JPS636093Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、搬送物の搬送高さを可変とした搬送
高さ調整機能を有する搬送装置に関するものであ
る。

（従来技術） 従来、例えばエンジンのピストンを加工処理す
るために、加工機に対してピストンを搬送する搬
送装置を構成する場合に、ピストンをエンドレス
コンベアで加工機近傍まで搬送し、ローダーでピ
ストンを保持して加工機の固定治具にセツトし、
所定の加工を行うようにしているものであるが、
精度のよい加工を行うためには常にピストンの所
定位置（例えばピストンリング溝形成位置）をロ
ーダーによつて正確に保持する必要がある。

しかるに、一般に、ピストンの形状としては第
９図に示すピストンP1のように頭部ａに突部ｂ
が形成されているものと、第１０図に示すピスト
ンP2のように頭部ａが平坦なものがあり、これ
らのピストンの頭部ａをコンベア上に載置して搬
送する場合に、上記突部ｂの高さに対応してコン
ベア面からピストンリング溝ｃまでの高さが変化
するものであり、これらの高さの異なるピストン
をローダーで加工機の固定治具にセツトすると、
ローダーで保持する位置はコンベアの載置面から
同じであるため、高さの高いピストンは加工機の
固定治具に接触するという問題がある。この固定
治具はピストンフオーム形成の精度を向上するた
めに固定式に設けてあり、これに対し所定間隔で
可動側の保持治具を配設し、両者間にローダーで
常に一定の姿勢にピストンを搬送しなければなら
ないものである。

上記ピストンの高さが異なつた場合において
も、ローダーで一定の位置が保持できるようにす
るために、コンベアを支持しているフレームをベ
ースに対してアジヤストボルトによつて上下調整
し、コンベアの高さを変更するようにした構造も
考えられるが、頻繁な変更がある場合にはその都
度アジヤストボルトを調整しなければならずその
作業が面倒であり、稼働率が低下し処理能率の向
上を図る際の障害となつている。

（考案の目的） 本考案は上記事情に鑑み、搬送物を載置して搬
送するエンドレスコンベアの搬送側の搬送高さを
搬送物の種類に応じて簡易に変化させるととも
に、この搬送高さの変動に対してエンドレスコン
ベアに緩みが発生しないようにしてなる搬送高さ
調整機能を有する搬送装置を提供することを目的
とするものである。

（考案の構成） 本考案の搬送装置は、搬送物を載置して搬送す
るエンドレスコンベアと、該エンドレスコンベア
の搬送側に沿つて上下動自在に配設されエンドレ
スコンベアに摺接して搬送高さを調整する上ガイ
ド部材と、この上ガイド部材に所定間隔をもつて
連結されエンドレスコンベアのリターン側に摺接
可能な下ガイド部材とを備え、上ガイド部材の摺
動面と下ガイド部材の摺動面との間隔がエンドレ
スコンベアの駆動プーリおよびエンドプーリの径
より大きく配設され、上記上ガイド部材および下
ガイド部材を搬送物の高さに応じて上下移動する
移動機構を備えてなることを特徴とするものであ
る。

（考案の効果） 本考案によれば、搬送物の高さに応じた移動機
構の作動により上ガイド部材が上下動し、エンド
レスコンベアの搬送側を上下動してその搬送高さ
を変更するとともに、この上ガイド部材と一体に
下ガイド部材が上下移動してエンドレスコンベア
のリターン側に摺接し、エンドレスコンベアの搬
送高さの変更に伴うコンベア走行軌跡の変動によ
つて緩みが発生しないようにして良好な搬送状態
を維持することにより、ローダーでの搬送物の保
持位置を常に一定として精度の良い加工を実現す
ることができ、しかもその構造は簡単で搬送高さ
調整作業も簡易で迅速に行うことができ、搬送能
力の向上が図れるものである。

（実施例） 以下、図面により本考案の実施例を説明する。
第１図は搬送装置１の全体正面図、第２図はその
平面図、第３図は搬送高さ調整機構の正面図、第
４図は第１図の−線に沿う断面側面図、第５
図は第４図の−線に沿う断面平面図、第６図
は第５図の−線に沿う断面正面図、第７図は
移動機構を示す断面正面図、第８図は第７図の
−線に沿う矢視図である。

搬送物（ピストンＰ）を載置して搬送するエン
ドレスコンベア２は、チエンコンベア３の両端が
駆動プーリ４とエンドプーリ５とにより支持され
てなり、このエンドレスコンベア２が基フレーム
６の上端に配設された側板７，７間に設置され、
上記駆動プーリ４が駆動モータ８により回転駆動
されて、搬送側２ａ上面に搬送物を載置して第１
図の左方から右方に搬送するものである。

上記エンドレスコンベア２上には、上記側板
７，７に立設されたステー９ａに保持されたガイ
ドバー９が所定間隔で平行に配設され、このガイ
ドバー９はピストンＰのスカート部ｄを両側から
案内する（第４図参照）。上記ガイドバー９は中
央部において分断されており、図の左端から搬入
されたピストンＰはこの部分にてローダー（図示
せず）によつて保持され、側方に設置された加工
機（図示せず）に移載し、加工終了後、エンドレ
スコンベア２上に戻すように構成されている。

また、上記エンドレスコンベア２に対しては、
搬送高さ調整機構Ａが設置され、移動機構Ｂの作
動によりエンドレスコンベア２の搬送高さが変更
される。

上記搬送高さ調整機構Ａは第３図に示すよう
に、エンドレスコンベア２の搬送側２ａの内側に
摺接する摺動面１０ａを備えた上ガイド部材１０
と、該上ガイド部材１０に所定間隔毎に連結部材
１２を介して連結されエンドレスコンベア２のリ
ターン側２ｂの内側に摺接する摺動面１１ａを備
えた下ガイド部材１１とを備えている。すなわ
ち、上記エンドレスコンベア２のチエンコンベア
３はプレート部３ａの下面中央にチエン部３ｂが
設けられ、搬送側２ａ（上部）のプレート部３ａ
下面の両側に前記上ガイド部材１０の摺動面１０
ａが摺接して、このプレート部３ａの走行位置を
上下動させて搬送高さを変更するものであり、上
昇した高い位置にあるときには、エンドレスコン
ベア２の上面（搬送面）は駆動プーリ４およびエ
ンドプーリ５の上端より高い位置となる。また、
上記連結部材１２による上ガイド部材１０と下ガ
イド部材１１との間の距離は駆動プーリ４および
エンドプーリ５の径より大きく、すなわち、上ガ
イド部材１０の摺動面１０ａと下ガイド部材１１
の摺動面１１ａとの間隔は、駆動プーリ４および
エンドプーリ５の径より大きく配設され、常に上
ガイド部材１０および下ガイド部材１１の一方も
しくは両方がエンドレスコンベア２に摺接してい
るように設けられている。

上記連結部材１２は、側板７，７に回動自在に
枢支された回動シヤフト１３に固着されたアーム
１４の先端が接続されて、回動シヤフト１３の回
転作動に応じて上下動するように設けられてい
る。また、前後端の連結部材１２にはリターン側
２ｂ両端のチエンコンベア３のチエン部３ｂに噛
合してガイドするガイドスプロケツト１５，１５
が配設されている。

上記回動シヤフト１３の回動操作すなわち上下
のガイド部材１０，１１の上下作動を行う移動機
構Ｂは、側板７を貫通した各回動シヤフト１３の
一端部に対して下方に延びるレバー１６がそれぞ
れ固着され、各レバー１６の下端を連結してリン
ク１７が搬送方向と平行に配設されている。

上記リンク１７の一端部は第７図に示すよう
に、ガイドロツド１８に案内されてスライドする
移動ガイド１９に連接され、この移動ガイド１９
に伸縮シリンダ２０のロツド２０ａが接続され、
伸縮シリンダ２０の作動によつて移動ガイド１９
を介してリンク１７が軸方向に移動するように設
けられている。

一方、上記リンク１７の移動量すなわち上ガイ
ド部材１０の上昇量は、高さの異なる複数のスト
ツパ２１に、リンク１７に沿つて若干移動可能に
支持された当て部材２２が当接することによつて
規制される。上記ストツパ２１は第８図に示すよ
うに、回転板２３に対して同心円上に配設され、
この回転板２３がステツプモータ２４により回転
作動されて、所定高さのストツパ２１が当て部材
２２との当接位置に選択移動される。

上記ステツプモータ２４の作動は、回転板２３
の回転と一体に回転するロータ２５に配設された
検出子２６の移動位置が、これに対向して固定側
にストツパ２１の配置と対応して設置された近接
スイツチ２７によつて検出され、所定位置に停止
するように構成されている。一方、上記当て部材
２２はストツパ２１との当接によつて若干後退移
動するようになつている。リミツトスイツチ２８
は当て部材２２が最も後退した時に作動し、この
状態ではステツプモータ２４が作動可能となつて
いる。

上記実施例の作動を説明すれば、第９図に示す
ような頭部ａに突部ｂが形成されているピストン
P1を搬送する場合には、ステツプモータ２４を
操作して高さの高いストツパ２１を当て部材２２
に対向する位置に移動した後、伸縮シリンダ２０
を作動させてロツド２０ａを突出させ、移動ガイ
ド１９の移動に伴つてリンク１７を当て部材２２
がストツパ２１に当接して停止するまで引張移動
させることにより、レバー１６を介して回動シヤ
フト１３を回動させてアーム１４によつて連結部
材１２を少量持上げ、上ガイド部材１０を低い位
置に設定し、高さの高いピストンP1に対応する。
その際、下ガイド部材１１はエンドレスコンベア
２のリターン側２ｂに摺接してガイドすることに
より、チエンコンベア３の上下方向の躍りを防止
するとともに大きな緩みを吸収している。

一方、これに対し第１０図に示されるような頭
部ａが平坦なピストンP2を搬送する場合には、
伸縮シリンダ２０を作動してロツド２０ａを後退
させて当て部材２２をストツパ２１から離した状
態において、ステツプモータ２４を駆動して高さ
の低いストツパ２１を当て部材２２と対向する位
置に移動させた後、伸縮シリンダ２０を作動して
ロツド２０ａを伸長し、上ガイド部材１０を上昇
移動させるものであるが、このときにはストツパ
２１の高さが低いことからリンク１７の移動量は
大きく、上ガイド部材１０の上昇移動量も大きく
なり、エンドレスコンベア２の搬送高さが高くな
るものである。

なお、伸縮シリンダ２０の作動により当て部材
２２が最も後退した状態では、上ガイド部材１０
および下ガイド部材１１が最も低い位置まで下降
し、下ガイド部材１１でエンドレスコンベア２の
リターン側２ｂを下方へ押し下げてチエンコンベ
ア３を張るため、次に、当て部材２２をストツパ
２１に当接させて上ガイド部材１０で所定の高さ
にエンドレスコンベア２の搬送高さを調整する
時、搬送側２ａのエンドレスコンベア２の緩みが
解消される。

以上のようにして搬送物の高さに対応して上ガ
イド部材１０を上下移動し、エンドレスコンベア
２の搬送高さを変更するとともに、上ガイド部材
１０と一体に上下移動する下ガイド部材１１によ
り上ガイド部材１０が低い位置にあるときのエン
ドレスコンベア２のリターン側２ｂを外側に張つ
て緩みを吸収するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は搬送装置の全体正面図、第２図は同平
面図、第３図は搬送高さ調整機構の正面図、第４
図は第１図の−線に沿う断面側面図、第５図
は第４図の−線に沿う断面平面図、第６図は
第５図の−線に沿う断面正面図、第７図は移
動機構を示す断面正面図、第８図は第７図の−
線に沿う矢視図、第９図および第１０図はそれ
ぞれ搬送物の一例として高さの異なるピストンを
示す正面図である。 １……搬送装置、２……エンドレスコンベア、
２ａ……搬送側、２ｂ……リターン側、１０……
上ガイド部材、１１……下ガイド部材、１２……
連結部材、１３……回動シヤフト、１７……リン
ク、２０……伸縮シリンダ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 搬送物を載置して搬送するエンドレスコンベア
   と、該エンドレスコンベアの搬送側に沿つて上下
   動自在に配設されエンドレスコンベアに摺接して
   搬送高さを調整する上ガイド部材と、この上ガイ
   ド部材に所定間隔をもつて連結されエンドレスコ
   ンベアのリターン側に摺接可能な下ガイド部材と
   を備え、上ガイド部材の摺接面と下ガイド部材の
   摺接面との間隔がエンドレスコンベアの駆動プー
   リおよびエンドプーリの径より大きく配設され、
   上記上ガイド部材および下ガイド部材を搬送物の
   高さに応じて上下移動する移動機構を備えてなる
   ことを特徴とする搬送高さ調整機能を有する搬送
   装置。