JPS637458Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、フライス工具の複数のチツプを工具
本体の所定の位置にセツトするフライス工具のチ
ツプセツテイング装置に関する。

一般に、フライス工具は、第３図に示すよう
に、その工具本体ａの上面に、複数のチツプ装着
溝ｂ…が放射状に設けられ、該各装着溝ｂにはク
ランプ金ｃがクランプネジｄを介して取付けられ
ており、各装着溝ｂの側壁とクランプ金ｃとの間
にスローアウエイタイプのチツプｅが上記クラン
プネジｄの締付けにより挟持状態に固定配置され
るようになつている。

そして、このようなフライス工具のチツプｅを
所定位置にセツトするフライス工具のチツプセツ
テイング装置として、従来、例えば第４図に示す
ようなものが知られている。すなわち、フライス
工具の工具本体ａの回転軸ｆを嵌合保持する嵌合
孔ｇを有する支持台ｈと、該支持台ｈ上面に固定
され上部側面に基準面ｉが形成されたゲージ部材
ｊとからなるもので、各チツプｅごとにチツプｅ
がゲージ部材ｊの基準面ｉに対向するようにフラ
イス工具を回転し、チツプｅを基準面ｉに手で押
し当てながらクランプネジｄを締付けることによ
り工具本体ａの所定の位置へのチツプｅのセツテ
イングが行われるものである。

しかるに、上記従来のものでは、チツプｅのセ
ツテイングは各チツプｅごとに行われるため、作
業性が悪い上、各チツプｅを基準面ｉに押し当て
る力がばらつくので各チツプｅのセツト位置が不
揃になつて正確にセツトできないという問題があ
つた。

本考案は斯かる点に鑑みてなされたものであ
り、フライス工具の各チツプに対応して基準面を
設けておき、油圧によつて各チツプを一斉にかつ
同一押圧力でもつて基準面に押し当てるようにし
て、作業性よくかつ正確に各チツプを所定の位置
にセツトすることを目的とするものである。

この目的を達成するため、本考案の構成は、フ
ライス工具の複数のチツプを工具本体の所定の位
置にセツトするフライス工具のチツプセツテイン
グ装置であつて、上記工具本体に嵌合されて工具
回転軸心と合致させるように位置決めする位置決
め部を有し、かつチツプの外径セツト面と接して
チツプの半径方向の位置決めをする位置決め内周
面が形成された装置本体と、チツプの数に対応さ
せて上記装置本体に放射状に設けられ、工具本体
に保持されたチツプを上記装置本体の位置決め内
周面に押圧する油圧シリンダと、上記装置本体に
設けられ、各油圧シリンダのピストンを同時に動
作させるように各油圧シリンダと連通するピスト
ン作動室を有する操作シリンダとを備えてなり、
操作シリンダを作動させることによつて各油圧シ
リンダにより各チツプを装置本体の位置決め内周
面に一斉にかつ同一押圧力でもつて押圧して所定
の位置にセツトするようにしたものである。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第１図および第２図は、スローアウエイタイプ
のチツプを有する内面研削用の多刃フライス工具
Ａに本考案を適用した実施例を示し、１はフライ
ス工具Ａの工具本体、２は該工具本体１の回転
軸、３……は工具本体１上面に放射状に設けられ
た複数のチツプ装着溝であり、該各装着溝３には
直方体状のクランプ金４が六角孔付きクランプネ
ジ５を介して取付けられている。６は上記装着溝
３の側壁とクランプ金４との間に配置された直方
体状のスローアウエイタイプのチツプであつて、
該チツプ６は上記クランプ金４のクランプネジ５
を締付けることによりクランプ金４によつて側方
に押圧され、該クランプ金４と装着溝３の側壁と
の間に挟持状態に固定保持されるようになつてい
る。そして、上記フライス工具Ａ上には、フライ
ス工具Ａの複数のチツプ６……を工具本体１の所
定の位置にセツトする本考案に係るチツプセツテ
イング装置７が配置されている。

すなわち、上記セツテイング装置７において、
８は装置本体であつて、該装置本体８は上記工具
本体１上面中央に形成された凹部１ａに嵌合され
て装置本体８の回転軸心を工具本体１回転軸心と
合致させるように位置決めする円筒体状の位置決
め部９と、該位置決め部９の上部に一体に設けら
れ周縁部に下方に延びるリング状のゲージリング
部１０を有するゲージ部材１１とからなつてお
り、ゲージリング部１０内周には上記チツプ６…
…の外径セツト面６ａと接してチツプ６……の半
径方向の位置決めをする位置決め内周面１２が形
成されている。

上記装置本体８の位置決め部９内部には中央か
ら放射状にチツプ６の数（図では６個）に対応す
る数の油圧シリンダ１３……が設けられ、該各油
圧シリンダ１３は、各チツプ６に対向して半径方
向外方に突出する押圧ロツド部１４ａを有する摺
動自在なピストン１４と、該ピストン１４の背部
に形成された圧油室１５とを備え、圧油室１５内
の油圧が増大した際にピストン１４が半径方向外
方へ移動してその押圧ロツド部１４ａにより工具
本体１に保持された各チツプ６を上記装置本体８
の位置決め内周面１２に押圧するように構成され
ている。

さらに、上記装置本体８の位置決め部９内の中
央には上記各油圧シリンダ１３に圧油を供給する
操作シリンダ１６が設けられており、該操作シリ
ンダ１６は、装置本体８の回転軸心に形成され上
端が開口し下端が上記各油圧シリンダ１３の圧油
室１５に連通するピストン作動室１７と、該ピス
トン作動室１７に該ピストン作動室１７の圧油を
上方から圧縮するように摺動自在に嵌挿されたピ
ストン１８と、該ピストン１８上面に当接するよ
うにピストン作動室１７上部に螺合された六角孔
付操作プラグ１９とを備え、該操作プラグ１９を
締込むことによりピストン１８を下方に押圧して
ピストン作動室１７内に充填された油の油圧を高
め、この圧油を各油圧シリンダ１３の圧油室１５
に供給して該各油圧シリンダ１３のピストン１４
を同時に動作させるように構成されている。

尚、２０は上記ゲージ部材１１に設けられ各チ
ツプ６の上面に当接してチツプ６の上下方向のズ
レを制止する当接部、２１は油圧シリンダ１３の
ピストン１４を抜止めするストツパリング、２２
……は各チツプ６のクランプネジ５に対応してゲ
ージ部材１１に穿設された工具挿通孔である。

次に、上記実施例の作用について説明するに、
各チツプ６のクランプネジ５を緩めた状態におい
てチツプセツテイング装置７をその位置決め部９
にて工具本体１の凹部１ａに嵌合し、装置本体８
を工具回転軸２と合致させてセツトする。この状
態で、六角レンチによつて操作シリンダ１６の装
置プラグ１９を締込むと該操作シリンダ１６のヒ
ピストン作動室１７の油圧が上昇して各油圧シリ
ンダ１３のピストン１４が同時に動作し、各ピス
トン１４の押圧ロツド部１４ａによつて各チツプ
６は装置本体８の位置決め内周面１２に一斉にか
つ同一押圧力でもつて押し当てられる。そして、
この状態において、ゲージ部材１１の各工具挿通
孔２２に六角レンチを挿通して各チツプ６のクラ
ンプネジ５を締付けることにより各チツプ６は所
定の位置に固定保持されることになる。したがつ
て、各チツプ６の所定位置へのセツテイングを作
業性良くかつ正確に行うことができる。

以上説明したように、本考案のフライス工具の
チツプセツテイング装置によれば、位置決め部に
おいてフライス工具回転軸心と合致して工具本体
に嵌合された装置本体の位置決め内周面に対し
て、各チツプを操作シリンダの作動によつて同時
に動作する各油圧シリンダにより一斉にかつ同一
押圧力でもつて押圧して各チツプを所定の位置に
セツトするものであるので、チツプセツテイング
の作業性および精度を高めることができるという
実用上優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の実施例を示し、
第１図は平面図、第２図は縦断側面図、第３図は
フライス工具の平面図、第４図は従来例を示す側
面図である。 Ａ……フライス工具、１……工具本体、６……
チツプ、６ａ……外径セツト面、７……チツプセ
ツテイング装置、８……装置本体、９……位置決
め部、１２……位置決め内周面、１３……油圧シ
リンダ、１４……ピストン、１６……操作シリン
ダ、１７……ピストン作動室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フライス工具の複数のチツプを工具本体の所定
   の位置にセツトするフライス工具のチツプセツテ
   イング装置であつて、上記工具本体に嵌合されて
   工具回転軸心と合致させるように位置決めする位
   置決め部を有し、かつチツプの外径セツト面と接
   してチツプの半径方向の位置決めをする位置決め
   内周面が形成された装置本体と、チツプの数に対
   応させて上記装置本体に放射状に設けられ、工具
   本体に保持されたチツプを上記装置本体の位置決
   め内周面に押圧する油圧シリンダと、上記装置本
   体に設けられ、各油圧シリンダのピストンを同時
   に動作させるように各油圧シリンダと連通するピ
   ストン作動室を有する操作シリンダとを備えてな
   ることを特徴とするフライス工具のチツプセツテ
   イング装置。