JPS637617B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は金属製等の被測定物にあつて、熱伝導
が行なわれている際、当該熱が何れの方向に流れ
ているか、その熱流方向を熱流角度として測知す
ることができる熱流方向計に関するものである。

本発明を図示の実施例によつて詳記すれば、第
１図と第２図に示す如く碍子等による基体１に、
二対の温度センサ２，２′，３，３′を埋設して、
その先端に形成した熱電対等による測温部ａ，
ｃ，ｂ，ｄを、被測定物４の表面４′に当接可能
なるよう露呈するのであり、図中５は基体１に被
嵌した金属保管を示している。

そして上記測温センサ２，２′，３，３′のリー
ド線６，６′，７，７′は測定部８と接続してあ
り、第２図に示す如く一対の測温部ａ，ｃはＸ軸
線上にあり、他の一対である測温部ｂ，ｄはＸ軸
線と直交するＹ軸線上にあつて、ａ，ｃ，ｂ，ｄ
の何れもが原点Ｏから等距離の位置に配されてい
る。

従つて測温部ａ，ｂ，ｃ，ｄは原点Ｏを中心と
した円周上にあつて0゜、90゜、180゜、270゜の位置に
夫々配されていることになるが、この際測温部
ａ，ｃ，ｂ，ｄが夫々逆極性となるよう第３、第
４図の通り直列に接続されて測定部８が構成され
ており、同図の如く各対の出力端子には、各測温
部ａ，ｃ，ｂ，ｄにおける温度出力の差すなわち
温度差出力信号Vac，Vbdが発生するようにして
ある。

そこで今第１図のように熱流が矢印Ｑのように
被測定物４に存する場合、同測定物４の表面４′
に測温部ａ，ｃ，ｂ，ｄを当接すれば、熱流の上
流は下流よりも高温となるから、第２図に示す熱
流角度θが0゜であつた場合、測温部ａ，ｃによる
温度差出力信号Vacは第５図のように最大となる
のに対し、測温部ｂ，ｄによる温度差出力信号
Vbdは０となり熱流角度θが0゜から次第に大きく
なつて行くことにより、Vacの温度差出力信号値
はVcosθ、Vbdの温度差出力信号値はVsinθとし
て変化することになるから、測定部８において、
そのVcosθまたはVsinθ若しくは両者を測知すれ
ば熱流角度θを知ることができる。

ところが上記のVac，Vbdは、被測定物４を流
れる熱量が一定である場合であれば不変であるも
のゝ、当該熱量が大きくなつたり、小さくなつた
りすることにより、その大きさが変化することに
なり、従つてこのような場合の熱流方向を測知す
ることが難事となる。

そこで、本願第一発明ではVac，Vbdを測定の
手段として用いるのではなく、Vbd／Vac＝
Vsinθ／Vcosθ＝tanθ、すなわち両温度差出力信
号Vac，Vbdの比を測定部８において演算し、第
６図に示す如き演算結果を得るようにし、上記温
度差出力信号の大きさには無関係なtanθを求める
のであり、これによりこのVbd／Vacなる信号を
逆変換（arc tan Vbd／Vac）することにより熱
流角度θを求めることができる。

さらに本願第２発明では、以下の事項が付加さ
れている。

すなわち、の場合、第６図に示す演算結果を見
れば明らかな通りVbd／Vacなる信号は、0゜〜90゜
と180゜〜270゜、そして90゜〜180゜と270゜〜360゜で
同
一信号値となるので、これを別途何等かの手段で
判別し得ない場合には、前記の温度差出力信号と
して例えばVbdを用い、同信号が0゜〜180゜間で正、
180゜〜360゜間で負の信号となることを利用するよ
うにし、Vbdが正であればtanθは0゜〜90゜の第１象
限にあり、またVbdの正負によつて、夫々90゜〜
180゜の第２象限か270゜〜360゜の第３象限であるか
を判別でき、かゝる機能を測定部８に具備させる
ようにするのである。

本願第１発明は上記実施例によつて具現される
ように、碍子等による基体１に、二対の温度セン
サ２，２′，３，３′を埋設して、同センサの先端
に形成した測温部ａ，ｃ，ｂ，ｄにつき、一対は
Ｘ軸線上に、他の一対はＸ軸線と直交するＹ軸線
上にあつて何れも原点から等距離の位置に配して
被測定物４の表面４′に当接可能なるよう露呈し、
当該各対の測温部ａ，ｃ，ｂ，ｄを逆極性に接続
して夫々の温度差出力信号を得、この両温度差出
力信号の比を算出することにより、熱流の流れ方
向を示す熱流角度θのtanθが出力として得られる
測定部を設けるよう構成したので、熱流の方向を
熱流角度θとして正確に測知することができると
いうだけでなく、当該熱流の熱量に無関係なtanθ
を測知して熱流角度θを知ることができ、測定部
８の演算や、その他の処理機構を簡素化できると
共に、精度の向上を図ることができる。

そして第２発明では第１発明における出力tanθ
のみの処理でなく、これに前記したsinθ、cosθの
正負を重畳処理するよう測定部が構成されている
から、熱流方向の象限を誤る心配がなく、かゝる
判別を極めて簡易な処理によつて実現することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る熱流方向計の全体を示す
使用状態の斜視説明図、第２図は同方向計の横断
平面説明図、第３図と第４図は本発明の構成部品
である測温センサの結線図、第５図は同計におけ
る測温部により測知できる熱流角度θと温度差出
力信号値との関係を示した図表、第６図は同熱流
角度θに対する温度差出力信号値の比を示す図表
である。 １…基体、２，２′，３，３′…測温センサ、４
…被測定物、４′…被測定物の表面、８…測定部、
ａ，ｂ，ｃ，ｄ…測温センサの測温部、Vac，
Vbd…温度差出力信号、θ…熱流角度。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 碍子等による基体に、二対の温度センサを埋
   設して、同センサの先端に形成した測温部につ
   き、一対はＸ軸線上に、他の一対はＸ軸線と直交
   するＹ軸線上にあつて何れも原点から等距離の位
   置に配して被測定物の表面に当接可能なるよう露
   呈し、当該各対の測温部を逆極性に接続して夫々
   の温度差出力信号を得、この両温度差出力信号の
   比を算出することにより、熱流の流れ方向を示す
   熱流角度θのtanθが出力として得られる測定部を
   設けたことを特徴とする熱流方向計。 ２ 碍子等による基体に、二対の温度センサを埋
   設して、同センサの先端に形成した測温部につ
   き、一対はＸ軸線上に、他の一対はＸ軸線と直交
   するＹ軸線上にあつて何れも原点から等距離の位
   置に配して被測定物の表面に当接可能なるよう露
   呈し、当該各対の測温部を逆極性に接続して夫々
   の温度差出力信号を得、この両温度差出力信号の
   比を算出することにより、熱流の流れ方向を示す
   熱流角度θのtanθが出力として得られ、かつこの
   tanθと前記温度差出力信号の正負によつて熱流角
   度の象限を判別する測定部が設けられていること
   を特徴とする熱流方向計。