組成物
ポリオレフィン組成物に含まれる2以上のポリオレフィンの各重量平均分子量は1×104〜6×106、好ましくは3×105〜3×106であり、組成物全体の重量平均分子量が3×105以上1×106未満、好ましくは5×105〜8×105、かつ、組成物全体のMw/Mnが5〜300になるような割合で配合される。重量平均分子量が1×104未満のポリオレフィンを用いると、溶融延伸時に破断が起こりやすく良好なポリオレフィン微多孔膜が得られない。なお、一般に市販されているポリオレフィンの重量平均分子量の上限は約6×106である。
組成物に含まれる各ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン等を重合した結晶性の単独重合体又は共重合体の2種類以上のブレンドが挙げられる。また、リアクターブレンド法などの多段重合法により、オレフィンを同じ反応器内で多段重合(例えば二段重合)して高分子量部分と低分子量部分とを連続的に製造した多段重合ポリオレフィンを使用してもよい。
ポリオレフィン組成物全体のMw/Mnは5〜300、好ましくは10〜50である。重量平均分子量の異なる複数のポリオレフィンからなる組成物においては、Mw/Mnが大きいほど、配合するポリオレフィンの重量平均分子量の差が大きく、また小さいほど重量平均分子量の差が小さい。ポリオレフィン組成物全体のMw/Mnが300を超えると低分子量ポリオレフィンの増加により得られるポリオレフィン微多孔膜の透過性が低下するので好ましくない。またMw/Mnが5未満であるとゲル状成形物への成形性が低下するので好ましくない。
(c)その他の成分
前記の単独使用するポリオレフィン又はポリオレフィン組成物には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、無機充填材等の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
[2] ポリオレフィン微多孔膜の製造方法
製造条件はポリオレフィンを単独使用する場合でもポリオレフィン組成物を使用する場合でも異ならないので、以下ポリオレフィンを単独使用する場合について本発明の製造方法を図1を参照しながら詳細に説明する。
(1)ポリオレフィンの加熱溶解
ポリオレフィン溶液は上記の単独使用するポリオレフィン又はポリオレフィン組成物を溶媒に加熱溶解することにより調製する。この溶媒としては、ノナン、デカン、デカリン、p−キシレン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン等の
脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素又は芳香族炭化水素、あるいは沸点がこれらに対応する鉱油留分等を用いることができる。これらの溶媒はダイリップからの押し出しの際に揮発しないので、以下「不揮発性溶媒」と言う。
不揮発性溶媒の粘度は25℃において30〜500cStであるのが好ましく、50〜200cStがより好ましい。25℃における粘度が30cSt未満では、ダイリップからの吐出が不均一になり、均一なシートが得られない。また500cStを超えると、不揮発性溶媒の除去が困難となる。
加熱溶解は、(A)ポリオレフィンが不揮発性溶媒に完全に溶解する温度で攪拌するか、又は(B)押出機中でポリオレフィンと不揮発性溶媒を均一に混練することにより行う。
(A)の場合、加熱温度はポリオレフィン及び不揮発性溶媒の種類により異なるが、例えばポリエチレン/流動パラフィンの場合には140〜250℃とするのが好ましい。
(B)の方法はポリオレフィンの高濃度溶液を調製するのに適する。押出機でポリオレフィンを加熱溶解するには、まず押出機にポリオレフィンを供給し、溶融混練する。図1に示す製造装置の例では、ポリオレフィンの粉末2はフィーダ3により定量的に二軸押出し機1に供給され、押出し機1内で溶融混練される。溶融温度はポリオレフィンの種類によって異なるが、ポリオレフィンの融点+30℃〜融点+100℃が好ましい。例えばポリエチレンの場合は160〜230℃、特に170〜200℃であるのが好ましく、ポリプロピレンの場合は190〜270℃、特に190〜250℃であるのが好ましい。
次に、この溶融状態のポリオレフィンに、不揮発性溶媒を押出機の途中、例えばサイドフィーダ11からポンプ41により定量的に供給する。ポリオレフィンと不揮発性溶媒との配合割合は、両者の合計量に対して、ポリオレフィンが5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%であり、不揮発性溶媒が60〜95重量%、好ましくは70〜90重量%である。ポリオレフィンが5重量%未満では(不揮発性溶媒が95重量%を超えると)、ポリオレフィン加熱溶液を押し出す際にダイス出口でスウェルやネックインが大きくなり、ゲル状成形物(ゲル状シート)への成形性及びゲル状成形物の自己支持性が低下する。一方、ポリオレフィンが40重量%を超えると(不揮発性溶媒が60重量%未満では)、ゲル状シートの厚み方向の収縮が大きくなるため、空孔率が低く孔径が小さい微多孔膜となる。またゲル状シートへの成形性も低下する。上記範囲内でポリオレフィンと不揮発性溶媒との配合割合を変えることにより、得られる微多孔膜の透過性を制御することができる。
(2)ポリオレフィン溶液の押出成形と溶融延伸
溶融混練して得たポリオレフィン/不揮発性溶媒の加熱溶液を直接に又は別の押出機を介して、あるいは一旦冷却してペレット化した後再度押出機を介して、ダイリップから押し出す。ダイリップとしては、通常長方形の口金形状をしたシート用ダイリップを用いるが、二重円筒状の中空状ダイリップ、インフレーションダイリップ等も用いることができる。シート用ダイリップの場合、ダイリップのギャップは通常0.1〜5mmであり、押出し成形時には140〜250℃に加熱する。
ダイリップからシート状に押し出されたポリオレフィン粘性溶液は、図1に示すように冷媒で冷却したロール71、72で引取られ、冷却ロール71、72上で冷却されて、ゲル状シートSに成形される。このとき、押し出されたポリオレフィン粘性溶液は冷却ロール71に接触するまでの間に、すなわち、冷却固化されてゲル状シートになる前に溶融一軸延伸される。ポリオレフィン粘性溶液を溶融状態で一軸延伸することにより、微多孔の平均孔径を大きくし、ポリオレフィン微多孔膜の透過性を向上させることができるとともに、製膜速度が上がり、生産性が大幅に向上する。
延伸倍率に相当するドラフト比(=ダイリップ開口面積/ゲル状シートの断面積)は3〜50、好ましくは5〜20である。ドラフト比が3未満であると、微多孔の平均孔径が小さく、ポリオレフィン微多孔膜の透過性が十分ではない。ドラフト比が50を超えると、シート表面の微多孔がつぶれてしまい、孔が貫通せず、逆に透過性が低下する。ドラフト比はダイリップの開口度、シートの引き取り速度及びポリオレフィン粘性溶液の吐出量により調整する。引き取り速度は、20cm〜15m/分、特に3〜10m/分が好ましい。引き取り速度が20cm/分未満であると、ドラフト比が低く、溶融延伸が不十分になる。一方、引き取り速度が15m/分を超えると、ドラフト比が高すぎて、シートがネックインを起こしやすくなるとともに、ポリオレフィン微多孔膜の透過性が低下する。
押し出されたポリオレフィン粘性溶液は溶融一軸延伸が完了するまで、すなわち、延伸されたポリオレフィン粘性溶液のシートが冷却ロール71に接触するまで溶融状態を保つこと、少なくともポリオレフィンの融点以上の温度に保たれることが好ましい。冷却ロール71に接触するまでに急冷されてフロストラインが発生したり、ゲル状化が開始したポリオレフィン粘性溶液のシートを延伸すると、孔径が小さくなり得られるポリオレフィン微多孔膜の透過性が低下する。
ダイリップと冷却ロール71との間隔、すなわち、ポリオレフィン粘性溶液がダイリップから押し出されてから冷却ロール71の表面に接触するまでの距離は、5mm〜100mm、特に10mm〜50mmにするのが好ましい。ポリオレフィン溶液の粘度が低い場合は、ダイリップと冷却ロールの間隔が長いと得られたシートはネツクインを起こしやすいので間隔は短いほうが好ましい。冷却ロール71、72の温度は、30℃〜ポリオレフィン結晶化温度、特に40〜90℃にするのが好ましい。冷却ロール温度が高すぎると、冷却ロールに接触したシートは徐冷されてゲル状構造を形成するポリオレフィンのラメラ構造を構成する壁が厚くなり、微多孔は独立泡になり易いため、脱溶媒性が低下し透過性が低下する。冷却ロール温度が低すぎると、冷却ロールに接触したシートは急冷されてゲル構造が緻密になり過ぎるため、孔径が小さくなり、透過性が低下する。
ゲル状成形物の厚さは10〜300μmであるのが好ましい。厚さが10μm未満では、ゲル状成形物の強度が低く、成形が困難となる。一方、厚さが300μmを超えると、自己支持性が発揮されず、得られたポリオレフィン微多孔膜の空孔率が低下し、透過性も低くなり、さらに脱不揮発性溶媒が困難となる。
(3)洗浄、乾燥及び熱固定
冷却により得られたゲル状成形物を易揮発性溶剤で洗浄することにより、残留不揮発性溶媒を除去する。洗浄用の易揮発性溶剤としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素等の塩素化炭化水素、三フッ化エタン等のフッ素化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等を用いることができる。これらの易揮発性溶剤は不揮発性溶媒の種類に応じて適宜選択することができ、単独もしくは混合して用いる。洗浄方法としては、ゲル状成形物を易揮発性溶剤に浸漬して抽出する方法、易揮発性溶剤をゲル状成形物にシャワーする方法、又はこれらの組合せ等を用いることができる。上記洗浄は、ゲル状成形物中の残留不揮発性溶媒が1重量%未満になるまで行う。その後易揮発性溶剤を加熱乾燥、風乾等の方法で乾燥する。上記洗浄工程、乾燥工程の温度、時間、雰囲気等は従来公知の方法に準じて選択することができる。
次いで、乾燥したゲル状成形物を80℃以上ポリオレフィンの融点以下、好ましくは110〜130℃で5秒〜10分間熱固定する。ゲル状構造の壁は、1〜数層のポリオレフィンラメラからなっているが、熱固定によって結晶が安定化し、ラメラ層が均一化される。そのため小孔径部分は少なくなり、平均孔径は若干大きくなり、透過性はさらに高くなる。また、広くなだらかだった孔径分布が、熱固定によって狭くシャープになり、孔径がより均一になる。
[3] ポリオレフィン微多孔膜
以上のようにして製造したポリオレフィン微多孔膜は、透気度が好ましくは100秒/100cc以下、更に好ましくは70秒/100cc以下、特に好ましくは5〜50秒/100cc、空孔率が35〜95%、平均孔径(平均貫通孔径)が0.05〜1μm、好ましくは0.1〜0.5μmの高透過性膜である。またポリオレフィン微多孔膜の厚さは用途に応じて適宜選択することができるが、一般に5〜250μmであり、特に20〜200μmであるのが好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜には、必要に応じてプラズマ照射、界面活性剤含浸、表面グラフト等の親水化処理等の表面修飾を施してもよい。
以下本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜7及び比較例1〜7
図1に示す製造装置を用いて、ポリエチレンの微多孔膜を製造した。まず表1に示すポリエチレン又はその組成物(以下単にポリエチレンという)100重量部に0.375重量部の酸化防止剤をドライブレンドし、フィーダ3より二軸押出機1(内径:58mm、L/D=42、強混練タイプ)に供給した。次いで二軸押出機1のサイドフィーダー11から、表1に示すポリエチレン濃度となる量の流動パラフィン(135cSt/25℃)をポンプ41によって注入した。二軸押出機の内部は真空ポンプ42によって減圧状態にし、空気の混入を防いだ。混合物を200℃、2O0rpmで溶融混練してポリエチレン溶液とした。
ポリエチレン溶液の吐出量をギアポンプ43で調節しながら、ストレーナ5で不純物を除去した後、押出機1の先端に設置されたTダイ6(ダイリップの開口度:0.2〜0.6mm、ダイリップの幅:550mm)からシート状に押し出した。押し出されたシート状のポリエチレン粘性溶液を2本の冷却ロール71、72(温度:80℃)で引き取りながら溶融一軸延伸し、その後、冷却ロール71、72により冷却固化してゲル状シートSを得た。ダイ6と冷却ロール71の間隔は10mmであり、ドラフト比が表1に示す値になるように引き取り速度を3〜10m/分の範囲で調節した。得られたゲル状シートSをチャンバ8内に送入し、まず塩化メチレンで洗浄して残留流動パラフィンを抽出除去した後、乾燥し、125℃で熱固定を行ってポリエチレン微多孔膜を得た。
ポリエチレンの重量平均分子量Mw、Mw/Mn、シートへの成形性、及びポリエチレン微多孔膜の物性の評価を以下の方法で行った。それぞれの結果を表1に示す。
(1)重量平均分子量Mw及びMw/Mn
ウォーターズ(株)製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置を用い、カラムに東ソー(株)製GMH-6、溶媒にo−ジクロロベンゼンを使用し、温度135℃、流量1.0ml/分の条件でポリエチレンの分子量分布を測定し、その結果より重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及びMw/Mnを計算した。
(2)シートへの成形性
シートへの成形性として、シート成形時のスウェル、ネックイン、メルトフラクチャー、押出機からの吐出性、吐出量の均一性及びシート表面(シート状ポリオレフィン粘性溶液の表面及びゲル状シートの表面)の平滑性を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○・・・すべての評価が良好。
△・・・一部の評価が不良。
×・・・すべて又は殆どの評価が不良。
(3)ポリエチレン微多孔膜の物性
得られたポリエチレン微多孔膜の物性を以下の方法で測定した。
(a)膜厚:断面を走査型電子顕微鏡により測定した。
(b)空孔率:重量法により測定した(単位は%)。
(c)透気度:JIS P 8117に準拠して測定した(単位は秒/100cc)。
(d)平均孔径(平均貫通孔径):COULTER POROMETERI II(コールター社製)に
より測定した(単位はμm)。
注:(1)重量平均分子量2.5×106。
(2)重量平均分子量7.8×105。
(3)重量平均分子量3.0×105。
(4)重量平均分子量2.3×105。
(5)重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn。
(6)ダイリップの開口面積/ゲル状シートの断面積
(7)ポリエチレン溶液からシートへの成形性の良否。
注:(1)〜(7)同上。
注:(1)〜(7)同上。
注:(1)〜(7)同上。
表1から明らかなように、本発明の製造方法に従って製造した実施例1〜7のポリエチレン微多孔膜は比較的孔径が大きく、透過性に優れており、かつシートへの成形性が良好であった。一方比較例1では、単独使用したポリエチレンの重量平均分子量Mwが大きいためポリエチレン溶液の粘度が高すぎて、混練性が悪く、良好な微多孔膜が得られなかった。また比較例2と3では、ポリエチレン組成物全体の重量平均分子量Mwが大きいためポリエチレン溶液の粘度が高く、得られた微多孔膜の表面の平滑性が悪く、膜厚にムラが多かった。特に、比較例3では低分子量成分が多く、透気度が高かく透過性が低かった。比較例4では、単独使用したポリエチレンの重量平均分子量Mwが小さいため、透気度が著しく高く、透過性が低かった。特に比較例4ではポリエチレン溶液の粘度が低すぎて、シートへの成形性も悪かった。比較例5では、ドラフト比が低いために平均孔径が小さくなり、透気度の値が大きく、透過性が低かった。逆に比較例6のようにドラフト比が大きすぎると、平均孔径が大きいものの、透気度が極端に大きくなり、孔が潰れていることを示している。また、膜厚のムラも多かった。比較例7では、ポリエチレン溶液が高濃度で粘度が高すぎたためシートへの成形が困難であった
。
産業上の利用可能性
以上詳述したように、本発明の製造方法に従って、ポリオレフィンの溶液をダイリップより押し出し、この押出成形されたポリオレフィン溶液を、フロストラインを発生させることなく、かつ、冷却固化によるゲル状化が開始する前に溶融一軸延伸し、その後冷却ロールで冷却固化してゲル状シートにする工程を経て製造されたポリオレフィン微多孔膜は、孔径が大きく、優れた透過性を有する。本発明の製造方法により得られたポリオレフィン微多孔膜は、電池用セパレーター、電解コンデンサー用隔膜、各種フィルター、透湿防水衣料、逆浸透濾過膜、限外濾過膜、精密濾過膜等の各種用途、特に高透過性を必要とする電池用セパレーター、精密濾過膜等の用途に好適である。また、本発明の製造方法では製膜速度が向上するので、微多孔膜の製造効率が良好である。
Claims (6)
- 重量平均分子量が3×105以上1×106未満でかつ重量平均分子量/数平均分子量が5〜300のポリオレフィン、又は組成物全体の重量平均分子量が3×105以上1×106未満で、かつ組成物全体の重量平均分子量/数平均分子量が5〜300であるポリオレフィン組成物5〜40重量%と、溶媒95〜60重量%とからなるポリオレフィン溶液を調製する工程、
前記ポリオレフィン溶液を押出成形する工程、
ドラフト比3〜50で前記押出成形されたポリオレフィン溶液を溶融一軸延伸する工程、
前記延伸されたポリオレフィン溶液を冷却固化してゲル状成形物にする工程、
前記ゲル状成形物から残存溶媒を除去しさらに乾燥する工程、及び
80℃以上融点以下の温度で熱固定する工程、
を含むことを特徴とする高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。 - 請求項1に記載の高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法において、前記押し出し成形物を冷却ロールにより20cm/分〜15m/分の速度で引き取りながら溶融一軸延伸することを特徴とするポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
- 請求項1又は2に記載のポリオレフィン微多孔膜の製造方法において、前記押出成形されたポリオレフイン溶液の溶融一軸延伸は、前記ポリオレフィン溶液のゲル状化が開始する前に行われることを特徴とする高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法において、前記延伸されたポリオレフィン溶液を30℃〜ポリオレフィン結晶化温度に保たれた冷却ロールにより冷却して前記ゲル状成形物を得ることを特徴とする高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法において、前記ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が35〜95%であることを特徴とする高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法において、前記ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径が0.05〜1μmであることを特徴とする高透過性ポリオレフィン微多孔膜の製造方法。
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