JPS643370Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はバツクル組立体に関する。

従来、掛金部材がタング係止位置と非係止位置
間で回動可能にバツクルベースに支持されている
バツクル組立体において、掛金部材により係止さ
れたタングがこじられるようなとき、掛金部材と
タングが掛金部材の回動中心軸に対してタングと
掛金部材の掛金部との係合位置がある側と同じ側
で接触して、掛金部材がタングから非係止位置方
向のモーメントと受け、それによりタングと掛金
部の係合代が減少、或いは場合によつては完金に
無くなつてタングが外れ易くなつたり或いは完全
に外れてしまうという恐れがあつた。

こうしたことは、乗物のシートベルト装置中に
使用されたバツクル組立体のように高い安全性を
要求されるものでは発生してはならない問題であ
る。そしてシートベルト装置中のバツクル組立体
の位置やベルト装着者の体形などによつては、上
記の如きこじり力がタングに加わる事態が生じな
いとも限らない。

従つて、本考案の目的は、タングにこうしたこ
じり力が加わつても、掛金部材にこれを非係止位
置方向にもたらすようなモーメントが加わらない
ようにして、不本意にもタングが掛金部材から外
れ易くなつたり或いは完全に外れてしまうことを
なくしたバツクル組立体を提供することである。

以下、図面に拠つて本考案の実施例を説明す
る。

第１図に斜視分解図として示すように、バツク
ル組立体は、バツクルベース１、掛金部材２、掛
金部材付勢用円錐コイルバネ３、押ボタン４、ス
ライダ５、コイルバネ６とコイルバネケース７を
含むタング弾出用スライダ組立、カバー８から成
るバツクル本体と、ウエビング挿通用孔９ａと掛
金部材咬合用孔９ｂを有するタング９とから構成
されている。

ベース１は中央平面部１０を有し、その長手方
向（本明細書中長手方向とはタング挿入・引出し
方向を言う）端部付近に、図示なきウエビングが
挿通されて固着される為の開口１１を有してい
る。ベース１の両側部には平面部１０に対してほ
ぼ直角に立上がつた側部１２，１３が形成されて
おり、これら側部１２，１３は上端部で共に内向
きの折曲り部１４，１５を形成している。側部１
２の長手方向前方（本明細書中バツクル本体にお
ける前方とはタングが挿入されてくる方を言う）
端部付近には平面部１０に底部が若干伸びた孔１
６が形成されている。孔１６との対向位置にある
側部１３の部分には、孔１６の後部が無くなつた
形状の孔１７が形成されている。孔１６，１７の
長手方向幅は掛金部材２の両側部に形成された位
置決め用耳部１８，１９を緩く受け入れるのに十
分なもので、孔１６，１７の前方枠部１６ａ，１
７ａは平面部１０に対してほぼ直角に立上がつて
おり、掛金部材２の耳部１８，１９の前端面１８
ａ，１９ａに対する支持面を提供している。概ね
長方形状の掛金部材２は、耳部１８，１９が孔１
６，１７内に納められ且つ耳部１８，１９の前端
面１８ａ，１９ａが孔１６，１７の前方枠部１６
ａ，１７ａ上に載つた状態で、平面部１０上に載
置されており（第２図）、平面部１０に形成され
た円形突部１０ａの周囲に据え置かれた円錐コイ
ルバネ３により通常上向きに付勢されている。掛
金部材２の後方中央部には上方に突起した掛金部
２０が形成され、そして掛金部２０が形成された
平面２１が前端面１８ａ，１９ａを結ぶ回動中心
軸ａの両側に及んで延在していると共に前方部に
は掛金部材２の剛性を増すための下方にやや折れ
曲つた部分２１ａが形成されている。掛金部材２
は、また、所定位置に設置された状態で、孔１
６，１７から外へ出た耳部１８，１９の後部が押
ボタン４の脚部２２，２３と接触するようになつ
ている（第２図）。こうして掛金部材２と折曲り
部１４，１５の間へタング９が挿入されて掛金部
２０と孔９ｂが咬合し得る。押ボタン４は、カバ
ー８の前方内面の支持部（不図示）のところに回
動可能に位置決めされた軸部２４の回りに回動可
能であり、それにより掛金部材２を操作する。ま
た、押ボタン４の指で押される部分と軸部２４の
の間は長手方向に伸びた架橋部２５，２６により
結合され、そうして軸部２４から指による力の加
わる所までの腕の長さを長くとり掛金部材２の操
作をより軽くするよう工夫されている。

スライダ５は、押ボタン４によるタング９解離
時にタング９をバツクル本体前方に飛び出させる
働きをするものである。スライダ５は下方かつ後
方へＬ字状に伸びた突起２７を有し、この突起２
７がコイルバネケース７の中央部長手方向溝２８
内に嵌まり込んでいる。この溝２８内には長手方
向に伸びてコイルバネ６が収容されており、上記
突起２７がコイルバネ６の前端部にも入り込んで
いることにより、スライダ５は長手方向前方に通
常付勢されている（第２図及び第４図）。こうし
たスライダ組立はベース１の平面部１０の後半部
上に載置されている。カバー８は底部の開いた箱
形をしておりベース１を上方から覆つてベース１
上に固設されている。カバー８の前面にはタング
９を挿入可能な長方形状の開口３０が形成されて
おり、後部にはベース１の孔１１の後縁部を覆う
ように伸び出たブリツジ部３１（第３図）が形成
されている。このブリツジ部３１は孔１１に挿通
されるウエビングの切断防止の役目をする。カバ
ー８の上面には、押ボタン４の指で押す部分を露
出させるための開口３２が形成されている。さら
に、カバー８の後方内面には、押ボタン４の軸部
２４をカバー８の前方内面の前述の支持部に一応
入れた状態にある押ボタン４がバツクル本体組立
ての際にカバー８から落下しないようにするため
の突起３３が形成されている。

以上の構成の実施例の作動を説明する。開口３
０を介してタング９がいまだ挿入されていない状
態では、第３図ａ，ｂの如く、掛金部材２と押ボ
タン４は上限まで回動した位置で安定しており、
スライダ５はそのストロークの長手方向最前位置
に摺動した状態で安定している。ここで、シート
ベルト装着後に開口３０からタング９を挿入する
と、タング９の先端が掛金部材２の掛金部２０に
接触してこれをバネ３の付勢力に抗して下方に回
転させる。タング９をそのまま押し込んで掛金部
２０がタング９の咬合孔９ｂに咬み合うと、掛金
部材２はバネ３の作用により再び上方に回転して
元位置に戻りタング９を係止して引出し不可能に
する。この際、スライダ５はタング９の先端に押
されてバネ６の付勢に抗しつつ後方に摺動し、タ
ング９が係止された状態ではバネ６は復元力を貯
えた状態にある。この状態が第４図に示されてい
る。ここで、掛金部材２とタング９の咬合を解い
てタング９をバツクル本体から外すために押ボタ
ン４を下方に押すと、掛金部材２はバネ３の付勢
に抗して下方に回転して掛金部２０の係止作用が
解除される（第５図）。すると同時に、スライダ
５はバネ６により前方に素早く摺動させられそう
してタング９を前方に弾き出す。

ところで第４図の係止状態において、タング９
がこじられるとき、第６図に示すようにタング９
は掛金部材２の回動中心軸ａより前方にある平面
２１上のＢ点と接触してこれに軸ａの回りに反時
計方向のモーメントを与える。このモーメントは
掛金部２０がタング９の孔９ｂとさらに咬合する
方向に働くので、従来のもののような非係止位置
方向のモーメントが働いてタング９が外れ易くな
つたりまた外れてしまうということがなくなる。

また、タング９と掛金部材２の咬合を解くため
に押ボタン４を押して掛金部材２を非係止位置方
向に回動するときも、こじれ力が働いていないよ
うな通常の係止位置においては上記Ｂ点とタング
下面とは離れているため、この回動動作によりＢ
点が多少持ち上がつてもタング９の解離に悪影響
を及ぼすような接触をタング９とすることはな
い。

上記実施例では平面２１を回動中心軸ａの両側
に及んで延在させて、掛金部材２を非係止位置方
向にもたらすようなモーメントが発生するのを防
いでいたが、このような平面の端部が回動中心軸
と一致するように掛金部材２を形成して掛金部材
にはモーメントが何れの方向にも作用しないよう
にしてもよい。このためには掛金部材を、プレス
ダレ面が生じないように、プレス抜き方向を逆に
して形成するとか、フアインブランキングで形成
する等の方法が考えられる。

更に、同じような目的を達するのにタング側に
適当な面（例えば前記実施例における掛金部材２
の折曲部分２１ａと接触するような突起面）を形
成することも考えられる。即ち、非係止位置方向
のモーメントが加わらないようにするためには、
係止状態において掛金部材とタングの接触可能部
が回動中心軸の位置又はその軸に対して掛金部材
の掛金部がある側と反対側の位置に存在するよう
に、タングと掛金部材のうち少なくとも一方に適
当な処置を施せばよい。

以上の如く本考案によれば、タングにこじり力
が加わつても掛金部材にこれを非係止位置方向に
もたらすようなモーメントが加わらないので、不
本意にタングが外れてしまうことがないバツクル
組立体が実現される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の斜視分解図、第２図
はスライダ組立が組立てられる前の実施例の状態
を示す斜視図、第３図はカバーが一部破断された
タング挿入前の実施例の平面と側面の図、第４図
は第３図の状態にある実施例の中央縦断面図、第
５図はカバーが一部破断されたタングが解離され
ようとする実施例の側面図、第６図は係止状態の
タングと掛金部材を説明する拡大図である。 主要部分の符号の説明、タング……９、カバー
……８、ベース……１、掛金部材……２、掛金部
……２０、付勢部材……３、押ボタン部材……
４、平面……２１。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 被掛止部を有するタングと； タング挿入口を有するカバーと；該カバー内
   に収容されたベースと；該タングの被係止部に
   咬合することによつて該タングを係止するため
   の掛金部を有し、該ベースにタング係止位置と
   被係止位置間で回動可能に支持された掛金部材
   と；該掛金部材をタング係止位置方向に付勢し
   ている付勢部材と；該タング係止位置にあつて
   タングを係止している掛金部材を、該付勢部材
   の付勢力に抗して、被係止位置にもたらすため
   の押ボタン部材とを有するバツクル本体とから
   成るバツクル組立体において、 該掛金部材がタングを係止しているときに、
   該タングとバツクル本体が相対的にこじられる
   ときにおいても、該掛金部材が、タング係止位
   置方向にのみ回転するか、又は回転しないよう
   に、該被係止部と掛金部以外の両者の接触可能
   部が、掛金部材の回動中心軸に対して、該被非
   係止部と掛金部の接触可能部とは反対側に位置
   するか、又は該軸と略一致した場所に位置する
   ことを特徴とするバツクル組立体。 ２ 該掛金部材は、該回動中心軸の両側に平坦面
   が延在する略平板形状であり、該掛金部は、該
   平坦面から該タング係止位置方向に突出して形
   成される突出部であることを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項に記載のバツクル組立
   体。