JPS6353249B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、銅を含んだ廃棄物等から、ロータリ
キルンを用いて銅を溶解分離し、これを回収する
ための方法に関する。

（従来の技術と問題点） 自動車や家電製品等には、モータ等、銅を多量
に含んだ部品が数多く使用されている。

銅は融点が高く、鉄の融点との差が少なく、従
つて、含銅廃棄物から銅を溶解分離して回収しよ
うとした場合、銅が固まらないうちに、これを回
収する必要がある。

このため、銅を溶解分離して回収するには、溶
解分離作業から引き続いて連続的に回収作業を行
なう必要があるが、従来、これを実施した銅回収
方法は今だなく、これら含銅廃棄物は放置された
ままになつているという問題があつた。

（問題点を解決するための手段） 本発明は、上述のような従来の問題点を解決す
るためになされたもので、そのために本発明の銅
回収方法は、 廃棄物投入口から排出側開口部に向けて内底面
が下り傾斜した溶解室を有すると共に、溶解室の
内周面に攪拌板が設けられた回転ドラムと、廃棄
物投入口に対向して設けられれた投入側開閉ドア
と、排出側開口部に溶解銅流出用の小間隙を保持
した対向状態で設けられた投入側開閉ドアと、溶
解室内に排出側から火焔を吹込むための火焔供給
手段と、を有するロータリキルンが用いられ、前
記回転ドラムの溶解室内に含銅廃棄物を投入し
て、この含銅廃棄物を回転ドラムの回転作用と攪
拌板による掻き上げ作用とで転動させながら傾斜
に沿つて排出側に移行させ、この移行時に、前記
火焔供給手段により含銅廃棄物の移行方向と対向
する方向から火焔を吹込むことにより、含銅廃棄
物を加熱して銅を溶解分離させ、溶解分離した銅
を、排出側開口部から流出用の小間隙を通して溶
解室外に常時落下させることにより、銅を回収す
る構成とした。

（作用） 本発明の銅分離方法には、ロータリキルンが用
いられ、このロータリキルンにおける回転ドラム
の溶解室内に廃棄物投入口から含銅廃棄物を投入
する。これを回転ドラムの回転作用と攪拌板の掻
き上げ作用とで転動させなが溶解室の傾斜に沿つ
て排出側に移行させる。そしてこの移行時に火焔
供給手段により含銅廃棄物の移行方向と対向する
方向から火焔を吹き込む。この火焔により含銅廃
棄物を加熱して銅を溶解分離させ、この溶解分離
した銅を排出側開口部から小間隙を通して常時溶
解室外に落下させることにより、銅を回収するこ
とになる。

従つて、本発明方法では、溶解室内で転動する
含銅廃棄物に対して火焔による加熱が加えられる
ことから、全体が均一に加熱され、含銅廃棄物全
体からムラなく銅を溶解分離することができる
し、又、溶解室の内底面が下り傾斜に形成されて
いることから、溶解分離した銅が傾斜に沿つて自
然に流下し、これが排出側開口部から小間隙を通
つて常時溶解室から落下するので、銅の溶解分離
に引き続いて銅が固まらないうちに、連続して銅
を回収することができる。

又、溶解分離に際し、火焔が含銅廃棄物の移行
方向と対向する方向から吹き込まれるので効率の
よい加熱ができる。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面により詳述する。

図面は本発明の銅回収方法の実施に使用する廃
棄物処理装置を示しており、この廃棄物処理装置
Ａは、廃棄物ガス化焼却炉１と、ロータリキルン
２との組み合わせからなる。

廃棄物ガス化焼却炉１は、炉本体１０、扉体１
１、焼却物台車１２を主な構成として備えてい
る。

炉本体１０は、内部が燃焼室１０１に形成さ
れ、かつ外部壁体１０２の側壁内面及び上壁内面
がそれぞれ耐火キヤスタブル１０３によつて内張
りされると共に、奥壁内面が耐火レンガ１０４に
よつて内張りされ、かつ正面壁が被焼却物の例で
ある廃車Ｂの出し入れ用の開口部１０５として開
口され、そして、前記外部壁体１０２が、各壁面
にそれぞれビード１０６が形成された国鉄払い下
げの鉄道用貨車を用いて形成されている。

又、この炉本体１０には、燃焼室１０１の下部
に臨んで着火バーナ１３が設けられ、かつ両側壁
の上部及び下部を貫通して複数の空気供給口１４
が燃焼室１０１内に臨んで設けられ、該空気供給
口１４は炉本体１０の側壁外面に沿つて配管され
た空気管１４１に接続され、更に、奥壁には熱分
解ガス排出口１５が燃焼室１０１から外部のロー
タリキルン２に向けて開口され、かつ燃焼室１０
１の底面には、燃焼室１０１から炉外に延在して
２条のレール１６，１６が敷設されている。

扉体１１は、炉本体１の開口部１０５に開閉可
能に設けられ、その内面には耐火キヤスタブル１
１１が内張りされている。

焼却物台車１２は、廃車Ｂを燃焼室１０１内に
出し入れするための台車で、台枠１２１内に耐火
キヤスタブル１２２が充填された台板１２３を有
し、該台板１２３の下面前後部に、車輪１２４，
１２４を有する車軸１２５，１２５が軸架され、
該車輪１２４，１２４が前記レール１６，１６上
に載置されて、燃焼室１０１内と炉外との間で移
動可能に設けられ、かつこの焼却台車１２の一端
部と前記扉体１１の下端部とが一体的に固着され
ている。

尚、１７は台車用駆動モータで、焼却物台車１
２の一端部が扉体１１から外部に延在した延出部
１２６に搭載され、この駆動モータ１７からの回
転動力は、減速機１７１を介して伝達チエン１７
２により車軸１２５，１２５にそれぞれ伝達され
る。

又、１８は配線用巻取りドラムで、炉本体１０
の奥壁外面の下部に設けられ、駆動モータ１７用
の電気配線１８１は、炉本体１０の底面を通つた
のち、奥壁下端部に形成した切欠穴１８２からこ
の巻取りドラム１８に巻取られている。

又、１９は冷却空気取り入れ口で、炉本体１０
の奥壁に開口され、焼却作業時は燃焼室１０１内
にある焼却物台車１２の先端面で閉塞され、焼却
後は燃焼物台車１２の引き出しに伴つて開放し、
冷却空気を燃焼室１０１内に取り込む。

次に、ロータリキルン２は、回転ドラム２０、
廃棄物の投入側開閉ドア２１、非溶解物の排出側
開閉ドア２２、排ガス処理装置２３、バイブレー
タ装置２４を主な構成として備えている。

回転ドラム２０は、廃棄物投入側から排出側に
向けて内底面が下り傾斜状に形成された溶解室２
０１が内部に形成され、該溶解室２０１の内周面
には耐熱コンクリート２０２が内張りされ、かつ
この溶解室２０１の内周面には複数枚の攪拌板２
０３が突設されている。

又、この回転ドラム２０は、外周に設けたガイ
ド輪２０４が基台３に設けた受けローラ３１によ
つて回転可能に支持され、かつ外周に形成された
大ギヤ２０５が駆動装置に連動するスプロケツト
（図示せず）に噛合することによつて回転する。

廃棄物の投入側開閉ドア２１は、回転ドラム２
０の廃棄物投入口２０６を開閉するもので、廃棄
物投入口２０６に対向して設けられ、ワイヤ２１
１を介してウインチ等の巻き上げ手段により昇降
する。

非溶解物の排出側開閉ドア２２は、回転ドラム
２０の排出側開口部２０７を開閉するもので、回
転ドラム２０の排出側端面２０８との間に溶解金
属流出用の小間隙Ｓを保持した対向状態で設けら
れ、ワイヤ２２１を介してウインチ等の巻き上げ
手段によつて昇降する。

又、この排出側開閉ドア２２には、上部に回転
ドラム２０の溶解室２０１と煙突２５とを連通さ
せる排ガス口２２２が形成され、かつ下部には、
溶解室２０１と前記廃棄物ガス化焼却炉１の熱分
解ガス排出口１５とを連通させる火焔供給口２２
３が形成され、前記熱分解ガス排出口１５には、
ロータリキルン２の溶解室２０１内に向けて火焔
供給手段としての燃焼用空気管２６が設けられて
いる。

又、前記溶解金属流出用の小間隙Ｓの下方に
は、インゴツトケース２７が配設されると共に、
小間隙Ｓから落下する鉄粉等を飛散させるための
ブロア２８が設けられている。

排ガス処理装置２３は、煙突２５の途中に設け
られるもので、処理室２３１の一側上部に排ガス
供給口２３２が開口されると共に、処理ガス排出
管２３３が処理室２３１内に延在して、その下端
口２３４が下方に向けて開口され、かつ処理室２
３１の底部にはオーバーフロー口２３５で一定水
量に保持される水２３６が収容され、該水２３６
中に設けたポンプ２３７から散水管２３８が処理
室２３１内に立ち上げられた構造となつている。
尚、２３９は給水管である。

バイブレータ装置２４は、排出側開口部２０７
から排出される非溶解廃棄物同士が、残留溶解金
属の冷却固化によつて接着して塊状に固まらない
ように分離させるためのもので、排出側開口部２
０７の下方に取出しシユート２４１が設けられ、
該取出しシユート２４１の下方に、コイルスプリ
ング２４２により吊持状態に弾性支持されると共
に、偏心モータ等の振動発生装置（図示せず）に
より振動が付与される本体シユート２４３が設け
られ、該本体シユート２４３の下方に受け容器２
４４が設けられている。

次に、本実施例の廃棄物処理装置Ａを用いた銅
回収方法を説明する。

まず、廃棄物ガス化焼却炉１においては、扉体
１１の開放と共に焼却物台車１２を炉外に引き出
し、この状態で焼却物台車１２上に被焼却物とし
ての廃車Ｂを載置させたのち、扉体１１の閉鎖と
共に焼却物台車１２を燃焼室１０１内に押し込
む。次に、この状態で着火バーナ１３により廃車
Ｂに着火させ、各空気供給口１４から廃車Ｂがガ
ス化燃焼する程度の空気量を供給すると、一定の
立ち上がり時間の経過と共に燃焼室１０１内の温
度が500〜600℃程度に上昇し、乾留状態となる。

この乾留状態では、廃車Ｂ中のゴム、プラスチ
ツク等から熱分解ガスが発生し、このガスは熱分
解ガス排出口１５から火焔供給口２２３を経てロ
ータリキルン２の回転ドラム２０の溶解室２０１
内に流入し、このとき、燃焼用空気管２６から空
気を吹き込むことによつて熱分解ガスが急激に燃
焼を開始し、その火焔が溶解室２０１内に噴射供
給される。

又、燃焼室１０１内での廃車Ｂの焼却が終つた
のちは、扉体１１の開放と共に焼却物台車１２を
引き出し、焼却物台車１２から焼却後の廃車Ｂを
取り下ろすことになる。

次に、ロータリキルン２においては、廃棄物投
入口２０６から自動車のダイナモやモータ等の含
銅廃棄物を回転ドラム２０の溶解室２０１内に投
入し、これを前記した火焔供給口２２３からの火
焔によつて加熱して、含有する銅を溶解分離し、
これを回収することになる。

この場合、溶解室２０１内に投入された含銅廃
棄物は、回転ドラム２０の回転作用と、攪拌板２
０３による掻き上げ作用とによつて溶解室２０１
内を転動しながら廃棄物搬出側へ移行し、その移
行方向と対向する方向からの火焔によつて加熱さ
れることから、全体が均一に加熱されると共に、
効果的に火焔を受けることになり、銅の溶解分離
が効率よく行える。

尚、溶解室２０１内の排ガスは、排ガス口２２
２を通つて煙突２５内に吸引され、その途中にお
いて排ガス処理装置２３により清浄化されるもの
で、この場合、排ガス供給口２３２から流入した
排ガスは、処理室２３１内で散水管２３８から水
２３６をシヤワーされ、このシヤワーによつて塩
化水素等の有害ガス成分を除去されたのち、下端
口２３４から処理ガス排出管２３３を通つて外気
に放出される。

そして、上述のようにして含銅廃棄物から溶解
分離された銅は、回転ドラム２０内を傾斜に沿つ
て廃棄物排出側へ流下し、排出側開口部２０７か
ら小間隙Ｓを通つて常時外部に流れ落ち、インゴ
ツトケース２７内に収容される。このとき、小間
隙Ｓからは同時に鉄粉等も落下するが、この鉄粉
等はブロア２８からの風によつと吹き飛ばされ、
これがインゴツトケース２７内に落下するのは防
止される。

又、回転ドラム３０内の非溶解廃棄物は、傾斜
に沿つて廃棄物排出側へ移行し、これが排出側開
口部２０７に溜つた時点で排出側開閉ドア２２を
開放すると、この非溶解廃棄物は取出しシユート
２４１から本体シユート２４３上に落下し、ここ
で振動を受けて塊状に固まるのを防止され、分離
状態のまま受け容器２４４に回収される。

尚、前記排出側開閉ドア２２は排出側開口部２
０７の下半分が開口するように開放され、この状
態では火焔供給口２２３を介して溶解室２０１と
煙突２５とが連通し、火ガスはこの火焔供給口２
２３を通つて煙突２５に吸引されることから、廃
棄物ガス化焼却炉１の運転を停止させることな
く、廃棄物処理装置Ａの連続運転が可能になる。

以上、本発明の実施例を図面により説明した
が、本発明の具体的な構成は前記した実施例に限
定されることはなく、発明の要旨を逸脱しない範
囲の設計変更等があつても本発明の技術的範囲に
含まれる。

例えば、実施例では、ロータリキルンの熱源と
して廃棄物ガス化焼却炉を用いた場合を示した
が、ロータリキルンの溶解室にガスバーナ等から
直接に火焔を吹き込む構造としてもよい。

又、実施例では廃棄物投入側から排出側に向け
てその内径が漸次大きくなるように形成すること
で、溶解室の内底面を下り傾斜に形成した場合を
示したが、これに限定されず、回転ドラムを傾斜
状に設けることで溶解室の内底面を下り傾斜に形
成するようにしてもよい。

（発明の効果） 以上説明してきたように、本発明の銅回収方法
では、回転ドラムの溶解室内で火焔により加熱し
て含銅廃棄物から銅を溶解分離し、これを溶解室
の傾斜に沿つて流下させ、引き続いて排出側開口
部から小間隙を通して常時落下回収させるので、
含銅廃棄物から銅を連続的に溶解分離させて、こ
れが固まらないうちに連続的に回収することがで
き、高純度の銅を能率よく回収することが可能に
なつた。

又、火焔を含銅廃棄物に対して、該含銅廃棄物
の移行方向と対向する方向から吹込むので、火焔
による加熱効率を向上することができる。

又、含銅廃棄物を回転ドラムの溶解室内で転動
させながら、これに火焔を吹込むことで加熱する
ことから、その加熱を含銅廃棄物の全体に行き亘
らせることができ、含銅廃棄物の全体からムラな
く銅を溶解分離することができるし、溶解した銅
が非溶解廃棄物の凹部等に溜ることはなく、銅の
回収効率を向上できるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例の銅回収方法の実施に使
用する廃棄物処理装置の断面図、第２図は第１図
―断面図である。 ２：ロータリキルン、２０：回転ドラム、２
１：投入側開閉ドア、２２：排出側開閉ドア、２
０１：溶解室、２０３：攪拌板、２０６：廃棄物
投入口、２０７：排出側開口部、２６：燃焼用空
気管（火焔供給手段）、Ｓ：小間隙。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 廃棄物投入口から排出側開口部に向けて内底
   面が下り傾斜した溶解室を有すると共に、溶解室
   の内周面に攪拌板が設けられた回転ドラムと、廃
   棄物投入口に対向して設けられれた投入側開閉ド
   アと、 排出側開口部に溶解銅流出用の小間隙を保持し
   た対向状態で設けられた排出側開閉ドアと、 溶解室内に排出側から火焔を吹込むための火焔
   供給手段と、 を有するロータリキルンが用いられ、 前記回転ドラムの溶解室内に含銅廃棄物を投入
   して、この含銅廃棄物を回転ドラムの回転作用と
   攪拌板による掻き上げ作用とで転動させながら傾
   斜に沿つて排出側に移行させ、この移行時に、前
   記火焔供給手段により含銅廃棄物の移行方向と対
   向する方向から火焔を吹込むことにより、含銅廃
   棄物を加熱して銅を溶解分離させ、溶解分離した
   銅を、排出側開口部から流出用の小間隙を通して
   常時溶解室外に落下させることにより、銅を回収
   するようにしたことを特徴とする含銅廃棄物から
   の銅回収方法。