JPS643001Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、車高調整も可能なばね定数可変型ダ
ンパーに関する。

シリンダ外周にクツシヨンスプリングを配して
成る車両用ダンパーにあつては、クツシヨンスプ
リングのばね定数は一定不変であつた。

そこで、通常走行時には車両の乗心地性を高く
保ち、ブレーキング時、或いは旋回時には走行安
定性を高く保つことができるよう適ばね定数を変
えることができる所謂ばね定数可変型が提案され
るが、この種ダンパーに更に車高調整機構を付加
すれば、該ダンパーの実用的価値が更に高まるこ
とが期待される。

本考案は斯かる観点に立つて成されたもので、
その目的とする処は、車高調整をも可能とするば
ね定数可変型ダンパーを提供するにある。

斯かる目的を達成すべく本考案は、シリンダ外
周に配されるクツシヨンスプリングの一端を支持
するスプリングシートを油圧シリンダユニツトに
上下動自在に保持せしめ、該油圧シリンダユニツ
トを連通路を介してダンパー本体とは別設される
ばね室の油室に連通し、該油室にはばね室に摺動
自在に保持されるロツドの一端を臨ませ、該ロツ
ドの他端にはばね室内に収納されるクツシヨンス
プリングの一端を結着して成るばね定数可変型ダ
ンパーにおいて、前記ばね室内に収納されるクツ
シヨンスプリングのセツト長さを変えるばね荷重
調整機構を設けたことをその特徴とする。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて説明する。

第１図は本考案に係るばね定数可変型ダンパー
の破断側面図、第２図は同ダンパーの特性線図で
ある。

第１図に示すダンパーにおいて、１はダンパー
本体を構成し、該ダンパー本体１において、２は
シリンダであり、これの内部には図示の如くピス
トンロツド３が上方より挿入され、このピストン
ロツド３の下端にはシリンダ２内周に上下摺動自
在に嵌合する不図示のピストンが結着されてい
る。尚、このピストンには減衰力を発生するバル
ブ機構が設けられ、シリンダ２内には作動油が封
入されている。

上記ピストンロツド３の上端部は図示の如く上
下のマウントラバー４，５にて挾持されたブラケ
ツト６を介して車両車体側に連結支持されてい
る。そして、このピストンロツド３の前記マウン
トラバー５の下方には下方が開口するカバー７が
ピストンロツド３及びシリンダ２外周を被うべく
結着されている。尚、図中８はストツパラバーで
ある。

又前記シリンダ２の下部外周にはスプリングシ
ート９が結着されており、該スプリングシート９
と前記カバー７外周側に配されるリング状のスプ
リングシート１０間には図示の如くクツシヨンス
プリング１１が張架されている。そして、上記ス
プリングシート１０はピストンロツド３の上端部
に結着された複数の油圧シリンダユニツト２０…
の下方に延出するピストンロツド２１…の下端に
結着されている。

上記各油圧シリンダユニツト２０は１つの共通
のリング状油室S₁に連通するシリンダ２２と、該
シリンダ２２内に上下摺動自在に嵌合する前記ピ
ストンロツド２１とで構成される。そして、上記
油室S₁はダンパー本体１とは別設されるばね室３
０の上部に形成される油室S₂に連通路１２を介し
て相連通している。

上記ばね室３０は下方が開口するケーシング３
１と、該ケーシング３１の下部外周に上下動自在
に螺合し、ロツクナツト３２にて固定される蓋部
材３３とで構成され、これの内部は蓋部材３３に
穿設された通気孔３３ａ…を介して大気に連通し
ている。そして、このばね室３０のケーシング３
１の中央には図示の如くロツド３４が上下摺動自
在、且つ気密に挿通保持されており、該ロツド３
４の上端部は前記油室S₂内に臨み、又これの下端
にはスプリングシート３５がナツト３６にて結着
されており、該スプリングシート３５と蓋部材３
３間には図示の如くクツシヨンスプリング３７が
張架されている。

ところで、ばね室３０の上部には両油室S₁，S₂
の連通を適宜遮断すべき開閉弁たるスプール弁４
０が設けられており、該スプール弁４０はバルブ
ケース４１と、該バルブケース４１内の連通路４
２を開閉すべきスプール４３及び該スプール４３
を駆動すべきソレノイド等のアクチユエータ４４
とで構成される。

次に本ばね定数可変型ダンパーの作用を説明す
る。

通常走行時はスプール弁４０は図示の如く開い
ており、従つて、油室S₁とS₂とは相連通してい
る。

而して路面起伏に追従してシリンダ２とピスト
ンロツド３とが相対伸縮動を繰り返せば、クツシ
ヨンスプリング１１は伸縮し、この伸縮動に伴い
発生するばね力は油圧シリンダユニツト２０…の
ピストンロツド２１…、油室S₁、連通路１２及び
油室S₂内の油、ロツド３４及びスプリングシート
３５を介してクツシヨンスプリング３７に伝えら
れ、該クツシヨンスプリング３７も伸縮する。こ
の結果、この場合のダンパーのばね定数は両クツ
シヨンスプリング１１，３７のばね定数を合成し
た値を示し、このときのばね荷重Ｗとダンパース
トロークＳとの関係は例えば第２図中、直線Ｅに
て与えられ、ダンパーは比較的ソフトなばね特性
を示すため、この通常走行時の乗心地性は比較的
良好なものとなる。

次に車両のブレーキング、或いは旋回時におい
て、アクチユエータ４４にてスプール４３を駆動
し、スプール弁４０を閉じれば、両油室S₁とS₂と
の連通は断たれ、この結果、油圧シリンダユニツ
ト２０…の各ピストンロツド２１はロツクされ、
従つてスプリングシート１０はその時点で固定さ
れ、一方のクツシヨンスプリング１１のみが伸縮
し、他方のクツシヨンスプリング３７は機能しな
い。この結果、ダンパーのばね定数はクツシヨン
スプリング１１のばね定数に等しくなり、ここ
で、第１図の油圧シリンダユニツト２０をスプリ
ングと考え、油圧シリンダユニツト２０のピスト
ンロツド２１のストロークにおいて、ピストンロ
ツド２１が伸び切り状態すなわちダンパーのフル
リバウンド状態をａ点とし、また逆にピストンロ
ツド２１が最圧縮した状態すなわちダンパーのフ
ルバンプ状態をｄ点とする。またその間の任意の
位置をｂ，ｃ点とする。すると、第２図において
点ａ，ｂ，ｃ，ｄでロツクしたとき、夫々のばね
特性は夫々直線Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄにて示され、特に
油圧シリンダユニツトの最大伸び切り状態ａ点、
即ちダンパーのフルリバウンド近傍でロツクさせ
れば、ばね荷重を高く保つことができ、ブレーキ
ング、或いは旋回時の車両の走行安定性を高く保
つことができるとともに、ダンパーのエネルギ吸
収能を高めることができる。

以上において、ロツクナツト３２を弛めてケー
シング３１の下部外周に螺合する蓋部材３３を回
わしてこれを上方へ移動させれば、クツシヨンス
プリング３７は圧縮されてそのばね荷重が高めら
れ、この反動でロツド３４は上動する。そして、
ロツド３４が上動すれば、油室S₂内の油の一部は
連通路１２を通つて油室S₁内に流入し、この結
果、各油圧シリンダユニツト２０のシリンダ２２
は上動し、ブラケツト６を介してピストンロツド
３を押し上げるため、車体の車高は高く調整され
る。

逆に蓋部材３３を逆転させてこれを下動させれ
ば、車高は低く調整される。

第３図は本考案の変更実施例を示すばね室部の
破断側面図である。

本変更実施例においては、図示の如くばね室１
３０内にピストン１３８が上下摺動自在に嵌装さ
れており、該ピストン１３８からは下方にピスト
ンロツド１３９がケーシング１３１を貫通して一
体に延出している。そして、ばね室１３０内はピ
ストン１３９にて区画される油室S₃が形成され、
該油室S₃にはオイルポンプ１５１がパイプ１５２
を介して連通している。又パイプ１５２からは別
のパイプ１５３が分岐してオイルタンク１５０に
導入されており、該パイプ１５３の中間には図示
の如く開閉弁１５４が介設されている。尚、ピス
トン１３８の上面はクツシヨンスプリング１３７
の下端を支持している。

而して開閉弁１５４を閉じた状態でオイルポン
プ１５１を駆動し、油室S₃内に圧油を供給すれ
ば、ピストン１３８は上動し、前記同様にして車
高は高く調整され、又開閉弁１５４を開ければ、
油室S₃内の油は開閉弁１５４を通つてタンク１５
０内に戻り、これによりピストン１３８は下動し
て車高は低く調整される。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、ば
ね定数可変型ダンパーに車高調整機能をも付与す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るばね定数可変型ダンパー
の破断側面図、第２図は同ダンパーの特性線図、
第３図は変更実施例に係るばね室部の破断側面図
である。 尚、図面中、１はダンパー本体、２はシリン
ダ、３はピストンロツド、９，１０，３５はスプ
リングシート、１１，３７，１３７はクツシヨン
スプリング、２０は油圧シリンダユニツト、３
０，１３０はばね室、３１はケーシング、３３は
蓋部材、４０はスプール弁、５０，１５０はオイ
ルタンク、５１，１５１はオイルポンプ、５４，
１５４は開閉弁、S₁，S₂，S₃は油室である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) シリンダ外周に配されるクツシヨンスプリン
   グの一端を支持するスプリングシートを油圧シ
   リンダユニツトに上下動自在に保持せしめ、該
   油圧シリンダユニツトを連通路を介してダンパ
   ー本体とは別設されるばね室の油室に連通し、
   該油室にはばね室に摺動自在に保持されるロツ
   ドの一端を臨ませ、該ロツドの他端にはばね室
   内に収納されるクツシヨンスプリングの一端を
   結着して成るばね定数可変型ダンパーにおい
   て、前記ばね室内に収納されるクツシヨンスプ
   リングのセツト長さを変えるばね荷重調整機構
   を設けたことを特徴とするばね定数可変型ダン
   パー。 (2) 前記ばね荷重調整機構は、前記ばね室に進退
   自在に蓋部材を螺合し、該蓋部材にばね室内に
   収納されるクツシヨンスプリングの一端を支持
   せしめて構成されることを特徴とする前記実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のばね定数可変
   型ダンパー。 (3) 前記ばね荷重調整機構は、前記ばね室内にピ
   ストンを摺動自在に嵌装し、該ピストンにばね
   室内に収納される前記クツシヨンスプリングの
   一端を支持せしめるとともに、ばね室内の上記
   ピストンで区画される油室にオイルポンプ及び
   開閉弁を連通せしめて構成されることを特徴と
   する前記実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   ばね定数可変型ダンパー。