JPS6354322B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はコンバインにおいて刈取穀稈を搬送径
路へ掻込む掻込装置に関するものである。

コンバインの刈取機は、機台の走行とともに圃
場の穀稈を掻き分ける分草体と、掻き分けられた
穀稈を垂直状態に起立させる引起し装置と、引起
された穀稈の根元部を刈取る刈刃と、刈取穀稈を
搬送径路へ掻込む掻込装置と、掻込まれた穀稈を
脱穀機へ搬送する穀稈搬送装置とを備えている。
そして、これら各装置のうちの引起し装置と掻込
装置とに対する駆動装置は従来次のように構成さ
れていた。

すなわち、脱穀機側に搭載されたエンジンから
刈取機上端部の刈取入力軸に伝達された回転は、
刈取機下端部の刈取ギアボツクスに軸支された刈
取駆動軸に、伝導軸を介して伝達される。そし
て、刈取駆動軸の回転は、これと駆動連結された
引起し駆動軸によつて引起し装置へ伝達されると
ともに、刈取ギアボツクス前方のギアボツクスま
たはチエーンケースに軸支された掻込装置に伝達
される。

このように、従来の掻込装置は、刈取ギアボツ
クスとは別に独立して設けた掻込装置専用のギア
ボツクスまたはチエーンケースに軸支されている
ため、その構造が複雑であるばかりでなく、この
ギアボツクスやチエーンケースが丁度穀稈の株元
搬送通路内に位置するために搬送の障害となり、
ことに雑草の多い圃場での刈取作業においては、
搬送通路に雑草が堆積して搬送が停滞するので、
止むを得ず作業を中断してこれを取り除かねばな
らず、これが作業効率を低下させていた。

本発明は、以上のような点に鑑みなされたもの
で、掻込輪体を、引起しパイプと一体の伝導ケー
スに基部を支持された軸受で軸支し、これと引起
し駆動軸とを伝導ケース内の回転伝導装置を介し
て搬送チエーンで駆動連結することにより、独立
した掻込装置用ギアボツクス等を除去して構造の
簡素化と穀稈搬送の円滑化を計つたコンバインの
掻込装置を提供するものである。

以下、その構成等を図に示す実施例により詳細
に説明する。

第１図ないし第３図は本発明に係る掻込装置を
示し、第１図はこれを実施したコンバインの側面
図、第２図は掻込駆動装置の平面図、第３図は同
じく縦断面図である。これらの図において、コン
バイン１の走行部は、左右一対の走行クローラ２
を備えており、これらの走行クローラ２を連結す
る走行フレーム３上には、脱穀用の扱き胴４と図
示しない選別装置、および脱穀用の穀稈を搬送す
るフイードチエーン５等を備えた脱穀機６が搭載
されている。また、走行フレーム３上に搭載され
たエンジンの出力軸７と走行キアボツクスの入力
軸８とは、ベルトテンシヨン式の走行クラツチ９
で連結されており、さらに、走行ギアボツクスの
出力軸は、走行クローラ２の駆動輪１０と駆動連
結されているとともに、脱穀機６の前端部に軸支
された刈取入力軸１１とも駆動連結されている。
また、脱穀機６の側方に設けられた操縦席１２の
前方には、各種の操作レバー類を備えた操作装置
１３が配設されている。

そして、全体を符号１４で示す刈取機は、これ
を支持する刈取フレーム１５の上端部を、前記刈
取入力軸１１の軸受に設けた枢支部に揺動自在に
枢支されており、刈取フレーム１５の下端部と走
行フレーム３との間に装着された油圧シリンダを
操縦席１２において操作することにより揺動し
て、刈高さが調節されたり路上走行時等に上昇さ
れたりするように構成されている。そして、刈取
フレーム１５下端部には、これと直交して機台の
幅方向へ延びる刈取ギアボツクス１６が、地面に
近接して一体的に設けられており、この刈取ギア
ボツクス１６には、刈取フレーム１５内を貫通し
て軸支された伝導軸により刈取入力軸１１と駆動
連結された刈取駆動軸１７が軸支されている。さ
らに、刈取ギアボツクス１６からは、複数個の分
草杆１８が地面に沿つて前方へ延設されており、
その前端部には、圃場の穀稈を掻き分ける分草体
１９が取付けられている。また、分草体１９の後
方には、走行するチエーンに配設された多数のラ
グによつて穀稈の穂先部を揚上搬送して穀稈を起
立させる複数個の引起し装置２０が、下端部を分
草杆１８に支持されて立設されている。そして、
この引起し装置２０の上端部は、前記刈取ギアボ
ツクス１６に取付けられて斜め上方へ延びる引起
しパイプ２１によつて支持されているとともに、
この引起しパイプ２１には、前記刈取駆動軸１７
とベベルギア２２，２３によつて駆動連結された
引起し駆動軸２４が貫通して軸支されており、引
起し装置２０のチエーンは、この引起し駆動軸２
４によつて駆動されている。

そして、引起しパイプ２１の下部には、本体２
５ａと蓋体２５ｂとからなる伝導ケース２５が、
引起しパイプ２１と直交して一体的に設けられて
おり、この伝導ケース２５には、引起し駆動軸２
４が貫通軸支されているとともに、出力軸２６が
引起しパイプ２１の後方すなわち脱穀機６側に位
置して軸支されている。そして、引起し駆動軸２
４と出力軸２６とにそれぞれ軸着されたスプロケ
ツト２７，２８間には伝導チエーン２９が張架さ
れていて引起し駆動軸２４の回転伝導装置が構成
されている。

一方、伝導ケース２５の前端部には、先端部に
軸受を有する掻込軸受３０が、その基部を支持さ
れて前方へ突出されており、これには掻込軸３１
が回転自在に軸支されている。そして、前記出力
軸２６は、伝導ケース２５から下方へ延出されて
おり、この突出部に軸着されたスプロケツト３２
と、掻込軸３１の下端部に軸着されたスプロケツ
ト３３との間には、搬送チエーン３４が張架され
ている。そして、スプロケツト３２を伝導ケース
２５の裏面に近接させたことと、伝導ケース２５
をスプロケツト３２よりも大径に膨出させたこと
により、伝導ケース２５は、搬送チエーン３４の
上方を覆うカバーの役目を兼ねている。さらに、
掻込軸３１には、ベルトプーリ３５と掻込輪体３
６とが上下に軸着されており、このうちのベルト
プーリ３５と、前記分草杆１８に支持されたベル
トプーリ３７との間には、複数個のラグを一定間
隔で突設した掻込ベルト３８が張架されている。
また、掻込輪体３６は、放射方向へ突出する複数
個の歯を備えた円板状に形成されており、第２図
に示すごとく隣接する掻込輪体３６の歯が噛合し
て矢印Ａ方向に回転することにより穀稈を搬送径
路へ掻込むように構成されている。

また一方、前記分草杆１８の中央部には、刈刃
装置３９が、掻込輪体３６の下方に位置し地面に
近接して機台幅方向に支架されている。この刈刃
装置３９は、固定された受刃４０とその上面に摺
接して機台幅方向に往復動する刈刃４１とでバリ
カン状に形成されており、この刈刃４１を往復動
させる駆動装置は次のように構成されている。す
なわち、前記刈取ギアボツクス１６の下端部に一
体形成された軸受４２には、刈取駆動軸１７との
間をベベルギア２３，４３で駆動連結された回転
軸４４が軸支されており、その下端部には、カツ
タクランク４５が軸着されている。そして、この
カツタクランク４５と、刈刃４１に枢着されたＬ
字状の刈刃駆動アーム４６との間はピツトマン４
７によつて連結されており、回転軸４４の回転
は、カツタクランク４５のクランク運動によつて
ピツトマン４７の往復運動に変換され、さらに刈
刃駆動アーム４６により刈刃４１の往復運動に変
換されるように構成されている。

そして、前記刈取入力軸１１を軸支する軸受に
は、支持杆４８が一体形成されており、この支持
杆４８には、ラグ４９を有するチエーンとラグ４
９の先端走行軌跡に沿つて支架された穂先ガイド
５０とからなる穂先搬送装置５１と、根元チエー
ン５２とその走行端に沿つて支架された挟扼杆３
５とからなる根元搬送装置５４とが上下にほゞ平
行して支持されており、根元チエーン５２の始端
部は搬送チエーン３４の上方にこれと近接して位
置されている。

以上のごとく構成されたコンバイン１における
刈取機１４の動作とその駆動系について説明す
る。エンジンの回転は、走行ギアボツクスの入力
軸８および出力軸を介して刈取入力軸１１に伝達
され、さらに刈取フレーム１５内の伝導軸を介し
て刈取ギアボツクス１６内の刈取駆動軸１７に伝
達される。そして、刈取駆動軸１７の回転は、ベ
ベルギア２３，２４と伝導装置を経て刈刃装置３
９に伝達されると同時に、ベベルギア２２，２３
によつて引起し駆動軸２４に伝達されたのち、引
起し装置２０へ伝達される。一方、引起し駆動軸
２４の回転は、伝導ケース２５内の回転伝導装置
によつて出力軸２６に伝達され、搬送チエーン３
４が走行する。さらに搬送チエーン３４の走行に
より掻込軸３１が回転し、掻込ベルト３８が走行
するとともに掻込輪体３６が矢印Ａ方向に回転す
る。また一方、刈取入力軸１１の回転は、支持杆
４８内の伝導軸を介して両方の穀稈搬送装置５
１，５４に伝達される。

このように機台各装置を運転して機台を走行さ
せると、圃場に植立する穀稈は、分草体１９によ
つて掻き分けられたのち、引起し装置２０で穂先
部を揚上搬送されることにより起立するととも
に、根元部を掻込みベルト３８で刈取位置へ搬送
される。そして、穀稈は穂先部を引起し装置２０
から解放されると同時に根元部を刈刃装置３９で
刈取られ、刈取られた穀稈の根元部は、掻込輪体
３６によつて刈刃装置３９の中央部へ掻寄せられ
たのち搬送径路へ掻込まれる。そして、この掻込
部には搬送チエーン３４の始端部が臨んでいるの
で、穀稈は根元部をこの搬送チエーン３４によつ
て搬送されるとともに、穂先部を穂先搬送装置５
１に捕捉されて搬送される。さらに、穀稈の根元
部は搬送チエーン３４から根元搬送装置５４に引
継がれて搬送され、穂先部とともに脱穀機６のフ
イードチエーン５と扱き胴４とにそれぞれ供給さ
れて脱穀される。

このように動作する刈取機１４の各装置のう
ち、掻込輪体３６は、伝導ケース２５に支持さ
れ、伝導ケース２５内の回転伝導装置と搬送チエ
ーン３４とで駆動されていて引起し駆動軸２４が
掻込輪体３６の駆動軸となつており、刈取ギアボ
ツクス１６の他に掻込装置のための軸受および駆
動部を別に設けていないので、構造が著しく簡素
化される。

また、刈取作業、特に雑草の多い圃場における
刈取作業においては、多くの雑草が穀稈とともに
搬送チエーン３４で搬送されるが、掻込装置の軸
受を除去し、搬送チエーン３４を上方から支持さ
せたことにより、掻込装置と搬送チエーンとの下
方が全面的に開放されているので、これらの雑草
は搬送中に地面へ落下し搬送径路に堆積すること
がない。

以上の説明により明らかなように、本発明によ
ればコンバインの掻込装置において、掻込輪体
を、引起しパイプと一体の伝導ケースに基部を支
持された軸受で軸支し、これと引起し駆動軸と伝
導ケース内の回転伝導装置を介して搬送チエーン
で駆動連結することにより駆動装置のために独立
した軸受と駆動部を設けた従来の掻込装置と比較
して構造が著しく簡素化されるとともに回転駆動
が円滑に行なわれる。また、掻込装置と搬送チエ
ーンの下方が全面的に開放されるので、穀稈根元
部の搬送がきわめて円滑に行なわれるとともに、
雑草の多い圃場での刈取作業において穀稈ととも
に、搬送される雑草が搬送径路に堆積することに
よる穀稈搬送の停滞を防止することができ、また
堆積した雑草の除去作業を必要としないので、連
続作業が可能となり、作業能率が著しく向上す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明に係るコンバイン
の掻込装置を示し、第１図はこれを実施したコン
バインの側面図、第２図は掻込駆動装置の平面
図、第３図は同じく縦断面図である。 １…コンバイン、１４…刈取ギアボツクス、２
１…引起しパイプ、２４…引起し駆動軸、２５…
伝導ケース、２６…出力軸、２７，２８…スプロ
ケツト、２９…伝導チエーン、３０…掻込軸受、
３４…搬送チエーン、３６…掻込輪体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 引起し駆動軸を内部に貫通させた引起しパイ
   プの下部に、前記引起し駆動軸の回転伝導装置を
   収納する伝導ケースを引起しパイプと直交させて
   一体的に設けるとともに、刈取穀稈掻込用の掻込
   輪体を、前記伝導ケースに基部を支持させた軸受
   に支持させ、この掻込輪体と前記回転伝導装置の
   出力軸との間を搬送チエーンで駆動連結したこと
   を特徴とするコンバインの掻込装置。