JPS6366796B2 - - Google Patents
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- JPS6366796B2 JPS6366796B2 JP59215700A JP21570084A JPS6366796B2 JP S6366796 B2 JPS6366796 B2 JP S6366796B2 JP 59215700 A JP59215700 A JP 59215700A JP 21570084 A JP21570084 A JP 21570084A JP S6366796 B2 JPS6366796 B2 JP S6366796B2
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Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
Description
〔産業上の利用分野〕
この発明は、刃物工具用酸化ジルヨニウム基セ
ラミツクスの製造方法に関し、特に高い硬さと、
すぐれた靭性および耐摩耗性を有し、かつ熱処理
に対して特性が安定している上記セラミツクスの
製造方法に関する。 〔従来の技術〕 一般に、刃物工具用セラミツクスはセラミツク
スの中でも最も高い靭性、耐酸化性および耐摩耗
性を必要とするものであつて、その刃物工具用セ
ラミツクスとしては、現在酸化ジルコニウム(以
下ZrO2で示す)基、アルミナ(以下Al2O3で示
す)基および窒化珪素(以下Si3N4で示す)基の
3系統のセラミツクスが実用化されており、その
うちZrO2基セラミツクスはセラミツクスの中で
最も高い常温抗折力を有し、スリツターナイフや
剪断刃のような刃物工具の素材として利用されて
いる。 このZrO2の結晶形には立方晶、正方晶および
単斜晶の3種があつて、ZrO2焼結体としては、
YやMgのような立方晶形を安定化させる元素
を加えて立方晶を多く残した焼結体、部分的に
立方晶形を残し、大部分を正方晶形とした焼結
体、および上記のような安定化元素を殆ど加え
ないで、正方晶と単斜晶とから構成させた焼結
体、などの焼結体が知られており、このうち強度
(靭性)が高く、刃物工具用材料として最も広範
囲に使用されることが期待されているのは上記
の部分安定化ジルコニア焼結体である。 この焼結体は抗折力とクラツク伝播抵抗値が高
いという長所を有するが、一方高温における特
性、すなわち硬さおよび抗折強度が稍劣るという
短所も有するので、これを補うために、ZrO2中
にAl2O3を第2相として、あるいはさらに4a,
5aおよび6a旅金属の硬質化合物を第3相とし
て分散させることが提案されており、これら4
a,5aおよび6a族金属の硬質化合物の中で
は、TiN、TiC、TiCN、TiCO、Ti(C、N、
O)、Ti2(CN)、TiB2のようなチタンの硬質化合
物が焼結体の耐熱性と耐摩耗性を向上させる上で
特に有効であつた。 〔発明が解決しようとする問題点〕 従来、このような硬質化合物をZrO2中に分散
させるには、これらの粉末を原料粉末の調合段階
で他の粉末と混合する方法が採られているが、こ
れらの原料粉末は一般に平均粒度0.5μm以上、普
通1μm程度のものであり、これよりも微細な粒子
構造を必要とするZrO2焼結体にとつては、この
ような粒度からなる第3相の分散相は粒子が粗
く、またその分散相が焼結中に凝集して、それが
脆性破壊の起点になることもあつた。したがつ
て、上記のような硬質化合物からなる分散相を焼
結体中に形成させても、それによつて高温特性の
改善や、それに伴う耐摩耗性の向上が満足に発揮
されないため、上記のような分散相を有する焼結
体は未だ実用化されていないのが現状である。 〔問題点を解決するための手段〕 そこで本発明者等は、上述のような観点から、
ZrO2焼結体中に分散している硬質化合物粒子を
微細化して、その焼結体の靭性や耐摩耗性および
高温特性を改善すべく種々研究を重ねた結果、
ZrO2を主体とした第一の相中にAl2O3とチタンの
硬質化合物を同時に分散させるに当り、二チタン
アルミニウム窒化物(以下、Ti2AlNで示す)を
原料配合時に加えると、そのTi2AlNが焼結中に
分解してAl2O3とTiNxを生じ、これらAl2O3およ
びTiNxがそれぞれ上記の第2相および第3相と
してZrO2粒子間に極めて微細かつ均一に分散し、
それによつてこれまでにない高い硬さと抗折強度
を合せもつた焼結体が得られることを見出した。 この発明は、上記知見に基いて発明されたもの
であつて、原料粉末を混合し、プレス成形して圧
粉体とし、ついでこの圧粉体を焼結することによ
つて、酸化ジルコニウムを主体とする第1相、ア
ルミナを主体とする第2相およびチタンの硬質化
合物からなる第3相を含む刃物工具用酸化ジルコ
ニウム基セラミツクスを製造する方法において、
上記原料粉末の一部としてTi2AlNを使用し、か
つ前記圧粉体を非酸化性雰囲気において焼結する
ことを特徴とするものである。 上記Ti2AlNは通常粉末の状態で得られるが、
原料粉末配合前にこれをさらに平均粒径2.0μm以
下、好ましくは1μm以下の粒度に粉砕し、立方晶
を部分的に安定化するY2O3やMgOを含んだZrO2
または純ZnO2に配合する。このTi2AlNは1000℃
以下の温度では安定な状態にあるが、1400℃以上
の温度では完全に分解して焼結体中の酸素あるい
は雰囲気ガス中の酸素と反応してAl2O3を生ずる
一方、その中のチタンはTi2AlN中の窒素あるい
は雰囲気ガス中の窒素と反応してTiNxとなり、
さらにそのTiNxは雰囲気ガスと反応して窒素を
含む種々の組成範囲を有するチタンの硬質化合物
を形成する。原料粉末を混合して得た混合粉末中
の混合粉末全体の重量を基にしたTi2AlN配合量
が1〜20重量%であるときにすぐれた切刃工具用
焼結体が得られ、また第3の成分としてAl2O3等
の硬質酸化物を混合粉末中に加えてもよい。 焼結時の雰囲気ガス中の酸素分圧は10-7気圧以
下が適しており、また従来ZrO2単味の焼結は一
般に大気中で行なわれているが、この発明による
圧粉体を大気中で焼結すると、Ti2AlNの分解に
よつて生成したTiNxが酸化されてTiO2になり、
それが窒素を含むチタンの硬質化合物として分散
しないことになるので、この発明では大気中で焼
結することができない。すなわち、この発明にお
ける焼結は、上記TiNxが酸化されないような、
酸素分圧Po2:10-7気圧以下の条件を満たす、高
真空炉、水素炉、あるいは不活性ガスまたは還元
性ガス雰囲気が形成されている炉内で遂行する必
要がある。 したがつて、この発明の製造方法は、例えば、
原料粉末として純ZrO2粉末またはその立方晶安
定化成分、すなわちY2O3および/またはMgOを
含むZrO2粉末、Ti2AlN粉末、さらに必要に応じ
てAl2O3粉末を用意し、これら原料粉末を所定の
割合で配合した後、それをボールミル中湿式混合
によつて混合し、乾爆して混合粉末を製造し、つ
いでこれをこのましくは5〜20Kg/mm2の圧力でプ
レスして圧粉体とした後、これをBN粉末または
ZrO2粉末とAl2O3粉末との混合粉末を充填剤とし
た黒鉛製またはSi3N4製るつぼの中で、前記雰囲
気中、1450〜1800℃の温度において1〜30時間焼
結することによつて遂行される。 〔実施例〕 ついで、この発明を実施例によつて詳細に説明
する。 実施例 1 1重量%(以下、%はすべて重量%を意味す
る)のY2O3を含む平均粒径:0.7μmのZrO2粉
末:95%と同1μmに粉砕したTi2AlN粉末:5%
にエチルアルコールを加えて、これらをボールミ
ル中で24時間湿式混合した後、乾燥して得られた
混合粉末を1ton/cm2の圧力でプレス成形して圧粉
体とし、ついでこの圧粉体を、BN粉末を充填剤
とした炭素るつぼの中で、10-2torrの真空中、温
度:1650℃に1時間保持の条件下で焼結した。 得られた焼結体は、ビツカース硬さHv:1700
Kg/mm2と抗折力:140Kg/mm2の常温強度を有する
ものであつた。X線回折図によると、この焼結体
中のZrO2は大部分が正方晶形であつて、他に少
量の立方晶形のZrO2が存在していることが確認
され、またAl2O3およびTiNの弱いX線回折ピー
クも検出された。さらに焼結体の断面を走査型電
子顕微鏡(SEM)で組織観察することによつて、
焼結体中のAl2O3およびTiNの各粒子の平均粒径
はそれぞれ0.3μmおよび0.4μmであることがわか
つた。 実施例 2 2%のY2O3と0.5%のMgOを含む平均粒径:
0.6μmのZrO2粉末:90%、同0.5μmのAl2O3粉
末:2%および同0.9μmのTi2AlN粉末:8%を
配合したものをボールミル中でエチルアルコール
を加えて24時間混合した。乾燥後得られた混合粉
末を1.2ton/cm2の圧力で成形して圧粉体とし、こ
れをZrO2:95%、Al2O3:5%の混合粉末を充填
剤としたSi3N4製るつぼ中において、窒素ガス
10torrの減圧下、温度:1670℃に1時間保持する
条件で焼結した。 得られた焼結体は、ビツカース硬さHv:1900
Kg/mm2と抗折力:130Kg/mm2の常温強度を有する
ものであつた。その後この焼結体に1000気圧のア
ルゴン雰囲気中、温度:1550℃において熱間静水
圧プレス(HIP)を施して、Hv:1900Kg/mm2の
硬さと抗折力170Kg/mm2の常温強度を有する焼結
体が得られた。 この焼結体をX線回折によつて調査すると、そ
の中のZrO2は正方晶が多く、また正方晶も確認
できた。さらにAl2O3の強いX線回折ピークと、
TiNの弱いX線回折ピークも検出できた。焼結
体の断面を実施例1と同様に組織観察すると、
Al2O3とTiNの粒子はいずれも平均粒径:0.4μm
を有する微細な粒子であることがわかつた。 つぎに、この焼結体を用いて磁気テープを切断
するためのスリツター刃をつくり、これを超硬合
金製のスリツター刃を使用する条件と同じ条件で
磁気テープの切断に使用したところ、超硬合金製
の刃の2倍の寿命が得られた。さらに比較のた
め、Ti2AlNとAl2O3を添加しないで、上記と同
じ2%のY2O3と0.5%のMgOを含むZrO2粉末の
みから得られた比較用焼結体で同様なスリツター
刃をつくり、上記と同じ切断試験を実施したとこ
ろ、この刃は従来の超硬合金製の刃の1/10の寿命
しか示さなかつた。 実施例 3 実施例2において製造した本発明の焼結体と比
較用焼結体について、800℃で10分間加熱した後
200℃まで冷却するという処理を10回繰返す熱処
理を施した。この熱処理前後におけるこれら焼結
体の硬さと常温抗折力を測定すると、それぞれ第
1表に示される値が得られた。
ラミツクスの製造方法に関し、特に高い硬さと、
すぐれた靭性および耐摩耗性を有し、かつ熱処理
に対して特性が安定している上記セラミツクスの
製造方法に関する。 〔従来の技術〕 一般に、刃物工具用セラミツクスはセラミツク
スの中でも最も高い靭性、耐酸化性および耐摩耗
性を必要とするものであつて、その刃物工具用セ
ラミツクスとしては、現在酸化ジルコニウム(以
下ZrO2で示す)基、アルミナ(以下Al2O3で示
す)基および窒化珪素(以下Si3N4で示す)基の
3系統のセラミツクスが実用化されており、その
うちZrO2基セラミツクスはセラミツクスの中で
最も高い常温抗折力を有し、スリツターナイフや
剪断刃のような刃物工具の素材として利用されて
いる。 このZrO2の結晶形には立方晶、正方晶および
単斜晶の3種があつて、ZrO2焼結体としては、
YやMgのような立方晶形を安定化させる元素
を加えて立方晶を多く残した焼結体、部分的に
立方晶形を残し、大部分を正方晶形とした焼結
体、および上記のような安定化元素を殆ど加え
ないで、正方晶と単斜晶とから構成させた焼結
体、などの焼結体が知られており、このうち強度
(靭性)が高く、刃物工具用材料として最も広範
囲に使用されることが期待されているのは上記
の部分安定化ジルコニア焼結体である。 この焼結体は抗折力とクラツク伝播抵抗値が高
いという長所を有するが、一方高温における特
性、すなわち硬さおよび抗折強度が稍劣るという
短所も有するので、これを補うために、ZrO2中
にAl2O3を第2相として、あるいはさらに4a,
5aおよび6a旅金属の硬質化合物を第3相とし
て分散させることが提案されており、これら4
a,5aおよび6a族金属の硬質化合物の中で
は、TiN、TiC、TiCN、TiCO、Ti(C、N、
O)、Ti2(CN)、TiB2のようなチタンの硬質化合
物が焼結体の耐熱性と耐摩耗性を向上させる上で
特に有効であつた。 〔発明が解決しようとする問題点〕 従来、このような硬質化合物をZrO2中に分散
させるには、これらの粉末を原料粉末の調合段階
で他の粉末と混合する方法が採られているが、こ
れらの原料粉末は一般に平均粒度0.5μm以上、普
通1μm程度のものであり、これよりも微細な粒子
構造を必要とするZrO2焼結体にとつては、この
ような粒度からなる第3相の分散相は粒子が粗
く、またその分散相が焼結中に凝集して、それが
脆性破壊の起点になることもあつた。したがつ
て、上記のような硬質化合物からなる分散相を焼
結体中に形成させても、それによつて高温特性の
改善や、それに伴う耐摩耗性の向上が満足に発揮
されないため、上記のような分散相を有する焼結
体は未だ実用化されていないのが現状である。 〔問題点を解決するための手段〕 そこで本発明者等は、上述のような観点から、
ZrO2焼結体中に分散している硬質化合物粒子を
微細化して、その焼結体の靭性や耐摩耗性および
高温特性を改善すべく種々研究を重ねた結果、
ZrO2を主体とした第一の相中にAl2O3とチタンの
硬質化合物を同時に分散させるに当り、二チタン
アルミニウム窒化物(以下、Ti2AlNで示す)を
原料配合時に加えると、そのTi2AlNが焼結中に
分解してAl2O3とTiNxを生じ、これらAl2O3およ
びTiNxがそれぞれ上記の第2相および第3相と
してZrO2粒子間に極めて微細かつ均一に分散し、
それによつてこれまでにない高い硬さと抗折強度
を合せもつた焼結体が得られることを見出した。 この発明は、上記知見に基いて発明されたもの
であつて、原料粉末を混合し、プレス成形して圧
粉体とし、ついでこの圧粉体を焼結することによ
つて、酸化ジルコニウムを主体とする第1相、ア
ルミナを主体とする第2相およびチタンの硬質化
合物からなる第3相を含む刃物工具用酸化ジルコ
ニウム基セラミツクスを製造する方法において、
上記原料粉末の一部としてTi2AlNを使用し、か
つ前記圧粉体を非酸化性雰囲気において焼結する
ことを特徴とするものである。 上記Ti2AlNは通常粉末の状態で得られるが、
原料粉末配合前にこれをさらに平均粒径2.0μm以
下、好ましくは1μm以下の粒度に粉砕し、立方晶
を部分的に安定化するY2O3やMgOを含んだZrO2
または純ZnO2に配合する。このTi2AlNは1000℃
以下の温度では安定な状態にあるが、1400℃以上
の温度では完全に分解して焼結体中の酸素あるい
は雰囲気ガス中の酸素と反応してAl2O3を生ずる
一方、その中のチタンはTi2AlN中の窒素あるい
は雰囲気ガス中の窒素と反応してTiNxとなり、
さらにそのTiNxは雰囲気ガスと反応して窒素を
含む種々の組成範囲を有するチタンの硬質化合物
を形成する。原料粉末を混合して得た混合粉末中
の混合粉末全体の重量を基にしたTi2AlN配合量
が1〜20重量%であるときにすぐれた切刃工具用
焼結体が得られ、また第3の成分としてAl2O3等
の硬質酸化物を混合粉末中に加えてもよい。 焼結時の雰囲気ガス中の酸素分圧は10-7気圧以
下が適しており、また従来ZrO2単味の焼結は一
般に大気中で行なわれているが、この発明による
圧粉体を大気中で焼結すると、Ti2AlNの分解に
よつて生成したTiNxが酸化されてTiO2になり、
それが窒素を含むチタンの硬質化合物として分散
しないことになるので、この発明では大気中で焼
結することができない。すなわち、この発明にお
ける焼結は、上記TiNxが酸化されないような、
酸素分圧Po2:10-7気圧以下の条件を満たす、高
真空炉、水素炉、あるいは不活性ガスまたは還元
性ガス雰囲気が形成されている炉内で遂行する必
要がある。 したがつて、この発明の製造方法は、例えば、
原料粉末として純ZrO2粉末またはその立方晶安
定化成分、すなわちY2O3および/またはMgOを
含むZrO2粉末、Ti2AlN粉末、さらに必要に応じ
てAl2O3粉末を用意し、これら原料粉末を所定の
割合で配合した後、それをボールミル中湿式混合
によつて混合し、乾爆して混合粉末を製造し、つ
いでこれをこのましくは5〜20Kg/mm2の圧力でプ
レスして圧粉体とした後、これをBN粉末または
ZrO2粉末とAl2O3粉末との混合粉末を充填剤とし
た黒鉛製またはSi3N4製るつぼの中で、前記雰囲
気中、1450〜1800℃の温度において1〜30時間焼
結することによつて遂行される。 〔実施例〕 ついで、この発明を実施例によつて詳細に説明
する。 実施例 1 1重量%(以下、%はすべて重量%を意味す
る)のY2O3を含む平均粒径:0.7μmのZrO2粉
末:95%と同1μmに粉砕したTi2AlN粉末:5%
にエチルアルコールを加えて、これらをボールミ
ル中で24時間湿式混合した後、乾燥して得られた
混合粉末を1ton/cm2の圧力でプレス成形して圧粉
体とし、ついでこの圧粉体を、BN粉末を充填剤
とした炭素るつぼの中で、10-2torrの真空中、温
度:1650℃に1時間保持の条件下で焼結した。 得られた焼結体は、ビツカース硬さHv:1700
Kg/mm2と抗折力:140Kg/mm2の常温強度を有する
ものであつた。X線回折図によると、この焼結体
中のZrO2は大部分が正方晶形であつて、他に少
量の立方晶形のZrO2が存在していることが確認
され、またAl2O3およびTiNの弱いX線回折ピー
クも検出された。さらに焼結体の断面を走査型電
子顕微鏡(SEM)で組織観察することによつて、
焼結体中のAl2O3およびTiNの各粒子の平均粒径
はそれぞれ0.3μmおよび0.4μmであることがわか
つた。 実施例 2 2%のY2O3と0.5%のMgOを含む平均粒径:
0.6μmのZrO2粉末:90%、同0.5μmのAl2O3粉
末:2%および同0.9μmのTi2AlN粉末:8%を
配合したものをボールミル中でエチルアルコール
を加えて24時間混合した。乾燥後得られた混合粉
末を1.2ton/cm2の圧力で成形して圧粉体とし、こ
れをZrO2:95%、Al2O3:5%の混合粉末を充填
剤としたSi3N4製るつぼ中において、窒素ガス
10torrの減圧下、温度:1670℃に1時間保持する
条件で焼結した。 得られた焼結体は、ビツカース硬さHv:1900
Kg/mm2と抗折力:130Kg/mm2の常温強度を有する
ものであつた。その後この焼結体に1000気圧のア
ルゴン雰囲気中、温度:1550℃において熱間静水
圧プレス(HIP)を施して、Hv:1900Kg/mm2の
硬さと抗折力170Kg/mm2の常温強度を有する焼結
体が得られた。 この焼結体をX線回折によつて調査すると、そ
の中のZrO2は正方晶が多く、また正方晶も確認
できた。さらにAl2O3の強いX線回折ピークと、
TiNの弱いX線回折ピークも検出できた。焼結
体の断面を実施例1と同様に組織観察すると、
Al2O3とTiNの粒子はいずれも平均粒径:0.4μm
を有する微細な粒子であることがわかつた。 つぎに、この焼結体を用いて磁気テープを切断
するためのスリツター刃をつくり、これを超硬合
金製のスリツター刃を使用する条件と同じ条件で
磁気テープの切断に使用したところ、超硬合金製
の刃の2倍の寿命が得られた。さらに比較のた
め、Ti2AlNとAl2O3を添加しないで、上記と同
じ2%のY2O3と0.5%のMgOを含むZrO2粉末の
みから得られた比較用焼結体で同様なスリツター
刃をつくり、上記と同じ切断試験を実施したとこ
ろ、この刃は従来の超硬合金製の刃の1/10の寿命
しか示さなかつた。 実施例 3 実施例2において製造した本発明の焼結体と比
較用焼結体について、800℃で10分間加熱した後
200℃まで冷却するという処理を10回繰返す熱処
理を施した。この熱処理前後におけるこれら焼結
体の硬さと常温抗折力を測定すると、それぞれ第
1表に示される値が得られた。
以上述べた説明から明らかなように、この発明
によると、十分な硬さとすぐれた靭性および耐摩
耗性を有し、しかも熱処理に対してこれらの特性
が安定しているZrO2基セラミツクスが得られる
から、これを特にスリツターナイフや剪断刃のよ
うな刃物工具の素材として使用した場合、すぐれ
た性能を発揮するものである。
によると、十分な硬さとすぐれた靭性および耐摩
耗性を有し、しかも熱処理に対してこれらの特性
が安定しているZrO2基セラミツクスが得られる
から、これを特にスリツターナイフや剪断刃のよ
うな刃物工具の素材として使用した場合、すぐれ
た性能を発揮するものである。
Claims (1)
- 1 原料粉末を混合し、プレス成形して圧粉体と
し、ついでこの圧粉体を焼結することによつて、
酸化ジルコニウムを主体とする第1相、アルミナ
を主体とする第2相およびチタンの硬質化合物か
らなる第3相を含む刃物工具用酸化ジルコニウム
基セラミツクスを製造する方法において、上記原
料粉末の一部として二チタンアルミニウム窒化物
を使用し、かつ前記圧粉体を非酸化性雰囲気にお
いて焼結することを特徴とする上記製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59215700A JPS6197163A (ja) | 1984-10-15 | 1984-10-15 | 刃物工具用酸化ジルコニウム基セラミツクスの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP59215700A JPS6197163A (ja) | 1984-10-15 | 1984-10-15 | 刃物工具用酸化ジルコニウム基セラミツクスの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6197163A JPS6197163A (ja) | 1986-05-15 |
JPS6366796B2 true JPS6366796B2 (ja) | 1988-12-22 |
Family
ID=16676709
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP59215700A Granted JPS6197163A (ja) | 1984-10-15 | 1984-10-15 | 刃物工具用酸化ジルコニウム基セラミツクスの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6197163A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2759084B2 (ja) * | 1986-06-03 | 1998-05-28 | 東芝タンガロイ株式会社 | 高硬度高強度セラミツクス焼結体及びその製造方法 |
JPS63129066A (ja) * | 1986-11-14 | 1988-06-01 | 東芝タンガロイ株式会社 | 高硬度高強度セラミツクス焼結体及びその製造方法 |
-
1984
- 1984-10-15 JP JP59215700A patent/JPS6197163A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6197163A (ja) | 1986-05-15 |
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