JPS645797Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は鍵スイツチの小形化に関するものであ
る。

鍵スイツチは、鍵孔に合鍵が挿入された場合に
のみスイツチング動作が可能となるもので、キヤ
ツシユレジスタ等に多く用いられており、その構
造は次の様なものが一般的であつた。即ち、外箱
と裏蓋とから成るハウジング内に、シリンダーバ
レルを鍵孔開口面が露呈する様に回動可能に収容
するとともに、このシリンダーバレルの回動に応
動してスイツチング動作を行なう電気接点を収容
し、このシリンダーバレルにスプリングで付勢さ
れたタンブラーを摺動可能に取付け、通常時はこ
のタンブラーの先端部を外箱に設けられた係止溝
にスプリングの押圧で嵌合させてシリンダーバレ
ルの回動を規制しておき、鍵孔に差込まれる鍵に
よつてこのタンブラーをスプリングの押圧に抗し
て摺動させて、差込まれた鍵が合鍵である場合に
のみ、タンブラーがシリンダーバレル内に全て引
込まれ、その先端部と係止溝の嵌合が外れてシリ
ンダーバレルの回動規制が解かれこの規制の解か
れたシリンダーバレルを回動させて電気接点に所
望のスイツチング動作を実行させるものである。

この様な鍵スイツチのスイツチング動作には節
度を付けることが望ましい。この様な節度機構と
しては、従来次の様な構造のものが一般的であつ
た。即ち、シリンダーバレルにあけられた節度ば
ね孔に挿入されたコイルスプリングおよびこのコ
イルスプリングによつて突出方向に付勢される鋼
球で構成される節度用摺動子と、この節度用摺動
子が係合する節度溝を有して外箱の後縁部に一体
的に配置された節度カラーとによつて構成される
ものであつた。ここでこの外箱は硬質プラスチツ
クの成形品を用いるのが普通であるため、タンブ
ラーの先端部が嵌合する係止溝の部分に於て、成
形金型が抜かれる方向にそれを阻害する様なもの
を配置することは、成形金型を極めて複雑なもの
とするため得策ではない。従つて、前記節度カラ
ーの配置には厳しい制約が付けられ、そのため、
外箱の肉厚を厚くとつて、成形金型を抜く際にこ
の節度カラーが係止溝部分の邪魔にならないよう
に配慮している。しかしながら、この様に成形品
の肉厚を厚くすることは、昨今の小形化、軽量化
指向に逆行するものである。

本考案は、このような従来の問題に鑑み、節度
機構を工夫することで成形金型を単純なものとす
ることができるとともに、節度機構部分の組立が
容易化され、しかも、小型で軽量な鍵スイツチの
提供を目的とするものである。

かかる目的を達成するための本考案の要旨とす
るところは、ハウジングと、鍵孔を有しこの鍵孔
開口面を露呈させて前記ハウジング内に回動可能
に収容されたシリンダーバレルと、このシリンダ
ーバレルに摺動可能に取付けられて通常時はシリ
ンダーバレルの回動を規制し、鍵孔に合鍵が挿入
された場合にその規制を解くタンブラーと、シリ
ンダーバレルの回動に応動してスイツチング動作
を行う電気接点とを備え、前記鍵孔に合鍵が挿入
された場合にのみ電気接点にスイツチング動作さ
せることが可能となる鍵スイツチにおいて、前記
ハウジング内に設けられたシリンダーバレルとと
もに旋回される旋回部にその旋回半径方向に出入
自在に支持され、スプリングにより突出方向に附
勢された節度用摺動子を備えるとともに、前記旋
回部の外側に嵌合され、内面に前記節度用摺動子
が摺動して係合される節度溝を前記旋回部の旋回
方向に複数有するリング状をした節度ライナーを
備え、該節度ライナーを前記ハウジング内に回転
不能に収容したことを特徴としてなる鍵スイツチ
に存する。

以下図示の実施例を参照しながら詳細に説明す
る。

第１図は本考案に係る鍵スイツチの一実施例の
外観を示す斜視図、第２図および第３図はその内
部構造を示す分解縦断面図および分解横断面図で
ある。これらの各図に於て、１は外箱、２は裏
蓋、３はシリンダーバレル、４は板タンブラー、
５は接触子、６は端子電極であり、７はシリンダ
ーバレル３と一体に成形された旋回部３ａの表面
に、その旋回半径方向に出入自在に支持された節
度用摺動子を構成する鋼球、８は鋼球７を突出方
向に附勢するコイルスプリング、９は節度ライナ
ーである。

外箱１は硬質プラスチツクの成形品であり、中
心軸に沿つた段付の円筒状透孔を備えており、同
様に硬質プラスチツクの成形品である裏蓋２と共
にハウジングを形成する。この外箱１と裏蓋２と
の組付けは外箱１の組付突起１１を裏蓋２に立設
された組付片２１の窓に嵌合させることによつて
行なう。

シリンダーバレル３は前記外箱１の透孔に対応
した形状の段付円筒体であつて、軸方向に鍵を挿
入する鍵孔３１があけられている。このシリンダ
ーバレル３はその鍵孔３１が開口している端面を
外箱１の透孔より露呈させて回動可能にハウジン
グ内に収容される。このシリンダーバレル３には
鍵孔３１に直交して連通する２つのタンブラー保
持孔３２があけられており、その各々には板タン
ブラー４が収納されている。この板タンブラー４
は夫々タンブラー保持孔３２内に挿入されたコイ
ルスプリング４１によつて下方向に付勢されてお
り、定常時に於てはその先端部がシリンダーバレ
ル３の外部へ突出している。このシリンダーバレ
ル３の外部へ突出した板タンブラー４の先端部
は、外箱１の透孔壁面に刻設された係止溝１２に
嵌合しており、この両者の嵌合によつて定常時に
於けるシリンダーバレル３の回動が規制される。

シリンダーバレル３の鍵孔３１に鍵が挿入され
ると、この鍵は板タンブラー４の窓内に侵入し、
その鍵の形状に従つて板タンブラー４を摺動させ
る。ここで、挿入された鍵が合鍵である場合に
は、板タンブラー４は全て完全にシリンダーバレ
ル３内に隠れてしまう。従つて、板タンブラー４
の先端部と係止溝１２との嵌合が解かれ、シリン
ダーバレル３は回動自在となる。挿入された鍵が
合鍵でない場合には、板タンブラー４がシリンダ
ーバレル３外に残つてしまつたり、逆端が突出し
てしまつたりして、板タンブラー４の先端と係止
溝１２との嵌合が完全に解除されず、シリンダー
バレル３の回動は規制されたままとなる。

また、接触子５は弾性に富む金属薄板をドーナ
ツ状に形成したものであり、加締め加工等によつ
てシリンダーバレル３の裏面３３に固着されてい
る。この接触子５は１対の接点部５１を備えてお
り、シリンダーバレル３の回動に従つてこの接点
部５１も移動する。端子電極６は金属薄板の打抜
き折曲げ品であり、夫々電極部６１と端子部６２
とを備え、複数個用意されている。これらの端子
電極６は裏蓋２の内面２２に電極部６１の表面を
露呈させて固着され、前記接触子５の接点部５１
の移動に従つて適宜橋絡され、所望のスイツチン
グ動作を実現する様な位置に夫々配置されてい
る。ここで、接触子５は適当な位置で折曲げられ
ており、その弾性によつて接点部５１を端子電極
６の電極部６１に圧接し、所望の接触圧力を得て
いる。この鍵スイツチの電気接点はこの様に構成
されており、各電極部６１は端子部６２によつて
外部へ導出され、所望の結線が行なわれる。

鋼球７は１対用意され、シリンダーバレル３に
あけられた節度ばね孔３４内に挿入されたコイル
スプリング８とともに節度突起を構成するもので
あり、コイルスプリング８の両端に配置されて常
時外方向へ押圧されている。節度ライナー９はこ
の節度突起とともに節度機構を構成するものであ
り、硬質プラスチツクをリング状に成形したもの
である。第４図はその詳細を示す正面図及縦断面
図である。この節度ライナー９は外径が外箱１の
透孔の最大径部に対応しており、その端面には１
対の係止突起９１が設けられている。この係止突
起９１は外箱１の透孔内壁に設けられた係止凹環
１３に嵌合して回止めとして作用し、これによつ
てハウジング内に収容された節度ライナー９は回
動が阻止される。また、この節度ライナー９の内
壁面には３対の節度溝９２が設けられており、こ
の節度溝９２に前記鋼球７が嵌合する様にシリン
ダーバレル３が挿入されている。この鋼球７が各
節度溝９２の相互間を移動することで節度が生ず
る。

この鍵スイツチの組み立てに際しては、第２
図、第３図に示すようにシリンダーバレル３の節
度ばね孔３４にコイルスプリング８及び鋼球７を
挿入した状態でその節度ばね孔３４の開口部を覆
う位置に節度ライナー９を嵌合する。このように
して節度機構の組み立てを行つた後、シリンダー
バレル３に対して板タンブラー４を組み込み、シ
リンダーバレル３を外箱１に組み込む、その後裏
蓋２の外箱１の底部に当てがい、組付片２１を外
箱１の組付突起１１に係合させて組み立てを完了
する。

以上詳細に説明した如く、本考案に係る鍵スイ
ツチによれば、節度ライナーを別体として外箱か
ら独立させているため、タンブラーの先端部が嵌
合する係止溝の部分に於て成形金型が抜かれる方
向にそれを阻害する何物も無いため、外箱の肉厚
を特に厚くすることなく簡単な成形金型で成形可
能となり、製造が容易で小形化、軽量化の可能な
鍵スイツチを得ることができる。

さらに、組立作業において、コイルスプリング
に付勢させた鋼球を節度ライナーの節度溝内に嵌
合させて節度機構の組み立てをあらかじめ完了さ
せシリンダーバレルへの板タンブラーの組み込み
及びシリンダーバレルの底外箱への挿入が節度機
構の組み立てを別々に行うことができ節度機構並
びにシリンダーバレルの外箱への挿入が容易に行
い得ることとなつたものである。

以上図示の実施例に基いて詳細に説明したが、
本考案はこれにのみ限定されるものではなく、節
度ライナーの回止めを裏蓋との間に形成したも
の、あるいは係止突起と係止凹陥とによらず、節
度ライナーの外形を多角形にしたものであつても
よく、その他電気接点の構成等についても種々の
バリエーシヨンを含むものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る鍵スイツチの一実施例の
外観を示す斜視図、第２図および第３図はその分
解縦断面図および分解横断面図、第４図はこれに
用いられている節度ライナーの一例を示す正面図
および縦断面図である。 １……外箱、１２……係止溝、１３……係止凹
陥、２……裏蓋、３……シリンダーバレル、３１
……鍵孔、３２……タンブラー保持孔、３４……
節度ばね孔、４……板タンブラー、５……接触
子、５１……接点部、６……端子電極、６１……
電極部、６２……端子部、７……鋼球、８，４１
……コイルスプリング、９……節度ライナー、９
１……係止突起、９２……節度溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ハウジングと、鍵孔を有しこの鍵孔開口面を露
   呈させて前記ハウジング内に回動可能に収容され
   たシリンダーバレルと、このシリンダーバレルに
   摺動可能に取付けられて通常時はシリンダーバレ
   ルの回動を規制し、鍵孔に合鍵が挿入された場合
   にその規制を解くタンブラーと、シリンダーバレ
   ルの回動に応動してスイツチング動作を行う電気
   接点とを備え、前記鍵孔に合鍵が挿入された場合
   にのみ電気接点にスイツチング動作させることが
   可能となる鍵スイツチにおいて、前記ハウジング
   内に設けられたシリンダーバレルとともに旋回さ
   れる旋回部にその旋回半径方向に出入自在に支持
   され、スプリングにより突出方向に附勢された節
   度用摺動子を備えるとともに、前記旋回部の外側
   に嵌合され、内面に前記節度用摺動子が摺動して
   係合される節度溝を前記旋回部の旋回方向に複数
   有するリング状をした節度ライナーを備え、該節
   度ライナーを前記ハウジング内に回転不能に収容
   したことを特徴としてなる鍵スイツチ。