JPS638864Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は磁石発電機を電源とする内燃機関用無
接点点火装置に関し、特に高速で点火時期を遅角
させるようにしたものである。

従来、２サイクル内燃機関の進角特性はほぼ固
定となつていたが、最近の高出力化に伴い、低速
から中速にかけては、ほぼ固定、そして高速時に
は、比較的急に遅らせた進角特性のものが要求さ
れるようになつた。この種の点火装置としては、
例えば実公昭53−43938号公報が公知となつてい
る。この実公昭53−43938号公報のものでは、反
コンデンサ充電側半波出力により第２のコンデン
サを充電し、このコンデンサの放電電流によりト
ランジスタを制御して、高速時に信号発電機の出
力を一部側路するようにして点火時期を遅らせる
ようにしている。また、他にインピーダンスの異
なる複数の信号変換回路を持ち、両者の出力の合
成により高速で点火時期を遅らせるものもある。

ところが、上述した前者のものでは、反コンデ
ンサ充電側半波出力により第２のコンデンサを充
電するので、反コンデンサ充電出力を点火時期制
御用に用いられない、すなわち、安価な点火装置
とする方法として、反コンデンサ充電出力を、適
当な信号変換回路を介して、点火信号とすること
により信号発電機を廃止することが種々考案され
ているが、上述した前者のものでは、反コンデン
サ充電側半波出力は第２のコンデンサ充電用のみ
に用いられるので、点火時期制御用として信号発
電機は不可欠のものであり、従つて、安価な点火
装置は実現できないという問題がある。また、後
者のその他のものでは、部品点数が多く、同じく
コスト高となるという問題がある。

本考案は上記の問題を解決するため、コンデン
サ充電コイルの反コンデンサ充電側半波出力を比
較的値の小さい抵抗（数＋Ω）を介して流し、こ
の抵抗の両端に現われる電圧を分圧するなどして
点火信号とすると共に、前記抵抗の両端に現われ
る電圧により補助コンデンサを充電して、この補
助コンデンサの電荷は適当な時定数を持つ放電回
路で放電させ、この放電電流により、サイリスタ
のゲート，カソード間に並列に接続したトランジ
スタを制御して、点火信号の一部を側路すること
により、高速時の点火時期を良好に遅らせること
のできる、構造が簡単で安価な点火装置を提供す
ることを目的とする。

以下本考案を図に示す実施例について説明す
る。第１図に示す第１実施例において、１は磁石
発電機のコンデンサ充電コイル、２〜６はダイオ
ード、７はサイリスタ、８は主コンデンサ、９は
１次コイル９ａと２次コイル９ｂとを有する点火
コイル、１０は比較的値の小さい抵抗、１１〜１
３は抵抗、１４はトランジスタ、１５は補助コン
デンサ、１６は点火プラグである。そして、ダイ
オード３，４、抵抗１０，１１，１３により信号
変換回路を構成する。

次に、上記構成においてその作動を説明する。
コンデンサ充電コイル１にコンデンサ充電側半波
出力が発生すると、ダイオード２，６，４を介し
て主コンデンサ８が充電される。次いで、コンデ
ンサ充電コイル１に反コンデンサ充電側半波出力
が発生すると、その電流は比較的値の小さい抵抗
１０（数＋Ω）を介して流れ、この時抵抗１０の
両端に現われる電圧を比較的値の大きい抵抗１１
（数KΩ）と抵抗１３（数百Ω）とで分圧し、抵
抗１３の両端の電圧をサイリスタ７をターンオン
させるための点火信号とする。そして、この点火
信号がサイリスタのゲートトリガレベル以上にな
るとこのサイリスタ７が導通し、主コンデンサ８
の充電電荷を点火コイル９の１次コイル９ａに放
電させ、その２次コイル９ｂに誘起される高電圧
によつて点火プラグ１６に点火火花を得る。ま
た、抵抗１０の両端に現われる電圧によりダイオ
ード５を介して補助コンデンサ１５を図示極性に
充電し、この補助コンデンサ１５の充電電荷は、
補助コンデンサ１５と抵抗１２とで決定される時
定数を持つ放電回路を介して放電し、サイリスタ
７のゲート，カソード間に並列に接続したトラン
ジスタ１４のベースへ流れ、このトランジスタ１
４を導通させる。この間、点火信号はトランジス
タ１４により側路される。そして、低速，中速時
は、次のサイクルの点火信号が発生するまでに補
助コンデンサ１５の充電電荷の放電は完了し、ト
ランジスタ１４のベース電流はなくなつている
が、高速時では充電電荷が残つているため、トラ
ンジスタ１４は点火信号が立上がつた後も所定時
間導通状態を維持している。このため、点火信号
の立上り部分のみがトランジスタ１４により側路
されて点火時期は高速で比較的急に遅角するよう
になる。これによつて、機関回転数Ｎに対する点
火進角度θは第２図に示すごとき特性になる。

第３図に本考案の第２実施例の要部構成を示
す。第１図と異なるのは、サイリスタ７のゲー
ト，カソード間抵抗１３を２つの抵抗１３ａ及び
１３ｂに分割し、トランジスタ１４を抵抗１３ａ
のみと並列に接続したもので、本実施例によれば
点火時期特性は第４図の如くになる。第４図にお
いて、比較的急な遅角部分はトランジスタ１４が
活性領域にある時で、その後のフラツト部分はト
ランジスタ１４が飽和した状態の領域にあるとき
である。

第５図および第６図は、それぞれ本考案の第３
実施例の要部構成とその点火時期特性とを示すも
のであり、上記第２実施例に対し、ダイオード５
のアノードと抵抗１１との間にダイオード１７を
挿入すると共に、抵抗１１と並列にコンデンサ１
８を接続し、コンデンサ１８と抵抗１１の時定数
を大きくとり、中速部でコンデンサ１８の電荷が
残つているようにして、中速部を若干遅角させる
ものである。第７図は本考案の第４実施例の要部
構成を示すものであり、上記第２実施例に対し、
抵抗１１の代わりにトランス２０とダイオード１
９とを用い、コンデンサ充電コイル１の反コンデ
ンサ充電側半波出力による電流を抵抗１０および
ダイオード３を介してトランス２０の１次側に流
し、このトランス２０の２次側に発生する出力を
ダイオード１９を介してサイリスタ７のゲートに
点火信号として印加するようにしたものである。

以上述べたように本考案においては、コンデン
サ充電コイルの反コンデンサ充電側半波出力を比
較的値の小さい抵抗を含む信号変換回路により点
火信号に変換してこの点火信号によりサイリスタ
を導通させると共に、上記抵抗の両端に現われる
電圧により補助コンデンサを充電し、この補助コ
ンデンサの充電電荷の放電によつてトランジスタ
を導通させて信号変換回路の点火信号の立上がり
部分を高速時において側路するから、点火信号を
得るための信号発電機を不要とし、また、上記抵
抗の両端に現われる電圧により補助コンデンサを
充電し、この補助コンデンサの充電電荷の放電に
よつてトランジスタを導通させ、このトランジス
タの導通により信号変換回路の点火信号の立上が
り部分を高速時に側路させるので、補助コンデン
サの充電により主コンデンサの充電電圧に悪影響
を与えることなく、高速で点火時期を良好に遅角
させることができ、さらに、トランジスタが導通
状態にある時は、サイリスタのゲート，カソード
間は低い電圧となつているため、サイリスタのゲ
ートに加わるノイズに対し有利であり、以上によ
り、構造が簡単で安価な点火装置が得られるとい
う優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の第１実施例を示す電気回
路図、第２図は第１図図示装置における点火時期
特性図、第３図は本考案装置の第２実施例の要部
構成を示す電気回路図、第４図は第３図図示装置
における点火時期特性図、第５図は本考案装置の
第３実施例の要部構成を示す電気回路図、第６図
は第５図図示装置における点火時期特性図、第７
図は本考案装置の第４実施例の要部構成を示す電
気回路図である。 １……磁石発電機のコンデンサ充電コイル、２
……ダイオード、３，４，１７，１９，１０，１
１，１３，１３ａ，１３ｂ，１８，２０……信号
変換回路を構成するダイオード，比較的値の小さ
い抵抗，抵抗，コンデンサ，トランス、７……サ
イリスタ、８……主コンデンサ、９……点火コイ
ル、９ａ……１次コイル、１４……トランジス
タ、１５……補助コンデンサ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 磁石発電機のコンデンサ充電コイルに発生する
   出力によりダイオードを介して主コンデンサを充
   電し、前記コンデンサ充電コイルの反コンデンサ
   充電側半波出力を比較的値の小さい抵抗を含む信
   号変換回路により点火信号に変換してこの点火信
   号によりサイリスタを導通させ、このサイリスタ
   の導通により前記主コンデンサの充電電荷を点火
   コイルの１次コイルを介して放電させるようにし
   た磁石発電機式内燃機関用無接点点火装置におい
   て、前記抵抗の両端に現われる電圧により充電さ
   れる補助コンデンサと、この補助コンデンサの充
   電電荷の放電によつて導通して前記信号変換回路
   の点火信号の立上がり部分を高速時において側路
   するトランジスタとを備えることを特徴とする磁
   石発電機式内燃機関用無接点点火装置。