JPS646795B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は血液回路その他、体液処理用回路の改
良に係り、特に使用前の洗浄処理を能率的に行な
うことができ、しかも衛生的な操作が可能な回路
を提供しようとするものである。

（従来の技術） 人工腎臓、血漿分離装置、人工肝蔵その他の血
液処理器には、体液導入回路と、体液導出回路と
が接続され、患者から取りだした血液等の体液を
これら循環系路を循環させ、浄化処理等を行なう
ことは従来から広く知られている。

こうした体液処理システムにおいては、使用前
系路内に滞留しているゴミや気泡を除去するた
め、生理食塩液等により洗浄する必要がある。

この洗浄方法の従来例を第１０図に従つて説明
する。

第１０図はダイヤライザーとこれに接続される
血液回路とから構成された人工腎臓システムの一
例を示したもので、１は生理食塩液の充填された
ダイヤライザー、２はダイヤライザー１の血液入
口４に接続される動脈側血液回路、３は血液出口
５に接続される静脈側血液回路である。

これら回路２，３の先端部には第１１図に示す
ようなシヤント接続用のルアーコネクター６，７
が接続され、このルアーコネクター６，７には胴
部８ａを介してキヤツプ８が取付けられるととも
に、胴部８ａとキヤツプ８とは連結帯９で連結さ
れている。

このような体液循環回路システムの洗浄を行な
うに際しては、動脈側血液回路２の先端部に取付
けられたシヤント接続用のルアーコネクター６に
生理食塩液充填チユーブを接続し、同チユーブを
介して生理食塩液を血液回路２内に導入するとと
もに、ダイヤライザー１、静脈側血液回路３を通
した後、同回路３のルアーコネクター７から排出
させているのが通例である。

（発明が解決しようとする問題点） 従来の体液循環回路を洗浄処理する場合、ま
ず、一方のルアーコネクターに、誘導チユーブを
連結し、この誘導チユーブの先端に取り付けられ
た輸液針を輸液バツグの輸液口に接続して生理食
塩水を導入する。つぎに循環ポンプを駆動させて
生理食塩水を循環させ、他方のルアーコネクター
から排出している。したがつて、従来はいわゆる
１パス方式であため、繰り返して洗浄処理を行な
う場合、多量の生理食塩水が必要となり、無駄が
多い。また、一方のルアーコネクターから生理食
塩水を導入する場合、ルアーコネクターに直接チ
ユーブを接続し、そのチユーブの先端に取り付け
られた輸液針を輸液バツグの口部に刺し込むた
め、操作が面倒であるばかりか、ルアーコネクタ
ーとチユーブの着脱操作の際、ルアーコネクター
が外気と接触し細菌に感染しやすいという問題が
ある。

なお、従来の体液処理用回路は、１パス方式で
洗浄されるため、回路内に付着しているゴミ等の
異物は、その都度、外部に排出されるが、両ルア
ーコネクター６，７を連結して密封回路を構成
し、生理食塩水を循環させた場合、異物も同時に
循環することになる。この異物のほとんどはドリ
ツプチヤンバー内のフイルターによつて捕捉され
るが、このフイルターのポアーサイズより小さい
異物は捕捉されずに回路内を循環しつづけ、部材
の継ぎ目などに入り込んで、内部に残留すること
も懸念される。したがつて、このような微小な異
物の除去が必要となる。

本発明の目的は体液処理用回路の洗浄処理を行
なうにあたり、密閉循環回路を構成して洗浄液を
繰り返し循環させることにより、該回路を効率的
に洗浄すると共に、洗浄処理の準備操作を無菌的
に行なえるような体液処理装置を提供することで
ある。

また、本発明の目的は前記洗浄処理を行なうに
あたり、ドリツプチヤンバー内のフイルターでは
捕捉できない、微細な異物を除去できる体液処理
用回路を提供することである。

さらにまた、本発明の別の目的は本発明に係る
体液処理用回路を両チツプ装着部を連結した状態
で効率的に滅菌する方法を提供することである。

（問題点を解決するための手段） 本発明は体液導入側回路及び／又は体液導出側
回路のシヤント接続部にチツプを着脱可能に装着
し、該チツプを介して両シヤント接続部を連結す
ることにより、密封系の回路を形成し、この回路
内に導入した洗浄液を繰り返し循環させるもので
ある。

また、前記チツプ内にドリツプチヤンバーのフ
イルターよりも小さなポアーサイズのフイルター
を設けてドリツプチヤンバー内のフイルターでは
捕捉できないような微小な異物を除去するもので
ある。

さらには、前記した体液処理用回路を滅菌する
にあたり、前記チツプを装着した両シヤント接続
部を通気性のあるコネクターで接続した状態で滅
菌することである。

（実施例） 以下、本発明の実施例を添付図面に従つて説明
する。

第１図は、本発明を人工腎臓装置に適用した場
合の例を示すものであり、１０は内部に生理食塩
水が充填されたダイヤライザー、１２はダイヤラ
イザー１０の血液入口１４に接続される動脈側血
液回路、１３は血液出口１５に接続される静脈側
血液回路であつて、これらは従来と同様である。

本実施例では、前記各血液回路１２，１３の先
端部にシヤント接続部１６，１７が取付けられる
とともに、各シヤント接続部１６，１７に第２図
に示すようなチツプ１８，１９が着脱可能に装着
されている。

これらチツプ１８，１９の先端部は先細りで鋭
利に形成されるとともに、その先端内径は、シヤ
ント接続部１６，１７の先端部を嵌入できる径と
なつており、また外径は後述する輸液バツグの輸
液口に嵌入できる径となつている。

第３図は前記した血液回路１２，１３を滅菌す
るとき便利な実施例であり、各シヤント接続部１
６，１７は互いに向い合つて、コネクター２６内
に挿入されている。このコネクター２６内には両
端内面に第４図に示すごとく複数の突起部２７が
間隔内に形成され、この突起部２７がシヤント接
続部１６，１７の外面に当接するようになつてお
り、シヤント接続部外面と、コネクター内面との
間の間隙２８から滅菌用ガスが侵入できるように
なつている。

このようなコネクター２６により両シヤント接
続部１６，１７を接続した後、EOGガス滅菌を
行なうと、前記間隙２８からEOGガスが侵入し、
それぞれの回路内を循環するので、効率の良い滅
菌が可能となる。

なお、本発明では後述するごとく、輸液バツク
からの輸液を無菌的に行なうために両シヤント接
続部１６，１７にチツプ１８，１９が設けられて
いるが、場合によつては、一方のチツプを省略し
てもよい。また、前記コネクター２６の構成は通
気性のあるものであれば図示したものに限定され
るものではない。

一方、第８図は本発明の別の実施例を示したも
ので、上記チツプ１８の内部に第１図におけるド
リツプチヤンバー２４のフイルターよりもボアー
サイズの小さなフイルター３３を設けたものであ
る。このフイルターのポアーサイズは200μ以下
とする。

一般に、ドリツプチヤンバー２４のフイルター
は、血栓等を除去する目的で取り付けられてお
り、そのポアーサイズは200μ程度である。した
がつて、後述するように密閉系の回路内に洗浄液
を循環させた場合、200μ以下の微細な異物、例
えば微細なチユーブ切断クズ等は前記ドリツプチ
ヤンバのフイルターで捕捉されずに回路内を循環
し、部材の継ぎ目などの狭い部分に付着すること
がある。このため、本発明ではチツプ１８の内部
に200μ以下のポアーサイズを有するフイルター
を設けて、ドリツプチヤンバーのフイルターでは
捕捉できない、微小な異物を捕捉するものであ
る。

第８図及び第９図は、第２図に示した静脈側血
液回路１３のシヤント接続部１６に装着されるチ
ツプ１８に代るチツプの他の実施例である。

まず、第８図のチツプ１８ａは、その両端がシ
ヤント接続部１６，１７の内面に嵌入可能となつ
ており、外壁面にストツパ用の溝３４ａ，３４ａ
を形成し、かつ中央内部にフイルター３３を設け
るようにしたものである。

また、第９図のチツプ１８ｂは、先端が鋭利な
チツプに代えて、両端からシヤント接続部１６，
１７を嵌挿可能としており、内壁面にストツパ用
の突起３４ｂ，３４ｂを形成し、これら突起の間
にフイルター３３ｂを設けたものである。

これらチツプの使用例として、例えばシヤント
接続部１７にチツプ１９を装着し、シヤント接続
部１６に上記チツプ１８ａ，１８ｂを装着する場
合、チツプ１９を輸液口に残してシヤント接続部
を引き抜き、上記チツプ１８ａ，１８ｂにシヤン
ト接続部１７の先端を嵌入して、第１図のように
密閉回路を形成することができる。

（作用） 以上のような構成からなる本発明によるとき
は、まず、生理食塩水の入つたダイヤライザー１
０に動脈側血液回路１２及び静脈側血液回路１３
を接続した後、一方の血液回路１２のシヤント接
続部１７をコネクター２６より引き抜き、第５図
及び第６図ａ，ｂに示すように、このコネクター
２６を生理食塩水が入つた輸液バツグ３０の輸液
口３１内に差し込み、チツプ１９で薄膜３２を突
き破つて該血液回路１２と輸液バツク３０を連通
させる。

次いで、輸液バツク３０内の生理食塩水を所定
量、回路１２内に満たした後、第６図ｃのように
チツプ１９を輸液口３１に残した状態でシヤント
接続部１７を引き抜く。このときシヤント接続部
はチツプ１９により被覆されているため、生理食
塩水を導入中でも無菌状態を保つことができる。

続いて、他方の血液回路１３のシヤント接続部
１６を前記コネクター２６から抜くとともに、第
６図ｄに示すごとく、このシヤント接続部１６の
チツプ１８に前記シヤント接続部１７の先端部を
嵌入するものである。これにより、動脈側回路１
２と静脈側回路１３は連結され、第１図に示すよ
うな密閉回路が形成されることになる。

また例えば、シヤント接続部１７のみにチツプ
１９を装着し、シヤント接続部１６のチツプ１８
を省略して使用する場合は、チツプ１９を輸液口
３１からシヤント接続部１７と共に引き抜いて
（その間、シヤント接続部１６は外気と接しない
ようにプロテクター等で被冠しておく）、チツプ
１９にシヤント接続部１６の先端部を嵌入して前
述と同様に密閉回路１を形成することができる。

こうした後、送液ポンプ２０を駆動させて、系
路内の生理食塩水を血液回路１２、ダイヤライザ
ー１０、血液回路１３の順で循環させ、該系路内
に付着しているゴミを洗浄するとともに、モニタ
ーライン２５よりドリツプチヤンバー２４の液面
を調整しながら、系路内にかすかに存在する気泡
を除き、ドリツプチヤンバー２４に集約するもの
である。

（効果） 以上説明した本発明によれば、動脈側及び静脈
側の血液回路におけるシヤント接続部先端にチユ
ーブを着脱可能に装着し、このチツプを介して動
脈側と静脈側の回路先端部を連結して密閉系路を
形成することができるため、この密閉系路内に洗
浄液を導入した後、系路内の循環洗浄を繰り返し
行なうことができる。このため、従来の１パス洗
浄に比較して洗浄効果がアツプし、気泡除去効果
が著しく向上すると共に、生理食塩水の無駄を省
くことができる。

また輸液バツグの輸液口にシヤント接続部のチ
ツプを刺し込むだけで、バツグ内の生理食塩水を
回路内に導入することができるため、従来のよう
に、先端部に輸液針が付いた薬液誘導チユーブが
不要となり、操作も簡単となる。しかもシヤント
接続部にはチツプが装着されているため、そのシ
ヤント接続部を無菌的に保つた状態で洗浄液の誘
導及び洗浄操作を行なうことができる。

さらに、チツプ内にドリツプチヤンバーのフイ
ルターよりも小さいポアーサイズのフイルターを
設けることにより、密閉系路内に洗浄液を繰り返
し循環させる間、ドリツプチヤンバーのフイルタ
ーでは捕捉できない微小な異物を、そのチツプ内
のフイルターで捕捉することができる。

さらにまた、前記チツプを装着した両シヤント
接続部を通気性のあるコネクターで接続した状態
で滅菌することにより、両シヤント接続部を連結
した状態でガス滅菌した場合でも、そのシヤント
接続部に滅菌ガスが通気し、完全な滅菌が可能と
なる。また、両シヤント接続部はコネクターによ
つて連結されているため、滅菌済みのチツプに不
用意に触れるのを防ぐことができる。しかも両シ
ヤント接続部を連結し、動脈側回路と静脈側回路
を一本化しておくことで、包装が簡略化し、また
セツテイングの場合は一本化された回路の両端を
体液処理装置の所定の口部に接続するだけであ
り、回路が絡まつたりすることのないため、簡単
に準備作業を行なうことができる。なお、このコ
ネクターは押出し成形により安価に量産できると
いう効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る体液処理用回路の全体概
略図、第２図は本発明に係るシヤント接続部の断
面図、第３図は本発明の他の実施例を示すシヤン
ト接続部の断面図、第４図は本発明におけるシヤ
ント接続部コネクターの断面図、第５図は輪液バ
ツグにシヤント接続部を差し込むときの状態図、
第６図ａ〜ｄはいずれも本発明の使用例を説明し
た断面図、第７図、第８図、第９図はいずれも本
発明の別の実施例を示す断面図、第１０図は従来
の体液処理用回路の全体概略図、第１１図は従来
のシヤント接続部の断面図である。 図中１０はダイヤライザー、１２は動脈側血液
回路、１３は静脈側血液回路、１６，１７はシヤ
ント接続部、１８，１９はチツプ、２６はコネク
ター、３０は輸液バツグを各示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 液体を体外に導き出して処理した後、体内に
   帰還させるための回路であつて、体液導入側回路
   のシヤント接続部及び／又は体液導出側回路のシ
   ヤント接続部に着脱可能に装着されるチツプを有
   しており、該チツプの先端内径は前記シヤント接
   続部の先端に嵌入可能な径とし、先端外径は輪液
   バツグの輸液口に嵌入可能な径とすると共に、該
   チツプ先端部は、前記輸液バツグの輸液口を密封
   する薄膜を破断可能なように鋭利に形成したこと
   を特徴とする体液処理用回路。 ２ 液体を体外に導き出して処理した後、体内に
   帰還させるための回路であつて、体液導入側回路
   のシヤント接続部及び／又は体液導出側回路のシ
   ヤント接続部に着脱可能に装着されるチツプを有
   しており、該チツプの先端内径は前記シヤント接
   続部の先端に嵌入可能な径とし、先端外径は輸液
   バツグの輸液口に嵌入可能な径とすると共に、該
   チツプ先端部は、前記輸液バツグの輸液口を密封
   する薄膜を破断可能なように鋭利に形成し、かつ
   前記チツプの内部に、ドリツプチヤンバーのフイ
   ルターよりもポアーサイズが小さいフイルターを
   設けたことを特徴とする体液処理用回路。 ３ 液体を体外に導き出して処理した後、体内に
   帰還させるための回路であつて、体液導入側回路
   のシヤント接続部及び／又は体液導出側回路のシ
   ヤント接続部に着脱可能に装着されるチツプを有
   しており、該チツプの先端内径は前記シヤント接
   続部の先端に嵌入可能な径とし、先端外径は輸液
   バツグの輸液口に嵌入可能な径とすると共に、該
   チツプ先端部は、前記輸液バツグの輸液口を密封
   する薄膜を破断可能なように鋭利に形成した体液
   処理用回路を滅菌するにあたり、前記両シヤント
   部を通気性のあるコネクターで接続した状態で滅
   菌することを特徴とする体液処理用回路の滅菌方
   法。