JP3508072B2 - コンクリート用塊状人工骨材の製造法および製造装置 - Google Patents

コンクリート用塊状人工骨材の製造法および製造装置

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    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/91Use of waste materials as fillers for mortars or concrete

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコンクリート用塊状人工
骨材の製造法および製造装置に係り、詳しくは、生活ご
みや産業廃棄物の焼却灰または下水汚泥乾燥粉等を溶融
し、その焼却灰等に含まれる還元容易な金属酸化物を溶
融還元すると共にSiO2 等の鉱物質を主成分とする溶
融スラグを生成し、該溶融スラグから自然石や天然砂利
に極めて近い人工骨材を製造する技術に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】家庭から出るごみや産業廃棄物は焼却さ
れ下水汚泥等は乾燥粉とすることによって減容化され、
埋立地等に廃棄される。しかし、投棄地にも限界があ
り、より一層の減容化や資源としての再利用化が図られ
るようになってきている。最近では、資源のリサイクル
化の観点に立った研究が進み、コンポスト(堆肥)化や
有価物の回収といったことも行われるようになってい
る。このような再資源化には無害化処理が重要である
が、特に注目を浴びるようになってきている焼却灰の溶
融スラグから建築資材等を再生する場合も同様である。
【0003】焼却灰を1,500℃以上の温度で溶融す
ると、ごみ中の可燃物やダイオキシン等の有害物質は完
全にガス化して燃焼されること、重金属はガラス質のス
ラグ中に閉じ込められること、焼却灰を1/3に減容で
きることなどの利点が挙げられる。これは、焼却灰中の
無機分までも溶けて融液となり、特開平3−27513
3号公報に記載されているように、それを冷却すると固
化したスラグとすることができるからである。
【0004】ところで、そのスラグは、路盤材や建築土
木用骨材として使用されたり、成形することによってタ
イルや装飾品に加工することができる。いずれにおいて
も、無害化や化学的安定性が要求されることは言うまで
もないが、そのような溶融スラグを生成する装置が種々
提案されている。代表的なものとして、旋回溶融炉、コ
ークスベッド、表面溶融炉、アーク炉、プラズマ炉とい
った各種の炉を使用するものが挙げられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】例えば、コークスベッ
ド式の溶融処理プロセスにおいては、処理物に少量のコ
ークスと石灰を添加して竪型炉(低シャフト炉)に一括
装入し、最上段の予熱・乾燥帯、中段の300℃ないし
1,000℃となった熱分解帯を経て、最下段の燃焼・
溶融帯に降下させ、空気の供給を受けたコークスの発熱
反応による1,500℃以上の温度雰囲気で溶融物を得
るようにしている。鉄等はコークスの還元作用により分
離され、石灰分で塩基度が調整されて溶融物が取り出さ
れる。急冷すると砂状スラグが得られ、徐冷すると塊状
スラグとなる。
【0006】竪型シャフト炉を使用し赤熱コークスベッ
ド層において焼却灰を溶融する上記の処理法は、キュポ
ラ溶解にヒントを得て開発されたものである。このシス
テムでは、コークスが直接還元・間接還元の両者に有効
に利用される溶鉱炉(高シャフト炉)の場合と異なり、
低シャフト炉であるがゆえに直接還元のみが利用される
にすぎない。すなわち、下層部の赤熱コークスとO2
の反応により生成されるCO2 は上層部において全てコ
ークスと反応し、CO2 +C→2COなる還元反応が進
行して、系外にそのまま排出される。したがって、排ガ
スはCOとN2を主体としたガスとなる。熱エネルギの
観点から評価すると、コークスが完全燃焼する際の発熱
量は8,080Kcalであるのに対し、上記の系内で
利用される熱量は2,425Kcalであって、全発熱
量の約30%と非常に低い欠点がある。
【0007】燃料としてのコークスは、(空気+O2
の富化送風に適した10mmないし35mm程度に整粒
しておかなければならず、安価なコークスブリーズを使
用することができない。また、コークスを使用するので
コークス灰の発生は避けられず、溶融スラグ中のAl2
3 の含有量を1%ないし2%増加させることにもな
る。Al2 3 の増加はスラグの流動性を悪化させるか
ら、これを補正するために排ガス中のサルファの増加を
防ぐ石灰の投入をより一層多くしなければならない。こ
れによって生成スラグ中のCaOが高くなり、スラグの
消化性物質が増加して結局はコンクリート用骨材として
は不適切なものとなる。
【0008】上記とは異なり、電気炉を使用して溶融す
るものもある。焼却灰は常温時に抵抗が大きく通電が困
難であるという難点はあるが、焼却灰は高温になると抵
抗が減少し、溶融させると比較的導電性に富む状態とな
る。その溶融物に電流を流すと溶融灰の電気抵抗による
ジュール熱が発生し、これを利用することができる。こ
のような溶融処理に使用される電気炉として、後述する
サブマージドアーク炉が挙げられる。
【0009】ところで、電気炉でアーク溶融させる場
合、炉内に突入させた人造黒鉛電極に適当な電圧をかけ
ると、電極棒の先端から焼却灰やスラグに向けて電気ア
ークが飛び、他の電極棒や予め形成しておいたベースメ
タルへ通じる電気回路が形成される。このように、電気
炉によってアーク加熱し溶融スラグを生成する装置が、
特開平4−354578号公報に記載されている。この
種の電気炉において、一般的に、アーク放電は3,00
0℃ないし5,000℃といった非常に高温でかつ高速
であり、周囲のガスを引き込みながら焼却灰やスラグと
衝突するために熱伝達効率が高く、焼却灰中の不燃物や
金属類も短時間で溶融することができる。これは焼却灰
の組成にかかわらず塩基度調整や融点降下用の副資材が
不要で、高い減容効果が発揮される利点がある。
【0010】しかし、このような従来の電気炉では出滓
口が常に開口状態にあり、その出滓口部分での損耗が甚
だしく、数ケ月の運転後には一ケ月近くの補修用休止期
間を要する。また、溶融スラグを連続的に排出するの
で、スラグ中の酸化鉄を4%ないし30%としたり、溶
融スラグを大気(酸化性雰囲気)に曝すことになり、基
本的には電気製鋼法の域を出ないものとなっている。こ
れに対して、前記したサブマージドアーク電気炉は、炉
内のスラグを焼却灰で全面カバーした状態において、電
気アークや電気抵抗ジュール熱によりスラグを溶融しよ
うとする考えのものである。
【0011】上で列挙した旋回溶融炉等を用いた各種溶
融法の大部分においては、燃焼ガス中で焼却灰を溶融す
るため、流出スラグ中に多量のガスが包含される。しか
し、サブマージドアーク電気溶融法においては溶融スラ
グ中へのガスの混入がほとんどなく、脱泡処理の必要が
ないという大きな利点がある。そのサブマージドアーク
電気炉から排出されたスラグを徐冷して小塊状の人工骨
材を製造する際、溶融スラグを水冷したり徐冷するなど
の工程が採られる。しかし、冷却が急激に進むことか
ら、自然石からはほど遠い非晶質なものとなり、その利
用の途に限界がある。すなわち、建築資材としての良質
なコンクリート用人工骨材は得難く、非晶質のままでも
使用することができるような路盤材や緑農地化の資材と
することができるに過ぎない。
【0012】ちなみに、特開昭64−14132号公報
には、溶融スラグを輸送しながら空冷すると共に均一な
サイズの固化スラグを形成させるようにしたコンベア装
置が開示されている。また、特開平4−139040号
公報には、連続した金型に溶融スラグを鋳込み、移送し
ながら外気温により徐冷してブロック状スラグを成形さ
せるようにした装置が記載されている。しかし、いずれ
も、コンベアによる搬送中には溶融スラグがメタル面に
接触する際の初期冷却速度を制御することが容易でな
く、結局は、急激に冷却されるために非晶質となり、柱
状組織の方向性のある脆いものになることは避けられな
い。ましてや、後者の例のおいては金型からの取り外し
のために剥離用チェーンを採用するなどして、コンベア
装置の複雑化を招いている欠点がある。
【0013】ところで、溶融スラグを自然石に近いもの
とするためにはスラグを結晶化させて、組織の強化を図
らなければならない。例えば特開平4−132642号
公報には、溶融スラグの冷却速度を幾つかの温度域ごと
に変えるよう制御する方法が記載されている。さらに、
特開平3−275539号公報には、溶融スラグの成分
調整と冷却速度の制御によって結晶化スラグを生成させ
ることが開示されている。しかし、これらは鉱物学的に
疑問の残る点があること、スラグ中の有害物質や金属成
分の封じ込めを図っていることから、予め分離すること
ができれば再利用できる物質の回収を断念することにな
ったり、スラグが自然石からかけ離れたものになるなど
の欠点がある。
【0014】ちなみに、ごみや下水汚泥は各自治体で処
理されている。すなわち、収集や焼却などは自区内処理
され、また、自区内消費することが原則となる。それら
のごみを焼却した後の灰の資源化は、重金属の溶出が避
けられない低温処理方式より高温処理方式が好ましいの
は言うまでもなく、前述した幾つかの溶融処理形態が採
用される。一方、焼却灰の発生量は自治体によって大き
く異なることは避けられないが、ごみや下水汚泥の処理
量を焼却設備の能力や回収資源等の再利用を図る場合の
自区内消費量とバランスさせる必要がある。その結果、
処理能力や消費量に見合うようにしようとすると、自区
内の焼却設備から発生する焼却灰等を溶融スラグ化する
ための設備は小容量のもので十分であるという場合が多
い。しかしながら、前述した各溶融設備では大型化が余
儀なくされる傾向にあり、小型・小容量型の設備の出現
が望まれる。
【0015】本発明は上記した背景に鑑みなされたもの
で、その目的は、自区内処理・自区内消費に適合する比
較的少量の焼却灰等を溶融するに適した小型化の容易な
設備とすることができること、焼却灰の溶融に投入した
エネルギの放散を少なくして溶融スラグの結晶化に要す
るエネルギの節減を図ることができること、溶融スラグ
中の還元容易な金属分を分離してその再利用を可能とす
ると共に、有害物質の含有を可及的に少なくした安全性
の高い所謂自然石に極めて近い硬質な建設資材を製造す
ることを実現したコンクリート用塊状人工骨材の製造法
ならびに装置を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、ごみの焼却灰
や下水汚泥乾燥粉等を溶融したスラグからコンクリート
用の人工骨材を製造する方法に適用される。その特徴と
するところは、図1を参照して、コークスブリーズを配
合した焼却灰等7をサブマージドアーク電気溶融法によ
り還元溶融し、焼却灰等7中の還元容易なFe・Cr・
P等の金属酸化物を還元して溶融銑鉄8を生成すると共
に、ガス含有率が低くSiO2 等を主成分とする溶融ス
ラグ9を溶融銑鉄8の上層部に生成させる。次に、2時
間ないし3時間ごとに溶融スラグ9を出滓するにあた
り、溶融スラグ9からの熱放散を抑制すべく短時間のう
ちに抽出し、直ちに高温の砂11を床敷きした金型2a
に入れて表面が凝固したブロック化を図ると共に、高温
の予熱砂12を被覆させることによりスラグブロック1
0の急冷を防止する。そのスラグブロック10を破砕し
た後に、篩にかけて混在する砂が除去されたスラグ小塊
15を800℃以下に降温しない間に炉体6A内へ集積
し、3時間ないし4時間スラグ小塊15を800℃ない
し900℃の温度雰囲気におくことによって、ガス含有
率の極めて低い組織の緻密な結晶化が図られたスラグを
生成させるようにしたことである。
【0017】製造装置の発明は、電気溶融炉1とスラグ
ブロック成形保温用移送装置2と第一クラッシャ3とホ
ットスクリーン4と第二クラッシャ5と回転式熱処理炉
6とを備える。電気溶融炉1は、コークスブリーズを配
合した焼却灰等7から、還元容易な金属酸化物を溶融還
元して溶融銑鉄8を生成すると共に、上記の金属成分を
含まない溶融スラグ9を生成させるものである。スラグ
ブロック成形保温用移送装置2は、電気溶融炉1から熱
放散を抑制すべく短時間のうちに出滓させた溶融スラグ
9を連続して配置された金型2a,2aに受け、表面が
凝固したスラグブロック10を成形しながら搬送するモ
ールドコンベア2Aと、その金型2a上に高温の予熱砂
11を床敷きする砂敷機2Cと、その床敷砂11上に溶
融スラグ9を供給するスラグ受樋2Bと、高温の予熱砂
12を金型2a上の溶融スラグに被覆させる予熱砂供給
機2Dとを有する。第一クラッシャ3は、モールドコン
ベア2Aからのスラグブロック19を床敷砂11および
被覆砂12と共に受けて粗破砕するものである。ホット
スクリーン4は、第一クラッシャ3からの破砕片14を
受けて混在する砂を篩い落とすようになっている。第二
クラッシャ5は、ホットスクリーン4からの破砕片14
をさらに小さくスラグ小塊15に破砕する。回転式熱処
理炉6は、第二クラッシャ5からのスラグ小塊15が一
端部開口から投入される回転炉体6Aと、その回転炉体
6Aの裏張り耐火壁6aおよび堆積スラグの表層を加温
する加熱バーナ6Bとを有し、炉体の回転により堆積ス
ラグの下方へ回り込んだ耐火壁6aによる加温作用とス
ラグ内溶融部からの復熱作用とによって外殻が非晶質化
しているスラグ小塊15を熱処理し、ガス含有率の極め
て低い組織の緻密な結晶化が図られたスラグを生成する
ものである。
【0018】上記した回転式熱処理炉に代えて、第二ク
ラッシャ5からのスラグ小塊15が上端部開口から投入
され、スラグ内溶融部からの復熱作用とによって外殻が
非晶質化しているスラグ小塊15を熱処理し、ガス含有
率の極めて低い組織の緻密な結晶化が図られたスラグを
生成する竪型シャフト炉を採用してもよい。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、焼却灰や下水汚泥乾燥
粉等を還元溶融して還元容易な金属酸化物を溶融銑鉄と
して生成し、かつ、ガス含有量の少ない有害物の含まれ
ない溶融スラグを生成することができる。そして、その
溶融スラグを結晶化させ、化学的に安定し無害化された
緻密な塊状のスラグを製造し、自然石に極めて近いSi
2 等の鉱物質を主成分とした良質なコンクリート用人
工骨材となる。溶融銑鉄は製鋼や鋳造のための鉄源材料
として供することができ、焼却灰等から金属資源の回収
もなされる。電気溶融炉からの短時間出滓においては溶
融スラグの熱放散が可及的に抑えられ、結晶化処理工程
に入るまでの粒化工程やその前後の移送工程も迅速にな
される。したがって、スラグの保有する高い熱エネルギ
を結晶化のために復熱させて使用でき、結晶化に要する
エネルギ消費も節減される。
【0020】電気溶融炉とスラグブロック成形保温用移
送装置と第一クラッシャとホットスクリーンと第二クラ
ッシャと回転式熱処理炉とを備えた人工骨材製造装置に
よれば、高温の床砂を敷いた金型内の溶融スラグが、被
覆砂で覆われて冷却を抑制した状態でモールドコンベア
による搬送の間にスラグブロックに形成され、これを破
砕した後に熱処理すると天然石に近い小塊状骨材が得ら
れる。回転式熱処理炉では、加熱バーナにより加温され
た後に堆積スラグの下方への回り込んむ加熱耐火壁やバ
ーナ火炎に直接触れたスラグ小塊が、800℃ないし9
00℃の均一な温度雰囲気におかれる。スラグ小塊の凝
固した外殻は、炉内温度とスラグ内の高温溶融部分から
の復熱とにより再溶融と結晶化に要する温度となり、3
時間ないし4時間滞留させると、個々のスラグ小塊は、
全体的に組織の緻密な結晶化の図られた骨材となる。製
造装置の全体は小型化・小容量化が容易であり、自地区
内処理・自地区内消費に適した規模の設備としやすくな
る。
【0021】回転式熱処理炉に代えて竪型シャフト炉を
採用する場合にも、スラグ内溶融部からの復熱作用によ
って外殻が非晶質化しているスラグ小塊を熱処理でき、
ガス含有率の極めて低い組織の緻密な結晶化が図られた
スラグを生成することができる。この場合には、炉体の
大型化が可能であり、スラグの熱処理量を多くしたり処
理時間を長くとることができるようになる。スラグの収
容量が大きくなることから、スラグ小塊に伴われて炉内
へ持ち込まれる熱エネルギも大きく、結晶化処理中の熱
損失は少なくなる。
【0022】
【実施例】以下に、本発明に係るコンクリート用粒状人
工骨材の製造方法や製造装置を、その実施例を表した図
面をもとに詳細に説明する。図1は、ごみの焼却灰や下
水汚泥乾燥粉等を溶融させたスラグから塊状のコンクリ
ート用人工骨材を製造する装置の例であり、その主たる
構成は、電気溶融炉1とスラグブロック成形保温用移送
装置2と第一クラッシャ3とホットスクリーン4と第二
クラッシャ5と回転式熱処理炉6とからなる。
【0023】電気溶融炉1は、三相、単相の交流電気炉
もしくは直流の電気炉のいずれのタイプでもよいが、図
では簡略化して描かれた直流電気炉の例となっている。
これは、焼却灰や下水汚泥乾燥粉に予めコークスブリー
ズを配合したものが原料7となっている。焼却灰はごみ
や下水汚泥を脱水するなどして図示しない焼却炉におい
て焼却されたものであり、下水汚泥乾燥粉は下水汚泥を
脱水したものである。この電気溶融炉1は、コークスブ
リーズを配合した焼却灰等を、サブマージドアーク電気
溶融法により時間をかけて溶融還元するようになってい
る。そして、原料中の還元容易なFe・Cr・P等の金
属酸化物を還元して溶融銑鉄8を生成すると共に、上記
金属成分を含まないSiO2 等の鉱物質を主成分とした
溶融スラグ9を生成するものである。
【0024】炉天井1Aには、その中央で昇降する可動
電極1Bが配置され、粉粒体である焼却灰等7を炉天井
を通して供給する図示しないスクリューフィーダやシュ
ートが取り付けられる。炉体側部には炉床に溜まった溶
融銑鉄8を意図的に少し残して出銑する出銑口1aが設
けられる。一方、溶融銑鉄8上に滞留する溶融スラグ9
を出滓するための出滓口1bも設けられ、出滓栓1dを
抜いて以下に述べる工程で必要な量を短時間で流出させ
ることができる。なお、出滓栓1dに空気供給孔を設
け、溶融中に出滓口近傍の溶融スラグを攪拌するための
空気を送り、出滓時のスラグ閉塞を防止するようにして
おくとよい。
【0025】この電気溶融炉1が例えば一日約50トン
の焼却灰が出るごみ焼却設備等に適用される場合、4ト
ン程度の焼却灰を収容できる炉容積とされる。これは、
焼却灰等の溶融に約2時間を要するものとすると、24
時間/2時間×4トン=48トンという一日のごみ処理
量に見合ったものになるからである。それゆえ、おおよ
そ3m直径程度の小型のものでよいということになる。
【0026】電気溶融炉1の下流側には、コンベア形式
のスラグブロック成形保温用移送装置2が設置される。
これは、モールドコンベア2Aとスラグ受樋2Bと砂敷
機2Cと予熱砂供給機2Dとを有している。モールドコ
ンベア2Aは、溶融スラグ9を個々の金型2aに受け、
表面が凝固したスラグブロック10を成形しながら搬送
するものである。スラグ受樋2Bは、電気溶融炉1から
例えば2時間ないし3時間ごとに出滓される溶融スラグ
9を連続して配置された金型2aに投入するためのもの
であり、耐火材が張られて溶融スラグ9の放熱を抑制す
べく短時間のうちにモールドコンベア2Aに供給するも
のである。砂敷機2Cはホッパ2bとコンベア2dとか
らなり、モールドコンベア2Aの金型2a上に高温の砂
11を床敷きするもので、ホットスクリーン4の後述す
るホッパ4Bから戻された予熱砂などが使用される。予
熱砂供給機2Dは高温の砂12を金型2a上の溶融スラ
グに被覆させるもので、その予熱砂12もホッパ4Bか
ら戻されたものである。
【0027】上記した金型2aは図2(a)に示すよう
に、所望するサイズのスラグブロックを成形するに必要
な大きさの耐熱鋼製の器であり、(b)示すように、隣
りあう金型2aの端部とは重なりあって連続している。
各金型2aは、その底面に固定したブラケット2eに取
り付けた無端状チェーン2fによって移動されるように
なっている。そして、図1に示すモールドコンベア2A
の矢印13のように移動される金型2aには、先ず、砂
敷機2Cによって予熱砂11が撒かれ、その上に、スラ
グ受樋2Bからの溶融スラグ9が注入される。最後に、
予熱砂供給機2Dからの被覆砂12が溶融スラグに被せ
られる。
【0028】モールドコンベア2Aの払い出し側には第
一クラッシャ3が設置されている。これは、スパイダク
ラッシャなどであり、フォーク状スクリーン3Aとその
爪の間で回転する多数枚のクラッシュングホイール3B
とからなる。そのフォーク状スクリーン3Aは、スラグ
ブロック成形保温用移送装置2からのスラグブロック1
0を受けてクラッシュングホイール3Bに導くように傾
斜しており、スラグブロック10はクラッシュングホイ
ール3Bのクラッシュングビットで叩かれ、スクリーン
3Aの隙間から破砕片14が落とされるようになってい
る。
【0029】スパイダクラッシャ3の下方にはホットス
クリーン4が配置される。これは、破砕片14を受け
て、混在する予熱砂11,12を篩い落とすものであ
る。このホットスクリーン4は例えば振動篩機であり、
篩板4Aと落下する砂を受けるホッパ4Bとからなる。
振動する篩板4Aの篩目から砂や細粒化したスラグはホ
ッパ4Bに落ちるが、この回収された砂等はスラグブロ
ック10との接触によって高い温度となっており、前述
した砂敷機2Cや予熱砂供給機2Dのホッパ2b,2g
に戻されるようになっている。
【0030】ホットスクリーン4の前部下方には、第二
クラッシャ5が設置されている。これは、対向する二つ
の爪付きホイール5A,5Aによって破砕片14をさら
に小さくスラグ小塊15に破砕するロータリクラッシャ
などである。そのホイール5A,5Aの軸間距離を変え
るとスラグ小塊15のサイズを調整することができるよ
うになっている。
【0031】第二クラッシャ5の下方には下り傾斜の移
送シュート16があり、この移送シュート16から高温
のスラグ小塊15が回転式熱処理炉6に送り込まれる。
その回転式熱処理炉6は、1rpm程度でゆっくり回転
される回転炉体6Aと、その中に火炎を発生させるため
に空気供給管を伴った加熱バーナ6Bとを備える。この
回転式熱処理炉6は外殻が非晶質化しているスラグ小塊
15を3時間ないし4時間滞留させて、組織の緻密な結
晶化が図られたスラグを生成するものである。そのため
に、軸線が図示のごとく傾けられた回転炉体6Aは図3
に示すように二基設けられ、それぞれにはスラグ小塊1
5を投入するための開口が一端にあけられ、内面に裏張
り耐火壁6aが施されている(図1参照)。
【0032】この回転式熱処理炉3へはスラグ小塊15
が800℃以下に降温しない間に投入集積され、加熱バ
ーナ6Bによって耐火壁6aおよびスラグの堆積表層を
加温しながら、スラグ小塊15を800℃ないし900
℃の温度雰囲気におくようになっている。そして、回転
により堆積スラグの下方へ回り込んだ耐火壁6aによる
加温作用と塊状スラグの内部保有熱を復熱する作用とに
より、スラグ小塊15を熱処理するものである。
【0033】回転炉体6Aは、上で触れたが、2時間あ
たり4トン程度の原料7から得られる溶融スラグ9の量
に見合った容量であって、軸線上に配置した加熱バーナ
6Bの火炎がスラグ小塊15の堆積表面に触れる程度ま
で投入できる容積とされる。そして、二基の回転炉体6
A,6Aへスラグ小塊15を供給するための前記したシ
ュート16の先端部は図3のごとく方向転換できる構造
となっている。なお、回転炉体6Aは一基でもよいが、
二基とされているのは、溶融スラグ9を例えば2時間ご
とに出滓しても、回転式熱処理炉6での結晶化のために
3時間ないし4時間を確保できるようにしておきたいと
いう配慮に基づくものである。
【0034】このような装置によれば、以下のようにし
て、焼却灰等を溶融しまた熱処理することにより、結晶
化した良質のコンクリート用人工骨材を製造することが
できる。まず、焼却灰等に予めコークスブリーズを配合
した粉粒状の原料7を図4に示したスクリューフィーダ
35,35などを用いて電気溶融炉1の炉天井1Aの装
入孔36から供給する。焼却灰等はサブマージドアーク
電気溶融法により2時間ないし3時間をかけて溶融還元
される。このときの1,500℃といった熱により、可
燃物やダイオキシンはガス化して燃焼される。
【0035】焼却灰等の粉粒体は比重が小さくかつ電気
伝導性も低いが、原料中にコークスブリーズが配合され
ているので、そのカーボンが原料の電導性を向上させて
焼却灰等の溶融化が促進される。そして、還元容易なF
e・Cr・P等の金属酸化物は溶融還元されると共に溶
融スラグが生成される。その際の反応によって発生する
COガスは、スラグのフォーミングを促進する。還元生
成された溶融銑鉄5は図1のように炉床に滞留し、その
上に溶融スラグ6が浮いた状態となる。溶融スラグ6上
にフォーミングスラグ11が形成され、それと原料層と
の境界にカーボン浮遊層12が生じる。
【0036】炉体内に降ろされた可動電極1Bの下部位
はカーボン浮遊層30で覆われたフォーミングスラグ2
9に臨むように制御され、かつ、アークは常時原料7や
フォーミングスラグ29に覆われたサブマージドの状態
となる。カーボン浮遊層30のところで発生するアーク
による原料の加熱のみならず、フォーミングスラグ29
から溶融銑鉄8に至る間での電気抵抗ジュール熱による
効率よい溶融も実現される。このフォーミングスラグ2
9の生成は既に知られているように電力伝達効率を飛躍
的に向上させるので、電力原単位の低減も図られる。
【0037】焼却灰等7が順次還元溶融されると、サブ
マージドアーク状態を維持させるべく、原料がスクリュ
ーフィーダ35から回転している炉天井1Aを経て可動
電極1Bの周囲に分布するよう逐次追加供給される。炉
床に溜まった溶融銑鉄8は意図的に少しを残して出銑口
1aから1日ないし2日ごとに溶銑受鍋1Mに受け取ら
れ、製鋼や鋳造のための鉄源材料として別途利用され
る。一方、溶融スラグ9は溶融銑鉄化した金属成分等を
含まず、その主成分がSiO2 ,Al2 3 ,CaO,
MgO等の鉱物質であり、サブマージドアーク溶融法に
よりガスをほとんど含まない状態となる。したがって、
爾後的に脱泡処理を施す必要もない。溶融スラグ9は出
滓口1bから排出されるが、出滓栓1dを抜いて例えば
2時間ごとに20分という短時間で流出される。それゆ
え、生成された溶融スラグを少しずつ連続的に排出する
場合に比較して、出滓時の溶融スラグ9からの熱エネル
ギ放散量も可及的に抑制される。
【0038】モールドコンベア2Aにおいては、砂敷機
2Cによって床敷砂11が金型2aを覆うように撒か
れ、金属面との接触を避けて溶融スラグ9が急冷するの
を防止しておく。そして、矢印13方向へ移動する金型
2aに、高い熱エネルギを保有した溶融スラグ9がスラ
グ受樋2Bから注入される。その溶融スラグ9に予熱砂
供給機2Dからの予熱砂12が被せられ、金型2aが移
動している間の溶融スラグの急激な冷却を防止して非晶
質のまま固化するのが抑制される。金型2a内の溶融ス
ラグは、表面が凝固したスラグブロック10となり、そ
の熱放散は予熱砂11,12によって可及的に軽減さ
れ、スラグブロック10は1,000℃以上に維持され
る。
【0039】スラグブロック成形保温用移送装置2の端
部に到達した金型2aが反転する際に、床敷砂11によ
って金型2aへの付着が防止されたスラグブロック10
は簡単に剥離して落下する。第一クラッシャ3のフォー
ク状スクリーン3A上を転がり、クラッシュングホイー
ル3Bの回転によってスラグブロック10が叩き割られ
る。予熱砂11,12や細かいスラグと共に落下する破
砕片14は、ホットスクリーン4に落ちる。振動する篩
板4Aによって予熱砂11,12や細かいスラグ片が篩
落とされ、第二クラッシャ5に供給される。耐摩耗性の
高いビットが爪状に取り付けられて回転する二つのホイ
ール5A,5Aの間を通過する間に、破砕片14はさら
に砕かれる。砕かれたスラグ小塊15は900℃前後の
温度を有して移送シュート16から、直ちに回転式熱処
理炉6の一方の回転炉体6Aへ800℃以下に降温しな
い間に装入される。
【0040】回転炉体6Aは加熱バーナ6Bによって予
め加熱された状態にあり、スラグ小塊15が所定量投入
されると移送シュート16が退避して、1rpm程度の
速度でゆっくり回転される。加熱バーナ6Bから火炎を
発生させ、耐火壁6aおよびスラグの堆積表層が加温さ
れる。炉体6Aの回転により堆積スラグの下方へ回り込
んだ加熱耐火壁6aに触れたり火炎に直接触れたスラグ
小塊15は、800℃ないし900℃の均一な温度雰囲
気におかれる。炉体6Aの回転はスラグ小塊15の造粒
化も促進する。そして、スラグ小塊15の凝固した非晶
質な外殻は、炉内温度とスラグ小塊15内の高温溶融部
分からの復熱とにより再溶融と結晶化に要する温度とな
る。3時間ないし4時間滞留させると、個々のスラグ小
塊15は全体的に組織の緻密な結晶化が図られた硬質の
小塊状骨材15Aとなる。
【0041】所定の時間が経過すると加熱バーナ6Bを
止めて、成品排出口の蓋6bが外される。再度、ドラム
を回転させると排出口が下になるたびに結晶化した30
mmないし40mm程度の小塊状骨材15Aが排出され
る。炉体6Aは投入口から下るように軸線が傾斜してい
るので炉体内で排出口へ移動し、全てが成品受容器6C
に入れられる。このようにして得られた小塊状骨材15
Aは、上記したように電気溶融炉1において還元容易な
金属分が除去されており、しかも、ガス含有量が極めて
少なくなっているので、均一な結晶化が促進されかつ自
然石に極めて近い緻密な組織の化学的に安定したコンク
リート用人工骨材となる。電気溶融炉1で溶融スラグに
付与された熱エネルギは途中での消失を少なくして熱処
理工程まで迅速に持ち込まれ、結晶化のための熱エネル
ギ消費量も大幅に低減される。
【0042】以上の説明から分かるように、焼却灰等を
溶融することにより溶融銑鉄と溶融スラグを生成し、そ
の溶融スラグから有害物質の可及的に少ない良質のコン
クリート用人工骨材を製造することができる。その際に
生成した溶融銑鉄は別途利用することができるので、金
属資源の回収が図られる。焼却灰等にはコークスブリー
ズが配合され、原料の電導性が高くなって溶融化が促進
され、また、カーボンによる還元が実現される。それの
みならず、フォーミングスラグの発生を促して電力伝達
効率の向上による電力原単位の低減に大きく寄与する。
さらに、溶融スラグは所定時間ごとの短時間出滓と迅速
な移行形態により、その間での保有熱エネルギの消散が
可及的に抑制され、結晶化操作のための加熱エネルギの
低減も図られる。そして、自地区内で発生するごみや下
水汚泥などの処理と生成物の自地区内消費に見合った小
容量化を実現した設備とすることができる。
【0043】上記の各例においては回転式熱処理炉を使
用しているが、処理量が多いときには、回転式熱処理炉
に代えて公知の竪形シャフト炉(図示せず)を使用する
ことができる。炉内でのスラグの堆積量は多くなり、そ
れに伴って炉内持ち込み熱エネルギも大きく、結晶化処
理中の熱損失を少なくすることができる。そして、前述
した場合と同様に、スラグ内溶融部からの復熱作用によ
って外殻が非晶質化しているスラグを熱処理でき、ガス
含有率の極めて低い組織の緻密な結晶化が図られた人工
骨材が生成される。シャフト炉は可動部材がないので大
型化が容易であり、スラグの熱処理量を多くしたり、処
理時間を長くとることができるようになる。もちろん、
必要に応じて炉内を加熱してもよいが、その場合にはス
ラグに火炎を直接当てる必要がないので、熱ガスを炉壁
の適宜の個所から供給するようにすればよい。
【0044】ところで、電気溶融炉1は先に述べたよう
に、サブマージドアーク電気炉であれば、三相、単相、
直流のいずれの形式のものを採用してもよい。しかし、
三相交流電気炉は一般に大容量に適しており、しかも、
電極間でアークの発生する方向に偏りが生じたり、炉内
装入物の堆積表層のみを加熱する傾向がある。すなわ
ち、各電極下で形成される溶融ゾーンのバランスが悪く
なり、とりわけ比重の小さい電気伝導性の低い粉粒物を
原料とした場合に要求される穏やかな還元溶融は実現さ
れがたく、その結果、均一な加熱状態を得ることができ
なくなる。また、単相交流電気炉では常に交流電力が往
復するので、原料の加熱が局部的となる。一方、コンク
リート用人工骨材製造装置として用いる電気炉は、上記
したごとく小さなもので十分である。したがって、炉の
構造が簡単でコントロールもしやすく、また、後述する
理由によって電気エネルギの供給が最も安定する直流電
気炉の採用が最適である。その一例を図4に示す。
【0045】図において、電気溶融炉1には可動電極1
Bが挿入されるが、投入される焼却灰等には酸化物の含
有量が少ないのが一般的であり、電極の消耗量は少な
い。そこで、人造黒鉛電極よりも操作が容易で安価な自
焼成のあるゼーダベルグ電極が好ましい。これによっ
て、電極消費に伴うコストを著しく低下させることがで
きる。一方、炉体側に設けられる電極として0.02%
Cの純鉄鍛造バーのL形電極1Cが、例えば図5(b)
に示すように4本使用される。この電極1Cは図4に示
すごとく炉壁に埋設される垂直部分1vと炉底に配置さ
れる水平部分1yからなり、垂直部分1vは図5(a)
に仮想線で示すように断面が略正方形で、その中に冷却
水を流通させる往路1rとその内方に設けられた復路1
sとが形成される。
【0046】L形電極1Cの水平部分1yは仮想線で示
すように断面の幅が狭い長方形とされており、図5
(b)に示すように、炉体の耐火材1mに沿って放射状
となるように配置される。この水平部分1yは、図4に
あるように、カーボン粉31で覆われ、炉床を形成する
ブロックを配置するための面を出すと共に電導性を高め
るためにスタンピングされる。そして、垂直部分1vを
覆う絶縁耐火材1nの表面やカーボンスタンプ31の上
に多数の実際は小さな矩形状の黒鉛ブロック32が炉壁
や炉床を形成するように配置される。このようにしてお
くと、前述したごとく炉床に滞留する溶融銑鉄8と黒鉛
ブロック32とカーボンスタンプ31によって、炉底に
広く導電性のある部分が形成される。複数本のL形電極
1Cから給電されて可動電極1Bとの間に印加される電
圧が炉床部全体で均一にかかりやすくなる。このように
して炉床面に略同一の電位レベルが形成されると、焼却
灰等に配合されたコークスブリーズによる導電効果と、
比重が小さい電気伝導性の低い粉粒状の焼却灰等の還元
溶融に必要な静かな加熱溶融作用とにより、原料の迅速
で一様な溶融が実現される。もちろん、前述したフォー
ミングスラグの形成による電力伝達効率の向上に基づ
き、電力消費は著しく低減される。
【0047】なお、本電気溶融炉においては、炉底近く
にカーボン物質が存在するので還元性雰囲気が保たれ、
L形電極1Cの水平部分1yが高温状態におかれていて
も酸化するおそれはない。一方、垂直部分1vでは炉内
温度が高くなると空気と接触して酸化するおそれがある
ので、上記のごとく水冷されている。ちなみに、L形電
極1Cはフレキシブル導線34を介して炉周に配置した
コーベル銅板33と接続され、炉体が熱膨張しても影響
を受けることなく電気回路を形成しておくことができ
る。
【0048】ところで、コークスブリーズを配合した焼
却灰等は粉粒体であり、本電気溶融炉1においては、炉
天井1Aに設けた装入孔36にスクリューフィーダ35
が接続され、粉塵が外部へ飛散しないように装入され
る。もちろん、スクリューフィーダに限らずフレキシブ
ルなシュートを接続しておいてもよいが、その2つの装
入孔36,36は図6に破線で示すように可動電極1B
から異なった半径方向距離にあり、炉天井1Aを回転さ
せれば、焼却灰等を炉体内に均一に装入することができ
る。これによって可動電極1Bの周囲が確実に原料によ
って覆われる。なお、スクリューフィーダ等へは上方の
貯蔵ビン37から焼却灰等が供給される。ちなみに、図
に仮想線で表した二つのスクリューフィーダ35A,3
5Aを含めて、120度間隔の三つのスクリューフィー
ダを配置する場合、前記した半径方向距離をそれぞれ違
えておけば、原料を一層広くかつ均一に投入することが
できる。
【0049】上記したごとく、炉天井1Aは回転するが
貯蔵ビン37は上部デッキなどに固定されているので、
各スクリューフィーダ35は回転中貯蔵ビン37から切
り離される。180度もしくは120度回転した後に再
度接続されて、スクリューフィーダ35に連なるホッパ
42に、次の回転の間に炉体に供給すべき量の原料が投
入される。スクリューフィーダに代えて装入孔36に図
示しないフレキシブルなシュートが接続されている場合
には、そのシュートの変形が許容される範囲で炉天井を
水平に揺動させるようにすることもできる。この場合に
は、貯蔵ビンから切り離す必要がなく、しかも、焼却灰
等が赤熱した状態でのホットチャージも実現しやすくな
る。これにより、電気溶融炉での電力消費の飛躍的な節
減を図ることができる。なお、ホットチャージとすると
原料の流動性は極めて高いので、炉内装入時の分散性が
よく、炉天井の揺動範囲を小さくしておくことができる
利点がある。
【0050】炉天井1Aの回転のための駆動は図4や図
6に示した歯車機構38によって、揺動は図示しないシ
リンダやリンクを用いた機構により実現される。いずれ
の場合も、デッキ上を転動する車輪1w(図4参照)に
よって炉天井1Aを支えておけばよい。このような炉天
井1Aの回転に代えて、図示しないが、炉体を連続的に
回転したり揺動させるようにしても、炉の運転中に粉粒
状原料を供給し炉内での均一分布を図ることができる。
この炉体または炉天井の回転は、処理量の多くない焼却
灰等を溶融させる小型の直流電気炉おいて実現しやすい
ことは言うまでもない。
【0051】通常の直流電気炉では運転制御が交流のそ
れよりもシンプルであるが、単相交流電気炉の場合と同
じく、アークの及ぶ範囲が局部的となる。L形電極を採
用した本電気炉においては、通常の直流電気炉における
運転の制御性の良さと、L形電極の採用による炉床から
の広範囲な領域をカバーする給電性の向上とにより、炉
内での均一な溶融処理が実現されるという機能面におい
ても極めて優れた点を備えることが理解される。
【0052】ちなみに、原料が下水汚泥乾燥粉を含むよ
うな場合には、その乾燥粉中の蛋白質系物質の存在によ
り炉内で加熱される際に悪臭の発生することがある。ま
た、焼却灰の場合であっても、堆積する原料の上方空間
には、原料の溶融過程で発生したCOガスが存在する。
その悪臭や未燃ガスを燃焼させるため、図4に示した炉
体上部には空気導入管39が適数本放射状に設置され
る。炉内の温度上昇に伴う圧力ドラフトが生じると外気
が吸入され、自然発火による臭気除去やCOの燃焼が可
能となる。もちろん、仮想線で示した補助バーナ40を
配置しておけば、その燃焼はより一層促進される。その
補助バーナ40は、火炎が空気導入管39の導出口に臨
み、かつ、円形の炉体に対して接線方向となるようにし
ておけば、旋回流の発生を促して燃焼効率が上がると共
に装入されている原料の予熱にも寄与させることができ
る。補助バーナによりエネルギの供給量は増加するが、
未燃ガスを燃焼させる程度であるので全体的には無視で
きる量である。かえって、上記のごとく、原料を予熱で
きることにより電力消費を節減し、電力原単位の低減も
図られる。なお、排ガスは可動電極1Bの周囲から排煙
フード41を経て集塵機などに送られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼却灰等から塊状スラグを生成し、結晶化し
た小塊状骨材を製造するコンクリート用人工骨材製造設
備の全体図。
【図2】 (a)はモールドコンベアの金型の平面図、
(b)は金型に取り付けられた無端状チェーンの装着
図。
【図3】 熱処理用の回転炉体を2基設けた場合の平面
配置図。
【図4】 人工骨材製造設備に使用される直流電気溶融
炉ならびに付属機器の概略構成図。
【図5】 (a)はL形電極の拡大断面図、(b)は図
4中のV−V線矢視図。
【図6】 炉天井の平面矢視図。
【符号の説明】
1…電気溶融炉、2…スラグブロック成形保温用移送装
置、2A…モールドコンベア、2B…スラグ受樋、2C
…砂敷機、2D…予熱砂供給機、2a…金型、3…第一
クラッシャ、4…ホットスクリーン、5…第二クラッシ
ャ、6…回転式熱処理炉、6A…回転炉体、6B…加熱
バーナ、6a…耐火壁、7…原料(焼却灰等)、8…溶
融銑鉄、9…溶融スラグ、10…スラグブロック、11
…床敷砂(予熱砂)、12…被覆砂(予熱砂)、14…
破砕片、15…スラグ小塊、15A…小塊状骨材。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ごみの焼却灰や下水汚泥乾燥粉等を溶融
    したスラグからコンクリート用人工骨材を製造する方法
    において、 コークスブリーズを配合した焼却灰等をサブマージドア
    ーク電気溶融法により還元溶融し、焼却灰等中の還元容
    易なFe・Cr・P等の金属酸化物を還元して溶融銑鉄
    を生成すると共に、ガス含有率が低くSiO2 等を主成
    分とする溶融スラグを前記溶融銑鉄の上層部に生成さ
    せ、 2時間ないし3時間ごとに上記溶融スラグを出滓するに
    あたり、該溶融スラグからの熱放散を抑制すべく短時間
    のうちに抽出し、直ちに高温の砂を床敷きした金型に入
    れて表面が凝固したブロック化を図ると共に、高温の予
    熱砂を被覆させることによりスラグブロックの急冷を防
    止し、 上記スラグブロックを破砕した後に、篩にかけて混在す
    る砂が除去されたスラグ小塊を800℃以下に降温しな
    い間に炉内へ集積し、3時間ないし4時間上記スラグ小
    塊を800℃ないし900℃の温度雰囲気におくことに
    よって、ガス含有率の極めて低い組織の緻密な結晶化が
    図られたスラグを生成させることを特徴とするコンクリ
    ート用塊状人工骨材の製造法。
  2. 【請求項2】 ごみの焼却灰や下水汚泥乾燥粉等を溶融
    したスラグからコンクリート用の人工骨材を製造する装
    置において、 コークスブリーズを配合した焼却灰等から、還元容易な
    金属酸化物を溶融還元して溶融銑鉄を生成すると共に上
    記金属成分を含まない溶融スラグを生成させる電気溶融
    炉と、 上記電気溶融炉から熱放散を抑制すべく短時間のうちに
    出滓させた溶融スラグを連続して配置された金型に受
    け、表面が凝固したスラグブロックを成形しながら搬送
    するモールドコンベアと、該モールドコンベアの金型上
    に高温の予熱砂を床敷きする砂敷機と、床敷砂上に前記
    溶融スラグを供給するスラグ受樋と、高温の予熱砂を前
    記金型上の溶融スラグに被覆させる予熱砂供給機とを有
    するスラグブロック成形保温用移送装置と、 上記モールドコンベアからのスラグブロックを、床敷砂
    および被覆砂と共に受けて粗破砕する第一クラッシャ
    と、 該第一クラッシャからの破砕片を受けて、混在する砂を
    篩い落とすホットスクリーンと、 該ホットスクリーンからの破砕片を小さく破砕する第二
    クラッシャと、 該第二クラッシャからのスラグ小塊が一端部開口から投
    入される回転炉体と、該回転炉体の裏張り耐火壁および
    堆積スラグの表層を加温する加熱バーナとを有し、炉体
    の回転により堆積スラグの下方へ回り込んだ前記耐火壁
    による加温作用とスラグ内溶融部からの復熱作用とによ
    って外殻が非晶質化しているスラグ小塊を熱処理し、ガ
    ス含有率の極めて低い組織の緻密な結晶化が図られたス
    ラグを生成する回転式熱処理炉と、 を備え、焼却灰等の溶融スラグから自然石に近い小塊状
    骨材を製造することを特徴とするコンクリート用塊状人
    工骨材の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記回転式熱処理炉に代えて、前記第二
    クラッシャからのスラグ小塊が上端部開口から投入さ
    れ、スラグ内溶融部からの復熱作用とによって外殻が非
    晶質化しているスラグ小塊を熱処理し、ガス含有率の極
    めて低い組織の緻密な結晶化が図られたスラグを生成す
    る竪型シャフト炉が採用されていることを特徴とする請
    求項2に記載されたコンクリート用塊状人工骨材の製造
    装置。
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