JPS6483Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、帽子、被服などの装飾に用いられ
るくるみ釦に関するものである。

（従来の技術） 従来、くるみ釦として、頭部を包被した被覆材
料の折返した端縁部をワツシヤで固定した釦主体
と、溝状段部を形成した先尖の柱体を有する鋲と
より成るものは、実開昭51−46510号公報に記載
されている。

（考案が解決しようとする問題点） 前記の従来のくるみ釦は、実開昭51−46501号
公報の第６図に示すように、鋲の柱体（軸部）
は、柱体に直交する薄肉の多数の溝状段部を形成
したものであるから、くるみ釦体に鋲を打込み両
者を固定する場合に、鋲の柱体の先端は先尖とな
つてだけで、釦主体のボス孔の軸線に対して鋲の
柱体を前記の軸線方向にガイドする構造を具えて
いないことに起因して、鋲がボス孔の軸線に対し
て傾斜して打込まれた場合に、釦主体のボスを変
形したり、破損することが、しばしば経験されて
いる。また、前記薄肉の溝状段部によつてボス孔
の内壁を削り、または、薄肉の溝状段部の部分的
損傷が発生し、打込まれた鋲が釦主体から脱落す
るなどの問題があつた。

この考案は、上述の問題点を解消することを目
的としてなされたものである。

（問題点を解決するための手段） この考案は、上記の目的を達成し、問題点を解
決するために、頭部を包被した被覆材料の端縁部
をワツシヤで固定した釦主体と、軸部の先端部に
軸部の長手方向に複数の突条を、かつ、この突条
の下方につばを設け、前記突条およびつばのそれ
ぞれの外径を、釦主体のボス孔の内径より大とし
た軸部を有する鋲とよりなるくるみ釦、を構成し
たものである。

（作用） 鋲の軸部先端部を生地を刺通した後にボス孔に
打込むことによつて、ボス部の下半部（入口側）
は、鋲の軸部の先端部の突条によつて、多少、拡
げられると同時に、鋲の軸部の先端部の突条は、
ボスのボス孔の中心線方向に軸部をガイドし、鋲
の軸線とボス孔の中心線とが一致するように、鋲
の打込み姿勢を修正するように作用する。

さらに、鋲の軸部をボス孔の上部（入口側と反
対の奥部）に打込みを行うと、軸部のつばは、ボ
ス孔の内壁に喰込むと同時に、ボスの外壁を外側
へ向けて拡げるように作用する。

（実施例） 以下、添付図面に基づいて、この考案の実施例
を説明する。

Ａは釦主体で第７図に示すように、天丸形状の
頭部１と、その頭部１の内側に突設され、ボス孔
２を有するボス部３とからなる。前記頭部１の周
縁部１ａは若干内側に向けて湾曲され、かつこの
周縁部１ａの内面には凸条１ｂが形成されてい
る。前記ボス孔２の内周面には一対の空気抜き用
溝４が形成されている。第５図、第６図に示すよ
うに、Ｂは合成樹脂製のワツシヤで、中央部に略
円形状の孔５が形成されている。該孔５の周縁に
は４個所に切欠溝５′が形成されている。又、該
孔５の周囲に適宜切欠孔６が形成されている。

該ワツシヤＢの周縁部上下面には多数の爪７が
形成され、かつ外周面には全周にわたる凹部８が
形成されている。前記孔５の最小径ｒは、前記ボ
ス部３の外径よりも若干小さく形成されている。
Ｃは第２図、第３図に示す鋲で、鋲の頭部１０と
軸部１１からなる。該軸部１１の中間部には２個
所につば１２が軸部１１に直交または螺旋状に形
成され、かつ先端部１１ａの両側には表面の形状
が丸みをもつた複数の突条１３，１３が軸部１１
の軸線と平行に形成されている。つば１２と突条
１３との間に間隙を設けることが好ましい。

第４図に示すように、突条１３，１３の表面間
の外径ｌは、釦主体Ａのボス孔２の内径より大き
くなつている。

また、つば１２の外径は、前記ボス孔２の内径
より大きく（突条１３，１３間の外径ｌとほぼ等
しい）なつている。

前記突条１３，１３は、２個以上の複数である
ことが好ましく、その配列関係は第１０図に示す
通りである。すなわち、第１０図のロで示す突条
１３，１３が２個である場合、突条１３，１３を
直線方向に連結したとき第１０図のイで示すボス
孔２の中心２ａを通るような配置にすることが好
ましく、また第１０図ハで示す突条１３，１３が
３個の場合は、突条１３，１３を直線で連結した
ときその図形中心にボス孔２の中心２ａが存在す
るように配設することが好ましく、従つて、軸部
１１をボス孔２に圧入したときボス３に軸部１１
の突条１３，１３が平均的に力が加わり、ボス３
に対して軸部１１が傾くおそれがなくなる。

前記釦主体Ａおよび鋲Ｃは合成樹脂製であるこ
とが好ましく、かつ釦主体Ａの方が鋲Ｃよりも軟
い材質であることが好ましい。

前記釦主体Ａの頭部１を、第１図に示すように
被覆材１６で包被し、第５図、第６図に示すワツ
シヤＢの孔５をボス部３に嵌め込み、ワツシヤＢ
の外周凹部８が釦主体Ａの凸条１ｂに対向する位
置に設定する。これによつて被覆材１６の端縁部
が凸条１ｂとワツシヤＢの凹部８との間で挾持さ
れる。このようにワツシヤＢの凹部８と頭部１の
凸条１ｂとの凹凸係合によつて被覆材１６は強固
に挾持固定されるが、さらに上面の爪７によつて
被覆材１６のすべりは完全に防止される。またワ
ツシヤＢとボス部３間においてはワツシヤＢの弾
性作用によつてボス部３の外周に弾性的に圧着さ
れる。この圧着の度合は孔５の径ｒの大きさによ
つて任意に調整できる。このようにボス部３への
弾性係合と、前記凹部８と凸条１ｂとの凹凸係合
によつてワツシヤＢは図示の位置に確実に固定さ
れる。

第１図に示すように前記鋲Ｃを生地１７の裏側
に配置し、その軸部１１をボス孔２に圧入する。
この場合、軸部１１に軸線と平行な複数の突条１
３，１３が形成されているため、この突条１３が
ボス孔２の内周面に当り、常に突条１３，１３の
向きがボス孔２の軸線と平行に沿おうとする働き
をする。したがつて、仮に軸部１１がボス孔２に
対して傾いて挿入されたとしても、突条１３にガ
イドされその軸線に沿おうとする修正機能により
自動的に傾きが修正され正確にボス孔２と軸部１
１の軸線が合致する。

前記空気抜き用溝４は鋲Ｃの軸部１１の圧入時
に空気を外に逃がす役目を果たす。該空気抜き用
溝４は第７図〜第９図に示すように小さい曲率半
径の円弧状溝からなつており、該溝４，４の内面
間の寸法Ｗ（第８図参照）は前記つば１２の外径
より若干大きく形成する。つば１２がボス孔２に
強嵌するとボス孔２は押し拡げられ（このときボ
ス部３も全体として拡がる）、このとき空気抜き
用溝４も変形される。すなわち第９図及び第１０
図においてボス孔２の内周面及び溝４の頂面部１
４は、つば１２の外周にほぼ密接するが、溝４の
両側部分１５，１５の円弧形状が残存し、これに
よつてつば１２の外周に僅かのすき間Ｇができ
て、このすき間から空気抜きが行なわれる。

前記空気抜き用溝４はボス孔２に設けず、鋲Ｃ
の軸部１１に軸方向の溝を形成したり、つば１２
を一部切欠いたりすることによつて形成してもよ
い。

（効果） 以上のように、この考案は、鋲の先端部にその
軸部の長手方向に複数の突条を、さらに、この突
条の下方につばを設け、前記突条およびつばのそ
れぞれの外径を、釦主体のボスのボス孔の内径よ
り大としたものであるから、鋲の軸部を生地の下
方から釦主体のボス孔に打込み、釦主体、生地、
鋲の三者を固定する場合に、鋲の軸部がボス孔の
中心線に対して傾斜していても、軸部の突条の表
面はボス孔の中心線方向へその軸部をガイドして
鋲の打込姿勢を確実に修正して、ボス孔の中心線
と軸部の軸線とを合致させるので、鋲の傾きによ
るボス部の破損を防ぎ、釦主体と鋲との中心線が
一致した精度の高いくるみ釦が得られるという優
れた効果を有する。

また、鋲の突条の下方につばを設けたことによ
り、鋲の打込みによつて、そのつばはボス孔の内
壁に喰込み鋲が釦主体のボス部から抜け落ちるこ
とを阻止すると同時に、ボス部の外壁を外方すな
わち、ワツシヤ側に向けて拡げるため、ボス部に
嵌合しているワツシヤの脱落も完全に防ぐ効果を
有するものである。

【図面の簡単な説明】

添付図面は、この考案の実施例の一例を示すも
ので、第１図はこの考案のくるみ釦の縦断側面
図、第２図は鋲の側面図、第３図は第２図の要部
の側面図、第４図は第３図の平面図、第５図はワ
ツシヤの平面図、第６図は第５図の−線断面
図、第７図は釦主体の縦断側面図、第８図は第７
図の−線断面図、第９図は第１図の−線
断面図、第１０図はボス孔と突起部との配置関係
を示す概略図である。 Ａ……釦主体、Ｂ……ワツシヤ、Ｃ……鋲、１
……釦の頭部、２……釦のボス孔、３…釦のボ
ス、１１……鋲の軸部、１１ａ……軸部の先端
部、１２……つば、１３……突条、１６……被覆
材料、１８……被覆材料の端縁部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 頭部１を包被した被覆材料１６の端縁部１８を
   ワツシヤＢで固定した釦主体Ａと、軸部１１の先
   端部１１ａに軸部１１の長手方向に複数の突条１
   ３を、かつ、この突条１３の下方につば１２を設
   け、前記突条１３およびつば１２のそれぞれの外
   径を釦主体Ａのボス３のボス孔２の内径より大と
   した軸部１１を有する鋲Ｃとよりなるくるみ釦。