JPS6366934B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明は丸編地、特にその内外面に異種の糸を
配位した丸編地に係る。

＜従来の技術＞ 近年丸編地は合成紡績糸あるいは合成混紡糸を
用いて編成されることが多く、そのため丸編地の
外面にピリングを生ずるという問題があつた。特
に内面を起毛し、あるいはパイル編としてそのル
ープを部分的または全面的に起毛した丸編地にあ
つては上記の弊害が助長されるという傾向があつ
た。

内外面に異種の糸を配位した丸編地の先行技術
としては、実開昭47−33274号公報と実開昭49−
99974号公報がある。しかし、いずれもゴム編組
織からなる添え糸編で、編糸は表糸と裏糸の２本
の糸使いである。従つて、実開昭47−33274号公
報の場合はウーリーナイロン等伸縮性の化学繊維
糸を裏糸として使用し、また実開昭49−99974号
公報の場合はゴム糸を裏糸として使用している。

＜発明が解決しようとする問題点＞ しかし弾性を保持させて、裏糸でループを形成
させ該ループを起毛させたい場合等には、弾性糸
を裏糸に使用することができない。また表糸には
弾性糸が使用できないとなれば、中芯部に弾性糸
を入れた３本の糸使いが必要となる。しかし、３
本の糸使いは、編糸相互の絡み合うことが欠点と
なつていた。

又、ループを起毛させる場合、全体の編地の編
成後、別の装置に編地を移送し、起毛を施すいわ
ゆる後起毛が一般的である。そしてこの場合、ル
ープの縦方向（ループの円周方向に対し直方する
方向）に起毛が施される。ところが、このような
後起毛の場合、編地の移送中等にループが変形し
たり寝たりしてしまい、連続的な毛足の長い良好
な起毛が施せないという問題がある。

＜問題点を解決するための手段＞ そこで本発明は、上記問題の解決のため、下記
手段を提供する。

即ち、平編組織用の丸編機を使用して編成され
た丸編地において、編地が紡績糸１とピリング防
止用の糸２と高弾性糸３の３種の糸にて構成さ
れ、ピリング防止用の糸２よりも大きい張力を与
えて編成させられた高弾性糸３が中芯に配位させ
られると共に、外面Ｇがピリング防止用の糸２で
隠蔽され、かつ、上記内面Ｎに配位される紡績糸
１にて突出させたパイルが編成と同時にループ状
を消失しない程度に円周方向に起毛させられてな
ることを特徴とする内外面に異種糸を配位した丸
編地を提供するものである。

ここに、上記紡績糸１としては天然繊維を含む
ものであつてもよく、ピリング防止用の糸２とし
てはナイロン、ポリエステル、プリプロピレン等
のフイラメント糸等、種々の耐摩耗性を備えたも
のを用いる。高弾性糸３としてはスパンデツクス
またはこれを軸糸として適宜のフイラメント糸等
を巻纒させたもの、あるいはゴム糸等である。

なお本発明でいう丸編地とは、タイツのほかサ
ポーター、パンツ、シヤツ等の肌着類であつて、
靴下や手袋は含まない。

＜作用＞ 本発明の丸編地は、内面には起毛の容易な紡績
糸を配し、外面にはピリング防止用の糸を配した
一種の添糸編の組織を有する。この紡績糸はパイ
ル立ての作用を受けて多少内面側へ引つ張られる
が、編組織の構造上外面に露出することが避けら
れない。本発明においては前記ピリング防止用の
糸に、高弾性糸が高張力下に伸張させつつ引揃え
て給糸されているため、該伸張が弾性回復するに
伴いピリング防止用の糸が緩んで編地面よりやや
浮上し、他の糸を隠蔽することを応用するもので
ある。

従つて、本発明の丸編地は編機に３種の糸、即
ち紡績糸、ピリング防止用の糸および高弾性糸を
供給して編成され、その中の紡績糸はパイル立て
の作用等を受けて内面に、ピリング防止用の糸は
外面は、また高弾性糸はほぼ中芯部分に配位させ
られている。

以上によつて明らかな如く、本発明にあつては
一種の添糸編であるものの、本来外面に配位させ
るべき糸に高張力下に高弾性糸を引揃えて給糸編
成されるものであるから、耐摩擦性の優れたピリ
ング防止用の糸は丸編地の外面に、又保温性、起
毛性等の優れた紡績糸は丸編地の内面に夫々選択
的に配位させられている。従つて丸編地の外面が
他の物体例えば家具、上衣等と繰り返し接触する
ことによつてもピリングを生ずる虞れがない。

又、内面に配位される紡績糸はパイル立てさ
れ、このパイルループを編成と同時に起毛され
る。したがつて、パイルループが立つている状態
で即時に起毛されるため、起毛前にループが変形
したり寝たりすることがない。しかもこのパイル
はループ状を消失しない程度に円周方向に起毛さ
れており、毛足の長い良好なウエーブ状の起毛が
連続して得られると共に、消失していないループ
部分と起毛部分の二層の保温層が得られる。

＜実施例＞ 以下本発明の実施例を図面によつて説明する
が、本発明は何ら該例に限定されるものではな
い。

第１図乃至第３図は本発明によるタイツを裏面
から見た組織を示すものであり、ゴム編組織用を
除く平編組織用の丸編機を使用し、編糸として紡
績糸１にフイラメント糸２と高弾性糸３とが添え
られている。内面Ｎにおいて紡績糸１のループが
突出せしめられ所謂パイル編みとしてあり、外面
Ｇにおいては高弾性糸３が中芯側に位置すると共
にフイラメント糸２が最外面に露呈している。

このような断面構成は、既に上述した如く編機
における給糸側での高張力によりもたらされた高
弾性糸３の伸びが編針通過後に弾性回復して収縮
することによるものであり、該糸は編地断面の中
芯部に位置することになるためである。

さらに本発明の編地においては紡績糸１のパイ
ルは編成と同時にループ状を消失しない程度に円
周方向に起毛され（第４図参照）、その保温性が
さらに改良され、しかも従来のこの種丸編地にお
いて特に問題とされていたピリング性も顕著に改
善された。尚、上記のタイツは主としてＢ式靴下
編機での編成に適する。

上記実施例のタイツは、内面に紡績糸のパイル
と、そのループ状を消失しない程度に施された起
毛とを有し保温性良好であると共に、外面に耐摩
耗性のフイラメント糸が配されているため長時間
の着用によつてもピリングが発生せずその商品価
値は極めて優秀であつた。

＜発明の効果＞ 以上本発明においては、内面には起毛の容易な
紡績糸を配し、外面にはピリング防止用の糸を配
した一種の添糸編の組織を有する。この紡績糸は
パイル立ての作用を受けて多少内面側へ引つ張ら
れるが、編組織の構造上外面に露出することが避
けられない。そこで、本発明においては前記ピリ
ング防止用の糸に、高弾性糸が高張力下に伸張さ
せつつ引揃えて給糸されるものであり、該伸張が
弾性回復するに伴いピリング防止用の糸が緩んで
編地面よりやや浮上し、他の糸を隠蔽する。従つ
て、外面は常にピリング防止用の糸で隠蔽され、
従来この種の丸編地において問題とされたピリン
グ性が顕著に改善されたものである。

しかも、内面に配位される紡績糸はパイル立て
され、このパイルループを編成と同時に起毛され
る。したがつて、パイルループが立つている状態
で即時に起毛されるものであり、起毛前にループ
が変形したり寝たりすることがない。しかもこの
パイルはループ状を消失しない程度に円周方向に
起毛されるため、毛足の長い良好なウエーブ状の
起毛が連続して得られると共に、消失していない
ループ部分と起毛部分の二層の保温層が得られる
ものである。

よつて本発明は、外面におけるピリング防止性
と内面における保温性との相方が改良される丸編
地を提供し得たものである。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の一実施例を示すもので第１図は裏
面から見た組織図、第２図は第１図のＡ―Ａ線断
面図、第３図は同じくＢ―Ｂ線断面図、第４図は
第２図における起毛状態の説明図である。 １…紡績糸、２…ピリング防止用の糸、３…高
弾性糸、Ｎ…内面、Ｇ…外面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 平編組織用の丸編機を使用して編成された丸
   編地において、編地が紡績糸１とピリング防止用
   の糸２と高弾性糸３の３種の糸にて構成され、ピ
   リング防止用の糸２よりも大きい張力を与えて編
   成させられた高弾性糸３が中芯に配位させられる
   と共に、外面Ｇがピリング防止用の糸２で隠蔽さ
   れ、かつ、内面Ｎに配位される紡績糸１にて突出
   させたパイルが編成と同時にループ状を消失しな
   い程度に円周方向に起毛させられてなることを特
   徴とする内外面に異種糸を配位した丸編地。