JPS641955Y2 - - Google Patents
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- JPS641955Y2 JPS641955Y2 JP13737384U JP13737384U JPS641955Y2 JP S641955 Y2 JPS641955 Y2 JP S641955Y2 JP 13737384 U JP13737384 U JP 13737384U JP 13737384 U JP13737384 U JP 13737384U JP S641955 Y2 JPS641955 Y2 JP S641955Y2
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Landscapes
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Description
(産業上の利用分野)
本考案は、ガス窒化処理により表面硬化した焼
戻しマルテンサイト系ステンレス鋼製ピストンリ
ング(鋼製組合せオイルリングのサイドレールを
含む)に関するもので、耐摩耗性、耐焼付性を向
上し、更に充分な耐久性を持たせてものである。 (従来の技術) 内燃機関の最近の動向は、益々高出力化を指向
し、併せて軽量化を計り燃費の向上を実現すべく
関発努力が続けられている。エンジンの機能部品
であるピストンリングは前記観点から形状の面で
は厚さをできる限り薄くするようになつてきてい
る。又、材質面ではFC−25相当材からダクタイ
ル鋳鉄、更にはステンレス鋼へと変革してきた
が、これはピストンリングの厚さを薄くする為に
耐折損性を向上させることによる。更に高負荷化
と共に排気ガス規制の強化によりシリンダ内の腐
食性雰囲気が悪化し、潤滑油の劣化が加速される
ことによつてピストンリングの上下面の摩耗が激
化する。摺動面についても通常ステンレス鋼製ピ
ストンリングの摺動面は硬質Crめつきと施すか、
あるいはモリブデン等の金属をプラズマ溶射する
等の方法で耐摩耗性を賦与しているが、最近の高
荷重エンジンではこれらの方法では耐焼付、耐摩
耗の点で満足が得られなくなつてきている。 (考案が解決しようとする問題点) 上記の動向の中で、耐食性に優れ機械的性質の
良好なステンレス鋼製ピストンリングの表面に軟
窒化処理を施した新しいピストンリングが開発さ
れ、特開昭57−203848、実開昭58−120848、実開
昭58−163653等として公開されているが、これは
いわゆるタフトライド処理と言われる塩浴軟窒化
法によるもので、開発当初は良好な運転結果を示
したが耐久性の面で充分でなく更に改善の要があ
る。 窒化処理による硬化法は、従来より多数の工業
製品に広く応用されているが、窒化処理にも種々
の方法があり、各製品の特性に適合した方法が選
択されている。 窒化法はおおむね窒化と軟窒化に区別すること
が出来、更に窒化はガス窒化とイオン窒化に、軟
窒化はガス軟窒化、塩浴軟窒化、イオン軟窒化に
それぞれ分けられ、これらの区別はほぼプロセス
並びに処理薬品の差による。即ち、窒化処理は
NH3ガス単独又はNH3ガスとN2ガスの混合ガス
で処理するのに対し、軟窒化処理はNH3+Rxガ
スもしくはCNO浴で処理する。従つて、窒化処
理ではNのみが拡散して窒化物を形成するのに対
し、軟窒化処理の場合はNを主体にC,Oも同時
に拡散し生成する化合物が異なるので、窒化と軟
窒化は基本的に相違する。 即ち、処理する雰囲気から言えば、軟窒化法は
Nポテンシヤルが高い為拡散層の形容が容易で、
全ての鋼種を硬化でき、初期の硬化速度は高い
が、表面に形成したN濃度の高い酸化物層及び白
層の形成により、一定厚さに達すると、N濃度の
高い酸化物層及び白層が障壁となり窒化の進行が
急激に低下する。従つて、厚く硬い均質な拡散層
を得ることができない。つまり、厚くする為に長
時間処理すると拡散層の硬さは軟化しかつ最表面
に高硬度で脆いポーラス状の酸化物層及び白層が
増大して脆くなるので摺動部材として好ましくな
い。酸化物層及び白層は窒素濃度が高いために非
常に硬く且つ脆いので、このまま摺動面として使
用すると摺動により脱落し摩耗粉となり、相手材
を含めて異常摩耗を誘発するので、除去する必要
があり、軟窒化の特性である酸化物層及び白層を
形成しやすく表面がポーラス化しやすい特性はピ
ストンリングを表面硬化する上で製造上、品質特
性上好ましくない要素を合わせ持つている。 窒化層についてミクロ的に観察すると、最表面
はポーラス状の酸化物層並びに光学的顕微鏡下で
白くみえるいわゆる白層である。そして白層に続
いて拡散層がある。白層と拡散層には鉄、Cr等
が窒素と化合した化合物が存在するが、表面から
順次ζ−Fe2、N、ε−Fe2−3N、γ−Fe4Nとい
うように窒素が内部に拡散して窒素濃度が薄くな
る。Fe2NやFe3Nは硬度が高く脆いので摺動表面
として適さない。 マルテンサイト系ステンレス鋼を塩浴軟窒化処
理した場合、実質的な拡散層の厚さは5〜60μm
であり、かつ軟窒化による拡散層は後述するガス
窒化による拡散層に比べて格段に耐摩耗性に劣る
ため、ピストンリングに適用しても耐久性の点で
劣る結果となる。 これらの軟窒化法による欠点を改善するため
種々の窒化処理テストをした結果、ガス窒化法に
よる硬化層はポーラス状の酸化物層及び白層が
10μm以下と薄く除去加工が容易で、化合物を混
合した安定的な拡散硬化層を得ることができた。
ガス窒化法はNポテンシヤルが低いためポーラス
状の酸化物層及び白層は発生しにくく結果として
高硬度な硬化層を生成しない。 ガス窒化処理では拡散層に炭素は存在しない
が、軟窒化の場合は窒素と共に炭素も同時に拡散
して炭窒化物を生成している。ガス窒化による拡
散層には炭素、酸素は存在せず、その主成分はク
ロム、鉄、窒素の化合物であり、Cr4N,Fe4Nと
推定できる。これに反して、塩浴軟窒化による拡
散層には炭素、酸素が明確に存在し、又窒素濃度
は表層から20μm迄は高いが、それ以上の拡散層
では漸次希薄となる。 従つて、窒化処理の方法によつて、生成した窒
化層の成分は明らかに異なり、後述するようにガ
ス窒化による拡散層と軟窒化による拡散層の耐摩
耗性は異なる結果をもたらす。 第1表は窒化処理方法の特徴を比較した表であ
る。
戻しマルテンサイト系ステンレス鋼製ピストンリ
ング(鋼製組合せオイルリングのサイドレールを
含む)に関するもので、耐摩耗性、耐焼付性を向
上し、更に充分な耐久性を持たせてものである。 (従来の技術) 内燃機関の最近の動向は、益々高出力化を指向
し、併せて軽量化を計り燃費の向上を実現すべく
関発努力が続けられている。エンジンの機能部品
であるピストンリングは前記観点から形状の面で
は厚さをできる限り薄くするようになつてきてい
る。又、材質面ではFC−25相当材からダクタイ
ル鋳鉄、更にはステンレス鋼へと変革してきた
が、これはピストンリングの厚さを薄くする為に
耐折損性を向上させることによる。更に高負荷化
と共に排気ガス規制の強化によりシリンダ内の腐
食性雰囲気が悪化し、潤滑油の劣化が加速される
ことによつてピストンリングの上下面の摩耗が激
化する。摺動面についても通常ステンレス鋼製ピ
ストンリングの摺動面は硬質Crめつきと施すか、
あるいはモリブデン等の金属をプラズマ溶射する
等の方法で耐摩耗性を賦与しているが、最近の高
荷重エンジンではこれらの方法では耐焼付、耐摩
耗の点で満足が得られなくなつてきている。 (考案が解決しようとする問題点) 上記の動向の中で、耐食性に優れ機械的性質の
良好なステンレス鋼製ピストンリングの表面に軟
窒化処理を施した新しいピストンリングが開発さ
れ、特開昭57−203848、実開昭58−120848、実開
昭58−163653等として公開されているが、これは
いわゆるタフトライド処理と言われる塩浴軟窒化
法によるもので、開発当初は良好な運転結果を示
したが耐久性の面で充分でなく更に改善の要があ
る。 窒化処理による硬化法は、従来より多数の工業
製品に広く応用されているが、窒化処理にも種々
の方法があり、各製品の特性に適合した方法が選
択されている。 窒化法はおおむね窒化と軟窒化に区別すること
が出来、更に窒化はガス窒化とイオン窒化に、軟
窒化はガス軟窒化、塩浴軟窒化、イオン軟窒化に
それぞれ分けられ、これらの区別はほぼプロセス
並びに処理薬品の差による。即ち、窒化処理は
NH3ガス単独又はNH3ガスとN2ガスの混合ガス
で処理するのに対し、軟窒化処理はNH3+Rxガ
スもしくはCNO浴で処理する。従つて、窒化処
理ではNのみが拡散して窒化物を形成するのに対
し、軟窒化処理の場合はNを主体にC,Oも同時
に拡散し生成する化合物が異なるので、窒化と軟
窒化は基本的に相違する。 即ち、処理する雰囲気から言えば、軟窒化法は
Nポテンシヤルが高い為拡散層の形容が容易で、
全ての鋼種を硬化でき、初期の硬化速度は高い
が、表面に形成したN濃度の高い酸化物層及び白
層の形成により、一定厚さに達すると、N濃度の
高い酸化物層及び白層が障壁となり窒化の進行が
急激に低下する。従つて、厚く硬い均質な拡散層
を得ることができない。つまり、厚くする為に長
時間処理すると拡散層の硬さは軟化しかつ最表面
に高硬度で脆いポーラス状の酸化物層及び白層が
増大して脆くなるので摺動部材として好ましくな
い。酸化物層及び白層は窒素濃度が高いために非
常に硬く且つ脆いので、このまま摺動面として使
用すると摺動により脱落し摩耗粉となり、相手材
を含めて異常摩耗を誘発するので、除去する必要
があり、軟窒化の特性である酸化物層及び白層を
形成しやすく表面がポーラス化しやすい特性はピ
ストンリングを表面硬化する上で製造上、品質特
性上好ましくない要素を合わせ持つている。 窒化層についてミクロ的に観察すると、最表面
はポーラス状の酸化物層並びに光学的顕微鏡下で
白くみえるいわゆる白層である。そして白層に続
いて拡散層がある。白層と拡散層には鉄、Cr等
が窒素と化合した化合物が存在するが、表面から
順次ζ−Fe2、N、ε−Fe2−3N、γ−Fe4Nとい
うように窒素が内部に拡散して窒素濃度が薄くな
る。Fe2NやFe3Nは硬度が高く脆いので摺動表面
として適さない。 マルテンサイト系ステンレス鋼を塩浴軟窒化処
理した場合、実質的な拡散層の厚さは5〜60μm
であり、かつ軟窒化による拡散層は後述するガス
窒化による拡散層に比べて格段に耐摩耗性に劣る
ため、ピストンリングに適用しても耐久性の点で
劣る結果となる。 これらの軟窒化法による欠点を改善するため
種々の窒化処理テストをした結果、ガス窒化法に
よる硬化層はポーラス状の酸化物層及び白層が
10μm以下と薄く除去加工が容易で、化合物を混
合した安定的な拡散硬化層を得ることができた。
ガス窒化法はNポテンシヤルが低いためポーラス
状の酸化物層及び白層は発生しにくく結果として
高硬度な硬化層を生成しない。 ガス窒化処理では拡散層に炭素は存在しない
が、軟窒化の場合は窒素と共に炭素も同時に拡散
して炭窒化物を生成している。ガス窒化による拡
散層には炭素、酸素は存在せず、その主成分はク
ロム、鉄、窒素の化合物であり、Cr4N,Fe4Nと
推定できる。これに反して、塩浴軟窒化による拡
散層には炭素、酸素が明確に存在し、又窒素濃度
は表層から20μm迄は高いが、それ以上の拡散層
では漸次希薄となる。 従つて、窒化処理の方法によつて、生成した窒
化層の成分は明らかに異なり、後述するようにガ
ス窒化による拡散層と軟窒化による拡散層の耐摩
耗性は異なる結果をもたらす。 第1表は窒化処理方法の特徴を比較した表であ
る。
【表】
【表】
本考案は、以上の点に鑑みてなされたもので、
耐摩耗性、耐焼付性を向上し、さらに充分な耐久
性を有する鋼製ピストンリングを提供することを
目的とする。 (問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するための本考案の構成は、焼
戻しマルテンサイト系ステンレス鋼からなるピス
トンリングの表面にガス窒化層を形成し、少なく
とも摺動面のガス窒化層は硬度Hv700以上の拡散
層を露出していることを特徴とする。 SUS系の材質であつてもフエライト系の材料
は耐力や引張強さ等の機械的性質が劣り、ピスト
ンリング材としての機能に欠ける。又、オーステ
ナイト系材料は機械的強度及び耐摩耗性に劣り熱
膨脹係数が大のためピストンリング材として適さ
ず、窒化するとNiの作用により窒化の速度が遅
く充分な窒化層が得られない。 又、表面酸化物層及び白層は硬くて脆いので除
去する。 硬度は耐摩耗、耐焼付性の点でHv700以上が有
効である。 (実施例) 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。 第1図は鋼製コンプレツシヨンリングの断面図
で、リング表面にガス窒化処理により窒化層を形
成し、摺動面と上下面は最表面の酸化物層及び白
層を除去して拡散層を露出したものである。即
ち、1はリング母材、2は拡散層、3は酸化物層
及び白層である。 第2図は鋼製オイルリングのサイドレールの断
面図で、リング表面にガス窒化処理により窒化層
を形成し、摺動面は最表面の酸化物層及び白層を
除去して拡散層を露出したものである。即ち、1
はリング母材、2は拡散層、3は酸化物層及び白
層である。 次に耐摩耗テスト及び耐焼付テストについて説
明する。 第3図はガス窒化品の硬度と耐摩耗、耐焼付性
を示す図である。第3図においては、非処理品及
びCrめつき品を比較例として示した。 第4図はガス窒化品、軟窒化品(タフトライ
ド)、Crめつき品の耐摩耗性及び耐焼付性を比較
した図である。 第5図はガス窒化品と軟窒化品(タフトライ
ド)の窒化深さと硬度の関係を示す図である。 試験片(ピン)の材質はSUS420J2相当材で、
ピストンリング材として使用されているものであ
る。ガス窒化処理は内径950φmm、深さ1600mmの
SUS304ステンレス鋼製ポツトを有するピツト型
電気炉を使用し、NH3ガスを150l/minで供給
し、560℃で5Hrおよび20Hr窒化処理した。試験
片32ケの内26ケは処理時間5Hr,6ケを20Hrと
し、、表面あらさを0.2μm以下に研削し仕上げた
が、処理時間5Hrのものの内8ケは30μm、5ケ
は80μm、5ケは120μm、20Hrのものの内3ケは
30μm更に研削した。塩浴軟窒化処理は内径500φ
mm、深さ800mmの鉄製ポツトにKCNO−KCN−
Na2CO3系の塩浴剤を入れ、580℃に加熱し、試
験片6ケを浸漬して5Hr処理した、処理後0.2μm
以下の表面あらさに研磨加工したが、内3本は更
に30μm研削した。硬質Crめつきは珪弗化浴で55
℃、50A/dm2の条件で約150μmの厚さにめつき
した後、0.2μm以下の表面あらさに仕上げた。 ガス窒化では表面の酸化物層及び白層の厚さは
10μm以下であるが、塩浴軟窒化では約20μmの
厚さとなる。そして、塩浴軟窒化では厚さが約
60μmまでは使用上問題はない拡散層を得ること
ができるが、それ以上厚くすると前述のように拡
散層の硬低下が大きくなつてしまう。これに対し
て、ガス窒化では処理時間5Hrで90μm、20Hrで
150μmの厚さまで使用上問題ない拡散層を得る
ことができる。 試験片は、往復動摩耗試験機により摩耗テスト
および耐焼付テストを実施した。摩耗テスト条件
は荷重10Kg、摺動速度600cm/min、時間30分、
潤滑油日石ハイデイーゼルS3−10Wとした。又
耐焼付テストは初期荷重10Kgとし、2Kg/minで
段階的に荷重をステツプアツプした。摺動速度を
100cm/min、潤滑油軽油相当油とした。なお、
相手材はいずれもFC25材とした。 第3図にみられる如く、120μm研削した試料
は摩耗が多く、焼付限界荷重も低い。しかし80μ
m以下の研削試料は摩耗、焼付共に良好であつ
た。即ち、硬化層がHv700以上であれば耐摩耗性
および耐焼付性共に非処理及びCrめつき品に比
較して格段に優れていることがわかる。尚、処理
前の硬さがHv約450に対して、ガス窒化処理し
120μm研削した試料のHvは約400と低下し、この
軟化部の特性は耐摩耗性が悪く、窒化処理を実施
するには充分な硬化層厚さを必要とする。 次に、第4図における如く、耐焼付性について
はガス窒化、塩浴軟窒化共に硬質Crめつきより
良好で、窒化品相互に差はない。しかし、自身の
摩耗はガス窒化が0.6μmで、各試料共に安定して
いるのに対し、軟窒化は4〜5μmと約8倍の摩
耗を示し硬質Crめつきと大差なく、耐摩耗性に
おいてはガス窒化品が格段に優れていた。 従つて、有効な厚窒化ができず、更に耐摩耗性
の点で劣る軟窒化では耐久性の点で問題がある
が、有効な厚窒化が可能で耐摩耗性に優れるガス
窒化によれば耐摩耗性、耐焼付性に優れると共
に、充分な耐久性を有する鋼製ピストンリングを
提供できる。 硬度範囲は第3図および第4図のテスト結果よ
りHv700〜1100が有効である。 又、ガス窒化の場合の表面ポーラス状酸化物層
および白層の厚さは10μm以下、通常は約5μmで
あり、この層は硬く且つ脆いので使用前に除去し
なければならないことは既に述べた通りである。 拡散層の厚さは、耐久性の面で厚い方がよい
が、10万Km以上の走行には30μm以上の拡散層
の厚さが必要である。 今回の供試材料はSUS420J2相当材を使用した
が、この材料はJISで規定しているSUS420J2に
Moを重量%で0.70〜1.25%添加した焼戻しマル
テンサイト系のピストンリング材である。供試材
の成分は重量%でC0.66%、Si0.33%、Mn0.34%、
P0.023%、P0.006%、Cr13.51%、Mo0.71%であ
つた。 一方鋼製組合せオイルリングのサイドレールに
は、SUS440B材にやはり重量%でMoを0.70〜
1.00%、Vを0.05〜1.00%添加した焼戻しマルテ
ンサイト系ステンレス鋼等が使用されている。
Cr,Mo,V等の成分は窒化特性に作用する元素
であり、硬度や拡散層深さを調節する機能を持
つ。 (考案の効果) 以上説明したように、本考案の鋼製ピストンリ
ングは、焼戻しマルテンサイト系ステンレス鋼か
らなるピストンリングの表面にガス窒化層を形成
し、少なくとも摺動面のガス窒化層は硬度Hv700
以上の拡散層を露出しているので、耐摩耗性、耐
焼付性に優れると共に充分な耐久性を有するもの
である。
耐摩耗性、耐焼付性を向上し、さらに充分な耐久
性を有する鋼製ピストンリングを提供することを
目的とする。 (問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するための本考案の構成は、焼
戻しマルテンサイト系ステンレス鋼からなるピス
トンリングの表面にガス窒化層を形成し、少なく
とも摺動面のガス窒化層は硬度Hv700以上の拡散
層を露出していることを特徴とする。 SUS系の材質であつてもフエライト系の材料
は耐力や引張強さ等の機械的性質が劣り、ピスト
ンリング材としての機能に欠ける。又、オーステ
ナイト系材料は機械的強度及び耐摩耗性に劣り熱
膨脹係数が大のためピストンリング材として適さ
ず、窒化するとNiの作用により窒化の速度が遅
く充分な窒化層が得られない。 又、表面酸化物層及び白層は硬くて脆いので除
去する。 硬度は耐摩耗、耐焼付性の点でHv700以上が有
効である。 (実施例) 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。 第1図は鋼製コンプレツシヨンリングの断面図
で、リング表面にガス窒化処理により窒化層を形
成し、摺動面と上下面は最表面の酸化物層及び白
層を除去して拡散層を露出したものである。即
ち、1はリング母材、2は拡散層、3は酸化物層
及び白層である。 第2図は鋼製オイルリングのサイドレールの断
面図で、リング表面にガス窒化処理により窒化層
を形成し、摺動面は最表面の酸化物層及び白層を
除去して拡散層を露出したものである。即ち、1
はリング母材、2は拡散層、3は酸化物層及び白
層である。 次に耐摩耗テスト及び耐焼付テストについて説
明する。 第3図はガス窒化品の硬度と耐摩耗、耐焼付性
を示す図である。第3図においては、非処理品及
びCrめつき品を比較例として示した。 第4図はガス窒化品、軟窒化品(タフトライ
ド)、Crめつき品の耐摩耗性及び耐焼付性を比較
した図である。 第5図はガス窒化品と軟窒化品(タフトライ
ド)の窒化深さと硬度の関係を示す図である。 試験片(ピン)の材質はSUS420J2相当材で、
ピストンリング材として使用されているものであ
る。ガス窒化処理は内径950φmm、深さ1600mmの
SUS304ステンレス鋼製ポツトを有するピツト型
電気炉を使用し、NH3ガスを150l/minで供給
し、560℃で5Hrおよび20Hr窒化処理した。試験
片32ケの内26ケは処理時間5Hr,6ケを20Hrと
し、、表面あらさを0.2μm以下に研削し仕上げた
が、処理時間5Hrのものの内8ケは30μm、5ケ
は80μm、5ケは120μm、20Hrのものの内3ケは
30μm更に研削した。塩浴軟窒化処理は内径500φ
mm、深さ800mmの鉄製ポツトにKCNO−KCN−
Na2CO3系の塩浴剤を入れ、580℃に加熱し、試
験片6ケを浸漬して5Hr処理した、処理後0.2μm
以下の表面あらさに研磨加工したが、内3本は更
に30μm研削した。硬質Crめつきは珪弗化浴で55
℃、50A/dm2の条件で約150μmの厚さにめつき
した後、0.2μm以下の表面あらさに仕上げた。 ガス窒化では表面の酸化物層及び白層の厚さは
10μm以下であるが、塩浴軟窒化では約20μmの
厚さとなる。そして、塩浴軟窒化では厚さが約
60μmまでは使用上問題はない拡散層を得ること
ができるが、それ以上厚くすると前述のように拡
散層の硬低下が大きくなつてしまう。これに対し
て、ガス窒化では処理時間5Hrで90μm、20Hrで
150μmの厚さまで使用上問題ない拡散層を得る
ことができる。 試験片は、往復動摩耗試験機により摩耗テスト
および耐焼付テストを実施した。摩耗テスト条件
は荷重10Kg、摺動速度600cm/min、時間30分、
潤滑油日石ハイデイーゼルS3−10Wとした。又
耐焼付テストは初期荷重10Kgとし、2Kg/minで
段階的に荷重をステツプアツプした。摺動速度を
100cm/min、潤滑油軽油相当油とした。なお、
相手材はいずれもFC25材とした。 第3図にみられる如く、120μm研削した試料
は摩耗が多く、焼付限界荷重も低い。しかし80μ
m以下の研削試料は摩耗、焼付共に良好であつ
た。即ち、硬化層がHv700以上であれば耐摩耗性
および耐焼付性共に非処理及びCrめつき品に比
較して格段に優れていることがわかる。尚、処理
前の硬さがHv約450に対して、ガス窒化処理し
120μm研削した試料のHvは約400と低下し、この
軟化部の特性は耐摩耗性が悪く、窒化処理を実施
するには充分な硬化層厚さを必要とする。 次に、第4図における如く、耐焼付性について
はガス窒化、塩浴軟窒化共に硬質Crめつきより
良好で、窒化品相互に差はない。しかし、自身の
摩耗はガス窒化が0.6μmで、各試料共に安定して
いるのに対し、軟窒化は4〜5μmと約8倍の摩
耗を示し硬質Crめつきと大差なく、耐摩耗性に
おいてはガス窒化品が格段に優れていた。 従つて、有効な厚窒化ができず、更に耐摩耗性
の点で劣る軟窒化では耐久性の点で問題がある
が、有効な厚窒化が可能で耐摩耗性に優れるガス
窒化によれば耐摩耗性、耐焼付性に優れると共
に、充分な耐久性を有する鋼製ピストンリングを
提供できる。 硬度範囲は第3図および第4図のテスト結果よ
りHv700〜1100が有効である。 又、ガス窒化の場合の表面ポーラス状酸化物層
および白層の厚さは10μm以下、通常は約5μmで
あり、この層は硬く且つ脆いので使用前に除去し
なければならないことは既に述べた通りである。 拡散層の厚さは、耐久性の面で厚い方がよい
が、10万Km以上の走行には30μm以上の拡散層
の厚さが必要である。 今回の供試材料はSUS420J2相当材を使用した
が、この材料はJISで規定しているSUS420J2に
Moを重量%で0.70〜1.25%添加した焼戻しマル
テンサイト系のピストンリング材である。供試材
の成分は重量%でC0.66%、Si0.33%、Mn0.34%、
P0.023%、P0.006%、Cr13.51%、Mo0.71%であ
つた。 一方鋼製組合せオイルリングのサイドレールに
は、SUS440B材にやはり重量%でMoを0.70〜
1.00%、Vを0.05〜1.00%添加した焼戻しマルテ
ンサイト系ステンレス鋼等が使用されている。
Cr,Mo,V等の成分は窒化特性に作用する元素
であり、硬度や拡散層深さを調節する機能を持
つ。 (考案の効果) 以上説明したように、本考案の鋼製ピストンリ
ングは、焼戻しマルテンサイト系ステンレス鋼か
らなるピストンリングの表面にガス窒化層を形成
し、少なくとも摺動面のガス窒化層は硬度Hv700
以上の拡散層を露出しているので、耐摩耗性、耐
焼付性に優れると共に充分な耐久性を有するもの
である。
第1図は本考案における鋼製コンプレツシヨン
リングの断面図、第2図は本考案における鋼製組
合せオイルリングのサイドレールの断面図、第3
図はガス窒化品の硬度と耐摩耗、耐焼付性を示す
図、第4図はガス窒化品、軟窒化品、Crめつき
品の耐摩耗性及び耐焼付性を比較した図、第5図
はガス窒化品と軟窒化品の窒化深さと硬度の関係
を示す図である。 1……リング母材、2……拡散層、3……酸化
物層及び白層。
リングの断面図、第2図は本考案における鋼製組
合せオイルリングのサイドレールの断面図、第3
図はガス窒化品の硬度と耐摩耗、耐焼付性を示す
図、第4図はガス窒化品、軟窒化品、Crめつき
品の耐摩耗性及び耐焼付性を比較した図、第5図
はガス窒化品と軟窒化品の窒化深さと硬度の関係
を示す図である。 1……リング母材、2……拡散層、3……酸化
物層及び白層。
Claims (1)
- 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 焼戻しマルテンサイト系ステンレス鋼からな
るピストンリングの表面にガス窒化層を形成
し、少なくとも摺動面のガス窒化層は硬度
Hv700以上の拡散層を露出していることを特徴
とする鋼製ピストンリング。 (2) 前記拡散層を30μm以上有することを特徴と
する実用新案登録請求の範囲第1項記載の鋼製
ピストンリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13737384U JPS641955Y2 (ja) | 1984-09-11 | 1984-09-11 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13737384U JPS641955Y2 (ja) | 1984-09-11 | 1984-09-11 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6155062U JPS6155062U (ja) | 1986-04-14 |
JPS641955Y2 true JPS641955Y2 (ja) | 1989-01-18 |
Family
ID=30695786
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13737384U Expired JPS641955Y2 (ja) | 1984-09-11 | 1984-09-11 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS641955Y2 (ja) |
-
1984
- 1984-09-11 JP JP13737384U patent/JPS641955Y2/ja not_active Expired
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6155062U (ja) | 1986-04-14 |
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