JPS6356349B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は太くて長く且つ立毛の先端が細化又は
分岐した刺毛様繊維と、細くて短かい綿毛様繊維
から構成され、外観、触感が天然毛皮に極めて近
似した人造毛皮を製造する方法に関するものであ
る。 一般に、天然の毛皮は、保温を目的とした細く
て短かく、かつ密着した綿毛と、その綿毛を保護
するための太くて長く、しかも先端部が先細化し
た刺毛とからなつており、これまでにかかる天然
毛皮に類似した人造毛皮を製造する種々の方法が
提案されている。 例えばアルカリに対する溶解性を異にする２種
以上のポリエステル系繊維をパイルに使用し、該
パイルの先端部をアルカリ水溶液中に浸漬させ、
長短パイルを得ると共にパイル先端部を細化させ
る方法（特公昭48−4910号公報）があり、この方
法によると、天然毛皮に類似した人造毛皮が得ら
れるとされているが、風合、外観の点で天然毛皮
には遠く及ばない。 本発明者らは、かかる問題点の原因は刺毛成分
の先端が充分に先細化されない点にあることを見
出し、刺毛成分として複合繊維を用い、その先端
を細化又は分岐させる方法により、風合、柔軟性
が天然毛皮に極めて類似した人造毛皮を得ること
ができることを見出し、本発明に到達した。 即ち、本発明は、長い刺毛様の繊維と短い綿毛
様の繊維とにより構成される人造毛皮の製造法に
おいて、該刺毛様の繊維として、加水分解性を異
にする２種以上の重合体からなり、そのうち少な
くとも１種の重合体はポリエステルである芯鞘
型、サイドバイサイド型、海島型又は多層貼合せ
型複合繊維であつて、単糸繊度20de〜70deの範
囲にあるものを用い、該綿毛様の繊維として、該
複合繊維よりも繊度が小さく且つ、潜在捲縮能を
有する１種以上のポリエステル系合成繊維とで構
成された立毛布帛の立毛表面を加水分解剤で処理
し、該複合繊維から加水分解性の大なるポリエス
テル重合体成分を分解除去するとともにポリエス
テル系合成繊維の先端部を分解除去せしめ、先端
が細化又は分岐した長い刺毛様の繊維と、短い綿
毛様の繊維とを形成せしめることを特徴とする人
造毛皮の製造法である。 本発明において、加水分解性を異にする２種以
上の重合体であつて、そのうち少なくとも１種の
重合体がポリエステルである芯鞘型、サイドバイ
サイド型、海島型又は多層貼合せ型複合繊維が用
いられる。ここで芯鞘型複合繊維とは第１図〜第
７図に示す如く２種類以上の重合体成分を芯鞘の
関係位置に配置したものであり、サイドバイサイ
ド型複合繊維とは第８図〜第９図に示す如く２種
類以上の重合体成分を並置関係配置したものであ
る。 又、海島型複合繊維とは、単繊維の断面におい
て加水分解速度の小なる重合体成分が少なくとも
８本以上の島成分に高度に分散しているともに各
成分が繊維軸方向に連続的に配列している繊維で
あつて、且つ海成分は島成分よりも加水分解を受
け易いことが必要である。 断面形状を第１０図、第１１図に例示する。多
層貼合せ型複合繊維としては、加水分解性を異に
する二種以上の重合体が断面方向で交互に隣接し
て配置されたものであり、その断面形状を第１２
図〜第１８図に例示する。以上の例示に於て成分
１の加水分解速度は成分２のそれよりも大きい。
これらの複合繊維の先端部を加水分解剤で処理す
ると、加水分解速度の大なる成分１が早く分解し
て除去され、先端部が細化又は分岐する。例えば
第１図、第７図に示すような横断面形状を有する
芯鞘型複合繊維の場合は、成分１が分解除去さ
れ、成分２が残り、それぞれ第１９図、第２０図
に示すように、その先端部が細化する。また、第
９図に示すような横断面形状のサイドバイサイド
型複合繊維の場合は、第２１図に示すように先端
部が細化される。同様に第１１図に示すような横
断面型状の海島型複合繊維の場合は、第２２図に
示すように先端部において海成分１が分解除去さ
れ多数の島成分２が残り、細化、分岐した形とな
る。更に、第１２図、第１８図に示すような横断
面形状の多層貼合せ型複合繊維の場合は、それぞ
れ第２３図、第２４図に示すようにその先端部が
分岐する。 これら複合繊維の繊度は、刺毛成分として用い
られるものであるため20de〜70deの範囲にある
ものが好適に使用される。本発明に用いられる重
合体としてはポリアミド、ポリエステル、ポリス
チレン、ポリエチレンなどが適宜選択され用いら
れる。ポリアミドとしては６ナイロン、66ナイロ
ン、芳香族ポリアミドなどがあげられる。ポリア
ミドに艶消剤や５〜30％のポリエステルをブレン
ドしたものも有効である。 又、ポリエステルとしては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、ナフタリン−２，６−ジカルボン酸
などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシ
ン酸などの脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエ
ステル類と、エチレングリコール、ジエチレング
リコール、１，４−ブタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、シクロヘキサン−１，４−ジメタ
ノールなどのジオール化合物とから合成されるポ
リエステルが例示される。また上記ポリエステル
成分にポリオキシアルキレングリコール、グリセ
リン、ペンタエリスリトール、メトキシポリアル
キレングリコール、ビスフエノールＡ、スルホイ
ソフタル酸などを共重合させたものおよび艶消
剤、熱安定剤、顔料あるいは末端に

【式】基または

【式】基を有するポリオキシエ チレン誘導体、アルキルベンゼンスルホン酸ソー
ダ、アルキルスルホン酸ソーダを含有させたもの
も用いることができる。本発明ではこれらの重合
体の中から加水分解性を異にし、少なくとも１種
はポリエステルである二種以上の重合体を選び出
し芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型又は多層
貼合せ型に複合紡糸することが必要である。２種
以上の重合体を組合せる方法しては互に種類の異
なる重合体を用いる場合と同一種類の重合体の中
から選んで用いる場合とがあるが、これら成分の
うち少なくとも１種はポリエステルであることが
必要である前者の例としてはポリエステルとポリ
アミド、ポリエステルとポリエチレンの如き組合
せが考えられる。後者の例としてはポリエチレン
テレフタレートとポリエチレン−５−ナトリウム
スルホイソフタレート、ポリエチレンテレフタレ
ートとポリオキシエチレングリコールが共重合さ
れたポリエステル、ポリエチレンテレフタレート
とアルキルスルホン酸ソーダがブレンドされたポ
リエステル、ポリエチレンテレフタレートとポリ
ブチレンテレフタレートなど共重合又はブレンド
法によつて加水分解速度を大ならしめたポリエス
テルを組合せて用いる方法があげられる。とりけ
−SO₃Me（Meは金属元素を表わす）を有するポ
リエステルは加水分解を受け易いので複合繊維の
成分重合体として有効である。 本発明に於て、複合繊維よりも繊度が小さくか
つ潜在捲縮能を有するポリエステル系合成繊維と
しては第３成分が共重合又は、ブレンドされたポ
リエステルからなる繊維が好ましく、とりわけ−
SO₃Me基（Meは金属元素を表わす）を有するも
のが好ましい。−SO₃Me基を有するポリエステル
としては例えば１〜〜15モル％の なる単位を共重合させたコポリエステル、0.5〜
10重量％のアルキルスルホン酸のアルカリ金属
塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属
塩をブレンドしたポリエステル等を挙げることが
できる。これらにポリオキシエチレングリコール
を共重合させることも有効である。このポリエス
テル系合成繊維の繊度の望ましい範囲は0.1〜
10deであり、特に望ましくは0.1〜6deであるが、
異つたデニール、捲縮性又は断面形状の２種以上
の繊維を混合して使用してもよい。 このように繊度が刺毛成分の複合繊維よりも小
さいポリエステル系合成繊維、特に−SO₃Me基
を有するポリエステル系合成繊維を用いることに
より、加水分解剤処理に際して刺毛成分の複合繊
維よりも、極めて容易に分解作用を受け易くな
り、刺毛成分の複合繊維よりも短かい綿毛成分を
容易に形成することができる。 又、刺毛の重合体成分にポリアミドを用い綿毛
成分に−SO₃Me基を有するポリエステル系合成
繊維を用いる場合は、両者の染色性に差があるた
め、刺毛、綿毛の配色を自由にコントロールでき
ることも本発明の大きな利点である。即ち、刺毛
を構成するポリアミド系合成繊維は酸性染料及び
分散染料で、又綿毛を構成するポリエステル系合
成繊維はカチオン染料と分散染料で染色されるた
め、例えば酸性染料とカチオン染料の組合せにて
染色すると、刺毛と綿毛を黄色と責色、赤色と緑
色などの互に補色の関係にある色相に染め分ける
ことができる。又、分散染料にて染色する場合
は、両者を同系統の色相に染色することもでき
る。 更に綿毛成分のポリエステル系合成繊維は、潜
在捲縮能を持つていることが必要である。潜在捲
縮能を有する繊維としては、例えば、収縮性の異
なるポリマーを偏心的に接合させた複合繊維、繊
維の製造工程において、非対称な冷却、加熱、処
理剤処理等を行ない非対称構造とした繊維等が挙
げられるが、なかでも複合繊維を用いる方法が最
も好ましい。ポリエステル系複合繊維は２以上の
ポリエステルポリマーを共重合成分、共重合量、
ブレンド成分、ブレンド量、重合度等が異なるよ
うにして組み合せ、偏心的にサイドバイサイド
型、芯−鞘型で接合させることにより得ることが
できる。この組み合せの例としては、共重合量の
異なる５−スルホイソフタル酸共重合ポリエステ
ル、５−スルホイソフタル酸共重合ポリエステル
とアルキルスルホン酸ソーダブレンドポリエステ
ル、重合度の異なる５−スルホイソフタル酸共重
合ポリエステル等を挙げることができる。重合度
差は、極限粘度〔η〕にして0.05以上となるよう
にすると良好な三次元捲縮が得られる。 綿毛成分が全て潜在捲縮能を有する必面要はな
いが少なくともその50％は潜在捲縮能を有してい
ることが望ましい。 本発明において、刺毛成分としての繊度の大な
る複合繊維の立毛繊維中に占める割合は、30〜65
％（重量）にするのが望ましい。風合、柔軟性、
外観において天然毛皮により近似してくるからで
ある。 これらの合成繊維を用いて立毛布帛を得るに
は、編物、織物、不織布等の布帛に該複合繊維、
ポリエステル系繊維を植毛する方法、パイル編地
に編成する方法、スライバー編機により編成する
方法、二重織機にて二重織物を製織後２枚の織物
の間を上下し接結しているパイルたて糸をナイフ
で切つてパイル織物を得る方法、朱子織物として
起毛する方法などがあげられる。 このようにして得た立毛布帛は、必要に応じ
て、パツキング、裏面フロツク加工、ブラツシン
グ、ポリツシヤー加工、剪毛加工などが施され
る。このうちポリツシヤー加工は、立毛の先端部
を加熱しながら伸長させるもので、原綿の有する
捲縮を除去するために有効であり、加工温度は
150〜250℃が適当である。 立毛布帛の立毛密度は3000〜15000本／cm²、立
毛長さは10〜50mmが適している。 次いでポリエステル系合成繊維に対する加水分
解剤で立毛表面を処理し刺毛成分複合繊維のポリ
エステル成分を分解して、その先端を細化又は分
岐させ、ポリエステル系合成繊維立毛の先端を分
解して短かくする。 ポリエステル系合成繊維に対する加水分解剤と
しては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭
酸ソーダなどを例示することができる。これら加
水分解剤の使用濃度には特に限定はなく、適用さ
る合成繊維の種類、断面形状、太さ、加熱処理温
度等に応じて適宜選定される。また加水分解とし
てアルカリ金属化合物を使用する場合は、ラウリ
ルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セ
チルジメチルベンジルアンモニウムクロライドの
ような第４級アンモニウム塩を添加、併用する
と、ポリエステル繊維の加水分解が促進されるの
で望ましい。 立毛布帛の立毛表面を加水分解剤で処理する方
法としては、立毛表面を加水分解剤溶液中に浸漬
する方法を用いてもよいが、この方法では、 (1) 処理中に溶浴が飛散するため危険であり、取
扱いにくい。 (2) 液浴中に一定時間浸漬させた状態で溶解、分
解処理を施すため、どうしてもバツチ処理にな
らざるを得ず、処理効率が悪くなる。 (3) 立毛繊維の長短度合をコントロールするのが
比較的むずかしい。 (4) 工業的規模で実施する場合、幅92〜150cm、
長さ30〜50ｍのパイル布帛をパイル先端がアル
カリ水溶液中に長時間浸漬されるように保ちな
がら均一なアルカリ処理を施すことは技術的に
困難である。 といつたような問題点がある。かかる問題点を解
消するには特に加水分解剤を粘性媒体中に溶解又
は分散させて粘性処理剤として適用する方法を採
用するのが望ましい。この粘性処理剤の粘度は
1000〜15000センチポイズの範囲内にあることが
必要である。粘度が1000センチポイズ未満だと処
理剤の流動性が高すぎ、立毛表面に付着させた処
理剤が立毛の根元部にまで流下し、立毛繊維の先
端部から根元部までを処理液が均一に被覆してし
まい、立毛繊維全体が一様に分解して先端部のみ
を分解させて短かい立毛繊維とすることができな
い。また、15000センチポイズを越えると取扱り
が困難となり、立毛表面へ均一に処理剤を付着さ
せることがむつかしくなる。特に好ましい範囲は
3000〜8000センチポイズである。 粘性処理剤の粘度を調整するには、小麦澱粉、
米ぬか、トラカントゴム、アルギン酸ソーダ、ロ
ーカストビーンガム、メチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ナフカクリスタルガム、
ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリア
クリル酸ソーダ当の天然糊料、半合成糊料、合成
糊料を添加すればよい。 粘性理剤を立毛布帛の立毛表面に付与する方法
としては、ナイフコーテイング法、グラビヤコー
テイング法、フラツトスクリーン法、ロータリー
スクリーン法等を用いることができる。 立毛表面に付与された粘性処理剤は、その粘性
のために流下が抑制され立毛繊維の先端部に多量
の粘性処理剤が付着し、その結果、当然先端部に
加水分解剤が多量に付着し、ポリエステル繊維は
先端が分解して短かくなることになる。 立毛表面に粘性処理剤を付着させた立毛布帛を
そのまま放置しておいて、立毛繊維を分解させて
もよいし、更に加熱処理をすることによつて分解
作用を促進させてもよい。加熱処理すると処理時
間の短縮、工程連続化が可能となるので工業的に
実施するには好ましい態様である。可熱処理方法
としては、次のような方法をあげることができ
る。 (1) 乾熱法：130〜200℃の乾熱雰囲気中で30秒〜
20分間加熱する方法。 (2) 蒸熱法：100〜130℃の飽和水蒸気雰囲気中で
５〜40分間加熱する方法。 (3) 過熱蒸熱法：130〜200℃の過熱水蒸気雰囲気
中で５〜30分間加熱する方法。 なかでも、特に(2)蒸熱法が本発明にとつて好適で
ある。また、本処理を２回以上くり返えして実施
してもよい。粘性処理剤を用いた場合は、液浴が
飛散するようなことがなく、均一な連続処理が可
能となり、立毛繊維の長短度合をコントロールす
るのが容易になるという利点があるうえに、溶液
中への浸漬処理を施した場合に比較して、処理後
の立毛長が均一となり、外観も天然毛皮に近い立
毛状態になる。 かくして得られた長短立毛繊維の表面をシリコ
ン重合体で被覆させることは、その風合を天然毛
皮に近づけるうえで、極めて有効な手段である。
シリコン重合体皮膜を形成させるには、 (1) ポリエポキシドと、アミノシロキサンの混合
物 (2) エポキシシロキサンとポリアミンの混合物 (3) エポキシシロキサンとアミノシロキサンの混
合物 (4) エポキシシロキサンとアミノシランの混合物 等で繊維を処理し、繊維の表面でシリコン重合体
を硬化させればよ。この後必要に応じウレタン樹
脂、ゴムなどによる裏面加工を施し、人造毛皮と
する。 なお、綿毛成分のポリエステル系繊維の潜在捲
縮の発現処理は、任意の段階で行なうことがで
き、その処理手段も加熱、膨潤等従来公知の手段
を用いることができるが、立毛布帛にポリツシヤ
ー加工を施す際の加熱によつて、潜在捲縮を発現
させるようにするのが便利である。 本発明方法によれば、立毛繊維の長短化が極め
て容易であると共に、得られた立毛布帛の立毛繊
維は長くて太く且つ先端が細化又は分岐した刺毛
成分と、細くて短かく、かつ三次元捲縮を有する
綿毛成分とで構成されているため、風合が柔軟で
皮膚に接触しても剛直感がなく、被覆性に優れ、
人造毛皮を折り曲げても基布は見えにくく、更に
刺毛が綿毛の三次元捲縮によつて保持されて、倒
れにくくなり、保温性も良好で、風合、外観共に
天然毛皮に類似し、外衣裏地として、またその他
の毛皮用途に広く使用することができる。更に、
刺毛成分にポリアミドを用いる場合は綿毛成分と
の間に染色差があるため、両者の配色を自由にコ
ントロールでき、商品の多様化に資するところ極
めて大である。 以下、実施例により本発明を詳細に説明する。 実施例 １ 刺毛(A)の製造 ｏ−クロロフエノール中35℃で測定した極限粘
度0.65のポリエチレンテレフタレートとポリエチ
レンテレフタレートに対して20モル％の５−ナト
リウムスルホイソフタル酸を共重合した35℃のｏ
−クロロフエノール中で測定した極限粘度が0.40
のポリエステルとを特開昭50−14811号公報に記
載されている紡糸口金装置を使用して紡糸温度
285℃で延伸後のデニールが45デニールになる吐
出量で紡出した。 得られた未延伸糸を延伸倍率3.5倍で加熱延伸
し、次いで押込みクリンパーにより捲縮数３〜４
山／25mmの捲縮を付与し、その後、熱固定処理
し、64mmの長さに切断した。 得られた複合繊維の断面は、第１２図に示すよ
うなポリエチレンテレフタレートと５−ナトリウ
ムスルホイソフタル酸を共重合したポリエステル
とが交互に全層数16ケに接着配置されて並んでい
るものであつた。 綿毛（Ｂ−１）の製造 35℃のオルソクロロフエノール溶液で測定して
求めた極限粘度が0.50である2.3モル％の５−ナ
トリウムスルホイソフタル酸を共重合した変性ポ
リエチレンテレフタレートを290℃で溶融し孔径
0.3mmのノズルを300個有する口金から紡出し、
600ｍで捲取つた。この紡糸原糸を合糸したトウ
を70℃の水浴中で4.3倍に延伸した後、このトウ
をスタツフイングボツクス式クリンパーに通し、
捲縮を付与し、次いで51mmのステープルフアイバ
ーに切断した。得られたステープルフアイバーの
繊度は2deであつた。 綿毛（Ｂ−２）の製造 35℃のオルソクロロフエノール溶液中で測定し
て求めた極限粘度がそれぞれ0.50と0.38である２
種類の3.0モル％の５−ナトリウムスルホイソフ
タル酸を共重合した変性ポリエチレンナフタレー
トを別々に溶融し、孔径0.3mmの円形口金から
１：１の割合でサイドバイサイドに接合して紡出
し、600ｍ／分で捲取つた。この紡糸原糸を合糸
したトウを70℃の水浴で4.0倍に延伸した後、110
℃で５分間弛緩熱処理して軽度の三次元捲縮を発
現させ、51mmの長さに切断し繊度2deのステープ
ルフアイバーを得た。 綿毛Ｂ−１とＢ−２を35対65の割合で混合し綿
毛(B)とした。 かくして得られた刺毛(A)と綿毛(B)を重量比40：
60の割合で混合し、これをカード機にかけて100
ゲレンのスライパーを作成した。このスライバー
を米国ワイルドマン社製スライバーニツテイング
機にて編成した。 この場合、裏糸としてポリエステル100％14／
一紡績糸を用いた。編成チユーブを開裂した後、
アクリル系樹脂でバツクコーテイングして120℃
で加熱し、毛足を固定した。次いで、シアリング
によりパイルを約２cmの長さにカツトした後、
200℃、160℃及び120℃の温度で３回にわたつて
ポリツシヤー加工して立毛繊維のクリンプを除去
した。その後、更にシアリングを行ない、立毛の
長さを２cmにそろえた後整毛した。得られた立毛
布帛の立毛密度は7000本／cm²であつた。次いでカ
性ソーダ25％、アルギン酸ソーダ25％を含む水性
処理剤（粘度6000センチポイズ）を1.2ｇ／cm²の
付着量となるようにスクリーン法によつて立毛表
面にコーテイングした。その後、乾燥することな
く、蒸熱処理装置内で100℃、20分間のスチーミ
ング処理を施し、水洗乾燥した。 このようにして得た立毛布帛を Γ分散染料 ダイアニツクスグレーTN−FS3.0％（o.w.
f） （三菱化成工業(株)製品） Γカチオン染料 ダイアクリルブラウンＧ−N4.0％（o.w.f） （三菱化成工業(株)製品） Γ分散剤 デスパーTL １ｇ／ （明成化学(株)製品） Γ酢酸 0.2ｇ／ 浴比 １：30 温度 120℃ 時間 60分 なる条件で染色した所、刺毛成分がグレー色綿毛
成分がダークブラウン色に染色された。この布帛
の裏面にポリウレタンエマルジヨンの30％水溶液
をグラビア法により、ピツクアツプが35％となる
ように付着せしめ、130℃にて３分間乾燥した。 次いで、

【式】なる構造単位と

【式】 なる構造単位とから成り、エポキシ化度１重量％
両末端が−Si（CH₃）であるエポキシシロキサン
72重量部と なる構造のアミノシラン６重量部とを含む混合物
の１重量％エマルジヨン液中に浸漬し脱液、乾燥
後140℃で１分間加熱硬化させた。 このようにして得られた立毛布帛の立毛部は太
くて長く且つその先端が８層に分岐した刺毛と、
細くて短かく且つ細かい三次元捲縮を有する綿毛
からなり、その手ざわりは極めて柔軟で外観も天
然毛皮に類似したものであつた。 実施例 ２ 刺毛(A)の製造 ｏ−クロロフエノール中35℃で測定た極限粘度
0.65のポリエチレンテレフタレートとポリエチレ
ンテレフタレートに対して2.0モル％の５−ナト
リウムスルホイソフタル酸を共重合した35℃のｏ
−クロロフエノール中で測定した極限粘度0.40の
ポリエステルとをコンジユゲート紡糸装置を使用
して紡糸温度285℃で延伸後のデニールが40デニ
ールになる吐出量で紡出した。この場合、断面形
状は第７図に示すごときもので２本の芯部２はポ
リエチレンテレフタレート、鞘部１は共重合ポリ
エステルで構成されるようにした。得られた未延
伸糸を延伸倍率3.5で加熱延伸し、押込みクリン
パーで捲縮数３〜４山／25mmの捲縮を付与した後
熱固定処理し51mmの長さに切断した。 綿毛(B)の製造 実施例１と同様にして作成した。かくして得ら
れた刺毛(A)と綿毛(B)を重量比45：55の割合で混合
し、これをカード機にかけて100ゲレンのスライ
バーを作成した。このスライバーを米国ワイルド
マン社製スライバーニツテイング機にて編成し
た。 以下実施例１と同様の方法で加工した。このよ
うにして得られた立毛布帛の立毛部は太くて長く
且つその先端が細化するとともに２本に分岐した
刺毛と細くて短かく且つ細かい三次元捲縮を有す
る綿毛からなり、その手ざわりは極めて柔軟で、
外観も天然毛皮に類似したものであつた。 実施例 ３ 刺毛(A)の製造 35℃のメタクレゾール溶液で測定して求めた極
限粘度が1.1のナイロン６（ポリカプロラクタム）
と25℃のｏ−クロルフエノール中で測定して求め
た極限粘度が0.40の５−ナトリウムスルホイソフ
タル酸を共重合したポリエステルとをコンジユゲ
ート紡糸装置を使用して紡糸温度270℃で延伸後
のデニールが40デニールになる吐出量で紡出し
た。この場合、断面形状は第１８図の如くなり、
中央部１に５−ナトリウムスルホイソフタル酸を
共重合したポリエステルを両端部２にナイロン６
を用いた二層複合繊維とした。得られた未延伸糸
を延伸倍率3.5倍で加熱延伸し、押込みクリンバ
ーで捲縮数３〜４山／25mmの捲縮を付与した後、
熱固定処理し51mmの長さに切断した。 綿毛(B)の製造 実施例１と同様にして作成した。かくして得ら
れた刺毛(A)と綿毛(B)を重量比40：60の割合で混合
しこれをカード機にかけて100ゲレンのスライバ
ーを作成した。このスライバーを米国ワイルドマ
ン社製のスライバーニツテイング機にて編成し
た。次いで、実施例１と同様の方法で加工した
後、次の条件で染色した。 Γ酸性染料 スミノールシヤイアニン5R2％（o.w.f） （住友化学工業(株)製品） Γ分散染料 ダイヤニツクスブラウン2B−FS5％（o.w.f） （三菱化成工業(株)製品） Γ酢酸 浴比 １：30 温度 120℃ 時間 60分 このようにして得られた立毛布帛の立毛部は太く
て長く且つその先端が２本に分岐した濃茶色の刺
毛と細くて短かく且つ細かい三次元捲縮を有する
茶色の綿毛からなり、その手ざわりは極めて柔軟
で外観も天然毛皮に極めて類似したものであつ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図から第１８図までは本発明で用いられる
複合繊維の横断面形状の例を示すものであり、第
１９図から第２４図までは加水分解剤で処理した
後の複合繊維先端部の斜視図である。 １は加水分解速度の大なる成分、２は加水分解
速度の小なる成分を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 長い刺毛様の繊維と短い綿毛様の繊維とによ
   り構成される人造毛皮の製造法において、該刺毛
   様の繊維として、加水分解性を異にする２種以上
   の重合体からなり、そのうちの少なくとも１種の
   重合体はポリエステルである芯鞘型、サイドバイ
   サイド型、海島型又は多層貼合せ型複合繊維であ
   つて、単糸繊度が20de〜70deの範囲にあるもの
   を用い、該綿毛様の繊維として、該複合繊維より
   も繊度が小さく且つ潜在捲縮能を有する１種以上
   のポリエステル系合成繊維を用いて構成された立
   毛布帛の立毛表面を加水分解剤を含む1000〜
   15000センチポイズの粘性処理剤を付与して処理
   し、該複合繊維から加水分解の大なるポリエステ
   ル重合体成分を分解除去して先端が細化又は分岐
   した長い刺毛様の繊維とせしめると共に、該ポリ
   エステル系合成繊維の先端部を分解除去せしめて
   短い綿毛様の繊維として形成せしめ、且つ、該綿
   毛様繊維の潜在捲縮発現処理を施すことを特徴と
   する人造毛皮の製造法。 ２ 複合繊維のポリエステル重合体及び／又はポ
   リエステル系繊維を構成する重合体として、−
   SO₃Me基（Meは金属元素を表わす）を有するポ
   リエステルを用い加水分解剤としてアルカリ金属
   化合物を用いる特許請求範囲第１項記載の方法。